JP2001033186A - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造過程での熱交換器のコアにおけるフィン
損傷を防止する。 【解決手段】 圧縮力が可変のタブ部材46と共にサイド
・サポート・メンバー40を持つ熱交換器30が開示されて
いる。タブ部材46が、コア30の製造中に用いられるロウ
付け治具に係合し、ロウ付け治具によるコアのフィンへ
の損傷を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、概略的には自動車
用熱交換器に関する。より具体的には、本発明は、組立
作業中のフィンの損傷を防止するサイド・サポートを持
つ、自動車用熱交換器のコアに関する。

【０００２】

【従来の技術】ラジエーターなどの通常の自動車用熱交
換器は、コア・フレームに囲まれ、波状フィンと交互配
置される複数の薄肉チューブを含む。そのフィンが一対
のフレーム・サイド・サポートと共にチューブに強固に
取付けられる一方、チューブは一対のヘッダーに取付け
られる。フレーム・サイド・サポートもまた、ヘッダー
に固定される。この分野において知られている様に、冷
媒は一方のヘッダーからチューブを通過して他方のヘッ
ダーに流れる。熱交換器のコアを通過する冷媒の温度が
上昇するにつれて、コアが膨脹する。

【０００３】熱交換器のコアは、一対のサイド・サポー
ト・メンバーの間でフィンと交互配置される複数のチュ
ーブを組立てることにより、製造される。コアは、チュ
ーブとフィンを適切な位置関係に維持するために、ロウ
付工程に先立って既知の種々の方法で予圧縮される。公
知の方法の一つは、ロウ付の前に、コアを完全に取囲む
１本又はそれより多いスチール・バンドを使用して、コ
アを予圧縮するものである。バンドで固定した後、コア
が炉内に搬入され、ロウ付けされるまで加熱される。ロ
ウ付の後で、スチール・バンドがコアから切断されて廃
棄され、その結果大量の廃棄物となってしまう。加え
て、これらのバンドは、しばしばコアに変形及び／又は
ゆがみを生じさせる場合が多く、結果として液漏れ及び
／又は車両への不整合を招く可能性がある。

【０００４】例えば米国特許5,165,163号に示される様
な他の形式のロウ付治具が、提案されている。そのロウ
付治具は、各々が、熱交換器の一方のサイド・サポート
・メンバーに対して圧縮力を加える回動レバーを持つ一
方で、他方のサイド・サポート・メンバーは治具内で固
定的に保持される、複数のロウ付ステーションを含む。
しかしながら、これら治具は、ロウ付雰囲気中で腐食す
る傾向があり、コアに対して加えられる圧縮力の影響を
減少させてしまう。また、全重量及び質量のために、こ
れら治具は通常、ロウ付工程より上流で使用することが
できない。ロウ付炉内でこれらの治具を加熱すること
は、質量の大きさのために、多量のエネルギーを必要と
する。これが、製造過程の経費と所要時間を大きくす
る。

【０００５】第３の形式のロウ付治具が、米国特許3,89
4,580号に提案されている。この治具において、ロウ付
作業に先立ち、所定の位置にコアを固定するために、各
サイド・サポート・メンバーの間に、一対の略平行な引
張棒が延びている。略平行な引張棒を用いる場合の不具
合は、米国特許3,894,580号に示される様な精巧で複雑
なクランプ機構が引張棒の各端部に使用されなければ、
ロウ付作業中の普通の取扱及び／又は収縮そして熱サイ
クルの結果として、熱交換器のコアがゆがむ可能性がま
だある、ということである。このゆがみ、つまり熱交換
器のコアの配列不良は、液漏れ及び／又は車両への不整
合といった、コアへの有害な影響を生じる場合が多い。

【０００６】米国特許5,450,997号は、いくつかの従来
技術のロウ付治具に付随する問題を、熱交換器のサイド
・サポート・メンバーと係合する一対のロッド部材を設
けることにより、解決している。そのロッド部材は、ゆ
がみを防止するために、ラジエーターなどの熱交換器の
サイド・サポート・メンバー内の開口部内へ斜めに配置
される。これが図１の（A）及び（B）に示されている。
図示したように、ロッド部材10は、コア14に圧縮力を与
えるために、サイド・サポート・メンバー12に係合す
る。フィン部材16は常に、サイド・サポート・メンバー
12に隣接して配置される。製造誤差のために、ロッド部
材がサイド・サポート・メンバー12に配置される際に、
短すぎたり長過ぎたりする場合がある。図１（B）に示
される様に、ロッド部材10が短すぎる場合、フィン部材
が非常に軽いゲージ材料から製造されるため、潰れなど
のフィン部材16の損傷の可能性がある。熱交換器のコア
はその際、廃棄処分されねばならず、材料、時間及び労
働力の浪費となってしまう。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】それで、製造過程での
熱交換器のコアにおけるフィン損傷を防止するための効
果的な方法を提供することが、望まれる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、一対のヘッダ
ー、該ヘッダーの各々に連結される端部を持ち、それの
隣接する対の間で空気通路を規定する、全体的に細長い
複数の流体移送チューブ、及び、上記空気通路に配置さ
れる複数のフィン部材、を有する自動車用熱交換器を提
供することにより、従来技術の問題点を解消する。熱交
換器は更に、ヘッダーの両端部におけるヘッダー間に配
置される一対のチャンネル状サイド・サポートを有す
る。サイド・サポートは、最も外側のフィンと接触する
ように、チューブの長軸にほぼ平行に、フィン部材に直
接隣接して配列される。サイド・サポートのそれぞれ
は、略平面状のウェブ部及び、ウェブ部の面に略垂直に
延びる一対のフランジを有する。サイド・サポートの少
なくとも一つは、ウェブ部の面から離れて支持される弾
性変形可能なタブ部材を含む。タブ部材は、熱交換器に
適用されるロウ付治具と係合し、ロウ付治具に対する反
力を与えるように構成される。

【０００９】実施形態の一つにおいて、タブ部材は一端
において一体ヒンジによりウェブ部に固定され、第２端
においてウェブ部から下方に延びる自由端を含む。この
実施形態において、タブ部材は、タブ・メンバーの厚み
の２倍と等しい距離だけウェブ部の面の下方に延びる。

【００１０】

【発明の効果】本発明は、組立工程中のコアの予圧縮が
フィンを損傷することがなく、その結果廃棄物の量が減
少する、という効果を持つ。さらに、複雑な工具の変更
なしに、タブ部材をサイド・サポートに追加するだけで
よい、という点でも有利である。

【００１１】本発明のこれらのものなどの目的、構成及
び効果は、添付の図面、詳細な説明、および特許請求の
範囲から明らかとなろう。

【００１２】

【発明の実施の形態】ここで図面を参照すると、図２
は、２つのクランプ32と34により保持される、ヒーター
・コアやラジエーター・コアなどの熱交換器30を、示し
ている。コア30は、一対のサイド・サポート40の間に配
置され、複数の交互配置されるチューブ36とフィン38を
含む。流体マニフォールドつまりタンク（不図示のヘッ
ダー）が、既知の態様にてチューブ36と流体連通するよ
う固定されている。図２に示すコア30はロウ付の準備が
なされたものである。クランプ32と34は、ロウ付工程中
にコアをまとめて保持するための圧縮力を付与するため
に、サイド・サポート40と係合する。ロウ付の後で、ク
ランプ32と34が取り外され、そしてコアが完全にロウ付
されている。クランプ32と34の熱膨張係数は、ロウ付工
程中にコアを所定位置に保持するために、クランプによ
るコアに対しての圧縮力が維持され得る様に、ヒーター
・コア30の複数の交互配置されたチューブとフィンの熱
膨張係数と異なる値、つまりそれよりも小さい値でなけ
ればならないことは、当業者には明らかであろう。

【００１３】図３及び図４は、本発明のサイド・サポー
ト40の斜視図および断面図である。サイド・サポート40
は、ベース部42及び、ベース部42の面とほぼ垂直に延び
る一対のフランジ44を持つ、Ｕ字状チャンネル部材から
なる。サイド・サポート40の一つはまた、ベース部42の
面から離れて支持される、弾性変形可能なタブ部材46を
含む。タブ46は、ベース部42における、各フランジ44の
中間部すなわちそれらから等距離のところに配置され
る。切欠き47又は穴が、タブ部材46に隣接するフランジ
44に形成される。組立作業中には、クランプ34が、タブ
部材46に接触する様に、切欠き47内に配置される。

【００１４】図４に示される様に、タブ部材46は一体ヒ
ンジ48においてベース部42に固定される。タブ部材46
は、それの自由端50が一体ヒンジ側端部よりも幅広にな
る様に、テーパー形状を持つ。これは、クランプが切欠
き47内に挿入された後でクランプ部材が係合するための
接触面積を、最大とする。テーパー形状はまた、ロウ付
後にクランプを容易に取り外すことも可能にする。テー
パー形状により、クランプ34がタブ部材46とフランジ44
との間に挟み込まれることがない。好ましい形態におい
ては、タブ部材46はサイド・サポート40のベース部42内
にプレス成形される。タブ46の自由端50は、ほぼその厚
さの２倍に等しい距離だけ、ベース部42の面から離れて
支持される。この距離が、クランプ34がサイド・サポー
トと係合するときのフィンの損傷を防止するのに十分な
撓みを与えると共に、必要な熱伝達率を得るのに充分な
だけフィンをサイド・サポートへロウ付けするのに充分
なフィンとサイド・サポートと間の接触力を与える。

【００１５】図５は、クランプ34がタブ・メンバー46に
係合した状態での、コアの立面図である。一体ヒンジで
あるが故に、タブ部材がクランプ力に対抗出来、そして
フィンの損傷は生じない。多数のコアを製造する間の誤
差及び許容公差の違いのために、タブ部材46が可変の圧
縮力を与える。コアによっては、設計仕様に従いクラン
プがサイド・サポートと係合するため、タブを必要とし
ない場合がある。コアが許容公差を僅かに外れている場
合には、タブの係合は最小限である。更に別のコアで
は、クランプが取り替えられたか又はコアが許容公差を
外れているために、クランプにより過剰に係合される場
合がある。クランプはこれらのコアのタブに係合し、フ
ィン損傷を防止するために、可変の反力を与えることに
なる。言い換えれば、タブ部材46が、フィンそしてサイ
ド・サポートへの損傷を防止するために、クランプ34の
荷重のもとで弾性変形するのである。

【００１６】当業者であれば、本発明の技術思想や技術
的範囲を逸脱することなしに、本発明の種々の変形例や
代替案を容易に得ることが出来るということは、明らか
なはずである。例えば、サイド・サポートは、使用中の
コアの熱サイクルを考慮するために、熱応力解放領域52
を含む場合がある。また、サイド・サポートは種々の材
料から形成することが出来る。タブ部材は、コアへのク
ランプの貼り付きやロウ付けを防止するため、セラミッ
クのような異なる材料で被覆しても良い。それぞれのサ
イド・サポート・メンバーが、タブ部材を持つことも出
来る。それで、本発明の範囲を規定するのは、全ての均
等物を含む特許請求の範囲である。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来技術の熱交換器コアのサイド・サポート・
メンバーの正面図である。

【図２】本発明の原理に従い構成されたサイド・サポー
ト・メンバーを持つ熱交換器のコアの正面図である。

【図３】本発明のサイド・サポート・メンバーの斜視図
である。

【図４】図３のサイド・サポート・メンバーの線4-4に
沿う断面図である。

【図５】ロウ付作業に先立ち予圧縮された熱交換器コア
の拡大立面図である。

【符号の説明】

36 チューブ 38 フィン 40 サイド・サポート・メンバー 42 ウェブ部 44 フランジ 46 タブ部材 48 一体ヒンジ 50 自由端

フロントページの続き (72)発明者 ウイリアム ウェリントン ディナン 三 世 アメリカ合衆国 ミシガン州 48335，フ ァーニントン ヒルズ ジェファーソン カウンティ 12211 36532

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のヘッダー、 該ヘッダーの各々に連結される端部を持ち、それの隣接
   する対の間に空気通路を規定する、全体的に細長い複数
   の流体移送チューブ、 上記空気通路に配置される複数のフィン部材、及び、 上記ヘッダーの両端における上記ヘッダー間において、
   上記チューブの長軸と略平行に、かつ隣接する上記フィ
   ン部材が接触するように配置される一対のチャンネル状
   サイド・サポート、 を有する自動車用熱交換器において、 上記サイド・サポートのぞれぞれが、略平面状のウェブ
   部及び、該ウェブ部の面に略垂直に延びる一対のフラン
   ジを有し、 上記サイド・サポートのそれぞれが、上記ウェブ部の面
   から離れて支持される弾性変形可能なタブ部材を含み、 該タブ部材が、一端において一体ヒンジにより上記ウェ
   ブ部に固着され、そして、第２端において上記ウェブ部
   の面から上記タブ部材の厚みの２倍と等しい距離だけ下
   方に延びる自由端を持ち、 上記タブ部材が、該熱交換器に適用されるロウ付治具と
   係合し、該ロウ付治具に対する反力を与えるように構成
   される、 ことを特徴とする自動車用熱交換器。
2. 【請求項２】 上記タブが、略テーパー形状であり、上
   記一体ヒンジにおける第１幅及び、該第１幅よりも上記
   一体ヒンジに対して所定量だけ長い第２幅を持つ、請求
   項１に記載の自動車用熱交換器。
3. 【請求項３】 上記タブは、上記フィン部材と接触する
   領域を与えるように、ウェブ部の中間部で上記フランジ
   部材の両方から等距離のところに配置される、請求項２
   に記載の自動車用熱交換器。