JP2001017574A - ゴルフボール - Google Patents

ゴルフボール

Info

Publication number
JP2001017574A
JP2001017574A JP11192258A JP19225899A JP2001017574A JP 2001017574 A JP2001017574 A JP 2001017574A JP 11192258 A JP11192258 A JP 11192258A JP 19225899 A JP19225899 A JP 19225899A JP 2001017574 A JP2001017574 A JP 2001017574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
golf ball
ball body
polyol
ball
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11192258A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoto Maruoka
清人 丸岡
Katsumi Terakawa
克美 寺川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP11192258A priority Critical patent/JP2001017574A/ja
Publication of JP2001017574A publication Critical patent/JP2001017574A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボール本体の硬軟に拘わらず、塗膜の密着性
及び耐擦傷性が優れているゴルフボールを提供する。 【解決手段】 ゴルフボール本体の表面が塗膜で被覆さ
れているゴルフボールにおいて、前記ゴルフボール本体
の表層部の100%モジュラスをMCとし、前記塗膜の
100%モジュラスをMPとして、 −50kgf/cm2≦MP−MC≦25kgf/cm2 を満足する。MPは100kgf/cm2以下とするこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐擦傷性及び耐剥
離性に優れた塗膜で被覆されているゴルフボールに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ゴルフボールは、その外観をきれいに見
せるために、表面に光沢ある塗料をコーティングして
る。
【0003】ゴルフボール用塗料としては、打撃時に加
わる外力によるゴルフボールの変形に追随できる塗膜の
柔軟性;金属ヘッド、ウッドヘッドによるインパクトに
耐える耐衝撃性;屋外の使用に耐える耐候性などが求め
られ、これらを満足するものとして、柔軟で耐候性に優
れ、ポリオールの種類や架橋密度によって強度を調整す
ることができる2液型ウレタン系塗料が、一般に用いら
れている。
【0004】耐擦傷性、耐衝撃性に優れたゴルフボール
用塗料としては、特開平9−59566号公報に、分子
量10000〜50000のウレタンポリオールを主剤
とし、さらに主剤のOH基と硬化剤のイソシアネート基
との当量比率を限定することにより、塗膜の架橋度を一
定範囲に限定した2液型ウレタン塗料が提案されてい
る。
【0005】ここで、ゴルフボール表面のコーティング
に用いられるゴルフボール用塗料は、ゴルフボールとい
う特殊な使用環境から、特に、以下のような特性を有す
ることが要求される。
【0006】第1は、塗膜の耐剥離性である。すなわ
ち、ゴルフボールは、打撃時に加わる外力によりかなり
の変形を伴う。例えば、一般的ゴルフアーであっても4
0〜50m/sec程度の速度で打撃することとなり、
この場合、ゴルフボール本体(ゴルフボールの塗膜以外
の部分)は約40%程度、変形することになる。従っ
て、ボール本体に対する塗膜の密着性が不十分であった
り或いは硬すぎて伸縮性が不足していると、ボール本体
の変形に塗膜が追随できず、塗膜にひびが入ったり、剥
離したりする。塗膜の耐剥離性は、アイオノマーカバー
を用いた2ピースゴルフボールが主流となってきた近
年、特に重要になってきている。すなわち、アイオノマ
ーカバーは優れた強度を有するため、カバーの割れはほ
とんどなくなり、塗膜の剥がれがゴルフボールの寿命を
決定するようになってきたからである。
【0007】第2は、塗膜の耐擦傷性である。すなわ
ち、ゴルフ場のプレーにおいては、バンカーからショッ
トする場合がある。バンカーショットでは、砂と塗膜と
の間で摩擦されながら、ショットされることになる。砂
との摩擦によって塗膜表面が傷ついて光沢がなくなった
り、ひどい場合には、塗膜が摩耗消失してボール本体部
分が表面に表れるなど、ボールの外観を悪化させるから
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高分子量ウレ
タンポリオールを用いた特開平9−59566号公報に
開示されているゴルフボール用塗料は、所定の条件下で
は、優れた耐擦傷性、耐衝撃性(ドライバー及びアイア
ンで合計30回打撃したときの塗膜の割れ、剥がれに対
する耐性)を満足することができるが、ゴルフボールの
種類によっては満足できないという問題がある。
【0009】すなわち、打撃時のボール本体の変形の度
合は、ゴルファーによるばらつき(打撃時の速度のばら
つき)だけでなく、ボール本体の種類によっても随分異
なる。このため、伸縮性に優れた塗料を硬いボール本体
に適用した場合、打撃時にボールがあまり変形しないに
も拘わらず塗膜は大きな伸びを示し、結局、塗膜とボー
ル本体界面でズレが生じて、塗膜の剥離を助長すること
になってしまう。逆に、硬いボールに用いれば優れた耐
擦傷性と耐剥離性を発揮できる塗料を、軟らかいボール
に適用した場合、打撃時のボール本体の変形が塗膜より
も大きくなって塗膜がボールの変形に追随できずに剥離
したり、割れを生じたりして、期待していた耐剥離性が
得られない。このように、一定のボールについて優れた
評価が得られた塗料であっても、塗布されるボール本体
の種類が変わると、所期の耐剥離性が得られないという
のが実情である。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、塗膜及びボール
本体を一体不可分的に捉えて、ボール本体の硬軟に拘わ
らず、塗膜の密着性及び耐擦傷性が優れているゴルフボ
ールを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のゴルフボール
は、ゴルフボール本体の表面が塗膜で被覆されているゴ
ルフボールにおいて、前記ゴルフボール本体の表層部の
100%モジュラスをMCとし、前記塗膜の100%モ
ジュラスをMPとして、 −50kgf/cm2≦MP−MC≦25kgf/cm2 を満足することを特徴とする。
【0012】前記ゴルフボール本体の表層部及び前記塗
膜は、下記式及び式を満足することが好ましい。 100kgf/cm2≦MC≦250kgf/cm2 … 100kgf/cm2≦MP …
【0013】また、前記塗膜は、ポリオールを主剤と
し、ポリイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレ
タン塗料の硬化膜であって、前記ポリオールは、重量平
均分子量が500〜9000のウレタンポリオールを含
有していることが好ましい。さらに、前記ゴルフボール
本体の表層部が、アイオノマーを主体とする熱可塑性樹
脂で構成されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明が対象とするゴルフ
ボール本体は、センターに糸ゴムを巻付け、これをカバ
ーで包みこんでなる糸巻きゴルフボール;ゴムを主体と
したコアをカバーで包み込んだ2ピースゴルフボールや
コアが多層になったマルチピールゴルフボール;全体を
均質のゴムで構成したワンピースゴルフボールのいずれ
であってもよい。ワンピースゴルフボールの場合のボー
ル本体、マルチピースボールの場合のコアを構成するゴ
ム材料としては、ポリブタジエンが好ましい。
【0015】また、糸巻きゴルフボールや、2ピースゴ
ルフボールをはじめとするマルチピースゴルフボールの
様に、カバーを有している場合には、カバーの種類はパ
ラタカバー、アイオノマーカバーのいずれでもよいが、
強度に優れている点でアイオノマーカバーを用いる方が
好ましい。さらに、カバー層の厚みは、打球感と耐久性
の観点から、1〜5mm、さらに1.5〜4mmとする
ことが好ましい。
【0016】ボール本体は、上記のように多種多様であ
るが、ボール表層部分の100%モジュラス(以下「M
C」と略記する)は、飛距離、打球したときの打球者が
受ける衝撃感(打球感)との関係から、一般に100〜
250kgf/cm2の範囲に設定されており、本発明
においてもMCを100〜250kgf/cm2の範囲
に設定することが好ましい。MCが100kgf/cm
2未満では飛距離が低下し、一方、MCが250kgf
/cm2を超えると、打球したときの衝撃が増加し、打
球感が低下するからである。また、ボール本体の表層部
分を構成する材料の引張強度は、打撃に対する割れ防止
の観点から、300kgf/cm2以上、特に350k
gf/cm2以上であることが好ましい。このような要
件を満足するために、ボール本体の表層部は、アイオノ
マーを主体とするポリマーで構成されていることが好ま
しい。アイオノマーは分子内にCOOH基を多く含有し
ているため、2液型ウレタン塗料の硬化剤のイソシアネ
ート基と反応して、ウレタン塗膜と結合を形成し、塗膜
の密着性を向上させることができるからである。
【0017】本発明のゴルフボールは、ボール本体の表
面が塗膜で被覆されているものであり、その塗膜は、2
液型のウレタン塗料を硬化させたものであることが好ま
しい。ウレタン塗膜は、一般に耐衝撃性、耐候性、耐擦
傷性に優れており、主剤と硬化剤との比率やポリオール
の種類や分子量等を調整することにより、100%モジ
ュラスの値を種々に変えることが可能となるからであ
る。
【0018】2液型のウレタン塗料としては、以下に示
す主剤及び硬化剤で構成されることが好ましい。
【0019】まず、主剤について説明する。
【0020】主剤の主成分となるのはポリオールは、最
終的に得られるウレタン塗膜の100%モジュラスが目
標の範囲を満足できるものであればよく、具体的には、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、1,6−ヘキサンジオール等の低分子量ジオー
ル;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサント
リオールなどの低分子量トリオール;ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコール等のポリエーテルポリオール;縮合系ポリ
エステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオ
ール;アクリル系共重合体に水酸基を導入してなるアク
リルポリオール;イソシアネート化合物とポリオールと
の反応により合成され且つ両末端に水酸基を有するウレ
タンポリオール;、及びこれらを適宜割合で混合したも
のを用いることができる。
【0021】ポリオールの重量平均分子量は、500〜
9000であることが好ましく、より好ましくは200
0〜8000、さらに好ましくは4500〜8000で
ある。9000以下が好ましいのは、9000を超える
と相対的に硬化剤中のイソシアネート基との反応部分が
少なくなり、ひいてはアイオノマーとの結合部分が少な
く、塗膜の密着性が低下するからである。一方、分子量
が小さくなる程、アイオノマーとの結合部分の多くな
り、ボール本体の表層部との密着性は向上することにな
るが、分子量が500未満になると、イソシアネート基
との反応部分が多くなりすぎて反応時間が長くなり、作
業性が低下するからである。
【0022】上記ポリオールのうちウレタンポリオール
が好ましく用いられ、他のポリオールと混合する場合に
は、ポリオール全体の30重量%以上をウレタンポリオ
ールとすることが好ましい。予めウレタン化されたポリ
マーを含むことにより、ウレタン塗膜を有する耐候性、
伸縮性、耐擦傷性を有しつつ、塗料の乾燥硬化も速くで
きるからである。
【0023】ウレタンポリオールの合成に使用するポリ
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2
以上有するものであれば特に限定しないが、耐候性の観
点から、非黄変性のポリイソシアネート、例えばヘキサ
メチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイ
ソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシアネ
ート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(I
PDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート
(TMXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネー
ト(H12MDI)などの脂肪族、脂環族、芳香族、芳香
脂肪族ジイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ウレタンポリオールの合成に使用されるポリオールとし
ては、水酸基を複数有するものであれば、低分子化合
物、高分子化合物の如何を問わない。低分子のポリオー
ルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられ
る。高分子のポリオールとしては、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等のポリエーテルポリオール;縮合系ポリエ
ステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートジオール等のポリエステルポリオ
ール;アクリル系共重合体に水酸基を導入してなるアク
リルポリオール;などのポリマーポリオールが挙げられ
る。
【0024】2液型ウレタン塗料に用いられる硬化剤と
しては、ポリイソシアネート化合物、好ましくは非黄変
性ポリイソシアネート化合物であり、具体的には、ヘキ
サメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジ
イソシアネート(XDI)、水添キシリレンジイソシア
ネート(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネー
ト(TMXDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(H12MDI)などの脂肪族、脂環族、芳香族、芳
香脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これ
らは単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用し
てもよい。
【0025】本発明に係る塗膜の形成に用いられるゴル
フボール用塗料には、ポリオール及びポリイソシアネー
ト以外に、必要に応じて、反応触媒(例えばジブチル錫
ラウレート)、シリコン系スリップ剤、レベリング剤、
粘度調整剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤、硬化触
媒、着色顔料など、一般にゴルフ用塗料に含有され得る
添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、主剤、硬
化剤のいずれに含有されていてもよい。
【0026】2液型ウレタン塗料は、以上のような組成
を有する主剤及び硬化剤を使用直前に混合して用いる。
ここで混合割合は、主剤における水酸基に対する硬化剤
におけるイソシアネート基の当量比(イソシアネート基
/水酸基)が0.5以上、好ましくは0.9以上であ
り、2.0以下、好ましくは1.5以下である。
【0027】以上のような塗料の塗装方法、すなわち塗
膜の形成方法は特に限定せず、2液型ウレタン塗料の場
合、主剤と硬化剤とを混合した後、洗浄等の表面処理を
施したゴルフボールに、エアースプレーガン、静電塗装
などの2液混合型塗料の塗装方法として従来より公知の
方法を利用できる。尚、スプレーガンで塗装する場合に
は、主剤と硬化剤とを少量ずつ混合して使用してもよい
し、2液定比率ポンプを使ってスプレーガン直前の塗料
輸送経路でスタティックミキサーのようなラインミキサ
ーを通して連続的に2液を定比率で混合してもよいし、
混合比制御機構を備えたエアースプレーシステムを用い
ることもできる。塗布後、乾燥硬化により塗膜が形成さ
れる。尚、乾燥硬化条件は、使用する塗料に応じて適宜
選択すればよい。
【0028】本発明のゴルフボールでは、以上にように
して形成される塗膜の100%モジュラス(以下「M
C」と略記する)が、ボール本体の100%モジュラス
(MC)との間で所定の関係を満足する必要がある。つ
まり、下記理由から、両者の差である(MP−MC)の
値は、−50kgf/cm2以上、好ましくは−35k
gf/cm2以上で、且つ25kgf/cm2以下、好ま
しくは10kgf/cm 2以下でなければならない。
【0029】ゴルフボールにおいて、塗膜の100%モ
ジュラス(MP)とボール本体の表層部の100%モジ
ュラス(MC)とが相違すると、打撃後のボール本体の
変形と塗膜の変形の程度が異なり、両者の界面にせん断
ひずみが生ずることとなり、塗膜が剥離しやすくなる。
従って、ボール本体の変形に対する追随性の点から、M
PとMCは等しいことが理想的である。しかし、ウレタ
ン塗膜は、それ自体がある程度伸縮性を有し、さらにボ
ール本体の表層部分がアイオノマーを含有する材料で構
成されている場合には、ボール本体表面と塗膜とが結合
を形成して優れた密着性を確保している。よって、塗膜
の100%モジュラスがボール本体の100%モジュラ
スよりも小さい場合であっても、塗膜自体が伸縮性を有
することによりボール本体の変形に追随することができ
るので、(MP−MC)の値が−50kgf/cm2
上であればよい。−50kgf/cm2を超えると、打
球時におこるせん断歪みが大きくなりすぎて、塗膜とボ
ール本体との間の結合は切断され、塗膜が剥離してしま
うからである。一方、塗膜の100%モジュラスがボー
ル本体の100%モジュラスよりも大きすぎると、具体
的には、(MP−MC)の差が10kgf/cm2を超
える場合には、塗膜自体の伸びも加わって、打撃時にボ
ール本体が変形する以上に塗膜が伸び変形を示し、塗膜
の浮き、ひいては剥離が助長されることになるからであ
る。
【0030】さらに、塗膜の100%モジュラス(M
P)は、100kgf/cm2以上で275kgf/c
2未満とすることが好ましい。MPが小さくなりすぎ
ると、塗膜の耐擦傷性、耐摩耗性が低下しすぎることに
なる。バンカーショットなどに対する耐擦傷性、耐摩耗
性を確保するためには、100kgf/cm2以上必要
だからである。一方、MPを高くすることは耐擦傷性、
耐摩耗性の観点からは好ましいが、耐剥離性の観点(M
P−MC≦25kgf/cm2)から、MPの増大に伴
ってMCを大きくしなければならない。MPが275k
gf/cm2以上として、(MP−MC)を25kgf
/cm2以下とするには、MCを250kgf/cm2
としなければならず、MCが250kgf/cm2超で
は前述したように、打球したときに衝撃を感じる力が大
きくなりすぎて打球感が低下するからである。
【0031】また、塗膜の引張強度は、300kgf/
cm2以上、特に330kgf/cm2以上であることが
好ましい。尚、張強度を大きくする方法としては、例え
ば、3官能タイプのポリオール又はイソシアネートを多
く用いたり、塗料を構成する分子構造において剛直鎖を
導入したり、分子の結晶性を上げたりすることが挙げら
れる。
【0032】
【実施例】〔評価方法〕まず、実施例で用いた評価方法
について説明する。
【0033】塗膜密着性(耐剥離性) a)ドライ状態 塗装乾燥後、ツルーテンパー社製スイングマシーンにド
ライバー型クラブを取り付け、速度45m/secでゴ
ルフボールを100回打撃した。打撃後のボールを目視
で観察し、剥離の程度及び割れの程度に応じて、◎(割
れ、剥離なし)、○(割れは2〜3個所生じているが、
剥離はない)、△(割れは4〜10個所生じているが、
剥離総面積は0.5cm2以下である)、×(割れは1
0個所以上あり、剥離総面積は0.5cm2以上であ
る)の4段階で評価した。
【0034】b)ウェット状態 塗装乾燥後のゴルフボールを3日間水中に浸漬した後、
ドライ状態の場合と同様にして試験を行った後の剥離状
態に基づいて、◎(剥離なし)、○(剥離総面積は0.
2cm2未満である。)、△(剥離総面積は0.2〜
0.5cm2である。)、×(剥離総面積は0.5cm2
以上である。)の4段階で評価した。
【0035】耐擦傷性 塗膜の乾燥を終了させた後、ウェット状態で10分間シ
ョットブラストした。ショットブラスト後の塗膜状態を
目視で観察し、◎(塗膜の剥離がなく全体に光沢あ
り)、○(塗膜剥離はないが一部分光沢なし)、△(デ
ィンプルエッジに剥離が認められ、また全体的に光沢が
ない)、×(塗膜が部分的に剥離していて全体的に光沢
がない)の4段階で評価した。
【0036】引張強度(kgf/cm2)、100%
モジュラス(kgf/cm2) a)塗膜 ガラス板上に、調製した塗料を塗布して硬化させた。ガ
ラス板上に形成された塗膜を剥離し、この塗膜で厚み3
mmの4号ダンベル試験片を作成した。作成した試験片
を用いて、JIS K6301に規定する引張試験を行
ない、破断したときの引張荷重を測定した。100%モ
ジュラスについては、100%の伸びを得るために要し
た引張荷重を測定した。
【0037】b)ボール本体 ボール本体の表面を形成しているカバー材を、射出成形
して4号ダンベル試験片を作成した。この試験片を用い
て、塗膜の場合と同様にして、破断したときの引張荷重
及び100%の伸びを得るために要した引張荷重を測定
した。
【0038】〔ボール本体の作成〕加硫ゴムで構成した
コアの表面に、表1の組成を有する2種類のカバー材
(A、B)で被覆したボール本体を作成した。尚、表1
中のハイミラン1605はナトリウムイオン中和エチレ
ン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(金属イ
オンによる中和度が29で、JISK7125に規定さ
れるショアD硬度61)の商品名であり、ハイミラン1
706及びハイミラン1855は亜鉛イオン中和エチレ
ン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂(ハイミ
ラン1706は金属イオンによる中和度が58で、JI
SK7125に規定されるショアD硬度60である。ハ
イミラン1855は金属イオンによる中和度が73で、
JISK7125に規定されるショアD硬度54であ
る)の商品名である。
【0039】
【表1】
【0040】〔塗料の調製〕 主剤の調製 表1に示すポリオールを溶剤(トルエン及びメチルエチ
ルケトン)に溶解し、このポリオール溶液を80℃に保
持しながらイソホロンジイソシアネートを表2に示す量
だけ滴下混合して、主剤中間剤となるウレタンポリオー
ル(固形分60重量%)を合成した。但し、No.2、
3、8については、ポリテトラメチレングリコールとト
リメチロールプロパンの混合物を、固形分60重量%と
なるように溶剤に分散させて主剤中間剤とした。
【0041】尚、ウレタンポリオールの合成に用いたポ
リーオールは、PTMG650(保土ヶ谷化学の商品名
でポリテトラメチレングリコールで、重量平均分子量6
50である)、トリメチロールプロパン(広栄化学製で
重量平均分子量125である)であり、主剤中間剤(ウ
レタンポリオール、ポリオール混合物)の重量平均分子
量は、表2に示す通りである。
【0042】調製した主剤中間剤に硬化触媒としてジブ
チル錫ラウレートを主剤全体に対して1.0重量%とな
るように添加し、さらにポリエステルポリオール(固形
分8重量%)とを混合して、固形分35重量%の主剤を
調製した。
【0043】硬化剤 ヘキサメチレンジイソシアヌレートを用いた。
【0044】塗料の調製 上記で調製した主剤に対して、NCO/OH(当量比)
が1.2となるように硬化剤を添加した後、2分間撹拌
して、固形分で35重量%となる塗料を調製した。尚、
硬化剤の添加は、エアガンに上記比率で充填することに
より行なった。
【0045】〔ゴルフボールの作成〕ゴルフボール本体
の表面に、上記で調製した塗料を塗装した。塗装は、ボ
ール本体を回転させながら、エアガンを上下に動かすこ
とにより1分間行なった。塗布量は150mgである。
【0046】塗膜形成後、上記評価方法に従って密着
性、耐摩耗性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】〔評価〕表2から、MPが100未満の場
合には、耐擦傷性が劣ることがわかる(No.4)。
【0049】一方、塗膜の耐剥離性については、MPが
高すぎても良くなく(No.3)、MPが小さすぎても
劣っていた(No.4)。また、No.1とNo.9と
は同じ塗料を用いて、MPが205の塗膜が形成されて
いるが、ボール本体が硬い場合(No.1)では良好で
あり、軟らかいボール本体の場合(No.9)には劣っ
ていた。耐密着性を満足するためには、(MP−MC)
の値を一定範囲内にする必要があることがわかる(N
o.1、2、5〜8)。
【0050】また、No.5とNo.6を比べた場合
に、No.6の方が、(MP−MC)の値が0に近づい
ているにも拘わらず、耐剥離性が劣っていた。これは、
主剤の主体となるウレタンポリオールの重量平均分子量
が高く、ボール本体の表層部を構成しているアイオノマ
ーとの結合部分が相対的に少なくなって、塗膜の密着性
が低下したためであると考えられる。一方、No.9
は、(MP−MC)の値が本発明に規定する限界一杯で
あるにも拘わらず、耐剥離性が良好であるのは、ポリオ
ールの重量平均分子量が小さく、換言するとイソシアネ
ートと反応し得るOH基の割合が高くなり、イソシアネ
ートを介してアイオノマーとの結合部分の割合が多くな
ったためと考えられる。
【0051】
【発明の効果】本発明のゴルフボールは、塗膜の100
%モジュラスとボール本体の100%モジュラスの差
(MP−MC)を所定範囲としているので、ボールの種
類やボール本体の硬さに拘わらず、塗膜は優れた耐剥離
性を有する。従って、打撃の繰り返しによる割れに対し
て優れたアイオノマーカバーを用いたゴルフボールで
は、優れた耐久性を発揮できる。
【0052】さらに、(MP−MC)を所定範囲にする
とともに、MPを100以上とすることにより、打球感
を損なうことなく、塗膜について優れた耐擦傷性も確保
できるので、バンカーショットを繰り返すような場合で
あっても、光沢ある外観塗膜を維持することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴルフボール本体の表面が塗膜で被覆さ
    れているゴルフボールにおいて、 前記ゴルフボール本体の表層部の100%モジュラスを
    MCとし、前記塗膜の100%モジュラスをMPとし
    て、 −50kgf/cm2≦MP−MC≦25kgf/cm2 を満足することを特徴とするゴルフボール。
  2. 【請求項2】 前記ゴルフボール本体の表層部及び前記
    塗膜は、下記式及び式を満足する請求項1に記載の
    ゴルフボール。 100kgf/cm2≦MC≦250kgf/cm2 … 100kgf/cm2≦MP …
  3. 【請求項3】 前記塗膜は、ポリオールを主剤とし、ポ
    リイソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン塗
    料の硬化膜であって、 前記ポリオールは、重量平均分子量が500〜9000
    のウレタンポリオールを含有している請求項1または2
    に記載のゴルフボール。
  4. 【請求項4】 前記ゴルフボール本体の表層部は、アイ
    オノマーを主体とする熱可塑性樹脂で構成されている請
    求項1〜3のいずれかに記載のゴルフボール。
JP11192258A 1999-07-06 1999-07-06 ゴルフボール Pending JP2001017574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11192258A JP2001017574A (ja) 1999-07-06 1999-07-06 ゴルフボール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11192258A JP2001017574A (ja) 1999-07-06 1999-07-06 ゴルフボール

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001017574A true JP2001017574A (ja) 2001-01-23

Family

ID=16288305

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11192258A Pending JP2001017574A (ja) 1999-07-06 1999-07-06 ゴルフボール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001017574A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003052859A (ja) * 2001-08-20 2003-02-25 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフボール
JP2013176530A (ja) * 2012-02-03 2013-09-09 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2013248298A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014385A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014386A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014383A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014384A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
US8987405B2 (en) 2012-01-03 2015-03-24 Nike, Inc. Golf ball having an over-indexed thermoplastic polyurethane elastomer cover and having a soft feeling when hit
JP7524595B2 (ja) 2020-05-07 2024-07-30 ブリヂストンスポーツ株式会社 マルチピースソリッドゴルフボール

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003052859A (ja) * 2001-08-20 2003-02-25 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴルフボール
US8987405B2 (en) 2012-01-03 2015-03-24 Nike, Inc. Golf ball having an over-indexed thermoplastic polyurethane elastomer cover and having a soft feeling when hit
JP2013176530A (ja) * 2012-02-03 2013-09-09 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2013248298A (ja) * 2012-06-01 2013-12-12 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014385A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014386A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014383A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP2014014384A (ja) * 2012-06-10 2014-01-30 Dunlop Sports Co Ltd ゴルフボール
JP7524595B2 (ja) 2020-05-07 2024-07-30 ブリヂストンスポーツ株式会社 マルチピースソリッドゴルフボール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3659556B2 (ja) ゴルフボール用塗料及びこれを用いたゴルフボール
JP5507305B2 (ja) ゴルフボール
JP6638376B2 (ja) ゴルフボール
JP4029267B2 (ja) スリーピースソリッドゴルフボール
JP6645159B2 (ja) ゴルフボール
JP4435638B2 (ja) ゴルフボール
JP4073689B2 (ja) ゴルフボール
JP6440358B2 (ja) ゴルフボール
JP2016123632A (ja) ゴルフボール
JP6385271B2 (ja) ゴルフボール
JP6922437B2 (ja) ゴルフボール
JP3659554B2 (ja) ゴルフボール用塗料及びこれを用いたゴルフボール
JP2015195878A (ja) ゴルフボール
EP3492150A1 (en) Golf ball
KR20200076577A (ko) 골프공
JP7255138B2 (ja) ゴルフボール
JP2001017574A (ja) ゴルフボール
JP4031685B2 (ja) 塗装ゴルフボール
JP4275676B2 (ja) ゴルフボール
JP2015126773A (ja) ゴルフボール
EP3669955B1 (en) Golf ball
JP3659560B2 (ja) 耐擦り傷性及び耐摩耗性に優れたゴルフボール
KR20200050851A (ko) 골프공
JP3676605B2 (ja) ゴルフボール用塗料及びこれを用いたゴルフボール
JP2015195879A (ja) ゴルフボール

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040427

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041005