JP6279118B1 - 耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度の複相ステンレス鋼材 - Google Patents

耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度の複相ステンレス鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】屋外で使用される建材用途に適した耐食性を有し、曲げ性に優れ、かつコストを抑えた高強度複相ステンレス鋼を提供する。【解決手段】本発明は、質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.05〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.003%以下、Ni:1.5〜3.0%、Cr:17.5〜20.5%、Cu:0.3〜1.3%、N:0.03%以下、Al:0.2%以下、O:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、体積率で40〜60%のフェライト相を有する、ビッカース硬さが230HV以上、290HV以下であり、下記式(1)で示されるP値が9.6以上である、耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度のフェライト及びマルテンサイト複相ステンレス鋼材である。P値=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕・・・式(1)、ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を示す。【選択図】図3

Description

本発明は、耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度ステンレス鋼材とその製造方法に関するものである。
従来、高強度ステンレス鋼材として、フェライト及びマルテンサイトの複相組織からなる金属組織を形成することにより加工性を向上させたフェライト及びマルテンサイトの複相ステンレス鋼材(以下、「複相ステンレス鋼材」と称する。)が商用化されている。複相ステンレス鋼材は、熱処理を施すことによりフェライト及びマルテンサイトの複相組織となるように成分設計した上で、適正温度で熱処理を施して製造される。複相ステンレス鋼材は、硬質なマルテンサイト相によって高強度化が図られると共に、軟質なフェライト相を存在させることにより良好な加工性を有する。
複相組織を得るための成分設計の基本は、オーステナイト生成元素であるC、N、Mn、Ni、Cuの含有量と、フェライト生成元素であるCr、Si、Moの含有量を調整することである。耐食性を高めるためには、Cr含有量が多い方が好ましいものの、Cr含有量の増加に対して、オーステナイト生成元素の含有量を増加させる必要がある。しかし、C、N含有量を増加させると、加工性や耐食性が低下する。Ni含有量を増加させると、原料コストが上昇する。Mn、Cu含有量を増加すると、耐食性や製造性が低下するなどの課題がある。したがって、他のステンレス鋼に比べて、複相ステンレス鋼材の耐食性は、低いことが多い。
従来、高耐食性を特徴とした複相ステンレス鋼として、特許文献1〜4が報告されている。特許文献1は、自動織機のおさ(筬)歯用の複相ステンレス鋼であり、SUS420J2、SUS403に比べて耐食性が高いことを特徴としている。特許文献2は、油井鋼管用の複相ステンレス鋼であり、13Cr鋼に対して耐食性が高いことを特徴としている。しかし、いずれも屋外で用いられる建材等の用途で使用されることを想定した耐食性を有するものではない。
特許文献3、4は、商品化されている複相ステンレス鋼に対する高耐食性を特徴に挙げている。特許文献3は、Snを含有させることによってマルテンサイト相の耐食性を高め、Cr含有量17%でCr含有量18〜19%相当の耐食性が得られると記載している。特許文献4には、C、N含有量及びマルテンサイト量を厳密に制御することによって、溶接部の耐食性を向上した溶接構造物用の複相ステンレス鋼が開示されている。
特許文献3、4の技術を用いることで、屋外で用いられる建材等の用途に適した複相ステンレス鋼が得られることが期待された。しかし、建材用に用いられる部品は、曲げ加工によって作製されることが多い。そのため、特許文献3、4に記載された複相ステンレス鋼は、曲げ部で割れる例が多いことが判明した。また、特許文献3に記載されたSnは、一般には熱間加工性を低下させる元素であることから、スクラップ材として転用されると、脱Sn処理が必要となるところ、通常、脱Sn処理が容易ではないことから、Snの含有を避けるのが望ましい。
一方、複相ステンレス鋼の曲げ性を向上させる技術として、特許文献5〜7が提案されている。特許文献5では、ステンレス鋼板を二相域の温度で加熱した後、5℃/s以上の冷却温度で冷却する工程、所定の圧下率を有する冷間圧延を行う冷延工程、所定の温度で熱処理を行う工程を順次施す高強度ステンレス鋼板の製造方法が開示されている。この提案は、曲げ性改善には有効な方法といえる。しかし、製造工程の増加をともなうため、製造コストが上昇すること、複相化後に圧延する際に板破断が生じるというリスクが存在するなどの、営業生産を行う上での課題は大きい。
特許文献6では、複相ステンレス鋼の表層部を適度に脱炭させる手法が提案されている。この手法によると、ステンレス鋼板の表層部に軟質なフェライト相を多く形成でき、その表層部における延性を改善可能であるため、より高度な曲げ加工性を実現できる。ただし、脱炭するためには、1100〜1200℃の高温加熱処理を必要とする。さらには、軟質なフェライト相の比率によっては、鋼材全体の強度が低下するおそれがある。
特許文献7では、複相ステンレス鋼に時効熱処理を加えることにより、マルテンサイトとフェライトとの強度差を小さくする方法が提案されている。この手法により、ステンレス鋼材を加工する際応力を分散でき、曲げ性を改善することができる。この提案は、曲げ性改善には有効な方法といえる。しかし、製造工程の増加をともなうため、製造コストの上昇が課題である。
特開平11−286852号公報 特開2015−101763号公報 特開2011−225970号公報 特開2003−328083号公報 特開2004−323960号公報 特開2001−234290号公報 国際公開第2009−099035号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋外で使用される建材用途に適した耐食性を有し、曲げ性に優れ、かつコストを抑えた高強度複相ステンレス鋼を提供することを目的とする。
発明者らは、上記目的を達成すべく、耐食性および曲げ性に及ぼす成分、相比および介在物の影響について鋭意研究を行った。その結果、Cr含有量を高めにするとともに、適正量のNi、Cuを含有することにより、屋外で使用される建材用途に好適な耐食性が得られること、相比、硬さおよび酸素含有量の制御によって、曲げ加工性を向上できることを見出して、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.05〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.003%以下、Ni:1.5〜3.0%、Cr:17.5〜20.5%、Cu:0.3〜1.3%、N:0.03%以下、Al:0.2%以下、O:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、体積率で40〜60%のフェライト相を有する、ビッカース硬さが230HV以上、290HV以下であり、下記式(1)で示されるP値が9.6以上である、耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度のフェライト及びマルテンサイト複相ステンレス鋼材。
P値=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕 ・・・ 式(1)
ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を示す。
(2)本発明は、さらに、質量%で、Mo:1.0%以下、V:0.5%以下から選択される1種以上を含有した、請求項1に記載のステンレス鋼材である。
(3)本発明は、さらに、質量%で、B:0.001〜0.01%以下を含有した、(1)または(2)に記載のステンレス鋼材である。
(4)本発明は、さらに、下記式(2)により計算されるF値が40以上60以下を満足する(1)〜(3)のいずれかに記載のステンレス鋼材である。
F値=−420×〔C〕+11.5×〔Si〕−7×〔Mn〕−23×〔Ni〕+11.5×〔Cr〕+12×〔Mo〕−9×〔Cu〕+52×〔Al〕−470×〔N〕−89 ・・・ 式(2)
ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を意味する。
本発明によれば、建材用途で用いられることが多いSUS304に対して、素材板厚の減少によるコストダウンや軽量化あるいは耐久性向上を図ることができる強度を有し、屋外で使用可能な耐食性と、建材用部材へ成形するために必要な曲げ加工性を有する複相ステンレス鋼を提供できる。
フェライト相の体積率の測定方法を説明するための図であり、(a)は、撮影したエッチング組織を示す図であり、(b)は、画像処理した後の状態を示す図である。 曲げ試験の方法を説明するための図であり、(a)は、曲げ試験に供する試験片の形状を示す図であり、(b)は、曲げ治具を示す図である。 曲げ試験後の試験片の外観を示す図であり、(a)は、本発明鋼A1の試験片であり、(b)は、比較鋼B2の試験片である。 ステンレス鋼中の介在物に関して、光学顕微鏡写真とEPMAによる分析結果を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明する。本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
本実施形態は、質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.05〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.003%以下、Ni:1.5〜3.0%、Cr:17.5〜20.5%、Cu:0.3〜1.3%、N:0.03%以下、Al:0.2%以下、O:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、体積率で40〜60%のフェライト相と残部がマルテンサイト相及び炭化物を含めた不可避的介在物からなる組織を有する、ビッカース硬さが230HV以上、290HV以下であり、下記式(1)で示されるP値が9.6以上である、耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度のフェライト及びマルテンサイト複相ステンレス鋼材である。
P値=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕 ・・・ 式(1) ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を示す。
本実施形態に係るステンレス鋼材は、Cr含有量を高い範囲に設定するとともに、Ni及びCuの含有量を所定範囲に設定することにより、屋外の建材用途に適した良好な耐食性が備えたものである。そして、当該ステンレス鋼材におけるフェライト相とマルテンサイト相との相比、硬さ及び酸素含有量を制御することにより、優れた曲げ加工性を備えたものである。以下、ステンレス鋼材に含まれる成分について説明する。化学組成の%表示は、以下、質量%を意味する。
(成分)
Cは、強力なオーステナイト生成元素であるため、金属組織中のマルテンサイト相の割合を増加させる作用を有する。また、Cは、固溶強化効果を発揮するため、マルテンサイト相およびフェライト相の両相の強度を高めるのに有効である。このような観点から、Cの含有量は、0.03%以上が好ましく、0.04%以上がより好ましい。他方、C含有量を過度に多いと、複相化熱処理後の冷却時にクロム炭化物がフェライト相やオーステナイト相の粒界に析出し、その近傍においてCr欠乏層が生じて耐食性を低下させる。さらに、フェライト相とマルテンサイト相の硬さの差が大きくなり、曲げ加工性の低下を招く。そのため、C含有量は、0.07質量%以下が好ましく、0.06%以下がより好ましい。
Siは、脱酸材として有効な元素である。また、フェライト相に多く固溶し、フェライト相を硬化させる作用を有する。これらの効果を得るために、Siを0.05%以上含有させることが好ましく、0.1%以上がより好ましい。他方、Si含有量を過度に多いと、マルテンサイト相を得るために、NiやMnなどのオーステナイト生成元素が多量に必要となると共に、ステンレス鋼材の靭性低下を招き、製造性を低下させることがある。そのため、Si含有量は、0.8%以下が好ましく、0.75%以下がより好ましい。
Mnは、オーステナイト生成元素であり、Ni、Cu、C、Nと同様、マルテンサイト相を得るために有効な元素である。また、フェライト中に比較的多く固溶し、フェライト相を硬化させる作用を有するため、フェライト相とマルテンサイト相における両相の硬さの差を小さくして、曲げ性を向上させる点で有効である。それらの効果を得るために、Mn含有量は、1.0%以上が好ましい。他方、Mn含有量を過度に多くすると、相比制御の観点から、オーステナイト生成元素であるNi、Cu、C、Nの各含有量との調整が必要である。Ni、Cuの耐食性を向上させる作用がMnよりも大きく、C、Nによるマルテンサイト相の硬化作用がMnよりも大きいことを考慮すると、Mn含有量は、2.0%以下が好ましく、1.8%以下がより好ましい。
Pは、母材および溶接部の靭性を低下させる元素であるから、低いほど好ましい。しかし、ステンレス鋼の脱P処理は、困難であり、極度にP含有量を低下させることは、製造コストの上昇を招く。そのため、P含有量は、0.04%以下の範囲で許容される。
Sは、Mnと硫化物を形成して孔食の起点となり、耐食性の低下を招く。また、オーステナイト粒界にSが偏析することにより、熱間加工性が低下する。そのため、S量は、低いほど好ましい。ただし、極度にS 含有量を低下させることは、製造コストの上昇を招くため、S含有量は、0.003%以下の範囲で許容される。
Niは、オーステナイト生成元素であり、Mn、Cu、C、Nと同様、マルテンサイト相を得るのに有効な元素である。Niがマルテンサイト相に多く分配され、マルテンサイト相の耐食性を高めるため、Ni含有量は、1.5%以上が好ましく、1.7%以上がより好ましい。他方、Ni含有量が過度に多いと、相比制御の観点から、オーステナイト生成元素であるMn、Cu、C、Nの各含有量との調整が必要である。Niは、Mnに比べてフェライト相に分配されにくく、フェライト相の硬化作用が小さいこと、C、Nに比べてマルテンサイト相の硬化作用が小さいことを考慮し、Ni含有量は、3.0%以下が好ましく、2.5%以下がより好ましい。
Crは、不働態被膜を形成して耐食性を付与する主要な元素である。Crは、複相ステンレス鋼において、フェライト相に多く分配されるので、マルテンサイト相中のCr濃度が相対的に低くなる。そのため、Crが過少であると、マルテンサイト相の耐食性を低下させる可能性があるからCr含有量は、17.5%以上が好ましく、18.0以上がより好ましい。他方、Cr含有量が過度に多いと、所定量のマルテンサイト相を得るためのNiやMnなどのオーステナイト生成元素が多量に必要になると共に、ステンレス鋼材の靭性低下を招き、製造性を低下させる。そのため、Cr含有量は、20.5%以下が好ましく、20.0%以下がより好ましい。
Cuは、オーステナイト生成元素であり、Ni、Mn、C、Nと同様、マルテンサイト相を得るのに有効な元素である。Cuは、マルテンサイト相に多く分配され、マルテンサイト相の耐食性を高めるため、Cu含有量は、0.3%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましい。他方、Cu含有量が過度に多いと、耐食性の低下を招く場合があるため、Cu含有量は、1.3%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましい。
Nは、Cと同様に、強力なオーステナイト生成元素であり、金属組織中のマルテンサイト相の割合を増加させるのに有効な元素である。また、Nは、固溶強化効果を発揮するため、マルテンサイト相およびフェライト相の両相の強度を高めるのに有効である。その観点で、0.001%以上のNを含有できる。一方、N含有量を多くしても、脱酸剤として添加されるAlと結合してAlNを形成し、相比制御や固溶強化への寄与が飽和するため、N含有量は、0.03%以下が好ましい。
Alは、脱酸材として有効であり、O含有量を0.004質量%以下に制御するために用いることができる。一方、Alは、フェライト生成元素であるため、Al含有量が過度に多いと、オーステナイト生成元素の添加量を増加させる必要がある。そのため、Al含有量は、0.2%以下が好ましい。
O(酸素)は、鋼材中に不可避的に混入される元素であり、製鋼工程においてSiやAlを用いて脱酸が行われるので、脱酸後においても、一般的に0.001〜0.010%程度のOが残存する。この残存したOは、鋼中のSi、Mn、Alなどの易酸化性元素と結合し、Si−Mn−O系などの酸化物系介在物を形成する。当該介在物は、熱間圧延及び冷間圧延工程によって、圧延方向に伸展した形態で分布するため、圧延方向を曲げ稜線とする曲げ加工性を低下させる要因となる。そのため、O含有量は、0.004%以下が好ましく、0.0035%以下がより好ましい。
Moは、耐食性を高めるのに有効な元素であり、0.005%以上を含有してもよい。Moは、フェライト生成元素であり、高価であることから、Mo含有量は、1.0%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましい。
Vは、耐食性を高めるのに有効な元素であり、0.005%以上を含有してもよい。Vは、フェライト生成元素であり、高価であることから、V含有量は、0.5量%以下が好ましく、0.4%以下がより好ましい。
Bは、熱間加工性を高めるのに有効な元素であり、0.001%以上の含有によって、その効果が得られる。他方、0.01%を超えても、熱間加工性のさらなる改善効果が認められない上、溶接性の低下を招くことから、B含有量は、0.01%以下が好ましく、0.006%以下がより好ましい。
上述したように、Ni、Cu、Crは、マルテンサイト相の耐食性を高めるのに有効な元素である。とくに、耐孔食性の観点で、以下の式(1)で示されるP値が9.6以上であることが好ましく、10.0以上がより好ましい。P値=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕 ・・・ 式(1)
(組織)
本実施形態に係る複相ステンレス鋼材は、体積率で40〜60%のフェライト相と残部がマルテンサイト相および炭化物を含めた不可避的介在物からなる組織を有するように制御されたものである。フェライト相の体積率が40%未満の場合は、曲げ加工性の低下を招き、60%を超えると、強度の低下を招くことから、フェライト相の体積率は、その下限は、40%以上が好ましく、44%以上がより好ましい。その上限は、60%以下が好ましく、56%以下がより好ましい。フェライト相の体積率は、成分および熱処理温度によって制御できる組織的特性である。成分による制御においては、下記式(2)で表されるF値が有用な指標として使用できる。このF値は、1100℃におけるフェライト相の体積率を表す指標であり、F値が40〜60の範囲に含まれるように成分調整することが好ましい。
F=−420×〔C〕+11.5×〔Si〕−7×〔Mn〕−23×〔Ni〕+11.5×〔Cr〕+12×〔Mo〕−9×〔Cu〕+52×〔Al〕−470×〔N〕−89 ・・・ 式(2)
ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を意味する。
(ビッカース硬さ)
本実施形態に係る複相ステンレス鋼材は、ビッカース硬さが230HV以上、290HV以下の範囲となるように制御されたものである。230HV未満であると、十分な強度が得られない。290HVを超えると、良好な曲げ加工性が得られない。ビッカース硬さは、その下限は、230HV以上が好ましく、250HV以上がより好ましい。その上限は、290HV以下が好ましく、275HV以下がより好ましい。成分及び相比を制御することにより、所定のビッカース硬さを得ることができる。
(耐孔食性)
ステンレス鋼のような不動態皮膜を形成する金属材料は、使用される環境や不動態皮膜の状態によって孔食が発生する。耐孔食性の目安として、通常、孔食電位が使用される。汎用材のSUS304と同程度以上の孔食電位を備えていれば、孔食の発生が抑制されて、屋外使用に適した耐食性が確保される。
本実施形態に係る高強度複相ステンレス鋼材は、優れた耐食性と曲げ加工性を有している。高い強度は、主に硬質なマルテンサイト相によって確保されるとともに、フェライト相中のC、Mn等の添加元素による固溶強化によって得られた。高い耐食性は、Cr含有量を高い範囲に規定するとともに、Cr量が相対的に低いマルテンサイト相における耐食性をNi、Cuの添加によって向上させることにより、鋼材全体としての耐食性が確保された。良好な曲げ加工性は、軟質なフェライト相の量を所定範囲に規定するとともに、O含有量を制御して曲げ性を低下させるMn−Si−O系介在物等の生成を抑制することにより、確保された。
さらに、本実施形態に係る高強度複相ステンレス鋼材は、従来のようにSnのような特殊な元素を添加することもなく、時効処理のようなコストアップにつながる製造工程の増加も必要としない。その結果、従来技術の課題であった耐食性と曲げ加工性を両立し、さらにコスト的にも優れる、高強度複相ステンレス鋼を提供することができた。建材用途で用いられるSUS304と比べて、素材板厚の減少によるコストダウンや軽量化あるいは耐久性向上を図ることができる強度を有し、屋外で使用可能な耐食性と、建材用部材へ成形するために必要な曲げ加工性を有する複相ステンレス鋼を提供することができた。
(製造方法)
次に、本実施形態に係る高強度複相ステンレス鋼材の製造方法について説明する。複相化処理を施す工程に用いられる鋼材は、上記特定の組成を有するものであれば、特に限定されない。例えば、連続鋳造によって製造されたスラブを1200℃で加熱し、抽出され、圧延率97.5%で熱延した後、公知の方法により、焼鈍、酸洗、冷延を施して、製造することができる。
次に、上記ステンレス鋼材に対して、複相化処理を施すことにより、オーステナイト相とフェライト相の二相の金属組織を生成する。上記のオーステナイト相は、その後の冷却工程において、マルテンサイト相に変態する。この複相化処理の条件(温度、時間)は、オーステナイト相とフェライト相の二相の金属組織を生じさせる条件であれば、特に限定されない。各元素の組成比に応じて変更できる。例えば、900〜1100℃の温度、1〜10分間の均熱時間で、複相化処理を施してもよい。また、所定の温度に到達後、直ちに冷却してもよい。
上記の製造方法で得られたステンレス鋼材は、更に必要に応じて、形状矯正を目的としたレベラー通板、高光沢を得るためのスキンパス通板、または、酸洗等の公知の処理を施してもよい。
以下、実施例について説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<ステンレス鋼板の作製>
表1に示す組成を有する本発明鋼A1〜A6、比較鋼B1〜B8を30kg真空溶解炉で溶製してインゴットを鋳造した。得られたインゴットをスラブに分塊し、そのスラブを1200℃に加熱後、抽出し、仕上温度が約920℃となるように熱間圧延を施して、板厚約4.5mmの熱延鋼板を得た。次いで、当該熱延鋼板に対し、800℃で均熱8時間の熱処理及び炉冷によって、熱延焼鈍板を得た。さらに、当該熱延焼鈍板を酸洗した後、冷間圧延を施して、1.8mmの第一の冷延板を得た。得られた第一の冷延板に対して、800℃、均熱1分間の焼鈍処理を施し、酸洗した後、冷間圧延を施して、板厚約1.0mmの第2の冷延板を得た。なお、表1の合金組成は、質量%の含有量を示し、残部がFeおよび不可避的不純物である。
次に、第2の冷延板に、950〜1050℃、均熱1分間の条件で複相化処理を施し、供試材を作製した。また、比較用の参考材として、SUS304の2B材を用いた。これらの供試材から所定の大きさの試験片に切り出して、評価試験に供した。
<フェライト相の体積率>
フェライト相の体積率(相比)の測定方法は、次のとおりである。試験片をエッチングして、マルテンサイト相を優先的に腐食させた。エッチングには、47%弗酸水溶液、60%硝酸水溶液およびグリセリンを、1:1:1の比率で混合したエッチング液を用いた。試験片を水洗、乾燥した後、試験片のエッチングされた表面を観察した。400倍の視野で5箇所を撮影し、画像処理によってフェライト相の面積率を求めた。5箇所の面積率の平均値をフェライト相の体積率とした。撮影されたエッチング組織の例を図1の(a)に示す。それを画像処理した後の状態を図1の(b)に示す。
<ビッカース硬さ>
ビッカース硬さは、JIS Z2244に準じ、荷重30kgfで表面硬さを10箇所測定し、最大及び最小値を除く8箇所の平均値を求めた。
<曲げ試験>
曲げ試験をJIS Z2248に準じて行った。供試材を切削加工して、図2の(a)に示す形状の試験片1を採取した。試験片1の形状は、幅60mm×長さ30mmであって、短辺が圧延方向3に平行である。図2の(b)に示すように、先端R0.2mm、先端角90°のV型治具5および受台6からなる曲げ治具4を用いて、試験片1の短辺(圧延方向2)が曲げ稜線に平行になるように試験片1をセットした。V型治具5を試験片1に押し付けて90°に曲げる曲げ試験を行った。試験片1における曲げ稜線3付近の外観を目視で観察し、クラック発生の有無を確認した。曲げ試験は、各鋼種で3つのサンプル(n=3)で行い、1サンプルでもクラックの発生が確認されたものを「×」、n=3全てにおいてクラックの発生が確認されなかったものを「○」と評価した。
<耐食性試験>
耐食性の評価試験は、JIS G0577に準じ、30℃の3.5%NaCl水溶液中で孔食電位を測定した。基準電極には飽和カロメル電極(SCE)を用いた。孔食電位は、7つのサンプル(n=7)で測定し、最大値および最小値を除く5サンプル(n=5)の平均値を求めた。SUS304の孔食電位(275mVvsSCE)と同程度またはそれ以上である場合、耐食性が良好であると判定した。
表2に、試験片に施した試験複相化処理温度、フェライト相の体積率、ビッカース硬さ、曲げ加工性、孔食電位の試験結果を示す。
(硬さの評価)
表2に示すように、本発明の成分組成及びフェライト相体積率を有する本発明鋼A1〜A6は、230HV30以上、290HV30以下のビッカース硬さを示した。それに対し、比較鋼B8は、SUS304の2B材に比べて硬質ではあるものの、C含有量が0.03%未満であるため、230HV30以上の硬さが得られなかった。
(曲げ加工性の評価)
次に、ビッカース硬さが低かった比較鋼B8を除く、本発明鋼A1〜A6、比較鋼B1〜B7について、曲げ試験を行った。表2に示すように、本発明鋼A1〜A6は、良好な曲げ加工性を示した。それに対し、比較鋼B5は、酸素含有量が0.004%を超えているため、鋼中の酸化物系介在物の分布量が増加し、曲げ加工性が低下した。比較鋼B7は、フェライト相の体積率が40%未満であるため、曲げ加加工性が不十分であった。なお、比較鋼B7のF値は、40%未満であり、フェライト相の体積率と同様に、他の鋼種に比べて低い範囲にあった。比較鋼B6は、C含有量が0.07%超であるため、ビッカース硬度が290HV30を超える硬質となり、曲げ加工性が不十分であった。
このうち、本発明鋼A1と比較鋼B5について、曲げ試験後の試験片の外観を、図3の(a)、(b)に示す。本発明鋼A1は、図3(a)に示すようにクラックが確認されなかった。比較鋼B5は、図3(b)に示すようにクラックが確認された。
本発明鋼A1と比較鋼B5に含まれる酸化物系酸化物の形態を調べるため、曲げ試験後の各試験片を用いて、光学顕微鏡とEPMA(電子線マイクロアナライザ)によって分析を行った。その結果を図4に示す。光学顕微鏡写真によると、本発明鋼A1は、介在物の分布が少ないのに対し、比較鋼B2は、複数の介在物が圧延方向に伸展した形態で分布していた。EPMAの元素分析によると、本発明鋼A1の介在物は、Al−O系であり、比較鋼B2の介在物は、Mn−Si−O系であった。比較例B2の曲げ加工性が不良である原因は、このMn−Si−O系介在物の存在によるものと考えられる。
(耐食性の評価)
次に、良好な曲げ加工性を示した本発明鋼A1〜A6および比較鋼B1〜B4について、耐食性の評価試験を行った。表2に示すように、屋外用途の一般材料であるSUS304の孔食電位が275mVvsSCEである。表1に示すように、本発明鋼A1〜A6のP値(=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕)は、9.6以上であるため、表2に示すように、本発明鋼A1〜A6は、孔食電位が275mVvsSCE以上であり、SUS304と同程度またはそれより高い範囲の孔食電位を有しており、良好な耐食性を備えていた。それに対し、比較鋼B1は、Cr含有量が17.5%未満であるとともに、P値が9.6未満であっため、275mVvsSCEより低い孔食電位を示した。また、比較鋼B2〜B4は、Niを1.5〜3.0%、Crを17.5〜20.5%、Cuを0.3〜1.3%の各範囲で含有していたが、P値が9.6未満であったため、275mVvsSCEより低い孔食電位を示しており、本発明鋼A1〜A6に比べて耐食性が劣っていた。
本発明に係る複相ステンレス鋼材は、屋外で使用される建材用途に適した耐食性を有し、曲げ性に優れることを確認できた。
1 試験片
2 曲げ稜線
3 圧延方向
4 曲げ治具
5 V字型治具
6 受台

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.07%、Si:0.05〜0.8%、Mn:1.0〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.003%以下、Ni:1.5〜3.0%、Cr:17.5〜20.5%、Cu:0.3〜1.3%、N:0.03%以下、Al:0.2%以下、O:0.004%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、体積率で40〜60%のフェライト相を有する、ビッカース硬さが230HV以上、290HV以下であり、
    下記式(1)で示されるP値が9.6以上である、耐食性及び曲げ加工性に優れた高強度のフェライト及びマルテンサイト複相ステンレス鋼材。
    P値=〔Ni〕+〔Cu〕+0.4〔Cr〕 ・・・ 式(1)
    ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を示す。
  2. さらに、質量%で、Mo:1.0%以下、V:0.5%以下から選択される1種以上を含有した、請求項1に記載のステンレス鋼材。
  3. さらに、質量%で、B:0.001〜0.01%以下を含有した、請求項1または2に記載のステンレス鋼材。
  4. さらに、下記式(2)により計算されるF値が40以上60以下を満足する、請求項1〜3のいずれかに記載のステンレス鋼材。
    F値=−420×〔C〕+11.5×〔Si〕−7×〔Mn〕−23×〔Ni〕+11.5×〔Cr〕+12×〔Mo〕−9×〔Cu〕+52×〔Al〕−470×〔N〕−89 ・・・ 式(2)
    ここで〔 〕は、各元素の含有量の質量%を示す。
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