JP2001055458A - 抗菌性樹脂フィルム - Google Patents

抗菌性樹脂フィルム

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JP2001055458A
JP2001055458A JP11231050A JP23105099A JP2001055458A JP 2001055458 A JP2001055458 A JP 2001055458A JP 11231050 A JP11231050 A JP 11231050A JP 23105099 A JP23105099 A JP 23105099A JP 2001055458 A JP2001055458 A JP 2001055458A
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antibacterial
film
polyamide
resin
nylon
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JP11231050A
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Hideto Ohashi
英人 大橋
Satoshi Hayakawa
聡 早川
Juji Konagaya
重次 小長谷
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度の抗菌活性と実用上必要な抗菌耐久性を
併せ有するポリアミド系樹脂からなる抗菌性フィルム、
くわしくは少量の抗菌成分で有効な抗菌活性を得ること
ができるポリアミド系樹脂からなる抗菌性樹脂フィルム
を提供し、食品包装や医療用包装の分野に適用するこ
と。 【解決手段】 −CONH−結合を主繰り返し単位とし
て有するポリアミド系樹脂からなるフィルムにおいて、
ポリアミド系樹脂が下記一般式(1)で表されるホスホ
ニウムスルホネート基を有する抗菌性モノマー単位を構
造単位の一部とすることを特徴とする。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌性及び抗菌耐
久性に優れた樹脂からなる抗菌性樹脂フィルム(シート
を含む、以下同じ)に関し、特に、優れた抗菌性と実用
的な耐久性を併せ持ち、包装用材料、工業用材料として
単独又は各種基材との積層体として用いるのに好適な抗
菌性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリアミド系樹脂及びそれを
用いた成形体とりわけフィルムは優れた透明性、成形
性、機械的特性を有しており、生鮮食品、加工食品、医
薬品、医療機器、電子部品などの包装用フィルム、建
材、家電などの工業用フィルムとして利用されている。
また、ガスバリアー性、防湿性、透明性が要求される食
品包装用フィルムとしては、例えば、アルミニウムなど
の金属箔を積層したもの、塩化ビニリデンやエチレンビ
ニルアルコール共重合体をコーティングしたもの、酸化
ケイ素や酸化アルミニウムなどの蒸着膜からなる無機質
薄膜を積層したものなどが知られている。また、味噌や
醤油などの調味料、スープやレトルト食品などの水分含
有食品あるいは薬品など包装するためにドライラミネー
ト法によってシーラント層を設けるか、あるいは押出ラ
ミネート法によりシーラント層を設けるなどしてポリア
ミドフィルムの積層体としたものが知られている。更に
最近では煮沸処理やレトルト処理による寸法変化による
積層構造の破壊を防ぐために、脂肪族ポリアミド系樹脂
に芳香族ポリアミド系樹脂を混合したり、芳香族ポリア
ミド系樹脂やポリエチレンテレフタレート系樹脂などを
多層押出しした積層フィルムが提案されている。
【0003】近年、食品の流通形態や食生活の変革によ
って食品の包装形態も大幅に変わってきており、包装用
フィルムに対する要求特性はますます厳しくなってきて
いる。流通販売過程における温度や湿分、酸素、紫外
線、更には細菌やかびなどの微生物の影響による製品の
品質低下は、販売上の損失を招くのみならず食品衛生面
からも大きな問題である。このような品質低下を防止す
る方法として、従来は酸化防止剤や防腐剤などを食品に
直接添加していたが、最近では、消費者保護の立場から
食品添加物の規制が厳しくなり、添加量の減少若しくは
無添加が求められており、このような状況の下で品質低
下を起こさない様な包装フィルムヘの要望が高まってい
る。
【0004】最近、このような問題の解決策の一つとし
てこれらに無機系又は有機系の抗菌剤を充填又は塗布し
た抗菌性を有する製品が考案されている。例えば、キチ
ン、キトサン、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、ヒノキチ
オール、茶抽出抗菌剤などの天然品、光酸化触媒酸化チ
タン粒子、酸化亜鉛超微粒子、銀含有ゼオライト、銀含
有リン酸ジルコニウムなどの無機系化合物品及び有機ア
ンモニウム塩系、有機ホスホニウム塩系化合物などの合
成品を添加した包装フィルムが挙げられる。
【0005】天然抗菌剤及び銀に代表される無機系抗菌
剤は毒性の面で安全で最近注目を浴び、以下の発明がす
でに開示されている。例えば、特公昭63−54013
号公報には銀イオンや銅イオンとイオン交換した抗菌性
ゼオライトを配合する例が開示されている。特開平3−
83905号公報、特開平3−83906号公報には銀
イオン含有リン酸塩系の抗菌剤が、特開平3−1614
09号公報には特定のイオン交換容量を有するゼオライ
ト中の一定容量を銀イオンで置換してなる抗菌剤が開示
されている。これらに開示された発明に従いポリアミド
系樹脂フィルムに抗菌性を付与しようとすると、透明性
を維持しようと添加量を比較的控えめにすると抗菌活性
は不十分で、抗菌活性を改善しようとすると透明性を犠
牲にしなければならず、実用的には改良の余地があっ
た。
【0006】他方、有機合成品の抗菌剤はかび類などに
対して抗菌能が天然品、無機品より優れるのが一般的で
あるが、フィルムなどの基体へそれらの抗菌剤を表面塗
布又は充填した場合、抗菌剤が低分子量であるためフィ
ルムなどの基体から揮発、脱離、分離しやすく、抗菌性
の長期安定性の点から、また人体への安全性の点で好ま
しくない。抗菌剤をフィルムなどに使用する場合には、
抗菌剤が水や有機溶媒などに溶解せず、フィルム表面か
ら遊離、脱離、剥離、脱落し難いことが抗菌性能の長期
安定性及び人体への安全性の面から好ましい。
【0007】このような状況のなか、最近では、フィル
ム、繊維などの原料となるポリマー素材に有機系抗菌剤
をイオン結合又は共有結合で結合した固定化抗菌剤が開
示されている。特開昭54−86584号公報には、カ
ルボキシル基やスルホン酸などの酸性基とイオン結合し
ている4級アンモニウム塩基を有する抗菌剤成分を含有
する高分子物質を主体とした抗菌性材料が記載されてい
る。
【0008】特開昭61−245378号公報には、ア
ミジン基などの極性基や4級アンモニウム塩基を有する
抗菌剤成分を含有したポリエステル共重合体からなる繊
維が記載されている。特開昭57−204286号公
報、特開昭63−60903号公報、特開昭62−11
4903号公報、特開平1−93596号公報、特開平
2−240090号公報などの公報には種々の含窒素化
合物と同様、ホスホニウム塩化合物は細菌類に対して広
い活性スペクトルを持った生物学的活性化学物質として
知られている。
【0009】更に、ホスホニウム塩を高分子物質に固定
化して用途の拡大を試みた発明が開示されている。特開
平4−266912号公報にはホスホニウム塩系ビニル
重合体の抗菌剤について、更には、特開平5−3108
20号公報には、酸性基及びこの酸性基とイオン結合し
たホスホニウム塩基を有する抗菌成分を含有する高分子
物質を主体とした抗菌性材料が記載されている。しか
し、上記のホスホニウム塩からなる抗菌成分をポリアミ
ド系樹脂に固定化し抗菌性ポリアミド系樹脂及びそれを
用いたフィルムを得る方法については全く開示されてい
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題点を解決し、高度の抗菌活性と実用上必要な抗菌
耐久性を併せ有するポリアミド系樹脂からなる抗菌性樹
脂フィルム、くわしくは少量の抗菌成分で有効な抗菌活
性を得ることができるポリアミド系樹脂からなる抗菌性
樹脂フィルムを提供し、食品包装や医療用包装の分野に
適用することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、−CONH−結合
を主繰り返し単位として有するポリアミド系樹脂フィル
ムにおいて、ポリアミド系樹脂が下記一般式(1)で表
されるホスホニウムスルホネート基を有する抗菌性モノ
マー単位を構造単位の一部とすることを特徴とする。
【0012】
【化2】
【0013】上記の構成からなる本発明の抗菌性樹脂フ
ィルムは、抗菌性モノマー単位を構造単位の一部として
有するポリアミド系樹脂からなり、抗菌活性に優れ、か
つ、実用上必要な抗菌耐久性を有する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の抗菌性樹脂フィル
ムについて詳細に説明する。本発明の抗菌性樹脂フィル
ムの基本骨格であるポリアミド系樹脂とは、アミド(−
CONH−)結合を主繰り返し単位に持つ高分子化合物
で、重合形式により1)ラクタムの開環重合によるも
の、2)アミノカルボン酸の重縮合によるもの、3)ジ
アミンと二塩基酸の重縮合によるものなどが挙げられ
る。
【0015】具体例としては、ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4・6、ナ
イロン6・10、ナイロン6・12などの脂肪族ポリア
ミド系樹脂、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミ
ド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ
(メタキシレンアジパミド)などの脂肪族−芳香族ポリ
アミド系樹脂及びこれらの共重合体や混合物が挙げられ
る。これらのなかで本発明に用いるポリアミド系樹脂と
しては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・66
共重合体、ヘキサメチレンテレフタルアミド単位、ヘキ
サメチレンイソフタルアミド単位、ヘキサメチレンアジ
パミド単位から構成される芳香族環含有ポリアミド系樹
脂が好ましい。
【0016】本発明に用いるポリアミド系樹脂は、公知
の方法により製造することができる。本発明に用いるポ
リアミド系樹脂は、分子量としては特に制限はないが、
温度25℃、98重量%の硫酸中の濃度1g/デシリッ
トルにおける相対粘度が1.5〜4の範囲にあること
が、成形加工性と機械的特性のバランスから好ましい。
また、本発明に用いられるポリアミド系樹脂は、その末
端カルボキシル基濃度と末端アミノ基濃度の比が1.0
〜6.0の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは
1.0〜5.0の範囲にあることが好ましい。末端カル
ボキシル基濃度と末端アミノ基濃度の比が1.0未満又
は6.0を越える場合は熱安定性が低下し良好なフィル
ムが得られない。
【0017】本発明の抗菌性樹脂フィルムは前記のポリ
アミド系樹脂単独で構成されていても、2種以上の樹脂
が積層された多層構造を構成するものでもよい。2種以
上の積層構造を有するフィルムの製造方法としては、公
知の方法により製造することができる。すなわち、各層
を構成する重合体を別々の押出機を用いて溶融し、共押
出しにより製造する方法、各層を構成する重合体をラミ
ネートにより積層する方法及びこれらを組み合わせた方
法などをとることができる。積層フィルムの一例として
はA/B又はA/B/Aの層構成の積層ポリアミドフィ
ルムが挙げられる。ここで、A層は抗菌性のポリアミド
系樹脂からなる層であり、B層はその他のポリアミド系
樹脂からなる層、他の熱可塑性樹脂からなる層である他
アルミ箔、熱硬化性樹脂膜などであってもよい。このよ
うな積層フィルムの片面又は両面の表層のみに抗菌性を
有するポリアミド系樹脂を用いることによって、少ない
抗菌成分の量で効果的に抗菌性能を付与することができ
る。更に、A層を形成するポリアミド系樹脂には、以下
の(X)で示す芳香族ポリアミド系樹脂成分を50〜1
00%配合することにより、フィルムの寸法安定性、特
に耐熱水寸法安定性を向上することができるので好まし
い。(X):テレフタル酸又はイソフタル酸と脂肪族ジ
アミンからなる芳香族ポリアミド系樹脂成分(a)と脂
肪族ポリアミド系樹脂成分(b)の混合体又は共重合体
で、該芳香族ポリアミド系樹脂成分(a)を10モル%
以上含有するポリアミド系樹脂成分
【0018】更に、本発明の抗菌性樹脂フィルムは、未
延伸フィルムと延伸フィルムのどちらでも使用すること
ができるが、フィルムの加工適性を向上させるために一
軸又は二軸方向に延伸して使用することが望ましい。延
伸方法としては、テンター式逐次二軸延伸方法、テンタ
ー式同時二軸延伸方法、チューブラー法などの公知の方
法を用いることができる。他のフィルムを積層した積層
フィルムとする場合、抗菌性を有するポリアミド系樹脂
の延伸は、他のフィルムの積層前あるいは積層後に行う
ことができる。また、一軸方向に延伸した他のフィルム
に抗菌性を有するポリアミド系樹脂を積層し、その後に
これを他軸方向に延伸することもできる。また、共押出
し法あるいはインラインラミネート法を採用して抗菌性
を有するポリアミド系樹脂と他の樹脂との積層を軟化状
態で行い、得られた多層フィルムを延伸して製造するこ
とも可能である。
【0019】本発明におけるホスホニウムスルホネート
基を含有する重合性モノマーは一般式(1)で表される
ものである。
【0020】
【化3】 ここで、式中のAは、芳香族基又は脂肪族基であり、な
かでも三官能のフェニル基、炭素数1〜8のアルキル基
が好ましい。X1、X2はアミド結合を形成するものであ
ればいかなるものでもよいが、なかでもカルボン酸基、
アミノ基、アミド基、カルボン酸ハロゲン化物などが好
ましい。また、X1、X2は環状につながっていてもよ
い。また、R1、R2、R3、R4はアルキル基又はアリー
ル基でそのうちの少なくとも1つは炭素数10〜20の
アルキル基である。
【0021】ホスホニウムスルホネート基の上記R1
2、R3、R4の例としては、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ドデシル、ペンダデシル、ヘキサデシル、オクタデ
シルなどのアルキル基又はフェニル、トリル、ベンジル
などのアリール基が典型的なものであり、R1、R2、R
3、R4のうち少なくとも一つは炭素数10〜20のアル
キル基であることが、抗菌効果を最大に発現する点で好
ましい。具体例としては、トリ−n−ブチルデシルホス
ホニウム塩、トリ−n−ブチルオクタデシルホスホニウ
ム塩、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム塩、
トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、トリ−
n−ブチルドデシルホスホニウム塩が挙げられるが、な
かでも、トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホニウム
塩、トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、ト
リ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩が好ましい。
【0022】本発明で用いる、ホスホニウムスルホネー
ト基を有する抗菌性単量体の代表的な例としては、スル
ホイソフタル酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム
塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチルテトラデシル
ホスホニウム塩、スルホイソフタル酸トリ−n−ブチル
ヘキサデシルホスホニウム塩、スルホテレフタル酸トリ
−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、スルホテレフタ
ル酸トリ−n−ブチルテトラデシルホスホニウム塩、ス
ルホテレフタル酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホスホ
ニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン
酸トリ−n−ブチルドデシルホスホニウム塩、4−スル
ホナフタレン−2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチル
テトラデシルホスホニウム塩、4−スルホナフタレン−
2,7−ジカルボン酸トリ−n−ブチルヘキサデシルホ
スホニウム塩及びそれらの塩化物、臭化物、アミド化合
物などを挙げることができる。また、アジピン酸、セバ
シン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサメチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン、ノナメチレンジアミ
ン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ンなどの脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パ
ラフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラ
キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、6−アミノ
カプロン酸、ω−アミノドデカン酸、グリシン、アラニ
ンなどのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラ
クタムなどのラクタムなどのホスホニウムスルホネート
化物を挙げることができる。
【0023】上記のホスホニウムスルホネート基を有す
るモノマーは1種又は2種以上を併用することができ
る。本発明で用いるポリアミド系樹脂としては、上記の
ホスホニウムスルホネート基を有するモノマーの1種又
は2種以上と、それらと結合可能で前述の様なポリアミ
ド系樹脂、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン6・66共重合体などの脂肪族ポリアミド系樹脂、
ヘキサメチレンテレフタルアミド単位、ヘキサメチレン
イソフタルアミド単位、ヘキサメチレンアジパミド単位
などから構成される芳香族環含有ポリアミド系樹脂など
を形成することができるアミド結合形成性官能基を持つ
モノマー、とのコポリマーを挙げることができる。脂肪
族ポリアミド系樹脂を形成するモノマーとしては、例え
ば、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ε−
エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリド
ン、α−ピペリドンなど、ヘキサメチレンジアミン、ノ
ナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデ
カメチレンジアミンなどのジアミンとアジピン酸、セバ
シン酸などのジカルボン酸の組み合わせなどを挙げるこ
とができ、芳香族ポリアミド系樹脂を形成するモノマー
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、メタキシリレンジアミンなどを挙
げることができる。
【0024】ホスホニウムスルホネート基を有するモノ
マーとこれらと共重合可能なアミド結合形成性官能基を
持つモノマーとのコポリマー中におけるホスホニウムス
ルホネート基を有するモノマーの割合は通常0.1〜9
9モル%、好ましくは1〜50モル%であるのが望まし
い。また、この共重合体における各構造単位の重合形態
は様々であり、ランダム、ブロック、グラフトのいずれ
でもよい。なお、共重合体の重合度は特に限定する必要
はないが、成形体としてそれ単独で用いる場合、40〜
1000の範囲であることが好ましい。
【0025】また、本発明において用いる前記の抗菌性
樹脂は、必要に応じて他のポリアミド系樹脂と混合して
用いることもできる。この場合には、ホスホニウムスル
ホネート基を有するモノマーの割合が全体の0.5重量
%を下回らないようにすることが抗菌性能の点で望まし
い。
【0026】本発明において用いる抗菌性樹脂には、必
要に応じて本発明の効果を著しく損なわない範囲で、少
量の混和可能な他の樹脂や添加剤あるいは着色剤、例え
ば、ポリエステル、ポリスチレンなどの樹脂や酸化防止
剤、金属石鹸や脂肪酸アミドなどに代表される中和剤、
滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、蛍光増白剤などの添加剤あるいは有機系
顔料、無機系顔料などの着色剤を直接又は樹脂などとの
マスターバッチとして添加することもできる。
【0027】充填剤としては、カーボンブラック、酸化
マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カ
ルシウム、酸化チタン、酸化クロム(III)、酸化鉄、
酸化亜鉛、シリカ、珪藻土、アルミナ繊維、酸化アンチ
モン、バリウムフェライト、ストロンチムフェライト、
酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーンなどの酸化物、水
酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マ
グネシウムなどの塩基性物又は水酸化物;炭酸マグネシ
ウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウ
ム、亜硫酸カルシウム、ドロマイト、ドーソナイトなど
の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモ
ニウム、亜硫酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウムな
どの(亜)硫酸塩;珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウ
ム、珪酸アルミニウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウ
ム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊
維、モンモリロライト、ガラスバルーン、ガラスビー
ズ、ベントナイトなどの珪酸塩;カオリン(陶土)、パ
ーライト、鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、硫化モ
リブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、チ
タン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硼酸亜鉛、硼
酸アルミニウム、メタ硼酸バリウム、硼酸カルシウム、
硼酸ナトリウムなどを挙げることができる。特に、耐光
劣化を向上させ、かつ光の遮蔽効果を得るにはカーボン
ブラックを用いるのが好適である。
【0028】特に、本発明で用いる抗菌性樹脂には、形
成したフィルムの滑り性、耐摩耗性、耐ブロッキング
性、隠蔽性などの物理的特性の向上を目的として、炭酸
カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaS
4)、フッ化カルシウム(CaF2)、タルク、カオリ
ン、酸化ケイ素(SiO2)、アルミナ(Al23)、
二酸化チタン、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化鉄
(Fe23)、アルミナ/シリカ複合酸化物などの無機
粒子、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸エステ
ル、架橋ポリアクリル酸エステルなどの有機粒子などを
添加することも可能である。
【0029】これらの平均粒径は目的に応じて定めるの
で、特に限定はしないが、一般的には平均粒径が0.0
1〜10μmであることが好ましく、その添加量は50
重量%以下が好ましい。
【0030】上記の粒子を含有させる方法の例として
は、本発明で用いる抗菌性樹脂の重合工程において任意
の段階で添加することができる。この場合、粒子を水若
しくはアルコールなどの有機溶剤又はそれらの混合溶媒
中に分散させて、ポリマー重合系に添加することが好ま
しい。
【0031】また、本発明で用いる抗菌性樹脂に上記の
粒子を含有させる方法の他の例としては、本発明で用い
る抗菌性樹脂と上記の粒子を溶融状態で混練りする方
法、本発明で用いる抗菌性樹脂を溶媒中に溶解又は分散
させた状態で、上記粒子を混合する方法などがある。
【0032】本発明による抗菌性樹脂フィルムの用途と
しては、包装用途以外にも、抗菌及び防かび性を必要と
し、かつポリアミド系樹脂からなるフィルムが利用され
る種々の分野で有効である。具体的な用途としては、例
えば、弱電関係では、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、扇風
機、空調機、電気ポット、VTR、テレビ、テープレコ
ーダー、OA機器など、車両関係の内外装、電話機、雑
貨関係では住宅部品、各種容器、スポーツ用品、日用
品、建材、光学機器、文具及び台所用品などがある。
【0033】本発明の抗菌性樹脂フィルムは、その機械
的性能が長期にわたって低下せず、更に耐久性に優れた
抗菌性を兼ねそろえている。
【0034】本発明で用いる抗菌成分であるホスホニウ
ム塩は、従来の抗菌成分である四級アンモニウム塩に比
べて強力な抗菌作用を有し、以下の作用が考えられる。
(1)ホスホニウム塩は、カチオン性であるため、負電
荷を帯びた細胞膜近傍の電荷の偏在化を引き起こし、細
胞膜に損傷を与える。また、ポリマーの構造単位とされ
ているためホスホニウム塩濃度が高まり抗菌効果を向上
させる。(2)薬理学的にはホスホニウム塩は細胞膜透
過性の抗菌剤ではないので、ポリマーに固定化すること
によって抗菌性が失われることがない。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。本明細
書中で示した各特性の評価方法は以下の通りである。
【0036】(抗菌性試験) 1.菌数 1/50ブロースで希釈した黄色ブドウ球菌の菌液(濃
度:106個/cc)の0.1ccを予め加熱殺菌した
5cm×5cmの大きさの試料フィルム上に滴下し、そ
のフィルムに加熱滅菌したサランラップフィルムを密着
させた。その試験片を滅菌シャーレに移し、37℃で2
4時間培養した。それからフィルム上の菌をSCDLP
培地10ccで洗い出し、10倍希釈し、普通寒天平板
にまいた後24時間後に菌数を計測した。
【0037】2.静菌活性値 抗菌性は以下の式による静菌活性値で評価した。静菌活
性値が2.0以上の場合、抗菌性が良好であると判断し
た。 静菌活性値=1ogA−1ogB A:抗菌層を有しない対照ナイロン6フィルム(東洋紡
績社製/商品名:N1100)における24時間培養後
に計測した菌数 B:抗菌性フィルムにおける24時間培養後に計測した
菌数
【0038】3.耐熱水性 耐熱水性は10cm×10cmの大きさの試料を95℃
±2℃にコントロールした蒸留水1リットル中に2時間
浸漬後取り出し、塗膜外観の変化を評価した。 ○:外観変化なし △:わずかに白化が認められる ×:著しい白化が認められる
【0039】(実施例1)スルホイソフタル酸トリ−n
−ブチルドデシルホスホニウム塩18.5重量部、テレ
フタル酸11.6重量部、ヘキサメチレンジアミン1
1.6重量部、水300重量部を反応容器に入れ、撹拌
しながら80℃で60分加熱した。この反応物に更にε
−カプロラクタム328重量部を加えて撹拌、混合、縮
重合した。上記反応物をベント付き二軸混練押出機で、
シリンダー温度250℃の条件で溶融混練りし、押出機
ノズルからストランド状に取り出したポリアミド系樹脂
を水冷し、カッティングしポリアミド系樹脂のペレット
を得た。続いて、このポリアミド系樹脂ペレットを押出
機でシリンダー温度250℃で溶融し、コートハンガー
ダイでフィルム状に押出し、50℃のキャスティンクロ
ール上で冷却し未延伸フィルムを得た。次いで、この未
延伸フィルムを80℃で4倍×4倍に延伸して二軸延伸
フィルムを得た。得られたフィルムの抗菌性試験を行
い、得られた特性値を表1に示した。
【0040】(実施例2)実施例1で得られたポリアミ
ド系樹脂とメタキシリレンジアミンとアジピン酸の重縮
合により得られた芳香族ポリアミド系樹脂とを重量混合
比で80/20で溶融混合し、実施例1と同様に二軸延
伸フィルムを得た。得られたフィルムの抗菌性試験を行
い、得られた特性値を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明の抗菌性樹脂フィルムは、フィル
ムを形成するポリアミド系樹脂中に抗菌成分を有するモ
ノマーが共重合により固定されているので、抗菌成分が
溶出することがなく優れた抗菌性能と抗菌性の持続性を
示すことができ、かつ、実用上の十分な耐久性と無機系
抗菌剤では達成できない優れた透明性と外観を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小長谷 重次 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA54 AA55 AA56 AB03 AB18 AB21 AB24 AB26 AB27 AD01 AH03 AH04 AH12 BA01 BB02 BB06 BC01 BC17

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −CONH−結合を主繰り返し単位とし
    て有するポリアミド系樹脂からなるフィルムにおいて、
    ポリアミド系樹脂が下記一般式(1)で表されるホスホ
    ニウムスルホネート基を有する抗菌性モノマー単位を構
    造単位の一部とすることを特徴とする抗菌性樹脂フィル
    ム。 【化1】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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