JP2001021511A - エネルギー分散形x線検出器を備えた表面分析装置 - Google Patents

エネルギー分散形x線検出器を備えた表面分析装置

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JP2001021511A JP11192874A JP19287499A JP2001021511A JP 2001021511 A JP2001021511 A JP 2001021511A JP 11192874 A JP11192874 A JP 11192874A JP 19287499 A JP19287499 A JP 19287499A JP 2001021511 A JP2001021511 A JP 2001021511A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正確な二次元のX線強度を得ることの可能な
EDSを用いた表面分析装置を提供する。 【解決手段】 電子銃1からの電子線を試料6の表面に
照射して発生するX線を検出して元素分析を行う電子プ
ローブマイクロアナライザを、電子線又は試料ステージ
7を二次元的に走査して試料表面より発生するX線の強
度IRを検出する半導体検出器9とマルチチャンネルア
ナライザ10とからなるEDSと、1画素分のX線強度を
計数する時間内におけるEDSの不感時間Tを1画素毎
に計時する制御・演算処理装置11と、計時された不感時
間に基づいて対応する各画素のX線強度の不感時間によ
る損失分を補正した補正X線強度ILを記憶するデータ
記憶手段12と、補正X線強度に基づいて試料表面の元素
分布を表示する陰極線管14とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エネルギー分散
形X線検出器(以下EDSと略称する)を備えた表面分
析装置に関し、特に表面分析装置においてEDSを用い
て二次元の元素分布観察を行う場合のX線強度データの
補正処理に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子プローブマイクロアナライ
ザ(EPMAと略称されている)や分析機能を備えた走
査電子顕微鏡(SEMと略称されている)においては、
細く絞った電子線を試料表面に照射して、発生した特性
X線を分光・検出することにより、試料表面の元素分布
を知ることができるようになっている。
【0003】特性X線を分光・検出するには、大別して
EDSと波長分散形X線検出器(以下WDSと略称す
る)を用いる方法がある。EDSは、半導体に入射した
X線により生じる電子・正孔対にバイアスをかけて、X
線のエネルギーに比例する高さの電気パルスを取り出
し、パルスの高さ、すなわちX線のエネルギー値に応じ
てマルチチャンネルアナライザに積算し、スペクトルと
して表示する方法である。一方、WDSは、分光結晶に
よるブラッグ反射の原理を用いて特定の波長のX線のみ
をX線検出器(通常、ガス増幅による比例計数管が用い
られる)で検出する方法で、分光器を波長走査し、それ
に対応したX線強度を計数し表示することによりスペク
トルを得るようになっている。
【0004】次に、このようなWDSあるいはEDSを
用いた電子プローブマイクロアナライザ等の表面分析装
置による、一般的な試料表面の元素分布の測定方法の概
要について説明する。まず、試料の分析領域をX,Y方
向の画素群に分割し、各画素毎に一定時間X線を計数し
記憶させる。このときWDSでは測定元素のピーク位置
に分光位置を固定し、EDSでは測定元素のピークを含
むエネルギー範囲に対応するマルチチャンネルアナライ
ザからの積算値を計数する。そして各画素のX線強度を
レベル分けし、各々のレベルに適当な色を対応させて画
面上にカラーマップとして表示させる。このとき適当な
標準試料を用いて特性X線強度を濃度に変換すれば、カ
ラーマップはその元素の濃度分布を表すことができる。
一般に、元素分布分析においては、できるだけ分析時間
を短縮するために、高計数率が得られる分析条件を設定
し、1画素あたりの計数時間を小さく設定するようにし
ている。
【0005】ところで、WDS,EDSともに、X線検
出器に、あるX線量子が入ったとき、次のX線量子が入
って来ても計数できない時間、すなわち不感時間T
(秒)が存在する。しかし、WDSとEDSではX線検
出の原理と不感時間の大きさの差異により、通常分析デ
ータの補正方法には違いがある。
【0006】すなわち、WDSの場合、単位時間の計数
値をI cps,真の値をI′とすると、次式(1)の関係
式による測定後のデータ処理で、補正値(真の値)を得
ることができる。 I′=I/(1−T・I) ・・・・・・・・・・(1) WDSの場合、通常不感時間Tはマイクロ秒のオーダー
であるので、計数値の補正量は高々数%である。
【0007】一方、EDSの場合はWDSのように予め
分光結晶で特定波長のX線が選別されるわけではなく、
試料から発生し検出器で検知し得る全てのX線量子が検
出器に入射する可能性をもっている。そのため、比較的
計数率の低い元素の特性X線ピークのみを測定対象とす
る場合も、他の元素を含む全ての入射X線強度により不
感時間が規定されてしまう。そのため、通常EDSにお
いては、不感時間による計数値の補正量はWDSより大
きい。特に高計数率を必要とする測定では、強度の補正
量は数十%に及ぶことも珍しくない。したがって、ED
Sにおいては常に不感時間をモニターし、不感時間に相
当する時間を余分に計数することで補正を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、WDSによ
る測定で不感時間補正を行う場合は、一旦記憶されたX
線強度データを表示するとき、上記(1)式で示す関係
式を用いて補正すれば、充分である。しかしながら、E
DSで測定された、ある元素のデータを後から補正して
も、真の値を得ることはできない。なぜならば、EDS
の検出器の不感時間は測定した元素のX線強度ではなく
検出器が受けるX線量子全体の強度で決まる。そして、
各画素のX線強度の測定中に検出器が受けるX線量子全
体の強度は、その画素に対応する試料上の元素構成の違
いにより変化する。すなわち、EDS分析においては、
測定したい元素のX線強度のデータのみを用いて、後か
ら不感時間補正を施すことはできない。したがって、E
DSによって測定された元素のX線強度を濃度に変換し
ようとしても、正しく変換されないという問題点があっ
た。
【0009】本発明は、従来のEDSを用いた表面分析
装置における上記問題点を解消するためになされたもの
で、正確な二次元のX線強度を得ることの可能なEDS
を用いた表面分析装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に係る発明は、電子線を試料表面に照射し
て発生する特性X線を検出して元素分析を行う電子プロ
ーブマイクロアナライザ等の表面分析装置において、電
子線又は試料ステージを二次元的に走査して試料表面よ
り発生する特性X線のX線強度を検出するエネルギー分
散形X線検出器と、該エネルギー分散形X線検出器にお
いて1画素分のX線強度を計数する時間内における該X
線検出器の不感時間を1画素毎に計時する手段と、該不
感時間計時手段で計時された不感時間に基づいて対応す
る各画素のX線強度の不感時間による損失分を補正した
補正X線強度データを記憶する手段と、該記憶手段に記
憶された補正X線強度データに基づいて試料表面の元素
分布を表示する手段とを備えていることを特徴とするも
のである。
【0011】また、請求項2に係る発明は、電子線を試
料表面に照射して発生する特性X線を検出して元素分析
を行う電子プローブマイクロアナライザ等の表面分析装
置において、電子線又は試料ステージを二次元的に走査
して試料表面より発生する特性X線のX線強度を検出す
るエネルギー分散形X線検出器と、該エネルギー分散形
X線検出器において検出したX線強度を記憶する手段
と、前記エネルギー分散形X線検出器において1画素分
のX線強度を計数する時間内における該X線検出器の不
感時間を1画素毎に計時し記憶する手段と、前記X線強
度記憶手段に記憶されている各画素のX線強度に対して
前記不感時間記憶手段に記憶されている対応する各画素
の不感時間に基づいて、各画素のX線強度の不感時間に
よる損失分を補正する手段と、該X線強度補正手段で補
正された補正X線強度に基づいて試料表面の元素分布を
表示する手段とを備えていることを特徴とするものであ
る。
【0012】このように、1画素毎に不感時間を計時
し、その計時された不感時間に基づいて対応する各画素
のX線強度の不感時間による損失分をリアルタイムで補
正し、その補正X線強度データを記憶し、その記憶され
た補正X線強度データに基づいて試料表面の元素分布を
表示させたり、あるいは1画素毎に不感時間を計時して
記憶させ、その記憶された1画素毎の不感時間に基づい
て各画素のX線強度の不感時間による損失分を一括して
補正し、補正された補正X線強度に基づいて試料表面の
元素分布を表示するように構成しているので、EDSを
用いた場合においても正確な二次元のX線強度データを
得ることができ、また標準試料を用いてX線強度を濃度
に変換して二次元の元素濃度マップを形成する場合に
は、元素濃度マップの精度を向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明す
る。図1は、本発明に係るEDSを用いた表面分析装置
の実施の形態の電子プローブマイクロアナライザを示す
概略ブロック構成図である。図1において、1は電子
銃、2は集束レンズ、3は対物レンズで、これらは電子
線を細く絞り試料に照射するための電子光学系の主要部
を構成している。4は電子線を二次元的に走査するため
の電子線走査コイルで、電子線走査回路5によって制御
される。6は分析目的の試料、7は試料6を二次元的に
走査するための試料ステージであり、試料ステージ駆動
回路8によって制御されるようになっている。9は試料
6から発生したX線を検出し入射したX線のエネルギー
に比例した電気パルスを発生する半導体検出器で、10は
該半導体検出器9から得られた電気パルスをその波高値
に応じて選別し、カウント値を積算するマルチチャンネ
ルアナライザであり、前記半導体検出器9とマルチチャ
ンネルアナライザ10とでEDSを構成している。11は電
子プローブマイクロアナライザの各部を制御したり各種
演算処理を行うための制御・演算処理装置、12はマルチ
チャンネルアナライザ10から得られるX線強度データ、
あるいは制御・演算処理装置11で補正処理された補正X
線強度データの記憶装置、13は制御・演算処理装置11に
接続された入力装置、14は制御・演算処理装置11による
演算によって得られる補正X線強度データを表示する、
記憶装置12に接続されてい陰極線管である。
【0014】次に、このように構成されている電子プロ
ーブマイクロアナライザの動作を、図2に示したフロー
チャートに基づいて説明する。まず、試料の分析領域を
二次元の画素群に分割し、最初の画素に電子線を照射し
て、一定の測定時間TR(実計数時間)における測定元
素のX線強度IR(実X線強度)を、マルチチャンネル
アナライザ10により計数する(ステップS1)。また同
時に、測定中のEDSの該画素の不感時間Tを、半導体
検出器9が検出するX線量子全体の強度に基づいて制御
・演算処理装置11により計時し(ステップS2)、この
不感時間Tを考慮したとき1画素分について本来測定し
なければならない総時間(補正時間)TL(=TR+
T)を、制御・演算処理装置11で算出する(ステップS
3)。次いで、ステップS1で得られたX線強度IRと
補正時間TLとに基づいて、不感時間Tを考慮したとき
1画素分について本来測定しなければならない総計数値
(補正X線強度)ILを、制御・演算処理装置11におい
て、IL=IR×(TL/TR)の算出式で算出し(ス
テップS4)、得られた補正X線強度をデータ記憶装置
12に記憶する(ステップS5)。次いで、次の分析画素
があるか否かの判定を行い(ステップS6)、分析画素
がある場合、同様にしてその画素の補正X線強度を算出
して記憶する。そして、分析領域の全画素について補正
X線強度が得られたならば、記憶されている補正X線強
度データに基づいて陰極線管14に、カラーマップ像とし
て表示させる。
【0015】上記実施の形態においては、1画素分のX
線強度の測定が終了すると、引き続いて不感時間に基づ
いてX線強度の補正を逐一リアルタイムで行うようにし
たものを示したが、1画素毎に不感時間T又はその不感
時間に基づく補正測定時間TLを二次元的にX線強度デ
ータと対応させて記憶しておき、陰極線管にカラーマッ
プ像を表示するための処理を行う際に、全画素について
一斉に補正を行い、補正X線強度データを得るようにし
てもよい。
【0016】また上記実施の形態は、本発明を電子プロ
ーブマイクロアナライザに適用したものを示したが、分
析機能を備えた走査電子顕微鏡など他のEDSを備えた
表面分析装置にも勿論適用できるものである。
【0017】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、請求項1に係る発明によれば、1画素毎に不感時間
を計時し、計時された不感時間に基づいて対応する各画
素のX線強度の不感時間による損失分を補正して得られ
た補正X線強度データを記憶し、その記憶された補正X
線強度データに基づいた試料表面の元素分布を表示させ
るように構成されており、また請求項2に係る発明によ
れば、1画素毎に不感時間を計時して記憶させ、記憶さ
れた不感時間に基づいて各画素のX線強度の不感時間に
よる損失分を一括して補正し、補正された補正X線強度
に基づいて試料表面の元素分布を表示するように構成さ
れているので、EDSを用いた場合においても正確な二
次元のX線強度データを得ることができ、また標準試料
を用いてX線強度を濃度に変換して二次元の元素濃度マ
ップを形成する場合には、元素濃度マップの精度を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEDSを備えた表面分析装置の実
施の形態の電子プローブマイクロアナライザの概略構成
を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示した実施の形態の動作を説明するため
のフローチャートである。
【符号の説明】
1 電子銃 2 集束レンズ 3 対物レンズ 4 電子線走査コイル 5 電子線走査回路 6 試料 7 試料ステージ 8 試料ステージ駆動回路 9 半導体検出器 10 マルチチャンネルアナライザ 11 制御・演算処理装置 12 データ記憶装置 13 入力装置 14 陰極線管

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線を試料表面に照射して発生する特
    性X線を検出して元素分析を行う電子プローブマイクロ
    アナライザ等の表面分析装置において、電子線又は試料
    ステージを二次元的に走査して試料表面より発生する特
    性X線のX線強度を検出するエネルギー分散形X線検出
    器と、該エネルギー分散形X線検出器において1画素分
    のX線強度を計数する時間内における該X線検出器の不
    感時間を1画素毎に計時する手段と、該不感時間計時手
    段で計時された不感時間に基づいて対応する各画素のX
    線強度の不感時間による損失分を補正した補正X線強度
    データを記憶する手段と、該記憶手段に記憶された補正
    X線強度データに基づいて試料表面の元素分布を表示す
    る手段とを備えていることを特徴とする表面分析装置。
  2. 【請求項2】 電子線を試料表面に照射して発生する特
    性X線を検出して元素分析を行う電子プローブマイクロ
    アナライザ等の表面分析装置において、電子線又は試料
    ステージを二次元的に走査して試料表面より発生する特
    性X線のX線強度を検出するエネルギー分散形X線検出
    器と、該エネルギー分散形X線検出器において検出した
    X線強度を記憶する手段と、前記エネルギー分散形X線
    検出器において1画素分のX線強度を計数する時間内に
    おける該X線検出器の不感時間を1画素毎に計時し記憶
    する手段と、前記X線強度記憶手段に記憶されている各
    画素のX線強度に対して前記不感時間記憶手段に記憶さ
    れている対応する各画素の不感時間に基づいて、各画素
    のX線強度の不感時間による損失分を補正する手段と、
    該X線強度補正手段で補正された補正X線強度に基づい
    て試料表面の元素分布を表示する手段とを備えているこ
    とを特徴とする表面分析装置。
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