JP2001044489A - 半導体結晶の成長方法および半導体素子 - Google Patents
半導体結晶の成長方法および半導体素子Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明はの課題は、化合物半導体エピタキシ
ャル層のキャリアの活性化率を向上し、さらに温度等の
化合物半導体素子のおかれた環境の変化に対しても安定
した特性を保つ化合物半導体エピタキシャル層の成長方
法を提供することである。 【解決手段】 上述の課題を解決するために、III-V族
半導体基板上の化合物半導体エピタキシャル層の成長時
に、少なくとも、水素との解離エネルギー(結合性)が
異なる、2種類の不純物元素を同時に該化合物半導体エ
ピタキシャル層中に導入する化合物半導体結晶成長方法
を開発した。
ャル層のキャリアの活性化率を向上し、さらに温度等の
化合物半導体素子のおかれた環境の変化に対しても安定
した特性を保つ化合物半導体エピタキシャル層の成長方
法を提供することである。 【解決手段】 上述の課題を解決するために、III-V族
半導体基板上の化合物半導体エピタキシャル層の成長時
に、少なくとも、水素との解離エネルギー(結合性)が
異なる、2種類の不純物元素を同時に該化合物半導体エ
ピタキシャル層中に導入する化合物半導体結晶成長方法
を開発した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化合物半導体結晶の
成長方法および、これを用いて作製する化合物半導体素
子に関する。
成長方法および、これを用いて作製する化合物半導体素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】GaAs基板上のAlGaInP系赤色
域の混晶、InP基板上のGaInAsP系、AlGa
InAs系長波長域の混晶、GaAs基板に対して圧縮
歪み系であるGaInAs混晶などの化合物半導体基板
上に成膜された化合物半導体エピタキシャル層は、光素
子あるいは電子素子として用いられている。
域の混晶、InP基板上のGaInAsP系、AlGa
InAs系長波長域の混晶、GaAs基板に対して圧縮
歪み系であるGaInAs混晶などの化合物半導体基板
上に成膜された化合物半導体エピタキシャル層は、光素
子あるいは電子素子として用いられている。
【0003】これらの材料系のエピタキシャル層の成長
を有機金属気相成長(metalorganicvapor phase epitax
y, MOVPE)法で行なう場合、不純物元素をドープするこ
とによりp型あるいはn型の化合物半導体エピタキシャ
ル層を作製する。
を有機金属気相成長(metalorganicvapor phase epitax
y, MOVPE)法で行なう場合、不純物元素をドープするこ
とによりp型あるいはn型の化合物半導体エピタキシャ
ル層を作製する。
【0004】MOVPE成長では、キャリアガスとして水素
が用いられることが多い。この水素がエピタキシャル成
長中あるいは成長後の降温中に化合物半導体エピタキシ
ャル層中に1017〜1018cm-3レベルで取り込まれ、化
合物半導体エピタキシャル層内の不純物元素と結合し、
不純物元素を不活性化させる。また、成膜の際、V族原
料として用いられる金属水素化物(フォスフィン、アル
シン等)の熱分解過程で侵入した水素原子が結晶中の不
純物元素と結合し、不純物元素の活性化を阻害すること
が知られている。
が用いられることが多い。この水素がエピタキシャル成
長中あるいは成長後の降温中に化合物半導体エピタキシ
ャル層中に1017〜1018cm-3レベルで取り込まれ、化
合物半導体エピタキシャル層内の不純物元素と結合し、
不純物元素を不活性化させる。また、成膜の際、V族原
料として用いられる金属水素化物(フォスフィン、アル
シン等)の熱分解過程で侵入した水素原子が結晶中の不
純物元素と結合し、不純物元素の活性化を阻害すること
が知られている。
【0005】不純物元素の不活性化は膜中のキャリア濃
度を低下させ、化合物半導体エピタキシャル層の高抵抗
化を招く。このような化合物半導体エピタキシャル層を
化合物半導体素子に用いた場合、素子を駆動するための
電圧や電流の上昇を招き素子特性を著しく低下させる。
度を低下させ、化合物半導体エピタキシャル層の高抵抗
化を招く。このような化合物半導体エピタキシャル層を
化合物半導体素子に用いた場合、素子を駆動するための
電圧や電流の上昇を招き素子特性を著しく低下させる。
【0006】また、水素を高濃度に含む化合物半導体エ
ピタキシャル層を用いた化合物半導体素子では、素子温
度等の環境の変化により内部の水素−不純物元素の結合
の解離、再結合が生ずるためか、素子特性が不安定とな
り、信頼性の低下を引き起こしていた(W.J Choiら、IE
EE Journal of selected topics in quantum electroni
cs, vol. 1 No.2 pp717-722.参照)。
ピタキシャル層を用いた化合物半導体素子では、素子温
度等の環境の変化により内部の水素−不純物元素の結合
の解離、再結合が生ずるためか、素子特性が不安定とな
り、信頼性の低下を引き起こしていた(W.J Choiら、IE
EE Journal of selected topics in quantum electroni
cs, vol. 1 No.2 pp717-722.参照)。
【0007】そこで、従来から、化合物半導体エピタキ
シャル層から水素を除去するために熱処理が行われてい
る。確かに、熱処理は化合物半導体エピタキシャル層か
ら水素を除くためには有効な手段であり、その効果も確
認されている。しかし、化合物半導体エピタキシャル層
中から水素を除去するためには、少なくとも、400℃
程度以上の温度が必要である。この温度は、化合物半導
体エピタキシャル層にとって厳しい条件であり、熱処理
により、導入した不純物元素までが予期せず拡散してし
まい、結晶層を劣化若しくは破壊することも度々であっ
た。
シャル層から水素を除去するために熱処理が行われてい
る。確かに、熱処理は化合物半導体エピタキシャル層か
ら水素を除くためには有効な手段であり、その効果も確
認されている。しかし、化合物半導体エピタキシャル層
中から水素を除去するためには、少なくとも、400℃
程度以上の温度が必要である。この温度は、化合物半導
体エピタキシャル層にとって厳しい条件であり、熱処理
により、導入した不純物元素までが予期せず拡散してし
まい、結晶層を劣化若しくは破壊することも度々であっ
た。
【0008】また、たとえ、水素を除去するためとはい
え、化合物半導体素子製造プロセスに新たなプロセスを
追加することとなるので、製造プロセス全体のスループ
ットの低下を招いていた。
え、化合物半導体素子製造プロセスに新たなプロセスを
追加することとなるので、製造プロセス全体のスループ
ットの低下を招いていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の問題点
に鑑みなされたものであり、本発明は、半導体基板上の
混晶化合物半導体エピタキシャル層中に、水素との解離
エネルギー(結合性)が異なる2種類以上の不純物元素
を同時にドープすることで、熱処理を行なうことなく、
化合物半導体エピタキシャル層のキャリアの活性化率を
向上することを目的とする。
に鑑みなされたものであり、本発明は、半導体基板上の
混晶化合物半導体エピタキシャル層中に、水素との解離
エネルギー(結合性)が異なる2種類以上の不純物元素
を同時にドープすることで、熱処理を行なうことなく、
化合物半導体エピタキシャル層のキャリアの活性化率を
向上することを目的とする。
【0010】さらに、本発明では温度等の化合物半導体
素子のおかれた環境の変化に対しても安定した特性を保
つ化合物半導体エピタキシャル層の成長方法を提供する
ことを目的とする。
素子のおかれた環境の変化に対しても安定した特性を保
つ化合物半導体エピタキシャル層の成長方法を提供する
ことを目的とする。
【0011】また、水素除去のための熱処理工程を除く
ことにより半導体製造工程のスループットを向上するこ
とを目的とする。
ことにより半導体製造工程のスループットを向上するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体基板と
してGaAs又はInPを用い、該半導体基板に接して成膜さ
れる化合物半導体エピタキシャル層を成膜する化合物半
導体結晶の成長方法において、該化合物半導体エピタキ
シャル層として(AlxGa1-x)yIn1-yP(式中xは0<x
≦1を満足する数であり、yは0<y<1を満足する数であ
る。)、GaxIn1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<
x≦1を満足する数である。)、GaxIn1-xAsyP
1-y(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であ
り、yは0<y<1を満足する数である。)、(AlxGa
1-x)yIn1-yAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を
満足する数であり、yは0<y<1を満足する数である。)
及びAlxGa1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦
1を満足する数であり、yは0<y<1を満足する数であ
る。)からなる群より選ばれた化合物半導体をエピタキ
シャル層として用い、かつ、該化合物半導体エピタキシ
ャル層の成長時に、水素との解離エネルギーが異なる2
種類以上の不純物元素を該化合物半導体エピタキシャル
層中に導入する化合物半導体結晶の成長方法を提供す
る。
してGaAs又はInPを用い、該半導体基板に接して成膜さ
れる化合物半導体エピタキシャル層を成膜する化合物半
導体結晶の成長方法において、該化合物半導体エピタキ
シャル層として(AlxGa1-x)yIn1-yP(式中xは0<x
≦1を満足する数であり、yは0<y<1を満足する数であ
る。)、GaxIn1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<
x≦1を満足する数である。)、GaxIn1-xAsyP
1-y(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であ
り、yは0<y<1を満足する数である。)、(AlxGa
1-x)yIn1-yAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を
満足する数であり、yは0<y<1を満足する数である。)
及びAlxGa1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦
1を満足する数であり、yは0<y<1を満足する数であ
る。)からなる群より選ばれた化合物半導体をエピタキ
シャル層として用い、かつ、該化合物半導体エピタキシ
ャル層の成長時に、水素との解離エネルギーが異なる2
種類以上の不純物元素を該化合物半導体エピタキシャル
層中に導入する化合物半導体結晶の成長方法を提供す
る。
【0013】これは、エピタキシャル層中に水素との解
離エネルギー(結合性)の異なる2種類の不純物元素を
導入し、水素との解離エネルギー(結合性)の強い一方
の不純物元素1と水素を優先的に結合させることで、他
方の水素との解離エネルギー(結合性)の弱い不純物元
素2を水素から保護し、この不純物元素2に由来するキ
ャリアを多く発生させる。
離エネルギー(結合性)の異なる2種類の不純物元素を
導入し、水素との解離エネルギー(結合性)の強い一方
の不純物元素1と水素を優先的に結合させることで、他
方の水素との解離エネルギー(結合性)の弱い不純物元
素2を水素から保護し、この不純物元素2に由来するキ
ャリアを多く発生させる。
【0014】このようにして、熱処理を行なうことな
く、不純物元素2に由来する、充分な濃度のキャリアを
発生することが可能となった。
く、不純物元素2に由来する、充分な濃度のキャリアを
発生することが可能となった。
【0015】従来は、不純物のドープ量を増し、熱処理
温度を高くすることでキャリア濃度を増加していた。確
かに、この方法によっても、高キャリア濃度の半導体層
が得られたが、半導体層中に残留する水素が不純物と解
離と結合を繰り返すためか素子環境(特に温度)に対し
て非常に敏感であり、実用には耐えなかった。
温度を高くすることでキャリア濃度を増加していた。確
かに、この方法によっても、高キャリア濃度の半導体層
が得られたが、半導体層中に残留する水素が不純物と解
離と結合を繰り返すためか素子環境(特に温度)に対し
て非常に敏感であり、実用には耐えなかった。
【0016】しかし、本発明の半導体素子では、従来法
以上のキャリア濃度を達成しつつ、周囲の環境変化に対
する耐性が高い良好な化合物半導体を得ることができ
た。
以上のキャリア濃度を達成しつつ、周囲の環境変化に対
する耐性が高い良好な化合物半導体を得ることができ
た。
【0017】ここで、水素との解離エネルギー(結合
性)とは、その半導体中における不純物元素−水素の結
合を切り離し、水素イオンと不純物元素を充分に引き離
すためのエネルギーであり、GaAs中における水素と不純
物元素の結合の強さの目安となる(詳しくは、S.J Pear
tonら、 Appl.Phys.Lett., 59(27),30 December 1991参
照)。化合物半導体エピタキシャル層中に導入される不
純物量は、キャリア発生の主体である不純物元素2につ
いては所望の量を、水素との結合に消費される不純物元
素1については、化合物半導体エピタキシャル層中に存
在する水素と同等若しくは、それ以上の量であることが
望ましい。MOVPE法で成膜を行なう場合、上述の化
合物半導体エピタキシャル層中には一般に5×1017cm
-3以上の水素が混入することから不純物元素1はこの濃
度以上であることが望ましい。
性)とは、その半導体中における不純物元素−水素の結
合を切り離し、水素イオンと不純物元素を充分に引き離
すためのエネルギーであり、GaAs中における水素と不純
物元素の結合の強さの目安となる(詳しくは、S.J Pear
tonら、 Appl.Phys.Lett., 59(27),30 December 1991参
照)。化合物半導体エピタキシャル層中に導入される不
純物量は、キャリア発生の主体である不純物元素2につ
いては所望の量を、水素との結合に消費される不純物元
素1については、化合物半導体エピタキシャル層中に存
在する水素と同等若しくは、それ以上の量であることが
望ましい。MOVPE法で成膜を行なう場合、上述の化
合物半導体エピタキシャル層中には一般に5×1017cm
-3以上の水素が混入することから不純物元素1はこの濃
度以上であることが望ましい。
【0018】本発明で化合物半導体エピタキシャル層と
して、(AlxGa1-x)yIn1-yP(式中xは0<x≦1を満
足する数であり、yは0<y<1を満足する数である。)、
GaxIn1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を
満足する数である。)、GaxIn1-xAsyP1-y(式中x
は、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であり、yは0
<y<1を満足する数である。)、(AlxGa1-x)yIn
1-yAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数
であり、yは0<y<1を満足する数である。)又はAlxG
a1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する
数である。)が好適である。また、このエピタキシャル
層が積層される化合物半導体基板としてはInP、GaAsが
実用上好適に用いられる。
して、(AlxGa1-x)yIn1-yP(式中xは0<x≦1を満
足する数であり、yは0<y<1を満足する数である。)、
GaxIn1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を
満足する数である。)、GaxIn1-xAsyP1-y(式中x
は、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であり、yは0
<y<1を満足する数である。)、(AlxGa1-x)yIn
1-yAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数
であり、yは0<y<1を満足する数である。)又はAlxG
a1-xAs(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する
数である。)が好適である。また、このエピタキシャル
層が積層される化合物半導体基板としてはInP、GaAsが
実用上好適に用いられる。
【0019】本発明で、前記化合物半導体エピタキシャ
ル層をp型とする場合には、前記2種類以上の不純物元
素として、ZnとMg又はCとZnの不純物元素の組み合
わせのうちのどちらかの組み合わせの不純物元素を少な
くとも用いることができる。また、前記化合物半導体エ
ピタキシャル層をn型とする場合には、前記2種類以上
の不純物元素として、SiとSe又はCとSiの不純物
元素の組み合わせのうちのどちらかの組み合わせの不純
物元素を少なくとも用いることができる。
ル層をp型とする場合には、前記2種類以上の不純物元
素として、ZnとMg又はCとZnの不純物元素の組み合
わせのうちのどちらかの組み合わせの不純物元素を少な
くとも用いることができる。また、前記化合物半導体エ
ピタキシャル層をn型とする場合には、前記2種類以上
の不純物元素として、SiとSe又はCとSiの不純物
元素の組み合わせのうちのどちらかの組み合わせの不純
物元素を少なくとも用いることができる。
【0020】また、少なくとも上記の組み合わせの元素
を含んでいれば、他の不純物元素を加えた3種類以上の
不純物元素を化合物半導体エピタキシャル層に導入する
事も可能である。
を含んでいれば、他の不純物元素を加えた3種類以上の
不純物元素を化合物半導体エピタキシャル層に導入する
事も可能である。
【0021】本発明の結晶の成長方法には、有機金属気
相成長法が好適に用いられる。本発明により化合物半導
体エピタキシャル層より、熱処理を行なうことなく水素
を除くことが可能となり、H2をキャリアガスとして用
いる有機金属気相成長法による成膜でも充分なキャリア
濃度の化合物半導体エピタキシャル層を得る事が可能と
なった。
相成長法が好適に用いられる。本発明により化合物半導
体エピタキシャル層より、熱処理を行なうことなく水素
を除くことが可能となり、H2をキャリアガスとして用
いる有機金属気相成長法による成膜でも充分なキャリア
濃度の化合物半導体エピタキシャル層を得る事が可能と
なった。
【0022】また、本発明は、上述の半導体結晶成長法
により得られた化合物半導体エピタキシャル層を提供す
るとともに、該化合物半導体エピタキシャル層をダブル
ヘテロ構造のn側クラッド層あるいはp側クラッド層の
少なくとも一方に用いた化合物半導体素子を提供する。
により得られた化合物半導体エピタキシャル層を提供す
るとともに、該化合物半導体エピタキシャル層をダブル
ヘテロ構造のn側クラッド層あるいはp側クラッド層の
少なくとも一方に用いた化合物半導体素子を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】図2に化合物半導体エピタキシャ
ル層中に一種類のみの不純物元素を導入した従来法によ
る半導体基板上に成長した混晶化合物半導体エピタキシ
ャル層中のキャリア濃度の化合物半導体エピタキシャル
層厚方向の分布を示す。
ル層中に一種類のみの不純物元素を導入した従来法によ
る半導体基板上に成長した混晶化合物半導体エピタキシ
ャル層中のキャリア濃度の化合物半導体エピタキシャル
層厚方向の分布を示す。
【0024】ドープされた不純物元素の濃度は点線で表
されており、約2×1018cm-3である。熱処理前のキャ
リア濃度は、5×1017cm-3である。キャリアの活性化
率をキャリア濃度/不純物元素濃度とすると、約25%
である。これは、化合物半導体エピタキシャル層に導入
された不純物元素の75%が不活性化していることを示
している。
されており、約2×1018cm-3である。熱処理前のキャ
リア濃度は、5×1017cm-3である。キャリアの活性化
率をキャリア濃度/不純物元素濃度とすると、約25%
である。これは、化合物半導体エピタキシャル層に導入
された不純物元素の75%が不活性化していることを示
している。
【0025】水素雰囲気中で熱処理を施した後に測定し
たキャリア濃度は約1×1018cm-3(キャリアの活性化
率50%)に増加している。これは、熱処理を施すこと
で、化合物半導体エピタキシャル層より不純物元素と結
合していた水素が放出されたためである。
たキャリア濃度は約1×1018cm-3(キャリアの活性化
率50%)に増加している。これは、熱処理を施すこと
で、化合物半導体エピタキシャル層より不純物元素と結
合していた水素が放出されたためである。
【0026】これに対し、図1は、本発明に係わるもの
であり、2種類の不純物元素を同時にドープした場合の
キャリア分布を示す。化合物半導体エピタキシャル層中
には水素原子が侵入しキャリアを不活性化する。ところ
が、水素との解離エネルギー(結合性)に差のある不純
物元素1と不純物元素2を同時にドープすると、従来法
とは大きく異なった結果となる。
であり、2種類の不純物元素を同時にドープした場合の
キャリア分布を示す。化合物半導体エピタキシャル層中
には水素原子が侵入しキャリアを不活性化する。ところ
が、水素との解離エネルギー(結合性)に差のある不純
物元素1と不純物元素2を同時にドープすると、従来法
とは大きく異なった結果となる。
【0027】今、不純物元素1と水素原子との解離エネ
ルギーをE1、不純物元素2と水素原子との解離エネル
ギーをE2とし、 E1>E2 であるとき、化合物半導
体エピタキシャル層中に取り込まれた水素は、優先的
に、解離エネルギー(結合性)の高い不純物元素1と結
合する。
ルギーをE1、不純物元素2と水素原子との解離エネル
ギーをE2とし、 E1>E2 であるとき、化合物半導
体エピタキシャル層中に取り込まれた水素は、優先的
に、解離エネルギー(結合性)の高い不純物元素1と結
合する。
【0028】このため、水素原子と結合が強く、解離し
にくい不純物元素1で主にキャリアの不活性化が起こる
ため、水素原子との結合が弱く水素を解離しやすい不純
物元素2は、不純物元素1に護られて、キャリアを効率
良く活性化させることができる。このため、アニールな
どの、水素を除くプロセスを別途行うことなく、素子
は、エピタキシャル成長直後から充分な濃度のキャリア
を発生させることができる。さらに、本発明で得られた
素子は、キャリア濃度が高いにもかかわらず、環境(特
に温度)の変動に対する耐性に優れている。
にくい不純物元素1で主にキャリアの不活性化が起こる
ため、水素原子との結合が弱く水素を解離しやすい不純
物元素2は、不純物元素1に護られて、キャリアを効率
良く活性化させることができる。このため、アニールな
どの、水素を除くプロセスを別途行うことなく、素子
は、エピタキシャル成長直後から充分な濃度のキャリア
を発生させることができる。さらに、本発明で得られた
素子は、キャリア濃度が高いにもかかわらず、環境(特
に温度)の変動に対する耐性に優れている。
【0029】また、熱処理工程が不要となるので半導体
製造工程のスループットの向上にもつながる。
製造工程のスループットの向上にもつながる。
【0030】具体的には、図1では、化合物半導体エピ
タキシャル層中に、 1)水素原子と結合をさせるための不純物元素1を約5
×1017cm-3、 2)キャリア放出用の不純物元素2を1.2×1018cm
-3、をそれぞれドープしているが、この時のキャリア濃
度は既に、従来法で熱処理を行なった後のキャリア濃度
である1×1018cm-3(図2参照)に達している。この
時の不純物元素2(キャリア放出の主体となる不純物元
素)の濃度を基準として、活性化率を求めると、約83
%(=1×1018/1.2×1018)となる。上述の従
来法によるキャリアの活性化率が熱処理後においても5
0%であることを考えると、不純物元素1(水素との結
合の主体)が効率よく膜中の水素をトラップしているこ
とが明らかである。
タキシャル層中に、 1)水素原子と結合をさせるための不純物元素1を約5
×1017cm-3、 2)キャリア放出用の不純物元素2を1.2×1018cm
-3、をそれぞれドープしているが、この時のキャリア濃
度は既に、従来法で熱処理を行なった後のキャリア濃度
である1×1018cm-3(図2参照)に達している。この
時の不純物元素2(キャリア放出の主体となる不純物元
素)の濃度を基準として、活性化率を求めると、約83
%(=1×1018/1.2×1018)となる。上述の従
来法によるキャリアの活性化率が熱処理後においても5
0%であることを考えると、不純物元素1(水素との結
合の主体)が効率よく膜中の水素をトラップしているこ
とが明らかである。
【0031】水素を殆ど使用しない化合物半導体エピタ
キシャル層の成長方法、例えば、金属を蒸発させるよう
なMBE(分子線ビームエピタキシー法)法又はMOC
VD法の一種である各種の有機金属化合物を一旦プラズ
マ中でイオンとし、それをビームとして試料表面に供給
する成膜法以外で水素を使用する成膜法であれば、本発
明を応用できる。例えば、成長雰囲気として水素原子を
含む原料を使用するガスソースMBE法、ハイドライド気
相成長法等を用いた場合等である。
キシャル層の成長方法、例えば、金属を蒸発させるよう
なMBE(分子線ビームエピタキシー法)法又はMOC
VD法の一種である各種の有機金属化合物を一旦プラズ
マ中でイオンとし、それをビームとして試料表面に供給
する成膜法以外で水素を使用する成膜法であれば、本発
明を応用できる。例えば、成長雰囲気として水素原子を
含む原料を使用するガスソースMBE法、ハイドライド気
相成長法等を用いた場合等である。
【0032】また、半導体素子を作製するプロセス過程
で水素雰囲気を有するプロセス過程を経る場合にも本発
明を応用できる。
で水素雰囲気を有するプロセス過程を経る場合にも本発
明を応用できる。
【0033】
【実施例】以下に幾つかの本発明の実施例を示す。
【0034】<実施例1>面方位が(001)であるGaA
s基板をMOVPE反応管内に導入し、GaAsバッフ
ァ層を0.5μm成長し、その上にGaAsと格子整合す
るGaxIn1-xP(x=0.5)層を1.5μm成長し
た。成長を温度660°C、V/III比450で行った。
s基板をMOVPE反応管内に導入し、GaAsバッフ
ァ層を0.5μm成長し、その上にGaAsと格子整合す
るGaxIn1-xP(x=0.5)層を1.5μm成長し
た。成長を温度660°C、V/III比450で行った。
【0035】ここでV/III比とはIII族原料の流量に対す
るV族原料の比率である。(以下同じ。) このエピタキシャル層の原料ガスは、トリエチルガリウ
ム、トリメチルインジウム、ターシャリーブチルフォス
フィンであり、成膜時の圧力は100torrであった。
るV族原料の比率である。(以下同じ。) このエピタキシャル層の原料ガスは、トリエチルガリウ
ム、トリメチルインジウム、ターシャリーブチルフォス
フィンであり、成膜時の圧力は100torrであった。
【0036】エピタキシャル層にドープした不純物元素
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1として炭素
を7×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはター
シャリーブチルフォスフィンである。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素として亜鉛を
1.3×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジエ
チルジンクである。
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1として炭素
を7×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはター
シャリーブチルフォスフィンである。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素として亜鉛を
1.3×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジエ
チルジンクである。
【0037】その結果、キャリア濃度を測定すると、正
孔濃度としてほぼ9.9×1017〜1.04×1018cm-3のキャリ
ア濃度であった。
孔濃度としてほぼ9.9×1017〜1.04×1018cm-3のキャリ
ア濃度であった。
【0038】<実施例2>面方位が(115)であるGaA
s基板をMOVPE反応管内に導入し、GaAsバッフ
ァ層を0.5μm成長し、その上にGaAsと格子整合す
る(AlxGa1-x)0.5In0.5P(x=0.5)層を1.
7μmエピタキシャル成長した。成長を温度630°C、V/
III比150で行った。
s基板をMOVPE反応管内に導入し、GaAsバッフ
ァ層を0.5μm成長し、その上にGaAsと格子整合す
る(AlxGa1-x)0.5In0.5P(x=0.5)層を1.
7μmエピタキシャル成長した。成長を温度630°C、V/
III比150で行った。
【0039】このエピタキシャル層の原料ガスは、トリ
メチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリメチル
インジウム、フォスフィンであり、成膜時の圧力は10
0torrであった。
メチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリメチル
インジウム、フォスフィンであり、成膜時の圧力は10
0torrであった。
【0040】エピタキシャル層にドープした不純物元素
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1として炭素
を4.8×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはタ
ーシャリーブチルフォスフィンである。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素2として珪素
を1.7×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジ
シランである。
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1として炭素
を4.8×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはタ
ーシャリーブチルフォスフィンである。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素2として珪素
を1.7×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジ
シランである。
【0041】その結果、キャリア濃度を測定すると、電
子濃度としてほぼ1×1018cm-3であった。
子濃度としてほぼ1×1018cm-3であった。
【0042】エピタキシャル層中の不純物濃度及びキャ
リア濃度を図3に示す。
リア濃度を図3に示す。
【0043】<実施例3>面方位が(001)から5°傾斜し
たInP基板をMOVPE反応管内に導入し、InPバ
ッファ層を0.4μm成長し、その上にInPと格子整合
する(AlxGa1 -x)0.5In0.5As(x=0.5)層
を1.3μmエピタキシャル成長した。成長を温度620°
C、V/III比100で行った。
たInP基板をMOVPE反応管内に導入し、InPバ
ッファ層を0.4μm成長し、その上にInPと格子整合
する(AlxGa1 -x)0.5In0.5As(x=0.5)層
を1.3μmエピタキシャル成長した。成長を温度620°
C、V/III比100で行った。
【0044】このエピタキシャル層の原料ガスは、トリ
メチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリメチル
インジウム、アルシンであり、成膜時の圧力は130to
rrであった。
メチルアルミニウム、トリエチルガリウム、トリメチル
インジウム、アルシンであり、成膜時の圧力は130to
rrであった。
【0045】エピタキシャル層にドープした不純物元素
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1としてセレ
ンを3.0×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスは
セレン化水素である。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素2として珪素
を2×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジシ
ランである。
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1としてセレ
ンを3.0×1017cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスは
セレン化水素である。 2)キャリア放出の主体となる不純物元素2として珪素
を2×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジシ
ランである。
【0046】得られたエピタキシャル層について、SIMS
(Secondary ion mass spectrometry)法で評価した水
素濃度は、2×1017cm-3であった。
(Secondary ion mass spectrometry)法で評価した水
素濃度は、2×1017cm-3であった。
【0047】キャリア濃度を測定すると、電子濃度とし
てほぼ2×1018cm-3のキャリア濃度が得られた。これ
は、エピタキシャル層中の水素がほとんどSeと結合する
事で、大部分の珪素が活性化していることを示してい
る。
てほぼ2×1018cm-3のキャリア濃度が得られた。これ
は、エピタキシャル層中の水素がほとんどSeと結合する
事で、大部分の珪素が活性化していることを示してい
る。
【0048】<実施例4>面方位が(001)面のInP
基板をMOVPE反応管内に導入し、InPバッファ層
を0.4μm成長し、その上にInPと格子整合するGa
xIn1-xAsyP1 -y(x=0.13、y=0.27)層
を1.6μm成長した。成長を温度625°C、V/III比150で
行った。
基板をMOVPE反応管内に導入し、InPバッファ層
を0.4μm成長し、その上にInPと格子整合するGa
xIn1-xAsyP1 -y(x=0.13、y=0.27)層
を1.6μm成長した。成長を温度625°C、V/III比150で
行った。
【0049】GaInAsP層の原料ガスは、トリエチ
ルガリウム、トリメチルインジウム、アルシン、フォス
フィンであり、成膜時の圧力は130torrであった。
ルガリウム、トリメチルインジウム、アルシン、フォス
フィンであり、成膜時の圧力は130torrであった。
【0050】エピタキシャル層にドープした不純物元素
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1としてマグ
ネシウムを4.0×1017cm- 3の層中濃度で導入した。原料
ガスはシクロペンタジエニルマグネシウムである。2)
キャリア放出の主体となる不純物元素2として亜鉛を1.
5×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジエチ
ルジンクである。
は 1)水素との結合の主体となる不純物元素1としてマグ
ネシウムを4.0×1017cm- 3の層中濃度で導入した。原料
ガスはシクロペンタジエニルマグネシウムである。2)
キャリア放出の主体となる不純物元素2として亜鉛を1.
5×1018cm-3の層中濃度で導入した。原料ガスはジエチ
ルジンクである。
【0051】その結果、キャリア濃度を測定すると、正
孔濃度としてほぼ1×1018cm-3のキャリア濃度が得られ
た。
孔濃度としてほぼ1×1018cm-3のキャリア濃度が得られ
た。
【0052】<実施例5>次に、本発明をMOVPE法
で製作したダブルへテロ構造を有する化合物半導体素子
に適用した場合を示す。図4に多重量子井戸構造(以下
「MQW」という。)を挟んだダブルへテロ構造の例を
示す。
で製作したダブルへテロ構造を有する化合物半導体素子
に適用した場合を示す。図4に多重量子井戸構造(以下
「MQW」という。)を挟んだダブルへテロ構造の例を
示す。
【0053】素子を形成する半導体基板1として(11
5)の面方位を有するIII族面のGaAsを用いている。半導
体基板1上にバッファ層2としてSiドープGaAs層を0.5
μmの厚さでエピタキシャル成長した。
5)の面方位を有するIII族面のGaAsを用いている。半導
体基板1上にバッファ層2としてSiドープGaAs層を0.5
μmの厚さでエピタキシャル成長した。
【0054】バッファ層2上にn型の第1クラッド層3
の成長時に本発明を用いた。不純物である炭素を2×10
17cm-3、珪素を1×1018cm-3をドープした(AlxGa1-x)0.5
In0.5P(x=0.7)を1.5μmエピタキシャル成長した。
の成長時に本発明を用いた。不純物である炭素を2×10
17cm-3、珪素を1×1018cm-3をドープした(AlxGa1-x)0.5
In0.5P(x=0.7)を1.5μmエピタキシャル成長した。
【0055】第1クラッド層上には5nmのGa0.5In0.5P層
を井戸層として、井戸層上に7nmの(AlxGa1-x)0.5In0.5P
(x=0.7) をバリア層として成長して活性層5とした。
を井戸層として、井戸層上に7nmの(AlxGa1-x)0.5In0.5P
(x=0.7) をバリア層として成長して活性層5とした。
【0056】活性層上には本発明を用い、p型の第2ク
ラッド4として、p型不純物である炭素を5×1017c
m-3、亜鉛を1×1018cm-3ドープした(AlxGa1-x)0.5In0.5
P(x=0.7)を1.5μmエピタキシャル成長した。
ラッド4として、p型不純物である炭素を5×1017c
m-3、亜鉛を1×1018cm-3ドープした(AlxGa1-x)0.5In0.5
P(x=0.7)を1.5μmエピタキシャル成長した。
【0057】さらに第2クラッド層4上に、p型のキャ
ップ層6として炭素と亜鉛の2種をドープした、GaInP
層とGaAs層をそれぞれ0.5μmずつエピタキシャル成長
した。
ップ層6として炭素と亜鉛の2種をドープした、GaInP
層とGaAs層をそれぞれ0.5μmずつエピタキシャル成長
した。
【0058】この段階で、キャパシタンス−電圧法によ
るキャリアプロファイルから、n型クラッド層のキャリ
ア濃度が5×1017cm-3p型クラッド層のキャリア濃度が1
×10 18cm-3と高くなっていることを確認した。さらに、
この層構造のウェハにn側電極AuGeNi、p側電極TiPtAu
を設置し素子の作製を終了した。
るキャリアプロファイルから、n型クラッド層のキャリ
ア濃度が5×1017cm-3p型クラッド層のキャリア濃度が1
×10 18cm-3と高くなっていることを確認した。さらに、
この層構造のウェハにn側電極AuGeNi、p側電極TiPtAu
を設置し素子の作製を終了した。
【0059】この素子の電流―電圧特性を測定したとこ
ろ、従来法に比べて素子抵抗が約2分の1に低減され、
素子の発光効率も1.5倍となった。これは、アニール
による水素除去に比べて、MQW発光層の結晶品質低下が
抑えられたためと思われる。
ろ、従来法に比べて素子抵抗が約2分の1に低減され、
素子の発光効率も1.5倍となった。これは、アニール
による水素除去に比べて、MQW発光層の結晶品質低下が
抑えられたためと思われる。
【0060】以上の実施例では、ダブルへテロ構造のク
ラッド層に挟まれた層としてMQWを用いた例を示した
が、クラッド層に挟まれた層は、単層、単一量子井戸
層、また、発光素子特性を向上するために光ガイド層な
どを設けた場合でもよく、これらについても、同様の効
果が得られた。また、半導体結晶として、GaInA
s、AlGaAs、GaAsP、GaInAsPの上記実施例の他
の組成の結晶についても、同様の効果が得られた。ま
た、成長基板面方位についても、(001)面を始め、さま
ざまな(11n)の面方位を持つIII族面、(11m)の面方位を
持つV族面(n、mは0を含む任意の自然数)を用いた場合
についても効果は変わらなく得られた。
ラッド層に挟まれた層としてMQWを用いた例を示した
が、クラッド層に挟まれた層は、単層、単一量子井戸
層、また、発光素子特性を向上するために光ガイド層な
どを設けた場合でもよく、これらについても、同様の効
果が得られた。また、半導体結晶として、GaInA
s、AlGaAs、GaAsP、GaInAsPの上記実施例の他
の組成の結晶についても、同様の効果が得られた。ま
た、成長基板面方位についても、(001)面を始め、さま
ざまな(11n)の面方位を持つIII族面、(11m)の面方位を
持つV族面(n、mは0を含む任意の自然数)を用いた場合
についても効果は変わらなく得られた。
【0061】さらに、不純物元素の結晶中への取り込ま
れ量が成長温度やV/III比に依存する元素種もあるが、
キャリアの活性化率に対する効果はこれらの成長条件に
依存せず得られた。さらに、ドープする不純物元素の組
み合わせとして、以上の実施例以外での2種の不純物元
素の組み合わせ、あるいは2種以上の組み合わせについ
ても同様の効果が得られた。
れ量が成長温度やV/III比に依存する元素種もあるが、
キャリアの活性化率に対する効果はこれらの成長条件に
依存せず得られた。さらに、ドープする不純物元素の組
み合わせとして、以上の実施例以外での2種の不純物元
素の組み合わせ、あるいは2種以上の組み合わせについ
ても同様の効果が得られた。
【0062】さらに、本発明は、結晶成長方法として、
MOVPE法により成長した場合について述べたが、成長時
に水素を含むガスソースMBE成長法やハイドライド気相
成長法についても同様の効果が得られた。また、結晶成
長中に化合物半導体エピタキシャル層に混入する水素に
対してのみ効果を有するものではなく、エピタキシャル
成長後に化合物半導体素子を作製する途中のプロセス中
における、化合物半導体エピタキシャル層中への水素の
混入に対しても、同様に効果が得られた。すなわち、た
とえば、ドライプロセス加工時の水素プラズマへの暴露
による水素侵入、半導体レーザの光出射端面保護のため
の誘電体膜コーティング時の原料からの水素侵入、電流
狭窄のための絶縁膜形成時に原料からの水素侵入に対し
ても同様の効果が得られた。
MOVPE法により成長した場合について述べたが、成長時
に水素を含むガスソースMBE成長法やハイドライド気相
成長法についても同様の効果が得られた。また、結晶成
長中に化合物半導体エピタキシャル層に混入する水素に
対してのみ効果を有するものではなく、エピタキシャル
成長後に化合物半導体素子を作製する途中のプロセス中
における、化合物半導体エピタキシャル層中への水素の
混入に対しても、同様に効果が得られた。すなわち、た
とえば、ドライプロセス加工時の水素プラズマへの暴露
による水素侵入、半導体レーザの光出射端面保護のため
の誘電体膜コーティング時の原料からの水素侵入、電流
狭窄のための絶縁膜形成時に原料からの水素侵入に対し
ても同様の効果が得られた。
【0063】
【発明の効果】本発明の結晶成長方法により、以下の効
果が得られた。 1)III−V族化合物半導体基板上の化合物半導体エピ
タキシャル層におけるキャリアの活性化率を向上するこ
とができた。 2)従来法通りアニールを行なった半導体基板に比べ
て、基板の耐環境性が著しく向上した。 3)エピタキシャル成長後のアニールが不要になり、化
合物半導体素子の熱による劣化を防ぐことができた。 4)エピタキシャル成長後のアニールが不要になったこ
とで、化合物半導体素子製造プロセスのスループットが
向上した。
果が得られた。 1)III−V族化合物半導体基板上の化合物半導体エピ
タキシャル層におけるキャリアの活性化率を向上するこ
とができた。 2)従来法通りアニールを行なった半導体基板に比べ
て、基板の耐環境性が著しく向上した。 3)エピタキシャル成長後のアニールが不要になり、化
合物半導体素子の熱による劣化を防ぐことができた。 4)エピタキシャル成長後のアニールが不要になったこ
とで、化合物半導体素子製造プロセスのスループットが
向上した。
【図1】本発明による2種の不純物元素を同時にドープ
した場合の化合物半導体エピタキシャル層中の原子濃度
とキャリア濃度分布を示す図。
した場合の化合物半導体エピタキシャル層中の原子濃度
とキャリア濃度分布を示す図。
【図2】従来例による化合物半導体エピタキシャル層中
不純物元素濃度とキャリア濃度の関係を示す図。
不純物元素濃度とキャリア濃度の関係を示す図。
【図3】実施例を示す化合物半導体エピタキシャル層中
の原子濃度分布とキャリア濃度分布を示す図。
の原子濃度分布とキャリア濃度分布を示す図。
【図4】実施例を示す化合物半導体エピタキシャル層断
面図。
面図。
1 半導体基板 2 バッファ層 3 第1クラッド層 4 第2クラッド層 5 活性層 6 キャップ層
Claims (6)
- 【請求項1】 半導体基板としてGaAs又はInPを用い、
該半導体基板に接して成膜される化合物半導体エピタキ
シャル層を成膜する化合物半導体結晶の成長方法におい
て、該化合物半導体エピタキシャル層として(AlxGa
1-x)yIn1-yP(式中xは0<x≦1を満足する数であり、y
は0<y<1を満足する数である。)、GaxIn1-xAs
(式中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であ
る。)、GaxIn1-xAsyP1-y(式中xは、前記とは独
立に0<x≦1を満足する数であり、yは0<y<1を満足す
る数である。)、(AlxGa1-x)yIn1-yAs(式中x
は、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であり、yは0
<y<1を満足する数である。)及びAlxGa1-xAs(式
中xは、前記とは独立に0<x≦1を満足する数であり、y
は0<y<1を満足する数である。)からなる群より選ばれ
た化合物半導体をエピタキシャル層として用い、かつ、
該化合物半導体エピタキシャル層の成長時に、水素との
解離エネルギーが異なる2種類以上の不純物元素を該化
合物半導体エピタキシャル層中に導入する化合物半導体
結晶の成長方法。 - 【請求項2】 前記化合物半導体エピタキシャル層をp
型とする場合には、前記2種類以上の不純物元素とし
て、ZnとMg又はCとZnの不純物元素の組み合わせの
うちのどちらかの組み合わせの不純物元素を少なくとも
用いる請求項1記載の化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項3】 前記化合物半導体エピタキシャル層をn
型とする場合には、前記2種類以上の不純物元素とし
て、SiとSe又はCとSiの不純物元素の組み合わせ
のうちのどちらかの組み合わせの不純物元素を少なくと
も用いる請求項1記載の化合物半導体結晶の成長方法。 - 【請求項4】 有機金属気相成長法を用いる請求項1〜
3のいずれか一項に記載の化合物半導体結晶の成長方
法。 - 【請求項5】 請求項1〜4記載の化合物半導体結晶の
成長方法を用いて成長した化合物半導体エピタキシャル
層。 - 【請求項6】 前記請求項5に記載の化合物半導体エピ
タキシャル層をダブルへテロ構造のn側クラッド層ある
いはp側クラッド層の少なくとも一方に用いることを特
徴とする化合物半導体素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21069199A JP2001044489A (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 半導体結晶の成長方法および半導体素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21069199A JP2001044489A (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 半導体結晶の成長方法および半導体素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001044489A true JP2001044489A (ja) | 2001-02-16 |
Family
ID=16593518
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21069199A Pending JP2001044489A (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 半導体結晶の成長方法および半導体素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001044489A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004356600A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-12-16 | Hitachi Cable Ltd | 半導体発光素子 |
KR100768674B1 (ko) * | 2004-03-05 | 2007-10-19 | (주)새롬바이오 | 킬레이트화된 철분 펩타이드의 제조방법 |
-
1999
- 1999-07-26 JP JP21069199A patent/JP2001044489A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004356600A (ja) * | 2003-03-31 | 2004-12-16 | Hitachi Cable Ltd | 半導体発光素子 |
KR100768674B1 (ko) * | 2004-03-05 | 2007-10-19 | (주)새롬바이오 | 킬레이트화된 철분 펩타이드의 제조방법 |
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