JP2001053391A - 半導体装置の製造方法,半導体レーザの製造方法,及び量子細線構造の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法,半導体レーザの製造方法,及び量子細線構造の製造方法

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JP2001053391A JP2000173886A JP2000173886A JP2001053391A JP 2001053391 A JP2001053391 A JP 2001053391A JP 2000173886 A JP2000173886 A JP 2000173886A JP 2000173886 A JP2000173886 A JP 2000173886A JP 2001053391 A JP2001053391 A JP 2001053391A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドライエッチングとMOCVD再成長を組み
合わせたプロセスにおいて、特にAlGaAsのGaA
s再成長層の結晶品質向上を図る。 【構成】 AlGaAs上にGaAsキャップ層をあら
かじめ形成しておき、ドライエッチングは上記GaAs
キャップ層より行うものとし、さらにエッチングに先立
って硫化アンモニウム溶液にてキャップGaAs表面の
クリーニングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体装置の製造方
法,半導体レーザの製造方法,及び量子細線構造の製造
方法に関し、特にドライエッチングとエピタキシャル成
長とを組み合わせた複合プロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体レーザダイオードや量子細
線構造の製造工程において、エッチングと再成長を組み
合わせた微細構造作製技術の開発が活発化している。こ
れは結晶の一部を選択的にエッチングしそこに改めて周
りの結晶とは電気的,光学的に異なるエピタキシャル層
の成長を行うことで、所望の電子状態を実現しようとす
る技術である。このようなプロセスにおいては所望の形
状を制御性よく形成する技術とともに再成長界面の清浄
度を制御する技術の開発が重要な課題として注目されて
いる。特にAlGaAsに関してはAlが非常に酸化し
やすい材料であるため、表面に形成される酸化膜によっ
てエッチングが阻害され所望の形状が得られず、あるい
は再成長界面が汚染されるために再成長層の結晶品質が
著しく低下するなどの問題点が生じ、デバイス応用に際
して解決すべき重要な課題となっている。
【0003】例えば特公平3−59576に従来のAl
GaAsのエッチング方法の一例とし以下に示す方法が
開示されている。即ち反応性ドライエッチングの手法を
用いてAlGaAsをエッチングする際にAlGaAs
の表面酸化を排除するため、AlGaAsに連続してG
aAs保護層をあらかじめ形成することでAlGaAs
表面の酸化膜の形成を未然に防止することができるとい
う方法である。反応性ドライエッチングを上記GaAs
保護層から開始することで初めてAlGaAsの良好な
エッチングができたと報告している。なお、AlGaA
sをHClガスを用いてガスエッチングする際に、Ga
Asキャップ層を採用することで、良好なエッチングが
可能である旨の記載は、上記公報の他、特開昭61−1
84892号公報にもなされている。
【0004】図34は例えば特公平3−55439に開
示された、第2の従来例である化合物半導体の気相エッ
チング方法を説明するための図である。図において、2
41は反応管、242は基板ホルダ、243は半導体基
板、244は抵抗加熱手段、245はバイパスパイプ、
246は低温領域、247は高温領域、248はエッチ
ングガス導入口をそれぞれ示している。
【0005】このエッチング方法は半導体基板243を
低温領域246で保持し、ここでHClを半導体基板2
43表面に充分に吸着させた後、半導体基板243を高
温領域247に移動させ、一定時間保持した後再び低温
領域246に移動させることを1サイクルとしてエッチ
ングを施す方法である。この方法によれば、温度400
℃程度の低温領域246ではHClガスを供給してもエ
ッチングを生じることはなく、基板表面へのClの吸着
のみが生じる。しかる後、半導体基板を600℃以上の
高温領域247に移動させた際に吸着したClがGaC
3として半導体表面から脱離し1分子層の単位でエッ
チングが行われるため、制御性よくエッチングを行うこ
とができる。
【0006】図35は例えばアプライドフィジックスレ
ターズ,1989年,55巻,2715〜2717ペー
ジ(Applied Physicss Letters, 55(1989), pp2715-271
7)に開示された、第3の従来例である量子細線レーザの
構造を示す断面構造図である。図において、250はn
+−GaAs基板、251はn−Aly Ga1-y As第
1クラッド層、252はAlx Ga1-x Asバリア層、
253はGaAs量子井戸層、254はAlx Ga1-x
Asバリア層、255はp−Aly Ga1-y As第2ク
ラッド層、256はp+−GaAsキャップ層、257
はTi/Au電極、258はイオン注入による高抵抗化
領域である。また259は量子細線が形成された活性領
域を示している。
【0007】この第3の従来例における半導体レーザ
は、V字型の溝を形成したn+−GaAs基板250上
にn−Aly Ga1-y As第1クラッド層251、Al
x Ga 1-x Asバリア層252,254とGaAsウ
ェル層253からなる活性層、p−Aly Ga1-y As
第2クラッド層255、及びP+−GaAsキャップ層
256を順次積層して形成されており、p−Aly Ga
1-y As第2クラッド層255の一部はイオン注入によ
り高抵抗化され電流狭窄層258を形成している。
【0008】ここで活性層は通常の平面基板上では量子
井戸構造となるが、V字型の溝の底部付近では以下に示
す理由により量子細線構造が形成される。
【0009】図において半導体主面は(100)面であ
り、V字型の溝は[0/11]方向に通常の写真製版工
程とウェットエッチングの手法を用いて形成されてい
る。従ってV字溝の側面は(111)A面となる。典型
的なMOCVDの成長条件では(100)面上の成長速
度と、(111)A面上の成長速度とはほぼ等しいた
め、図35に示すようにV字溝に沿って各層が平行に成
長するような成長形態をとる。この時V字底部の先端部
は若干の丸みを帯びているため、部分的には(100)
面が露呈しておりV字底部の先端部のごく狭い領域にお
いては(100)面と垂直な方向に成長し、V字側面と
比較して膜厚が厚くなる。このようにしてGaAs量子
井戸層はV字底部において三日月型の量子細線259を
形成する。
【0010】図33は例えばジャパニーズジャーナルオ
ブアプライドフィジックス,1991年,30巻,L9
04〜L906ページ(Japanese Journal of Applied
Physics, Vol.30, (1991) ,pp.L904-L906) に開示され
た、第4の従来例であるレーザ発振端面に窓構造を有す
る高出力レーザの構造の一例を示す斜視図である。図に
おいて、231はp−GaAs基板、232はn−Ga
As電流ブロック層、233はp−Al0.33Ga0.67
sクラッド層、244はp−Al0.08Ga0.92As活性
層、235はn−Al0.33Ga0.67Asクラッド層、2
36はn−GaAsコンタクト層である。また237は
劈開により形成された(110)端面、238は劈開端
面237上に形成されたアンドープAl0.4Ga0.6As
窓層である。
【0011】次に上記従来の高出力レーザに採用されて
いる窓構造について説明する。AlGaAs系の高出力
レーザにおいては、レーザの発振端面において多くの表
面準位が形成されている。この表面準位の影響により端
面近傍はレーザ中央部と比較して、等価的にバンドギャ
ップの減少が生じている。従ってレーザ光の波長に対し
ては端面近傍領域は吸収領域となり、光出力増加に伴っ
て上記吸収領域での局所的発熱が大きくなる。バンドギ
ャップは温度の上昇に伴って縮小するため、レーザ光の
吸収はさらに増大し、温度上昇を引き起こすという正帰
還がかかり、ついには溶融破壊にいたる。この現象を光
学損傷といいAlGaAs系の高出力レーザにおいて深
刻な問題となっている。窓構造はレーザ発振端面近傍領
域にレーザの発振波長よりもバンドギャップの大きい領
域を設けることで、端面近傍での光吸収を減少させ上記
光学損傷を防止する目的で設けられている。
【0012】上記従来の高出力レーザにおいては、窓構
造を形成するにあって以下に示す工程を施している。ま
ず通常のウェットエッチングとLPE成長を組み合わせ
てレーザ構造を作製する。即ち、p−GaAs基板23
1上にn−GaAs電流ブロック層232を結晶成長し
た後、素子中央部に電流ブロック層232を貫通し基板
231に達するストライプ状のV溝を形成する。この
後、ウエハ上にp−Al 0.33Ga0.67Asクラッド層2
33、p−Al0.08Ga0.92As活性層244、n−A
0.33Ga0.67Asクラッド層235、及びn−GaA
sコンタクト層236を順次結晶成長する。次にウェハ
を所望の厚みまで研磨した後、共振器長に相当する幅の
バー状に劈開する。典型的な高出力レーザでは共振器長
は300〜600μmである。次に劈開したウェハの共
振器端面に相当する部分に発振レーザ光のエネルギーバ
ンドギャップの大きい材料をMOCVD法により成長す
る。
【0013】本従来例の場合、レーザ発振波長は830
nmであり、エネルギーに換算して約1.49eVであ
るので、窓層として約1.93eVのバンドギャップを
有するアンドープAl0.4Ga0.6 As層238を用い
ている。次に電極形成を行い最後に窓層端面のコーティ
ングを行った後、チップ分離を行いレーザチップとして
完成する。上記ジャパニーズジャーナルオブアプライド
フィジックス,1991年,30巻,L904〜L90
6ページには窓構造を採用することにより光学損傷が抑
制され高出力化と長寿命化を図ることができたと報告さ
れている。
【0014】また、図36はIEEE ジャーナルオブ
カンタムエレクトロニクス,1987年,23巻,72
0ページ(IEEE J. of Quantum Elections Vol.23(198
7), 720ページ)に示された方法を用いた、第5の従来
例である半導体レーザの製造方法を示す断面工程図であ
る。図において、300はn−GaAs基板、301は
n−GaAsバッファ層、302はn−AlGaAsク
ラッド層、303はアンドープGaAs活性層、304
はp−AlGaAsクラッド層、305はn−GaAs
電流ブロック層、306はSiO2膜、307はp−A
lGaAs埋め込み層、308はp−GaAsコンタク
ト層である。
【0015】次に製造方法について説明する。まず、
(100)面を主面とするn−GaAs基板300上に
MOCVD法によりn−GaAsバッファ層301,n
−AlGaAsクラッド層302,アンドープGaAs
活性層303,p−AlGaAsクラッド層304,及
びn−GaAs電流ブロック層305を順次結晶成長し
た後、スパッタによりSiO膜306を電流ブロック層
305表面に成膜し、これを通常の写真製版プロセス等
を用いてパターニングしストライプ状の開口部を形成す
る(図36(a) )。開口部のストライプ方向は[0/1
1]である。
【0016】次に、酒石酸系のエッチング液を用いてn
−GaAs電流ブロック層305をエッチングし、図3
6(b) のように溝を形成する。ここで、このウェットエ
ッチングでは溝の底部にn−GaAs電流ブロック層3
05をわずかに残す。これはGaAs電流ブロック層を
残さずエッチングした場合、露出したp−AlGaAs
クラッド層304が空気中及び水溶液中で酸化し、その
上に成長する結晶に悪影響を与えるため、これを防止す
るためである。なおこの溝側面には(111)A面が現
れる。
【0017】次に、ウエハをMOCVD室の反応管内に
セットし、反応管内にHClとAsH3 を流して残りの
n−GaAs電流ブロック層305を気相エッチングし
て除去する(図36(c) )。
【0018】次に、上記気相エッチング工程に連続し
て、ウエハを空気をふれさせることなく反応管内におい
て溝内に選択的にp−AlGaAsクラッド層307を
MOCVDにより結晶成長させる。この際図36(d) の
ように、表面がフラットになるようには埋まらない。こ
れは、図37に示すように、側面の(111)A面と底
面の(100)面の両面から成長が始まり、側面とSi
O膜306が接したところから(100)表面に対して
約54°の角度をもつ(111)B面が形成され、この
図に示すようにウエハ上に凸の部分ができるからであ
る。
【0019】最後にSiO膜306をHF系エッチング
液で除去した後、再びMOCVD法でp−GaAsコン
タクト層308を成長する。図36(e) に示すように、
p−GaAsコンタクト層を厚く成長しても表面の凸部
は平坦にはならない。
【0020】ところで、異種基板上の結晶成長技術は、
例えばSi電子デバイスと化合物半導体発光デバイスの
融合化等、より高度な情報処理手段実現のためのキーテ
クノロジーであり、多くの研究機関で精力的な研究が行
われている。特にSi基板上のGaAs成長技術は応用
範囲の広範さからその技術の確立が強く望まれている
が、GaAsとSiの熱膨張係数の違いに起因してGa
As層に大きなストレスが残留し、その結果GaAs層
にクラックが発生するといった問題点が未解決の問題と
して残されている。
【0021】図38は、例えば米国特許5145793
号に開示された、第6の従来例であるSi基板上GaA
s結晶成長方法におけるクラック発生の抑制方法を説明
するための断面構造図である。図において、501はS
i基板、502はボロンナイトライド膜(以下、BN膜
と称す)、503は第1のGaAs層、505は第2の
GaAs層、506は第3のGaAs層、504はメサ
溝である。
【0022】まず、図38(a) に示すように、Si基板
501の第1の主面上に2μm以下の厚みの第1のGa
As層503をいわゆる2段階成長方法によって形成
し、その後、Si基板501の第2の主面上に常温でB
N膜502を形成する。ここで2段階成長法とは、50
0℃以下の低温で100〜400オングストローム程度
の低温バッファ層を形成し、しかる後GaAsの成長に
適した700℃程度の温度に昇温し、所望の厚みのGa
As層を成長させる方法であり、Si基板上のGaAs
成長に広く用いられている手法である。2段階成長法を
用いることでGaAsの3次元成長が抑制され、高品質
なエピタキシャル成長層が得られるという効果がある。
【0023】次に、図38(b) に示すように、第1のG
aAs層503のデバイス作成領域に相当する部分を取
り囲むようにメサ溝504を形成する。メサ溝504は
通常のフォトリソグラフィーとウエットエッチングによ
って容易に形成できる。
【0024】次に、このメサ溝504を形成したウエハ
を700〜800℃程度に昇温した後(図38(c) )、
ウエハ上に、図38(d) に示すように、デバイスの活性
層となる第2のGaAs層505,及び第3のGaAs
層506を順次通常のMOCVD法によって形成する。
この結晶成長では、メサ溝部に露出したSi基板501
表面上には自然酸化膜が形成されているためにGaAs
結晶は成長されず、GaAs層の選択成長が行なわれ
る。
【0025】本従来例においては、この後、第1のGa
As層503形成後に設けられたメサ溝504周辺部の
GaAs層を選択的に除去して、図38(e) に示すよう
に、メサ溝504より幅の広いメサ溝507を形成して
いる。第2,第3のGaAs層の成長工程において、メ
サ溝部に飛来した反応ガスはSi基板上には堆積せず、
メサ溝周辺部のGaAsの成長に消費される。このため
メサ溝周辺部では成長層が厚くなり、特にエッジ部分で
は鋭く盛り上がってしまう。この盛り上がり部分では、
機械的ストレスが集中するため、この部分からクラック
が発生してしまう。このような盛り上がり部分を選択的
に除去して形成されたのがメサ溝507である。
【0026】なお、本従来例においてSi基板の第2の
主面にBN膜502を形成しているのはウエハの反りを
抑制するためである。
【0027】次に、本従来例の効果について説明する。
図40に示すように、Si基板上のGaAs成長層のク
ラックの発生とGaAs層の厚みとは密接に関係してい
る。
【0028】すなわち、クラックはGaAs層の厚みが
3μm以上で発生し始め、GaAs層厚みの増加と共に
クラックの発生も増加する。これらクラックの発生状況
を調べたところ、大部分がウエハ端の異常成長を起点と
して発生することが明らかになった。そこで本従来例で
は、クラックがほとんど発生しない2μm以下の厚みの
第1のGaAs層503をまず成長し、次にデバイス領
域となる部分を囲むようにメサ溝504を形成した後、
デバイスの活性領域となる第2のGaAs層505,及
び第3のGaAs層506を形成するように構成してい
る。このように構成することで、ウエハ端からのクラッ
クはメサ溝504までは伝播するが、メサ溝504の内
側のエリアへは伝播せず、デバイス領域のクラック数を
抑制することができる。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】次に、第1の従来例と
して示した特公平3−59576に開示されたAlGa
Asのエッチング方法における問題点について説明す
る。図30,及び図31は第1の従来例におけるAlG
aAsのエッチング方法の効果を確認するために行なっ
た実験のサンプル構造を説明するための断面構造図であ
る。これら図において、1は再成長GaAs層、2はA
x Ga1-x As層、23はGaAs基板、211は
GaAsキャップ層である。図30,図31に示す第
1,第2の2種類のサンプルをそれぞれ図30(a) 〜
(c) ,及び図31(a) 〜(c) の各工程に従って作製し
た。まず第1の結晶成長工程として、第1のサンプルで
は図30(a) に示すように、GaAs基板23上にAl
x Ga1-x As層2とGaAsキャップ層211をMO
CVD法によって連続して成長した。一方、第2のサン
プルでは図31(a) に示すように、GaAs基板23上
にAl x Ga1-x As層2のみをMOCVD法によっ
て成長した。各層の厚みはAlxGa1-x As層2が2
μm、GaAsキャップ層211が0.1μmである。
この後、上記2種類のサンプルを一度チャンバーより取
出し、空気中で数日間保管した。次工程においては、H
Clガスを用いたガスエッチングの手法を用いて、図3
0(b) 及び図31(b) に示すように、1μmのエッチン
グを施し、引き続き、同一チャンバー内で、図30(c)
及び図31(c) に示すように、通常のMOCVD法によ
り再成長GaAs層1を2μm成長した。
【0030】図32に上記2種類のサンプルのAlx
1-x As層2と再成長GaAs層1の界面,即ち再成
長界面近傍の不純物分析をSIMS分析の手法を用いて
行った結果について示す。図において、1は再成長Ga
As層、2はAlx Ga1-xAs層、3は再成長界面で
ある。図32(a) は図30に示した第1のサンプルのS
IMS分析結果を、図32(b) は図31に示した第2の
サンプルのSIMS分析結果をそれぞれ示している。図
に示すように2種類のサンプルとも再成長界面に酸素
(O),塩素(Cl)の偏析が認められた。また2種類
のサンプルについて再成長GaAs層の転移密度を調べ
たところ、第2のサンプルが5×108個/cm2、第1の
サンプルが5×105個/cm2であった。
【0031】以上の結果は次のように解釈される。表面
酸化したAlx Ga1-x As層2よりエッチングを開
始した第2のサンプルではエッチング工程において表面
の酸化膜と塩素とが化合し、エッチング生成物としてウ
ェハ表面に付着,残留し、再成長界面3に偏析したもの
と考えられる。さらにこの酸素,塩素の再成長界面3へ
の偏析が再成長GaAs層1の結晶品質を著しく劣化さ
せる原因となっている。
【0032】一方GaAsキャップ層211を設けた第
1のサンプルではGaAsキャップ層211によりAl
x Ga1-x As層2表面の酸化が抑制され、再成長界面
3における酸素と塩素の偏析が第2のサンプルと比較し
て低いレベルに抑えられており、キャップ構造を採用す
ることによる改善効果が確認できた。しかし依然として
再成長界面への酸素,塩素の偏析は生じており、再成長
GaAs層の転移密度も化合物半導体デバイスに要求さ
れる典型的な転移密度1×104個/cm2と比較して1桁
以上劣化していた。この結果はGaAsキャップ層表面
のわずかな酸化膜によっても再成長界面3への酸素,塩
素の蓄積が生じることを示している。
【0033】即ちGaAsキャップ構造を採用しただけ
では、AlGaAsの清浄なエッチングを得ることは困
難であり、特公平3−59576に開示された技術のみ
では清浄なエッチングと高品質な再成長GaAs層を得
ることは困難であるなどの問題点があった。
【0034】次に第2の従来例として示した従来の化合
物半導体の気相エッチング方法における問題点について
説明する。第2の従来例における化合物半導体の気相エ
ッチング方法は上述のように構成されているので、高温
領域と低温領域との間でウェハの移動を繰り返さなけれ
ばならず、しかも基板温度が特定の温度となるまで一定
時間保持する必要があるために1サイクルのエッチング
にかかる時間が数分かかるなど、エッチングレートが極
めて遅く、実用的なプロセスではなかった。さらにGa
As表面からのAsの脱離とGaの脱離を独立に制御す
ることが困難であり、平滑なエッチングを行うことが困
難であるなどの問題点があった。
【0035】次に第3の従来例として示した従来の量子
細線レーザにおける問題点について説明する。第3の従
来例における量子細線レーザは上述のように構成されて
いるので、次に示すような問題点があった。即ちレーザ
の活性領域を形成する量子細線が制御性よく形成できな
いという問題点である。第3の従来例においては(11
1)A面で構成されたV字溝にレーザ構造を埋め込む構
成になっており、そのV字底部のごく狭い領域のみに三
日月型の量子細線を形成するとしている。しか上述のよ
うに典型的なMOCVD法の成長条件では(111)A
面上の成長速度は(100)面上の成長速度とほぼ等し
いため、V字表面には量子井戸構造が形成され、この量
子井戸構造に連続して厚みの厚い三日月型の量子細線が
形成されるため、活性領域のとる電子状態は量子井戸と
量子細線の複合された電子状態となり、レーザの発振モ
ードも多モード型となる。さらに量子細線が量子井戸と
結合された構造となっているので、量子細線としての特
性を独立に引き出すことが困難である。従って第3の従
来例では同一の特性を有する量子細線を制御性,再現性
よく形成することは困難であるなどの問題点があった。
【0036】次に第4の従来例として示した従来の高出
力レーザにおける問題点について説明する。第4の従来
例における高出力レーザは上述のように構成されてお
り、レーザの基本構造を構成する結晶成長工程を終了し
た後、ウェハを所望の厚みまで研磨し、次に共振器長に
相当する幅のバー状に劈開し、次に劈開したウェハの共
振器端面に相当する部分に窓層をMOCVD法により成
長し、次に電極形成を行ない、最後に窓層端面のコーテ
ィングを行なったのちチップ分離を行うという複雑な工
程により作製されている。通常半導体レーザの製造工程
は、量産性,再現性を確保するために電極形成まではウ
ェハ状態のまま行なわれる。即ち、共振器長に相当する
幅のバー状に劈開したウェハの共振器端面に相当する部
分に窓層を形成するという第4の従来例に示された方法
は極めて量産性に乏しく、工業的に有用な製造方法とは
考えにくい。さらに劈開により共振器端面を形成した後
に窓層をMOCVD法によって形成する場合、劈開を空
気中で行うかぎり共振器端面はすぐに酸化し表面準位を
形成する。すでに表面準位を形成した共振器端面上に窓
層を形成しても所望の効果を得ることは困難であり、所
望の効果を得るためには劈開から窓層成長までの工程を
不活性ガス中か真空中で行なう必要があるなどの問題点
があった。
【0037】上記第4の従来例がこのような複雑な工程
を用いて構成されている理由を次に示す。レーザの共振
器端面はレーザ光の反射端面でもあり、光学的に極めて
平坦な面で形成されている必要がある。さらに共振器方
向に垂直な平面である必要もある。その結果半導体の主
面を(100)面とし(100)面と垂直な劈開面を共
振器端面とする従来の製造方法が提案され、一般的な製
造方法として確立されるに至った。しかし半導体レーザ
の高出力化,多機能化が進むにつれウェハ状態のままで
レーザの共振器端面を形成する技術の確立が強く望まれ
るようになり、例えばリアクティブイオンエッチング法
(RIE法)などのドライエッチングの手法を用いた端
面形成法が開発されつつある。しかし現状のRIE法で
は垂直なエッチングは可能であるが、イオンの衝突によ
る物理的なダメージが共振器端面の結晶品質を劣化させ
るなどの問題が生じている。さらには劈開面と同等レベ
ルの平坦性を確保することが困難であり、RIE法によ
る端面形成技術の確立には至っていない。以上の理由に
より現有の技術ではレーザ発振端面は劈開により形成せ
ざるを得ないため、端面窓構造を有する高出力レーザの
製造方法は、上記第4の従来例のようにウェハを劈開し
た後に窓層を形成するという複雑な製造方法となってい
る。
【0038】次に第5の従来例として示した従来の半導
体レーザの製造方法における問題点について説明する。
第5の従来例における半導体レーザの製造方法は以上の
ように構成されているので、表面上に凸部ができ、結晶
成長後のプロセス、例えば上部電極のパターニング等に
おける写真製版ができなくなるという問題点があり、ま
た、この方法により製造された半導体レーザをジャンク
ションダウン(Junction-down )即ち、ヒートシンク上
にp−GaAsコンタクト層側をヒートシンクとの当接
面として組み立てた場合、活性層に圧縮ストレスがかか
りレーザの信頼性に影響するという問題点があった。
【0039】次に第6の従来例として示した従来の結晶
成長方法における問題点について説明する。従来のSi
基板上GaAs結晶成長方法は以上のように構成されて
いるので、次に示すような問題点があった。図39は従
来のSi基板上GaAs結晶成長方法の問題点を説明す
るための図である。図において、510はGaAs層、
511はクラックを示している。我々の詳細な実験によ
ると、従来の技術の項でも述べたようにGaAs層のク
ラックの大部分はウエハ端より発生しており、本従来例
におけるメサ構造により、ウエハ端で発生したクラック
はほぼ全数メサ溝504で分断され、デバイスエリアへ
は貫通しないことを確認した。しかし、5cm×5cmのメ
サ溝領域内に十数本のクラックが発生し、完全には抑制
できないという問題点に直面した。このようなクラック
の発生原因を詳細に調べたところ、図39(b) に示す菱
形状のピットを起点として発生していることが明らかに
なった。さらに、この菱形状のピットは第1のGaAs
503層と第2のGaAs層505の界面より発生して
いることも確認した。
【0040】この菱形状のピットが発生した原因は次の
ように説明される。すなわち、第1のGaAs層503
を成長させた後、フォトリソグラフィーとウエットエッ
チングによってメサ溝504を形成するが、このとき塗
布したレジストが完全に除去されず、不純物としてウエ
ハ表面に残留し、ピットの原因になったと考えられる。
一般にGaAs層はSi基板より表面クリーニングが困
難であり、一旦レジスト塗布等によって汚染されたGa
As層を清浄な状態にクリーニングするのは極めて困難
である。しかし、ウエハ端より発生するクラックの伝播
を遮断するためには、メサ溝504等によりデバイス領
域をウエハ端より孤立させる必要がある。
【0041】一方、上記問題点の解決策としてあらかじ
め絶縁膜によりパターニングしたSi基板上へのGaA
s成長も試みられたが、低温バッファ層成長時に絶縁膜
上へのポリクリスタルの析出が生じるという問題点が新
たに発生した。一般に低温バッファ層を成長させるよう
な500℃以下の温度領域においては良好な選択成長を
行うことは困難であり、絶縁膜上にポリクリスタルが析
出する。このポリクリスタル上に続けて700℃程度の
温度でGaAs層を成長すると新たなポリクリスタルの
成長が生じ、結果としてウエハ全面の結晶はつながった
状態になり、絶縁膜によりパターニングしたエリア内だ
けを孤立化させることはできない。このためウエハ端よ
り発生したクラックは、絶縁膜上のポリクリスタルを伝
播し、デバイスエリア内まで貫通する。
【0042】以上のような理由によりSi基板上のGa
As成長において、ウエハ端からのクラックの伝播を抑
制するためには本従来例のような構成にしなければなら
ず、結果として菱形状のピットが発生し、クラックの完
全な抑制は実現できないという問題点があった。
【0043】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、ドライエッチングの一手法であ
るガスエッチングとMOCVD法による結晶成長を組み
合わせた半導体装置の製造方法において、AlGaAs
の清浄なエッチングができるとともに再成長界面に不純
物が偏析しない半導体装置の製造方法を提供することを
目的とする。
【0044】また、この発明は、AlGaAsを塩素系
エッチングガスを用いてドライエッチングする際に、劈
開面と比較しても遜色のない平滑なエッチング面を得る
ことを目的とする。
【0045】また、この発明は、一原子層単位で制御で
きるとともに、平滑なエッチング面が得られる化合物半
導体のエッチング方法とこのエッチングを行なうに適し
た製造装置を提供することを目的とする。
【0046】また、この発明は、極めて均一に制御され
た量子細線構造の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0047】また、この発明は、レーザの共振器に対し
て垂直でしかも光学的にも極めて平坦で鏡面性に優れ、
かつ物理的ダメージのない共振器端面をエッチングによ
り実現できる半導体レーザの製造方法を提供し、さらに
この方法を応用した窓構造を有する高出力レーザの製造
方法を提供することを目的とする。
【0048】また、この発明は、埋め込み成長後の表面
をフラットな状態とでき、結晶成長工程後の製造プロセ
スを容易とでき、ジャンクションダウンで組み立てた場
合でも信頼性の高い半導体レーザを作製できる半導体レ
ーザの製造方法を得ることを目的とする。
【0049】また、この発明は、絶縁膜によるパターニ
ングを施した基板上に500℃以下の低温でも良好な選
択成長が得られる結晶成長方法を得ることを目的として
おり、さらにこの技術を用いて、異種基板上への結晶成
長において、クラックの発生を完全に抑制することので
きる結晶成長方法を得ることを目的としている。
【0050】
【課題を解決するための手段】この発明に係る半導体装
置の製造方法は、Alを構成元素として含む化合物半導
体に絶縁膜によるパターニングを施す工程と、ドライエ
ッチングの手法を用いて微細構造を作製する工程と、上
記微細構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合
物半導体装置の製造方法において、上記Alを構成元素
として含む化合物半導体上に連続してAlを含まない化
合物半導体保護層を形成する第1の工程と、上記化合物
半導体保護層上に絶縁膜による選択マスクを形成する第
2の工程と、第2の工程を終えた半導体ウェハを硫化ア
ンモニウム溶液に浸漬する第3の工程と、反応管内にお
いて塩素系ガスを用いてエッチングを施す第4の工程
と、上記反応管内において上記第4の工程によって作製
された微細構造をMOCVDの手法を用いて化合物半導
体層で埋め込む第5の工程とを含むものである。
【0051】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法は、Alを構成元素として含む化合物半導体に絶縁膜
によるパターニンクを施す工程と、ドライエッチングの
手法を用いて微細構造を作製する工程と、上記微細構造
を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物半導体装
置の製造方法において、上記Alを構成元素として含む
化合物半導体上に連続してAlを含まない化合物半導体
保護層を形成する第1の工程と、上記化合物半導体保護
層上に絶縁膜による選択スマクを形成する第2の工程
と、反応管内において上記化合物半導体保護層の表面酸
化膜を除去する第3の工程と、上記反応管内において塩
素系ガスを用いてエッチングを施す第4の工程と、上記
反応管内において上記第4の工程によって作製された微
細構造をMOCVDの手法を用いて化合物半導体層で埋
め込む第5の工程とを含むものである。
【0052】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法は、Alx Ga1-x As(0≦x≦1)を塩素系エ
ッチングガスを用いたドライエッチングによりエッチン
グする工程を含む半導体装置の製造方法において、上記
ドライエッチングとして塩素系エッチングガスとV族ガ
スと水素ガスとを同時に供給することにより行なうガス
エッチングの手法を用い、上記塩素系エッチングガスと
してHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガスと
してアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチルアル
シン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルアル
シン((CH33 As)ガスのいずれかを用い、上記
V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08To
rr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する上
記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下としてエ
ッチングを行なうものである。
【0053】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法は、半導体基板上に複数種類のAlx Ga1-x
s(0≦x≦1)からなり所定のレーザダイオード構造
を有する結晶構造を作製する第1の工程と、上記レーザ
ダイオード構造の結晶構造上にエッチングマスクとなる
絶縁膜を形成する第2の工程と、塩素系エッチングガス
とV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行
なうガスエッチングであって、上記塩素系エッチングガ
スとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガ
スとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチル
アルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルア
ルシン((CH33 As)ガスのいずれかを用い、上
記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08T
orr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する
上記V族ガス流量の比を2.5以下として行なうエッチ
ングによりレーザダイオードの発振端面を形成する第3
の工程とを含むものである。
【0054】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法は、窓付き屈折率ガイド型の半導体レーザを製造す
る方法であって、半導体基板上に複数種類のAlx Ga
1-xAs(0≦x≦1)からなり活性領域を構成する半
導体積層構造を形成する第1の結晶成長工程と、該半導
体積層構造上にエッチングと結晶成長を選択的に行うた
めの保護膜を形成する工程と、上記保護膜をマスクとし
て用い、塩素系エッチングガスとV族ガスと水素ガスと
を同時に供給することにより行なうガスエッチングであ
って、上記塩素系エッチングガスとしてHClガス又は
Cl2 ガスを用い、上記V族ガスとしてアルシン(As
3 )ガス,ターシャリブチルアルシン(C49 As
2 )ガス,又はトリメチルアルシン((CH33
As)ガスのいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8
×10-3Torr以上0.08Torr以下とし、かつ
上記エッチングガス流量に対する上記V族ガス流量の比
を0.25以上2.5以下として行なうエッチングによ
り上記半導体積層構造をエッチングする工程と、該エッ
チング工程で残された半導体積層構造を埋め込むように
レーザ発振領域の材料と比較してバンドギャップが大き
く、かつ半絶縁性もしくは高抵抗の半導体材料を結晶成
長し電流阻止領域及び窓領域を一括同時に形成する第2
の結晶成長工程と、上記保護膜を除去する工程と、表面
オーミックコンタクト領域を形成する第3の結晶成長工
程とを含むものである。
【0055】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法は、{100}面を主面とする半導体基板上に第1
の半導体層を形成する工程と、上記第1の半導体層上に
〈011〉方向を長手方向とする細線状のエッチングマ
スクを形成する工程と、上記第1の半導体層を、塩素系
エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給す
ることにより行なうガスエッチングであって、上記塩素
系エッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用
い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,タ
ーシャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガス,
又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガスのい
ずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Tor
r以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチング
ガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25以上
2.5以下として行なうエッチングによりエッチング
し、側面が{111}B面で構成されたV字型の溝を形
成する工程と、上記{111}B面で構成されたV字型
の溝の底部付近に上記第1の半導体よりバンドギャップ
の小さい第2の半導体層を形成する工程と、上記第2の
半導体層に引き続いて第2の半導体よりハンドギャップ
の大きい第3の半導体層を形成する工程とを含むもので
ある。
【0056】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法は、半導体基板上に第1種の高抵抗半導体層と上記
第1種の半導体より電子親和力に小さい第2種の高抵抗
半導体層と第1種の高抵抗半導体層とを順次形成する工
程と、上記第2種の高抵抗半導体層に少なくとも凹部の
形状が逆三角形断面である凹凸周期構造を形成する工程
と、その上部に上記第2種のn型半導体層と上記第1種
のn型半導体層を順次形成する工程とを含んで構成され
る量子細線構造の製造方法であって、上記凹凸周期構造
の形成を、塩素系エッチングガスとV族ガスと水素ガス
とを同時に供給することにより行なうガスエッチングで
あって、上記塩素系エッチングガスとしてHClガス又
はCl2 ガスを用い、上記V族ガスとしてアルシン(A
sH3 )ガス,ターシャリブチルアルシン(C49
sH2 )ガス,又はトリメチルアルシン((CH33
As)ガスのいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8
×10-3Torr以上0.08Torr以下とし、かつ
上記エッチングガス流量に対する上記V族ガス流量の比
を0.25以上2.5以下として行なうエッチングによ
り形成するようにしたものである。
【0057】
【作用】この発明に係る半導体装置の製造方法において
は、Alを構成元素として含む化合物半導体に絶縁膜に
よるパターニングを施す工程と、ドライエッチングの手
法を用いて微細構造を作製する工程と、上記微細構造を
化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物半導体装置
の製造方法において、上記Alを構成元素として含む化
合物半導体に連続してAlを含まない化合物半導体保護
層を形成し、上記保護層上に絶縁膜による選択マスクを
形成した後、半導体ウェハを硫化アンモニウム溶液に浸
漬し、その後、反応管内において塩素系ガスを用いてエ
ッチングを行ない、上記反応管内において上記エッチン
グ工程によって作製された微細構造をMOCVDの手法
を用いて化合物半導体層で埋め込むようにしたので、不
純物の偏析しない良好な再成長界面が得られ、再成長層
の結晶品質を向上できる。
【0058】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法においては、Alを構成元素として含む化合物半導体
に絶縁膜によるパターニングを施す工程と、ドライエッ
チングの手法を用いて微細構造を作製する工程と、上記
微細構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物
半導体装置の製造方法において、上記Alを構成元素と
して含む化合物半導体に連続してAlを含まない化合物
半導体保護層を形成し、上記保護層上に絶縁膜による選
択マスクを形成した後、半導体ウェハを反応管内にセッ
トし、該反応管内において上記保護層の表面酸化膜を除
去し、その後、反応管内において塩素系ガスを用いてエ
ッチングを行ない、上記反応管内において上記エッチン
グ工程によって作製された微細構造をMOCVDの手法
を用いて化合物半導体層で埋め込むようにしたので、不
純物の偏析しない良好な再成長界面が得られ、再成長層
の結晶品質を向上できる。
【0059】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法においては、Alx Ga1-x As(0≦x≦1)を
塩素系エッチングガスを用いたドライエッチングにより
エッチングする工程を含む半導体装置の製造方法におい
て、上記ドライエッチングとして塩素系エッチングガス
とV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行
なうガスエッチングの手法を用い、上記塩素系エッチン
グガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V
族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブ
チルアルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメ
チルアルシン((CH33 As)ガスのいずれかを用
い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.
08Torr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に
対する上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下
としてエッチングを行なうようにしたので、極めて平滑
なエッチング面が得られるとともに、エッチング面への
ダメージをも防止することができる。
【0060】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法においては、半導体基板上にレーザダイオード構造
のGaAs及びAlGaAsからなる結晶構造を作製し
た後、上記レーザダイオード構造の結晶構造上にエッチ
ングマスクとなる絶縁膜を形成し、塩素系エッチングガ
スとV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより
行なうガスエッチングであって、上記塩素系エッチング
ガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族
ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチ
ルアルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチ
ルアルシン((CH33 As)ガスのいずれかを用
い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.
08Torr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に
対する上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下
として行なうエッチングによりレーザダイオードの発振
端面を形成するようにしたので、劈開端面に比しても遜
色のないレーザ発振端面をエッチングにより容易に形成
することができる。
【0061】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法においては、窓付き屈折率ガイド型レーザダイオー
ドを製造する方法において、半導体基板上に複数種類の
Al x Ga1-x As(0≦x≦1)からなり活性領域
を構成する半導体積層構造を結晶成長し、該半導体積層
構造上にエッチングと結晶成長を選択的に行うための保
護膜を形成した後、上記保護膜をマスクとして用い、塩
素系エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供
給することにより行なうガスエッチングであって、上記
塩素系エッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガス
を用い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガ
ス,ターシャリブチルアルシン(C49AsH2 )ガ
ス,又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガス
のいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3
orr以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチ
ングガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25
以上2.5以下として行なうエッチングにより上記半導
体積層構造をエッチングし、この後、該エッチング工程
で残された半導体積層構造を埋め込むようにレーザ発振
領域の材料と比較してバンドギャップが大きく、かつ半
絶縁性もしくは高抵抗の半導体材料を結晶成長し電流阻
止領域及び窓領域を一括同時に形成し、上記保護膜を除
去した後、ウェハ上に表面オーミックコンタクト領域を
結晶成長するようにしたので、端面窓構造を有する半導
体レーザダイオードを容易に形成することができる。
【0062】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法においては、{100}面を主面とする半導体基板
上に第1の半導体層を形成した後、上記第1の半導体層
上に〈011〉方向を長手方向とする細線状のエッチン
グマスクを形成し、上記第1の半導体層を、塩素系エッ
チングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給するこ
とにより行なうガスエッチングであって、上記塩素系エ
ッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、
上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシ
ャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガス,又は
トリメチルアルシン((CH33 As)ガスのいずれ
かを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以
上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチングガス
流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25以上2.
5以下として行なうエッチングによりエッチングし{1
11}B面で構成されたV字型の溝を形成した後、上記
{111}B面で構成されたV字型の溝の底部付近に上
記第1の半導体よりバンドギャップの小さい第2の半導
体層を形成し、上記第2の半導体層に引き続いて第2の
半導体よりバンドギャップの大きい第3の半導体層を形
成するようにしたので、量子細線を制御性よく形成する
ことができる。
【0063】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法においては、半導体基板上に第1種の高抵抗半導体
層と、上記第1種の半導体より電子親和力の小さい第2
種の高抵抗半導体層と、第1種の高抵抗半導体層とを順
次形成した後、上記第2種の高抵抗半導体層に少なくと
も凹部の形状が逆三角形断面である凹凸周期構造を形成
し、その上部に上記第2種のn型半導体層と上記第1種
のn型半導体層を順次形成して構成される量子細線構造
の製造方法であって、上記凹凸周期構造の形成を、塩素
系エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給
することにより行なうガスエッチングであって、上記塩
素系エッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを
用い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,
ターシャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガ
ス,又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガス
のいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3
orr以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチ
ングガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25
以上2.5以下として行なうエッチングにより形成する
ようにしたので、優れた品質の量子細線を制御性よく形
成することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の第
1の実施例による半導体装置の製造方法を示す断面工程
図であり、図において、23はGaAs基板、2はGa
As基板23上に結晶成長されたAlGaAs層、11
はAlGaAs層2上にAlGaAs層2の結晶成長に
連続して結晶成長されたGaAsキャップ層である。1
2はGaAs層11表面に形成された酸化膜、21はS
iN膜パターン、13は硫黄膜、1は再成長GaAs層
である。
【0065】次に本実施例による半導体装置の製造方法
の工程について説明する。
【0066】まず第1の結晶成長工程としてGaAs基
板23上にAlx Ga1-x As層2とGaAsキャッ
プ層11をMOCVD方法により成長した。各層の厚み
はAlx Ga1-x As層が2μm、GaAsキャップ
層が0.1μmである。上記サンプルは一度チャンバに
より取り出し、空気中で数日間保管した。この保管の間
にサンプルのGaAs層11表面には僅かながら酸化膜
12が形成される。この状態を図1(a) に示す。次に図
1(b) に示すようにサンプル表面上に所望形状のSiN
膜パターン21を形成する。次に上記サンプルを硫化ア
ンモニウム溶液に浸漬処理する。本実施例では硫化アン
モニウム溶液として(NH42S溶液を用い、60℃で
3時間浸漬した。この工程によりGaAs層11表面の
酸化膜12のうち、SiN膜パターン21に覆われてい
ない部分はエッチング除去され、図1(c) に示すように
硫黄膜13が形成される。次にMOCVDのチャンバに
ウェハをセットし、水素雰囲気中において450℃の温
度で30分間熱処理をした。次にAsH3 とHClとH
2 の混合ガスを用いて、図1(d) に示すように、SiN
膜パターン21をエッチングマスクとして深さ1μmの
エッチングを行ない、引き続いて同一チャンバ内でGa
As層1を成長した。
【0067】図2は上述の工程に従って作製したサンプ
ルの再成長界面近傍(図1(e) のII−II線断面)の不純
物分析をSIMS分析の手法を用いて行なった結果であ
る。図において、1は再成長GaAs層、2はAlx
1-x As層、3は再成長界面である。図に示すよう
に本実施例の製造方法により作製されたサンプルでは、
再成長界面3への酸素(O),塩素(Cl)の偏析は観
測されず、再成長GaAs層の転位密度は1×104
/cm-2まで改善された。図29(a) に示したように従来
の技術においてGaAsキャップ層を設けただけでは再
成長界面への不純物の偏析は完全には抑制できなかった
のに対し、GaAsキャップ層を設けさらにエッチング
前処理として硫化アンモニウム処理を施すことで再成長
界面の清浄度および再成長GaAs層の結晶品質を向上
させることかできた。
【0068】硫化アンモニウム処理の効果については、
例えば応用物理第58巻,第9号,1989年,134
0〜1344ページに開示されている。すなわち硫化ア
ンモニウム処理によりGaAs表面の酸化膜がエッチン
グ除去され、次にGaAs表面第1層に硫黄原子が吸着
し、表面保護作用を有する。従って硫黄膜によりGaA
s表面は保護され新たな表面酸化を防止することができ
る。
【0069】また、例えば特開平4−10683号公報
には、GaAsあるいはAlGaAs上に結晶成長を行
なう前に、GaAsあるいはAlGaAsの表面を硫化
アンモニウム処理することにより、表面酸化膜を除去す
るとともに、新たな表面酸化を抑制するようにして、こ
の上に結晶成長される結晶層の品質を向上することが記
載されている。
【0070】しかし硫黄によって保護されたGaAs上
に高品質なGaAs層を成長させるためには成長前に何
らかの手段を用いて硫黄膜を除去する必要がある。本願
発明者の実験によるとMOCVD成長前の昇温による熱
クリーニングだけではGaAs表面の硫黄原子は完全に
は除去されず、再成長界面に偏析し、再成長層の結晶品
質を低下させることが明らかになった。一方、表面保護
膜である硫黄膜の有効な除去方法はこれまで報告されて
いなかった。
【0071】発明が解決しようとする課題の項でも述べ
たように、気相エッチング後の再成長における再成長界
面の清浄化のためには、エッチング前の表面が酸化され
ていないことが極めて重要である。硫化アンモニウム処
理はこの目的に適した前処理方法であるが、上述のよう
に、硫黄膜の除去を完全に行なうことができないという
問題点があった。本願発明者はこの問題点を解消する方
法としてHCl気相エッチングが硫黄膜の除去に極めて
有効であることを見いだし、さらに硫化アンモニウム処
理とHCl気相エッチングを組み合わせることで初めて
目的とする効果、即ち気相エッチング後に再成長する場
合においてその再成長界面を清浄なものとできる効果が
得られることを確認した。
【0072】上述のように気相エッチングしたAlGa
As上へのMOCVD再成長において、再成長界面の清
浄化を図るためにはキャップGaAs層の採用だけでは
極めて不十分である。これはキャップ層表面のわずかな
酸化によってもエッチングが阻害され、悪影響を及ぼす
ことを示しており、キャップGaAs層表面のクリーニ
ングこそ重要である。表面クリーニングの一手法である
硫化アンモニウム処理は、本実施例のようにHCl気相
エッチングと組み合わせることで初めて実用的な表面処
理方法として効果を確認することができ、HCl気相エ
ッチングとMOCVD成長を組み合わせた複合プロセス
の高度化を図ることができた。
【0073】なお、上記実施例では、硫黄膜13が形成
されたウェハをMOCVDのチャンバにセットし、水素
雰囲気中において熱処理をするようにしているが、この
熱処理は必ずしも水素雰囲気中で行なう必要はなく、ま
た、この熱処理は反応炉内でのウェハの昇温工程で兼ね
ることができる。
【0074】また、上記実施例ではアルミニウムを構成
元素として含む化合物半導体がAlGaAsであり、こ
の上に連続して結晶成長されるアルミニウムを含まない
化合物半導体層及び再成長される化合物半導体層がGa
Asであるものについて示したが、これ以外の化合物半
導体であっても本発明を適用することができる。
【0075】実施の形態2.次に本発明の第2の実施例
による半導体装置の製造方法について説明する。本第2
の実施例では、AlGaAs上に連続してGaAs保護
層を形成し、上記保護層上に絶縁膜による選択マスクを
形成するまでは上記第1の実施例と同様であるが、この
後硫化アンモニウムによる処理を行なうのではなく、反
応管内において上記保護層の表面酸化膜を他のクリーニ
ング法を用いて除去し、この後連続して上記反応管内に
おいて塩素系ガスを用いてエッチングを施し、さらに上
記反応管内において上記エッチングによって作製された
微細構造をMOCVDの手法を用いて化合物半導体層で
埋め込むものである。
【0076】上記第1の実施例では、GaAsキャップ
層をクリーニングする方法として、硫化アンモニウム処
理が有効であると述べたが、本第2の実施例のようにM
OCVDチャンバ内部で成長に先立って、他のクリーニ
ング方法によりGaAs表面のクリーニングを施しても
上記第1の実施例と同様、気相エッチング後に再成長す
る場合においてその再成長界面を清浄なものとできる。
上記他のクリーニング方法としては、例えば紫外線照射
によるクリーニングや水素プラズマによる酸化膜の還元
作用を用いたクリーニングでも同様の効果を奏すること
を確認した。
【0077】なお、本実施例においてもアルミニウムを
構成元素として含む化合物半導体がAlGaAsであ
り、この上に連続して結晶成長されるアルミニウムを含
まない化合物半導体層及び再成長される化合物半導体層
がGaAsであるものについて示したが、これ以外の化
合物半導体であっても本発明を適用することができるこ
とはいうまでもない。
【0078】実施の形態3.次に本発明の第3の実施例
による半導体装置の製造方法について説明する。本第3
の実施例による半導体装置の製造方法は、上記第1,第
2の実施例による半導体装置の製造方法においても行な
われる、化合物半導体の気相エッチングにおいて、より
平滑なエッチング面を得るための精密に制御されたエッ
チング条件を与えるものである。本第3の実施例による
半導体装置の製造方法における気相エッチング方法は次
に示す実験によって開発した。
【0079】気相エッチングはAsH3 ガス,H2
ス,HClガスをチャンバ内に同時に供給することによ
り行なうガスエッチングの手法を用いた。エッチング温
度は750℃,エッチング圧力は10Torrとし、H
Clガス流量に対するAsH3ガス流量を種々変更した
ときのエッチング面状態について詳細に評価した。
【0080】エッチング実験に使用したサンプルは、A
x Ga1-x As(x=0.48)上にGaAsキャ
ップ層を設けた構造で、各層の厚みはAlGaAs層が
2μm、GaAsキャップ層が0.1μmである。エッ
チングはGaAsキャップ層から行ない、約1μmエッ
チングした後の表面状態を微分干渉顕微鏡を用いて評価
した。
【0081】この実験の結果、HClガス流量に対する
AsH3 ガス流量がある一定量を越えるとエッチング面
に表面荒れが生じ、平滑なエッチングができなくなり、
またAsH3 ガス流量がある一定量より少なくても平滑
なエッチング面は得られないことが明らかとなった。即
ち、AsH3 ガス,H2ガス,HClガスをチャンバ内
に同時に供給することにより、GaAs又はAlGaA
sをガスエッチングする場合に、平滑なエッチング面を
得るためにはウェハに供給するAsH3 ガス,HClガ
スの流量を最適化し厳密に制御する必要がある。この結
果は次のように解釈される。AlGaAs表面が平滑に
エッチングされるために表面からのAs塩化物(AsC
3など),Ga塩化物(GaCl3など),Al塩化物
(AlCl3 など)の脱離が均等に生じる必要がある。
これに対しAs塩化物と,Ga塩化物,Al塩化物の蒸
発温度が異なるため(AsCl3 ;130℃,GaCl
3;201℃,AlCl3 ;180℃)、それぞれの塩
化物を均等に表面から脱離させることは容易ではない。
適度なAsH3 の添加によって基板表面からのAsCl
3 の脱離が抑制され、それぞれの塩化物の脱離がバラン
スされるものと考えられる。以上の理由により平滑なエ
ッチング面を得るためにはHClガス流量に対するAs
3 ガス流量を最適化する必要がある。
【0082】図3(a) は、エッチング温度を750℃,
エッチング圧力を10Torr,10%のHClガス流
量を80sccm,トータルのガス流量を2.5slm
として、20%のAsH3 ガス流量を変化させたとき
の、AsH3 ガス流量とGaAs再成長層の転移密度
(EDP)との関係を示す図、図3(b) は同じ条件での
AsH3 ガス流量とエッチング面の酸素濃度(IO )及
び塩素濃度(ICl)との関係を示す図である。この実験
結果より、AsH3 ガス分圧(AsH3 ガス流量をトー
タルガス流量で割り、反応炉内圧力を掛けた値)が0.
016Torr、またHClガス流量に対するAsH3
ガス流量の比が0.5のときが最適なエッチング条件で
あり、AsH3 ガス分圧が8×10-3Torr以上0.
08Torr以下であり、かつHClガス流量に対する
AsH3 ガス流量比が2.5以下の条件でのみ平滑なエ
ッチング面が得られることが明らかになった。さらにこ
のエッチング方法によると通常のRIE法などで問題と
なっているエッチング面へのダメージが生じないことも
明らかになった。これはエッチングが純粋に化学反応の
みで生じているためと考えられる。
【0083】このように、本実施例では、Alx Ga
1-x As(0≦x≦1)を気相エッチングする工程を
含む半導体装置の製造方法において、気相エッチングと
してHClガス,AsH3 ガス,及び水素ガスを同時に
供給することにより行なうガスエッチングの手法を用
い、AsH3 ガス分圧を8×10-3Torr以上0.0
8Torr以下とし、かつHClガス流量に対するAs
3 ガス流量比を2.5以下としてエッチングするよう
にしたから、平滑なエッチング面が得られるとともに、
エッチング面へのダメージをも防止することができる。
【0084】なお、上記実施例ではエッチングガスとし
てHClガス、V族ガスとしてAsH3 ガスを用いてガ
スエッチングを行なうものについて示したが、エッチン
グガスとしてCl2 ガス、V族ガスとしてターシャリブ
チルアルシン(C49 AsH2)もしくはトリメチル
アルシン((CH33 As)を用いてもよい。これら
のガスを用いた場合もエッチングの化学反応としては全
く同じであるので、V族ガスの分圧を8×10-3Tor
r以上0.08Torr以下とし、かつエッチングガス
流量に対するV族ガス流量の比を2.5以下としてエッ
チングを行なうことにより、上記実施例と同様の効果を
得ることができる。
【0085】さらに、本実施例によるエッチング方法
に、上記第1または第2の実施例による半導体装置の製
造方法で行なった表面クリーニング方法を組み合わせれ
ば、エッチング面への不純物の偏析が抑制され、再成長
を行なった場合には再成長層の結晶品質は極めて良好と
なる。
【0086】実施の形態4.次に本発明の第4の実施例
による半導体レーザの製造方法について説明する。図4
は上記第3の実施例に示したエッチング方法によるエッ
チングを行なった場合のマスクパターンの形成方向とエ
ッチング形状との関係を説明するための図である。図に
おいて、21はストライプ状のSiN膜パターン、22
はGaAsキャップ層、2はAlGaAs層、23はG
aAs基板である。
【0087】図4(a) はGaAs基板23の(100)
面上にAlGaAs層2及びGaAsキャップ層22を
連続して結晶成長し、このキャップ層22上にストライ
プ状のSiN膜パターン21を形成した状態をしめす。
ここでSiN膜パターン21をそのストライプ方向が
[0/11]方向となるようにパターニングした場合と
[011]方向となるようにパターニングした場合とで
は気相エッチングによるエッチング形状が異なる。図4
(b) は上記SiN膜21のパターニングを[0/11]
方向に行なった後、エッチングを行なった場合のエッチ
ング形状を、図4(c) はSiN膜21のパターニングを
[011]方向に行なった後エッチングを行なった場合
のエッチング形状をそれぞれ示している。
【0088】図4(b) に示すように[0/11]方向に
ストライプ形成を行なった場合、エッチング形状は(0
11)面24と(311)面25とで構成された断面形
状となる。一方[011]方向にストライプ形成を行な
った場合、エッチング形状は(111)B面26で構成
された断面形状となる。表1にまとめたようにHCl気
相エッチングによるエッチング形状は通常のウェットエ
ッチングによるエッチング形状と比較すると明らかに異
なる。
【0089】
【表1】 ここで、HCl気相エッチングとして上記第3の実施例
によるエッチング方法を用いることにより、エッチング
によって露呈する側面の平坦度は極めて良好で劈開面と
比較しても遜色がなく、側面のAlGaAs層2とGa
Asキャップ層22の界面に段差を生じることもなかっ
た。
【0090】本第4の実施例による半導体レーザの製造
方法は、上記第3の実施例にかかるエッチング方法によ
るエッチング形状の特徴を利用したものである。即ち
[0/11]方向のストライプ状パターンをマスクとし
てエッチングを行なった場合、側面には(100)面と
垂直な(011)面24が一部露呈することを利用し、
この(011)面をレーザの発振端面とすることを特徴
としたものである。
【0091】図7は本第4の実施例による半導体レーザ
の製造方法を用いて作製された半導体レーザの一例を示
す斜視図であり、図において、50はn−GaAs基
板、51はn−Alx Ga1-x As第1クラッド層、
52は活性層、53はp−AlxGa1-x As第2クラ
ッド層、54はn−GaAs電流ブロック層、55はp
−GaAs第2キャップ層、56はp−GaAsコンタ
クト層、57は発光端面である。
【0092】図7に示す半導体レーザは次に示す工程に
より製造された。まず(100)GaAs基板50上に
通常のMOCVD成長とウェットエッチングを組み合わ
せた手法によりリッジ埋め込み型レーザの結晶構造を作
製する。このようなリッジ埋め込み型レーザの結晶構造
の作製工程は周知であるので詳細な説明は省略する。
【0093】なお、このとき共振器方向(リッジのスト
ライプ方向)は[011]方向としておく。次にレーザ
の共振器となる部分に絶縁膜となるマスキングを施し、
上記第3の実施例に示した手法を用いたエッチングを施
す。上述のように本エッチング方法によると共振器端面
57は(100)面と垂直な(011)面となるため、
レーザ発振端面を容易に形成することができる。得られ
た共振端面は極めて平滑であり、エッチングによるダメ
ージも生じないことから共振器端面と、劈開面と比較し
ても遜色がないことを確認した。
【0094】このように本実施例によれば、(100)
半導体基板上にGaAs及びAlGaAsからなるリッ
ジ埋め込み型レーザの結晶構造を作製した後、上記レー
ザダイオード構造の結晶構造上に[0/11]方向が長
手となるストライプ状のエッチングマスクを形成し、H
Clガス,AsH3 ガス,及び水素ガスを同時に供給す
ることにより行なうガスエッチングであって、AsH3
ガス分圧が8×10-3Torr以上0.08Torr以
下,HClガス流量に対するAsH3ガス流量比が0.
25以下の条件のエッチングを行なうことによりレーザ
ダイオードの発振端面を形成するようにしたから、劈開
端面に比しても遜色のないレーザ発振端面をエッチング
により容易に形成することができる。
【0095】なお、上記実施例ではレーザの基本構造が
リッジ埋め込み型であるものについて示したが、他のレ
ーザ構造であってもよいことは言うまでもない。
【0096】また、上記実施例では(100)面を主面
とする基板を用い、レーザ端面として(011)面を形
成するようにしたものについて示したが、レーザ端面と
して(0/1/1)面を形成するようにしてもよい。ま
た(100)面と結晶工学的に等価な面を主面とする基
板を用い、この主面に対して、(100)面と(01
1)面もしくは(0/1/1)面との関係と等価な関係
を有する面を形成するようにしてもよい。
【0097】実施の形態5.次に本発明の第5の実施例
による半導体レーザの製造方法について説明する。本第
5の実施例による半導体レーザの製造方法は(111)
B面を発振端面とする半導体レーザを作製するものであ
る。図5は[011]方向のストライプ状パターンをマ
スクとしてHCl気相エッチングしたときのエッチング
形状を示す斜視図である。すでに述べたようにGaAs
基板23の(100)主面上に結晶成長した半導体層
を、[011]方向のストライプ状パターンをマスクと
してエッチングを行なった場合、ストライプに沿ったエ
ッチング側面には(111)B面26が露呈する。(1
11)B面の(100)主面に対する角度θは約54°
であるため、このままレーザ発振端面とすることはでき
ない。しかし(111)B面が垂直な面となるようにあ
らかじめ半導体基板の主面を選んでおけば、(111)
B面を発振端面としたレーザを構成することができる。
図6に示すように(111)B面に対して垂直な面は例
えば(1/10)面であり、この面と結晶工学的に等価
な面を主面とする半導体基板上に用いれば、第3の実施
例によるエッチング方法を用いて、基板主面に対して垂
直な側面を形成することができる。以上のように例えば
(1/10)面を主面とするGaAs基板上にレーザ構
造の結晶構造を形成し、次にレーザの共振器となる部分
に絶縁膜によるマスキングを施した後、上記第3の実施
例に示した手法を用いてエッチングを施すことでレーザ
発振端面を容易に形成することができる。
【0098】なお、上記実施例では(1/10)面を主
面とする基板を用い、レーザ端面として(111)B面
を形成するようにしたものについて示したが、(1/1
0)面と結晶工学的に等価な{110}面を主面とする
基板を用い、〈011〉方向を長手とするストライプ状
パターンをマスクとして上記実施例と同様のエッチング
を行なえば、基板主面と垂直な(111)B面と結晶工
学的に等価な{111}B面が得られ、これをレーザ共
振器端面とすることができる。
【0099】実施の形態6.次に本発明の第6の実施例
による半導体レーザの製造方法について説明する。この
製造方法は第3の実施例に示したエッチング方法の特徴
を利用して窓付き屈折率ガイド型半導体レーザを作製す
るものである。図8及び図9は製造方法の概略を示す断
面工程図である。GaAs基板50は(100)を主面
としている。
【0100】図8は〈0/11〉方向からみた断面図で
あり、図9は〈011〉方向からみた断面図である。図
において、図7と同一符号は同一又は相当部分であり、
70はp−GaAs第1キャップ層、71は高抵抗Al
y Ga1-y As窓・ブロック層、72はp−電極、73
はn−電極である。
【0101】以下、本実施例による半導体レーザの製造
方法の工程を説明する。まず、(100)GaAs基板
50上に第1クラッド層51,活性層52,第2クラッ
ド層53,及びp−GaAs第1キャップ層70をMO
CVD法により順次形成する(図8(a) ,図9(a) )。
次にリッジ形成の選択マスクとしてSiN膜を[01
1]方向を共振器方向として形成する(図8(b) ,図9
(b) )。次に上記第3の実施例に示した方法によりエッ
チングを施す(図8(c) ,図9(c) )。すでに述べたよ
うに、共振器端面となるべき部分は、図8(c) に示すよ
うに、(011)面、即ち基板主面に対し垂直な面が形
成されるようにエッチングされる。ここでエッチングに
先立って第1または第2の実施例に示した表面クリーニ
ングを行なっておくことが望ましい。上記エッチングを
施した後、同一チャンバ内において通常のMOCVD成
長条件により、活性層よりもバンドギャップの大きい、
高抵抗Aly Ga1-y Asブロック層71を成長する
(図8(d) ,図9(d) )。図10(a) はこの工程が終了
したときの状態を示す斜視図である。このとき同一チャ
ンバ内で第1または第2の実施例に示した方法を用い
て、エッチング及び再成長を行なえば、窓層と共振器端
面の界面には不純物の偏析しない良好な埋め込み成長が
可能である。次にSiN膜21を除去し(図8(e) ,図
9(e) )、p−GaAsコンタクト層56を成長した後
(図8(f) ,図9(f) )、p−電極72,n−電極73
を形成する(図8(g) ,図9(g) )。以上の工程により
窓付き屈折率ガイド型半導体レーザの基本構造をウェハ
状態のまま作製することができる。最後に劈開などによ
りチップ分離してレーザチップとして完成する(図8
(h) )。完成した窓付き屈折率ガイド型半導体レーザの
斜視図を図10(b) に示す(電極は省略)。
【0102】従来の端面窓構造を有する半導体レーザは
すでに述べたように一度劈開による発振端面を形成した
後、上記発振端面に窓層を成長するという極めて量産性
に乏しい方法により製造していた。本第6の実施例によ
れば、窓構造のレーザを容易に得ることができるのみな
らず、再成長界面も良好な状態となるので高品質な窓付
き屈折率ガイド型半導体レーザを得ることができる。
【0103】なお、上記実施例では(100)面を主面
とする基板を用い、レーザ端面として(011)面を形
成するようにしたものについて示したが、レーザ端面と
して(0/1/1)面を形成するようにしてもよい。ま
た(100)面と結晶工学的に等価な面を主面とする基
板を用い、この主面に対して、(100)面と(01
1)面もしくは(0/1/1)面との関係と等価な関係
を有する面を形成するようにしてもよい。
【0104】実施の形態7.次に本発明の第7の実施例
による半導体レーザの製造方法について説明する。本第
7の実施例による半導体レーザの製造方法は、上記第3
の実施例のエッチング方法をリッジ成形のためのエッチ
ングに応用して、リッジウェーブガイド型半導体レーザ
を作製するものである。図11は本第7の実施例による
リッジウェーブガイド型半導体レーザの製造方法の主要
工程を示す断面図である。図において、図7と同一符号
は同一又は相当部分である。
【0105】以下、本実施例による半導体レーザの製造
方法の工程を説明する。まず図11(a) に示すようにn
−GaAs基板50上にn−Alx Ga1-x As第1
クラッド層51,活性層52,p−Alx Ga1-x
s第2クラッド層53,p−GaAs第1キャップ層7
0を順次MOCVD法により形成し、その上にSiN膜
21を形成しストライプ状にパターニングする。次に図
11(b) に示すように第3の実施例に示した方法により
リッジエッチングを施しリッジ形成を行なう。SiN膜
パターン21のストライプ方向が[011]方向であれ
ば、側面が(111)B面であるリッジが形成される。
ここでリッジエッチングに先立って第1または第2の実
施例に示した表面クリーニンクを施すことが望ましい。
次に図11(c) に示すように上記図11(b) の工程と同
一のチャンバ内でMOCVD法によりn−GaAs電流
ブロック層54,p−GaAs第2キャップ層55を埋
め込み成長する。次に図11(d) に示すようにSiN膜
21を除去した後p−GaAsコンタクト層56をMO
CVD法により成長し、レーザの基本構造が完成する。
【0106】なお、図12はp−電極72,n−電極7
3を形成した後、劈開等によりチップ単位に分割するこ
とにより完成したリッジウェーブ型レーザの構造の概略
を示す斜視図である。
【0107】本第7の実施例では、上記第3の実施例に
示す気相エッチングによるリッジ形成とMOCVD選択
成長を組み合わせたので、ウエットエッチングによるリ
ッジ形成のような煩雑な工程を必要とせず、工程の大幅
な簡略化が可能である。さらにリッジエッチングに先立
って第1または第2の実施例に示した表面クリーニンク
を施せば、再成長界面も良好な状態となるので、特に高
出力レーザの寿命改善が図れるなどの効果を奏する。
【0108】なお、半導体レーザのリッジ形成をHCl
ガスを用いたガスエッチングにより行なうことについて
は、例えば特開昭60−163487号公報に記載され
ているが、この公報にはエッチング条件に関する記述は
なく、HClガスを用いたガスエッチングのリッジ成形
への適用は、上記第3の実施例によるエッチング法を用
いることで初めて実用化が可能となるものである。
【0109】実施の形態8.次に本発明の第8の実施例
による半導体装置の製造方法について説明する。図13
は本第8の実施例による半導体装置の製造方法である化
合物半導体のエッチング方法におけるガス導入シーケン
スを示した図である。図において、120はAsH3
給領域、121はH2パージ領域、122はHCl供給
領域である。
【0110】図に示すように本エッチング方法はAsH
3 ガスを導入すると同時にHClガスを上記AsH3
スの導入時間より短い時間だけパルス的に導入する第1
のエッチング工程と、上記AsH3 ガスと上記HClガ
スの導入を中断し、反応管内を水素ガスでパージする第
2のエッチング工程を含み、上記第1のエッチング工程
と上記第2のエッチング工程とを周期的に繰り返し行な
うことにより一原子層単位でのエッチングを可能とした
ものである。
【0111】次に第8の実施例にかかる化合物半導体の
エッチング方法の原理について説明する。第3の実施例
の項でも述べたように、例えばHClガスを用いてGa
Asをエッチングする際に平滑なエッチング面を得るた
めには、AsH3 流量の最適化が必要である。これは適
度なAsH3 供給によってGaAs表面からAsCl 3
の脱離が抑制され、AsCl3 とGaCl3 の脱離がバ
ランスした時に平滑なエッチングが得られるためであ
る。我々の実験によるとAsH3 流量の増加にともな
い、GaAsのエッチングレートが減少することが確認
された。これは過剰なAsH3 がAsCl3 の脱離を抑
制するためである。従って過剰なAsH3 を導入しなが
らHClガスをパルス的に導入した場合、GaAs基板
表面からはGaCl3 脱離のみ選択的に生じ、1原子層
のエッチングが可能である。このときAsCl3 は過剰
なAsH3 によってGaAs表面からの脱離が抑制され
表面に残留する。次にAsH3 の供給をストップすると
AsCl3 がGaAs表面から脱離する。上記2工程を
繰り返し行なうことで、1原子層単位で制御されたエッ
チングができる。
【0112】図14は上記のエッチング方法を用いてエ
ッチングを行なったときの、エッチングレートとHCl
ガスの供給パルス時間との関係を調べた結果である。図
に示すようにある特定のHClパルス時間で1ML/c
ycleのエッチングレートを持つことを確認した。な
お、本実施例ではこの特定のパルス時間として0.75
〜1.5秒が示されたが、この時間はHCl供給量によ
って異なってくるのでこの時間に限定されるものではな
い。
【0113】上述のように本第8の実施例によると、1
原子層単位で制御されたエッチングを容易に行なうこと
ができ、1サイクルに要する時間も4〜8秒と従来の原
子層制御エッチング方法と比較して大幅に短縮させるこ
とができた。
【0114】実施の形態9.次にこの発明の第9の実施
例による半導体装置の製造装置及びこの装置を用いた半
導体装置の製造方法について説明する。図15はこの発
明の第9の実施例による半導体装置の製造装置である化
合物半導体のエッチング装置の概略を示す断面構造図で
あり、図16は同装置の上面図である。図において、1
40は原料ガスインジェクタ、141はキャリアガスイ
ンジェクタ、142はH2ガスインジェクタ、143は
ウェハトレイ、144はウェハ、145は反応チャン
バ、146はサセプタ、147は排気口である。
【0115】まずこのエッチング装置の構成について説
明する。H2ガスインジェクタ142は複数個がサセプ
タ直上に配置されており、上記インジェクタ142より
噴出するH2 ガスによって形成される水素カーテン15
5によってサセプタ146は複数個の領域に分割され
る。本実施例では4つの領域151,152,153,
154に分割されている。原料ガスインジェクタ140
は上記分割された複数個の領域に独立に原料ガス、また
はエッチングガスを導入できるように複数個が配置され
ている。サセプタ146は回転機構を有しており、ウェ
ハ144はサセプタ146の回転ともに上記複数個に分
割された領域を順次移動できるように構成されている。
【0116】次にエッチング方法について説明する。例
えば図16において領域151と153にAsH3 ガス
とHClガスとH2 ガスを同時に供給し、領域152と
154にはH2 ガスを供給するものとする。上記8の実
施例で説明したとおり過剰なAsH3 供給下においては
GaAs表面からのGaCl3 の脱離のみ生じ、AsC
3 の脱離は抑制される。即ちウェハ144が領域15
1又は領域153に位置するときにはGaの脱離のみ
を、領域152又は領域154に位置するときにはAs
の脱離のみを選択的に行なうことができ、1原子層単位
で制御されたエッチングを行なうことができる。またサ
セプタの回転により、複数個に分割した領域をウェハが
移動するように構成されているので、1サイクルのエッ
チングにかかる時間が従来のエッチング方法として比較
して大幅に短縮できる。
【0117】実施の形態10.次に本発明の第10の実
施例による量子細線構造の製造方法について説明する。
図17,図18はGaAs基板23にV字型の溝を形成
し、その上にAlGaAs/GaAs多重層構造161
を形成したときの、V字溝内部への成長形態を示す図で
ある。ここでGaAs基板23の主面は(100)面で
あり、V字溝は図17では[011]方向に第3の実施
例に示した方法により形成し、図18では[0/11]
方向に硫酸系のウェットエッチングによりそれぞれ形成
した。図17に示すように[011]方向のV字溝が形
成されている場合、V字の側面は(111)B面とな
る。MOCVDの典型的な成長条件においては、(11
1)B面と垂直な方向には成長速度を持たないため、V
字側面は未成長面162を形成する。V字内部にはV字
外部と連続性を持たない成長が生じ、(111)B面よ
りもやや角度の浅い面を成長フロント163とした成長
形態を示すことが明らかになった。この成長フロント1
63の面方位をその角度から同定したところ(311)
B面であること確認された。
【0118】一方図18に示すように、[0/11]方
向にV字溝を形成した場合、V字の側面は(111)A
面となる。(111)A面上の成長速度は(100)面
上の成長速度とほぼ等しいため、図18に示したように
V字内部とV字外部とは成長に連続性があり、面に沿う
ように平行に成長が進んでいく。図32に示す従来例の
問題点の説明のところでも述べたとおり、このような成
長形態を用いたのでは良好な量子細線を得ることは困難
であった。さらに図17に示したような(111)B面
を側面にもつV字溝の形態は通常のウェットエッチング
では困難であった。
【0119】図19はこの発明の第10の実施例による
量子細線の製造方法により作製された量子細線の構造を
示す断面図、図20はその製造工程を示す断面図であ
る。図において、181,183はAlGaAs層、1
82はGaAs量子細線、184はGaAs第2キャッ
プ層、185はGaAs第1キャップ層、186はSi
N膜である。
【0120】次に、工程について説明する。まずGaA
s基板180上にAlGaAs層181とGaAs第1
キャップ層185をMOCVD法により順次形成する
(図20(a) )。次に選択マスクとなるSiN膜186
を形成する。このときSiN膜の開口部は[011]方
向が長手方向となるように形成しておく(図20(b)
)。次に第3の実施例で示した方法により側面が(1
11)B面で構成されるV字型の溝を形成し(図20
(c) )、引き続いて同一チャンバー内でGaAs量子細
線182,AlGaAs層183,GaAs第2キャッ
プ層184をV字溝に選択成長する。ここで、GaAs
量子細線182は所望の量子効果が得られるように、そ
の幅が例えば20〜30nm程度となるように結晶成長
量をコントロールする。(111)B面を側面とするV
溝内部には図17に示したように成長するので、図19
に示すようなGaAs量子細線が容易に得られる。
【0121】このように本実施例では、(100)面を
主面とするGaAs基板上にAlGaAs層を形成し、
該AlGaAs層上に[011]方向を長手方向とする
ストライプ状開口を有するSiN膜パターンを形成し、
これをマスクとして上記AlGaAs層を第3の実施例
で示した方法によりエッチングして(111)B面で構
成されたV字型の溝を形成し、この(111)B面で構
成されたV字型の溝の底部付近にGaAs層を結晶成長
し、引き続いてAlGaAs層を結晶成長して溝を埋め
込むようにしたので、量子細線を制御性よく形成するこ
とができる。
【0122】なお、上記実施例では(100)面を主面
とする基板を用い、(111)B面を側面とするV字型
の溝を形成するようにしたものについて示したが、(1
00)面と結晶工学的に等価な{100}面を主面とす
る基板を用い、〈011〉方向を長手とするストライプ
状開口を有するパターンをマスクとして上記実施例と同
様のエッチングを行なえば、(111)B面と結晶工学
的に等価な{111}B面を側面とするV字型の溝が得
られ、これを埋め込むようにすれば、上記実施例と同様
の効果が得られるものである。
【0123】実施の形態11.図21は本発明の第11
の実施例による量子細線構造の製造方法により作製され
た量子細線構造を示す断面図である。本願発明者の1人
は以前半導体装置とその製造方法という名称の量子細線
とその製造方法に関する発明を行なっている(特願平2
−335827)。本第11の実施例による量子細線構
造の製造方法は、構造的には上記特願平2−33582
7に示したものと同一の量子細線構造を製造する方法を
改良し、より高品質な量子細線が得られるようにしたも
のである。図において、190は半絶縁性GaAs基
板、191は高抵抗(以下i−と記す)GaAs層、1
92はi−AlGaAsスペーサ層、193はn+−G
aAsキャップ層、194は量子細線、195はSiN
膜、196はn+−GaAsキャップ層、197はn−
AlGaAs電子供給層である。
【0124】次に製造工程について説明する。図22は
図21に示す構造を同一基板上に複数形成した量子細線
構造を作製する方法を示す断面工程図であり、図におい
て、図21と同一符号は同一又は相当部分である。まず
(100)面を表面とする半絶縁性GaAs基板190
上にi−GaAs層191,i−AlGaAsスペーサ
層192,n+−GaAsキャップ層193をMOCV
D法により順次結晶成長し、さらにn+−GaAsキャ
ップ層193上にSiN膜195を成膜し、このSiN
膜195をパターニングして相互に平行な複数のストラ
イプ状開口部を形成する(図22(a) )。このときSi
N膜のストライプ状開口部は[011]方向が長手方向
となるように形成しておく。次に第3の実施例で示した
エッチング方法を用いて、図22(b) に示すように、V
字型の溝を形成し、引き続いて同一チャンバー内におい
てn−AlGaAs電子供給層197とn+−GaAs
キャップ層196をV字溝内部に選択成長する(図22
(c) )。このときV字溝のエッチングに先立って上記第
1の実施例又は第2の実施例による半導体装置の製造方
法で用いた方法により表面クリーニングを施しておくこ
とが望ましい。次に、図22(d) に示すようにSiN膜
195を除去した後、図22(e) に示すようにn+−G
aAsキャップ層196をウェハ全面に形成する。
【0125】上記の方法により作製された量子細線構造
では、V字溝の底部(頂点)付近のごく狭い領域のi−
GaAs層に選択的に量子細線194が形成される。こ
のような構造で量子細線194が形成される理由は上記
特願平2−335827に詳しく説明してあるとおりで
ある。
【0126】本第11の実施例によれば、ウェットエッ
チングと再成長を組み合わせた従来の量子細線の製造方
法と異なり、精度よく量子細線を形成でき、またV字溝
のエッチングに先立って上記第1の実施例又は第2の実
施例による半導体装置の製造方法で用いた方法により表
面クリーニングを施しておくことにより、再成長界面に
不純物の偏析しない良質な量子細線が得られる。
【0127】なお、上記第11の実施例においては、キ
ャップ層193としてn+−GaAsを用いた場合につ
いて示したが、n+−GaAsのかわりにi−GaAs
を用いてもよい。
【0128】実施の形態12.次に、本発明の第12の
実施例による半導体レーザの製造方法について説明す
る。図23は本発明の第12の実施例による半導体レー
ザの製造方法を示す断面工程図である。図において、2
00はn−GaAs基板、201はn−GaAsバッフ
ァ層、202はn−AlGaAsクラッド層、203は
アンドープGaAs活性層、204はp−AlGaAs
クラッド層、205はn−GaAs電流ブロック層、2
06はp−GaAsコンタクト層、207はSiO2
パターンである。
【0129】まずn−GaAs基板200上にMOCV
D法によりn−GaAsバッファ層201,n−AlG
aAsクラッド層202,アンドープGaAs活性層2
03,p−AlGaAsクラッド層204,n−GaA
s電流ブロック層205,及びp−GaAsコンタクト
層206を順次結晶成長する。次にスパッタによりコン
タクト層206上にSiO膜207を成膜し、通常の写
真製版を用いてSiO 2 膜207をパターニングし、図
23(a) に示すように、ストライプ状の開口部を形成す
る。ここで開口部のストライプ方向は[011]方向で
ある。図24は図23(a) に示す工程で形成されるスト
ライプ状開口部の形状をより明確に示すための斜視図で
ある。次にMOCVD反応管内で、例えばHClガスを
用いたガスエッチングにより、p−GaAsコンタクト
層206,及びn−GaAs電流ブロック層205をエ
ッチングする。この溝の側面は(111)B面である。
なお、このエッチングとして上記第3の実施例に示すエ
ッチング法を用いることができることはいうまでもな
い。また、エッチングに際し、上記第1の実施例又は第
2の実施例による半導体装置の製造方法で用いた方法に
より表面クリーニングを施しておくことが望ましい。次
にMOCVD法によりp−AlGaAsクラッド層20
8,p−GaAsコンタクト層209を順次成長する。
この成長において側面である(111)B面は成長しな
い面であるため、図25に示すように、溝は底面からの
成長により埋まり、表面は図23(c) に示すようにフラ
ットに埋まる。
【0130】この後、SiO膜207を除去し、ウェハ
表面にp側電極、基板裏面側にn側電極を形成し、劈開
等によりチップ単位に分割することにより半導体レーザ
が完成する。
【0131】このように、本第12の実施例によれば、
従来とは90°異なる[011]方向を長手方向とする
ストライプ状の開口を有するパターンをマスクとして塩
素系ガスを用いてガスエッチングすることにより、電流
通路を形成するためのストライプ状溝を形成するように
したから、溝を、その表面がフラットとなるように埋め
込むことができ、結晶成長工程後の写真製版工程を容易
とでき、またレーザをジャンクションダウンで組み立て
た場合に活性層に圧縮応力がかかることを防止でき信頼
性を向上できる。
【0132】さらに、本実施例では埋め込み層が溝の底
面から順に埋まっていくので、p−GaAsコンタクト
層209をp−AlGaAs層208の埋め込み成長に
連続して成長させても、p−GaAsコンタクト層20
6と接続して成長させることができるので、図33の従
来例のようにp−GaAsコンタクト層306を埋め込
み成長工程とは別の結晶成長工程で成長させる必要はな
く、結晶成長工程を2回にすることができ、工程の短縮
化を図ることができる。なお、p−AlGaAs層20
8とp−GaAsコンタクト層209を一回の結晶成長
で連続して形成するのではなく、p−AlGaAs層2
08を埋め込んだ後、選択成長マスクパターン207を
除去して、ウェハ全面にp−GaAsコンタクト層20
9を結晶成長させるようにしてもよい。この場合は最初
の結晶成長工程でp−GaAsコンタクト層206まで
ではなく、図33の従来例と同様、n−GaAs電流ブ
ロック層205までを結晶成長するようにすればよい。
【0133】なお、上記実施例では(100)面を主面
とする基板を用い、(111)B面を側面とする溝を形
成するようにしたものについて示したが、(100)面
と結晶工学的に等価な{100}面を主面とする基板を
用い、〈011〉方向を長手とするストライプ状開口を
有するパターンをマスクとして上記実施例と同様のエッ
チングを行なえば、(111)B面と結晶工学的に等価
な{111}B面を側面とする溝が得られ、これを埋め
込むようにすれば、上記実施例と同様の効果が得られる
ものである。
【0134】実施の形態13.次に、本発明の第13の
実施例による半導体レーザの製造方法について説明す
る。本実施例はAlGaAs系材料で信頼性の高い埋め
込みヘテロ構造の半導体レーザを得るものである。図2
6(a) 〜(d) は本発明の第13の実施例による半導体レ
ーザの製造方法を示す断面工程図である。図において、
210はn−GaAs基板、211はn−AlGaAs
クラッド層、212はアンドープGaAs活性層、21
3はp−AlGaAsクラッド層、214はSiO2
パターン、215はi−GaAs電流ブロック層、21
6はp−GaAsコンタクト層である。
【0135】次に製造工程について説明する。まずn−
GaAs基板210上にMOCVD法によりn−AlG
aAsクラッド層211,アンドープGaAs活性層2
12,p−AlGaAsクラッド層213を順次結晶成
長する。なお、図示しないが、p−AlGaAsクラッ
ド層213上にはp−GaAsキャップ層を結晶成長す
る。次にスパッタによりウェハ上にSiO膜214を成
膜し、通常の写真製版を用いてSiO2膜207をパタ
ーニングし、図26(a) に示すように、ストライプ状の
パターンを形成する。ここでパターン214のストライ
プ方向は[011]方向である。次にMOCVD反応管
内で、例えばHClガスを用いたガスエッチングによ
り、図26(b) に示すように、ダブルヘテロ構造をリッ
ジ状にエッチング成形する。このリッジの側壁は(11
1)B面である。このとき、エッチングに際し、上記第
1の実施例又は第2の実施例による半導体装置の製造方
法で用いた方法により表面クリーニングを施す。なお、
このエッチングとして上記第3の実施例に示すエッチン
グ法を用いることができることはいうまでもない。エッ
チング工程に連続して、MOCVD法によりi−GaA
s電流ブロック層215を結晶成長し、図26(c) に示
すように、リッジを埋め込む。その後、SiO 2膜パタ
ーン214を除去し、図26(d) に示すように、ウェハ
全面にp−GaAsコンタクト層を結晶成長する。
【0136】この後、コンタクト層216表面にp側電
極、基板210裏面側にn側電極を形成し、劈開等によ
りチップ単位に分割することにより半導体レーザが完成
する。
【0137】AlGaAs系材料では、再成長界面に界
面準位が形成されやすいため、活性層を含むダブルヘテ
ロ構造をリッジ状にエッチングした後にこれを電流ブロ
ック層で埋め込む、いわゆる埋め込みヘテロ構造のレー
ザを作製した場合、活性層の再成長界面部分での劣化が
著しく、信頼性が極めて低いという問題点があったが、
本実施例では、エッチングに際し、上記第1の実施例又
は第2の実施例による半導体装置の製造方法で用いた方
法により表面クリーニングを施すことにより、再成長界
面を清浄なものとでき、界面準位が形成されにくくする
ことができ、AlGaAs系材料からなる埋め込みヘテ
ロレーザの信頼性を向上できる。
【0138】なお、上記実施例では、電流ブロック層を
高抵抗のGaAs層で構成したものについて示したが、
図26(e) に示す変形例のように、p−GaAs層21
7,及びn−GaAs層218の二層構造とし、pnp
nサイリスタによる電流阻止構造を構成するようにして
もよい。
【0139】実施の形態14.以下、この発明の第14
の実施例を図について説明する。図27は本発明の第1
4の実施例による結晶成長方法を示す工程図であり、図
において、401はSi基板、402はシリコンナイト
ライド膜(以下、SiN膜と称す)、403はGaAs
層である。
【0140】以下、工程を説明する。まず、図27(a)
に示すSi基板401上に、図27(b) に示すようにS
iN膜402を例えばプラズマCVD法によって形成す
る。
【0141】次に、図27(c) に示すように、上記Si
N膜402をデバイス作製領域を取り囲むようにパター
ニングを施す。次に、この基板をアンモニア水とH22
とH 2 Oの混合液(以下、RCA洗浄液と称す)で洗浄
する。Si基板をRCA洗浄液を用いて洗浄すると基板
表面に残留したレジスト等による汚染が完全に除去さ
れ、清浄なSi表面にした後、弱く結合した酸化膜が形
成される。上記酸化膜はMOCVD反応炉で成長前に熱
処理を施すことにより、容易に除去される。
【0142】次に、熱処理を施してSi表面の清浄化を
行った後、図27(d) に示すように、21階成長法によ
りGaAs層403を所望の厚みだけ形成する。ここ
で、低温バッファ層形成は、原料であるAsH3 ガス,
及びトリメチルガリウム(TMG)と共にHClガスを
同時に供給することにより行った。本実施例において
は、HClガスのTMGに対するモル流量比が0.25
となるようにした。通常のMOCVD成長においては、
500℃以下の温度領域においては絶縁膜上へのポリク
リスタルの析出が生じ、良好な選択成長が得られないの
に対し、本実施例のように成長中に微量のHClガスを
導入することにより、ポリクリスタルの析出は完全に抑
制され、良好な選択成長が得られた。この結果、低温バ
ッファ層形成後に引き続いてGaAsの成長に適した7
00℃程度の温度で所望の厚みのGaAs層を成長した
際に、絶縁膜上へのポリクリスタルの析出はなく、絶縁
膜でパターニングされていない部分にのみGaAs層を
成長することができた。
【0143】発明が解決しようとする課題の項でも述べ
たように、従来の技術においては低温バッファ層を良好
に選択成長することが困難であり、この結果クラックを
抑制することができないという問題点があった。そのた
め、従来例で述べたメサ溝によるクラックの伝播防止策
が採用され、効果を奏することを確認したが、この場合
は、ウエハ上にレジストが残留した状態で高温成長を行
なうことにより菱形状ピットが発生し、この菱形状ピッ
トを起点としてクラックが発生するため、クラックの完
全な抑制には至っていなかった。
【0144】本第14の実施例では、絶縁膜によるパタ
ーニングを施した後、Si基板のクリーニングをRCA
洗浄により行い、しかる後GaAs層を上述の方法によ
り成長するようにしたので、良好な選択成長を行うこと
ができた。ウエハ端から発生するクラックは全て絶縁膜
で遮断され、デバイス領域へのクラックの伝播は全くな
かった。さらに、選択成長領域は充分にクリーニングが
施されたSi基板上に行うことができるので、従来例に
見られたような菱形状のピットは発生せず、この菱形状
のピットによるクラックの発生も完全に抑制することが
できた。
【0145】なお、上記第14の実施例においては、S
i基板上にGaAsを成長した場合について説明した
が、Si基板上にInPを成長する場合、またはGaA
s基板上にInPを成長する場合でも同様の効果を奏す
ることを確認した。ここで、基板がGaAsである場合
は、絶縁膜パターン形成後に基板表面を充分にクリーニ
ングすることが困難である。しかし、本発明では、表面
にレジストが残留したGaAs層上に直接高温成長を行
なう従来の方法と異なり、この充分に清浄ではないGa
As基板上にはじめに形成されるのは低温バッファ層で
あるので、基板上の不純物を原因とする菱形状のピット
は発生しにくく、クラックを充分抑制することができる
ものである。
【0146】また、その他の異種基板上結晶成長に関し
ても本技術を用いることにより、上記第14の実施例で
示した同様の効果が得られることは容易に類推できる。
【0147】実施の形態15.図28はこの発明の第1
5の実施例による結晶成長方法を説明するための図であ
る。このグラフはGaAs基板上にGaAsをMOCV
D成長する際に、結晶成長時にHClガスを添加するこ
とによる成長速度の変化を示したものである。
【0148】図に示すように、HCl流量が3sccm以下
の領域では成長速度はほとんど変化しないのに対し、H
Clガス流量が5sccm以上では、HClガス流量増加に
伴って成長速度が減少することが確認された。これはH
Clガスによるエッチング作用が材料ガスによる成長作
用と同時に起こっていることを反映している。この図か
ら、MOCVDによる均一性,再現性を損なうことな
く、選択成長性のみを改善するためには、HClガス流
量を一定量以下に設定することが極めて重要であること
が確認できる。すなわち、HClガスのTMGに対する
モル流量比が概略0.3以下となるようにHClガス流
量を設定することが極めて重要である。
【0149】図29は、HClガスをMOCVD成長時
に同時に供給することによる結晶品質への影響について
調べた結果であり、GaAs基板上に成長したAl0.37
Ga0.63As層の4.2Kにおけるフォトルミネッセン
ス(PL)スペクトルを示している。図において、41
0はHCl流量をHClガスのIII 族ガスに対するモル
流量比([HCl]/[III ])を0.25に設定して
成長した場合の、411は1.0に設定して成長した場
合のAl0.37Ga0.63As成長層の4.2KにおけるP
Lスペクトルをそれぞれ示している。図に示すように
[HCl]/[III ]を0.25に設定した場合、PL
スペクトルは通常のMCOVD成長と同等の良好な結晶
性を示したのに対し、[HCl]/[III ]を1に設定
して成長したサンプルではPLピーク強度が約1/10
0に減少し、不純物発光のピークが支配的な振る舞いを
示した。このサンプルの不純物分析をSIMSの手法に
より調べたところ、Cl,Oが結晶中に混入しているこ
とが明らかになった。この結果は、HClガスを多量に
添加することで結晶品質が悪化したことを示している。
【0150】以上、図28,図29に示す実験の結果よ
り、[HCl]/[III ]は0.3以下に抑えることが
結晶品質の面からも、均一性、再現性確保の面からも極
めて重要であることが初めて示された。
【0151】なお、上記実施例では、GaAs基板上に
GaAsあるいはAlGaAsを成長させた場合の結晶
品質について述べたが、Si基板上のGaAs成長等の
異種基板上の成長の際、特に低温バッファ層の成長の際
にHClガスを同時に供給する場合には、[HCl]/
[III ]を0.3以下にすることで結晶品質に優れ、か
つクラック発生を防止できる良好な選択成長が得られる
ことも確認した。
【0152】また、上記第14,第15の実施例では、
材料ガスと同時にHClガスを流すようにしたものにつ
いて示したが、HClガスの代わりにCl2 ガスを流す
ようにしても良く、上記各実施例と同様の効果を奏す
る。
【0153】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る半導体装
置の製造方法によれば、Alを構成元素として含む化合
物半導体に絶縁膜によるパターニクを施す工程と、ドラ
イエッチングの手法を用いて微細構造を作製する工程
と、上記微細構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含
む化合物半導体装置の製造方法において、上記Alを構
成元素として含む化合物半導体に連続してAlを含まな
い化合物半導体保護層を形成し、上記保護層上に絶縁膜
による選択マスクを形成した後、半導体ウェハを硫化ア
ンモニウム溶液に浸漬し、その後、反応管内において塩
素系ガスを用いてエッチングを行ない、上記反応管内に
おいて上記エッチング工程によって作製された微細構造
をMOCVDの手法を用いて化合物半導体層で埋め込む
ようにしたので、不純物の偏析しない良好な再成長界面
が得られ、再成長層の結晶品質を向上できる効果があ
る。
【0154】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法によれば、Alを構成元素として含む化合物半導体に
絶縁膜によるパターニクを施す工程と、ドライエッチン
グの手法を用いて微細構造を作製する工程と、上記微細
構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物半導
体装置の製造方法において、上記Alを構成元素として
含む化合物半導体に連続してAlを含まない化合物半導
体保護層を形成し、上記保護層上に絶縁膜による選択マ
スクを形成した後、半導体ウェハを反応管内にセット
し、該反応管内において上記保護層の表面酸化膜を除去
し、その後、反応管内において塩素系ガスを用いてエッ
チングを行ない、上記反応管内において上記エッチング
工程によって作製された微細構造をMOCVDの手法を
用いて化合物半導体層で埋め込むようにしたので、不純
物の偏析しない良好な再成長界面が得られ、再成長層の
結晶品質を向上できる効果がある。
【0155】また、この発明に係る半導体装置の製造方
法によれば、Alx Ga1-x As(0≦x≦1)を塩
素系エッチングガスを用いたドライエッチングによりエ
ッチングする工程を含む半導体装置の製造方法におい
て、上記ドライエッチングとして塩素系エッチングガス
とV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行
なうガスエッチングの手法を用い、上記塩素系エッチン
グガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V
族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブ
チルアルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチ
ルアルシン((CH33 As)ガスのいずれかを用
い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.
08Torr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に
対する上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下
としてエッチングを行なうようにしたので、極めて平滑
なエッチング面が得られるとともに、エッチング面への
ダメージをも防止することができる効果がある。
【0156】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法によれば、半導体基板上にレーザダイオード構造の
GaAs及びAlGaAsからなる結晶構造を作製した
後、上記レーザダイオード構造の結晶構造上にエッチン
グマスクとなる絶縁膜を形成し、塩素系エッチングガス
とV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行
なうガスエッチングであって、上記塩素系エッチングガ
スとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガ
スとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチル
アルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルア
ルシン((CH 33 As)ガスのいずれかを用い、上
記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08T
orr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する
上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下として
行なうエッチングによりレーザダイオードの発振端面を
形成するようにしたので、劈開端面に比しても遜色のな
いレーザ発振端面をエッチングにより容易に形成するこ
とができる効果がある。
【0157】また、この発明に係る半導体レーザの製造
方法によれば、窓付き屈折率ガイド型レーザダイオード
を製造する方法において、半導体基板上に複数種類のA
xGa1-x As(0≦x≦1)からなり活性領域を構
成する半導体積層構造を結晶成長し、該半導体積層構造
上にエッチングと結晶成長を選択的に行うための保護膜
を形成した後、上記保護膜をマスクとして用い、塩素系
エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給す
ることにより行なうガスエッチングであって、上記塩素
系エッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用
い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,タ
ーシャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガス,
又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガスのい
ずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Tor
r以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチング
ガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25以上
2.5以下として行なうエッチングにより上記半導体積
層構造をエッチングし、この後、該エッチング工程で残
された半導体積層構造を埋め込むようにレーザ発振領域
の材料と比較してバンドギャップが大きく、かつ半絶縁
性もしくは高抵抗の半導体材料を結晶成長し電流阻止領
域及び窓領域を一括同時に形成し、上記保護膜を除去し
た後、ウェハ上に表面オーミックコンタクト領域を結晶
成長するようにしたので、端面窓構造を有する半導体レ
ーザダイオードを容易に形成することができる効果があ
る。
【0158】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法によれば、{100}面を主面とする半導体基板上
に第1の半導体層を形成した後、上記第1の半導体層上
に〈011〉方向を長手方向とする細線状のエッチング
マスクを形成し、上記第1の半導体層を、塩素系エッチ
ングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給すること
により行なうガスエッチングであって、上記塩素系エッ
チングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上
記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャ
リブチルアルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリ
メチルアルシン((CH33 As)ガスのいずれかを
用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上
0.08Torr以下とし、かつ上記エッチングガス流
量に対する上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5
以下として行なうエッチングによりエッチングし{11
1}B面で構成されたV字型の溝を形成した後、上記
{111}B面で構成されたV字型の溝の底部付近に上
記第1の半導体よりバンドギャップの小さい第2の半導
体層を形成し、上記第2の半導体層に引き続いて第2の
半導体よりバンドギャップの大きい第3の半導体層を形
成するようにしたので、量子細線を制御性よく形成する
ことができる効果がある。
【0159】また、この発明に係る量子細線構造の製造
方法によれば、半導体基板上に第1種の高抵抗半導体層
と、上記第1種の半導体より電子親和力の小さい第2種
の高抵抗半導体層と、第1種の高抵抗半導体層とを順次
形成した後、上記第2種の高抵抗半導体層に少なくとも
凹部の形状が逆三角形断面である凹凸周期構造を形成
し、その上部に上記第2種のn型半導体層と上記第1種
のn型半導体層を順次形成して構成される量子細線構造
の製造方法であって、上記凹凸周期構造の形成を、塩素
系エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に供給
することにより行なうガスエッチングであって、上記塩
素系エッチングガスとしてHClガス又はCl2 ガスを
用い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガス,
ターシャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガ
ス,又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガス
のいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3
orr以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチ
ングガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25
以上2.5以下として行なうエッチングにより形成する
ようにしたので、優れた品質の量子細線を制御性よく形
成することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例による半導体装置の
製造方法を説明するための図である。
【図2】 この発明の第1の実施例における化合物半導
体のエッチング方法の効果を説明するための不純物分析
の測定結果を示す図である。
【図3】 この発明の第3の実施例による半導体装置の
製造方法を説明するための図である。
【図4】 この発明の第4の実施例による半導体レーザ
の製造方法を説明するための図である。
【図5】 この発明の第5の実施例による半導体レーザ
の製造方法を説明するための図である。
【図6】 この発明の第5の実施例による半導体レーザ
の製造方法を説明するための図である。
【図7】 この発明の第4の実施例による半導体レーザ
の製造方法により作製された半導体レーザの一例を示す
図である。
【図8】 この発明の第6の実施例による窓付き屈折率
ガイド型半導体レーザの製造方法を示す断面工程図であ
る。
【図9】 この発明の第6の実施例による窓付き屈折率
ガイド型半導体レーザの製造方法を示す断面工程図であ
る。
【図10】 この発明の他の実施例にかかる窓付き屈折
率ガイド型半導体レーザの製造方法を説明するための斜
視図である。
【図11】 この発明の第7の実施例によるリッジ型半
導体レーザの製造方法を示す断面工程図である。
【図12】 この発明の第7の実施例によるリッジ型半
導体レーザの製造方法により作製されたリッジ型半導体
レーザの一例を示す斜視図である。
【図13】 この発明の第8の実施例による半導体装置
の製造方法を説明するためのガス導入シーケンス図であ
る。
【図14】 この発明の第8の実施例による半導体装置
の製造方法を説明するためのエッチングレートを示す図
である。
【図15】 この発明の第9の実施例による半導体装置
の製造装置の概略を示す断面構造図である。
【図16】 この発明の第9の実施例による半導体装置
の製造装置の概略を示す上面図である。
【図17】 この発明の第10の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図18】 この発明の第10の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図19】 この発明の第10の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図20】 この発明の第10の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図21】 この発明の第11の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図22】 この発明の第11の実施例による量子細線
構造の製造方法を説明するための図である。
【図23】 この発明の第12の実施例による半導体レ
ーザの製造方法を示す断面工程図である。
【図24】 この発明の第12の実施例による半導体レ
ーザの製造方法を説明するための斜視図である。
【図25】 この発明の第12の実施例による半導体レ
ーザの製造方法における埋め込み結晶成長の様子を示す
図である。
【図26】 この発明の第13の実施例による半導体レ
ーザの製造方法を説明するための図である。
【図27】 この発明の第14の実施例による結晶成長
方法を説明するための断面工程図である。
【図28】 この発明の第15の実施例による結晶成長
方法を説明するための成長速度とHCl流量との関係を
示す図である。
【図29】 この発明の第15の実施例による結晶成長
方法を説明するための4.2Kにおけるフォトルミネッ
センススペクトルを示す図である。
【図30】 従来の化合物半導体のエッチング方法の問
題点を説明するための断面構造図である。
【図31】 従来の化合物半導体のエッチング方法の問
題点を説明するための断面構造図である。
【図32】 従来の化合物半導体のエッチング方法の問
題点を説明するための不純物分析結果を示す図である。
【図33】 従来の窓構造の半導体レーザの構造を説明
するための斜視図である。
【図34】 従来の化合物半導体のエッチング方法を説
明するための図である。
【図35】 従来の量子細線レーザにおける量子細線の
問題点を説明するための図である。
【図36】 従来の半導体レーザの製造方法を示す断面
工程図である。
【図37】 従来の半導体レーザの製造方法における埋
め込み結晶成長の様子を示す図である。
【図38】 従来のSi基板上のGaAs成長方法の一
例を説明するための断面工程図である。
【図39】 従来のSi基板上のGaAs成長方法の問
題点を説明するための図である。
【図40】 Si基板上のGaAs成長層のクラックの
発生とGaAs層の厚みとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 再成長GaAs層、2 Alx Ga1-x As層、3
再成長界面、11GaAsキャップ層、12 酸化
膜、13 硫黄膜、21 SiN膜パターン、23 G
aAs基板、24 (011)面、25 (311)
面、26 (111)B面、50 n−GaAs基板、
51 n−Alx Ga1-x As第1クラッド層、52
活性層、53 p−Alx Ga1-x As第2クラッド
層、54n−GaAs電流ブロック層、55 p−Ga
As層、56 p−GaAsコンタクト層、57 発光
端面、70 p−GaAs層、71 高抵抗Aly Ga
1-y As窓・ブロック層、72 p−電極、73 n−
電極、120 AsH3供給領域、121 H2 パージ
領域、122 HCl供給領域、140 原料ガスイン
ジェクタ、141 キャリアガスインジェクタ、142
H2 ガスインジェクタ、143 ウェハトレイ、14
4 ウェハ、145 反応チャンバ、146 サセプ
タ、147 排気口、161 GaAs/AlGaAs
多重層、162 未成長面、163 成長フロント、1
81 AlGaAs層、182 GaAs量子細線、1
83 AlGaAs層、184 GaAsキャップ層、
185GaAsキャップ層、186 SiN膜、191
i−GaAs層、192i−AlGaAsスペーサ
層、193 n+−GaAsキャップ層、194 量子
細線、195 SiN膜、196 n+−GaAsキャ
ップ層、197 n−AlGaAs電子供給層、200
n−GaAs基板、201 n−GaAs層、202
n−AlGaAsクラッド層、203 アンドープG
aAs層、204 p−AlGaAsクラッド層、20
5 n−GaAs電流ブロック層、206 p−GaA
sコンタクト層、207 SiO2膜、208 p−A
lGaAs埋め込み層、209 p−GaAs埋め込み
層、401 Si基板、402SiN基板403 Ga
As層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/205 H01S 5/16 H01S 5/16 H01L 21/302 P

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを構成元素として含む化合物半導体
    に絶縁膜によるパターニングを施す工程と、ドライエッ
    チングの手法を用いて微細構造を作製する工程と、上記
    微細構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物
    半導体装置の製造方法において、 上記Alを構成元素として含む化合物半導体上に連続し
    てAlを含まない化合物半導体保護層を形成する第1の
    工程と、 上記化合物半導体保護層上に絶縁膜による選択マスクを
    形成する第2の工程と、 第2の工程を終えた半導体ウェハを硫化アンモニウム溶
    液に浸漬する第3の工程と、 反応管内において塩素系ガスを用いてエッチングを施す
    第4の工程と、 上記反応管内において上記第4の工程によって作成され
    た微細構造をMOCVDの手法を用いて化合物半導体層
    で埋め込む第5の工程とを含むことを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 Alを構成元素として含む化合物半導体
    に絶縁膜によるパターニングを施す工程と、ドライエッ
    チングの手法を用いて微細構造を作製する工程と、上記
    微細構造を化合物半導体で埋め込む工程とを含む化合物
    半導体装置の製造方法において、 上記Alを構成元素として含む化合物半導体上に連続し
    てAlを含まない化合物半導体保護層を形成する第1の
    工程と、 上記化合物半導体保護層上に絶縁膜による選択マスクを
    形成する第2の工程と、 反応管内において上記化合物半導体保護層の表面酸化膜
    を除去する第3の工程と、 上記反応管内において塩素系ガスを用いてエッチングを
    施す第4の工程と、 上記反応管内において上記第4の工程によって作成され
    た微細構造をMOCVDの手法を用いて化合物半導体層
    で埋め込む第5の工程とを含むことを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記Alを構成元素として含む化合物半
    導体がAlGaAsであって、上記化合物半導体保護層
    がGaAsであることを特徴とする請求項1または2記
    載の半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 Alx Ga1-x As(0≦x≦1)を塩
    素系エッチングガスを用いたドライエッチングによりエ
    ッチングする工程を含む半導体装置の製造方法におい
    て、 上記ドライエッチングとして塩素系エッチングガスとV
    族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行なう
    ガスエッチングの手法を用い、上記塩素系エッチングガ
    スとしてHClガス又はCl2ガスを用い、上記V族ガ
    スとしてアルシン(AsH3)ガス,ターシャリブチル
    アルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチル
    アルシン((CH33As)ガスのいずれかを用い、 上記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08
    Torr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対す
    る上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下とし
    てエッチングを行なうことを特徴とする半導体装置の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 上記塩素系エッチングガスとしてHCl
    ガス、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3)ガスを
    用いることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 半導体基板上に複数種類のAlx Ga
    1-x As(0≦x≦1)からなり所定のレーザダイオー
    ド構造を有する結晶構造を作製する第1の工程と、 上記レーザダイオード構造の結晶構造上にエッチングマ
    スクとなる絶縁膜を形成する第2の工程と、 塩素系エッチングガスとV族ガスと水素ガスとを同時に
    供給することにより行なうガスエッチングであって、上
    記塩素系エッチングガスとしてHClガス又はCl2
    スを用い、上記V族ガスとしてアルシン(AsH3 )ガ
    ス,ターシャリブチルアルシン(C49 AsH2 )ガ
    ス,又はトリメチルアルシン((CH33 As)ガス
    のいずれかを用い、上記V族ガスの分圧を8×10-3
    orr以上0.08Torr以下とし、かつ上記エッチ
    ングガス流量に対する上記V族ガス流量の比を0.25
    以上2.5以下として行なうエッチングによりレーザダ
    イオードの発振端面を形成する第3の工程とを含むこと
    を特徴とする半導体レーザの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記結晶成長工程においてレーザダイオ
    ード表面が(100)面となるように結晶成長を行な
    い、上記ガスエッチング工程においてレーザ発振端面と
    して(011)面もしくは(0/1/1)面を形成する
    ことを特徴とする請求項6記載の半導体レーザの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記結晶成長工程においてレーザダイオ
    ード表面が{110}面となるように結晶成長を行な
    い、上記ガスエッチング工程においてレーザ発振端面と
    して上記{110}面と垂直な{111}B面を形成す
    ることを特徴とする請求項6記載の半導体レーザの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 窓付き屈折率ガイド型の半導体レーザを
    製造する方法において、 半導体基板上に複数種類のAlx Ga1-x As(0≦x
    ≦1)からなり活性領域を構成する半導体積層構造を形
    成する第1の結晶成長工程と、 該半導体積層構造上にエッチングと結晶成長を選択的に
    行うための保護膜を形成する工程と、 上記保護膜をマスクとして用い、塩素系エッチングガス
    とV族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行
    なうガスエッチングであって、上記塩素系エッチングガ
    スとしてHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガ
    スとしてアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチル
    アルシン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルア
    ルシン((CH33 As)ガスのいずれかを用い、上
    記V族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08T
    orr以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する
    上記V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下として
    行なうエッチングにより上記半導体積層構造をエッチン
    グする工程と、 該エッチング工程で残された半導体積層構造を埋め込む
    ようにレーザ発振領域の材料と比較してバンドギャップ
    が大きく、かつ半絶縁性もしくは高抵抗の半導体材料を
    結晶成長し電流阻止領域及び窓領域を一括同時に形成す
    る第2の結晶成長工程と、 上記保護膜を除去した後、ウェハ表面に表面オーミック
    コンタクト領域を形成する第3の結晶成長工程とを含む
    ことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記結晶成長工程においてレーザダイ
    オード表面が(100)面となるように結晶成長を行な
    い、上記ガスエッチング工程においてレーザ発振端面と
    して(011)面もしくは(0/1/1)面を形成する
    ことを特徴とする請求項9記載の半導体レーザの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 {100}面を主面とする半導体基板
    上に第1の半導体層を形成する工程と、 上記第1の半導体層上に〈011〉方向を長手方向とす
    る細線状のエッチングマスクを形成する工程と、 上記第1の半導体層を、塩素系エッチングガスとV族ガ
    スと水素ガスとを同時に供給することにより行なうガス
    エッチングであって、上記塩素系エッチングガスとして
    HClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガスとして
    アルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチルアルシン
    (C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルアルシン
    ((CH33As)ガスのいずれかを用い、上記V族
    ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08Torr
    以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する上記V
    族ガス流量の比を0.25以上2.5以下として行なう
    エッチングによりエッチングし、側面が{111}B面
    で構成された断面V字型の溝を形成する工程と、 上記V字型の溝の底部付近に上記第1の半導体よりバン
    ドギャップの小さい第2の半導体層を形成する工程と、 上記第2の半導体層に引き続いて第2の半導体よりバン
    ドキャップの大きい第3の半導体層を形成する工程とを
    含むことを特徴とする量子細線構造の製造方法。
  12. 【請求項12】 半導体基板上に第1種の高抵抗半導体
    層と、上記第1種の半導体より電子親和力の小さい第2
    種の高抵抗半導体層と第1種の高抵抗半導体層とを順次
    形成する工程と、上記第2種の高抵抗半導体層に少なく
    とも凹部の形状が逆三角形断面である凹凸周期構造を形
    成する工程と、その上部に上記第2種のn型半導体層と
    上記第1種のn型半導体層を順次形成する工程とを含む
    量子細線構造の製造方法であって、 上記凹凸周期構造の形成を、塩素系エッチングガスとV
    族ガスと水素ガスとを同時に供給することにより行なう
    ガスエッチングであって、上記塩素系エッチングガスと
    してHClガス又はCl2 ガスを用い、上記V族ガスと
    してアルシン(AsH3 )ガス,ターシャリブチルアル
    シン(C49 AsH2 )ガス,又はトリメチルアルシ
    ン((CH33 As)ガスのいずれかを用い、上記V
    族ガスの分圧を8×10-3Torr以上0.08Tor
    r以下とし、かつ上記エッチングガス流量に対する上記
    V族ガス流量の比を0.25以上2.5以下として行な
    うエッチングにより形成することを特徴とする量子細線
    構造の製造方法。
  13. 【請求項13】 {100}面を主面とするGaAs基
    板上に積層されたAlx Ga1-x As(0≦x≦1)層
    上に〈011〉方向を長手方向とする帯状のエッチング
    マスクを形成する工程と、 上記Alx Ga1-x As(0≦x≦1)層を、塩素系エ
    ッチングガスとV族ガスとを含むガスを用いてエッチン
    グし、側面が{111}B面で構成された段差を形成す
    る工程とを含む半導体装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 {100}面を主面とする半導体基板
    上に第1の半導体層を形成する工程と、 上記第1の半導体層上に、〈011〉方向を長手方向と
    する所定の間隔を介して並置されたエッチングマスクを
    形成する工程と、 上記エッチングマスクを用い、塩素系エッチングガスと
    V族ガスとを含むガスにより上記第1の半導体層をエッ
    チングし、側面が{111}B面で構成された断面V字
    型の溝を形成する工程と、 上記V字型の溝の底部付近に上記第1の半導体よりバン
    ドギャップの小さい第2の半導体層を形成する工程と、 上記第2の半導体層に引き続いて第2の半導体よりバン
    ドギャップの大きい第3の半導体層を形成する工程とを
    含む量子細線構造の製造方法。
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