JP2001052548A - テープ縦添え電線の製造方法およびその装置 - Google Patents

テープ縦添え電線の製造方法およびその装置

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JP2001052548A JP2000040145A JP2000040145A JP2001052548A JP 2001052548 A JP2001052548 A JP 2001052548A JP 2000040145 A JP2000040145 A JP 2000040145A JP 2000040145 A JP2000040145 A JP 2000040145A JP 2001052548 A JP2001052548 A JP 2001052548A
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治 神山
Akira Ono
晃 小野
Takahiro Hiyoshi
孝博 日吉
Hiroyuki Sugiyama
博之 杉山
Mitsunori Toyama
光則 外山
Tadahiro Utsuki
忠浩 宇津木
Toshimitsu Nagura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設備コストを抑え、また電線外周に縦添えさ
れるテープの寄り皺発生やテープ破断などを防止し、一
定品質で生産効率を飛躍的にアップできるテープ縦添え
電線の製造方法およびその装置を提供する。 【解決手段】 供給源から供給されてきた電線1と2本
の耐火テープ2,3を上流側のテープ縦添えガイド6に
おいて案内しながら、それら耐火テープ2,3を電線1
の外周に線長さ方向に沿って縦添えされるように送り出
し、テープ縦添えガイド6から縦添え状態で送り出され
たそれら電線1および耐火テープ2,3を成形ダイス7
において絞りながら、電線1の外周に耐火テープ2,3
を密着させかつテープの幅方向両端が均等に重なり合っ
て重ね部を形成するよう巻き付けた状態で送り出す。す
なわち、成形ダイス7に送り込む前に、テープ縦添えガ
イド6で電線1の外周に均等配分して2本の耐火テープ
2,3を縦添えした状態にしているから、成形ダイス7
では電線1にテープ幅方向の両端を重ね合わせて重ね部
を形成するうえで、重ね部の重なり量が過不足なく均等
かつ確実に成形できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば耐火電線
に耐火テープを縦添え巻き付けして被覆する場合、また
シールドケーブルの製造にあたって絶縁電線にシールド
テープを縦添え巻き付けして被覆する場合などのテープ
縦添え電線の製造方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、テープ縦添え電線の製造装置
の概念を示す一例であり、この場合装置上流側から供給
されたたとえば耐火電線の導体(以下、説明の便宜上こ
れを単に電線という)40と耐火テープ41の各1本を
成形ダイス42に通し、図12(a)に示すように、電
線40の外周に耐火テープ41をテープ幅方向の両端が
重なり合って重ね部43ができるように縦添えする。そ
のようにして耐火テープ41が縦添えされた電線40を
第1粗巻き装置44に送る。同時に、この第1粗巻き装
置44には紐状の粗巻き材49が供給され、縦添えした
耐火テープ41が電線40の外周に密着するようテープ
上からその粗巻き材49を巻き付け、密着させた耐火テ
ープ41が開いてしまわないよう緊縛する。そうしたも
のをテープ単巻き縦添え電線40Aとして第1粗巻き装
置44から送り出す。
【0003】また、同装置では、上記第1粗巻き装置4
4から送り出されたテープ単巻き縦添え電線40Aに対
して、この上から重ねるようにしてさらに別の1本の耐
火テープ45が供給されて縦添えされる。
【0004】すなわち、第1粗巻き装置44の下流側に
別の成形ダイス46と第2粗巻き装置48が配置され、
この第2粗巻き装置48においても粗巻き材49が供給
されて粗巻きを施し、今度はテープ複巻き縦添え電線4
0Bとして送り出す。この場合、成形ダイス46に通さ
れると、図12(b)に示すように、電線40の外周に
縦添えした最初の1本の耐火テープ41による重ね部4
3の上に重なって、2本目の耐火テープ45による重ね
部47が形成される。
【0005】図13(a)〜(c)は、同一部材である
上記成形ダイス42,46を示す単体図である。ダイス
本体42aの軸方向に貫通して絞り孔が設けられ、この
絞り孔は矢印で示す送り方向の入口側から出口側に向か
って、漸次縮径した形状の円錐テーパ状の導入孔部42
bと、この導入孔部42bの奥の縮径部から出口側まで
貫通したストレート孔による絞り部42cからなってい
る。
【0006】以上、図11および図12(a),
(b)、そして図13の成形ダイス単体図によって従来
のテープ縦添え電線の製造装置の概念が示された。そう
した装置として提案されたものに、たとえば特開平10
−3831号公報に記載の縦添えテーピング装置ほか多
くの先行技術がある。同公報による装置は、絶縁電線の
外周に沿わせシールドテープを縦添えして巻き付けする
にあたり、シールドテープを丸める絞り用ダイスが備わ
り、この絞り用ダイスから送り出されたシールドテープ
を二組のローラダイスでもってテープ合わせ目を挟み込
みながら電線外周に縦添えし、巻き付けて被覆する構造
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来例とし
て前者の図11〜図13に示されたテープ縦添え電線の
製造装置とその方法にあっては、次の点に問題がある。
【0008】 電線40に対して1本目,2本目の耐
火テープ41,45を段階を追って縦添えする装置であ
るから、製造ラインが長大化し、複雑化して設備コスト
が高騰する。
【0009】 耐火テープ41,45を見栄え良好に
縦添えして巻き付けるためには、図12(a),(b)
で示された重ね部43,47をつくることが必要である
が、それへの確実性に欠けることである。
【0010】すなわち、電線40に対して供給される耐
火テープ41,45の電線40に対する位置が生産中の
装置駆動の微妙な変化でずれなど生じ、重ね部43,4
7の重なり量に違いが生じて、重ね部の形状が崩れた
り、また耐火テープ41,45が開いてしまう個所が生
じたりして、外観を損なうことはもとより、縦添え機能
の低下を招く不具合がある。
【0011】 電線40の外周に耐火テープ41,4
5を極力密着させようときつく巻き付けると、テープ表
面に寄り皺が生じて外観を甚だ損なう他、テープ破断に
至る場合がある。
【0012】一方また、従来例として引用した後者の特
開平10−3831号公報に開示された縦添えテーピン
グ装置においても、次の点に改良の余地を残している。
すなわち、二組のローラダイスがそれらの回転軸を直交
させて組み立てられているため、装置全体が複雑化し、
直交軸の角度調整など非常に緻密かつ高精度のローラ精
度が要求される。
【0013】したがって、本発明の目的は、その主たる
ものとして簡潔な構成とすることで設備コストを抑え、
また電線外周に縦添えされるテープの寄り皺発生やテー
プ破断などを防止し、一定品質で生産効率を飛躍的にア
ップできるテープ縦添え電線の製造方法およびその装置
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にかかる請求項1に記載のテープ縦添え電線
の製造方法は、それぞれの供給源から供給されてきた電
線と1本以上のテープを上流側のテープ縦添えガイド6
において案内しながら、テープを電線の外周に線長さ方
向に沿って縦添えされるように送り出し、テープ縦添え
ガイド6から縦添え状態で送り出されたそれら電線およ
びテープを成形ダイス7において絞りながら、電線の外
周にテープを密着させかつテープの幅方向両端が均等に
重なり合って重ね部を形成するよう巻き付けた状態で送
り出す、ことを特徴とする。
【0015】以上の製造方法により、成形ダイス7に送
り込む前に、テープ縦添えガイド6で電線の外周に均等
配分して1本以上のテープを縦添えした状態にしている
から、成形ダイス7では電線にテープを幅方向両端を重
ね合わせて重ね部を形成するうえで、重ね部の重なり量
が過不足なく均等かつ確実に成形できる。
【0016】また、請求項2に記載のテープ縦添え電線
の製造方法は、前記成形ダイス7に紐状またはテープ状
の粗巻き材13を供給して、電線の外周に密着して重ね
部を形成したテープの上からその粗巻き材13によって
緊縛することを特徴とする。
【0017】以上の製造方法により、成形ダイス7で絞
られて電線の外周に密着して重ね部を形成したテープが
開いてしまわないよう、粗巻き材13で緊縛される。
【0018】また、請求項3に記載のテープ縦添え電線
の製造方法は、テープが複数本の場合でもそれらテープ
を1つの前記テープ縦添えガイド6で案内しつつ電線の
外周に均等配分して縦添え状態で送り出し、それを受け
取って絞る前記成形ダイス7も1つだけでそれらテープ
の両端同士を均等に重ね合わせて重ね部を形成すること
を特徴とする。
【0019】以上の製造方法により、この場合本発明の
重要な主旨の一つとして、縦添えされるテープが複数本
の場合であっても、装置上流側と下流側の同軸上に対峙
して配置したそれぞれ1つのテープ縦添えガイド6と成
形ガイド7だけで対応することができる。それに関して
引用された先述の各従来例と対照するに、設備の複雑さ
比べるまでもなくコンパクトである。
【0020】次に、本発明にかかる請求項4に記載のテ
ープ縦添え電線の製造装置は、それぞれの供給源から供
給されてきた電線1の外周に線長さ方向に沿って1本以
上のテープ(2,3)を縦添えし、テープ幅方向の両端
が重なり合うよう重ね部を形成して巻き付けるものであ
って、電線1が挿通して通過する挿通孔9を中心に有
し、またその挿通孔9に端を発してテープ数に対応する
数だけ放射状に延びて穿設されたテープ挿通スリット
(10,11)を有し、このテープ挿通スリットに挿通
して通過するテープが電線の外周に線長さ方向へ均等配
分して縦添えされるよう案内するテープ縦添えガイド6
と、このテープ縦添えガイド6を縦添え状態で通過した
電線およびテープが挿通して通過する絞り孔12を有
し、この絞り孔によって電線の外周に縦添え状態のテー
プを密着させるとともに、そのテープの幅方向両端に重
ね部が均等に形成される方向へ回転する成形ダイス7
と、を備えたことを特徴としている。
【0021】以上の構成から明らかなように、装置構成
はテープ縦添えガイド6と成形ガイド7だけからなり、
きわめて簡素である。縦添えされるテープ数は1本でも
複数本のテープ(2,3)の場合でも、単一の成形ガイ
ド7だけで対応でき、しかもそれら数本のテープをその
成形ガイド7で電線外周に均等に割り付けて、重ね部を
過不足なく均等に形成することができ、テープ縦添え電
線として品質一定のものを効率良く生産できる。
【0022】また、請求項5に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、前記テープ縦添えガイド6に穿設された
テープ挿通スリット(10,11)は、テープ数に対応
して1つまたは複数のいずれの場合でも同一方向へ湾曲
形成されて前記挿通孔9に端を発して渦巻き放射状に延
びており、それらテープ挿通スリットを挿通する前記テ
ープをテープ幅方向に丸めながら通過させて電線の外周
に縦添えして巻き付けるようにしてなっていることを特
徴とする。
【0023】以上の構成により、テープ数に対応してテ
ープ縦添えガイド6に設けたテープ挿通スリット(1
0,11)は、それらスリット個々が同一方向へ湾曲形
成されて渦巻き放射状になっているから、挿通するテー
プがテープ幅方向に丸め込まれ、電線の外周に縦添えし
て確実かつ適正に巻き付けることができる。
【0024】また、請求項6に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、成形ガイド7の絞り孔が、電線およびテ
ープの入口側から漸次縮径した円錐テーパ状に形成さ
れ、その縮径部から出口側に向けて貫通させた絞り部7
cの内周に沿って山部と谷部または凹凸が交互に連なる
テープ発生皺抑止面7dを形成してなっていることを特
徴とする。
【0025】以上の構成により、この場合成形ガイドの
絞り孔にテープの接触摩擦力を軽減するテープ発生皺抑
止面7dを形成することにより、テープに働く引張摩擦
力などの負担が軽減され、成形ガイドに送り込まれたテ
ープの破断防止に有効であり、またテープに寄り皺の発
生抑止にも効果的である。さらには、そうした摩擦軽減
作用によって、成形ガイド自身にとっても摩耗が緩和さ
れ、成形ガイドの耐久性向上にも有効である。
【0026】また、請求項7に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、前記成形ダイスの出口下流側に配置さ
れ、成形ダイスの絞り孔に電線およびテープの挿入と同
時に紐状またはテープ状の粗巻き材13を供給して、電
線の外周に密着して重ね部を形成したテープの上からそ
の粗巻き材13を巻き付ける粗巻き装置8が備わってい
ることを特徴とする。
【0027】以上の構成により、この場合上記一連の部
材構成からなる装置にあって粗巻き装置8が備わること
で、成形ダイスで電線外周に密着して縦添えされたテー
プが開いてしまうのを防ぐため、そのテープ上から粗巻
き材13で緊縛することでテープ開きに対して万全を期
すことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるテープ縦添
え電線の製造方法およびその装置のそれぞれ実施の形態
について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】図1〜図4は、第1実施の形態によるテー
プ縦添え装置を示し、図1はその装置全体を概略的に示
す斜視図、図2はテープ挿通スリット2,3を設けたテ
ープ縦添えガイド6を示す正面図、図3は成形ダイス6
におけるテープ縦添え成形時の態様を示す斜視図、そし
て図4は縦添えされたテープの重ね部態様を模式的に示
す正面断面図である。
【0030】この第1実施の形態では、1本の耐火電線
の導体(従来例の場合と同様、以下単に電線という)1
の外周に線長さ方向へ沿って2本の耐火テープ2,3を
縦添えし、図4に示すように、テープ両端同士を重ね合
わせて重ね部4,5を形成したテープ縦添え電線を製造
する。
【0031】この場合、上記一方の重ね部4は耐火テー
プ2の一端部と耐火テープ3の中間部とが重なって形成
され、また他方の重ね部5は耐火テープ3の一端部と耐
火テープ2の中間部とが重なって形成される。
【0032】図1および図2に示すように、装置は電線
・テープ供給源の上流側にテープ縦添えガイド6が備わ
っている。このテープ縦添えガイド6は円板形状の中心
部に、供給されてきた電線1が挿通する挿通孔9が設け
られている。また、この挿通孔9の中心から渦巻き状に
湾曲して放射方向へ2つのテープ挿通スリット10,1
1が同位相間隔を置いて穿設され、これら各スリットに
2本の耐火テープ2,3が1本ずつ挿通して案内される
ようになっている。すなわち、テープ挿通スリット1
0,11に挿通して案内された2本の耐火テープ2,3
は、これらのテープ幅方向の両端からたとえば時計廻り
方向へ丸め込まれるようにして電線1の外周の線長さ方
向へいわゆる縦添えされ、電線外周上を均等配分した位
置に巻き付けられるようになっている。
【0033】また、図1および図3に示すように、上記
テープ縦添えガイド6の下流側に成形ダイス7が配置さ
れている。この成形ダイス7の中心部でテープ縦添えガ
イド6と同軸上には、上記テープ縦添えガイド6から送
り出されたテープ2本巻き縦添え電線が挿通する絞り孔
12が設けられている。かかる成形ダイス7は回転軸上
で矢印Rの時計廻り方向に回転し、図4に示すように、
2本の耐火テープ2,3の幅方向両端が重ね部4,5を
もって重なり合うように成形可能な構造となっている。
【0034】ここで、図5(a)〜(c)は、上記成形
ダイス7を示す単体図として、その正面図と、側面断面
図と、そのY−Y線からの背面断面図である。各図から
明らかなように、ダイス本体7aの軸方向に貫通して設
けた絞り孔12、矢印で示す送り方向の入口側から出口
側に向かって、漸次縮径した形状の円錐テーパ状の導入
孔部7bと、この導入孔部7bの奥の縮径部から出口側
まで貫通したストレート孔による絞り部7cからなって
いる。
【0035】この絞り部7cの内周一円に、山部と谷部
または凹凸を交互に連ねたテープ発生皺抑止面7dが形
成されている。このテープ発生皺抑止面7dを形成する
ことにより、この山谷面または凹凸面を挿通する耐火テ
ープ2,3との接触面が少なくなり、それだけ接触摩擦
力を軽減するようになっている。
【0036】また、図1に示すように、上記テープ縦添
えガイド6と成形ダイス7の同軸上に粗巻き装置8が配
置されている。この粗巻き装置8は、成形ダイス7の絞
り孔12に紐状またはテープ状の粗巻き材13をテープ
2本巻き縦添え電線と一緒に送り込むと共に、成形ダイ
ス7と同方向の時計廻り方向rへ回転するように設備さ
れている。すなわち、粗巻き装置8は、その回転駆動に
よって粗巻き材13を成形ダイス7に送り込み、成形中
の耐火テープ2,3の上から螺旋状に巻き付けることに
より、電線外周に密着させたそれら耐火テープ2,3が
開いてしまわないよう緊縛する装置である。
【0037】以上の第1実施の形態にかかる製造装置に
よってテープ縦添え電線が次のように製造される。
【0038】電線・テープ供給源からそれぞれほぼ同期
して1本の電線1と2本の耐火テープ2,3が送り出さ
れる。電線1はテープ縦添えガイド6の挿通孔9に挿通
し、2本の耐火テープ2,3はテープ縦添えガイド6の
2つの湾曲した渦巻き放射状のテープ挿通スリット1
0,11に挿通して案内される。
【0039】耐火テープ2,3は、それぞれテープ挿通
スリット10,11を挿通して案内される際、そのスリ
ット特有の形状が作用してテープ幅方向の両端を内側に
丸め込め、電線1の外周にその線長さ方向へ沿って縦添
えして送り出す。
【0040】続いて、図3のように、テープ縦添えガイ
ド6からそのように送り出されたテープ2本巻き縦添え
電線は、次の成形ダイス7の絞り孔12に送り込まれ
る。成形ダイス7では、電線外周に縦添え状態の2本の
耐火テープ2,3が、さらに絞り込まれて電線1の外周
に密着状態で巻き付けられる。
【0041】その際、成形ダイス7の絞り部7cの内周
一円には、山部と谷部または凹凸を交互に連ねたテープ
発生皺抑止面7dが形成されているので、この山谷面ま
たは凹凸面を挿通する耐火テープ2,3との接触面が少
なくなり、それだけ接触摩擦力が軽減される。また、耐
火テープ2,3に働く引張摩擦力などの負担が軽減され
るので、テープ自身の破断防止に有効である。また、耐
火テープ2,3を電線1の外周に密着させるがために緊
張させると寄り皺が生じやすくなるが、そうした寄り皺
の発生抑止にも効果的である。さらには、そうした摩擦
軽減作用によって、成形ダイス7自身にとっても摩耗が
緩和されて耐久性を向上させる。
【0042】以上から、成形ダイス7において通過中の
電線1に対して、2本の耐火テープ2,3が図4のよう
に重ね部4,5で重なり合う量が生産途中で変化せず、
終始一貫して不変に維持される。これは、品質一定でか
つ外観に優れたのテープ縦添え電線が効率的に生産でき
ることを意味する。
【0043】また、重要な利点の1つに、2本の耐火テ
ープ2,3を電線1に縦添えするのに、使用する成形ダ
イス7が1個で済むことがある。これは従来例として引
用した特開平10−3831号公報記載の技術のよう
に、直交する二組のローラダイスを用いる場合の複雑な
設備コストと比べても、大幅にコスト削減できる利点が
ある。
【0044】次に、成形ダイス7で2本の耐火テープ
2,3による縦添えが終了すると粗巻き装置8に送られ
る。この成形ダイス7の下流側に備わる粗巻き装置8
は、成形ダイス7に粗巻き材13を供給して耐火テープ
2,3の縦添え成形中に粗巻きしてテープ上から緊縛す
る。
【0045】したがって、先述の各従来例のように、縦
添え成形が不十分な状態で粗巻きすることで、耐火テー
プ2,3の重ね部4,5での重なり量などが変化した
り、電線1と耐火テープ2,3との間、もしくはそれら
耐火テープ2,3同士の間に隙間ができたりすることは
ない。したがって、適正外径の状態で粗巻きを行うこと
ができ、所望の製品外径を確保することができる。
【0046】またこの場合、2枚の耐火テープ2,3を
電線外周に縦添えするのに、1つの成形ダイス7にて1
回だけで済むことと相まって、粗巻きも1つの粗巻き装
置8だけで済む利点がある。すなわち、従来例のように
複数本のテープ、この場合2本の耐火テープ2,3を成
形ダイスで成形するごとに数回粗巻きを繰り返す必要が
なく、このことからも設備コストを大幅に削減できる。
【0047】ただし、本例では粗巻き装置8が備わって
いるが、成形ダイス7による縦添え成形直後の後工程で
耐火テープ2,3に絶縁体で被覆する場合、その粗巻き
装置8の1基たりとて不要である。
【0048】一方、図6〜図8は、上記第1実施の形態
の変形例ともいうべき第2実施の形態を示している。
【0049】この場合、図7に示すように、3本の耐火
テープ14,15,16を縦添え成形する構造にかか
り、それら各テープ両端に図8に示す重ね部17,1
8,19が形成されるよう電線1に縦添え成形される。
この第2実施の形態では、図6に示すように、テープ縦
添えガイド6にテープ数に対応する数のテープ挿通スリ
ット20,21,22が設けられている。
【0050】形成される重ね部17は耐火テープ14の
一端部と耐火テープ16の中間部との重なり部分であ
り、重ね部18は耐火テープ15の一端部と耐火テープ
14の中間部との重なり部分、そして重ね部19は耐火
テープ16の一端部と耐火テープ15の中間部との重な
り部分である。この第2実施の形態にあっても、たとえ
縦添え成形される耐火テープ数が3本であっても、使用
する成形ダイス7と粗巻き装置8はそれぞれ1つだけで
ある。
【0051】また一方、図9および図10も同じく上記
第1実施の形態の変形例ともいうべき第3実施の形態を
示している。
【0052】この場合、4本の耐火テープ23,24,
25,26を縦添え成形する構造にかかり、それら各テ
ープ両端に重ね部27,28,29,30が形成される
よう電線1に縦添え成形される。この第3実施の形態で
は、テープ縦添えガイド6にテープ数に対応する数のテ
ープ挿通スリット31,32,33,34が設けられて
いる。
【0053】形成される重ね部27は、耐火テープ23
の一端部と耐火テープ26の中間部よりその一端側に寄
った部位とが重なっている部分であり、重ね部28は耐
火テープ24の一端部と耐火テープ23の中間部よりそ
の一端側に寄った部位とが重なっている部分であり、重
ね部29は耐火テープ25の一端部と耐火テープ24の
中間部よりその一端側に寄った部位とが重なっている部
分であり、また重ね部30は耐火テープ26の一端部と
耐火テープ25の中間部よりその一端側に寄った部位と
が重なっている部分である。この第2実施の形態にあっ
ても、たとえ縦添え成形される耐火テープ数が3本であ
っても、使用する成形ダイス7と粗巻き装置8はそれぞ
れ1つだけである。
【0054】なお、縦添えする耐火テープの本数を増や
す場合には、その本数に応じてテープ幅寸法を変更する
とか、それに応じてテープ縦添えガイド6に設けたテー
プ挿通スリットの長さや湾曲曲率、そして配置を適宜変
更して対応できる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる請
求項1に記載のテープ縦添え電線の製造方法は、成形ダ
イスに送り込む前に、テープ縦添えガイドで電線の外周
に均等配分して1本以上のテープを縦添えした状態にし
ているから、成形ダイスでは電線にテープを幅方向両端
を重ね合わせて重ね部を形成するうえで、重ね部の重な
り量が過不足なく均等かつ確実に成形できる。
【0056】また、請求項2に記載のテープ縦添え電線
の製造方法は、成形ダイスで絞られて電線の外周に密着
して重ね部を形成したテープが開いてしまわないよう、
粗巻き材で緊縛することができる。
【0057】また、請求項3に記載のテープ縦添え電線
の製造方法は、縦添えされるテープが複数本の場合であ
っても、装置上流側と下流側の同軸上に対峙して配置し
たそれぞれ1つのテープ縦添えガイドと成形ガイドだけ
で対応することができる。それに関して引用された先述
の各従来例と対照するに、設備の複雑さ比べるまでもな
くコンパクトである。
【0058】また、本発明にかかる請求項4に記載のテ
ープ縦添え電線の製造装置は、装置構成はテープ縦添え
ガイドと成形ガイドだけからなり、きわめて簡素であ
る。縦添えされるテープ数は1本でも複数本のテープの
場合でも、単一の成形ガイドだけで対応でき、しかもそ
れら数本のテープをその成形ガイドで電線外周に均等に
割り付けて、重ね部を過不足なく均等に形成することが
でき、テープ縦添え電線として品質一定のものを効率良
く生産できる。
【0059】また、請求項5に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、テープ数に対応してテープ縦添えガイド
に設けたテープ挿通スリットは、それらスリット個々が
同一方向へ湾曲形成されて渦巻き放射状になっているか
ら、挿通するテープがテープ幅方向に丸め込まれ、電線
の外周に縦添えして確実かつ適正に巻き付けることがで
きる。
【0060】また、請求項6に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、成形ガイドの絞り孔にテープの接触摩擦
力を軽減するテープ発生皺抑止面を形成することによ
り、テープに働く引張摩擦力などの負担が軽減され、成
形ガイドに送り込まれたテープの破断防止に有効であ
り、またテープに寄り皺の発生抑止にも効果的である。
さらには、そうした摩擦軽減作用によって、成形ガイド
自身にとっても摩耗が緩和され、成形ガイドの耐久性向
上にも有効である。
【0061】また、請求項7に記載のテープ縦添え電線
の製造装置は、上記一連の部材構成からなる装置にあっ
て粗巻き装置が備わることで、成形ダイスで電線外周に
密着して縦添えされたテープが開いてしまうのを防ぐた
め、そのテープ上から粗巻き材で緊縛することでテープ
開きに対して万全を期すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるテープ縦添え電線の製造装置の
第1実施の形態を示す斜視図である。
【図2】第1実施の形態のテープ縦添えガイド単体を示
す正面図である。
【図3】第1実施の形態の成形ガイドにおいて2本の耐
火テープの縦添え成形などの態様を示す斜視図である。
【図4】第1実施の形態において耐火テープの重ね部の
成形状態を示す断面図である。
【図5】同図(a)〜(c)は、第1実施の形態の成形
ガイドの詳細を示す正面図、側面断面図、そしてY−Y
線からの背面断面図である。
【図6】第2実施の形態のテープ縦添えガイド単体を示
す正面図である。
【図7】第2実施の形態の成形ガイドにおいて3本の耐
火テープの縦添え成形などの態様を示す斜視図である。
【図8】第2実施の形態において耐火テープの重ね部の
成形状態を示す断面図である。
【図9】第3実施の形態のテープ縦添えガイド単体を示
す正面図である。
【図10】第3実施の形態の成形ガイドにおいて4本の
耐火テープの縦添え成形などの態様を示す斜視図であ
る。
【図11】従来例のテープ縦添え電線の製造装置を示す
説明図である。
【図12】同図(a),(b)は、その従来例において
テープ重ね部の2つの態様を示す正面断面図である。
【図13】同図(a)〜(c)は、従来例の成形ガイド
の詳細を示す正面図、側面断面図、そしてY−Y線から
の背面断面図である。
【符号の説明】
1 電線 2,3 耐火テープ 4,5 重ね部 6 テープ縦添えガイド 7 成形ダイス 7a ダイス本体 7b 導入孔部 7c 絞り部 7d テープ発生皺抑止面 8 粗巻き装置 9 挿通孔 10,11 テープ挿通スリット 12 絞り孔 13 粗巻き材 14〜16;23〜26 耐火テープ 17〜19;27〜30 重ね部 20〜22;31〜34 テープ挿通スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 晃 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 (72)発明者 日吉 孝博 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 (72)発明者 杉山 博之 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 (72)発明者 外山 光則 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 (72)発明者 宇津木 忠浩 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 (72)発明者 名倉 俊充 静岡県沼津市大岡2771 矢崎電線株式会社 内 Fターム(参考) 5G327 CA08 CA12 CA20 CC01 CC06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの供給源から供給されてきた電
    線と1本以上のテープを上流側のテープ縦添えガイドに
    おいて案内しながら、テープを電線の外周に線長さ方向
    に沿って縦添えされるように送り出し、テープ縦添えガ
    イドから縦添え状態で送り出されたそれら電線およびテ
    ープを成形ダイスにおいて絞りながら、電線の外周にテ
    ープを密着させかつテープの幅方向両端が均等に重なり
    合って重ね部を形成するよう巻き付けた状態で送り出す
    ことを特徴とするテープ縦添え電線の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記成形ダイスに紐状またはテープ状の
    粗巻き材を供給して、電線の外周に密着して重ね部を形
    成したテープの上からその粗巻き材によって緊縛するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のテープ縦添え電線の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 テープが複数本の場合でもそれらテープ
    を1つの前記テープ縦添えガイドで案内しつつ電線の外
    周に均等配分して縦添え状態で送り出し、それを受け取
    って絞る前記成形ダイスも1つだけでそれらテープの両
    端同士を均等に重ね合わせて重ね部を形成することを特
    徴とする請求項1または2に記載のテープ縦添え電線の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 それぞれの供給源から供給されてきた電
    線の外周に線長さ方向に沿って1本以上のテープを縦添
    えし、テープ幅方向の両端が重なり合うよう重ね部を形
    成して巻き付けてなっているテープ縦添え電線の製造装
    置であって、 電線が挿通して通過する挿通孔を中心に有し、またその
    挿通孔に端を発してテープ数に対応する数だけ放射状に
    延びて穿設されたテープ挿通スリットを有し、このテー
    プ挿通スリットに挿通して通過するテープが電線の外周
    に線長さ方向へ均等配分して縦添えされるよう案内する
    テープ縦添えガイドと、 このテープ縦添えガイドを縦添え状態で通過した電線お
    よびテープが挿通して通過する絞り孔を有し、この絞り
    孔によって電線の外周に縦添え状態のテープを密着させ
    るとともに、そのテープの幅方向両端に重ね部が均等に
    形成される方向へ回転する成形ダイスと、を備えたこと
    を特徴とするテープ縦添え電線の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記テープ縦添えガイドに穿設されたテ
    ープ挿通スリットは、テープ数に対応して1つまたは複
    数のいずれの場合でも同一方向へ湾曲形成されて前記挿
    通孔に端を発して渦巻き放射状に延びており、それらテ
    ープ挿通スリットを挿通する前記テープをテープ幅方向
    に丸めながら通過させて電線の外周に縦添えして巻き付
    けるようにしてなっていることを特徴とする請求項4に
    記載のテープ縦添え電線の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記成形ガイドの絞り孔が、電線および
    テープの入口側から漸次縮径した円錐テーパ状に形成さ
    れ、その縮径部から出口側に向けて貫通させた絞り部の
    内周に沿って山部と谷部または凹凸が交互に連なるテー
    プ発生皺抑止面を形成してなっていることを特徴とする
    請求項4または5に記載のテープ縦添え電線の製造装
    置。
  7. 【請求項7】 前記成形ダイスの出口下流側に配置さ
    れ、成形ダイスの絞り孔に電線およびテープの挿入と同
    時に紐状またはテープ状の粗巻き材を供給して、電線の
    外周に密着して重ね部を形成したテープの上からその粗
    巻き材を巻き付ける粗巻き装置が備わっていることを特
    徴とする請求項4,5または6に記載のテープ縦添え電
    線の製造装置。
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