JP2001040259A - 孔版エマルションインキ用アルキド樹脂及び当該エマルションインキ - Google Patents

孔版エマルションインキ用アルキド樹脂及び当該エマルションインキ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルキド樹脂を用いた油中水滴(W/O)型孔
版エマルションインキの長期間放置後の刷りだし安定性
と貯蔵安定性を有効に向上する。 【解決手段】 多塩基酸と多価アルコールと脂肪酸及び
/又は天然油脂とを反応させた脂肪酸変性アルキド樹脂
において、上記脂肪酸及び/又は天然油脂が分岐脂肪酸
を10重量%以上含有したものであって、当該分岐脂肪
酸を含有する所定のアルキド樹脂を油溶性成分として孔
版エマルションインキを製造する。分岐脂肪酸がアルキ
ド樹脂に組み込まれると、樹脂と溶剤の親和性が増し、
1カ月、或はそれ以上のきわめて長い期間機械上に放置
した場合にも、インキの刷りだし安定性が良好である。
また、分岐脂肪酸の立体障害によって自動酸化に対する
抵抗機能が増し、インキの貯蔵(粘度)安定性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油中水滴(W/O)
型の孔版エマルションインキに用いるアルキド樹脂、並
びに当該エマルションインキに関して、貯蔵安定性に優
れ、且つ、1か月、或はそれ以上の長期間放置後の刷り
だし時のカスレが少ないものを提供する。
【0002】
【発明の背景】感熱孔版印刷方式は、サーマルプリンテ
ィングヘッドをデバイスとして用いる感熱製版方式を用
いて以来、画質処理のデジタル化が図れるようになった
ことから、高品位の印刷物を短時間でしかも簡便に得ら
れるようになり、情報処理端末としても益々その利便性
が認められている。
【0003】さらに、上述のサーマルプリンティングヘ
ッドを用いた感熱製版方式では、以前の赤外線やキセノ
ンフラッシュをエネルギー源とした方式に比べて、原紙
の穿孔サイズが規格化され、インキの転移量を制御し易
くなった。このため、インキの転移量が多過ぎて、裏移
りや滲みなどの不具合が発生する確率が減り、飛躍的に
画質品位が向上してきた。
【0004】しかし、画質の指標となるインキの印刷濃
度、定着性、滲み、裏移り、擦れなどについては、イン
キの転移量との関係が極めて強く、インキの物性のうち
では粘度の影響度合いが大きい。このため、孔版印刷用
インキを設計するにあたっては、インキの粘度が経時的
に安定していることが強く要求される。
【0005】
【従来の技術】油中水滴型の孔版エマルションインキで
は、インキの印刷適性を向上させるために、油相中にア
ルキド樹脂を添加することが多い。しかしながら、アル
キド樹脂は一般的に極性が高いために、エマルションイ
ンキの粘度が経時変化し易く、貯蔵安定性を損なうこと
が多い。
【0006】そこで、孔版エマルションインキの貯蔵安
定性の改善を目的とした従来技術としては、次の公報な
どが挙げられる。 (1)特開平7−150091号公報などには、インキを構成する
水相に可溶性マグネシウム塩を添加する方法が開示され
ている。 (2)特開平2−209976号公報、特開平6−145576号公報、
特開平6−145577号公報、特開平6−329970号公報、或は
特開平7−157701号公報などには、特定の界面活性剤を
油相に含有する方法が開示されている。 (3)油相の粘度を高める方法として、例えば、特開平4−
233980号公報には、油相中に三次元構造を持たせる方法
が開示され、特開平5−117564号公報には、油相中にフ
ェノール系、又はアルコール系水酸基を有する樹脂と有
機キレート化合物のような当該樹脂のゲル化剤とを配合
する方法が開示されている。しかしながら、これらの従
来技術は、いずれも、孔版エマルションインキを印刷機
に供給するためのインキ容器中における、エマルション
の貯蔵安定性に着目した改善提案にとどまる。
【0007】一方、油中水滴型の孔版エマルションイン
キにおいては、印刷機に供給するためのインキ容器中な
どに収容した状態での貯蔵安定性に優れると同時に、さ
らに加えて、長期間機械上に放置した後の刷りだし時に
カスレが少ないという、いわば刷りだし安定性もきわめ
て重要な要素である。
【0008】即ち、孔版印刷システムは、オフセット・
グラビア・凸版というような印刷方式とは異なり、専門
のオペレータを必要としない操作性の良さや簡便性が一
つの特徴であるが、そのこと以上に、孔版以外のオフセ
ットなどの上記印刷方式では、一般的に印刷終了後に機
械の洗浄作業を行う必要があるのに比べて、当該孔版印
刷システムでは、一切このような作業をしなくても良い
点が大きな利点になっている。そのために、例えば、学
校における夏休み等、極めて長期に亘って機械が使用さ
れずに放置されることもあるが、このような場合でも、
刷りだしの際のカスレを抑制することが要求されるので
ある。
【0009】さらに、孔版印刷システムの画像品質が向
上し、操作性の向上と相俟って、多色印刷に対する要望
が増加してきている。前記オフセット・グラビア・凸版
というような印刷方式では、色を変える度に機械を全て
洗浄する必要があるが、当該孔版印刷システムでは、こ
のような手間が要らず、また、高価な印刷機を新たに導
入する必要もなく、単に、印刷用のドラムカートリッジ
(ユニット)を交換するのみで対応できる。その結果、従
来は、黒インキなど一色のみ用の印刷機として用いられ
ることが多かったのが、ドラムを交換するだけでマルチ
カラーの訴求力のある印刷物が簡単に得られるようにな
ってきた点も、市場が急速に拡大している一因である。
しかしながら、そのためには、印刷機を使用しない状態
で長期間放置しておいた後にも、インキの変質でインキ
が多く出たり、カスレたりしないことなど、孔版エマル
ションインキに対する要求の水準が益々上がってきてい
るのが実情である。
【0010】長期間の放置後もインキの刷りだしが安定
するような試みは、これまでにも様々に提案されてい
る。先ず、インキの放置後に刷りだし濃度が上がった
り、印刷用紙が排紙の際に舞い上がってしまう(即ち、
ドラムから良好に剥がれない)現象があるが、これは、
水相を添加して、エマルションにすることにより構造粘
性を付与するのが一般的な孔版エマルションインキにお
いて、長期の放置に伴い水相が蒸発してインキの粘度が
極端に低下してしまうことが原因である。特開昭61−25
5967号公報には、この水相の蒸発に合わせて溶剤も蒸発
させ、エマルションの粘度が低下することを抑制するた
めに、溶剤の沸点を規定する改善方法が開示されてい
る。また、特開平2−151473号公報には、インキの観点
からのみならず、放置時間により印刷圧力を変化させ
て、刷りだし濃度を安定化させる方法が開示されてい
る。
【0011】一方で、インキをドラムに入れた状態で長
期間放置しておくと、印刷機の版胴上で変質して硬くな
ってしまい、刷りだしの際に印刷物がカスレるという現
象も大きな問題である。この点に着目したものとして、
特開平5−125320号公報には、油相に含まれる溶剤の蒸
留初留点温度や揮発性溶剤/不揮発性溶剤の配合比率、
油相/水相の比率などを規定して、1か月後の放置目詰
まりを解消しようとする方法が開示されている。しかし
ながら、当該従来技術は、樹脂が固化又は半固化状態に
なるのを抑制することを主眼としたものにとどまる。
【0012】また、特開平8−176483号公報、特開平8−
176484号公報、又は特開平8−218022号公報には、アル
キド樹脂を用いた孔版印刷用インキにおいて、経時的に
インキが出なくなったりすることを解消するのを目的の
一つとして、樹脂の油長、アルコールの種類、インキの
物性などを規定する方法が開示されている。しかしなが
ら、これらの従来技術は、いずれも輪転式孔版印刷機と
は構造の異なるスタンプに関するものであるため、用い
るインキの種類もエマルションタイプのインキではな
い。
【0013】さらに、アルキド樹脂を用いた孔版エマル
ションインキに関して、特開平6−107998号公報には、
エマルションが安定で、低臭・低毒性であり、なおか
つ、印刷機上に長時間印刷インキを入れた状態で放置し
た後に印刷を再開しても印刷版の目詰まりを起こすこと
がないインキを提供することを目的として、アルキド樹
脂の油長・水酸基価・ヨウ素価と溶剤中の芳香族成分の
量を規定する方法が開示されている。しかしながら、当
該従来技術における長時間放置後の印刷版の目詰まり防
止は、わずかに48時間放置した後に印刷再開した場合
の版の詰まりに関するものであり(同従来技術の段落1
2参照)、放置期間がきわめて短いのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、孔版エ
マルションインキにおいては、貯蔵安定性に優れること
に加えて、さらに、孔版印刷システムの用途に着目した
ときに当然考慮しなければならない、1ケ月以上のきわ
めて長い放置期間を経た後の印刷の刷りだし時のカスレ
現象を抑制すること(即ち、刷りだし安定性)も重要な要
素である。しかしながら、上記特開平6−107998号公報
では、わずかに48時間程度の放置後の刷りだし濃度
を、また、前記特開平5−125320号公報では、印刷機の
版胴上で固体樹脂が析出するような現象を夫々課題解決
の対象としており、長い放置期間後の上記刷りだし安定
性を課題としたものではない。
【0015】さらに、近年の孔版印刷システムでは、こ
れまで孔版印刷の宿命的な問題点とされていた裏移りを
改善するため、インキの転移量を少なくして、しかも高
濃度の印刷物を得ることが求められている。孔版エマル
ションインキの配合組成は数多く提案されているが、イ
ンキの構造粘性付与のために水相を高い割合で添加する
ことが多い。また、顔料は多くの場合、油相中に添加さ
れることが多い。この結果、油相中の顔料添加比率は、
一般的な塗料などと比べて極めて高い比率になってお
り、このような前提の下で、孔版エマルションインキの
前記刷りだし安定性、及び貯蔵安定性などの課題を解決
しなければならないのである。
【0016】本発明は、アルキド樹脂を用いた孔版印刷
用油中水滴型エマルションインキにおいて、貯蔵安定性
に優れること、並びに、1カ月以上の長期間放置後の刷
りだしの際にカスレが少ないことを技術的課題とする。
【0017】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、多塩基酸と多
価アルコールと脂肪酸及び/又は天然油脂とを反応させ
た脂肪酸変性アルキド樹脂を用いた油中水滴型の孔版エ
マルションインキにおいて、上記アルキド樹脂の変性に
用いる脂肪酸及び/又は天然油脂が分岐脂肪酸を10重
量%以上含有すると、エマルションインキを容器中に入
れて置いた状態での貯蔵安定性に優れること、並びに、
長期間放置した後の刷りだし時にカスレが少ないことを
見い出し、本発明を完成した。
【0018】即ち、本発明1は、多塩基酸と多価アルコ
ールと脂肪酸及び/又は天然油脂とを反応させた脂肪酸
変性アルキド樹脂において、上記脂肪酸及び/又は天然
油脂が、分岐脂肪酸を10重量%以上含有することを特
徴とする孔版エマルションインキ用アルキド樹脂であ
る。
【0019】本発明2は、上記本発明1の変性用の脂肪
酸が、イソ脂肪酸、又はイソ脂肪酸と天然脂肪酸の混合
物であることを特徴とする孔版エマルションインキ用ア
ルキド樹脂である。
【0020】本発明3は、上記本発明1又は2のアルキ
ド樹脂のヨウ素価が50以下であることを特徴とする孔
版エマルションインキ用アルキド樹脂である。
【0021】本発明4は、上記本発明1〜3のいずれか
のアルキド樹脂を油溶性樹脂成分として含有することを
特徴とする孔版エマルションインキである。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のアルキド樹脂は、多塩基
酸と多価アルコールと脂肪酸、多塩基酸と多価アルコー
ルと脂肪酸と天然油脂、又は多塩基酸と多価アルコール
と天然油脂を反応させた脂肪酸変性アルキド樹脂であ
る。上記多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸等の飽和多塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和多
塩基酸などが挙げられる。
【0023】上記多価アルコールとしては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリス
リトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0024】アルキド樹脂の変性に用いる上記脂肪酸及
び/又は天然油脂は、分岐脂肪酸を10重量%以上、好
ましくは13重量%以上含んだものをいう。上記分岐脂
肪酸が10重量%より低くなると、溶剤に対するアルキ
ド樹脂の親和性が低下してエマルションインキから溶剤
が離脱し易くなり、長時間放置した後の刷りだし時にカ
スレを生じ易くなる。また、分岐脂肪酸はその立体効果
により自動酸化への抵抗機能を有するため、当該含有率
が10重量%より低くなると、エマルションインキの貯
蔵安定性に悪影響を与える。
【0025】上記変性用の脂肪酸は、本発明2に示すよ
うに、イソ脂肪酸単独であるか、又はイソ脂肪酸と天然
脂肪酸の併用物である。ちなみに、特開平10−292
187号公報には、金属加工油組成物に含有するエステ
ル化生成物の原材料として、イソラウリン酸、イソカプ
リル酸、イソカプリン酸、イソミリスチン酸、イソパル
ミチン酸、イソステアリン酸、イソノナデシル酸などの
イソ脂肪酸が開示されているが、本発明2のイソ脂肪酸
は、これらの各種イソ脂肪酸(特に、イソパルミチン
酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソオレイ
ン酸、イソリノール酸、イソノナデシル酸、イソアラキ
ン酸、アンテイソ酸などのC16〜C20を中心としたイソ
脂肪酸などが好ましい)、或はモノマー酸などを含む広
義の概念である。上記モノマー酸は、トール油脂肪酸、
植物油系、牛脂系などの不飽和脂肪酸を工業的に重合反
応した場合に、生成物からダイマー酸、トリマー酸など
の重合物を除去した後の残留物として副成し、上記各種
イソ脂肪酸を多く含んでいる。また、イソステアリン酸
は石油化学工業分野の合成化学品に由来するものがある
が、上記モノマー酸を水素化して溶剤分別することによ
っても得られる。一方、アルキド樹脂の変性に用いる天
然油脂は、ヤシ油、ヌカ油、大豆油、ひまし油などをい
い、同変性用にイソ脂肪酸と併用する天然脂肪酸は、基
本的にこれらの天然油脂を加水分解して得られるもの
(例えば、ヤシ油脂肪酸、ヌカ油脂肪酸、大豆油脂肪
酸、ひまし油脂肪酸など)やトール油脂肪酸などであ
る。但し、天然脂肪酸としては、ヨウ素価が小さいヤシ
油脂肪酸などが好ましい。
【0026】そこで、アルキド樹脂の変性に用いる脂肪
酸及び/又は天然油脂の主な具体例を挙げると、次の
(1)〜(4)などに示す通りである。 (1)イソ脂肪酸 (2)イソ脂肪酸と天然脂肪酸 (3)イソ脂肪酸と天然油脂 (4)イソ脂肪酸と天然脂肪酸と天然油脂 尚、このアルキド樹脂の変性に用いる脂肪酸及び/又は
天然油脂は、上述に列挙した具体物を夫々単用又は併用
でき、例えば、アルキド樹脂をイソ脂肪酸のみで変性す
る場合には、イソステアリン酸とイソパルミチン酸など
を併用しても差し支えない。また、イソ脂肪酸と天然脂
肪酸(又は天然油脂)の混合物で変性する場合には、両者
の混合割合を変化させることで、脂肪酸中の、又は脂肪
酸と天然油脂の混合物中の分岐脂肪酸の含有率などを任
意に調整できる。
【0027】上記アルキド樹脂は、前述したように、多
塩基酸と多価アルコールと脂肪酸、多塩基酸と多価アル
コールと脂肪酸と天然油脂、又は多塩基酸と多価アルコ
ールと天然油脂を反応させて夫々製造される。前者の場
合には、3成分を反応物とし、還流溶剤としてキシレ
ン、トルエンなどを数%添加して、減圧下又は常圧下で
エステル化反応を行い、生じた水を系外へ除去する方
式、或はその他の常法で合成される。また、後二者の場
合には、天然油脂と多価アルコールをエステル交換反応
させ、これに多塩基酸とイソ脂肪酸、又は多塩基酸のみ
を反応させてアルキド樹脂を製造する方法が好ましい。
尚、当該アルキド樹脂を製造する場合には、多塩基酸の
酸基に対して、多価アルコールの水酸基を過剰に用いて
合成するのが好ましい。一方、本発明3に示すように、
上記アルキド樹脂のヨウ素価は50以下が好ましく、よ
り好ましくは30以下である。アルキド樹脂のヨウ素価
が50を越えると、樹脂が酸化して溶剤への溶解性が低
下し易く、長期間放置後にエマルションインキを刷りだ
すとカスレを生じ易くなるため、カスレ現象をより有効
に抑制するためには、ヨウ素価が50以下が好ましい。
【0028】本発明4の孔版エマルションインキは、油
相約10〜50重量%と水相約90〜50重量%から構
成することができ、油溶性樹脂、顔料、界面活性剤、溶
剤などを主成分とする油相を撹拌しながらこれに水相を
滴下することによって、乳化して製造される。具体的に
は、顔料を油相に添加して3本ロールミル、サンドミル
などの分散機で練肉、分散し、さらに界面活性剤などの
残りの油相成分を添加した後、ホモミキサー、サンドミ
ル、ディスパーなどの分散機で撹拌しながら水相を徐々
に添加して乳化し、油中水滴型のエマルションを得る方
式、或はその他の常法によって製造される。
【0029】上記油相に用いる溶剤としては、例えば、
オレイン酸系炭化水素、流動パラフィン、芳香族炭化水
素等の石油系溶剤、ヤシ油、パーム油等の植物脂、オリ
ーブ油、ヒマシ油、アマニ油等の植物油、或は合成油な
どを単用又は併用できる。溶剤の添加量は、油相の粘度
を所望の値に調整するよう適宜選択することができる。
上記溶剤を選択する際には、昨今では、安全性確保の観
点から、芳香族成分の含有量や揮発成分の含有量を考慮
することが望ましい。さらには、使用する樹脂との溶解
性を充分に考慮して使用することで、粘度の温度依存性
を小さくしたり、機械の中で放置した際に溶剤の離脱が
起きにくく、系を安定化させることができる。また、溶
解性の観点を考慮して、溶解助剤を添加しても良い。
【0030】本発明のエマルションインキに用いる界面
活性剤としては、金属石鹸、高級アルコールの硫酸エス
テル化塩、ポリオキシエチレン付加物の硫酸エステル化
塩等の陰イオン性界面活性剤、1〜3級アミン塩、4級
アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、或は、多価
アルコールと脂肪酸のエステル系の非イオン性界面活性
剤、脂肪酸のポリオキシエチレンエーテル、高級アルコ
ールのポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノー
ルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリオキシエ
チレンエーテル、ひまし油のポリオキシエチレンエーテ
ル、ポリオキシプロピレンのポリオキシエチレンエーテ
ル、脂肪酸のアルキロールアマイド等の非イオン性界面
活性剤などを単用又併用できる。上記界面活性剤の添加
量は、各種活性剤のモル濃度、水相と油相の界面の面
積、或は、一部は油相と顔料等の固体との界面の面積な
どを考慮して決められる。
【0031】上記顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性
アゾ顔料、フタロシアニンブルー、染色レーキ、イソイ
ンドリノン、キナクドリン、ジオキサジンバイオレッ
ト、ベリノン、ベリレンのような有機顔料、カーボンブ
ラック、二酸化チタン等の無機顔料、分散染料、酸性染
料、酸性染料、反応染料、直接染料、建染染料等の合成
染料などを単用又は併用できる。
【0032】以上の他、本発明のエマルションインキの
油相にはエマルションの形成及び安定性を阻害しない範
囲で、顔料分散剤、酸化防止剤、或は、流動性を調整す
る補助剤として、ワックス等を主成分としたコンパウン
ドなどを添加することができる。
【0033】一方、エマルションインキの水相には、凍
結防止剤、蒸発抑制剤、防腐剤、或は防黴剤、各種電解
質などを添加することができる。上記凍結防止剤、或は
蒸発抑制剤としては、エチレングリコール、ソルビトー
ル、グリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アル
コールなどが挙げられる。上記防腐剤、或は防黴剤とし
ては、フェノール、サリチル酸、p−オキシ安息香酸メ
チル、p−オキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、デヒド
ロ酢酸などが挙げられる。上記電解質としては、硫酸ナ
トリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、リ
ン酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸などが挙
げられる。
【0034】
【作用】孔版エマルションインキは、1カ月以上のきわ
めて長い放置期間中に、インキの溶剤が版胴・スクリー
ン・感熱孔版原紙のような比表面積の大きな素材に徐々
に展開していく。その結果、エマルションインキから粘
度調整用の溶剤が離脱していくと、顔料とアルキド樹脂
を主成分としたきわめて高粘度の分散体が版胴表面に残
り、刷りだしの際にインキがカスレてしまう現象が起こ
り易い。しかしながら、本発明では、分岐脂肪酸を10
重量%以上含有する脂肪酸及び/又は天然樹脂で変性し
たアルキド樹脂を用いるため、前述したように、一般的
な塗料などに比べて、顔料表面に多くの樹脂が吸着して
いると想定される孔版エマルションインキの系にあって
も、溶剤との親和性に優れ、溶剤の離脱現象が起き難
く、もって版胴表面で樹脂からの溶剤の離脱が減少し
て、高粘度の分散体が生ずるのを抑制することができ
る。また、分岐脂肪酸がアルキド樹脂に組み込まれる
と、その立体障害によって空気や水などの外的因子に対
する抵抗機能(自動酸化に対する抵抗性など)が向上す
る。この結果、本発明のエマルションインキでは、1カ
月以上の長期間放置後の刷りだしのカスレが抑制され、
且つ、貯蔵安定性も良好である。一方、アルキド樹脂の
ヨウ素価を50以下に低く規定すると、長期間の放置に
よっても樹脂の酸化に伴う溶解性の低下が抑制され、も
って極端に高粘度の分散体が発生することがない。従っ
て、このアルキド樹脂のヨウ素価の規定も、長期間放置
後の刷りだしの際のカスレの抑制に一層有効に寄与す
る。
【0035】
【実施例】以下、変性に用いる脂肪酸(又は天然油脂)組
成を種々に変化させたアルキド樹脂の製造実施例、当該
アルキド樹脂を用いた孔版エマルションインキの製造実
施例を順次述べるとともに、このエマルションインキの
貯蔵安定性、長期間放置後の刷り出し安定性(刷りだし
の際のカスレの有無)の各種試験例を説明する。また、
製造実施例、試験例、或は図面などで用いた「部」は重
量部を、「%」は重量%を夫々表す。尚、本発明は下記
の実施例並びに試験例に拘束されるものではなく、本発
明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは
勿論である。
【0036】《脂肪酸変性アルキド樹脂の製造実施例》
先ず、図1〜3の上寄り欄に示す通り、イソ脂肪酸、天
然脂肪酸、或は天然油脂を所定割合で混合することによ
り、分岐脂肪酸の含有率を様々に変化させたアルキド樹
脂変性用の脂肪酸を調製し、実施例1〜8及び比較例1
〜5とした。実施例5はイソステアリン酸の単用例、実
施例6はモノマー酸の単用例、他の実施例はイソ脂肪酸
(具体的には、イソステアリン酸)と天然脂肪酸又は天然
油脂との併用例である。また、比較例1及び4〜5は天
然脂肪酸又は天然油脂の単用例、他の比較例2〜3はイ
ソステアリン酸と天然脂肪酸との併用例である。但し、
上記モノマー酸は、トール油脂肪酸の熱重合反応で得た
粗ダイマー酸を蒸留する過程で分離したモノマー酸を用
いた。また、上記イソステアリン酸は、当該モノマー酸
を水素化し、溶剤分別法などで直鎖飽和脂肪酸を除去し
て得られたものを使用した。
【0037】そこで、一部又は全部に天然脂肪酸を用い
て変性する場合と、一部又は全部に天然油脂を用いた場
合に分けて、各アルキド樹脂の製造方法を述べる。 (1)実施例1〜3、5〜8及び比較例1〜4(天然脂肪酸
を用いた場合) 撹拌機付4つ口フラスコへ、図1〜3の中央欄に示す組
成及び含有率に基づいて、上記実施例並びに比較例の変
性用の各脂肪酸と、多塩基酸と、多価アルコールを、還
流溶剤としてのキシレン(キシレンの具体的含有率は3
部)と共に仕込み、窒素ガスを吹き込んで240℃まで
昇温し、エステル化反応を行った。そして、酸価が5以
下になった時点で冷却し、反応を終了することにより、
各種のアルキド樹脂を得た。
【0038】(2)実施例4、比較例5(天然油脂を用いた
場合) 撹拌機付4つ口フラスコへ、図1〜3の中央欄に示す組
成及び含有率に基づいて、上記実施例並びに比較例の変
性用の油脂(ヤシ油)と、多価アルコール(ペンタエリス
リトール)と、エステル交換触媒としてのナフテン酸リ
チウム(ナフテン酸リチウムの含有率は0.15部)を仕
込み、窒素ガスの吹き込み下で250℃まで昇温し、エ
ステル交換反応を行った。その後、図1〜3の中央欄に
示す組成及び含有率に基づいて、変性用の脂肪酸(実施
例4ではイソステアリン酸を使用、また、比較例5では
脂肪酸は使用していない)と、多塩基酸と、還流溶剤と
してのキシレン(キシレンの具体的含有率は3部)を仕込
み、240℃でエステル化反応を行った。そして、酸価
が5以下になった時点で冷却し、反応を終了することに
より、各種のアルキド樹脂を得た。
【0039】《アルキド樹脂を用いたエマルションイン
キの製造実施例》前記実施例1〜8及び比較例1〜5の
脂肪酸(又は天然油脂)で変性した各アルキド樹脂10
部、顔料(ファーネスカーボンブラック)7部に、溶剤と
してAF−5ソルベント(日本石油社製)3部を加え、3
本ロールにて練肉した。さらに、界面活性剤としてソル
ビタンモノオレエート2部と粘度調整用の溶剤として、
AF−5ソルベント9部を加え、油相を調製した。次い
で、上記油相に、イオン交換水61.5部とエチレング
リコール7.5部を混合した水相部を添加して乳化する
ことにより、油中水滴型の孔版エマルションインキを得
た。
【0040】そこで、先ず、エマルションインキを長期
間印刷機上に放置した後でも、刷りだしの際にカスレが
少なく、良好な印刷物が得られるか否か(刷りだし安定
性)を調べ、次いで、インキ自体に繰り返し温度変化を
与えた場合にも粘度が安定であるか否か(貯蔵安定性)を
調べることによって、特定の脂肪酸変性アルキド樹脂を
用いた上記エマルションインキを評価した。 《長期間放置後の刷りだし安定性試験例》上記製造例で
得られた各エマルションインキをボトルに充填した後、
製版印刷一体型孔版印刷機(RISOGRAPH GR3
77;理想科学工業(株)製)に装填し、1cm角の市松
模様の原稿(B4サイズ)を用いて製版を行い、500枚
の印刷を行った。その状態で、ドラムを温度23℃、相
対湿度50%の環境中に1カ月静置した。その後、B4
サイズの全面黒ベタの原稿を用いて製版を行い、刷りだ
しの状態(カスレの有無)を確認した。
【0041】上記刷りだし試験の評価基準は、次の通り
である。 ○:300枚までの間に印刷状態が定常化した。 △:500枚までの間に印刷状態が定常化した。 ×:500枚以上刷らないと印刷状態が定常化しなかっ
た。
【0042】《エマルションインキの貯蔵安定性試験
例》エマルションインキの安定性は、上記製造例で得ら
れた各エマルションインキをプログラム式恒温槽に静置
し、50℃で24時間経過後、24時間かけて−20℃
まで冷却し、その温度で24時間経過した後、再度24
時間かけて50℃の温度に昇温する条件を1サイクルと
して、10サイクル経過した後の粘度の差異に基づいて
評価した。上記粘度(Pa・S)は、HAAKE社製のC
V−1D速度制御式レオメーターを用いて、ずり速度4
0(1/sec)、コーン角1Deg 直径20mm、温
度23℃の条件で測定した。
【0043】上記貯蔵安定性試験の評価基準は次の通り
である。 ○:試験前の粘度に対する試験後の粘度の変化率が20
%以下であった。 △:同変化率が20%を越え、60%以下であった。 ×:同変化率が60%を越えるか、水分離などの劣化現
象が起こった。
【0044】図1〜図3の下寄り欄は上述の各種試験の
結果を示す。 (1)インキの長期間放置後の刷りだし安定性 分岐脂肪酸を10%以上含有した実施例では、1か月の
きわめて長期に亘る放置後の刷りだし安定性は基本的に
良好(○)な評価であった。但し、分岐脂肪酸の含有率が
10%である実施例7、或は、分岐脂肪酸の含有率は2
0%であるが、アルキド樹脂のヨウ素価が63である実
施例8では、評価は下がった。これに対して、分岐脂肪
酸の含有率が8〜0%の比較例1〜5では、刷りだし安
定性の評価は全てきわめて不良(×)であった。
【0045】例えば、実施例1〜4はイソステアリン酸
とヤシ油脂肪酸(又はヤシ油)の併用例、実施例5はイソ
ステアリン酸の単用例、実施例6はモノマー酸の単用例
であるが、夫々に刷りだし安定性は良好であり、印刷機
上に長期間放置してもインキの変質は有効に抑制され、
特に、実施例5や6では、実施例1〜4のような脂肪酸
の混合操作が必要でなく、イソステアリン酸やモノマー
酸を単用する簡便な操作で、刷りだし安定性を向上でき
ることが確認できた。また、分岐脂肪酸の含有率が10
%の実施例7は、13%以上の実施例1〜6に比べて刷
りだし安定性の評価は下がったが、本試験例にあって重
要なことは、分岐脂肪酸の含有率がインキの印刷機上放
置安定性に大きく影響し、同含有率が10%を境界にし
て、それ以上であるとエマルションインキの刷りだし安
定性は基本的に良好であるのに対して、10%を下回る
と刷りだし安定性が明確に悪化し、不良(×)になること
である。さらに、実施例8のアルキド樹脂のヨウ素価は
実施例1〜6より高いことから、同実施例8での刷りだ
し安定性の評価が下がったものと思われ、このことは、
アルキド樹脂のヨウ素価も、刷りだし安定性の向上に影
響するものといえる。
【0046】(2)インキの貯蔵安定性 実施例1〜8の変性用の脂肪酸(又は天然油脂)には分岐
脂肪酸が10〜100%含有されており、当該脂肪酸変
性のアルキド樹脂を用いたエマルションインキは、厳し
い温度変化を伴う試験の前・後でも粘度はあまり変化せ
ず、貯蔵安定性の評価は全て良好(○)であった。特に、
イソステアリン酸を単用した実施例5は、試験前・後で
の粘度変化率が約1%ときわめて小さく、また、モノマ
ー酸を単用した実施例6は、同変化率が約16%と相対
的に小さいことから、これらの実施例は貯蔵安定性の点
でより好適である。これに対して、分岐脂肪酸が8%〜
0%以下の低い割合である比較例1〜5のインキでは、
粘度の変化が激しく、場合によっては水分離を起こし
て、貯蔵安定性の評価は不良(△〜×)であった。
【0047】例えば、実施例1〜4、7と、比較例2〜
3とを対比すると、変性用の脂肪酸組成はイソステアリ
ン酸とヤシ油脂肪酸(又はヤシ油)で共通するが、両成分
の混合割合が異なることから、分岐脂肪酸の含有率が変
化し、これが貯蔵安定性の差別化をもたらすことになっ
た。また、イソステアリン酸を単用すると(実施例5参
照)、分岐脂肪酸の含有率を100%に調整でき、さら
に、モノマー酸を単用しても(実施例6参照)、分岐脂肪
酸の含有率を自動的に10%以上に引き上げられるた
め、複数の脂肪酸種の混合操作を必要とせず、インキの
貯蔵安定性を向上できた。これに対して、ヤシ油脂肪酸
又はヤシ油を単用した比較例1、5では、貯蔵安定性は
不良(△)であった。また、イソステアリン酸と大豆油脂
肪酸を併用した実施例8(分岐脂肪酸の含有率が20%)
では貯蔵安定性は良好であったが、大豆油脂肪酸を単用
した比較例4では、分岐脂肪酸の含有率が0%であり、
且つ、アルキド樹脂のヨウ素価も77であって、水分離
が発生して貯蔵安定性は測定不可であった。以上のよう
に、エマルションインキの貯蔵安定性は、インキの油性
成分であるアルキド樹脂の変性に用いた脂肪酸(又は天
然油脂)中の分岐脂肪酸の含有率に大きく影響され、分
岐脂肪酸を10%以上含有する脂肪酸を用いたインキ
は、同含有率が10%より少ない場合のインキに比べ
て、貯蔵安定性の点で顕著な優位性があることが確認で
きた。
【0048】
【発明の効果】(1)分岐脂肪酸を10重量%以上含む脂
肪酸及び/又は天然油脂で変性したアルキド樹脂を用い
たエマルションインキは、上記試験例に示すように、印
刷機上での長期間放置後の刷りだし安定性に優れ、1カ
月、或はそれ以上というきわめて長期間の放置後に刷り
だしを行っても、カスレが少なく良好な印刷物が得られ
る。これに対して、分岐脂肪酸の含有率が10重量%よ
り少ない比較例では、500枚以上刷らないと印刷状態
が定常化せず、刷りだし安定性はきわめて低い。即ち、
アルキド樹脂含有型の孔版エマルションインキでは、変
性用の脂肪酸(又は天然油脂)中の分岐脂肪酸の含有率が
長期間放置後の刷りだし安定性に大きく関係し、当該含
有率が10重量%以上である場合には、それを下回る低
含有率の場合に比べて、インキの刷りだし安定性の面で
顕著な優位性が認められる。この場合、上記脂肪酸の具
体例としては、本発明2に示すように、イソステアリン
酸、イソパルミチン酸、モノマー酸などのイソ脂肪酸、
或は、これらのイソ脂肪酸とヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪
酸などの天然脂肪酸との混合物などが好ましい。本発明
は、変性用の脂肪酸又は天然油脂の原材料の選択やその
混合比率を変化させて、変性脂肪酸(又は天然油脂)中の
分岐脂肪酸の組成を所定条件に調整し、当該脂肪酸(又
は天然油脂)を反応させたアルキド樹脂でインキを製造
すれば良いため、格別に煩雑な操作も要らず、簡便に実
施できる。また、上記試験例(実施例5〜6参照)に示す
ように、イソステアリン酸やモノマー酸などを変性脂肪
酸として単用すると、自動的に分岐脂肪酸の含有率が適
正範囲に収まるため、各種の脂肪酸種を混合する手間も
省ける。
【0049】(2)分岐脂肪酸を10重量%以上含む脂肪
酸又は天然油脂で変性したアルキド樹脂を用いたエマル
ションインキは、上記試験例に示すように、厳しい温度
変化を繰り返しても粘度はほとんど変化せず、きわめて
貯蔵安定性に優れる。これに対して、分岐脂肪酸の含有
率が10重量%より少ない比較例では、粘度の変化が大
きくて貯蔵安定性に劣り、場合によっては水分離を引き
起こす。従って、変性用の脂肪酸(又は天然油脂)中の分
岐脂肪酸の含有率はインキの貯蔵安定性にも大きく関係
し、当該含有率が10重量%以上の場合には、それを下
回る場合に比べて、インキの貯蔵安定性の面でも顕著な
優位性が確認できる。
【0050】(3)アルキド樹脂のヨウ素価を50以下に
規定した本発明3では、上記試験例(特に、実施例1〜
6と実施例8との対比)にも示すように、インキを長期
間放置しても樹脂が酸化し難く、もって、樹脂の酸化に
伴う溶解性の低下が抑制されるため、前記(1)の長期間
放置後の刷りだし安定性の向上により良く寄与すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4に関する変性用の脂肪酸(又は天
然油脂)組成、同脂肪酸を含有するアルキド樹脂の組
成、並びに、脂肪酸変性アルキド樹脂を使用した孔版エ
マルションインキにおける長期間放置後の刷りだし安定
性と貯蔵安定性の試験結果を示す図表である。
【図2】実施例5〜8に関する図1の相当図である。
【図3】比較例1〜5に関する図1の相当図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 機 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 (72)発明者 長島 智司 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 池嶋 昭一 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 (72)発明者 山田 弘道 東京都港区新橋2丁目20番15号 理想科学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB01 AB07 AC02 AD10 AE18 BA02 BA03 BA04 BA05 BF08 BF09 BF10 BF17 BF18 BF25 CA02 CA04 CA06 CB04A CB05A CB06A CD03 FB02 FB03 GA13 GA14 GA23 GA71 HA01 HB01 JF021 KE02 KE03 4J039 AE06 CA06 EA43 EA44 GA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多塩基酸と多価アルコールと脂肪酸及び
    /又は天然油脂とを反応させた脂肪酸変性アルキド樹脂
    において、 上記脂肪酸及び/又は天然油脂が、分岐脂肪酸を10重
    量%以上含有することを特徴とする孔版エマルションイ
    ンキ用アルキド樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の変性用の脂肪酸が、イ
    ソ脂肪酸、又はイソ脂肪酸と天然脂肪酸の混合物である
    ことを特徴とする孔版エマルションインキ用アルキド樹
    脂。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のアルキド樹脂の
    ヨウ素価が50以下であることを特徴とする孔版エマル
    ションインキ用アルキド樹脂。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のア
    ルキド樹脂を油溶性樹脂成分として含有することを特徴
    とする孔版エマルションインキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1321162C (zh) * 2004-04-20 2007-06-13 东北理光株式会社 孔版印刷用乳液油墨

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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