JP6440358B2 - ゴルフボール - Google Patents

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本発明は、ゴルフボールのスピン性能の改良技術に関するものである。
ゴルフボール本体表面には、塗膜が設けられている。塗膜を改良することにより、ゴルフボールの特性を改良することが提案されている。
特許文献1には、コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーの外側に位置するペイント層を備えており、上記カバーのショアD硬度が61以下であり、上記ペイント層のマルテンス硬度が2.0mgf/μm以下であるゴルフボールが開示されている。特許文献1のゴルフボールは、スピン性能、スピン速度の安定性及びペイント層の耐久性に優れる。
特許文献2には、ゴルフボール本体とゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、マルテンス硬度が2.0mgf/μm以下であり、10%モジュラスに対する50%モジュラスの比(50%モジュラス/10%モジュラス)が1.6以上であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。特許文献2のゴルフボールは、ウエット条件、および、ラフ条件でのアプローチショットのスピン量が高い。
特許文献3には、ゴルフボール本体とゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、接触力試験機を用いて算出した摩擦係数が、0.35以上、0.60以下であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
特開2011−67595号公報 特開2011−217820号公報 特開2013−176530号公報
従来技術では、塗膜を柔らかくすることによりスピン性能を高めている。ここで、塗膜を柔らかくする方法として、硬化剤の使用量を低減し、架橋度を低下させる方法が挙げられる。しかし、塗膜中の架橋度を低下させた場合、塗膜の耐汚染性が低下するという問題がある。本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れたゴルフボールを提供することを課題とする。また、本発明は、さらに打球感にも優れたゴルフボールを提供することを課題とする。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有し、前記塗膜を構成する基材樹脂が、ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを反応させてなるポリウレタンであり、前記ポリオール組成物が、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有し、前記塗膜の10%モジュラスが100kgf/cm以下であり、前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)と、前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)とが下記式(1)の関係を満足することを特徴とする。
Y≦200×X−75・・・(1)
[式中、Yは、塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)、Xはポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)を表す。]
本発明のゴルフボールは、塗膜のポリオール成分として、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有する。このようなウレタンポリオールを使用することで、得られる塗膜が柔らかくなり、スピン性能が向上する。また、前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)と、塗膜を構成するポリオール組成物のOH基とポリイソシアネート組成物のNCO基のモル比(NCO/OH)とが式(1)の関係を満足する。つまり、モル比(NCO/OH)を大きくしても塗膜の柔軟性が高いため、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れる。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体が、コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)とカバーの10%モジュラス(kgf/cm)との差(│塗膜の10%モジュラス−カバーの10%モジュラス│)が、65kgf/cm以下であることが好ましい。このように10%モジュラスの差が小さいと、ゴルフボールを打撃した際に、塗膜とカバーとが同じように変形することができるため、打球感が向上する。
本発明によれば、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れたゴルフボールが得られる。また、本発明によれば、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れ、さらに打球感に優れたゴルフボールが得られる。
本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。 本発明で使用する接触力試験機の一例の概略図。 接触力試験機の衝突板の拡大部分断面図。 Ft(t)、Fn(t)、及び、M(t)の一例を示すグラフ。 接触力試験機の表層材の溝形状の断面図。 Ft(t)、Fn(t)、及び、M(t)の一例を示すグラフ。 エアーガンを用いた塗装形態の一例を示す模式図。 塗膜のNCO/OH(モル比)と10%モジュラス(kgf/cm)との関係を示す図。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有する。前記塗膜を構成する基材樹脂は、ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを反応させてなるポリウレタンから形成されている。
以下、塗膜を構成するポリオール組成物、ポリイソシアネート組成物について説明する。前記ポリオール組成物は、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有する。このようなウレタンポリオールを使用することで、得られる塗膜が柔らかくなり、スピン性能が向上する。前記ウレタンポリオールとは、分子内にウレタン結合を複数有し、一分子中に水酸基を2以上有する化合物である。ウレタンポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを、ポリオールの水酸基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対して過剰になるような条件で反応させて得られるウレタンプレポリマーを挙げることができる。
前記ウレタンポリオールを構成し得るポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられ、これらの中でもポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
前記ポリエーテルジオールの数平均分子量は、800以上、好ましくは900以上、さらに好ましくは1000以上であり、3000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1500以下である。ポリエーテルジオールの数平均分子量が800以上であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなり、塗膜が柔らかくなるため、スピン性能が向上する。前記数平均分子量が3000以下であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなりすぎず、塗膜の耐汚染性が良好となる。なお、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラム(例えば、昭和電工社製「Shodex(登録商標) KFシリーズ」など)を用いて測定すればよい。
前記ウレタンポリオールは、ポリオール成分として、前記ポリエーテルジオール以外の分子量が500未満の低分子量ポリオールを含有してもよい。前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。前記低分子量ポリオールは、単独で、あるいは、2種以上を混合して使用しても良い。
前記ウレタンポリオールは、ポリオール成分として、トリオール成分とジオール成分とを含有するものが好ましい。前記トリオール成分としては、トリメチロールプロパンが好ましい。前記トリオール成分とジオール成分の混合比率(トリオール成分/ジオール成分)は、質量比で、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。
前記ウレタンポリオールを構成し得るポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ウレタンポリオールは、前記数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールの含有率が、70質量%以上が好ましく、より好ましくは72質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上である。前記数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールは、塗膜においてソフトセグメントを形成する。よって、前記ポリエーテルジオールの含有率が、70質量%以上であれば、得られるゴルフボールのスピン性能がより向上する。
前記ウレタンポリオールは、重量平均分子量が、5000以上が好ましく、より好ましくは5300以上、さらに好ましくは5500以上であり、20000以下が好ましく、より好ましくは18000以下、さらに好ましくは16000以下である。ウレタンポリオールの重量平均分子量が5000以上であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなり、塗膜が柔らかくなるため、スピン性能が向上する。前記重量平均分子量が20000以下であれば、塗膜における架橋点間の距離が長くなりすぎず、塗膜の耐汚染性が良好となる。
前記ウレタンポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは190mgKOH/g以下、さらに好ましくは180mgKOH/g以下である。
前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物として、前記ウレタンポリオール以外のポリオール化合物を含有してもよい。前記ポリオール化合物としては、分子量が500未満の低分子量ポリオールや平均分子量が500以上の高分子量ポリオールを挙げることができる。前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。前記高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;および、アクリルポリオールなどが挙げられる。前記他のポリオール化合物は、単独で、あるいは、2種以上を混合して使用しても良い。
前記ポリオール組成物が含有するポリオール化合物中の前記ウレタンポリオールの含有率は、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。前記ポリオール組成物は、ポリオール化合物として、前記ウレタンポリオールのみを含有することも好ましい。
前記ポリオール組成物が含有するポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、400mgKOH/g以下が好ましく、好ましくは300mgKOH/g以下、より好ましくは200mgKOH/g以下、さらに好ましくは170mgKOH/g以下であり、特に好ましくは160mgKOH/g以下である。ポリオール成分の水酸基価が上記範囲内であれば、ゴルフボール本体への塗膜の密着性が向上するからである。なお、本発明において、水酸基価は、JIS K 1557−1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
前記ポリオール化合物の具体例としては、例えば、和薬ペイント社製121B、日本ポリウレタン工業社製ニッポラン800、ニッポラン1100、DIC社製バーノックD6−627、バーノックD8−436、バーノックD8−973、バーノック11−408、住化バイエルウレタン社製デモスフェン650MPA、デモスフェン670、デモスフェン1150、デモスフェンA160X、ハリマ化成社製ハリアクロン2000、ハリアクロン8500Hなどを挙げることができる。
次に、ポリイソシアネート組成物について説明する。前記ポリイソシアネート組成物は、1種または2種以上のポリイソシアネート化合物を含有する。前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ジイソシアネートまたは脂肪族ジイソシアネート;およびこれらのジイソシアネートのアロハネート体、ビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体などのトリイソシアネート;が挙げられる。本発明では、前記ポリイソシアネートとして、2種以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。
前記アロハネート体とは、例えば、ジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させて形成されるウレタン結合にさらにジイソシアネートが反応して得られるトリイソシアネートである。アダクト体とは、ジイソシアネートとトリメチロールプロパンあるいはグリセリンなどの低分子量トリオールとを反応させて得られるトリイソシアネートである。前記ビュレット体とは、例えば、下記式(1)で表わされるビュレット結合を有するトリイソシアネートである。ジイソシアネートのイソシアヌレート体とは、例えば、下記式(2)で表わされるトリイソシアネートである。
Figure 0006440358
式(1)、(2)中、Rは、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を表わす。
前記トリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。特に、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体とイソシアヌレート変性体とを併用する場合、これらの混合比率(ビュレット変性体/イソシアヌレート変性体)は、質量比で、20/40〜40/20が好ましく、25/35〜35/25がより好ましい。
本発明では、ポリイソシアネート組成物が、トリイソシアネート化合物を含有することが好ましい。前記ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネート中のトリイソシアネート化合物の含有率は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。前記ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート化合物としてトリイソシアネート化合物のみを含有することが最も好ましい。
前記ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。なお、ポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、100×[ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数×42(NCOの分子量)]/ポリイソシアネートの総質量(g)で表わすことができる。
前記ポリイソシアネートの具体例としては、DIC社製バーノックD−800、バーノックDN−950、バーノックDN−955、住化バイエルウレタン社製デスモジュールN75MPA/X、デスモジュールN3300、デスモジュールL75(C)、スミジュールE21−1、日本ポリウレタン工業社製コロネートHX、コロネートHK、旭化成ケミカルズ社製デュラネート24A−100、デュラネート21S−75E、デュラネートTPA−100、デュラネートTKA−100、デグサ社製VESTANAT T1890などを挙げることができる。
ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物との反応において、ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO基/OH基)は、0.5超が好ましく、より好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.60以上である。前記モル比(NCO基/OH基)が、0.5超であれば、架橋密度が高くなり、得られる塗膜の耐汚染性がより良好となる。また、前記モル比(NCO基/OH基)が大きくなりすぎると、イソシアネート基量が過剰となり、得られる塗膜が硬く脆くなる上に、外観も悪くなる。そのため、前記モル比(NCO基/OH基)は、1.20以下が好ましく、1.15以下がより好ましく、1.10以下がさらに好ましい。なお、塗料中のイソシアネート基量が過剰になると得られる塗膜の外観が悪くなる理由は、イソシアネート基量が過剰になると、空気中の水分とイソシアネート基との反応が多くなり、炭酸ガスが多量に発生するためと考えられる。
前記塗膜の10%モジュラスは、100kgf/cm(9.8MPa)以下、好ましくは90kgf/cm(8.8MPa)以下、より好ましくは80kgf/cm(7.8MPa)以下である。10%モジュラスが、100kgf/cm以下であれば、塗膜が軟質であり、アプローチショットのスピン量が高くなる。塗膜の10%モジュラスの下限は、特に限定されないが、5kgf/cm(0.49MPa)が好ましく、10kgf/cm(0.98MPa)がより好ましい。10%モジュラスが小さすぎると、柔らかくなりすぎて、タック感が残り、フィーリングが悪くなるからである。
前記塗膜は、10%モジュラス(kgf/cm)と、前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)とが下記式(1)の関係を満足する。下記式(1)を満たすものは、モル比(NCO/OH)を大きくしても塗膜の柔軟性を維持できるため、アプローチショットでのスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れるものとなる。
Y≦200×X−75・・・(1)
[式中、Yは、塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)、Xはポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)を表す。]
本発明のゴルフボールの塗膜は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とを含有する塗料から形成されることが好ましい。前記塗料としては、ポリオールを主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とするいわゆる二液硬化型塗料を例示することができる。前記塗料としては、水を主たる分散媒とする水系塗料、有機溶剤を分散媒とする溶剤系塗料のいずれであってもよい。溶剤系塗料の場合、好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール、酢酸エチルなどを挙げることができる。
前記塗料は、さらに必要に応じて、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、スリップ剤、粘度調整剤などの、一般にゴルフボール用塗料に含有され得る添加剤を含有してもよい。
次に、本発明の硬化型塗料の塗布方法について説明する。硬化型塗料の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗装、静電塗装などを挙げることができる。
エアーガンを用いたスプレー塗装の場合には、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物とをそれぞれのポンプで供給して、エアーガン直前に配置されたラインミキサーで連続的に混合し、得られた混合物をスプレー塗装してもよいし、混合比制御機構を備えたエアースプレーシステムを用いて、ポリオールとポリイソシアネートとを別々にスプレー塗装してもよい。塗装は、1回でスプレー塗布しても良いし、複数回重ね塗りをしても良い。
ゴルフボール本体に塗布された硬化型塗料は、例えば、30℃〜70℃の温度で1時間〜24時間乾燥することにより塗膜を形成することができる。
乾燥後の塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましく、15μm以上が特に好ましい。膜厚が5μm未満では、継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなる傾向がある。また、膜厚を厚くすることによりアプローチショットのスピン量が増大するからである。また、塗膜の膜厚は、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。膜厚が50μmよりも大きいとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するおそれがある。塗膜の膜厚は、例えば、ゴルフボールの断面をマイクロスコープ(キーエンス社製VHX−1000)を用いて測定することができる。なお、塗料を複数回重ね塗りした場合は、形成された塗膜全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであれば、特に限定されない。ゴルフボール本体の構造は、特に限定されず、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボール、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボール以上のマルチピースゴルフボール、あるいは、糸巻きゴルフボールであってもよい。いずれの場合であっても、本発明を好適に適用できるからである。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール20が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール20は、球状コア21と、球状コア21を被覆するカバー22と、このカバー22の表面に設けられた塗膜23を有する。前記カバー22の表面には、多数のディンプル24が形成されている。このカバー22の表面のうち、ディンプル24以外の部分は、ランド25である。
前記ゴルフボール本体は、コアと前記コアを被覆するカバーとを有するものが好ましい。この場合、前記カバーの硬度は、ショアD硬度で、60以下が好ましく、55以下がより好ましく、50以下がさらに好ましく、45以下が特に好ましい。カバーの硬度がショアD硬度で60以下であれば、スピン量が一層高くなるからである。前記カバー硬度の下限は、特に限定されないが、ショアD硬度で、10が好ましく、15がより好ましく、20がさらに好ましい。カバー硬度は、カバーを形成するカバー用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度である。
前記カバーの10%モジュラスは、120kgf/cm(11.8MPa)未満が好ましく、より好ましくは110kgf/cm(10.8MPa)以下、さらに好ましくは100kgf/cm(9.8MPa)以下である。10%モジュラスが、120kgf/cm未満であれば、カバーが軟質であり、アプローチショットのスピン量がより高くなる。カバーの10%モジュラスの下限は、特に限定されないが、5kgf/cm(0.49MPa)が好ましく、10kgf/cm(0.98MPa)がより好ましい。10%モジュラスが小さすぎると、柔らかくなりすぎて、フィーリングが悪くなるからである。
前記カバーの厚さは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上であり、1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。前記カバーの厚さが0.1mm以上であれば、ゴルフボールの打球感がより良好となり、1.0mm以下であればゴルフボールの反発性を維持することができる。
本発明のゴルフボールは、前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)と前記カバーの10%モジュラス(kgf/cm)との差(│塗膜の10%モジュラス−カバーの10%モジュラス│)が、65kgf/cm(6.4MPa)以下、好ましくは60kgf/cm(5.9MPa)以下、より好ましくは55kgf/cm(5.4MPa)以下である。塗膜の10%モジュラスとカバーの10%モジュラスとの差が65kgf/cm以下であれば、ゴルフボールの打球感が良好となる。
前記カバーを構成するカバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレンなどが挙げられ、ポリウレタン、アイオノマー樹脂が好ましい。
前記ポリウレタンは、いわゆる熱可塑性ポリウレタンや熱硬化性ポリウレタンのいずれの態様であってもよい。熱可塑性ポリウレタンとは、加熱により可塑性を示すポリウレタンであり、一般に、ある程度高分子量化された直鎖構造を有するポリウレタンを意味する。一方、熱硬化性ポリウレタン(二液硬化型ポリウレタン)は、カバーを成形する際に、低分子量のウレタンプレポリマーと硬化剤(鎖長延長剤)とを反応させて高分子量化することにより得られるポリウレタンである。熱硬化性ポリウレタンには、使用するプレポリマーや硬化剤(鎖長延長剤)の官能基の数を制御することによって、直鎖構造のポリウレタンや3次元架橋構造を有するポリウレタンが含まれる。前記ポリウレタンとしては、熱可塑性エラストマーが好ましい。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらのなかでも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記カバー材料の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポンポリケミカル(株)から商品名「ハイミラン(Himilan)(登録商標)」で市販されている」アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーまたは商品名「プリマロイ」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
カバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する態様、あるいは、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する態様(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)を挙げることができる。カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、マークを形成することもできる。
カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
本発明において、全てのディンプルの面積の合計の仮想球の表面積に対する比率は、占有率と称される。仮想球とは、ディンプルが存在しないとしたときのゴルフボール(球体)である。本発明のゴルフボールにおいて、ディンプルの占有率は、60%以上が好ましく、63%以上がより好ましく、66%以上がさらに好ましく、90%以下が好ましく、87%以下がより好ましく、84%以下がさらに好ましい。占有率が高くなりすぎると、摩擦係数に対する塗膜の寄与が小さくなる。また、占有率が小さすぎると、飛行性能が低下する。
なお、ディンプルの面積は、無限遠からゴルフボールの中心を見た場合の、輪郭線に囲まれた領域の面積である。円形ディンプルの場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S=(Di/2)・π (Di:ディンプルの直径)
ゴルフボールの直径は、40mm〜45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は、42.67mm以上が好ましい。空気抵抗の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
次に、糸巻きゴルフボール、ツーピースゴルフボールおよびマルチピースゴルフボールに用いられるコア、ならびに、ワンピースゴルフボール本体について説明する。
前記コアおよびワンピースゴルフボール本体には、公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を用いることができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記基材ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩が好ましく、アクリル酸の金属塩またはメタクリル酸の金属塩がより好ましい。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部以下が好ましい。架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。
また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、有機硫黄化合物を含有してもよい。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類、チオフェノール類、チオナフトール類を好適に使用することができる。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記コア用ゴム組成物は、さらにカルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。カルボン酸および/またはその塩としては、炭素数が1〜30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。カルボン酸および/またはその塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下である。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、有機硫黄化合物に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウムなどの重量調整剤、老化防止剤、色粉などを適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間と2段階加熱することが好ましい。
本発明のゴルフボールが、スリーピース、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボール以上のマルチピースゴルフボールである場合には、コアと最外層カバーとの間に設ける中間層としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂;スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ゴム組成物の硬化物などが挙げられる。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。なお、中間層は、ゴルフボールの構成に応じて、内側カバー層や、外層コアと称される場合がある。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体とゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、接触力試験機を用いて算出した摩擦係数が、0.35以上、0.60以下であることが好ましい。
本発明において、接触力試験機を用いて算出する摩擦係数は、ゴルフボールの飛行方向に対して、所定の角度で傾斜して設置された衝突板に、ゴルフボールを衝突させたときのゴルフボールと衝突板の摩擦係数である。接触力試験機により、衝突板に垂直な方向の接触力の時間関数Fn(t)および衝突板に平行な方向の接触力の時間関数Ft(t)を同時に求め、次の式で定義される両者の比の時間関数M(t)の最大値を、摩擦係数して求める。
M(t)=Ft(t)/Fn(t)
本発明における摩擦係数の算出方法を、図2〜図4に基づいて説明する。図2は、摩擦係数を測定するための接触力試験機である。図3は、ゴルフボールを衝突させる衝突板4の拡大断面図である。
前記接触力試験機1は、ゴルフボールをクラブフェースで打撃する状態を擬似的に作り出してそのときの各種の力を測定することができる。接触力試験機1は、例えば垂直上向きにゴルフボール2を発射しうる発射装置5と、発射されたゴルフボール2の上部に位置することにより、前記ゴルフボール2と衝突する打撃面3を有する衝突板4とを含んでいる。
発射装置5と打撃面3との距離が比較的小さいので、ゴルフボール2の初速度は、前記衝突速度に相当する。また、この衝突速度は、実際のゴルフスイングにおいて、クラブヘッドのヘッドスピードに対応している。このような点に鑑み、ゴルフボール2と打撃面3との衝突速度は、例えば約10m/s〜50m/s程度の範囲の中から設定しうる。本発明では、アプローチショットのヘッドスピードを考慮して、初速度を9m/秒とした。
前記ゴルフボール2の初速度は、コントローラ6のボリューム等によって目標値が設定される。また、発射装置5に設けられた第1センサS1と第2センサS2との間の距離と、このセンサを遮断する時間差とを用いて、コントローラ6はゴルフボール2の初速度の実測値を計算し、かつ、コンピュータ装置PC等に出力できる。
図3には、衝突板4の拡大部分断面図が示される。前記衝突板4は、ゴルフボール2の発射方向(飛行方向)に対して任意の角度αで打撃面3を傾けることができる。本発明では、90度からこの角度αを差し引いた角度θを衝突角度とする。この衝突角度θは、実際のスイングにおいてクラブフェース(図示せず)のロフト角に対応している。また、上記衝突角度θは、例えば10°〜90°の範囲の中からゴルフクラブのロフト角を考慮して複数の値(例えば、15゜、20゜、35゜等)が設定され、それぞれで後述の接触力の測定を行うことができる。本発明では、アプローチショットのスピン量を再現するために、衝突角度θを55°とした。
前記衝突板4は、例えば金属製の板材からなるベース板4aと、前記打撃面3を構成する表層板4cと、これらの間に挟まれた圧力センサ4bとを具え、これらは互いにボルト4dで一体に固着される。
前記ベース板4aは所定強度と剛性を有するものであればよく、その材質は、特に制限されないが、好ましくはスチールが用いられる。ベース板4aの厚みは、5.0mm〜20.0mmであることが好ましい。また、JIS規格による主ボルト4dの型番は、例えばM10である。
前記圧力センサ4bは、例えば、3成分力センサが好適に使用される。このようなセンサは、少なくとも、打撃面3と垂直な方向の垂直力Fnと、打撃面3に平行な方向(クラブフェースではソール側からクラウン側の方向)のせん断力Ftとを時系列データとして測定できる。また、力の測定は、圧力センサ4bにチャージアンプ等を接続して行われる。
圧力センサ4bには、各種製品が使用できるが、例えば、キスラー社の3成分力センサ(型式9067)が使用される。このセンサは、平行な方向、Y方向及び垂直な方向の力の成分を測定できる。圧力の測定は、図示されていないが、圧力センサ4bにチャージアンプ(キスラー社の型式5011B)を接続して行われる。圧力センサ4bの中心には貫通孔が形成され、この貫通孔に主ボルト4dを挿入して圧力センサ4bはベース板4aに固着一体化させている。
前記表層板4cは、本体4c1と、その外側に配されることにより打撃面3に表れかつゴルフボール2と衝突するのに十分な面積を持った表層材4c2とから構成される。これらは、図示しないボルト等を用いて脱着自在に固着されている。従って、表層材4c2の材料、表面形状及び/又は表面構造を任意に変更することにより、各種のクラブフェースの近似的モデルを作成してその接触力を測定できる。
本体4c1の材料は限定されないが、一般的にはステンレススチール(SUS−630)が使用される。本体4c1の厚みは、通常10mm〜20mmである。また、本体4c1の平面形状は圧力センサ4bの平面形状と実質的に同一とすることができ、例えば、一辺が40mm〜60mmの正方形である。本体4c1には主ボルト4dの先端が螺入されている。これによってベース板4aと本体4c1との間に圧力センサ4bが挟まれその位置が固定される。
衝突板4の打撃面3をなす表層材4c2は、各種材料、表面形状及び表面構造が採用できるが、解析対象として予め設定されたゴルフクラブヘッドのフェース(図示省略)と同一の材料で形成されるのが良い。本発明では、アプローチショットのモデルを評価する観点から、前記表層材4c2は、例えば、クリーブランドゴルフ社のCG−15のヘッド材料と同一の材料であるSUS−431ステンレスを使用した。表層材4c2の厚みは、任意に変更できるが、例えば、1.0mm〜5.0mmである。また、表層材4c2の平面形状は前記本体4c1の平面形状と実質的に同一寸法とし、例えば、一辺が40mm〜60mmの正方形とすることができる。
さらに、接触力試験機1は、打撃面3とゴルフボール2との衝突及び衝突して跳ね返るゴルフボール2を撮影しうるストロボ装置7及びハイスピード型のカメラ装置8を含んでいる。前記ストロボ装置7は、ストロボ電源9に接続される。また、カメラ装置8は、コンデンサボックスを介してカメラ電源10に接続されている。そして、撮像されたデータは、前記コンピュータ装置PC等に記憶される。これらの機器を含ませることにより、後述するゴルフボール2と打撃面3との衝突時のすべり速度や、接触面積、ゴルフボールの打ち出し速度、打ち出し角度及びバックスピン量などを測定することができる。
図4には、上記接触力試験機1で測定された一条件のゴルフボール2と打撃面3との衝突時に打撃面3が受けた垂直力Fnとせん断力Ftとの時刻歴が示される。
図4は、図2及び図3の測定装置で測定されるFn(t)及びFt(t)の一例が示されたグラフである。図4において、点P0は圧力センサ4bが力を感知し始める点であり、打撃面3とゴルフボール2との衝突開始時にほぼ相当する。そして垂直な方向の接触力であるFn(t)は点P0から徐々に増加し、点P4で最高値となり、ここから減少して点P3でゼロとなる。この点P3は、圧力センサ4bが力を感知しなくなった点であり、打撃面3からゴルフボール2が離れた時点にほぼ相当する。
一方、衝突板に平行な方向の接触力(すなわちせん断力)であるFt(t)の値は時間経過と共に点P0から増加し点P1で最高値となり、それから減少して点P2でゼロとなり、それ以降は負の値となる。点P3でゴルフボールが圧力センサ4bから離れるので、圧力センサ4bで感知されるFt(t)のカーブは点P3でゼロとなる。Ft(t)のカーブと時間軸とで囲まれた領域のうちFt(t)が正の値をとる領域の面積S1は、せん断力が正である力積を表す。一方、Ft(t)のカーブと時間軸とで囲まれた領域のうちFt(t)が負の値をとる領域の面積S2は、せん断力が負である力積を表す。力積S1はバックスピンを促進する方向に作用し、力積S2はバックスピンを抑制する方向に作用する。ここで、力積S1は力積S2よりも大きい値をとり、力積S1から力積S2を減じた値が、ゴルフボールのバックスピンに寄与する。
そして摩擦係数として求めるには、Ft(t)/Fn(t)で得られるM(t)の最大値を算出することで得ることができる。
本発明では、前記のようにして求めた摩擦係数が、0.35以上が好ましく、0.37以上がより好ましく、0.39以上がさらに好ましく、0.60以下が好ましく、0.56以下がより好ましく、0.54以下がさらに好ましい。摩擦係数が、前記範囲内であれば、アプローチショットのスピン量が良好になる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)カバーの機械的特性
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。ISO 527−1に準じて、このシートからダンベル型試験片(標線間距離:73mm、平行部の幅:5.0mm)を作製し、島津製作所製引張試験測定装置(引張速度:100mm/分、測定温度:23℃)を用いてカバーの物性を測定し、10%伸長時のモジュラス(引張弾性率)を算出した。
(2)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物または中間層用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(3)塗膜の機械的物性
主剤および硬化剤を配合した塗料を40℃で4時間乾燥及び硬化をさせて塗膜を作製した。JIS−K7161に準じて、この塗膜をダンベル形状(標線間距離:20mm、平行部の幅:10mm)に打ち抜いて試験片を作製し、島津製作所製引張試験測定装置を用いて塗膜の物性を測定し、10%伸長時のモジュラス(引張弾性率)を算出した。
試験片の膜厚:0.05mm
引張速度:50mm/分
測定温度:23℃
(4)摩擦係数の測定
図2に示す接触力試験機を用いて、ゴルフボールの摩擦係数を測定した。
(4−1)測定装置の仕様
(A)発射装置:エアガン方式
(B)衝突板:
・ベース板4a
スチール
厚さ:5.35mm
・表層板4c
本体4c1
サイズ:56mm×56mm×15mm
ステンレススチール(SUS−630)
表層材4c2
サイズ:56mm×56mm×2.5mm
金属組成:SUS−431
溝形状:図5参照
・傾斜角度(α)
35度(ゴルフボールの飛行方向に対して)
(C)圧力センサ4b
キスラー社の3成分力センサ(型式9067)
チャージアンプ
キスラー社の型式5011B
(D)接触力のPCへの取り込み
パルスカウンタボードPCI−6101(株式会社インターフェイス社製)を用いた。16ビット4チャンネルを持つPCIパルスカウンタボードで、4種類のカウンタモードで用途に合った計測が実現できる。最大入力周波数は1MHz。
図5に示したように、衝突板4の打撃面3には、クリーブランド社製サンドウエッジCG−15の溝構造を再現している。図5(a)に示すように、打撃面3には、大きな溝(ジップグルーブ)と、大きな溝(ジップグルーブ)間の表面に、小さな溝が複数設けられている。図5(b)は、ジップグルーブの断面構造の拡大図である。ジップグルーブの寸法は、下記の通りである。
ジップグルーブ(溝)幅W:0.70mm
ジップグルーブ(溝)深さh:0.50mm
ジップグルーブ(溝)ピッチ:3.56mm
ジップグルーブ(溝)角度α:10°
ジップグルーブ肩R:0.25
ジップグルーブ間の複数の小さな溝は、ジップグルーブ間の表面部分が、表面粗さRa=2.40±0.8μm、Rmax=14.0±8μmになるように、レーザーミーリングにより形成されている。なお、表面粗さRa、Rmaxは、ミツトヨ製SJ−301を用いて、測定長さ=2.5mm、カットオフ値=2.5mmの測定条件で測定する。
(4−2)測定手順
摩擦係数の測定は次の方法で行った。なお、測定温度は23℃、ボール初速度は9m/sとした。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。
(a)衝突板の角度(α)をゴルフボールの飛行方向(垂直方向)に対して、35度に設定した。
(b)発射装置5のエア圧を調整する。
(c)発射装置からゴルフボールを9m/sの速度で発射する。
(d)予め設定したセンサS1とセンサS2の距離とこの間のゴルフボールの遮蔽時間差からゴルフボール初速度を測定する。
(e)接触力Fn(t)、接触力Ft(t)を測定し、Ft(t)/Fn(t)の最大値を算出する。
(f)ストロボ装置およびカメラ装置でゴルフボールのスピン量を測定する。
(4−3)測定結果
前記試験装置、測定手順で測定された結果の一例を図6に示す。図6からM(t)の値は、Ft(t)/Fn(t)として算出され、その最大値は0.58となる。なおFt、Fnは接触力の立ち上がる初期と終期においてノイズが発生しやすいので、初期の前段階、終期の後段階をトリムしてM(t)の最大値を算出する。
(5)耐汚染性
ゴルフボールを、ヨードチンキ(ヨウ素を6質量%、ヨウ化カリウムを4質量%含有するエタノール溶液)を40倍に希釈したヨードチンキ水に30秒間浸漬して、取り出した。ゴルフボール表面に付着している余分なヨードチンキ水を拭きとった後、色差計(コニカミノルタ社製CM3500D)を用いて、浸漬前後のゴルフボールの色調(L,a,b)を測定し、色差(ΔE)を次式にて算出した。なお、色差(ΔE)の値が大きいほど、変色の度合いが大きいことを意味する。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
評価基準
◎:ΔEが15以下
○:ΔEが15超20以下
△:ΔEが20超25未満
×:ΔEが25以上
(6)打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、サンドウエッジ(クリーブランドゴルフ社製CG15フォージドウエッジ(52°))を用いた実打テストを行った。フィーリング良好(フェースに乗っている感じがして良い、ひっかかる感じがして良い、スピンがきく感じがして良い、くっつく感じがして良い等)と答えた人数に基づいて、以下のように評価した。
◎:8人以上
○:4人〜7人
△:3人以下
[スリーピースゴルフボールNo.1〜No.20の作製]
1.センターの作製
表1に示す配合のセンター用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状センターを得た。
Figure 0006440358
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZN−DA90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
2.中間層用組成物およびカバー用組成物の調製
表2、表3に示した配合の材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物およびカバー用組成物を調製した。押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で200〜260℃に加熱された。
Figure 0006440358
サーリン8945:デュポン社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
Figure 0006440358
エラストランXNY75A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY83A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY90A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストランXNY95A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
3.球状コアの作製
上記で得た中間層用組成物を、前述のようにして得たセンター上に直接射出成形することにより、前記センターを被覆する中間層(厚さ:1.0mm)を形成して、球状コアを作製した。成形用上下型は、半球状キャビティと、球状コアを支持する進退可能なホールドピンとを有している。中間層成形時には、上記ホールドピンを突き出し、センターを投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に260℃に加熱した中間層用組成物を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きして球状コアを取り出した。
4.ハーフシェルの成形
ハーフシェルの圧縮成形は、得られたペレット状のカバー用組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分、成形圧力2.94MPaの条件で行った。
5.カバーの成形
上記で得た球状コアを2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形によりカバー(厚さ:0.5mm)を成形した。圧縮成形は、成形温度145℃、成形時間2分、成形圧力9.8MPaの条件で行った。
6.塗料の調製
主剤の調製
ポリオール成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、トリメチロールプロパン(TMP)を溶剤(トルエン、メチルエチルケトン)に溶解した。ここに、触媒としてジブチル錫ラウレートを主剤全体に対して0.1質量%となるように添加した。このポリオール溶液を80℃に保持しながらポリイソシアネート成分としてのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下混合した。滴下後は、イソシアネートがなくなるまで攪拌を続け、その後常温で冷却し、ウレタンポリオール(固形分:30質量%)を調製した。各ウレタンポリオールの組成等を表4に示した。
Figure 0006440358
硬化剤の調製
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート(登録商標)TKA−100(NCO含有率:21.7質量%))30質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート21S−75E(NCO含有率:15.5質量%))30質量部、イソホロンジイソシアネート(BAYER社製、デスモジュール(登録商標) Z 4470(NCO含有率:11.9質量%))40質量部を混合した。ここに、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸n−ブチル、トルエンの混合溶媒を追加し、ポリイソシアネート成分の濃度が60質量%になるように調整した。
塗料の調製
上記で調製した主剤またはポリン#950(神東塗料社製、水酸基価128mgKOH/g、ポリオール成分(トリメチロールプロパン、ポリオキシテトラメチレングリコール)と、ポリイソシアネート成分(イソホロンジイソシアネート)とからなるウレタンポリオール)に対して、表5、6に示したNCO/OH比となるように硬化剤を配合して塗料を調製した。
7.塗膜の形成
上記で得たゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、スプレーガンで塗料を塗布し、40℃のオーブンで24時間塗料を乾燥させ、質量45.3gのゴルフボールを得た。塗膜の厚さは、20μmとした。塗装は、図7に示した3本のプロング30a〜30cを備えた回転体30にゴルフボール本体20を載置し、回転体を300rpmで回転させ、ゴルフボール本体からエアーガン31を吹き付け距離(7cm)だけ離間させて上下方向に移動させながら行った。重ね塗りの各回のインターバルを1.0秒とした。エアーガンの吹付条件は、重ね塗り;2回、吹付エアー圧;0.15MPa、圧送タンクエアー圧;0.10MPa、1回の塗布時間;1秒、雰囲気温度;20℃〜27℃、雰囲気湿度;65%以下の条件で塗装とした。得られたゴルフボールのスピン性能について評価した結果を併せて表5に示した。また、塗膜のNCO/OH(モル比)と10%モジュラス(kgf/cm)との関係を図8に示した。
Figure 0006440358
Figure 0006440358
ゴルフボールNo.1〜4、6〜9、11〜17は、塗膜を構成するポリオール組成物が、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを構成成分として含有するウレタンポリオールを含有し、塗膜の10%モジュラスが100kgf/cm以下であり、前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)と前記モル比(NCO/OH)とが式(1)の関係を満足する。これらのゴルフボールは、アプローチショットにおけるスピン量が高く、かつ、耐汚染性に優れる。これらの中でも、塗膜の10%モジュラス(kgf/cm)とカバーの10%モジュラス(kgf/cm)との差が、65kgf/cm以下であるゴルフボールNo.1〜4、6〜9、12〜17は、打球感にも優れている。
本発明は、塗装ゴルフボールに好適に適用できる。
1:接触力試験機、2:ゴルフボール、3:打撃面、4:衝突板、5:発射装置、6:コントローラ、7:ストロボ装置、8:ハイスピード型カメラ装置、9:ストロボ電源、10:カメラ電源、Fn:打撃面と垂直な方向の垂直力、Ft:打撃面と平行な方向の剪断力、20:ゴルフボール、21:球状コア、22:カバー、23:塗膜、24:ディンプル、25:ランド、30:回転体、30a〜30c:プロング、31:エアーガン

Claims (10)

  1. ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、
    前記塗膜を構成する基材樹脂が、ポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを反応させてなるポリウレタンであり、
    前記ポリオール組成物が、ウレタンポリオールを含有し、
    前記ウレタンポリオールが、構成成分として、トリオール成分と、数平均分子量が800〜3000のポリエーテルジオールを含有するものであり、
    前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)と、ポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)が、0.5超、1.2以下であり、
    前記ポリイソシアネート組成物が、トリイソシアネート化合物を含有し、
    前記ポリイソシアネート組成物が含有するポリイソシアネート化合物中のトリイソシアネート化合物の含有率が50質量%以上であり、
    前記塗膜の10%モジュラスが100kgf/cm2以下であり、
    前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm2)と、前記ポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)とが下記式(1)の関係を満足することを特徴とするゴルフボール。
    Y≦200×X−75・・・(1)
    [式中、Yは、塗膜の10%モジュラス(kgf/cm2)、Xはポリオール組成物が有する水酸基(OH基)とポリイソシアネート組成物が有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)を表す。]
  2. 前記ウレタンポリオールの重量平均分子量が、5000〜20000である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記ウレタンポリオールの水酸基価が、10mgKOH/g〜200mgKOH/gである請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記ポリオール組成物が含有するポリオール化合物中のウレタンポリオールの含有率が、60質量%以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記ウレタンポリオールを構成するポリオール成分は、トリオール成分とジオール成分との混合比率(トリオール成分/ジオール成分)が、質量比で、0.2〜6.0である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 接触力試験機を用いて算出した摩擦係数が、0.35以上、0.60以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記塗膜の厚みが、5μm以上、50μm以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  8. 前記ゴルフボール本体が、コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、
    前記塗膜の10%モジュラス(kgf/cm2)と前記カバーの10%モジュラス(kgf/cm2)との差(│塗膜の10%モジュラス−カバーの10%モジュラス│)が、65kgf/cm2以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  9. 前記カバーの10%モジュラスが、120kgf/cm2未満である請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  10. 前記カバーのスラブ硬度が、ショアD硬度で、60以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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