JP2001056929A - 磁気ディスク用基板、磁気ディスクおよび磁気ディスク用基板の製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用基板、磁気ディスクおよび磁気ディスク用基板の製造方法

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JP2001056929A
JP2001056929A JP11228729A JP22872999A JP2001056929A JP 2001056929 A JP2001056929 A JP 2001056929A JP 11228729 A JP11228729 A JP 11228729A JP 22872999 A JP22872999 A JP 22872999A JP 2001056929 A JP2001056929 A JP 2001056929A
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glass
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magnetic
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Fuminori Takeya
文則 竹矢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】少なくとも一種のアルカリ金属が含有されてい
る結晶化ガラス製の磁気ディスク用基板において、Li
やNaイオンの磁性膜、保護膜などへの移動による突起
物の生成を防止することである。 【解決手段】磁気ディスク用基板の外周側の端面と主面
との間に面取り部が形成されている。外周側端面の表面
領域および面取り部の表面領域におけるカリウムの含有
量が、この磁気ディスク用基板におけるカリウムの含有
量の平均値よりも大きい。基板材をカリウムの溶融塩へ
と浸漬することによって、基板材を表面処理し、基板の
表面領域のナトリウムやリチウムをカリウムとイオン交
換する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク用基
板、これを用いた磁気ディスクおよび磁気ディスク用基
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスクドライブの記録密
度の向上が急激に進んでいる。記録密度を高くするため
には、磁気記録媒体(メディア)に記録された信号のト
ラック幅を狭くし、あるいは、ビット長を短くする必要
がる。これは、メディア表面に記録された磁場が、非常
に弱くなってきていることを意味している。この記録密
度向上の背景には、弱い信号でも読み出せる、感度の高
い、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)や巨大磁気抵
抗効果型ヘッド(GMRヘッド)に代表される磁気ヘッ
ド技術の改良がある。また、トラック幅やビット長を小
さくしても大きな磁場を残せるような、磁気特性の高い
磁性膜を形成する技術に代表されるメディアの改良があ
る。更に、弱い信号を読み書きするために、ハードディ
スクドライブ動作時の、磁気ヘッドとメディアとの距離
(ヘッド浮上量)を小さくすることも、不可欠な技術と
なっている。
【0003】ヘッド浮上量を小さくするためには、メデ
ィア表面の平滑性(突起物がないこと)が重要である。
特にMRヘッド、GMRヘッドにおいては、その特性か
ら、メディア表面の突起物に触れることによって生じる
瞬間的な温度上昇によって、信号を読み取ることができ
なくなる(サーマル・アスピリティー)現象が知られて
おり、サーマル・アスピリティーに対する対策として、
メディア表面の平滑性が重視されている。例えば、最近
では、ヘッド浮上量50nm、メディア表面の突起物の
最大高さ25nmのスペックのハードディスクドライブ
が使用され始めてきている。
【0004】このような平滑なメディア表面を実現する
ために、近年では、メディア用の磁気ディスク用基板に
は、アルミニウム合金に代って、化学強化ガラスや結晶
化ガラス等のガラスが使用されている。アルミニウム合
金は、研磨加工等の機械的処理の過程において、その材
料特性から塑性変形を伴うので、先に述べたような平滑
性を得ることは困難である。それに対して、ガラスは表
面の硬度が高く、研磨加工等の処理を施しても塑性変形
を伴わないため、平滑な面を得やすいのである。これら
の理由から、記録密度の高いハードディスクドライブに
は、メディア用の磁気ディスク用基板にガラスを使用し
たハードディスクドライブが増加しつつある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ガラス製の磁
気ディスク用基板には、次の問題がある。
【0006】即ち、磁気ディスク用基板の表面には、ス
パッタリング法やCVD法によって、下地膜、磁性膜、
保護膜等、複数層の膜が積層されている。これらの膜の
うち、磁性膜より上に積層された膜、例えば保護膜の厚
さは、それ自体が磁気ヘッドと磁性膜とを遠ざける距離
となっている。保護膜の厚さは、従来、15nm程度で
あったが、この距離が前記例示のヘッド浮上量50nm
に加算されることになるので、実質的なヘッド−磁性膜
間の距離を65nm(50nmの1.3倍)に増大させ
ている。最近では、実質的なヘッド−磁性膜間の距離を
小さくして記録密度を改善する動きがあり、保護膜の厚
さを、5〜10nmに薄くする傾向がある。
【0007】一方、磁気ディスク用基板に使用されてい
るガラスのうち、強化ガラスにはナトリウム、結晶化ガ
ラスにはリチウムが、主なアルカリ金属として含まれて
いる。これらの金属イオンは、そのイオン半径が小さい
ことから移動し易く、特に高温高湿下では移動し易い。
前記のように、保護膜の厚さを薄くしたメディアでは、
そのメカニズムは明確になっていないが、メディアの表
面に移動してきたナトリウムイオンやリチウムイオン
が、周囲の物質と反応して、図1に示すような位置に、
水酸化物や炭酸塩等、さまざまな化合物を形成し、メデ
ィア表面に突起物(高さ約30nm)を形成することに
よって、浮上中のヘッドと衝突し、ヘッドクラッシュを
起こす可能性が否定できない。また、磁性膜を腐食する
ことにより、磁性膜の特性を劣化させ、記録・再生時に
エラーを発生したり、この結果としてヘッドクラッシュ
を起こす可能性が指摘されている。更に、これらのアル
カリ金属イオンがヘッド側に付着することにより、磁気
ヘッド素子自体を腐食する可能性や、ヘッドクラッシュ
を起こす可能性も指摘されている。
【0008】これらの課題に対して、本発明者らは、特
開平8−335312号公報の中で、磁気ディスク用基
板を温水や弱酸性水溶液中で処理することにより、磁気
ディスク用基板の表面のアルカリ金属イオン濃度を低下
させる処理を開示した。また、磁気ディスク用基板を加
熱処理することにより、同様の効果が得られることを開
示した。
【0009】当時のハードディスクドライブでは、ヘッ
ド浮上量が75nmであったので、高さ約30nmの突
起物に衝突する確率が低かったことと、特開平8−33
5312号公報記載の処理と、15nmの厚さの保護膜
とによって、突起物の生成を抑制できていた。しかし、
ヘッド浮上量が50nmに低下するのに加えて、保護膜
の厚さを5−10nmに薄くすることによって、特開平
8−335312号公報記載の手法による抑制効果では
不十分なことが判明してきた。
【0010】本発明の課題は、少なくとも一種のアルカ
リ金属が含有されている結晶化ガラス製の磁気ディスク
用基板において、ナトリウムイオンやリチウムイオンの
磁性膜、保護膜などへの移動による突起物の生成を防止
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも一
種のアルカリ金属が含有されている結晶化ガラス製の磁
気ディスク用基板であって、磁気ディスク用基板の外周
側の端面と主面との間に面取り部が形成されており、外
周側端面の表面領域および前記面取り部の表面領域にお
けるカリウムの含有量が、この磁気ディスク用基板にお
けるカリウムの含有量の平均値よりも大きいことを特徴
とする、磁気ディスク用基板に係るものである。
【0012】また、本発明は、前記磁気ディスク用基板
と、この磁気ディスク用基板上に設けられている磁性膜
とを備えていることを特徴とする、磁気ディスクに係る
ものである。
【0013】また、本発明は、結晶化ガラス製の磁気デ
ィスク用基板を製造する方法であって、原料ガラスを溶
融して溶融ガラスを得る工程、この溶融ガラスを成形し
て板状ガラスを得る工程、板状ガラスに内径孔を形成し
て基板材を得る工程、基板材の主面を研磨または研削加
工することによって基板材の厚さを調節する工程、基板
材の前記内径孔に面する内周側端面と外周側の端面とを
それぞれ面取り加工することによって各面取り部を形成
する工程、内周側端面および外周側端面を鏡面にポリッ
シュ加工する工程、基板材の主面を鏡面にポリッシュ加
工する工程を有しており、前記基板材を得る工程の後お
よび基板材の主面を鏡面にポリッシュ加工する工程の前
のいずれかの時点で、基板材をカリウムの溶融塩中に浸
漬して表面処理を施すことを特徴とする。
【0014】本発明者は、先に述べたLiやNaイオン
の移動に起因すると考える突起物を解析している中で、
図1に示すように、この突起物2の発生位置が、すべて
メディア1の外周部に多いことを発見した。ただし、4
A、4Bは主面であり、6は内周側の端面である。
【0015】本発明者は、この原因を探索した結果、次
の発見に到達した。即ち、図2に拡大して示す磁気ディ
スク用基板5におけるように、主面4A、4Bと外周側
端面3aとの間に面取り部3b、3cを形成する。そし
て、前記した突起物をよく観察すると、面取り部3b、
3c上に突出し、主面4A側にまで延びることで、問題
を起こすことが分かった。こうした磁気ディスク用基板
の面取り部の近傍以外では、リチウムイオンやナトリウ
ムイオンの移動に起因すると見られる突起物は、ごく僅
かしか観測されなかった。
【0016】この原因は、磁気ディスク用基板の外周側
端面の形態の特異性にあるものと思われる。即ち、磁気
ディスク用基板5の外周側端面3aおよび内周側の端面
6は、図2に示すように面取り加工した後、酸化セリウ
ム等のスラリーを用いて鏡面にポリッシュ加工される。
しかし、実際に仕上がった面の品質を観察したところ、
内周側端面の方が外周側端面よりも優れていることが分
かった。外周側の端面には、内周側端面に比べて、欠け
やピット等が多く観察された。これらの欠けやビットな
どのポリッシュ後に残留する欠陥が、機構は明らかでは
ないが、磁気記録媒体においてリチウムイオンやナトリ
ウムイオンの移動を引き起し、突起物を生成させる起点
となるものと考えられる。
【0017】また、面取り部や、内周側および外周側端
面は、主面に比べて、スパッタリング等による磁性膜や
保護膜が付きにくいため、その膜厚が薄くなっているこ
とも、原因の一つと考えられる。
【0018】従って、リチウムイオンとカリウムイオン
との交換は、少なくとも面取り部と、内周側端面および
外周側端面とに施されていれば、リチウムイオンやナト
リウムイオンの移動に起因するものと考えられる突起物
の生成を効果的に抑制することができる。例えば、内径
および外径加工工程後に、リチウムイオンとカリウムイ
オンとの交換を行う場合、イオン交換された領域の深さ
が、少なくとも内周側端面、外周側端面の面取り加工
と、内周側端面および外周側端面のポリッシュ加工とに
おける除去量以上あれば良く、イオン交換された領域の
深さが、主面の粗ラップ、精密ラップ、ポリッシュ等の
加工除去量以上なくとも、その効果を得ることができ
る。
【0019】また、磁気ディスク用基板の内周側および
外周側端面および/または主面の表面領域におけるカリ
ウムの含有量が、同じ領域における他のアルカリ金属の
含有量(合計値)の5倍以上であることが好ましく、こ
れによって、リチウムイオンやナトリウムイオンの移動
に起因する考えられる突起物の生成が特に顕著に抑制さ
れる。
【0020】なお、ここで言う表面領域とは、基板の表
面から1μm以内の深さの領域のことを意味している。
その理由は、突起物の生成するリチウムイオンやナトリ
ウムイオンの移動は、カリウムでイオン交換された基板
においては、基板の表面から1μmよりも深い領域では
生じにくいからである。
【0021】磁気ディスク用基板を構成するガラスは、
結晶化ガラスとする。例えば、Li2 O−Al23
SiO2 系のガラスが特に好ましい。この系のガラスに
おいては、特に好適には、溶融温度および溶融したガラ
スの粘性の観点から、工業的に有利に生産するために
は、その主結晶相がニケイ酸リチウム(Li 2 O・2S
iO2 )相によって占められていることが好ましい。
【0022】副結晶相として、クリストバライトやα−
石英などの結晶相を同時に析出させることによって、磁
気ディスク用基板全体の熱膨張係数を適切な値に制御す
ることができる。
【0023】また、結晶化ガラスが好ましい理由を以下
に述べる。強化ガラスの場合は、基板製造プロセスの最
終行程で化学強化処理が施されるため、強化前の強度の
低い状態で、全製造プロセスを実施しなければならな
い。このため、全製造プロセスの工程途中で、基板材の
破損や欠け、傷が発生しやすく、工程歩留りが低いとい
う問題がある。
【0024】これに対して、結晶化ガラスを使用した場
合には、図3に例示したように、全製造プロセスの初期
には既に結晶化処理を施すことができ、基板剤の強度を
高くすることができる。従って、この結晶化処理の後の
各加工工程において、強化ガラスを使用した場合よりも
高い歩留りを得ることができる。
【0025】こうした結晶化ガラスからなる基板を製造
するためには、SiO2:65〜85重量%、Li2
O:8〜12重量%、Al23 :2〜8重量%、P2
5 :1〜3重量%を含有する組成の原ガラスを製造す
る。好ましくは、このガラス原料を、500〜600℃
で1〜5時間熱処理することにより、結晶核を形成し、
次いで650〜800℃で1〜5時間熱処理することに
より、結晶化ガラスを製造する。こうして得られた結晶
化ガラスからは、図3の工程を経ることによって中心線
平均表面粗さ5オングストローム以下の平滑性を有する
磁気ディスク用基板を得ることができる。
【0026】なお、この系の結晶化ガラス中には、他の
成分を含有させることができる。まず、P25 以外の
核形成剤として、TiO2 、ZrO2 、SnO2等の金
属酸化物または白金等の金属、フッ化物を、単独で、ま
たは2種以上混合して、含有することができる。また、
2 Oを0〜7重量%含有させることができる。これ
は、ガラスの溶融、成形温度を低下させるのと共に、成
形時のガラスの失透を抑制する効果がある。この作用を
発揮させるには、この含有量を2重量%以上とすること
が更に好ましい。また、この含有量が7重量%を越える
と、ガラスセラミックスの強度が低下する傾向がある。
As23 とSb23 との一方または双方を、合計で
0〜2重量%含有させることもできる。これらは、ガラ
ス溶融の際の清澄剤である。
【0027】その他、ZnO成分を0−3重量%、Mg
O成分を0−1重量%、B23 成分を0〜3重量%、
CaO成分を0〜3重量%、SrOを0〜3重量%、B
aOを0〜3重量%含有させることができる。
【0028】ガラス製磁気ディスク用基板の製造工程の
一例を、図3に示す。
【0029】原料ガラスを溶融して溶融ガラスを得、こ
の溶融ガラスを成形して板状ガラスを得、好ましくは板
状ガラスを結晶化させる。この板状ガラスに内径孔を形
成し、基板材を得る。次いで基板材の主面を粗ラップ加
工および精密ラップ加工し、基板材の厚さを調節して基
板材を得る。次いで、この基板材の内径孔に面する内周
側端面と外周側の端面とをそれぞれ面取り加工すること
によって面取り部を形成し、内周側端面および外周側端
面を鏡面にポリッシュ加工する。次いで、基板材の主面
を鏡面に最終的なポリッシュ加工を施して磁気ディスク
用基板を得る。
【0030】図3に示すように、カリウム溶融塩による
基板材の表面処理は、板状ガラスに内径孔を形成した
後、最終的な鏡面ポリッシュ加工の前の、いずれの時点
で施してもよい。ただし、最終の主面ポリッシュ加工の
直前に表面処理を行うことが、リチウムイオンとカリウ
ムイオンとが置換した層の厚さを厚く維持するという観
点から、最も好適である。
【0031】リチウムイオンとカリウムイオンとの交換
は、以下の手法で行う。300−450℃に加熱した硝
酸ナトリウムの溶融塩の中に、前記したいずれかの工程
の時点における基板材を、所定時間浸漬する。次に、3
50−500℃に加熱した硝酸カリウムの溶融塩の中
に、基板材を所定時間浸漬する。リチウムイオンとの交
換速度および交換深さは、処理する温度が高いほど、ま
たは処理する時間が長いほど、大きくなる。
【0032】また、詳細ナトリウムでの前記処理を省略
し、詳細カリウムによる処理のみを施すことによって
も、所望の効果を得ることができる。ただし、硝酸ナト
リウムでの処理がない場合には、その処理がある場合に
比べて、交換深さが浅くなる。従って、この表面処理の
後の工程で研磨工程等の加工工程が施される場合には、
硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの双方によって2段階
の処理を行うことが好ましい。
【0033】
【実施例】(比較例)SiO2 :76.1重量%、Li
2 O:9.9重量%、Al23 :5.1重量%、K2
O:2.8重量%、ZrO2 :4.0重量%、P2
5 :1.9重量%、Sb23 :0.2重量%の組成を
有するガラスを作製した後、図3に示す工程に沿って磁
気ディスク用基板を試作した。ただし、カリウム溶融塩
による表面処理処理は、行わなかった。磁気ディスク用
基板を、スパッタリング装置内に投入する前に、基板の
主面の中心線平均表面粗さを測定した結果、4.0オン
グストロームであった。
【0034】この磁気ディスク用基板に、スパッタリン
グにより、下地膜と磁性膜を形成し、その上にCVD法
によりダイヤモンドライクカーボン膜を形成し、更にそ
の上に潤滑剤をコーティングし、メディアを作製した。
スパッタリングによって形成した膜の合計厚さは90n
mであり、CVDで形成した膜の厚さは10nmであ
る。メディアを25枚作製した。各メディアを、温度7
0℃、湿度80%の恒温恒湿槽中に240時間放置した
後、メディアの表面に発生する突起物の有無をハロゲン
ランプの下で目視で観察した。
【0035】この結果、5枚のメディアにおいて、図1
に示すように、基板の外周エッジ部分上において、突起
物2がメディア表面に白く光って観察された。また、こ
の白色部分を飛行時間型2次イオン質量分析装置(TO
F−SIMS)で分析した結果、異常のない箇所に比べ
てリチウムイオン濃度が高いことがわかった。即ち、リ
チウムイオンの移動によって突起物2が生成しているこ
とが確認された。
【0036】(実施例1)比較例1と同じ組成のガラス
を作製した後、図3に示す工程に沿って磁気ディスク用
基板を試作した。ただし、主面ポリッシュ加工1と2と
の間に、以下のカリウム溶融塩による処理を施した。
【0037】480℃に加熱した硝酸カリウムの溶融塩
中に、ポリッシュ加工1を施した基板材を5時間浸漬し
た。基板材を溶融塩から取り出し、水洗した後、ポリッ
シュ加工2を施して、比較例と同様に、主面における中
心線平均表面粗さ4.0オングストロームの磁気ディス
ク用基板を得た。
【0038】この磁気ディスク用基板に、比較例と同様
にして、25枚のメディアを作製し、比較例と同じ環境
下で放置した後、メディア表面をハロゲンランプの下で
目視で観察した。その結果、すべてのメディアに突起物
は見られなかった。また、メディアの外周近傍と、主面
中央部とにおいて、TOF−SIMSによって、リチウ
ムイオン濃度を測定したところ、共に、比較例の正常な
部分よりも低い値を示した。
【0039】(実施例2)比較例と同じ組成のガラスを
作製した後、図3に示す工程に沿って磁気ディスク用基
板を試作した。ただし、内周側端面と外周側端面の面取
り加工と、内周側端面および外周側端面のポリッシュ加
工との間に、以下の溶融塩による表面処理を施した。
【0040】380℃に加熱した硝酸ナトリウムの溶融
塩中に、基板材を5時間浸漬した後、480℃に加熱し
た硝酸カリウムに5時間浸漬した。基板材を溶融塩から
取り出し、水洗した後、内州側端面および外周側端面を
ポリッシュ加工した。以降は、図3の工程フローに沿っ
て磁気ディスク用基板を試作した。
【0041】この磁気ディスク用基板に、比較例と同様
にして25枚のメディアを作製し、比較例と同じ環境下
で放置した後、メディア表面を、ハロゲンランプの下で
目視観察した。その結果、すべてのメディアにおいて突
起物は見られなかった。
【0042】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
磁気ディスク用基板上に、スパッタリング法およびCV
D法で磁性膜等を形成して作製したメディアの高温高湿
下での信頼性を高めることができる。更に、結晶化ガラ
ス表面のリチウムイオンをカリウムイオンに交換するこ
とにより、基板材の強度およびヤング率を一層向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メディア1を高温高湿下で腐食試験をしたとき
に、メディアの外周エッジ部分に突起物が生成した状態
を示す模式図である。
【図2】磁気ディスク用基板の外周エッジ部分を模式的
に示す、拡大部分断面図である。
【図3】結晶化ガラス製の磁気ディスク用基板の製造工
程フローの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 メディア 2 アルカリ金属イオンの移動に
よって生じた突起物 3a 基板の外周側の端面
3b、3c 面取り部 4A、4B 主面 6 内周側の端面

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一種のアルカリ金属が含有され
    ている結晶化ガラス製の磁気ディスク用基板であって、
    前記磁気ディスク用基板の外周側の端面と主面との間に
    面取り部が形成されており、前記外周側端面の表面領域
    および前記面取り部の表面領域におけるカリウムの含有
    量が、この磁気ディスク用基板におけるカリウムの含有
    量の平均値よりも大きいことを特徴とする、磁気ディス
    ク用基板。
  2. 【請求項2】前記磁気ディスク用基板の主面の表面領域
    におけるカリウムの含有量が、この磁気ディスク用基板
    におけるカリウムの含有量の平均値よりも大きいことを
    特徴とする、請求項1記載の磁気ディスク用基板。
  3. 【請求項3】前記アルカリ金属が、リチウム、ナトリウ
    ムおよびカリウムからなる群より選ばれた一種以上のア
    ルカリ金属であることを特徴とする、請求項1または2
    記載の磁気ディスク用基板。
  4. 【請求項4】前記磁気ディスク用基板の前記外周側端面
    の表面領域および前記面取り部の表面領域において、カ
    リウムの含有量が他のアルカリ金属の含有量の合計の5
    倍以上であることを特徴とする、請求項1−3のいずれ
    か一つの請求項に記載の磁気ディスク用基板。
  5. 【請求項5】前記結晶化ガラスがLi2 O−Al23
    −SiO2 系の結晶化ガラスであり、その主結晶相が二
    ケイ酸リチウムで構成されていることを特徴とする、請
    求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディス
    ク用基板。
  6. 【請求項6】請求項1−5のいずれか一つの請求項に記
    載の磁気ディスク用基板と、この磁気ディスク用基板上
    に設けられている磁性膜とを備えていることを特徴とす
    る、磁気ディスク。
  7. 【請求項7】前記磁気ディスク用基板と前記磁性膜との
    間に下地層が設けられており、前記磁性膜の上に保護膜
    が設けられていることを特徴とする、請求項6記載の磁
    気ディスク。
  8. 【請求項8】ヘッド浮上量が50nm以下であるスペッ
    クのハードディスクドライブにおいて使用されることを
    特徴とする、請求項6または7記載の磁気ディスク。
  9. 【請求項9】結晶化ガラス製の磁気ディスク用基板を製
    造する方法であって、原料ガラスを溶融して溶融ガラス
    を得る工程、この溶融ガラスを成形して板状ガラスを得
    る工程、板状ガラスに内径孔を形成して基板材を得る工
    程、前記基板材の主面を研磨または研削加工することに
    よって前記基板材の厚さを調節する工程、基板材の前記
    内径孔に面する内周側端面と外周側の端面とをそれぞれ
    面取り加工することによって各面取り部を形成する工
    程、内周側端面および外周側端面を鏡面にポリッシュ加
    工する工程、前記基板材の主面を鏡面にポリッシュ加工
    する工程を有しており、前記基板材を得る工程の後およ
    び前記基板材の主面を鏡面にポリッシュ加工する工程の
    前のいずれかの時点で、前記基板材をカリウムの溶融塩
    中に浸漬して表面処理を施すことを特徴とする、磁気デ
    ィスク用基板の製造方法。
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