JP2001031700A - 新規抗体 - Google Patents

新規抗体

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JP2001031700A
JP2001031700A JP20038699A JP20038699A JP2001031700A JP 2001031700 A JP2001031700 A JP 2001031700A JP 20038699 A JP20038699 A JP 20038699A JP 20038699 A JP20038699 A JP 20038699A JP 2001031700 A JP2001031700 A JP 2001031700A
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cancer
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colo205
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Takanori Kanai
隆典 金井
Mamoru Watanabe
守 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】未知のアポトーシス回避機構の起因物質を見出
し、それをコントロールする手段を提供し、癌の予防と
治療の手段、更に起因物質をマーカーにした癌診断手段
の提供すること。 【構成】インターフェロン−γ刺激の有無に関わらずヒ
ト大腸癌細胞株colo205細胞の細胞膜上に強く発
現し・ヒト正常組織では上皮細胞に存在する糖蛋白抗原
を認識する癌細胞のアポトーシス誘発能を担持した抗
体、この抗体により免疫学的に認識されるポリペプチ
ド、および該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ド、また該ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドと
の反応性を利用して化合物を同定する。これらを利用し
た生体におけるアポトーシス系をコントロールする手段
を提供し、癌の予防および治療のための新規な手段を提
供し、さらにこれらをマーカーにした新規な癌診断手段
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌、特に大腸癌のアポ
トーシスに関与する抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオ
チドおよびこれらに由来する化合物、さらにこれらを含
む癌の予防および治療に有用な医薬組成物および癌診断
手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】細胞死の機序として、アポトーシスの機
序が注目を集め、このアポトーシス機序の癌治療への応
用が期待されている。このアポトーシスの引き金となる
ものが、Fas抗原と呼ばれる物質であって、細胞膜に
存在するレセプター分子であることが報告されている。
しかし、ヒトの大腸癌細胞は、細胞膜にFas抗原を発
現しているにもかかわらず、Fas抵抗性を示し、アポ
トーシスの誘発が起こらないことが報告されている(C
ancer Research,1998,58:52
6〜534)。そのため癌細胞には、いまだ未知の何ら
かのアポトーシス回避機構が存在することが推定されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が、解決しよう
とする課題は、いまだ未知のアポトーシス回避機構を探
求し、その起因物質を見出し、その起因物質をコントロ
ールする手段を提供して癌の予防および治療の手段を提
供し、さらに起因物質をマーカーにした癌診断手段を提
供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先にインタ
ーフェロン−γ(以下、IFN−γと略称する)によっ
て、ヒト浮遊性大腸癌細胞株colo205細胞(以
下、単にcolo205細胞とよぶ)に細胞凝集現象が
誘発されることを見出した。この細胞凝集現象を、様々
な細胞接着分子に対するモノクロ−ナル抗体を用いて阻
害効果を検討したところ、部分的に、抗CEA抗体によ
ってのみ阻害されたものの、完全阻害にはいたらなかっ
た(Cancer Letters,1993,71:
109〜117)。本発明者は、このバイオアッセイ系
を用い、新規のモノクロ−ナル抗体の作成を試みた。そ
の結果、colo205の細胞を用いて、全く新規な特
徴を有するモノクロ−ナル抗体の調製に成功した。この
抗体が認識する抗原は、細胞のアポトーシスに対する制
御機能を有することが推定され、抗体自身は、この抗原
に作用し、結果として癌細胞のアポトーシスを誘発し
た。また、従来、アポトーシス関連因子として公知のF
as抗原は、細胞をIFN−γ処理することによりその
発現が増強されることが報告されている(J.Exp.
Med.,1989,169:1747−1756)
が、本発明の抗体により認識される抗原は、細胞をIF
N−γ処理しても発現の変化は無かった。さらに、細胞
株により、本発明の抗体が認識する抗原、アポトーシス
関連因子として公知のFas抗原や腫瘍壊死因子受容体
(以下、TNF−Rと略称する)の発現程度が異なって
いることが確認された。すなわち、本発明の抗体が認識
する抗原は、アポトーシス関連因子として公知のFas
抗原やTNF−Rとは異なるものであった。
【0005】本発明の抗体により認識される抗原は、癌
細胞のアポトーシスに深く関与していること推定され、
該抗原の存在は癌診断手段の新規なマーカーとしての価
値を有する。
【0006】本発明は、下記性質イ)、ロ)を有する糖
蛋白抗原、 イ)インターフェロン−γ刺激の有無にかかわらず、ヒ
ト大腸癌細胞株colo205細胞の細胞膜上に強く発
現している、 ロ)ヒト正常組織では主に上皮細胞に存在する、を認識
する抗体であって、 1)colo205細胞に対し濃度依存的に増殖抑制作
用を持ち、 2)colo205細胞のDNA断片化を誘発し、 3)colo205細胞の核断片化・濃縮化をおこし、 4)大腸癌細胞株であるHT−29、Caco−2、A
CM、胃癌細胞株であるKATO−III、乳癌細胞株
であるMCF−7、B cellリンパ腫細胞であるR
aji細胞との反応性があり、 5)該抗体との免疫学的反応後のcolo205細胞か
ら、Fas抗原を消失せしめる、癌細胞誘発能を保持し
た新規モノクローナル抗体を提供する。
【0007】更に本発明は、上記の抗体により免疫学的
に認識されるポリペプチドおよび該ポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドを提供する。
【0008】本発明は、このポリペプチドおよび/また
は請求項3のポリヌクレオチドとの反応性をもち、少な
くとも請求項1の抗体と生物学的評価において同等の下
記の機能、 1)colo205細胞に対し濃度依存的に増殖抑制作
用を持ち、 2)colo205細胞のDNA断片化を誘発し、 3)colo205細胞の核断片化・濃縮化をおこす、
を担持した化合物を同定する方法を提供し、また同定さ
れる化合物を提供する。
【0009】本発明は、本発明の抗体またはポリペプチ
ドまたはポリヌクレオチドまたは前記同定された化合物
のうちの少なくとも一つを含有することを特徴とする癌
の予防および治療に有用な医薬組成物を提供する。
【0010】本発明は、本発明の抗体および/またはこ
の抗体により免疫学的に認識されるポリペプチドおよび
/またはこのポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドをマーカーとして利用することを特徴とする癌診断手
段を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】(新規抗体)本発明の抗体は、後
述の実施例に示すように、colo205癌細胞株を免
疫原として利用したものである。しかし、得られた抗体
を用いて、対応する抗原の組織分布を検討したところ、
広くヒト正常組織に分布することから、免疫原はこれに
限定されない。本発明の抗体としての特徴は以下に要約
される。
【0012】1)モノクロ−ナル抗体として確認された
免疫グロブリンクラスは、マウスIgMである。しか
し、本発明の抗体と同様の免疫反応性を維持する限り
は、単量体であるIgGであっても利用できる。 2)対応する抗原が、IFN‐γ刺激の有無にかかわら
ず、colo205細胞の細胞膜上に強く発現する。 3)対応する抗原は、免疫組織化学的検討において上皮
細胞以外のヒト正常組織で認められない。 4)colo205細胞に対し濃度依存的に増殖抑制作
用を持つ。 5)colo205細胞のDNA断片化を誘発する。 6)colo205細胞の核断片化・濃縮化をおこす。 7)大腸癌細胞株であるHT−29、Caco−2、A
CM、胃癌細胞株であるKATO−III、乳癌細胞株
であるMCF−7、B cellリンパ腫細胞であるR
aji細胞との免疫学的反応性がある。 8)本発明の抗体との免疫学的反応後のcolo205
細胞は、Fas抗原による染色性を消失する。すなわ
ち、Fas抗原を細胞膜上から失う。
【0013】本発明の抗体は、モノクロ−ナル抗体とし
て確立された。その手法は、前述のように、癌細胞を免
疫原にし、動物例えばマウス、ラット、兎、やぎ、馬等
に投与し、要すればアジュバントの存在化で、体液性応
答および/または細胞性応答等の免疫誘導を行う。この
誘導手段が施された動物から、脾細胞に代表される抗体
産生細胞を回収し、自体公知のミエローマ細胞等の永久
増殖性細胞との融合またはウイルス感染による永久細胞
化による形質転換手段を導入する。本発明からなる抗体
産生細胞の選択は、先に本発明者が報告したcolo2
05細胞株を利用したバイオアッセイの手段(Canc
er Letters,1993,71:109〜11
7)を利用する。つまり、colo205細胞株の細胞
死誘導活性を有する抗体を産生する細胞をスクリーニン
グし、自体公知の限界希釈法によるクローニングを繰り
返し、クローン化した。
【0014】抗体の回収は、自体公知の手段、例えばク
ローン化した抗体産生細胞の培養液や該抗体産生細胞を
移植したマウスの腹水から、アルコール、硫安、PEG
等を所望により組合せて使用し、行うことができる。ま
た、本発明の抗体との特異的結合性を利用したアフィニ
ティークロマトグラフィーを利用して好適に単離するこ
とも可能である。本発明の抗体と特異的に結合する物質
を得る手段としては、例えば本発明の抗体を固定化し、
そこにランダムに合成ポリペプチドを添加し、本発明の
抗体との免疫学的反応性を保持するポリペプチドを容易
に見つけ出すことが可能である。
【0015】アフィニティー担体を構築することによっ
て、動物の血清等から、本発明の抗体機能と同等の特異
性を保持するポリクローナル抗体の回収も容易におこな
うことが出来る。
【0016】本発明の抗体に関する性状は、以下に記述
する実施例で詳述した。
【0017】本発明の抗体により免疫学的に認識される
ポリペプチドは、少なくとも8個のアミノ酸配列を有
し、少なくとも本発明のモノクロ−ナル抗体との免疫学
的反応性を持つ。このポリペプチドを得るための手段と
しては、無細胞蛋白質合成系を利用すれば、容易に回収
可能である。例えば、小麦胚芽由来のリボソーム系を利
用し、colo205由来の遺伝子ライブラリーを原料
として、各種mRNAを調製し、エリクソン等の方法
(Methods in Enzymology,19
83、96:38〜50)に従い蛋白質合成反応を行
い、産生されるポリペプチドを本発明の抗体の固定化担
体によって選択的に補足し、その後、抗体と結合しうる
ペプチド、すなわち抗原性を有するポリペプチド、およ
び該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定
・分析することによって達成できる。本発明のポリヌク
レオチドは、当然にその相補鎖をも包含する。
【0018】かくして、本発明の抗体およびその抗体と
の反応性をもつポリペプチドおよび該ポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチドの同定が出来れば、少なくと
も本発明の抗体による作用と比較して生物学的評価にお
いて同等の下記機能、すなわち、1)colo205細
胞に対し濃度依存的に増殖抑制作用を持ち、2)col
o205細胞のDNA断片化を誘発し、3)colo2
05細胞の核断片化・濃縮化をおこす機能を担持した化
合物を同定する方法が提供可能となる。同定方法は、例
えば当該ポリペプチドとの反応性をマーカーにして選別
された候補化合物を、本発明者が別途確立したバイオア
ッセイによるcolo205細胞への作用能によってス
クリーニングすることにより達成可能である。また、ポ
リペプチドの配列または立体構造に基づくドラッグデザ
イン手法による拮抗剤または誘導剤等の選別、蛋白質合
成系を利用した遺伝子レベルでの発現調整剤の選別、抗
体を利用した抗体認識物質の選別等が、自体公知の医薬
品スクリーニングシステムにおいて利用可能である。
【0019】このようにして、獲得した本発明の抗体、
ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび同定された化合
物は、正常細胞の癌化の調整または癌化細胞の制御を可
能とし、これらのうちの少なくとも一つを含有する組成
物は、新規なメカニズムによる癌の予防、治療、遺伝子
治療に有用な医薬組成物を提供する。
【0020】また、本発明の抗体、ポリペプチド、ポリ
ヌクレオチドは、正常細胞の癌化のマーカーとしての全
く新規な診断手段を提供する。本発明の抗体に対して免
疫学的反応性を有する抗原は、正常細胞においても広く
分布しており、上皮細胞に特有のものであることが見出
され、癌化によりその細胞膜上への発現が減少してゆく
傾向が認められた。たとえば、腺腫や高分化型の癌では
発現が高いが、低分化型の癌では発現が低い。また、こ
の抗原が細胞のアポトーシスの制御に関連すると推定さ
れたことから、この抗原が、正常細胞においては、該細
胞の新旧回転に関連している可能性が考えられる。従っ
て、組織分析によりこの抗原の量・質の変異を検定すれ
ば、細胞の癌化の有力な診断手段を提供する。また、ポ
リヌクレオチドは、遺伝子レベルでの細胞の癌化の有力
な診断手段を提供する。
【実施例】
【0021】(免疫および細胞融合)colo205細
胞を抗原とし、BALB/cマウス(6週令、雌)の腹
腔内に2×10個/0.1ccPBSを免疫した。3
週間隔で3回免疫後、3日目に脾臓を摘出し、脾細胞を
マウス骨髄腫細胞Sp2/0とポリエチレングリコール
2000を用いて自体公知の方法で細胞融合し、融合細
胞を得た(Nature,1975,256:495−
497)。得られた融合細胞を培養し、その培養上清を
colo205細胞死を指標とした位相差顕微鏡下での
観察による測定系(バイオアッセイ法)を用いてスクリ
ーニングした。
【0022】(colo205細胞死を指標としたスク
リーニング(バイオアッセイ法))colo205細胞
1×10個を測定用96穴プレート(合計1920
穴)で培養し、融合細胞培養上清を添加、48時間培養
し、位相差顕微鏡下で観察してcolo205細胞の生
死を判定した。その結果、colo205細胞死誘導活
性を有する融合細胞を含む培養穴が1個得られた。該融
合細胞を、限界希釈法(0.3個/穴)を3回繰り返し
行い、クローン化した。
【0023】(抗体の精製)得られたクローン化融合細
胞を培養し、培養上清よりImmunoAssist
MG−PP(関東化学株式会社)を用いて、抗体を精製
した。得られた抗体を以下LHK抗体と称する。該LH
K抗体の免疫グロブリンクラスを検討したところ、Ig
Mであった。
【0024】(各種癌細胞表面におけるLHK抗体が認
識する抗原の発現)ヒト癌細胞表面におけるLHK抗体
が認識する抗原の発現をフローサイトメトリー(FAC
Scan、Becton−Dickinson社)を
用いて、定法により解析した。また、従来アポトーシス
を誘導することが知られている細胞表面抗原であるFa
s抗原および腫瘍壊死因子受容体(TNR−R)の発現
と比較した。各細胞10個に1μgのLHK抗体、1
μgの抗Fas抗体(マウスIgM、Coulter
社)、1μgの抗TNFーR抗体(ハムスターIgG、
Coulter社)を加えて、4℃で30分インキュベ
ートした。ついで細胞を洗浄し、LHK抗体、抗Fas
抗体でインキュベートした細胞は、FITC(fluo
rescein isothiocyanate)を結
合したヤギ抗マウスIgM抗を用いて、また、抗TNF
ーR抗体でインキュベートした細胞は、FITCを結合
したヤギ抗ハムスターIgG抗体を用いて染色し、フロ
ーサイトメトリーを使用して測定した。表1に示すよう
に、大腸癌細胞株であるHT−29、Caco−2、W
iDr、胃癌細胞株であるKATO−IIIに認められ
た。また、図示していないが、乳癌細胞株であるMCF
−7、B cellリンパ腫細胞であるRaji細胞に
も認められた。さらに、LHK抗体が認識する抗原(以
下、LHKと称する)と、Fas抗原、TNF−Rの各
種細胞株での分布が異なっていた。表中、++は陽性細
胞が10〜100%、+は1〜10%、−は0%である
ことを示す。
【表1】 さらに、ヒト組換え型IFN−γ 100U/mlの存
在下でcolo205細胞を48時間培養し、細胞表面
上のLHK、Fas抗原、TNF−Rの発現を比較し
た。図1に示すようにIFN−γ処理により、Fas抗
原の発現は増強されたが、LHKは全く変化しなかっ
た。また、LHK抗体1μg/mlでcolo205細
胞を4℃で30分間処後、細胞表面上のFas抗原の発
現をフローサイトメトリーを使用して上記同様の方法に
より測定したところ、Fas抗原の消失が確認された。
LHKを細胞上に保有するが、LHK抗体ではアポトー
シスを誘導し得ないRaji細胞では同様の処理を行っ
てもFas抗原の消失が認められなかった。以上の結果
から、LHKは従来アポトーシス関連因子として公知の
Fas抗原、TNF−Rとは異なることが判明した。
【0025】(ヒト正常組織での本発明の抗体が認識す
る抗原の発現)ヒト正常組織での本発明の抗体が認識す
る抗原の発現を確認するために、ヒトの凍結組織切片の
免疫組織化学的染色を定法により行った。本発明の抗体
を凍結組織切片に付し、間接イムノペルオキシダーゼ法
により、染色した。表2に示すように、ヒト正常組織で
は、本発明の抗体により認識される抗原は上皮細胞に存
在し、他の細胞には全く認められなかった。
【表2】
【0026】(LHK抗体によるcolo205細胞の
増殖抑制)LHK抗体によるcolo205細胞の増殖
抑制活性を測定した。また、LHKを細胞表面上に保有
するが、LHK抗体でアポトーシスを誘導し得ないJu
rkat細胞との比較において、抗Fas抗体またはT
NFによる増殖抑制活性と比較した。各細胞1×10
個をLHK抗体、抗Fas抗体、TNFと共に48時間
培養し、[H]チミジンを加えてさらに12時間培養
し、細胞に取り込まれた放射活性を測定した。図2に示
すようにcolo205細胞は、LHK抗体によりその
増殖が顕著に抑制されたが、抗Fas抗体、TNFでは
抑制されなかった。一方、細胞表面上にLHKを保有す
るが、LHK抗体でアポトーシスを誘導し得ないJur
kat細胞は抗Fas抗体、TNFでその増殖が抑制さ
れたものの、LHK抗体は全く影響が無かった。すなわ
ち、LHKは従来公知のアポトーシス関連因子であるF
asやTNF−Rとは異なった細胞死誘導因子であるこ
とが判明した。
【0027】(LHK抗体によるDNAのアポトーシス
の誘導)LHK抗体1μg/mlで12時間処理したc
olo205細胞から、定法によりDNAを抽出し
(J.Immunol.,1987,139:3199
−3206)、DNAの断片化を測定した。図3に示す
ように、LHK抗体で処理した細胞では明らかにDNA
の断片化が確認された。また、LHK抗体で同様に処理
したcolo205細胞をHoechst33258を
用いて染色し、蛍光顕微鏡下で測定したところ、核の断
片化、濃縮化が確認された。すなわち、LHK抗体によ
り、細胞のアポトーシスが誘導されることが判明した。
【0028】(LHKの確認)LHK抗体が認識するc
olo205細胞表面上の抗原LHKの確認のため、c
olo205細胞(5×10個)をビオチンラベル
し、lysisバッファーにて細胞を溶解後、15,0
00回転で20分間遠心した。その上清をLHK抗体−
抗マウスIgM抗体−アガロースビーズと反応させた。
バッファーで5回洗浄後、サンプルバッファーに溶解
し、95℃で1分反応させ、泳動を行った。泳動後、P
VDF膜に転写し、ブロッキングバッファーを用いて3
時間反応させた。洗浄後、PVDF膜をABCキットに
て反応させた。反応後、洗浄し、ECLキット(ECL
Detection System:Amersha
mnBucks,UK)で反応後、現像した。その結
果、図4に示すように、LHK抗体で認識される約70
kDaの糖蛋白質が確認された。
【発明の効果】以上説明したように本発明の抗体、ポリ
ペプチド、ポリヌクレオチド、および同定化合物は、新
規なアポトーシス機構の制御に関連しており、これらを
利用した生体におけるアポトーシス系を制御する手段を
提供して癌の予防および治療のための新規な手段を提供
し、さらにこれらをマーカーにした新規な癌診断手段を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インターフェロン−γ(IFN−γ)添加培
養処理による細胞表面上の、LHK、Fas抗原、腫瘍
壊死因子受容体(TNF−R)の発現の変動をフローサ
イトメトリーで測定した結果を示す図である。図中、I
FN−γ(−)はインターフェロン無添加での培養を、
IFN−γ(+)はインターフェロン添加培養を意味す
る。
【図2】 LHK抗体、抗Fas抗体、TNFの、Co
lo205細胞およびJurkat細胞における増殖抑
制活性を示す図である。
【図3】 LHK抗体により引き起こされるcolo2
05細胞のDNA断片化を示す写真である。
【図4】 LHK抗体を用いてcolo205細胞の細
胞表面上に存在するLHKを免疫沈降法により確認した
写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/02 G01N 33/574 Z G01N 33/574 C12P 21/08 // C12P 21/08 C12N 15/00 C (72)発明者 渡辺 守 東京都新宿区信濃町35 慶応義塾大学 慶 應がんセンター内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA45 DA02 GA03 GA18 GA23 HA15 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA01 DA14 4C084 AA02 AA07 BA44 DA39 ZB212 ZB262 4C085 AA13 AA14 BB01 BB11 DD61 4H045 AA10 AA11 AA30 BA53 CA41 DA76 DA86 EA28 EA51 FA72 GA15 GA26 HA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記性質イ)、ロ)を有する糖蛋白抗
    原、 イ)インターフェロン−γ刺激の有無にかかわらず、ヒ
    ト大腸癌細胞株colo205細胞の細胞膜上に強く発
    現している、 ロ)ヒト正常組織では主に上皮細胞に存在する、を認識
    する抗体であって、 1)colo205細胞に対し濃度依存的に増殖抑制作
    用を持ち、 2)colo205細胞のDNA断片化を誘発し、 3)colo205細胞の核断片化・濃縮化をおこし、 4)大腸癌細胞株であるHT−29、Caco−2、A
    CM、胃癌細胞株であるKATO−III、乳癌細胞株
    であるMCF−7、B cellリンパ腫細胞であるR
    aji細胞との反応性があり、 5)該抗体との免疫学的反応後のcolo205細胞か
    ら、Fas抗原を消失せしめる、癌細胞のアポトーシス
    誘発能を保持した抗体。
  2. 【請求項2】 請求項1の抗体により免疫学的に認識さ
    れるポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項2のポリペプチドをコードするポ
    リヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項2のポリペプチドおよび/または
    請求項3のポリヌクレオチドとの反応性をもち、少なく
    とも請求項1の抗体と生物学的評価において同等の下記
    の機能、 1)colo205細胞に対し濃度依存的に増殖抑制作
    用を持ち、 2)colo205細胞のDNA断片化を誘発し、 3)colo205細胞の核断片化・濃縮化をおこす、
    を担持した化合物を同定する方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の方法で、同定される化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3および5に記載の物質のう
    ち少なくとも一つを含有することを特徴とする癌の予防
    および治療に有用な医薬組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1の抗体および/または請求項2
    のポリペプチドおよび/または請求項3のポリヌクレオ
    チドを利用することを特徴とする癌診断手段。
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