JP2001042548A - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法

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JP2001042548A
JP2001042548A JP11215151A JP21515199A JP2001042548A JP 2001042548 A JP2001042548 A JP 2001042548A JP 11215151 A JP11215151 A JP 11215151A JP 21515199 A JP21515199 A JP 21515199A JP 2001042548 A JP2001042548 A JP 2001042548A
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poly
binder resin
carbonate
diallyl phthalate
photoreceptor
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English (en)
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Kazuhiro Enomoto
和弘 榎本
Yoshihide Shimoda
嘉英 下田
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光層の塗布形成の際に溶剤としてハロゲン
系溶剤を用いないで、従来と同等あるいはそれ以上の機
能を有する高性能な感光体を得ることを課題とする。 【解決手段】 感光層の結合剤樹脂として、ポリ(アリ
ルアリールカルボネート)を用いることにより、さらに
ジアリルフタレートプレポリマーを用いてブレンド体と
し、これを架橋することにより、上記の課題を解決す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光層の結合剤樹
脂として特定のポリ(アリルアリールカルボネート)を
含有する電子写真感光体およびその製造方法に関する。
また、本発明は、結合剤樹脂としてさらにジアリルフタ
レートプレポリマーを用いてブレンド体とし、このジア
リルフタレートプレポリマーを架橋させて得られる、耐
熱性および耐摩耗性に優れた高性能な電子写真感光体お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真技術は、即時性があり、高品質
かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年、
複写機の分野にとどまらず、各種プリンターやファクシ
ミリの分野でも広く使われ、その技術分野は大きな広が
りを見せている。現在、大部分の複写機やプリンターな
どにおいて、電子写真感光体(以下、「感光体」と略称
する)として、OPC(Organic Photo Conductor )と
いわれる有機化合物が用いられている。このOPCの性
能向上が、昨今のコピーの一般大衆化時代をもたらして
いる。しかしながら、OPCは機能性の向上を第一とし
て開発されてきたために、感光体の製造段階で取り扱わ
れる化学物質の環境に対する配慮が欠けている面があっ
た。
【0003】従来から、感光体の電荷発生材料および電
荷輸送材料などの材料開発のポイントは、感光体の機能
性の向上がまず第一であった。これらの材料に求められ
る主な物性としては、高感度、高帯電性、高耐刷性、光
劣化および熱劣化が少ないこと、ならびに電荷発生効率
および電荷輸送効率が大きいことなどが挙げられる。ま
た、その材料の合成が容易であることも重要視されてい
る。そして、当該分野の材料開発は盛んであり、鋭意研
究が進められてきた。一方、感光体の感光層を形成する
結合剤樹脂(「マトリックス樹脂」ともいう)について
も、電荷発生材料や電荷輸送材料と同様に、感光体の機
能性向上を重視する見地から開発が行われてきた。
【0004】上記の材料開発において、材料自体の有害
性および感光体形成時の有害性に対する配慮は当然なさ
れてきたが、感光体形成に用いる有機溶剤に対する配慮
が欠けていた。すなわち、感光層を形成するために電荷
発生材料または電荷輸送材料、必要に応じて結合剤樹脂
を分散あるいは溶解する有機溶剤として、塩化メチレン
(ジクロロメタン)、ジクロロエタンおよびモノクロロ
ベンゼンなどのハロゲン含有炭化水素系有機溶剤(以
下、「ハロゲン系溶剤」と略称する)が主な溶剤として
使用されているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、感光層の塗
布形成の際に溶剤としてハロゲン系溶剤を用いないで、
従来と同等あるいはそれ以上の機能を有する高性能な感
光体を得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる観点
から、鋭意研究を行った結果、感光層の塗布形成に使用
する結合剤樹脂として、特定のポリ(アリルアリールカ
ルボネート)を用いることにより、ハロゲン系溶剤の代
わりに、環境に優しい有機溶剤を用いて感光層を形成す
ることができ、高感度、高帯電性で、かつ環境に配慮し
た高性能な感光体が得られること、ならびに結合剤樹脂
としてさらにジアリルフタレートプレポリマーを用いて
ブレンド体とし、このジアリルフタレートプレポリマー
を架橋することにより、耐熱性ならびに耐摩耗性および
被膜強度などの機械的特性に優れた感光体が得られるこ
とを見出し、本発明に到った。
【0007】かくして、本発明によれば、導電性支持体
上に感光層が形成された電子写真感光体であって、感光
層中に結合剤樹脂として一般式(I):
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Arは置換されていてもよいアリ
ール基である)で表される単量体単位から構成されるポ
リ(アリルアリールカルボネート)を含むことからなる
電子写真感光体が提供される。
【0010】また、本発明によれば、導電性支持体上
に、結合剤樹脂として上記ポリ(アリルアリールカルボ
ネート)とジアリルフタレートプレポリマーとのブレン
ド体を用いて感光層を形成し、感光層形成後、ジアリル
フタレートプレポリマーを架橋して電子写真感光体を得
ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供さ
れる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の感光体の結合剤樹脂に用
いられるポリ(アリルアリールカルボネート)は、前記
の一般式(I)で表される単量体単位から構成される樹
脂であり、アルドリッチ社などより市販されているもの
を用いることができる。
【0012】一般式(I)においてArで表されるアリ
ール基としては、フェニルおよび(1-または2-)ナフチ
ルのような炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、そ
の置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基およ
び低級アルコキシ基が挙げられる。中でも、フェニル
基、1-ナフチル基および次式で表される置換されたフェ
ニル基が好ましい。
【0013】
【化5】
【0014】(式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル
基または低級アルコキシ基であり、nは1〜5の整数で
あり、nが2以上のときRは同一でも異なっていてもよ
い)
【0015】ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭
素およびヨウ素が挙げられる。低級アルキル基として
は、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基
が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n-プロピ
ル、n-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシル、ならびに
iso-プロピル、iso-ブチル、sec-ブチル、 tert-ブチ
ル、iso-ペンチル、 tert-ペンチル、neo-ペンチルおよ
びiso-ヘキシルなどが挙げられる。
【0016】低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6
の直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基が挙げられ、具
体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシ、ならびにイ
ソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシおよび ter
t-ブトキシなどが挙げられる。
【0017】置換基Rの結合位置はその種類にもよる
が、フェニル基の3位または4位にあるのが好ましい。
特に好ましいのは、フェニル基の4位に結合したメチル
である。
【0018】一般式(I)で表される単量体単位から構
成されるポリ(アリルアリールカルボネート)として
は、Arがフェニルであるポリ(アリルベンゾエー
ト)、Arが1-ナフチルであるポリ(アリル−1-ナフト
エート)、およびArが4-メチルフェニルであるポリ
〔アリル(4-メチル)ベンゾエート〕が特に好ましい。
【0019】また、ポリ(アリルアリールカルボネー
ト)としては、公知の方法、例えば、ピリジンおよびト
リエチルアミンなどの塩基性触媒の存在下でのアリルア
ルコールとアロイルクロライドとの反応〔P.B.D.Dela M
are ら、J.Chem.Soc. 、509頁(1945年)および藤村
「プラスチックス」第13巻、第5号、第1頁(1962
年)参照〕により得られる、ポリ(アリルアリールカル
ボネート)前駆体である単量体を重合させたものを用い
ることもできる。
【0020】ポリ(アリルアリールカルボネート)は、
寸法安定性が良好で、かつ体積抵抗や電荷保持などの電
気特性が温度や湿度などの外的影響を受け難いという特
長を有する。
【0021】本発明では感光体の結合剤樹脂として、ポ
リ(アリルアリールカルボネート)を単独で用いてもよ
いが、複数のタイプの単量体を組み合わせた共重合体と
して用いてもよい。しかし、共重合体においては重合度
が低下する傾向にあり、結合剤樹脂としての共重合体の
使用は被膜強度の点から好ましくない。重合度が低い樹
脂は飴状で粉末化し難く、ブロッキングを起こし易い被
膜が形成される。例えば、ポリ(アリルアリールカルボ
ネート)とスチレンのようなビニル系単量体との組み合
わせでは、アリル基のラジカル活性がビニル基よりも弱
いために、共重合し難い(重合度10〜40程度)。
【0022】また、本発明の感光体の結合剤樹脂とし
て、ポリ(アリルアリールカルボネート)とジアリルフ
タレートプレポリマーとのブレンド体も好ましい態様の
一つである。このブレンドにより、感光層の被膜強度お
よび接着性が向上する。ジアリルフタレートプレポリマ
ーとしては、次式で表される単量体単位が好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】このジアリルフタレートプレポリマーは、
架橋によってさらに被膜強度が向上する。しかも、架橋
によって水や炭酸ガスなど副生物を生じないので体積変
化が少なく、かつ電気特性にも殆ど変化がない。なお、
ジアリルフタレートプレポリマーは、架橋以外に通常の
重合が起こってもよい。
【0025】ポリ(アリルアリールカルボネート)とジ
アリルフタレートプレポリマーとは、基本的に類似の化
学構造を有するので、相溶性が良好でブレンドが容易で
ある。したがって、これらのブレンド率は特に制限され
ないが、ブレンド体中のジアリルフタレートプレポリマ
ーは10〜40重量%程度が好ましい。
【0026】本発明のポリ(アリルアリールカルボネー
ト)は、非ハロゲン系有機溶剤に溶解し易いという特長
を有している。したがって、有害性の低い非ハロゲン系
有機溶剤を感光層の形成に用いることができる点が本発
明の特長の一つである。
【0027】非ハロゲン系有機溶剤としては、酢酸メチ
ルおよび酢酸エチルなどのエステル系溶剤;メチルエチ
ルケトン、メチルブチルケトンおよびシクロペンタノン
などのケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、1,3−ジオキサンおよび1,2−ジメトキシエタ
ンなどのエーテル系溶剤;トルエンおよびキシレンなど
の芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの中
でも、酢酸エチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロ
フランおよびトルエンなどが好ましい。
【0028】これらの有機溶剤は2種以上を混合して用
いることもでき、塗布溶液の濃度、乾燥条件および必要
とする感光層の被膜性により適宜選択される。混合溶剤
は、電荷発生材料や電荷輸送材料のような感光層の主要
成分の溶解度をさらに向上させることができるので好ま
しく、物性やコストなどの諸条件を考慮した場合、酢酸
エチルとトルエンとの混合溶剤、酢酸エチルとテトラヒ
ドロフランとの混合溶剤およびテトラヒドロフランとト
ルエンとの混合溶剤が特に好ましい。
【0029】昨今、複写機やプリンターの感光体とし
て、機能分離型感光体が汎用されている。この機能分離
型感光体の構造は、基本的には導電性支持体上に、感光
層として、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層と、
この電荷発生層上に形成され、かつ電荷輸送(移動)材
料を主成分とする電荷輸送(移動)層とが形成された積
層からなる。
【0030】電荷発生層は、目的とする波長域において
光エネルギーにより電荷を効率良く発生する機能を有
し、電荷輸送層は、その下層の電荷発生層から発生した
電荷を効率良く輸送する機能を有する。電荷輸送材料自
体が高分子タイプの化合物であれば結合剤樹脂を用いる
必要はないが、電荷輸送効率などの性能面で優れた高分
子タイプの化合物は見出されていない。したがって、電
荷輸送層を形成するためには低分子タイプの化合物を用
いなければならず、結合剤樹脂が必要不可欠となる。
【0031】本発明のポリ(アリルアリールカルボネー
ト)は、電荷輸送材料の結合剤樹脂として好適に用いら
れ、電荷発生層の結合剤樹脂としても用いることができ
る。本発明のポリ(アリルアリールカルボネート)は、
さらに、電荷発生材料と電荷輸送材料を含有する単一層
の感光層からなる単層型感光体、あるいは導電性支持体
と感光層との間に中間層が設けられた感光体における結
合剤樹脂としても用いることができる。
【0032】本発明の感光体における導電性支持体とし
ては、通常この種の導電性支持体として使用されるもの
であれば特に限定されない。その材質としては、例え
ば、支持体自体が導電性をもつもの、例えば、アルミニ
ウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼、ニ
ッケルおよびチタンなどの金属材料を用いることがで
き、その他にアルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、
亜鉛、ニッケル、チタン、酸化インジウムまたは酸化錫
などを蒸着したプラスチック(例えば、ポリエチレン)
や紙、導電性ポリマーを含有するプラスチックなどが挙
げられ、それらの形状としては、ドラム状、シート状お
よびシームレスベルト状のものなどが挙げられる。
【0033】次に本発明の感光体に用いられるその他の
材料について説明する。本発明の感光体の電荷発生材料
としては、公知の化合物、すなわちビスアゾ系顔料およ
びトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、無金属フタロシ
アニン系顔料およびチタニウムフタロシアニン系顔料な
どのフタロシアニン系顔料などが用いられる。具体的に
は、後記の実施例1〜3に記載のビスアゾ顔料および実
施例8に記載のチタニウムオキサイドフタロシアニンな
どが挙げられる。電荷発生材料は、感光体の目的とする
波長域において電荷を発生する機能を有し、感光体の用
途により適宜選択される。一般に、複写機の用途ではア
ゾ系顔料が好ましく、プリンターの用途ではフタロシア
ニン系顔料が好ましい。
【0034】本発明の感光体の低分子タイプの電荷輸送
材料としては、公知の化合物、すなわちモノヒドラゾン
化合物、ビスヒドラゾン化合物、トリフェニルアミン化
合物およびこれらの化合物のスチリル置換体化合物など
が用いられる。具体的には、後記の実施例1〜3に記載
のモノヒドラゾン化合物などが挙げられる。
【0035】次に本発明の感光体の形成方法について、
前記の機能分離型感光体を例に説明する。 (電荷発生層の形成)電荷発生層は、前記の電荷発生材
料と結合剤樹脂とを溶剤に分散させ、得られた分散液を
導電性支持体上に塗布することにより形成することがで
きる。例えば、電荷発生材料に結合剤樹脂と溶剤を加
え、ボールミル、ダイノミル、ラボミル、サンドグライ
ンダー、ペイントシェイカー(ペイントコンディショナ
ー)または超音波分散機などによって粉砕、分散して得
られる塗液(顔料分散液)を、シートの場合にはアプリ
ケーター、ディップ、バーコーター、キャスティングお
よびスピンコートなど、ドラムの場合にはスプレー法、
垂直型リング法および浸漬塗工法などの方法により塗布
して、電荷発生層を形成する。塗液の作成に際して、必
要に応じてフィルターを用いて、分散粒子を分級しても
よい。
【0036】結合剤樹脂としては、ポリ(アリルアリー
ルカルボネート)に限らず、公知の結合剤樹脂、例えば
ブチラール樹脂、ポリエステル、ポリビニルアセテー
ト、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステ
ル、、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセター
ル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セ
ルロースエステル、セルロースエーテルおよび塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体などを用いることができ、これ
らを混合して用いてもよい。これらの中でもポリ(アリ
ルアリールカルボネート)、ブチラール樹脂およびフェ
ノキシ樹脂が好ましく、ポリ(アリルアリールカルボネ
ート)およびフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0037】溶剤としては、アセトン、エチルメチルケ
トン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン
などのケトン系溶剤;酢酸エチルおよび酢酸ブチルなど
のエステル系溶剤;テトラヒドロフランおよびジオキサ
ンなどのエーテル系溶剤;メタノールおよびエタノール
などのアルコール系溶剤;ベンゼン、トルエンおよびキ
シレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチル
ホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの非プロ
トン性極性溶剤などが挙げられ、これらを混合して用い
てもよい。
【0038】電荷発生層における、結合剤樹脂と電荷発
生材料との配合割合は、各配合成分の種類および感光体
に要求される性能により適宜選択される。電荷発生層の
膜厚は、最適吸光(最大波長で0.6〜1.2)の保持
膜厚として、通常0.1〜0.6μm程度である。
【0039】(電荷輸送層の形成)次いで、電荷発生層
上に電荷輸送層を形成する。電荷輸送層は、電荷発生層
と同様に公知の方法により形成することができる。例え
ば、前記のような電荷輸送材料を前記のような溶剤に溶
解し、これに結合剤樹脂として本発明のポリ(アリルア
リールカルボネート)、必要に応じて他の結着剤樹脂お
よび/またはジアリルフタレートプレポリマー、さらに
は微量の架橋剤を加え、得られた溶液を電荷発生層の場
合と同様の方法でシートまたはドラムに塗布し、乾燥し
て、電荷輸送層を形成する。
【0040】電荷輸送層における、結合剤樹脂と電荷輸
送材料との配合割合は、各配合成分の種類および電子写
真感光体に要求される性能により適宜選択される。ポリ
(アリルアリールカルボネート)は他の結合剤樹脂と比
較して、膜特性が若干劣るため、電荷輸送材料とポリ
(アリルアリールカルボネート)との比率は等量か、あ
るいは20%程度ポリ(アリルアリールカルボネート)
を過剰にするのが好ましい。
【0041】電荷輸送層の塗布形成後の乾燥は、例え
ば、温風乾燥のような方法で行うことができる。乾燥温
度は70〜180℃程度である。また、乾燥後に得られ
た感光体を、例えば、湿度40%、温度45℃の暗所で
2〜3日保管してもよい。このような後処理により被膜
強度が向上し、耐摩耗性、すなわち複写機やプリンター
に用いた場合の耐刷性に優れた感光体を得ることができ
る。電荷輸送層の膜厚は、最適電荷(400〜1000
V)の保持膜厚として、通常10〜40μm程度、好ま
しくは15〜40μm程度である。
【0042】本発明において、結合剤樹脂、特にポリ
(アリルアリールカルボネート)とジアリルフタレート
プレポリマーのブレンド体に、微量の架橋剤を添加し、
電荷輸送層を塗布形成した後、アニールなどにより結合
剤樹脂を架橋させるのが好ましい。
【0043】本発明で用いられる結合剤樹脂、特にジア
リルフタレートプレポリマーの架橋に有効な架橋剤とし
ては、通常ラジカル重合の重合開始剤として用いられる
有機過酸化物触媒が好ましく、例えば過酸化ベンゾイ
ル、過酸化ラウロイルおよび 2,2'-アゾビスイソブチロ
ニトリルなどが挙げられる。
【0044】架橋剤の添加割合は、結合剤樹脂に対して
0.1〜2.0%程度が好ましい。架橋剤の割合が0.
1%未満の場合にはその添加効果が低く、また架橋剤の
割合が2.0%を超える場合には、得られる感光体の電
子写真特性の低下を招くので好ましくない。
【0045】有機過酸化物触媒を架橋剤として添加する
場合には、溶解時、保存時および塗布時の溶液の温度調
整が重要になる。溶液が高温であると、溶液の粘性が増
加し、感光層の塗布形成が困難になる恐れがある。した
がって、溶液の温度は20〜40℃の範囲が好ましく、
60℃以上の加熱は避けるのがよい。このような温度管
理は、ポリ(アリルアリールカルボネート)とジアリル
フタレートプレポリマーとのブレンド体を含む溶液を扱
う場合に、特に重要である。
【0046】また、上記の架橋剤の代わりに、重合促進
剤として、ポリ(アリルアリールカルボネート)を含む
前記の結合剤樹脂の単量体自体を添加してもよい。しか
し、これらの単量体の殆どは液体であり、加えすぎると
電子写真特性に悪影響を与えるので、その添加割合は結
合剤樹脂に対して数%程度である。
【0047】アニールは比較的高温で行うのがよく、そ
の温度は70〜180℃が好ましい。アニール温度が7
0℃より低い場合には、架橋が充分に行われないので好
ましくない。また、アニール温度が180℃を超える場
合には、構成成分の熱劣化(熱分解)により電子写真特
性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0048】ジアリルフタレートプレポリマーの架橋の
度合は、溶剤への溶解性により把握することができる。
すなわち、架橋の進行により樹脂成分の溶媒(例えば、
メチルエチルケトン)への溶解性は低下する。また、溶
解度の低下に伴って低下するヨウ素価も、架橋の度合を
みる指針になる。また、ジアリルフタレートプレポリマ
ーは、架橋後に2850cm-1付近に新しい赤外吸収が
生じるので、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)
も架橋の度合をみる指針になる。
【0049】電荷発生層および/または電荷輸送層に
は、必要に応じてレベリング剤や酸化防止剤、増感剤な
どの各種添加剤を添加してもよい。酸化防止剤として
は、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、
ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリ
ールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物お
よび有機燐化合物などが挙げられる。電荷輸送層上に
は、最表面層として従来公知の、例えば、熱可塑性ある
いは熱硬化性ポリマーを主体とするオーバーコート層を
設けてもよい。
【0050】
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
るが、これらの実施例により本発明が限定されるもので
はない。
【0051】実施例1 アルミ蒸着膜が形成されたポリエステルフィルム(膜厚
80μm)を導電性支持体とした。フェノキシ樹脂(ユ
ニオンカーバイド社製、PKHH)を溶解した1%メチ
ルエチルケトン溶液50mlに、電荷発生材料として、
下記構造式で表されるビスアゾ顔料0.5gを加えた。
得られた溶液をペイントコンディショナー(レッドデェ
ベル社製)にて、直径1.5mmのガラスビーズ100
gと共に約30分間分散処理し、篩により濾過してガラ
スビーズを除いた。得られた分散液を上記の導電性支持
体上にアプリケーション法により塗布し、乾燥して、膜
厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0052】
【化7】
【0053】次いで、酢酸エチルとトルエンとの混合溶
剤(混合比1:1)10mlに、表1に示されるポリ
(アリルアリールカルボネート)No.1(ソックスレ
ー処理、溶剤:エタノール)1gを室温下で溶解し、さ
らに下記構造式で表されるモノヒドラゾン化合物0.9
gを溶解した。得られた溶液を直ちに上記の電荷発生層
上にアプリケーション法により塗布し、室温で乾燥し、
次いで温度80℃、湿度30%で約30分間アニールを
行い、膜厚27.0μmの電荷輸送層を形成した。以上
のようにして、電荷発生層と電荷輸送層から構成され
る、シート状の機能分離型電子写真感光体を得た。
【0054】
【化8】
【0055】
【表1】
【0056】表1には、他の溶剤〔テトラヒドロフラン
(THF)およびトルエン〕に対するポリ(アリルアリ
ールカルボネート)No.1の溶解性を併記する。な
お、溶解性は10%w/vの混合溶液について、下記の
基準で判断した。 ○:目視にて不溶物がなく、完全に透明溶液となる △:目視にて不溶物はないが、半透明溶液となる
【0057】得られた感光体の電子写真特性を、電子写
真測定装置(緑電気社製、SP−428)により評価し
た。測定条件は、印加電圧:−5kV、光源:タングス
テンランプとした。得られた結果を表2に示す。表中、
0 は初期電位(ボルト)、VR は50ルックスで0.
2秒照射後の電位(ボルト)を示す。
【0058】また、得られた感光体の接着特性を、JI
S規格K−5400の碁盤目法(JISハンドブック1
995参照)に基づいて評価した。得られた結果を表2
に示す。表中、接着特性を10点満点で示す。
【0059】
【表2】
【0060】実施例2〜3 ポリ(アリルアリールカルボネート)No.1の代わり
に、表1に示されるポリ(アリルアリールカルボネー
ト)No.2およびNo.3(共にソックスレー処理、
溶剤:エタノール)をそれぞれ用いる以外は、実施例1
と同様にして、シート状の機能分離型電子写真感光体を
得た。また、表1には、実施例1と同様にして、他の溶
剤に対するポリ(アリルアリールカルボネート)No.
2およびNo.3の溶解性を併記する。得られた感光体
の電子写真特性および接着特性を、実施例1と同様にし
て評価した。得られた結果を表2に示す。
【0061】表2に示される結果から、実施例1〜3で
得られた本発明の感光体は、高い電位および光導電性を
有し、かつ高い接着性を有する感光体であることが分か
る。
【0062】実施例4 電子輸送層の結合剤樹脂としてポリ(アリルアリールカ
ルボネート)No.1を1g用いる代わりに、ポリ(ア
リルアリールカルボネート)No.1を0.7gとジア
リルフタレートプレポリマー0.3gとを用いること、
架橋剤として過酸化ベンゾイル0.01gをさらに加え
ること、および感光層形成後、温度70℃で15分間ア
ニールを行うこと以外は、実施例1と同様にして、シー
ト状の機能分離型電子写真感光体を得た。
【0063】得られた感光体の電子写真特性および接着
特性を、実施例1と同様にして評価した。得られた結果
を表3に示す。
【0064】また、得られた感光体の摩耗特性を、JI
S規格K−7204の摩耗試験方法(JISハンドブッ
ク1995参照)に基づいて評価した。具体的には、上
記のJIS規格に記載された試験機を用い、一定加重の
もとで回転輪により電荷発生層の赤紫色の層が摩耗粉に
含まれるまでの回転数を測定し、その状態を目視により
観察した。なお、摩耗特性値はデータ5回の平均値を1
00の位で求めた。得られた結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】実施例5〜7 アニール条件を表3に示される条件とする以外は、実施
例4と同様にして、それぞれシート状の機能分離型電子
写真感光体を得た。得られた感光体の電子写真特性、接
着特性および摩耗特性を、実施例4と同様にして評価し
た。得られた結果を表3に示す。
【0067】表3に示される結果から、温度70℃、1
0分間以上のアニール(実施例4〜5)により、結合剤
樹脂の架橋反応が十分に行われていることが分かる。ま
た、温度100℃および150℃では、5分間のアニー
ルにより、結合剤樹脂の架橋反応が十分に行われている
ことが分かる(実施例6〜7)。
【0068】実施例8 アルミ蒸着膜が形成されたポリエステルフィルム(膜厚
80μm)を導電性支持体とした。表1に示されるポリ
(アリルアリールカルボネート)No.3を溶解した2
%テトラヒドロフラン溶液30mlに、電荷発生材料と
して、チタニウムオキサイドフタロシアニン0.5gを
加えた。得られた溶液をペイントコンディショナー(レ
ッドデェベル社製)にて、直径1.5mmのガラスビー
ズ60gと共に約30分間分散処理し、篩により濾過し
てガラスビーズを除いた。得られた分散液を上記の導電
性支持体上にスキージングドクターにより塗布し、70
℃で5分間乾燥して、膜厚0.25μmの電荷発生層を
形成した。この電荷発生層上に実施例6と同様にして電
荷輸送層を形成し、シート状の機能分離型電子写真感光
体を得た。
【0069】得られた感光体の電子写真特性、接着特性
および摩耗特性を、実施例4と同様にして評価した。な
お、電子写真特性の一部については、780nmにおけ
る分光感度をモノクロメーターにより求めた。得られた
結果を以下に示す。
【0070】 電子写真特性 初期電位V0 730(V) 500Vから250Vになるエネルギー量E0.5 0.22(μJ/cm2 ) 接着特性 10 摩耗特性 9.4
【0071】上記の結果から、本発明のポリ(アリルア
リールカルボネート)を電荷発生層の結合剤樹脂として
用いても、電子写真特性および接着特性に何ら問題のな
いことがわかる。むしろ、接着特性については従来のも
のより好ましいことがわかる。また、このような感光体
は、プリンター用感光体としても十分に適用できる性能
を有していることがわかる。
【0072】
【発明の効果】感光層の結合剤樹脂に、ポリ(アリルア
リールカルボネート)を用いることにより、ハロゲン系
溶剤の代わりに、環境に優しい非ハロゲン系有機溶剤を
用いて感光層を形成することができ、高感度、高帯電性
で、かつ高性能な感光体を環境に配慮した製法で得るこ
とができる。
【0073】また、ポリ(アリルアリールカルボネー
ト)をジアリルフタレートプレポリマーとブレンドする
ことにより、および/または有機過酸化物触媒などを用
いてジアリルフタレートプレポリマーを架橋することに
より、耐熱性および耐摩耗性に優れた感光体を得ること
ができる。このような感光体は、次世代の複写機やプリ
ンター用の高性能感光体として好適に用いることができ
る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層が形成された電
    子写真感光体であって、感光層中に結合剤樹脂として一
    般式(I): 【化1】 (式中、Arは置換されていてもよいアリール基であ
    る)で表される単量体単位から構成されるポリ(アリル
    アリールカルボネート)を含むことからなる電子写真感
    光体。
  2. 【請求項2】 一般式(I)におけるArが、 【化2】 (式中、Rはハロゲン原子、低級アルキル基または低級
    アルコキシ基であり、nは1〜5の整数であり、nが2
    以上のときRは同一でも異なっていてもよい)で表され
    る基またはナフチル基である請求項1に記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】 感光層が電荷発生材料を含有する電荷発
    生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層との積層構造
    であり、ポリ(アリルアリールカルボネート)が電荷輸
    送層の結合剤樹脂である請求項1または2に記載の電子
    写真感光体。
  4. 【請求項4】 結合剤樹脂が、ポリ(アリルアリールカ
    ルボネート)とジアリルフタレートプレポリマーとのブ
    レンド体である請求項1〜3のいずれか1つに記載の電
    子写真感光体。
  5. 【請求項5】 ジアリルフタレートプレポリマーが、一
    般式(II): 【化3】 で表される単量体単位である請求項4に記載の電子写真
    感光体。
  6. 【請求項6】 導電性支持体上に、結合剤樹脂として請
    求項4に記載の、ポリ(アリルアリールカルボネート)
    とジアリルフタレートプレポリマーとのブレンド体を用
    いて感光材料を塗布し、ジアリルフタレートプレポリマ
    ーを架橋させて感光層を形成することを特徴とする電子
    写真感光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 感光層が、電荷発生材料を含有する電荷
    発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層との積層構
    造であり、電荷輸送層が結合剤樹脂としてポリ(アリル
    アリールカルボネート)とジアリルフタレートプレポリ
    マーとのブレンド体を用いて形成される請求項6に記載
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 ジアリルフタレートプレポリマーの架橋
    が、有機過酸化物触媒を用いたアニールによりなされる
    請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 アニールが、温度70〜180℃で行わ
    れる請求項6〜8のいずれか1つに記載の製造方法。
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