JP2001047559A - ガラス被覆体 - Google Patents

ガラス被覆体

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JP2001047559A JP11225720A JP22572099A JP2001047559A JP 2001047559 A JP2001047559 A JP 2001047559A JP 11225720 A JP11225720 A JP 11225720A JP 22572099 A JP22572099 A JP 22572099A JP 2001047559 A JP2001047559 A JP 2001047559A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス層を密着性の良い状態で備えるガラス被
覆体を提供する。 【解決手段】金属基材4の表面に、基材4側に拡散可能
な金属原子の拡散層22を含む中間層20を介してガラ
ス層6を備える、ガラス被覆体2とする。このガラス被
覆体2によれば、基材4とガラス層6との間に、拡散層
22を備えるため、ガラス層6の成分が中間層20に拡
散しても、ガラス層6の密着性が確保される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、基材の表面をガ
ラス層で被覆したガラス被覆体に関し、特に、基材表面
に断熱性を発揮する層が形成されたガラス被覆体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】車両のエンジン等の内燃機関の排気が接
触する排気系部材等においては、かかる部材における蓄
熱量を低減して早期暖機、触媒の早期活性化を達成する
ことが求められている。また、燃焼効率の向上に伴う排
気ガス温度の上昇に対応して耐熱性を向上させる必要も
生じてきている。このため、排気系部材の金属製基材に
表面処理を施すことにより、断熱性能を向上させること
が検討されてきている。具体的には、金属製基材表面に
主としてセラミックス材料からなる層を形成することが
行われている。一般に、熱伝導性の小さいセラミックス
材料、たとえば、Fe2350重量%、ZrO230重
量%、Cr20重量%の組成のコーティング材料で成膜
して断熱層を形成することが行われている。しかしなが
ら、このような断熱層では、膜厚が1000μm程度必
要であった。
【0003】また耐熱性の高いガラス中に高輻射性の粒
子を分散させたガラス層を断熱層として利用する試みも
ある。かかる技術は、特開平10−287443号公報
に記載されている。この断熱層によれば、母層であるガ
ラス層の断熱性と輻射粒子による輻射性により、高い断
熱性能が期待される。このガラス層により、安定して断
熱性能を発揮させるには、ガラス層を密着性良く基材に
結合させる必要がある。しかしながら、高温使用時にお
いて、ガラス層中のSi成分の金属製基材側への拡散に
よって、ガラス層と基材との界面にはSiと基材金属と
の金属間化合物が形成され析出することがある。かかる
金属間化合物が形成されると、ガラス層が剥離しやすい
傾向があることがわかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
ガラス層を密着性の良い状態で備えるガラス被覆体を提
供することを、その目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高温での
使用時にガラス層成分の拡散が生じても、ガラス層と基
材との間を密着性良く結合させておくことのできる中間
層を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、
金属基材表面に、基材側に拡散可能な金属原子(以下、
単に拡散金属という。)の拡散層を含む中間層を介して
ガラス層を備える、ガラス被覆体である。このガラス被
覆体によれば、基材とガラス層との間に、拡散金属の拡
散層を備えるため、ガラス層の成分が中間層に拡散して
も、ガラス層の密着性が確保される。また、中間層は基
材に対して良好な密着性を有する。
【0006】この発明においては、前記中間層には、ガ
ラス層の構成成分を含有していることが好ましい。かか
る中間層によれば、ガラス層との良好な密着性が得られ
るとともに、ガラス層の成分の拡散による金属間化合物
の析出が有効に抑制される。また、前記拡散金属は、ガ
ラス層の構成成分(特に、ガラス層を構成する金属酸化
物の金属)でもあることが好ましい。
【0007】また、前記中間層の基材側には、拡散金属
の酸化物層を備えることも好ましい。かかる酸化物層に
より、耐酸化性が向上され、酸化によるガラス層の剥離
が抑制される。また、この酸化物層中の金属酸化物が、
ガラス層を構成する金属酸化物に一致することがより好
ましい。
【0008】また、前記中間層は、前記拡散金属として
アルミニウムを含み、前記金属製基材は鉄を含有するこ
とも好ましい形態である。拡散金属がアルミニウムであ
れば、鉄を含有する基材との間に良好な拡散層が得られ
る。
【0009】前記ガラス層は、ガラス組織と、このガラ
ス組織中に分散される輻射性粒子を備えることが好まし
い。この輻射性粒子が、前記ガラス組織の緻密部よりも
二酸化珪素含有率の高い被覆層を備える輻射性粒子、と
を有することがより好ましい。かかる形態によれば、ガ
ラス組織中の輻射性粒子により、高い断熱性能が得られ
る。したがって、薄いガラス層によって十分な断熱性能
が得られる。
【0010】かかるガラス被覆体が、排気系部材である
ことが好ましい。排気系部材において良好な断熱性能が
得られることにより、早期暖機、触媒の早期活性化が可
能となり、また、排気系部材の耐熱性も確保される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につて
詳細に説明する。本発明のガラス被覆体は、金属基材表
面に、拡散金属の拡散層を有する中間層と、この中間層
上にガラス層を備えている。本発明の一実施形態である
ガラス被覆体2を図1に例示して説明する。前記金属基
材4は、特に限定しないで各種金属単体、合金等を用い
ることができる。好ましくは、鉄(Fe)を含有する金
属基材であることが好ましい。より好ましくは、鉄を主
体とする各種鉄鋼材料である。また、ガラス被覆体2
が、排気管等の排気系部材を含む耐熱性が要求される用
途の部材の場合、基材4は、鋳鉄、各種ステンレス鋼、
鋳鋼等が好ましい。鋳鉄としては、球状黒鉛鋳鉄が好ま
しい。かかる鋳鉄としては、特に引張強さが400N/
mm2以上で、耐力が250N/mm2以上、伸びが18
%以上であることが好ましい。具体的には、JIS G
5502に示されるFCD500等である。
【0012】前記ガラス層6としては、二酸化ケイ素を
主成分として硼酸を含むボロシリケートガラスであるこ
とが好ましい。例えば、二酸化ケイ素含有率が96wt
%程度の高純度シリカガラスに酸化ホウ素を数wt%添
加して焼成した反応硬化ガラスや、二酸化ケイ素含有率
が81wt%程度のホウケイ酸ガラス等である。ガラス
層6としては、好ましくは、例えば、全体がボロシリケ
ートガラスからなって、熱膨張率が2×10-6/℃程度
のガラス母相8を有し、この母相8中に、SiO2 96
%、B23 3%、Al23 0.4%の高純度シリカガ
ラスに由来する高純度シリカ含有ボロシリケートガラス
からなる多孔質部10と、この高純度シリカガラスと酸
化ホウ素とからなりシリカ含有率82%の緻密質部12
とを有している。
【0013】また、より好ましくは、このガラス層中
に、輻射性粒子14を含有している。輻射性粒子14
は、ガラス層6全体において2.5wt%程度含まれて
いることが好ましい。かかる輻射性粒子14は、たとえ
ば、四ホウ化ケイ素(SiB4)あるいは六ホウ化ケイ
素等のケイ素ホウ化物、二ケイ化モリブデン、炭化ケイ
素、酸化鉄、窒化ケイ素、および酸化クロムのうち少な
くとも1種から形成される。好ましくは、ケイ素ホウ化
物である。そして、より好ましくは、その表面にシリカ
ガラスからなる被覆層16を備えている。かかる被覆層
16は、粒子14との界面部分の母相8、すなわち、緻
密質部12のシリカ含有率より高濃度にシリカを含有し
ていることが好ましい。具体的には、85wt%以上の
シリカを含有していることが好ましい。被覆層16は、
0.1μm〜数μm程度であることが好ましい。このよ
うなガラス層6の厚さは、10〜100μmが好まし
く、より好ましくは、25μm〜50μmである。
【0014】前記中間層20は、このような金属基材4
とガラス層6との間に形成されている。中間層20に
は、前記金属基材4側に拡散可能な金属、すなわち、拡
散金属を含有している。そして、かかる中間層には、か
かる拡散金属の濃度分布を有する拡散層22を備えてい
る。かかる拡散金属としては、基材4の種類にもよる
が、基材4が鉄を含んでいる場合、特に鉄を主体とする
場合には、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)等が
好ましい。特に、アルミニウムが好ましい。
【0015】また、中間層20には、ガラス層6に含ま
れる成分を含有することが好ましい。ガラス被覆体2を
高温で使用すれば、ガラス層6から中間層にガラス層6
の成分が拡散されるが、予め中間層20にガラス層6の
成分が含まれていることが好ましい。このような場合、
ガラス層6との密着性が確保されやすい。かかる成分と
しては、ガラス層6を構成する二酸化ケイ素以外の金属
酸化物の金属であることがより好ましい。特に、前記拡
散金属がガラス層6に含まれる金属でもあることが好ま
しい。ガラス層6に酸化アルミニウムを含有する場合に
は、拡散金属をアルミニウムとするのが好ましい。
【0016】さらに、中間層20には、中間層20の付
与時において、基材4からの金属が拡散され、本来的に
中間層20の組成にはない成分が含まれることになる
が、本来的に(予め)、中間層20の成分として基材4
に含まれる金属を含有させることもできる。例えば、基
材4が鋳鉄の場合には、鉄、ケイ素等を含有させること
ができる。なお、中間層20には、基材4およびガラス
層6には含まれない成分を含有することもできる。
【0017】このような中間層20を備えていることに
より、ガラス層6の成分が基材4側に拡散しても、拡散
金属の濃度分布のある拡散層22内に拡散されるため、
高濃度の基材金属と接触することが阻止されている。ま
た、このような拡散により、ガラス層6と中間層20の
間における熱膨張係数が良好に傾斜化される。
【0018】また、中間層20における拡散層22に
は、基材4中の金属も相互に拡散されている。すなわ
ち、拡散層22には、これらの合金層が形成されてい
る。したがって、中間層20は基材と良好な密着状態が
得られている。
【0019】特に、拡散層22のガラス層6側に、拡散
金属の酸化物層24が形成されていることが好ましい。
酸化物層24があると、基材4の酸化が抑制される。ま
た、この酸化物層24は、ガラス層6に含まれるケイ素
以外の金属の酸化物に一致することが好ましい。この場
合、使用時における拡散によりガラス層6と中間層20
とが酸化物層24を介して良好に結合される。
【0020】前記中間層20を備えることにより、例え
ば、基材金属の変態点温度付近(鋳鉄(変態点温度73
0℃)の場合、例えば、700℃及び850℃)に長時
間(例えば、50〜100時間)曝した場合でも、基材
成分の拡散層22への拡散が観察されるが、ガラス層6
に目立った変化はなく、ガラス層6の剥離が抑制され
る。この結果、基材金属の酸化も抑制される。また、ガ
ラス層6及び中間層20の密着強度も変態温度の上下に
おいて大きな変化はみられない。また、例えば、基材金
属の変態点温度(前記鋳鉄の場合約730℃)を通過す
るような冷熱衝撃ストレス(例えば、常温〜850℃)
を与えた場合でも、ガラス層の剥離が抑制される。この
結果、基材金属の酸化も抑制される。また、強い冷熱衝
撃ストレスを付与して、中間層20にクラックが生じる
場合であっても、ガラス層6の剥離は抑制される。
【0021】このような中間層20の厚さは、10〜2
00μmが好ましく、より好ましくは、25〜150μ
mである。また、特に拡散層22は、25〜100μm
であることが好ましい。さらに、この拡散金属の酸化物
層24は、数μm程度である。なお、拡散金属の酸化物
層24と拡散層22との間に、拡散金属単体層を備えて
いてもよい。
【0022】かかる基材4、ガラス層6、及び中間層2
0の好ましい組成の組合せとしては、基材4がFeを含
んでおり、ガラス層6が、SiO2−B23−Al23
系であり、中間層20が、Alの拡散層22とAlの酸
化物層24を備えている場合である。より好ましくは、
Al拡散層とAl酸化物層の中間にAl単体層を備えて
いる。このAl拡散層には、Al−Fe合金層が含有さ
れている。このような組み合わせのガラス被覆体2にお
いては、例えば、基材4が鋳鉄(変態温度約730℃)
の場合、それぞれ700℃及び850℃に50〜100
時間程度曝した場合において、基材成分の中間層20へ
の拡散が観察されるが、ガラス層に目立った変化はな
く、ガラス層6の剥離が抑制された。この結果、基材金
属の酸化も抑制された。また、ガラス層6及び中間層2
0の密着強度も前記変態温度の上下において大きな変化
はなかった。このことは、このガラス被覆体2を排気系
部材として使用するのに適していることを示している。
【0023】また、例えば、基材4を上記鋳鉄(変態温
度約730℃)とする上記組合せののガラス被覆体2の
場合、その変態温度を通過するような冷熱衝撃ストレ
ス、例えば、常温〜850℃の温度変化を1000回程
度与えた場合でも、ガラス層6の剥離が抑制されてい
た。この結果、基材金属の酸化も抑制された。また、こ
のような強い冷熱衝撃ストレスを付与して、中間層20
にクラックが生じる場合であっても、ガラス層6の剥離
は抑制された。このことは、このガラス被覆体2を排気
系部材として使用するのに適していることを示してい
る。
【0024】本発明のガラス被覆体は、良好な断熱性能
を有するとともに、高温においても剥離しにくい断熱層
を備えることから、特に、高温に曝される部位に使用さ
れ耐熱性の要求される部材に使用することが好ましい。
より好ましくは、繰り返し、冷熱衝撃ストレスが負荷さ
れる部材に使用することが好ましい。特に、車両等の内
燃機関の排気ガスに接触される排気管等の排気系部材に
用いることが好ましい。
【0025】また、ガラス層が輻射性粒子を含有するな
ど、輻射性の場合には、ガラス層の断熱効果は、熱の遮
断効果と放射冷却効果の相乗効果であるために、層厚が
100μm以下であっても、十分な断熱効果が得られ
る。特に、薄いガラス層(例えば、25μm〜50μm
のガラス層)によって十分な断熱効果が得られることか
ら、ガラス層が破損した際においても、かかるガラス層
の破片によって、ガラス被覆体に付与されている機能に
支障を起こしにくいというメリットがある。特に、排気
系部材において、表層剥離時においても、排気系に支障
を起こしにくくなっている。また、排気部材とは例え
ば、排気管、排気エンジンバルブ、ピストン、排気切り
替え弁、排気絞り弁、EGR通路、マフラー、ターボチ
ャージャー、コンバッションチャンバなどの部品のこと
をいう。
【0026】次に、このようなガラス被覆体の製造方法
について説明する。基材表面に、前記中間層を形成する
には、拡散金属を含む皮膜を形成し、その後熱処理して
拡散することもできるし、溶融メッキ法、あるいは拡散
浸透法を用いることができる。金属皮膜を形成後、熱処
理する場合、拡散金属を溶射法、物理蒸着法、化学蒸着
法、スパッタリング法等により、金属皮膜を形成し、そ
の後、熱処理し、熱拡散により拡散層を形成する。熱処
理は、拡散金属と基材金属との相互拡散が行われるよう
な温度及び時間で行われる。
【0027】溶融メッキ法による場合には、拡散金属を
含む溶融液に基材を浸せきして、溶融した拡散金属を基
材表面で凝固させることにより、基材表面を被覆すると
同時に、拡散金属と基材金属との相互拡散により拡散層
(合金層)が形成される。溶融メッキは、鋼鉄や鋳鉄に
対してアルミニウムの拡散層を付与するのに都合が良
い。また、内表面、溶射法等では被膜を形成しにくい場
所に拡散層を付与したい場合に都合がよい。このような
点から、特に、排気管等の排気系部材に付与するのに好
ましい。
【0028】溶融メッキにおいては、メッキ浴中におい
て基材金属と拡散金属との合金層(拡散層)が形成され
る。また、メッキ浴から取り出す際に、溶融金属が付着
するとともに、その表面が自然酸化され、酸化物層が形
成される。酸化物層の形成を抑制することもできる。
【0029】拡散浸透法は、気相あるいは固相から基材
中に金属を拡散浸透させる方法である。例えば、アルミ
ニウム粉末とアルミナ粉末中に、基材を埋設し、加熱す
る。固相における組成は適宜選択される。粉末中から出
した後、さらに加熱して拡散を促進してもよい。
【0030】このようにして基材表面に金属被膜を付与
する際、金属表面は、脱脂、酸洗浄、乾燥等、それぞれ
の処理に適した前処理が施されるのが好ましい。また、
金属被膜は、単一の拡散金属でなく、基材金属やガラス
層に含まれる金属を含んでいてもよく、さらに、その他
の添加物を含んでいてもよい。このような金属被膜を形
成するのに、上記したそれぞれ方法において、適切な被
膜材料が選択される。
【0031】このようにして拡散層を有する中間層を形
成したら、次いで、ガラス層を付与する。ガラス層の付
与は通常の方法を適用することができる。ガラスペース
トを調製して、それを塗布、浸漬、噴霧等により中間層
表面に付与する。付与後、所定の条件で加熱処理して、
ガラス層を形成する。特に、前記輻射性粒子を分散して
含有するガラス層を形成する場合には、特開平10−2
87443に開示されている方法によって製造すること
ができる。すなわち、四ホウ化ケイ素等を高純度で含有
する粒子を、無機高分子液に添加し混合し、この分散液
をスプレードライヤー等で噴霧して熱風乾燥する。これ
により、無機高分子液が乾燥され縮合されて、粒子表面
に無機高分子膜が形成される。さらに、この粒子群を大
気中で熱処理すると、無機高分子が酸素と結合させられ
て二酸化ケイ素が生成される。この結果、粒子表面に二
酸化ケイ素のガラス膜を備えた輻射性粒子が得られる。
さらに、この輻射性粒子と、反応硬化ガラス原料粉体
と、分散剤、保形剤とを混合してガラスペーストが形成
される。このガラスペーストをスプレーガンに充填し、
中間層表面に吹き付け塗布し、熱処理することにより、
高純度シリカガラス被覆輻射性粒子含有ガラス層を得る
ことができる。
【0032】また、ガラス層の熱膨張係数は、中間層の
熱膨張係数に近似させることが好ましい。このようにす
ると、中間層とガラス層界面との結合性を良好に確保で
きる。例えば、中間層がアルミニウム拡散層を含む場
合、ガラス層の熱膨張係数を8×10-6/℃程度に適合
させることが好ましい。
【0033】なお、ガラス層を形成するのに先だって、
中間層表面を脱脂、洗浄することが好ましい。一方、酸
洗浄やショットブラスト等、中間層表面を粗面化、ある
いは部分的に破壊する処理を避ける方が好ましい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス層を密着性よく
金属製基材表面に保持することができるため、ガラス層
付与の有効性が安定して発揮される。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体例について説明する。本
実施例は、内燃機関の排気管に本発明を適用した例であ
る。この排気管40は、図2に示すように、長さ100
mm、外径70mm、内径60mmで5mm厚の球状黒
鉛含有鋳鉄(FCD500)の円筒状体を基材42とし
て形成されており、内部に排気ガスが通過するようにな
っている。この基材42の内表面を予め脱脂、及び酸洗
浄した後、乾燥した後、670℃〜700℃の溶融アル
ミ浴(Al:99wt%以上、Si:0.50wt%以
下、Fe:0.80wt%以下)に数分間浸漬して、こ
の基材42の内表面に約25μmのアルミ拡散層を有す
る中間層44を形成した。アルミ拡散層には、Fe−A
lの合金層の形成が確認された。また、この中間層44
の最表面には、アルミ酸化被膜が形成され、その内側に
はアルミ層が形成されていた。
【0036】このようにして中間層44を形成した後、
輻射性粒子として、四ホウ化ケイ素粒子の表面を、純度
が98wt%以上のシリカガラス層で被覆された輻射性
粒子(2.5wt%)と、反応性硬化ガラス(組成:S
i−B−Al)(95wt%)とを含有するガラスペー
ストを噴霧し、約900℃にて焼成し、輻射性ガラス層
を形成した。なお、ガラスペーストは、熱膨張率が8×
10-6/℃となるように調製されたものを使用した。こ
の結果、図3に拡大して示すように、基材42の内表面
に約25μmの中間層44と約25μmのガラス層46
からなる被膜48が形成された。
【0037】このようにガラス層46で被覆した本実施
例の排気管40をターボ排気管として利用して、エンジ
ン排気ガスを通過させ、排気温度(℃)と排気管外面温
度(℃)とを測定した。比較例として、表面が未処理の
状態である以外は、本実施の排気管について、同様の試
験を行った。この結果を、図4に示す。
【0038】図4に示す結果によれば、排気温度850
℃付近においては、実施例の排気管40の外面温度が約
700℃であったのに対し、比較例の排気管の外面温度
は約820℃であった。すなわち、排気ガス温度850
℃において、本実施例の排気管40については、比較例
の排気管に比較して約120℃の断熱効果が得られるこ
とがわかった。なお、従来のセラミックス断熱層(約1
000μm厚)では、同様の試験において、約70℃
(排気ガス温度850℃)の断熱効果しか得られていな
かった。本実施例のガラス層46による断熱効果があれ
ば、鋳鉄(変態温度約780℃)を排気管基材として十
分に使用できることがわかった。また、約25μmの層
厚のガラス層46により十分な断熱効果が得られた。
【0039】次に、本実施例の排気管40につき、球状
黒鉛鋳鉄(FCD500)の変態温度730℃より低い
700℃と、当該温度より高い850℃でそれぞれ10
0時間および50時間放置して、放置前後のガラス層の
剥離の有無と重量増加率(酸化物重量)と、密着強度を
測定した。この結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示すように、本実施例の排気管40
については、いずれの温度においてもガラス層46の剥
離がなかった。また、重量増加も観察されず、高温酸化
がないことが確認された。さらに、密着強度も安定して
維持されていた。特に、変態点を超える温度(850
℃)においても、十分な密着強度が維持されていた。こ
のことから、本実施例の排気管40は、十分な耐熱密着
性を有することがわかった。
【0042】さらに、本実施例の排気管40につき、条
件1(常温(送風、2分)〜700℃(高温炉中、4
分))、および条件2(常温(送風、2分)〜850℃
(高温炉中、4分))の2種類の冷熱サイクルを、それ
ぞれ130回実施したところ、いずれの場合において
も、ガラス層46の剥離は観察されなかった。また、上
記2種の冷熱サイクル条件をそれぞれ1000回実施し
て、冷熱耐久性を評価したところ、いずれの場合におい
てもガラス層46の剥離は観察されなかった。このこと
から、本実施例の排気管40は、冷熱衝撃に対しても十
分な密着性があることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す図である。
【図2】本発明の排気管に適用した実施例を示す図であ
る。
【図3】実施例における中間層とガラス層との積層構造
を示す図である。
【図4】実施例の排気管をエンジン排気ガスに曝した際
の断熱効果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
2 ガラス被覆体 4 基材 6 ガラス層 20 中間層 22 拡散層
フロントページの続き (72)発明者 岡田 恭明 愛知県大府市共和町一丁目1番地の1 愛 三工業株式会社内 (72)発明者 矢野 賢司 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 (72)発明者 福井 隆光 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番36 号 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 内 Fターム(参考) 3G004 DA01 DA15 EA05 FA04 FA07 GA07 4F100 AA17B AA37 AB01A AB01B AB02A AB10B AB31 AG00B AG00C BA03 BA10A BA10C BA13 DA11 DE01C GB32 JD11C JJ02 JJ03 JK06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属製基材表面に、基材側に拡散可能な金
    属原子の拡散層を含む中間層を介してガラス層を備える
    ガラス被覆体。
  2. 【請求項2】前記中間層には、前記ガラス層の構成成分
    を含有している、請求項1記載のガラス被覆体。
  3. 【請求項3】前記拡散可能な金属は、ガラス層の構成成
    分でもある、請求項1記載のガラス被覆体。
  4. 【請求項4】前記中間層の前記ガラス層側には、前記拡
    散可能な金属の酸化物層を備える、請求項1〜3のいず
    れかに記載のガラス被覆体。
  5. 【請求項5】前記中間層には、前記拡散可能な金属とし
    てアルミニウムを含み、前記金属製基材は鉄を含有す
    る、請求項1〜4のいずれかに記載のガラス被覆体。
  6. 【請求項6】前記ガラス層は、ガラス組織と、このガラ
    ス組織中に分散される輻射性粒子、とを有する、請求項
    1〜5のいずれかに記載のガラス被覆体。
  7. 【請求項7】前記ガラス被覆体は排気系部材である、請
    求項1〜6のいずれかに記載のガラス被覆体。
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