JP2001026793A - 電気レオロジー流体用複合粒子および電気レオロジー流体 - Google Patents

電気レオロジー流体用複合粒子および電気レオロジー流体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間の静置を受けても、複合粒子が分散媒
中に沈澱することなく、安定した電気レオロジー効果お
よび良好な保存安定性が維持される電気レオロジー流体
用複合粒子および電気レオロジー流体を得る。 【解決手段】 電気絶縁性媒体中に分散されて電気レオ
ロジー流体を構成する電気レオロジー流体用複合粒子と
して、有機高分子化合物からなる芯体11と、この芯体
11を被覆する電気半導体性無機物粒子13,13から
なる表層12とからなり、この表層12には親和性表面
処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が高められて
いるものを用い、これを電気レオロジー流体に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ、ダンパ
ー、ショックアブソーバー、バルブ、アクチュエータ、
バイブレーター、プリンターまたは振動素子等の機器の
動力伝達用または制動用等に使用することができる電気
レオロジー流体、およびその構成成分として有用な電気
レオロジー流体用複合粒子に関するものであり、特に複
合粒子の分散媒中での沈降を防止するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気レオロジー流体(以下、
「ER流体」という)と呼ばれる組成物は知られてい
る。この組成物は、例えば電気絶縁性の媒体中に固体粒
子を分散させて得られる流体であり、これに外部電界を
加えると、その粘度が著しく増大し、場合によっては固
化する性質を持つ、いわゆる電気レオロジー効果(以
下、「ER効果」という)を有する流体組成物である。
【0003】このようなER効果はウインズロー効果と
も呼ばれ、電極間に生ずる電場の作用によって組成物中
に分散している固体粒子が分極し、さらにこの分極に基
づく静電引力によって互いに電場方向に配位連結して外
部剪断流動に抵抗する結果発現するものとされている。
ER流体は前記のようなER効果を有するために、クラ
ッチ、ダンパー、ショックアブソーバー、バルブ、プリ
ンター、アクチュエータ、バイブレーター、振動素子等
のような電気制御による機器の動力伝達用または制動用
等としての応用が期待されている。
【0004】このようなER流体として、有機高分子化
合物からなる芯体と、特定の電気伝導度を有する電気半
導体性無機物粒子によって形成された表層とからなる無
機・有機複合粒子を、電気絶縁性媒体中に分散せしめて
なるER流体が提案されている(特開平7−26284
号公報)。このER流体における無機・有機複合粒子
は、芯体表面に電気半導体性無機物が個々に独立した粒
子の形状で表層を形成しているので、電気伝導度の大き
い電気半導体性無機物を用いた場合であっても過電流の
流れる心配がなく、また、ER効果を発現させるための
消費電力も小さいという特徴を有し、さらに有機高分子
化合物と複合化することによって複合粒子自体の比重を
相対的に小さくすることができるので、電気絶縁性媒体
との比重差を小さくでき、これによってER流体として
の保存安定性を優れたものとすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
無機・有機複合粒子を用いたER流体は、上述したよう
に多くの優れたER効果を有するものではあるが、温度
上昇と共に複合粒子と電気絶縁性媒体との比重差が拡大
して複合粒子が沈降し易くなり、また一旦沈降すると、
凝集して再分散が困難になるという問題があった。
【0006】本発明は、前記の課題を解決するためにな
されたものであり、長時間の静置を受けても複合粒子が
分散媒中に沈降することなく、安定したER効果および
良好な保存安定性が維持されるER流体用の複合粒子、
およびこれを用いたER流体を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、電気絶縁
性媒体中に分散されてER流体を構成するER流体用複
合粒子として、有機高分子化合物からなる芯体と、この
芯体を被覆する電気半導体性無機物粒子からなる表層と
からなり、この表層には親和性表面処理が施され、電気
絶縁性媒体との親和性が高められているER流体用複合
粒子を用いることおよびこの複合粒子を電気絶縁性媒体
に分散してなるER流体を用いることによって解決され
る。
【0008】前記親和性表面処理は、有機化合物あるい
は有機金属化合物をモノマーに用いたプラズマ重合によ
るものであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のER流体用複合粒子は、
電気絶縁性媒体中に分散されて電気レオロジー流体を構
成するものであり、有機高分子化合物からなる芯体と、
電気半導体性無機物粒子からなる表層とからなるER流
体用複合粒子(以下「ER複合粒子」とする)の表層に
親和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が
高められている電気レオロジー流体用複合粒子(以下
「親和性ER複合粒子」とする。)である。
【0010】初めに、上記ER複合粒子について説明す
る。図1は、上記ER複合粒子の一例を示したものであ
る。図1においてこのER複合粒子10は、有機高分子
化合物からなる芯体11と、この芯体11の表面に形成
された電気半導体性無機物粒子13、13・・・からな
る表層12とからなる複合粒子である。
【0011】芯体11となる有機高分子化合物は、電気
絶縁性であることが好ましく、その具体例としては、
(メタ)アクリル酸エステル重合物、ポリ(メタ)アク
リル酸エステル−スチレン共重合物、ポリスチレン、ポ
リスチレン−マレイン酸共重合物、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、ABS樹脂、
AS樹脂、ナイロン、ポリビニルブチレート、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン
樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の1種または2種以上の
混合物または共重合物等を挙げることが出来る。また、
前記に例示の有機高分子化合物は、水酸基、カルボキシ
ル基、アミノ基、グリシジル基等の官能基を含有するも
のであってもよい。
【0012】表層12の電気半導体性無機物粒子13と
なる電気半導体性無機物としては、室温において電気伝
導度が103〜10-11Ω-1/cmの範囲内にある金属酸
化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、無機イオン交
換体、またはこれらの少なくともいずれか1種に金属ド
ーピングを施したもの、もしくは金属ドーピングの有無
に拘らずこれらの少なくともいずれか1種を他の支持体
上に電気半導体層として施したもの等を挙げることがで
きる。また、これらの電気半導体性無機物の中の無機イ
オン交換体の具体例としては、多価金属の水酸化物、ハ
イドロタルサイト類、多価金属の酸性塩、ヒドロキシア
パタイト、ナシコン型化合物、粘度鉱物、チタン酸カリ
ウム類、ヘテロポリ酸塩、及び不溶性フェロシアン化物
を挙げることが出来る。
【0013】以下に、電気半導体性無機物について、更
に詳しく説明する。 (1)金属酸化物;SnO2、アモルファス型二酸化チ
タン(出光石油化学社製)等。 (2)金属水酸化物;水酸化チタン〔具体例としては、
含水酸化チタン(石原産業社製)〕、メタチタン酸〔別
名βチタン酸;TiO(OH)2〕、オルソチタン酸
〔別名αチタン酸;Ti(OH)4〕、水酸化ニオブ
等。 (3)金属酸化水酸化物;FeO(OH)(ゲーサイ
ト)等。 (4)多価金属の水酸化物;ジルコニウム、ビスマス、
錫、鉛、アルミニウム、タンタル、モリブデン、マグネ
シウム、マンガン、鉄等の金属の水酸化物。 (5)ハイドロタルサイト類;一般式M13Al6(OH)
43(CO)3・12H2O(Mは、Mg、Ca、Ni等の
二価の金属)で表される化合物。 (6)多価金属の酸性塩;チタン、ジルコニウム、錫、
セリウム、クロム、タンタル、ニオブ等の金属の、リン
酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩、タングステン酸塩、バ
ナジン酸塩、モリブデン酸塩、セレン酸塩等。 (7)ヒドロキシアバタイト;カルシウムアパタイト、
鉛アバタイト、ストロンチウムアパタイト、カドミウム
アバタイト等。 (8)ナシコン型化合物;(H3O)Zr2(PO43
しくはNa・Zr2(PO43等。 (9)粘土鉱物;モンモリロナイト、セピオライト、ベ
ントナイト等、特にセピオライトが好ましい。
【0014】なお、前記(4)〜(9)の無機イオン交
換体はいずれもOH基を有しており、これらの無機イオ
ン交換体のイオン交換サイトに存在するイオンの一部ま
たは全部を別のイオンに置換したものも本発明における
無機イオン交換体に含まれるものである。また、高温加
熱処理によりOH基を一旦失ってはいるが、水に浸漬さ
せるなどの操作によって再びOH基を有するようになる
無機イオン交換体も、その高温加熱処理後の無機イオン
交換体等も本発明に使用でき、このような無機イオン交
換体の具体例としては、ナシコン型化合物、例えば(H
3O)Zr2(PO43の加熱によって得られるHZr2
(PO43やハイドロタルサイトの高温加熱化合物(5
00〜700℃で加熱処理したもの)等がある。
【0015】(10)チタン酸カリウム類;K2・Ti
2・2H2O、K2O・2TiO2・2H2O、0.5K2
O・TiO2・2H2O、K2O・2.5TiO2・2H2
等。 (11)ヘテロポリ酸塩;一般式H3AE1240・nH2
O(ここで、Aはリン、砒素、ゲルマニウム、またはケ
イ素であり、Eはモリブデン、タングステン、またはバ
ナジウムであり、nは正数である)で表される化合物、
具体的にはモリブドリン酸アンモニウム、タングストリ
ン酸アンモニウム等。 (12)不溶性フェロシアン化合物;一般式Mb-ap
[E(CN)6](式中、Mはアルカリ金属または水素
イオン、Aは亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、マンガ
ン、カドミウム、鉄(III)、チタン等の重金属イオ
ン、Eは鉄(II)、鉄(III)、またはコバルト
(II)等であり、bは3または4であり、aはAの価
数であり、pは0〜b/aの正数である。)で表される
化合物、これらには例えば、Cs2Zn[Fe(C
N)6]及びK2Co[Fe(CN)6]等の不溶性フェ
ロシアン化合物が含まれる。
【0016】(13)金属ドーピング電気半導体性無機
物:前記電気半導体性無機物(1)〜(12)の電気伝
導度を上げるために、アンチモン(Sb)等の、金属を
電気半導体性無機物にドーピングしたものであって、例
としてはアンチモン(Sb)ドーピング酸化錫(SnO
2 )等を挙げることができる。 (14)他の支持体上に電気半導体層として電気半導体
性無機物を施したもの;例えば、酸化チタンの表面に酸
化錫をコーテイングしたもの等。 これらの電気半導体性無機物粒子13は、それぞれ単独
で、あるいは2種類もしくはそれ以上を同時に組み合わ
せて用いることができる。
【0017】なお、上記ER複合粒子10においては、
その表層12に、電気半導体性無機物粒子13ととも
に、フタロシアニン化合物からなる粒子が配されたもの
であっても構わない。このフタロシアニン化合物として
は、下記化学式(I)で表され、式中Mが金属である金
属フタロシアニンおよびMが水素である非金属フタロシ
アニン化合物が挙げられる。金属フタロシアニン化合物
の金属としては、銅、マグネシウム、亜鉛、アルミニウ
ム、バナジウム、モリブデン、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、チタン、あるいはこれらの酸化物等のい
ずれかであることが好ましく、特に銅、鉄、コバルトで
あることが好ましい。また、この金属フタロシアニン化
合物としては、α、β、ε、π、ρ、χ等の種々の結晶
系のもの、あるいはアモルファスのもの、ハロゲン原子
により置換されたもの、置換されないもの等のいずれに
も使用可能である。
【0018】
【化1】
【0019】上記ER複合粒子10は、以下に説明する
いくつかの製造方法等により得ることが出来る。 (1)有機高分子化合物からなる芯体11粒子、電気半
導体性無機物粒子13をジェット気流によって搬送し、
粒子相互を衝突させる。この場合、芯体11の表面に電
気半導体性無機物粒子13が高速度で衝突し、固着して
表層12を形成する。 (2)芯体11を気体中に浮遊させておき、電気半導体
性無機物粒子13を分散させたスラリーを霧状にしてそ
の表面に付着させる。この場合は、スラリーが芯体11
の表面に付着した後、分散媒が乾燥することによって表
層12が形成される。
【0020】(3)芯体11と表層12とを同時に形成
する製造方法もある。その具体例としては、芯体11を
形成する有機高分子化合物のモノマーまたはオリゴマー
を重合媒体中で乳化重合、懸濁重合もしくは分散重合等
をするに際して、電気半導体性無機物粒子13を前記モ
ノマーまたはオリゴマー中または重合媒体中に存在させ
て重合を行う。重合媒体としては水が好ましいが、水と
有機溶媒との混合物、あるいは有機系の貧溶媒を使用す
ることもできる。この方法によれば、重合媒体の中でモ
ノマーまたはオリゴマーが重合して芯体11を形成する
と同時に、電気半導体性無機物粒子13が芯体粒子11
の表面に層状に配向してこれを被覆し、表層12を形成
する。
【0021】この芯体11と表層12との同時形成方法
によれば、有機高分子化合物からなる芯体11の表面に
電気半導体性無機物粒子13が緻密かつ強固に接着し、
堅牢なER複合粒子10を形成することができるので、
本発明にとっては好ましい製造方法である。また、ER
複合粒子10の形状は特に限定されるものではないが、
球形であることが好ましい。そのER複合粒子10の粒
径は特に限定されるものではないが、0.1μm〜50
0μmの範囲内であることが好ましく、3μm〜200
μmの範囲内であることが更に好ましい。このときの電
気半導体性無機物粒子13の粒径も特に限定されるもの
ではないが、好ましくは0.005μm〜50μmの範
囲内であり、更に好ましくは0.01μm〜10μmの
範囲内である。
【0022】上述のER複合粒子10に、親和性表面処
理を施すことによって本発明の親和性ER複合粒子を得
ることが出来る。この親和性表面処理は、種々の有機化
合物あるいは有機金属化合物をモノマーに用いたプラズ
マ重合によるものであることが好ましい。この際、親和
性表面処理は、種々の電気半導体性無機物粒子の表面
に、プラズマ重合物が薄膜状に付着、あるいはグラフト
状に結合していることが好ましい。また、プラズマ重合
に用いるモノマーは、ER流体とするときに用いられる
電気絶縁性媒体との親和性が良好になるように適宜選択
される。
【0023】このようなモノマーとしては、メタン、エ
タン、プロパンのような飽和炭化水素、アセチレン、エ
チレン、ブタジエン、ベンゼンのような不飽和炭化水
素、テトラフルオロエチレンのようなフルオロカーボ
ン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタク
リル酸メチルのようなビニルモノマー、ヘキサメチルジ
シロキサン、ヘキサメチルジシラザン、テトラメトキシ
シランのような有機金属化合物等が挙げられる。
【0024】また、上記プラズマ重合には、通常用いら
れるプラズマ処理装置が用いられ、その種々の重合条
件、例えば、プラズマ出力、周波数、系内圧力、重合時
間、共存ガス等は、重合処理後のER複合粒子10表面
に、プラズマ重合物が、好ましくは、0.5〜20nm
の厚さで、さらに好ましくは1〜10nmの厚さで、付
着するように設定されることが望ましい。このプラズマ
重合物の厚さが、0.5〜20nmの範囲であれば、親
和性ER複合粒子の分散媒に対する親和性が高くなりE
R流体としたときに、その沈降が抑制されると同時に、
もとのER複合粒子10の優れた性質、例えば、過電流
の流れる心配がない、ER効果を発現させるための消費
電力が小さい等の特性を失うことがない。
【0025】上述の親和性ER複合粒子は、電気絶縁性
媒体中に均一に撹拌混合してER流体とすることができ
る。その際の親和性ER複合粒子の含有率は、特に限定
されるものではないが1重量%〜75重量%の範囲内、
特に10重量%〜60重量%の範囲内とすることが好ま
しい。含有率が1重量%未満では充分なER効果が得ら
れず、75重量%を越えると電圧を印加しない状態での
初期粘度が過大となって使用に適さなくなる。
【0026】上記親和性ER複合粒子を分散させる電気
絶縁性媒体としては、従来のER流体に使用されている
媒体のいずれもが使用可能である。すなわち、電気絶縁
性および電気絶縁破壊強度が高く、化学的にも安定で、
かつ親和性ER複合粒子を安定に分散させ得るものであ
ればいずれの媒体も使用可能である。その例としては、
例えば塩化ジフェニル、セバチン酸ブチル、芳香族ポリ
カルボン酸高級アルコールエステル、ハロフェニルアル
キルエーテル、トランス油、塩化パラフィン、フタル酸
エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、フッ素系オイ
ル、フロリナート、シリコーンオイル、フッ素変成シリ
コーンオイル等またそれらの混合物を挙げることができ
る。
【0027】また、上記ER流体には、親和性ER複合
粒子の分散性を向上させ、または流体組成物の電圧印加
時の粘度を調節する等の目的で、前記の親和性ER複合
粒子以外の他の成分を添加することもできる。それらの
例としては、高分子分散剤、界面活性剤、高分子増粘
剤、消泡剤、酸化防止剤等を挙げることができる。また
このER流体には、その特性が損なわれない範囲内で、
例えば塩化ジフェニル、トランス油等の電気絶縁性油中
にセルロース、でんぷん、大豆カゼイン、ポリスチレン
系イオン交換樹脂、ポリアクリル酸塩架橋物、アジリジ
ン化合物の重合体またはその架橋物等の固体粒子を分散
させてなる従来のER流体を混合して使用することもで
きる。
【0028】このような親和性ER複合粒子は、その表
層に親和性表面処理が施され、分散媒との親和性が向上
したものであるので、ER流体とされた場合に、その分
散媒中において沈降しにくいものである。同時に、親和
性ER複合粒子が沈降した場合でもその再分散が容易で
ある等の優れた作用効果を有し、電気制御の動力伝達素
子または制動素子として、クラッチ、ダンパー、ショッ
クアブソーバー、バルブ、アクチュエータ、バイブレー
ター、プリンター、または振動素子等の機器に有利に使
用できるようになる。
【0029】
【実施例】次に本発明を実施例によってさらに詳しく説
明する。 1.ER複合粒子の製造 (実施例1)まず、ER複合粒子を次のような製造方法
において調製した。 アンチモンドーピング酸化錫(石原産業社製、SN− 100P、電気伝導度:1.0×100Ω-1/cm) 30g 水酸化チタン(石原産業社製、一般名:含水酸化チタ ン、C−II、電気伝導度:9.1×10-6Ω-1/cm) 10g アクリル酸ブチル 300g 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 100g 重合開始剤(アゾビスイソバレロニトリル) 2g
【0030】前記処方の混合物を、第三燐酸カルシウム
25gを分散安定剤として含む水1800ml中に分散
し、60℃で1時間撹拌下に懸濁重合を行い、得られた
生成物を酸処理し、水洗後、脱水乾燥し、無機・有機複
合粒子を得た。この粒子200gに鉄フタロシアニン
(山陽色素社製P−26)2gを加え、ボールミルにて
75時間複合化処理を行い、次いでこれをジェット気流
処理機(奈良機械製作所社製、ハイブリダイザー)を用
いて周速75m/sで210秒間ジェット気流処理を行
い、ER複合粒子を得た。
【0031】2.親和性ER複合粒子の製造 次に、上記ER複合粒子に、次の手順でプラズマ重合に
より親和性表面処理を施した。まず、外部電極を取り付
けた200mlの丸底フラスコに、上記ER複合粒子1
6gと、外径φ5mmのガラスビーズ50gとを導入
し、この丸底フラスコ内の圧力を5Paまで減圧した。
ついで、この丸底フラスコ内の圧力が20Paとなるよ
うに、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)を導入し
た。ついで、この丸底フラスコを、プラズマ処理装置
((株)サムコインターナショナル研究所製、商品名B
P1)に接続し、丸底フラスコの外部電極に、13.5
6MHz−20Wの高周波電力を10時間印加し、プラ
ズマ重合処理によりER複合粒子の表層に、親和性表面
処理を施した。このようにして、実施例1の親和性ER
複合粒子を得た。
【0032】(比較例1)実施例1における親和性処理
を施さないER複合粒子を比較例1とした。
【0033】実施例1と比較例1の複合粒子表面の成分
を、X線光電子分光法(XPS)にて分析した。このと
き、分析装置として、ESCA5600型(商品名、パ
ーキンエルマ社製)を用い、出力300W14Kvにお
いて分析を行った。この結果、実施例1において、プラ
ズマ重合処理によって形成されたシリコン化合物の厚さ
は、約4nmであった。これに対して、比較例1の表面
成分には、シリコン化合物が付着していなかった。
【0034】3.ER流体の製造 次に、実施例1および比較例1の複合粒子を用いてER
流体を製造し、その特性について調べた。前記の実施例
1および比較例1の複合粒子をそれぞれ、室温における
粘度が0.015Pa・Sのフッ素変成シリコーン油
(信越化学工業社製、X−22−822)中に、含有率
が35重量%となるように均一に分散して実施例1およ
び比較例1の複合粒子を用いたER流体を得た。
【0035】ER流体のER特性評価 〈1〉剪断応力および電流値の測定:前記で得た実施例
1および比較例1のER流体を120℃で60時間放置
後、これらのER流体を二重円筒型回転粘度計にいれ、
それぞれ内外円筒間に直流電圧を印加し(2.0kv/
mm)かつ内筒電極に回転力を与えて、各剪断速度(s
ec-1)における剪断応力(Pa)、および各剪断応力
測定時における内外円筒間の電流値(μA/cm2 )を
測定した。結果を実施例1のものを表1に、比較例1の
ものを表2にそれぞれ示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】表1、表2の結果から、実施例1の親和性
表面処理を施したものが、比較例1の未処理のものに比
べ、消費電力が少なくなっていることがわかる。この例
において、実施例1のものが比較例1のものに比べて印
加時の剪断応力が低下しているが、この範囲は、実用的
に問題のない十分な範囲である。
【0039】〈2〉高温時の沈降性の評価 前記の実施例1および比較例1の各ER流体について高
温時の沈降性について次の測定法を用いて評価した。実
施例1および比較例1のER流体を、それぞれ内径6m
mの試験管に深さ100mmとなるように導入し、この
まま温度70℃にて長期間静置し、ER複合粒子の粒子
沈降による試験管の上澄み層の厚さを測定した。沈降性
の大きいものほど、この数値は大きくなる。これらの結
果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3より、実施例1の親和性表面処理の施
されたものは、比較例1の未処理のものより、沈降性が
改善されていることがわかる。よって、高温放置後の保
存安定性が著しく優れていて耐熱性が高く、高温環境下
での長期使用に耐えるものとなっていることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明の親和性ER複合粒子は、電気絶
縁性媒体中に分散されて電気レオロジー流体を構成する
ものであり、有機高分子化合物からなる芯体と、電気半
導体性無機物粒子からなる表層とからなり、表層には親
和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体との親和性が高
められているものであるので、これを電気絶縁性媒体に
含有させて得られるER流体は、長時間の静置において
もER複合粒子が分散媒中に沈降することなく、安定し
たER効果および良好な保存安定性が維持されるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気レオロジー流体用複合粒子(ER複合粒
子)の一例を示す断面図。
【符号の説明】
10 電気レオロジー流体用複合粒子(ER複合粒子) 11 芯体 12 表層 13 電気半導体性無機物粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:14 50:08 70:00 Fターム(参考) 4H104 AA11A AA13A AA20A AA24A CA01A CB04A CB08A CB09A CB12A CB13A CE04A CE13A EA08A EA09A EA12A FA02 FA03 FA04 FA05 FA08 JA01 LA20 PA13 QA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性媒体中に分散されて電気レオ
    ロジー流体を構成する電気レオロジー流体用複合粒子で
    あって、 この複合粒子は、有機高分子化合物からなる芯体と、こ
    の芯体を被覆する電気半導体性無機物粒子からなる表層
    とからなり、 この表層には親和性表面処理が施され、電気絶縁性媒体
    との親和性が高められていることを特徴とする電気レオ
    ロジー流体用複合粒子。
  2. 【請求項2】 親和性表面処理が、有機化合物あるいは
    有機金属化合物をモノマーに用いたプラズマ重合による
    ものであることを特徴とする請求項1に記載の電気レオ
    ロジー流体用複合粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の複
    合粒子を電気絶縁性媒体に分散してなる電気レオロジー
    流体。
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WO2021015031A1 (ja) * 2019-07-24 2021-01-28 日立オートモティブシステムズ株式会社 電気粘性流体組成物およびシリンダ装置

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