JP2001023845A - 積層チップ電子部品の製造方法 - Google Patents

積層チップ電子部品の製造方法

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JP2001023845A
JP2001023845A JP11197805A JP19780599A JP2001023845A JP 2001023845 A JP2001023845 A JP 2001023845A JP 11197805 A JP11197805 A JP 11197805A JP 19780599 A JP19780599 A JP 19780599A JP 2001023845 A JP2001023845 A JP 2001023845A
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temporary laminate
chip electronic
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Fumio Uchikoba
文男 内木場
Toshiyuki Anpo
敏之 安保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮積層体を弾性体型に入れてCIP処理を行
うことで、積層体の変形を最小限に抑え、工程歩留まり
を向上させ、製品の品質をあげる。 【解決手段】 導体パターン印刷後のセラミックグリー
ンシートを仮積層した仮積層体20が入る挿入凹部33
を有し、該凹部33の開口寸法が前記仮積層体20の平
面形状に合致乃至僅かに大きく、該凹部33の側壁面3
3aが底面に垂直で前記仮積層体20の厚み以上の高さ
である弾性体型としてのゴム型30を用い、前記凹部3
3内に前記仮積層体20を配置して、CIP処理装置5
0で加圧して前記仮積層体を積層圧着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面実装型コイル部
品、より詳しくは品質、特性の良い積層インダクタ、ビ
ーズ、インダクタアレイ、トランス等の積層チップ電子
部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器において、その小型化は市場要
求が常にあり、使用される部品についても小型化が要求
される。
【0003】元来リード付き部品であったインダクタ、
コンデンサ等の電子部品は、積層工法によりセラミッ
ク、金属を同時焼成することで内部導体を具備するモノ
リシック構造が実用化されたことにより、その形状をよ
り小型化することに成功してきた。現在、チップコンデ
ンサ、チップ抵抗等においては1005形状(縦1mm、
横0.5mm)等の微小素子の需要が増加しつつあり、チ
ップインダクタにおいても同様に小型化が要求されてき
ている。
【0004】図4はこの種の積層チップ電子部品の製造
方法(但し、チップインダクタの例である)の工程図で
あり、積層工法については、まずスラリー化工程#1に
てセラミック粉体としてのフェライト粉体をバインダ、
有機溶剤とともに混合してスラリーとし、フェライトシ
ート成型工程#2において前記スラリーをPET(ポリ
エチレンテレフタレート)フィルム上にドクターブレー
ド法等により、塗布、乾燥することでグリーンシートを
得る。
【0005】得られたグリーンシート(以下シート)に
スルーホールパンチング工程#3で機械加工、レーザ加
工等によりスルーホールを形成する。これに内導体印刷
工程#4で銀、又は銀パラジウム導体ペーストをスクリ
ーン印刷しコイルパターンを得る。このときスルーホー
ルはペーストで充填され、他層との電気的導通を得る。
【0006】仮積層工程#5では印刷されたシートを順
に積層し、その後ハンドリングを可能にするために軽く
仮圧着する。さらに、その後、積層圧着(熱プレス)工
程#6で完全にシートが一体化するように加熱圧着す
る。このあと裁断工程#7にて所定の寸法で切断、チッ
プ形状にする。
【0007】そして、脱バインダー工程#8、焼成工程
#9において、得られた生チップを脱バインダー、焼成
等の熱処理を行い、焼結させる。そして、外部電極形成
工程#10で、焼結されたチップをバレル等の方法で研
磨し、外部電極(端子電極)等を銀ペーストで形成し、
再び焼き付け等の熱処理を施す。さらに、メッキ処理工
程#11で電解メッキ等により外部電極に皮膜処理を施
すことで、図5の透視図のようにセラミック絶縁体又は
磁性体1内にコイル2を内蔵し、外部電極3に導出した
チップインダクタを得る。
【0008】チップインダクタの大きさは当初の321
6(縦3.2mm、横1.6mm)から2012(縦2.0m
m、横1.2mm)、1608(縦1.6mm、横0.8mm)等
のサイズの小型化が進展してきた。この延長においてさ
らに小型化が進み、1005サイズに至っては各工程に
与えられるクリアランスも同様に圧縮される。各層のず
れは30ミクロンを越えることは許されない。これを越
えるようだと例えばインダクタンス、インピーダンス等
の電磁気特性のばらつきの悪化を招くだけでなく内部導
体のチップ側面への露出、基板実装時の短絡、内部導体
の断線等の致命的な不良を招くこともある。
【0009】また、チップサイズの小型化が進むにつれ
て、コイル1ターン当たりの断面積が小さくなる。この
ため、所定のインダクタンス値を得るためには、従来よ
り多くの巻き数を得る必要がある。こうしたことを満た
すためには、一層当たりの厚さを薄くして、全体の層数
を増やし、このことにより巻き数を増やす。
【0010】従来の比較的大きいサイズのチップの場
合、ずれそのものが発生しづらかったり、ずれの影響が
顕在化するには至らなかったが、1005程度のチップ
サイズにおいては導体パターン幅の細線化、シート厚の
薄膜化、多層化等ずれに対してより敏感で厳しい条件と
なり、また、製品の特性品質に大きな要素としてのしか
かってくる。
【0011】従来の積層圧着工程では平坦な金型に仮積
層体を挟みプレス処理を行ってきた。しかしながら、こ
れと同じ手法を用いて、1005サイズのチップを作成
する際には、その積層ずれが著しく進むことがわかっ
た。前述したように、フェライトグリーンシートは薄
く、また、この上にスクリーン印刷された導体パターン
は細く、しかし直流抵抗が低いことが要求されるがため
に印刷厚は薄くすることができない。厚膜で印刷される
導体が薄いシートに印刷されることにより印刷後のシー
トの平滑性は著しく損なわれる。
【0012】このようなシートを一軸プレスのような平
坦な板で圧力をかけて積層すると導体部にのみ、圧力が
集中してかかり、その結果、導体部分が避け合い、各シ
ートを圧着一体化して未焼成フェライト素体とする際に
積層ずれが発生する。この積層圧着工程においてはその
積層数が多いほど顕著に発生し、1005サイズ等のク
リアランスの狭いものにおいては特に深刻になる。
【0013】この問題に対しては、例えば、特開平6−
77074号公報で開示されているように、印刷後のシ
ートを前もってプレスによって平坦にする、また、特開
平7−192954号公報で開示されているように、導
体パターンと同一の刻印をセラミックシートに前もって
施し、この凹部に導電ペーストを印刷して、結果として
平坦化を行う方法が開示されている。さらにまた特開平
7−192955号公報に開示されているように、PE
Tフィルムを剥離せずに、まず一枚積層圧着を行い、そ
の後フィルムを剥がし、これを繰り返す方法が知られて
いる。この方法はPETフィルムの変形が少ないことを
利用して、結果として積層ずれを防ぐ手段と考えられ
る。あるいは、特開平6−20843号公報で開示され
ているように、印刷導体の周辺部に、貫通孔をあけ、圧
力の分散化を行う方法も開示されている。
【0014】しかしながら、いずれの方法においても、
従来の工法にさらに工程を追加するか、大幅に変更を加
えることになる。また、生産性という立場に立てば、従
来の工程よりも複雑になる。できれば、従来のプレス工
程を単に代替するものであれば、その方が望ましい。
【0015】このような、形状が不均質なもののセラミ
ックのプレス工程においては、静水圧プレス(以下、C
IP)等を用いることが通常行われている。また、発明
者らも、この積層圧着工程にCIPを用いて、積層ズレ
を抑える試みを行った。
【0016】具体的には、一軸プレスによって位置がず
れない程度に軽く圧着した8cm角程度の仮積層体をポリ
エチレン等の柔軟な袋の中に真空パックし、これにCI
P処理を行う。こうすることによって、導体(電極)近
傍に生じている不均質部分においても等圧の力が働き、
大きく積層がずれることを抑えることができる。一軸プ
レスによって圧着を試みて、積層ずれが生じる場合と、
CIPを使った場合の各々を比較した模式図を図6に示
す。この図において、11はフェライトグリーンシー
ト、12は導体(電極)パターンを構成する導体ペース
トであり、図6(a)の従来の一軸プレスの場合、積層
後における各シート間の積層ずれが顕著であり、各層間
を接続するスルーホールの位置が合わなくなったり、隣
接するチップ領域にまで導体位置がずれる等の不具合が
発生する。また、図6(b)のCIPを用いた場合に
は、シート積層の際の積層ずれは殆どなく、従って積層
後の導体位置ずれも殆ど生じない。
【0017】しかしながら、CIP処理においても、不
具合が生じる。それは、もともと、不均質なものを圧縮
することに起因して、CIP処理後に試料が反り返り、
ロール状になってしまうことである。また、従来の一軸
プレスにおいては積層体の厚み方向だけが収縮し、面方
向においてはほとんどその寸法変化がなかったが、CI
Pを用いた場合においてはこの面方向においても収縮が
起こる。この収縮は、導体パターン(電極パターン)、
積層数、層間隔等によってその程度が異なり、その管理
は困難である。圧着の次工程は裁断工程であり、面方向
においての収縮率を正確に制御できない場合、正確に裁
断することは著しく困難になる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上の議論によれば、
1005サイズのチップインダクタ等の積層チップ電子
部品を製造する工程において、グリーンシートを積層圧
着する際に、ずれを極力抑えつつ、しかも、得られる積
層体に反り返り等の不具合が無く、かつ面方向にはほと
んど収縮しない製造法を確立する必要があることが判
る。
【0019】しかし、上記したように、通常CIPを用
いて圧着を行う場合、仮積層体を直接真空パック等によ
り密封し、水中に投じ、加圧処理する。しかし、このよ
うな方法だと圧力が均一にかかるがゆえに縦横方向にも
加圧され、積層体全体が縮んでしまう傾向にある。また
積層体が反ったり歪んだりすることもあり、工程歩留ま
りを落とす原因となる。
【0020】本発明は、上記の点に鑑み、仮積層体を弾
性体型に入れてCIP処理を行うことで、積層体の変形
を最小限に抑え、工程歩留まりを向上させ、製品の品質
をあげることが可能な積層チップ電子部品の製造方法を
提供することを目的とする。
【0021】本発明のその他の目的や新規な特徴は後述
の実施の形態において明らかにする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、セラミックグリーンシートに導体パター
ンを印刷して積層する積層チップ電子部品の製造方法に
おいて、導体パターン印刷後のセラミックグリーンシー
トを仮積層した仮積層体が入る挿入凹部を有し、該凹部
の開口寸法が前記仮積層体の平面形状に合致乃至僅かに
大きく、該凹部の側壁面が底面に垂直で前記仮積層体の
厚み以上の高さである弾性体型を用い、前記凹部内に前
記仮積層体を配置して、静水圧プレスで加圧して前記仮
積層体を積層圧着することを特徴としている。
【0023】前記積層チップ電子部品の製造方法におい
て、前記挿入凹部の縦横方向の寸法を、前記仮積層体の
縦横方向の寸法よりも+0.00mm〜+0.05mmの範囲
で大きくするとよい。
【0024】前記弾性体型の硬度を60以上100以下
にするとよい。
【0025】前記静水圧プレスで加圧中の水の温度を2
0℃以上70℃以下、水圧を4MPa以上15MPa以
下にするとよい。
【0026】前記静水圧プレスで加圧中の水の温度を4
0℃以上60℃以下、水圧を7MPa以上12MPa以
下、前記挿入凹部の縦横方向の寸法を、前記仮積層体の
縦横方向の寸法よりも+0.01mm〜+0.03mmの範囲
で大きくするとよい。
【0027】前記弾性体型が弾性体枠と弾性体板との組
み合わせ構造体であってもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層チップ電
子部品の製造方法の実施の形態を図面に従って説明す
る。
【0029】積層チップインダクタ等の積層チップ電子
部品の積層圧着工程におけるずれの発生は、前述したよ
うにチップサイズが小さくなるに従ってその悪影響が深
刻となってくる。積層圧着工程における積層ずれは、各
グリーンシートの導体(電極)パターンが印刷された部
分のみが高く、印刷されない部分は圧力が低いことによ
り、その圧力差が問題となることが検討を重ねた結果明
らかになった。従来の平坦な板に挟まれる形式の金型に
仮積層体を入れプレスされる工法においては圧力の高い
部分が形成され、また、その上下の層においては半周分
だけずれて別の高圧部分が形成される(各シートに半周
毎の導体パターンを形成することが一般的であるた
め)。これを繰り返し積層することで圧縮圧力の高低差
が明確に発生し、圧の逃げ場が存在するため、各シート
は圧着時にずれることになる。
【0030】従って、このような積層ずれを引き起こさ
ないためには、印刷導体(電極)付近において3次元的
に圧力が均一であることが有効である。つまり、コイル
等の導体(電極)のある部分とない部分の圧力が同一で
あれば積層時の圧力差が存在しないため、ずれを抑える
ことができるということである。
【0031】上記のような理由で圧着工程においてはC
IPが有効であるが、圧力方向が等方であるがために面
方向にも圧力がかかり積層体自体の寸法が収縮してしま
ったり、積層体が反ったり歪んだりしてしまい、工程歩
留まりを落とす原因となる。
【0032】そこで本発明では、図1乃至図3の実施の
形態に示すように、フェライトグリーンシート上に導体
ペーストを印刷して導体パターンを形成したものを低圧
で仮積層した仮積層体20を、弾性体型としてのゴム型
30の扁平直方体状挿入凹部33に挿入し、ゴム型30
ごと柔軟性材質の袋からなる真空パック40にて密封
し、水を満たしたCIP装置50内に収容して冷間又は
温間CIP処理を行う。ここで、弾性体型としてのゴム
型30は、図2及び図3に示すように、平らな弾性体板
としてのゴム板31と、扁平直方体状挿入凹部33を構
成するための方形抜き穴部34を形成した弾性体枠とし
ての額縁状ゴム枠32との組み合わせ構造体である。こ
のゴム型30はゴム板31上にゴム枠32を載置した状
態で前記挿入凹部33が形成され、ここに前記仮積層体
20を挿入配置して、真空パックとする。前記挿入凹部
33の開口寸法は仮積層体20の平面形状に合致乃至僅
かに大きく、該凹部33の側壁面33aは底面(ゴム板
31の上面)33bに垂直で仮積層体20の厚み以上の
高さである(わずかに高く設定する)。なお、ゴム板3
1とゴム枠32とは、同材質、同硬度のゴムでよいが、
両者が接着一体化されている必要はない、
【0033】ゴム型30の底部を構成するゴム板31
(挿入凹部33の底面33b)は仮積層体20の反りを
防止する作用を果たし、挿入凹部33の垂直な側壁面3
3aは仮積層体20の側面に加わる圧力を減じて積層体
の縦横方向の収縮、歪みを抑制する作用を果たすものと
考えられる。従って、各シート上の導体同士の重なりを
ずらすことなく精度良く圧着可能である。つまり、CI
P処理に際してゴム型30を用いることで、CIPの効
果は積層ずれを減少させることだけに働き、積層体の縦
横方向の収縮、反り、歪み等を抑えることができる。
【0034】縦横方向の収縮量は、ゴム型30に形成さ
れた挿入凹部33の内法寸法と仮積層体20の寸法の差
によって大きく影響を受けた。挿入凹部33の縦横方向
の寸法は、仮積層体20の縦横方向の寸法よりも+0.
00mm〜+0.05mm以下の範囲で大きく設定されてい
ることが望ましい。挿入凹部33の縦横方向の寸法が、
仮積層体20の縦横方向の寸法よりも小さい場合、当然
のことながら仮積層体20が挿入不能となったり、CI
P処理後に積層体とゴム型30の接触部が盛り上がって
しまう不都合が生じる。挿入凹部33の縦横方向の寸法
が、仮積層体20の縦横方向の寸法よりも+0.05mm
を越えて大きいと、CIP処理後の積層体が元の寸法よ
りも大幅に縮んでしまう。より好ましくは、挿入凹部3
3の縦横方向の寸法を、仮積層体20の縦横方向の寸法
よりも+0.01mmから+0.03mmの範囲で大きく設定
する。
【0035】ゴム型30(ゴム板31及びゴム枠32)
の材質はウレタンゴム等が望ましくその硬度は60以上
100以下が好ましい。60よりも柔らかいと、積層体
の反りが大きくなり、100よりも大きいと積層体の一
部がゴム型からはみ出てしまい不具合を生じる。より好
ましくは硬度70から90である。
【0036】このときの静水圧プレスの水温は20℃か
ら70℃の温度範囲が望ましい(つまり冷間CIP処
理、温間CIP処理のいずれであってもよい。)。この
温度範囲より低温では、積層体の圧着が不十分で、ま
た、この温度範囲より高温であると積層体の一部が流動
し、ゴム型30からはみ出る。より好ましくは、40℃
から60℃の温度範囲である。
【0037】CIP処理の圧力は4MPa以上15MP
a以下の範囲が望ましい。この圧力範囲よりも少ないと
圧着が不十分であり、この圧力範囲を越えると積層体に
反りを生じる。より好ましくは7MPa以上12MPa
以下である。
【0038】この実施の形態によれば、仮積層体20を
弾性体型としてのゴム型30の挿入凹部33に挿入配置
してCIP処理を行うことで、積層体の変形を最小限に
抑え、工程歩留まりを向上させ、とくに小型のチップ部
品において製品の品質向上が可能となる。
【0039】
【実施例】本発明に係る積層チップ電子部品の製造方法
の一例として積層インダクタンス素子の製造方法につい
て以下に詳述する。
【0040】フェライト粉体と有機溶剤、ブチラール系
バインダーとを所定の比率で混合した。これをPETフ
ィルム上にドクターブレード法でキャストし、15ミク
ロンのグリーンシート(以下シート)を得た。
【0041】これにレーザ加工で直径80ミクロンのス
ルーホールを形成した。このシートに内部導体に相当す
る銀導体ペーストをスクリーン印刷し、印刷されたシー
トを所定の順で重ね、50℃、40kg/cmの圧力のも
とで仮圧着した後、80mm×80mmのサイズに打ち抜
き、従来の一軸プレス(金型圧着)、またCIPを用い
各条件で積層圧着した各々の積層体について、その後切
断し、その断面を観察してずれ、及び反りの有無を評価
した。
【0042】まず、一軸プレス(金型圧着)の場合、及
びCIPを用いかつゴム型の有り、無しの場合について
調べたものを表1に示す。圧力はいずれの場合も10M
Paであり、温度は50℃、ゴム型(ゴム板及びゴム
枠)はウレタンゴムを用い、硬度は80であった。
【0043】 表1 従来の 圧着方法 金型圧着法 CIPのみ CIP+ゴム型 積層ずれ 50μm 15μm 15μm 反り なし あり なし この表1に示すとおり、CIPを用いた場合は、積層ず
れが大きく改善され、また、ゴム型を用いることによっ
て反りの問題も解消されることが判る。
【0044】次に、CIP処理の圧力を10MPa、温
度を50℃、ゴムの硬度を80の一定とし、積層体を挿
入するゴム型の挿入凹部の内寸法を79.99mmから8
0.07mmまで変化させ、圧着後の積層体の寸法及び品
質を評価した。その結果を表2に示す。
【0045】 表2 ゴム型内寸法 79.99mm 80.00mm 80.01mm 80.02mm 加圧後の積層体サイズ * 80.00** 80.0mm 80.00mm ゴム型内寸法 80.03mm 80.04mm 80.05mm 80.07mm 加圧後の積層体サイズ 80.00mm 79.93mm 79.85mm 79.50mm *重なり部分の盛り上がりのため不可。 **重なり部分にわずかなの盛り上がりが認められたが、実用上問題なし。 表2からもわかるとおり、ゴム型の寸法は+0.00mm
(80.00mm)から+0.05mm(80.05mm)であ
ることが望ましく、さらに、+0.01mm(80.01m
m)から+0.03mm(80.03mm)であることがいっ
そう好ましい。
【0046】また、圧力を10MPa、温度を50℃、
仮積層体を挿入するゴム型の挿入凹部の内寸法を80.
02mmとし、ゴム型のゴムの硬度を50から120まで
変化させた場合の積層体の評価結果を表3に示す。
【0047】 表3 ゴム型硬度 50 60 70 80 90 100 110 120 反りの大きさ 8mm 1mm なし なし なし ** * * *重なり部分の盛り上がりのため不可。 **重なり部分にわずかなの盛り上がりが認められたが、実用上問題なし。 表3から前記硬度が60よりも柔らかいと、積層体の反
りが大きくなり、100よりも大きいと積層体の一部が
ゴム型からはみ出てしまい不具合を生じることが判る。
つまり、ゴム型の硬度は60以上100以下が望まし
く、より好ましくは70から90である。
【0048】また、温度を50℃、積層体を挿入するゴ
ム型の挿入凹部の内寸法を80.02mm、ゴム型のゴム
の硬度を80とし、圧力を3から17MPaまで変化さ
せた場合の積層体の成形体密度を測定した結果を表4に
示す。
【0049】 表4 圧力 3MPa 4MPa 5MPa 6MPa 成形体密度 2.62* 2.90 2.95 3.01 圧力 7MPa 8MPa 10MPa 12MPa 成形体密度 3.22 3.23 3.23 3.23 圧力 13MPa 15MPa 16MPa 17MPa 成形体密度 3.24** 3.23** *** *** *層間剥離のため不可。 **わずかな反りが認められたが実用上問題なし。 ***顕著な反りが発生し不可。 表4から、圧力4MPaよりも少ないと、積層体の圧着
が不十分で、層間ではがれを生じ、4MPa以上では成
形体密度が上昇し、15MPaを越えると反りが顕著に
なることが判る。従って、好ましい圧力範囲は4MPa
以上15MPa以下であり、より好ましくは7から12
MPaである。
【0050】さらに、積層体を挿入するゴム型の挿入凹
部の内寸法を80.02mm、ゴム型のゴムの硬度を80
とし、圧力を10MPa、加圧中の水の温度を10から
80℃まで変化させた場合の積層体の成形体密度を測定
した結果を表5に示す。
【0051】 表5 温度 10℃ 20℃ 30℃ 40℃ 成形体密度 2.51* 2.97 3.10 3.21 温度 50℃ 60℃ 70℃ 80℃ 成形体密度 3.23 3.25 3.33** 3.33*** *層間剥離のため不可。 **界面にわずかな盛り上がりが認められたが実用上問題なし。 ***ゴム型から積層体が流出し、不可。 この表5からCIP処理の水温は20℃から70℃の範
囲が望ましい。この温度範囲よりも低温であると、積層
体の圧着が不十分で、また、成形体密度も十分ではな
い。また前記温度範囲を越えると積層体の一部が流動
し、ゴム型にはみ出る。また、反りも顕著となる。より
好ましくは、40℃から60℃の温度範囲である。
【0052】上記表1からCIP処理を施したものは積
層ずれを著しく抑えることができ、なおかつ、表2〜表
5の結果から、ゴム型を組み合わせ、その硬度、寸法、
CIP処理の圧力、処理温度を適正にした場合には、積
層ずれが殆どなく、積層体の反り、面方向の収縮、その
他の不具合のないものを得ることができ、その効果は明
らかである。
【0053】なお、上記実施の形態及び実施例では、磁
性体セラミックのフェライトグリーンシートの積層の場
合を例示したが、絶縁性セラミックのグリーンシートを
積層圧着する場合にも本発明は適用可能である。
【0054】また、チップインダクタを構成する場合を
示したが、チップトランスを構成する場合や、チップイ
ンダクタが複数設けられたチップインダクタ・アレイを
構成する場合等にも本発明は適用可能である。
【0055】以上本発明の実施の形態について説明して
きたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記
載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当
業者には自明であろう。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る積層
チップ電子部品の製造方法によれば、導体パターン印刷
後のセラミックグリーンシートを仮積層した仮積層体が
入る挿入凹部を有し、該凹部の開口寸法が前記仮積層体
の平面形状に合致乃至僅かに大きく、該凹部の側壁面が
底面に垂直で前記仮積層体の厚み以上の高さである弾性
体型を用い、前記凹部内に前記仮積層体を配置して、静
水圧プレスで加圧して前記仮積層体を積層圧着すること
により、積層体の変形を最小限に抑え、工程歩留まりを
向上させ、製品の品質向上を達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層インダクタンス素子の製造方
法の実施の形態を示す模式的な正断面図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いるゴム型及び仮積層
体を示す正断面図である。
【図3】本発明の実施の形態で用いるゴム型及び仮積層
体を示す分解斜視図である。
【図4】積層チップ電子部品としてのチップインダクタ
の製造方法の工程図である。
【図5】チップインダクタの構造例を示す斜視図であ
る。
【図6】従来の一軸プレスと、CIPを使った場合の積
層ずれを比較した模式図である。
【符号の説明】
1 セラミック絶縁体又は磁性体 2 コイル 3 外部電極 11 フェライトグリーンシート 12 導体ペースト 20 仮積層体 30 ゴム型 31 ゴム板 32 ゴム枠 33 挿入凹部 33a 内壁面 33b 底面 40 真空パック 50 CIP装置 #1 スラリー化工程 #2 フェライトシート成型工程 #3 スルーホールパンチング工程 #4 内導体印刷工程 #5 仮積層工程 #6 積層圧着工程 #7 裁断工程 #8 脱バインダー工程 #9 焼成工程 #10 外部電極形成工程 #11 メッキ処理工程

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックグリーンシートに導体パター
    ンを印刷して積層する積層チップ電子部品の製造方法に
    おいて、 導体パターン印刷後のセラミックグリーンシートを仮積
    層した仮積層体が入る挿入凹部を有し、該凹部の開口寸
    法が前記仮積層体の平面形状に合致乃至僅かに大きく、
    該凹部の側壁面が底面に垂直で前記仮積層体の厚み以上
    の高さである弾性体型を用い、前記凹部内に前記仮積層
    体を配置して、静水圧プレスで加圧して前記仮積層体を
    積層圧着することを特徴とする積層チップ電子部品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記挿入凹部の縦横方向の寸法を、前記
    仮積層体の縦横方向の寸法よりも+0.00mm〜+0.0
    5mmの範囲で大きくした請求項1記載の積層チップ電子
    部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記弾性体型の硬度を60以上100以
    下とした請求項1又は2記載の積層チップ電子部品の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記静水圧プレスで加圧中の水の温度を
    20℃以上70℃以下、水圧を4MPa以上15MPa
    以下とした請求項1,2又は3記載の積層チップ電子部
    品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記静水圧プレスで加圧中の水の温度を
    40℃以上60℃以下、水圧を7MPa以上12MPa
    以下、前記挿入凹部の縦横方向の寸法を、前記仮積層体
    の縦横方向の寸法よりも+0.01mm〜+0.03mmの範
    囲で大きくした請求項1記載の積層チップ電子部品の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記弾性体型が弾性体枠と弾性体板との
    組み合わせ構造体である請求項1,2,3,4又は5記
    載の積層チップ電子部品の製造方法。
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JP2021019017A (ja) * 2019-07-17 2021-02-15 株式会社村田製作所 積層セラミック電子部品の製造方法

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