JP2001047106A - 疲労強度の高い熱延鋼板とその製造方法 - Google Patents

疲労強度の高い熱延鋼板とその製造方法

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JP2001047106A
JP2001047106A JP21914799A JP21914799A JP2001047106A JP 2001047106 A JP2001047106 A JP 2001047106A JP 21914799 A JP21914799 A JP 21914799A JP 21914799 A JP21914799 A JP 21914799A JP 2001047106 A JP2001047106 A JP 2001047106A
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hot
rolling
fatigue strength
rolled steel
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JP21914799A
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English (en)
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Kiyoshi Fukui
清 福井
Mamoru Furuta
守 古田
Osamu Sakata
脩 酒田
Zenichi Mori
善一 森
Toshio Fujiki
敏夫 藤木
Toshio Fujiwara
敏雄 藤原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間加工に続いて打抜き加工を行い、必要に
より熱処理を行う、高い疲労強度を備えた自動車部品に
代表される部品を製造する熱間圧延鋼板とその製造方法
を提供する。 【解決手段】鋼中のC、Si、Mn、およびSが(1) および
(2) 式を満足し、熱間圧延後、酸洗、そして調質圧延
し、鋼板の圧延方向、幅方向のそれぞれの平均粗さ Ra
(μm)、表面粗さ Rz(μm)が(3) 、(4) 式を満足するよ
うにする。 0.05≦Ceq.≦1.20 ・・・(1) ただし、Ceq.=C%+1/6Mn%+1/24Si% -2.5・102×S+2 ≦log(Mn/S) ≦-2.5・102×S+5.0 ・・・(2) ただし、S≦0.025 % (0.20×W/1000+0.4×t+2.25) ×1.0 <Rz<(0.20 ×W/1000 +0.4×t+2.25) ×5.0 ・・・(3) 0.1-(0.04×W/1000)(6/5) <Ra/Rz <0.2-(0.04×W/1000)(6/5) ・・・(4) ただし、調質圧延前の熱延鋼板の板厚=t(mm)、同じく
板幅=W(mm) 上下ワークロールにダルロールを用いて、(5) 式に規定
する伸び率Red(%)で調質圧延を施す。 W/100+1/t×5-8 <Red <W/100+1/t×5+1 ・・・(5)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部品に代表
される高い疲労強度が求められる部品の製造に適した熱
延鋼板とその製造方法に関する。さらに詳述すれば、本
発明は、冷間圧延を行い、次いで打抜加工あるいは精密
打抜加工を行い、これらの加工後あるいはこれらの加工
に続く熱処理後に、高い疲労強度を発揮しうる熱延鋼板
とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間加工・熱処理が行われた自動車部
品における疲労寿命 従来、自動車用ギヤを中心とした部品は、条鋼に熱間鍛
造加工を行ってから、焼準し、焼入れ・焼戻し等の調質
熱処理、および切削による仕上加工を行うことでその多
くが製造されている。これらの部品は、繰り返し付加さ
れる応力、例えば、回転時のトルク、摺動等により表面
に強い応力が加わる場合の疲労寿命はその材料強度、あ
るいは鋼中の介在物等の欠陥に支配されると考えられて
きた。つまり、従来、切削などの仕上げ加工の段階で表
面の粗度が所定の精度に制御されるため、これらの部品
はいずれも同様な粗度を有することになり、これまで表
面粗度の影響は確認されなかった。
【0003】新たな冷間加工方法に伴う疲労寿命の支
配要因の変化 上述のように、従来、疲労強度は鋼材の強度、鋼中の介
在物等の欠陥、打抜破面の形状に主に支配されていると
考えられてきた。一方、最近の自動車用ギヤ等の部品へ
の新たな成形技術として、転造加工、スピニング成形に
よる増肉加工、精密打抜法等の端面の粗度が精細な加工
法が広く用いられてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
加工に適用される素材は、一般に条鋼ではなく薄鋼板に
移ってきている。薄鋼板の場合、被加工領域と、未加工
領域の境界に、微細な溝状の欠陥が発生する場合があ
り、冷間加工後の疲労強度は充分とは言えない。
【0005】ここに、本発明の一般的な目的は、冷間鍛
造、精密打抜等の加工を含む冷間加工後の疲労強度が高
い製品を得ることである。より具体的には、本発明の目
的は、冷間加工に続いて打抜き加工を行い、必要により
熱処理を行う、高い疲労強度を備えた自動車部品に代表
される部品を製造する熱間圧延鋼板とその製造方法を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述のように薄鋼板の場
合に生じる微細な溝状の欠陥は、その後の研究の結果か
ら、熱間圧延時に生じた母材表面の粗さが残留して生じ
たものであると考えられ、このような界面における溝状
の欠陥が、疲労強度の支配要因の一つと新たに考えられ
るようになった。つまり、このような界面における溝状
の欠陥が、疲労強度の支配要因の一つであることが判明
したのである。
【0007】一方、従来にあっても、このように表面粗
さを規定した発明は、特開昭56−144802号、特開平6−
312202号、特開平9−241802号各公報に提案されてお
り、これらの発明では表面の平均粗さを一定基準範囲以
内に管理し、その美麗さ、塗料密着性、塗油量に関する
優位性、さらには絞り加工における摺動性や型かじり抑
制効果を規定している。しかし、これらの場合にあって
は、まだ、前述のような冷間加工部品の疲労強度を改善
することについては何等言及することがなく、また表面
粗さと疲労強度との関連についても何ら示唆されること
はない。
【0008】ここに、本発明者らは、冷間加工部品の疲
労強度に対する表面粗さの影響については種々検討を重
ね本発明を完成した。すなわち、本発明者らは、特定の
疲労強度を付与しうる化学組成の鋼板に対し、疲労強度
を阻害しうる表面欠陥につながる表面粗さ条件を求める
べく、疲労強度において優位性を得られる表面粗さ条
件を明確化すること、そのような表面粗さを得られる
製造条件を確立することについて次のごとき検討を重ね
た。
【0009】疲労強度において優位性を得られる表面
粗さ条件の明確化 表面粗さは、JIS B 0601に記載される粗度Ra、Rz (μ
m)、Rmax (μm)で規定される。平均表面粗さはRaは、単
位測定長さあたりの平均表面粗さを規定するもので、こ
の平均表面粗さでもって疲労強度を支配する局部的な粗
さ欠陥を規定することは困難である。一方、Rmaxは、単
位測定長さあたりの最大粗さを規定するものであるが、
加工方法による疲労破壊の起点となる欠陥に相当する粗
さよりも大きな数値が検出される上、測定範囲の差異に
よる変動もある。
【0010】このため、最大粗さから10番目までの表面
粗さの平均値Rzを、疲労強度を支配する要因として規定
し、その粗さの低減目標を規定する。一方、表面粗さRz
を低減すると、平均粗さRaも比例して減少する。Raが過
度に減少すると、鋼板表面の摩擦抵抗が減少して、巻取
り、搬送、あるいは必要に応じて焼鈍を行う際に、巻緩
み等による擦過疵が生じる。このため、平均粗さRaは所
定値以上を確保する必要がある。
【0011】これらの知見を整理すると、粗さ自体が欠
陥となるRzは低減し、製造工程において不可避的に生じ
る疵欠陥の原因となるRaは過度に低減することなく適正
な数値を確保することで、本発明の目的である冷間鍛
造、精密打抜等の加工を含む冷間加工後の疲労強度が高
い製品が得られる。
【0012】所定の表面粗さを得るための製造条件の
確立 上記に規定する表面粗さを確保するためには、調質圧
延において適当な表面粗さのダルロールを用いかつ、ロ
ール粗さを鋼板表面へ転写するために、適当な圧下率を
付与する必要がある。
【0013】ロール粗さを鋼板表面に適当な条件で転写
するには、調質圧延において適切な伸び率を付与する必
要がある。このプロセスにおける伸び率は、鋼板の板厚
クラウンにも依存するが主として調質圧延における変形
抵抗を支配する鋼板の幅、板厚に依存することがわかっ
た。
【0014】そこで、本発明者らは、に提起した粗さ
条件を確保するための、板厚、板幅条件に適合した圧下
率条件を明確化できるとの見解に至った。すなわち、本
発明者らは、冷間加工後、さらにはそれにつづく熱処理
後の疲労強度の高い部品に好適な熱延鋼板を得るには、
鋼板に疲労強度を付与するために、鋼中のC、Si、Mnに
関しCeq.=C%+1/6Mn%+1/24Si% で規定する数値が式
(1)を満足し、かつ、鋼中のMn、SがS≦0.025 %で(2)
式を充足し、酸洗後、調質圧延されたコイルの表面に
おいて、鋼板の圧延方向および幅方向のそれぞれの平均
粗さRa (μm)および表面粗さRz (μm)が(3) 、(4) 式を
満足することが有効であることを見い出した。
【0015】 0.05≦Ceq.≦1.20 ・・・(1) -2.5・102×S+2 ≦log(Mn/S) ≦-2.5・102×S+5.0 ・・・(2) (0.20×W/1000+0.4×t+2.25) ×1.0 <Rz<(0.20 ×W/1000 +0.4×t+2.25) ×5.0 ・・・ (3) 0.1-(0.04×W/1000)(6/5) <Ra/Rz <0.2-(0.04×W/1000)(6/5) ・・・ (4) 但し、調質圧延前の熱延鋼板の板厚=t(mm)、板幅=W
(mm) また、上記(1) 、(2) 式を満足する鋼板で、C量の高い
鋼板に関しては、ここで規定した成分の鋼板に対し、酸
洗後必要に応じて箱焼鈍を施し、表面粗さを示すRa (μ
m)、Rz (μm)が(3) 、(4) 式を満足し得る熱延鋼板が本
発明の目的に対し有効であることを見い出した。
【0016】さらに、本発明者らは、酸洗処理後、上下
ワークロールに対しダルロールを用いた調質圧延を行
い、調質圧延前の熱延鋼板の板厚=t(mm)、板幅=W(m
m)としたとき、調質圧延コイルの表面粗さを示すRa (μ
m)、Rz (μm)が(3) 、(4) 式を満足し得るために(5) 式
に規定する伸び率Red(%)で調質圧延を施すことで冷間加
工後、あるいはさらに熱処理を行う場合はその熱処理後
の疲労強度の高い部品に好適な熱延鋼板が得られること
を見い出した。 W/100+1/t×5-8 <Red <W/100+1/t×5+1 ・・・ (5)
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本明細書において鋼組成を示す「%」は
とくにことわりがないかぎり、「重量%」である。
【0018】素材鋼: (a) Ceq. (C当量) Ceq.で示すC当量は、主としてこれら鋼板の強度を支配
するC、Si、Mnの比率で規定し、Ceq.=C%+1/6Mn%+1/
24Si% とする。この場合、Ceq.は0.05以上含有しなけれ
ば、冷間加工状態での疲労強度が目的数値に届かない。
また、Ceq.は1.20超となると、冷間加工において割れ等
の欠陥が生じ、疲労強度を著しく低下させる。
【0019】以上の理由から、Ceq.を0.05≦Ceq.≦1.20
の範囲と定めた。また、C量が増大すると冷間加工性が
劣化することから、材質および加工条件により鋼組織を
軟質な球状化セメンタイトとするため適宜、箱焼鈍を実
施することが好ましい。本発明の場合、Ceq.≧0.30%で
箱焼鈍を施すことが望ましい。
【0020】本発明にかかる熱延材を自動車部品用に用
いる場合、その引張強度を高めるため、下記の範囲のC
量および合金成分を含有させることが望ましい。 C:0.08〜1.00%、 Si:0.05〜0.50%、 Mn:0.05〜
1.00%、S: 0.025 %以下、 P:0.020 %以下、さら
に必要に応じて、Cr:0.40〜1.20%、Mo:0.05〜0.50
%、V:0.05〜0.50%のうち一種以上を含有し、 残部不可避不純物を除いてFe 上記鋼組成において、Cは所要強度を確保するために添
加し、Siは、主に酸化物の低減による疲労強度の向上を
目的に、Mnは焼戻硬度の上昇による疲労強度の向上を目
的に添加される。Pは不純物として0.020 %以下に制限
される。Cr、Mo、V は少なくとも一種が疲労強度の向上
のために添加される。
【0021】この際、成形時の加工性を確保するため伸
びの向上が必要となり、C量が0.2%を超える場合、さ
らに、Mn、Cr、Mo、Vを含有する場合、調質圧延前に必
要に応じて箱焼鈍を実施することが望ましい。
【0022】(b) Mn、S量の規定 冷間加工の際の加工割れ、冷間加工、または熱処理後の
疲労強度の低下を防止するため、S量はできるだけ低減
する必要がある。そこで、本発明ではS量の上限値を0.
025 %としたが、実用的には0.015 %以下とするのが望
ましい。
【0023】また、加工性、疲労強度向上を目的として
Mn/Sの数値は、鋼中のMnS (マンガンサルファイド=
硫化マンガン) を微細化するため特定の範囲内に制限す
る。そこで本発明では、種々の鋼を用いた伸び試験を行
い調査した結果、Mn、Sの含有バランスの最適領域を経
験則として規定できることを見い出し、範囲を−250×
S+2≦log(Mn/S) ≦−250 ×S+5.0 と規定した。
【0024】表面粗さ: (c) 表面粗さRz(mμ) 表面粗さに関しては、Ceq.>0.05で球状化焼鈍を施し、
調質圧延した熱延鋼板を、板幅方向における端部および
中央部の任意の部位より供試材をサンプリングし、精密
打抜後、焼入れ焼戻し、繰り返し引張りによる疲労強度
を評価した事例から最適粗さ条件を検証した。
【0025】ここでの、Rzは幅方向端部、中心部より任
意に抽出した50mm幅×200 mm長さの供試材の中央部の長
手方向、幅方向の平均値で定義した。この時、調質圧延
による板幅W(mm)の増大、あるいは板厚t (mm)の減少に
より、伸び率確保のための荷重が変動するとともに、コ
イル内での擦り疵の発生頻度も幅、板厚に依存した張力
に依存することから、Rzは幅、板厚の変動量に適合した
条件式で規定した。
【0026】この結果、Rzは (0.20×W/1000+0.4×t+
2.25) ×5.0 以上で、疲労強度の低下が見られた。また
(0.20×W/1000+0.4×t+2.25)×1.0 以下では、鋼板表
面に部分的な擦り疵が散見され、この部位から採取した
試験片で疲労強度を調査した結果、上記Rz値以下の平滑
な表面にもかかわらず疲労強度が低下した。以上のこと
から、表面の擦り疵を防止目的でRz(mμ) を下記の範囲
と規定した。
【0027】(0.20 ×W/1000+0.4 ×t+2.25) ×1.0
<Rz<(0.20×W/1000+0.4 ×t+2.25) ×5.0 なお、表面粗さRzは鋼板の幅方向および圧延方向のいず
れにおいても上述の関係を満足することが求められ、い
ずれか一方が満足しない場合には、表面粗さの増大によ
り疲労限が低下する。
【0028】(d) 平均粗さRa/ 表面粗さRz(Ra/Rz) 平均粗さRa (μm)は、その値が小さいほど冷間加工部品
の表面は美麗になり、熱処理後の摺動摩擦抵抗等の緩和
に有効である。一方、過度にRaが小さいと、摩擦抵抗の
減少によりコイル内の板間で製造中に擦れが生じ、この
際に表面に有害な疵が発生する場合が多い。一方、表面
粗さRzは適度な表面粗さピークの存在を意味し、たとえ
Raが小さくて美麗でも、局部的な粗さ変動の大き. 領域
で上記の擦れの抑制に有効である。
【0029】そこで、本発明では、Raは適度に小さく、
かつこすれの防止を目的として特定量のRz値を維持する
ため、Ra/Rz を特定値以下に維持する。ここで規定する
パラメーターRa/Rz は、コイルの製造過程において、コ
イルから製造された部品の疲労強度を支配する表面疵の
発生頻度に影響を与える。
【0030】すなわち、Ra/Rz が所定値よりも小さい
と、表面が過剰に平滑になり、鋼板表面が擦過して疵を
発生しやすく、この疵が後の部品の疲労破壊の起点とな
る可能性が高まる。一方、Ra/Rz が所定値よりも大きい
と、表面粗さ自体が疲労破壊の起点となる可能性が高ま
る。この結果、本発明では種々の製造条件での表面の疵
の発生頻度を参考としつつ、その疲労限を調査し、経験
則としての最適値を相関式として規定した。
【0031】(c) と同じく伸び率確保のための荷重、コ
イル内での擦り疵の発生頻度も幅、板厚に依存した張力
に依存することから、(c) と同じ採取・測定条件でコイ
ル内の板幅とRa/Rz の相関も規定した。(c) と同じくCe
q.>0.05で球状化焼鈍した鋼板を、板幅方向端部から中
央の間の任意の部位より供試材をサンプリングし、精密
打抜後、焼入れ焼戻し、繰り返し引張りによる疲労強度
を強化した事例から最適粗さ条件を検証した。
【0032】Ra/Rz が 0.1−(0.04 ×W/1000)(6/5)
下では鋼板表面に部分的な擦り疵が散見され、この部位
から採取した試験片では疲労強度が低下した。一方、Ra
/Rz が 0.2−(0.04 ×W/1000)(6/5) を超えると、幅端
部から採取した供試材での疲労強度が低下した。
【0033】以上の結果から、本発明におけるRa/Rz の
数値範囲を次の如く規定した。 0.1−(0.04 ×W/1000)(6/5) <Ra/Rz <0.2 −(0.04 ×
W/1000)(6/5) ここで、上記関係式では、実施例のデータの中から幅方
向の絶対値のみで疵発生に影響を与えるパラメーターRa
/Rz が規定できないが、乗数を含めて整理すると上述の
ように規定できることから、乗数(6/5) をともなった相
関式とした。
【0034】なお、Ra/Rz は、鋼板の幅方向および圧延
方向のいずれにおいても上述の関係を満足することが求
められ、いずれか一方において上述の関係式を満足しな
い場合には、表面疵の顕在化により疲労限が低下する。
【0035】製造条件 (e) 調質圧延および伸び率 調質圧延はダルロールを用いて行うが、そのときの表面
粗度の程度は通常のものであれば特に問題はない。例え
ば、Ra 0.1〜0.3 μm、Ra 1.0〜1.5 μm、Ra2.0〜3.0
μm等のダルロールを用いることができる。
【0036】上記Rz、Ra/Rz の各条件を、鋼板の幅方向
および圧延方向のいずれにおいても、満足させるため、
調質圧延ロールの表面粗度を鋼板表面に転写できるだけ
の調質圧延伸び率を確保する必要がある。
【0037】本発明では、調質圧延での相応の伸び率:
Red を確保することによって、板幅(W) の増大、板厚
(t) の減少にともなって変化する表面粗度を上記粗度条
件を満足する範囲内とすることができる。
【0038】すなわち、本発明において、伸び率条件
を、粗さ条件の相関を調査した結果、上記Rz、Ra/Rz 確
保のためには伸び率%は W/100+1/t×5-8 が必要であっ
た。一方、伸び率%が W/100+1/t×5+1 を超えると、表
面に疲労強度を低下させうる擦り疵が散見された。
【0039】以上の結果、本発明における調質圧延伸び
率Red の範囲を次の如く規定した。W/100+1/t×5-8 <R
ed < W/100+1/t×5+1以上、粗さ条件、伸び率条件を充
足するためには、板幅の上限を小さくすることが望まし
い。
【0040】本発明品の用途において、大型部品への適
用は希であり、さらに、広幅になると疵の発生頻度が増
えることから、熱延鋼板として、最大幅は1200mmとする
ことが望ましい。また、操業上の効率、歩留を鑑みる
と、最小板幅は700 mmとすることが望ましい。なお、板
厚は好ましくは700 〜1000 mm 程度で充分である。
【0041】(f) 焼鈍条件 焼鈍条件は特に規定しないが、鋼中の組織を球状化セメ
ンタイトとするために、670 ℃以上の箱焼鈍を適用する
のが望ましい。
【0042】本発明にかかる熱延鋼板は、次いで冷間加
工および必要によりさらに熱処理を行って目的とする冷
間加工品とするのであるが、その場合の冷間加工および
熱処理は特に制限はなく、例えばすでに述べたような転
造加工を行い、次いで熱処理として焼入れ、焼戻しを行
えばよい。次に、実施例によって本発明の作用効果をさ
らに具体的に説明する。
【0043】
【実施例】実施例1 本例では、表1に示す鋼組成を有する転炉溶製した鋼1
を熱間圧延して熱延コイルとし、酸洗後、ショットグリ
ット照射したダルロールを用いて、種々の調質圧延条件
で調質圧延した。
【0044】コイル全長にわたって天側表面の板幅端か
ら25mmおよび中央近傍での疵有無を調査し、疵深さ0.2
mm以上の疵が検出された場合には疵ありと判定し、その
部分から試験片を採取した。また、該当する疵がない場
合、コイル長手方向のボトム側から試験片を採取した。
【0045】板幅端から25mmおよび中央から採取した試
験片を用いて、コイル天側の表層の粗さRz、Raを、圧延
方向、幅方向で測定した。また、コイル全長にわたって
天側表面の板幅端から25mm、中央近傍での疵有無を調査
し、疵深さ0.2 mm以上の疵が検出された場合には疵あり
と判定し、その部分から試験片を採取した。
【0046】このとき、試験片からは、35×180(mm) の
形状の繰り返し引張試験片を切り出し、12mmφのセンタ
ー穴パンチをクリアランス3.3 %で打抜き、端面のせん
断面比率をほぼ100 %として疲労試験に供した。
【0047】表1に示すように鋼1での評価の結果、調
質圧延前の板厚2.5 mmのコイルでは調質圧延の伸び率の
増大に伴い、コイル幅端部、中央部での表面粗さRz、ま
たは本発明の指針であるRa/Rz は、圧延方向(長手方
向)および幅方向のいずれにおいても減少することが明
らかとなった。
【0048】この時、これら表面粗さ指数が大きい工法
1では、疲労限が他の工法に比べ低い。一方、調質圧延
伸び率が過度に大きい工法6では、表面に擦り疵が検出
され、この部位での疲労限は他の工法と比べ低いことが
判明した。
【0049】同様に板厚5.5 mmでも、表面粗さ指数が大
きい工法7では、疲労限が他の工法に比べ低い。一方、
調質圧延伸び率が過度に大きい工法12では、表面に擦り
疵が検出され、この部位での疲労限は他の工法と比べ低
いことが判明した。
【0050】実施例2 本例では、実施例1の調質圧延に先立って球状化焼鈍を
行った。つまり、表2に示す鋼2を用い、酸洗後、打ち
抜き時の端面のせん断面比率を高めるための軟質化を目
的として表2に示した条件での球状化焼鈍を行ったコイ
ルに上記条件の調質圧延を施し、上記条件で試験片を採
取後、表2の条件で焼入れ、焼戻しを行い、疲労強度を
評価した。
【0051】表2に示すように鋼2での評価の結果で
も、板厚2.5 mmのコイルでは伸び率の増大に伴い、コイ
ル幅端部、中央部での表面粗さRz、また本発明の指針で
あるRa/Rz の減少がみられた。
【0052】この時、これら表面粗さ指数が大きい工法
13では、疲労限が他の工法に比べ低い。一方、調質圧延
伸び率が過度に大きい工法18では、表面に擦り疵が検出
され、この部位での疲労限は他の工法と比べ低いことが
判明した。
【0053】同様に板厚5.5 mmでも、表面粗さ指数が大
きい工法19では、疲労限が他の工法に比べ低い。一方、
調質圧延伸び率が過度に大きい工法24では、表面に擦り
疵が検出され、この部位での疲労限は他の工法と比べ低
いことが判明した。
【0054】実施例3 本例では、表3に示すように、板厚5.5 mm×板幅 960mm
のコイルに対し、表1の工法22の調質圧延を施し、化学
組成の影響を調査した。
【0055】この結果、Ceq.の低い材質では疲労限が低
い。疲労限>150N/mm2を合格条件とすると、鋼4〜8は
十分な疲労限が得られる。しかし、鋼15、16はlog(Mn/
S) が本発明範囲を超えるため、伸びが低下すると共
に、疲労限が低下した。
【0056】実施例4 本例では、表4に示すように、板厚2.5 mm×板幅 960mm
のコイルに対し、表2の工法15の調質圧延を施し、化学
組成の影響を調査した。
【0057】この結果、鋼17、20はlog(Mn/S) が本発明
範囲を超えるため、疲労限が低下した。一方、Ceq.が上
限を超える鋼25、26では疲労限が低い。疲労限>300N/m
m2を合格条件とすると、本発明外の鋼成分の鋼17、20、
25、26は目標とする疲労限が得られない。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、自動車部品に代表されるような、冷間加工後に熱処
理を行って疲労強度の高い部品とするに好適な熱延鋼板
が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23G 1/08 C23G 1/08 (72)発明者 酒田 脩 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 (72)発明者 森 善一 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 (72)発明者 藤木 敏夫 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 (72)発明者 藤原 敏雄 和歌山市湊1850番地 住友金属工業株式会 社和歌山製鉄所内 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD01 AD06 BB09 BD09 BD10 CA02 CB01 4E016 AA03 CA09 DA11 4K037 EA04 EA05 EA15 EA27 4K053 PA02 PA12 QA01 QA03 RA05 RA14 SA04 SA06 SA13 TA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中のC、Si、Mn、およびSが(1) およ
    び(2) 式を満足し、熱間圧延後、酸洗され、そして調質
    圧延された熱延鋼板であって、熱延鋼板の圧延方向、幅
    方向のそれぞれの平均粗さRa (μm)、表面粗さRz (μm)
    が(3) 、(4)式を満足する、疲労強度の高い熱延鋼板。 0.05≦Ceq.≦1.20 ・・・(1) ただし、Ceq.=C%+1/6Mn%+1/24Si% -2.5・102×S+2 ≦log(Mn/S) ≦-2.5・102×S+5.0 ・・・(2) ただし、S≦0.025 % (0.20×W/1000+0.4×t+2.25) ×1.0 <Rz<(0.20 ×W/1000 +0.4×t+2.25) ×5.0 ・・・(3) 0.1-(0.04×W/1000)(6/5) <Ra/Rz <0.2-(0.04×W/1000)(6/5) ・・・(4) ただし、調質圧延前の熱延鋼板の板厚=t(mm)、同じく
    板幅=W(mm)
  2. 【請求項2】 鋼中の炭化物を球状化セメンタイトとし
    て含有する、請求項1記載の熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼中のC、Si、Mn、およびSが(1) およ
    び(2) 式を満足する鋼材を熱間圧延後、酸洗し、次い
    で、上下ワークロールにダルロールを用い、(5) 式に規
    定する伸び率Red(%)で調質圧延を施すことを特徴とす
    る、疲労強度の高い熱延鋼板の製造方法。 0.05≦Ceq.≦1.20 ・・・(1) ただし、Ceq.=C%+1/6Mn%+1/24Si% -2.5・102×S+2 ≦log(Mn/S) ≦-2.5・102×S+5.0 ・・・(2) ただし、S≦0.025 % W/100+1/t×5-8 <Red <W/100+1/t×5+1 ・・・(5) ただし、調質圧延前の熱延鋼板の板厚=t(mm)、同じく
    板幅=W(mm)
  4. 【請求項4】 前記調質圧延に先立って箱焼鈍を行い鋼
    中の炭化物を球状化セメンタイトとする請求項3記載の
    熱延鋼板の製造方法。
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JP2002266062A (ja) * 2001-03-08 2002-09-18 Kawasaki Steel Corp プレス成形性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2014065935A (ja) * 2012-09-25 2014-04-17 Jfe Steel Corp 高炭素熱延鋼帯の製造方法
JP2018044223A (ja) * 2016-09-16 2018-03-22 Jfeスチール株式会社 耐摩耗鋼板およびその製造方法

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