JP2001020725A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化装置

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JP2001020725A
JP2001020725A JP11189304A JP18930499A JP2001020725A JP 2001020725 A JP2001020725 A JP 2001020725A JP 11189304 A JP11189304 A JP 11189304A JP 18930499 A JP18930499 A JP 18930499A JP 2001020725 A JP2001020725 A JP 2001020725A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関の排気浄化装置において、効率よく
触媒装置からイオウ成分を脱離させることで燃費の悪化
を抑制しながら触媒装置の再生を可能とする。 【解決手段】 吸蔵型NOx触媒25の触媒温度Tcat
が、S再生頻度Dに基づいて設定される昇温設定温度Z
STEMP以上となった場合に、吸蔵型NOx触媒25
を点火時期リタードにより昇温させると共に空燃比をリ
ッチ化してSOxを放出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気通路に吸蔵型
NOx触媒を有する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関をリーン空燃比で運転し
て燃費の向上を図るようにした希薄燃焼内燃機関が実用
化されている。この希薄燃焼内燃機関では、リーン空燃
比で運転すると、三元触媒がその浄化特性から排ガス中
のNOx(窒素酸化物)を充分に浄化できないという問
題があり、最近では、リーン空燃比で運転中に排ガス中
のNOxを吸蔵し、ストイキまたはリッチ空燃比で運転
中に吸蔵されたNOxを放出還元する吸蔵型NOx触媒
が採用されてきている。
【0003】この吸蔵型NOx触媒は、内燃機関の酸素
の過剰状態で排ガス中のNOxを硝酸塩(X−NO3
として吸蔵し、吸蔵したNOxを一酸化炭素(CO)の
過剰状態で放出して窒素(N2 )に還元させる特性(同
時に炭酸塩X−CO3 が生成される)を有した触媒であ
る。ところが、燃料中にはイオウ(S)成分が含まれて
おり、このS成分は酸素と反応して硫黄酸化物(SO
x)となり、このSOxがNOxの代わりに硫酸塩とし
て硝酸塩の代わりに吸蔵型NOx触媒に吸蔵されてしま
い、触媒の浄化効率が低下してしまうという問題があ
る。しかしながら、触媒に吸蔵されたSOxは、空燃比
をリッチ状態にして触媒を高温状態にすることで除去
(Sパージ)されることがわかっている。例えば、特開
平7−217474号公報では、触媒に吸蔵されるSO
x量を推定し、このSOxの吸蔵量が許容量を越え、触
媒温度が予め設定された所定温度よりも低いときに、触
媒を昇温させると共に空燃比を一時的にリッチにするこ
とで、SOxを放出して吸蔵型NOx触媒の浄化効率を
復活させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した公
報では、触媒でのSOx吸蔵量が許容量を越え、且つ、
温度が低いことを条件として、内燃機関の運転状態に拘
らず、触媒を昇温して空燃比をリッチにすることで、吸
蔵型NOx触媒からのSOxの放出を実行している。
【0005】そのため、例えば、車両が市街地のような
場所で加減速を繰り返す運転状態のときは、吸蔵型NO
x触媒がSOxを放出するのに必要な高温状態に安定し
くく、結果としてSOxはあまり放出できていないにも
拘らず、吸蔵型NOx触媒のSOx放出手段を長時間を
作動させることとなってしまう。即ち、吸蔵型NOx触
媒が昇温しにくい条件でも昇温させるために、例えば、
触媒がある程度高温となる安定した走行時での昇温に比
べて永井時間にわたってリッチ化及び触媒昇温を行う必
要があり、昇温度合も大きくしなければならず、燃費を
悪化させてしまうという問題がある。
【0006】本発明はこのような問題を解決するもので
あって、効率よく触媒装置からイオウ成分を脱離させる
ことで燃費の悪化を抑制しながら触媒装置の再生を可能
とした内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置では、内
燃機関の排気通路に排気空燃比が少なくともリーン空燃
比のときに排気ガス中のイオウ成分を吸蔵する触媒装置
を設け、この触媒装置の温度が活性温度より高く且つ吸
蔵されたイオウ成分を脱離するのに適した温度あるいは
それより低く設定された設定温度以上となった場合に、
再生手段により触媒装置を昇温してイオウ成分を触媒装
置から脱離させるようにしている。即ち、触媒装置が適
正状態のときに昇温してイオウ成分を触媒装置から脱離
させることとなり、効率よく触媒装置からイオウ成分を
脱離させることで、燃費の悪化を抑制しながら触媒装置
の再生が可能となる。
【0008】この場合、再生手段は、触媒を昇温するた
めに点火時期を制御する点火時期制御手段などを用いた
触媒昇温手段と、機関の空燃比を制御する空燃比制御手
段とを有し、触媒温度が所定温度以上となった場合、昇
温手段としての点火時期制御手段により点火時期を遅角
させ、空燃比制御手段により空燃比をリッチとすること
が、触媒装置を再生する上で好ましい。また、この再生
手段の作動後に、触媒装置の温度が所定時間経過しても
イオウ成分の脱離に最適な温度へ十分に近づかない場合
に、この再生手段を停止させる停止手段を設けることが
燃費悪化を抑制する上で好ましい。
【0009】また、請求項2の発明の内燃機関の排気浄
化装置では、作動制御手段が、再生手段の作動するとき
の触媒装置の触媒再生情報またはイオウ成分による被毒
情報に基づいて再生手段の作動を制御するようにしてい
る。この場合、作動制御手段は、例えば、所定期間にお
いてイオウ成分が脱離される触媒再生頻度を検出する脱
離頻度検知手段を有し、この脱離頻度検知手段が検知し
た触媒再生頻度が予め設定された所定頻度より少ない場
合に、再生手段を作動させることが燃費悪化を抑制する
上で好ましい。また、作動制御手段が脱離頻度検知手段
を有する場合には、脱離頻度情報に基づいて設定温度を
変更する設定温度変更手段を設けることが燃費悪化を抑
制する上で好ましい。また、触媒装置のイオウ成分によ
る被毒情報を用いる場合には、被毒状況を検知または推
定する被毒状況検知手段を有し、被毒状況検知手段が検
知または推定した被毒量が所定値よりも大きい場合に根
作動制御手段により再生手段を作動させればよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施形態を詳細に説明する。
【0011】図1に本発明の一実施形態に係る内燃機関
の排気浄化装置の概略構成、図2に本実施形態の排気浄
化装置によるSパージ制御のフローチャート、図3にS
パージ制御のタイムチャート、図4にS再生頻度に対す
る昇温設定温度を表すグラフ、図5に触媒温度推定値に
対する反映係数を表すグラフ、図6にS再生頻度とNO
x排出量との関係を表すグラフ、図7にS再生A/Fに
対するS再生後の回復したNOx吸蔵触媒を表すグラ
フ、図8に一般走行において本実施形態を使用したとき
と使用しなかったときの触媒温度の時間頻度を表すグラ
フを示す。
【0012】本実施形態の内燃機関(以下、エンジンと
称する。)は、例えば、燃料噴射モード(運転モード)
を切換えることで、吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴
射モード)または圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射
モード)を実施可能な筒内噴射型火花点火式直列4気筒
ガソリンエンジンである。そして、この筒内噴射型のエ
ンジン11は、容易にして理論空燃比(ストイキ)での
運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運転)の
他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)が実現
可能となっており、特に圧縮行程噴射モードでは、超リ
ーン空燃比での運転が可能となっている。
【0013】本実施形態において、図1に示すように、
エンジン11のシリンダヘッド12には、各気筒毎に点
火プラグ13と共に電磁式の燃料噴射弁14が取付けら
れており、この燃料噴射弁14によって燃焼室15内に
燃料を直接噴射可能となっている。この燃料噴射弁14
には、図示しない燃料パイプを介して燃料タンクを擁し
た燃料供給装置(燃料ポンプ)が接続されており、燃料
タンク内の燃料が高燃圧で供給され、この燃料を燃料噴
射弁14から燃焼室15内に向けて所望の燃圧で噴射す
る。この際、燃料噴射量は燃料ポンプの燃料吐出圧と燃
料噴射弁14の開弁時間(燃料噴射時間)とから決定さ
れる。
【0014】シリンダヘッド12には、各気筒毎に略直
立方向に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと
連通するようにして吸気マニホールド16の一端がそれ
ぞれ接続されている。そして、吸気マニホールド16の
他端にはドライブバイワイヤ(DBW)方式の電動スロ
ットル弁17が接続されており、このスロットル弁17
にはスロットル開度θthを検出するスロットルセンサ1
8が設けられている。また、シリンダヘッド12には、
各気筒毎に略水平方向に排気ポートが形成されており、
各排気ポートと連通するようにして排気マニホールド1
9の一端がそれぞれ接続されている。
【0015】そして、エンジン11には、クランク角を
検出するクランク角センサ20が設けられており、この
クランク角センサ20はエンジン回転速度Neを検出可
能となっている。なお、上述した筒内噴射型エンジン1
1は既に公知のものであり、その構成の詳細については
ここでは説明を省略する。
【0016】また、エンジン11の排気マニホールド1
9には排気管(排気通路)21が接続されており、この
排気管21にはエンジン11に近接した小型の三元触媒
22及び排気浄化触媒装置23を介して図示しないマフ
ラーが接続されている。そして、この排気管21におけ
る三元触媒22と排気浄化触媒装置23との間の部分に
は、排気浄化触媒装置23の直上流、即ち、後述する吸
蔵型NOx触媒25のに直上流に位置して排気温度を検
出する高温センサ24が設けられている。
【0017】この排気浄化触媒装置23は、吸蔵型NO
x触媒25と三元触媒26との2つの触媒を有して構成
されており、三元触媒26の方が吸蔵型NOx触媒25
よりも下流側に配設されている。なお、吸蔵型NOx触
媒25が三元触媒の機能を十分に有している場合には、
この吸蔵型NOx触媒25だけであってもよい。この吸
蔵型NOx触媒25は、酸化雰囲気においてNOxを一
旦吸蔵させ、主としてCOの存在する還元雰囲気中にお
いてNOxを放出してN2 (窒素)等に還元させる機能
を持つものである。詳しくは、吸蔵型NOx触媒25
は、貴金属として白金(Pt)、ロジウム(Rh)等を
有した触媒として構成されており、吸蔵剤としてはバリ
ウム(Ba)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属が採
用されている。そして、排気浄化触媒装置23の下流に
はNOx濃度を検出するNOxセンサ27が設けられて
いる。
【0018】更に、入出力装置、記憶装置(ROM、R
AM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、
タイマカウンタ等を有するECU(電子コントロールユ
ニット)28が設けられており、このECU28により
エンジン11を含めた本実施形態の排気浄化装置の総合
的な制御が行われる。即ち、ECU28の入力側には、
上述した高温センサ24やNOxセンサ27等の各種セ
ンサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情
報が入力する。一方、ECU28の出力側には、点火コ
イルを介して上述した点火プラグ13や燃料噴射弁14
等が接続されており、これら点火コイル、燃料噴射弁1
4等には、各種センサ類からの検出情報に基づき演算さ
れた燃料噴射量や点火時期等の最適値がそれぞれ出力さ
れる。これにより、燃料噴射弁14から適正量の燃料が
適正なタイミングで噴射され、点火プラグ13によって
適正なタイミングで点火が実施される。
【0019】実際に、ECU28では、スロットルセン
サ18からのスロットル開度情報θthとクランク角セン
サ20からのエンジン回転速度情報Neとに基づいてエ
ンジン負荷に対応する目標筒内圧、即ち目標平均有効圧
Peを求めるようにされており、更に、この目標平均有
効圧Peとエンジン回転速度情報Neとに応じてマップ
(図示せず)より燃料噴射モードを設定するようにされ
ている。例えば、目標平均有効圧Peとエンジン回転速
度Neとが共に小さいときには、燃料噴射モードは圧縮
行程噴射モードとされて燃料が圧縮行程で噴射され、一
方、目標平均有効圧Peが大きくなり、あるいはエンジ
ン回転速度Neが大きくなると燃料噴射モードは吸気行
程噴射モードとされ、燃料が吸気行程で噴射される。
【0020】そして、目標平均有効圧Peとエンジン回
転速度Neとから制御目標となる目標空燃比(目標A/
F)が設定され、適正量の燃料噴射量がこの目標A/F
に基づいて決定される。また、高温センサ24により検
出された排気温度情報からは触媒温度Tcat が推定され
る。詳しくは、高温センサ24と吸蔵型NOx触媒25
とが多少なりとも離れて配置されていることに起因する
誤差を補正するために、目標平均有効圧Peとエンジン
回転速度情報Neとに応じて温度差マップが予め実験等
により設定されており、触媒温度Tcat は、目標平均有
効圧Peとエンジン回転速度情報Neとが決まると一義
に推定されるようにされている。
【0021】以下、このように構成された本実施形態の
内燃機関の排気浄化装置の作用について説明する。
【0022】排気浄化触媒装置23の吸蔵型NOx触媒
25では、リーンモードにおける超リーン燃焼運転時の
ような酸素濃度過剰雰囲気で、排気中のNOxから硝酸
塩が生成され、これによりNOxが吸蔵されて排気の浄
化が行われる。一方、三元触媒26では、酸素濃度が低
下した雰囲気で、吸蔵型NOx触媒25に吸蔵した硝酸
塩と排気中のCOとが反応して炭酸塩が生成されると共
にNOxが放出される。従って、吸蔵型NOx触媒25
へのNOxの吸蔵が進むと、空燃比のリッチ化あるいは
追加の燃料噴射を行うなどして酸素濃度を低下させてC
Oを排気中に供給し、吸蔵型NOx触媒25からNOx
を放出させて機能を維持する。
【0023】ところで、燃料や潤滑油内に含まれるイオ
ウ成分(SOx)も排気中に存在し、吸蔵型NOx触媒
25は、酸素濃度過剰雰囲気で、NOxの吸蔵とともに
SOxも吸蔵する。つまり、イオウ成分は酸化されてS
Oxになり、このSOxの一部は吸蔵型NOx触媒25
上でさらに元来NOx吸蔵用である吸蔵剤と反応して硫
酸塩となってNOxに代わって吸蔵型NOx触媒25に
吸蔵される。
【0024】また、吸蔵型NOx触媒25は、酸素濃度
が低下すると吸蔵されたSOxを放出する機能を有して
いる。つまり、酸素濃度が低下してCOが過剰となった
雰囲気では、吸蔵型NOx触媒25に吸蔵した硫酸塩の
一部と排気中のCOとが反応して炭酸塩が生成されると
共にSOxが脱離される。しかし、硫酸塩は硝酸塩より
も塩としての安定度が高く、酸素濃度が低下した雰囲気
になっただけではその一部しか分解されないため、吸蔵
型NOx触媒25に残留する硫酸塩の量は時間とともに
増加する。これにより、吸蔵型NOx触媒25の吸蔵能
力が時間と共に低下し、吸蔵型NOx触媒25としての
性能が悪化することになる(S被毒)。
【0025】NOx吸蔵能力を再生するためには吸蔵型
NOx触媒25に吸蔵されたSOx量を推定してS被毒
状況を推定し、S被毒がある程度以上進行すると、SO
xを放出するようにする方法もあるが、SOx吸蔵量は
触媒温度、排気空燃比、燃料中S濃度(燃料種別)、エ
ンジン運転状態などの種々の要因により影響を受けるた
め、正確にSOx吸蔵量を推定することは困難を伴う。
このため、本実施形態では、吸蔵型NOx触媒25に吸
蔵されたSOx吸蔵量を推定することはせず、触媒温度
Tcat が設定温度以上となった場合に、再生手段が触媒
を昇温させ、且つ、空燃比をリッチ化して吸蔵したSO
xを放出し、NOx吸蔵能力を回復するようにしてい
る。この再生手段は、吸蔵型NOx触媒25からSOx
を放出する再生度合が所定範囲に保たれるように制御す
る。即ち、吸蔵型NOx触媒25の温度が活性温度(例
えば、250〜350℃)より高く、且つ、吸蔵された
SOxを脱離するのに適した温度(例えば、650℃)
あるいはそれより低く設定された設定温度(例えば、6
00℃〜800℃)以上となった場合に、吸蔵型NOx
触媒25を昇温させると共に空燃比をリッチ化してSO
xを放出するようにしている。即ち、ある程度触媒温度
が高いときにアシスト的に僅かに昇温手段を作動させる
ことによりS再生速度を速く触媒温度域に到達させ、少
ない昇温度合(即ち、少ない燃費悪化度合)で効率よく
SOxを放出させるものである。
【0026】ここで、Sパージ制御について、図2に示
すフローチャート及び図3に示すタイムチャートに基づ
いて詳細に説明する。図2に示すように、まず、ステッ
プS1では、高温センサ24により検出された排気温度
情報から吸蔵型NOx触媒25の触媒温度Tcat を推定
する。この場合、前述したように、目標平均有効圧Pe
とエンジン回転速度情報Neとに応じて設定された温度
差マップに基づいて、高温センサ24と実際の触媒温度
との誤差が補正される。
【0027】次に、ステップS2にて、吸蔵型NOx触
媒25のS被毒からの再生(S再生)度合を表すS再生
頻度を算出する(脱離頻度検知手段)が、以下にその算
出方法について説明する。このS再生頻度は下記式
(1)に基づいて算出する。 S再生頻度(s/km)=700℃換算S再生時間/走行距離 ・・(1) ここで、700℃換算S再生時間とは、推定された触媒
温度Tcat におけるS再生時間を吸蔵型NOx触媒25
の触媒温度Tcat が700℃のときのS再生時間に換算
した時間の合計であり、この700℃換算S再生時間を
走行距離で除算することで、走行距離1kmあたりのS再
生時間、つまり、S再生頻度を求めることができ、この
S再生頻度が大きくなるとSOxが良く放出(パージ)
され、S被毒から良く再生されているということであ
る。
【0028】この700℃換算S再生時間の具体的な算
出方法としては、下記式(2)に基づいて算出する。 700℃換算S再生時間(n) =700℃換算S再生時間(n-1) +S再生速度係数×計算周期×A/F係数 ・・(2) ここで、S再生速度係数は、吸蔵型NOx触媒25の温
度によりS再生速度が異なることを補正するためのもの
で、各触媒温度でのS再生時間を700℃相当のS再生
時間に換算するためのものである。S再生速度は吸蔵型
NOx触媒25の温度が高くなるにつれて指数関数的に
増加するので、吸蔵型NOx触媒25の触媒温度Tcat
が580℃以下の低温時では0とし、それよりも高温時
では、指数関数により近似した下式(3)をもって算出
する。 S再生速度係数=exp {−kk×(1/T1 )−(1/T0 )}・・(3) ここで、kkは、吸蔵型NOx触媒25のS再生反応に
応じて設定される所定の係数、T1 は、吸蔵型NOx触
媒25の触媒温度Tcat (K)、T0 は、973(70
0+273)(K)である。なお、本実施形態では、E
CU28内では指数関数による計算は行わずに予め計算
した値を記憶した触媒温度に対するS再生速度係数マッ
プから求めるようにしている。また、前述したA/F係
数は、A/FによるS再生度合を示すもので、空燃比が
リーンモードまたは燃料カット時では0とし、それ以外
のモードでは1とする。
【0029】なお、S再生頻度は、所定値D(例えば、
1.5s/km)以上でリセットされ、700℃換算S再
生時間を0s、走行距離を0kmとする。つまり、S再生
頻度が所定値D以上であれば、吸蔵型NOx触媒25は
十分にパージされているとして再生を停止する。S再生
頻度をリセットする際のしきい値Dの設定方法として
は、次のようにすればよい。即ち、図6に示すように、
S再生頻度が高いほどNOx排出値は小さくなることが
わかっており、NOxの排出規制値以下となるようにS
再生頻度を設定すればよい。このしきい値Dは、触媒特
性やNOx排出規制値にも影響されるが、一般的に概ね
1.5s/km以上に設定すればよいことがわかってい
る。
【0030】このようにS再生頻度が求められたら、ス
テップS3にて、昇温設定温度ZSTEMP(℃)を算
出する。この場合、図4に示すように、S再生頻度に対
するZSTEMPのマップが予め設定されている。この
マップによれば、S再生頻度が低いときには、ZSTE
MPは600℃に設定され、S再生頻度の上昇に伴って
ZSTEMPが上昇し、所定値Dで800℃としてい
る。即ち、昇温設定温度ZSTEMPはS再生頻度(脱
離頻度検知手段の脱離頻度情報)に基づいて変更される
ようになっている(設定温度変更手段)。
【0031】そして、ステップS4において、吸蔵型N
Ox触媒25の触媒温度Tcat がZSTEMP以上であ
るかどうかを判定し、触媒温度Tcat がZSTEMPよ
り低ければ何もせずにこのルーチンを抜ける。一方、触
媒温度Tcat がZSTEMP以上であれば、S再生頻度
がある程度低いと同時に吸蔵型NOx触媒25がある程
度昇温されており、Sパージしやすい状態にあると推定
されるため、ステップS5に移行し、制御モードをSパ
ージモードに切り換える(作動制御手段)。これにより
吸蔵型NOx触媒25に吸蔵されたSOxの除去(Sパ
ージ)が開始される。
【0032】即ち、ステップS6では、点火時期を制
御、つまり、リタード(遅角)させることで吸蔵型NO
x触媒25を昇温する(点火時期制御手段)。つまり、
点火時期リタードにより吸蔵型NOx触媒25に流入す
る排気を十分に加熱させることにより、吸蔵型NOx触
媒25はSパージに適した温度(例えば、650℃〜8
00℃)まで迅速に昇温されることになる。この場合、
点火時期は下記式(4)によりリタードするように設定
される。 点火時期=ベース点火時期−ZSSA×反映係数 ・・(4) ここで、ZSSAは、目標平均有効圧Peとエンジン回
転速度情報Neとに応じて設定されたリタードマップに
基づいて設定されるものであり、燃焼限界となるリター
ド量に余裕量を考慮した量として設定される。また、反
映係数は、図5に示すように、触媒温度推定値、つま
り、触媒温度Tcat に対応したマップに基づいて設定さ
れる。なお、この反映係数は燃料のカット時やスロット
ル開度が所定値以上のときは0としている。
【0033】続いて、ステップS7では、空燃比を制御
する。即ち、リーン運転を禁止し、ストイキF/Bもし
くはオープンループのリッチ運転のみとし、空燃比がス
トイキもしくはリッチとなるようにする。図7にS再生
度合い(S再生後回復したNOx吸蔵量)とS再生時の
空燃比(S再生A/F)の関係を示すが、リーン以外、
即ち、ストイキあるいはリッチであればS再生し、スト
イキ〜リッチ間ではS再生時の空燃比への依存性は小さ
いことがわかる。ただし、リッチ度合いが大きいほど燃
費の悪化度合いが大きく、またリッチ度合いが大きいと
臭気の元となるH2 Sの発生度合いが大きくなる。その
ため、S再生時の空燃比はストイキに近い方が好ましい
が、制御誤差も見込んでわずかばかりリッチ(スライト
リッチ)に設定するのがよく、即ち、14〜14.7と
するのが好ましい。尚、図7からS再生時の吸蔵型NO
x触媒25の温度が600℃のときには650℃や70
0℃の10倍時間をかけているにもかかわらずS再生度
合いが小さく、また、700℃のときにはS再生度合い
が非常に大きくなっており、S再生度合いにはS再生時
の触媒温度の影響が大きいことがわかる。
【0034】そして、ステップS8では、触媒温度Tca
t が所定値K(例えば、650℃)よりも低い状態が所
定の設定時間C(例えば、45sec )経過したら、吸蔵
型NOx触媒25の昇温をやめると共に空燃比をリーン
化してこのルーチンを抜ける。つまり、Sパージモード
にしても触媒温度Tcat がイオウ成分の脱離に最適な温
度(例えば、650℃以上)へなかなか近づかない場合
に、燃費悪化を抑制するためにSパージモードを停止さ
せる(停止手段)ようにしている。一方、触媒温度Tca
t が所定時間Cが経過するまでに所定値K以上になれ
ば、吸蔵型NOx触媒25の昇温及び空燃比のリッチ化
を継続する。
【0035】このようにしてSパージモードでは、Sパ
ージ制御のルーチンを繰り返すが、吸蔵型NOx触媒2
5に吸蔵されたSOxが放出されると、吸蔵型NOx触
媒25のS再生頻度が大きくなり、図4のマップに基づ
いてZSTEMPも上昇する。そして、ZSTEMPが
触媒温度Tcat を越えると、ステップS4において、吸
蔵型NOx触媒25の触媒温度Tcat がZSTEMPよ
り低くなってこのルーチンを抜け、Sパージモードを停
止する。
【0036】ここで、上述したSパージモードへの切換
制御を具体的に説明する。図3に示すように、Sパージ
モードがOFFで、S再生頻度が低いとき、昇温設定温
度ZSTEMPは600℃に設定されている。そして、
ドライバの運転状態、例えば、加速時あるいは高速道路
や山岳道路などを走行して触媒温度Tcat が上昇し、こ
の触媒温度Tcat がZSTEMPを越えると、Sパージ
モードがON(ステップS4でYes)となる。する
と、点火時期をリタードして吸蔵型NOx触媒25を昇
温すると共に空燃比をリッチ化するため、吸蔵型NOx
触媒25に吸蔵されたSOxが放出される。そして、S
パージモードが継続するとS再生が進み、700℃換算
S再生時間が増加してS再生頻度が大きくなり、このS
再生頻度が大きくなると、図4のマップに基づいてZS
TEMPが上昇し、触媒温度Tcatを越える。
【0037】すると、SパージモードがOFF(ステッ
プS4でNo)となり、吸蔵型NOx触媒25の昇温を
やめるため、触媒温度Tcat が低下する。その後、触媒
温度Tcat が低い状態で走行距離が延びると、S再生頻
度が小さくなると共に、ZSTEMPが低下して600
℃に戻る。
【0038】また、ドライバの運転状態により触媒温度
Tcat が再び上昇し、触媒温度Tcat がZSTEMPを
越えるとSパージモードがON(ステップS4でYe
s)される。このとき、ドライバが市街地のような場所
で加減速を繰り返す運転状態を行っていると、吸蔵型N
Ox触媒25はSOxを放出するのに必要な高温状態に
なりにくい。即ち、この場合、触媒温度Tcat は最初Z
STEMP(600℃)を越えたものの650℃よりも
低い状態が継続することとなり、この温度域ではS再生
はされるもののS再生効率が低い。そのため、この状態
の継続時間が設定時間Cを経過したら、Sパージモード
をOFF(ステップS4でNo)とすることで、点火時
期リタード及びリッチ化を中止しS再生効率が低い温度
域では燃費の悪化を抑制できる。
【0039】なお、Sパージモードにて、空燃比をリッ
チ空燃比モードとしてリーン空燃比モードへの移行を禁
止しているが、吸蔵型NOx触媒25が高温であるとき
には、吸蔵型NOx触媒25の熱劣化対策のために既に
リーン空燃比モードは禁止となっている場合もある。
【0040】また、Sパージを行うときに点火時期リタ
ードに応じてスロットル弁17を作動してベーススロッ
トル開度に対してスロットル開度θthを調整し、吸入空
気量を操作しており、これによって点火時期リタードに
よるトルク低下分を補いトルクがほぼ一定となるように
制御している。この場合、スロットル開度は下記式
(5)により設定される。 スロットル開度=ベーススロットル開度−ZSETV×反映係数・・(5) ここで、ZSETVは、目標平均有効圧Peとエンジン
回転速度情報Neとに応じて設定されたスロットル開度
補正マップに基づいて設定されるものであり、また、反
映係数は、前述したように、図5に示すマップに基づい
て設定される。なお、この場合、補正された点火時期
(リタード後の点火時期)に対するスロットル開度θth
のマップにより設定してもよい。
【0041】このように本実施形態では、吸蔵型NOx
触媒25からSOxを放出する再生度合が所定範囲に保
たれるように制御、つまり、吸蔵型NOx触媒25の触
媒温度Tcat が活性温度(例えば、250〜350℃)
より高く、且つ、吸蔵されたSOxを脱離するのに適し
た温度(例えば、650℃〜800℃)あるいはそれよ
り低く設定された昇温設定温度ZSTEMP以上となっ
た場合に、点火時期をリタードして吸蔵型NOx触媒2
5を昇温させると共に空燃比をリッチ化してSOxを放
出する。
【0042】従って、吸蔵型NOx触媒25がある程度
高温状態にあるときに、アシスト的に吸蔵型NOx触媒
25を昇温してS再生速度の遅いSOx放出速度に適し
た触媒温度域においてSOxを放出して再生している。
そのため、吸蔵型NOx触媒25が低温状態でSOxの
放出に最適な温度まで昇温するのに長時間を要するよう
な場合に無理にS再生を実施するものではない。これに
よって長時間のリッチ化及び点火時期リタード、及び低
温から大きく昇温しなければならないための大幅なリタ
ードを行う必要がなく、燃費の悪化を抑制できる。
【0043】図8に一般的な走行時において本実施形態
によるアシスト的な昇温によるS再生制御を使用したと
きと、使用しなかったときの吸蔵型NOx触媒25の触
媒ベット温度の時間頻度の比較を示す。本制御を使用す
ることにより、S再生速度が速くS再生に適した650
℃以上の時間頻度が大きく増加し、よりS再生速度の速
い700℃以上の時間頻度も増加しており、効率よくS
再生できていることがわかる。
【0044】また、Sパージモードで触媒温度Tcat が
イオウ成分の脱離に最適な温度(例えば、650℃以
上)へ近づかない場合、設定時間Cを経過した後にSパ
ージモードを停止させるようにしている。従って、例え
ば、車両が市街地のような場所で加減速を繰り返す運転
状態のときは、吸蔵型NOx触媒25がSOxを放出す
るのに最適な高温状態になりにくいため、設定時間Cの
経過を待ってSパージモードを中止させており、これに
よってS再生効率が良くない温度帯ではリッチ化及び昇
温の継続に制限を設けることにより燃費の悪化を抑制で
きる。
【0045】なお、本実施形態では、吸蔵型NOx触媒
25の温度が活性温度を250℃〜350℃とし、吸蔵
されたSOxを脱離するのに適した温度を650℃〜8
00℃、より好ましくは700℃以上、昇温設定温度Z
STEMPを600℃から開始しS再生頻度により変化
させるようにしたが、各温度は吸蔵型NOx触媒25の
特性あるいはエンジン形態や排気温度などにより適宜設
定すればよいものであり、上述した実施形態に限定され
るものではない。また、上述した実施形態では、触媒装
置の昇温手段として点火時期リタードとしたが、吸蔵型
NOx触媒25を昇温させるようなものであれば、昇温
手段は膨張行程に追加燃料噴射を行う2段噴射や吸蔵型
NOx触媒25の上流の排気管21内に直接燃料を噴射
するようなもの、あるいは電気加熱触媒を用いるもので
あってもよい。また、Sパージ時のリッチ化方法として
も、前述の2段噴射あるいは排気管21内への直接燃料
噴射を用いてもよい。
【0046】また、吸蔵型NOx触媒25からSOxを
放出する再生度合が所定範囲に保たれるようにSパージ
を行うようにしたが、これに加えて、従来のような吸蔵
型NOx触媒25に吸蔵されたSOx量を推定してSパ
ージを行う装置を併設してもよい。この場合、従来のS
パージを行う装置は、副次的に使うことが好ましく、例
えば、本発明のSパージ制御に入る運転をドライバが行
わなかったときに限り触媒の再生を目的として強制的
に、または、SOx量の推定結果に基づいて作動させる
ことが燃費等の面で好ましい。更に、上述の実施形態で
は、エンジン11を筒内噴射型火花点火式直列ガソリン
エンジンとしたが、エンジン11は吸蔵型NOx触媒を
有するものであれば、吸気管噴射型のリーンバーンエン
ジンあるいはディーゼルエンジンであってもよい。
【0047】
【発明の効果】以上、実施形態において詳細に説明した
ように請求項1の発明の内燃機関の排気浄化装置によれ
ば、燃費の悪化を抑制しながら、触媒装置の再生を効率
的に行うことができる。
【0048】また、請求項2の発明の内燃機関の排気浄
化装置によれば、触媒装置の触媒再生情報またはイオウ
成分による被毒情報に基づいて再生するようにしたの
で、触媒装置の被毒または再生状態を把握することで、
触媒装置を効率よく再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の排気浄化
装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の排気浄化装置によるSパージ制御
のフローチャートである。
【図3】Sパージ制御のタイムチャートである。
【図4】S再生頻度に対する昇温設定温度を表すグラフ
である。
【図5】触媒温度推定値に対する反映係数を表すグラフ
である。
【図6】S再生頻度とNOx排出量との関係を表すグラ
フである。
【図7】S再生A/Fに対するS再生後の回復したNO
x吸蔵触媒を表すグラフである。
【図8】一般走行において本実施形態を使用したときと
使用しなかったときの触媒温度の時間頻度を表すグラフ
である。
【符号の説明】
11 エンジン(内燃機関) 13 点火プラグ 14 燃料噴射弁 15 燃焼室 17 スロットル弁 18 スロットルセンサ 20 クランク角センサ 21 排気管(排気通路) 22 三元触媒 23 排気浄化触媒装置(触媒装置) 24 高温センサ 25 吸蔵型NOx触媒 26 三元触媒 28 電子コントロールユニット,ECU(再生手段、
作動制御手段、脱離頻度検知手段、設定温度変更手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G091 AA02 AA12 AA13 AA17 AA23 AA24 AA28 AB03 AB06 AB08 AB09 AB11 BA11 BA14 BA15 BA19 BA33 CA03 CA18 CB02 CB03 CB05 DA01 DA02 DA03 DB06 DB10 DB13 EA01 EA07 EA17 EA30 EA31 EA33 EA38 FB10 FB11 FB12 FC02 GB02X GB03X GB05W GB06W HA12 HA18 HA36 HA37 HA47

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路に設けられて排気空
    燃比が少なくともリーン空燃比のときに排気ガス中のイ
    オウ成分を吸蔵する触媒装置と、該触媒装置の温度が活
    性温度より高く且つ吸蔵されたイオウ成分を脱離するの
    に適した温度あるいはそれより低く設定された設定温度
    以上となった場合に前記触媒装置を昇温させて前記イオ
    ウ成分を該触媒装置から脱離させる再生手段とを具えた
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置
    において、前記再生手段の作動するときの前記触媒装置
    の触媒再生情報またはイオウ成分による被毒情報に基づ
    いて該再生手段の作動を制御する作動制御手段を設けた
    ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
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