JP2001019910A - ボルト固定用固着剤 - Google Patents

ボルト固定用固着剤

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JP2001019910A
JP2001019910A JP11192451A JP19245199A JP2001019910A JP 2001019910 A JP2001019910 A JP 2001019910A JP 11192451 A JP11192451 A JP 11192451A JP 19245199 A JP19245199 A JP 19245199A JP 2001019910 A JP2001019910 A JP 2001019910A
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acrylate
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methacrylate
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Hitoshi Matsunami
斉 松浪
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NIPPON DEKORATSUKUSU KK
Nippon Decoluxe KK
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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NIPPON DEKORATSUKUSU KK
Nippon Decoluxe KK
Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体に対して悪影響を及ぼさず、かつ引抜き
強度及び耐アルカリ性に優れたボルト固定用固着剤を提
供すること。 【解決手段】 PII値(皮膚毒性指数)が3以下の
(メタ)アクリル系化合物(A)及び分子量3000〜
30000の不飽和ポリエステル樹脂(B)を含有して
なり、該(メタ)アクリル系化合物(A)がモノ(メ
タ)アクリレート或いはジ(メタ)アクリレートと3
個以上の(メタ)アクリレート基をもつポリ(メタ)ア
クリレートとの混合物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート、岩
盤等にアンカーボルトを固着するためのボルト固定用固
着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アンカーボルトの固着方法として
コンクリート等の基材に穿孔し、その孔に容器に収容し
た固着剤を装填して、ハンマードリル等に接合したアン
カーボルトに回転衝撃を与えながらアンカーボルトを挿
入し、容器を破砕し容器に収容された固着剤を硬化さ
せ、アンカーボルトを固着する方法が知られている。こ
の方法に用いられる固着剤としては、液状不飽和ポリエ
ステル樹脂を主成分とする樹脂を充填したガラス製容器
中に過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物を主成分とする
硬化剤を密封したガラス管に収容させた形状のものが知
られており、該固着剤の要求性能としては、一般的に耐
アルカリ性及び固着した際の引抜強度が挙げられる。
【0003】かかる不飽和ポリエステル樹脂には、通常
架橋性モノマーとしてスチレンが併用されており、該組
成物は適度の粘性を持ち、取り扱い面で優れており、か
なりの固着強度を発揮する上、不飽和ポリエステル樹脂
を構成する多価カルボン酸や多価アルコールを選択する
ことによって固有の性能が得られる。
【0004】かかるスチレンは揮発性が高く、悪臭も強
く、人体に対して悪影響を及ぼす恐れがあり、その使用
に際しては注意が必要で、毒性の少なく、取り扱いが便
利な架橋性モノマーが要請されると共に、引抜強度、耐
アルカリ性においてもスチレンと同等あるいはそれ以上
に優れた効果が得られることも強く望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者が鋭意
研究を重ねた結果、PII値(皮膚毒性指数)が3以下
の(メタ)アクリル系化合物(Α)及び重量平均分子量
3000〜30000の不飽和ポリエステル樹脂(Β)
からなり、該(メタ)アクリル系化合物(A)がモノ
(メタ)アクリレート或いはジ(メタ)アクリレートと
3個以上の(メタ)アクリレート基をもつポリ(メ
タ)アクリレートとの混合物からなるボルト固定用固着
剤が、かかる目的を達成し得ることを見出し本発明を完
成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系化合物(A)と
は、PII値(皮膚毒性指数)が3以下の(メタ)アク
リル系化合物(A)であり、尚かつ該(メタ)アクリル
系化合物(A)がモノ(メタ)アクリレート或いはジ
(メタ)アクリレートと3個以上の(メタ)アクリレ
ート基をもつポリ(メタ)アクリレートの混合物である
ことが必要である。
【0007】該モノ(メタ)アクリレートとしては、
フェニルエチルメタクリレート(PII値=0.5)、
テトラヒドロフルフリルメタクリレート(PII値=
0.8)、シクロヘキシルメタクリレート(PII値=
0.8)、ベンジルメタクリレート(PII値=0.
8)、2−エチルヘキシルメタクリレート(PII値=
0.8)、エトキシジエチレングリコールアクリレート
(PII値=2.1)、フェノキシエチルアクリレート
(PII値=1.5)、フェノキシポリエチレングリコ
ールアクリレート(PII値=0.7)、ノニルフェノ
キシアクリレート(PII値=2.0)、ラウリルアク
リレート(PII値=3.0)、イソボルニルアクリレ
ート(PII値=0.6)、3−メトキシブチルアクリ
レート(PII値=2.1)、メトキシトリプロピレン
グリコールアクリレート(PII値=2.7)、エトキ
シジエチレングリコールアクリレート(PII値=2.
1)、フェノキシエチルアクリレート(PII値=1.
5)等が挙げられ、好ましくはフェニルエチルメタクリ
レート(PII値=0.5)、テトラヒドロフルフリル
メタクリレート(PII値=0.8)、シクロヘキシル
メタクリレート(PII値=0.8)、ベンジルメタク
リレート(PII値=0.8)、2−エチルヘキシルメ
タクリレート(PII値=0.8)が挙げられる。
【0008】該ジ(メタ)アクリレートとしては、E
O(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアク
リレート(PII値=0.5)、ポリエチレングリコー
ル(#300)ジアクリレート(PII値=0.0)、
ポリエチレングリコール(#400)ジアクリレート
(PII値=0.4)、ポリエチレングリコール(#2
00)ジアクリレート(PII値=2.4)、1,9−
ノナンジオールジアクリレート(PII値=2.0)、
テトラエチレングリコールジアクリレート(PII値=
2.3)、トリプロピレングリコールジアクリレート
(PII値=1.6)、ポリプロピレングリコールジア
クリレート(PII値=0.8)、1,6ヘキサンジオ
ールジアクリレート(PII値=1.02)、ジエチレ
ングリコールジメタクリレート(PII値=0.5)、
ポリエチレングリコール(#200)ジメタクリレート
(PII値=0.5)、1,6ヘキサンジオールジメタ
クリレート(PII値=0.5)、2−ヒドロキシ−
1,3−ジメタクリロキシプロパン(PII値=0.
6)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキ
シ)フェニル]プロパン(PII値=1.0)、2,2
−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニ
ル]プロパン(PII値=0.9)等が挙げられ、好ま
しくはトリプロピレングリコールジアクリレート(PI
I値=1.6)、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト(PII値=0.5)である。
【0009】該ポリ(メタ)アクリレートとしては、
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PII値=
2.8)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(PII値=0.8)、トリメチロールプロパントリア
クリレート(PII値=1.6)、トリメチロールプロ
パントリメタクリレート(PII値=1.5)、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアクリレ
ート(PII値=1.5)、ペンタエリスリトールテト
ラアクリレート(PII値=2.8)、プロポキシ化グ
リセリルトリアクリレート(PII値=1.5)等が挙
げられ、好ましくはペンタエリスリトールトリアクリレ
ート(PII値=2.8)、トリメチロールプロパント
リアクリレート(PII値=1.6)、トリメチロール
プロパントリメタクリレート(PII値=1.5)、ト
リメチロールプロパンエチレンオキサイド付加トリアク
リレート(PII値=1.5)、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート(PII値=2.8)、プロポキシ
化グリセリルトリアクリレート(PII値=1.5)で
ある。
【0010】本発明では、上記(メタ)アクリル系化合
物(Α)としては、の少なくとも1種との少なくと
も1種を組合せた混合物であることが必要であり、上記
との混合重量比は/=50/50〜95/5が
好ましく、更には80/20〜95/5である。該重量
比が50/50未満では粘度が高くなり取扱いが悪くな
る傾向があり、95/5を越えると引抜強度が低くな
り、硬化性も悪くなる傾向があり好ましくない。
【0011】また、本発明で用いられる不飽和ポリエス
テル樹脂(B)とは、重量平均分子量が3000〜30
000であることが必要で、好ましくは4000〜25
000である。該分子量が3000未満では、硬化速度
が遅くなり、かつ硬化物の物性が悪くなり、30000
を越えると粘度が高くなって不適当である。
【0012】なお、本発明の重量平均分子量とは、ゲル
パーミッションクロマトグラフィー(GPC)によって
測定されるもので、例えばショーデックスシステム(昭
和電工社製)でKF−806のカラムを用い、テトラヒ
ドロフランを溶媒としポリスチレンを標準として測定す
ることができる。
【0013】該不飽和ポリエステル樹脂(B)は、通常
不飽和多塩基酸(必要に応じて飽和塩基酸が併用され
る)と多価アルコールとの縮合生成物で、該不飽和多塩
基酸としては例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマ
ール酸、無水イタコン酸、イタコン酸等が挙げられ、飽
和多塩基酸としては無水フタル酸、フタル酸、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ヘット酸、アジピン酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル
酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸、無水ピロメリット酸、6−メチル−4−シクロヘ
キセン−1,2,3トリカルボン酸無水物等が挙げられ
る。
【0014】又、該不飽和多塩基酸と縮重合させられる
多価アルコール成分としては、ビスフェノ−ルA型アル
キレンオキサイド付加物、トリシクロ[5,2,1,0
2.6]シクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリ
コール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、
ネオペンチルグリコール、トリメチロ−ルエタン、トリ
メチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ルなどが挙げられるが、本発明においては、耐蝕性及び
硬化収縮性の点から多価アルコール成分としてビスフェ
ノ−ルA型アレキレンオキサイド付加物や1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、トリシクロ[5,2,1,0
2. 6]シクロデカンジメタノール等の脂環式ジアルコー
ルを用いることが望ましい。
【0015】ビスフェノ−ルA型アレキレンオキサイド
付加物として具体的には、ビスフェノ−ルA型エチレン
オキサイド付加物、ビスフェノールA型プロピレンオキ
サイド付加物等が挙げられ、ビスフェノールA型エチレ
ンオキサイド付加物とは、下記一般式(1)で表され、
ビスフェノールA型・プロピレンオキサイド付加物と
は、下記一般式(2)で示される化合物である。
【0016】
【化1】 (Pheはp-フェニレン基を示す。n、mはいずれも1以
上の整数を示し、1≦n、m≦3の付加物が好適に用い
られる。)
【0017】
【化2】 (Pheはp-フェニレン基を示す。n、mはいずれも1以
上の整数を示し、1≦n、m≦3の付加物が好適に用い
られる。)
【0018】ビスフェノールA型アルキレンオキサイド
付加物の配合量は、多価アルコール成分中に5〜70モ
ル%が好ましく、更に好ましくは10〜60モル%であ
り、該付加物が過少になるとコスト的に不利となり、逆
に過多になると粘度が高くなり、作業性の問題により分
子量が抑制されるため引抜強度の低下が大きくなる傾向
にあり好ましくない。
【0019】また、トリシクロ[5,2,1,02.6
シクロデカンジメタノールや1,4−シクロヘキサンジ
メタノールの多価アルコール成分中の配合量は、10〜
55モル%が好ましく、更に好ましくは20〜40モル
%であり、該成分が過少になると耐アルカリ性或いは固
着強度が低下し、逆に過多になると引抜強度低下を招く
恐れがあり好ましくない。
【0020】更に本発明においては、得られる不飽和ポ
リエステル樹脂(B)に空乾性を付与する必要がある時
には、多価アルコールアリルエーテル成分を使用する。
多価アルコールアリルエーテル成分としては、ペンタエ
リスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトー
ルジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリル
エーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテ
ル、トリメチロールエタンジアリルエーテル、トリメチ
ロールエタンモノアリルエーテル、グリセリンジアリル
エーテル、グリセリンモノアリルエーテル、テトラメチ
ロールシクロヘキサノールジアリルモノクロチルエーテ
ル、ヘキサメチロールメラミンジアリルジクロチルエー
テル、ヘキサントリオールジアリルエーテル、ペンタエ
リスリトールジアリルクロチルエーテル、テトラメチロ
ールシクロヘキサノールトリアリルエーテル、テトラメ
チロールシクロヘキサノンジアリルエーテル、ヘキサメ
チロールメラミンテトラアリルエーテルなど分子中に少
なくとも1個の水酸基を有するアリルエーテルが例示で
きる。また必要であれば同一の目的のために、ジシクロ
ペンタジエンも使用することが出来る。
【0021】該多価アルコールアリルエーテル成分は、
アリル基として、多塩基酸成分1モルに対して0.05
モル以上、好ましくは0.2モル以上用いることが望ま
しく、0.05モル未満では空乾性が不足する。上限は
反応限界まで可能である。上記各成分は、常法に従い、
不活性ガス雰囲気下温度180〜220℃程度で反応さ
せることにより、目的とする不飽和ポリエステル樹脂
(B)が取得できる。
【0022】不飽和ポリエステル樹脂(B)の製造に当
たっては、上記の各成分を使用して、常法に従い、不活
性ガス雰囲気中温度150〜250℃程度で縮合又は付
加反応させればよく、得られた不飽和ポリエステル樹脂
(B)は通常酸価が30〜50mgKOH/g程度であ
り、好ましくはエステル化を促進したりして酸価を10
〜20mgKOH/g程度の範囲にすることが好まし
い。
【0023】本発明のボルト固定用固着剤は上記の不飽
和ポリエステル樹脂(B)に(メタ)アクリル系化合物
(Α)が配合された組成物と、硬化剤とを併用する。
【0024】かかる硬化剤としては、メチルエチルケト
ンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾ
エートなどが用いられる。
【0025】また、本発明のボルト固定用固着剤には、
必要に応じて、骨材又は充填剤を混入することができ、
これらは特に限定されないが、骨材としては天然ケイ砂
等の天然砕石又はマグネシアクリンカー等の人工石等を
使用することができ、充填剤としては炭酸カルシウム、
カオリン、クレー、タルク、マイカ、アルミナ、アスベ
スト粉、微粉シリカ、硫酸バリウム、リトポン、石コ
ウ、ステアリン酸亜鉛、パーライト、硫酸カルシウム、
無水ケイ酸、粘土等を使用することができる。また、必
要に応じてジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメ
チル−p−トルイジン等の硬化助剤を添加してもよい。
更に、顔料(チタン白、シアニンブルー、ウォッチング
レッド、ベンガラ、カーボンブラック、アニリンブラッ
ク、マンガンブルー、鉄黒、ウルトラマリンブルー、ハ
ンザレッド、クロームイエロー、クロームグリーンな
ど)、レベリング剤(シリコーン、セルロースアセテー
トブチレート、界面活性剤など)、安定剤、熱可塑性樹
脂(高密度、中密度、低密度の各種ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等の単独重合
体、エチレン−プロピレン共重合体、ナイロン−6、ナ
イロン−6,6等のポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹
脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、
アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、スチレン系樹
脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂な
ど)、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維など)、垂れ止め
剤(水添ヒマシ油、微粒子無水硅酸など)、艶消し剤
(微粉シリカ、パラフィンワックスなど)、研削剤(ス
テアリン酸亜鉛など)などを配合することも可能であ
る。
【0026】本発明のボルト固定用固着剤の配合組成は
用途に応じて広範囲に変化するが、通常は不飽和ポリエ
ステル樹脂(B)100重量部に対して、(メタ)アク
リル系化合物(A)50〜200重量部、好ましくは7
0〜150重量部、硬化剤0.5〜10重量部、好まし
くは1〜5重量部、骨材又は充填剤0〜500重量部程
度が実用的である。本発明のボルト固定用固着剤は具体
的には上記の如き配合組成のものであるが、その実用に
際しては、例えば、破砕可能な外容器と破砕可能な内容
器とからなり、硬化剤を密封した内容器と、不飽和ポリ
エステル樹脂(B)及び(メタ)アクリル系化合物
(A)と必要に応じて骨材とを外容器に収容し密封した
もの、あるいは不飽和ポリエステル樹脂(B)及び(メ
タ)アクリル系化合物(A)を密封した内容器と、硬化
剤と必要に応じて骨材とを外容器に収容し密封したもの
等の形態で用いることができる。これらの容器は、運搬
又は保管時に破壊されず、アンカーボルト挿入時に簡単
に破壊され細片となる容器であり、その素材はガラス、
陶磁器、合成樹脂又は合成樹脂フイルムからなるもので
ある。その他にも容器を用いず不飽和ポリエステル樹脂
(B)及び(メタ)アクリル系化合物(A)と硬化剤を
混合してアンカーボルト挿入時に注入して注入施工にも
用いることができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断り
のない限り重量基準を示す。 実施例1 撹拌器、還流冷却器付きのフラスコに、フマール酸4.
3モル、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加
物3.6モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール
1.4モル、ネオペンチルグリコール1.4モル及びヒ
ドロキノンを総仕込み量の0.015%になるように仕
込み、窒素気流中で195℃にて酸価が15mgKOH
/gになるまで反応を行ない、重量平均分子量1400
0の不飽和ポリエステル樹脂(B)を得た。上記不飽和
ポリエステル樹脂(B)500部に、(メタ)アクリル
系化合物(A)〔テトラヒドロフルフリルメタクリレ
ート450部、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート50部の混合物〕500部と、ジエチルアニリン1
3部を添加してボルト固定用固着剤を製造した。次に、
外径5mm、長さ70mmのガラス製内容器に硫酸カル
シウムで50%に希釈したベンゾイルパーオキシド0.
45部を密封して、これを外径16mm、長さ100m
mのガラス製容器に収容し、更に直径2mmの天然けい
砂と上記で得た固着剤8.8部を充填し、ナイロン製キ
ャップで密封し最終の商品形態とした。該固着剤につい
て以下の物性を評価した。
【0028】(臭気)作製時の臭気を評価した。 ○・・・臭気をほとんど感じない。 ×・・・臭気が強い。
【0029】(引抜強度)圧縮強度150kg/cm2
のコンクリートに内径19mm、長さ110mmの穿孔
を行い、その孔内に該固着剤を挿入した後、先端45度
カットのM16全ネジSCM435ボルトを電動ドリル
に装着し、回転衝撃を与えながら孔底まで挿入し24時
間養生後の最大の引抜強度を測定した。測定方法は図1
に示すように、カプラー2を介して固着したボルト1の
頭部にテンションバー(高張力綱棒)3を固定し、ロー
ドセル4、ラム5及びダイヤルゲージ7を取り付け、次
に油圧ポンプ6の油圧を上げ、ラム5及びテンションバ
ー3を介してボルト1に引抜荷重をロードセル4により
検知し、デジタル測定器8に表示する。
【0030】(耐アルカリ性)コンクリート中に埋め込
まれた固着剤の樹脂硬化物は、コンクリートの持つ強ア
ルカリ性により時間の経過と共に物性が低下することが
予想されるので、上記で得た不飽和ポリエステル樹脂
(B)と(メタ)アクリル系化合物(A)との組成物1
00部に、ベンゾイルパーオキシド2部を加えて、10
×70×3mmの硬化成型物を作製し、それを100℃
で100時間、10%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬
し、その重量減少率を測定した。
【0031】実施例2 実施例1において、テトラヒドロフルフリルメタクリ
レートに替えてフェニルエチルメタクリレートを用い
た以外は同様に実施して、ボルト固定用固着剤を製造
し、同様に評価した。
【0032】実施例3 実施例1において、テトラヒドロフルフリルメタクリ
レートに替えて2−エチルヘキシルメタクリレートを
用いた以外は同様に実施して、ボルト固定用固着剤を製
造し、同様に評価した。
【0033】実施例4 実施例1において、トリメチロールプロパントリアク
リレートに替えてトリメチロールプロパンエチレンオ
キサイド付加トリアクリレートを用いた以外は同様に実
施して、ボルト固定用固着剤を製造し、同様に評価し
た。
【0034】実施例5 実施例1において、トリメチロールプロパントリアク
リレートに替えてプロポキシ化グリセリルトリアクリ
レートを用いた以外は同様に実施して、ボルト固定用固
着剤を製造し、同様に評価した。
【0035】実施例6 実施例1において、トリメチロールプロパントリアク
リレートに替えてペンタエリスリトールトリアクリレ
ートを用いた以外は同様に実施して、ボルト固定用固着
剤を製造し、同様に評価した。
【0037】実施例7 実施例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂(B)50
0部に、(メタ)アクリル系化合物(A)〔ジエチレ
ングリコールジメタクリレート450部、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート50部の混合物〕500
部と、ジエチルアニリン13部を添加して粘度3100
mPa・s(20℃)、酸価6.7mgKOH/gのボ
ルト固定用固着剤を製造し、同様に評価した。
【0038】比較例1 実施例1において、(メタ)アクリル系化合物(A)の
替りに、スチレン450重量部を用いた以外は同様に実
施して、ボルト固定用固着剤を製造し、同様に評価し
た。
【0039】比較例2 実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂(B)の製
造時に、反応時間を短くして酸価を100mgKOH/
gに調整して、重量平均分子量2000の不飽和ポリエ
ステル樹脂(B)を製造し、実施例1と同様に評価し
た。
【0040】比較例3 実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂(B)の製
造時に、反応時間を長くして酸価を5mgKOH/gに
調整して、重量平均分子量40000の不飽和ポリエス
テル樹脂(B)を製造し、実施例1と同様に評価した。
実施例1〜7、比較例1〜3の評価結果を表1に示し
た。
【0041】
【表1】 *固着剤の粘度が高く、ガラス容器に流しこめなかった
ので、評価しなかった。
【0042】
【発明の効果】本発明のボルト固定用固着剤は、特定の
(メタ)アクリル系化合物を組合わせて配合しているた
め、人体に対して悪影響を及ぼさず、取り扱いが便利で
しかも、引抜強度、耐アルカリ性においてもスチレンと
同等あるいはそれ以上に優れて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボルトの引抜強度の測定装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・・固着したボルト、2・・・・カプラー、3・
・・・テンションバー、4・・・・ロードセル、5・・
・・ラム、6・・・・油圧ポンプ、7・・・・ダイヤル
ゲージ、8・・・・デジタル測定器。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J040 DF031 DF032 DF061 DF062 ED111 ED112 FA141 FA142 FA151 FA152 FA161 FA162 FA171 FA172 HB41 JA01 JB02 KA16 LA01 MA02 MA06 MB06 MB10 NA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PII値(皮膚毒性指数)が3以下の
    (メタ)アクリル系化合物(Α)及び重量平均分子量3
    000〜30000の不飽和ポリエステル樹脂(Β)を
    含有してなり、該(メタ)アクリル系化合物(A)が
    モノ(メタ)アクリレート或いはジ(メタ)アクリレー
    トと3個以上の(メタ)アクリレート基をもつポリ
    (メタ)アクリレートとの混合物からなることを特徴と
    するボルト固定用固着剤。
  2. 【請求項2】 モノ(メタ)アクリレートがフェニル
    エチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタク
    リレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジル
    (メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレ
    ート、フェノキシエチルメタクリレートから選ばれる少
    なくとも一種で、ジ(メタ)アクリレートがジエチレ
    ングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコ
    ールジアクリレートから選ばれる少なくとも一種で、
    3個以上の(メタ)アクリレート基をもつポリ(メタ)
    アクリレートがペンタエリスリトールトリアクリレー
    ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
    ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加ト
    リアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレ
    ートから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とす
    る請求項1記載のボルト固定用固着剤。
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