JP2001055444A - ケイ素ポリマーの製造方法 - Google Patents

ケイ素ポリマーの製造方法

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JP2001055444A
JP2001055444A JP11232229A JP23222999A JP2001055444A JP 2001055444 A JP2001055444 A JP 2001055444A JP 11232229 A JP11232229 A JP 11232229A JP 23222999 A JP23222999 A JP 23222999A JP 2001055444 A JP2001055444 A JP 2001055444A
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Yasuo Matsuki
安生 松木
Satoshi Ehata
敏 江幡
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G77/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G77/60Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule in which all the silicon atoms are connected by linkages other than oxygen atoms

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機溶媒溶液から均一な塗膜を形
成でき、塗膜とした後加熱等によりシリコンに変換可能
な、有機溶媒可溶性のシリコンポリマーの製造方法を提
供する。 【解決手段】 (1)テトラハロゲン化ケイ素と
下記式 RQXn ここで、Rは1価の有機基であり、Qはシリコン原子ま
たはマグネシウム原子であり、Xはハロゲン原子であり
そしてnは、Qがシリコン原子のときは3であり、マグ
ネシウム原子のときは1である、で表される化合物と金
属リチウムおよび/または金属マグネシウムを反応さ
せ、次いで(2)工程(1)で得られた反応生成物をM
gH2で還元する、ことを特徴とするケイ素ポリマーの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なケイ素ポリ
マーの製造方法に関する。さらに詳しくは、LSI、薄
膜トランジスタ、光電変換装置および感光体等で使用さ
れるシリコン半導体材料の前駆体としての塗布可能なケ
イ素ポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アモルファスシリコン膜やポリシ
リコン膜の形成方法としては、モノシランガスやジシラ
ンガスの熱CVD(Chemical Vapor D
eposition)法やプラズマCVD、光CVD等
が利用されている。一般的にはポリシリコンの形成には
熱CVD(J.Vac.Sci.Technolog
y.,14巻1082頁(1977年)参照)が、また
アモルファスシリコンの形成にはプラズマCVD(So
lid State Com.,17巻1193頁(1
975年)参照)が広く用いられており、薄膜トランジ
スターを有する液晶表示素子、太陽電池などの製造に利
用されている。
【0003】しかしこれらのCVD法によるシリコン膜
の形成においては、プロセス面では以下の点で更なる改
良が待たれていた。気相反応を用いるため気相でシリ
コンの粒子が発生するため装置の汚染や異物の発生によ
る生産歩留まりが低い。原料がガス状であるため、表
面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにく
い。膜の形成速度が遅いため生産性が低い。プラズ
マCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真
空装置などが必要である。
【0004】また、材料面では毒性、反応性の高いガス
状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるの
みでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要で
ある。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体
が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大の
エネルギーを消費するため製品のコスト高に繋がってい
る。
【0005】これに対して真空系を使わずに液体状の水
素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。特開平1
−29661号公報にはガス状の原料を冷却した基板上
に液体化して吸着させ、化学的に活性名原子状の水素と
反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開示され
ているが、以下のような問題点がある。原料の水素化
ケイ素を気化と冷却を続けて行うため複雑な装置が必要
になるのみでなく、膜厚の制御が困難である。
【0006】特開平7−267621号公報には、低分
子量の液体状の水素化ケイ素を基板に塗布する方法が開
示されている。この方法は系が不安定なために取り扱い
に難点があるとともに、液体状であるため、大面積基板
に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難である。さら
に水素化ケイ素物は酸素と反応し易く取り扱いが困難で
あった。
【0007】また、特開平11−14841号公報に
は、溶媒不溶のシリコンクラスターを溶媒可溶性にする
ために有機基で修飾したオルガノシリコンクラスターを
用いる方法が開示されている。しかしながら、オルガノ
シリコンクラスターの高分子量体を得るのが困難である
ため低分子量体を使用せざるを得ないが、分子量が低い
ために均一の塗膜を形成するのが困難であった。また、
このようなオルガノシリコンクラスターの製造において
はハロゲン化ケイ素を原料に用いるためクラスターの末
端部に未反応のハロゲンが残留する。そのため、この部
分が加水分解を受け酸素原子を取り込み易いため半導体
用途の高純度のシリコンへ誘導することが困難であり、
通常のシリコン半導体に比べて電気特性が劣り易い。さ
らにリン原子、ホウ素原子などをドーピングする適当な
ドーピング法が確立されていないなどの解決すべき問題
があった。
【0008】一方、固体状の水素化ケイ素ポリマーの合
成例が英国特許公開公報第2077710Aに報告され
ている。この方法では、ハロゲン化水素化ケイ素化合物
をリチウムと反応させて合成しているが、得られた水素
化ポリシランは溶媒に不溶なためコーティングによって
膜を形成することができない。
【0009】このようなシリコン膜を形成するための前
駆体であるケイ素ポリマーは、一般にそれぞれの構造単
位を有するモノマ−を原料として、例えば、以下の方法
により製造することができる。(a)ハロゲン原子に対
して当量のアルカリ金属の存在下にハロシラン類を脱ハ
ロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、
J.Am.Chem.Soc.,110,124(19
88)、Macromolecules,23,342
3(1990));(b)電極還元によりハロシラン類
を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1161(199
0)、J.Chem.Soc.,Chem.Commu
n.,897(1992));(c)金属触媒の存在下
にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4
−334551号公報):(d)ビフェニルなどで架橋
されたジシレンのアニオン重合による方法(Macro
molecules,23,4494(1990))。
(e)フェニル基やアルキル基で置換された環状ケイ素
化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例え
ば、Z.anorg.allg.Chem.,459,
123−130(1979)など)によりヒドロ置換体
やハロゲン置換体などに誘導することもできる。これら
のハロゲン化シクロシラン化合物は公知の方法(例え
ば、Mh.Chem.第106巻、503頁、1975
年参照)、(Z.Anorg.Allg.Chem.第
621巻、1517頁、1995年参照)、(J.Ch
em.Soc.,Chem.Commun.,777,
1984年参照)で合成することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な有機溶媒可溶性のケイ素ポリマーの製造方法を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、有機溶媒溶液とし
て基体に塗布することができ、それによって十分に均一
な塗膜を与えることができるケイ素ポリマーの製造方法
を提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的は、酸素原子をほ
とんど含有せず、従って高純度シリコンへ誘導可能なケ
イ素ポリマーの製造方法を提供することにある。本発明
のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らか
になろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、実質的に下記組成式 SiHxRy ここで、Rは1価の有機基であり、xは0.01〜3の
数でありそしてyは0.01〜3の数である、但しx+
y≦4である、で表されそしてポリスチレン換算重量平
均分子量が少なくとも2000であることを特徴とする
ケイ素ポリマーの製造方法であって、 (1)テトラハロゲン化ケイ素と下記式 RQXn ここで、Rは1価の有機基であり、Qはシリコン原子ま
たはマグネシウム原子であり、Xはハロゲン原子であり
そしてnは、Qがシリコン原子のときは3であり、マグ
ネシウム原子のときは1である、で表される化合物と金
属リチウムおよび/または金属マグネシウムを反応さ
せ、次いで(2)工程(1)で得られた反応生成物をM
gH2で還元する、ことを特徴とする請求項1に記載の
ケイ素ポリマーの製造方法によって達成される。
【0013】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーは、有機溶媒に可溶性であるため有機溶媒溶液
として基体への塗布性が良好でケイ素ポリマー膜を形成
できる。またこのケイ素ポリマー膜は熱および/または
光で分解させることにより容易にシリコン膜へ変換され
ることも究明された。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
製造方法によって得られるケイ素ポリマーは、実質的
に、組成式:SiHxRyで表されるものである。Rは
1価の有機基である。その具体例としては、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基などの炭素数1〜10
の直鎖状または分岐鎖状脂肪族基;シクロアルキル基、
シクロアルケニル基、ビシクロアルキル基などの炭素数
が3〜20脂環式基;炭素数が6〜20のアリール基;
および炭素数が6〜20のアラルキル基を挙げることが
できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などが挙げ
られる。アルケニル基としては、例えばプロペニル基、
3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基
を挙げることができる。アルキニル基としては、例えば
プロパルギル基、3−メチルプロパルギル基、3−エチ
ルプロパルギル基などを挙げることができる。シクロア
ルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブ
チル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−ノ
ルボルニル基などを挙げることができる。アリール基と
しては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、α
−ナフチル基、β−ナフチル基、α−チオフェン基、β
−チオフェン基などを挙げることができる。アラルキル
基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニ
ルプロピル基、フェニルブチル基などを挙げることがで
きる。これらの置換基としては、生成するケイ素ポリマ
ーの安定性、さらに熱および/または光で分解するとき
の易分解性の点でt−ブチル基、ヘキシル基、フェネチ
ル基、2−ノルボルニル基が好ましい。
【0015】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーのケイ素原子は部分的に1価の有機基Rと結合
し、部分的に水素原子Hと結合し、部分的にケイ素原子
と結合したものであり、実質的に、組成式:SiHxR
yで表すことができる。xはケイ素原子に結合した水素
原子の数であり、ケイ素の1原子あたりのxの範囲とし
ては0.01〜3であり、好ましくは0.05〜2であ
り、さらに好ましくは0.07〜1.5である。xが0.
01より小さい場合には、得られたケイ素ポリマーの有
機溶媒に対する溶解性が劣り、xが3を超える場合に
は、安定性が悪くなる傾向がある。yはケイ素原子に結
合した1価の有機基の数であり、ケイ素の1原子あたり
のyの範囲としては0.01〜3であり、好ましくは0.
05〜2であり、さらに好ましくは0.1〜1.5であ
る。yが0.01より小さい場合には、得られたケイ素
ポリマーの有機溶媒に対する溶解性が劣り、xが3を超
える場合には、塗布性が悪くなるとともに分解して得ら
れるシリコン膜の膜質が低下する傾向が見られるように
なる。但し、x+y≦4である。
【0016】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーは、ポリスチレン換算重量平均分子量が少なく
とも2000のものである。ポリスチレン換算重量平均
分子量が2000未満の場合にはケイ素ポリマー溶液の
塗布性が悪いのみならず、膜の強度が不十分でクラック
などの膜異常が発生し易くなる。本発明のケイ素ポリマ
ーのポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは
2,000以上150,000未満である。ポリスチレン
換算重量平均分子量が150,000を超えると溶解性
が悪くなるとともに溶液の濾過性が急激に悪化するよう
になる。本発明のケイ素ポリマーのポリスチレン換算重
量平均分子量は、さらに好ましくは5,000〜100,
000である。
【0017】さらに本発明の製造方法によって得られる
ケイ素ポリマーはラマン活性のケイ素―ケイ素結合を有
し、ラマン散乱スペクトルにおいて、350cm-1〜5
50cm-1の散乱光を有するものが好ましい。
【0018】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーを成膜する場合は、通常溶媒に溶解して塗布法
によりケイ素ポリマーの膜に形成することができる。本
発明の製造方法によって得られるケイ素ポリマーは、炭
化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステ
ル系溶媒を用いて溶液にすることもできる。炭化水素系
溶媒の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、
シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカ
ン、ジシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、
デカヒドロナフタレン、スクワランなどを挙げることが
できる。また、ケトン系溶媒としては、例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピル
ケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メ
チルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノ
ン、シクロヘプタノンを例示することができる。エーテ
ル系溶媒溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジ−
n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジ
ブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソー
ル、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレング
リコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチル
エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
ジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエ
ーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロ
ピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコ
ールジブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを
挙げることができる。さらにエステル系溶媒としては、
例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソアミル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソル
ブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピ
ル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、酢酸プロピレングリ
コールメチルエーテルを例示することができる。これら
の有機溶媒は単独で、あるいは2種以上を混合して用い
ることもできる。本発明の製造方法によって得られるケ
イ素ポリマーは、溶媒可溶性であり、前記溶媒に溶かし
て塗布することができる。目的に応じて適宜濃度を調節
することができ、溶液の濃度は、好ましくは0.05〜
30重量%である。
【0019】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマー溶液の塗布方法としてはスピンコート法、ロー
ルコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ス
プレー法、インクジェット法等の方法を用いることがで
きる。また塗布する場合の雰囲気は、窒素、ヘリウム、
アルゴンなどの不活性ガス中で行なうことが好ましい。
さらに必要に応じて水素などの還元性ガスを混入した雰
囲気で行うことができる。スピンコート法を用いる場合
のスピナーの回転数は形成する薄膜の厚み、塗布溶液組
成により決まるが100〜5000rpm、より好まし
くは300〜3000rpmが用いられる。塗布した後
は溶媒を除去するために加熱処理を行う。加熱する温度
は使用する溶媒の種類、沸点により異なるが、好ましく
は100℃〜200℃である。雰囲気は上記塗布工程と
同じ窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス中で行
なうことが好ましい。
【0020】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーの塗膜は熱処理および/または光照射処理によ
ってシリコン膜に変換することができる。かくして得ら
れるシリコン膜はアモルファス状あるいは多結晶状であ
るが、熱処理の場合には、置換基Rの種類により異なる
が、一般に到達温度が700℃以下の温度ではアモルフ
ァス状、それを超える温度では多結晶状のシリコン膜が
得られる。アモルファス状のシリコン膜を得たい場合
は、好ましくは300℃〜600℃、より好ましくは3
50℃〜500℃が用いられる。到達温度が300℃未
満の場合は、ケイ素ポリマーの有機基の熱分解が十分に
進行せず、十分な厚さのシリコン膜を形成できない場合
がある。上記熱処理を行う場合の雰囲気は窒素、ヘリウ
ム、アルゴンなどの不活性ガスもしくは水素などの還元
性ガスを混入したものも使用できる。
【0021】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマーを熱処理および/または光照射処理によってシ
リコン膜に変換させるにあたり、ケイ素原子は酸素と反
応してケイ素―酸素結合を形成しやすいため、変換前の
ケイ素ポリマーは不純物としての酸素原子を含有しない
ことが好ましく、酸素原子はケイ素1原子あたり0.0
1原子未満でしか含有しないものが好ましい。ケイ素ポ
リマーが0.01原子より多く酸素原子を含む場合に
は、これをシリコン膜に変換したときに良質のものが得
られにくい。
【0022】前記の光処理に使用する光の光源として
は、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプある
いはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電
光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガス
レーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、Kr
Cl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを
光源として使用することができる。これらの光源には、
10〜5000Wの出力のものを用いられる。通常10
0〜1000Wで十分である。これらの光源の波長はケ
イ素ポリマーが多少でも吸収するものであれば特に限定
されない。光源の波長は、好ましくは170nm〜60
0nmである。またシリコン膜への変換効率の点でレー
ザー光の使用が特に好ましい。これらの光処理時の温度
は通常室温〜500℃であり、得られるシリコン膜の半
導体特性に応じて適宜選ぶことができる。特に多結晶状
のシリコン膜を得たい場合は、上記で得られたアモルフ
ァス状シリコン膜に上記光を照射して多結晶シリコン膜
に変換することもできる。
【0023】本発明の製造方法によって得られるケイ素
ポリマー溶液には、本発明の目的や機能を損なわない範
囲で必要に応じてフッ素系、シリコーン系、ノニオン系
などの表面張力調節材を微量添加することができる。か
くして調製したケイ素化合物溶液の粘度は通常1〜50
0mPa・sの範囲にある。しかしながら、粘度は塗布
装置や目的の塗布膜厚に応じて適宜選択することができ
る。
【0024】本発明で得られたケイ素ポリマー溶液を塗
布する基板は特に限定されない。例えば石英、ホウ珪酸
ガラス、ソーダガラスなどのガラス基板、金、銀、銅、
ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステンなどの
金属基板、さらにこれらの金属を表面に有するガラス、
プラスチック基板などを使用することができる。
【0025】本発明の製造方法は、上記の如く、先ず
(1)テトラハロゲン化ケイ素、下記式 RQXn ここで、Rは1価の有機基であり、Qはシリコン原子ま
たはマグネシウム原子であり、Xはハロゲン原子であり
そしてnは、Qがシリコン原子のときは3であり、マグ
ネシウム原子のときは1である、で表される化合物、並
びに金属リチウムおよび/または金属マグネシウムと反
応させる工程、次いで(2)工程(1)で得られた反応
生成物をMgH2で還元する工程からなる。
【0026】上記式においてRの一価の有機基は本発明
で得られるケイ素ポリマーの組成式におけるRと同じで
ある。Xのハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩
素、臭素、沃素を好ましいものとして挙げることができ
る。式RQXnで表される化合物としては、目的のケイ
素ポリマーのRに対応するRQXnを適宜に使用するこ
とができる。本発明における、式RQXnで表される化
合物のうち、入手しやすい化合物としては、メチルトリ
クロルシラン、エチルトリクロルシラン、n−プロピル
トリクロルシラン、イソプロピルトリクロルシラン、n
−ブチルトリクロルシラン、t−ブチルトリクロルシラ
ン、シクロヘキシルトリクロルシラン、フェネチルトリ
クロルシラン、2−ノルボルニルトリクロルシラン、フ
ェニルトリクロルシラン、メチルトリブロモシラン、エ
チルトリブロモシラン、n−プロピルトリブロモシラ
ン、イソプロピルトリブロモシラン、n−ブチルトリブ
ロモシラン、t−ブチルトリブロモシラン、シクロヘキ
シルトリブロモシラン、フェネチルトリブロモシラン、
2−ノルボルニルトリブロモシラン、フェニルトリブロ
モシラン、メチルトリヨードシラン、エチルトリヨード
シラン、n−プロピルトリヨードシラン、イソプロピル
トリヨードシラン、n−ブチルトリヨードシラン、t−
ブチルトリヨードシラン、シクロヘキシルトリヨードシ
ラン、フェネチルトリヨードシラン、2−ノルボルニル
トリヨードシラン、フェニルトリヨードシランなどのケ
イ素化合物、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグ
ネシウムクロリド、n−プロピルマグネシウムクロリ
ド、イソプロピルマグネシウムクロリド、n−ブチルマ
グネシウムクロリド、t−ブチルマグネシウムクロリ
ド、テキシルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマ
グネシウムクロリド、フェネチルマグネシウムクロリ
ド、2−ノルボルニルマグネシウムクロリド、フェニル
マグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、
エチルマグネシウムブロミド、n−プロピルマグネシウ
ムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−
ブチルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウム
ブロミド、テキシルマグネシウムブロミド、シクロヘキ
シルマグネシウムブロミド、フェネチルマグネシウムブ
ロミド、2−ノルボルニルマグネシウムブロミド、フェ
ニルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムアイオ
ダイド、エチルマグネシウムアイオダイド、n−プロピ
ルマグネシウムアイオダイド、イソプロピルマグネシウ
ムアイオダイド、n−ブチルマグネシウムアイオダイ
ド、t−ブチルマグネシウムアイオダイド、テキシルマ
グネシウムアイオダイド、シクロヘキシルマグネシウム
アイオダイド、フェネチルマグネシウムアイオダイド、
2−ノルボルニルマグネシウムアイオダイド、フェニル
マグネシウムアイオダイドなどの有機マグネシウム化合
物を挙げることができる。得られるケイ素ポリマーの安
定性および熱および/または光による有機基の脱離性の
点でt−ブチル基、ヘキシル基、フェネチル基、2−ノ
ルボルニル基を有する上記化合物が好ましい。これらの
化合物は1種単独でも使用できるし、2個以上を混合し
て使用することもできる。
【0027】本発明の製造方法の工程(1)では、テト
ラハロゲン化シラン、RQXnで表される化合物並びに
リチウムおよび/またはマグネシウム金属とを反応させ
ることにより、分子の末端にR基および/またはハロゲ
ン基を有するケイ素ポリマーを得ることができる。テト
ラハロゲン化シランと化合物RQXnの使用割合は、好
ましくはテトラハロゲン化シラン/RQXn=0.01〜
100(モル/モル)であり、より好ましくは0.1〜
10であり、特に好ましくは0.5〜5である。この比
が0.01未満の場合は、得られるケイ素ポリマーの分
子量が小さくなり成膜性が悪くなる。また、この比が1
00を超える場合には、溶媒可溶性のケイ素ポリマーの
生成収率が低下する。また、これらと反応させるリチウ
ムおよび/またはマグネシウム金属は、テトラハロゲン
化シランと化合物RQXnから還元的にハロゲン原子を
脱離させハロゲン化リチウムおよび/またはハロゲン化
マグネシウムにさせるために使用するもので、その使用
量は好ましくはテトラハロゲン化シランと化合物RQX
nのハロゲン原子の総量と当量である。
【0028】また、本工程(1)の反応では必要に応じ
て外部から超音波を照射することにより反応を促進する
ことができる。ここで使用される超音波の振動数として
は10〜70KHz程度のものが望ましい。
【0029】本発明のケイ素ポリマーの製造において、
工程(1)で使用する溶媒としてはエーテル系溶媒を好
ましいものとして使用することができる。通常のKip
ping反応で使用する炭化水素系溶媒では目的とする
可溶性ポリシランオリゴマーの収率が低くなり易い。エ
ーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジ−
n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジ
ブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソー
ル、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレング
リコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチル
エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
ジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエ
ーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロ
ピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコ
ールジブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを
挙げることができる。これらのうち、式RQXnの化合
物の溶解性の点から、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレ
ングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエー
テルなどが好ましい。
【0030】これらのエーテル系溶媒は水分を予め除去
しておくことが望ましい。水分の除去法としては、ナト
リウム−ベンゾフェノンケチルの存在下での脱気蒸留法
など適宜の方法を採ることができる。これらの溶媒の使
用量は特に限定されないが、上記テトラハロゲン化ケイ
素1重量部に対して好ましくは1〜20重量部であり、
より好ましくは3〜10重量部である。
【0031】工程(1)の反応の温度は、好ましくは−
78℃〜+100℃である。反応温度が−78℃未満で
は反応速度が遅く生産性が上がらず、また反応温度が+
100℃を越える場合には、反応が複雑になり得られる
ケイ素ポリマーの溶解性が低下し易くなる。
【0032】本発明のケイ素ポリマーの製造方法におい
ては、上記工程(1)で得られた分子末端に未反応の加
水分解性ハロゲン原子を有するケイ素ポリマーを、工程
(2)ではMgH2で還元することによりこの加水分解
性ハロゲン原子を安定な水素原子に置換処理する。Mg
2の使用量は残留するハロゲン原子に対して少なくと
も当量であり、好ましくは1.0〜4.0倍当量必要であ
る。また、工程(2)で使用する溶媒としてはMgH2
と反応しない溶媒であれば特に限定されないが、通常エ
ーテル系溶媒が好ましく、工程(1)で例示したエーテ
ル系溶媒と同じものを使用することができる。これらは
単独であるいは2種以上を混合して使用することができ
る。
【0033】工程(2)の反応温度は、好ましくは−7
8℃〜+60℃である。−78℃未満では反応が遅く生
産性が上がらず、また+60℃を越える場合には反応生
成物の溶解性が下がり、ケイ素ポリマーの生成収率が下
がり易い。工程(1)および工程(2)とも反応は通
常、アルゴンや窒素などの不活性ガス中で行うことが好
ましい。
【0034】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0035】実施例1 温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置
を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴ
ンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1L
とマグネシウム金属60gを仕込み、アルゴンガスでバ
ブリングした。これにt−ブチルマグネシウムクロリド
のテトラヒドロフラン溶液1000ml(1.0モル)
を加え、20℃で攪拌しながらとテトラクロルシラン1
70gを滴下ロートよりゆっくり添加した。はじめの2
0gの添加で反応系は還流が始まり、系は褐色に着色し
た。さらに外部からの加熱することなく還流が持続する
ように残りのテトラクロルシラン混合物をゆっくり滴下
した。滴下終了後、室温下でさらに3時間攪拌を続け
た。この工程(1)で得られた黒褐色の反応混合物を、
MgH28gを乾燥したテトラヒドロフラン300ml
に懸濁させた溶液に加え、加熱還流下で4時間反応させ
た。次に、この工程(2)での反応混合物を15Lの氷
水に注ぎ、生成ポリマーを沈殿させた。生成ポリマーを
水で良く洗浄し真空乾燥することにより褐色の固体のポ
リマー70gを得た。このポリマーのGPCによるポリ
スチレン換算重量平均分子量は21,000であり、分
子量分布を示す分散度(重量平均分子量/数平均分子
量)は3.2であった。また、IRスペクトル、1H−N
MRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルよりt−
ブチル基の存在が確認された。この有機シリコンポリマ
ーのラマン散乱スペクトルには、506cm-1に強いラ
マン散乱光が観察された。このケイ素ポリマーを元素分
析したところ、SiH2.20.8であり酸素原子は検出さ
れなかった。このケイ素ポリマーの組成式は上記スペク
トルの解析結果からSiH0.4t−Bu0.2であった。さ
らにこのポリマーをトルエンに溶解した溶液を石英基板
上にスピンコートして膜厚1.2ミクロンのケイ素ポリ
マーの膜を形成した。この塗布基板をアルゴン雰囲気中
で600℃に加熱するとt−ブチル基が熱により除去さ
れ、基板上にはシリコンの膜が残留した。このシリコン
膜のラマン散乱スペクトルを図1に示す。このスペクト
ルから、100%アモルファス状態であることがわか
る。このアモルファス状態のシリコンにXeClエキシ
マレーザー(波長が308nm)を照射したところ、シ
リコンが多結晶化して結晶化率が70%となった。多結
晶化したシリコン膜をESCAスペクトルにてケイ素原
子の2P軌道エネルギーを測定すると99.0eVであ
ることがわかりシリコンであることが判った。また、上
記ポリシランの熱分解において、熱分解挙動を熱分解G
C/MSを測定したところ、分解物としてイソブチレン
が検出された。
【0036】実施例2 上記実施例1で使用したテトラクロルシラン170gに
代え、テトラブロモシラン348gを使用し、他は実施
例1と同様にして、ケイ素ポリマー63gを得た。この
ケイ素ポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量平
均分子量は28,000であった。また、分子量分布を
示す分散度は3.8であった。このケイ素ポリマーのI
Rスペクトル、1H−NMRスペクトルおよび13C−N
MRスペクトルは実施例1で得られたケイ素ポリマーの
それらと実質的に同一であった。このケイ素ポリマーを
元素分析したところ、SiH2.81.0であり酸素原子は
検出されなかった。このケイ素ポリマーの組成式は上記
スペクトルの解析結果からSiH0.55t−Bu0.25であ
った。
【0037】実施例3 上記実施例1で使用したt−ブチルマグネシウムクロリ
ドに代え、t−ブチルトリクロルシラン192gを使用
し、マグネシウム金属を85g使用して、他は実施例1
と同様にして、ケイ素ポリマー89gを得た。このケイ
素ポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量平均分
子量は12,000であった。分子量分布を示す分散度
は3.4であった。このケイ素ポリマーのIRスペクト
ル、1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペク
トルは実施例1で得られたケイ素ポリマーのそれらと実
質的に同一であった。このケイ素ポリマーを元素分析し
たところ、SiH4.21.2であり酸素原子は検出されな
かった。このケイ素ポリマーの組成式は上記スペクトル
の解析結果からSiH1.5t−Bu0.3であった。
【0038】実施例4 上記実施例3で使用したマグネシウムに代え、リチウム
49gを使用し、反応温度を0℃とした。他の工程は実
施例1と同様にして、ケイ素ポリマー82gを得た。こ
のケイ素ポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量
平均分子量は6000であった。分子量分布を示す分散
度は3.2であった。このケイ素ポリマーのIRスペク
トル、1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペ
クトルは実施例1で得られたケイ素ポリマーそれらと実
質的に同一であった。このケイ素ポリマーを元素分析し
たところ、SiH2.00.8であり酸素原子は検出されな
かった。このケイ素ポリマーの組成式は上記スペクトル
の解析結果からSiH0.2t−Bu0.2であった。
【0039】実施例5 実施例1で得られたケイ素ポリマー5gをトルエン95
gに溶かした透明褐色の溶液を調製した。この溶液の粘
度は15mPa・sであった。この溶液を40℃で1週
間保存した溶液について観察したところ、外見上何の変
化を観察されず、再度測定した粘度も15mPa・sと
変化は観察されなかった。
【0040】実施例6 実施例3で得られたケイ素ポリマー5gをシクロヘキサ
ノン95gに溶解してケイ素ポリマー溶液を調製した。
この溶液を石英基板にスピンコートした後、クリーンオ
ーブン中、100℃、30分間加熱処理を行い乾燥させ
た。このケイ素ポリマー膜にアルゴン雰囲気下でXeC
lエキシマレーザー(308nm)を500mJ/cm
2照射した。照射した部分の膜をESCAスペクトルに
てケイ素原子の2P軌道エネルギーを測定すると99.
0eVであることがわかった。このことから、ケイ素ポ
リマーに直接XeClエキシマレーザーを照射すること
によりケイ素ポリマー膜はシリコン膜に変換されること
が判った。
【0041】比較例1 温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置
を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴ
ンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン2L
とマグネシウム金属36gを仕込み、アルゴンガスでバ
ブリングした。これを20℃で攪拌しながらt−ブチル
トリクロルシラン191gを滴下ロートよりゆっくり添
加した。実施例1と同様に発熱反応を伴って反応溶液は
黒褐色に変色し殆どのマグネシウム金属が消費された
後、さらに1時間攪拌を続けた。反応混合物を15Lの
水に注ぎ生成ポリシランを沈殿させ、これを濾別した。
得られたポリマーを水で良く洗浄した後、真空乾燥させ
80gの白色のポリシランを得た。このポリシランはI
Rスペクトル、1H−NMRスペクトルおよび13C−N
MRスペクトルによりt−ブチル基を含有することが示
唆され、さらにTOF−MSスペクトルによりこのもの
は分子量680で8量体であることが判った。このもの
の熱分解挙動を熱分解GC−MSで追跡したところ、熱
分解により発生したイソブチレンの他に多くのケイ素含
有化合物が検出された。また、このポリシランをシクロ
ヘキサノンに溶解しスピンコートしたがポリシランが粉
状になり均一な膜にすることができなかった。
【0042】比較例2 実施例1において、工程(2)を行わないでケイ素ポリ
マーを合成した。すなわち、工程(1)で得られたケイ
素ポリマーを含む反応混合物を水にあけ、褐色のケイ素
ポリマーを沈殿させた。水でよく洗浄した後、50℃に
て12時間真空乾燥させ褐色のケイ素ポリマー68gを
得た。かくして得られたケイ素ポリマーのGPCによる
ポリスチレン換算重量平均分子量は52,000であっ
た。分子量分布を示す分散度は6.5であった。このケ
イ素ポリマーのIRスペクトルを測定したところ、34
00cm-1に水酸基に帰属される幅広いピークが観察さ
れた。1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペ
クトルは、実施例1のケイ素ポリマーの1H−NMRス
ペクトルおよび13C−NMRスペクトルとほぼ同じスペ
クトルであった。このケイ素ポリマーを元素分析したと
ころ、SiH3.21 .20.4であり酸素原子が検出され
た。このケイ素ポリマーをトルエンに溶解し透明の褐色
溶液を調製した。これを用いて実施例1と同様の操作で
シリコンの膜を形成させた。このシリコンの膜をESC
Aスペクトルでケイ素原子の2P軌道エネルギーを測定
したところ、99.0eVにピークが観察され、さら
に、102.5eVに強いピークが観察された。このこ
とからケイ素ポリマー中に含有する酸素原子によりポリ
マーはケイ素−酸素結合から主としてなっていることが
判った。また、このトルエン溶液を40℃で1週間保存
したところ、沈殿物が生じ保存安定性が悪かった。
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、従
来のシリコン膜形成方法と異なる新しいコーティングプ
ロセスでシリコン膜を形成することのできる新規なシリ
コンポリマーを提供することができる。すなわち、従来
のCVDのような気相からの堆積ではなく、液相の材料
を塗布した後、熱および/または光のエネルギーにより
電子材料としてのシリコン膜へ変換することのできるケ
イ素ポリマーおよびその製造方法が提供される。また本
発明では上記コーティング溶液が安定であるため一定品
質の膜を得ることができる。さらに本発明のシリコンポ
リマーを用いれば従来のCVD法と異なりシリコン膜形
成時に粉末の発生を防止でき、大掛かりな真空プロセス
を用いる必要がないので、高価な装置を必要としないの
みならず大面積の基板上にも容易にシリコン膜を形成で
きる。それ故、本発明のシリコンポリマーを用いれば、
シリコン膜を有するLSI、薄膜トランジスター、光電
変換装置および感光体などの半導体デバイスを省エネル
ギープロセスで製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたケイ素ポリマーのラマン散
乱スペクトル図である。_

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に、下記組成式 SiHxRy ここで、Rは1価の有機基であり、xは0.01〜3の
    数でありそしてyは0.01〜3の数である、但しx+
    y≦4である、で表されそしてポリスチレン換算重量平
    均分子量が少なくとも2000であることを特徴とする
    ケイ素ポリマーの製造方法であって、 (1)テトラハロゲン化ケイ素と下記式 RQXn ここで、Rは1価の有機基であり、Qはシリコン原子ま
    たはマグネシウム原子であり、Xはハロゲン原子であり
    そしてnは、Qがシリコン原子のときは3であり、マグ
    ネシウム原子のときは1である、で表される化合物と金
    属リチウムおよび/または金属マグネシウムを反応さ
    せ、次いで(2)工程(1)で得られた反応生成物をM
    gH2で還元する、ことを特徴とするケイ素ポリマーの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 ケイ素ポリマーが、ラマン散乱スペクト
    ルにおいて、350cm-1〜550cm-1の散乱光を有
    する請求項1に記載のケイ素ポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】 ケイ素ポリマーが、ケイ素1原子当たり
    に不純物としての酸素原子を0.01原子未満でしか含
    有しない請求項1に記載のケイ素ポリマーの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7259100B2 (en) 2003-01-08 2007-08-21 Kovio, Inc. Nanoparticles and method for making the same
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