JP2001054833A - 工具ホルダ - Google Patents

工具ホルダ

Info

Publication number
JP2001054833A
JP2001054833A JP11232341A JP23234199A JP2001054833A JP 2001054833 A JP2001054833 A JP 2001054833A JP 11232341 A JP11232341 A JP 11232341A JP 23234199 A JP23234199 A JP 23234199A JP 2001054833 A JP2001054833 A JP 2001054833A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engagement
relative rotation
rotation preventing
tool
holding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11232341A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Suzuki
鈴木  誠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Bellows Co Ltd
Original Assignee
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Bellows Co Ltd, Fuji Seiko Ltd filed Critical Fuji Bellows Co Ltd
Priority to JP11232341A priority Critical patent/JP2001054833A/ja
Publication of JP2001054833A publication Critical patent/JP2001054833A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Jigs For Machine Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】工具ホルダの工作機械主軸からの突出量を小さ
くして保持剛性を向上させる。 【解決手段】相対回転防止部材72の外周側テーパ面7
7と、連結部材86の内周側テーパ面106と、保持部
材114の保持溝120と、それらの間に配設された鋼
球102とにより、圧縮コイルスプリング84の付勢力
の向きを変換して連結部材86に伝達する際に、鋼球1
02を相対回転防止部材72の係合片74と同位相に配
置して、係合片74に鋼球102を内周側から支持させ
る。相対回転防止部材72に鋼球102を内周側から支
持する専用の支持部を設ける必要がなくなり、その分だ
け鋼球102および外周側テーパ面77を、アダプタ1
2に近づけることができ、工具ホルダのアダプタ12
(工作機械主軸の一部をなす)からの突出量を小さくす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械に工具を
取り付ける工具ホルダに関し、特に、工具ホルダの保持
剛性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10─58211号公報に、工作
機械の工具主軸に工具を着脱可能に取り付ける従来の工
具ホルダの一つが記載されている。以下、その従来の工
具ホルダを図8,図9および図10に基づいて説明す
る。この工具ホルダ200が取り付けられる主軸206
は、中心に軸方向に延びる嵌合孔202と、先端面から
軸方向に延びるキー溝204と、外周に半径方向外向き
に形成された係止部208とを備えている。一方、工具
ホルダ200は、(a) 前部に工具を保持する工具保持部
210が設けられ、後部に嵌合孔202に嵌合される嵌
合軸部212が設けられ、中間部にフランジ部214を
有する本体部材216と、(b) 前記工具保持部210の
外周に軸方向に相対移動自在に設けられた第一の操作環
218と、(c) その第一の操作環218の外周に設けら
れ、工具主軸206の前記係止部208に係止する係止
爪220を有する第二の操作環222と、(d) 第一の操
作環218と第二の操作環222との間に配設されたス
ペーサ224と、(e) 第一の操作環218を前記本体部
材216に対して後方に付勢する付勢手段226とを備
えている。そして、前記フランジ部214の互いに位相
を異にする部分に第一切欠228と第二切欠230とが
形成され、第一の操作環218の後部に、後方に向かっ
て内方に傾斜する第一のテーパ部232が形成されると
ともにその第一のテーパ部232の後部に工具主軸20
6のキー溝204に嵌合するキー部234が設けられて
いる。また、スペーサ224の前部に軸方向に略直角な
前面236が設けられるとともに、後部には前記第一切
欠228に嵌合する突起238が設けられている。さら
に、第二の操作環222の内周面前部には前方にむかっ
て内方に傾斜する第二のテーパ部240が設けられ、第
一の操作環218の第一のテーパ部232とスペーサ2
24の前面と第二のテーパ部240との間に多数の鋼球
242が配設されている。スペーサ224は、本体部材
216の前記フランジ部214に後方から支持されてい
る。
【0003】この工具ホルダ200は、第一の操作環2
18が、それのキー部234が工具主軸206のキー溝
204と係合する作用位置と、係合しない非作用位置と
に移動させられることにより、工具主軸206に着脱可
能とされている。そして、第一の操作環218が非作用
位置から作用位置に移動させられると、多数の鋼球24
2が、スペーサ224の前面236の案内作用と、第一
の操作環218に形成された第一のテーパ部232の斜
面の作用とによって、半径方向外向きに移動させられ
る。それら多数の鋼球242は第二の操作環222の第
二のテーパ面240に押しつけられ、第二の操作環22
2を主軸から離間する向きに移動させる。その結果、第
二の操作環222の係止爪220が工具主軸206の係
止部208に係合させられ、本体部材216と工具主軸
206とが軸方向に隙間なく押しつけられて、工具ホル
ダ200が工具主軸206に離脱不能に保持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発
明の効果】この従来の工具ホルダ200において、多数
の鋼球242は、第一の操作環218のキー部234の
形成位置とは異なる位相位置に配置されている。そのた
め、軸方向において鋼球242とフランジ部214との
間隔が第一の操作環218の移動距離より大きくされる
ことが必要である。第一の操作環218が非作用位置に
ある状態でも、多数の鋼球242が内周側から支持され
た状態を維持するために、第一の操作環218には鋼球
支持部244が設けられるが、この鋼球支持部244
は、第一の操作環218が作用位置へ移動した状態でも
本体部材216のフランジ部214に当接しないことが
必要である。この条件を満たすためには、鋼球242と
フランジ部214との軸方向の間隔を、第一の操作環2
18の非作用位置と作用位置との間における移動距離よ
り大きくせざるを得ないのである。なお、第一の操作環
218の移動距離は、キー部234の工具主軸206と
の係合深さ以上であることが必要であり、この係合深
さ、ひいては第一の操作環218の移動距離は大きくさ
れることが望ましい。
【0005】しかし、この従来の工具ホルダ200にお
いては、第一の操作環218の移動距離を大きくする
と、それに応じて鋼球支持部244を長くせざるを得
ず、多数の鋼球242とフランジ部214との距離が大
きくなり、その分だけ工具ホルダ200の工具主軸20
6からの突出量が大きくなる。工具ホルダ200の突出
量が大きくなれば、その工具ホルダ200の工具保持部
210に保持される加工工具の、工具主軸206の先端
面からの距離が大きくなり、加工工具の工具主軸206
による保持剛性が低下してしまう。
【0006】以上は、工具ホルダが工作機械の工具主軸
に取り付けられる場合について説明したが、同様の構造
の工具ホルダは、例えば、旋盤の心押軸にも取り付け可
能である。これら回転する工具主軸,回転しない心押軸
等を包含する工具保持軸一般に取り付け可能なのであっ
て、いずれの場合にも上記と同様の問題が生じる。
【0007】本発明は、以上の事情を背景とし、前記第
一の操作環等相対回転防止部材の作用位置と非作用位置
との間の軸方向の移動距離が大きい場合でも、工具ホル
ダの工具保持軸からの突出量を短くし、工具ホルダの保
持剛性を向上させることを可能とすることを課題として
為されたものであり、本発明によって、下記各態様の工
具ホルダが得られる。各態様は請求項と同様に、項に区
分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を
引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の
理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的
特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈
されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記
載されている場合、常にそれら事項をすべて一緒に採用
しなければならないわけではなく、一部の事項のみを取
り出して採用することも可能である。 (1)概して円筒状をなし、先端面から軸方向に延びた
第一係合切欠と、先端部外周面から半径方向外向きに延
び出た第一フランジとを備えた工具保持軸に、加工工具
を着脱するための工具ホルダであって、前記加工工具を
保持する工具保持部と嵌合軸部とを備えて概して軸状を
なし、それら工具保持部と嵌合軸部との境界部の外周面
から半径方向外向きに突出した第二フランジと、その第
二フランジの前記第一係合切欠に対応する位置に形成さ
れた第二係合切欠とを備え、嵌合軸部が前記工具保持軸
に第二フランジが工具保持軸の先端面に当接するまで嵌
合される本体部材と、前記工具保持部の外周面に嵌合さ
れた円筒状部と、その円筒状部から軸方向に延び出た第
一係合片とを備え、第一係合片が前記第一係合切欠およ
び前記第二係合切欠の両方に係合する作用位置と、第一
係合片が第一係合切欠から離脱して第二係合切欠にのみ
係合する非作用位置とに移動可能な相対回転防止部材
と、その相対回転防止部材を前記作用位置に向かって付
勢する付勢装置と、前記相対回転防止部材の外周側に配
設され、前記本体部材に対して相対回転不能かつ軸方向
に相対移動可能な円筒状部と、その円筒状部と一体的に
かつ前記第一係合片とは異なる位相で設けられ、第一係
合片が前記第一係合切欠と係合する状態で前記第一フラ
ンジの前記先端面側とは反対側の面である係合面に係合
する第二係合片とを備えた連結部材と、その連結部材と
前記相対回転防止部材との間に設けられ、相対回転防止
部材の前記付勢装置の付勢力による前進運動を、連結部
材を逆向きに移動させて前記第二係合片を前記係合面に
係合させる後退運動に変換する運動変換装置とを含み、
かつ、運動変換装置が、前記相対回転防止部材の外周面
の少なくとも前記第一係合片と同位相の位置に、第一係
合片の先端側に向かうに従って内周側に向かう向きに傾
斜して形成された第一傾斜面と、前記連結部材の内周面
の少なくとも第一係合片と同位相の位置に、前記第一傾
斜面とは逆向きに傾斜して形成された第二傾斜面と、前
記第一係合片と同位相の位置に配設され、前記第一傾斜
面および前記第二傾斜面と係合可能な転動体と、その転
動体を前記本体部材に対して半径方向に相対移動可能か
つ前記嵌合軸部に向かう向きに相対移動不能に保持する
転動体保持装置とを含むことを特徴とする工具ホルダ
(請求項1)。本項に記載の工具ホルダにおいては、転
動体が第一係合片と同位相に配置されることにより、相
対回転防止部材の移動距離が大きくても、転動体と第二
フランジとの軸方向の距離を小さくすることが可能とな
る。したがって、工具ホルダの工具保持軸からの突出量
を小さくして保持剛性を向上させることが可能となる。
さらに具体的に説明する。第一係合片は、相対回転防止
部材の軸方向の位置いかんを問わず第二係合切欠に係合
させられて、第二フランジとの間に軸方向の隙間が生じ
ることがない。したがって、相対回転防止部材が作用位
置にある状態で、転動体が相対回転防止部材により内周
側から支持されるようにすれば、相対回転防止部材が非
作用位置に移動した状態においても、転動体が第一係合
片により内周側から支持されることとなる。そのため、
転動体の配設位置を第二フランジに近接して設定するこ
とができる。前記従来の工具ホルダにおけるように、円
筒状部に鋼球支持部を設ける必要がないので、転動体を
第二フランジに近接して配設することができるのであ
り、その分工具ホルダの工具保持軸からの突出量を小さ
くすることができるのである。なお、第一フランジは工
具保持軸の外周面の一部に設けられるのみでもよい。し
かし、先端部外周面全体に設けられた第一フランジの一
部を切り欠いて、第二係合片の通過が可能となるように
する方が加工が容易である。また、この場合、第一係合
切欠と同位相の部分を切り欠くこととすれば、第二係合
片の通過を許容する切欠と第一係合切欠とを一緒に形成
することができて好都合である。しかし、第一係合切欠
により第二係合片の通過を許容することは不可欠ではな
く、第一フランジの第一係合切欠とは異なる位相位置に
第二係合片の通過を許容するための別の切欠を設けるこ
とも可能なのである。ただし、この別の切欠は、第一係
合切欠より半径方向に浅くするか、または、周方向に狭
くして、第二係合片は通過可能であるが第一係合片は係
合不能な形状とすることが望ましい。さらに、第一係合
切欠は、等角度間隔で2か所以上形成されることが望ま
しく、それに対応して第二係合切欠と第一係合片とが設
けられ、第二係合片は、それら第一係合切欠等と異なる
位相において等角度間隔で2か所以上設けられることが
望ましい。 (2)前記転動体保持装置が、前記工具保持部側から前
記第二フランジに第一端面において当接した状態で配設
された保持部材を含み、その保持部材の第一端面とは反
対側の第二端面に、半径方向に延びる第一保持溝が形成
された (1)項に記載の工具ホルダ。保持部材に半径方向
に延びる第一保持溝が形成され、その第一保持溝に転動
体が収容されることにより、転動体が半径方向の移動は
可能であるが、周方向には移動不能となり、かつ、第一
保持溝の底面により転動体の嵌合軸部に向かう向きの移
動限度が規定される。なお、保持部材は、本体部材に対
して半径方向および周方向の移動が不能な状態で設置さ
れることが望ましい。本態様によれば、比較的簡単な構
成の保持部材で転動体保持装置を構成することができ
る。 (3)前記保持部材が、前記第二係合切欠に嵌合可能な
突部を備えている (2)項に記載の工具ホルダ。保持部材
の突部が第二係合切欠に嵌合されることにより、保持部
材の周方向の移動が防止される。ここで、突部の軸方向
の長さは、第二フランジの第一フランジ側の端面から突
出しない長さとする。なお、保持部材は、第一係合片に
内周側から支持されることにより、半径方向内向きの移
動が防止されるようにしても、第二フランジの外周面に
形成された受座により保持部材が内周側から受けられ
て、半径方向内向きの移動を防止されるようにしてもよ
い。さらに、保持部材は、連結部材の内周面に外周側か
ら支持されることにより、半径方向外向きの移動が防止
されるようにすることが望ましい。さらに付言すれば、
上記受座を、保持部材の周方向の移動を防止可能な形状
とすることにより、本項に記載の「第二係合切欠に嵌合
可能な突部」を省略することも可能である。 (4)前記相対回転防止部材の外周面に嵌合された状態
で固定され、相対回転防止部材の前記第一係合片側の部
分との間に半径方向の隙間を形成する円筒状部を備えた
ガイド部材を含み、そのガイド部材の円筒状部の内側に
前記連結部材が摺動可能に嵌合された (1)項ないし (3)
項のいずれか1つに記載の工具ホルダ。相対回転防止部
材の外周面に連結部材を摺動可能に嵌合することも可能
であるが、本態様による方が、連結部材に接触して連結
部材を案内する案内面の軸方向長さを長くすることが容
易であるので、連結部材のホルダ本体に対する姿勢を安
定させることが容易である。また、相対回転防止部材の
外周面と連結部材の内周面との間に、転動体を配設する
隙間を確保することが容易である。本項の特徴は(1)項
に記載の工具ホルダの特徴とは別個にも採用可能であ
る。 (5)前記連結部材の前記第一保持溝と同位相の位置
に、連結部材を半径方向に貫通する貫通穴が形成され、
その貫通穴が前記ガイド部材により覆われている (4)項
に記載の工具ホルダ。連結部材に貫通穴を形成すれば、
その貫通穴を通して転動体を第一保持溝に挿入すること
ができる。そして、貫通穴をガイド部材により覆えば、
一旦挿入した転動体が貫通穴を通過して工具ホルダの外
部へ脱落することを、ガイド部材により防止することが
できる。 (6)前記連結部材が前記本体部材に対して軸方向に限
られたられた距離だけ相対移動可能である (1)項ないし
(5)項のいずれか1つに記載の工具ホルダ。本態様によ
れば、例えば、第二係合片と第二フランジとの間に常に
軸方向に隙間が形成される位置に連結部材を保つことに
より、その隙間に第一フランジが進入することが容易と
なり、第二係合片の係合面への係合が容易となる。この
係合をさらに容易にするために、第二係合片の係合面に
対向する面の両側縁に面取りを施して、第二係合片の周
方向の両端部と第二フランジとの軸方向の隙間が、第二
係合片の中央部に向かって漸減するようにすることが望
ましい。また、本項に記載の特徴を (5)項に記載の貫通
穴と組み合わせて採用すれば、転動体が保持部材の第一
保持溝から貫通穴側へ移動することを防止することがで
きる。連結部材が本体部材に対して、ひいては保持部材
に対して軸方向に自由に移動できる状態において、連結
部材の貫通穴を保持部材の第一保持溝に合致させ、貫通
穴から転動体を第一保持溝に挿入し、その後、貫通穴を
第一保持溝から軸方向にずらせた状態で、連結部材の本
体部材の軸方向の移動可能距離を小さく制限すれば、転
動体が貫通穴側へ移動不能となるのである。この態様に
おいては、転動体が貫通穴を通して外部へ脱落すること
をガイド部材により防止することは不可欠ではなくな
る。 (7)前記連結部材と前記第二フランジとの間に、連結
部材の本体部材に対する軸方向の相対移動を限られた距
離に限定する限定装置が設けられている (6)項に記載の
工具ホルダ。 (8)前記第一傾斜面が、前記相対回転防止部材の前記
円筒状部の全外周にわたって形成されたテーパ面である
(1)項ないし (7)項のいずれか1つに記載の工具ホル
ダ。本態様によれば、第一傾斜面の加工が容易となる。 (9)前記第一係合片が、前記テーパ面の最小径部と等
しい直径の円筒面より外周側に位置する部分を有し、そ
の部分に前記円筒面に達する深さで軸方向に延びる干渉
回避溝が形成された (8)項に記載の工具ホルダ。第一係
合片を、テーパ面の最小径部と等しい直径の円筒面より
外周側に位置する部分を有するものとすれば、第一係合
片を厚くして、強度を大きくすることができ、かつ、第
一係合片に干渉回避溝を形成することにより、転動体と
の干渉により第一係合片の第一係合切欠からの離脱が妨
げられることを回避することができる。さらに、干渉回
避溝の底面を、テーパ面の最小径部と等しい直径の円筒
面と一致させることにより、テーパ面と干渉回避溝との
境界部における転動体の転動を滑らかにすることができ
る。 (10)前記相対回転防止部材の外周面に、前記円筒状
部と前記第一係合片とに跨がって軸方向に延びる第二保
持溝が形成され、その第二保持溝に前記転動体が保持さ
れた (1)項ないし (7)項のいずれか1つに記載の工具ホ
ルダ。本態様によれば、相対回転防止部材全体を厚くし
て剛性,強度を大きくすることができる。 (11)前記第二保持溝が、前記第一係合片側から前記
円筒状部側に進むに従って深さが漸減する部分を有し、
その部分の溝底面が前記第一傾斜面を構成している(10)
項に記載の工具ホルダ。深さが漸減する部分の溝底面が
第一傾斜面の一部または全部を構成するようにすること
ができる。本態様において、第二保持溝の底部の横断面
形状を転動体の形状に合致したものとすること、例え
ば、転動体がボールである場合には、第二保持溝の横断
面形状をほぼ半円形とし、転動体がローラである場合に
は、第二保持溝の横断面形状を矩形とすることにより、
転動体が第二保持溝の溝底面と線接触するようにすれ
ば、両者の面圧が小さくなって耐久性が向上する効果が
得られる。 (12)前記第二傾斜面の、本体部材の軸線に平行な方
向に対する傾斜角度の絶対値が、前記第一傾斜面の同様
な傾斜角度の絶対値より大きい (1)項ないし(11)項のい
ずれか1つに記載の工具ホルダ。本態様によれば、第
一,第二傾斜面と転動体との共同により、付勢手段の付
勢力が倍力される効果が得られる。なお、第一傾斜面の
傾斜角度の絶対値が45度より小さいことと、第二傾斜
面の傾斜角度の絶対値が45度より大きいこととの少な
くとも一方の条件が満たされることが望ましい。第一傾
斜面の傾斜角度の絶対値が45度より小さい場合は、第
一傾斜面により付勢手段の付勢力が倍力されて転動体の
半径方向外向きの移動力とされ、第二傾斜面の傾斜角度
の絶対値が45度より大きい場合は、転動体の半径方向
外向きの移動力が、第二傾斜面により倍力されて連結部
材の軸方向の移動力とされる。 (13)前記転動体がボールである (1)項ないし(12)項
のいずれか1つに記載の工具ホルダ。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づ
いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の工具ホルダ
10の全体を概略的に示した図である。工具ホルダ10
は、図示しない工作機械の主軸に着脱可能に取り付けら
れ、それの一部として機能するアダプタ12に支持され
る。アダプタ12には、それの一方の端面である前端面
14に開口し、軸方向に延びる有底の嵌合穴16が形成
されている。以下、嵌合穴16の開口している側(図1
において左側)を前方、反対側(図1における右側)を
後方として説明する。その嵌合穴16の周囲の直径方向
に隔たった2か所に、前端面14から軸方向に延びる第
一係合切欠18が形成されている(図2参照)。アダプ
タ12の外周面の、前端面14に近い部分において前端
面14に平行に円環状の係合溝20が形成され、その結
果、アダプタ12の先端部の外周面に第一フランジ22
が形成されている。この第一フランジ22の後端面23
は、アダプタ12の軸線に対して垂直に形成されてい
る。
【0009】工具ホルダ10は本体部材24を備え、そ
の本体部材24は嵌合穴16に相対回転可能に嵌合され
る嵌合部26を備えている。本体部材24の両端部のう
ち嵌合部26とは反対側に工具を保持する工具保持部2
8が形成されている。本体部材24には、前端面から軸
方向に延びる段付穴状の工具保持穴30が形成されてい
る。工具保持穴30の一部は雌ねじ穴32とされてお
り、それにねじ部材としてのアジャスト部材34が螺合
されている。アジャスト部材34の後端面に六角穴36
が形成されており、工具保持穴30の後方から六角棒ス
パナ等回転操作工具を挿入してアジャスト部材34を回
転操作することにより、アジャスト部材34を軸方向に
移動させることができる。アジャスト部材34の後方に
円環溝が形成されて止め輪38が嵌合されることによ
り、アジャスト部材34の後退限度が規定されている。
【0010】雌ねじ穴32にはまた、工具駆動部材とし
てのドライバ40が軸方向に移動可能に嵌合されてい
る。ドライバ40は後端面42においてアジャスト部材
34に当接させられる一方、後端面42とは反対側の前
端面44に工具係合部としての工具係合溝46を備えて
おり、回転切削工具の係合部たるタングと相対回転不能
に係合するとともに軸方向において互いに当接するよう
になっている。ドライバ40の外周面には、断面形状が
ほぼ半円形の軸方向溝48が一対(図1には一方のみ示
す)形成されており、それら軸方向溝48にキー部材で
あるピン50が嵌合されている。各ピン50はドライバ
40の軸方向溝48に嵌合させられた状態で、一部がド
ライバ40の外周面から半径方向外向きに突出してい
る。一方、雌ねじ穴32の内周面には、軸方向に延び、
ほぼ半円形の断面形状を有する一対の案内溝52が形成
されており、これら案内溝52に各ピン50の突出部が
それぞれ係合させられることにより、ドライバ40の雌
ねじ穴32内での回転を阻止する回転阻止突起として機
能するようにされている。したがって、本体部材24に
加えられる回転トルクが、ピン50およびドライバ40
を介して回転切削工具に伝達される。また、回転切削工
具の軸方向の位置は、アジャスト部材34の位置を変更
することにより調整される。アジャスト部材34を移動
させてドライバ40の位置を変更することにより、回転
切削工具の本体部材24からの突出長さを変え得るので
ある。
【0011】工具保持穴30の軸方向の前端部は、テー
パ穴54とされており、コレット56が嵌合されてい
る。コレット56は、図示しない係合ピンによって回転
を防止されている。コレット56は、概して円筒状の部
材に両端面から交互に軸方向の複数本ずつのすり割り溝
が、反対側の端面までは達しない長さで形成されたもの
であり、軸方向のあらゆる部分において縮径が可能であ
る。テーパ穴54は先端側ほど径が大きくされており、
コレット56は、テーパ穴54の内周面に対応して形成
されたテーパ外周面58においてテーパ穴54に嵌合す
る一方、軸方向に平行に形成された内周面60におい
て、回転切削工具のシャンク部と嵌合する。コレット5
6の外周面には、雄ねじ部62が形成されており、この
雄ねじ部62には回転操作部材としてのねじ部材である
クランプナット64の先端部の雌ねじ穴部が螺合され、
そのクランプナット64の後端部は本体部材24の先端
部の外周面に嵌合されている。これらクランプナット6
4と本体部材24との嵌合部は、両者の間に介在する多
数のボール66によって互いに相対回転可能、かつ軸方
向に移動不能とされている。
【0012】したがって、クランプナット64が雄ねじ
部62に締め込まれる方向に回転操作されれば、コレッ
ト56がテーパ穴54内へ押し込まれて弾性的に縮径さ
せられる。それにより、コレット56の内周面に回転切
削工具のシャンク部が把持され、回転切削工具の工具保
持穴30からの離脱が防止される。本体部材24の先端
部がチャック本体として機能するのであり、この先端部
とコレット56およびクランプナット64とにより工具
チャックが構成されているのである。コレット56は、
回転切削工具を工具保持穴30内に押し込む向きの軸方
向力と、回転トルクとの一部も受けるが、これらは主と
してドライバ40によって受けられる。
【0013】図3に示すように、本体部材24のアダプ
タ12からの突出部となる部分には、半径方向外向きに
延び出す第二フランジ68が形成されている。その第二
フランジ68に、直径方向に隔たった2か所において第
二係合切欠70が形成されている(図2参照)。第二係
合切欠70は、第二フランジ68を軸方向に貫通して形
成されており、底部が平面とされている。第二フランジ
の後端面71が、アダプタ12の前端面14と当接する
ことにより本体部材24のアダプタ12に対する軸方向
の位置が規定される。
【0014】本体部材24の外側の第二フランジ68よ
り前方の部分である工具保持部28の外周面に相対回転
防止部材72が摺動可能に嵌合されている。相対回転防
止部材72は概して円筒状をなす部材であるが、その後
端面の直径方向に隔たった2か所から後方へ一対の係合
片74が突出させられている。この係合片74が第二フ
ランジ68の第二係合切欠70と係合させられることに
より、相対回転防止部材72の本体部材24に対する相
対回転が防止されるとともに、係合片74が第二係合切
欠70とアダプタ12の第一係合切欠18とに跨がって
係合することにより、本体部材24とアダプタ12との
相対回転を防止する。
【0015】図5に係合片74と第一および第二係合切
欠18,70とが係合する様子を示す。前記係合片74
の幅(周方向の寸法)は、第一係合切欠18に係合され
る先端部の方が、相対回転防止部材72に近い基端部よ
り幅が大きくされ、さらに、係合片74の先端部の幅
は、第一および第二係合切欠18,70の幅よりわずか
に小さくされている。具体的には、係合片74の、係合
片74が第一および第二係合切欠18,70に跨がって
係合する際に第二係合切欠70と係合する部分に、先端
部に向かって幅が微増する向きに傾斜する第一傾斜部7
5が形成されている。さらに、第二係合切欠70の第一
傾斜部75と対向する部分に、第一傾斜部75に沿って
傾斜する第二傾斜部76が形成されている。係合片74
が作用位置に位置して本体部材24とアダプタ12との
相対回転を防止している状態において、アダプタ12が
主軸とともに回転されれば、係合片74が周方向のいず
れか一方(例えば、図において左側)に押しつけられ
る。このため、主軸の回転中には、第一および第二傾斜
部75,76の斜面の作用により、係合片74が第一お
よび第2係合切欠18,70から脱落することが効果的
に回避される。なお、本実施形態においては、係合片7
4の両側に第一傾斜部75が形成されるとともに、第二
係合切欠70の両側に第二傾斜部76が形成されてい
る。これに対して、主軸の回転の向きが予め一方に定め
られている場合は、その回転に伴って、係合片74と第
二係合切欠70とが当接する側にのみ、前記第一および
第二傾斜部75,76が形成されることとしてもよい。
【0016】相対回転防止部材72の外周面に、後方に
向かうに従って中心軸に近づく向きに傾斜された外周側
テーパ面77が形成されている。外周側テーパ面77
は、アダプタ12の軸線に対して45度以下の傾斜角度
で形成されることが望ましく、本実施形態においては、
約15度の傾斜角度で形成されている。外周側テーパ面
77は、係合片74と同位相にのみ形成されることとし
てもよいが、本実施形態においては、相対回転防止部材
72の全周に形成されている。
【0017】係合片74の外周面は、外周側テーパ面7
7の最小径部の円筒面より外周側に形成されて、係合片
74の厚さが最小径部より厚くされている(図4参
照)。そして、係合片74の外周面に軸方向に延びる干
渉回避溝78が形成されている。干渉回避溝78の横断
面形状は矩形とされ、その溝底面が外周側テーパ面77
と滑らかに連続するようにされている。相対回転防止部
材72は、係合片74が第一係合切欠18と第二係合切
欠70とに跨がって係合し、本体部材24とアダプタ1
2との相対回転を防止する作用位置と、係合片74が第
二係合切欠70にのみ係合する非作用位置とに移動する
ことができる。
【0018】相対回転防止部材72には、前端面の内周
側を切欠いて環状の切欠溝80が形成されている。一
方、クランプナット64の切欠溝80と対向する部位に
も環状の切欠溝82が形成され、それら切欠溝80,8
2の間にばね部材としての圧縮コイルスプリング84が
配設されて、相対回転防止部材72を常に作用位置に向
かって付勢している。
【0019】相対回転防止部材72の外側に本体部材2
4とアダプタ12とを連結する連結部材86が配設され
ている。連結部材86は円筒状部88を備え、その円筒
状部88の内周面が、図3に示すように、第二フランジ
68の外周面と摺動可能に嵌合されている。円筒状部8
8の第二フランジ68に対向する部位の、直径方向に隔
たった2か所に、貫通穴90が形成されている。貫通穴
90はアダプタ12の軸方向に沿って延びる長穴であ
り、それら貫通穴90に幅方向に実質的に隙間なくピン
92がそれぞれ挿入されて、第二フランジ68に固定さ
れている。ピン92と貫通穴90とにより、連結部材8
6の本体部材24に対する軸方向の移動が制限されると
ともに、相対回転が防止されている。
【0020】図2に示すように、連結部材86の両端部
のうち後側端部の直径方向に隔たった二か所から半径方
向内向きに突出する係止爪94が形成されている。これ
ら係止爪94は、第二係合切欠70とは異なる位相位置
に形成されており、本実施形態においては、第二係合切
欠70から約90度ずれた位相位置に形成されている。
図3に示すように、係止爪94には、第一フランジ22
の後端面23に対向する係合面98がアダプタ12の軸
線に垂直に形成されている。この係合面98の周方向の
両端部が面取りされて、係止爪94と第二フランジ68
との軸方向の隙間が係止爪94の周方向の中央部に向け
て小さくなるように形成されている。このことにより、
係止爪94が第一係合切欠18を経て係合溝20に進入
する際に、第一係合切欠18の側面と係止爪94の側面
とが当接することが回避され、係止爪94が係合溝20
に進入し易くなっている。
【0021】連結部材86には、図4に示すように、前
述の貫通穴90より前方であって第一係合切欠18と同
位相の位置に、転動部材としての鋼球102が導入され
る導入穴104が形成されている。導入穴104は、連
結部材86がピン92により軸方向の移動が制限されて
いる状態において、鋼球102が配置される配置位置よ
り軸方向に後方にずれた位置に形成され、鋼球102が
所定の位置に配置された後では導入穴104へ戻ること
がないようにされている。
【0022】連結部材86の円筒状部88の前端部に、
後方に向かうに従ってアダプタ12の軸線から遠ざかる
向きに傾斜した内周側テーパ面106が形成されてい
る。内周側テーパ面106はアダプタ12の軸線と直交
する直交直線に対して45度以下に傾斜して形成される
ことが望ましく、本実施形態においては、直交直線に対
して約35度傾斜させられている。
【0023】連結部材86の外側に円筒状のカラー10
8が配設されている。カラー108は、相対回転防止部
材72に一体的に結合され、連結部材86と本体部材2
4に対して軸方向に相対移動可能とされている。さらに
具体的に説明する。カラー108の内周面と連結部材8
6の外周面とは実質的に隙間なくかつ摺動可能に嵌合さ
れ、カラー108は連結部材86の案内部材として機能
するようにされている。カラー108は、それの軸方向
の長さが連結部材86を覆うことができる長さとされ、
前述の導入穴104および貫通穴90を覆っている。カ
ラー108の前端部に半径方向内向きに突出するフラン
ジ状の結合部110が形成され、結合部110の内周が
相対回転防止部材72の外周面に精度良く嵌合されてい
る。結合部110の等角度間隔で隔たった4か所に、結
合部110を半径方向に貫通する雌ねじ穴が形成されて
いる。相対回転防止部材72の雌ねじ穴に対応する位置
に円錐径の係合凹部が形成され、雌ねじ穴に螺合された
結合部材としてのセットねじ112の先端が係合凹部に
係合させられることにより、カラー108が相対回転防
止部材72に相対移動不能に結合されている。
【0024】相対回転防止部材72と連結部材86との
間には、上記結合部110の後方に隙間が形成されてお
り、この隙間の係合片74と同位相位置に前記鋼球10
2が配置されている。鋼球102は、外周側テーパ面7
7と内周側テーパ面106とに係合可能な大きさとされ
ている。鋼球102と、第二フランジ68との間に、鋼
球102を保持する保持部材114が配設されている。
保持部材114は、連結部材86の内周面と係合片74
の外周面との間に摺動可能にかつ実質的に隙間なく配置
されて、半径方向に移動不能とされている。図6に示す
ように、保持部材114は当接面116を備え、この当
接面116が第二フランジ68に当接することにより、
軸方向後向きの移動が防止されている。保持部材114
にはさらに、軸方向後向きに延び出して第二係合切欠7
0に実質的に隙間なく嵌合され、保持部材114を周方
向に移動不能とする嵌合突部118が形成されており、
嵌合突部118の軸方向の長さは、第二係合切欠70か
ら突出しない長さとされている。保持部材114の鋼球
102に対向する部位に半径方向に延びる断面形状がほ
ぼ円形の保持溝120が形成され、鋼球102を半径方
向に転動可能に保持している。以上により、鋼球102
は半径方向には移動可能であるが軸方向後方へは移動不
能とされており、その鋼球102が2つのテーパ面7
7,106に係合することにより、相対回転防止部材7
2の軸方向の移動を変換して連結部材86に伝達する機
能を果たすようにされている。鋼球102は、相対回転
防止部材72が非作用位置へ移動した状態では、係合片
74によって内周側から支持支持される。係合片74は
前述のように厚くされているが、干渉回避溝78が形成
されているため、鋼球102と干渉することはない。
【0025】次に、工具ホルダ10のアダプタ12への
取り付けについて説明する。取付時には、本体部材24
の嵌合部26を嵌合穴16に挿入するのであるが、この
際、係止爪94と第一係合切欠18との位相を一致させ
て、係止爪94がアダプタ12の前端面14に当接しな
いようにする。この状態で嵌合部26を嵌合穴16に挿
入すれば、係止爪94が第一係合切欠18内へ進入し、
連結部材86の貫通穴90より後方の部分がアダプタ1
2の前端部の外側に嵌合される。このとき、係合片74
は係止爪94と異なる位相に形成されているのでアダプ
タ12の前端面14に当接し、相対回転防止部材72の
アダプタ12に対する移動が停止する。それに対して、
本体部材24は、圧縮コイルスプリング84を圧縮しつ
つ相対回転防止部材72に対して移動させられ、アダプ
タ12に嵌合される。
【0026】上記相対回転防止部材72の本体部材24
に対する相対移動に伴って、係合片74が、本体部材2
4に連結された連結部材86と、その連結部材86と保
持部材114とにより保持された鋼球102とに対し
て、相対的に前方へ移動する。しかし、係合片74には
干渉回避溝78が形成されており、この干渉回避溝78
の溝底面は外周側テーパ面77と滑らかにつながってい
るので、鋼球102は外周側テーパ面106から干渉回
避溝78へ滑らかに転動し、係合片74により内周側か
ら支持される。
【0027】本体部材24の第二フランジ68の後端面
71がアダプタ12の前端面14に当接すれば、本体部
材24のアダプタ12に対する軸方向の移動が停止させ
られる。このとき、係止爪94は、第一係合切欠18を
通過して係合溝20に到達している。この状態で本体部
材24をいずれかの方向へ約90度回転させると、相対
回転防止部材72と連結部材86とカラー108とが本
体部材24と一体的に回転させられ、係止爪94が第一
係合切欠18に対応する位置から係合溝20内へ進入す
るとともに、第二係合切欠70と第1係合切欠18との
位相が一致する。そのため、第二係合切欠70にのみ係
合していた係合片74が圧縮コイルスプリング84の付
勢力により第一係合切欠18内へ移動させられ、相対回
転防止部材72が本体部材24とアダプタ12との相対
回転を禁止する作用位置に位置する状態となる。
【0028】このように相対回転防止部材72が非作用
位置から作用位置に移動する際に、鋼球102が干渉回
避溝78から外周側テーパ面77側へ滑らかに転動し、
外周側テーパ面77の斜面の作用により半径方向外向き
に移動させられる。鋼球102が半径方向外向きに移動
させられると、鋼球102と係合している内周側テーパ
面106が鋼球102に押され、連結部材86が軸方向
前向きに移動させられる。外周側テーパ面77と鋼球1
02と内周側テーパ面106とにより、圧縮コイルスプ
リング84による付勢力の力の向きが逆向きに変換され
て連結部材86に伝達されるのである。連結部材86が
軸方向前向きに移動することにより、係合面98が第一
フランジ22の後端面23に当接し、アダプタ12の端
面14と第二フランジ68の後端面71とを押し付け
る。本実施形態においては、外周側テーパ面77が軸線
に対して約15度に傾斜させられ、内周面側テーパ面1
06が軸線に直交する直線に対して約15度に傾斜させ
られている。このため、圧縮コイルスプリング84の付
勢力は、2つのテーパ面77,106によりそれぞれ倍
力されて連結部材86に伝達される。したがって、上記
前端面14と後端面71とは圧縮コイルスプリング84
の付勢力より大きな力で強固に押し付けられ、本体部材
24がアダプタ12に軸方向の隙間なく取り付けられ
る。
【0029】本実施形態においては、転動体としての鋼
球102が係合片74と同位相に配置され、相対回転防
止部材72が非作用位置にある状態で、係合片74によ
り内周側から支持されるようになっている。そのため、
図9に示した従来の工具ホルダ200におけるように、
フランジ部214と第一のテーパ面232との間に、鋼
球102を内周側から支持するための鋼球支持部244
を設ける必要がなく、その分だけ工具ホルダの工作機械
からの突出量を小さくすることができる。
【0030】また、カラー108と連結部材86とが摺
動可能に嵌合されることにより、連結部材86の軸線に
対する傾きが良好に防止されている。カラー108がな
い場合には、連結部材86は軸方向の寸法が小さい第二
フランジ68によってのみ支持されることとなり、軸線
に対する傾き防止が不十分となる。それに対して、カラ
ー108が相対回転防止部材72に固定され、そのカラ
ー108に連結部材86が軸方向に長い外周面において
嵌合されているため、傾きが良好に防止されるのであ
る。
【0031】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、第一フランジ22の後端面23が「係合
面」を構成し、外周側テーパ面77が「第一傾斜面」を
構成している。また、係合片74が「第一係合片」を、
係止爪94が「第二係合片」を、鋼球102が「転動
体」を、内周側テーパ面106が「第二傾斜面」をそれ
ぞれ構成している。そして、クランプナット64と圧縮
コイルスプリング84とが相対回転防止部材72の付勢
装置を構成している。
【0032】なお、本実施形態においては、係合面98
の周方向両端部(取付時における本体部材24の回転方
向が決まっている場合には片側の端部のみでよい)が面
取りされることにより係止爪94が係合溝20に進入し
易くされているが、第一フランジ22の後端面23の、
第一係合切欠18の少なくとも片側の分が面取りされて
も同様の効果が得られる。係止爪94と第一係合切欠1
8と両方が面取りされてもよい。また、転動体として鋼
球102が使用されているが、鋼球102の代わりに円
筒体が配置されてもよい。
【0033】さらに、干渉回避溝78が係合片74にの
み形成されているが、係合片74から円筒状部まで連続
して形成されるとともに、係合片74から離れるに従っ
て浅くされ、溝底面が係合片74から離れるに従ってア
ダプタ12の軸線から離れる向きに傾斜した傾斜面とさ
れてもよい。この場合は、転動体としての鋼球102と
の干渉を回避する干渉回避溝というよりは、鋼球102
等を保持する保持溝というべきものになり、傾斜した溝
底面が第一傾斜面として機能する。干渉回避溝78ある
いは保持溝の横断面形状、特に、保持溝の傾斜した溝底
面は、転動体の形状に対応した形状とされることが望ま
しい。例えば、転動体が球体である場合には、横断面形
状が弓形あるいは半円形とされ、転動体と溝底面とが線
接触するようにされることが望ましいのである。
【0034】前記実施形態において、第一係合切欠18
は直径方向に隔たった2か所に形成されているが、等角
度間隔に隔った3か所以上に形成されてもよい。また、
係止爪94が第一係合切欠18を通過した後で本体部材
24が回転させられて、係合片74が第一係合切欠18
に係合するようにされているが、第一フランジ22に、
第一係合切欠18とは別に係止爪94を通過させて係合
溝20に進入させるための係止爪用切欠が形成されても
よい。この場合、係止爪94と係合片74とが90度ず
れた位相位置に形成され、係止爪用切欠と第一係合切欠
18とが45度ずれた位相に形成されれば、係止爪94
が第一フランジ22を通過して係合溝20に進入した後
で、本体部材24が45度回転させられれば、係合片7
4と第一係合切欠18とが係合する。係止爪94と係合
片74との位相差より小さい角度の回転により係合片7
4と第一係合切欠18とを係合させることが可能となる
のである。
【0035】また、図7に示すように、第二係合切欠7
0の両側に保持部材114の形状に対応する受座122
が形成されてもよい。その際に、受座122は、第二フ
ランジ68を軸方向に貫通して形成されてもよいが、途
中まで形成され、受座122の側面124が保持部材1
14の後ろ向きの移動の限度を規定する当接面として機
能するようにされることが望ましい。本態様において
は、保持部材114の内周面が係合片74と受座122
とにより支持され、保持部材114の安定性が向上す
る。
【0036】以上、本発明のいくつかの実施形態を説明
したが、本発明はこれらの他にも、前記〔発明が解決し
ようとする課題,課題解決手段および発明の効果〕の項
に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づい
て種々の変更,改良を施した態様で実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である工具ホルダを示
す正面図(一部断面)である。
【図2】図1の工具ホルダの右側面図である。
【図3】図1の工具ホルダの90度位相を異にする部分
の断面図である。
【図4】図1の工具ホルダの主要部を拡大して示す図で
ある。
【図5】図1の工具ホルダの構成要素の一つである相対
回転防止部材とアダプタとを示す平面図である。
【図6】図1の工具ホルダの構成要素の一つである保持
部材を示す平面図である。
【図7】図1の工具ホルダの構成要素の一つである保持
部材の別の態様を示す平面図である。
【図8】従来の工具ホルダの一例を示す正面図(一部断
面)である。
【図9】図8の工具ホルダの主要部を拡大して示す図で
ある。
【図10】図8の工具ホルダの90度位相を異にする部
分の断面図である。
【符号の簡単な説明】
10:工具ホルダ 12:アダプタ 14:前端面
16:嵌合穴 18:第一係合切欠 22:第一フランジ 24:
本体部材 26:嵌合部 28:工具保持部 6
8:第二フランジ 70:第二係合切欠 72:相
対回転防止部材 74:係合片 77:外周側テー
パ面 84:圧縮コイルスプリング 86:連結部
材 94:係止爪 102:鋼球 106:内周側テーパ面 114:保持部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】概して円筒状をなし、先端面から軸方向に
    延びた第一係合切欠と、先端部外周面から半径方向外向
    きに延び出た第一フランジとを備えた工具保持軸に、加
    工工具を着脱するための工具ホルダであって、 前記加工工具を保持する工具保持部と嵌合軸部とを備え
    て概して軸状をなし、それら工具保持部と嵌合軸部との
    境界部の外周面から半径方向外向きに突出した第二フラ
    ンジと、その第二フランジの前記第一係合切欠に対応す
    る位置に形成された第二係合切欠とを備え、嵌合軸部が
    前記工具保持軸に第二フランジが工具保持軸の先端面に
    当接するまで嵌合される本体部材と、 前記工具保持部の外周面に嵌合された円筒状部と、その
    円筒状部から軸方向に延び出た第一係合片とを備え、第
    一係合片が前記第一係合切欠および前記第二係合切欠の
    両方に係合する作用位置と、第一係合片が第一係合切欠
    から離脱して第二係合切欠にのみ係合する非作用位置と
    に移動可能な相対回転防止部材と、 その相対回転防止部材を前記作用位置に向かって付勢す
    る付勢装置と、 前記相対回転防止部材の外周側に配設され、前記本体部
    材に対して相対回転不能かつ軸方向に相対移動可能な円
    筒状部と、その円筒状部と一体的にかつ前記第一係合片
    とは異なる位相で設けられ、第一係合片が前記第一係合
    切欠と係合する状態で前記第一フランジの前記先端面側
    とは反対側の面である係合面に係合する第二係合片とを
    備えた連結部材と、 その連結部材と前記相対回転防止部材との間に設けら
    れ、相対回転防止部材の前記付勢装置の付勢力による前
    進運動を、連結部材を逆向きに移動させて前記第二係合
    片を前記係合面に係合させる後退運動に変換する運動変
    換装置とを含み、かつ、運動変換装置が、 前記相対回転防止部材の外周面の少なくとも前記第一係
    合片と同位相の位置に、第一係合片の先端側に向かうに
    従って内周側に向かう向きに傾斜して形成された第一傾
    斜面と、 前記連結部材の内周面の少なくとも第一係合片と同位相
    の位置に、前記第一傾斜面とは逆向きに傾斜して形成さ
    れた第二傾斜面と、 前記第一係合片と同位相の位置に配設され、前記第一傾
    斜面および前記第二傾斜面と係合可能な転動体と、 その転動体を前記本体部材に対して半径方向に相対移動
    可能かつ前記嵌合軸部に向かう向きに相対移動不能に保
    持する転動体保持装置とを含むことを特徴とする工具ホ
    ルダ。
JP11232341A 1999-08-19 1999-08-19 工具ホルダ Pending JP2001054833A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11232341A JP2001054833A (ja) 1999-08-19 1999-08-19 工具ホルダ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11232341A JP2001054833A (ja) 1999-08-19 1999-08-19 工具ホルダ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001054833A true JP2001054833A (ja) 2001-02-27

Family

ID=16937696

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11232341A Pending JP2001054833A (ja) 1999-08-19 1999-08-19 工具ホルダ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001054833A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100578638B1 (ko) 2004-12-22 2006-05-11 두산메카텍 주식회사 선반용 툴홀더 회전 방지장치

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100578638B1 (ko) 2004-12-22 2006-05-11 두산메카텍 주식회사 선반용 툴홀더 회전 방지장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1295675B1 (en) Tool holder mounting structure
US7296803B2 (en) Chuck
JPS6047047B2 (ja) タツプホルダ
JP2001054833A (ja) 工具ホルダ
EP1380373B1 (en) Clamping nut and tool holder with the clamping nut, and spanner
JP3214842U (ja) アングルヘッドホルダ用チャッキング構造
JPH09262707A (ja) ツールチャック
JP2711948B2 (ja) 軸等の固定構造
JP2986394B2 (ja) 孔加工工具
JP3691957B2 (ja) クランプ装置,固定装置およびバルブシート加工工具装置
JPH0651243B2 (ja) 締め付け具
JPH0546802Y2 (ja)
JPH056037Y2 (ja)
JPH0112887Y2 (ja)
JP2594877Y2 (ja) 工具保持装置
JP3265335B2 (ja) 工具ホルダ
JP4165972B2 (ja) 空気動工具
JPH0222164Y2 (ja)
JPH0351054Y2 (ja)
JPH0347804Y2 (ja)
JPH0325868Y2 (ja)
JPH026991Y2 (ja)
JP2535269Y2 (ja) コレットチャック
JP2009107086A (ja) バルブシート加工工具
JPH0750085Y2 (ja) 加工工具保持装置