JP2001019823A - 熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形体

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JP2001019823A
JP2001019823A JP11192366A JP19236699A JP2001019823A JP 2001019823 A JP2001019823 A JP 2001019823A JP 11192366 A JP11192366 A JP 11192366A JP 19236699 A JP19236699 A JP 19236699A JP 2001019823 A JP2001019823 A JP 2001019823A
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cyclic olefin
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Akira Todo
堂 昭 藤
Shinya Matsunaga
永 慎 也 松
Hideo Matsuoka
岡 英 夫 松
Kazuki Miyamoto
本 和 樹 宮
Kazuhiko Kobayashi
林 和 彦 小
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Mitsui Chemicals Inc
Toray Industries Inc
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Mitsui Chemicals Inc
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(a)
特定の環状オレフィン系樹脂と、(b)グラフト変性環
状オレフィン系樹脂と、(c)変性エラストマーと、
(d)末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の関
係が下記式(A)を満足するポリアミドとからなる。 [末端アミノ基濃度]―[末端カルボキシル基濃度]≧0.5×10-5eq/g …(A) 【効果】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強度が
高く、表面性、特に表面剥離が少なく、さらに表面光沢
にも優れる成形体を提供することができる。また、本発
明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミドと比較して成形
時の収縮率を低減すると同時に吸水率を低減することが
できる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて
形成された成形体は、衝撃強度が高く、表面性、特に表
面剥離が少なく、表面光沢に優れ、吸水性が低いと共
に、耐油性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、環状オレフィン系樹脂
と、グラフト変性環状オレフィン系樹脂と、グラフト変
性されたエラストマーと、ポリアミドとからなる耐衝撃
性に優れた熱可塑性樹脂組成物ならびに該組成物からな
る成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から使用されているポリオレ
フィンは、耐薬品性および耐溶剤性に優れた樹脂である
が、結晶化度が低い場合には、充分な剛性および耐熱
性、耐溶剤性を有しているとはいえない。
【0003】このため、ポリオレフィンの耐熱性および
剛性を改善するために造核剤を添加する方法、あるいは
溶融状態にあるポリオレフィンを徐冷して結晶化度を上
げる方法が採られているが、その効果は充分であるとは
言い難い。
【0004】このような従来のポリオレフィンとは別
に、エチレンと嵩高なモノマーとを反応させることによ
って得られる共重合体が、従来のポリオレフィンと比較
して耐熱性等の諸特性に優れていることが報告されてい
る(例えば米国特許第2,883,372号、特公昭4
6−14910号公報参照)。
【0005】そして、嵩高なモノマーとして特定の環状
オレフィンを使用し、この環状オレフィンとエチレンと
を共重合させて得られた環状ランダム共重合体が耐熱
性、耐熱老化性、誘電特性および剛性に優れているとの
知見に基づいて、本出願人は、特定の環状オレフィンを
用いたランダム共重合体について既に出願している(特
開昭60−168708号公報、特開昭61−1208
16号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭
61−115916号公報、特開昭61−271308
号公報、特開昭61−272216号公報、特開昭62
−252406号公報、特開昭62−252407号公
報参照)。
【0006】他方、ポリアミドの特性を改良するため
に、他の樹脂を配合することも試みられている。また、
特開平5−9350号公報には、環状オレフィン系樹脂
と、グラフト変性環状オレフィン系樹脂と、グラフト変
成されたエラストマーと、ポリアミドとからなる、耐衝
撃性に優れた樹脂組成物が提案されている。
【0007】しかしながら、このような種々の改良にも
拘らず、吸水性、成形収縮率あるいは耐熱剛性などの特
性についてはさらに改良の余地があった。本発明者は、
このような状況に鑑みて、環状オレフィン系樹脂の優れ
た特性を損なうことなく、さらに機械的強度に優れた樹
脂組成物を得るために鋭意研究した結果、環状オレフィ
ン系樹脂と、グラフト変性環状オレフィン系樹脂と、グ
ラフト変性されたエラストマーと、ポリアミドとからな
る樹脂のうち、特に末端アミノ基濃度の高いポリアミド
を用いた樹脂が、広い温度領域における耐衝撃性に特に
優れることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【発明の目的】本発明は、環状オレフィン系樹脂を含
み、特に衝撃強度等の機械的特性に優れ、かつ、光沢、
耐溶剤性、低吸水性に優れた成形体を形成することがで
きる熱可塑性樹脂組成物ならびに、該組成物からなる各
種物性に優れた成形体を提供することを目的としてい
る。
【0009】さらに詳しくは、本発明は、環状オレフィ
ン系樹脂の優れた特性を損なうことなく、衝撃強度等の
機械的特性に特に優れ、形状特性、耐溶剤性および表面
光沢に優れると共に、吸水率も低い成形体を形成するこ
とができる、環状オレフィン系樹脂を含有する樹脂組成
物ならびに、該組成物からなる各種物性に優れた成形体
を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、
(a)(a-1) エチレンと次式(I)で表される環状オレ
フィンとの共重合体と、(a-2) 次式(I)で表される環
状オレフィンの単独開環重合体と、(a-3) 次式(I)で
表される2種以上の環状オレフィンの開環共重合体と、
(a-4) 上記(a-2) または(a-3) の水素添加物とよりなる
群から選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィン系樹
脂と、(b)上記(a-1) 、(a-2) 、(a-3) または(a-4)
を不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボン酸誘導体
で変性したグラフト変性環状オレフィン系樹脂と、
(c)不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボン酸誘
導体で変性された、23℃での引張モジュラスが0.0
1〜200MPaであるエラストマーと、(d)末端アミ
ノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の関係が下記式
(A)を満足するポリアミドとからなり、かつ(a)成
分、(b)成分、(c)成分および(d)成分からなる
合計100重量部の組成物あたり、(a)成分を0〜5
9.5重量部、(b)成分を0.5〜60重量部、
(c)成分を2〜30重量部、(d)成分を20〜60
重量部含むことを特徴としている;
【0011】
【化2】
【0012】(ただし、上記式(I)において、nは0
または1であり、mは0または正の整数であり、qは0
または1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、
それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水
素基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R
15〜R18は、互いに結合して単環または多環の基を形成
していてもよく、かつ該単環または多環の基が二重結合
を有していてもよく、また、R15とR16とで、またはR
17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。) [末端アミノ基濃度]―[末端カルボキシル基濃度]≧0.5×10-5eq/g …(A)。
【0013】また、本発明に係る成形体は、上述の熱可
塑性樹脂組成物からなることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】<熱可塑性樹脂組成物>本発明に
係る熱可塑性樹脂組成物は、(a)環状オレフィン系樹
脂と、(b)不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボ
ン酸誘導体で変性した環状オレフィン系樹脂と、(c)
不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボン酸誘導体で
グラフト変性された、23℃での引張モジュラスが0.
01〜200MPaであるエラストマーと、(d)末端ア
ミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度がある特定の関係
を満たすポリアミドとからなり、かつ(a)成分、
(b)成分、(c)成分および(d)成分からなる合計
100重量部の組成物あたり、(a)成分を0〜59.
5重量部、好ましくは0〜40重量部、さらに好ましく
は0〜35重量部、特に好ましくは0.01〜35重量
部を含み、(b)成分を0.5〜60重量部、好ましく
は0.5〜55重量部、特に好ましくは5〜55重量部
含み、(c)成分を2〜30重量部、好ましくは5〜3
0重量部、特に好ましくは5〜25重量部含み、(d)
成分を20〜60重量部、好ましくは25〜60重量
部、特に好ましくは30〜55重量部含む。
【0015】この樹脂組成物を用いて形成された成形体
は衝撃強度が高く、表面性、特に表面剥離が少なく、表
面光沢のよい成形体を得ることができる。そして、この
成形体は、吸水性が低いと共に、耐油性にも優れてい
る。 <環状オレフィン系樹脂(a)>本発明で使用される
(a)成分、すなわち環状オレフィン系樹脂成分として
は、(a-1) エチレンと次式(I)で表される環状オレフ
ィンとの共重合体と、(a-2) 次式(I)で表される環状
オレフィンの単独開環重合体と、(a-3) 次式(I)で表
される2種以上の環状オレフィンの開環共重合体と、(a
-4) 上記(a-2) または(a-3) の水素添加物とを例示する
ことができる。
【0016】これらの環状オレフィン系樹脂成分は、単
独で使用することもできるし、異なる重合体あるいは共
重合体を組み合わせて使用することもできる。
【0017】
【化3】
【0018】ただし、上記式(I)において、nは0ま
たは1であって、好ましくは0であり、mは0または正
の整数であって、好ましくは0〜3であり、qは0また
は1であり、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それ
ぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基
よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表す。ここ
で、ハロゲン原子としては、たとえば、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子およびヨウ素原子をあげることがで
き、また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常
は炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6の
シクロアルキル基をあげることができ、アルキル基の具
体的な例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、イソブチル基、アミル基をあげることができ、シク
ロアルキル基の具体的な例としては、シクロヘキシル
基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基をあげることができる。
【0019】なお、上記式(I)において、qが0の場
合は、qを用いて表される環は五員環を形成する。さら
に、上記式(I)において、R15〜R18は互いに結合し
て(共同して)単環または多環を形成していてもよく、
かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよい。
このような単環または多環としては、以下に挙げる単環
または多環を例示することができる。またさらに、これ
らの環は、メチル基などの置換基を有していてもよい。
【0020】
【化4】
【0021】なお、上記式で示す単環または多環におい
て、1および2の数字を付して示した炭素原子は、式
(I)においてR15〜R18で表される基が結合している
脂環構造の炭素原子を表す。
【0022】また、上記式(I)は、R15とR16とで、
またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していても
よい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数
2〜4のアルキリデン基をあげることができ、その具体
的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基、イソ
プロピリデン基およびイソブチリデン基をあげることが
できる。
【0023】上記のような環状オレフィン系樹脂(a-
1)〜(a-4)は、135℃のデカリン中で測定した極限
粘度[η]が、0.3〜2.0dl/gの範囲内、好まし
くは0.4〜1.2dl/gの範囲内にある。また、この
環状オレフィン系樹脂(a-1)〜(a-4)のサーマル・メ
カニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TMA)
は、通常、70〜250℃の範囲内、好ましくは100
〜200℃の範囲内にあり、さらに、ガラス転移温度
(Tg)は、通常、50〜230℃の範囲内、好ましく
は80〜180℃の範囲内にあり、X線回析法によって
測定した結晶化度は、通常、0〜20%の範囲内、好ま
しくは0〜2%の範囲内にある。
【0024】上記のような環状オレフィン系樹脂(a)
のうち、エチレンと上記式(I)で表わされる環状オレ
フィンとの共重合体(a-1)は、例えば、触媒の存在下
に、液相中でエチレンと、上記式(I)で表される環状
オレフィンである不飽和単量体とを共重合させることに
より得ることができる。
【0025】上記式(I)で表される環状オレフィン
は、シクロペンタジエン類と、相応するオレフィン類あ
るいは環状オレフィン類とをディールス・アルダー反応
により縮合させることにより容易に製造することができ
る。
【0026】このような上記式(I)で表される環状オ
レフィンとしては、具体的には、たとえば、ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、テトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導
体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.0
2,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシク
ロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.0
3,8.012, 17]−5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ
[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデ
セン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘ
プタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ
[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体、トリシク
ロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、ペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4
−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン
誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12
8,13]−3−ペンタデセン誘導体、ヘプタシクロ
[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7 .0
11,16]−4−エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.
9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.0
12 ,21 .014,19]−5−ペンタコセン誘導体、ペンタ
シクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−
ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.1
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘン
エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.1
5,8.114,21.116,19.02,11.04,9.0 13,22.0
15,20]−5−ヘキサコセン誘導体などを挙げることが
できる。
【0027】以下にこのような化合物のさらに具体的な
例を示す。
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】
【化15】
【0039】
【化16】
【0040】
【化17】
【0041】
【化18】
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】上述のように(a-1)は、エチレンと、上
記式(I)で表わされる環状オレフィンとの共重合体で
あり、通常、エチレンと、上記式(I)で表わされる環
状オレフィンとのランダム共重合体であるが、(a-1)
は、共重合体の特性を損なわない範囲内で、その他のオ
レフィン化合物を共重合していてもよい。
【0045】本発明において、エチレンおよび上記の式
(I)で表わされる環状オレフィン化合物と共重合させ
ることができる他のオレフィン化合物の例としては、プ
ロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタ
デセンおよび1−エイコセン等の炭素原子数が3〜20
のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、
3−メチルシクロヘキセン、シクロオクテンおよび3
a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1
H−インデン等のシクロオレフィン;1,4−ヘキサジ
エン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル
−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシ
クロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン
および5−ビニル−2−ノルボルネン等の非共役ジエン
類;ノルボルネン−2、5−メチルノルボルネン−2、
5−エチルノルボルネン−2、5−イソプロピルノルボ
ルネン−2、5−n−ブチルノルボルネン−2、5−i
−ブチルノルボルネン−2、5,6−ジメチルノルボル
ネン−2、5−クロロノルボルネン−2、2−フルオロ
ノルボルネン−2および5,6−ジクロロノルボルネン
−2等のノルボルネン類を挙げることができる。
【0046】上記の、エチレンと式(I)で表わされる
環状オレフィンとの反応は、通常は、炭化水素溶媒中で
行なわれる。ここで用いられる炭化水素溶媒としては、
たとえばヘキサン、ヘプタン、オクタンおよび灯油等の
脂肪族炭化水素;シクロヘキサンおよびメチルシクロヘ
キサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。さらに
環状オレフィンランダム共重合体の調製の際に使用でき
る重合性不飽和単量体のうちで反応温度において液体で
ある化合物を反応溶媒として用いることもできる。これ
らの溶媒は単独で、あるいは組合わせて使用することが
できる。
【0047】上記のオレフィンと式(I)で表わされる
環状オレフィンとの反応の際に用いられる触媒として
は、反応溶媒として用いる炭化水素溶媒に可溶性のバナ
ジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒
を挙げることができる。
【0048】ここで触媒として用いられるバナジウム化
合物としては、式 VO(OR)abもしくは式 V
(OR)cdで表わされる化合物を挙げることができ
る。
【0049】ただし、上記の式において、Rは炭化水素
基であり、Xはハロゲンであり、0≦a≦3、0≦b≦
3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c
+d≦4の関係を有する。さらに、このバナジウム化合
物は、上記式で表わされるバナジウム化合物の電子供与
体付加物であってもよい。
【0050】このバナジウム化合物の例としては、 VOCl3、 VO(OC25)Cl2、 VO(OC252Cl、 VO(O−iso−C37)Cl2、 VO(O−n−C49)Cl2、 VO(OC253、 VOBr2、 VCl4、 VOCl2、 VO(O−n−C493、 VCl3・2(OC817OH) 等のバナジウム化合物を挙げることができる。これらの
バナジウム化合物は単独で、あるいは組合わせて使用す
ることができる。
【0051】また、上記のバナジウム化合物と付加物を
形成する電子供与体の例としては、アルコール、フェノ
ール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸また
は無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、
アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、
アミン、ニトリル、イソシアネート等の含窒素電子供与
体を挙げることができる。
【0052】このような電子供与体として用いることが
できる具体的な化合物の例としては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、
オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコー
ル、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニ
ルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピル
アルコールおよびイソプロピルベンジルアルコール等の
炭素数1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾー
ル、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノ
ール、ノニルフェノール、クミルフェノールおよびナフ
トール等の炭素数6〜20のフェノール類(これらのフ
ェノール類は、低級アルキル基を有していてもよい);
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、アセトフェノン、ベンゾフェノンおよびベンゾキノ
ン等の炭素数3〜15のケトン類;アセトアルデヒド、
プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズア
ルデヒド、トルアルデヒドおよびナフトアルデヒド等の
炭素数2〜15のアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オク
タル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸
メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢
酸エチル、メタクリル酸メチル、ジクロル酢酸エチル、
メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサ
ンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチ
ル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オク
チル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安
息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチ
ル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス
酸メチル、マレイン酸n−ブチル、メチルマロン酸ジイ
ソブチル、シクロヘキセンカルボン酸ジn−ヘキシル、
ナジック酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロ
ピル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタ
ル酸ジn−ブチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、γ
−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、クマリン、フ
タリドおよび炭酸エチレン等の炭素数2〜30の有機酸
エステル類;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、
トルイル酸クロリドおよびアニス酸クロリド等の炭素数
2〜15の酸ハライド類;メチルエーテル、エチルエー
テル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミル
エーテル、テトラヒドロフラン、アニソールおよびジフ
ェニルエーテル等の炭素数2〜20のエーテル類;酢酸
アミド、安息香酸アミドおよびトルイル酸アミド等の酸
アミド類;メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミ
ン、アニリン、ピリジン、ピコリンおよびテトラメチレ
ンジアミン等のアミン類;アセトニトリル、ベンゾニト
リルおよびトルニトリル等のニトリル類;ケイ酸エチル
およびジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラ
ン類を挙げることができる。これらの電子供与体は、単
独であるいは組合わせて使用することができる。
【0053】また、ここで使用される有機アルミニウム
化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl−炭素
結合を有する化合物を用いることができる。ここで有機
アルミニウム化合物の例としては、 (i)式 R1 mAl(OR2npq (ここでR1およびR2は炭素原子数、通常は1〜15
個、好ましくは1〜4個を含む炭化水素基で互いに同一
でも異なっていてもよい。Xはハロゲン、mは0≦m≦
3、nは0≦n<3、pは0≦n<3、qは0≦q<3
の数であって、しかもm+n+p+q=3である)で表
わされる有機アルミニウム化合物、 (ii)式 M1 AlR1 4 (ここでM1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ
意味である)で表わされる第1族金属とアルミニウムと
の錯アルキル化物を挙げることができる。
【0054】前記の式(i)で表わされる有機アルミニ
ウム化合物としては、具体的には以下に記載する化合物
を挙げることができる。 式 R1 mAl(OR23-m (ここでR1およびR2は前記と同じ意味であり、mは好
ましくは1.5≦m<3の数である)で表わされる化合
物。
【0055】式 R1 mAlX3-m (ここでR1は前記と同じ意味であり、Xはハロゲン、
mは好ましくは0<m<3である)で表わされる化合
物。
【0056】式 R1 mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ意味であり、mは好ましくは
2≦m<3である)で表わされる化合物。
【0057】式 R1 mAl(OR2nq (ここでR1およびR2は前記と同じ意味である。Xはハ
ロゲン、0<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+
n+q=3である)で表わされる化合物。
【0058】上記式(i)で表わされる有機アルミニウ
ム化合物の具体的な例としては、トリエチルアミニウム
およびトリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミ
ニウム;トリイソプロピルアルミニウム等のトリアルキ
ルアルミニウム;ジエチルアルミニウムエトキシドおよ
びジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアル
ミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエト
キシドおよびブチルアルミニウムセスキブトキシド等の
アルキルアルミニウムセスキアルコキシド;式 R1 2.5
Al(OR20.5等で表わされる平均組成を有する部分
的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチ
ルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリ
ドおよびジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキル
アルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロ
リド、ブチルアルミニウムセスキクロリドおよびエチル
アルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウム
セスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロ
ピルアルミニウムジクロリドおよびブチルアルミニウム
ジブロミド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部
分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチ
ルアルミニウムヒドリドおよびジブチルアルミニウムヒ
ドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリドあるいはエ
チルアルミニウムジヒドリドおよびプロピルアルミニウ
ムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の
ように部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エ
チルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウ
ムブトキシクロリドおよびエチルアルミニウムエトキシ
ブロミド等のように部分的にアルコキシ化およびハロゲ
ン化されたアルキルアルミニウムを挙げることができ
る。
【0059】また、有機アルミニウム化合物は、たとえ
ば酸素原子あるいは窒素原子を介して、2以上のアルミ
ニウムが結合した有機アルミニウム化合物のように式
(i)で表わされる化合物に類似する化合物であっても
よい。このような化合物の具体的な例としては、 (C252 Al O Al(C252、 (C492 Al O Al(C492
【0060】
【化21】
【0061】などを挙げることができる。また、前記の
式(ii)で表わされる有機アルミニウム化合物の例とし
ては、LiAl(C254およびLiAl(C715
4を挙げることができる。これらの中では、特にアルキ
ルアルミニウムハライド、アルキルアルミウムジハライ
ドまたはこれらの混合物を用いるのが好ましい。
【0062】上記のバナジウム化合物の使用量は、バナ
ジウム原子として、通常は、0.01〜5グラム原子/
リットル、好ましくは0.05〜3グラム原子/リット
ルの範囲内にある。また、有機アルミニウム化合物の使
用量は、重合反応系内のバナジウム原子に対するアルミ
ニウム原子の比(Al/V)として表わすと、2以上、
好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20の範囲に
ある。
【0063】上記のような触媒を用いて得られる環状オ
レフィンランダム重合体(a-1)は、通常、エチレン成
分単位を、52〜90モル%、好ましくは55〜80モ
ル%の範囲内で含み、環状オレフィンから誘導される繰
り返し単位を10〜48モル%、好ましくは20〜45
モル%の範囲内で含んでいる。なお、環状オレフィンラ
ンダム共重合体がエチレン成分単位以外のα−オレフィ
ン成分単位を含む場合、環状オレフィンランダム共重合
体中におけるこのα−オレフィン成分単位の含有率は、
通常20モル%以下、好ましくは10モル%以下であ
る。
【0064】本発明で使用される環状オレフィン系共重
合体(a-1)において、エチレン成分単位と環状オレフ
ィンから誘導される繰返単位とは、実質的に線状に配列
しており、さらにこれらの繰返し単位はランダムに配列
されている。
【0065】そして、本発明で使用される環状オレフィ
ン系共重合体(a-1)中において、前記式(I)で表さ
れる環状オレフィンから導かれる構成単位は下記式(I
I)で表される構造の繰り返し単位を形成していると考
えられる。
【0066】
【化22】
【0067】(式(II)中、m、n、qおよびR1〜R
18ならびにRa、Rbは前記式(I)における定義と同様
である。) 本発明においては、前述したとおり、(a)成分、すな
わち環状オレフィン系樹脂としては、上記環状オレフィ
ン系共重合体(a-1)のほかに、同種または異種の環状
オレフィン単量体を開環して得られる環状オレフィン開
環重合体(a-2)、開環共重合体(a-3)またはそれらの
水素添加物(a-4)を用いることもできる。
【0068】環状オレフィン開環重合体(a-2)または
環状オレフィン開環共重合体(a-3)は、例えば上記式
(I)で表される環状オレフィンを、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、オスミウム、インジウム、あるいは
白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチル
アセトン化合物と、還元剤とからなる触媒または、チタ
ン、パラジウム、ジルコニウム、あるいはモリブデン等
の金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物
と、有機アルミニウムとからなる触媒の存在下に(共)
重合させることにより製造することができる。
【0069】また、この開環(共)重合体の水添物(a-
4)は、上記のようにして得られた環状オレフィン開環
重合体(a-2)または環状オレフィン開環共重合体(a-
3)を、水素添加触媒の存在下に水素で還元することに
より製造することができる。
【0070】このような環状オレフィン開環重合体(a-
2)、開環共重合体(a-3)およびこれらの水素添加物
(a-4)について、前記式(I)で表される環状オレフ
ィンは、以下に記載するように反応して開環(共)重合
体およびこれらの水素添加物を構成していると考えられ
る。
【0071】
【化23】
【0072】<グラフト変性環状オレフィン系樹脂
(b)>本発明で使用されるグラフト変性環状オレフィ
ン系樹脂(b)は、上記のような環状オレフィン系樹脂
(a-1)、(a-2)、(a-3)または(a-4)を、不飽和カ
ルボン酸あるいは不飽和カルボン酸の誘導体でグラフト
変性することにより製造することができる。ここで使用
される不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、マ
レイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナ
ジック酸TM(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプ
ト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)を挙げることが
できる。さらに、上記の不飽和カルボン酸の誘導体とし
ては、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハラ
イド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミ
ドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合物を挙げるこ
とができる。このような誘導体の具体的な例としては、
塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シト
ラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル
およびグリシジルマレエートを挙げることができる。
【0073】これらのグラフトモノマーは、単独で使用
することもできるし、組み合わせて使用することもでき
る。上記のようなグラフトモノマーのうちでは、不飽和
ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、さらにマ
レイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物が特に
好ましい。
【0074】本発明で使用されるグラフト変性環状オレ
フィン系樹脂(b)は、例えば上記のようなグラフトモ
ノマーを環状オレフィン系樹脂に、従来公知の種々の方
法を採用してグラフト重合させることにより製造するこ
とができる。たとえば、前記環状オレフィン系樹脂を溶
融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト重合させ
る方法、あるいは溶媒に溶解させグラフトモノマーを添
加してグラフト共重合させる方法がある。さらに、グラ
フト変性環状オレフィン系樹脂を製造する方法として
は、未変性の環状オレフィン系樹脂を所望のグラフト変
性率になるようにグラフトモノマーを配合して変性する
方法、予め高グラフト変性率のグラフト変性環状オレフ
ィン系樹脂を調製し、この高変性率の環状オレフィン系
樹脂を未変性環状オレフィン系樹脂で希釈して所望の変
性率のグラフト変性環状オレフィン系樹脂を製造する方
法がある。本発明においては、いずれの方法により製造
したグラフト変性環状オレフィン系樹脂をも使用するこ
とができる。そして、本発明において使用されるグラフ
ト変性環状オレフィン系樹脂の変性率(グラフト率)
は、通常は、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜
4.0重量%の範囲内にある。
【0075】このような反応は、前記グラフトモノマー
を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開
始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。グラフ
ト反応は通常60〜350℃の温度で行なわれる。ラジ
カル開始剤の使用割合は、未変性環状オレフィン系樹脂
100重量部に対して通常0.001〜5重量部の範囲
である。
【0076】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ペルエステルおよびアゾ化合物などが好ましく
使用される。これらのラジカル開始剤のうちでは、ベン
ゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサ
ンおよび1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが好まし
く用いられる。
【0077】このような環状オレフィン系樹脂(a)お
よびグラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)の合計量
は、(a)成分、(b)成分、(c)成分および(d)
成分の合計100重量部中における(a)成分と(b)
成分との合計量が通常は60重量部以下、好ましくは1
0〜60重量部の範囲内になるような量で使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、(a-1)〜(a-
4)より選択される少なくとも1種の環状オレフィン系
樹脂(a)は、(a)成分、(b)成分、(c)成分お
よび(d)成分の合計100重量部中、通常は0〜5
9.5重量部、好ましくは15〜55重量部の範囲内に
なるような量で使用される。また、グラフト変性環状オ
レフィン系樹脂(b)は、(a)成分、(b)成分、
(c)成分および(d)成分の合計100重量部中にお
いて、通常は0.5〜60重量部、好ましくは5〜55
重量部の範囲内になるような量で使用される。さらに、
(a-1)〜(a-4)と、(b)との配合比は、(a-1)〜
(a-4)の合計配合重量と、(b)の配合重量との比
が、0:60〜59.5:0.5の範囲内にすることが
好ましい。 <変性されたエラストマー(c)>本発明において使用
される、不飽和カルボン酸あるいは不飽和カルボン酸誘
導体でグラフト変性されたエラストマー(c)は、AS
TM D 638に準じて測定した引張りモジュラス
が、通常は23℃で0.01〜200MPa、好ましくは
0.1〜150MPaの範囲内にある変性共重合体であ
る。
【0078】さらに、このようなグラフト変性されたエ
ラストマー(c)のガラス転移温度(Tg)は、通常−
150〜+50℃、好ましくは−80〜−20℃の範囲
内にある。さらに、このようなグラフト変性されたエラ
ストマー(c)の135℃、デカリン中で測定した極限
粘度[η]は、0.2〜10dl/g、好ましくは1〜5
dl/gであることが望ましい。またその密度は、通常は
820〜960kg/m3、好ましくは840〜920
g/m3である。さらに、このグラフト変性されたエラ
ストマー(c)のX線回析法によって測定した結晶化度
は、通常、30%以下、好ましくは25%以下であるの
が望ましい。
【0079】このようなグラフト変性されたエラストマ
ー(c)は、上述の環状オレフィン系樹脂(a)および
グラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)と共に混練す
ることにより、その少なくとも一部が環状オレフィン系
樹脂(a)およびグラフト変性環状オレフィン系樹脂
(b)中に微粒子状に分散する性質を有している。
【0080】本発明で使用されるグラフト変性されたエ
ラストマー(c)が、グラフト変性α−オレフィン共重
合体である場合には、このようなグラフト変性α−オレ
フィン共重合体としては、具体的には、(c-1)グラフ
ト変性エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、(c-
2)グラフト変性プロピレン・α−オレフィン共重合体
ゴムが例示できる。上記のグラフト変性エチレン・α−
オレフィン共重合体ゴム(c-1)およびグラフト変性プ
ロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム(c-2)は、単
独で使用することもできるし、さらに両者を組み合わせ
て使用することもできる。
【0081】上記のグラフト変性エチレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴム(c-1)を構成するα−オレフィンと
しては、通常、炭素数3〜20のα−オレフィン、たと
えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−
デセンおよびこれらの混合物を挙げることができる。こ
のうち特にプロピレンおよび/または1−ブテンが好ま
しい。
【0082】またグラフト変性プロピレン・α−オレフ
ィン共重合体ゴム(c-2)を構成するα−オレフィンと
しては、通常、炭素数4〜20のα−オレフィン、たと
えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよび
これらの混合物を挙げることができる。このうち特に1
−ブテンが好ましい。
【0083】なお、このようなグラフト変成されたエラ
ストマー(c)を構成する、α−オレフィン共重合体
は、α−オレフィン共重合体の特性を損なわない範囲内
で、ジエン化合物から誘導される成分単位等のようなα
−オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を
含んでいてもよい。
【0084】例えば、本発明で使用されるグラフト変成
されたエラストマー(c)を構成する、α−オレフィン
共重合体に含まれることが許容される成分単位として
は、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2
−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5
−ヘプタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエ
ンのような鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジ
シクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5
−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボル
ネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロ
ピリデン−2−ノルボルネンおよび6−クロロメチル−
5−イソプロペニル−2−ノルボルネンのような環状非
共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボ
ルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−
ノルボルネンおよび2−プロペニル−2,2−ノルボル
ナジエン等のジエン化合物から誘導される成分単位を挙
げることができる。α−オレフィン共重合体中における
上記のようなジエン成分から誘導される繰り返し単位の
含有量は、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%
以下である。
【0085】このような、グラフト変性エチレン・α−
オレフィン共重合体(c-1)において、エチレンとα−
オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)
は、α−オレフィンの種類によっても異なるが、一般に
10/90〜90/10、好ましくは50/50〜90
/10である。上記モル比は、α−オレフィンがプロピ
レンである場合には、50/50〜90/10であるこ
とが好ましく、α−オレフィンが炭素数4以上のα−オ
レフィンである場合には50/50〜90/10である
ことが好ましい。
【0086】また、このようなグラフト変性プロピレン
・α−オレフィン共重合体(c-2)において、プロピレ
ンとα−オレフィンとのモル比(プロピレン/α−オレ
フィン)は、α−オレフィンの種類によっても異なる
が、一般には50/50〜90/10の範囲内にある。
さらに、上記モル比は、α−オレフィンが1−ブテンで
ある場合には、50/50〜90/10であることが好
ましく、α−オレフィンが炭素数5以上である場合には
50/50〜90/10であることが好ましい。
【0087】本発明で使用されるグラフト変性されたエ
ラストマー(c)としては、上記のようなグラフト変性
α−オレフィン共重合体の中でも、エチレン含有量35
〜50モル%、結晶化度10%以下のエチレン・プロピ
レンランダム共重合体もしくはエチレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体をグラフトモノマーでグラフト変性
した共重合体が、特に衝撃強度等の機械的特性の改良効
果に優れているので好ましい。
【0088】本発明で使用されるグラフト変性されたエ
ラストマー(c)を製造するために用いられるグラフト
モノマーとしては、不飽和カルボン酸もしくはその誘導
体を使用することが好ましい。このような不飽和カルボ
ン酸の例としては、アクリル酸、マレイン酸、フマール
酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸TM(エン
ドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−
2,3−ジカルボン酸)を挙げることができる。さら
に、上記の不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和
カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和
カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽
和カルボン酸のエステル化合物を挙げることができる。
このような誘導体の具体的な例としては、塩化マレニ
ル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、
マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルおよびグリ
シジルマレエートを挙げることができる。
【0089】これらのグラフトモノマーは、単独で使用
することもできるし、組み合わせて使用することもでき
る。上記のようなグラフトモノマーのうちでは、不飽和
ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、さらにマ
レイン酸、ナジック酸TMまたはこれらの酸無水物が特に
好ましい。
【0090】本発明でグラフト変性されたエラストマー
(c)として使用できる、グラフト変性α−オレフィン
共重合体は、例えば上記のようなグラフトモノマーとα
−オレフィン共重合体とを、従来公知の種々の方法を採
用して変性することにより製造することができる。たと
えば、前記α−オレフィン共重合体を溶融させ、グラフ
トモノマーを添加してグラフト重合させる方法、あるい
は溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加してグラフト
共重合させる方法がある。さらに、グラフト変性α−オ
レフィン共重合体を製造する方法としては、未変性α−
オレフィン共重合体を所望のグラフト変性率になるよう
にグラフトモノマーを配合して変性する方法、予め高グ
ラフト変性率のグラフト変性α−オレフィン共重合体を
調製し、この高変性率のα−オレフィン共重合体を未変
性α−オレフィン共重合体で希釈して所望の変性率のグ
ラフト変性α−オレフィン共重合体を製造する方法があ
る。本発明においては、いずれの方法により製造したグ
ラフト変性α−オレフィン共重合体を使用することもで
きる。そして、本発明において使用されるグラフト変性
α−オレフィン共重合体は、変性率が、通常は、0.0
1〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%の範囲内に
ある共重合体である。
【0091】このような反応において、前記グラフトモ
ノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、反応
をラジカル開始剤の存在下で実施することが好ましい。
グラフト反応は通常60〜350℃の温度で行なわれ
る。ラジカル開始剤の使用割合は、未変性α−オレフィ
ン弾性共重合体100重量部に対して通常0.001〜
5重量部の範囲である。
【0092】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ペルエステルが好ましく使用され、このようは
ラジカル開始剤の具体的な例としては、ベンゾイルペル
オキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミル
ペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘ
キシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert
−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキ
サン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペ
ルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレー
ト、tert−ブチルペル−sec−オクチレート、tert−ブ
チルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert
−ブチルペルジエチルアセテートを挙げることができ
る。さらに本発明においてはラジカル開始剤としてアゾ
化合物を使用することもでき、このアゾ化合物の具体的
な例としては、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメ
チルアゾイソブチレートを挙げることができる。
【0093】これらのうちでは、ラジカル開始剤とし
て、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、
ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ
イソプロピル)ベンゼン等のジアルキルペルオキシドが
好ましく用いられる。
【0094】本発明では、グラフト変性されたエラスト
マー(c)として、グラフト変性α−オレフィン共重合
体を使用することができ、通常は、上述のグラフト変性
エチレン・α−オレフィン共重合体(c-1)、およびグ
ラフト変性プロピレン・α−オレフィン共重合体(c-
2)を単独であるいは組み合わせて使用するが、グラフ
ト変性α−オレフィン弾性共重合体の特性を損なわない
範囲内で上記のグラフト変性弾性共重合体以外の他の重
合体あるいは共重合体あるいは他のグラフト共重合体を
含んでいてもよい。
【0095】本発明において、このような他の重合体あ
るいは共重合体の例としては、芳香族ビニル系炭化水素
・共役ジエン共重合体またはその水素化物を挙げること
ができる。具体的にはこのような芳香族ビニル系炭化水
素・共役ジエン共重合体またはその水素化物としては、
スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・ブタジ
エン・スチレン共重合体ゴム、スチレン・イソプレンブ
ロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン
ブロック共重合体ゴム、水添スチレン・ブタジエン・ス
チレンブロック共重合体ゴムおよび水添スチレン・イソ
プレン・スチレンブロック共重合体ゴムを挙げることが
できる。
【0096】このようなグラフト変性されたエラストマ
ー(c)は、(a)成分、(b)成分、(c)成分およ
び(d)成分の合計100重量部中に、(c)成分の量
が2〜30重量部の範囲内になるような量で使用され
る。特にこの量を5〜20重量部の範囲内にすることが
好ましい。
【0097】上記のような量で(c)成分を配合するこ
とにより、環状オレフィンランダム共重合体(a)の優
れた特性を損なうことなく、衝撃強度等の機械的特性が
向上した樹脂組成物を得ることができる。 <ポリアミド(d)>本発明で用いられるポリアミド
(d)は、重合可能なアミノカルボン酸類、もしくはそ
のラクタム類、またはジカルボン酸類とジアミン類など
を原料とし、これらの開環重合または重縮合により得ら
れるものである。
【0098】アミノカルボン酸類の具体例としては、6
−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミ
ノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノ
ドデカン酸等が挙げられる。なお、これらのアミノ酸類
は2種以上の混合物で使用することもできる。
【0099】ラクタム類としては、バレロラクタム、カ
プロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、
ラウロラクタムなどを例として挙げることができ、これ
らのうち、カプロラクタム、ラウロラクタムの使用が好
ましく、ε−カプロラクタムの使用が最も好ましい。な
お、これらのラクタム類は2種以上の混合物で使用する
こともできる。
【0100】ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二酸、
ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジ
カルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環
式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン
酸などが挙げられる。なお、これらのジカルボン酸は2
種以上の混合物で使用することもできる。
【0101】ジアミンとしては、1,4−ジアミノブタ
ン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキ
サン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MD
P)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオ
クタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノ
デカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジ
アミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,
14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペン
タデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17
−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデ
カン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジア
ミノエイコサンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサン
ジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのよう
な脂環式ジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族
ジアミンなどが挙げられる。これらのジアミンは2種以
上の混合物で使用することもできる。
【0102】本発明で使用されるポリアミド(d)は、
単独でも、混合物としても用いることができる。本発明
では、ポリアミド(d)として、ポリアミドの中でもナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン6/66系共重合
体、ナイロン66/6T系共重合体(T:テレフタル
酸)、ナイロン6T/6I系共重合体(I:イソフタル
酸)、ナイロン6T/M5T系共重合体(M5:2−メ
チルペンタメチレンジアミン、T:テレフタル酸)など
のナイロン樹脂、あるいはこれらの混合物の使用が好ま
しく、特にナイロン6、ナイロン66、あるいはこれら
の混合物の使用が好ましい。
【0103】本発明で使用されるポリアミド(d)の分
子量に特に制限はないが、98%硫酸中、23℃、1g
/100ml濃度で測定した相対粘度が2.0〜4.0
のものが好ましい。より好ましくは、2.1〜3.8、
特に好ましくは2.2〜3.6である。相対粘度が2.
0未満であると機械物性が低下し、4.0を越えると成
形時の流動性が低下する。
【0104】本発明で使用されるポリアミド(d)は、
必要に応じてカルボン酸化合物またはアミン化合物で末
端を封鎖することができる。モノカルボン酸及び/又は
モノアミンを添加して末端封鎖する場合には、得られた
ポリアミドの末端基濃度が末端封鎖剤を使用しない場合
に比べて低下する。一方、ジカルボン酸又はジアミンで
末端封鎖した場合には全末端基量は変化しないが、アミ
ノ末端基とカルボキシル末端基との比率を変えることが
できる。
【0105】このようなポリアミドの末端封鎖に使用で
きる、カルボン酸化合物の具体例としては、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カ
プリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、
トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ア
ラキン酸のような脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサ
ンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸のよう
な脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチ
ル安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノカルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラシリン
酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカ
ン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジ
カルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の
ような芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0106】また、このようなポリアミドの末端封鎖に
使用できる、アミン化合物の具体例としては、ブチルア
ミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ペプチルアミ
ン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニ
ルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシル
アミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペン
タデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルア
ミン、ノナデシルアミン、イコシルアミンの脂肪族モノ
アミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシル
アミンのような脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β
−フェニルエチルアミンのような芳香族モノアミン、
1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、
1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタ
ン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナ
ン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウ
ンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジ
アミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、
1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノ
ヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,
18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナ
デカン、1,20−ジアミノエイコサンなどの脂肪族ジ
アミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノ
ヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレン
ジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0107】本発明で用いられるポリアミド(d)の末
端基濃度に特に制限はないが、優れた機械的特性を有す
る成形体を提供するためには、ポリアミドの末端アミノ
基濃度が高い方が好ましく、下記式(A)を満足するこ
とが好ましい。 (末端アミノ基濃度)−(末端カルボキシル基濃度)≧0.5×10-5eq/g …(A) また、より好ましくは、下記式(A’)を満足すること
が望ましい。 (末端アミノ基濃度)−(末端カルボキシル基濃度)≧2.0×10-5eq/g …(A’) 本発明で用いられるポリアミド(d)の末端アミノ基濃
度は、好ましくは、3.0×10-5〜15.0×10-5
eq/g、より好ましくは5.0×10-5〜12.0×
10-5eq/g、特に好ましくは、6.0×10-5〜1
1.0×10-5eq/gであるのが望ましい。
【0108】このようなポリアミドは、公知の方法で得
ることができる。例えば重合方法としては溶融重合、界
面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合などの方法が利
用され、一般的には溶融重合が最も適当である。さらに
前記のポリアミドの低重合体を押出機又は射出成形機に
投入し、完全又は部分的に重合度を増大させ、好適な重
合度のポリアミドを得ることができる。 <熱可塑性樹脂組成物>本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、上記の(a)成分と(b)成分と(c)成分と
(d)成分とを溶融状態にして混練することにより製造
することができる。(a)成分と(b)成分と(c)成
分と(d)成分との混合方法および混練方法としては、
例えば上記のような配合割合で(a)成分と(b)成分
と(c)成分と(d)成分とを機械的に一括混合した
後、例えば二軸押出機等の溶融混練装置を用いて、上記
混合物を加熱して溶融状態にして混練する方法(以下、
「一括フィード」と呼ぶこともある。)あるいは上記の
ような配合割合で(a)成分と(b)成分と(c)成分
とを機械的に混合した後、例えば二軸押出機等の溶融混
練装置を用いて、該混合物を加熱して溶融状態にし、溶
融状態にある該混練物に、(d)成分を添加して混練す
る方法(以下、「サイドフィード」と呼ぶこともあ
る。)等をあげることができる。本発明の熱可塑性樹脂
組成物は、適宜条件を設定することにより、一括フィー
ドあるいはサイドフィードのいずれも使用して製造する
ことができる。
【0109】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
上記の成分の他に無機充填剤、有機充填剤、熱安定剤、
耐候性安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブ
ロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、天然油、合
成油およびワックス等の添加剤を配合してもよく、これ
らの添加剤、充填剤は常法に従って任意の段階で添加す
ることができる。
【0110】このようにして製造された本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、通常のポリオレフィンの用途の他、例
えばフィラー補強したPP、ABS樹脂、変性ポリフェ
ニレンオキサイドなどが用いられているような、特に機
械的強度が要求される用途に好ましく使用することがで
きる。
【0111】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレ
フィン樹脂、エンジニアリングプラスチックが用いられ
てきた分野、たとえば食品容器、電気部品(掃除機、洗
濯機などに用いられるもの)、電子部品、自動車部品
(バンパー、内装材、外装材など)、機械機構部品など
の分野で特に用途を制限されることなく好適に用いるこ
とができるが、特に、押出シート、未延伸フィルム、延
伸フィルム、フィラメント、押出成形体、射出成形体、
ブロー成形体などの用途に好適に用いられる。 <熱可塑性樹脂組成物からなる成形体>本発明に係る成
形体は、前記熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成
形体であって、その成形方法は、特に限定されるもので
はなく、押出成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー
成形、インフレーション成形、モールドスタンピング成
形などの公知の成形法が採用することが可能である。ま
た成形体としては、成形法に応じて押出成形体、射出成
形体、ブロー成形体、押出ブロー成形体、射出ブロー成
形体、インフレーション成形体、モールドスタンピング
成形体などが挙げられる。以下、これらの各成形体につ
いて説明する。 (押出成形体)本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる押
出成形体は、その形状および製品種類は特に限定されな
いが、具体的にはシート、フィルム、パイプ、ホース、
電線被覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、
フィルム、フィラメントととして好適に使用することが
できる。
【0112】このような成形体は、公知の押出装置を用
いて成形することが可能であり、たとえば、単軸スクリ
ュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機など
を用い、溶融した熱可塑性樹脂組成物をTダイから押出
すことにより製造することができる。このときの成形条
件は、公知の条件を採用することができる。
【0113】また、上記の押出シートまたはフィルムを
用いて公知の延伸装置により延伸フィルムを製造するこ
とができる。延伸方法としては、テンター法(縦横延
伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などが挙
げられる。延伸フィルムの延伸倍率は、二軸延伸フィル
ムの場合には、通常20〜70倍であることが望まし
く、一軸延伸フィルムの場合には通常は2〜10倍であ
ることが望ましい。また延伸フィルムの厚さは、通常5
〜200μmであることが望ましい。
【0114】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物からイ
ンフレーションフィルムを製造することもできる。この
ような本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるシート、未
延伸フィルム、延伸フィルムは、剛性、耐熱剛性、透明
性、光沢、表面硬度、耐熱性、耐老化性、防湿性、ガス
バリヤ性などに優れている。このため、薬品の錠剤、カ
プセルなどの包装に用いられるプレススルーパック(pre
ss through pack)用、包装用フィルムなどに好ましく利
用できる。
【0115】本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィ
ラメントは、たとえば溶融した熱可塑性樹脂組成物を紡
糸口金を通して押出すことにより製造することができ
る。このようにして得られたフィラメントは、さらに延
伸処理してもよい。このときの延伸の程度は、熱可塑性
樹脂組成物中のオキサゾリン基を含有するポリオレフィ
ン樹脂の少なくとも一軸方向に分子配向が付与される程
度に行えばよく、延伸倍率は通常5〜10倍であること
が望ましい。
【0116】このようなフィラメントは、剛性などに優
れている。 (射出成形体)本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる射
出成形体は、公知の射出成形装置により製造することが
できる。また成形条件も、公知の条件を採用することが
できる。
【0117】このような射出成形体は、剛性、耐熱剛
性、光沢、表面硬度、耐熱性、耐老化性、耐衝撃性、耐
薬品性、耐摩耗性などに優れているため、自動車内装用
トリム材、自動車外装材、家電製品のハウジング、容器
などの分野に幅広く用いることができる。 (ブロー成形体)本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる
ブロー成形体は、公知のブロー成形装置により製造する
ことができる。また成形条件も、公知の条件を採用する
ことができる。
【0118】たとえば、押出ブロー成形の場合には、樹
脂温度100〜300℃でダイより上記熱可塑性樹脂組
成物を溶融状態でチューブ状パリソンに押出し、次いで
付与すべき形状の金型中にパリソンを保持したのち、空
気を吹き込み、樹脂温度130〜300℃で金型に着装
し、中空成形品を得る。延伸倍率は、横方向に1.5〜
5倍であることが望ましい。
【0119】射出ブロー成形の場合には、樹脂温度10
0〜300℃で熱可塑性樹脂組成物を金型に射出してパ
リソンを成形し、次いで付与すべき形状の金型中にパリ
ソンを保持した後、空気を吹き込み、樹脂温度120〜
300℃で金型に着装し、中空成形品を得る。延伸倍率
は、縦方向に1.1〜1.8倍であり、横方向に1.3
〜2.5倍であることが望ましい。
【0120】このようなブロー成形体は、剛性、耐熱剛
性、透明性、光沢、表面硬度、ガスバリア性などに優れ
ている。 (モールドスタンピング成形体)本発明の熱可塑性樹脂
組成物からなるモールドスタンピング成形体は、表皮材
と基材とを同時にプレス成形することにより、両者が複
合一体化した成形体を製造する方法(モールドスタンピ
ング成形)における基材として用いることができる。こ
の成形方法により得られたモールドスタンピング成形体
は、ドアートリム、リアーパッケージトリム、シートバ
ックガーニッシュ、インストルメントパネルなどの自動
車用内装材として好適に用いられる。
【0121】このようなモールドスタンピング成形体
は、剛性、耐熱剛性、光沢、表面硬度などに優れてい
る。
【0122】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、衝撃強
度が高く、表面性、特に表面剥離が少なく、さらに表面
光沢にも優れる成形体を提供することができる。
【0123】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポ
リアミドと比較して成形時の収縮率を低減すると同時に
吸水率を低減することができるとの利点もある。さら
に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて形成された成
形体は、衝撃強度が高く、表面性、特に表面剥離が少な
く、さらに表面光沢にも優れる。そして、この成形体
は、吸水性が低いと共に、耐油性にも優れている。
【0124】
【実施例】次に本発明を実施例を示して説明する。ただ
し、本発明は、これら実施例によって限定的に解釈され
るべきではない。
【0125】評価方法 本発明で使用されるポリアミド、環状オレフィンランダ
ム共重合体、グラフト変性されたエラストマー(グラフ
ト変性弾性共重合体ともいう)および本発明の熱可塑性
樹脂組成物の特性は、次のようにして測定した。 (1)ポリアミドの末端アミノ基濃度[−NH2] ポリアミド樹脂約0.5gを性格に秤量し、フェノール
・エタノール混合溶液(比率:84/15重量%)25
mlに室温で溶解させた。この溶液に指示薬としてチモ
ールブルーを添加し、0.02規定の塩酸で滴定するこ
とにより測定した。 (2)ポリアミドの末端カルボキシル基濃度[−COO
H] ポリアミド樹脂約0.5gを性格に秤量し、ベンジルア
ルコール20mlに195℃で溶解させた。この溶液に
指示薬としてフェノールフタレインを添加し、0.02
規定の水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定すること
により測定した。 (3)極限粘度[η] デカリン中、135℃で測定した。 (4)軟化温度(TMA) 昇温速度5℃/分、加重50gの条件で、直径1mmの平
底針が100μm針入した温度をTMAとした。 (5)結晶化度 23℃でX線回折法により測定した。 (6)引張りモジュラス ASTM D 638に準じ、1mm厚のプレス試験片を
用いて23℃にて測定した。 (7)IZ衝撃強度 ASTM D 256に準じ、1/8インチ厚、ノッチ
付の射出試験片を用い、23℃および−20℃にて測定
した。 (8)曲げ初期弾性率(FM) ASTM D 790に準じ、1/8インチ厚の射出試
験片を用い、クロスヘッドスピード20mm/分、23℃
にて測定した。 (9)曲げ降伏点応力(FS) ASTM D 790に準じ、FMと同様にして測定し
た。 (10)メルトインデックス(MFR) JIS−K−6760に準じ、260℃、2.16Kg荷
重で行った。
【0126】
【実施例1】グラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)
の調製 エチレン含有=65mol%、TMA軟化温度=155
℃、MFR=8.0g/10minのエチレンーテトラ
シクロドデセン共重合体(COC−1)100重量部に
対して無水マレイン酸1重量部および2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3
(日本油脂(株)製、商品名;パーヘキシン25B)
0.2重量部を混合し、二軸押出機を用いて260℃で
溶融混練することにより、グラフト変性環状オレフィン
系樹脂(b)を得た。
【0127】得られたグラフト変性環状オレフィン共重
合体の無水マレイン酸付加量は0.58重量%であっ
た。以下このグラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)
を「MCOC−1」と記載する。
【0128】グラフト変性エラストマー(c)の調製 エチレン含有量80モル%、130℃デカリン中で測定
した極限粘度[η]2.2dl/gのエチレン・プロピレ
ン共重合体100重量部に対して無水マレイン酸1重量
部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオ
キシ)ヘキシン−3 0.1重量部を混合し、二軸押出
機を用いて230℃で溶融混練することにより、グラフ
ト変性エラストマー(c)を得た。
【0129】得られたグラフト変性エラストマーの無水
マレイン酸付加量は0.43重量%であった。引張りモ
ジュラスは8MPaであった。以下このグラフト変性エ
ラストマー(c)を「MPO−1」と記載する。
【0130】熱可塑性樹脂組成物の調製 エチレン含有=65mol%、TMA軟化温度=155
℃、MFR=8.0g/10minのエチレンーテトラ
シクロドデセン共重合体(COC−1)40重量部と、
上記で得られたグラフト変性環状オレフィン系樹脂(M
COC−1)40重量部と、上記で得られたグラフト変
性エラストマー(MPO−1)20重量部とを、二軸押
出機(設定温度:250℃)で混練し、この樹脂組成物
100重量部に対し、ポリアミド(PA−1、ナイロン
−6、(末端アミノ基濃度)―(末端カルボキシル基濃
度)=6.0×10-5eq/g、相対粘度=2.30、
融点=225℃)100重量部(すなわち、上記樹脂組
成物と同量)をサイドフィードして熱可塑性樹脂組成物
を調製した。
【0131】この熱可塑性樹脂組成物を80℃で8時間
乾燥した後、射出成形により物性用試験片を作成した。
得られた試験片の物性を表1に示す。
【0132】
【実施例2】熱可塑性樹脂組成物の調製 実施例1で用いたエチレンーテトラシクロドデセン共重
合体(COC―1)20重量部と、グラフト変性環状オ
レフィン系樹脂(MCOC−1)20重量部と、グラフ
ト変性エラストマー(MPO−1)10重量部と、ポリ
アミド(PA−1)50重量部を配合し、二軸押出機
(250℃)で混練することにより熱可塑性樹脂組成部
を調製した。
【0133】この熱可塑性樹脂組成物を80℃で8時間
乾燥した後、射出成形により物性用試験片を作成した。
得られた試験片の物性を表1に示す。
【0134】
【実施例3】グラフト変性エラストマー(c)の調製 エチレン含有量83モル%、130℃デカリン中で測定
した極限粘度[η]2.0dl/gのエチレン・オクテン
共重合体100重量部に対して無水マレイン酸1重量
部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t −ブチルペルオ
キシ)ヘキシン−3 0.1重量部を混合し、二軸押出
機を用いて230℃で溶融混練することにより、グラフ
ト変性エラストマー(c)を得た。
【0135】得られたグラフト変性エラストマーの無水
マレイン酸付加量は0.47重量%であった。引張りモ
ジュラスは5MPaであった。以下このグラフト変性エ
ラストマー(c)を「MPO−2」と記載する。
【0136】熱可塑性樹脂組成物の調製 グラフト変性エラストマー(MPO−1)を上記グラフ
ト変性エラストマー(MPO−2)に変えた以外は実施
例1と同様の操作により、熱可塑性樹脂組成物をえた。
【0137】この熱可塑性樹脂組成物を80℃で8時間
乾燥した後、射出成形により物性用試験片を作成した。
得られた試験片の物性を表1に示す。
【0138】
【実施例4】グラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)
の調製 エチレン含有=61mol%、TMA軟化温度=165
℃、MFR=10g/10minのエチレンーテトラシ
クロドデセン共重合体(COC−2)100重量部に対
して無水マレイン酸1重量部および2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(日
本油脂(株)製、商品名;パーヘキシン25B)0.2
重量部を混合し、二軸押出機を用いて260℃で溶融混
練することにより、グラフト変性環状オレフィン系樹脂
(b)を得た。
【0139】得られたグラフト変性環状オレフィン共重
合体の無水マレイン酸付加量は0.62重量%であっ
た。以下このグラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)
を「MCOC−2」と記載する。
【0140】熱可塑性樹脂組成物の調製 環状オレフィン系樹脂(COC−1)を環状オレフィン
系樹脂(COC−2)に、グラフト変性環状オレフィン
系樹脂(MCOC−1)を上記でえられたグラフト変性
環状オレフィン系樹脂(COC−2)に変えた以外は実
施例1と同様の操作により熱可塑性樹脂組成物をえた。
【0141】この熱可塑性樹脂組成物を80℃で8時間
乾燥した後、射出成形により物性用試験片を作成した。
得られた試験片の物性を表1に示す。
【0142】
【比較例】熱可塑性樹脂組成物の調製 ポリアミド(PA−1)をポリアミド(PA−2、ナイ
ロン6、(末端アミノ基濃度)−(末端カルボキシル基
濃度)=−2.9×10-5eq/g、相対粘度=2.3
0、融点=224℃)に変えた以外は実施例1と同様の
操作により、熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0143】この熱可塑性樹脂組成物を80℃で8時間
乾燥した後、射出成形により物性用試験片を作成した。
得られた試験片の物性を表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】これらの実施例及び比較例に示されるよう
に、末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の差
が、上述の式(A)を満たすポリアミドを用いた本願発
明の熱可塑性組成物は、広い温度領域において、特に耐
衝撃性に優れることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/00 C08L 77/00 (72)発明者 松 永 慎 也 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 (72)発明者 松 岡 英 夫 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 (72)発明者 宮 本 和 樹 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 (72)発明者 小 林 和 彦 愛知県名古屋市港区大江町9番地の1 東 レ株式会社名古屋事業場内 Fターム(参考) 4J002 BB05W BB20W BB21W BN06W CE00W CL00X GN00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)(a-1) エチレンと次式(I)で表さ
    れる環状オレフィンとの共重合体と、 (a-2) 次式(I)で表される環状オレフィンの単独開環
    重合体と、 (a-3) 次式(I)で表される2種以上の環状オレフィン
    の開環共重合体と、 (a-4) 上記(a-2) または(a-3) の水素添加物とよりなる
    群から選ばれる少なくとも一種類の環状オレフィン系樹
    脂と、(b)上記(a-1) 、(a-2) 、(a-3) または(a-4)
    を不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボン酸誘導体
    で変性したグラフト変性環状オレフィン系樹脂と、
    (c)不飽和カルボン酸、あるいは不飽和カルボン酸誘
    導体で変性された、23℃での引張モジュラスが0.0
    1〜200MPaであるエラストマーと、(d)末端アミ
    ノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の関係が下記式
    (A)を満足するポリアミドとからなり、かつ(a)成
    分、(b)成分、(c)成分および(d)成分からなる
    合計100重量部の組成物あたり、(a)成分を0〜5
    9.5重量部、(b)成分を0.5〜60重量部、
    (c)成分を2〜30重量部、(d)成分を20〜60
    重量部含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物; 【化1】 (ただし、上記式(I)において、nは0または1であ
    り、mは0または正の整数であり、qは0または1であ
    り、R1〜R18ならびにRaおよびRbは、それぞれ独立
    に、水素原子、ハロゲン原子および炭化水素基よりなる
    群から選ばれる原子もしくは基を表し、R15〜R18は、
    互いに結合して単環または多環の基を形成していてもよ
    く、かつ該単環または多環の基が二重結合を有していて
    もよく、また、R15とR16とで、またはR17とR18とで
    アルキリデン基を形成していてもよい。) [末端アミノ基濃度]―[末端カルボキシル基濃度]≧0.5×10-5eq/g …(A)。
  2. 【請求項2】上記環状オレフィン系樹脂(a)が、エチ
    レンと上記式(I)で表される環状オレフィンとの共重
    合体(a-1) であり、グラフト変性環状オレフィン系樹脂
    (b)が、該共重合体(a-1) のグラフト変性環状オレフ
    ィン系樹脂であり、かつ、(a-1)成分、(b)成分、
    (c)成分および(d)成分からなる合計100重量部
    の樹脂組成物が、(a-1)成分を0〜59.5重量部の
    量で、(b)成分を0.5〜60重量部の量で、(c)
    成分を2〜30重量部の量で、そして(d)成分を20
    〜60重量部の量で用いて形成された樹脂組成物である
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】(a-1)成分の軟化温度が70〜250℃
    の範囲内にあり、かつ130℃デカリン中で測定した極
    限粘度[η]が0.3〜2.0dl/gの範囲内にあるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】(b)成分の軟化温度が0〜250℃の範
    囲内にあり、かつ130℃デカリン中で測定した極限粘
    度[η]が0.1〜2.0dl/gの範囲内にあることを
    特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】グラフト変性されたエラストマー(c)
    が、少なくとも2種類のα−オレフィンから形成された
    非晶性もしくは低結晶性のα−オレフィン弾性共重合体
    のグラフト変性物であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(a-1) 、(a-2) 、(a-3) または(a-4) のグ
    ラフト変性環状オレフィン系樹脂(b)が、無水マレイ
    ン酸グラフト変性環状オレフィン系樹脂であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】グラフト変性されたエラストマー(c)が
    無水マレイン酸変性物であることを特徴とする請求項
    1、2または5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1ないし請求項7のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂組成物から成形されてなることを特徴と
    する成形体。
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