JP2001029014A - ファットブルーム防止剤およびその利用 - Google Patents

ファットブルーム防止剤およびその利用

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JP2001029014A JP2000137887A JP2000137887A JP2001029014A JP 2001029014 A JP2001029014 A JP 2001029014A JP 2000137887 A JP2000137887 A JP 2000137887A JP 2000137887 A JP2000137887 A JP 2000137887A JP 2001029014 A JP2001029014 A JP 2001029014A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チョコレート類の、特にテンパー型ハードバ
ターにより製造されたチョコレート類の温度変化等によ
るファットブルームの発生を抑制するファットブルーム
防止剤、これを含むハードバター組成物、およびチョコ
レート類を提供すること。 【解決手段】 以下の式で表されるグリコシルジグリセ
リドを含有するファットブルーム防止剤であって、ここ
でX1は、モノグリコシル基またはジグリコシル基を示
し、R1およびR2は、脂肪酸の残基を示す、ファットブ
ルーム防止剤;これを含むハードバター組成物およびチ
ョコレート類。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チョコレートのフ
ァットブルーム防止剤およびその使用に関する。さらに
詳細には、チョコレート類に使用した際に優れたファッ
トブルーム耐性をもたらすファットブルーム防止剤、な
らびに、これを含むハードバター組成物およびチョコレ
ート類に関する。
【0002】
【従来の技術】チョコレート類は本来、カカオマス、コ
コアバター、砂糖、粉乳等を主原料として製造される。
このうちココアバターは価格、供給ともに不安定である
ため、従来から種々のハードバターがココアバターに併
用もしくは代用して、チョコレート用油脂として使用さ
れている。ハードバターは、価格が安いのみでなく、融
点調整ができる等、ココアバターに存在する種々の欠点
に対する品質改良剤としての地位を確立している。
【0003】ハードバターとしては、その物理的特性及
びその組成をココアバターに類似させ、ココアバターと
の相溶性を改良したテンパー型に分類されるもの、ラウ
リン酸を主要構成脂肪酸とするラウリン系ノーテンパー
型に分類されるもの、そしてトランス型不飽和脂肪酸を
主要構成脂肪酸とする非ラウリン系ノーテンパー型に分
類されるもの等がある。
【0004】ココアバターおよび/またはハードバター
を使用して製造されたチョコレート類では、一定以上の
温度下での保存において、また温度変化の大きい保存条
件下、あるいは完全融解状態から徐々に温度を下げてい
く条件、いわゆる徐冷の条件において、チョコレート表
面に白い粉がふいたような現象がしばしば観察される。
この現象はブルームと呼ばれ、チョコレート中の砂糖に
由来するシュガーブルームと、油脂の微細結晶の粗大化
により発生すると考えられるファットブルームとがあ
る。ファットブルームには、高温で起きるもの(高温ブ
ルーム)ならびに低温で起きるもの(低温ブルーム)が
ある。ブルームの発生に伴い、チョコレート内部では組
織が粗くなり、ボサボサの食感を有する現象を呈する。
【0005】ココアバターは融点の違いによりI型から
VI型までの結晶があり、I型からVI型に向かうにつ
れ融点が高く安定化し、最も安定した結晶はVI型(J
ournal of American Oil Ch
emists’ Society, 43,491−4
96,1966)である。しかしながら、VI型は粗大
な結晶であるため口どけが悪く、ファットブルームの原
因になる。ファットブルームを起こりにくくするにはV
型の微細結晶を多く作り、VI型への移行を阻止するこ
とが効果的である。テンパリングを行わなければ冷却固
化後にココアバター中の不安定な結晶(例えばIV型)
がより安定な結晶に移行するとともに結晶が粗大化し、
その結果ファットブルームの原因が生成する。このよう
なファットブルーム生成を抑制するためにテンパー型チ
ョコレートおよびテンパー型ハードバターの製造におい
ては、テンパリング工程によって不安定結晶を安定なV
型結晶に転移させることができる量のV型種結晶を生成
させ、冷却固化後に最終的に安定型結晶ができるだけ多
く存在するようにしている(New Food Ind
ustry、31、53−74,1989)。
【0006】しかしこのようなテンパー型チョコレート
などであっても、温度が高くさらに温度変化の大きい保
存条件ではチョコレート中に残存する不安定結晶の一部
が融解して表面へ移行することにより、チョコレート表
面において融解した油脂が再結晶化し、結晶は成長を繰
り返して粗大化し、次第に、ファットブルームが生成す
る(この現象を高温ブルームと呼んでいる)。このた
め、長期間の保存は困難であり、このような温度変化の
大きい保存条件でもファットブルームを抑制する方法が
要望されている。
【0007】また、ビスケットやクッキーなどの小麦
粉、油脂、砂糖を主原料とした焼菓子類に、チョコレー
トをコーティングした組み合わせ菓子、センターにクリ
ーム類を充填したシェルタイプチョコレートなどで、マ
イグレーションしてきた焼菓子中に含まれるマーガリ
ン、ショートニングなどの液体油脂、もしくはセンター
クリーム側の液体油脂にエンローバーチョコレート中、
もしくはシェル側のチョコレート中の油脂結晶が溶けて
表面に押し出され、再結晶化することで結晶の粗大化が
おき、ファットブルームが生成する。この現象を低温ブ
ルームと呼んでいる。
【0008】この様なチョコレート類におけるファット
ブルームの発生を防止するため、従来から製造方法の改
良、ココアバターとの相性のよい油脂(ハードバター)
の開発、また添加剤としてのファットブルーム防止剤の
開発が試みられ、すでにそれらを使用した若干の製品が
上市されている。
【0009】具体的には例えば、特開昭62−6635
号公報、特開昭63−56250号公報、特開昭63−
240745号公報および特開平1−60330号公報
では、ベヘン酸を含むトリグリセリドを利用する方法に
よってチョコレート類のブルーム発生を改良する方法が
開示されている。特開昭61−40745号公報および
特開平1−285153号公報では、ポリグリセリン脂
肪酸エステルを利用する方法によってチョコレート類の
ブルーム発生を改良する方法が開示されている。特開平
01−39945号公報および特開平02−24945
2号明細書では、結合脂肪酸が主として炭素数12以下
の飽和脂肪酸からなるショ糖脂肪酸エステルを利用する
方法によってチョコレート類のブルーム発生を改良する
方法が開示されている。特開平3−147741号公報
では、一分子内に2個以上の不飽和結合を有する一種又
は二種以上のジグリセリドを含有するハードバターを使
用することでテンパー型チョコレートのブルーム発生を
抑制する方法が開示されている。
【0010】しかしながら、より改良された新規なファ
ットブルーム防止剤に対する需要が、依然として存在す
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
の解決を意図するものであり、チョコレート類、特にテ
ンパー型ハードバターを使用して製造されたチョコレー
ト類におけるファットブルームの発生を抑制するための
ファットブルーム防止剤、ならびにこれを含むハードバ
ターおよびチョコレート類を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、特定のグリコシルジグリセリドをチョコレート類に
添加したとき著しく優れたブルーム耐性が得られること
を見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
【0013】本発明のファットブルーム防止剤は、以下
の式で表されるグリコシルジグリセリドを含有し、ここ
で、X1は、モノグリコシル基またはジグリコシル基を
示し、R1およびR2は、脂肪酸の残基を示す:
【0014】
【化2】
【0015】1つの実施態様では、上記グリコシルジグ
リセリドは、約30重量%以上含有される。X1は、ガ
ラクトシル基、グルコシル基、マンノシル基およびグル
クロノシル基、ならびにこれらが任意に組み合わせられ
たジグリコシル基からなる群より選択され得、より好ま
しくは、ガラクトシル基またはジガラクトシル基であり
得る。上記R1およびR2は、独立して、炭素数が10〜
24の脂肪酸の残基であり得、好ましくは、独立して、
炭素数が16〜18の脂肪酸の残基であり得る。
【0016】上記グリコシルジグリセリドは、天然のソ
ースから抽出され得る。天然ソースは、植物または微生
物であり得る。上記グリコシルジグリセリドは、植物ま
たは微生物由来であり得る。植物は、カボチャ、トウモ
ロコシ、ニンジン、パンコムギ、ココヤシ、アブラヤ
シ、ダイズ、ナタネ、ゴマ、ワタ、オリーブ、ベニバ
ナ、およびヒマワリからなる群より選択され得る。上記
グリコシルジグリセリドは、より好ましくは、カボチャ
の果実、トウモロコシの果実、ニンジンの根、および小
麦粉から抽出され得るか、または、油糧植物の種子また
は果実から油脂を製造する工程で発生する副産物から抽
出され得る。副産物は、パーム油またはコーン油を製造
する工程で発生する副産物、または廃白土であり得る。
【0017】本発明のファットブルーム防止剤は、炭素
原子数18個〜22個の不飽和脂肪酸の残基と、それぞ
れ独立して炭素原子数20〜24個の飽和脂肪酸の残基
とを有する2−不飽和−1,3−ジ飽和グリセリドをさ
らに含有し得る。
【0018】本発明のハードバター組成物は、上記のい
ずれかのファットブルーム防止剤を含有する。ここで、
ハードバター100重量部に対して、上記グリコシルジ
グリセリドは約0.4重量部以上含有される。
【0019】本発明のチョコレート類は、上記のいずれ
かのファットブルーム防止剤を含有する。ここで、チョ
コレート生地100重量部に対して、上記グリコシルジ
グリセリドは約0.1重量部以上含有される。
【0020】本発明のチョコレート含有菓子は、上記の
チョコレート類を含む。1つの実施態様では、チョコレ
ート類は、焼菓子の表面に被覆される。焼菓子は、プレ
ッツェルであり得る。別の実施態様では、チョコレート
類は、センタークリームおよび/またはナッツ類を含む
チョコレートである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】<ファットブルーム防止剤の材料>本発明
のファットブルーム防止剤は、以下の式で表されるグリ
コシルジグリセリドを含有する。ここでX1は、モノグ
リコシル基またはジグリコシル基を示し、R1およびR2
は、脂肪酸の残基を示す:
【0023】
【化3】
【0024】好ましくは、X1は、天然に存在するモノ
グリコシル基またはジグリコシル基である。より好まし
くは、X1は、ガラクトシル基、グルコシル基、マンノ
シル基およびグルクロノシル基、ならびにこれらが任意
に組み合わせられたジグリコシル基からなる群より選択
される。さらにより好ましくは、X1は、ガラクトシル
基またはジガラクトシル基である。モノガラクトシルジ
グリセリドは、以下の式で表される:
【0025】
【化4】
【0026】ジガラクトシルジグリセリドは、以下の式
で表される:
【0027】
【化5】
【0028】好ましくは、R1およびR2は、独立して、
炭素数が10〜24の脂肪酸の残基であり、より好まし
くは、独立して、炭素数が16〜18の脂肪酸の残基で
ある。さらにより好ましくは、R1およびR2は、少なく
とも1つの不飽和結合を含む。脂肪酸の例としては、カ
プリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C12:0)、
パルミチン酸(C16:0)、ステアリン酸(C18:
0)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C1
8:2)、リノレン酸(C18:3)、アラキドン酸
(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C20:
5)、ベヘン酸(C22:0)、エルカ酸(C22:
1)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などの残基が
挙げられる。
【0029】グリコシルジグリセリドは、グリセロ糖脂
質に分類される。グリセロ糖脂質は、多くの植物体およ
び微生物のような天然物中に含まれている。天然の植物
体および微生物中よりグリコシルジグリセリドを抽出・
精製するための方法は、公知である(特開昭62−17
8596号、および生物化学実験法1・脂質分析法入
門、42〜46、68〜83頁、学会出版センターを参
照のこと)。天然由来のグリコシルジグリセリド自体、
またはそれと同一の構造を有するように合成されたグリ
コシルジグリセリドを利用することは、安全性、生分解
性の観点から、特に好ましい。グリコシルジグリセリド
を合成するための方法もまた公知である(例えば、特開
平6−70789号公報、Journal of Fe
rmentation and Bioenginee
ring、78、1、70〜73、1994)。
【0030】本発明において、グリコシルジグリセリド
は、天然の植物体または微生物より抽出および精製する
方法、脂肪酸モノグリセリドと糖との酵素反応を利用す
る合成方法、エステル交換反応を利用する合成方法等、
いずれの方法によって調製してもよい。
【0031】グリコシルジグリセリドは、1つの実施態
様では天然ソースから抽出される。「天然ソース」と
は、植物体および微生物など天然物自体およびその一部
ならびにそれらの加工物を含む、天然のグリコシルジグ
リセリドを与える任意の供給源をいう。天然ソースは、
好ましくは任意の植物または微生物である。
【0032】グリコシルジグリセリドは、好ましくは、
植物または微生物由来である。ここで「植物由来であ
る」とは、グリコシルジグリセリドが植物体の一部また
は全部から直接抽出されるか、または植物の加工物から
抽出されることをいう。ここで、「加工物」とは、グリ
コシルジグリセリドが変性されない程度に加工されたも
のをいい、具体的には、乾燥物、粉砕物、抽出物、その
加工の際に生じる副産物などをいう。
【0033】植物の例としては、ウリ科(Cucurb
itaceae)、イネ科(Poaceae)、アカザ
科(Chenopodiaceae)、またはセリ科
(Apiaceae)、ヤシ科(Arecacea
e)、マメ科(Fabaceae)、アブラナ科(Br
assicaceae)、ゴマ科(Pedaliace
ae)、アオイ科(Malvaceae)、モクセイ科
(Oleaceae)、キク科(Composita
e)、またはアマ科(Linaceae)に属する植物
が挙げられる。
【0034】植物は、好ましくは、カボチャ属(Cuc
urbita)、トウモロコシ属(Zea)、パンコム
ギ属(Triticum)、ホウレンソウ属(Spin
acia)、ニンジン属(Daucus)、ココヤシ属
(Cocos)、アブラヤシ属(Elaeis)、ダイ
ズ属(glycine)、アブラナ属(Brassic
a)、ゴマ属(Sesamum)、ワタ属(Gossy
pium)、オリーブ属(Olea)、ベニバナ属(C
arthamnus)、ヒマワリ属(Helianth
us)、またはアマ属(Linum)などに属する。
【0035】植物は、より好ましくはカボチャ、トウモ
ロコシ、ニンジン、ホウレンソウ、パンコムギ、ココヤ
シ、アブラヤシ、ダイズ、ナタネ、ゴマ、ワタ、オリー
ブ、ベニバナ、ヒマワリ、またはアマである。
【0036】植物は、さらにより好ましくは、カボチ
ャ、トウモロコシ、ニンジン、パンコムギ、ココヤシ、
アブラヤシ、ダイズ、ナタネ、ゴマ、ワタ、オリーブ、
ベニバナ、またはヒマワリである。
【0037】植物は、上記の植物種の植物体の全体また
はその部分(例えば、種子、果実、花、葉、茎、塊茎、
根、塊根、球根など)であり得る。好ましい植物の部分
の例としては、カボチャ、トウモロコシ、オリーブなど
の果実;パンコムギ、ココヤシ、アブラヤシ、ダイズ、
ナタネ、ゴマ、ワタ、ベニバナ、ヒマワリ、アマなどの
種子;およびニンジンなどの根などが挙げられる。
【0038】植物の加工物の例としては、カボチャの果
実のペースト、乾燥粉末など;トウモロコシ果実(穀
粒)の粉末;小麦粉;油糧植物(ココヤシ、アブラヤ
シ、トウモロコシ、パンコムギ、ダイズ、ナタネ、ゴ
マ、ワタ、オリーブ、ベニバナ、ヒマワリ、アマなど)
の種子または果実から得た油脂または油脂を製造する工
程で発生する副産物などが挙げられる。なお、本明細書
中で「副産物」とは、通常であれば廃棄物として捨てら
れるものを含む。通常廃棄物として捨てられているもの
を利用すれば、コストの面で有利である。かつ廃棄物の
削減による環境保護という面でも非常に有利である。廃
白土などの副産物には、未加工の植物中よりもグリコシ
ルジグリコシドが濃縮されている。グリコシルジグリセ
リドが濃縮されたものを原料として用いると、製造コス
トが削減されるという点で有利である。
【0039】油脂の例としては、パーム油、パーム核
油、やし油、コーン油、コムギ胚芽油、ダイズ油、ナタ
ネ油、胡麻油、綿実油、オリーブ油、サフラワー油、ヒ
マワリ油、または亜麻仁油が挙げられる。これらの油脂
製品には、微量のグリコシルジグリセリドが含まれるの
で、これを単離して用いてもよい。副産物の例として
は、搾り粕、ガム質(油滓)、オリ、または廃白土が挙
げられる。
【0040】ここで、上記植物から油脂を製造する工程
を説明する。通常、上記植物(例えば、油糧植物の種子
または果実)は、圧搾され、および/またはヘキサンな
どの有機溶剤で抽出されて原油が得られる。得られる原
油を貯蔵タンクで静置することにより、沈澱物(いわゆ
る、オリ)を析出させるか、または水もしくは水蒸気を
吹き込んでガム質(すなわち、油滓)を水和および凝集
させる。沈澱物またはガム質を分離して除去し、次い
で、必要に応じて脱酸、脱色、脱臭等の精製処理を施し
た後に製品として油脂が得られる。ここで、植物を圧搾
する際に、搾り粕が油脂を搾取した残りかすとして得ら
れる。沈澱物またはガム質を分離除去する際は、それぞ
れオリおよびガム質が得られる。また、油脂の精製の際
の脱色工程などでは、活性白土を油脂に加えて加熱し、
油脂中に存在する色素類を活性白土に吸着させて油脂か
ら除去する。油脂の処理に使用した後の白土を、一般に
廃白土と称する。廃白土にはグリコシルジグリセリド
が、原料植物中よりも濃縮されて含まれているため、グ
リコシルジグリセリドの分離に好都合であるとともに、
通常廃棄される廃白土が有効利用できることは、コスト
的にも環境保護の面でも非常に有利である。従って、廃
白土からグリコシルジグリセリドを得ることが好まし
い。
【0041】微生物の例としては、クロレラなどの藻
類、バチルス属などの細菌が挙げられる。これらの微生
物を常法により溶剤などで抽出して精製することにより
グリコシルジグリセリドが得られる。微生物の加工物と
は、微生物の乾燥物、粉砕物、濾材などの他の物質との
混合物をいう。具体的には、例えば、乾燥クロレラ、海
苔、乾燥ビール酵母などである。
【0042】本発明において好ましいグリコシルジグリ
セリドは、カボチャ由来のモノガラクトシルジグリセリ
ドおよびジガラクトシルジグリセリド、トウモロコシ由
来のモノガラクトシルジグリセリド、ニンジン由来のモ
ノガラクトシルジグリセリドおよびジガラクトシルジグ
リセリド、コムギ由来のモノガラクトシルジグリセリ
ド、ならびにアブラヤシ由来のモノガラクトシルグリセ
リドである。
【0043】本発明を実施するために、存在することが
公知であるグリコシルジグリセリドを天然ソースから抽
出し、そのファットブルーム防止効果を確認して、ファ
ットブルーム防止剤として利用することができる。ファ
ットブルーム防止効果が確認されたグリコシルジグリセ
リドについて、それをより多量に含む他の天然ソースを
スクリーニングして、より好ましい供給源を同定するこ
とができる。あるいは、ファットブルーム防止効果が確
認されたグリコシルジグリセリドと類似の構造を有する
グリコシルジグリセリドを抽出または合成により入手し
て、そのファットブルーム防止効果を確認して、ファッ
トブルーム防止剤として利用することができる。本発明
の定義上、ファットブルーム防止効果を有するグリコシ
ルグリコシドとは、実施例2と実質的に同一の条件下で
評価したとき、ココアバターのV型からVI型への結晶
型の転移をカボチャ由来のモノガラクトシルジグリセリ
ドと同程度以上に防止し得るグリコシルジグリセリドを
いう。
【0044】本発明のファットブルーム防止剤は、グリ
コシルジグリセリドを、約30重量%以上、好ましくは
約40重量%以上、より好ましくは約50重量%以上含
有し得る。従って、所望のグリコシルジグリセリドを一
定量以上含有する天然ソースからの抽出物は、本発明の
ファットブルーム防止剤として、そのまま利用され得
る。
【0045】本発明のファットブルーム防止剤には、フ
ァットブルーム防止効果を有する第2の有効成分とし
て、さらに、炭素原子数18〜22個の不飽和脂肪酸の
残基と、それぞれ独立して炭素原子数20〜24個の飽
和脂肪酸の残基とを有する2−不飽和−1,3−ジ飽和
グリセリドが添加され得る。2−不飽和−1,3−ジ飽
和グリセリドの例としては、1−ベヘン酸−2−オレイ
ン酸−3−ベヘン酸トリグリセリド(BOB)が挙げら
れる。このような2−不飽和−1,3−ジ飽和グリセリ
ドを、グリコシルジグリセリドと併用することにより、
より良好なファットブルーム防止効果が奏され得る。
【0046】上記のような2−不飽和−1,3−ジ飽和
グリセリド及びその製造法は、米国特許第424105
4号、特開昭62−6635号、特開昭63−2407
45号明細書等に公知であり、それらのいずれの方法に
基づいてでも製造することができる。
【0047】本発明のファットブルーム防止剤は、必要
に応じてその他の成分、例えば、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステルなどを含み得る。
【0048】<ハードバター組成物の材料および調製>
本発明のファットブルーム防止剤は、単独の成分とし
て、あるいはあらかじめハードバターと混合したハード
バター組成物の形態で、チョコレートの製造に使用され
得る。
【0049】本明細書中で「ハードバター」とは、上昇
融点が約50℃以下、好ましくは約40℃以下、さらに
好ましくは約37℃以下である、任意の食用油脂をい
う。このような油脂の例としては、ココアバターを含む
植物性または動物性の天然由来の油脂、および水素添加
油脂、エステル交換油脂が挙げられる。
【0050】ハードバター組成物に含まれるグリコシル
ジグリセリドは、ハードバター100重量部に対して、
任意の割合で含まれ得る。含有量の上限は、代表的に
は、約25重量部であり、好ましくは約10重量部であ
り、より好ましくは約5.0重量部である。含有量の下
限は、代表的には、約0.1重量部であり、好ましくは
約1.2重量部であり、より好ましくは約2.5重量部
である。
【0051】本発明のハードバター組成物は、ファット
ブルーム防止剤に加えて、炭素原子数18個〜22個の
不飽和脂肪酸と炭素原子数20〜24個の飽和脂肪酸と
からなる2−不飽和−1,3−ジ飽和グリセリドを、ハ
ードバター100重量部に対して約0.1〜10重量
部、好ましくは約0.5〜5重量部含有し得る。この2
−不飽和−1,3−ジ飽和グリセリドを含ませることに
より、グリコシルジグリコシドの使用量を低減し得る。
また、2−不飽和−1,3−ジ飽和グリセリドとグリコ
シルジグリセリドとの組合せにより、それぞれを単独で
使用した場合とは異なる効果が奏され得る。これ以外の
炭素数の脂肪酸からなるグリセリドも分子構造によって
同等の効果が得られる場合がある。
【0052】本発明のハードバター組成物は、上記のフ
ァットブルーム防止剤、および必要に応じて2−不飽和
−1,3−ジ飽和グリセリドを、所望のハードバターに
添加し、均一に混合することによって調製され得る。
【0053】<チョコレート類の材料>本発明のチョコ
レート類は、ファットブルーム防止効果を有するグリコ
シルジグリセリドを含有するように、上記のファットブ
ルーム防止剤またはハードバター組成物を使用して調製
される。
【0054】本明細書中で「チョコレート」とは、「チ
ョコレート類の表示に関する公正競争規約」によるチョ
コレートおよび準チョコレートの基準に従う製品を含む
がこれらには限定されず、グリコシルジグリセリド、ハ
ードバターおよび糖類を含む任意の油脂性食品をいう。
本発明のチョコレート類の例としては、配合面からはミ
ルクチョコレート、ブラックチョコレート、生チョコレ
ート、ホワイトチョコレート等が例示され、そして用途
面からは固形チョコレート、シェルチョコレート(セン
タークリームを含むチョコレート)、コーティングチョ
コレートが例示される。
【0055】本発明のチョコレート類には、ココアバタ
ーの他、当該分野で公知の任意のハードバターを用い得
る。当業者に公知のように、ココアバターは、カカオマ
ス中に油脂分として約55%含まれるので、ココアバタ
ーの少なくとも一部を与えるものとしてカカオマスを本
発明のチョコレート類中に配合してもよい。
【0056】本発明のチョコレート類に含まれる糖類と
しては、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、糖アル
コールであるマルチトール、パラチニットなどが挙げら
れる。甘味を補うために、その他の甘味料を併用しても
よい。
【0057】本明細書中で「チョコレート生地」とは、
本発明のファットブルーム防止剤以外のチョコレート類
の原料の混合物をいう。
【0058】チョコレート類に含まれるグリコシルジグ
リセリドは、チョコレート生地100重量部に対して、
任意の割合で含まれ得る。含有量の上限は、代表的には
約20重量部であり、好ましくは約10重量部であり、
より好ましくは約5.0重量部である。含有量の下限
は、代表的には約0.01重量部であり、好ましくは約
0.1重量部であり、より好ましくは約2.5重量部で
ある。グリコシルジグリセリドの量が多すぎると、得ら
れるチョコレートの風味がチョコレート本来の風味と異
なる場合がある。使用量が少なすぎると、添加の効果が
得られにくい。
【0059】本発明のチョコレート類は、グリコシルジ
グリセリドの添加の効果を実質的に損なわない限り、必
要に応じて他の成分を含むことができる。他の成分とし
ては、例えば、乳製品、カカオパウダー、乳化剤、香
料、色素、甘味料(糖類を除く)、食塩、調味料(糖
類、甘味料および食塩を除く)などが挙げられる。乳製
品としては、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、チ
ーズパウダーなどが挙げられる。カカオパウダーは、カ
カオマス中のココアバター以外の成分である。乳化剤と
しては、ダイズレシチン、卵黄レシチンなどのリン脂
質、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸
エステル、ならびにプロピレン脂肪酸エステルのような
脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0060】本発明のチョコレート類の好ましい配合例
としては、カカオマス約25〜35重量部、ココアバタ
ー約20〜30重量部および必要に応じて他の植物性油
脂約15〜35重量部、糖分約30〜60重量部、なら
びにグリコシルジグリセリド約1〜10重量部が挙げら
れる。
【0061】本発明のチョコレート類は、ファットブル
ーム防止剤を含有することにより、優れたファットブル
ーム耐性を示す。ここで「優れたファットブルーム耐
性」とは、実施例4と実質的に同一の条件下で20℃1
2時間と32℃12時間との交互の繰り返しを1サイク
ルとする条件下に保存して10サイクル経過した後に、
ファットブルームが認められないことをいう。
【0062】本発明のチョコレート類は、当該分野にお
ける常法に従って、グリコシルジグリセリド、ハードバ
ター、糖類および任意の他の成分を含むチョコレート類
の原料を混合、ロール掛け、コンチング、必要に応じて
テンパリングおよび冷却することにより製造することが
できる。本発明のチョコレート類は、本発明のハードバ
ター組成物をハードバターとして用いることにより、ま
たはハードバターとは別に、製造工程のいずれかの段階
(好ましくは、初期の原料混合時)において本発明のフ
ァットブルーム防止剤を添加することにより、製造され
得る。
【0063】本発明のチョコレート類は、それ自体、任
意の形状および大きさで最終製品として提供され得る
が、後述するチョコレート含有菓子の材料としても有用
である。
【0064】<チョコレート含有菓子>本発明のチョコ
レート類は、種々のチョコレート含有菓子の製造におい
て好適に用い得る。チョコレート含有菓子の例として
は、焼菓子を本発明のチョコレート類でコーティング
(被覆)したもの(組合せ菓子ともいう)、およびセン
タークリームを本発明のチョコレートでコーティングし
たもの(シェルチョコレートともいう)、およびフライ
またはローストしたナッツ類を本発明のチョコレート類
に埋没させたものなどが挙げられる。
【0065】焼菓子の例としては、ビスケット類、クラ
ッカー類、パイ類、ケーキ類、およびドーナツが挙げら
れる。ビスケット類とは、小麦粉を主原料として、糖
類、食用油脂および食塩を副原料とし、必要により乳製
品、卵製品などの原料を加えて、膨張剤で膨化しながら
焼成したものである。ビスケット類は、配合、製品の食
感などにより大別され、例えば、プレッツェル、ハード
ビスケット、ソフトビスケット、クッキーなどがある。
クラッカー類とは、小麦粉、糖類、食用油脂および食塩
を原料とし、必要により乳製品、卵製品、イースト、酵
素、膨張剤などの原料を加えて焼成したものであり、比
較的甘味が少なく、塩味および脂肪分の多い焼菓子のこ
とである。パイ類とは、小麦粉、糖類、食用油脂および
食塩を原料とし、必要により乳製品、卵製品、イース
ト、膨張剤などの原料を加えて、焼成したものである。
ケーキ類とは、小麦粉、糖類、卵、および食用油脂を主
原料とし、乳製品、膨張剤などの副原料を加えて焼成し
たものである。ドーナツとは、小麦粉を主原料とし、卵
製品、糖類、乳製品、イースト、膨張剤などの原料を加
えた生地をフライしたものである。
【0066】本発明に従って製造されるチョコレート含
有菓子は、上記のおよび他の公知の焼菓子のいずれでも
よい。好ましくはビスケット類である。
【0067】チョコレート含有菓子の大きさおよび形状
は、特に限定されない。代表的には、チョコレートで焼
菓子の表面を被覆する。ここで、「被覆」とは、焼菓子
の表面の少なくとも一部(通常は約50%以上だが、そ
れ以下、例えば約10%程度であってもよい)がチョコ
レートに包まれることをいう。
【0068】本発明のチョコレート含有菓子におけるチ
ョコレート類の使用量は特に限定されない。チョコレー
ト含有菓子の被覆具材として使用する場合、焼菓子10
0重量部に対して、代表的には約10〜1000重量
部、好ましくは約50〜500重量部のチョコレート類
が用いられる。
【0069】いうまでもなく、本発明のチョコレート類
は、そのファットブルーム防止効果が損なわれない限
り、上記以外の任意の菓子原料と組み合わせて用いるこ
とができる。当業者は、これらチョコレート含有菓子の
原料、生地の調製方法、焼成条件などを適宜選択し、設
定することができる。
【0070】
【実施例】以下の実施例に従って、本発明についてより
具体的に説明する。本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0071】(実施例1:グリコシルジグリセリドの精
製)エビスカボチャの果実(生重量150g)より既知
の方法(特開昭62−178596号、生物化学実験法
1・脂質分析法入門、前出を参照のこと)で、モノガラ
クトシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリドお
よびトリガラクトシルジグリセリドを抽出および精製
し、それぞれ、105mg、126mgおよび92mg
を得た。それぞれの純度は、高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)での測定により90%以上であった。
【0072】また、スイートコーンの果実(生重量15
0g)より同様に既知の方法でモノガラクトシルジグリ
セリドを抽出および精製し、160mgを得た。その純
度は、HPLCでの測定により90%以上であった。
【0073】得られたグリコシルジグリセリド類の脂肪
酸組成を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。結
果を以下の表1および表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】カボチャ由来のグリコシルジグリセリドは
リノレン酸が最も多く、次いでリノール酸、パルミチン
酸が主要な構成脂肪酸であった。トウモロコシ由来のグ
リコシルジグリセリドはリノール酸、オレイン酸、リノ
レン酸が主要な構成脂肪酸であった。トウモロコシ由来
のグリコシルジグリセリドは、カボチャ由来のものより
リノレン酸の割合が少なく、オレイン酸の割合が多く、
全体的に不飽和度が小さかった。
【0077】(実施例2)ココアバター10gを60℃
でよく溶解した後、30℃の恒温水槽中で放置した。次
に、カボチャ由来のモノガラクトシルジグリセリド(M
GDG)、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG)ま
たはトリガラクトシルジグリセリド(TDGD)をそれ
ぞれ500mg(ココアバター100重量部あたり、5
重量部)添加した後、混合して、さらにSOSグリセリ
ド(2−オレイン酸−1,3−ジステアリン酸トリグリ
セリド)のチョコシードA(不二製油製)を25mg加
えてよく攪拌した後、冷蔵庫(10℃)で冷却固化し
た。
【0078】トウモロコシ由来のモノガラクトシルジグ
リセリド、および卵黄由来のジグリセリド(DG:和光
純薬(株)製)についても同様の手順で行なって、グリ
セリド添加ココアバターを得た。無添加のココアバター
をコントロールとした。なお、卵黄由来の(グリコシル
基を有さない)ジグリセリドの脂肪酸組成は表3の通り
である。
【0079】
【表3】
【0080】次いで冷却固化した各サンプルを20℃、
5日エージングした後、20℃12時間と32℃12時
間の交互繰り返しを1サイクルとする条件下に保存し、
ココアバターの安定結晶型の変化をDSC(示差走査熱
量測定)分析法によって観察した。図1〜図7のDSC
チャートは、試料サンプル約10mgをアルミ製試料パ
ンに採取し、空の対照パンと共にDSC試料室内にセッ
トし、0℃に急速冷却した後、5℃/分の速度で昇温さ
せる条件で、吸収された熱量を電気的に測定することに
より得られた。
【0081】測定結果を図1〜図7に示す。
【0082】DSCにおける各ピーク面積を垂直分割し
た値を以下の表4および表5に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】コントロール(無添加)では、スタート時
にV型の結晶型のみであったものが、サイクル数が進む
に従ってVI型の結晶型への転移が見られ、その割合も
大きくなっていた(図1)。一方、カボチャ由来MGD
G(図2)およびDGDG(図3)の5重量部添加で
は、同様にV型からVI型への結晶型の転移が見られた
もののコントロール(無添加;図1)と比べるとその割
合は小さく、特にDGDGによる結晶型転移抑制の効果
が高かった(図3)。トウモロコシ由来MGDGの5重
量部添加でも、同様にV型からVI型への結晶型の転移
が見られたもののコントロール(無添加:図5)と比べ
るとその割合は小さかった(図6)。さらに、卵黄由来
DGの5重量部添加では、V型からVI型への結晶型の
転移の程度は、コントロール(無添加)と比べてあまり
変わらなかった(図7)。本実施例により、ココアバタ
ーにグリコシルジグリセリドを添加することにより、コ
コアバターのV型の結晶型からVI型の結晶型への転移
を抑制し得ることがわかった。
【0086】(実施例3)市販のビターチョコレート1
0gにカボチャ由来のジガラクトシルジグリセリド(D
GDG)250mg(ビターチョコレート100重量部
あたり、2.5重量部)を混合して、60℃でよく溶解
した後、30℃の恒温水槽中で放置した。次にSOSグ
リセリドのチョコシードA(不二製油製)を25mg加
えてよく攪拌した後、冷蔵庫(10℃)で冷却固化し
た。次いで冷却固化したグリセリド添加チョコレートを
20℃、5日エージングした後、20℃12時間と32
℃12時間の交互繰り返しを1サイクルとする条件下に
保存し、経時的にファットブルームの発生及びその程度
を観察した。無添加のビターチョコレートを、コントロ
ールとした。
【0087】測定結果を図8および図9に示す。
【0088】コントロール(無添加:図8)では、スタ
ート時にV型の結晶型のみであったものが、サイクル数
が進むに従ってVI型の結晶型への転移が見られ、その
割合も大きくなっていた。一方、DGDGの2.5重量
部添加(図9)では、同様にV型からVI型への結晶型
の転移が見られたものの、コントロール(無添加)と比
べるとその割合は小さかった。本実施例により、DGD
Gの添加により、チョコレート中でもココアバターのV
型の結晶型からVI型の結晶型への転移を抑制し得るこ
とがわかった。
【0089】(実施例4)かぼちゃピューレー(カゴメ
冷凍食品(株)製)20kgを凍結乾燥し、エタノール
90リットルを加え、一晩攪拌した。この溶液を遠心分
離後、上清に同量の水を加え、50%エタノール溶液で
平衡化したイオン交換樹脂(アンバーライトXAD−
7;オルガノ(株)製)に供した。十分に50%エタノ
ール溶液で洗浄して色素等を除去し、続いて75%エタ
ノール溶液で溶出した。各溶出画分をエバポレーターを
用いて濃縮してから、凍結乾燥することにより、ジガラ
クトシルジグリセリドを含むグリコシルジグリセリド分
画(ジガラクトシルジグリセリドを約40%含有)が得
られた。
【0090】次に、以下の原料組成よりなるチョコレー
ト生地を調製した: 原料組成(チョコレート配合) (g) カカオマス 33 粉糖 42 ココアバター 25 レシチン 0.5 このチョコレート生地100gに、上記で得られたグリ
コシルジグリセリド分画を6.25gまたは12.5g
(チョコレート生地100重量部あたり、ジガラクトシ
ルジグリセリドとして2.5重量部または5.0重量
部)混合して、60℃でよく溶解した後、ハンドテンパ
リングし、型に流し20℃で冷却固化した。
【0091】比較として既存のファットブルーム防止剤
であるBOBシード剤(不二製油(株)製)、POS−
135(三菱化学フーズ(株)製)についても同様の手
順で、チョコレート生地100gに対してそれぞれ、
2.5gまたは5.0gを添加して行なった。
【0092】次いで型抜きしたチョコレートを20℃、
5日エージングした後、20℃12時間および32℃1
2時間、または20℃12時間および35℃12時間の
交互繰り返しを1サイクルとする条件下に保存し、経時
的にファットブルームの発生及びその程度を観察した。
【0093】測定結果を以下の表6に示す。
【0094】
【表6】
【0095】コントロール(無添加)では、サイクル数
が進むに従ってファットブルームの発生が見られた。D
GDGの添加により、ファットブルームの発生は明らか
に抑制され、特に5.0重量部DGDG添加では、20
℃/32℃のサイクルでは、15サイクル後もファット
ブルームの発生は全く見られなかった。なおPOS−1
35添加では、冷却固化した時にモールド(型)から離
れにくくなり、5.0重量部POS−135添加では、
全く離れないためその後の測定を行うことができなかっ
た。
【0096】(実施例5)実施例4で用いたものと同じ
原料組成よりなるチョコレート生地100gに、実施例
4で得られたカボチャ由来のグリコシルジグリセリド分
画(ジガラクトシルジグリセリドを約40%含有)を
0.75、1.5、3.0、または6.0g(チョコレ
ート生地100重量部あたり、ジガラクトシルジグリセ
リドとして0.3、0.6、1.2、または2.4重量
部)を混合し、さらに、BOBシード剤(不二製油
(株)製))1.0gを混合して、60℃でよく溶解し
た後、ハンドテンパリングし、型に流し20℃で冷却固
化した。比較として、グリコシルジグリセリド分画およ
びBOBシード剤の代わりに、BOBを単独で、1.
3、1.6、2.25、または3.5g混合して、同様
にBOB添加チョコレートを得た。次いで型抜きしたチ
ョコレートを20℃、5日エージングした後、20℃1
2時間および32℃12時間、または20℃12時間お
よび35℃12時間の交互繰り返しを1サイクルとする
条件下に保存し、経時的にファットブルームの発生及び
その程度を観察した。
【0097】測定結果を以下の表7に示す。
【0098】
【表7】
【0099】コントロール(無添加)では、サイクル数
が進むに従ってファットブルームの発生が見られた。
1.0重量部BOB添加では、サイクル数が進むに従っ
て、コントロールに比べてファットブルームの発生は抑
えられていた。さらに、1.0重量部BOBに0.3〜
2.5重量部DGDGを添加した場合、同じ重量部のB
OBを単独で用いた場合に比較しても、ファットブルー
ムの発生はより効果的に抑えられていた。これは、DG
DGとBOBとを同時に用いることにより、ファットブ
ルーム防止効果に相乗効果が見られることを示唆する。
この効果は特に、32℃/20℃のサイクルで顕著であ
った。
【0100】(実施例6)下記の原料組成よりなるチョ
コレート生地を調製した: 原料組成(チョコレート配合) (g) カカオマス 35 粉糖 41 ココアバター 10 ハードバター 14 レシチン 0.5 このチョコレート生地100gに実施例4で得られたグ
リコシルジグリセリド分画を6.25gまたは12.5
g(チョコレート生地100重量部あたり、ジガラクト
シルジグリセリドとして2.5または5.0重量部)を
混合して、60℃でよく溶解した後、ハンドテンパリン
グした。小麦粉200部、砂糖15部、マーガリン15
部、食塩0.5部、水20部からなる配合で棒状のプレ
ッツェルを製造した。このプレッツェルに上記のチョコ
レート生地をエンローバーした後、20℃で冷却固化し
た。このサンプルを20℃で保存し、経時的にファット
ブルームの発生およびその程度を観察した。
【0101】コントロールとして、無添加のチョコレー
ト生地を、同様にプレッツェルにエンローバーし、ファ
ットブルームの発生およびその程度を観察した。
【0102】結果を以下の表8に示す。
【0103】
【表8】
【0104】コントロール(無添加)では、14日目に
は明らかなファットブルームの発生が見られた。一方、
2.5重量部および5.0重量部DGDG添加では、3
0日経過後もファットブルームの発生は見られなかっ
た。
【0105】(実施例7:グリコシルジグリセリドの精
製)実施例1の方法と同様にニンジンの根(乾燥重量1
00g)より既知の方法でモノガラクトシルジグリセリ
ドおよびジガラクトシルジグリセリドを抽出および精製
し、それぞれ、91mgおよび112mgを得た。それ
ぞれの純度は、HPLCでの測定により90%以上であ
った。
【0106】小麦粉(生重量100g)より同様に既知
の方法でモノガラクトシルジグリセリドを抽出および精
製し、102mgを得た。その純度は、HPLCでの測
定により90%以上であった。
【0107】得られたグリコシルジグリセリドの脂肪酸
組成を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。結果
を以下の表9および表10に示す。
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】ニンジンの根由来のグリコシルジグリセリ
ドはパルミチン酸、リノール酸が主要な構成脂肪酸であ
った。小麦粉由来のグリコシルジグリセリドはリノール
酸が最も多く、次いでパルミチン酸が主要な構成脂肪酸
であった。
【0111】(実施例8:パーム油精製工程中より排出
される廃白土からのグリコシルジグリセリドの精製)パ
ーム油廃白土500gにヘキサン1リットルを加え、攪
拌を行った。遠心分離後、沈殿物にアセトンを1リット
ル加え、攪拌抽出を行った。抽出液を分離後、エバポレ
ーターにて濃縮乾燥し、油脂状物質を16.7g得た。
得られた油脂状物質をクロロホルムに溶解し、シリカゲ
ルカラムを用いてクロロホルム、クロロホルム/アセト
ン(80:20)、クロロホルム/アセトン(60:4
0)の順に流して分画する。クロロホルム/アセトン
(60:40)画分を取り出し、エバポレーターで濃縮
乾燥し、モノガラクトシルジグリセリド4.0gを得
た。その純度は、HPLCでの測定により90%以上で
あった。
【0112】得られたモノグリコシルジグリセリドの脂
肪酸組成を、ガスクロマトグラフィーにより分析した。
結果を以下の表11に示す。
【0113】
【表11】
【0114】パーム油廃白土由来のグリコシルジグリセ
リドはリノレン酸が最も多く、次いでオレイン酸、リノ
ール酸、パルミチン酸が主要な構成脂肪酸であった。
【0115】(実施例9)ニンジンの根由来のモノガラ
クトシルジグリセリドおよびジガラクトシルジグリセリ
ド、および小麦粉由来のモノガラクトシルジグリセリド
について実施例2と同様の手順で行って、グリセリド添
加ココアバターを得た。
【0116】実施例2と同じ条件下で保存し、ココアバ
ターの安定結晶型の変化をDSC分析法によって測定し
た。
【0117】DSCによる測定結果を図10〜図12に
示す。
【0118】DSCにおける各ピーク面積を垂直分割し
た値を以下の表12に示す。
【0119】
【表12】
【0120】ニンジンの根に由来するMGDG(図1
0)およびDGDG(図11)の5重量部添加では、V
型からVI型への結晶型の転移が見られたもののコント
ロール(無添加:図5)と比べるとその割合は小さかっ
た。小麦粉由来MGDG(図12)の5重量部添加で
も、同様にV型からVI型への結晶型の転移が見られた
もののコントロール(無添加:図5)と比べるとその割
合は小さかった。
【0121】(実施例10)パーム油廃白土由来のモノ
ガラクトシルジグリセリドについて実施例2と同様の手
順で行って、グリセリド添加ココアバターを得た。
【0122】実施例2と同じ条件下で保存し、ココアバ
ターの安定結晶型の変化をDSC分析法によって測定し
た。
【0123】DSCによる測定結果を図13および図1
4に示す。
【0124】パーム油廃白土由来MGDG(図14)の
5重量部添加では、V型からVI型への結晶型の転移が
見られたものの、コントロール(無添加:図13)と比
べるとその割合は小さかった。
【0125】(実施例11)エビスカボチャの果実20
kgを凍結乾燥し、エタノール90リットルを加え、一
晩攪拌した。この溶液を遠心分離後、上清に同量の水を
加え、50%エタノール溶液で平衡化したイオン交換樹
脂(アンバーライトXAD−7;オルガノ(株)製)に
供した。50%エタノール溶液で十分に洗浄して色素等
を除去し、続いて75%エタノール溶液で溶出した。各
溶出画分をエバポレーターを用いて濃縮してから、凍結
乾燥することにより、モノガラクトシルジグリセリドお
よびジガラクトシルジグリセリドをそれぞれ24.2%
および15.4%含む糖脂質画分が得られた。
【0126】下記の原料組成よりなるチョコレート生地
を調製した。 原料組成 ブラックチョコレート(g) ミルクチョコレート(g) カカオマス 35 20 砂糖 45 42 ココアバター 10 10 ハードバター 10 15 全粉乳 − 13 このチョコレート生地それぞれ100gに、上記で得ら
れたモノガラクトシルジグリセリドおよびジガラクトシ
ルジグリセリドを含む糖脂質画分を0.4g、1.0g
または2.0g(チョコレート生地100重量部あた
り、モノガラクトシルジグリセリドおよびジガラクトシ
ルジグリセリドの合計として0.16重量部、0.4重
量部、0.8重量部)混合して、60℃でよく溶解した
後、ハンドテンパリングし、型に流し20℃で冷却固化
した。
【0127】比較として既存のチョコレート用乳化剤で
ある大豆レシチン(味の素(株)製)についても同様の
手順でチョコレート生地それぞれ100gに対して0.
4g、1.0gまたは2.0gを添加してダイズレシチ
ン添加チョコレートを得た。
【0128】次いで型抜きしたチョコレートを20℃、
5日間エージングした後、20℃12時間および30℃
12時間、20℃12時間および32℃12時間の交互
繰り返しを1サイクルとする条件下に保存し、経時的に
ファットブルームの発生及びその程度を観察した。無添
加のチョコレートを、コントロールとした。
【0129】観察結果を以下の表13および表14に示
す。
【0130】
【表13】
【0131】
【表14】
【0132】ブラックチョコレートおよびミルクチョコ
レートともにコントロール(無添加)および大豆レシチ
ン添加では、サイクル数が進むに従ってファットブルー
ムの発生が見られた。モノガラクトシルジグリセリドお
よびジガラクトシルジグリセリドを含む糖脂質画分の添
加により、ファットブルームの発生は明らかに抑制さ
れ、特に2.0重量部添加では、20℃/32℃のサイ
クルでは、ブラックチョコレートで20サイクル後、ミ
ルクチョコレートで25サイクル後もファットブルーム
の発生は全く見られなかった。
【0133】
【発明の効果】本発明のファットブルーム防止剤及びそ
れを配合してなるハードバターは、口溶け性や作業性を
損なうことなく、ファットブルームに対して著しい防止
効果を有し、チョコレート類の製造上極めて有用であ
る。
【0134】本発明によるファットブルーム防止剤の効
果は、チョコレート等のハードバター製品中の結晶を微
細化し不安定結晶の偏在・凝集・移行を抑制する作用に
よって得られると考えられる。また、チョコレート等の
保存時において高温また時間的温度変化により表面の融
解、更にチョコレート中の油脂結晶の一部が融解し表面
へ移行し表面で結晶化と融解を繰り返す場合には、油脂
の結晶成長、粗大結晶化を抑制する作用がさらに組み合
わさってファットブルーム防止効果が発揮されると考え
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コントロールのココアバターの示差走査熱量
測定チャートを示すグラフである。
【図2】 カボチャ由来のモノガラクトシルジグリセリ
ドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャート
を示すグラフである。
【図3】 カボチャ由来のジガラクトシルジグリセリド
を添加したココアバターの示差走査熱量測定チャートを
示すグラフである。
【図4】 カボチャ由来のトリガラクトシルジグリセリ
ドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャート
を示すグラフである。
【図5】 コントロールのココアバターの示差走査熱量
測定チャートを示すグラフである。
【図6】 トウモロコシ由来のモノガラクトシルジグリ
セリドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャ
ートを示すグラフである。
【図7】 卵黄由来のジグリセリドを添加したココアバ
ターの示差走査熱量測定チャートを示すグラフである。
【図8】 コントロールのチョコレートの示差走査熱量
測定チャートを示すグラフである。
【図9】 カボチャ由来のジガラクトシルジグリセリド
を添加したチョコレートの示差走査熱量測定チャートを
示すグラフである。
【図10】 ニンジン由来のモノガラクトシルジグリセ
リドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャー
トを示すグラフである。
【図11】 ニンジン由来のジガラクトシルジグリセリ
ドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャート
を示すグラフである。
【図12】 小麦粉由来のモノガラクトシルジグリセリ
ドを添加したココアバターの示差走査熱量測定チャート
を示すグラフである。
【図13】 コントロールのココアバターの示差走査熱
量測定チャートを示すグラフである。
【図14】 パーム油廃白土由来のモノガラクトシルジ
グリセリドを添加したココアバターの示差走査熱量測定
チャートを示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 中江 貴司 兵庫県三田市すずかけ台3−4−1−H 501 (72)発明者 滝井 寛 奈良県北葛城郡広陵町笠65−1 Fターム(参考) 4B014 GB01 GB04 GG14 GK12 GL07 4B026 DC02 DC03 DG01 DG02 DG04 DG05 DG06 DG08 DG09 DH10 DX02

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式で表されるグリコシルジグリセ
    リドを含有するファットブルーム防止剤であって、ここ
    でX1は、モノグリコシル基またはジグリコシル基を示
    し、R1およびR2は、脂肪酸の残基を示す、ファットブ
    ルーム防止剤: 【化1】
  2. 【請求項2】 前記グリコシルジグリセリドを、約30
    重量%以上含有する、請求項1に記載のファットブルー
    ム防止剤。
  3. 【請求項3】 前記X1が、ガラクトシル基またはジガ
    ラクトシル基である、請求項1に記載のファットブルー
    ム防止剤。
  4. 【請求項4】 前記R1およびR2が、独立して、炭素数
    が16〜18の脂肪酸の残基である、請求項1に記載の
    ファットブルーム防止剤。
  5. 【請求項5】 前記グリコシルジグリセリドが、植物ま
    たは微生物由来である、請求項1に記載のファットブル
    ーム防止剤。
  6. 【請求項6】 前記植物が、カボチャ、トウモロコシ、
    ニンジン、パンコムギ、ココヤシ、アブラヤシ、ダイ
    ズ、ナタネ、ゴマ、ワタ、オリーブ、ベニバナ、および
    ヒマワリからなる群より選択される、請求項5に記載の
    ファットブルーム防止剤。
  7. 【請求項7】 前記グリコシルジグリセリドが、カボチ
    ャの果実、トウモロコシの果実、ニンジンの根、または
    小麦粉から抽出される、請求項5に記載のファットブル
    ーム防止剤。
  8. 【請求項8】 前記グリコシルジグリセリドが、油糧植
    物の種子または果実から油脂を製造する工程で発生する
    副産物から抽出される、請求項5に記載のファットブル
    ーム防止剤。
  9. 【請求項9】 前記副産物が、パーム油またはコーン油
    を製造する工程で発生する副産物である、請求項8に記
    載のファットブルーム防止剤。
  10. 【請求項10】 前記副産物が、廃白土である、請求項
    8に記載のファットブルーム防止剤。
  11. 【請求項11】 炭素原子数18個〜22個の不飽和脂
    肪酸の残基と、それぞれ独立して炭素原子数20〜24
    個の飽和脂肪酸の残基とを有する2−不飽和−1,3−
    ジ飽和グリセリドをさらに含有する、請求項1〜10の
    いずれか1項に記載のファットブルーム防止剤。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のファットブルーム防止剤を含有するハードバター組成
    物であって、ハードバター100重量部に対して、前記
    グリコシルジグリセリドを約0.4重量部以上含有す
    る、ハードバター組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のファットブルーム防止剤を含有するチョコレート類で
    あって、チョコレート生地100重量部に対して、前記
    グリコシルジグリセリドを約0.1重量部以上含有す
    る、チョコレート類。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のチョコレート類を
    含む、チョコレート含有菓子。
  15. 【請求項15】 前記チョコレート類が、焼菓子の表面
    に被覆される、請求項14に記載のチョコレート含有菓
    子。
  16. 【請求項16】 前記焼菓子がプレッツェルである、請
    求項15に記載のチョコレート含有菓子。
  17. 【請求項17】 前記チョコレート類が、センタークリ
    ームおよび/またはナッツ類を含むチョコレートであ
    る、請求項14に記載のチョコレート含有菓子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100386338C (zh) * 2002-10-08 2008-05-07 吉林省中医中药研究院 附子苷及同系物,其制备方法和以该化合物为活性成分的药物组合物
JP2009247293A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Morinaga & Co Ltd チョコレートの食感劣化抑制剤及びチョコレートの食感劣化抑制方法
JP2010233514A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Uha Mikakuto Co Ltd センター入り油脂性菓子とその製造方法
JP2012000039A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Adeka Corp 常温ブルーム防止剤

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