JP2001051246A - ファラデー回転子とそれを使用した磁気光学素子 - Google Patents

ファラデー回転子とそれを使用した磁気光学素子

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JP2001051246A
JP2001051246A JP2000154306A JP2000154306A JP2001051246A JP 2001051246 A JP2001051246 A JP 2001051246A JP 2000154306 A JP2000154306 A JP 2000154306A JP 2000154306 A JP2000154306 A JP 2000154306A JP 2001051246 A JP2001051246 A JP 2001051246A
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Satoru Fukuda
悟 福田
Masayuki Tanno
雅行 丹野
Toshiaki Watanabe
聡明 渡邊
Toshihiko Ryuo
俊彦 流王
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ファラデー回転角の温度依存性が小さいファラ
デー回転子、それを効率良く生産する方法、それを使用
し、温度変化に対して性能特性の変化が少ない磁気光学
素子、光アイソレータを安価に提供する。 【解決手段】ファラデー回転子は、組成式 【化7】 (式中、LnはTb以外の希土類元素から選択される元
素、M1はCa、Mg、Srから選択される元素、M2
はAl、Ti、Si、Geから選択される元素、0≦a
≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.02、0≦d≦
0.1)で示され、格子定数が12.470±0.01
3Åであるガーネット結晶からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ファラデー回転子
とその製造方法、およびそのファラデー回転子を使用し
た磁気光学素子、磁気光学素子の一種である光アイソレ
ータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信システムを構成する光回路には、
例えば光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッ
チ、磁界センサ、光アッテネータといった各種の磁気光
学素子が使用されている。かかる磁気光学素子は、構成
光学部品としてファラデー回転子を有し、設置環境の温
度により動作性能に変化を来す。そのため、温度変化の
激しい使用環境では温度調節器が付設されるが、ファラ
デー回転子のファラデー回転角の温度依存性が小さけれ
ば、温度調節器は不要となる。
【0003】ファラデー回転子の温度依存性の改善につ
いては、例えばテルビウム・ビスマス・ガリウム鉄ガー
ネット結晶が特許第2679157号公報に記載されて
いる。この結晶体はフラックス法で育成されているもの
であるため、再現性や生産性が悪く、加工がしにくいと
いう欠点がある。
【0004】一方、液相エピタキシャル法によりガーネ
ットエピタキシャル膜を製造することがおこなわれてい
るが、通常入手できるガーネット結晶は、Ca、Mg、
ZrでGdGa12を置換した結晶(信越化学工
業(株)製NOG基板、格子定数12.496±0.00
3Å)やSmGa12(SGG基板、格子定数1
2.439Å)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術に鑑み、ファラデー回転角の温度依存性が小さいフ
ァラデー回転子、それを効率良く生産する方法、それを
使用し、温度変化に対して性能特性の変化が少ない磁気
光学素子、光アイソレータを安価に提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者は、ファラデー回
転子の温度変動にともなうファラデー回転角の変動につ
いて鋭意究明した結果、ファラデー回転角の温度依存性
がファラデー回転子を構成するガーネット結晶構造の2
4cの位置に占めるイオンの化学種に影響されることを
見出し、前記の目的を達成するための本発明を完成し
た。本発明を適用する第一発明のファラデー回転子は、
組成式
【0007】
【化5】
【0008】(I式中、LnはTb以外の希土類元素か
ら選択される元素、M1はCa、Mg、Srから選択さ
れる元素、M2はAl、Ti、Si、Geから選択され
る元素、0≦a≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.
02、0≦d≦0.1)で示され、格子定数が12.4
70±0.013Åであるガーネット結晶からなる。
【0009】上記したLnのなかでも、例えばLa、P
r、Nd、Gd、Dy、Ho、Yb、Lu、Tmが好ま
しい。これらの元素はそれぞれ異なるイオン半径を持
ち、0≦a≦0.5の範囲内で適量を入れることで、結
晶の格子定数が所望範囲である12.470±0.01
3Åを得ることができる。Biの割合bは、0.2を越
えると結晶体の格子定数が所望範囲の12.470±
0.013Åより大きくなってしまう。M1で示される
Ca、Mg、Srは、光吸収を防止して光透過率を高め
る作用があり、割合cは0.02以下という微量で足り
る。M2で示されるAl、Ti、Si、Geは、ガーネ
ット結晶のFe置換しているものである。Alは格子定
数と飽和磁束密度とにかかわる。Ti、Si、Geは共
存する鉄イオンが2価に変わっている場合にCa、Mg
やSrと同様に光吸収を防止する作用を果たす。これら
の割合dが0.1を越えると格子定数が所望範囲から外
れ、飽和磁束密度は1000ガウスを越えるようになっ
て好ましくない。
【0010】I式で示されるガーネット結晶の具体例
は、Tb2.48Bi0.52Fe 12の組成式で示
される結晶が好ましい。
【0011】同じく本発明を適用する第二発明のファラ
デー回転子の製造方法は、格子定数が12.472±
0.013Åの置換または非置換ガドリニウム・ガリウ
ム・ガーネット結晶基板上に、I式で示され、格子定数
が12.470±0.013Åであるガーネット結晶を
液相エピタキシャル法により成長させることを特徴とす
る。
【0012】このファラデー回転子の製造方法は、具体
的には例えばTb、Bi 、Feなど
のガーネット成分と、BとPbOなどのフラック
ス成分とを混合して白金るつぼ内にて溶融し、その溶融
物を一定の温度に保ちながら、常磁性体ガーネット結晶
基板を浸せきし、基板を回転して結晶成長させる液相エ
ピタキシャル法である。常磁性体ガーネット基板の格子
定数は12.472±0.013Åで、例えばガドリニ
ウム・ガリウム・ガーネットにCa、Zrを添加して置
換した結晶基板が使用できる。
【0013】同じく本発明の第三発明のファラデー回転
子は、組成式
【化6】
【0014】(式中、LnはTb、Eu以外の希土類元
素から選択される元素、M1はCa、Mg、Srから選
択される元素、M2はAl、Ti、Si、Geから選択
される元素、0≦a≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦
0.02、0≦d≦0.1、0<e≦0.3)で示され、
格子定数が12.470±0.013Åであるガーネッ
ト結晶からなる。
【0015】この第三発明のファラデー回転子は、第一
発明のファラデー回転子のガーネット結晶中Tbの一部
をEuで置換したものである。これらのファラデー回転
子は、ファラデー回転角が温度に対して二次曲線状に変
化するのが、Euは二次曲線が頂点となる温度を調節す
る働きをする。eを0.3以下の範囲で選ぶことによ
り、ファラデー回転角の頂点温度を、所望の値(例えば
室温)に調節することができる。また、Euは、Ca、
Mg、Srと同様、光吸収を防止して光透過率を高める
作用がある。したがって、ファラデー回転角の頂点温度
調節のためにEuを入れている場合には、M1で示され
るCa、Mg、Srの割合cを減じることができる。
【0016】II式で示されるガーネット結晶の具体例
は、Tb2.42Eu0.06Bi0. 52Fe
12、Tb2.42Eu0.06Bi0.52Fe
4.95Al0.0 12組成式で示される結晶が好ま
しい。
【0017】同じく本発明の第四発明のファラデー回転
子の製造方法は、格子定数が12.472±0.013
Åの置換または非置換ガドリニウム・ガリウム・ガーネ
ット結晶基板上に、II式で示され、格子定数が12.4
70±0.013Åであるガーネット結晶を液相エピタ
キシャル法により成長させることを特徴とする。
【0018】このファラデー回転子の製造方法は、原料
としてEuを混入する以外は、前記したI式で示
されるガーネット結晶のファラデー回転子の製造方法と
同じである。
【0019】本発明を適用する第五発明の磁気光学素子
は、光アイソレータ、光サーキュレータ、光スイッチ、
磁界センサ、光アッテネータから選ばれる磁気光学素子
であって、構成部品に第一発明または第三発明のファラ
デー回転子を含むことを特徴としている。
【0020】同じく第六発明は、磁気光学素子のなかで
光アイソレータに関するもので、偏光面が90°回転し
て並べられた偏光子と検光子との中間に、第一発明また
は第三発明のファラデー回転子が配置されている。
【0021】同じく第七発明は、第六発明の光アイソレ
ータの好ましい形態であり、ファラデー回転子のファラ
デー回転角が36°〜44°であることを特徴としてい
る。
【0022】尚、これらの光アイソレータは、偏光子、
ファラデー回転子、検光子をこの順に並べ、ファラデー
回転子を囲んで磁性体が設けられたもので、一段式また
は多段式のものである。偏光子と検光子は同一の構成で
あり、例えばガラス偏光板や誘電金属積層膜偏光子など
が用いられる。またこれらの構成部材以外に、波長板な
どの光学部材が挿入されてもよい。
【0023】本発明のファラデー回転子を構成するガー
ネット結晶構造は、BiイオンやTbイオンそして、E
uイオンがその24cの位置に導入されている。これに
より温度変動にともなうファラデー回転角が温度に対し
て2次曲線状に変化し、Eu量の調節により、前記2次
曲線状に変化するファラデー回転角が頂点となる温度を
所望の温度に調節することが可能になる。そのため、本
発明のファラデー回転子は、ファラデー回転角の温度依
存性が少ない領域を室温など、常用温度領域に調節すれ
ば、温度変化があっても安定したファラデー回転角とな
る。
【0024】本発明のファラデー回転子の製造方法は、
格子定数が12.470±0.013Åのガーネット結
晶を育成するものであり、液相エピタキシャルの結晶基
板として格子定数が12.472±0.013Åの置換
または非置換ガドリニウム・ガリウム・ガーネットを採
用したことにより、育成結晶と結晶基板との整合性がよ
いため、クラックが生じにくい。したがって、本発明の
ファラデー回転子を効率よく大量生産できる。
【0025】また本発明の磁気光学素子は、構成部品と
してファラデー回転角の温度依存性が少ない本発明のフ
ァラデー回転子を使用しているため、温度変化のある環
境下で使用しても、安定した磁気光学特性が得られる。
【0026】さらに本発明のファラデー回転子を使用し
た、本発明の光アイソレータは、温度変化のある環境下
で使用しても、安定した消光比が得られる。
【0027】また、本発明の光アイソレータは、使用す
る本発明のファラデー回転子のファラデー回転角を36
°〜44°にしたことで、偏光子および検光子を透過
し、または偏光子および検光子に遮断される偏光の偏光
面が、偏光子および検光子の偏光面方向と一致または直
交しないため、光アイソレータとしての消光比および挿
入損失は若干劣化するが、ファラデー回転角の温度変化
がファラデー回転角45度にした場合に比べかなり小さ
くなるから、同一温度範囲内での消光比の変動が小さく
なる効果がある。ファラデー回転角が36°小さいと光
アイソレータの挿入損失の劣化が1dBとなり好ましく
ない。
【0028】
【実施例】本発明の詳細な実施例を説明する。以下に記
載する実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施
例5、実施例6は本発明を適用した例、比較例1、比較
例2は本発明を適用外の例である。
【0029】(実施例1)原料成分としてTb
23.1gと、Biを929gと、Fe
188gと、Bを79.6gと、PbOを178
0gとを秤量して白金るつぼに充填し、1040℃の温
度で溶融した後、その溶融物を790℃に保ち、直径2
5mmΦ、厚さ1.2mmのSOG基板(商品名、信越
化学工業(株)製、ガドリニウム・ガリウム・ガーネッ
トにCa、Zrを添加して置換した結晶基板、格子定数
12.472±0.013Å)を浸せきし、回転させなが
らエピタキシャル膜を結晶成長させた。すると基板の両
面に約0.64mmの厚さで結晶体が積層され、クラッ
クの発生はなかった。この結晶体は、高温発光分析(I
CP)をしたところ、組成式がTb2.41Bi0.59
Fe12であった。格子定数をボンド法で測定した
ところ、12.481Åであった。
【0030】結晶体が積層しているSOG基板を板面に
そって中央で切断した後、結晶体に付着残存しているS
OG基板の残骸を研磨して削り落とした。この結晶体を
2mm□、0.55mm厚に研磨し、裏表2面は鏡面研
磨加工により光学面に仕上げ、さらに光学面にはSiO
とAlとからなる2層の無反射コートを施し、
ファラデー回転子が完成した。
【0031】恒温層内で、このファラデー回転子を10
00エルステッド(Oe)の磁場強度の中に置いて波長
1310nmの直線偏光を透過させ、透過光の偏光面の
回転角度(ファラデー回転角)を、ファラデー回転角測
定装置により測定した。恒温層の温度を20℃に設定し
たとき、ファラデー回転角は45.9度であった。恒温
層の温度を種々に変えて測定したファラデー回転角の変
化が図1に示してある。図1から分かるようにファラデ
ー回転角が45度±1.0度の範囲内に収まる温度範囲
は20℃〜80℃である。
【0032】このファラデー回転子を使用し、ガラス偏
光板からなる偏光子、検光子と組み合わせて光アイソレ
ータを試作した。ファラデー回転子には前記と同じ大き
さの磁場を付与し、恒温層の温度を種々に変えて光を透
過させた。透過光が光アイソレータを透過した後、反射
光が光アイソレータに戻ってきたときの透過を阻止する
消光性能を消光比として算出した。測定温度と消光比と
の関係を図2に示す。
【0033】25℃において波長1310nm光の消光
比と挿入損失を求めたところ、消光比は36dBで挿入
損失は0.2dBであることがわかった。戻り光の消光
比は一般に35dB以上が要求される。図2からもわか
るように、消光比が35dB以上になる温度範囲は、2
0℃から80℃と広い。
【0034】(実施例2)実施例1の原料成分よりもB
iの割合を少なくした他は実施例1と同様にしてエピタ
キシャル結晶体を得た。組成式はTb2.49Bi
0.51Fe12であり、SOG基板上には厚さ
0.73mmに積層し、クラックはなかった。格子定数
は12.477Åだった。SOG基板を削り落として鏡
面研磨加工し、結晶体の厚さは0.66mmにした。
【0035】このようにして得られた結晶体について実
施例1と同様にコート処理を行い、ファラデー回転子を
試作した。実施例1と同様な測定をし、その結果を図1
に示してある。20℃におけるファラデー回転角は4
5.8度、ファラデー回転角が45度±1.0度の範囲
内に収まる温度範囲は−40℃〜90℃であった。温度
変化に対してファラデー回転角は二次曲線状に変化して
いる。ファラデー回転角が二次曲線の頂点となる温度
は、15℃であった。
【0036】さらにこのファラデー回転子により、実施
例1と同様にして光アイソレータをを試作した。実施例
1と同様な測定を行った結果を図3に示す。波長131
0nm光に対する光アイソレータの消光比は36dB、
挿入損失は0.2dBだった。消光比が35dB以上に
なる温度範囲は−40℃〜90℃と広い。
【0037】(実施例3)実施例1の原料成分にEu
を加えた他は実施例1と同様にしてエピタキシャル
結晶体を得た。組成式はTb2.49Eu0.06Bi
0.45Fe であり、SOG基板上には厚さ
0.74mmに積層し、クラックはなかった。格子定数
は12.477Åだった。SOG基板を削り落として鏡
面研磨加工し、結晶体の厚さは0.67mmにした。
【0038】このようにして得られた結晶体について実
施例1と同様にコート処理を行い、ファラデー回転子を
試作した。実施例1と同様な測定をし、その結果を図1
に示してある。20℃におけるファラデー回転角は4
5.8度、ファラデー回転角が45度±1.0度の範囲
内に収まる温度範囲は−40℃〜100℃と広い。温度
変化に対してファラデー回転角は二次曲線状に変化して
いる。ファラデー回転角が二次曲線の頂点となる温度
は、30℃であった。
【0039】さらにこのファラデー回転子により、実施
例1と同様にして光アイソレータを試作した。実施例1
と同様な測定を行った結果を図4に示す。波長1310
nm光に対する光アイソレータの消光比は36dB、挿
入損失は0.14dBだった。消光比が35dB以上に
なる温度範囲は−40℃〜100℃と広い。
【0040】(実施例4)原料成分にAlを少量
加えた他は、実施例3と同様にしてエピタキシャル結晶
体を得た。組成式はTb2.49Eu0.06Bi
0.45Fe4.95Al 0.0512であり、SOG
基板上には厚さ0.74mmに積層し、クラックはなか
った。格子定数は12.476Åだった。SOG基板を
削り落として鏡面研磨加工し、結晶体の厚さは0.67
mmにした。
【0041】このようにして得られた結晶体について実
施例1と同様にコート処理を行い、ファラデー回転子を
試作した。実施例1と同様な測定をし、その結果を図1
に示してある。20℃におけるファラデー回転角は4
5.8度、ファラデー回転角が45度±1.0度の範囲
内に収まる温度範囲は−40℃〜100℃であった。温
度変化に対してファラデー回転角は二次曲線状に変化し
ている。ファラデー回転角が二次曲線の頂点となる温度
は、25℃であった。
【0042】さらにこのファラデー回転子により、実施
例1と同様にして光アイソレータを試作した。実施例1
と同様な測定を行った結果を図4に示す。波長1310
nm光に対する光アイソレータの消光比は36dB、挿
入損失は0.14dBだった。消光比が35dB以上に
なる温度範囲は−40℃〜100℃と広い。
【0043】(実施例5)実施例3と同様な原料成分で
エピタキシャル結晶体を得た。この結晶体は、組成式は
実施例3と同一であったが、格子定数は12.478Å
とやや大きかった。この結晶体を厚さ0.66mmのフ
ァラデー回転子に形成した。20℃におけるファラデー
回転角を測定したところ40.0度であった。
【0044】このファラデー回転子により、実施例1と
同様にして光アイソレータを試作した。実施例1と同様
な測定を行った結果、波長1310nm光に対する光ア
イソレータの消光比は38dB、挿入損失は0.34d
Bだった。消光比が37dB以上になる温度範囲は−4
0℃〜100℃と広い。
【0045】(実施例6)原料成分にAlを少量
加えた他は、実施例3と同様にしてエピタキシャル結晶
体を得た。組成式はTb2.49Eu0.16Bi
0.35Fe4.95Al 0.0512であり、クラッ
クはなかった。格子定数は12.471Åだった。SO
G基板を削り落として鏡面研磨加工し、結晶体の厚さを
0.84mmにしてファラデー回転子に形成した。実施
例1と同様な測定をし、その結果を図1に示してある。
20℃における波長1550nm光のファラデー回転角
は45.8度、ファラデー回転角が45度±1.0度の
範囲内に収まる温度範囲は−40℃〜100℃であっ
た。温度変化に対してファラデー回転角は二次曲線状に
変化している。ファラデー回転角が二次曲線の頂点とな
る温度は、25℃であった。
【0046】さらにこのファラデー回転子により、実施
例1と同様にして光アイソレータをを試作した。実施例
1と同様な測定を行った結果、波長1550nm光に対
する光アイソレータの消光比は36dB、挿入損失は
0.24dBだった。消光比が35dB以上になる温度
範囲は−40℃〜100℃と広い。
【0047】(比較例1)原料成分としてTb
20.59gと、Biを1451gと、Fe
を170.7gと、Gaを5.0gと、B
を18.58gと、PbOを8340gとを原料と
し、結晶基板として直径25mmΦ、厚さ1.4mmで
格子定数が12.439ÅのSGG基板(SmGa
12で示されるサマリウム・ガリウム・ガーネット)
を使用する以外は実施例1と同様にしてエピタキシャル
結晶成長を試みた。SOG基板上に厚さ0.6mmに積
層するとクラックが発生し、ファラデー回転子に必要な
厚みのある結晶体は得られなかった。結晶体の組成式は
Tb2.62Bi0.40Fe4.88Ga0.1212
であった。
【0048】(比較例2)原料成分としてTb
26.56gと、Euを2.84gと、Bi
を1205gと、Feを193.24gと、G
を6.48gと、Bを27.0gと、P
bOを1038.93gとを原料とし、結晶基板として
直径25mmΦ、厚さ1.4mmで格子定数が12.4
96ÅのNOG基板(商品名、信越化学工業(株)製、
ガドリニウム・ガリウム・ガーネットにCa、Mg、Z
r、Yの少なくとも1つを添加し置換した結晶基板)を
使用する以外は実施例1と同様にしてエピタキシャル結
晶体を得た。組成式はTb .97Eu0.21Bi
0.82Fe4.71Ga0.2912であり、NOG
基板上には厚さ0.73mmに積層し、クラックはなか
った。格子定数は12.492Åだった。NOG基板を
削り落として鏡面研磨加工し、結晶体の厚さは0.42
mmにした。
【0049】このようにして得られた結晶体について実
施例1と同様にコート処理を行い、ファラデー回転子を
試作した。実施例1と同様な測定をし、その結果を図1
に示してある。20℃におけるファラデー回転角は4
5.0度、ファラデー回転角が45度±1.0度の範囲
内に収まる温度範囲は0℃〜50℃であった。
【0050】さらにこのファラデー回転子により、実施
例1と同様にして光アイソレータをを試作した。実施例
1と同様な測定を行った結果、波長1310nm光に対
する光アイソレータの消光比は36dB、挿入損失は
0.22dBだった。消光比が35dB以上になる温度
範囲は0℃〜50℃と狭かった。
【0051】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように本発明のフ
ァラデー回転子は、ファラデー回転角の温度依存性が少
ない領域を常用温度領域に調節できるので、温度変化が
あっても安定したファラデー回転角にすることができ
る。また、本発明のファラデー回転子の製造方法は、フ
ァラデー回転子となる液相エピタキシャルの育成結晶
と、その種になる結晶基板との整合性がよいため、育成
されるエピタキシャル結晶体にクラックが生じない。し
たがって、本発明のファラデー回転子を効率よく大量生
産できる。
【0052】また本発明の磁気光学素子は、構成部品と
してファラデー回転角の温度依存性が少ない本発明のフ
ァラデー回転子を使用しているため、温度変化のある環
境下で使用しても、安定した磁気光学特性が得られる。
さらに本発明のファラデー回転子を使用した、本発明の
光アイソレータは、温度変化のある環境下で使用して
も、安定した消光比が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例、比較例で試作したファラデー回転子の
ファラデー回転角の温度依存性を示す図である。
【図2】実施例1で試作した光アイソレータの消光比の
温度依存性を示す図である。
【図3】実施例2で試作した光アイソレータの消光比の
温度依存性を示す図である。
【図4】実施例3で試作した光アイソレータの消光比の
温度依存性を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 渡邊 聡明 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 流王 俊彦 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 2H079 AA03 AA12 BA02 CA05 DA13 2H099 AA01 BA02 CA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式 【化1】 (式中、LnはTb以外の希土類元素から選択される元
    素、M1はCa、Mg、Srから選択される元素、M2
    はAl、Ti、Si、Geから選択される元素、0≦a
    ≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.02、0≦d≦
    0.1)で示され、格子定数が12.470±0.01
    3Åであるガーネット結晶のファラデー回転子。
  2. 【請求項2】格子定数が12.472±0.013Åの
    置換または非置換ガドリニウム・ガリウム・ガーネット
    結晶基板上に、組成式 【化2】 (式中、LnはTb以外の希土類元素から選択される元
    素、M1はCa、Mg、Srから選択される元素、M2
    はAl、Ti、Si、Geから選択される元素、0≦a
    ≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.02、0≦d≦
    0.1)で示され、格子定数が12.470±0.01
    3Åであるガーネット結晶を、液相エピタキシャル法に
    より成長させることを特徴とするファラデー回転子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 組成式 【化3】 (式中、LnはTb、Eu以外の希土類元素から選択さ
    れる元素、M1はCa、Mg、Srから選択される元
    素、M2はAl、Ti、Si、Geから選択される元
    素、0≦a≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.0
    2、0≦d≦0.1、0<e≦0.3)で示され、格子定
    数が12.470±0.013Åであるガーネット結晶
    のファラデー回転子。
  4. 【請求項4】格子定数が12.472±0.013Åの
    置換または非置換ガドリニウム・ガリウム・ガーネット
    結晶基板上に、組成式 【化4】 (式中、LnはTb、Eu以外の希土類元素から選択さ
    れる元素、M1はCa、Mg、Srから選択される元
    素、M2はAl、Ti、Si、Geから選択される元
    素、0≦a≦0.5、0<b≦0.2、0≦c≦0.0
    2、0≦d≦0.1、0<e≦0.3)で示され、格子定
    数が12.470±0.013Åであるガーネット結晶
    を、液相エピタキシャル法により成長させることを特徴
    とするファラデー回転子の製造方法。
  5. 【請求項5】 光アイソレータ、光サーキュレータ、
    光スイッチ、磁界センサ、光アッテネータから選ばれる
    磁気光学素子であって、構成部品に請求項1または3に
    記載のファラデー回転子を含むことを特徴とする磁気光
    学素子。
  6. 【請求項6】 偏光面が90°回転して並べられた偏
    光子と検光子との中間に、請求項1または3に記載のフ
    ァラデー回転子が配置されていることを特徴とする光ア
    イソレータ。
  7. 【請求項7】 該ファラデー回転子のファラデー回転
    角が36°〜44°であることを特徴とする光アイソレ
    ータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006117492A (ja) * 2004-10-25 2006-05-11 Namiki Precision Jewel Co Ltd ビスマス置換型テルビウム−鉄−ガーネット単結晶
WO2010134327A1 (ja) * 2009-05-21 2010-11-25 アダマンド工業株式会社 電流測定装置

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