JPH09263912A - 打抜き加工用高強度複相組織クロムステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

打抜き加工用高強度複相組織クロムステンレス鋼板およびその製造方法

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JPH09263912A
JPH09263912A JP9949296A JP9949296A JPH09263912A JP H09263912 A JPH09263912 A JP H09263912A JP 9949296 A JP9949296 A JP 9949296A JP 9949296 A JP9949296 A JP 9949296A JP H09263912 A JPH09263912 A JP H09263912A
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less
punching
phase
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steel sheet
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Katsuhisa Miyakusu
克久 宮楠
Takashi Igawa
孝 井川
Hiroshi Fujimoto
廣 藤本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ICパッケージ製造用ステンレスフレームや
ダイシング・ソー・テープフレーム等のステンレスフレ
ーム用材料に好適な、打抜き加工時「かえり」の発生を
抑えた高強度クロムステンレス鋼板を提供する。 【解決手段】 mass%において、C:0.03%超え0.15%以
下,Si:0.30〜1.00%,Mn:0.10〜1.00%,P:0.04
0%以下,Ni:1.0〜4.0%,Cr:10.00〜20.00%,N:
0.12%以下,B:0.001〜0.020%,Cu:4.0%以下を含
み、Oを0.020%以下の含有量に制限し、残部がFeお
よび不純物元素からなり、かつ0.05≦C+N≦0.20および
1.00≦Ni+(Mn+Cu)/3≦5.0の関係を満足する化学組成を
有し、50〜90容量%マルテンサイト相+フェライト相か
らなり、結晶粒径が10μm以下であり、かつ表面硬さ
がHv300以上である打抜き加工用高強度複相組織ク
ロムステンレス鋼板を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打抜き加工用高強
度複相組織クロムステンレス鋼板およびその製造方法に
関するものであり、特に打抜き加工によって発生する
「かえり」の高さを抑制し、主としてICパッケージ製
造用ステンレスフレーム,ダイシング・ソー・テープフ
レームなどに好適に使用される打抜き用材料を提供する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ICパッケージ製造用ステンレスフレー
ムやダイシング・ソー・テープフレームといったステン
レスフレーム用材料には、強磁性(磁石を近づけると
吸い付けられる性質)であること、強度が高く耐摩耗
性に優れること、打抜き加工性に優れること、成品
形状に優れることなどの材料特性が要求される。
【0003】従来のICパッケージ製造用ステンレスフ
レームには、フェライト系ステンレス鋼の代表的鋼種で
あるSUS430の鋼板を打抜き加工したものが主とし
て用いられている。SUS430は熱処理による硬化が
あまり期待できないので、強度を上昇させる方法として
は焼なまし後、さらに冷間で調質圧延を行って加工硬化
による強度上昇を図ることが行われている。しかし、フ
ェライト系ステンレス鋼は圧延率を大きくして加工硬化
を図った場合良好な形状が得られないため、高強度と良
好な成品形状をともに要求される用途には、必ずしも適
切な材料とは言い難い。
【0004】一方、高強度を有するクロムステンレス鋼
としてはマルテンサイト系ステンレス鋼がよく知られて
おり、ダイシング・ソー・テープフレームなどの用途に
はこのマルテンサイト系ステンレス鋼が用いられてい
る。マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼入れまたは焼
入れ・焼戻しの熱処理を施すことによって高強度・高硬
度を得るものであるが、反面、この熱処理により伸びは
非常に低くなる。このため、焼入れ等の熱処理後は、加
工が困難となる。特に打抜き加工を焼入れまたは焼入れ
・焼戻し後に行うことは実際上不可能である。そこで、
打抜き加工を施す場合には焼入れ等の熱処理を行う前の
軟質な状態で行うことが一般的であり、焼入れ後の硬質
な状態で加工する場合はプレスによる打抜き加工によら
ずレーザーカットによる方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フェライト系ステンレ
ス鋼のSUS430鋼板は、強磁性を有するものの強度
が低く、強度を高めるために圧下率が50%の冷間圧延
を施しても材料硬さは高々Hv250程度である。ま
た、打抜き加工で発生する「かえり」も高く、成品とし
て供する前にかえり取り作業を余儀なくされる。
【0006】一方、マルテンサイト系ステンレス鋼板で
は、素材メーカーからは焼なました状態、つまり強度お
よび硬さの低い軟質な状態で出荷され、加工メーカーに
おいて最終製品にほぼ近い形状に加工されたのち、焼入
れまたは焼入れ・焼戻し処理を施すのが通常である。こ
の軟質な焼なまし状態で打抜き加工を施した場合、成品
に「かえり」の発生が避けられない。このために、打抜
き後にバレルまたは電解研磨や噴射加工などによるかえ
り取り作業が必須となり、加工メーカー側での工程負荷
増となる。また、焼入れまたは焼入れ・焼戻し処理を施
すことにより生成する表面の酸化皮膜(スケール)は、
表面の美麗さが重要視されるステンレス鋼では好ましく
ない場合が多く、熱処理後に研磨などでスケールを除去
する工程を入れたり、あるいは熱処理自体を真空もしく
は不活性ガス雰囲気中で行う等の対策が必要となる。
【0007】このような、成品加工段階で工程負荷を増
大させる「かえり」の発生や酸化スケールの発生といっ
た障害は、適度な高強度を有して打抜き加工時の「かえ
り」の発生を抑制し、かつ良好な形状に加工し得るクロ
ムステンレス鋼材料が素材メーカー側で鋼板または鋼帯
の形で提供できれば解決し得る。本発明は、このような
クロムステンレス鋼板であって、打抜き加工後にかえり
取り作業を行うことなく各種ステンレスフレーム等の成
品として好適に使用することができるフェライト+マル
テンサイト複相組織ステンレス鋼板を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、50〜90
容量%のマルテンサイト相と残部が実質的にフェライト
相からなり、結晶粒径を10μm以下として打抜き加工
後のかえりの高さを抑制し、かつ表面硬さをHv300
以上とした打抜き加工用高強度複相組織クロムステンレ
ス鋼板によって達成される。
【0009】また本発明は、mass%において、C:0.
03%超え0.15%以下,Si:0.30〜1.00
%,Mn:0.10〜1.00%,P:0.040%以
下,Ni:1.0〜4.0%,Cr:10.00〜2
0.00%,N:0.12%以下,B:0.001〜
0.020%,Cu:4.0%以下を含み、Oを0.0
20%以下の含有量に制限し、残部がFeおよび不純物
元素からなり、かつ0.05≦C+N≦0.20および
1.00≦Ni+(Mn+Cu)/3≦5.0の関係を
満足する化学組成を有し、50〜90容量%のマルテン
サイト相と残部が実質的にフェライト相からなり、結晶
粒径が10μm以下である金属組織を有し、かつ表面硬
さがHv300以上である打抜き加工用高強度複相組織
クロムステンレス鋼板を提供する。
【0010】このようなクロムステンレス鋼板は、冷間
圧延鋼帯を連続熱処理炉に通板して、Ac1点以上11
00℃以下のフェライト+オーステナイトの二相域温度
に10分以内保持したのち最高加熱温度から100℃ま
でを1℃/sec以上500℃/sec以下の範囲の平均
冷却速度で冷却する仕上熱処理を施すことにより得るこ
とができる。
【0011】ここで、「マルテンサイト相と残部が実質
的にフェライト相からなる」とは、フェライトとマルテ
ンサイトの2相が混在しており、他の相(残留オーステ
ナイト相や炭化物相等)は数容量%以下(概ね5容量%
以下)であることを意味する。Ac1点は、低温から加
熱していった場合にオーステナイト相が生成し始める温
度をいい、低温側のフェライト単相域と、より高温側の
フェライト+オーステナイト2相域の境界温度を意味す
る。また、本発明でいう「かえり」とは、鋼板を打抜き
加工した際に鋼板の打抜き断面に現れる、いわゆる「バ
リ」のことをいい、「かえりの高さ」とは、本来の鋼板
表面高さより相対的に飛び出している「バリ」の高さを
意味する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、化学成分および製
造条件の両面からクロムステンレス鋼について広範な研
究を続けて来た。その結果、打抜き加工時に発生する
「かえり」の高さは、フェライト+マルテンサイト複相
組織鋼板における結晶粒径と密接な関係を有することを
見出した。すなわち、結晶粒径をある特定値以下に微細
化することによって、ICパッケージ製造用ステンレス
フレーム,ダイシング・ソー・テープフレームなどの成
品に加工する際の打抜き加工時に発生する「かえり」高
さを、成品としてそのまま許容できる範囲に抑えること
ができるのである。以下、本発明を特定するための事項
について説明する。
【0013】CおよびNは、強力なオーステナイト生成
元素であると共にマルテンサイト強化能の大きい元素で
あるから、高強度化制御に有効な元素である。したがっ
て、仕上熱処理後に微細均一分布した50%以上のマル
テンサイト量を有し、Hv300以上の十分な強度を得
るには(C+N)量として少なくとも0.05%以上を
必要とする。特にCは0.03%を超えて含有する必要
がある。しかし、CとN量があまり高いと仕上熱処理後
のマルテンサイト量が多くなり、場合によっては100
%マルテンサイト組織となりマルテンサイト相そのもの
の硬さも非常に高く脆化する。そのため、(C+N)量
としては0.20%以下とし、このうちC量は0.15
%以下とする必要がある。また、Nは溶解度の関係から
多量に添加することは困難であると共に、表面欠陥の増
加を招くため含有量の上限は0.12%以下とする。た
だし、C単独ですでに前記(C+N)の規定量を満たす
場合は、Nは無添加としてもよい。
【0014】Siはフェライト生成元素であると共にフ
ェライトおよびマルテンサイトの両相に対し強力な固溶
強化能を有する。したがって、マルテンサイト量および
強度レベルの制御に有効な元素である。しかしながら、
多量の添加は熱間や冷間での加工性の低下を招くために
1.0%以下の含有量とする。
【0015】Mn,Ni,Cuはいずれもオーステナイ
ト生成元素であり、マルテンサイト量および強度の制御
に有効な元素である。また、これらの元素の添加により
Cの添加量を低減することができるので結晶粒界へのC
r炭化物の析出を抑制して耐食性の劣化を防止すること
ができ、しかも仕上熱処理後にHv300以上の硬度が
安定して得られる。このような効果を得るにはMn,N
i,Cuは、総量で少なくとも1.00%以上必要とす
るが、硬さ上昇に対してはNiの影響が最も大きく、M
nとCuは概ねNiの1/3程度である。したがって、
これらの元素の含有量はNi+(Mn+Cu)/3の関
係式を用いて規定し、少なくともこの関係式の値が1.
00%以上となるように添加する。しかし多量に添加す
ると製品が高価となり経済性に影響を与えるので、この
関係式の値が5.0%以下となるように規制する。また
個々の元素については、Mnは0.10〜1.0%,N
iは1.0〜4.0%の範囲で含有することが必須であ
るが、Cuは4.0%以下の含有量(無添加を含む)と
する。
【0016】Pは固溶強化能の大きい元素であるが、多
量の添加は靱性の低下を招く場合があるため通常許容さ
れる程度の0.040%以下の含有量(無添加を含む)
とする。
【0017】Crは耐食性を維持する上で少なくとも1
0.0%は必要最低量として含有させるべきであるが、
あまり高いとマルテンサイト相を生成させ強度を得るに
必要なオーステナイト生成元素の添加量が多くなり高価
となるので20.0%を上限とする。
【0018】Bは熱間加工性の改善および靱性改善に有
効な元素であり、0.001%以上の極微量でその効果
が顕著に現れる。ただし、含有量が0.020%を超え
るとその効果が飽和するので0.020%以下とする。
【0019】Oは酸化物系の非金属介在物を形成し鋼の
清浄度を低下させるので低い方が望ましく0.02%以
下に制限する。またSも含有量が高すぎると耐食性や熱
間加工性に悪影響を及ぼすため、含有量の上限は0.0
20%以下に抑えることが望ましい。
【0020】鋼板の金属組織は、高強度と高加工性をと
もに満足させるために、フェライト+マルテンサイトの
複相組織であることを条件とする。ただし、その強度と
加工性は適用する用途によって最適なバランスに保たれ
る必要がある。ICパッケージ製造用ステンレスフレー
ムやダイシング・ソー・テープフレームなど、打抜き加
工を受けて造られる用途に供することを前提としたと
き、その打抜き加工における型寿命を考慮すると、マル
テンサイト相が50〜90容量%の範囲で存在する相比
とすることがバランスの良い特性を持たせるうえで最も
好ましい。
【0021】本発明では、打抜き加工時に発生する「か
えり」の高さを小さくするために、鋼板の結晶粒径が微
細化していることが極めて重要となる。ICパッケージ
製造用ステンレスフレームやダイシング・ソー・テープ
フレームなどの打抜き加工成品に要求されるかえり高さ
は、概ね10μm以下とすることが必要である。特にか
えり高さが5μm以下に抑えられていれば「かえり取り
作業」を行わずにそのまま成品として使用することがで
き、非常に好ましい。本発明者らは、この種の打抜き加
工でかえり高さを5μm以下に低減するために要求され
る複相組織鋼の結晶粒径について詳細な検討を行った。
その結果、後述の図1で実証するように、平均結晶粒径
を10μm以下に微細化することでそれが実現できるこ
とを見出した。そして、前述の成分組成を有し、かつ5
0〜90容量%のマルテンサイト相が存在する複相組織
鋼においては、後述する仕上熱処理により、平均結晶粒
径を10μm以下に微細化することができるのである。
【0022】さらに、ICパッケージ製造用ステンレス
フレームやダイシング・ソー・テープフレームなどの打
抜き加工成品においては、その使用時にHv300以上
の硬度を有していることが性能の良い製品を製造するう
えで望ましい。本発明の打抜き加工用ステンレス鋼板
は、製品加工後に焼入れ等の熱処理を施すことなく加工
ままの状態で使用されることを前提としているので、打
抜き加工前の鋼板の段階でHv300以上の硬度を有し
ていることを要件とする。
【0023】以上のような特性を具備する本発明のクロ
ムステンレス鋼板は、仕上熱処理によってその特性が決
定付けられる。すなわち、冷間圧延鋼帯を連続熱処理炉
に通板して、Ac1点以上1100℃以下のフェライト
+オーステナイトの二相域温度に10分以内保持したの
ち最高加熱温度から100℃までを1℃/sec以上5
00℃/sec以下の範囲の平均冷却速度で冷却すると
いう一連の連続処理によって、前記特性が付与されるの
である。
【0024】なお、上記冷間圧延鋼帯は、例えば次のよ
うにして製造される。すなわち、通常の熱間圧延によっ
て熱間圧延鋼帯を製造する。熱間圧延後は軟質化を目的
に連続焼鈍炉または箱型焼鈍炉で熱延板焼鈍を行うのが
よいが、この熱延板焼鈍は必ずしも実施する必要はな
い。次いで、通常の酸洗を行い冷間圧延する。冷間圧延
工程では、酸洗後の熱間圧延鋼帯を製品板厚まで中間焼
鈍無しの一回の冷間圧延で仕上げる方法や、中間焼鈍を
挟む二回以上の冷間圧延を行う方法が採用できる。冷間
圧延率(中間焼鈍を挟む場合は最後の中間焼鈍後の冷間
圧延率)は、圧延時のスリップ防止や表面性状の点で少
なくとも30%以上を必要とするが、あまり高いと圧延
性の劣化およびエッジクラックの原因ともなるので90
%以下とすることが好ましい。
【0025】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を溶製しスラ
ブを製造した。そしていずれも板厚4.5mmに熱間圧
延後、780℃に6時間加熱・炉冷の熱延板焼鈍を行
い、酸洗後、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延し、板厚
0.7mm(冷間圧延率:84.4%)の冷間圧延鋼帯
とした。この冷間圧延鋼帯を連続焼鈍炉を用い表2に示
す仕上熱処理条件のもとで仕上熱処理を施し、硬度の測
定および金属組織の観察を行った。さらに、直径10m
m,クリアランス10%の条件で打抜き試験を行い、光
学顕微鏡観察によりその打抜き断面における最高かえり
高さを測定した。得られた結果を表2に併記した。
【0026】図1に、フェライト組織材と複相組織材に
ついて、その鋼板中の結晶粒の大きさと打抜き試験後の
かえり高さの関係を示す。図1および表2から明らかな
ように、仕上熱処理後の結晶粒の大きさを10μm以下
とした本発明の鋼板は、打抜き試験後のかえり高さは
5.0μm以下の低い値を示している。また、本発明の
鋼板は50%以上90%以下のマルテンサイト量を有
し、硬さもHv300以上の高い値を示す。
【0027】これに対し、比較例のうちNo.5鋼を用
いた例では仕上熱処理条件は本発明で規定する範囲であ
り、金属組織も複相組織を示すが、鋼のNi量が本発明
で規定するNi量よりも低く、結果的にマルテンサイト
量が35%で硬さレベルも低い。また、結晶粒の大きさ
も大きく、打抜き試験後のかえり高さも10μm以上と
高い。
【0028】比較例のうちNo.6鋼を用いた例では、
C,Niのオーステナイト生成元素の含有量が本発明で
規定する範囲より低いため、加熱温度が900〜100
0℃の高温であってもフェライト+オーステナイトの二
相域にならず、したがって仕上熱処理後の金属組織はマ
ルテンサイトの存在しないフェライト単相組織であり、
強度も低く打抜き試験後のかえり高さも高い。
【0029】比較例のうちNo.7鋼を用いた例では、
オーステナイト生成元素であるC,Niの含有量が本発
明で規定する上限を超えているため、仕上熱処理後の金
属組織は100%マルテンサイトを有し、硬さもHvで
500近い値を示す。このため、打抜き試験はポンチ,
ダイスなどの工具に支障を来すため中止した。
【0030】参考のために、図2および図3に、仕上熱
処理後の複相組織材の金属組織写真の一例を示す。図2
はNo.5鋼の例(マルテンサイト量35%,結晶粒径
21μmの比較例)、図3はNo.3鋼の例(マルテン
サイト量77%,結晶粒径9μmの本発明例)である。
【0031】
【発明の効果】 高強度複相組織鋼の結晶粒を微細化することで、打
抜き後のかえり高さを抑制できることが判明した。 かえり取り工程を不要とする高強度鋼の打抜き加工
が可能となり、加工メーカーでの焼入れ・焼戻し熱処理
も不要となった。 したがって、各種ステンレスフレーム等の打抜き加
工成品の製造コスト低減に大きく寄与できる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト組織材と複相組織材について結晶粒
の大きさと打抜き試験後のかえり高さの関係を表すグラ
フ。
【図2】仕上熱処理後の複相組織材(比較例)の金属組
織の一例を示す写真。
【図3】仕上熱処理後の複相組織材(本発明例)の金属
組織の一例を示す写真。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50〜90容量%のマルテンサイト相と
    残部が実質的にフェライト相からなり、結晶粒径を10
    μm以下として打抜き加工後のかえりの高さを抑制し、
    かつ表面硬さをHv300以上とした打抜き加工用高強
    度複相組織クロムステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】 mass%において、C:0.03%超え
    0.15%以下,Si:0.30〜1.00%,Mn:
    0.10〜1.00%,P:0.040%以下,Ni:
    1.0〜4.0%,Cr:10.00〜20.00%,
    N:0.12%以下,B:0.001〜0.020%,
    Cu:4.0%以下を含み、Oを0.020%以下の含
    有量に制限し、残部がFeおよび不純物元素からなり、
    かつ0.05≦C+N≦0.20および1.00≦Ni
    +(Mn+Cu)/3≦5.0の関係を満足する化学組
    成を有し、 50〜90容量%のマルテンサイト相と残部が実質的に
    フェライト相からなり、結晶粒径が10μm以下である
    金属組織を有し、 かつ表面硬さがHv300以上である打抜き加工用高強
    度複相組織クロムステンレス鋼板。
  3. 【請求項3】 冷間圧延鋼帯を連続熱処理炉に通板し
    て、Ac1点以上1100℃以下のフェライト+オース
    テナイトの二相域温度に10分以内保持したのち最高加
    熱温度から100℃までを1℃/sec以上500℃/s
    ec以下の範囲の平均冷却速度で冷却する仕上熱処理を
    施す、請求項1または請求項2に記載の打抜き加工用高
    強度複相組織クロムステンレス鋼板の製造方法。
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