JP2001017400A - 非観血連続血圧推定装置および非観血連続血圧予測装置 - Google Patents

非観血連続血圧推定装置および非観血連続血圧予測装置

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JP2001017400A
JP2001017400A JP11196316A JP19631699A JP2001017400A JP 2001017400 A JP2001017400 A JP 2001017400A JP 11196316 A JP11196316 A JP 11196316A JP 19631699 A JP19631699 A JP 19631699A JP 2001017400 A JP2001017400 A JP 2001017400A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 推定血圧値に対して高い推定精度が得られる
非観血連続血圧推定装置を提供する。 【解決手段】 予め係数kが決定された自己回帰モデル
AR1に基づいて、推定血圧値決定手段74(SB7)
により、脈波伝播速度情報算出手段64(SB2)・心
拍周期情報算出手段66(SB3)・容積脈波面積情報
算出手段68(SB4)・上昇期間算出手段70(SB
5)によって決定された、最新のものを含むm拍分の脈
波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・
U−timeから、その最新の脈波伝播時間DT等が決
定された時点の生体の推定血圧値EBPが決定されるの
で、信頼性の高い推定血圧値EBPが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の循環器から
非侵襲にて逐次得られ且つ血圧に関連して変動する循環
情報から生体の動脈内血圧を推定または予測するための
非観血連続血圧推定装置および非観血連続血圧予測装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体の血圧値を連続的に測定するため、
生体の動脈内を伝播する脈波の伝播速度情報(すなわち
脈波伝播速度および脈波伝播時間)を非侵襲で得られる
信号に基づいて算出し、その逐次算出される脈波伝播速
度情報から、予め記憶された関係を用いてその脈波伝播
速度情報が算出された時点の生体の血圧値を連続的に推
定する非侵襲連続血圧推定装置が提案されている。たと
えば、実開平7−9305号公報や特開平7−3082
95号公報に記載された装置がそれである。
【0003】また、脈波伝播速度情報に基づいて生体の
血圧値を連続的に推定する非侵襲連続血圧推定装置に
は、逐次推定される血圧値の変化傾向を把握できるよう
にトレンドグラフ形式で表示する表示器が設けられてい
る場合がある。血圧の変化の程度および傾向は、短時間
でみれば一定であるので、医者らは、そのトレンドグラ
フから患者の今後の血圧値を予測し、血圧値が異常範囲
に入ることが予想される場合には、早期に対処すること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記脈
波伝播速度情報から決定された推定血圧値は、精度が不
十分であった。そのため、圧迫帯を用いたコロトコフ音
方式の自動血圧測定装置或いはオシロメトリック方式の
自動血圧測定装置により測定された血圧値との間で頻繁
な校正を必要とする不都合があった。また、推定血圧値
のトレンドグラフから予想する血圧値は、医者らの主観
的判断によるものであり、必ずしも正確な判断が行なわ
れるとは限らないという問題もあった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであって、その目的とするところは、推定血圧値に
対して高い推定精度が得られる非観血連続血圧推定装置
を提供するとともに、今後の血圧値を正確に予測するこ
とのできる非観血連続血圧予測装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は以上の事情を
背景として種々検討を重ね、刻々と変化する血圧は過去
の一定期間の循環器の状態により決定されていくという
事実に着目した結果、現時点の循環情報だけでなく、過
去の一定期間の循環情報をも用いて生体の推定血圧値を
決定すると、推定血圧値の精度が向上することを見いだ
した。本発明はこのような知見に基づいて為されたもの
である。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】すなわち、本目的
を達成するための第1発明の要旨とするところは、生体
の動脈内血圧を非侵襲にて連続的に推定するための非観
血連続血圧推定装置であって、前記生体の循環器から非
侵襲にて得られる循環情報を連続的に決定する循環情報
決定手段と、生体の循環器から非侵襲にて得られた循環
情報とそのときの該生体の血圧値とを用いて係数が予め
決定された自己回帰モデルに基づいて、前記循環情報決
定手段により決定された循環情報のうち、最新の循環情
報を含む所定拍数分の循環情報から、該最新の循環情報
が決定された時点の推定血圧値を逐次決定する推定血圧
値決定手段とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、推定血圧値決定
手段により、予め係数が決定された自己回帰モデルに基
づいて、循環情報決定手段によって決定された、最新の
ものを含む所定拍数分の循環情報から、その最新の循環
情報が決定された時点の推定血圧値が決定されるので、
信頼性の高い推定血圧値が得られる。
【0009】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記循環情
報決定手段の一つとして、前記生体の動脈における脈波
伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を連続的に算出す
る脈波伝播速度情報算出手段が用いられる。このように
すれば、脈波伝播速度情報算出手段によって逐次算出さ
れた、最新の脈波伝播速度情報を含む所定拍数分の脈波
伝播速度情報から、その最新の脈波伝播速度情報が算出
された時点の推定血圧値が逐次決定される。この脈波伝
播速度情報は、生体の循環器から非侵襲にて連続的に得
られる情報のうち、最もよく生体の血圧値の変動に対応
する情報の一つであるので、推定血圧値決定手段により
逐次決定される推定血圧値の精度が一層高くなる。
【0010】また、好適には、前記循環情報決定手段の
一つとして、前記生体の心拍周期に関連する心拍周期情
報を連続的に算出する心拍周期情報算出手段および前記
生体の末梢部における容積脈波の面積に関連する容積脈
波面積情報を連続的に算出する容積脈波面積情報算出手
段の少なくとも一方がさらに用いられる。このようにす
れば、推定血圧値決定手段により、脈波伝播速度情報算
出手段によって算出された脈波伝播速度情報と、生体の
血圧値に関連して変化する心臓側のパラメータである心
拍周期情報および生体の血圧値に関連して変化する末梢
側のパラメータである容積脈波面積情報の少なくとも一
方とを含む、少なくとも2つの循環情報が用いられて推
定血圧値が決定されるので、推定血圧値の精度がより一
層高くなる。
【0011】また、好適には、前記非観血連続血圧推定
装置は、前記循環情報決定手段により決定された生体の
循環情報とその生体の血圧値とに基づいて前記自己回帰
モデルを修正するモデル修正手段をさらに含むものであ
る。このようにすれば、モデル修正手段により生体毎の
循環情報と血圧値とに基づいて前記自己回帰モデルが修
正されるので、推定血圧値の精度がより一層高くなる。
【0012】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の要旨とするところは、生体の
動脈内血圧を非侵襲にて連続的に予測するための非観血
連続血圧予測装置であって、(a) 前記生体の循環器から
非侵襲にて連続的に得られる循環情報を決定する循環情
報決定手段と、(b) 所定拍数分の循環情報から所定拍数
後の予測循環情報を決定するための予め設定された自己
回帰モデルを用いて、前記循環情報決定手段により実際
に決定された循環情報に基づいて、将来の予測循環情報
を逐次決定する予測循環情報決定手段と、(c) 所定拍数
分の循環情報から所定拍数後の予測血圧値を決定するた
めの予め設定された自己回帰モデルを用いて、前記循環
情報決定手段により実際に決定された循環情報および前
記予測循環情報決定手段により決定された予測循環情報
の少なくとも一方に基づいて、将来の予測血圧値を逐次
決定する予測血圧値決定手段とを、含むことにある。
【0013】
【第2発明の効果】このようにすれば、予測循環情報決
定手段により、所定拍数分の循環情報から所定拍数後の
予測循環情報を決定するための自己回帰モデルを用い
て、実際に決定された循環情報に基づいて将来の予測循
環情報が逐次決定され、予測血圧値決定手段により、所
定拍数分の循環情報から所定拍数後の予測血圧値を決定
するための自己回帰モデルを用いて、循環情報決定手段
によって実際に決定された循環情報および予測循環情報
決定手段によって決定された予測循環情報の少なくとも
一方に基づいて将来の予測血圧値が逐次決定されるの
で、今後の血圧値を正確に予測することができる。
【0014】
【第2発明の他の態様】ここで、好適には、前記非観血
連続血圧予測装置は、前記生体の動脈から発生する圧脈
波を検出するための圧脈波センサと、その圧脈波センサ
を前記動脈に向かって押圧する押圧装置と、前記動脈の
血管壁の一部が略平坦となるように予め決定した最適押
圧力で前記押圧装置により前記圧脈波センサを押圧させ
且つその最適押圧力を維持させる最適押圧力制御手段
と、予め設定された関係から、前記圧脈波センサにより
検出された圧脈波の大きさに基づいて、その生体の監視
血圧値を連続的に決定する監視血圧値連続決定手段と
を、さらに含み、前記予測血圧値決定手段は、前記循環
情報として、前記監視血圧値連続決定手段により連続的
に決定された監視血圧値を少なくとも用いて、将来の予
測血圧値を逐次決定するものである。このようにすれ
ば、押圧装置の圧脈波センサを押圧する押圧力が、最適
押圧力制御手段により、圧脈波センサにより押圧される
血管の一部が略平坦となるように予め決定した最適押圧
力に制御され、監視血圧値連続決定手段により、予め設
定された関係から、圧脈波センサにより出力された圧脈
波の大きさに基づいて生体の監視血圧値が連続的に決定
され、前記予測血圧値決定手段では、前記循環情報とし
て、監視血圧値連続決定手段により連続的に決定された
監視血圧値が少なくとも用いられて、将来の予測血圧値
が逐次決定される。すなわち、信頼性のある監視血圧値
が用いられて、所定拍数後の予測血圧値が決定されるの
で、精度の高い予測血圧値を決定することができる。
【0015】また、好適には、前記循環情報決定手段の
一つとして、前記生体の動脈における脈波伝播速度に関
連する脈波伝播速度情報を連続的に算出する脈波伝播速
度情報算出手段が用いられる。このようにすれば、予測
血圧値決定手段により、脈波伝播速度情報算出手段によ
って算出された脈波伝播速度情報に基づいて予測血圧値
が逐次決定される。この脈波伝播速度情報は、生体の循
環器から非侵襲にて連続的に得られる情報のうち、最も
よく生体の血圧値の変動に対応する情報の一つであるの
で、予測血圧値決定手段により逐次決定される予測血圧
値の精度が一層高くなる。
【0016】また、好適には、前記循環情報決定手段の
一つとして、前記生体の心拍周期に関連する心拍周期情
報を連続的に算出する心拍周期情報算出手段および前記
生体の末梢部における容積脈波の面積に関連する容積脈
波面積情報を連続的に算出する容積脈波面積情報算出手
段の少なくとも一方がさらに用いられる。このようにす
れば、予測血圧値決定手段により、脈波伝播速度情報算
出手段によって算出された脈波伝播速度情報と、生体の
血圧値に関連して変化する心臓側のパラメータである心
拍周期情報および生体の血圧値に関連して変化する末梢
側のパラメータである容積脈波面積情報の少なくとも一
方とを含む、少なくとも2つの循環情報に基づいて予測
血圧値が決定されるので、予測血圧値の精度がより一層
高くなる。
【0017】また、好適には、前記非観血連続血圧予測
装置は、前記循環情報決定手段により実際に決定された
所定拍数分の循環情報およびそのときから所定拍数後の
その循環情報とに基づいて、前記予測循環情報を決定す
るための自己回帰モデルを修正する予測循環情報モデル
修正手段をさらに含むものである。このようにすれば、
予測循環情報モデル修正手段により、生体毎の循環情報
に基づいて前記予測循環情報を決定するための自己回帰
モデルが修正されるので、予測循環情報決定手段により
決定される予測循環情報の精度が高くなる。
【0018】また、好適には、前記非観血連続血圧予測
装置は、前記循環情報決定手段により実際に決定された
所定拍数分の循環情報およびそのときから所定拍数後の
その生体の血圧値とに基づいて前記予測血圧値を決定す
るための自己回帰モデルを修正する予測血圧値モデル修
正手段をさらに含むものである。このようにすれば、予
測血圧値モデル修正手段により、生体毎の循環情報と血
圧値とに基づいて前記予測血圧値を決定するための自己
回帰モデルが修正されるので、予測血圧値決定手段によ
り決定される予測血圧値の精度が高くなる。
【0019】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。図1は、前記第1発明
が適用された非観血連続血圧推定装置8の回路構成を説
明するブロック線図である。
【0020】図1において、非観血連続血圧推定装置8
は、ゴム製袋を布製帯状袋内に有してたとえば患者の上
腕部12に巻回されるカフ10と、このカフ10に配管
20を介してそれぞれ接続された圧力センサ14、切換
弁16、および空気ポンプ18とを備えている。この切
換弁16は、カフ10内への圧力の供給を許容する圧力
供給状態、カフ10内を徐々に排圧する徐速排圧状態、
およびカフ10内を急速に排圧する急速排圧状態の3つ
の状態に切り換えられるように構成されている。
【0021】圧力センサ14は、カフ10内の圧力を検
出してその圧力を表す圧力信号SPを静圧弁別回路22
および脈波弁別回路24にそれぞれ供給する。静圧弁別
回路22はローパスフィルタを備え、圧力信号SPに含
まれる定常的な圧力すなわちカフ圧PC を表すカフ圧信
号SKを弁別してそのカフ圧信号SKをA/D変換器2
6を介して電子制御装置28へ供給する。
【0022】上記脈波弁別回路24はバンドパスフィル
タを備え、圧力信号SPの振動成分である脈波信号SM
1 を周波数的に弁別してその脈波信号SM1 をA/D変
換器29を介して電子制御装置28へ供給する。この脈
波信号SM1 が表すカフ脈波は、患者の心拍に同期して
図示しない上腕動脈から発生してカフ10に伝達される
圧力振動波すなわちカフ脈波であり、上記カフ10、圧
力センサ14、および脈波弁別回路24は、カフ脈波セ
ンサとして機能している。
【0023】上記電子制御装置28は、CPU30,R
OM32,RAM34,および図示しないI/Oポート
等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されてお
り、CPU30は、ROM32に予め記憶されたプログ
ラムに従ってRAM34の記憶機能を利用しつつ信号処
理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を
出力して切換弁16および空気ポンプ18を制御すると
ともに、表示器36の表示内容を制御する。
【0024】心電誘導装置38は、生体の所定の部位に
貼り着けられる複数の電極39を介して心筋の活動電位
を示す心電誘導波、所謂心電図を連続的に検出するもの
であり、その心電誘導波を示す心電誘導信号SM2 を前
記電子制御装置28へ供給する。なお、この心電誘導装
置38は、心臓内の血液を大動脈へ向かって拍出開始す
る時期に対応する心電誘導波のうちのQ波或いはR波を
検出するためのものであることから、第1脈波検出装置
として機能している。
【0025】光電脈波センサ40は、毛細血管を含む末
梢細動脈へ伝播した脈波を検出する第2脈波検出装置と
して機能するものであり、たとえば脈拍検出などに用い
るものと同様に構成されており、生体の一部、たとえば
カフ10が巻回されていない側の手の指尖部、を収容可
能なハウジング42内には、ヘモグロビンによって反射
可能な波長帯の赤色光或いは赤外光、好ましくは酸素飽
和度によって影響を受けない800nm程度の波長、を
生体の表皮に向かって照射する光源である発光素子44
と、表皮内からの散乱光を検出する光検出素子46とを
備え、毛細血管内の血液容積に対応する光電脈波信号S
3 を出力し、A/D変換器48を介して電子制御装置
28へ供給する。この光電脈波信号SM3 は、一拍毎に
脈動する信号であって、表皮内の毛細血管内のヘモグロ
ビンの量すなわち血液量に対応している。
【0026】図2は、上記非観血連続血圧推定装置8に
おける電子制御装置28の制御機能の要部を説明する機
能ブロック線図である。図2において、血圧測定手段6
0は、カフ圧制御手段62によってたとえば生体の上腕
に巻回されたカフ10の圧迫圧力を所定の目標圧力値P
CM(たとえば、180mmHg程度の圧力値)まで急速昇圧
させた後に3mmHg/sec程度の速度で徐速降圧させられる
徐速降圧期間内において、順次採取される脈波信号SM
1 が表す脈波の振幅の変化に基づきよく知られたオシロ
メトリック法を用いて最高血圧値BPSYS 、平均血圧値
BPMEAN、および最低血圧値BPDIA などを決定し、そ
の決定された最高血圧値BPSYS 、平均血圧値B
MEAN、および最低血圧値BPDIA などを表示器36に
表示させる。
【0027】脈波伝播速度情報算出手段64は、図3に
示すように心電誘導装置38により逐次検出される心電
誘導波の周期毎に発生する所定の部位たとえばR波か
ら、光電脈波センサ40により逐次検出される光電脈波
の周期毎に発生する所定の部位(たとえば立ち上がり点
或いは下ピーク点)までの時間差(脈波伝播時間)DT
を逐次算出する時間差算出手段を備え、その時間差算出
手段により逐次算出される時間差DTに基づいて、予め
記憶される数式1から、被測定者の動脈内を伝播する脈
波の伝播速度VM (m/sec )を逐次算出する。尚、数式
1において、L(m)は左心室から大動脈を経て前記光
電脈波センサ40が装着される部位までの距離であり、
PEP (sec)は心電誘導波形のR波から大動脈起始部
脈波の立ち上がり点或いは下ピーク点までの前駆出期間
である。これらの距離Lおよび前駆出期間TPEP は定数
であり、予め実験的に求められた値が用いられる。上記
脈波伝播時間DTおよび脈波伝播速度VM は、生体の動
脈から非侵襲にて得られる循環情報であるので、脈波伝
播速度情報算出手段64は循環情報決定手段として機能
する。
【0028】(数1) VM =L/(DT−TPEP
【0029】心拍周期情報算出手段66は、生体の心拍
周期RRに関連する心拍周期情報、たとえば心拍周期R
R、心拍数HR、脈拍数、脈拍周期等を逐次算出する。
この心拍周期情報は、生体の心臓または動脈から非侵襲
にて得られる循環情報であるので、心拍周期情報算出手
段66も循環情報決定手段として機能する。
【0030】容積脈波面積情報算出手段68は、生体の
末梢部における容積脈波の面積に関連する容積脈波面積
情報を逐次算出する。上記生体の末梢部における容積脈
波の面積に関連する容積脈波面積情報には、たとえば、
容積脈波の面積VP、その容積脈波面積VPと心拍周期
RRの逆数との積(=VP/RR)として定義する容積
脈波面積比VR、その容積脈波面積比VRと脈波振幅L
との積(=VR×L)として定義する振幅補正容積脈波
面積比VR’、容積脈波面積VPを心拍周期RRと脈波
振幅Lに基づいて正規化し、VP/(RR×L)なる演
算が行なわれることにより求められる正規化脈波面積等
が含まれる。たとえば、光電脈波センサ40から入力さ
れる光電脈波は、図4に示すように、数ミリ或いは数十
ミリ毎のサンプリング周期毎に入力される光電脈波の大
きさを示す点の連なりにより構成されているので、その
1周期RR内において光電脈波を積分(加算)すること
により光電脈波の面積VPが求められる。上記容積脈波
面積情報は、生体の末梢動脈から非侵襲にて得られる循
環情報であるので、容積脈波面積情報算出手段68も循
環情報決定手段として機能している。
【0031】上昇期間算出手段70は、容積脈波が上昇
する期間であるU−time(立ち上がり時間)を逐次
算出する。すなわち、図4にも示されるように、脈波の
立ち上がり点およびその脈波のピークトップを検出し、
その立ち上がり点からピークトップまでの時間を算出す
る。このU−timeも、上記容積脈波面積情報と同様
に生体の末梢動脈から非侵襲にて得られる循環情報であ
るので、上昇期間算出手段70も循環情報決定手段とし
て機能している。
【0032】循環情報記憶手段72は、循環情報決定手
段により決定された循環情報を、電子制御装置28のR
AM34内の所定の記憶領域に逐次記憶する。たとえ
ば、脈波伝播速度情報算出手段64により連続的に算出
された脈波伝播時間DT・心拍周期情報算出手段66に
より連続的に算出された心拍周期RR・容積脈波面積情
報算出手段68により連続的に算出された容積脈波面積
比VR・上昇期間算出手段70により連続的に算出され
たU−timeを、電子制御装置28のRAM34内の
所定の記憶領域に逐次記憶する。
【0033】モデル修正手段73は、生体の循環器から
非侵襲にて得られた循環情報とそのときのその生体の血
圧値BPを用いて係数が予め決定された自己回帰モデル
AR1の定数項C1を、循環情報記憶手段72によりR
AM34に記憶された循環情報と、血圧測定手段60に
より測定された血圧値BPとに基づいて決定することに
より、自己回帰モデルAR1を修正する。上記自己回帰
モデルAR1は、たとえば、数式2に示すものであり、
連続するm拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容
積脈波面積比VR・U−timeの線形結合により、そ
のm拍のうち最新の時点の推定血圧値EBPを表すモデ
ルである。数式2において、kは係数である。また、カ
ッコ内の数値は最新の時点から何拍前の情報であるかを
表し、たとえば、DT(0)は最新の脈波伝播時間を意
味し、DT(−1)はその最新の時点の一拍前の脈波伝
播時間を意味する。数式2のように複数の循環情報に基
づいて推定血圧値EBPが決定されるモデルの場合は、
多変量自己回帰モデルという。ここで、まず、定数項C
1の決定について説明する前に、自己回帰モデルAR1
の係数kの決定について説明する。
【0034】 (数2) EBP(0) = k11DT(0) + k12DT(-1) + … + k1mDT(-m+1) + k21RR(0) + k22RR(-1) + … + k2mRR(-m+1) + k31VR(0) + k32VR(-1) + … + k3mVR(-m+1) + k41U-time(0) + k42U-time(-1) + … + k4mU-time(-m+1) + C1
【0035】自己回帰モデルAR1の係数kを決定する
には、連続するm拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期R
R・容積脈波面積比VR・U−timeとそのm拍分の
うち最新の時点において測定された血圧値BPとを一組
とする情報が、係数kの数以上必要である。すなわち、
係数kの数はm×4であるので、上記情報の組がm×4
組以上必要となる。そのため、この係数kの決定におい
ては、まず、連続的に生体の血圧値BPが測定できる連
続血圧値測定装置と、前記脈波伝播時間DT・心拍周期
RR・容積脈波面積比VR・U−timeを連続的に決
定するための装置(たとえば本実施例の非観血連続血圧
推定装置8)を同じ生体の装着して、上記一組の情報を
多数組得る。この作業を複数の生体に対して行なうこと
により、複数人について、上記一組の情報を少なくとも
m×4組以上の多数組得る。そして、それらの多数組の
情報に基づいて最小自乗法により係数kおよび定数項C
1を予め決定する。なお、上記連続血圧値測定装置とし
ては、後述する他の実施例において用いられている圧脈
波に基づいて血圧値を連続的に決定する形式、容積補償
法により血圧値を連続的に測定する形式、脈波伝播速度
情報に基づいて血圧値を連続的に決定する形式等の非観
血的連続血圧値測定装置、または動脈血管にカテーテル
を挿入して血圧値を測定する形式の観血的連続血圧測定
装置等が用いられる。
【0036】また、上記自己回帰モデルAR1は、最新
の循環情報からm拍前までの循環情報に基づいて推定血
圧値EBPが決定されるが、何拍前の循環情報まで用い
て推定血圧値EBPを決定するか、すなわちmの大きさ
は、2以上の一定値であればよく、好ましくは、この自
己回帰モデルAR1の最終予測誤差FPEを最小にする
ように決定され、たとえば60である。
【0037】上記のようにして予め係数kが決定された
自己回帰モデルAR1は、複数人について測定された循
環情報と血圧値とに基づいてその係数kが決定されてい
ることから、多くの人に適合する汎用的な関係である。
しかし、後述する推定血圧値決定手段74により決定さ
れる推定血圧値EBPの精度をさらに高めるため、モデ
ル修正手段73では、各個人について実際に測定された
循環情報と血圧値BPとに基づいて、自己回帰モデルA
R1の定数項C1を決定することにより、自己回帰モデ
ルAR1を修正するのである。すなわち、血圧測定手段
60により測定された血圧値BP(最高血圧値BPSYS
・平均血圧値BPMEAN・最低血圧値BP DIA のいずれか
一つ)と、循環情報記憶手段72によりRAM34に記
憶された循環情報のうち、血圧値BPが測定された時点
のm拍分の循環情報とを、自己回帰モデルAR1に代入
することにより、定数項C1を決定するのである。な
お、血圧値BPが測定された時点とは、血圧測定手段6
0による血圧測定中だけでなく、その血圧測定の直前お
よび直後であってもよい。
【0038】推定血圧値決定手段74は、上記自己回帰
モデルAR1に基づいて、循環情報記憶手段72により
RAM34に記憶されている循環情報のうち、最新の循
環情報を含む所定拍数分を用いて、その最新の循環情報
が決定された時点の推定血圧値EBPを逐次決定する。
ここで決定される推定血圧値EBPは、モデル修正手段
73において用いられたものと同じであり、たとえば、
モデル修正手段73において最高血圧値BPSYS に基づ
いて定数項C1が決定された場合、推定血圧値は推定最
高血圧値EBPSYS になる。また、上記所定拍数は、自
己回帰モデルAR1に代入される拍数であることから、
m拍分となる。
【0039】表示手段76は、推定血圧値決定手段74
により決定された推定血圧値EBPを、表示器36の所
定の表示領域に表示させる。血圧測定起動手段78は、
推定血圧値決定手段74により決定された推定血圧値E
BPが予め設定された判断基準値を越えたことに基づい
て、前記血圧測定手段60による血圧測定を起動させ
る。すなわち、血圧測定起動手段78は、推定血圧値決
定手段74により決定された推定血圧値EBPが予め設
定された判断基準値たとえば血圧測定手段60による前
回のカフによる血圧測定時を基準としてそれから所定値
或いは所定割合以上変化したことを以て異常判定する推
定血圧値異常判定手段としても機能し、推定血圧値EB
Pの異常が判定され場合に前記血圧測定手段60による
血圧測定を起動させる。
【0040】図5および図6は、上記非観血連続血圧推
定装置8の電子制御装置28における制御作動の要部を
説明するフローチャートであって、図5は、初回の起動
時および図6においてカフ10による血圧測定の起動が
判断された場合に実行される血圧測定ルーチンであり、
カフ10による血圧測定を実行するとともに、自己回帰
モデルAR1の定数項C1を決定する。図6は、図5の
血圧測定ルーチンにより自己回帰モデルAR1の定数項
C1が決定された後に実行される推定血圧値EBP決定
ルーチンである。
【0041】図5において、まず前記カフ圧制御手段6
2に対応するステップSA1(以下、ステップを省略す
る。)およびSA2では、切換弁16が圧力供給状態に
切り換えられ且つ空気ポンプ18が駆動されることによ
り、血圧測定のためにカフ10の急速昇圧が開始される
とともに、カフ圧PC が180mmHg程度に予め設定され
た目標圧迫圧PCM以上となったか否かが判断される。こ
のSA2の判断が否定された場合は、上記SA1以下が
繰り返し実行されることによりカフ圧PC の上昇が継続
される。
【0042】しかし、カフ圧PC の上昇により上記SA
2の判断が肯定されると、前記血圧測定手段60に対応
するSA3において、血圧測定アルゴリズムが実行され
る。すなわち、空気ポンプ18を停止させ且つ切換弁1
6を徐速排圧状態に切り換えてカフ10内の圧力を予め
定められた3mmHg/sec程度の緩やかな速度で下降させる
ことにより、この徐速降圧過程で逐次得られる脈波信号
SM1 が表す脈波の振幅の変化に基づいて、良く知られ
たオシロメトリック方式の血圧値決定アルゴリズムに従
って最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、および
最低血圧値BP DIA が測定され、切換弁16が急速排圧
状態に切り換えられてカフ10内が急速に排圧される。
【0043】続くSA4では、上記SA3において測定
された最高血圧値BPSYS 、平均血圧値BPMEAN、およ
び最低血圧値BPDIA が、表示器36に表示される。
【0044】続くSA5では、心電波形のR波および光
電脈波の一脈波分が入力されたか否かが判断される。こ
のSA5の判断が否定された場合はSA5が繰り返し実
行されるが、肯定された場合は、続く脈波伝播速度情報
算出手段64に対応するSA6において、上記SA5で
入力された心電波形のR波から光電脈波の立ち上がり点
までの時間差すなわち脈波伝播時間DT(msec)が決定さ
れる。
【0045】続く心拍周期情報算出手段66に対応する
SA7では、SA5で入力された心電誘導波形のR波の
時間間隔から心拍周期RR(sec) が算出され、続く容積
脈波面積情報算出手段68に対応するSA8では、SA
5で入力された光電脈波の1脈波分の面積VPを、上記
SA7で算出された心拍周期RRで割ることにより容積
脈波面積比VR(=VP/RR)が算出され、続く上昇
期間算出手段70に対応するSA9では、SA5で入力
された光電脈波の立ち上がり点からピークトップまでの
U−timeが算出される。
【0046】次いで、循環情報記憶手段72に対応する
SA10では、上記SA6乃至SA9において循環情報
として算出された情報、すなわち、脈波伝播時間DT・
心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−timeが、
RAM34の所定の記憶領域に逐次記憶される。
【0047】続くSA11では、上記SA10において
m拍分(すなわち自己回帰モデルAR1の次数分)以上
の循環情報が記憶されたか否かが判断される。当初はこ
の判断が否定されるので、上記SA5以降が繰り返され
るが、この判断が肯定された場合は、モデル修正手段7
3に対応するSA12が実行される。
【0048】そのSA12では、前記SA3において決
定された血圧値BP(たとえば最高血圧値BPSYS
と、上記SA10で記憶されたm拍分の循環情報(DT
・RR・VR・U−time)とが、自己回帰モデルA
R1に代入されることにより、その自己回帰モデルAR
1の定数項C1が決定される。そして、続いて、図6の
推定血圧値EBP決定ルーチンが実行される。
【0049】図6において、まずSB1乃至SB6で
は、図5のSA5乃至SA10と同様の処理が行なわれ
る。すなわち、SB1では、心電波形のR波および光電
脈波の一脈波分が入力されたか否かが判断され、脈波伝
播速度情報算出手段64に対応するSB2では脈波伝播
時間DTが算出され、心拍周期情報算出手段66に対応
するSB3では心拍周期RR(sec) が算出され、容積脈
波面積情報算出手段68に対応するSB4では容積脈波
面積比VRが算出され、上昇期間算出手段70に対応す
るSB5ではU−timeが算出され、循環情報記憶手
段72に対応するSB6では、上記SB2乃至SB5に
おいて算出された脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容
積脈波面積比VR・U−timeが、RAM34の所定
の記憶領域に逐次記憶される。
【0050】続く推定血圧値決定手段74に対応するS
B7では、RAM34の所定の記憶領域に記憶されてい
る循環情報のうち、直前にSB2乃至SB5で算出され
た循環情報(すなわち最新の循環情報)からm−1拍前
までのm拍分の循環情報が、図5のSA12で定数項C
1が決定された自己回帰モデルAR1に代入されること
により、その最新の循環情報が算出された時点の推定血
圧値EBPが決定される。
【0051】続く表示手段76に対応するSB8では、
SB7で決定された推定血圧値EBPが、図7に示すよ
うにトレンドグラフ形式で表示器36に表示される。
【0052】次いで、前記血圧測定起動手段78に対応
するSB9では、上記SB7で決定された推定血圧値E
BPが予め設定された判断基準値を超えたか否かが判断
される。このSB9の判断が肯定された場合は、続くS
B10において、表示器36に推定血圧値EBPの異常
を示す表示がされた後に、信頼性のあるカフ10による
血圧値BPを得るために、前述の図5の血圧測定ルーチ
ンが実行される。
【0053】一方、上記SB9の判断が否定された場合
は、SB11において、前回カフ10による血圧測定が
実行されてからの経過時間が予め設定された15乃至2
0分程度の血圧測定周期(すなわち較正周期)TB を経
過したか否かが判断される。この判断が否定された場合
は、本ルーチンが繰り返され、肯定された場合は、周期
的に到来する自己回帰モデルAR1を較正周期であるの
で、前述の図5の血圧測定ルーチンが実行されて、自己
回帰モデルAR1の定数項C1が再決定される。
【0054】上述のように、本実施例によれば、予め係
数kが決定された自己回帰モデルAR1に基づいて、推
定血圧値決定手段74(SB7)により、脈波伝播速度
情報算出手段64(SB2)・心拍周期情報算出手段6
6(SB3)・容積脈波面積情報算出手段68(SB
4)・上昇期間算出手段70(SB5)によって決定さ
れた、最新のものを含むm拍分の脈波伝播時間DT・心
拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−timeから、
その最新の脈波伝播時間DT等が決定された時点の生体
の推定血圧値EBPが決定されるので、信頼性の高い推
定血圧値EBPが得られる。
【0055】また、本実施例によれば、循環情報決定手
段として、脈波伝播時間DTを連続的に算出する脈波伝
播速度情報算出手段64(SB2)・心拍周期RRを連
続的に算出する心拍周期情報算出手段66(SB3)・
容積脈波面積比VRを連続的に算出する容積脈波面積情
報算出手段68(SB4)が用いられていることから、
推定血圧値決定手段74(SB7)によって、生体の循
環器から非侵襲にて連続的に得られる情報のうち最もよ
く生体の血圧値の変動に対応する情報の一つである脈波
伝播時間DT・生体の血圧値に関連して変化する心臓側
のパラメータである心拍周期RR・生体の血圧値に関連
して変化する末梢側のパラメータである容積脈波面積比
VRが用いられて推定血圧値EBPが決定されるので、
推定血圧値EBPの精度が一層高くなる。
【0056】また、本実施例によれば、モデル修正手段
73(SA12)により生体毎の循環情報と血圧値BP
とに基づいて自己回帰モデルAR1の定数項C1が決定
されるので、推定血圧値EBPの精度がより一層高くな
る。
【0057】次に、第2発明の一実施例を説明する。な
お、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】図8は、第2発明が適用された非観血連続
血圧予測装置80の構成を示すブロック図である。圧脈
波検出プローブ82は、図9に詳しく示すように、容器
状を成すセンサハウジング84を収容するケース86
と、このセンサハウジング84を撓骨動脈88の幅方向
に移動させるためにそのセンサハウジング84に螺合さ
れ且つケース86の駆動部90内に設けられた図示しな
いモータによって回転駆動されるねじ軸92とを備えて
いる。上記ケース86には装着バンド94が取りつけら
れており、上記容器状を成すセンサハウジング84の開
口端が人体の体表面96に対向する状態で装着バンド9
4によりカフ10が巻回されていない側たとえば左側の
手首98に着脱可能に取り付けられるようになってい
る。上記センサハウジング84の内部には、ダイヤフラ
ム100を介して圧脈波センサ102が相対移動可能か
つセンサハウジング84の開口端からの突出し可能に設
けられており、これらセンサハウジング84およびダイ
ヤフラム100等によって圧力室104が形成されてい
る。この圧力室104内には、空気ポンプ106から調
圧弁108を経て圧力空気が供給されるようになってお
り、これにより、圧脈波センサ102は圧力室104内
の圧力に応じた押圧力で前記体表面96に押圧される。
なお、本実施例では、圧脈波センサ102の押圧力は圧
力室104内の圧力(単位:mmHg)で示される。
【0059】上記センサハウジング84およびダイヤフ
ラム100は、圧脈波センサ102を撓骨動脈88に向
かって押圧する押圧装置110を構成しており、押圧装
置110は後述する最適押圧力PHDPOで圧脈波センサ1
02を押圧する。そして、上記ねじ軸92および図示し
ないモータは、圧脈波センサ102が押圧される押圧位
置をその撓骨動脈88の幅方向に移動させて変更する押
圧位置変更装置すなわち幅方向移動装置112を構成し
ている。
【0060】上記圧脈波センサ102は、たとえば、単
結晶シリコン等から成る半導体チップから成る押圧面1
14に多数の半導体感圧素子(図示せず)が撓骨動脈8
8の幅方向すなわちねじ軸92と平行な圧脈波センサ1
02の移動方向に0.2mm程度の一定の間隔で配列され
て構成されており、手首98の体表面96の撓骨動脈8
8上に押圧されることにより、撓骨動脈88から発生し
て体表面96に伝達される圧力振動波すなわち圧脈波を
検出し、その圧脈波を表す圧脈波信号SM4 をA/D変
換器116を介して電子制御装置28へ供給する。図1
0は、圧脈波センサ102により検出された圧脈波信号
SM4 の一例を示している。
【0061】電子制御装置28のCPU30は、ROM
32に予め記憶されたプログラムに従ってRAM34の
記憶機能を利用しつつ信号処理を実行し、空気ポンプ1
06および調圧弁108へ図示しない駆動回路を介して
駆動信号を出力して圧力室104内の圧力を調節する。
電子制御装置28は、たとえば圧脈波信号SM4 の検出
に際しては、幅方向移動装置112により、圧脈波セン
サ102を撓骨動脈88の略真上となる最適押圧位置に
位置するように移動させた後、圧力室104内の徐速圧
力変化過程で逐次得られる圧脈波に基づいて撓骨動脈8
8の血管壁の一部を略平坦とするための圧脈波センサ1
02の最適押圧力PHDPOを決定し、その最適押圧力P
HDPOを維持するように調圧弁108を制御する。また、
電子制御装置28は、カフ10を用いて測定された最高
血圧値BPSYS および最低血圧値BPDIA と、上記最適
押圧力PHDPOが維持された状態で圧脈波センサ102の
半導体感圧素子のうちの撓骨動脈88の真上に位置する
中心位置圧力検出素子(アクティブエレメント)により
検出された圧脈波の最高値PMmaxおよび最低値PMmin
に基づいて、測定された血圧値BPと圧脈波の大きさP
M (絶対値)との間の対応関係を求め、この対応関係か
ら、圧脈波センサ102により逐次検出される圧脈波の
大きさPM (mmHg)すなわち最高値(上ピーク値)P
Mmaxおよび最低値(下ピーク値)PMminに基づいて最高
血圧値MBPSYS および最低血圧値MBP DIA (監視血
圧値またはモニタ血圧値)を逐次決定し、表示器36に
おいて、その決定した最高血圧値MBPSYS および最低
血圧値MBPDIA を1拍毎に数値表示させ、最高血圧値
MBPSYS または最低血圧値MBPDIA を示す波形を連
続的に表示させる。
【0062】上記対応関係は、たとえば図11に示すも
のであり、数式3により表される。この数式3におい
て、Aは傾きを示す定数、Bは切片を示す定数である。
【0063】(数3) MBP=A・PM +B
【0064】図12は、上記のように構成された非観血
連続血圧推定装置80における演算制御装置28の制御
機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【0065】最適押圧力制御手段120は、最適押圧位
置に位置させられた圧脈波センサ102の押圧力を連続
的に変化させ、その変化過程で得た圧脈波に基づいて最
適押圧力を決定し、圧脈波センサ102を最適押圧力P
HDPOにて押圧させる。最適押圧力PHDPOとは、たとえば
図13に示すように、最適押圧力PHDPOを十分に含む範
囲で押圧力を連続的に増加させる過程で、圧脈波センサ
102のアクティブエレメントから得られた脈波振幅の
最大値を中心とする所定範囲内の押圧値、および/また
はその押圧力変化過程で得た圧脈波信号SM4 の下ピー
ク値SMminと圧脈波センサ102の押圧力とを示す二次
元図表においてその下ピーク値SMminを結ぶ曲線(図1
3の破線)に形成される平坦部の中央を中心とする所定
範囲内の押圧値である。
【0066】関係決定手段122は、圧脈波センサ10
2の押圧面114に配列された複数の圧力検出素子のう
ち中心位置圧力検出素子(アクティブエレメント)によ
り検出される圧脈波の大きさPM と血圧測定手段60に
より測定された血圧値BPとの間の対応関係をたとえば
図11に示すように予め決定する。監視血圧値連続決定
手段124は、その対応関係から、圧脈波センサ102
の押圧面114に配列された複数の圧力検出素子のうち
たとえば上記中心位置圧力検出素子により検出される圧
脈波の大きさに基づいて生体の監視血圧値MBP(監視
最高血圧値MBPSYS 、監視平均血圧値MBPMEAN、監
視最低血圧値MBPDIA の少なくとも一つ)を連続的に
決定し、且つ、その監視血圧値MBPを表示器36に逐
次表示する。この監視血圧値MBPは、生体の撓骨動脈
88から非侵襲にて得られる撓骨動脈圧波形に基づく循
環情報であるので、監視血圧値連続決定手段124は循
環情報決定段として機能している。
【0067】循環情報記憶手段126は、脈波伝播速度
情報算出手段64・心拍周期情報算出手段66・容積脈
波面積情報算出手段68・上昇期間算出手段70により
それぞれ連続的に算出された情報、および監視血圧値連
続決定手段124により連続的に決定された監視血圧値
MBPを、電子制御装置28のRAM34内の所定の記
憶領域に逐次記憶する。
【0068】予測循環情報決定手段128は、連続する
n拍分の循環情報から、そのn拍分のうちの最新の循環
情報が得られた時からs拍後の予測循環情報を決定する
ための予め設定された自己回帰モデルを用いて、循環情
報決定手段により実際に決定された循環情報に基づい
て、将来の予測循環情報を決定する。すなわち、予測循
環情報決定手段128は、上記予め設定された自己回帰
モデルを用いて、循環情報決定手段により実際に決定さ
れた循環情報のn拍分から、そのn拍分のうち最新の時
点よりもs拍後の予測循環情報(上記自己回帰モデルに
入力される循環情報が複数種類ある場合はそのうちのい
ずれか一つの予測値)を決定し、さらに、その予測循環
情報を含む連続するn拍分の循環情報から、上記自己回
帰モデルを用いて、さらに先の予測循環情報を決定し、
この繰り返しにより予め設定されたu拍後までの予測循
環情報を逐次決定する。
【0069】数式4は、循環情報として、脈波伝播時間
DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−tim
e・監視血圧値MBPが用いられ、予測循環情報として
予測脈波伝播速度DT(s)が決定される場合の自己回
帰モデルAR2の一例を示している。自己回帰モデルA
R2は、連続するn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期
RR・容積脈波面積比VR・U−time・監視血圧値
MBPの線形結合により、そのn拍のうち最新の時点よ
りもs拍後の予測脈波伝播時間DT(s)を表すモデル
である。数式4において、aは予め決定される係数、C
2は定数項、n,sは自然数であり、カッコ内の数値
は、最新の時点から何拍離れているかを示し、たとえ
ば、DT(0)は最新の脈波伝播時間を意味し、DT
(−1)はその最新の時点の一拍前を意味し、DT
(s)はその最新の脈波伝播時間からs拍後の予測脈波
伝播時間を意味する。
【0070】 (数4) DT(s) = a11DT(0) + a12DT(-1) + … + a1nDT(-n+1) + a21RR(0) + a22RR(-1) + … + a2nRR(-n+1) + a31VR(0) + a32VR(-1) + … + a3nVR(-n+1) + a41U-time(0) + a42U-time(-1) + … + a4nU-time(-n+1) + a51MBP(0) + a52MBP(-1) + … + a5nMBP(-n+1) +C2
【0071】上記自己回帰モデルAR2の係数aを決定
するには、連続するn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周
期RR・容積脈波面積比VR・U−time・監視血圧
値MBP(監視最高血圧値MBPSYS 、監視平均血圧値
MBPMEAN、監視最低血圧値MBPDIA のいずれか一
つ)とそのn拍分のうち最新の時点からs拍後の脈波伝
播時間DTとを一組とする実際に測定された情報が、係
数aの数以上必要である。すなわち、係数aの数はn×
5であるので、上記情報の組がn×5組以上必要とな
る。そのため、この係数aの決定においては、多数人か
ら予め上記一組の情報を少なくともn×5組以上の多数
組蓄積する。そして、その蓄積された多数組の情報に基
づいて最小自乗法により係数aおよび定数項C2を予め
決定する。
【0072】また、心拍周期RRのs拍後の予測値すな
わち予測心拍周期RR(s)、容積脈波面積比VRのs
拍後の予測値すなわち予測容積脈波面積比VR(s)、
U−timeのs拍後の予測値すなわち予測U−tim
e(s)も、同様にして予め係数b,c,dが決定され
た自己回帰モデルAR3,AR4,AR5にに基づいて
決定される。なお、循環情報には、前述のように監視血
圧値MBPも含まれるが、予測循環情報決定手段128
は、脈波伝播速度情報・心拍周期情報・容積脈波面積情
報・上昇期間のうちの少なくとも一つについて予測値を
決定するものとし、監視血圧値MBPの予測値すなわち
予測血圧値MBP(s)は後述する予測血圧値決定手段
130により決定される。
【0073】また、それら自己回帰モデルAR2,AR
3,AR4,AR5は、n拍分の循環情報に基づいて、
そのn拍分の循環情報のうち最新のもののs拍後の予測
循環情報が決定される関係を表しているが、nの大きさ
(すなわち入力される循環情報の拍数)は予め実験に基
づいて決定される2以上の一定値であり、sの大きさ
(すなわち何拍後の予測値が決定されるか)は予め実験
に基づいて決定される1乃至4の一定値である。たとえ
ば、nは自己回帰モデルAR2,AR3,AR4,AR
5の最終予測誤差FPEを最小にするように決定され、
たとえば60である。
【0074】予測循環情報モデル修正手段129は、脈
波伝播速度情報算出手段64・心拍周期情報算出手段6
6・容積脈波面積情報算出手段68・上昇期間算出手段
70・監視血圧値連続決定手段124により実際に決定
されたn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積
脈波面積比VR・U−time・監視血圧値MBPと、
そのn拍分のうち最新のものからs拍後に実際に決定さ
れた循環情報(脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積
脈波面積比VR・U−timeのいずれか一つ)とに基
づいて、上記自己回帰モデルAR2,AR3,AR4,
AR5の定数項C2,C3,C4,C5を決定すること
により、自己回帰モデルAR2,AR3,AR4,AR
5を修正する。前述のようにして予め係数a,b,c,
dが決定された自己回帰モデルAR2,AR3,AR
4,AR5は、複数人から測定された循環情報に基づい
て係数a,b,c,dが決定されていることから、多く
の人に適合する汎用的な関係であるが、予測循環情報決
定手段128で決定される予測循環情報の精度をさらに
高めるために、各個人について実際に測定された循環情
報に基づいて定数項C2,C3,C4,C5を決定する
のである。
【0075】予測血圧値決定手段130は、連続するn
拍分の循環情報から、そのn拍分のうちの最新の循環情
報が得られた時よりもs拍後の予測血圧値MBP(s)
を決定するための予め設定された自己回帰モデルを用い
て、前記前記循環情報決定手段により実際に決定された
循環情報および予測循環情報決定手段128により決定
された予測循環情報の少なくとも一方に基づいて、将来
の予測血圧値を決定する。すなわち、予測血圧値決定手
段130は、上記予め設定された自己回帰モデルを用い
て、まず、循環情報決定手段により実際に決定された循
環情報のn拍分から、そのn拍分の循環情報のうち最新
のものよりもs拍後の予測血圧値MBP(s)を決定
し、さらに、その予測血圧値MBP(s)および/また
は前記循環情報決定手段128により決定された予測循
環情報を含む連続するn拍分の循環情報から、上記自己
回帰モデルを用いて、さらに先の予測血圧値MBP
(s)を決定し、この繰り返しにより予め設定されたu
拍後までの予測血圧値MBP(u)を逐次決定する。
【0076】数式5は、循環情報として、脈波伝播時間
DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−tim
e・監視血圧値MBPが用いられて予測血圧値MBP
(s)が決定される場合の自己回帰モデルAR6の一例
を示している。自己回帰モデルAR6は、連続するn拍
分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比
VR・U−time・監視血圧値MBPの線形結合によ
り、そのn拍のうち最新の時点のs拍後の監視血圧値M
BP(s)を表すモデルである。数式5において、eは
予め決定される係数、C6は定数項、n,sは自然数で
あり、カッコ内の数値は、最新の時点から何拍離れてい
るかを示している。
【0077】 (数5) MBP(s) = e11DT(0) + e12DT(-1) + … + e1nDT(-n+1) + e21RR(0) + e22RR(-1) + … + e2nRR(-n+1) + e31VR(0) + e32VR(-1) + … + e3nVR(-n+1) + e41U-time(0) + e42U-time(-1) + … + e4nU-time(-n+1) + e51MBP(0) + e52MBP(-1) + … + e5nMBP(-n+1) +C6
【0078】上記自己回帰モデルAR6の係数eおよび
定数項C6も、前記予測循環情報決定手段において用い
られる自己回帰モデルAR2乃至5と同様にして決定さ
れている。すなわち、連続するn拍分の脈波伝播時間D
T・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−time
・監視血圧値MBP(監視最高血圧値MBPSYS 、監視
平均血圧値MBPMEAN、監視最低血圧値MBPDIA のい
ずれか一つ)とそのn拍分のうち最新の時点からs拍後
の監視血圧値MBP(たとえばn拍分が監視最高血圧値
MBPSYS のときはs拍後も監視最高血圧値MB
SYS )とを一組とする実際に測定された情報が、多数
人から、予め少なくともn×5組以上の多数組蓄積され
て、その蓄積された多数組の情報に基づいて最小自乗法
により予め決定されている。また、nの大きさも、前述
の自己回帰モデルAR2乃至5と同様に実験により決定
される一定値である。
【0079】上記自己回帰モデルAR6に、循環情報決
定手段により実際に決定されたn拍分の脈波伝播時間D
T・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−time
・監視血圧値MBPを入力すると、そのn拍分のうち最
新のものよりもs拍後の予測血圧値MBP(s)が決定
される。また、前記自己回帰モデルAR2乃至5にも同
様の情報を入力すると、s拍後の予測脈波伝播時間DT
(s)等が決定される。たとえば、sを1とすると現時
点の一拍先の予測血圧値MBP(1)・予測脈波伝播時
間DT(1)等が決定できる。そして、この予測血圧値
MBP(1)・予測脈波伝播時間DT(1)等を最新の
情報とするn拍分の情報を、自己回帰モデルAR2乃至
AR6に入力すると、さらに一拍先の予測血圧値MBP
(2)等が決定できるので、この繰り返しにより、予め
設定されたu拍先(uは自然数、u>s)までの予測血
圧値MBP(u)が決定できるのである。
【0080】予測血圧値モデル修正手段131は、脈波
伝播速度情報算出手段64・心拍周期情報算出手段66
・容積脈波面積情報算出手段68・上昇期間算出手段7
0・監視血圧値連続決定手段124により実際に決定さ
れたn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈
波面積比VR・U−time・監視血圧値MBPと、そ
のn拍分のうち最新のものからs拍後に実際に決定され
た監視血圧値MBPとに基づいて、上記自己回帰モデル
AR6の定数項C6を決定することにより、自己回帰モ
デルAR6を修正する。予め係数eが決定された自己回
帰モデルAR6は、多くの人に適合する汎用的な関係で
あるので、予測循環情報決定手段130で決定される予
測血圧値MBP(u)の精度をさらに高めるために、各
個人について実際に測定された循環情報に基づいて定数
項C6を決定するのである。
【0081】表示手段132は、予測血圧値決定手段1
30により決定された予測血圧値MBP(u)を、表示
器36の所定の表示領域に表示させる。
【0082】図14、15および16は、上記非観血連
続血圧予測装置80の電子制御装置28における制御作
動の要部を説明するフローチャートであって、図14
は、メインルーチンであり、図15は、予測循環情報お
よび予測血圧値を出力するための自己回帰モデルを修正
するモデル修正ルーチンであり、図16は、予測血圧値
決定ルーチンである。
【0083】図14において、SC1では、初回のSC
1の実行であるか否か、および前回に対応関係が更新さ
れてからの経過時間が十数分乃至数十分程度に予め設定
されたキャリブレーション周期を超えたか否かが判断さ
れる。通常はそのSC1の判断が否定されるので、SC
2において所定の押圧位置更新条件(APS起動条件)
が成立したか否か、たとえば、圧脈波センサ102の押
圧面114に配列された圧力検出素子のうちの最大振幅
を検出するものが配列位置のうちの端部に位置する状態
となったか否かなどが判断される。
【0084】初回の装着時など、圧脈波センサ102の
撓骨動脈88に対する押圧位置がずれ、所定の押圧位置
変更条件(APS起動条件)が成立する場合には、上記
SC2の判断が肯定されるので、SC4のAPS制御ル
ーチンが実行される。このAPS制御ル−チンは、圧脈
波センサ102の各圧力検出素子によりそれぞれ検出さ
れた圧脈波信号SM4 の振幅分布曲線の最大振幅を検出
する素子が、圧力検出素子の略中心位置になるように最
適押圧位置が決定されるとともに、そのときの最大振幅
を検出する素子を中心位置圧力検出素子すなわちアクテ
ィブエレメントとして設定する。
【0085】撓骨動脈88に対する圧脈波センサ102
の押圧位置が正常範囲であれば、上記SC2の判断が否
定されるので、SC3において、たとえば図11の対応
関係を変化させる程に圧脈波センサ102の押圧条件を
変化させる体動が検出されたか否か、或いは監視血圧値
MBPが前回のカフ10を用いて測定された血圧値BP
に対して大幅に変化したか否かなどに基づいて、血圧監
視のための対応関係を更新するための起動条件或いは最
適押圧力決定起動条件(HDP起動条件)が成立したか
否かが判断される。
【0086】上記SC3の判断が肯定された場合、およ
び上記SC4のAPS制御ルーチンが実行された場合
は、前記最適押圧力制御手段120に対応するSC5の
HDP制御ルーチンにおいて、圧脈波センサ102の押
圧力が連続的に高められる過程で、撓骨動脈88の真上
に位置する中心位置圧力検出素子からの圧脈波の振幅が
最大となる押圧力が最適押圧力PHDPOとして決定され且
つ更新された後、圧脈波センサ102の押圧力がその最
適押圧力PHDPOにて保持される。そして、圧脈波センサ
102がその最適押圧力PHDPOにて押圧された状態で、
以後のSC6以下が実行される。
【0087】前回に対応関係が決定されてからの経過時
間が予め設定されたキャリブレーション周期を超えた場
合、または上記SC5においてHDP制御ルーチンが実
行された場合は、SC6においてカフ10を用いた血圧
測定が実行された後、SC7において対応関係が更新さ
れる。すなわち、先ず、前記血圧測定手段60に対応す
るSC6では、切換弁16を圧力供給状態に切り換え且
つ空気ポンプ18を作動させてカフ10内の圧力を患者
の予想される最高血圧値よりも高い目標圧力(たとえば
180mmHg)まで昇圧した後、空気ポンプ18を停止さ
せ且つ切換弁16を徐速排圧状態に切り換えてカフ10
内の圧力を3mmHg/sec程度に予め定められた徐速降圧速
度で下降させることにより、この徐速降圧過程で逐次得
られる脈波信号SM1 が表す圧脈波の振幅の変化に基づ
いて、良く知られたオシロメトリック方式の血圧値決定
アルゴリズムに従って最高血圧値BPSYS 、平均血圧値
BPMEAN、および最低血圧値BPDIA (基準血圧値)が
測定される。そして、その測定された血圧値が表示器3
6に表示されるとともに、切換弁16が急速排圧状態に
切り換えられてカフ10内が急速に排圧される。
【0088】次に、前記関係決定手段122に対応する
SC7では、圧脈波センサ102からの圧脈波の大きさ
(絶対値すなわち圧脈波信号SM4 の大きさ)と上記S
C6において測定されたカフ10による血圧値B
SYS 、BPDIA との間の対応関係が求められ、更新さ
れる。すなわち、圧脈波センサ102からの圧脈波が1
拍読み込まれ且つその圧脈波の最高値PMmaxおよび最低
値PMminが決定されるとともに、それら圧脈波の最高値
Mmaxおよび最低値PMminとSC6にてカフ10により
測定された最高血圧値BPSYS および最低血圧値BP
DIA とに基づいて、図11に示す圧脈波の大きさと血圧
値との間の対応関係が決定されるのである。
【0089】続くSC8では、1つの脈波が発生したか
否かが、心電誘導装置38からの心電誘導信号SM2
光電脈波センサ40からの光電脈波信号SM3 、および
圧脈波センサ102からの圧脈波信号SM4 に基づいて
判断される。このSC8の判断が否定された場合はSC
1、SC2、SC3、SC8が繰り返し実行させられる
ことにより待機させられる。しかし、SC8の判断が肯
定された場合は、続くSC9において、予測循環情報を
決定するための自己回帰モデルAR2乃至AR5および
予測血圧値MBP(s)を決定するための自己回帰モデ
ルAR6が個人毎に修正されたか否か、すなわち自己回
帰モデルAR2乃至AR6の定数項C2乃至C6が決定
されたか否かが判断される。この判断が否定された場合
は、続くSC10において、図15に詳しく示すモデル
修正ルーチンが実行される。
【0090】図15において、循環情報決定手段に対応
するSD1乃至SD5では、図14のSC8で入力され
た脈波に基づいて循環情報が決定される。すなわち、脈
波伝播速度情報算出手段64に対応するSD1、心拍周
期情報算出手段66に対応するSD2、容積脈波面積情
報算出手段68に対応するSD3、上昇期間算出手段7
0に対応するSD4において、前述の実施例の図6のS
B2乃至SB5と同様にして、脈波伝播時間DT、心拍
周期RR、容積脈波面積比VR、およびU−timeが
それぞれ算出され、続く監視血圧値連続決定手段124
に対応するSD5では、最適押圧力PHDPOにて押圧され
ている圧脈波センサ102のアクティブエレメントE0
によって供給された圧脈波信号SM4 から、その波動の
最高値P Mmaxおよび最低値PMminが決定され、図11の
対応関係からその圧脈波の最高値PMmaxおよび最低値P
Mminに基づいて監視最高血圧値MBPSYS および監視最
低血圧値MBPDIA が決定される。
【0091】続く循環情報記憶手段126に対応するS
D6では、上記SD1乃至SD5で算出・決定された脈
波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・
U−time・監視血圧値MBPがRAM34の所定の
記憶領域に記憶される。そして、続くSD7において、
iに1が加えられる。ここで、iはRAM34に何拍分
の循環情報が記憶されているかを示す数である。すなわ
ち、上記SD6の処理が実行された回数を表している。
【0092】続くSD8では、iがn+s以上となった
か否かが判断される。これは、RAM34に記憶された
循環情報から、n拍分を自己回帰モデルAR2乃至AR
6に入力し、その自己回帰モデルAR2乃至AR6に基
づいて予測されたs拍後の循環情報と、実際のs拍後の
循環情報とに基づいて定数項C2乃至C6を決定するた
めである。
【0093】上記SD8の判断が否定された場合は、本
ルーチンは終了させられ、図14のメインルーチンに戻
り、メインルーチンのSC8において新たな脈波が入力
されると、上記SD1乃至6が再び実行されて、新たに
算出・決定された循環情報がRAM34に記憶される。
この繰り返しにより、上記SD8の判断が肯定された場
合は、続く予測循環情報モデル修正手段129に対応す
るSD9において、予測脈波伝播時間DT(s)・予測
心拍周期RR(s)・予測容積脈波面積比VR(s)・
予測U−time(s)を決定するための自己回帰モデ
ルAR2乃至AR5に、上記SD6で記憶されたn+s
拍分の循環情報のうち古い側のn拍分が入力され、得ら
れた予測脈波伝播時間DT(s)・予測心拍周期RR
(s)・予測容積脈波面積比VR(s)・予測U−ti
me(s)と、上記SD6で記憶された最新の脈波伝播
時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−t
imeとが比較されて自己回帰モデルAR2乃至AR5
の定数項C2乃至C5がそれぞれ決定される。
【0094】そして、続く予測血圧値モデル修正手段1
31に対応するSD10において、予測血圧値MBP
(s)を決定するための自己回帰モデルAR6に、上記
SD6で記憶されたn+s拍分の循環情報のうち古い側
のn拍分が入力され、得られた予測血圧値MBP(s)
と、上記SD6で記憶された最新の監視血圧値MBPと
が比較されて、自己回帰モデルAR6の定数項C6が決
定される。
【0095】それぞれの自己回帰モデルAR2〜AR6
について定数項C2〜C6が決定されて図15のモデル
修正ルーチンが終了させられると、図14のメインルー
チンの繰り返しにおいて、前記SC9の判断が肯定され
て、続くSC11において、図16に詳しく示す予測血
圧値決定ルーチンが実行される。
【0096】図16において、まずSE1乃至SE6で
は、図15のSD1乃至SD6と同様の処理が実行され
る。すなわち、脈波伝播速度情報算出手段64に対応す
るSE1、心拍周期情報算出手段66に対応するSE
2、容積脈波面積情報算出手段68に対応するSE3、
上昇期間算出手段70に対応するSE4、監視血圧値連
続決定手段124に対応するSE5が実行されることに
より、図14のSC8において入力された脈波に基づい
て、脈波伝播時間DT、心拍周期RR、容積脈波面積比
VR、U−time、および監視血圧値MBPが算出・
決定され、それらの情報が、循環情報記憶手段126に
対応するSE6において、RAM34の所定の記憶領域
に記憶される。
【0097】続くSE7では、上記SE5で決定された
監視血圧値MBPが、トレンドグラフ形式で表示器36
に表示される。図17は、SE7において表示器36に
表示される監視血圧値MBPの一例を示す図であり、実
線がSE7において逐次決定された監視血圧値MBPを
示している。
【0098】続くSE8ではpに1が加えられる。p
は、前回、予測血圧値MBP(u)が決定されてから、
何拍経過したかを示す数値である。続くSE9では、p
が10以上となったか否かが判断される。この判断が否
定された場合は、本ルーチンは終了させられ、図14の
メインルーチンに戻る。そして、メインルーチンのSC
8において新たな脈波が入力されると、再びこの予測血
圧値決定ルーチンが実行される。
【0099】上記繰り返しにより、pの値が10以上と
なり、SE9の判断が肯定されると、続くSE10にお
いて、pの値が初期化された後、続くSE11乃至SE
14において、予め設定されたu拍後までの1拍毎の予
測循環情報および予測血圧値MBP(u)が決定または
更新される。従って、10拍毎に予測血圧値MBP
(u)が更新される。なお、このように10拍毎に予測
血圧値MBP(u)を更新することとしたのは、1拍毎
にその時点からu拍後までの予測血圧値MBP(u)を
更新することとすると、計算量が大きくなりすぎ、その
他の処理が遅延するおそれがあるからである。
【0100】予測循環情報決定手段128に対応するS
E11では、図15のモデル修正ルーチンにおいて定数
項C2〜C5が決定された、予測脈波伝播時間DT
(s)を決定するための自己回帰モデルAR2、予測心
拍周期RR(s)を決定するための自己回帰モデルAR
3、予測容積脈波面積比VR(s)を決定するための自
己回帰モデルAR4、および予測U−time(s)を
決定するための自己回帰モデルAR5に基づいて、その
時点よりも一拍先の予測脈波伝播時間DT(1)・予測
心拍周期RR(1)・予測容積脈波面積比VR(1)・
予測U−time(1)が決定される。すなわち、上記
自己回帰モデルAR2〜AR5に、RAM34に記憶さ
れている最新の循環情報よりもs−1拍前からn−s拍
前までのn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容
積脈波面積比VR・U−time・監視血圧値MBPそ
れぞれ入力されることにより、s−1拍前よりもs拍
先、すなわち1拍先の予測脈波伝播時間DT(1)、予
測心拍周期RR(1)、予測容積脈波面積比VR
(1)、予測U−time(1)が決定される。そし
て、それら決定された予測循環情報(1)がRAM34
に記憶される。
【0101】続く予測血圧値決定手段130に対応する
SE12では、図15のモデル修正ルーチンにおいて定
数項C6が決定された予測血圧値MBP(s)を決定す
るための自己回帰モデルAR6に、RAM34に記憶さ
れている最新の循環情報よりもs−1拍前からn−s拍
前までのn拍分の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容
積脈波面積比VR・U−time・監視血圧値MBPが
入力されて、1拍先の予測血圧値MBP(1)が決定さ
れ、且つ、その決定された予測血圧値MBP(1)がR
AM34に記憶される。
【0102】続く表示手段132に対応するSE13で
は、SE11乃至SE14の繰り返しにおいて、上記S
E12で決定された予測血圧値MBP(u)が、前記S
E7で表示器36に逐次表示されている監視血圧値MB
Pと同一のグラフ上に表示される。図17では、点線が
予測血圧値MBP(u)を示している。
【0103】続くSE14では、予め設定されたu拍数
後までの予測血圧値MBP(u)が決定されたか否かが
判断される。上記uは、たとえば30拍、60拍等に決
定されている。この判断が否定された場合は、上記SE
11以下が繰り返し実行されて、さらに1拍先の予測循
環情報および予測血圧値MBP(u)が決定される。す
なわち、前回のSE11乃至SE14の繰り返しにおい
て決定され、且つ記憶された予測循環情報および予測血
圧値MBP(u)を最新の情報として、その最新の情報
よりもs−1拍前からn−s拍前までのn拍分の(予
測)循環情報および(予測)監視血圧値MBP(u)が
入力信号とされて、その最新の情報のさらに1拍先の予
測循環情報および予測血圧値MBP(u)が決定され
る。従って、現時点からn拍後までの予測循環情報
(n)および予測血圧値MBP(n)の決定には、SE
1乃至SE5で実際に決定された循環情報および上記S
E11乃至SE12で決定された予測循環情報の両方が
用いられ、n+1拍後からu拍後までの予測循環情報
(n)および予測血圧値MBP(n)の決定には、上記
SE11乃至SE12で決定された予測循環情報のみが
用いられる。
【0104】このSE11乃至SE14の繰り返しによ
り、上記SE14の判断が肯定された場合には、本予測
血圧値決定ルーチンは終了させられ、図14のメインル
ーチンに戻って、SC1以下が繰り返し実行される。
【0105】上述のように、本実施例によれば、予測循
環情報決定手段128(SE11)により、n拍分の循
環情報からs拍後の予測循環情報(s)を決定するため
の自己回帰モデルAR2,AR3,AR4,AR5を用
いて、実際に決定された脈波伝播速度DT・心拍周期R
R・容積脈波面積比VR・U−time・監視血圧値M
BPに基づいてu拍後までの予測脈波伝播速度DT
(u)・予測心拍周期RR(u)・予測容積脈波面積比
VR(u)・予測U−time(u)が逐次決定され、
予測血圧値決定手段130(SE12)により、n拍分
の脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比V
R・U−time・監視血圧値MBPからs拍後の予測
血圧値MBP(s)を決定するための自己回帰モデルA
R6を用いて、脈波伝播速度情報算出手段64(SE
1)・心拍周期情報算出手段66(SE2)・容積脈波
面積情報算出手段68(SE3)・上昇期間算出手段7
0(SE4)・監視血圧値連続決定手段124(SE
5)によって実際に決定された脈波伝播時間DT・心拍
周期RR・容積脈波面積比VR・U−time・監視血
圧値MBP、および予測循環情報決定手段128(SE
11)・予測監視血圧値決定手段130(SE12)に
よって決定された予測脈波伝播時間DT・予測心拍周期
RR・予測容積脈波面積比VR・予測U−time・予
測血圧値MBPの少なくとも一方に基づいて、u拍後ま
での予測血圧値MBP(u)が逐次決定されるので、今
後の血圧値を正確に予測することができる。
【0106】また、本実施例によれば、押圧装置110
の圧脈波センサ102を押圧する押圧力Pが、最適押圧
力制御手段120(SC5)により、圧脈波センサ10
2により押圧される撓骨動脈88の一部が略平坦となる
ように予め決定した最適押圧力PHDPOに制御され、監視
血圧値連続決定手段124(SD5)により、予め設定
された数式3から、圧脈波センサ102により出力され
た圧脈波の大きさに基づいて生体の監視血圧値MBPが
連続的に決定され、予測血圧値決定手段130(SE1
2)では、前記循環情報として、監視血圧値連続決定手
段124(SD5)により連続的に決定された監視血圧
値MBPが用いられて、u拍後までの一拍毎の予測血圧
値MBP(u)が逐次決定される。従って、信頼性のあ
る監視血圧値MBPが用いられて、所定拍数後までの一
拍毎の予測血圧値MBP(u)が決定されるので、精度
の高い予測血圧値MBP(u)を決定することができ
る。
【0107】また、本実施例によれば、循環情報決定手
段として、脈波伝播時間DTを連続的に算出する脈波伝
播速度情報算出手段64(SE1)・心拍周期RRを連
続的に算出する心拍周期情報算出手段66(SE2)・
容積脈波面積比VRを連続的に算出する容積脈波面積情
報算出手段68(SE3)が用いられていることから、
予測血圧値決定手段130(SE12)によって、生体
の循環器から非侵襲にて連続的に得られる情報のうち最
もよく生体の血圧値の変動に対応する情報の一つである
脈波伝播時間DT・生体の血圧値に関連して変化する心
臓側のパラメータである心拍周期RR・生体の血圧値に
関連して変化する末梢側のパラメータである容積脈波面
積比VRに基づいて予測推定血圧値MBPn が決定され
るので、予測推定血圧値MBP(u)の精度が一層高く
なる。
【0108】また、本実施例によれば、予測循環情報モ
デル修正手段129(SD9)により、生体毎の脈波伝
播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−
time・監視血圧値MBPに基づいて予測脈波伝播時
間DT・予測心拍周期RR・予測容積脈波面積比VR・
予測U−timeのいずれかを決定するための自己回帰
モデルAR2,AR3,AR4,AR5がそれぞれ修正
されるので、予測循環情報決定手段128(SE11)
により決定される予測脈波伝播時間DT・予測心拍周期
RR・予測容積脈波面積比VR・予測U−timeの精
度が高くなる。
【0109】また、本実施例によれば、予測血圧値モデ
ル修正手段131(SD10)により生体毎の脈波伝播
時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比VR・U−t
ime・監視血圧値MBPに基づいて予測血圧値MBP
(s)を決定するための自己回帰モデルAR6が修正さ
れるので、予測血圧値決定手段130(SE12)によ
り決定される予測血圧値MBP(s)の精度が高くな
る。
【0110】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適
用される。
【0111】たとえば、前述の第1発明が適用された実
施例では、推定血圧値決定手段74において、循環情報
として、脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面
積比VR・U−timeの4つが用いられていたが、こ
れらのうちの3つ以下の情報だけが用いられてもよい。
すなわち、これらのうちの一つのみ(たとえば脈波伝播
時間DTのみ)が用いられてもよい。また、上記以外の
循環情報が用いられてもよい。同様に、第2実施例の予
測循環情報決定手段128および予測血圧値決定手段1
30でも、脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波
面積比VR・U−time・監視血圧値MBPの5つの
うちの4つ以下の情報だけが用いられてもよい。従っ
て、監視血圧値MBPが用いられずに予測血圧値が決定
されてもよいし、逆に、監視血圧値MBPのみによっ
て、予測血圧値MBP(s)が決定されてもよい。ま
た、脈波伝播時間DT・心拍周期RR・容積脈波面積比
VR・U−time等の循環情報は、それぞれ血圧に関
連して変化する情報であるので、予め決定された関係に
基づいて、それらの循環情報から仮の血圧値がそれぞれ
決定され、推定血圧値決定手段74または予測血圧値決
定手段130では、それら仮の血圧値が用いられて、推
定血圧値EBPまたは予測血圧値MBP(s)が決定さ
れてもよい。
【0112】また、前述の第1実施例では、推定血圧値
EBPは、一拍毎に決定されていたが、2拍以上の所定
拍数毎に決定されてもよい。また、前述の第2実施例で
は、予測血圧値MBPは、10拍毎に決定・更新されて
いたが、1拍毎、または2拍以上の所定拍数毎に決定・
更新されるものであってもよい。
【0113】また、前述の第2実施例の予測循環情報決
定手段128では、予測脈波伝播時間DT・予測心拍周
期RR・予測容積脈波面積比VR・予測U−timeを
決定するための自己回帰モデルAR2,AR3,AR
4,AR5は、いずれもn拍分の循環情報に基づいて、
それぞれの予測値を決定していたが、それぞれの予測値
を決定するために必要な拍数は同じである必要はない。
【0114】また、前述の第2実施例では、予測循環情
報決定手段128および予測血圧値決定手段130は、
u拍後までの一拍毎の予測循環情報および予測血圧値M
BP(u)を決定していたが、s拍後の予測循環情報お
よび予測血圧値MBP(s)のみを決定するものであっ
てもよい。
【0115】また、前述の実施例では、自己回帰モデル
AR1乃至AR6の係数を決定するための情報を多数人
から測定していたが、一人のみからそれらの情報を測定
してもよい。この場合、その情報に基づいて決定された
自己回帰モデルAR1乃至AR6は、その個人につい
て、より精度の高い推定血圧値EBP・予測循環情報・
予測血圧値MBPが決定できる。
【0116】また、前述の第1実施例では、図5の血圧
測定ルーチンのSA12において、、カフ10による血
圧測定が実行される毎に、自己回帰モデルAR1の定数
項C1が決定されていたが、初回の血圧測定時にのみ定
数項C1が決定されてもよい。
【0117】また、前述の第2実施例では、図14のS
C10のモデル修正ルーチンは一回実行されるのみで、
定数項C2乃至C6は一度決定されたら修正されないよ
うにされていたが、前述の第1実施例と同様に、カフ1
0による血圧測定毎に再決定されてもよい。
【0118】なお、本発明はその主旨を逸脱しない範囲
においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である非観血連続血圧推定装
置の回路構成を説明するブロック線図である。
【図2】図1の実施例における電子制御装置の制御機能
の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図3】図1の実施例における電子制御装置の制御作動
により求められ脈波伝播時間DTを例示する図である。
【図4】脈波面積VP等の容積脈波面積情報の算出方法
およびU−timeを説明する図である。
【図5】図1の実施例のおける電子制御装置の制御作動
の要部を説明するフローチャートであって、血圧測定ル
ーチンを示す図である。
【図6】図1の実施例のおける電子制御装置の制御作動
の要部を説明するフローチャートであって、推定血圧値
決定ルーチンを示す図である。
【図7】図1の実施例において求められた推定血圧値E
BPが表示器にトレンド表示された例を示す図である。
【図8】第2発明の一実施例である非観血連続血圧予測
装置の回路構成を説明するブロック線図である。
【図9】図8の実施例の圧脈波検出プローブを一部を切
り欠いて説明する拡大図である。
【図10】図8の実施例の圧脈波センサにより検出され
る圧脈波を例示する図である。
【図11】図8の実施例において用いられる対応関係を
例示する図である。
【図12】図8の実施例における電子制御装置の制御機
能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図13】図12の最適押圧力制御手段において決定さ
れる最適押圧力を説明する図である。
【図14】図8の実施例の演算制御装置の制御作動の要
部を説明するフローチャートであって、メインルーチン
を示している。
【図15】図8の実施例のおける電子制御装置の制御作
動の要部を説明するフローチャートであって、予測循環
情報および予測血圧値を出力するための自己回帰モデル
を修正するモデル修正ルーチンである。
【図16】図8の実施例のおける電子制御装置の制御作
動の要部を説明するフローチャートであって、予測血圧
値決定ルーチンを示す図である。
【図17】図8の実施例において求められた監視血圧値
および予測血圧値が表示器にトレンド表示された例を示
す図である。
【符号の説明】
8:非観血連続血圧推定装置 64:脈波伝播速度情報算出手段(循環情報決定手段) 66:心拍周期情報算出手段(循環情報決定手段) 68:容積脈波面積情報算出手段(循環情報決定手段) 70:上昇期間算出手段(循環情報決定手段) 74:推定血圧値決定手段 80:非観血連続血圧予測装置 102:圧脈波センサ 110:押圧装置 120:最適押圧力制御手段 124:監視血圧値連続決定手段 128:予測循環情報決定手段 130:予測血圧値決定手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の動脈内血圧を非侵襲にて連続的に
    推定するための非観血連続血圧推定装置であって、 前記生体の循環器から非侵襲にて得られる循環情報を連
    続的に決定する循環情報決定手段と、 生体の循環器から非侵襲にて得られた循環情報とそのと
    きの該生体の血圧値とを用いて係数が予め決定された自
    己回帰モデルに基づいて、前記循環情報決定手段により
    決定された循環情報のうち、最新の循環情報を含む所定
    拍数分の循環情報から、該最新の循環情報が決定された
    時点の推定血圧値を逐次決定する推定血圧値決定手段と
    を、含むことを特徴とする非観血連続血圧推定装置。
  2. 【請求項2】 生体の動脈内血圧を非侵襲にて連続的に
    予測するための非観血連続血圧予測装置であって、 前記生体の循環器から非侵襲にて連続的に得られる循環
    情報を決定する循環情報決定手段と、 所定拍数分の循環情報から所定拍数後の予測循環情報を
    決定するための予め設定された自己回帰モデルを用い
    て、前記循環情報決定手段により実際に決定された循環
    情報に基づいて、将来の予測循環情報を逐次決定する予
    測循環情報決定手段と、 所定拍数分の循環情報から所定拍数後の予測血圧値を決
    定するための予め設定された自己回帰モデルを用いて、
    前記循環情報決定手段により実際に決定された循環情報
    および前記予測循環情報決定手段により決定された予測
    循環情報の少なくとも一方に基づいて、将来の予測血圧
    値を逐次決定する予測血圧値決定手段とを、含むことを
    特徴とする非観血連続血圧予測装置。
  3. 【請求項3】 前記生体の動脈から発生する圧脈波を検
    出するための圧脈波センサと、 該圧脈波センサを前記動脈に向かって押圧する押圧装置
    と、 前記動脈の血管壁の一部が略平坦となるように予め決定
    した最適押圧力で前記押圧装置により前記圧脈波センサ
    を押圧させ且つその最適押圧力を維持させる最適押圧力
    制御手段と、 予め設定された関係から、前記圧脈波センサにより検出
    された圧脈波の大きさに基づいて、該生体の監視血圧値
    を連続的に決定する監視血圧値連続決定手段とを、さら
    に含み、 前記予測血圧値決定手段は、前記循環情報として、前記
    監視血圧値連続決定手段により連続的に決定された監視
    血圧値を少なくとも用いて、将来の予測血圧値を逐次決
    定するものである請求項2記載の非観血連続血圧予測装
    置。
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