JPWO2016010038A1 - 濃縮法を用いた環状シランの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
集積回路や薄膜トランジスタに応用されるシリコン薄膜のパターン形成において、CVD法等の真空プロセスによりシリコン膜を形成することが一般的に行われている。このような方法では、真空プロセスが用いられているため大がかりな装置が必要であり、また原料として気体が用いられているため取り扱いにくい等の問題がある。
例えば、シクロペンタシランを含有する溶液組成物を調製し、この溶液組成物を基板上に塗布し、続いて紫外線照射に付した後、得られた塗膜を加熱してシリコン膜を形成する方法が記載されている(特許文献1を参照)。
式(3):
(A)工程:式(1):
(B)工程:式(2)で表される環状シラン化合物を有機溶剤に溶解し、そして該式(2)で表される環状シラン化合物を水素又はリチウムアルミニウムハイドライドで還元する工程
を含む製造方法、
第2観点として、前記式(1)中のR1とR2が共にフェニル基を示す、第1観点に記載の製造方法、
第3観点として、前記式(2)中のR3及びR4が共に塩素原子を示す、第1観点に記載の製造方法、
第4観点として、シクロペンタシランが前記式(3)で表される環状シラン中80モル%以上の量含まれている、第1観点に記載の製造方法、
第5観点として、前記(A)工程における蒸留が40乃至80℃の温度下で、かつ0乃至30Torrの減圧下で行われる、第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の製造方法である。
例えば、原料としてデカフェニルペンタシラン等のフェニル置換シランを塩素化して、デカクロロペンタシランを中間体として製造し、その後、水素や水素化物を用いて還元することにより、シクロペンタシラン等の環状シランが製造される。中間体の塩素化ペンタシランが得られる工程において、脱離したフェニル基が溶剤のシクロヘキサンと反応し、シクロヘキシルベンゼンを生成することがある。
このシクロヘキシルベンゼンが溶剤中に含まれ、その後の水素還元を経て最終生成物のシクロペンタシランと共に溶剤中に共存すると、シクロペンタシランとシクロヘキシルベンゼンは沸点差が小さいため、蒸留により両者を分離することが難しく、生成物のシクロペンタシラン中にシクロヘキシルベンゼンが不純物として残留することになる。その結果、該シクロペンタシランの重合体を含むポリシラン組成物や、該ポリシラン組成物を基板に塗布して焼成した後のシリコン膜中にもシクロヘキシルベンゼンが残存し、得られるシリコン膜の電気特性を悪化させると考えられる。
これに対し、本発明は従来には無い環状シランの製造方法に関する。本発明の製造方法により得られる環状シランの重合体を含むポリシラン組成物や、該ポリシラン組成物を基板に塗布して焼成した後のシリコン膜中には不純物がほとんど残存しない。従って、得られるシリコン膜の電気特性は向上すると考えられる。
(A)工程に用いられる式(1)で表される環状シラン化合物において、炭素原子数1乃至6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、及びn−ペンチル基等が挙げられる。
置換されていても良いフェニル基の置換基としては、例えば上記アルキル基が挙げられる。
nは4乃至6の整数であり、式(1)で表される環状シラン化合物としては、好ましくはn=5の環状シラン化合物のみ、或いはn=5の環状シラン化合物を主成分として用いることができる。n=5であり、R1とR2がフェニル基である場合、環状シラン化合物はデカフェニルシクロペンタシランであり、このデカフェニルシクロペンタシランを原料として好ましく用いることができる。そして、環状シラン化合物には、n=4、n=6の環状シラン化合物を含むこともできる。
(B)工程では、式(2)で表される環状シラン化合物を有機溶剤(例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ベンゼン)に溶解し、この溶液にエーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル)中に溶解したリチウムアルミニウムハイドライドを徐々に添加して、式(2)で表される環状シラン化合物を還元して、式(3)で表される環状シランに変換することができる。この時に添加するリチウムアルミニウムハイドライドは、式(2)で表される環状シラン化合物の1モルに対して、2乃至3モルの割合で添加することができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、塩素原子を好ましく用いることができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属である。
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。測定機器は例えばHLC−8320GPC(東ソー(株)製、製品名)、カラムはGPC/SEC(PLgel、3μm、300×7.5mm、VARIAN製)、カラム温度は35℃、検出器はRI、流量は1.0mL/分、測定時間は15分、溶離液はシクロヘキサン、注入量は10μLで測定することができる。また、CPS(Mw150、RT=11.040min)、CPS−dimer(Mw298、RT=10.525min)、CPS−Trimer(Mw446、RT=9.725min)を基準物質として検量線を作成して生成物の重量平均分子量を測定することができる。
仕込み質量に対する生成重合体の質量割合に基づく重合率は50%以上、好ましくは70%以上、好ましくは80%以上である。
またこれらの骨格の水素原子をSiH3基やハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)に置換したシラン化合物を挙げることができる。
ポリマーに担持したパラジウム触媒の存在下、シクロペンタシランの重合を行う場合、触媒の添加量はシクロペンタシランに対してパラジウムが、例えば0.1乃至10質量%、又は0.1乃至1質量%の割合である。重合反応は窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われ、酸素は遮断され、例えば酸素濃度は1ppm以下である。上記重合はシクロペンタシランと上記触媒を溶剤に溶解させて行うことも、無溶剤で行うこともできる。反応温度は室温から100℃の範囲で行うことができる。反応時間は1乃至15時間で行うことができる。反応の終了はシクロヘキサン又はシクロオクタンの添加により終了することができる。
例えばシクロペンタシランを50℃乃至120℃の温度に加熱することを特徴とするポリシランの製造方法である。特に80℃乃至100℃の温度に加熱することにより分子量分布の狭い且つ重量平均分子量の高い重合体が得られる。
不活性ガス中で酸素を遮断した状態で遮光したガラス管中のシクロペンタシランを所定の温度に加熱し、シクロペンタシランの重合体を得る。シクロペンタシランの重合体は有機溶剤(例えばシクロヘキサン)に溶解し、その後に減圧下で揮発成分を除去して得られる。
上記不活性ガスとしては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン等が用いられる。酸素を遮断した状態とは、上記ガラス管中の酸素濃度が1ppm以下の状態をいう。
加熱温度は50℃乃至120℃であり、加熱時間は0.5時間乃至6時間程度である。加熱時間は加熱温度の上昇と共に、上記加熱時間の範囲のなかで短縮することができる。
重合体の収率は80乃至90%の高い範囲で得ることができる。
上記溶剤中でもシクロオクタンが好ましく用いられ、シクロオクタン中に上記ポリシランを5乃至8質量%で含有してポリシラン組成物とすることができる。
シリコン膜の形成方法としては、上記ポリシラン組成物を基板に塗布し、熱処理等を行い脱水素化によりシリコン膜が得られる。塗布はスピンコート、ロールコート、ディップコート等の装置を用いて行われ、塗布した後に加熱処理が行われる。例えばスピンコート法ではスピナーの回転数500乃至1000rpmで行われる。
塗布工程は不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましく、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン等のガスを流しながら行われる。
組成物を塗布した基板の加熱処理は、100乃至425℃の加熱温度で、10乃至20分で行われる。
この様に得られたシリコン膜は膜厚が60乃至100nmの範囲で得られる。
上記基板としては石英、ガラス、ITOなどの透明電極、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等の金属電極、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
窒素雰囲気下、2L反応フラスコにデカフェニルシクロペンタシラン(500.0g)と溶媒としてシクロヘキサン(453.7g)を仕込んだ。これに塩化アルミニウムAlCl3(14.7g)を加えた後、これに塩化水素HClガスを流速(280mL/分)で8時間吹込んだ。その際、20℃から30℃となるように水浴で温度制御した。その後、減圧と窒素による復圧を10回繰返して塩化水素を除去した後、メンブレンフィルターでろ過してデカクロロシクロペンタシランのシクロヘキサン溶液(1099.5g)を得た。
デカクロロシクロペンタシランのシクロヘキサン溶液(1099.5g)を20乃至30℃、2時間、25Torrにて溶媒除去し、その後、60℃、4時間、13Torrにて蒸留することによりシクロヘキシルベンゼンを除去した高純度デカクロロシクロペンタシラン(268.56g)を得た。これにシクロヘキサン(814.5g)を加え溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過し、シクロヘキサン(50g)で洗浄を行い、高純度デカクロロシクロペンタシランのシクロヘキサン溶液(1100.6g)を得た。
これをアルゴン雰囲気下、2L反応フラスコに仕込み、0乃至10℃にて水素化アルミニウムリチウムLiAlH4(57.5g)のジエチルエーテル(269.6g)溶液を2時間かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、0乃至10℃にて反応溶液へイオン交換水(592.7g)を1時間かけて滴下した。10分間撹拌、静置後、水層部分を除去した。引き続き、室温でイオン交換水(592.7g)を加え、この水洗操作を4回繰り返した後、有機層を硫酸マグネシウム(23.7g)で1時間乾燥させた後、メンブレンフィルターでろ過、濃縮、蒸留して目的のシクロペンタシラン(51.4g)を得た。
カラム:TC−1;df=0.25μm、0.25mm×30m(GL−Science社製)
キャリアーガス:He57.7cm/秒(199.9kPa) ※)線速度制御
カラム温度:50℃(10分保持)→100℃/分→150℃(10分保持)→100℃/分→280℃(5分保持)
インジェクター:Split(20)、150℃、8μL
検出器:FID(280℃)
サンプル濃度:1000ppm[シクロヘキサン中]
窒素雰囲気下、2L反応フラスコにデカフェニルシクロペンタシラン(500.0g)と溶媒としてシクロヘキサン(453.7g)を仕込んだ。これに塩化アルミニウムAlCl3(14.7g)を加えた後、これに塩化水素HClガスを流速(280mL/分)で8時間吹込んだ。その際、20℃から30℃となるように水浴で温度制御した。その後、減圧と窒素による復圧を10回繰返して塩化水素を除去した後、メンブレンフィルターでろ過してデカクロロシクロペンタシランのシクロヘキサン溶液(1099.5g)を得た。
これをアルゴン雰囲気下、2L反応フラスコに仕込み、0乃至10℃にて水素化アルミニウムリチウムLiAlH4(57.5g)のジエチルエーテル(269.6g)溶液を2時間かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、0乃至10℃にて反応溶液へイオン交換水(592.7g)を1時間かけて滴下した。10分間撹拌、静置後、水層部分を除去した。引き続き、室温でイオン交換水(592.7g)を加え、この水洗操作を4回繰り返した後、有機層を硫酸マグネシウム(23.7g)で1時間乾燥させた後、メンブレンフィルターでろ過、濃縮、蒸留して目的のシクロペンタシラン(52.2g)を得た。
窒素雰囲気下、2L反応フラスコにデカフェニルシクロペンタシラン(500.0g)と溶媒としてトルエン(453.7g)を仕込んだ。これに塩化アルミニウムAlCl3(14.7g)を加えた後、これに塩化水素HClガスを流速(280mL/分)で8時間吹込んだ。その際、20℃から30℃となるように水浴で温度制御した。その後、減圧と窒素による復圧を10回繰返して塩化水素を除去した後、メンブレンフィルターでろ過してデカクロロシクロペンタシランのトルエン溶液(1167.2g)を得た。
デカクロロシクロペンタシランのトルエン溶液(1167.2g)を20乃至30℃、2時間、25Torrにて溶媒除去し、その後、60℃、4時間、13Torrにて蒸留することによりジフェニルメタンを除去したデカクロロシクロペンタシラン(278.2g)を得た。これにシクロヘキサン(814.5g)を加え溶解させた後、メンブレンフィルターでろ過し、デカクロロシクロペンタシランのシクロヘキサン溶液(1092.7g)を得た。
これをアルゴン雰囲気下、2L反応フラスコに仕込み、0乃至10℃にて水素化アルミニウムリチウムLiAlH4(57.5g)のジエチルエーテル(269.6g)溶液を2時間かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、0乃至10℃にて反応溶液へイオン交換水(592.7g)を1時間かけて滴下した。10分間撹拌、静置後、水層部分を除去した。引き続き、室温でイオン交換水(592.7g)を加え、この水洗操作を4回繰り返した後、有機層を硫酸マグネシウム(23.7g)で1時間乾燥させた後、メンブレンフィルターでろ過、濃縮、蒸留して目的のシクロペンタシラン(51.4g)を得た。
窒素雰囲気下、2L反応フラスコにデカフェニルシクロペンタシラン(500.0g)と溶媒としてトルエン(453.7g)を仕込んだ。これに塩化アルミニウムAlCl3(14.7g)を加えた後、これに塩化水素HClガスを流速(280mL/分)で8時間吹込んだ。その際、20℃から30℃となるように水浴で温度制御した。その後、減圧と窒素による復圧を10回繰返して塩化水素を除去した後、メンブレンフィルターでろ過してデカクロロシクロペンタシランのトルエン溶液(1167.2g)を得た。
これをアルゴン雰囲気下、2L反応フラスコに仕込み、0乃至10℃にて水素化アルミニウムリチウムLiAlH4(57.5g)のジエチルエーテル(269.6g)溶液を2時間かけて滴下した。室温で1時間撹拌後、0乃至10℃にて反応溶液へイオン交換水(592.7g)を1時間かけて滴下した。10分間撹拌、静置後、水層部分を除去した。引き続き、室温でイオン交換水(592.7g)を加え、この水洗操作を4回繰り返した後、有機層を硫酸マグネシウム(23.7g)で1時間乾燥させた後、メンブレンフィルターでろ過、濃縮、蒸留して目的のシクロペンタシラン(51.4g)を得た。
Claims (5)
- 式(3):
(A)工程:式(1):
(B)工程:式(2)で表される環状シラン化合物を有機溶剤に溶解し、そして該式(2)で表される環状シラン化合物を水素又はリチウムアルミニウムハイドライドで還元する工程
を含む製造方法。 - 前記式(1)中のR1とR2が共にフェニル基を示す、請求項1に記載の製造方法。
- 前記式(2)中のR3及びR4が共に塩素原子を示す、請求項1に記載の製造方法。
- シクロペンタシランが前記式(3)で表される環状シラン中80モル%以上の量含まれている、請求項1に記載の製造方法。
- 前記(A)工程における蒸留が40乃至80℃の温度下で、かつ0乃至30Torrの減圧下で行われる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
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