JP2001051308A - 電気光学素子及びその製造方法、及び撮像装置 - Google Patents

電気光学素子及びその製造方法、及び撮像装置

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JP2001051308A
JP2001051308A JP2000122945A JP2000122945A JP2001051308A JP 2001051308 A JP2001051308 A JP 2001051308A JP 2000122945 A JP2000122945 A JP 2000122945A JP 2000122945 A JP2000122945 A JP 2000122945A JP 2001051308 A JP2001051308 A JP 2001051308A
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Toru Kihira
徹 紀平
Toru Uko
融 宇高
Mitsunobu Sekiya
光信 関谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮光材料用ブラックレジスト等による問題の
無い電気光学素子及び光量絞り等に適切な光学装置を提
供し、レジスト等の残渣による電析金属の消え残りがな
く、光学特性を維持できる光学素子の製法を提供する。 【解決手段】 作用電極2Aをなす透明電極33と、
対極17Aとを少なくとも備え、作用電極と対極との間
に配された電解液を有し、この電解液への印加電界の制
御によって電気化学的に調光を行う光学素子において、
いずれかの電極たとえば電極2A(作用電極)の引き出
し電極35上に絶縁膜36を形成し、該電極35がブラ
ックレジスト等と接さないようにする。上記の光学
素子の製造の際、いずれかのレジスト工程に先立ち、少
なくとも透明電極2Aを含む部分を絶縁膜36で覆い、
レジストやブラックレジストによる電極2A等に対する
不都合を防止する。上記の光学素子を備えた撮像装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気光学素子及び
その製造方法、及び電気光学素子が光路中に設けられて
いる撮像装置に関するものである。本発明は、たとえ
ば、数字ないしは文字表示、またはX−Yマトリックス
表示などを行うための表示装置や、可視光域(波長:4
00〜700nmの領域)において光透過率または光反
射率の制御が可能な光学フィルターに適用して好適な電
気光学素子及びその製造方法を提供するものであり、ま
た、このような電気光学素子を利用した撮像装置を提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりエレクトロクロミック表示装置
(以下、適宜「ECD」と略すこともある)は、電圧駆
動型のたとえば時計表示用のデジタル時計の表示装置と
して、採用されている。
【0003】ECDは、非発光型の表示素子であって、
電気化学調光素子として、反射光や透過光による表示で
あるため、長時間の観察によっても疲労感が少ない等の
利点を有する。
【0004】たとえば、特開昭59−24879号公報
に開示されているように、液体型ECDとして可逆的に
着色/消色状態を形成する有機分子系のビオロゲン分子
誘導体をエレクトロクロミック材料に用いる技術が知ら
れている。
【0005】しかしながら、ビオロゲン分子誘導体など
のエレクトロクロミック材料をECDに利用した場合、
応答速度や遮蔽度が不十分である点で問題があった。し
かも、光量調節デバイスとして用いるためには、可視光
域(波長:400〜700nmの領域)において光透過
率を制御できることが必要になるが、上記のようなエレ
クトロクロミック材料では、十分な特性は得られなかっ
た。
【0006】そこで本発明者らは、ECDに置き換え
て、金属塩の析出/溶解を利用した調光素子に着目し、
銀の析出/溶解を用いた電気化学的調光素子の検討を行
い、その検討の中で、応答速度や遮蔽度において、エレ
クトロクロミック材料より優れた特性を持つものを得る
ことができた。
【0007】このような光学素子によれば、種々の金属
塩を用いることが可能であるが、特に銀粒子の析出/溶
解を用いた系が光学特性の点から見て優れている。すな
わちこの種の技術は、電解液を電解液用溶液として作成
した際に、その溶液が可視光域(波長:400〜700
nmの領域)において吸収スペクトルを持たず、かつ着
色時に可視光域においてほぼ均等な遮蔽が可能な銀塩
(銀錯体を含む)からの析出/溶解を生じさせるような
可逆的なメッキ、すなわち、RED(Reversib
le Electro−Deposition)の材料
として用いている。しかも、この銀(錯)塩は駆動制御
によって析出/溶解の可能性に富むものである。これに
反し、銀(錯)塩からの銀の析出に関して、従来からめ
っき浴としてシアン系溶液が用いられているが、シアン
系溶液は猛毒であるため、安全な作業環境の確保や、そ
の廃液の処理の問題がある。このような問題のない非シ
アン系溶液を用いるのが好ましい。
【0008】上記のように、金属塩から金属を光学装置
の透明電極上に析出/溶解させる可逆的な系を用いるこ
とにより、すなわち、可逆的なめっき材料である上記R
ED材料を用いることにより、低消費電力で非発光型
の、可視光域に好適な光学フィルターなどの光学装置に
適正な光学素子を提供することができる。
【0009】図12及び図13に、この従来型の電気化
学調光素子のセル構造を示し、以下説明する。
【0010】図12(a)及び図13に示すように、1
対のガラス基板24,25が、一定間隔を置いて、表示
窓として配置されている。図12(a)に示すように、
各基板24,25の内面には、ITO(Indium
Tin Oxide:酸化インジウムに錫をドープして
得られたもの)からなる作用電極22,23が対向して
設けられ、この対向する作用電極22,23間に金属塩
を溶存している電解液1が封入されている。符号26
は、基板24,25間の周縁部にスペーサを兼ねて設け
られている対極であり、これによって封入されている電
解液1は基板24,25間に封止されている。
【0011】このような光学装置において、図12
(b)に示すごとく、対極26を陽極とし、作用電極2
2,23を陰極として、この間に所定時間だけ直流の駆
動電圧を印加すると、電解液に溶存している金属イオン
は陰極において、下記(1)式 Mn++ne- →M (1) (nは自然数)のような酸化還元反応が起こり、析出し
た金属粒子により陰極側の作用電極22,23が、透明
状態から、着色状態に変化する。図12(b)は、この
時の作用を示す原理図である。
【0012】上記のことを具体的に、電解液1として銀
塩溶液を用いた場合について説明すると、前記対極26
に銀板を使用し、銀塩溶液としては、ここではたとえ
ば、臭化銀をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解
させた銀塩溶液21を用い、図12(b)に示す如く、
対極26を陽極とし、作用電極22,23を陰極とし
て、それらの間に所定時間だけ直流の駆動電圧を印加す
ると、銀イオンは陰極において、下記(2)式 Ag+ +e- →Ag (2) のような次の酸化還元反応により、析出したAg粒子に
より、陰極側の作用電極22,23が、透明状態から、
着色状態に変化する。
【0013】このように、作用電極22,23上に金属
粒子を析出させることにより、ガラス基板24,25で
構成される表示窓からは、この金属粒子による特定の色
(たとえば反射光による色)が観察される。この着色に
よるフィルター作用、すなわち、可視光の透過率(また
は着色の濃淡)は、電圧の大きさもしくはその印加電圧
とともに変化し、したがって、それらを制御することに
よって、このセルを透過率可変表示素子、または光学フ
ィルターとして機能させることができる。
【0014】一方、このセルが着色状態の時に、対極2
6と作用電極22,23との間に上述とは逆の方向に直
流電圧を印加すると、その上に金属粒子が析出している
作用電極22,23が、今度は陽極側となり、下記
(3)式 M→Mn++ne- (3) なる反応が起こって、作用電極22,23上に析出して
いた金属粒子が着色状態から透明状態に復元する。
【0015】このことをふたたび、電解液1として銀塩
溶液を用いた場合について説明すると、このセルが着色
状態の時に、対極26と作用電極22,23との間に上
述とは逆の方向に直流電圧を印加すると、その上にAg
粒子が析出している作用電極22,23が、今度は陽極
側となり、下記(4)式 Ag→Ag+ +e- (4) なる反応が起こって、作用電極22,23上に析出して
いたAg粒子が着色状態から透明状態に復元する。
【0016】図14及び図15に、他の従来の電気化学
調光素子を示す。以下これについて説明する。
【0017】この例では、図14の断面図に示すよう
に、セルを構成する1対のガラス基板4,5が、一定の
間隔を置いて配置され、各基板4,5の内面に、各1対
のITOからなる作用電極2a,2b,2c,2d,2
e及び3a,3b,3c,3d,3eがそれぞれ互いに
対向して設けられている。これらの作用電極2a,2
b,2c,2d,2e及び3a,3b,3c,3d,3
eの外周部には、銀板からなる対極7a,7bが設けら
れている。基板4と基板5は、スペーサー6により、所
定間隔に保持され、その間に電解液1が封入されてい
る。
【0018】図15の平面図に示すように、作用電極2
a,2b,2c,2d,2e及び3a,3b,3c,3
d,3e、及び対極7a,7bは、それぞれ、駆動電源
8a,8b,8c,8d,8e,8fに、クロム細線か
らなる配線9a,9b,9c,9d,9e,9fにより
接続されている。
【0019】この構成では、互いに対向する作用電極2
aと3a、2bと3b、2cと3c、2dと3d、2e
と3eに、所定の電位(V1,V2,V3,V4,V5
とする。V6は対極7a,7bにおける基準電位)を与
えることにより、陰極である各電極上に電解液から銀を
析出させ、着色することができる。この着色によるフィ
ルター作用、すなわち、可視光の透過率(または着色の
濃淡)は、電圧の大きさもしくはその印加時間とともに
変化する。
【0020】そこで、|V1|<|V2|<|V3|<
|V4|<|V5|とすれば、中心部から周辺に行くに
したがい透過率が大となる。この構成は、テレビカメラ
等の撮像素子(CCD(電荷結合素子)等)用の光学絞
りとして有用であり、CCD等の集積度の向上に、十分
対応できる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上述した電気化学的調
光素子では、作用電極の部分で調光するために、有効領
域以外には黒色のブラックレジストをコートして、遮光
している。
【0022】すなわち、半導体製造プロセスと同様の製
造方法により、ガラス等の基板上に、作用電極及び対
極、また必要に応じて参照極を構成した後、感光性のブ
ラックレジストをスピンコート等の手段により塗布し、
作用電極及び対極、さらには参照極の部分を剥離すべ
く、所定のパターンを施したマスクを用いて露光し、現
像処理を行い、上記電極部分のブラックレジストを剥離
した所望のパターンを得る。
【0023】上記ブラックレジストとしては、たとえば
電解液にDMSO/AN(ジメチルスルホキシド/アセ
トニトリル)の混合液に銀塩を溶解させたものを使用す
る場合には、この電解液にブラックレジストが溶解しな
いよう、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど
を主材とするレジスト材料が使用されている。ブラック
レジストは一般に、上記のような主材に、遮光性の染料
ないしは顔料を含有させて所望の遮光性を得るようにし
ている。
【0024】しかしながら、上記のような工程を経る
と、作用電極面上に残ったブラックレジストの残渣の影
響のためと考えられるが、作用電極上での金属の電解・
析出を繰り返すと、作用電極上の電解金属に析出ムラが
発生したり、あるいは酸化側に十分に分極させても、そ
の表面の電解金属が溶解しきらない現象(消え残り)が
発生したりする。
【0025】このようになると、遮光が十分でなかった
り、あるいは透明時の画素の明るさが十分に確保されな
いことになり、素子の特性低下を引き起こすこととな
る。
【0026】また、対極や、作用電極または対極の電位
を監視・制御するために設けられる参照極(第3の電
極)は、電解質中に含まれる金属よりも貴な金属で構成
する場合がある。たとえば、銀を溶存する電解液を使用
する場合には、対極や参照極は銀よりも貴な金属である
白金、パラジウムまたは金で構成することがある。その
理由は電解液中で安定であること、また特に対極の場
合、電極上の金属の析出/溶解を円滑に行えること、等
である。
【0027】そのような場合、対極や参照極以外の部分
を事前にフォトレジストで覆い、白金等を蒸着法などの
気相成長法で形成させるが、その場合、特に白金の融点
は1769℃と、高く、蒸着槽内の温度が200℃以上
に上昇してレジストが硬化し、さらにその影響でレジス
トにひび割れが生じることがある。このため、後のリフ
トオフ時に、特に作用電極上に硬化したレジストが残渣
として残ったり、上記レジストのひび割れ部分から入り
込んだ白金の粒子が作用電極表面に付着し、それが除去
不能になったりする。このようになると、後に該光学素
子を備える光学装置を駆動させた場合に、やはり電析金
属が作用電極上に消え残るなど、素子の光学特性に悪影
響を及ぼす。
【0028】さらに、光学装置を駆動させて、特に作用
電極に金属を析出/溶解させるときに、作用電極に大き
な過電圧がかかると、作用電極の引き出し電極と電解液
の間のブラックレジストに相当の電圧がかかり、気泡発
生などの反応が起こる。そのため、絶縁耐圧が低下し、
以降さらなる気泡の発生及び引き出し電極と電解液との
反応が誘発される。このことは、作用電極ほどではない
が、対極においても同様のことが起こり得る。このよう
になると、該光学装置の安定な動作が不可能になる。
【0029】上記のように、電気化学的光学素子には、
各電極の部分の有効領域以外をブラックレジスト等の遮
光材料で遮光する場合に、その引き出し電極部分で不都
合が起きることがあった。また、電気化学的光学素子の
製造に際して、加工に用いるフォトレジストや、あるい
は上記ブラックレジストの除去すべき部分が十分に除去
しきれず、残渣となって、電析金属の消え残り等不都合
をもたらすことがあった。
【0030】一方、撮像装置、たとえばCCD(Cha
rge Coupled Device)カメラにおい
て、その光量調整には、これまで、機械的な光量絞りが
用いられてきた。しかしながら、CCDカメラの小型化
が進むにしたがい、従来のような機械的な光量絞りで
は、絞り領域が小さくなるにつれて、反対にそれを駆動
させる周囲の機械構成が大がかりとなり、これがシステ
ム全体としての小型化に限界をもたらしていた。また、
CCDカメラの小型化が進むにつれ、そのような機械的
な光量絞りでは、光の回折の影響で像がぼやけるなど、
種々の問題が生じていた。
【0031】そこで撮像装置の光量絞りの手段として、
電気光学素子を用いて光量調整することにより、システ
ム全体としての小型化や、像がぼやけ等の問題を解決す
ることが考えられるのであるが、上述したように従来の
電気化学的光学素子では、電析金属の消え残り等の問題
があって、遮光の低下、透過率の上昇がもたらされるこ
とがあり、これが撮像装置に電気光学素子を用いようと
する場合の隘路となっていた。
【0032】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
ので、本発明の目的は、金属の析出/溶解反応を利用し
た電気化学的光学素子において、上記ブラックレジスト
の如き遮光材料で遮光した構造を有する場合にも、該遮
光材料の存在に伴う問題がなく、安定な動作を可能と
し、素子の長寿命化を達成することも可能な電気化学的
光学素子を提供することにあり、また、電気化学的光学
素子の製造の際に、加工に用いたフォトレジストや、あ
るいは上記ブラックレジストの如き材料の残渣による電
析金属の消え残り等の不都合が生じないようにして、信
頼性の高い電気化学的光学素子を得ることができる製造
方法を提供することにある。また、電気化学的光学素子
について、上記した電析金属の消え残り等の問題を解決
することにより、上述のごとく金属膜が作用電極から剥
がれるのを抑制し、遮光の低下、透過率の上昇を抑制し
て、撮像装置への適用を実現し、よって小型化が達成で
き、かつ、像がぼやけ等の問題を解決した撮像装置を提
供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気化学的
光学素子は、作用電極をなす透明電極と、対極とを少な
くとも備え、作用電極と対極との間に配された電解液を
有し、この電解液への印加電界の制御によって電気化学
的に調光を行う光学素子において、少なくともいずれか
の電極の引き出し電極上に絶縁膜を形成したことを特徴
とするものである。
【0034】本発明によれば、引き出し電極上に絶縁膜
を形成したので、該引き出し電極については、ブラック
レジスト等は、絶縁膜を介して形成されることになる。
よって、引き出し電極がブラックレジスト等と接するこ
とに伴う問題点は解消される。少なくとも一方の引き出
し電極について絶縁膜を形成すると、この引き出し電極
とブラックレジスト等との間には絶縁膜が介在し、よっ
て引き出し電極に大きな過電圧がかかっても、それは主
に絶縁膜に印加されるので、ブラックレジスト等がその
過電圧によって電気化学的な反応を起こすこともなく、
したがって、光学素子の高信頼性及び長寿命化を実現で
きる。
【0035】本発明に係る電気化学的光学素子の製造方
法は、作用電極をなす透明電極と、対極とを少なくとも
備え、作用電極と対極との間に配された電解液を有し、
この電解液への印加電界の制御によって電気化学的に調
光を行う光学素子の製造方法において、少なくともいず
れかのレジスト工程に先立ち、少なくとも作用電極をな
す透明電極を含む部分を絶縁膜で覆うことを特徴とする
ものである。
【0036】本発明によれば、少なくとも透明電極を含
む部分を絶縁膜で覆うので、爾後のレジスト工程でレジ
ストの残渣等が生じても、該電極に不都合が起きること
を防止できる。特に、金属を電析・溶解させる一方の電
極の表面に予め絶縁膜を形成すると、ブラックレジスト
等の遮光材料は該電極に直接接することがないので、該
電極に対するブラックレジスト等が与える不都合は防止
される。仮にブラックレジスト等の残差が生じても、そ
の影響を抑えることができる。その後、ブラックレジス
トの露光・現像後に、該絶縁膜をエッチング等の手法に
より除去すれば、該電極の表面にはブラックレジスト等
の残差が残ることがなく、電解液中での電析金属の消え
残りの発生しない電極が得られる。
【0037】また本発明によれば、ブラックレジスト以
外の、一般にパターニング用に使用するフォトレジスト
による問題点も、解決できる。すなわち、パターニング
用のフォトレジストも、絶縁膜で覆われた電極表面には
直接接することはないので、後にたとえば他の電極上
に、融点の高い金属などを蒸着等の気相成長手段で成膜
したとき、フォトレジストが硬化し、ひび割れを発生
し、その隙間から蒸着物等が入り込むような場合でも、
その後絶縁膜をエッチング等の手法により除去すれば、
銀等の金属の電析を行う該電極の表面には、このような
フォトレジスト等の残渣が残ることがなく、電解液中で
の電析金属の消え残りの発生しない電極が得られる。
【0038】また、本発明に係る撮像装置は、少なくと
もいずれかの電極の引き出し電極上に絶縁膜を形成した
電気光学素子が光路中に光量調整用として設けられてい
ることを特徴とするものである(以下これを、本発明の
撮像装置と称することもある。)
【0039】本発明によれば、いずれかの電極の引き出
し電極上に絶縁膜を形成した電気光学素子を用いるの
で、これは上述したように電解液中での電析金属の消え
残りが発生しない、またブラックレジスト等の遮光層が
分解・損傷しない電極を備えた電気光学素子であり、か
かる電気光学素子を光路中に光量調整用として設けるこ
とにより、小型化が達成でき、かつ、像がぼやけ等の問
題を解決した撮像装置が提供できる。
【0040】本発明の撮像装置は、上記した本発明に係
る電気化学的光学素子の各種の形態のものを、光路中に
光量調整用として設けた態様で実施することができる。
【0041】このような本発明の撮像装置によれば、電
界の印加によって光量を調節できる上記電気化学的光学
素子をCCDカメラ等の光量絞りに適用するため、これ
までの機械的な光量絞りと異なって、大がかりな機械構
成を必要とせず、よって小型化が可能であって、実質的
に光路の有効範囲にまで小型化することも可能となり、
しかも光量の印加電界の大きさで制御して回折を防止
し、もって像のぼやけ等も効果的に防止することができ
る。
【0042】なお本発明において、透明とは、対向する
電極の光透過率が可視光域において(あるいは他の着目
する波長領域について)、一般に70%以上ある電極で
あるとよい。また、該透明電極が作用電極をなし、この
透明電極と対をなす対極から構成されてよい。また、適
宜の参照電極を有する構造とすることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
さらに説明し、また、具体的な好ましい実施の形態例
を、図面を参照して説明する。ただし、当然のことでは
あるが、本発明は以下の例示説明及び実施の形態例に限
定を受けるものではない。
【0044】本発明の上記した光学素子は、少なくとも
透明電極の引き出し電極を、少なくとも1層の絶縁物を
含む被覆層で覆ったものとしている。また、その製造方
法においても、少なくとも透明電極の全面を、少なくと
も1層の絶縁物を含む被覆層で覆うようにし、調光セル
として組み立てる前に、前記引き出し電極部分を覆うよ
うに、それぞれの電極の主表面のみを被覆層を除去する
ようにして実施するのがよい。
【0045】すなわち、本発明の光学素子では、絶縁物
層たとえば二酸化珪素などの絶縁物層を含む被覆層をレ
ジスト塗布前に、予め透明電極または対極部位もしくは
参照電極部位の表面及び該電極の引き出し電極上に形成
することによって、レジストを該電極表面に直接接触さ
せることなく、工程を進めることができるので、後に前
記絶縁物層をエッチング等の手法により除去することに
より、該レジストの残渣が残らない電極を得ることがで
きる。
【0046】このことにより、電解液中における該電極
表面上での金属の電析・溶解を繰り返しても、透明電極
上での金属の析出ムラや消え残りが発生しなくなり、優
れた分光特性を持った光学素子を得ることができる。
【0047】被覆層は1層(絶縁膜の1層)でも、複数
層からなってもよいが、少なくとも1層の絶縁膜を具備
する。このことにより、該電極の引き出し電極に大きな
過電圧がかかっても、該電圧のその大半はこの絶縁膜に
印加されるので、その上に塗布されているブラックレジ
スト等が電解液と反応する等の不具合が生じない。
【0048】1種の絶縁膜だけでは、レジスト成分の電
気的な保護が十分でない等の場合には、別種の層をさら
に設ける。
【0049】被覆層を構成する材料は、化学的に安定な
ものであることが望ましい。具体的には、被覆層を構成
する絶縁膜としては、二酸化珪素、窒化珪素、非晶質珪
素等の無機系材料、また、種々の有機高分子を採用でき
る。また、別種の層をさらに設ける場合は、上記に掲げ
る材料の中から、別種のものを選ぶことができ、この場
合には絶縁膜でなく、各種金属を用いることができ、金
属酸化物や半導体を使用することも可能である。ただし
伝導体の別種の層を設けるときには、必ず絶縁層を介し
て設け、前記引き出し電極と接触しないようにしなけれ
ばならない。
【0050】被覆層の形成には、各種の手法をとること
ができる。たとえば上記したような各種材料を、蒸着法
(物理的蒸着法)、スパッタリング法、CVD(Che
mical Vapor Deposition)法、
MBE(MolecularBeam Epitax
y)法等の気相成膜法、めっき法、ゾル−ゲル法、スピ
ンコート等の塗布、印刷等の手法によって形成すること
ができる。
【0051】すなわち、所望の材料を、減圧下で蒸気化
させて所定の表面に成膜させる蒸着法や、ターゲット材
料に減圧または常圧中で、交流電圧もしくは交流電圧に
直流電圧を加えて印加することによって、所定の表面に
所望の金属を成膜させるスパッタリング法等が好ましく
用いられる。前記の蒸着法には、高真空中で抵抗加熱に
よって金属を蒸気化させる方法や、ターゲット材料に電
子線照射を施すことによって蒸気化させる手法(EB蒸
着)等を用いることが可能であり、いずれの手法によっ
ても、本発明の効果を有効に発揮させることができる。
【0052】また、特に窒化珪素、非晶質珪素の成膜に
は、モノシランやジシラン等のシラン系ガスをモノマー
ガスとし、窒素やアルゴンをキャリアガスとしたCVD
法が、低温で安定した成膜が可能な点で好適に用いられ
る。
【0053】また、めっき法を用いる場合は、電解めっ
きでも、無電解めっきのいずれの手法も採用可能であ
る。
【0054】また、塗布、印刷の方法としては、スピン
コートや、スクリーン印刷等の手法があり、いずれも採
用可能である。
【0055】被覆層を構成するもののうち、前記別種の
層は、電極表面のみならず、全面エッチング等の手法に
より、除去してもよい。すなわち上記被覆層の内の絶縁
物層にさらに形成した別種の層は、最終的には電極表面
のみならず、すべて除去してよい。
【0056】本発明の光学素子は、互いに対向して配さ
れた1対の透明または半透明基板と、この1対の透明ま
たは半透明基板の対向面の少なくとも一方の面に前記作
用電極として設けられた透明電極と、この透明電極及び
前記対極に接して前記透明または半透明基板間に配され
た前記電解液とを有する光学素子として構成でき、この
ような光学素子を良好に駆動することができる。
【0057】さらに本発明の光学素子は、CCDカメラ
のごとき撮像装置に適用して、従来技術の問題点を解決
した撮像装置として構成できる。
【0058】すなわち本発明によれば、いずれかの電極
の引き出し電極上に絶縁膜を形成した電気光学素子を用
いるので、これは上述したように電解液中での電析金属
の消え残りの発生しない電極を備えた電気光学素子であ
り、かかる電気光学素子を光路中に光量調整用として設
けることにより、小型化が達成でき、かつ、像がぼやけ
等の問題を解決した撮像装置が提供できる。
【0059】本発明において、対極としては、電気化学
的な反応に関与する材料、たとえば銀塩溶液を使用する
ときには、銀板等の金属板を用いるのが、反応種を円滑
に補給する上で好適である。
【0060】また、対極には無垢な銀板等の金属板をそ
のまま使用する代わりに、炭素材料などの少なくとも1
種の導電性粒子を含む層を集電体上に形成する手段をと
ることが可能である。
【0061】すなわち、導電性粒子とバインダーとの混
合物の印刷または塗布或いは導電性粒子の焼結により、
対極を構成することができる。ただし、この場合は導電
性粒子をバインダーに含有させるか焼結させて対極を形
成するため、電解液中での電位が不安定な値を示す場合
があり、本来の対極としての役割が果たしにくくなるこ
とがある。
【0062】このような場合には、導電性粒子とバイン
ダーの混合物の層または導電性粒子の焼結体の層の下地
を、第2層の集電体として形成することにより、上記の
問題を解消できる。たとえば好ましくは以下に記す少な
くとも1種の金属元素または金属酸化物もしくは合金
(以下金属等と称する)でかかる第2層の集電体を形成
することにより、導電性粒子間の導通が良好となり、電
極の電位が安定する。
【0063】第2層の集電体形成用金属元素の例:チタ
ン、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、
鉄、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅 第2層の集電体形成用金属酸化物の例:ITO、酸化錫 第2層の集電体形成用合金の例:SUS、特にSUS3
04
【0064】上記第2層の成膜を予め施した後に、また
は第2層の成膜を施す前に、もしくは第2層の成膜の前
後に、上記の混合物の印刷または塗布を行い、上記導電
性粒子とバインダーの混合物を第1層として形成すれ
ば、電位の安定した所望の参照極を得ることができる。
この場合、第2層は第1層上に設けるときは、第1層の
機能を発揮する上で第1層より小さい面積に設けるのが
良い。
【0065】すなわち、集電体層(第2層)を当該電極
の下層として形成する場合には、第2層の成膜は初めか
ら行い、その後に前記混合物の印刷または塗布を施す。
第2層を当該電極の表面に形成する場合には、前記混合
物の印刷または塗布を施した後に第2層の成膜を行うの
がよい。第2層を当該電極の中間に形成する場合には、
第2層の成膜の前後に前記混合物の印刷または塗布を施
すのが良い。
【0066】上記第1層の厚さは数μm〜数十μm、前
記第2層の厚さは100nm〜400nmが良く、ガラ
ス、繊維強化プラスティック(FRP)等の厚さ1mm
程度の絶縁基板上に設けられるのが良い。
【0067】そして、上記第2層が集電体として、絶縁
基板上に接して設けられていてよいが、この場合には、
上記第2層がチタン、クロム、モリブデン、タングステ
ンまたはコバルトからなるのが良い。
【0068】この場合以外は、上記第2層として、絶縁
基板上にITO等の膜付きの良い下地層を介して設けら
れている。
【0069】上記第2層は、集電体として、絶縁基板上
に、前述の蒸着法、スパッタリング法等の気相成長法ま
たはめっき法によって形成することができる。
【0070】上記第2層(集電体)の金属等は、基板上
に成膜する外、基板表面の凹部に埋め込んでもよい。こ
の埋め込み(または嵌合)固定による場合、第2層の構
成金属等は、蒸着等で成膜し難いクロム、鉄及びニッケ
ルの合金(ステンレス鋼)などを使用することができる
が、第2層を予め作製しておいて必要とあれば接着剤を
用いて凹部に嵌め込んで固定する等、第2層を基板上に
配置し易いという利点がある。
【0071】第2層上に第1層を設ける場合、少なくと
も1種の導電性粒子と少なくとも1種のバインダーの混
合物を印刷または塗布するか、もしくは少なくとも1種
の導電性粒子を含む焼結体を形成するのがよい。
【0072】上記第1層の混合物を構成する上記導電性
粒子は、少なくとも1種の炭素材料からなること、また
上記バインダーは天然ゴム系、セルロース系、フェノー
ル系、ウレタン系及びエポキシ系からなる群より選ばれ
た少なくとも1種の樹脂材料で構成されていることが好
ましい。
【0073】この時、導電性粒子としては、グラファイ
ト(黒鉛)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛
化炭素(ハードカーボン)、カーボンブラック、活性炭
等の炭素材料の他に、各種金属元素または合金からなる
ものを、それぞれ単独、或いは混合して用いることがで
きる。
【0074】ここで炭素材料以外の導電性粒子として
は、作用電極及び対極において電気化学的な反応に関わ
る金属、たとえば前述の銀塩を含む電解液を用いる光学
装置においては、特に銀粒子が対極の電位を安定させる
効果を持たせるために、好ましく用いることができる。
すなわち、銀を導電性粒子の1種として用いることによ
り、電解液中における対極は銀の電位を示し、電位が安
定するのである。
【0075】銀等の金属を含まない炭素材料を導電性粒
子とし、バインダーに含有させて対極を形成した場合、
炭素材料への電解液成分の作用によるものと考えられる
が、駆動中に対極が不安定な電位挙動を示したりして、
安定した駆動制御が困難になることがある。
【0076】しかしながら、上記の銀粒子などを上記対
極の一部として形成すれば、本電極の電位が安定化する
のである。
【0077】特に銀塩溶液を使用した場合に、上記対極
の電位が銀電極の電位よりも50mV以上、正または負
に異なっている場合に、上記金属を銀とし、電極内に銀
粒子を混合させると効果的である。上記一方の電極が銀
電位よりも|50mV|以上異なっていると、銀の析
出、溶解が生じ難くなるため、上記した銀成膜層の使用
によって電極の電位を銀電極と同等もしくは銀の析出、
溶解を生じ易い電位にすることができる(以下、同
様)。
【0078】この場合、上記銀粒子が、上記銀粒子以外
の導電性粒子と上記バインダーとからなる成分に対し、
0.01倍〜100倍の重量比で添加されていること
が、上記一方の電極の電位の安定化と混合物の調製のし
易さからみて望ましく、この添加量はさらに0.05〜
10倍とするのが良い(以下、同様)。
【0079】具体的には、上記銀粒子が、上記銀粒子以
外の導電性粒子と上記バインダーとからなるペーストの
固形分の0.01倍〜100倍(さらには0.05〜1
0倍)の重量比で添加されるのが良い。
【0080】導電性粒子の粒径は、数μm〜数十μmで
あるのが好ましく、粒径がこの範囲より小さ過ぎても大
き過ぎても、導電性粒子をバインダー中に均一に分散さ
せることが困難により、この結果、膜の電気抵抗が高く
なり過ぎる虞がある。
【0081】また上記の場合では、金属粒子を炭素材料
とバインダーを含む混合物中に分散する例を述べたが、
金属の層を上記混合物の層の上または下もしくはその中
間に設けてもよい。
【0082】すなわち、予め集電体(第2層)または基
板上に銀等の金属の成膜を施した後に、または銀等の金
属の成膜を施す前に、もしくは銀等の金属の成膜の前後
に、上記混合物の印刷または塗布を行い、上記混合物の
印刷または塗布を行い、対極を形成することができる。
【0083】この場合、銀等の金属の当該電極の下層と
して形成する場合には、銀等の金属の成膜は初めに行
い、その後に上記混合物の印刷または塗布を施す。銀等
の金属を当該電極の表面に形成する場合には、上記混合
物の印刷または塗布を施した後に銀等の金属の成膜を行
うのが良い。銀等の層を当該電極の中間に形成する場合
には、銀等の金属の成膜の前後に前記混合物の印刷また
は塗布を施すのが良い。
【0084】なお、上記銀等の金属の層は1層にのみ限
られるものではなく、当該電極に複数層で形成しても問
題はない。
【0085】銀を蒸着膜として担持させる場合には、合
計で50nm以上、さらに析出・溶解の繰り返し回数の
寿命特性により、合計で100nm以上有することが望
ましい。
【0086】また上記銀等の金属の成膜は、前述の各種
蒸着法などの気相成長法やめっき法などの手法を用いる
ことができ、いずれの手法によっても本発明の効果は変
わりはない。
【0087】また、上記電解液の場合には、炭素材料と
バインダーの混合物に担持させる金属としては、銀の他
に白金、パラジウム等の白金族元素、金、銅等や合金を
用いても各々の安定した電位を示し、使用することがで
きる。炭素材料への各種金属の担持の方法は、上記と同
様、金属粒子の分散や金属の成膜などを用いることがで
き、成膜法には気相成長法やめっき法を用いることがで
き、その効果は担持法または成膜法の違いに依らない。
【0088】また、上記炭素材料のうち易黒鉛化炭素
(ソフトカーボン)とは、2800〜3000℃程度で
熱処理された時に黒鉛化する炭素材料であり、難黒鉛化
炭素(ハードカーボン)とは、3000℃程度で熱処理
されても黒鉛化しない炭素材料である。
【0089】易黒鉛化炭素は、たとえば、石炭やピッチ
を、窒素気流中、昇温速度毎分1〜20℃、到達温度9
00〜1300℃、到達温度での保持時間0〜5時間程
度の条件で焼成することにより生成できる。ピッチは、
コールタール、エチレンボトム油、原油等の高温熱分解
で選られるタール類、アスファルト等により蒸留(真空
蒸留、常圧蒸留、スチーム蒸留等)、熱重縮合、抽出、
化学重縮合等の操作により得られるもの、或いは、木材
乾留時に生成するピッチ等である。
【0090】また、易黒鉛化炭素は、ポリ塩化ビニル樹
脂、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラート、
3,5−ジメチルフェノール樹脂等の高分子化合物原料
を、窒素気流中、300〜700℃で炭化した後、上述
と同じ条件で焼成しても生成される。
【0091】さらに、易黒鉛化炭素は、ナフタレン、フ
ェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレ
ン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン等の縮合多環
炭化水素化合物及びその誘導体(たとえば、それらのカ
ルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド等)、
さらに、上記各化合物の混合物、アセナフチレン、イン
ドール、イソインドール、キノリン、イソキノリン、キ
ノキサリン、フタラジン、カルバゾール、アクリジン、
フェナジン、フェナントリジン等の縮合複素環化合物及
びその誘導体を、上述と同様に炭化及び焼成しても生成
される。
【0092】一方、難黒鉛化炭素は、たとえば、フルフ
リルアルコールまたはフルフラールのホモポリマーやコ
ポリマーよりなるフラン樹脂を、上述の易黒鉛化炭素の
場合と同様の条件で炭化及び焼成して生成できる。
【0093】また、難黒鉛化炭素は、特定のH/C原子
比(たとえば、0.6〜0.8)を有する石油ピッチ
に、酸素を含む官能基を導入(いわゆる酸素架橋)した
有機材料から生成される。たとえば、難黒鉛化炭素材料
は、H/C原子比が0.6〜0.8のフェノール樹脂、
アクリル樹脂、ハロゲン化ビニル樹脂、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、共役系樹
脂、セルロース及びその誘導体等の有機高分子系化合物
や、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、トリ
フェニレン、ピレン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタ
セン等の縮合多環炭化水素化合物及びその誘導体(たと
えば、それらのカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボ
ン酸イミド等)、さらに、上記各化合物の混合物を主成
分とする各種ピッチ、アセナフチレン、インドール、イ
ソインドール、キノリン、イソキノリン、キノキサリ
ン、フタラジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジ
ン、フェナントリジン等の縮合複素環化合物及びその誘
導体を、上述と同様の条件で炭化及び焼成して生成され
る。
【0094】なお、以上に説明した易黒鉛化炭素及び難
黒鉛化炭素の出発原料または前駆体にリン化合物を添加
した後、上述の炭化及び焼成を行ってもよい。
【0095】また、本発明に用いる導電性粒子をグラフ
ァイト(黒鉛)で構成する場合、天然黒鉛や、たとえ
ば、上述した易黒鉛化炭素を前駆体として、これを20
00℃以上の高温で熱処理した人造黒鉛を用いることが
できる。
【0096】下表に、グラファイト(黒鉛)、易黒鉛化
炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化炭素(ハードカーボ
ン)及び活性炭の特性(結晶性、密度、空孔度、焼成温
度、導電性)を比較して表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】本発明の実施において、上述した導電性粒
子と混合して用いるバインダーは、電解液1に耐性を有
するものであればよく、たとえば電解液に水系または有
機系の溶媒を用いる場合には、天然ゴム系、セルロース
系、フェノール系、ウレタン系またはエポキシ系等の樹
脂を用いることができる。このバインダーと導電性粒子
の混合比は、重量比で、約80:20〜約99:1の範
囲であるのが好ましく、約90:10〜約99:1の範
囲であるのがより好ましい。この混合比が80:20よ
り少ないと、得られる膜の強度が弱くなり過ぎるおそれ
があり、一方、混合比が99:1より多いと、相対的に
導電性粒子が少なくなり過ぎて、必要な導電性が得られ
なくなるおそれがある。
【0099】このように、対極の第1層を、炭素材料を
主とする導電性粒子とバインダーの混合物で構成し、チ
タン等の第2層上に形成する。この混合物は、印刷また
は塗布によって形成するのが良い。
【0100】以上は、対極にカーボンペーストを使用し
た場合について述べたが、他に電析金属を異種材料面上
に析出溶解させることもできる。この異種材料は、前記
電析金属よりもイオン化傾向の小さい金属で構成する。
たとえば、銀塩を含む電解液を使用した場合には、白
金、金、パラジウムのような銀よりもイオン化傾向の小
さい材料の面上に、銀可逆的に析出/溶解させることが
可能である。
【0101】ここで、本発明の関連においてイオン化傾
向について、標準電極電位との関係から説明する。標準
電極電位は水素ガスの標準圧力を1気圧としたときの標
準水素電位(Normal(Standard) Hy
drogen Electrode;NHE(またはS
HE)と略す)を基準としたその電極材料の有する電位
を指し、その値は温度により異なる。いくつかの金属電
極反応を負の値から順次並べたものを電気化学列(el
ectrochemical series)という。
下記に示す表2に、主要な金属についての電気化学列に
基づいた金属列とその標準電極電位(25℃)を示す。
【0102】この標準電極電位は、水溶液にその材料を
浸漬したときに示す電位(浸漬電位と呼ぶ。自然電位と
もいう。)に呼応し、高い浸漬電位を示す金属を貴な金
属、低い浸漬電位を示す金属を卑な金属という。
【0103】非水溶液系における標準電極電位は、通常
水溶液系のそれとは異なるが、非水溶液系における標準
電極電位の高低の関係は、たいていの場合、水溶液系の
それとほぼ対応している。そしてイオン化しやすさの目
安であるイオン化傾向の大小は、この標準電極電位の高
低に対応する。すなわち、標準電極電位が低い金属ほ
ど、イオン化傾向が大きく、逆に標準電極電位が高い材
料ほど、イオン化傾向が小さいということができる。そ
こで本発明においては、「イオン化傾向が小さい」と
は、この標準電極電位が高いことを意味するものとす
る。
【0104】
【表2】
【0105】たとえば、電解液に銀塩溶液を使用する場
合には、銀(Ag)金属より貴な電位を有する金属を対
極の第1層として構成する。すなわち、前出の表2から
明らかなようにイオン化傾向が水素より小さい銀(A
g)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)
等の金属は、水素の標準電位(0V)を基準にすると、
いずれも+(プラス)電位を有する貴な金属であり、し
かもこの第1層に用いる金属の+(プラス)電位が銀よ
り高いことから、イオン化傾向が銀(Ag)よりも小さ
いたとえばパラジウム(Pd)、白金(Pt)、または
金(Au)は、いずれも銀(Ag)より貴な電位を有す
る金属と称される。ちなみに、イオン化傾向が水素より
大きな、たとえばリチウム(Li)、アルミニウム(A
l)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等
は、水素標準電位(0V)を基準にすると、−(マイナ
ス)電位を有する卑な電位を有する金属といえる。
【0106】同様のことは、金属以外の材料、ITO等
のような金属化合物にも適用でき、たとえばIn:Sn
=9:1であるITOは、多くの水系及び非水系溶液に
おいて銀よりも0.4V程度貴な電位を示し、標準電極
電位は1.2Vvs.NHE程度であることが確認でき
る。
【0107】したがって、本発明の光学装置において
は、電解液に接触させる対極の第1層を構成する材料
は、作用電極において析出/溶解させる金属より貴な電
位を有する材料を使用するのがよい。
【0108】作用電極で析出/溶解させる金属(ここで
はCと呼ぶことにする)よりもイオン化傾向が小さい金
属(Dと呼ぶことにする)は、その表面でCの金属の析
出/溶解反応が可逆的かつ円滑に進行する性質があり、
作用電極上での金属Cの析出/溶解反応を繰り返して
も、対極の分極がそれほど大きくはならない。その結
果、安定で素子駆動時の対極の分極を小さく抑えること
が可能であり、消費電力の低減のみならず、対極での副
反応による汚れ等を抑制できる。
【0109】このことは金属Cが銀であり、金属Dが白
金、パラジウムまたは金である場合に特に顕著である。
これらは気相成長法またはめっき法などによって一様に
緻密な薄膜状に形成することができ、駆動中に対極内に
異物が混入することがなく、対極の電位の乱れがなく、
電極の電位が安定する。
【0110】したがって、金属の析出/溶解反応を利用
した電気化学的調光素子等の反応においては、前記対極
の第1層に、作用電極において析出/溶解させる金属C
よりもイオン化傾向が小さい金属(または、金属Cより
貴な電位を示す金属)Dを用いれば、第1層の金属Dは
金属Cよりイオン化し難く、かつ該金属D表面上での金
属Cの析出/溶解反応を円滑に進行させるものであり、
よって電気化学的に安定で素子駆動時の対極の分極を小
さく抑えることができ、消費電力の低減のみならず、対
極での副反応による汚れ等を抑制できる。
【0111】本発明において対極は、作用電極で析出/
溶解させる金属よりもイオン化傾向が小さい金属(電解
液に銀塩溶液を用いる場合には、白金、パラジウムまた
は金)の単一層または第1層からなっているが、これら
の層は単一の材料または2種(この場合は一般に合金ま
たは混合物となる)で形成されてよいし、また第1層
を、作用電極で析出/溶解させる金属よりもイオン化傾
向が小さい金属のうちから選ばれた金属の積層体として
もよい。
【0112】また本発明において対極は、作用電極で析
出/溶解させる金属よりもイオン化傾向が小さい金属で
構成された第1層に覆われ、かつ前記第1層とは異なる
金属またはその酸化物である第2層を介して、基板に良
好に密着されているのがよい。この第2層は、前記第1
層と基板との密着が良好である場合には不要であるが、
材料の整合性の関係上等で密着が良好でない場合には、
前記第1層と基板との両方に密着性の良好な材料を第2
層として設けることによって、対極と基板との密着性が
確保され、対極の電位が安定化される。
【0113】具体的には、白金、パラジウムといった白
金族金属または金の薄膜は、たとえば、ガラスなどとの
密着性が低いため、これらの金属をガラスなどの絶縁基
板上に形成させる場合には、白金またはパラジウムもし
くは金を含む層を第1層とし、絶縁基板との間に良導体
でかつ膜付きの良いチタン、クロム、タングステンとい
った金属や、ITOや酸化錫といった金属酸化物を、第
2層として介在させるのが良い。
【0114】この場合、条件により第2層が電解液に対
して化学的に不安定になる場合や電解液との間に副反応
を起こす場合もあるので、前記第1層で前記第2層を覆
い尽くし、第2層が電解液と直接接しない構造とするの
が望ましい。
【0115】すなわち、第1層、第2層または第3層
は、蒸着法(物理的蒸着法)、スパッタリング法、MO
CVD(Metal Organic Chemica
l Vapor Deposition)MBE法等の
気相成長法、またはめっき法によって、形成することは
できる。
【0116】中でも、第1層、第2層または第3層の金
属または金属酸化物は、減圧中で蒸気化させて所定の表
面に成膜させる蒸着法や、成膜材料をターゲットとして
減圧または常圧中で、交流電圧もしくは交流電圧に直流
電圧を加えて印加することによって、所定の表面に所定
の材料を成膜させるスパッタリング法等がが好ましく用
いられる。上記の蒸着法には高真空中で抵抗加熱によっ
て金属を蒸気化させる方法や、ターゲット金属に電子線
照射を施すことによって蒸気化させる方法(EB蒸着)
等を用いることが可能であり、いずれの手法によっても
本発明の効果に変わりはない。
【0117】なお、白金、パラジウム、もしくは金との
密着性が良好な絶縁基板、たとえば非晶質珪素などの上
に成膜する場合には、白金、パラジウム、もしくは金の
層と、絶縁基板との間には、上記の第2層の介在は任意
であることは言うまでもない。
【0118】また銀等を析出/溶解させる金属または金
属酸化物は、基板上に成膜する外、当該金属または金属
酸化物を予め所定の形状に加工を施し、基板表面の対応
する凹部に埋め込んでもよい。この埋め込み(または嵌
合)固定による場合、必要とあれば接着剤を用いて凹部
に嵌め込んで固定する等、基板上に配置し易いという利
点もある。しかしながらこの場合には、電極は形状的に
鋭利な角を有する場合が多くなるので、図16に示すよ
うな電界集中が生じ、そのために対極上に不活性な粒子
状の電析金属Aが析出する結果、その不活性な電析金属
粒子が銀塩溶液等の電解液中に浮遊して、素子の透明度
を低下させたり、電極間を短絡させたりすることが起こ
りうる。(図中、Bはかかる析出の生じない薄膜状の電
析金属である)。したがって、上記の気相成膜法がより
好適である。
【0119】電解液として銀塩溶液を用いる場合、白
金、パラジウム、もしくは金は、銀より貴な金属である
ため、浸漬したときに生じる自然電位は、銀に対して高
い電位を示す。たとえば標準水素電極を基準とした25
℃の水溶液中における各金属の標準電極電位は、白金の
場合1.188V vs.NHEであり、パラジウムは
0.915V vs.NHE、金は1.50V vs.
NHEである。銀の標準電極電位は0.7991V v
s.NHEであるので(いずれも化学便覧より抜粋)、
銀に対して白金は0.389V貴な電位を示し、パラジ
ウムは0.116V貴な電位を示し、金は0.70V貴
な電位を示すことになる。また、ジメチルスルホキシド
(DMSO)/アセトニトリル(AN)=55/45混
合の非水溶液においても、銀に対する白金、パラジウム
もしくは金の相対電位は、それぞれ水溶液中における電
位に近い貴な電位を示すことが確認できる。
【0120】対極として、これらの金属をそのまま電解
液に接触させて使用することは光学装置の性能を発揮せ
しめるには全く支障はないが、より対極電位を低くする
ためには、上記金属上に予めより卑な異種金属元素の層
を形成させておくのがよい。たとえば、銀塩溶液を使用
する場合に、白金、パラジウム、もしくは金上に銀の層
を形成させておけば、本電極を上記溶液に浸漬したとき
に示す電位は銀とほぼ同じとすることができ、銀の析出
/溶解反応に可逆性に優れた電極を得ることができる。
【0121】上記の異種金属元素の層は、前述の気相成
膜法や、電解または無電解メッキによって形成すること
が可能であり、いずれの方法によっても、対極としての
特性には変わりはない。
【0122】参照極を設けることは、作用(透明)電極
及び対極の安定した制御を行うには有効である。
【0123】参照極としては、上記対極と同様の材料構
成のものを使用することができる。参照極では銀等の金
属の析出・溶解反応を積極的に行わせないため、たとえ
ば炭素材料とバインダーの混合物に担持させる銀等の金
属の量は、対極よりも少なくてよい。
【0124】また第2層を構成する集電体に使用する金
属としては、対極で示した金属等の他に、タンタル、ニ
オブなども使用することができる。タンタル及びニオブ
は、比抵抗が他のものと比較して大きいため、対極の集
電体には使用すると分極が大きくなるため使用しない
が、参照極には電位の監視のため、微小な電流しか流れ
ず、参照極の電位がほとんど変化しないので、これらの
金属も参照極の集電体に使用することができる。
【0125】上記のごとき構成の調光セルを有する光学
装置では、電解液に接触する参照電極を設けたことで、
この参照電極と作用電極や対極との間の電位差が検知さ
れる。この参照電極は、作用電極や対極のようには作用
電極表面への可逆的な電解析出に直接関与するものでは
なく、電解液に接触した状態において常に一定の浸漬電
位を示す。このため、検知された電位差から電解液に接
した作用電極や対極の電位を得ることができる。
【0126】そして、作用電極表面に析出する金属また
はこの金属を含有する材料で参照電極を構成すること
で、電解液に接した参照電極の電位を、作用電極表面に
析出する物質と同電位とすることができる。このため、
安定した参照電極の電位を基準として、作用電極や対極
の電位を検知することができる。
【0127】さらに、第1層と基板との間に密着層とし
て第2層を設けた構成の参照電極では、前記第1層と基
板との間の密着性が確保され、基板の表面における参照
電極の機械的安定性及び電位の安定性を確保することが
できる。
【0128】参照電極においても、第1層に金、白金、
もしくはパラジウムを用いる場合は、対極の場合と同
様、第2層の密着層としてクロム、チタン、タングステ
ンと言った遷移金属や、ITOや酸化錫と言った金属酸
化物、または二酸化珪素や非晶質珪素と言った絶縁膜を
用いることで、たとえばガラスからなる基板との密着性
を確保できる。
【0129】また、上記のごとき構成の調光セルを有す
る光学装置では、第1層としての集電体層を設けたあと
で、第3層として、たとえば導電性粒子をバインダーに
分散させてなる材料で前記第1層を覆って、参照電極を
構成した場合であっても、これらの電極の電位を安定化
させることができる。
【0130】光学素子の好ましい構成としては、具体的
には、互いに対向して配された一対の透明または半透明
基板と、これら一対の透明または半透明基板の対向面に
それぞれ設けられて互いに対向するように配された少な
くとも一対の透明または半透明電極(特に、可視光域に
おいて光透過率が70%以上のITO等の透明電極)
と、上記少なくとも一対の透明または半透明電極に接し
てそれらの間に配された銀塩からなる上記電解液と、上
記電解液に接して配され、かつ、上記積層構造を有する
対極とを具備する。
【0131】さらに、本発明の光学素子においては、上
記透明または半透明電極と対極の他に、上記電解液に接
して素子内に配され、かつ上記の構造を有する参照極と
を具備することが好ましい。
【0132】この場合、上記透明または半透明電極はI
TO(インジウム−錫酸化物)または酸化錫で構成され
ていてよい。
【0133】好ましい実施の形態において、電解液は銀
(錯)塩溶液等の銀系溶液である。好ましい銀塩溶液と
しては、臭化銀、塩化銀、ヨウ化銀等のハロゲン化銀を
水または非水溶媒に溶解させた溶液を用いることができ
る。この時、非水溶媒としては、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエ
チルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセト
アミド(DMAA)、N−メチルプロピオン酸アミド
(MPA)、N−メチルピロリドン(MP)、プロピレ
ンカーボネート(PC)、アセトニトリル(AN)、2
−メトキシエタノール(MEOH)、2−エトキシエタ
ノール(EEOH)等を用いることができる。
【0134】また、銀塩溶液中のハロゲン化銀の濃度
は、0.03〜2.0モル/リットルであるのが好まし
く、0.05〜2.0モル/リットルであるのがより好
ましい。
【0135】また、銀塩溶液の導電性を上げるととも
に、ハロゲン化銀の溶解のために、臭素その他のハロゲ
ンを供給可能な支持塩(支持電解質)を添加するのが好
ましい。たとえば、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化
カリウム、ハロゲン化カルシウム、ハロゲン化四級アン
モニウム塩等をこの目的に用い得る。このような支持塩
は、ハロゲン化銀の1/2〜5倍程度の濃度範囲で添加
されるのが好ましい。
【0136】また、銀等の金属を析出または溶解させる
作用電極である、たとえば、ITO電極を電気化学的ま
たは物理的に修飾することにより、ITO電極への金属
の析出電位を下げ、金属の析出を容易とし、ITO電極
や溶液自身が電気的に受ける損傷を軽減させることがで
きる。
【0137】この場合の化学的修飾法として、錫溶液及
びパラジウム溶液の二液処理法によるパラジウム等によ
ってITO電極の表面処理(化学めっき)を行うのが好
ましい。すなわち、パラジウムによるITO電極の表面
活性化処理として、ITO単独基板上にパラジウム核を
析出させることでITO電極表面上の活性を高めること
ができる。
【0138】この場合、錫溶液としては、塩化錫(Sn
Cl2 )0.10〜1.0gを濃度0.010〜0.1
0%で、11のHClに溶解させたもの、パラジウム溶
液としては、塩化パラジウム(PdCl2 )0.10〜
1.0gを濃度0.010〜0.10%で、11のHC
lに溶解させたものが使用可能である。
【0139】また、物理的修飾法としては、作用電極に
析出/溶解させる金属より貴な金属等をITO電極上へ
蒸着する方法が採用可能である。
【0140】次に、上記のような構成の調光セルを用い
た光学装置について、その回路構成の態様を説明する。
【0141】この光学装置においては、作用電極と対極
には、これらの電極に通電するための外部電源が接続さ
れている。この外部電源としては、定電流電源が用いら
れることが多いが、これに限定されること無く、適切な
制御に応じ、定電圧電源、パルス電源など種々の電源を
使用することが可能である。また、参照電極と作用電極
との間には、電圧計を接続する構成にできる。さらに、
電圧計と、外部電源との間には、電圧計で測定された電
位差によって外部電源からの通電が制御されるように、
リミッタが接続される構成にできる。
【0142】このような回路構成の光学装置は、たとえ
ば、以下のようにして駆動させることができる。
【0143】すなわち、作用電極を陰極とし、対極を陽
極としてこれらの間に所定時間だけの直流の駆動電圧を
印加し、作用電極の表面に析出物質(たとえばAg)を
付着させて作用電極を着色状態にする。また、作用電極
を陽極として対極との間に駆動電圧を印加し、作用電極
の析出物質を電解液中に溶解させて作用電極を透明状態
にする。この際、電圧計によって、作用電極と参照電極
との間の電位差をモニターしておく。そして、この電位
差が所定の範囲内に保たれるように、リミッタによっ
て、外部電源で流す電流を制御する。すなわち、作用電
極と参照電極との間の電位差が所定値に達したことが電
圧計で測定された時点で、リミッタによって外部電源で
流す電流が制御され、作用電極と参照電極との間の電位
差が所定の範囲内に保たれるように構成して、駆動させ
ることができるのである。
【0144】ここで、作用電極と参照電極との間の電位
差の範囲は、調光セルを構成する電解液の組成によって
決定される。すなわち、電位差の範囲は、電解液の構成
物質が、作用電極の分極によって酸化還元反応を起こさ
ないような範囲に設定される。たとえば、電解質または
支持電解質のアニオンとしてヨウ素イオン(I- )を含
む電解液を用いた場合には、作用電極の電位が標準水素
電極の電位に対して+2V以内の範囲(主にヨウ素イオ
ンの酸化反応に起因すると考えられる電解液の変色が起
こらない範囲)に保たれるように、リミッタによって外
部電源が制御されるように構成するのである。この際、
具体的には参照電極が銀(Ag)を用いて構成されたも
のとすれば、銀の標準電極電位は+0.798Vであ
り、非水溶媒中においてもほぼ同じ値を示すため、参照
電極に対する作用電極との電位が+1.2V以下の範囲
に保たれるように、リミッタによって外部電源が制御さ
れる構成とする。
【0145】ここで、上記電解液を用い、かつ銀(A
g)よりも貴な金属、すなわち白金(Pt)、パラジウ
ム(Pd)、または金(Au)を用いて参照電極が構成
されている場合には、銀(Ag)に対するこれらの金属
の電位差を差し引いた範囲で、外部電源を制御すること
とする。
【0146】たとえば、電解液を構成する水溶液におい
ては、銀(Ag)に対して、白金(Pt)は約0.39
V、パラジウム(Pd)は約0.12V、金(Au)は
約0.72V程度、貴な電位を示す。また、上記銀塩溶
液においても、ほぼ同等の電位を示す。
【0147】このことから、上記電解液中においては、
白金(Pt)を用いた参照電極では、参照電極に対する
作用電極の電位が、約+0.81V(=+1.2V−
0.39V)以下の範囲に保たれるように、リミッタで
外部電源を制御する。
【0148】また、パラジウム(Pd)を用いた参照電
極では、参照電極に対する作用電極の電位が、約+1.
08V(=+1.2V−0.12V)以下の範囲に保た
れるように、リミッタで外部電源を制御する。
【0149】また、金(Au)を用いた参照電極では、
参照電極に対する作用電極の電位が、約+0.48V
(=+1.2V−0.72V)以下の範囲に保たれるよ
うに、リミッタで外部電源を制御する。
【0150】このような構成の光学装置では、リミッタ
によって外部電源が制御されて、作用電極の電位が所定
範囲に保たれることになる。このため、作用電極の過剰
な分極を防止することが可能になる。
【0151】そして、上記のような光学装置の駆動方法
では、参照電極と作用電極の間の電位差が所定範囲に保
たれるように作用電極への通電が制御されることから、
通電中における作用電極の過剰な分極が抑制される。そ
して、作用電極の過剰な分極が電解液中の物質に影響を
及ぼすことを防止しながら、作用電極表面への電解液か
らの可逆的な電解析出による調光が行われる。
【0152】したがって、たとえば電解質または支持電
解質のアニオンとしてヨウ素イオン(I- )を溶存させ
た場合、主にこのヨウ素イオンの酸化反応に起因すると
考えられる電解液の着色を防止することができる。この
結果、光学装置の光学特性を良好に保つことが可能にな
る。
【0153】また、安定した参照電極の電位に基づいて
外部電源が制御されることから、不必要に電流が低く抑
えられて、作用電極での析出/溶解が不十分になり、析
出物質の消え残りや析出不足などの不具合が生じること
も防止できる。したがって、精度の良い調光を行うこと
が可能になる。
【0154】本発明の光学装置は、反射型に限らず、透
過型としても適用できる。また、従来から公知の他のフ
ィルター材、たとえば、有機系のエレクトロクロミック
材、液晶、エレクトロルミネッセンス材等と組み合わせ
て用いてよい。また、CCDの光学絞りをはじめ、各種
光学系、たとえば電子写真複写機、通信機器などの光量
調節用、さらには、光学フィルター以外にも、キャラク
ターやイメージを表示する各種の画像表示装置としての
用途に使用できる。
【0155】また、上述した本発明に基づく光学装置
(たとえば図4のごとき電極パターンを有するものな
ど)は、CCD(Charge Coupled De
vice)カメラなどのカメラシステムにおける調光に
使用して好適である。この場合、本発明による光学装置
の調光セルを、カメラの光量調節(光量絞り)のため
の、従来型の光量調節手段として光学フィルターや光学
絞りが設置されていたのと同じ光路上に、それらの光学
部品の全部または一部として置き換えて取り付けるよう
にすれば、安定した光量制御が可能となる。
【0156】本発明の光学装置は、既述したように電界
の印加によって光量を調節できるので、これまでの機械
的な光量絞り機構と根本的に違って、絞りを駆動させる
機械構成を必要としないため、システムを小型化でき、
実質的に光路の有効範囲の大きさまで小型化できる。し
たがって、CCDカメラの小型化を達成することが可能
である。また、パターン化された電極への印加電圧の大
きさによって、安定して光量を適切に制御できるので、
従来のような回折現象を防止し、撮像素子へ十分な光量
を入射させ、像のぼやけを無くせる。本発明に基づく光
学装置は安定した駆動が可能なので、本発明に基づく光
学装置の調光セルが光量調節(光量絞り)のために同じ
光路上に取り付けられれば、安定した光量が可能であ
る。
【0157】以下本発明を、好ましい具体的な実施の形
態例について、図面を参照して説明する。
【0158】実施の形態例1 図1に、この実施の形態例に係る電気光学素子の要部断
面を示し、図2ないし図5にこの例の製造工程を示す。
図11に、全体構成の概略を、断面図で示す。この実施
の形態例は、図14及び図15で説明したと同様の光学
フィルター(電気化学的調光素子)に本発明を適用した
場合の実施の形態である。以下各図を参照して、説明す
る。
【0159】この実施の形態例では、図11に概略を示
す如く、セルを構成する一対の透明基板(たとえば、ガ
ラス基板)4,5が一定の間隔を置いて配置され、各基
板4,5の内面(対向面)に、各1対の作用電極(たと
えば、ITO電極)2a,2b,2c,2d,2e及び
3a,3b,3c,3d,3eがそれぞれ互いに対向し
て設けられている。基板4と5は、スペーサー6により
所定間隔に保持され、その間に銀塩溶液1が封入されて
いる。符号20は、遮光材料、特にブラックレジストで
ある(この部分の詳しい構造は、図1参照)。この実施
の形態例の引き出し電極が形成される作用電極を、要部
構成図である図1に符号2Aで示す。符号35で引き出
し電極を示す。図1に詳しく示すように、この引き出し
電極35は、絶縁膜36(ここではSiO2 からなる)
が介在することによって、遮光材料20(ブラックレジ
スト37)とは直接は接さないようになっている。
【0160】すなわちこの実施の形態例では、作用電極
2a〜2e及び3a〜3eの引き出し電極の部分を絶縁
膜からなる被覆層で覆った構成としている。具体的に
は、前記引き出し電極を二酸化珪素(SiO2 )によっ
て覆っている。
【0161】なお、図1にも図示されているように、対
極17Aにも、作用電極2Aと同様、引き出し電極が形
成されており、SiO2 からなる絶縁層または対極17
Aを構成する第1層に覆われており、これにより、直接
ブラックレジスト20に接触したり、また貼り合わせセ
ルを組み立てたときに、電解液と接触することはない。
【0162】この実施の形態例では、作用電極2a〜2
e及び3a〜3eの外周部に設ける対極17a,17b
を、以下に記す製造方法により構成した。なお、作用電
極2a〜2e及び3a〜3e並びに対極17a,17b
の平面形状は、図15に示したものと実質的に同一とし
ている。
【0163】この実施の形態例における貼り合わせセル
の作用電極2a〜2e及び3a〜3eと対極17a,1
7bの製造工程を、図2乃至図5を用いて説明する。
【0164】作用電極及び対極とは別に、素子の駆動を
制御するためにこれらの電極の電位を監視するための参
照電極27Aを設けることも可能である。その場合の製
造方法は、下記の対極の製造方法に準拠するものであ
り、かかる参照電極27Aを設けるものとして、説明を
行う。
【0165】まず、図2(a)に示す基板31上にIT
O膜33をスパッタリング法により、約200nmの厚
さに成膜した後、さらにその上にクロム膜32を同じく
スパッタリング法により、約200nmの厚さに形成し
た(図2(b))。この基板上にフォトレジスト34を
スピンコートにより塗布した(図2(c))後に、マス
クにより所望のパターンに露光/現像した(図2
(d))。
【0166】しかる後にクロム層32の一部にエッチン
グを施し、さらに塩酸と硝酸の混酸により、ITO膜3
3のエッチングを施した(図3(e))。以降残ったフ
ォトレジストを剥離し、所望の平面形状の作用電極2A
及び対極17A、また必要に応じて参照電極27Aを形
成した(図3(f))。
【0167】次に、再びフォトレジスト34を塗布し
(図3(g))、異なるマスクにより露光/現像を行い
(図3(h))、再度クロムのエッチングを行い、作用
電極2A上には引き出し電極35を形成し、対極17A
及び参照極27A上からは引き出し電極部を除いてクロ
ムをすべて除去した(図4(i))。
【0168】レジスト34を再度剥離した(図4
(j))後、絶縁膜36としてここでは二酸化珪素をス
パッタリング法により成膜し、各電極の表面が全面覆わ
れるようにした(図4(k))。このとき成膜した二酸
化珪素の膜厚は平均7500Åであった。
【0169】しかる後に、作用電極2A以外の部分で光
を透過させないために、遮光用に、主成分をプロピレン
グリコールモノメチルエーテルとする感光性のブラック
レジスト37をスピンコートで塗布した(図4
(l))。さらに別のフォトマスクにより露光/現像を
行い、作用電極2A、対極17A及び参照極27Aを露
出させて所望の基板を得た(図5(m))。
【0170】そして電極部分でブラックレジストに覆わ
れていない表面上の絶縁膜36(二酸化珪素)を、フッ
酸とフッ化アンモニウムの混合液(ともに約15重量
%)によりエッチングし、電極部分のITO表面を露出
させた(図5(n))。
【0171】その後に、対極17A及び参照極27A
に、炭素材料とセルロース系のバインダーからなり、炭
素重量と同重量の銀粉(粒径1〜3μm)を分散させた
ペーストのスクリーン印刷を施し、これらの電極38を
形成した(図5(o))。
【0172】以上の製造工程を経て、所望のパターニン
グを施した基板を用い、図1及び図11に示したよう
に、作用電極2a〜2e及び3a〜3e並びに対極17
a,17bを対向するように配置し、スペーサを介して
貼り合わせ、内部に銀塩溶液1を封入したものを本発明
の実施の形態例1に係る素子とする。
【0173】電解液である銀塩溶液1には、臭化銀50
0mM、ヨウ化ナトリウム750mMをジメチルスルホ
キシド(DMSO)/アセトニトリル(AN)=55/
45の混合溶媒に溶解させたものを使用した。
【0174】また図4(k)で二酸化珪素の絶縁層を形
成しないで、図6に示すように(k’)(l’)の工程
を経た基板を用いて、セル作製まで行ったものを比較例
1とした。
【0175】これらの上記の実施の形態例1及び比較例
1の基板を貼り合わせた調光素子の作用電極であるIT
O電極2a,2b,2c,2d,2e及び3a,3b,
3c,3d,3eと対極17a,17bの間に定電流を
通電させて、ITO電極上に銀を析出及び溶解を行っ
た。このときの電流密度はITO電極において18mA
/cm2 となるよう、析出及び溶解共に2秒間通電させ
た。これを銀の析出及び溶解の1サイクルとした。
【0176】実施の形態例1のセルでは、銀の析出/溶
解サイクルを多数回繰り返した場合でも支障なく析出/
溶解が可能であるのに対して、比較例1のセルでは、銀
の析出にムラがあり、場所によっては析出した銀が、酸
化側に大きく分極させても完全に溶解しない部分ができ
ることが多い。
【0177】銀の消え残りの発生する作用電極上のIT
O表面をX線電子分光法(XPS)で調べたところ、有
機物の存在を示唆する炭素起因のピークがみられた。こ
のときの表面の元素組成は炭素が平均70原子%を占め
ることが確認された。
【0178】比較例1においては、図6(k’)に示す
ように、各電極、特に作用電極2AのITO33の表面
がブラックレジスト37に直に接触することとなるた
め、後の現像の工程を経てもITO表面上の有機物が十
分に除去されないことが推定される。
【0179】それに対して、実施の形態例1において
は、図4(l)〜図5(o)に示すように、作用電極2
AのITO33の表面はブラックレジストに直接接触す
ることがないため、ITOに有機物等の残渣は残らず、
銀の消え残りが発生しない。
【0180】またX線光電子分光法によるITO表面の
分析でも、炭素は検出感度以下であり、有機物の残渣が
ないことが示唆された。
【0181】以上、本実施の形態例の如く、本発明によ
って、ITO表面上にブラックレジストの残渣をなくす
ことができ、銀の析出ムラや消え残りの発生しない、調
光素子を得ることが可能となった。
【0182】また、比較例1では作用電極に3V以上の
電圧を印加したときに、ブラックレジストから気泡が発
生し、ブラックレジストの分解生成物によって周囲の電
解液が変色する等の反応が起こるが、実施例1ではこの
ような反応は起こらない。実施例1では引き出し電極を
絶縁耐圧が高くてかつ電気化学的にも安定な二酸化珪素
で覆っているため、電圧は二酸化珪素の層に印加され、
ブラックレジストに高い電圧がかからなくなるので、上
述のような反応が起こらなくなる。したがって、本発明
によって、安定した特性を有する長寿命の光学素子を提
供することが可能となった。
【0183】上述のように実施の形態例1では、引き出
し電極上に形成する被覆層を構成する絶縁膜材料として
SiO2 を用いたが、その他、各種の絶縁物を材料とし
て用いることができる。本発明の実施において、引き出
し電極上に形成して用いることができる絶縁膜材料を、
下記の表3に例示する。ここに掲げられた絶縁膜材料
は、HF(フッ酸)、緩衝HF、H3 PO4 (リン
酸)、H2 SO4 (硫酸)、NaOH(水酸化ナトリウ
ム)等でエッチングすることが可能である。それぞれの
絶縁膜材料のエッチングに使用できるエッチング剤も下
表に合わせて示す。
【0184】
【表3】
【0185】また、引き出し電極を被覆する材料とし
て、金属化合物も用いることができる。本発明の実施に
おいて引き出し電極上に形成して用いることができる、
酸化物をはじめとする各種金属化合物の例を、下記の表
4に示す。ここに挙げられた金属化合物を絶縁物材料と
して用いても、本発明の効果を有効に発揮できる。この
場合のエッチング液、及びその条件も合わせて下記表4
に示す。
【0186】
【表4】
【0187】さらに前記した絶縁膜は、有機高分子によ
って形成することも可能である。より具体的には、ポリ
イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等
の高分子材料が絶縁膜形成用材料として好適に用いられ
る。
【0188】これら有機高分子は、適宜有機溶剤にて希
釈して、スピンコート等の塗布法や、スクリーン版を用
いた印刷法等によって、所望厚さに層を形成することが
可能である。エッチングには硝酸が好ましく用いられ、
温度条件としては60℃程度でエッチングを行うことが
できる。
【0189】以上の各種絶縁膜材料をSiO2 に代えて
用いても、本発明の効果は同様である。本実施の形態
例、及び他の実施の形態例について、同様である。また
本発明の実施において、絶縁膜は1層に限定されること
はなく、たとえば上記材料の中から適宜複数の材料を選
択して、複数層形成することもできる。
【0190】実施の形態例2 次に実施の形態例2を説明する。本実施の形態例も、そ
の概略構成は、図11に示したようなものであるが、本
例においては、実施の形態例1の図2乃至図5において
セル基板の対極17a,17b及び参照極27a,27
bに白金を蒸着したもので構成している。図7及び図8
を参照する。
【0191】この実施の形態例においても、実施の形態
例1と同様、作用電極2a〜2e及び3a〜3eの引き
出し電極の部分を絶縁膜からなる被覆層で覆った構成と
している。具体的には、前記引き出し電極を二酸化珪素
によって覆っているが、前記したその他の材料を用いて
実施することもできる。
【0192】この実施の形態例2においては、実施の形
態例1の図3の(g)以降を、以下のように変更する。
図7及び図8を参照して、以下説明する。
【0193】すなわち、フォトレジスト34をスピンコ
ートにより塗布し(図7(g”))、対極17A及び参
照極27Aの部分のみを露光・現像により開ける(図7
(h”))。
【0194】そして対極17A及び参照極27Aの部分
の二酸化珪素36を上記エッチング液により除去し(図
7(i”))、その状態で高融点金属39である白金を
蒸着する(図7(j”))。
【0195】しかる後に、剥離液を用いたリフトオフに
より、フォトレジスト34及びその上の高融点金属39
(白金膜)を除去する(図8(k”))。
【0196】その後、感光性のブラックレジスト37を
スピンコートにより塗布し(図8(l”))、露光・現
像を施し電極部分のブラックレジストを除去する(図8
(m”))。
【0197】最後に、作用電極2Aの部分の二酸化珪素
36をエッチングし、所望の基板を得る。最終構造を図
8(n”)に示す。
【0198】また、図4の(k)において、二酸化珪素
の絶縁層を設けないで、以降実施の形態例2と同じ工程
を経たものを、比較例2とする。その工程を図9及び図
10に示す。
【0199】実施の形態例2及び比較例2においては、
対極17A及び参照極27Aを構成する白金の融点が1
769℃と高く、白金の蒸着時にその放射熱によって、
フォトレジストが硬化することになる。特に比較例2の
ような、符号2Aで示す作用電極上のITOに付着した
場合は、硬化したフォトレジストは取れ難くなる。
【0200】また、場合によってはフォトレジストにひ
び割れが生じ、その隙間から蒸気化した白金が浸入する
ことがある。このようなとき比較例2では、浸入してき
た白金が作用電極のITO表面上に付着することがあ
る。このようなITO上の白金も取れ難い。
【0201】これに対してITOを含む全面に絶縁材料
である二酸化珪素(絶縁膜36)をスパッタリング法に
よりコートした本発明に係る実施の形態例2では、IT
O表面上の絶縁層をエッチングすれば、上記のようなフ
ォトレジストの残渣や白金の微粒子が同時に除去され
て、ITOの表面に残ることがなく、その後の銀の析出
・溶解時にも銀の消え残りの発生はみられなかった。
【0202】比較例2のようなITOの面状態で銀の析
出・溶解を繰り返した場合、これらのレジストや白金の
残渣や粒子を核として、やはり銀の消え残りが発生す
る。白金はITO表面の物理的修飾として有効である
が、これは均一に行う必要があり、比較例2のような白
金の粒子は不均一に散在するため、光学装置としての特
性には悪影響を及ぼす。
【0203】以上のことから、本発明によれば、フォト
レジストの熱硬化が起こっても、作用電極上のITOの
レジストの残渣が残らず、銀の析出・溶解時にも消え残
りの発生しない優れた特性を有する光学素子を提供する
ことができる。
【0204】また、上記によって、実施の形態例1と同
様、ITO表面上にブラックレジストの残渣が残ること
なく、ムラや消え残りの発生しない、調光素子を得るこ
とが可能となった。
【0205】また、実施の形態例1と同様、3V以上の
電圧を印加した場合でも、ブラックレジストから気泡が
発生したり、周囲の電解液が変色する等の反応は起こら
ず、安定した特性を有する長寿命の光学素子を提供する
ことが可能となった。
【0206】実施の形態例3 次に実施の形態例3を説明する。この実施の形態例にお
いては、本発明の効果をより確実にするために、被覆層
を絶縁膜だけでなく、絶縁膜と別種の層も含めて形成し
ている。本実施の形態例においても、実施の形態例2と
同様、実施の形態例1を示した図2ないし図5におい
て、セル基板の対極17a,17b及び参照極27a,
27bに白金を蒸着したもので構成する。
【0207】この実施の形態例3においては、実施の形
態例1の図3の(g)以降を、以下のように変更する。
図17ないし図19を参照して、以下説明する。
【0208】すなわち、図3の(g)で二酸化珪素の絶
縁膜36を形成した後、該SiO2絶縁膜36とは別種
の層40としてアルミニウムをスパッタリング法で厚さ
約200nmに成膜し、2層からなる被覆層で全面が覆
われるようにした(図17(h’’’))。
【0209】しかる後に、フォトレジスト34をスピン
コートにより塗布し(図17(i’’’))、対極17
A及び参照極27Aの部分のみを露光・現像により開け
る(図17(j’’’))。
【0210】そして上記パターニングしたフォトレジス
ト34をマスクとして、対極17A及び参照極27Aの
部分のアルミニウム層40を、50℃の温度で、エッチ
ング液、たとえばここではりん酸70.1〜74.1
%、硝酸2.4〜3.4%、酢酸9.5〜11.5%の
範囲で調整した混酸でエッチングした(図18
(k’’’))。しかる後に、さらに二酸化珪素絶縁膜
36を上記エッチング液により除去し(図18
(l’’’))、その状態で高融点金属39である白金
を蒸着する(図18(m’’’))。
【0211】しかる後に、剥離液を用いたリフトオフに
より、フォトレジスト34及びその上の高融点金属39
(白金膜)を除去する(図19(n’’’))。
【0212】その後、アルミニウム層を全面エッチング
で除去した後、感光性のブラックレジスト37をスピン
コートにより塗布し(図19(o’’’))、露光・現
像を施し電極部分のブラックレジストを除去する(図1
9(p’’’))。
【0213】最後に、作用電極2Aの部分の二酸化珪素
絶縁膜36をエッチングし、所望の基板を得る。最終構
造を(図19(q’’’))に示す。
【0214】実施の形態例3においても、対極17A及
び参照極27Aを構成する白金の融点が高く(1769
℃)、白金の蒸着時にその放射熱によって、フォトレジ
ストが硬化する。特に比較例2のような、符号2Aで示
す作用電極上のITOに付着した場合は、硬化したフォ
トレジストは取れ難くなる。
【0215】また、場合によってはフォトレジストにひ
び割れが生じ、その隙間から蒸気化した白金が浸入する
ことがある。このようなとき比較例2では、浸入してき
た白金が作用電極のITO表面上に付着することがあ
る。このようなITO上の白金も取れ難い。
【0216】これに対して本実施の形態例においては実
施の形態例2と同様、ITOを含む全面に絶縁材料であ
る二酸化珪素(絶縁膜36)をスパッタリング法により
コートし、しかも本実施の形態例ではさらにその上にア
ルミニウムの層を設けたため、実施の形態例2よりもい
っそう確実にフォトレジストの残渣や、白金の微粒子が
残ることがなく、その後の銀の析出・溶解時にも銀の消
え残りの発生はみられなかった。
【0217】以上のことから、本発明によれば、フォト
レジストの熱硬化が起こっても、作用電極上のITOの
レジストの残渣が残らず、銀の析出・溶解時にも消え残
りの発生しない優れた特性を有する光学素子を提供する
ことができる。
【0218】また、上記によって、実施の形態例1と同
様、ITO表面上にブラックレジストの残渣が残ること
なく、ムラや消え残りの発生しない、調光素子を得るこ
とが可能となった。
【0219】また、実施の形態例1と同様、3V以上の
電圧を印加した場合でも、ブラックレジストから気泡が
発生したり、周囲の電解液が変色する等の反応は起こら
ず、安定した特性を有する長寿命の光学素子を提供する
ことが可能となった。
【0220】上記のように本実施の形態例では、絶縁膜
上にさらに別種の膜を形成して被覆層とするとともに、
その場合の別種の膜の材料としてアルミニウムを用いた
が、それ以外にも各種の金属、合金、金属化合物、絶縁
物を使用できる。
【0221】このような被覆層を構成する材料として使
用できる物質としては、金属としては、アルミニウムの
他にチタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル
(Ta),クロム(Cr),モリブデン(Mo),タン
グステン(W),マンガン(Mn),鉄(Fe),C
o,ニッケル(Ni),パラジウム(Pd),銅(C
u),銀(Ag),金(Au),亜鉛(Zn),錫(S
n),鉛(Pb)等の金属が使用でき、これらの材料を
用いた場合の効果は、アルミニウムの場合と何ら変わり
はない。これらの材料を用いる場合は、以下の表5に示
すようなエッチング液及び条件(温度)によりエッチン
グが可能である。
【0222】
【表5】
【0223】また電解エッチングを行うことが可能な素
子であれば、前記の金属のほか、バナジウム(V),ニ
オブ(Nb),インジウム(In)等の金属も使用可能
である。その場合のエッチング液及び条件(印加電圧、
温度)は下記の表6に示すとおりである。
【0224】
【表6】
【0225】また、コストに特にこだわる必要がなけれ
ば、ハフニウム(Hf),レニウム(Re),ルテニウ
ム(Ru),オスミウム(Os),ロジウム(Rh),
イリジウム(Ir),白金(Pt),タリウム(T
l),ビスマス(Bi),セレン(Se),ポロニウム
(Po)等の稀少金属も使用可能である。
【0226】さらに毒性に十分留意すれば、カドミウム
(Cd),砒素(As),アンチモン(Sb),テルル
(Te)等の金属も使用可能である。
【0227】また、被覆層を構成するため前記絶縁膜を
被覆して用いることができる材料としては、前記したよ
うな金属だけでなく、合金(金属間化合物を含む)を用
いることができる。たとえば、ニッケル−クロム(Ni
−Cr)合金、ニオブ−錫(Nb−Sn)合金等の各種
合金を使用することも可能である。これらのエッチング
液、及び条件(印加電圧、温度)は、下記表7に示すと
おりである。
【0228】
【表7】
【0229】また、被覆層を構成するため前記絶縁膜を
被覆して用いることができる材料としては、半導体材料
を用いることができる。たとえば、シリコンを基礎材料
とした半導体材料、またはシリコン以外の材料を基礎材
料とした半導体材料を使用することができる。
【0230】シリコンやゲルマニウムを基礎材料とした
半導体材料は、フッ酸に硝酸等を加えたエッチング液に
より、常温で容易にエッチングできる。その他シリコン
やゲルマニウムのエッチング方法には種々さまざまな手
法があるが、素子を相当加熱するものでなければ(具体
的にはたとえば200℃以下であれば)、得られる効果
は変わりはない。
【0231】また、シリコンやゲルマニウムを基礎材料
とした半導体材料のほか、化合物半導体材料等の他の半
導体材料についても、本発明に使用することが可能であ
る。これら使用できる各種半導体材料、及びそのエッチ
ング液、及び条件(温度)につき、下記表8及び表9に
示す。
【0232】
【表8】
【0233】
【表9】
【0234】また、被覆層を構成するため前記絶縁膜を
被覆して用いることができる材料としては、前掲の表
3,4で示した絶縁膜材料を重ねて用いることができる
ことは、言うまでもない。その場合、引き出し電極を被
覆する絶縁膜材料とこの上に形成する絶縁膜材料は、同
じでも異なっていてもよいが、一般的には、双方の材料
の長所を引き出すために、異なっていることが望まし
い。
【0235】また以上の説明においては、被覆層を構成
する絶縁膜材料やその他の材料を、エッチング液を用い
たエッチング技術で加工する手法を記したが、その他の
手法でエッチング等を行うのでもよい。たとえば、アル
ゴンや酸素、またフッ素ガス等のプラズマを利用したイ
オンミリング等の手法を用いてエッチングすることも可
能であり、このような手法によっても、本発明の効果は
変わりなく同等に発揮される。
【0236】上記において説明した、被覆層を構成する
ため前記絶縁膜を被覆して用いる別種の被覆層は、該被
覆層と引き出し電極との間には前記絶縁膜が介在するの
で、電解液が自発的に反応を起こすといった性質の材料
でなければ、その被覆層は残したまま、以上の工程を進
め、最後に光学素子の駆動時に金属を電析・溶解させる
有効領域のみをエッチング等により除去して素子に使用
すればよい。また、セル組み立て後に浸漬されることと
なる電解液と反応するような場合には、実施の形態例3
で示したように、あらかじめこの被覆層を全面除去する
ことも可能である。
【0237】実施の形態例4 次に実施の形態例4として、図20を参照して、図1に
示した光学装置(たとえば図11に示し、図15のごと
き電極パターンを有する本発明に係る光学素子を適用し
たもの)をCCD(Charge Coupled D
evice)カメラに組み込んだ実施の形態について説
明する。これは、本発明の撮像装置の好ましい一例であ
る。ただし、この例示に限られるものではない。
【0238】図20に示すCCDカメラ70において、
光軸(一点鎖線で示す)に沿って、1群レンズ71、2
群レンズ72(ズーム用)、3群レンズ73、4群レン
ズ74(フォーカス用)、及びCCDパッケージ75
が、適宜の間隔をおいてこの順に配設されている。CC
Dパッケージ75には、赤外線カットフィルター75
a、液晶光学ローパスフィルター系75b、CCD撮像
素子75cが収納されている。2群レンズ72と3群レ
ンズ73との間には、3群レンズ73寄りに、記述した
本発明に基づく光学装置76が、光量調節(光量絞り)
のために同じ光路上に取り付けられている。
【0239】なおフォーカス用の4群レンズ74は、リ
ニアモータ77により光路に沿って3群レンズ73とC
CDパッケージ75との間を移動可能に配設され、また
ズーム用の2群レンズ72は、光路に沿って1群レンズ
71と光学装置76との間を移動可能に配設されてい
る。
【0240】また、図21に本発明のカメラシステムを
構成する駆動回路のブロック図を示す。これによれば、
調光セル83の光出射側に配されたCCD撮像素子88
の駆動回路部97を有し、CCD撮像素子88の出力信
号がY/C信号処理部89で処理され、輝度信号(Y信
号)として調光セル制御回路部90にフィードバックさ
れる。この制御回路部からの制御信号により駆動回路9
7の基本クロックと同期される。また調光セル83内の
参照電極86に対する作用電極84の電位差を電圧計9
2で検知し、その値が一定値に達するとリミッタ93に
より電源91に通電する電流値を関数発生器94により
制御し、調光セル83の透過率を制御する。
【0241】図22は、調光セル内の参照電極、対極及
び参照電極と外部回路との接続を示した概念図である。
【0242】すなわち、作用電極2a〜2e、3a〜3
eと対極17a,17bとに対して、外部電源51と電
流計52とを直列に接続させた。また、参照電極27
a,27bと作用電極2a〜2e、3a〜3eとの間に
電圧計53を、上記外部電源51とは並列に接続した。
さらに、電圧計53(Vw)で測定された電位差によっ
て定電流電源51で流す電流が制御されるように、電圧
計53と定電流電源51との間にリミッタ54を接続さ
せた。なおここでは、参照電極27a(27b)に対す
る対極17a(17b)の電位を測定するために、参照
電極27a(27b)と対極17a(17b)との間に
電圧計53(Vc)を配置してある。
【0243】ここで、参照電極27a,27bを基準と
して、作用電極2a〜2e、3a〜3eとの電位差を電
圧計92(53)で測定し、その電位差に基づき、リミ
ッタ93(54)により外部電源91(51)による通
電の制御を行った。
【0244】実施の形態例1の光学素子をカメラシステ
ムに組み込んだ場合、対極17a,17b及び参照電極
27a,27bは、バインダーにグラファイトと同重量
の銀粉末を分散/混合させた導電性粒子層38で構成さ
れているので、参照電極27a,27bの浸漬電位は銀
と同じになる。
【0245】カメラシステム作動時は、作用電極2a〜
2e、3a〜3eに銀(Ag)の電解析出及び作用電極
からの析出物質(Ag)の溶解を行い、入射光量を調整
するが、このときにリミッタ93(54)において、参
照電極27a,27bに対する作用電極2a〜2e、3
a〜3eの電位差がそれぞれ+1.2V以下に保たれる
ように、外部電源91(51)による通電を制御した。
【0246】これによって、カメラシステムを長時間動
作させても、作用電極2a〜2e、3a〜3eにおいて
銀の消え残りが発生せず、また、主に電解質の支持電解
質のアニオンであるヨウ素イオン(I- )の酸化反応に
起因すると考えられる電解液の変質(変色)を防止する
ことができて、光学素子の透明度が保たれ、信頼性の高
いカメラシステムが実現された。
【0247】また、実施の形態例2または実施の形態例
3の光学素子をカメラシステムに組み込んだ場合は、対
極17a,17b及び参照電極27a,27bは、電解
液に接触する面が銀よりイオン化傾向の小さい(標準電
極電位の高い)白金39で構成されているので、参照電
極27a,27bの浸漬電位は白金の浸漬電位となる。
【0248】この場合は、カメラシステム作動時に、リ
ミッタ93(54)において、参照電極27a,27b
に対する作用電極2a〜2e、3a〜3eの電位差がそ
れぞれ+0.8V以下に保たれるように、外部電源91
(51)による通電を制御した。
【0249】これによって、やはりカメラシステムを長
時間動作させても、作用電極2a〜2e、3a〜3eに
おいて銀の消え残りが発生せず、また、主に電解質の支
持電解質のアニオンであるヨウ素イオン(I- )の酸化
反応に起因すると考えられる電解液の変質(変色)を防
止することができて、光学素子の透明度が保たれ、信頼
性の高いカメラシステムが実現された。
【0250】上記のことは同様に、参照電極27a,2
7bを、前記の白金の代わりに、パラジウム、金で構成
した光学素子でも、同様に、参照電極27a,27bの
浸漬電位はパラジウム、金の浸漬電位となるので、カメ
ラシステム作動時に、参照電極27a,27bに対する
作用電極2a〜2e、3a〜3eの電位差を、リミッタ
93(54)において、それぞれ+1.0V、+0.4
V以下に保たれるように、外部電源91(51)による
通電を制御することによって、長時間の動作であって
も、作用電極2a〜2e、3a〜3eにおいて銀の消え
残りが発生せず、また主に電解質の支持電解質のアニオ
ンであるヨウ素イオン(I- )の酸化反応に起因すると
考えられる電解液の変質(変色)が防止され、光学素子
の透明度が保たれた、信頼性の高いカメラシステムが実
現された。
【0251】さらに、参照電極27a,27bが、白
金、パラジウム、金の上に銀を電解析出させた構成した
光学素子においては、参照電極27a,27bの浸漬電
位は銀のそれとなるので、実施の形態例1の光学素子を
カメラシステムに組み込んだ場合同様に、カメラシステ
ム動作時に、参照電極27a,27bに対する作用電極
2a〜2e、3a〜3eの電位差を、リミッタ93(5
4)において、それぞれ+1.2V以下に保たれるよう
に、外部電源91(51)による通電を制御することに
よって、長時間の動作であっても、作用電極2a〜2
e、3a〜3eにおいて銀の消え残りが発生せず、また
主に電解質の支持電解質のアニオンであるヨウ素イオン
(I- )の酸化反応に起因すると考えられる電解液の
変質(変色)防止され、光学素子の透明度が保たれた、
信頼性の高いカメラシステムが実現された。
【0252】この実施の形態例によると、2群レンズ7
2と3群レンズ73との間にセットされた本発明に基づ
く光学装置76は、既述したように電界の印加によって
光量を調節できるので、これまでの機械的な光量絞り機
能とは根本的に違って、絞りを駆動される機械構成を必
要としないため、システムが小型化でき、実質的に光路
の有効範囲の大きさまで小型化することが可能になる。
したがって、CCDカメラの小型化を達成することが可
能となる。また、パターン化された電極への印加電圧の
大きさによって光量を適正に制御できるので、従来のよ
うな回折現象を防止でき、撮像素子へ十分な光量を入射
させることができ、像のぼやけをなくせる。
【0253】なお、このカメラシステムにおいては、別
のシステムにおいても、調光セル83の出射光をフォト
ディゥタ(またはフォトマル)で受け、ここから出射光
の輝度情報を制御回路部95へフィードバックし、調光
セル回路部(図示せず)のクロックと同期して、関数発
生器から波形制御された駆動パルスを得ることができ
る。
【0254】以上、本発明を好ましい実施の形態に従い
説明したが、上述の実施の形態は、本発明の技術的思想
に基づき種々に変形が可能である。
【0255】たとえば、好ましい実施例として銀塩溶液
を用いた例を挙げて示して来たが、作用電極にて電解析
出及び溶解できる性質の金属を溶存する電解液中であれ
ば、作用電極での電析金属の消え残りの抑制、また各電
極での引き出し電極部におけるブラックレジストや電解
液との副反応の抑制という本発明の効果は、いずれも基
本的に同様である。具体的には、亜鉛、カドミウム、
鉛、銅、鉄、ニッケル、錫、インジウム、白金、パラジ
ウム、水銀、クロム、タングステン、モリブデン、セシ
ウム、リチウムなどの電着可能な金属を溶存する電解液
系において実施することができる。
【0256】また、上述した各電極に関して、図15に
示した電極パターンは、同心円状に限らず、ストライプ
状、格子状等種々に変更が可能である。また、各分割電
極毎に異なるセルを設けることもでき、各電極の配置も
セル内部で自由に変更可能である。
【0257】また、本発明の光学素子は、公知のほかの
フィルター材(たとえば、有機系のエレクトロクロミッ
ク材、液晶、エレクトロルミネッセンス材等)と組み合
わせて用いることも可能である。
【0258】さらに、本発明の光学素子は、CCDの光
学絞りをはじめ、各種光学系、たとえば、電子写真複写
機の光通信機器等の光量調節用としても広く適用が可能
である。さらに、本発明の光学素子を適用した光学装置
は、光学フィルター以外に、キャラクターやイメージを
表示する各種の画像表示素子に適用することができる。
【0259】本発明の撮像装置は、CCDの光学絞り等
として上記本発明の光学素子を用いることにより、該光
学素子の利点を発揮した撮像装置として有効に具体化で
きる。
【0260】
【発明の効果】本発明は、金属の析出/溶解反応を利用
した電気化学的光学素子において、透明電極表面上に予
め二酸化珪素などの絶縁物からなる絶縁膜を設けること
によって、遮光材料用ブラックレジスト等の存在による
問題点が解決された素子が提供され、また、フォトレジ
ストや、遮光材料用ブラックレジスト等の残渣による電
析金属の消え残りを生じることなく、光学特性を維持で
きる光学素子を製造できる製造方法を提供できた。
【0261】また、透明電極の引き出し電極を絶縁膜で
覆っているので、大きな電圧が印加されたときでも、電
解液との間でブラックレジストの反応を起こすことな
く、安定した駆動を可能ならしめ、素子の長寿命化を実
現した光学素子を提供することが可能となった。
【0262】さらに、本発明によれば、安定した駆動を
可能ならしめ、装置の長寿命化をも実現した撮像装置を
提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による光学素子(光学フ
ィルター等)の要部構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(1)。
【図3】本発明の第1の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(2)。
【図4】本発明の第1の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(3)。
【図5】本発明の第1の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(4)。
【図6】比較例1による作用電極、対極及び参照電極を
製造する工程を順次示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(1)。
【図8】本発明の第2の実施の形態における作用電極、
対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図であ
る(2)。
【図9】比較例2による作用電極、対極及び参照電極を
製造する工程を順次示す断面図である。
【図10】比較例2による作用電極、対極及び参照電極
を製造する工程を順次示す断面図である。
【図11】実施の形態例の全体構成の概略を示す断面図
である。
【図12】従来の電気化学的調光素子の構成及び動作原
理を示す断面図である。
【図13】図12に示した素子の外観斜視図である。
【図14】従来の別の電気化学的調光素子の構成を示す
断面図である。
【図15】図14に示した素子の概略平面図である。
【図16】従来技術の問題点を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態における作用電
極、対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図
である(1)。
【図18】本発明の第3の実施の形態における作用電
極、対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図
である(2)。
【図19】本発明の第3の実施の形態における作用電
極、対極及び参照電極を製造する工程を順次示す断面図
である(3)。
【図20】本発明の第4の実施の形態における撮像装置
の構成を示す図である。
【図21】本発明の第4の実施の形態における撮像装置
のシステム構成を示す図である。
【図22】本発明の第4の実施の形態における撮像装置
の調光セル内の参照電極、対極及び参照電極と外部回路
との接続を示した概念図である。
【符号の説明】
1,21,42・・・銀塩溶液、2a〜2e,3a〜3
e,2A,2B,22,23・・・作用電極(ITO電
極)、4,5,23,24,31・・・透明電極(ガラ
ス基板)、6,28・・・スペーサー、7a〜7b,1
7a,17b,17A,17B,27・・・対極、18
・・・第1層(白金)、19・・・第2層(クロム)、
20・・・ブラックレジスト、26・・・対極(スペー
サー)、32・・・クロム、33・・ITO、34・・
・レジスト、35・・・引き出し電極、36・・・絶縁
膜(二酸化珪素)、37・・・ブラックレジスト、38
・・・カーボンペースト、39・・・高融点金属(白
金)、40・・・被覆層を構成する絶縁膜膜とは別種の
層(アルミニウム)、70・・・CCDカメラ、71・
・・1群レンズ、72・・・2群レンズ、73・・・3
群レンズ、74・・・4群レンズ、75・・・CCDパ
ッケージ、75a・・・赤外線カットフィルター、75
b・・・液晶光学ローパスフィルター系、75c・・・
CCD撮像素子、76・・・光学装置(光量絞り)、7
7・・・リニアモータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H079 AA02 AA13 BA01 CA18 DA06 EB17 2H080 AA03 5C022 AB12 AC42 AC78

Claims (109)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作用電極をなす透明電極と、対極とを少
    なくとも備え、作用電極と対極との間に配された電解液
    を有し、この電解液への印加電界の制御によって電気化
    学的に調光を行う光学素子において、 少なくともいずれかの電極の引き出し電極上に絶縁膜を
    形成したことを特徴とする電気光学素子。
  2. 【請求項2】 前記絶縁膜が少なくとも1種のシリコン
    化合物、金属化合物または有機高分子化合物からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  3. 【請求項3】 前記シリコン化合物が、下記シリコン化
    合物のいずれか少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項2に記載の電気光学素子。シリコン化合物:Si
    2 ,SiO,SixOyNz,Si34 ,SixN
    yHz,CuSiO,PSG(リンガラス),BSG
    (ホウ素ガラス),AsSG(砒素ガラス),AlSG
    (アルミニウムガラス),PbSG(鉛ガラス)
  4. 【請求項4】 前記金属化合物が、金属酸化物、金属窒
    化物、金属珪素化物、金属炭化物またはガラスのいずれ
    か少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記
    載の電気光学素子。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物が、下記金属酸化物のい
    ずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項4
    に記載の電気光学素子。金属酸化物:TiO2 ,Ta2
    5 ,ZrO2 ,Al23 ,GaAs酸化物,HfO
    2 ,Nb25 ,GeO2 ,AgO2 ,CrO3 ,Cr
    23 ,CuO,FeO,Fe23 ,MoO3 ,Pb
    O,WO3
  6. 【請求項6】 前記金属窒化物が、Ge34 であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の電気光学素子。
  7. 【請求項7】 前記金属珪素化物が、下記金属珪素化物
    のいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項4に記載の電気光学素子。 金属珪素化物:CuSi,CoSi,CrSi,NiS
  8. 【請求項8】 前記金属炭化物がWCであることを特徴
    とする請求項4に記載の電気光学素子。
  9. 【請求項9】 前記有機高分子化合物が、ポリイミド、
    ポリアミド、ノボラック系樹脂のいずれか少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項2に記載の電気光学素
    子。
  10. 【請求項10】 前記絶縁膜上に、金属もしくは合金ま
    たは半導体から選ばれた少なくとも1種の層を形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  11. 【請求項11】 前記金属が、周期律表の4A族、5A
    族、6A族、7A族、8A族、1B族、2B族、3B
    族、4B族、5B族、6B族の金属から選ばれたいずれ
    か少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に
    記載の電気光学素子。
  12. 【請求項12】 前記金属が、下記金属から選ばれたい
    ずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項1
    0に記載の電気光学素子。 金属:Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,
    Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Cu,Ag,Au,Z
    n,Al,In,Sn,Pb
  13. 【請求項13】 前記合金が、Ni−Cr合金,または
    Nb−Sn合金であることを特徴とする請求項10に記
    載の電気光学素子。
  14. 【請求項14】 前記半導体が、下記半導体から選ばれ
    たいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項10に記載の電気光学素子。 半導体:Si,Ge,GaAs,GaP,AlN,B
    N,BP,AlSb,GaN,GaSb,InAs,I
    nP,InSb,BeO,CdO,CdS,CdSe,
    CdTe,CdTe−HgTe,HgSe,HgTe,
    ZnO,ZnTe,Ag2 Se,Ag2 Te,Bi2
    3 ,Hg1 - xCdxTe,ITO(酸化インジウム
    に錫をドープした化合物),In2 Te3 ,In2 Te
    3 - xSbx,PbS,PbSe,PbTe,Pb1 -
    xSnxSe,Pb1 - xSnxTe,SnO2(0≦
    x≦1)
  15. 【請求項15】 前記作用電極をなす透明電極の受光部
    以外の部分と対極以外の部分に遮光材料を形成するとと
    もに、該遮光材料と前記引き出し電極との間には前記絶
    縁膜を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の電
    気光学素子。
  16. 【請求項16】 前記遮光材料が感光性組成物であるこ
    とを特徴とする請求項15に記載の電気光学素子。
  17. 【請求項17】 前記遮光材料がブラックレジストであ
    ることを特徴とする請求項15に記載の電気光学素子。
  18. 【請求項18】 前記電解液が銀塩系電解液であること
    を特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  19. 【請求項19】 前記対極が、少なくとも1種の導電性
    粒子を含む層を有することを特徴とする請求項1に記載
    の電気光学素子。
  20. 【請求項20】 前記対極が、該対極の前記電解液に接
    触する表面を、前記作用電極において析出または溶解さ
    せる金属よりもイオン化傾向が小さい材料で形成したこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  21. 【請求項21】 前記対極が、該対極の前記電解液に接
    触する表面を、銀よりもイオン化傾向が小さい金属で形
    成したことを特徴とする請求項18に記載の電気光学素
    子。
  22. 【請求項22】 前記対極が、前記作用電極において析
    出または溶解させる金属よりもイオン化傾向が小さい材
    料の表面上にあらかじめ前記金属を析出させたものであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の電気光学素子。
  23. 【請求項23】 前記対極が、銀よりもイオン化傾向が
    小さい材料の表面上にあらかじめ銀を析出させたもので
    あることを特徴とする請求項18に記載の電気光学素
    子。
  24. 【請求項24】 前記作用電極及び前記対極とは異なる
    第3の電極を具備することを特徴とする請求項1に記載
    の電気光学素子。
  25. 【請求項25】 前記第3の電極と、前記作用電極及び
    /または前記対極と電気的に接続する外部回路を具備す
    ることを特徴とする請求項24に記載の電気光学素子。
  26. 【請求項26】 前記第3の電極が単一層、または少な
    くとも2層の積層構造からなることを特徴とする請求項
    24に記載の電気光学素子。
  27. 【請求項27】 前記単一層、または前記積層構造のう
    ち前記電解質側に存在する第1層が、前記電解質に溶存
    している金属またはその金属よりもイオン化傾向が小さ
    い金属を含み、前記第1層が覆う第2層が前記第1層と
    は異なる金属またはその酸化物からなっていることを特
    徴とする請求項26に記載の電気光学素子。
  28. 【請求項28】 前記電解質が銀塩溶液であることを特
    徴とする請求項27に記載の電気光学素子。
  29. 【請求項29】 前記第3の電極の前記単一層、または
    前記積層構造のうち前記電解質側に存在する第1層が、
    パラジウム、白金及び金からなる群より選ばれた少なく
    とも1種によって形成されていることを特徴とする請求
    項26に記載の電気光学素子。
  30. 【請求項30】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、チタ
    ン、クロム及びタングステンからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の金属によって形成されていることを特徴
    とする請求項26に記載の電気光学素子。
  31. 【請求項31】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、酸化イ
    ンジウムに錫をドープしたインジウム−錫酸化物、また
    は酸化錫によって形成されていることを特徴とする請求
    項26に記載の電気光学素子。
  32. 【請求項32】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、基体に
    対する前記第1層の接着層として設けられていることを
    特徴とする請求項26に記載の電気光学素子。
  33. 【請求項33】 前記第3の電極が、前記単一層または
    前記積層構造のうち前記電解質側に存在する第1層の上
    に、これらの層とは異なる金属からなる第3層を有して
    いることを特徴とする請求項26に記載の電気光学素
    子。
  34. 【請求項34】 前記第3層が、銀からなることを特徴
    とする請求項33に記載の電気光学素子。
  35. 【請求項35】 前記第3層が、銀粒子を含む導電性粒
    子層からなることを特徴とする請求項33に記載の電気
    光学素子。
  36. 【請求項36】 前記第3層が、炭素質材料を含むこと
    を特徴とする請求項33に記載の電気光学素子。
  37. 【請求項37】 前記第3層がバインダーを含むことを
    特徴とする請求項33に記載の電気光学素子。
  38. 【請求項38】 前記単一層、または前記積層構造のう
    ち前記電解質側に存在する第1層及び前記第1層が覆う
    第2層が、気相成膜法またはメッキ法によって形成され
    たものであることを特徴とする請求項26に記載の電気
    光学素子。
  39. 【請求項39】 前記第3層が、気相成膜法またはメッ
    キ法によって形成されたものであることを特徴とする請
    求項33に記載の電気光学素子。
  40. 【請求項40】 前記第3の電極の端縁部に実質的に角
    が存在しないことを特徴とする請求項24に記載の電気
    光学素子。
  41. 【請求項41】 前記作用電極、前記対極及び前記第3
    の電極の各周縁部または周辺部が遮光層で覆われ、前記
    作用電極及び前記対極の各主表面が前記遮光層の表面よ
    りも基板側に存在していることを特徴とする請求項24
    に記載の電気光学素子。
  42. 【請求項42】 前記遮光層がブラックレジストからな
    っていることを特徴とする請求項41に記載の電気光学
    素子。
  43. 【請求項43】 互いに対向して配された1対の透明ま
    たは半透明の基板と、これら1対の透明または半透明の
    基板の対向面にそれぞれ設けられて互いに対向するよう
    に配された少なくとも1対の透明または半透明の前記作
    用電極と、前記1対の作用電極に接して配された銀塩か
    らなる前記電解液と、前記電解液に接して配され、かつ
    前記作用電極の周囲に設けられた前記対極と前記第3の
    電極を具備することを特徴とする請求項24に記載の電
    気光学素子。
  44. 【請求項44】 前記外部回路が、前記第3の電極に対
    する前記作用電極及び/又は前記対極の電位差を計測す
    る計測手段を具備することを特徴とする請求項25に記
    載の電気光学素子。
  45. 【請求項45】 前記外部回路が、前記第3の電極に対
    する前記作用電極及び/又は前記対極の電位差が所定範
    囲に保たれるように前記外部電源を制御する制御手段を
    設けたことを特徴とする請求項25に記載の電気光学素
    子。
  46. 【請求項46】 作用電極をなす透明電極と、対極とを
    少なくとも備え、作用電極と対極との間に配された電解
    液を有し、この電解液への印加電界の制御によって電気
    化学的に調光を行う光学素子の製造方法において、少な
    くともいずれかのレジスト工程に先立ち、少なくとも作
    用電極をなす透明電極を含む部分を絶縁膜で覆うことを
    特徴とする電気光学素子の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記絶縁膜で、前記作用電極をなす透
    明電極を含む全面を覆うことを特徴とする請求項46に
    記載の電気光学素子の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記絶縁膜を、気相成膜法により形成
    することを特徴とする請求項46に記載の電気光学素子
    の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記絶縁膜を、塗布または印刷により
    形成することを特徴とする請求項46に記載の電気光学
    素子の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記絶縁膜上に、金属、合金、金属化
    合物、半導体または該絶縁膜とは異なる絶縁物からなる
    層を形成することを特徴とする請求項46に記載の電気
    光学素子の製造方法。
  51. 【請求項51】 前記層を、気相成膜法により形成する
    ことを特徴とする請求項50に記載の電気光学素子の製
    造方法。
  52. 【請求項52】 前記層を、塗布または印刷により形成
    することを特徴とする請求項50に記載の電気光学素子
    の製造方法。
  53. 【請求項53】 前記層を、めっき法により形成するこ
    とを特徴とする請求項50に記載の電気光学素子の製造
    方法。
  54. 【請求項54】 前記光学素子が前記作用電極及び前記
    対極とは異なる第3の電極である参照電極を具備するも
    のであることを特徴とする請求項46に記載の電気光学
    素子の製造方法。
  55. 【請求項55】 前記絶縁膜上に、金属、合金、金属化
    合物、半導体または該絶縁膜とは異なる絶縁物からなる
    層を形成することを特徴とする請求項54に記載の電気
    光学素子の製造方法。
  56. 【請求項56】 前記対極の形成工程が、 レジストを塗布し、 マスクを用いた露光・現像によって前記対極の部分のレ
    ジストを除去したパターニングを施し、 前記対極の部分の前記絶縁膜をエッチングし、 気相成膜法により高融点金属を被着させ、 リフトオフ工程により、前記対極の部分のみに該金属を
    残すことを特徴とする請求項46に記載の電気光学素子
    の製造方法。
  57. 【請求項57】 前記対極の形成工程が、 レジストを塗布し、 マスクを用いた露光・現像によって前記対極の部分のレ
    ジストを除去したパターニングを施し、 前記対極の部分の前記絶縁膜及び該絶縁膜上に形成した
    層をエッチングし、 気相成膜法により高融点金属を被着させ、 リフトオフ工程により、前記対極の部分のみに金属を残
    すことを特徴とする請求項46に記載の電気光学素子の
    製造方法。
  58. 【請求項58】 前記対極及び前記参照電極の形成工程
    が、 レジストを塗布し、 マスクを用いた露光・現像によって前記対極及び参照電
    極の部分のレジストを除去したパターニングを施し、 前記対極及び参照電極の部分の前記絶縁膜をエッチング
    し、 気相成膜法により高融点金属を被着させ、 リフトオフ工程により、前記対極及び参照電極の部分の
    みに金属を残すことを特徴とする請求項54に記載の電
    気光学素子の製造方法。
  59. 【請求項59】 前記対極及び前記参照電極の形成工程
    が、 レジストを塗布し、 マスクを用いた露光・現像によって前記対極及び参照電
    極の部分のレジストを除去したパターニングを施し、 前記対極及び参照電極の部分の前記絶縁膜及び該絶縁膜
    上に形成した層をエッチングし、 気相成膜法により高融点金属を被着させ、 リフトオフ工程により、前記対極及び参照電極の部分の
    みに金属を残すことを特徴とする請求項54に記載の電
    気光学素子の製造方法。
  60. 【請求項60】 前記対極の形成後に、 前記絶縁膜上に形成した層をエッチングにより除去する
    ことを特徴とする請求項50に記載の電気光学素子の製
    造方法。
  61. 【請求項61】 前記対極及び参照電極の形成後に、 前記絶縁膜上に形成した層をエッチングにより除去する
    ことを特徴とする請求項55に記載の電気光学素子の製
    造方法。
  62. 【請求項62】 前記作用電極をなす透明電極の受光部
    以外の部分と対極以外の部分に遮光材料を形成すること
    を特徴とする請求項46に記載の電気光学素子の製造方
    法。
  63. 【請求項63】 前記遮光材料としてブラックレジスト
    を塗布することを特徴とする請求項62に記載の電気光
    学素子の製造方法。
  64. 【請求項64】 少なくともいずれかの電極の引き出し
    電極上に絶縁膜を形成した電気光学素子が光路中に光量
    調整用として設けられていることを特徴とする撮像装
    置。
  65. 【請求項65】 前記絶縁膜が少なくとも1種のシリコ
    ン化合物、金属化合物または有機高分子化合物からなる
    ことを特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  66. 【請求項66】 前記シリコン化合物が、下記シリコン
    化合物のいずれか少なくとも1種であることを特徴とす
    る請求項65に記載の撮像装置。 シリコン化合物:SiO2 ,SiO,SixOyNz,
    Si34 ,SixNyHz,CuSiO,PSG(リ
    ンガラス),BSG(ホウ素ガラス),AsSG(砒素
    ガラス),AlSG(アルミニウムガラス),PbSG
    (鉛ガラス)
  67. 【請求項67】 前記金属化合物が、金属酸化物、金属
    窒化物、金属珪素化物、金属炭化物またはガラスのいず
    れか少なくとも1種であることを特徴とする請求項65
    に記載の撮像装置。
  68. 【請求項68】 前記金属酸化物が、下記金属酸化物の
    いずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項
    67に記載の撮像装置。 金属酸化物:TiO2 ,Ta25 ,ZrO2 ,Al2
    3 ,GaAs酸化物,HfO2 ,Nb25 ,GeO
    2 ,AgO2 ,CrO3 ,Cr23 ,CuO,Fe
    O,Fe23 ,MoO3 ,PbO,WO3
  69. 【請求項69】 前記金属窒化物が、Ge34 である
    ことを特徴とする請求項67に記載の撮像装置。
  70. 【請求項70】 前記金属珪素化物が、下記金属珪素化
    物のいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項67に記載の撮像装置。 金属珪素化物:CuSi,CoSi,CrSi,NiS
  71. 【請求項71】 前記金属炭化物がWCであることを特
    徴とする請求項67に記載の撮像装置。
  72. 【請求項72】 前記有機高分子化合物が、ポリイミ
    ド、ポリアミド、ノボラック系樹脂のいずれか少なくと
    も1種であることを特徴とする請求項65に記載の撮像
    装置。
  73. 【請求項73】 前記絶縁膜上に、金属もしくは合金ま
    たは半導体から選ばれた少なくとも1種の層を形成した
    ことを特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  74. 【請求項74】 前記金属が、周期律表の4A族、5A
    族、6A族、7A族、8A族、1B族、2B族、3B
    族、4B族、5B族、6B族の金属から選ばれたいずれ
    か少なくとも1種であることを特徴とする請求項73に
    記載の撮像装置。
  75. 【請求項75】 前記金属が、下記金属から選ばれたい
    ずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項7
    3に記載の撮像装置。 金属:Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,
    Mn,Fe,Co,Ni,Pd,Cu,Ag,Au,Z
    n,Al,In,Sn,Pb
  76. 【請求項76】 前記合金が、Ni−Cr合金,または
    Nb−Sn合金であることを特徴とする請求項73に記
    載の撮像装置。
  77. 【請求項77】 前記半導体が、下記半導体から選ばれ
    たいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項73に記載の撮像装置。 半導体:GaAs,GaP,AlN,BN,BP,Al
    Sb,GaN,GaSb,InAs,InP,InS
    b,BeO,CdO,CdS,CdSe,CdTe,C
    dTe−HgTe,HgSe,HgTe,ZnO,Zn
    Te,Ag2 Se,Ag2 Te,Bi2 Se3 ,Hg1
    - xCdxTe,ITO(酸化インジウムに錫をドープ
    した化合物),In2 Te3 ,In2 Te3 - xSb
    x,PbS,PbSe,PbTe,Pb1 - xSnxS
    e,Pb1 - xSnxTe,SnO 2
  78. 【請求項78】 前記絶縁膜上に、前記絶縁膜とは異な
    る別の絶縁膜からなる少なくとも1層を形成したことを
    特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  79. 【請求項79】 前記作用電極をなす透明電極の受光部
    以外の部分と前記対極以外の部分に遮光材料を形成する
    とともに、該遮光材料と前記引き出し電極との間には前
    記絶縁膜を介在させたことを特徴とする請求項64に記
    載の撮像装置。
  80. 【請求項80】 前記遮光材料が感光性組成物であるこ
    とを特徴とする請求項79に記載の撮像装置。
  81. 【請求項81】 前記遮光材料がブラックレジストであ
    ることを特徴とする請求項79に記載の撮像装置。
  82. 【請求項82】 前記電解液が銀塩系電解液であること
    を特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  83. 【請求項83】 前記対極が、少なくとも1種の導電性
    粒子を含む層を有することを特徴とする請求項64に記
    載の撮像装置。
  84. 【請求項84】 前記対極が、前記電解液に接触する表
    面を、前記作用電極において析出または溶解させる金属
    よりもイオン化傾向が小さい材料により形成したことを
    特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  85. 【請求項85】 前記対極が、前記電解液に接触する表
    面を銀よりもイオン化傾向が小さい材料で形成したこと
    を特徴とする請求項82に記載の撮像装置。
  86. 【請求項86】 前記対極が、前記作用電極において析
    出または溶解させる金属よりもイオン化傾向が小さい材
    料の表面上にあらかじめ前記金属を析出させたものであ
    ることを特徴とする請求項64に記載の撮像装置。
  87. 【請求項87】 前記対極が、銀よりもイオン化傾向が
    小さい材料の表面上にあらかじめ銀を析出させたもので
    あることを特徴とする請求項82に記載の撮像装置。
  88. 【請求項88】 前記作用電極及び前記対極とは異なる
    第3の電極である参照電極を具備することを特徴とする
    請求項64に記載の撮像装置。
  89. 【請求項89】 前記第3の電極と、前記作用電極及び
    /又は前記対極と電気的に接続する外部回路を具備する
    ことを特徴とする請求項88に記載の撮像装置。
  90. 【請求項90】 前記第3の電極が単一層、または少な
    くとも2層の積層構造からなることを特徴とする請求項
    88に記載の撮像装置。
  91. 【請求項91】 前記単一層、または前記積層構造のう
    ち前記電解質側に存在する第1層が、前記電解質に溶存
    している金属またはその金属よりもイオン化傾向が小さ
    い金属を含み、前記第1層が覆う第2層が前記第1層と
    は異なる金属またはその酸化物からなっていることを特
    徴とする請求項90に記載の撮像装置。
  92. 【請求項92】 前記電解質が銀塩溶液であることを特
    徴とする請求項90に記載の撮像装置。
  93. 【請求項93】 前記第3の電極の前記単一層、または
    前記積層構造のうち前記電解質側に存在する第1層が、
    パラジウム、白金及び金からなる群より選ばれた少なく
    とも1種によって形成されていることを特徴とする請求
    項90に記載の撮像装置。
  94. 【請求項94】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、チタ
    ン、クロム及びタングステンからなる群より選ばれた少
    なくとも1種の金属によって形成されていることを特徴
    とする請求項90に記載の撮像装置。
  95. 【請求項95】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、酸化イ
    ンジウムに錫をドープしたインジウム−錫酸化物、また
    は酸化錫によって形成されていることを特徴とする請求
    項90に記載の撮像装置。
  96. 【請求項96】 前記第3の電極の前記積層構造のうち
    前記電解質側に存在する第1層が覆う第2層が、基体に
    対する前記第1層の接着層として設けられていることを
    特徴とする請求項90に記載の撮像装置。
  97. 【請求項97】 前記第3の電極が、前記単一層または
    前記積層構造のうち前記電解質側に存在する第1層の上
    に、これらの層とは異なる金属からなる第3層を有して
    いることを特徴とする請求項90に記載の撮像装置。
  98. 【請求項98】 前記第3層が、銀からなることを特徴
    とする請求項97に記載の撮像装置。
  99. 【請求項99】 前記第3層が、銀粒子を含む導電性粒
    子層からなることを特徴とする請求項97に記載の撮像
    装置。
  100. 【請求項100】 前記第3層が、炭素質材料を含むこ
    とを特徴とする請求項97に記載の撮像装置。
  101. 【請求項101】 前記第3層がバインダーを含むこと
    を特徴とする請求項97に記載の撮像装置。
  102. 【請求項102】 前記単一層、または前記積層構造の
    うち前記電解質側に存在する第1層及び前記第1層が覆
    う第2層が、気相成膜法またはメッキ法によって形成さ
    れたものであることを特徴とする請求項90に記載の撮
    像装置。
  103. 【請求項103】 前記第3層が、気相成膜法またはメ
    ッキ法によって形成されたものであることを特徴とする
    請求項97に記載の撮像装置。
  104. 【請求項104】 前記第3の電極の端縁部に実質的に
    角が存在しないことを特徴とする請求項88に記載の撮
    像装置。
  105. 【請求項105】 前記作用電極、前記対極及び前記第
    3の電極の各周縁部または周辺部が遮光層で覆われ、前
    記作用電極及び前記対極の各主表面が前記遮光層の表面
    よりも基板側に存在していることを特徴とする請求項8
    8に記載の撮像装置。
  106. 【請求項106】 前記遮光層がブラックレジストから
    なっていることを特徴とする請求項105に記載の撮像
    装置。
  107. 【請求項107】 互いに対向して配された1対の透明
    または半透明の基板と、これら1対の透明または半透明
    の基板の対向面にそれぞれ設けられて互いに対向するよ
    うに配された少なくとも1対の透明または半透明の前記
    作用電極と、前記1対の作用電極に接して配された銀塩
    からなる前記電解液と、前記電解液に接して配され、か
    つ前記作用電極の周囲に設けられた前記対極と前記第3
    の電極を具備することを特徴とする請求項88に記載の
    撮像装置。
  108. 【請求項108】 前記外部回路が、前記第3の電極に
    対する前記作用電極及び/又は前記対極の電位差を計測
    する計測手段を具備することを特徴とする請求項89に
    記載の撮像装置。
  109. 【請求項109】 前記外部回路が、前記第3の電極に
    対する前記作用電極及び/又は前記対極の電位差が所定
    範囲に保たれるように前記外部電源を制御する制御手段
    を設けたことを特徴とする請求項89に記載の撮像装
    置。
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