JP2001048533A - 石膏繊維の製造方法 - Google Patents

石膏繊維の製造方法

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JP2001048533A
JP2001048533A JP11230882A JP23088299A JP2001048533A JP 2001048533 A JP2001048533 A JP 2001048533A JP 11230882 A JP11230882 A JP 11230882A JP 23088299 A JP23088299 A JP 23088299A JP 2001048533 A JP2001048533 A JP 2001048533A
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salt
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calcium
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Masanori Nagafune
昌則 長船
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Shikoku Chemicals Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム、プラスチック、塗料等の補強材、紙の
材料、断熱材として有用な石膏繊維を工業的規模で実施
するのに適する製法を提供する。 【解決手段】 カルシウム塩と硫酸根を持つ塩を水溶液
中で反応させて石膏を生成するに当り、反応系を常圧と
し且つ80℃以上の温度に維持し、反応系内にポリビニ
ールアルコール、ぶどう糖、グリセリン、タンニン酸、
ジエチレングリコールのいずれか1種類以上を存在させ
て、カルシウム塩と硫酸根を持つ塩を反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は石膏繊維の製造方
法に関するものであり、本発明方法によって得られる石
膏繊維は、ゴム、プラスチック、塗料等の補強材、紙の
材料、断熱材などとして有用なものである。
【0002】
【従来の技術】石膏には、二水石膏(CaSO・2H
O)、半水石膏(CaSO・1/2HO)及び無
水石膏(CaSO)の3種類が存在することが知られ
ており、石膏の形状を制御する試みは、主として二水石
膏と半水石膏において行われている。
【0003】二水石膏では、結晶を成長させる際、水溶
液中に有機酸を存在させることによって、陶磁器型材と
して有用な板状結晶石膏が得られることが報告されてい
る[旭硝子研報、3[1]、44〜57(195
3)]。
【0004】半水石膏については、繊維状にすることが
試みられており、特開昭49−30626号公報によれ
ば、二水石膏、半水石膏あるいは無水石膏の水性混合物
を圧力容器中で、105〜150℃の温度で加熱させて
石膏繊維を合成している。この繊維は「フランクリンフ
ァイバー」の名称で市販された経緯がある[Menou
gh.J.,Rubber World,192,1,
14〜15(1985)]。しかしながら、前記の石膏
繊維は加圧条件下において合成されたものであり、その
製造設備に多大な費用を伴い、また製造プロセスもバッ
チ処理にせざるを得ないため生産性が悪く、工業的規模
の生産には適さないものであった。
【0005】これに対して半水石膏を常圧下で繊維化す
る試みも既に行われており、[日本化学会誌、No.
9,1556〜1564(1988)]には、二水石膏
の飽和水溶液にメタノールを添加してオルガノゲルを生
成し、これからメタノールを除去することによって、繊
維状の半水石膏を製造する方法が提案されている。また
[石膏と石灰、No.239,230〜238(199
2)]には、塩化カルシウム−硫酸系水溶液の反応によ
って生成する石膏の過飽和度を、さらにこの系に塩酸あ
るいは硝酸を添加することによって調整し、大型の半水
石膏ウィスカを合成する試みが為されている。
【0006】さらに、[旭硝子研報[4]50〜66
(1954)]には、塩化カルシウム水溶液(塩化ナト
リウムを含む)と、硫酸ナトリウム水溶液をサイホンで
ほぼ当量ずつ反応させる実験において、長さ80〜10
0μm、巾5μmの半水石膏が得られており、[日本セ
ラミックス協会学術論文誌、98[5]483‐489
(1990)]には、塩化カルシウムと硫酸ナトリウム
水溶液を反応させ、長さ140μm×径4μmの針状結
晶が合成される旨の報告が為されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、二水石
膏の飽和溶液にメタノールなどの有機溶剤を添加する方
法によれば、有機溶剤を含む廃液処理が発生するため量
産に不向きであり、また反応系に塩酸、硝酸等の酸を添
加する方法は、反応中にスラリーの酸濃度が刻々と変化
するためその制御操作が至難であり、また収率も悪いた
め工業的規模の実施に適さない。
【0008】さらに、塩化カルシウムと硫酸ナトリウム
の水溶液のみを反応させて得られている半水石膏繊維
は、巾または径が4〜5μmと太く、結果としてアスペ
クト比も小さく針状結晶として有効利用し難いものであ
る。即ち、繊維状の物質は、太くなるほど結晶が不均一
になり理論強度が落ちるため、補強材として利用するに
は、径が3μm以下、好ましくは2μm以下、さらに好
ましくは1μm以下が望ましい。また、同様な径であれ
ばアスペクト比(長さ/太さ)が大きい方が良く、補強
材としては最低でも20以上を確保すべきであり、好ま
しくは40以上、さらに好ましくは80以上が望まし
い。
【0009】このような事情に鑑み、本発明の目的とす
るところは、工業的規模で容易に実施しうる新規な石膏
繊維の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な事情に鑑み鋭意試験研究を行った結果、カルシウム塩
と硫酸根を持つ塩を水溶液中で反応させて石膏繊維を生
成するに当り、反応系を常圧とし且つ80℃以上の温度
に維持し、反応系内にポリビニールアルコール、ぶどう
糖、グリセリン、タンニン酸、ジエチレングリコールの
いずれか1種類以上を存在させて、カルシウム塩と硫酸
根を持つ塩を反応させることを特徴とする石膏繊維の新
規な合成方法を見出し、本発明を完遂するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施において使用される
カルシウム塩としては、水に対する溶解性が高い塩化カ
ルシウムが適している。硫酸根を持つ塩としては、ある
程度の溶解度を持つものであれば差し支えなく使用する
ことができ、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、コ
バルト、セシウム、マグネシウム、マンガン、アンモニ
ア、亜鉛などの硫酸塩が挙げられ、原料コストの観点か
ら見るとこれらのうちナトリウム、カリウム、マグネシ
ウム、アンモニウムの硫酸根の塩が適している。反応系
は常圧とし且つ反応温度を80℃以上に維持すべきであ
る。反応温度が80℃未満では主たる成分が二水石膏と
なる。また二水石膏の混入をできるだけ抑えるには95
℃以上、特に好ましくは煮沸条件(煮沸温度は溶解して
いるイオンの量によって異なるが通常100℃以上とな
る)が適している。
【0012】カルシウム塩と硫酸根を持つ塩を反応させ
るに当たっては、反応系に予めカルシウム塩あるいは硫
酸根を持つ塩のいずれかを投入しておき、これに硫酸根
を持つ塩あるいはカルシウム塩のいずれかを含む他方の
塩を接触させる方法のほか、反応母液を含む反応系にカ
ルシウム塩と硫酸根を持った塩を連続的に投入し、反応
液の一部を連続的に取り出して石膏の結晶を成長させる
方法も可能である。
【0013】本発明の実施に当たっては、カルシウム塩
を含む水溶液に硫酸根を含む水溶液を滴下するか、ある
いは硫酸根を持つ塩を含む水溶液にカルシウム塩の水溶
液を滴下する方法が適している。滴下される側のカルシ
ウム濃度あるいは硫酸根の濃度は、特に規定するもので
はないが、好ましくは0.1mol/l以上、さらに好
ましくは0.5mol/l以上とすべきである。これは
カルシウムまたは硫酸根の濃度が濃い場合に石膏の微細
な結晶核が析出し、これによってより細い針状結晶を成
長しうるからである。一方の塩を含む処理水溶液に反応
させる他方の塩を含む水溶液の濃度は、特に限定される
ものでなく、粉末のままで処理水溶液に添加しても差し
支えない。
【0014】反応によって生じる石膏のスラリー濃度
は、石膏の針状結晶を成長する空間を確保し、加圧せず
に通常の大気圧下で細かい結晶を成長させるために、全
体の6.0%未満とすべきであり、さらにアスペクト比
の大きい繊維を生成させるには全体の5.0%未満とす
べきである。
【0015】このような条件下において、反応系にポリ
ビニールアルコール、ぶどう糖、グリセリン、タンニン
酸、ジエチレングリコールのいずれか1種類以上を存在
させるには、カルシウム塩または硫酸根を持つ塩のいず
れかに、前記有機物の中から選ばれた1種類以上の有機
物を添加すれば良い。有機物の濃度は、その重量が最終
的に生成する石膏の50ppm〜30%の範囲、好まし
くは300ppm〜10%の範囲であることが必要であ
る。50ppmより少ない場合には結晶の成長効果が発
揮できず、30%を超えると反応系の粘度が上がり、繊
維状以外の粒子が一部生成する。
【0016】また、前記有機物とa)銅、マグネシウ
ム、鉄、アンモニア、ニッケル、マンガンのいずれか1
種類以上のイオンを生じる化合物、もしくはb)撥水性
の液体または、無機物質に処理することで表面を撥水性
にできる処理剤のいずれか1種類以上を併用して用いる
ことができる。撥水性の液体とは、反応系内の温度であ
る80℃以上で液体であれば特に限定しないが、例をあ
げると、シリコンオイル、ケロシン、脂肪酸、パラフィ
ンなどが挙げられ、無機質に処理することで表面を撥水
性にできる処理剤とは、脂肪酸の金属塩、各種表面処理
剤(例えばシラン系、チタネート系、アルミネート系な
ど)のうち疎水性基を有しているもの、各種界面活性剤
などをさす。前記イオンを生じる化合物の濃度について
はイオンの核種の重量が、最終的に生成する石膏の50
ppm〜30%の範囲、好ましくは300ppm〜10
%の範囲であることが必要である。50ppmより少な
い場合には結晶の成長効果が発揮できず、30%を超え
ると石膏繊維の径はかえって太くなる傾向が認められ
る。また撥水処理剤の濃度は、その重量が生成する石膏
の50ppm〜30%の範囲、好ましくは300ppm
〜10%の範囲であることが必要である。50ppmよ
り少ない場合には結晶の成長効果が発揮できず、30%
を超えると反応系の粘度が上がり、繊維状以外の粒子が
一部生成する。
【0017】なお、本発明方法の実施に当たっては、カ
ルシウム塩を含む水溶液と硫酸根を含む水溶液の反応時
間は、特に限定するものではないが、3分間以上を掛け
る方がより好ましい。滴下時間が長過ぎても形状が悪く
なることはないので、工業的生産を考えると200分以
上の時間をかけることは無意味である。
【0018】本発明によって得られる石膏繊維は、処理
条件によって直径0.05〜3μm、長さ10〜100
0μmの間で揃った形状に制御することができる。この
ようにして得られた繊維の主成分は半水石膏であり、処
理条件により二水石膏が混入する場合もあるが、石膏繊
維としての形態を損なわない範囲であれば差し支えな
い。
【0019】これらの繊維は、スラリーを固液分離する
ことによって回収することができる。反応生成物をその
まま乾燥した場合、条件によっては半水石膏が二水石膏
に変わる惧れがあるので、カチオン−アニオン凝集を示
す物質によって処理し、耐水性を付与することができ
る。このような処理としては、反応後のスラリーに投入
する方法、固液分離後のケーキに処理する方法、一旦乾
燥した繊維に処理する方法など特に制限されるものでは
ない。カチオン−アニオン凝集を示す物質としては、イ
オン性でんぷん、イオン性凝集剤、蛋白質加水分解物
(例えばガゼイン、ゼラチン)、アニオンポリカルボン
酸ポリマー(例えばポリアクリル酸ナトリウム、スチレ
ンマレイン酸モノエステルコポリマーアンモニウム塩水
溶液)などが挙げられる。
【0020】また、得られた半水石膏繊維を400〜8
00℃の温度で加熱し、無水石膏繊維にして使用するこ
ともできる。
【0021】
【作用】カルシウム化合物の繊維状化については、[石
膏と石灰、1990、No.229,446〜457
(1990)]に記載されている。この内容によれば、
ある温度での石膏の飽和溶解度をCS、新規の核は生成
しないが核は成長する過飽和領域の上限をCとする
と、溶解度がCより高い状態では新規の核が生成し、
からCの間で核が成長する。当量ずつ反応させた
り一度に反応させると、溶解度がCを大きく上回り、
反応が急激に進み結晶が大型化、すなわち太径化するこ
とは明らかである。このような観点で見ると、[旭硝子
研報、[4]50〜66(1954)]の合成におい
て、塩化カルシウム水溶液(塩化ナトリウムを含む)
と、硫酸ナトリウム水溶液を反応させた場合に、長さ8
0〜100μm、巾5μmという太い半水石膏しかでき
なかった理由は、サイホンでほぼ当量ずつ反応させたこ
とに起因し、また[日本セラミックス協会学術論文誌、
98[5]483‐489(1990)]に記載の方法
によって塩化カルシウムと硫酸ナトリウム水溶液を反応
させた場合に、長さ140μm×径4μmという太い針
状晶になったのは、反応を短時間のうちにさせたことに
よると考えられる。
【0022】これに対して、一方が過剰な状況から他方
を徐々に接触させる方法では、石膏の溶解度が徐々に上
がり、Cを超えたところで核が生成し、Cまで下が
る。引き続き、溶解度は継続して供給されるイオン量と
成長する核の量のバランスで、CとCの間で保持さ
る。このように核の成長が時間をかけて徐々に起こるた
め、より成長しやすい晶癖に伸びやすい環境が実現さ
れ、細い繊維状となる。また特定の有機物がある場合の
メカニズムについては、それらがない場合に比べて、結
晶核ができた段階で、それらの物質が特定の結晶面に吸
着し、それが繊維の径方向であるために繊維が長さ方向
に伸びると考えられる。
【0023】また特定のイオンがある場合のメカニズム
については、それらのイオンがない場合に比べて、一度
に硫酸カルシウムが生成するのを制御していることが考
えられる。すなわち、反応系内に特定のイオンがある場
合には、硫酸根をある程度保持する役割を果たし、急激
に反応させても結果的に核の成長が緩やかになっている
ものと推定される。また、特定の撥水性の物質が反応系
内にある場合の作用は、有機物の場合のメカニズムと同
様に結晶核ができた段階で、それらの物質が特定の結晶
面に吸着し、それが繊維の径方向であるために繊維が長
さ方向に伸びると考えられる。さらに、これらの方法を
2種類以上複合して用いた場合には、その複合的な効果
が現れていると判断される。
【0024】
【実施例】[実施例1]カルシウムのモル濃度が異なる
7種類の塩化カルシウム水溶液(A.4mol/l、
B.2mol/l、C.1mol/l、D.0.6mo
l/l、E.0.4mol/l、F.0.2mol/
l、G.0.1mol/l)を調製し、他方硫酸根のモ
ル濃度が異なる4種類の硫酸ナトリウム水溶液(a.2
mol/l、b.1mol/l、c.0.5mol/
l、d.0.25mol/l)を調製し、前記塩化カル
シウム水溶液を夫々のフラスコに入れ、常圧下で煮沸し
て沸騰状態に維持し、前記塩化カルシウム水溶液に対し
て、それぞれ石膏を生成する化学当量の硫酸ナトリウム
水溶液を5秒以内で滴下した。添加物の量は、特定の有
機物が生成する石膏の重量の1%に相当する量を塩化カ
ルシウム水溶液または硫酸ナトリウム水溶液に対して反
応前に投入した。滴下終了後、5分間放置したのち固液
を分離し反応生成物を80℃で乾燥して、得られた試料
を、X線回折法によって分析した結果、いずれも半水石
膏からなる石膏繊維と認められ、添加物と石膏繊維の形
状との関係は、表1に示したとおりであった。
【0025】
【表1】
【0026】[比較例1]実施例1において、表2に示
す添加物(無添加も含む)を加えた以外は、いずれも実
施例1と同様の処理を行い、その反応生成物の評価試験
を行ったところ、これらの試験結果は表2に示したとお
りであった。
【0027】
【表2】
【0028】表1と表2の試験結果から、カルシウムを
含む水溶液に硫酸根を接触させる際に、ポリビニールア
ルコール、ぶどう糖、グリセリン、タンニン酸、ジエチ
レングリコールが存在すると、これらの有機物が存在し
ない場合に比べて、石膏の繊維形状が明らかに改善され
ているものと認められる。
【0029】[実施例2]硫酸根のモル濃度が異なる4
種類の硫酸ナトリウム水溶液(a.2mol/l、b.
1mol/l、c.0.5mol/l、d.0.25m
ol/l)、カルシウムのモル濃度が異なる4種類の塩
化カルシウム水溶液(A.4mol/l、B.2mol
/l、C.1mol/l、D.0.6mol/l)をそ
れぞれ調製し、前記硫酸ナトリウム水溶液を夫々のフラ
スコに入れて煮沸して沸騰状態に維持し、前記硫酸ナト
リウム水溶液に対してそれぞれ石膏を生成する化学当量
の塩化カルシウム水溶液を5秒以内で滴下した。添加物
の量は、特定の有機物が生成する石膏の重量の1%に相
当する量を硫酸ナトリウム水溶液または塩化カルシウム
水溶液に対して反応前に投入した。滴下終了後、5分間
放置して固液を分離し反応生成物を80℃で乾燥して、
得られた試料を、X線回折法によって分析した結果、い
ずれも半水石膏からなる石膏繊維と認められ、添加物と
石膏繊維の形状との関係は、表3に示したとおりであっ
た。
【0030】
【表3】
【0031】[比較例2]実施例2において、表4に示
す添加物(無添加も含む)を加えた以外は、いずれも実
施例2と同様の処理を行い、その反応生成物の評価試験
を行ったところ、これらの試験結果は表4に示したとお
りであった。
【0032】
【表4】
【0033】表3と表4の試験結果より、硫酸根を含む
水溶液にカルシウムを接触させる際に、ポリビニールア
ルコール、ぶどう糖、グリセリン、タンニン酸、ジエチ
レングリコールが存在すると、これらの有機物が存在し
ない場合に比べて、石膏の繊維形状が明らかに改善され
ている。
【0034】[実施例3]カルシウムのモル濃度が1m
ol/lである塩化カルシウム水溶液と、他方硫酸根の
モル濃度が0.5mol/lの硫酸ナトリウム水溶液を
調製し、前記塩化カルシウム水溶液を沸騰状態に維持
し、これに表5に示した添加量のポリビニールアルコー
ルを入れたのち、前記塩化カルシウム水溶液に対して、
石膏を生成する化学当量の硫酸ナトリウム水溶液を5秒
以内で滴下した。滴下終了後、5分間放置したのち固液
を分離し、反応生成物を80℃で乾燥した。得られた試
料を、X線回折法によって分析した結果、いずれも半水
石膏からなる石膏繊維と認められ、添加量と石膏繊維の
形状との関係は、表5に示したとおりであった。
【0035】
【表5】
【0036】これらの試験結果から、ポリビニールアル
コールの濃度を50ppm〜30%の範囲とした場合
に、良好な石膏繊維が得られるものと認められた。
【0037】[実施例4]硫酸根のモル濃度が0.5m
ol/lとした硫酸ナトリウム水溶液と、他方カルシウ
ムのモル濃度が1mol/lの塩化カルシウム水溶液を
調製し、前記硫酸ナトリウム水溶液を沸騰状態に維持
し、これに所定量のグリセリンを入れたのち、前記硫酸
ナトリウム水溶液に対して石膏を生成する化学当量の塩
化カルシウム水溶液を5秒以内で滴下した。滴下終了
後、5分間放置したのち固液を分離し、反応生成物を8
0℃で乾燥した。得られた試料を、X線回折法によって
分析した結果、いずれも半水石膏からなる石膏繊維と認
められ、添加量と石膏繊維の形状との関係は、表6に示
したとおりであった。
【0038】
【表6】
【0039】これらの試験結果から、グリセリンの濃度
を50ppm〜30%の範囲とした場合に、良好な石膏
繊維が得られるものと認められた。
【0040】[参考例1]実施例3においてポリビニー
ルアルコールを加えずに滴下時間を表7に記載のとおり
とし、滴下終了後5分間放置したのち固液分離し、80
℃で乾燥させた場合の試験結果は、表7に示したとおり
であった。
【0041】
【表7】
【0042】これらの試験結果から、滴下時間が1分以
上の場合に良好な石膏繊維が得られるものと認められ
た。
【0043】[参考例2]実施例3においてポリビニー
ルアルコールを硫酸ニッケルに変えた以外は、実施例3
と同様にして試験を行った。添加量と石膏繊維の形状と
の関係は、表8に示したとおりであった。
【0044】
【表8】
【0045】[参考例3]実施例4においてグリセリン
をシリコンオイルに変えた以外は、実施例4と同様に試
験を行った。添加量と石膏繊維の形状との関係は、表9
に示したとおりであった。
【0046】
【表9】
【0047】表8と表9により、これらの物質が50p
pm〜30%の範囲で効果があることが示される。
【0048】[実施例5]実施例3において添加剤、滴
下時間を表10に記載のとおりとして、同様の試験を行
ったところ、その試験結果は表10に示したとおりであ
った。
【0049】
【表10】
【0050】表10の試験結果から、これらの方法を有
機物のほかに、特定のイオンを生じる化合物あるいは撥
水性の化合物を含む系において実施すると、石膏の繊維
形状をさらに良くする効果が認められる。
【0051】[実施例6]カルシウムのモル濃度が1m
ol/lとした塩化カルシウム水溶液を夫々のフラスコ
に入れて、70、80、95℃、沸騰状態に維持し、生
成する石膏の重量に対し1%のタンニン酸を入れ、これ
らに硫酸根のモル濃度が0.5mol/lとした硫酸カ
リウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムを、夫々
のフラスコ内の塩化カルシウム水溶液と同じ温度に加熱
して、石膏を生成する化学当量分を5秒以内に滴下し、
その後5分間放置して固液分離し、反応物を80℃の温
度で乾燥して目的物を得た。このようにして得られた石
膏をX線回折法によって分析し、その組成(X線回折法
における半水石膏の最大ピークを2水石膏の最大ピーク
で除した値)を求め、反応温度と得られた石膏の関係を
調べた結果は、表11に示したとおりであった。
【0052】
【表11】
【0053】表11の試験結果より、タンニン酸の存在
下において、反応温度を80℃以上とした場合に繊維状
の半水塩が合成できることが認められる。
【0054】[比較例3]カルシウムのモル濃度が1m
ol/lとした塩化カルシウム水溶液と、硫酸根のモル
濃度が0.5mol/lとした硫酸ナトリウム水溶液を
調製し、別々に沸騰させ、石膏を生成する化学当量の割
合で5分間に亘って同期的に定量ずつ両者を接触させ、
反応生成物を固液分離し80℃の温度で乾燥して目的物
を得た。このようにして得られた石膏は、X線回折法に
よって半水石膏であることが確認され、その形状は太さ
5μm、長さ60μmの粗大粒であった。
【0055】[実施例7]実施例、比較例および参考例
に示した石膏繊維をエポキシ樹脂で塗膜とし、その密着
性の評価を行なった。なお、下記の配合組成、硬化条件
および評価基準に従って得られた試験結果は表12に示
したとおりであった。 配合物組成:樹脂(エピコート828) 100部 硬化剤(ジシアンジアミド) 7部 エロジル(#300) 1部 石膏繊維 10部 硬化条件: 190℃/30分間 評価基準: 90℃温水中2時間処理後、塗料JIS K5400 の方法で評価した。(試料3点の平均の四捨五入、数 値が高いほど密着性が高く、繊維としての性能が優れ ている) 試料1:比較例3において得られた石膏繊維 試料2:比較例1のC−c(ぎ酸ナトリウム)において得られた石膏繊維 試料3:実施例1のA−a(ポリビニールアルコール)において得られた 石膏繊維 試料4:実施例3のポリビニールアルコール0.005%において得ら れた石膏繊維 試料5:参考例1の滴定時間1分間において得られた石膏繊維 試料6:実施例3のポリビニールアルコール0.1%において得られた 石膏繊維 試料7:実施例1のD−b(タンニン酸)において得られた石膏繊維 試料8:実施例3のポリビニールアルコール0.3%において得られた 石膏繊維 試料9:実施例5の実験No.1において得られた石膏繊維 試料10:実施例5の実験No.4において得られた石膏繊維
【0056】
【表12】
【0057】表12の試験結果により、石膏繊維の径が
細いほど、またアスペクト比が高いほど繊維としての性
能が優れていることが認められる。
【0058】
【発明の効果】本発明方法によれば、好ましい繊維径と
アスペクト比を有する石膏繊維を、通常の大気圧でカル
シウム塩と硫酸根を含む塩を反応させることによって調
製することができるので、その生産性を飛躍的に高める
ことができ、且つその製造設備を飛躍的に簡素化しうる
ので、工業的規模の実施における効果は多大である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルシウム塩と硫酸根を持つ塩を水溶液
    中で反応させて石膏を生成するに当り、反応系を常圧と
    し且つ80℃以上の温度に維持し、反応系内にポリビニ
    ールアルコール、ぶどう糖、グリセリン、タンニン酸、
    ジエチレングリコールのいずれか1種類以上を存在させ
    て、カルシウム塩と硫酸根を持つ塩を反応させることを
    特徴とする石膏繊維の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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