JP2001026996A - 免震建物の壁耐火構造 - Google Patents

免震建物の壁耐火構造

Info

Publication number
JP2001026996A
JP2001026996A JP11200911A JP20091199A JP2001026996A JP 2001026996 A JP2001026996 A JP 2001026996A JP 11200911 A JP11200911 A JP 11200911A JP 20091199 A JP20091199 A JP 20091199A JP 2001026996 A JP2001026996 A JP 2001026996A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wall
frame
upper frame
zone
fixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11200911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4097849B2 (ja
Inventor
Sadaji Imai
貞二 今井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Aluminium Co Ltd
Original Assignee
Nippon Aluminium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Aluminium Co Ltd filed Critical Nippon Aluminium Co Ltd
Priority to JP20091199A priority Critical patent/JP4097849B2/ja
Publication of JP2001026996A publication Critical patent/JP2001026996A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4097849B2 publication Critical patent/JP4097849B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐火帯の取付けが容易であり、上層躯体およ
び下層躯体間の大きな相対的変位を許容して空隙を確実
に塞ぐことができる免震建物の伸縮耐火構造を提供す
る。 【解決手段】 上層躯体6と下層躯体7との間に免震装
置5が介在され、上層躯体6の壁12と下層躯体7の壁
13との間の空隙14に、上層躯体6および下層躯体7
間の相対的変位を許容し、かつ前記空隙14を塞ぐ伸縮
自在な長尺の耐火帯1が設けられる免震建物の伸縮耐火
構造において、前記耐火帯1には、その長手方向に間隔
をあけて断面が凹状の金属から成る保持具2が摺動部分
39を突出させて固着され、この保持具2の両側部に
は、一対の取付部材3a,3bが連結され、各取付部材
3a,3bは、前記取付位置に配置された状態で、上層
躯体6の壁12に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水平に分断された
建物の上層躯体と下層躯体との間に免震装置が介在され
る免震建物の壁耐火構造に関する。
【0002】
【従来の技術】既設の建物に耐震構造を導入するため
に、その建物を水平に切り離して上層躯体と下層躯体と
に分断し、これらの上層躯体および下層躯体の上下に分
断された各柱間に、薄板状のゴム板と金属板とを交互に
積重した免震装置が設けられ、建物の固有震度数を小さ
くして、地震時における建物の振動を減衰させて安全性
を向上する免震構造の建物が周知である。
【0003】このような免震建物においては、前記上層
躯体と下層躯体との各柱間に介在される免震装置を外囲
する壁および梁などの躯体の一部は、前記柱とともに水
平方向に分断され、上下に空隙をあけて離間している。
このような空隙には、前記免震装置に柱と同様な耐火性
能を持たせる必要があるため、この免震装置の外側を包
囲する上層躯体の壁と下層躯体の壁との間には、セラミ
ックフエルトおよびロックウールフエルトなどのフラッ
フ状耐火繊維をステンレスなどの金属薄膜によって外包
した耐火帯が介在されている。この耐火帯は、地震また
は地盤沈下などによって上層躯体と下層躯体との間の相
対的変位を許容するために、上下両端部間の中間部を凹
凸状に弛ませた状態で、上下両端部が免震装置を外囲す
る上層躯体の柱および下層躯体の柱の各対向周縁部に、
金属製の固定リングまたは係止ピンなどを用いて固定さ
れている。
【0004】このような構成によって、上層躯体と下層
躯体との相対的な変位を許容し、かつ免震装置が設置さ
れる耐火帯よりも内側の空間に外部から炎が侵入するこ
とを防ぎ、所定の耐火性能を達成することができるよう
に構成されており、類似の従来の技術は、たとえば特開
平9−268670号公報および特開平10−2992
85号公報に示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、耐火帯はその上下両端部間の中間部を弛ませた状
態で上下の柱にその耐火帯が固定されているため、上層
躯体および下層躯体間の相対的変位が前記耐火帯の弛み
量を超えると、その耐火帯は容易に破断してしまい、所
定の耐火性能を達成することができなくなってしまう。
またこの耐火帯は柔軟なマット状であるため、上下の各
柱に金属製の固定リングまたは係止ピンなどによって取
付けられる際に前記耐火帯を取付位置に手で保持しなけ
ればならず、この固定作業に手間を要し、取付け時の作
業性が悪いという問題がある。
【0006】本発明の目的は、耐火帯の取付けが容易で
あり、上層躯体および下層躯体間の大きな相対的変位を
許容して空隙を確実に塞ぎ、信頼性の高い耐火性能を達
成することができる免震建物の壁耐火構造を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、水平に分断さ
れた建物の上層躯体と下層躯体との間に免震装置が介在
される免震建物において、上層躯体の壁には、ヒンジ部
分を有する縁材が固定され、この縁材には、前記ヒンジ
部分によって回動自在に保持され、かつ下端部が下層駆
体の壁に近接する方向にばね付勢されたカバープレート
を設けて、上層躯体の壁と下層躯体の壁との間の空隙を
覆い、前記空隙内には、上層躯体および下層躯体間の相
対的変位を許容し、かつ前記空隙を塞ぐ厚み方向に伸縮
自在な長尺の耐火帯が設けられ、前記耐火帯には、その
長手方向に間隔をあけて断面が凹状の金属から成る保持
具が、下層躯体の壁または上層躯体の壁に臨む耐火帯の
摺動部分を突出させるようにして固着され、この保持具
には、金属から成る取付部材が連結され、この取付部材
は、耐火帯を前記摺動部分を下層躯体の壁または上層躯
体の壁に接触させた状態で、上層躯体の壁または下層躯
体の壁に固定されることを特徴とする免震建物の壁耐火
構造である。
【0008】本発明に従えば、免震建物において、上層
躯体の壁に縁材が固定され、縁材にはカバープレートが
ヒンジ部分によって回動自在に保持され、このカバープ
レートはその下端部が下層躯体の壁に近接する方向にば
ね付勢される。また上層躯体と下層躯体との間には伸縮
自在な長尺の耐火帯が設けられ、この耐火帯によって上
層躯体および下層躯体間の相対的変位を許容し得るよう
にして、上層躯体および下層躯体の各壁間の空隙が塞が
れる。このような耐火帯には、断面形状が凹状の金属、
たとえば鋼鉄製の保持具が前記摺動部分を突出させた状
態で固定されており、この保持具には金属から成る取付
部材が連結される。
【0009】このような構成において、耐火帯を上層躯
体および下層躯体の各壁間の空隙に装着するにあたっ
て、耐火帯の摺動部分を下層躯体の壁または上層躯体の
壁に接触させた状態で、取付部材を前記摺動部分が接触
する一方の壁とは反対側の上層躯体の壁または下層躯体
の壁に固定する。
【0010】このように上層駆体には空隙に沿って縁材
を固定し、この縁材のヒンジ部分によって回動自在に保
持されるカバープレートを設けて、前記耐火帯が覆われ
るので、耐火帯を保護して損傷を防ぎ、より一層確実に
炎の侵入を防ぐことができる。また耐火帯を空隙に設け
ることによって、上記のように上層躯体の壁または下層
躯体の壁に固定された状態において、この固定される側
の躯体の壁とは反対側の躯体の壁に対して、地震または
地盤沈下などによって上層躯体と下層躯体とが相対的に
変位しても、耐火帯の形状が大きく変形して対向する躯
体の壁面に対して隙間が生じることなく、確実に空隙を
塞いだ状態で、各躯体間の相対的変位を許容することが
できる。
【0011】また上記のとおり耐火帯は、上層躯体の壁
または下層躯体の壁のいずれか一方に固定されるので、
いずれか他方に対する干渉を回避することができ、これ
によって上層躯体および下層躯体間の大きな変位を許容
することができる。しかも前記保持具および取付部材
は、金属、たとえば鋼鉄から成るので、火災発生時の高
熱によって変形し、または熱溶融して流れ落ちてしまう
という不具合を確実に防ぎ、信頼性の高い耐火構造を実
現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の免
震建物の壁耐火構造を示す鉛直断面図であり、図2は図
1に示される耐火帯1、保持具2および各取付部材3
a,3bを示す分解斜視図であり、図3は図1および図
2に示される伸縮耐火構造が実施される隔壁4およびこ
の隔壁4によって外囲される免震装置5付近の水平断面
図である。なお、図1は、図3の切断面線III−II
Iから見た拡大断面を示す。
【0013】既設建物を免震構造とするため、その建物
は水平方向に分断して上層躯体6と下層躯体7とに分断
され、これらの上層躯体6と下層躯体7との間、したが
って上層躯体6の柱8と下層躯体7の柱9との間には、
免震装置5が介在される。この免震装置5は、薄板状の
偏平なゴム板と金属板とが交互に積重される振動吸収部
を有する大略的に直円柱状の構造体であり、地震発生時
の下層躯体7から上層躯体6に伝わる振動を減衰し、建
物全体の固有振動数を減少させることができるように構
成されている。
【0014】このような免震装置5および各柱8,9を
外囲するようにして、全周に各柱8,9から外側にたと
えば500mm程度の間隔ΔL1をあけて、前記免震装
置5を火炎等から保護するために、隔壁4が設けられ
る。この隔壁4は、複数のプレキャストコンクリートパ
ネル(略称「PCパネル」ともいう)11から成る。
【0015】このような隔壁4は、前述したように、免
震構造とするために、上層躯体6に連なる上壁部12と
下層躯体7に連なる下壁部13とに分離され、これらの
上壁部12および下壁部13間には空隙14が介在され
る。上壁部12の下方に臨む下面15は、はつりによっ
て粗面状とされ、下壁部13の上方に臨む上面16は、
耐火帯1を摺動可能とするため、水平な平坦面状に形成
されている。このような下面15および上面16間に
は、前記空隙14が介在する。
【0016】この空隙14内には、前記耐火帯1が配置
される。この耐火帯1は、セラミックファイバから成る
耐火材21を、ステンレス鋼の箔膜から成る外包シート
22によって梱包され、水平方向に長い矩形断面を有す
る長尺材であり、図3の隔壁4の空隙14内に周方向全
周にわたって設けられる。このような耐火帯1の上部に
は、長手方向に垂直な断面形状が凹状の金属から成る保
持具2が接着剤によって固着される。
【0017】この保持具2は、幅Bが30〜60mm程
度の短尺材であり、耐火帯1の長手方向にたとえば30
0mm程度の間隔をあけて固着され、耐火帯1の上面を
覆う上カバー部24と、上カバー部24の幅方向、すな
わち図1の左右方向の両端部から下方に直角に屈曲して
連なる一対のフランジ部25a,25bとを有する。各
フランジ部25a,25bには、ボルト26の軸部が挿
通するボルト挿通孔27a,27bがそれぞれ形成され
る。このような保持具2は、金属であるたとえば鋼鉄か
ら成り、下層躯体7の下壁部13に臨む断面全体の約1
/3の領域を占める摺動部分39を下方に突出させて伸
縮自在な状態で、残余の約2/3の領域に固着されて保
持している。
【0018】保持具2の各フランジ部25a,25bの
両側方には、一対の平板状の取付部材3a,3bが設け
られる。各取付部材3a,3bは、金属から成り、この
金属としては鋼鉄が用いられる。各取付部材3a,3b
の長手方向一端部寄りには、長手方向に延びる案内長孔
29a,29bが形成される。また各取付部材3a,3
bの長手方向他端部寄りには、円形のボルト挿通孔30
a,30bがそれぞれ形成される。
【0019】前記ボルト26は、一方の取付部材3aの
案内長孔29aを挿通し、さらに保持具2の一方のフラ
ンジ部25aのボルト挿通孔27aを挿通し、さらに耐
火帯1を幅方向一端部から他端部に挿通した後、保持具
2の他方のフランジ部25bのボルト挿通孔27b、お
よび他方の取付部材3bの案内長孔29bを挿通して突
出し、この突出部分には座金31が装着されてナット3
2が螺着され、こうして保持具2が固着された耐火帯1
に各取付部材3a,3bが前記耐火帯1の長手方向に沿
う退避位置と、この退避位置に対してほぼ直角に起立し
た取付位置とにわたって角変位自在に連結される。
【0020】このように各取付部材3a,3bおよび保
持具2が取付けられた耐火帯1を前記空隙14に装着す
るにあたっては、上層躯体6の上壁部12に、柱8に臨
む内面33およびその裏側の外面34から端面が露出す
るようにして、アンカー体35a,35bが上壁部12
に予め埋設され、各取付部材3a,3bを退避位置に配
置した状態、すなわち耐火帯1の上面から突出しないよ
うに横向きにして、耐火帯1を保持具2および各取付部
材3a,3bとともに空隙14内に配置する。この状態
では、耐火帯1の下面が下壁部13の上面16上に乗載
され、面接触している。次に、各取付部材3a,3bを
取付位置に起立させ、アンカーボルト36a,36bを
後述する縁材41の頭部嵌合孔50および各ボルト挿通
孔30a,30bに挿通して、各アンカー体35a,3
5bに螺着する。
【0021】このようにして、耐火帯1が縁材41とと
もに上壁部12に固定された後、耐火帯1と上壁部12
の下面15との間の空間および保持具2の上カバー部2
4と上壁部12の下面15との間の空間に、セラミック
フェルトまたはロックウールフェルトから成る耐火性シ
ール材37を充填して隙間を塞ぎ、こうして空隙14が
耐火構造を成して塞がれる。
【0022】この状態で、上層躯体6および下層躯体7
が図1の上下方向に相対的に近接/離反する方向に変位
しても、耐火帯1は伸縮性を有するため、摺動部分39
が伸縮して前記上下の変位を許容し、常に下壁部13の
上面16に弾発的に押当てた状態を維持することができ
る。
【0023】また上層躯体6および下層躯体7が図1の
紙面に垂直な前後方向に相対的な変位を生じても、耐火
帯1は、前述したように平坦状に加工された下壁部13
の上面16上を摺動して、空隙14を塞いだ状態で、各
躯体6,7の相対的な前後方向の変位を許容することが
できる。
【0024】さらに上層躯体6および下層躯体7が図1
の左右方向に相対的にずれる方向の変位を生じても、前
後方向と同様に、耐火帯1は下壁部13の上面16上を
図1の左右方向に摺動して、空隙14を塞いだ状態に維
持して、各躯体6,7の左右方向の変位を許容すること
ができる。
【0025】図4は、縁材41、カバープレート56お
よび水返しカバー体73の取付状態を示す部分的に切欠
いた一部の斜視図である。図1〜図3をも参照して、上
記の各取付部材3a,3bのうち、外部側、すなわち図
1の左側に配置される取付部材3aには、図1の紙面に
垂直な長手方向に延びる長尺の縁材41が前記ボルト2
6によって固定される。
【0026】この縁材41は、前記ボルト26の軸部が
挿通するボルト挿通孔42が図1の紙面に垂直な長手方
向に間隔をあけて形成される偏平な基板43と、基板4
3の図1における上端部から外部側、すなわち図1の左
側に突出する位置決め突部44と、基板43の図1の上
下方向である幅方向両端部間の中間部から外部側に突出
する大略的にL字状の支持部45と、基板43の下端部
から外部側に突出し、図1に示される取付け状態におい
て下壁部13の上面16から上方に間隔をあけて配置さ
れる水返し片46と、水返し片46の遊端部および基端
部間の中間部から上方に突出して一体的に形成されるば
ね係止片47とを有する。
【0027】基板43の前記位置決め突部44が形成さ
れる上端部近傍には、ビス48が螺合するねじ孔49が
形成される。このねじ孔49の下方には、図1の紙面に
垂直な長手方向に前記アンカー体35aと同一の間隔を
あけてアンカーボルト36aの頭部が嵌まり込む頭部嵌
合孔50が形成される。前記アンカーボルト36aは、
本実施の形態において皿ねじボルトによって実現され、
前記頭部嵌合孔50にこのアンカーボルト36aの頭部
が嵌まり込んだ状態で、基板43と同一面内に埋没し、
基板43から突出しないように構成されている。
【0028】前記支持部45は、基板43から外部側、
すなわち図1の左側になるにつれて下方に傾斜する張出
し部分51と、張出し部分51の遊端部から上方に屈曲
して立上る立上り部分52と、立上り部分52の上端部
から基板43側に突出する大略的に半円柱状のヒンジ部
分53とを有する。このヒンジ部分53の外周面は、直
円筒面の一部を成す。またこのヒンジ部分53には、そ
の長手方向に間隔をあけてノックピン54が嵌着される
複数のピン孔55が形成される。各ピン孔55に前記ノ
ックピン54が嵌着された状態では、各ノックピン54
の上端部はヒンジ部分53の外周面から上方に僅かに突
出している。
【0029】このようなヒンジ部分53には、カバープ
レート56の基端部57が回動自在に嵌着されて保持さ
れる。基端部57は、直円筒状の一部を成す内周面を有
し、ヒンジ部分53の中心軸線62を回動中心として矢
符A1,A2方向に角変位することができる。
【0030】前記カバープレート56の遊端部63に
は、下壁部13に臨んで突出する大略的にC字状断面を
有する嵌合溝部64が一体的に形成され、この嵌合溝部
64には可撓性および弾発性を有する材料、たとえばク
ロロプレーンゴムから成るパッキン65が嵌着される。
このパッキン65は、カバープレート56が図1に示さ
れるように上壁部12および下壁部13とほぼ平行に垂
下した状態において、下壁部13の外面66に弾発的に
当接している。
【0031】カバープレート56の前記基端部57には
また、ノックピン54の頭部が嵌まり込む長孔67が形
成される。この長孔67は、カバープレート56が矢符
A1,A2方向の角変位を許容し、図1の紙面に垂直な
長手方向の変位を阻止し、各躯体6,7間の図1の紙面
に垂直な前後方向への相対的変位が生じたときに、縁材
41、したがってこの縁材41が取付けられている上層
躯体6に追従して変位し、また各躯体6,7が図1の左
右方向に相対的に変位を生じたときに矢符A1,A2方
向に角変位して、この左右方向の変位を許容することが
できる。したがって図1の紙面に垂直な前後方向および
左右方向の変位が合成された斜め方向の変位を生じた場
合であっても、前後方向に縁材41に対してずれを生じ
ることなしに矢符A1,A2方向に角変位して、確実に
かつ円滑に各躯体6,7間の水平方向の変位を許容する
ことができる。
【0032】このようなカバープレート56は、常に前
記耐火帯1が配置される空隙14を外側から塞いだ状態
に維持するために、振止め防止用ばね68によって、下
端部63が下壁部13に近接する方向、すなわち矢符A
2方向にばね付勢されている。この振止め防止用ばね6
8の一端部は、カバープレート56の基端部57寄りの
内面に設けられるばね係止片69に係止され、他端部は
前記縁材41に設けられるばね係止片47に係止されて
いる。上記のようなカバープレート56は、図1の紙面
に垂直な長手方向にジョイナとも呼ばれる連結板70に
よって長手方向に連結されている。
【0033】前記縁材41の上部には、水切カバー体7
3が前記ビス48によって固定される。この水切カバー
体73は、前記縁材41の上部に面接触し、位置決め突
部44によって縁材41の上縁部と平行に位置決めさ
れ、ビス48の軸部が挿通するビス孔74が長手方向に
間隔をあけて形成される取付部分75と、取付部分75
の下端部から外部側、すなわち図1の左側に屈曲してつ
ながるカバー部分76と、カバー部分76の先端部から
下方に屈曲して連なる屈曲部分77と、カバー部分76
の下面から下方に突出し、ヒンジ部分53に嵌着された
カバープレート56の基端部57を上方から弾発的に押
圧する一対の突条部分78a,78bとを有する。
【0034】これらの突条78a,78bによってカバ
ープレート56の基端部57が上方から、換言すればヒ
ンジ部分53に向けて弾発的に押圧されるので、各躯体
6,7の上下方向、左右方向および前後方向に急激に相
対的変位を生じても、ヒンジ部分53から外れてしまう
ことを防ぐことができる。このような水切カバー体73
は、アルミニウム合金から成る押出形材である。前記カ
バープレート56もまた、アルミニウム合金から成る押
出形材である。これらのカバープレート56も水切カバ
ー体73は、図3に示されるように、上壁部12に周方
向全周にわたって設けられている。
【0035】このようなカバープレート56によって、
火災時に炎が直接に耐火帯に接する前に予備的に炎の侵
入を防ぐことができ、かつ耐火帯1自体を保護し、耐火
帯1が焼け落ちた部材の破片などによって損傷を受ける
ことを防ぎ、確実な耐火性能を達成することができる。
【0036】以上のような構成によれば、免震建物にお
いて、上層躯体6と下層躯体7との間には伸縮自在な長
尺の耐火帯1が設けられ、この耐火帯1によって上層躯
体6および下層躯体7間の相対的変位を許容し得るよう
にして、上層躯体6および下層躯体7の各壁12,13
間の空隙14が塞がれる。このような耐火帯1は、上記
のように上層躯体6の壁12に固定された状態におい
て、この固定される側の躯体の壁とは反対側の躯体7の
壁13に対して、地震または地盤沈下などによって相対
的に変位しても、形状が大きく変形して隙間が生じるこ
となく、確実な耐火性能を維持することができる。
【0037】また上記のとおり耐火帯1は、上層躯体6
の壁12に固定されるので、いずれか他方12に対して
いわば無制限に変位することができ、これによって上層
躯体6および下層躯体7間の大きな変位を許容すること
ができる。しかも前記保持具2および各取付部材3a,
3bは、耐火性の高い金属、たとえば鋼鉄から成るの
で、火災発生時の高熱によって変形し、または熱溶融し
て流れ落ちてしまうという不具合を確実に防ぎ、信頼性
の高い耐火構造を実現することができる。
【0038】図5は、本発明の実施の他の形態の免震建
物の伸縮耐火構造を示す分解斜視図である。本実施の形
態においては、前記ボルト26、座金31およびナット
32に代えて、差込み固定金具81が用いられる。この
差込み固定金具81は、耐火性の高い金属である鋼鉄か
ら成り、耐火帯1に幅方向に貫通して差込まれる薄板状
の差込み部分82と、差込み部分82の長手方向一端部
にほぼ直角に屈曲して連なる折曲げ部分83と、差込み
部分82の長手方向他端部に一体的に形成される先細状
の穿刺部分84とを有する。
【0039】各取付部材3a,3bには、前記案内長孔
29a,29bに代えて差込み固定金具81の差込み部
分82の長手方向に垂直な断面よりもやや大きい内控断
面を有する横長の挿入孔85a,85bが形成される。
折曲げ部分83は、一方の取付部材3aの挿入孔85a
を挿入して取付部材3aの表面86に接触させた状態
で、その周縁部が表面86に溶接され、こうして差込み
固定金具81を予め一方の取付部材3aに固定してお
き、前述の実施の形態と同様に、保持具2の一方のボル
ト挿通孔27a、外包シート22、耐火材21、他方の
ボルト挿通孔27b、および他方の取付部材3bの挿入
孔85bを挿通して前記穿刺部分84を他方の取付部材
3bから突出させ、仮想線87に示されるように前記穿
刺部分84を上方にほぼ直角に折曲げる。このようにし
て保持具2が固着された耐火帯に、各取付部材3a,3
bを連結することができる。
【0040】この場合には、差込み固定金具81の前記
折曲げ部分83が一方の取付部材3aから突出するた
め、この一方の取付部材3aに接触して設けられる前記
縁材41の基板43に前記折曲げ部分83が嵌まり込む
ことができる孔または切欠きを形成することによって、
基板43を一方の取付部材3aにほぼ全面にわたって接
触させ、安定に前記アンカーボルト36aによって上壁
部12に固定することができる。なお、前述の実施の形
態と対応する部分には同一の参照符を付し、重複を避け
て説明は省略する。
【0041】本発明の実施のさらに他の形態として、上
記の図1〜図4に示される実施の各形態では、上下に空
隙14を挟んで隣接する建物内の隔壁4の上壁部12と
下壁部13との間に実施される伸縮耐火構造について述
べたけれども、前記隔壁4に代えてその他の壁、たとえ
ば建物の外壁および内壁の壁に形成された空隙を塞ぐた
めにも、本発明を好適に実施することができる。
【0042】以上の実施の各形態では、耐火帯1は保持
具2とともに各取付部材3a,3bによって上層躯体6
の上壁部12に設ける構成について説明したけれども、
本発明の実施のさらに他の形態として、下壁部13に設
けるようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、免震建物
において、上層躯体の壁に縁材が固定され、縁材にはカ
バープレートがヒンジ部分によって回動自在に保持さ
れ、このカバープレートはその下端部が下層躯体の壁に
近接する方向にばね付勢される。また上層躯体と下層躯
体との間には伸縮自在な長尺の耐火帯が設けられ、この
耐火帯によって上層躯体および下層躯体間の相対的変位
を許容し得るようにして、上層躯体および下層躯体の各
壁間の空隙が塞がれる。このような耐火帯には、断面形
状が凹状の金属、たとえば鋼鉄製の保持具が前記摺動部
分を突出させた状態で固定されており、この保持具には
金属から成る取付部材が連結される。
【0044】このような構成において、耐火帯を上層躯
体および下層躯体の各壁間の空隙に装着するにあたっ
て、耐火帯の摺動部分を下層躯体の壁または上層躯体の
壁に接触させた状態で、取付部材を前記摺動部分が接触
する一方の壁とは反対側の上層躯体の壁または下層躯体
の壁に固定する。
【0045】このように上層駆体には空隙に沿って縁材
を固定し、この縁材のヒンジ部分によって回動自在に保
持されるカバープレートを設けて、前記耐火帯が覆われ
るので、耐火帯を保護して損傷を防ぎ、より一層確実に
炎の侵入を防ぐことができる。また耐火帯を空隙に設け
ることによって、上記のように上層躯体の壁または下層
躯体の壁に固定された状態において、この固定される側
の躯体の壁とは反対側の躯体の壁に対して、地震または
地盤沈下などによって上層躯体と下層躯体とが相対的に
変位しても、耐火帯の形状が大きく変形して対向する躯
体の壁面に対して隙間が生じることなく、確実に空隙を
塞いだ状態で、各躯体間の相対的変位を許容することが
できる。
【0046】また上記のとおり耐火帯は、上層躯体の壁
または下層躯体の壁のいずれか一方に固定されるので、
いずれか他方に対する干渉を回避することができ、これ
によって上層躯体および下層躯体間の大きな変位を許容
することができる。しかも前記保持具および取付部材
は、金属、たとえば鋼鉄から成るので、火災発生時の高
熱によって変形し、または熱溶融して流れ落ちてしまう
という不具合を確実に防ぎ、信頼性の高い耐火構造を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の免震建物の伸縮耐火構
造を示す鉛直断面図である。
【図2】図1に示される耐火帯1、保持具2および各取
付部材3a,3bを示す分解斜視図である。
【図3】図1および図2に示される伸縮耐火構造が実施
される隔壁4およびこの隔壁によって外囲される免震装
置5付近の水平断面図である。
【図4】縁材41、カバープレート56および水切カバ
ー体73の取付状態を示す部分的に切欠いた一部の斜視
図である。
【図5】本発明の実施の他の形態の免震建物の伸縮耐火
構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 耐火帯 2 保持具 3a,3b 取付部材 4 隔壁 5 免震装置 6 上層躯体 7 下層躯体 8,9 柱 12 上壁部 13 下壁部 14 空隙 15 下面 16 上面 21 耐火材 22 外包シート 26 ボルト 41 縁材 53 ヒンジ部分 56 カバープレート 63 下端部 68 振止め防止用ばね 73 水切カバー体 81 差込み固定金具

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平に分断された建物の上層躯体と下層
    躯体との間に免震装置が介在される免震建物において、 上層躯体の壁には、ヒンジ部分を有する縁材が固定さ
    れ、この縁材には、前記ヒンジ部分によって回動自在に
    保持され、かつ下端部が下層駆体の壁に近接する方向に
    ばね付勢されたカバープレートを設けて、上層躯体の壁
    と下層躯体の壁との間の空隙を覆い、 前記空隙内には、上層躯体および下層躯体間の相対的変
    位を許容し、かつ前記空隙を塞ぐ厚み方向に伸縮自在な
    長尺の耐火帯が設けられ、 前記耐火帯には、その長手方向に間隔をあけて断面が凹
    状の金属から成る保持具が、下層躯体の壁または上層躯
    体の壁に臨む耐火帯の摺動部分を突出させるようにして
    固着され、 この保持具には、金属から成る取付部材が連結され、こ
    の取付部材は、耐火帯を前記摺動部分を下層躯体の壁ま
    たは上層躯体の壁に接触させた状態で、上層躯体の壁ま
    たは下層躯体の壁に固定されることを特徴とする免震建
    物の壁耐火構造。
JP20091199A 1999-07-14 1999-07-14 免震建物の壁耐火構造 Expired - Lifetime JP4097849B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20091199A JP4097849B2 (ja) 1999-07-14 1999-07-14 免震建物の壁耐火構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20091199A JP4097849B2 (ja) 1999-07-14 1999-07-14 免震建物の壁耐火構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001026996A true JP2001026996A (ja) 2001-01-30
JP4097849B2 JP4097849B2 (ja) 2008-06-11

Family

ID=16432331

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20091199A Expired - Lifetime JP4097849B2 (ja) 1999-07-14 1999-07-14 免震建物の壁耐火構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4097849B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012117294A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 Fujita Corp 免震耐火目地ユニット
CN106400995A (zh) * 2016-11-25 2017-02-15 李景海 一种防火封堵器
CN109653467A (zh) * 2019-02-21 2019-04-19 浙江新概念装饰设计工程有限公司 一种可拼装的装修墙板
CN113006577A (zh) * 2021-03-05 2021-06-22 重庆中昆新材料科技有限公司 一种绿色一体式装配全铝建筑墙板

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012117294A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 Fujita Corp 免震耐火目地ユニット
CN106400995A (zh) * 2016-11-25 2017-02-15 李景海 一种防火封堵器
CN106400995B (zh) * 2016-11-25 2018-08-21 吉林恒安电子机械有限公司 一种防火封堵器
CN109653467A (zh) * 2019-02-21 2019-04-19 浙江新概念装饰设计工程有限公司 一种可拼装的装修墙板
CN113006577A (zh) * 2021-03-05 2021-06-22 重庆中昆新材料科技有限公司 一种绿色一体式装配全铝建筑墙板

Also Published As

Publication number Publication date
JP4097849B2 (ja) 2008-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210230869A1 (en) Thermal and acoustic insulating and sealing system for a safing slot in a curtain wall
JP5757011B2 (ja) 窓部連結構造
JP6339348B2 (ja) 改装サッシ
US11486137B2 (en) Thermal and acoustic insulating and sealing system for a safing slot in a curtain wall
JP2001026996A (ja) 免震建物の壁耐火構造
US10619766B2 (en) Line feedthrough for feeding lines through a component
JP2015132160A (ja) 窓部連結構造の施工方法
JPH0867486A (ja) エレベータドア
JP7369812B2 (ja) 防火パネル
KR102280637B1 (ko) 내진성능을 갖는 오픈조인트패널 난연조립체
JP2005325611A (ja) 建造部の接続構造
JP2005351085A (ja) 間仕切壁構造およびそれに用いるランナー
JP2007181256A (ja) バスダクト支持構造
KR102520870B1 (ko) 수평하지틀 생략이 가능한 무용접 방식의 오픈조인트패널 조립체
JP2018184731A (ja) 配管貫通壁の施工方法及びそれに用いる配管用枠部材
JP6980577B2 (ja) 固定部材及びこれを用いた建具
JP6585021B2 (ja) 止水構造
KR20180048165A (ko) 스틸커튼월용 유리패널모듈의 수평고정장치
JP2000002014A (ja) 耐火性制震壁
JP2017048537A (ja) ドア及び建具
JP3720256B2 (ja) 免震ビル等の目地装置
KR100472701B1 (ko) 천정 점검구
JP6368203B2 (ja) 屋根用伸縮継手装置
JP2020158955A (ja) バルコニー設置構造
KR200291249Y1 (ko) 천정 점검구

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060714

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080311

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5