JP2001015045A - 受像管装置 - Google Patents

受像管装置

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JP2001015045A
JP2001015045A JP11182763A JP18276399A JP2001015045A JP 2001015045 A JP2001015045 A JP 2001015045A JP 11182763 A JP11182763 A JP 11182763A JP 18276399 A JP18276399 A JP 18276399A JP 2001015045 A JP2001015045 A JP 2001015045A
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Japan
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electron beam
phosphor screen
electron
picture tube
spot
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JP11182763A
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Naoaki Kimura
直明 木村
Hiroshi Suzuki
弘 鈴木
Yasuyuki Ueda
康之 上田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スクリーン全面において電子ビームのスポッ
ト水平径の伸長を抑制して高画質な受像管装置を提供す
る。 【解決手段】 偏向時に4極レンズ磁界46により垂直
方向で集束作用が加わっても、蛍光面4の全面におい
て、電子ビーム41が垂直方向についてアンダーフォー
カスまたは適正フォーカスとなるようにDAF電子銃の
4極レンズ電界44およびメインレンズ電界45を設定
する。また、偏向時に4極レンズ磁界46により水平方
向で発散作用が加わっても蛍光面4の全面において、電
子ビーム41が水平方向についてほぼ適正フォーカスと
なるように4極レンズ電界44およびメインレンズ電界
45を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイナミック非点
収差補正(以下、DAFという)の機能を持つインライ
ン電子銃を備える受像管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラー受像管装置において、スク
リーン(蛍光面)の大型化および薄型化が進むと同時に
高輝度化も図られている。このような状況において、カ
ラー受像管装置の電子ビームのスポット形状を制御する
ことがますます困難になってきている。
【0003】図13は、カラー受像管装置を構成するカ
ラー受像管およびセルフコンバージング偏向ヨークの水
平断面図である。
【0004】図13において、カラー受像管装置10
は、カラー受像管1およびセルフコンバージング偏向ヨ
ーク2を含んでいる。カラー受像管1は、インライン電
子銃3、蛍光面4およびシャドウマスク5を含んでい
る。蛍光面4はカラー受像管1のコーン部の前面の内側
に配置されている。
【0005】インライン電子銃3は、3本の電子銃をイ
ンライン配列して構成され、カラー受像管1のネック部
分に配置されている。各電子銃は、電子ビームの放出、
制御、加速および集束を行う。この3本の電子銃からな
るインライン電子銃3は、それぞれ赤色、緑色および青
色の3色の光を発生させるための3本の電子ビーム6を
出射する。各電子銃は電子ビーム6を蛍光面4上で最も
小さなスポットになるように絞る集束という動作をす
る。電子銃の陰極から出た電子は、陰極付近の電界の作
用で一度細く集められてビームを形成する。電子ビーム
のビーム径は電子銃の中で一度最小となり、その後広が
っていく。このビーム径の最小となる点をクロスオーバ
ーという。クロスオーバーから広がっていく電子ビーム
を蛍光面4上で最小のスポットに絞るのが電子銃の中で
発生されるメインレンズ電界の役割である。メインレン
ズ電界は、光を集束する凸レンズに似て電子ビームを集
束することができる。
【0006】シャドウマスク5は、インライン電子銃3
と蛍光面4との間に配置され、複数の孔またはスリット
を有している。シャドウマスク5の孔またはスリットに
入射する3本の電子ビーム6の入射角によって色選別が
行われる。
【0007】蛍光面4には、シャドウマスク5の孔また
はスリットを通過した3本の電子ビーム6が射突する3
つの異なる領域に、赤、緑および青の3つの蛍光体が塗
布されている。そのため、蛍光面4に照射される3本の
電子ビーム6によりカラー画像を表示することができ
る。
【0008】赤、緑、青の3色の画像の重ね合わせが悪
いと画質が低下する。そのため、3本の電子ビーム6
は、スクリーン上のどの位置に偏向されても蛍光面4上
で1つに集まるように設定される。この3本の電子ビー
ム6の集中がコンバーゼンスである。蛍光面4の曲率と
3本の電子ビーム6が集中する面の曲率との違いから3
本の電子ビーム6の集中がずれるミスコンバーゼンスを
生じるので、コンバーゼンス補正を行うのが一般的であ
る。コンバーゼンス補正の一種にセルフコンバーゼンス
補正がある。偏向コイルの巻線の分布を特殊な形状にし
てカラー受像管1の軸方向の磁界を不均一にしてコンバ
ーゼンス補正を行うのがセルフコンバーゼンス補正であ
る。そのような偏向ヨークをセルフコンバージング偏向
ヨークと呼ぶ。
【0009】セルフコンバージング偏向ヨーク2は、イ
ンライン電子銃3から出射された電子ビーム6を偏向す
るための偏向磁界を発生するが、このセルフコンバージ
ング偏向ヨーク2により発生される偏向磁界は、セルフ
コンバーゼンスを行うために不均一なものになってい
る。このセルフコンバージング偏向ヨーク2は、インラ
イン電子銃3の電子ビーム出射端近傍のカラー受像管1
の周囲に配置されている。
【0010】図14はセルフコンバーゼンス用の偏向磁
界の分布を説明するための図である。図14(a)に
は、セルフコンバーゼンス用の水平偏向磁界が示され、
図14(b)にはセルフコンバーゼンス用の垂直偏向磁
界が示されている。図14(a),(b)において、x
軸はセルフコンバージング偏向ヨーク2が発生する偏向
磁界を蛍光面4の側から見た場合の左右方向を示し、y
軸は上下方向を示す。セルフコンバーゼンスを行いつつ
電子ビーム6を偏向するために、セルフコンバージング
偏向ヨーク2が発生する水平偏向磁界は、図14(a)
に示すようにピンクッション状に歪んでおり、垂直偏向
磁界は図14(b)に示すようにバレル状に歪んでい
る。
【0011】ここで、図13に示すように、電子ビーム
6をインライン電子銃3から見て左側に偏向させる場合
について説明する。図14(a)に示すピンクッション
状の磁界分布へ紙面裏側から電子ビームが入射したと仮
定した場合、前述の偏向を行うために電子ビームはこの
分布の右半分の影響を大きく受ける。
【0012】電子ビームが図14(a)の右半分の水平
偏向磁界から受ける力について図15を用いて説明す
る。図15(a)に示す磁界分布201は、図15
(b)に示す2極磁界成分202と図15(c)に示す
4極磁界成分203とを合成したものとみなすことがで
きる。
【0013】図15(a)に示すピンクッション状の磁
界分布201に紙面裏側から1本の電子ビームが入射し
た場合について考える。図15(b)に示す2極磁界成
分202に紙面裏側から入射した電子ビーム205は、
右向きの力204を受ける。一方、図15(c)に示す
4極磁界成分203に紙面裏側から入射した電子ビーム
205は、垂直方向では電子ビーム205の中心へ向か
う力207を受け、水平方向では電子ビーム205の中
心から外側へ向かう力206を受ける。4極磁界成分2
03は3本の電子ビームにセルフコンバーゼンス作用を
与えるものであるが、3本の電子ビームのうちの任意の
1本の電子ビーム205について見ると、水平方向に発
散作用を与え、垂直方向に集束作用を与える。そのた
め、電子ビーム205は、水平方向に偏向されることに
よって横長偏平の断面形状となる。
【0014】次に、図14(b)に示すバレル状の垂直
偏向磁界によって、例えば上方へ電子ビーム6が偏向さ
れる場合に電子ビーム6に働く力について図16を用い
て説明する。図14(b)に示すバレル状の磁界分布へ
紙面裏側から入射した電子ビームの上方への偏向を行う
場合、電子ビームはこの分布の上半分の影響を大きく受
ける。図16(a)に示すバレル状の垂直偏向磁界の上
半分の磁界分布211は、図16(b)に示す2極磁界
成分212と図16(c)に示す4極磁界成分213と
を合成したものとみなすことができる。
【0015】図16(b)に示す2極磁界成分212に
紙面裏側から入射した1本の電子ビーム215は、上向
きの力214を受ける。一方、図16(c)に示す4極
磁界成分213に紙面裏側から入射した電子ビーム21
5は、垂直方向では電子ビーム215の中心に向かう力
217を受け、水平方向では電子ビーム215の中心か
ら外側へ向かう力216を受ける。そのため、電子ビー
ム215は、垂直方向に偏向されることによって横長偏
平の断面形状となる。
【0016】図17はスクリーンの各部に形成されるス
ポットが偏向により歪む様子を説明するための概念図で
ある。図17に示すように、スクリーン220の中心部
に位置するスポット221は偏向されないので偏向磁界
による歪みを生じない。スクリーン220の左右の端部
における上下方向の中央に位置するスポット222,2
23は水平偏向のみの影響によって歪んでいる。また、
スクリーン220の上部中央および下部中央にそれぞれ
位置するスポット224,225は垂直偏向のみの影響
によって歪んでいる。そして、それぞれスクリーンの4
つの隅部に位置するスポット226〜229は水平偏向
および垂直偏向の両方の影響によって歪んでいる。
【0017】スクリーン220の各点においてスポット
形状はそれぞれ異なるが、図15および図16を用いて
説明したように、スポット222〜229を歪ませてい
る原因は4極磁界成分203,213であるので、説明
を簡単にするために水平偏向のみによって電子ビームが
変形する過程について図18および図19を用いて説明
する。
【0018】図18には、偏向されていない場合の電子
ビームの状態が光学レンズ系に模して示されている。
【0019】図18においては、走査線264を描いて
動く1本の電子ビーム251が蛍光面4の中央部263
に射突している。このとき水平偏向磁界は発生しておら
ず、電子ビーム251は偏向による変形を受けていな
い。図18(a)には、図13に示したインライン電子
銃3のメインレンズ位置から蛍光面4に達するまでの間
の電子ビーム251の形状が示され、図18(b)には
図13に示したインライン電子銃3を通って蛍光面4に
至るまでの電子ビーム251の水平断面が示され、図1
8(c)には図13に示したインライン電子銃3の内部
を通って蛍光面4に至るまでの電子ビーム251の垂直
断面が示されている。
【0020】図18(b),(c)に示されているよう
に、光学レンズ系の物点に相当するクロスオーバー部2
52から蛍光面4に向かって出射された電子ビーム25
1の包絡線253はクロスオーバー部252からの距離
に応じて広がる。そして、メインレンズ電界255に到
達した電子ビーム251はメインレンズ電界255の集
束作用により蛍光面4上で最適にフォーカスされてスポ
ット257を形成する。図18(a)に示すようにメイ
ンレンズ位置における断面形状261および偏向中心に
おける断面形状262はともに円形となっており、蛍光
面4上のスポット257も円形で水平径および垂直径が
同じになり、従って縦横比が1になっている。ここでい
う偏向中心は、3次元的な広がりを持つ偏向磁界が実効
的に集中しているとみなせる位置である。
【0021】図19は、水平偏向磁界のみによって偏向
されている場合に補正されていない電子ビームの状態を
光学レンズ系に模して示している。
【0022】図19においては、蛍光面の中央部263
を通り走査線264を描いて右に偏向された1本の電子
ビーム271が蛍光面4の右端部に射突している。図1
9(a)には、図13に示したインライン電子銃3のメ
インレンズ位置から蛍光面4に達するまでの電子ビーム
271の形状が示され、図19(b)には、図13に示
したインライン電子銃3の内部から蛍光面4に至るまで
の電子ビーム271の水平断面が示され、図19(c)
には、図13に示したインライン電子銃3の内部を通っ
て蛍光面4に至るまでの電子ビーム271の垂直断面が
示されている。
【0023】図19(b),(c)に示されている4極
磁界成分276は、図13のセルフコンバージング偏向
ヨーク2の水平偏向磁界の4極磁界成分によるレンズ作
用を示しており、偏向を生ぜしめる2極磁界成分に相当
するプリズム作用等の記載は省略している。クロスオー
バー部272から蛍光面4に向かう電子ビーム271の
包絡線273はクロスオーバー部272からの距離に応
じて広がっている。次に、電子ビーム271はメインレ
ンズ電界275において集束作用を受ける。メインレン
ズ電界275を通過した電子ビーム271は4極磁界成
分276において水平方向では発散作用を受け、垂直方
向では集束作用を受ける。
【0024】図19(b)に示すように水平方向におい
ては、蛍光面4の上で最適にフォーカスされたスポット
277が形成される。一方、図19(c)に示すように
垂直方向では、オーバーフォーカスになっている。その
ため、蛍光面4の手前でクロスオーバー部278が形成
され、それによりスポット277は図19(a)に示す
コア部279および垂直方向に延びるヘイズ部280を
有する。ヘイズ部280は垂直方向の解像度を著しく低
下させる。
【0025】図19(a)に示すように、メインレンズ
位置における断面形状281は円形であり、偏向中心に
おける断面形状282もほぼ円形となっている。しか
し、水平偏向磁界の4極磁界成分276により、水平方
向では発散され、垂直方向では集束されるため、コア部
279の形状は横長になっている。
【0026】上記の問題を解決してスクリーン全域にお
いて高い解像度を得るための一般的な手段として、例え
ば特開昭61−99249号公報に開示されているダイ
ナミック非点収差補正電子銃(DAF電子銃)の使用が
挙げられる。
【0027】図20は、水平偏向磁界のみによって偏向
されている場合にDAF電子銃により補正されている電
子ビームの状態を光学レンズ系に模して示している。
【0028】図20においては、蛍光面の中心部303
を通り走査線304を描いて右に偏向された1本の電子
ビーム291が蛍光面4の右端部に射突している。図2
0(a)には、DAF電子銃のメインレンズ位置から蛍
光面4に達するまでの電子ビーム291の形状が示さ
れ、図20(b)には、DAF電子銃の内部から蛍光面
4に至るまでの電子ビーム291の水平断面が示され、
図20(c)には、DAF電子銃の内部を通って蛍光面
4に至るまでの電子ビーム291の垂直断面が示されて
いる。
【0029】図20(b),(c)に示されている4極
レンズ電界294はDAF電子銃により発生される。ク
ロスオーバー部292から蛍光面4に向かう電子ビーム
291の包絡線293は、クロスオーバー部292から
の距離に応じて広がっている。電子ビーム291は4極
レンズ電界294に入射し、4極レンズ電界294によ
って水平方向では集束作用を受け、垂直方向では発散作
用を受ける。次に、メインレンズ電界295を通過する
際に電子ビーム291はメインレンズ電界295におい
て集束作用を受ける。なお、DAF電子銃では、4極レ
ンズ電界294の形成に伴い、メインレンズ電界295
の集束作用が弱められる。
【0030】メインレンズ電界295を通過した電子ビ
ーム291は、水平偏向される際に4極磁界成分296
によって水平方向では発散作用を受け、垂直方向では集
束作用を受ける。そのため、図20(b)に示すよう
に、水平方向においては、蛍光面4の上で適正にフォー
カスされたスポット297が形成される。一方、図20
(c)に示すように、垂直方向では蛍光面4の手前で電
子ビーム291が焦点を結んでいる。以後、このように
蛍光面の前方で電子ビームが焦点を結ぶ状態をオーバー
フォーカスと呼ぶ。逆に、蛍光面の後方で電子ビームが
焦点を結ぶ状態をアンダーフォーカスと呼ぶ。また、蛍
光面上で電子ビームが焦点を結ぶ状態を適正フォーカス
と呼ぶ。
【0031】しかし、オーバーフォーカスが原因で形成
されるクロスオーバー部298は図19(c)に示すク
ロスオーバー部278に比べて蛍光面4に近いところに
形成されているので、図20(a)のスポット297
は、図19(a)のスポット277に比べて垂直径が縮
小されたヘイズ部306を有している。
【0032】図20(a)に示すように、図20
(b),(c)の4極レンズ電界294によって、メイ
ンレンズ位置においては電子ビーム291の断面形状3
01は、垂直方向に伸びるとともに水平方向に縮んだ偏
平な形状になっている。
【0033】偏向中心における電子ビーム291の断面
形状302は、図20(b),(c)のメインレンズ電
界295の集束作用によって、メインレンズ位置の断面
形状301に比べて水平方向にさらに縮小される。しか
し、垂直方向では水平方向に比べて断面形状が縮小され
る割合は小さいか、または逆に伸長され、電子ビーム2
91の断面形状302は断面形状301に比べてさらに
縦長になる。
【0034】図21は、DAF電子銃の4極レンズ電界
294を発生させるためのダイナミック電圧とスポット
形状との関係を説明するための図である。ビーム電流が
0.5mAの場合である。図21を説明するのに先立ち
ダイナミック電圧について簡単に説明する。ダイナミッ
ク電圧は水平走査周波数でパラボラ状に変化する。ここ
では、スクリーンの上下方向の中央を水平に走査線が通
る場合のダイナミック電圧の変化について説明する。ス
クリーンの右端部において図20に示すスポット297
が形成されているとき、ダイナミック電圧は最大になっ
ており、図20に示すレンズ電界294も最大となって
いる。このとき、ダイナミック電圧は図20のメインレ
ンズ電界295を弱めるように働いている。
【0035】ところが、スクリーンの中心部303に図
20の電子ビーム291が射突しているとき、ダイナミ
ック電圧は最小すなわち0になっており、図20に示し
た4極レンズ電界294は存在しない。そのため、図1
8に示した状態と同じになる。このときには、偏向磁界
が存在しないために図20に示した4極磁界成分296
は存在せず、したがって補正の必要がないということで
ある。またこのときには、ダイナミック電圧によりメイ
ンレンズ電界295が弱められる作用もない。
【0036】スクリーンの左端部においてもスクリーン
の右端部と同様にダイナミック電圧が最大となる。以
下、スクリーンの右端部および左端部におけるダイナミ
ック電圧を最大ダイナミック電圧と呼ぶ。
【0037】垂直方向に電子ビームが偏向されるときに
も図20の4極磁界成分296と同じような磁界成分が
発生するので、ダイナミック電圧の印加が必要になる。
そのため、ダイナミック電圧は垂直走査周波数でパラボ
ラ状に変化する。つまり、ダイナミック電圧の包絡線が
パラボラ状になる。例えば、スクリーン上において図1
7のスポット224の位置する上部中央およびスポット
225の位置する下部中央と図17のスポット221の
位置する中心部で比較すると、ダイナミック電圧は上部
中央および下部中央で最大となり、中心部で最小すなわ
ち0となる。
【0038】図21では、中心部のスポット形状と端部
のスポット形状とを比較するためスポットが端部に位置
するときの最大ダイナミック電圧を0、0.5および
1.0kVに設定している。なお、スポットが端部に位
置するときの最大ダイナミック電圧が0kVというのは
ダイナミック電圧を印加していないということである。
【0039】スクリーンの端部における最大ダイナミッ
ク電圧をどのような値に設定してもスクリーンの中心部
においてダイナミック電圧は常に0kVであるので、図
18に示すようにスクリーン中心部に形成されるスポッ
ト257の水平径は例えば0.9mmで一定である。一
方、図19および図20に示すように、スクリーンの上
下方向の中央でかつ左右方向の端部に形成されるスポッ
ト277,297の水平径は、最大ダイナミック電圧が
0kV、0.5kV、1.0kVと変化するのに伴って
例えば2.00mm、2.00mm、2.05mmと変
化する。これらのスポット277,297は、コア部2
79,305およびヘイズ部280,306を有する。
【0040】最大ダイナミック電圧が0kVのときのス
ポット277のコア部279およびヘイズ部280に比
べ、最大ダイナミック電圧が0.5kV〜1.0kVの
ときのスポット297のコア部305およびヘイズ部3
06は垂直径が十分小さくなっている。一方、ビーム電
流値が0.5mAと小さく電子ビームの電流密度が小さ
いため、水平方向の伸長比(端部のスポットの水平径/
中心部のスポットの水平径)は例えば、2.22〜2.
27でほぼ一定となっており、水平径は改善されない。
【0041】DAF電子銃を備える従来のカラー受像管
装置では、スポットの水平径については考慮せず、スポ
ットの垂直径の縮小と回路のコストダウンの兼ね合いで
最大ダイナミック電圧が決定される。また、スポットの
垂直径を過度に縮小するとモアレが発生するため、最大
ダイナミック電圧を過度に大きく設定しないようにす
る。その結果、スクリーンの中心部を除き、電子ビーム
の垂直方向はオーバーフォーカスに限られていた。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】従来のカラー受像管装
置では、大型化にともなう電子ビームの経路長の増大、
薄型化にともなう電子ビームの偏向角度の増大および高
輝度化にともなう電子ビームの電流量の増加によってス
クリーン全面において電子ビームのスポットの水平径が
伸長し、解像度の低下が生じて画質が低下してしまう。
【0043】本発明の目的は、スクリーン全面において
電子ビームのスポット水平径の伸長が抑制された高画質
な受像管装置を提供することである。
【0044】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々の実験
および検討を重ねた結果、電子ビームの電流量が一定値
を超えると、電流量の増加に伴って空間電荷リパルジョ
ン(斥力)効果によるビームスポットの伸長現象が急激
に著しくなることを見い出した。そして、この空間電荷
リパルジョン効果によるビームスポットの伸長現象を抑
制することにより電子ビームのスポット径を調整すべく
以下の発明を案出した。
【0045】(第1の発明)第1の発明に係る受像管装
置は、蛍光面を有する受像管と、複数の電子ビームを受
像管の蛍光面に向かって出射する電子銃と、電子銃によ
り出射された電子ビームを偏向するとともにセルフコン
バーゼンスを行う偏向磁界を発生する偏向手段とを備
え、電子銃は、電子ビームの偏向角度に応じて電子ビー
ムの垂直方向への発散作用および水平方向への集束作用
を動的に変化させるとともに、蛍光面の中心部を除いて
垂直方向における電子ビームの焦点が蛍光面の後方に位
置しかつ蛍光面上に水平方向における電子ビームの焦点
が蛍光面上に位置するように電子ビームを集束させるも
のである。
【0046】本発明に係る受像管装置においては、電子
ビームが蛍光面の中心部以外の領域に照射される場合、
偏向手段により偏向される際に、電子ビームはセルフコ
ンバーゼンスを行うための偏向磁界の軸非対称レンズ作
用によって歪む。その歪みは、電子銃により、電子ビー
ムの垂直方向への発散作用および水平方向への集束作用
が電子ビームの偏向角度に応じて動的に変化されること
によって修正される。その際に、電子ビームは、電子銃
により、垂直方向における電子ビームの焦点が蛍光面の
後方に位置し、かつ水平方向における電子ビームの焦点
が蛍光面上に位置するように集束される。
【0047】それにより、蛍光面の手前でクロスオーバ
ー部が発生せず、電子ビームの電流密度が大きい場合に
生じる空間電荷リパルジョンによるスポット水平径の伸
長を小さく抑えることができ、カラー受像管装置の画質
を向上させることができる。
【0048】(第2の発明)第2の発明に係る受像管装
置は、第1の発明に係る受像管装置の構成において、電
子銃は、蛍光面上に形成される電子ビームのスポットの
水平径dhと垂直径dvとの比dh/dvが、蛍光面の
両端部において1以上になるように電子ビームを集束さ
せるものである。
【0049】この場合、電子銃において垂直方向への発
散作用を発生させるための電圧を小さくすることがで
き、その電圧を発生させるための回路を形成しやすくす
るとともに消費電力を抑えることができる。
【0050】(第3の発明)第3の発明に係る受像管装
置は、第2の発明に係る受像管装置の構成において、電
子銃は、蛍光面上に形成される電子ビームのスポットの
水平径dhと垂直径dvとの比dh/dvが、蛍光面の
両端部において2以下になるように電子ビームを集束さ
せるものである。
【0051】この場合、電子ビームのスポットの垂直径
dvが小さくなりすぎて、モアレが発生することを防止
することができる。
【0052】(第4の発明)第4の発明に係る受像管装
置は、第3の発明に係る受像管装置の構成において、電
子銃は、蛍光面上に形成される電子ビームのスポットの
水平径dhと垂直径dvとの比dh/dvが、蛍光面の
両端部において1.2以上になるように電子ビームを集
束させるものである。
【0053】この場合、横長の蛍光面を有する受像管装
置の表示の精細さについて垂直方向と水平方向で良好な
バランスをとることができ、画質を向上させることがで
きる。
【0054】(第5の発明)第5の発明に係る受像管装
置は、第1〜第4のいずれかの発明の受像管装置の構成
において、電子銃は、電子ビームの偏向角度に応じて動
的に変化するダイナミック電圧の印加により電子ビーム
の偏向角度に応じて電子ビームの垂直方向への発散作用
および水平方向への集束作用を動的に変化させる軸非対
称レンズ電界を形成する第1および第2の集束電極を含
み、第1および第2の集束電極は、蛍光面の中心部を除
いて垂直方向における電子ビームの焦点が蛍光面の後方
に位置しかつ水平方向における電子ビームの焦点が蛍光
面上に位置するようにダイナミック電圧が設定されたも
のである。
【0055】この場合、ダイナミック電圧の設定によ
り、垂直方向における電子ビームの焦点が蛍光面の後方
に位置し、かつ水平方向における電子ビームの焦点が蛍
光面上に位置するように電子ビームを集束させるので、
従来からある電子銃の構造をそのまま用いることがで
き、蛍光面全面において電子ビームのスポット水平径の
伸長が抑制された受像管装置を容易に提供することがで
きる。
【0056】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
実施の形態1におけるカラー受像管装置について図1〜
図8および図13を用いて説明する。
【0057】実施の形態1のカラー受像管装置は、図1
3に示したカラー受像管1および図13に示したセルフ
コンバージング偏向ヨーク2を備え、図13のカラー受
像管1のインライン電子銃3として図1に示すダブルク
ワドラポール−ダイナミック非点収差補正電子銃(以
下、DQ−DAF電子銃と呼ぶ)を備える。
【0058】図1はDQ−DAF電子銃の一構成例を示
す斜視図である。図1に示すDQ−DAF電子銃は、D
AF電子銃のフォーカス補正用の4極レンズ電界に加え
て、レンズ倍率補正用の4極レンズ電界を発生させるこ
とができる。
【0059】図1に示すDQ−DAF電子銃11は、3
個の陰極12a〜12c、制御電極13、加速電極1
5、第1補助電極17、第2補助電極19、第1集束電
極21、第2集束電極24および最終加速電極29を備
え、それら各構成要素がこの記載の順序に従って配置さ
れている。
【0060】3個の陰極12a〜12cは、並列に配置
されている。制御電極13は、3個の陰極12a〜12
cから出射される3本の電子ビームがそれぞれ到達する
箇所に円形の電子ビーム通過孔14a〜14cを有して
いる。陰極12a〜12cから出射された電子ビーム
は、まず電子ビーム通過孔14a〜14cを通過し、そ
の電子ビーム量が主に制御電極13と陰極12a〜12
cとの間の電位差によって制御される。
【0061】加速電極15は、制御電極13の電子ビー
ム通過孔14a〜14cを通過した3本の電子ビームの
到達位置に円形の電子ビーム通過孔16a〜16cを有
している。加速電極15には、制御電極13より高い電
圧が印加される。
【0062】第1補助電極17は、加速電極15の電子
ビーム通過孔16a〜16cを通過した3本の電子ビー
ムのそれぞれの到達位置に円形の電子ビーム通過孔18
a〜18cを有している。この第1補助電極17と加速
電極15との間には第1補助電極17に印加されるフォ
ーカス電圧Vfによってプリフォーカス電界が形成され
る。
【0063】第2補助電極19は、第1補助電極17の
電子ビーム通過孔18a〜18cを通過した3本の電子
ビームの各到達位置に、垂直方向に長い矩形状の電子ビ
ーム通過孔20a〜20cを有している。この電子ビー
ム通過孔20a〜20cの短辺は、第1補助電極17と
第2補助電極19との間に印加されるダイナミック電圧
Vdによって4極レンズ電界が生じない程度に、電子ビ
ーム通過孔18a〜18cに比べ、十分大きく設定され
ている。
【0064】第1集束電極21は、第2補助電極19に
対向する端面に水平方向に長い矩形状の電子ビーム通過
孔22a〜22cを有している。この電子ビーム通過孔
22a〜22cは第2補助電極19の電子ビーム通過孔
20a〜20cを通過した3本の電子ビームがそれぞれ
到達する箇所に位置する。この第1集束電極21の電子
ビーム通過孔22a〜22cの長辺は第2補助電極19
の電子ビーム通過孔20a〜20cの短辺より長く、電
子ビーム通過孔22a〜22cの短辺は電子ビーム通過
孔20a〜20cの長辺より短い。そのような構成によ
り、第2補助電極19と第1集束電極21との間に印加
されるダイナミック電圧Vdに応じて矩形状の電子ビー
ム通過孔20a〜20cと矩形状の電子ビーム通過孔2
2a〜22cとの間に4極レンズ電界が形成される。
【0065】また、第1集束電極21は、後述する第2
集束電極24に対向する端面に、垂直方向に長い矩形状
の電子ビーム通過孔23a〜23cを有する。これら電
子ビーム通過孔23a〜23cは電子ビーム通過孔22
a〜22cを通過した3本の電子ビームがそれぞれ到達
する箇所に位置する。
【0066】第2集束電極24は、第1集束電極21に
対向する端面に水平方向に長い矩形状の電子ビーム通過
孔25a〜25cを有する。これら電子ビーム通過孔2
5a〜25cは電子ビーム通過孔23a〜23cを通過
した3本の電子ビームがそれぞれ到達する箇所に位置す
る。この第2集束電極24の電子ビーム通過孔25a〜
25cの長辺は、第1集束電極21の電子ビーム通過孔
23a〜23cの短辺より長く、電子ビーム通過孔25
a〜25cの短辺は電子ビーム通過孔23a〜23cの
長辺より短い。そのような構成により、第1集束電極2
1と第2集束電極24との間に印加されるダイナミック
電圧Vdに応じて矩形状の電子ビーム通過孔23a〜2
3cと矩形状の電子ビーム通過孔25a〜25cとの間
に4極レンズ電界が形成される。
【0067】第2集束電極24は、後述する最終加速電
極29に対向する端面に水平方向に長い長円形の開口2
6を有している。この開口26に通じる内部空間は、開
口26が設けられた端面および水平面に対して垂直な金
属製の隔板27,28によって3分割されている。この
隔板27,28は開口26に対向する辺に所定の曲率半
径をもつ円弧状凹欠部を有している。
【0068】最終加速電極29は、第2集束電極24に
対向する端面に、水平方向に長い長円形の開口30を有
している。この開口30から内部に通じる空間は、開口
30が設けられた端面および水平面に対して垂直な金属
製の隔板31,32によって3分割されている。第2集
束電極24とは反対側の最終加速電極29の端面は開放
されており、そこから蛍光面4に向けて電子ビームが出
射される。この最終加速電極29と第2集束電極24と
の間にメインレンズ電界が形成される。
【0069】図1のDQ−DAF電子銃11を、最大偏
向角度104度で32インチ画面をもつCRT(陰極線
管)に用いた場合、例えば陰極12a〜12cには50
〜150Vが印加され、制御電極13には0Vが印加さ
れ、加速電極15には700Vが印加され、第1補助電
極17および第1集束電極21にはフォーカス電圧Vf
として7kVが印加され、最終加速電極29にはアノー
ド電圧Vaとして32kVが印加される。第2補助電極
19および第2集束電極24と第1集束電極21との間
には、ダイナミック電圧Vdとして0〜1kVの間で変
化する電圧が印加される。
【0070】次に、出射した電子ビームを水平方向に偏
向する場合における図1のDQ−DAF電子銃11の動
作について図2を用いて説明する。図2は水平偏向磁界
のみによって偏向されている場合にDQ−DAF電子銃
11により補正されている電子ビームの状態を光学レン
ズ系に模して示している。
【0071】図2においては、蛍光面4の中心部から右
に偏向された1本の電子ビーム41が蛍光面4の右端部
に射突している。図2(a)には、図1のDQ−DAF
電子銃11の内部から蛍光面4に至るまでの電子ビーム
41の水平断面が示され、図2(b)には、DQ−DA
F電子銃11の内部を通って蛍光面4に至るまでの電子
ビーム41の垂直断面が示されている。
【0072】図1に示すDQ−DAF電子銃11の電極
12a〜12cからは3本の電子ビームが出射される
が、これらに生じるスポットの歪みはいずれも偏向磁界
によって生じる4極レンズ作用によるものであるので、
説明を簡単にするために以後の説明は1本の電子ビーム
について行う。
【0073】例えば、図1の陰極12aから図2の電子
ビーム41が出射されるものとすると、電子ビーム41
には、制御電極13および加速電極15の付近でクロス
オーバー部42が形成される。次に電子ビーム41が通
過する加速電極15と第1補助電極17との間に形成さ
れているプリフォーカスレンズ電界の働きによって電子
ビーム41の発散が抑えられる。なお、図2ではプリフ
ォーカスレンズ電界に相当するレンズの記載は省略され
ている。
【0074】第1補助電極17および第2補助電極19
を通過した電子ビーム41は、第2補助電極19と第1
集束電極21との間に形成されている4極レンズ電界4
9によって、水平方向では発散作用を受け、垂直方向で
は集束作用を受ける。この4極レンズ電界49によりレ
ンズ倍率の補正が行われ、スポットの形状歪みが改善さ
れる。
【0075】第1集束電極21を通過して第1集束電極
21と第2集束電極24との間に到達した電子ビーム4
1は、第1集束電極21と第2集束電極24との間に形
成される4極レンズ電界44によって水平方向では集束
作用を受け、垂直方向では発散作用を受ける。このDQ
−DAF電子銃11では、4極レンズ電界44を形成す
るためのダイナミック電圧Vdが従来に比べ大きく設定
され、4極レンズ電界44による作用が従来よりも大き
くなるように設定されている。それにより、後述するよ
うに電子ビーム41が垂直方向でアンダーフォーカスと
なる。
【0076】さらに、電子ビーム41は、第2集束電極
24と最終加速電極29との間に形成されたメインレン
ズ電界45によって集束され、水平方向については偏向
磁界によって生じる4極磁界成分46の発散作用を受け
て蛍光面4の上で焦点を結ぶ。一方、垂直方向について
電子ビーム41は、4極磁界成分46によって蛍光面4
の後方で焦点を結ぶように集束され、蛍光面4上ではア
ンダーフォーカスとなる。
【0077】図3は、第2補助電極19および第2集束
電極24に印加される電圧の波形図である。フォーカス
電圧Vfを越える電圧成分がダイナミック電圧Vdであ
る。また、Hは1水平走査期間を示し、実線58で示さ
れているのが実施の形態1で用いられるダイナミック電
圧Vdであり、点線59で示されているのが従来のダイ
ナミック電圧Vdである。フォーカス電圧Vfは、第1
補助電極17および第1集束電極21に印加される。フ
ォーカス電圧Vfは加速電極15と第1補助電極17と
の間にプリフォーカスレンズ電界を形成するためにも用
いられる。また、メインレンズ電界45は第2集束電極
24の電圧Vf+Vdと最終加速電圧29のアノード電
圧Vaとの差によって形成される。
【0078】例えば、時刻t1において、電子ビーム4
1は蛍光面4の左端部に射突するように偏向されてお
り、時刻t2には蛍光面4の中心部に射突しており、時
刻t3においては蛍光面4の右端部に射突するように偏
向されている。したがって、ダイナミック電圧Vdは、
時刻t1,t3で蛍光面4の左右端部に電子ビームが射
突している際に最大となり、蛍光面4の中心部に向かっ
て例えばパラボラ状に徐々に減少し、時刻t2で蛍光面
4の中心部に電子ビームが射突しているときに最小(0
V)になる。この左右端部におけるダイナミック電圧V
dを最大ダイナミック電圧と呼ぶ。
【0079】実施の形態1で用いる実線58のダイナミ
ック電圧Vdは、時刻t2を除き、点線59で示す従来
のダイナミック電圧Vdに比べ、常に大きく設定され
る。それによって、垂直方向において図2に示した4極
レンズ電界44の発散作用は従来よりも大きくなり、中
心部を除く蛍光面4の全面において常にアンダーフォー
カスとなる。なお、水平方向においては、実線58の大
きなダイナミック電圧Vdにより4極レンズ電界44の
集束作用が大きくなる。しかし、メインレンズ電界45
の集束作用が弱まり、蛍光面4上で適正フォーカス状態
が保たれる。
【0080】図4は、図3を用いて説明した最大ダイナ
ミック電圧とスポット形状との関係を示す図である。図
4に示すスポット形状は、最大偏向角度が104度の3
2インチ画面を持つスクリーン面がフラットなCRTに
おいて、第1集束電極21にフォーカス電圧Vfとして
7kVを印加し、最終加速電極29にアノード電圧Va
として32kVを印加し、電子ビームとして4.0mA
の電流を流した場合に形成される。
【0081】図4に示す中心部のスポット257の形状
は、図18を用いて説明したように、図2の4極磁界成
分46および4極レンズ電界44,49が生じていない
状態で形成される。したがって、中心部のスポット25
7の形状は、最大ダイナミック電圧が0.5kV〜2.
0kVで変化しても、ほぼ同じ大きさの円となる。
【0082】図4に示す端部のスポット51の形状は、
0.5kVおよび1.0kVの最大ダイナミック電圧で
形成され、垂直方向がオーバーフォーカス状態で形成さ
れるものである。スポット51はヘイズ部51Hおよび
コア部51Cを有する。垂直方向でオーバーフォーカス
となっている範囲では、特にヘイズ部51Hにより垂直
径が大きく変化する。一方、図4に示す端部のスポット
47の形状は、1.5kVおよび2.0kVの最大ダイ
ナミック電圧で形成され、垂直方向がアンダーフォーカ
ス状態で形成されるものである。最大ダイナミック電圧
が1.5kVのときにはヘイズ部が形成されておらず、
最大ダイナミック電圧が2.0kVのときにはヘイズ部
47Hおよびコア部47Cが形成されている。
【0083】垂直方向がアンダーフォーカス状態となっ
ている範囲では最大ダイナミック電圧を大きくすると垂
直径が大きくなる。しかし、図4において、アンダーフ
ォーカスのときも最大ダイナミック電圧が1.5kV〜
2.0kVの範囲では、オーバーフォーカスのときと同
じ程度には垂直径が縮小され、垂直径は適正な範囲にあ
る。その一方で、最大ダイナミック電圧が1.5kVお
よび2.0kVの場合における水平方向の伸長比(端部
のスポットの水平径/中心部のスポットの水平径)は、
最大ダイナミック電圧が0.5kVおよび1.0kVの
場合に比べ、小さくなっている。このように、垂直方向
がアンダーフォーカスとなるダイナミック電圧で形成さ
れるスポット47は、垂直方向がオーバーフォーカスと
なるダイナミック電圧で形成されるスポット51に比
べ、水平径が小さいので水平方向で高精細な表示がしや
すくなっている。
【0084】垂直方向がアンダーフォーカスになるよう
に最大ダイナミック電圧を大きく設定して水平径を小さ
くする効果は、電子ビームの電流値が大きくならないと
顕著に現れてこない。このような効果は、空間電界リパ
ルジョンによる電子ビームの発散を考えると説明でき
る。図5は空間電荷リパルジョンによる電子ビームの発
散を説明するための概念図である。メインレンズ電界4
5によって集束された電子ビーム41は、蛍光面4によ
って一点に焦点を結ぶように設定されている。しかし、
電子ビーム41は、その構成要素の電子が相互に反発す
ることによって斥力Frを受けて広がり、蛍光面4上で
はビーム径dSCを持つ。ビーム径dSCが空間電荷リパル
ジョンに起因するスポット径の増大分に相当する。
【0085】空間電荷リパルジョンは電流密度が大きい
ほど大きい。すなわち、電流値が大きいほど、あるいは
ビーム径が小さいほど大きい。また、スクリーンに対す
るビームの入射角が小さいほど、すなわち平行に近いビ
ームほど大きい。図19(a)、あるいは図20(a)
において、蛍光面4の手前で生じるビームの垂直方向の
クロスオーバー部278あるいは298においては、垂
直方向のビーム径が縮小して電流密度が増大する。した
がって、その部分での空間電荷リパルジョンが増大し、
それに起因してスクリーン上のスポット径の増大が起こ
る。スポット径の増大はビームの入射角が小さい水平方
向でより顕著に起こる。その結果、水平スポット径が増
大し、その程度はビーム電流が増すにつれて大きくな
る。
【0086】図6には様々な電流値を持つ電子ビームに
ついて最大ダイナミック電圧と両面の端部のスポットの
垂直径との関係が示されている。図7には、様々な電流
値を持つ電子ビームについて最大ダイナミック電圧と両
面の端部のスポットの水平径との関係が示されている。
図6および図7に示されている関係は、最大偏向角度が
104度の32インチ画面を持つCRTにおいて、第1
集束電極21にフォーカス電圧Vfとして7kVを印加
し、最終加速電極29にアノード電圧Vaとして32k
Vを印加した場合を示している。
【0087】図6の曲線61〜66は、電子ビームの電
流値がそれぞれ0.1、0.5、1.0、2.0、3.
0および4.0mAである場合を示す。また、図7の曲
線71〜76は、電子ビームの電流値がそれぞれ0.
1、0.5、1.0、2.0、3.0および4.0mA
である場合を示す。
【0088】図6において、垂直方向について、最大ダ
イナミック電圧が1.0kV付近で適正フォーカスとな
っており、最大ダイナミック電圧が1.0kV程度より
小さいときにはオーバーフォーカスとなり、最大ダイナ
ミック電圧が1.0kV程度より大きいときにはアンダ
ーフォーカスとなっている。
【0089】図7の曲線71〜73に示すように、電流
値が0.1、0.5および1.0mAのとき、最大ダイ
ナミック電圧(0〜3.0kV)にかかわらず端部のス
ポットの水平径はほぼ一定である。ところが、電流値が
2.0、3.0および4.0mAのとき、図7の曲線7
4〜76に示すように、端部のスポットの水平径は最大
ダイナミック電圧の設定値(0〜3.0kV)の増加に
伴って減少する。したがって、電流値が2.0、3.0
および4.0mAのとき、最大ダイナミック電圧の最適
値は、電子ビームが垂直方向でオーバーフォーカスとな
っている範囲よりもむしろ、水平径が小さくなっている
範囲つまり電子ビームが垂直方向でアンダーフォーカス
となる範囲に存在する。
【0090】最大ダイナミック電圧の最適な設定値につ
いて図8を用いて説明する。図8は図6および図7から
得られたスポットの縦横比と最大ダイナミック電圧との
関係を示す図である。縦横比とは、スポットの垂直径d
vに対する水平径dhの比(dh/dv)である。
【0091】一般に、表示画面の水平方向も垂直方向も
同様に精細な表示が求められるので、電子ビームのスポ
ット径はスクリーン全面で同径でかつできる限り小さい
円が好ましい。しかし、スポットの垂直径が水平径より
も増大すると、水平方向に画素を高密度に表示しやすく
なる反面、垂直方向には画素を高密度に表示しにくくな
る。加えて、アンダーフォーカスの状態で垂直径を増大
させる最大ダイナミック電圧の設定は、最大ダイナミッ
ク電圧の設定値を大きくすることであるから回路構成お
よび消費電力についてコスト的にも不利になる。
【0092】したがって、縦横比(水平径/垂直径)は
1以上となる範囲でダイナミック電圧を設定することが
好ましい。例えば図8の曲線84〜86で示されている
ように電流値が2.0、3.0および4.0mAの場
合、最大ダイナミック電圧を約1kV〜約2.35kV
の範囲d1に設定することが好ましい。
【0093】ところが、スポットの垂直径が小さすぎる
と走査線が細くなりすぎ、走査線とシャドウマスクの孔
配列とが干渉しあって有害なモアレ縞が発生する。この
モアレの発生を抑えるためには、先に示した縦横比が1
以上となる範囲の中でもスポットの縦横比が2以下とな
る範囲に最大ダイナミック電圧を設定することが好まし
い。例えば、図8の曲線84〜86で示されているよう
に電流値が2.0、3.0および4.0mAの場合、最
大ダイナミック電圧を約1.5kV〜約2.35kVの
範囲d2に設定することが好ましい。
【0094】上述の縦横比が1以上2以下となる最大ダ
イナミック電圧の設定の中でもさらに、横長のスクリー
ンで水平方向の画素の表示密度と垂直方向の画素の表示
密度との良好なバランスを考慮すると、スポット水平径
は垂直径よりも大きいことが好ましく、スポット径の縦
横比が1.2〜2となる最大ダイナミック電圧の設定範
囲が好ましい。例えば、図8の曲線84〜86で示され
ているように電流値が2.0、3.0および4.0mA
の場合、最大ダイナミック電圧は約1.5kV〜約2.
1kVの範囲d3に設定することが好ましい。
【0095】このように、実施の形態1におけるカラー
受像管装置によれば、蛍光面とDQ−DAF電子銃との
間において、電子ビームの垂直方向でクロスオーバーが
生じないアンダーフォーカスに設定することによって、
空間電荷リパルジョンによる電子ビームのスポット径の
拡大作用を減少させ蛍光面の端部におけるスポットの水
平径を小さくできるので、端部のスポット径状を従来よ
りも適正な形状に補正することができる。これにより、
カラー受像管装置の画質を向上させることができる。
【0096】本実施の形態では、セルフコンバージング
偏向ヨーク2が偏向手段に相当し、第1集束電極21と
第2集束電極24との間に形成される4極レンズ電界が
軸非対称レンズ電界に相当する。
【0097】なお、上記実施の形態1におけるカラー受
像管装置では、ダイナミック電圧を調整することによっ
て電子ビームが垂直方向でアンダーフォーカスとなり電
子銃と蛍光面との間でクロスオーバーを生じないように
設定したが、例えば電子銃の形状を調整することまたは
電子銃と蛍光面との距離および水平方向の集束作用を調
整することなどの他の方法によって、電子ビームが垂直
方向でアンダーフォーカスとなるような設定を行っても
よい。
【0098】(実施の形態2)次に、本発明の実施の形
態2におけるカラー受像管装置について図9〜図13を
用いて説明する。
【0099】実施の形態2のカラー受像管装置は、図1
3に示したカラー受像管1および図13に示したセルフ
コンバージング偏向ヨーク2を備え、図13のカラー受
像管1のインライン電子銃3として図9に示すDAF電
子銃を備える。
【0100】図9は、一般的なDAF電子銃の一構成例
を示す斜視図である。図9に示すDAF電子銃91は陰
極92a〜92c、制御電極93、加速電極95、第1
集束電極97、第2集束電極100および最終加速電極
105を備え、それら各構成要素はこの記載順序に従っ
て配置されている。
【0101】3個の陰極92a〜92cは並列に配置さ
れている。制御電極93は、3個の陰極92a〜92c
から出射される3本の電子ビームが通過する箇所にそれ
ぞれ対応して3個の円形の電子ビーム通過孔94a〜9
4cを有している。陰極92a〜92cから出射された
電子ビームはまず制御電極93の電子ビーム通過孔94
a〜94cを通過する。これら電子ビームの量は、主
に、制御電極93と陰極92a〜92cとの間の電位差
によって制御される。
【0102】加速電極95は、制御電極93の電子ビー
ム通過孔94a〜94cを通過した電子ビームのそれぞ
れの到達位置に3個の円形の電子ビーム通過孔96a〜
96cを有している。加速電極95には制御電極93よ
りも高い電圧が印加されている。なお、DAF電子銃9
1の各電極に印加される電圧については後述する。
【0103】第1集束電極97は、加速電極95に対向
する端面に、3個の円形の電子ビーム通過孔98a〜9
8cを有している。電子ビーム通過孔98a〜98cは
電子ビーム通過孔96a〜96cを通過した3本の電子
ビームがそれぞれ到達する箇所に位置する。また、第1
集束電極97は、後述する第2集束電極100が対向す
る端面に垂直方向に長い矩形状の電子ビーム通過孔99
a〜99cを有している。これら電子ビーム通過孔99
a〜99cは電子ビーム通過孔98a〜98cを通過し
た電子ビームがそれぞれ到達する箇所に位置する。この
第1集束電極97と加速電極95との間にはプリフォー
カスレンズ電界が形成される。
【0104】第2集束電極100は、第1集束電97に
対向する端面に、水平方向に長い矩形状の電子ビーム通
過孔101a〜101cを有している。これら電子ビー
ム通過孔101a〜101cは電子ビーム通過孔99a
〜99cを通過した電子ビームがそれぞれ到達する箇所
に位置する。第2集束電極100の電子ビーム通過孔1
01a〜101cの長辺は第1集束電極97の電子ビー
ム通過孔99a〜99cの短辺より長く、第2集束電極
100の電子ビーム通過孔101a〜101cの短辺は
第1集束電極97の電子ビーム通過孔99a〜99cの
長辺より短い。そのような構成により、第1集束電極9
7の電子ビーム通過孔99a〜99cと第2集束電極1
00の電子ビーム通過孔101a〜101cとの間に4
極レンズ電界が形成できる。
【0105】第2集束電極100は、後述する最終加速
電極105に対向する端面に水平方向に長い長円形の開
口102を有している。この開口102に通じる内部空
間は、開口102が設けられた端面および水平面に対し
て垂直な金属製の隔板103,104によって3分割さ
れている。この隔板103,104は、開口102側の
辺に所定の曲率半径をもつ円弧状凹欠部を有している。
【0106】最終加速電極105は、第2集束電極10
0に対向する端面に水平方向に長い長円形の開口106
を有している。この開口106から最終加速電極105
の内部に通じる空間は、開口106が設けられた端面お
よび水平面に対して垂直な金属製の隔板107,108
によって3分割されている。そして、第2集束電極10
0とは反対側の最終加速電極105の端面は開放されて
おり、そこから蛍光面に向かって電子ビームが出射され
る。この最終加速電極105と第2集束電極100との
間にメインレンズ電界が形成される。
【0107】図9のDAF電子銃91を最大110度の
偏向角度を持つ33インチのCRTに用いた場合、例え
ば陰極92a〜92cには50〜150Vが印加され、
制御電極93には0Vが印加され、加速電極95には7
00Vが印加され、第1集束電極97には8.5kVが
印加され、最終加速電極105には加速電圧Vaとして
30kVが印加される。また、第1集束電極97と第2
集束電極100との間には、ダイナミック電圧Vdとし
て0〜1kVの間で変化する電圧が印加される。
【0108】次に、出射した電子ビームを水平方向に偏
向する場合における図9のDAF電子銃91の動作につ
いて図10を用いて説明する。図10は水平偏向磁界の
みによって偏向されている場合にDAF電子銃により補
正されている電子ビームの状態を光学レンズ系に模して
示している。
【0109】図10においては、蛍光面4の中心部12
3から走査線124を描いて右に偏向される一本の電子
ビーム111が蛍光面4の右端部に射突している。図1
0(a)には、図9のDAF電子銃91のメインレンズ
位置から蛍光面4に達するまでの電子ビーム111の形
状が示され、図10(b)には、DAF電子銃91の内
部を通って蛍光面4に至るまでの電子ビーム111の水
平断面が示され、図10(c)には、DAF電子銃91
の内部から蛍光面4に至るまでの電子ビーム111の垂
直断面が示されている。
【0110】例えば、図9の陰極92aから図10の電
子ビーム111が出射されるものとすると、電子ビーム
111には、制御電極93および加速電極95の付近で
クロスオーバー部112が形成される。次に電子ビーム
111が通過する加速電極95と第1集束電極97との
間にあるプリフォーカスレンズ電界の働きによって電子
ビーム111の発散が抑えられる。なお、図10ではプ
リフォーカスレンズ電界に相当するレンズの記載は省略
されている。
【0111】加速電極95を通過した電子ビーム111
は、第1集束電極97と第2集束電極100との間に形
成されている4極レンズ電界114によって、水平方向
で集束作用を受け、垂直方向では発散作用を受ける。こ
のDAF電子銃91では、4極レンズ電界114を形成
するためのダイナミック電圧が従来に比べて大きく設定
され、4極レンズ電界114による作用が従来よりも強
くなるように設定されている。それにより、後述するよ
うに電子ビーム111は垂直方向でアンダーフォーカス
となる。また、メインレンズ電界115の位置におい
て、電子ビーム111の断面形状121は、例えば図2
0(a)に示す断面形状301に比べ垂直方向の長さに
対する水平方向の長さの比が小さくなる。
【0112】さらに、電子ビーム111は、第2集束電
極100と最終加速電極105との間に形成されたメイ
ンレンズ電界115によって集束される。そのため、偏
向中心における電子ビーム111の断面形状122に
は、水平方向では、メインレンズ位置の断面形状121
に比べてさらに縮小される。しかし、垂直方向では、メ
インレンズ位置の断面形状121に比べ、偏向中心の断
面形状122の縮小の割合が小さくなるかまたは逆に伸
長される。そのため、偏向中心の断面形状122は、メ
インレンズ位置の断面形状に比べてさらに垂直方向の長
さに対する水平方向の長さの比が小さくなる。
【0113】最後に、電子ビーム111は、水平方向に
ついては偏向磁界によって生じる4極磁界成分116の
発散作用を受けて蛍光面4で焦点を結ぶ。一方、垂直方
向について電子ビーム111は、4極磁界成分116に
よって集束されるが蛍光面4上ではアンダーフォーカス
となる。
【0114】実施の形態2のDAF電子銃91において
は、図3に示す電圧と同様の電圧波形を持つ電圧が第2
集束電極100に印加される。フォーカス電圧Vfは、
第1集束電極97に印加され、加速電極95と第1集束
電極97との間にプリフォーカスレンズ電界を形成する
ためにも用いられる。メインレンズ電界115は、第2
集束電極100の電圧と最終加速電極105のアノード
電圧Vaとの差によって形成される。また、4極レンズ
電界114は、第1集束電極97と第2集束電極100
との間に生じるダイナミック電圧Vdによって形成され
る。実施の形態2で用いられる実線58のダイナミック
電圧Vdは、時刻t2の点を除き、従来の点線59のダ
イナミック電圧Vdに比べ、常に大きく設定される。そ
れにより、垂直方向において図10に示した4極レンズ
電界114の発散作用は従来よりも大きくなり、常にア
ンダーフォーカスとなる。
【0115】図11は、最大ダイナミック電圧とスポッ
ト形状との関係を示す図である。図11に示すスポット
形状は、最大偏向角度が110度で33インチ画面を持
つCRTにおいて、第1集束電極97にフォーカス電圧
Vfとして8.5kVを印加し、最終加速電極105に
アノード電圧Vaとして30kVを印加し、電子ビーム
として3.0mAの電流を流した場合に形成される。最
大ダイナミック電圧が0.5kV〜2.0kVに変化し
ても、図1に示す中心部のスポットの形状は、図4の場
合と同様に、ほぼ同じ大きさの円となる。
【0116】図11に示す端部のスポット297の形状
は、0.5kVおよび1.0kVの最大ダイナミック電
圧で垂直方向がオーバーフォーカスの状態で形成される
ものであり、端部のスポット117の形状は、1.6k
Vおよび2.0kVの最大ダイナミック電圧で垂直方向
がアンダーフォーカスの状態で形成されるものである。
スポット297は大きなヘイズ部306と水平方向に長
いコア部305を有する。それに対し、スポット117
はヘイズ部を持たないかまたは小さなヘイズ部117H
および水平方向を縮小されたコア部117Cを持つ。
【0117】アンダーフォーカスのときもオーバーフォ
ーカスのときと同じ程度には垂直径が縮小される。その
一方で、最大ダイナミック電圧が1.5kVおよび2.
0kVの場合における水平方向の伸長比(端部の水平径
/中心部の水平径)、最大ダイナミック電圧が0.5k
Vおよび1.0kVの場合に比べ、小さくなっている。
このように、垂直方向でアンダーフォーカスとなるダイ
ナミック電圧で形成されるスポット117は、垂直方向
でオーバーフォーカスとなるダイナミック電圧で形成さ
れるスポット297に比べ、水平径が小さいので、水平
方向で精細な表示がしやすくなっている。
【0118】実施の形態1で図8を用いて説明したのと
同じ理由から、図9に示すDAF電子銃91についても
スポット径の縦横比(水平径/垂直径)は1以上である
ことが好ましく、さらに1〜2の範囲が好ましく、さら
に1.2〜2の範囲が好ましい。
【0119】図12は、DAF電子銃の端部のスポット
径と最大ダイナミック電圧の関係とを概念的に示す図で
ある。図12において、曲線121はスポットの垂直径
の変化を示しており、曲線122はスポットの水平径の
変化を示している。曲線121,122が交わるところ
は縦横比が1になる点である。したがって、垂直方向で
アンダーフォーカスでかつ縦横比が1以上になるのは、
最大ダイナミック電圧が範囲d4に設定されている場合
である。
【0120】図12において、S2=2S1であり、縦
横比が1〜2になるのは、最大ダイナミック電圧が範囲
d5に設定されている場合である。また、図12におい
て、S3/S4=1.2であり、縦横比が1.2〜2に
なるのは、最大ダイナミック電圧が範囲d6に設定され
ている場合である。このような設定を行うことによっ
て、DAF電子銃91を備える実施の形態2のカラー受
像管装置においてもDQ−DAF電子銃11を備える実
施の形態1のカラー受像管装置と同様の効果が得られ
る。
【0121】本実施の形態では、セルフコンバージング
偏向ヨーク2が偏向手段に相当し、第1集束電極97と
第2集束電極100との間に形成される4極レンズ電界
が軸非対称レンズ電界に相当する。
【0122】
【発明の効果】以上のように、本発明のカラー受像管装
置によれば、電子ビームは、蛍光面の中心部を除き垂直
方向における電子ビームの焦点が蛍光面の後方に位置
し、かつ水平方向における電子ビームの焦点が蛍光面上
に位置するように集束されるので、蛍光面の手前で電子
ビームにクロスオーバー部が発生せず、空間電荷リパル
ジョンによるスポットの水平径の伸長を抑制することが
でき、カラー受像管装置の画質を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるカラー受像管装置のDQ
−DAF電子銃の一構成例を示す斜視図
【図2】実施の形態1のカラー受像管装置の動作を説明
するための概念図
【図3】実施の形態1のカラー受像管装置におけるダイ
ナミック電圧とスポット形状との関係を示す図
【図4】空間電荷リパルジョンを説明するための概念図
【図5】実施の形態1のカラー受像管装置で用いられる
ダイナミック電圧の一例を示す波形図
【図6】実施の形態1のカラー受像管装置における端部
のスポットの垂直径とダイナミック電圧との関係を示す
【図7】実施の形態1のカラー受像管装置における端部
のスポットの水平径とダイナミック電圧との関係を示す
【図8】実施の形態1のカラー受像管装置における縦横
比とダイナミック電圧との関係を示す図
【図9】実施の形態2におけるカラー受像管装置のDA
F電子銃の一構成例を示す斜視図
【図10】実施の形態2のカラー受像管装置の動作を説
明するための概念図
【図11】実施の形態2のカラー受像管装置における端
部のスポット形状とダイナミック電圧との関係を示す図
【図12】実施の形態2のカラー受像管装置における端
部のスポット径とダイナミック電圧との関係を示す図
【図13】カラー受像管装置の要部を示す水平断面図
【図14】偏向磁界を説明するための図
【図15】水平偏向磁界と電子ビームとの関係を説明す
るための図
【図16】垂直偏向磁界と電子ビームとの関係を説明す
るための図
【図17】スクリーン上におけるスポット形状を説明す
るための概念図
【図18】スクリーン中心部に照射されている電子ビー
ムの状態を説明するための概念図
【図19】従来の電子銃によって出射された電子ビーム
が水平偏向されている状態を説明するための概念図
【図20】DAF電子銃の電子ビームが水平偏向されて
いる状態を説明するための概念図
【図21】DAF電子銃のダイナミック電圧とスポット
形状との関係を示す図
【符号の説明】
1 カラー受像管 2 セルフコンバージング偏向ヨーク 3 インライン電子銃 4 蛍光面 5 シャドウマスク 12a〜12c,92a〜92c 陰極 13,93 制御電極 15,95 加速電極 17 第1補助電極 19 第2補助電極 21,97 第1集束電極 24,100 第2集束電極 29,105 最終加速電極
フロントページの続き (72)発明者 上田 康之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C041 AA03 AA12 AA14 AC04 AC35 AD03 AE01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光面を有する受像管と、 複数の電子ビームを前記受像管の前記蛍光面に向かって
    出射する電子銃と、 前記電子銃により出射された電子ビームを偏向するとと
    もにセルフコンバーゼンスを行う偏向磁界を発生する偏
    向手段とを備え、 前記電子銃は、電子ビームの偏向角度に応じて電子ビー
    ムの垂直方向への発散作用および水平方向への集束作用
    を動的に変化させるとともに、前記蛍光面の中心部を除
    いて垂直方向における電子ビームの焦点が前記蛍光面の
    後方に位置しかつ前記蛍光面上に水平方向における電子
    ビームの焦点が前記蛍光面上に位置するように電子ビー
    ムを集束させることを特徴とする受像管装置。
  2. 【請求項2】 前記電子銃は、前記蛍光面上に形成され
    る電子ビームのスポットの水平径dhと垂直径dvとの
    比dh/dvが、前記蛍光面の両端部において1以上に
    なるように電子ビームを集束させることを特徴とする請
    求項1記載の受像管装置。
  3. 【請求項3】 前記電子銃は、前記蛍光面上に形成され
    る電子ビームのスポットの水平径dhと垂直径dvとの
    比dh/dvが、前記蛍光面の両端部において2以下に
    なるように電子ビームを集束させることを特徴とする請
    求項2記載の受像管装置。
  4. 【請求項4】 前記電子銃は、前記蛍光面上に形成され
    る電子ビームのスポットの水平径dhと垂直径dvとの
    比dh/dvが、前記蛍光面の両端部において1.2以
    上になるように電子ビームを集束させることを特徴とす
    る請求項3記載の受像管装置。
  5. 【請求項5】 前記電子銃は、電子ビームの偏向角度に
    応じて動的に変化するダイナミック電圧の印加により電
    子ビームの偏向角度に応じて電子ビームの垂直方向への
    発散作用および水平方向への集束作用を動的に変化させ
    る軸非対称レンズ電界を形成する第1および第2の集束
    電極を含み、 前記第1および第2の集束電極は、前記蛍光面の中心部
    を除いて垂直方向における電子ビームの焦点が前記蛍光
    面の後方に位置しかつ水平方向における電子ビームの焦
    点が前記蛍光面上に位置するように前記ダイナミック電
    圧が設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の受像管装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112563094A (zh) * 2020-12-09 2021-03-26 西北核技术研究所 一种抑制无箔二极管中电子束回流的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112563094A (zh) * 2020-12-09 2021-03-26 西北核技术研究所 一种抑制无箔二极管中电子束回流的方法
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