JP2001011804A - 舗装用コンクリート部材および舗装構造 - Google Patents

舗装用コンクリート部材および舗装構造

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JP2001011804A
JP2001011804A JP11181205A JP18120599A JP2001011804A JP 2001011804 A JP2001011804 A JP 2001011804A JP 11181205 A JP11181205 A JP 11181205A JP 18120599 A JP18120599 A JP 18120599A JP 2001011804 A JP2001011804 A JP 2001011804A
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pavement
concrete
surface layer
concrete member
water
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JP11181205A
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Akihiko Karasawa
明彦 唐沢
Shigeo Suda
重雄 須田
Norihiro Esumi
典広 江角
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Taiheiyo Cement Corp
Original Assignee
Taiheiyo Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な排水性能、騒音低減効果、強度を有
し、かつ、低コストにて製造できる舗装用コンクリート
部材を提供することである。また、舗装構造(排水性の
舗装構造)を簡素化でき、総合的な建設コストを低く抑
えることが可能な舗装用コンクリート部材を提供するこ
とである。 【解決手段】 表層部と基部とを具備してなる舗装用コ
ンクリート部材であって、前記表層部はポーラスコンク
リートから構成されてなり、かつ、前記基部は普通コン
クリートから構成されてなる舗装用コンクリート部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、舗装道路
の構築に際して使用(敷設)される舗装用コンクリート
部材、およびそれを用いて得た舗装構造に関するもので
ある。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】我が国では、道路舗装
に対する社会的ニーズとして、車中心の機能性を重視す
る時代が長く続いてきた。しかし、近年になって、よう
やく人間中心の環境や景観性を重視する時代へと移行し
始めた。こうした動きに伴って、「人と環境との調和」
が図られた道路として、昨今、車道を中心に排水性舗装
が急速に普及している。
【0003】ここで、この排水性舗装と、これまで歩道
を中心に広く普及してきた透水性舗装との違いについて
簡単に説明する。まず、排水性舗装についてであるが、
これは、路盤上に密粒アスファルト混合物層やコンクリ
ート板などの厚さの大きな不透水層を設け、更にその上
に排水性を有する表層材を設けたものである。この舗装
では、表層材を経た雨水は側溝や下水道に送り込まれ
る。その効果としては、車両の走行安全性の向上、車両
走行騒音の低減などが挙げられる。但し、表層材のコス
トを含め、材料費と施工費を合わせた総合的なコスト
は、透水性舗装よりも高く付く。なお、この排水性舗装
は主として車道に適用されるものである。
【0004】これに対して透水性舗装は、路盤上に不透
水層を設けず、透水性を有する表層材を経た雨水が、路
盤、更に路床へと浸透(一部は蒸発散)するよう構成さ
れたものである。効果としては、歩行性の向上、下水道
の負担軽減、地下水涵養などが挙げられる。また、先の
排水性舗装に比べ、表層材のコストを含め、材料費と施
工費を合わせた総合的なコストは低くて済む。なお、こ
の透水性舗装は主として歩道に適用されるものである。
【0005】さて排水性舗装は、表層材の種類、すなわ
ちそれがポーラスアスファルト系のものであるかポーラ
スコンクリート系のもの(耐久性の点からは、ポーラス
アスファルト系のものは熱で目潰れするため、ポーラス
コンクリート系のものの方が好ましい)であるかを問わ
ず、路盤上に厚さの大きな不透水層を設ける必要があ
る。このため、透水性舗装に比べて舗装構造が複雑にな
る。しかも、一般に、表層材として高強度で高価なもの
を使用する必要があるため、上記のとおり総合的な建設
コストは割高となる。
【0006】特に、排水性コンクリートブロック(舗装
用コンクリート部材)を用いて排水性舗装を構成した場
合についても、透水性コンクリートブロックを用いた透
水性舗装に比べて、やはり構造が複雑になる。その上、
表層材となるポーラスな排水性コンクリートブロックに
は高強度が要求される。このため、同コンクリートブロ
ックの製造に際しては、原料に特殊な混和材や混和剤を
添加する必要があり、コストが高く付いている。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、十分な排水性能、騒音低減効果、強度を有し、か
つ、低コストにて製造できる舗装用コンクリート部材を
提供することである。また、舗装構造(排水性の舗装構
造)を簡素化でき、総合的な建設コストを低く抑えるこ
とが可能な舗装用コンクリート部材を提供することであ
る。更に、構造が簡単で、建設コストの低廉な舗装構造
(排水性の舗装構造)を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題は、表層部と基
部とを具備してなる舗装用コンクリート部材であって、
前記表層部はポーラスコンクリートから構成されてな
り、かつ、前記基部は普通コンクリートから構成されて
なることを特徴とする舗装用コンクリート部材によって
解決される。
【0009】また、上記の課題は、この舗装用コンクリ
ート部材を用いた舗装の構造であって、路盤の上に設け
られた不透水層と、この不透水層の上に設けられたクッ
ション層と、このクッション層の上に設けられた、前記
舗装用コンクリート部材からなる表層とを具備してなる
ことを特徴とする舗装構造によって解決される。
【0010】すなわち本発明では、排水性舗装の構築に
用いられる舗装用コンクリート部材を、ポーラスコンク
リートからなる表層部と、普通コンクリートからなる基
部とから構成している。つまり、ポーラスコンクリート
からなる透水性を備えた表層部が、実質上、不透水性の
普通コンクリートからなる基部によって支持・補強され
た格好となっている。このため、全体が単にポーラスコ
ンクリートだけからなるものに比べて、格段に優れた強
度(曲げ強度や圧縮強度)特性を発揮する。言い換えれ
ば、本発明に係る舗装用コンクリート部材は、表層部を
構成するポーラスコンクリートとして、特殊な混和材や
混和剤が添加された、特別に高強度で、高価なものを使
用する必要はない。したがって、低コストにて製造する
ことができる。しかも、この舗装用コンクリート部材
は、表面側がポーラスな構造であるから、十分な排水性
能、そして騒音低減効果を発揮する。
【0011】また、本発明の舗装用コンクリート部材
は、上述したごとく実質上、不透水性の普通コンクリー
トからなる基部を備える。このため、それを用いて排水
性の舗装を形成する際、路盤上には、あえて特別な不透
水層、すなわち従来のごとく厚さが大きく、その形成に
多大な手間の掛かる不透水層を構成する必要がない。場
合によっては、これを省略することもできる。ゆえに、
舗装構造は簡素化され、この結果、総合的な建設コスト
が低減する。更に詳しく言えば、上記舗装用コンクリー
ト部材を用いて排水性舗装を構築した場合、雨水などは
コンクリート部材間の目地に充填された目地砂を経て、
路盤、そして路床に浸透する。しかしながら、施工当初
でも、この目地砂からの雨水の浸透量は微々たるもので
ある。そして、供用中、目地には泥やゴミが流れ込み、
この目地部分(特に基部間の目地部分)は不透水状態と
なる。したがって、舗装用コンクリート部材の基部が、
従来型の舗装構造における不透水層の役割を果たすよう
になる。これに対して、同舗装用コンクリート部材の表
層部は、従来型の舗装構造における表層材の役割を果た
すことになる。この結果、上述したように、あえて特別
な不透水層を設ける必要がなくなくなり、建設コストが
低減するのである。
【0012】但し、施工当初から路盤や路床への雨水の
浸透を完全に防止したい場合には、路盤上に従来同様の
不透水層を形成してから、舗装用コンクリート部材を敷
設してもよい。そして、このようにあえて不透水層を設
ける場合でも、それは従来のように厚さの大きなもので
なくともよく、例えば、防水シートの敷設や防水材の散
布などによって得られる極めて簡素なもので十分であ
る。
【0013】更に、舗装用コンクリート部材の強度の点
に関して補足する。車道に適用する場合の同舗装用コン
クリート部材の強度規格と試験方法については、「イン
ターロッキングブロック舗装設計施工要領(車道編)<
社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会編
>」にて規定されている。この規格(全体が普通コンク
リートからなるインターロッキングブロックの曲げ強度
規格:4.9N/mm2以上)を満たしていれば、車道
における舗装用コンクリート部材の耐久性には問題がな
いことが判っている。ところで、全体がポーラスコンク
リートから構成された従来の舗装用コンクリート部材に
関して、この強度条件(曲げ強度:4.9N/mm2
上)をクリアしようとすれば、上述したごとく、特殊な
混和材(例えばセメント用ポリマー)や混和剤(例えば
高性能減水剤)の添加が必要不可欠となり、この結果、
コストが増大する。これに対して、本発明のように舗装
用コンクリート部材を、ポーラスコンクリート製の表層
部と、普通コンクリート製の基部とを備えた構成とすれ
ば、後者が前者の強度不足を補うことになる。したがっ
て、表層部を構成するポーラスコンクリートは、ごく平
均的な強度を有していればよく、上記混和材や混和剤の
添加が不要になる。
【0014】なお、上記本発明の舗装用コンクリート部
材について、表層部を構成するポーラスコンクリート
は、連続空隙率が10〜35%、特に15〜25%のも
のであり、かつ、基部を構成する普通コンクリートは、
連続空隙率が10%以下、特に5%以下のものであるこ
とが好ましい(普通コンクリートの連続空隙率について
更に好ましい値は3%以下)。これは次のような理由に
よる。
【0015】これまでの研究によれば、排水性舗装の表
層の透水係数が1×10-2cm/sec以上であれば、
良好な排水性能が得られ、車両の走行安全性が更に高ま
ることが判明している。ちなみに、「排水性舗装技術指
針(案)<社団法人日本道路協会編>」では、排水性ア
スファルト混合物の透水係数の好ましい値を、1×10
-2cm/sec以上としている。そこで、ポーラスコン
クリートからなる部材の場合、透水係数を1×10-2
m/sec以上にするには、連続空隙率を何%以上にす
ればよいかを試験した。すると、連続空隙率は10%以
上であればよいことが判明した。ところで、更にこの連
続空隙率の試験を推し進めたところ、それが35%以上
になると、不具合も目立つようになることが判ってき
た。すなわち。連続空隙率が35%以上となるようにす
るには、原料となる骨材として、最大骨材寸法が20m
m以上のものを使用する必要があり、これが意匠性や強
度、車両走行性などを低下させる。こうした知見から、
表層部を構成するポーラスコンクリートにおける連続空
隙率の好ましい範囲は、10〜35%、特に15〜25
%であるとの結論に到達した。一方、基部を構成する普
通コンクリートについても同様の試験を行った結果、同
基部は表層部に比べて高い強度や不透水性が要求される
ことから、連続空隙率は10%以下、特に5%以下(更
に言えば3%以下)であるのが好ましいことが判明し
た。なお、基部を構成する普通コンクリートにおける連
続空隙率の下限値は特に限定されない。つまり、その連
続空隙率は0%であってもよい。言い換えれば、普通コ
ンクリートの好ましい連続空隙率の範囲は0〜10%、
特に好ましい範囲は0〜5%、最も好ましい範囲は0〜
3%である。
【0016】ここで参考までに、「連続空隙率」の概念
について簡単に説明する。まず、その測定に関してであ
るが、これには「排水性舗装技術指針(案)付録−8
透水性アスファルト混合物の連続空隙率測定方法<社団
法人日本道路協会編>」を、ポーラスコンクリートの連
続空隙率測定に適する形に変更した測定方法を採用し
た。これによると、連続空隙率α(%)は次式によって
算出される。
【0017】α=〔(V0 −V1 )/V0 〕×100 ここに、V0 :試供体の見かけの体積(cm3 ) V1 :骨材と結合材との独立空隙との体積(cm3 )=
(A−C)/γw C:試供体を常温の水中に24時間放置した後の水中重
量(g) A:水中重量を測定した試供体を布に包み、90分間放
置した後の同試供体の重量(g) ※これは「表乾重
量」と呼ばれる。
【0018】 γw :常温の水の密度(≒1.0g/cm3 ) さて、上記本発明の舗装用コンクリート部材において
は、舗装面となるその表面側に溝が形成されてなり、こ
の溝は対向する側端面間にまたがるもの、言い換えれ
ば、対向する側端面同士を連通するものであることが好
ましい。但し、溝は表層部にのみ形成されていてもよ
く、あるいは溝の下方部分が基部側に存在していてもよ
い。つまり、溝は表層部および基部の双方にまたがるよ
う形成することができる。また、溝は、一つの舗装用コ
ンクリート部材に1本だけ形成されていてもよく、ある
いは複数本設けられていてもよい。更に、2本以上の溝
が互いに交差(特に直交)するよう構成されていてもよ
い。なお、舗装用コンクリート部材の表面に溝を形成す
るのが好ましいのは、排水性が一層向上するからであ
る。すなわち、溝の存在によって、舗装用コンクリート
部材表面の水分が、その側端方向に運ばれるので、急速
に排水がなされるようになる。
【0019】次に、上記本発明の舗装用コンクリート部
材における表層部および基部の厚さについてであるが、
表層部の厚さは5〜120mm、特に10〜50mmで
あり、かつ、基部の厚さは5〜120mm、特に50〜
120mmであることが好ましい。これは次のような理
由による。コンクリートブロックなどのコンクリート部
材を用いて舗装を構築する場合、荷重分散効果やコンク
リート部材自身の耐久性の面から、同コンクリート部材
の厚みは、60〜120mmであることが好ましい。そ
の一方で、ポーラスコンクリートから構成される表層部
の厚さは、排水性能や供用開始後の空隙詰まりなどを考
慮すると、5mm以上であることが好ましい。また、普
通コンクリートから構成される基部の厚さも、防水性の
面から5mm以上であることが好ましい。これらを総合
すると、上述したように、表層部厚さの好ましい範囲は
5〜120mmとなり、基部厚さの好ましい範囲は5〜
120mmとなる。更に、排水性能や強度に加えて経済
性をも考慮すると、前者の特に好ましい範囲は10〜5
0mmとなり、他方、後者の特に好ましい範囲は50〜
120mmとなる。
【0020】なお、本発明の舗装用コンクリート部材に
ついて、その形状は何ら限定されるものではない。例え
ば、レンガのような直方体状、いわゆるブロック状であ
ってもよく、また、一般に舗装用コンクリート平板など
と呼ばれている平板状のものであってもよい。更に、側
端面を平滑(平坦)にしても、あるいは、互いに噛み合
った状態で設置できるよう側端面に凹凸を構成してもよ
い。また、側端面を波状面から構成してもよい。更に、
表面(舗装面)を平滑(平坦)にしても、あるいはドー
ム状に構成してもよい。加えて、本発明の舗装用コンク
リート部材の平面形状は、当然のことながら矩形に限定
されるわけではない。それ以外にも、三角形あるいは角
が五つ以上の多角形としてもよく、円形や楕円形とする
こともできる。
【0021】舗装用コンクリート部材の寸法、特に平面
寸法に関しても、何ら制限されるものではない。しか
し、その平面寸法が、あまりに小さすぎる場合や、逆に
あまりに大きすぎる場合には、加工精度や強度、施工
(敷設)効率が低下したり、長期供用により表面に不陸
が生じたりする。よって、一応好ましい範囲は存在す
る。具体的には、平面寸法が、縦横共に50〜600m
m程度の矩形内に収まるようなものであることが好まし
い。更に好ましい平面寸法の範囲は、縦横共に90〜3
00mm程度の矩形内に収まるようなものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下で本発明の第1実施形態とし
て説明する舗装用コンクリート部材は、表層部と基部と
を具備したブロック状のものであって、このうち表層部
はポーラスコンクリートから、一方、基部は普通コンク
リートから構成されてなることを特徴とする。そして、
本実施形態では、表層部を構成するポーラスコンクリー
トとして連続空隙率が10〜35%、特に15〜25%
のものを、また、基部を構成する普通コンクリートとし
て連続空隙率が0〜10%、特に0〜3%のものを使用
している。加えて、表層部の厚さを5〜120mm、特
に10〜50mmに、他方、基部の厚さを5〜120m
m、特に50〜120mmとしている。
【0023】また、以下で本発明の一実施形態として説
明する舗装構造は、上記舗装用コンクリート部材を用い
て得たものであって、既設の路盤の上に設けられた、厚
さの小さな不透水層(防水層)と、この不透水層の上に
設けられたクッション層と、このクッション層の上に設
けられた、上記舗装用コンクリート部材を平面的に配列
してなる表層と、を具備してなることを特徴とする。
【0024】次に図1および図2を用い、本発明の実施
形態を更に詳しく説明する。なお、図1は本実施形態に
係る舗装用コンクリート部材の外観図、図2は本実施形
態に係る舗装用コンクリート部材を用いて構築された舗
装構造の一部断面図である。まず、本実施形態に係る舗
装用コンクリート部材について説明する。同舗装用コン
クリート部材は、振動加圧即時脱型法によって製造され
た直方体状(ブロック状)のものであって、図1から判
るように、互いに一体的に接合された二つの部分、すな
わち表層部1および基部2から構成される。
【0025】このうち、表層部1はポーラスコンクリー
トから構成されている。特に、この表層部1を構成する
ポーラスコンクリートは、連続空隙率が10〜35%、
中でも15〜25%のものである。また、表層部1の厚
さH1 は5〜120mm、特に10〜50mmである。
ちなみに、表層部1の縦寸法Aは90〜300mm、一
方、同表層部1の横寸法Bは90〜300mmである
(これら縦寸法Aおよび横寸法Bは、後述する基部2に
ついても共通)。
【0026】これに対して、基部2は普通コンクリート
から構成されている。特に、この基部2を構成する普通
コンクリートは、連続空隙率が0〜10%、中でも0〜
3%のものである。また、基部2の厚さH2 は、5〜1
20mm、特に50〜120mmである。次に、本発明
の実施形態に係る舗装構造について説明する。
【0027】本舗装構造は、図2に示すごとく、上記舗
装用コンクリート部材Kを用いて、言い換えれば、この
舗装用コンクリート部材Kを平面的に多数配列して得ら
れたものである。更に詳しく言うと、本舗装構造におい
ては、まず路床10の上に、路盤(正確には、上層路盤
と下層路盤とで構成される)11が設けられている。但
し、この路盤11は、一般的な排水性舗装の路盤と同様
に、交通量区分に応じて各種安定処理材料や粒状材料を
用いて構築される。
【0028】次に、路盤11の上には、厚さの小さな不
透水層(防水層)12が設けられている。ここでは、こ
の不透水層12を、アスファルト系の防水シートを敷設
することにより得ている。但し、防水シートとしては、
アスファルト系のもの以外にも合成樹脂系、合成ゴム系
のものなどを用いることができる。また、防水シートを
敷設するのではなく、防水材を路盤11の上に散布する
ことで、上記不透水層12を形成してもよい。この場合
には、防水材として、アスファルト系、合成樹脂系(例
えば熱硬化性樹脂系)、合成ゴム系、更にはセメント系
のものを使用できる。
【0029】本舗装構造においては、上記不透水層12
の上にクッション層13が設けられている。このクッシ
ョン層13は、不透水層12の上に砂、あるいは、最大
骨材寸法10mm程度までの骨材を所定の厚さに敷きつ
めることによって形成されたものである。そして、この
クッション層13の上には、上述したごとく、表層部1
および基部2からなる舗装用コンクリート部材Kが平面
的に多数配列される。すなわち、クッション層13の上
には、上記舗装用コンクリート部材Kからなる表層14
が設けられている。
【0030】なお、舗装用コンクリート部材K同士は接
触しておらず、例えば数mm〜十数mm程度、離間した
状態で配置されている。すなわち、舗装用コンクリート
部材K同士の間には目地が形成されており、この目地に
は目地砂15が充填されている。更に言えば、上記舗装
構造は車道に適用されたものであるから、その道幅方向
の端部は、側溝などの排水設備(図示せず)に隣接する
ことになる。よって、雨水などは、主として舗装用コン
クリート部材Kの表層部1を経て、舗装の端部から、こ
の排水設備に送り込まれる。
【0031】さて、上述したように本実施形態では、排
水性舗装の構築に用いられる舗装用コンクリート部材
を、ポーラスコンクリートからなる表層部1と、普通コ
ンクリートからなる基部2とから構成している。つま
り、ポーラスコンクリート製の透水性を備えた表層部1
が、実質上、不透水である普通コンクリート製の基部2
によって支持・補強された形態としている。このため、
全体がポーラスコンクリートのみからなる従来品に比べ
て、格段に優れた曲げ強度や圧縮強度を有する。言い換
えれば、本実施形態に係る舗装用コンクリート部材は、
表層部1を構成するポーラスコンクリートとして、特殊
な混和材や混和剤が添加された、特別に高強度で、高価
なものを使用する必要はない。したがって、低コストに
て製造することができる。その上、同舗装用コンクリー
ト部材は、表面側がポーラスな構造であるから、十分な
排水性能および騒音低減効果を発揮する。
【0032】また、本実施形態の舗装用コンクリート部
材を用いて排水性の舗装を構築する場合、路盤11の上
には、厚さが大きく、その形成に多大な手間の掛かる不
透水層を設ける必要がない。すなわち、大掛かりな不透
水層を必要不可欠な構成要素としない。仮に本実施形態
の舗装構造のごとく、あえて不透水層12を設ける場合
でも、それは極めて簡素なものでよい。ゆえに舗装の構
造は簡略化され、この結果、総合的な建設コストが低減
する。
【0033】但し、従来の厚さが大きな不透水層を用い
た場合でも、本実施形態の舗装用コンクリート部材は、
全体がポーラスコンクリートのみからなる従来品に比べ
て低コストであるため、総合的な建設コストは低減す
る。次に、本発明の第2実施形態について、図3および
図4を用いて説明する。但し、図3は本実施形態に係る
舗装用コンクリート部材の平面図、図4は図3における
X−X線での断面図である。なお、本実施形態について
も、その基本的な技術思想は先に説明した第1実施形態
のそれと同じである。よって、以下では第1実施形態と
の相違点を中心に記述する。
【0034】本実施形態に係る舗装用コンクリート部材
は、図3に示すごとく、舗装面となる表面側に溝21,
22が形成されてなることを特徴とする。特に、これら
溝21,22は対向する側端面間にまたがっている。換
言すれば、対向する側端面同士を連通している。更に図
4に示すごとく、溝21,22は、舗装用コンクリート
部材の表層部23および基部24の双方にもまたがる。
なお、溝21,22の幅は3〜20mmであり、また、
溝21,22の深さは側端に近い位置ほど大きくなって
いる。加えて、本実施形態では、舗装用コンクリート部
材の側端面に、所期の目地幅を得るための突起(高さ3
〜20mm)25を複数設けている。更に言うと、本実
施形態では、溝21,22によって区画された領域個々
の面積が20〜800cm2 となるようにしている。
【0035】さて、本実施形態に係る舗装用コンクリー
ト部材は、上記溝21,22の存在によって一層優れた
排水性が得られる。すなわち、雨水などの水分は、溝2
1,22の作用によって、舗装用コンクリート部材の側
端方向に運ばれるので、急速に排水がなされる。次に、
本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明す
る。但し、図5は本実施形態に係る舗装用コンクリート
部材の平面図である。なお、本実施形態についても、そ
の基本的な技術思想は先に説明した第1実施形態のそれ
と同じである。よって、以下では第2実施形態との相違
点を中心に記述する。
【0036】本実施形態に係る舗装用コンクリート部材
も、舗装面となる表面側に溝31,32が形成されてい
る。しかし、それらは平行ではなく、互いに直交するよ
うになっている。そして、こうした構造を採用した場合
にも、上記第2実施形態と同様の効果が奏される他、路
面の景観が更に良好なものとなる。
【0037】
【実施例1】ブロック状コンクリート製品の製造方法と
して最も一般的な振動加圧即時脱型法を用いて、本発明
の第1実施形態に係る舗装用コンクリート部材(インタ
ーロッキングブロック)を製造した。更に詳しくは、ま
ず、ゼロスランプのコンクリートを型枠内に供給し、振
動加圧する。この後、直ちに脱型し、養生することで舗
装用コンクリート部材を得た。ちなみに、コンクリート
を型枠内に供給した後の振動数は4500〜9000r
pm、振動加速度は10〜20G(1G:地表面におけ
る重力加速度)、振動加圧時間は3〜10秒である。養
生条件は室内養生(蒸気養生あるいは噴霧養生などでも
可)である。舗装用コンクリート部材の表層部を構成す
る原料およびその配合割合は以下の表1に、また、その
基部を構成する原料およびその配合割合は以下の表2に
示すとおりである。
【0038】 −表1− 原料 普通ポルトランドセメント 水 粗骨材(7号砕石) 顔料 配合割合 400 92 2079 20 −表2− 原料 普通ポルトランドセメント 水 粗骨材(6号砕石) 配合割合 400 115 505 −表2(続き)− 原料 粗骨材(7号砕石) 細骨材(砕砂) 配合割合 501 995 ※配合割合とは各原料の単位容積当たりの質量で、単位
はkg/m3 である。また、上表には列挙していない
が、各種混和材・混和剤も少量使用している。参考まで
に言うと、表1に挙げた顔料の配合割合は、通常、セメ
ントの配合割合の5%程度に設定される。
【0039】上記振動加圧即時脱型法により得られた、
本実施例に係る舗装用コンクリート部材の各寸法は次の
とおりである。 縦寸法A:100mm 横寸法B:200mm 表層部厚さH1 :15mm 基部厚さH2 :65mm
【0040】
【実施例2】平板状コンクリート製品の製造方法として
最も一般的な流し込み法を用い、本発明の第1実施形態
に係る舗装用コンクリート部材(舗装用コンクリート平
板)を製造した。更に詳しくは、まず、流動性を有する
コンクリートを型枠内に振動を与えながら供給し、この
状態で養生する。そして、コンクリートの硬化後に脱型
し、舗装用コンクリート部材を得た。ちなみに、コンク
リートを型枠内に供給する際の振動数は1000〜90
00rpm、養生条件は室内養生(蒸気養生あるいは噴
霧養生などでも可)である。舗装用コンクリート部材の
表層部を構成する原料およびその配合割合は以下の表3
に、また、基部を構成する原料およびその配合割合は以
下の表4に示すとおりである。
【0041】 −表3− 原料 普通ポルトランドセメント 水 粗骨材(7号砕石) 配合割合 400 100 1970 −表3(続き)− 原料 細骨材(砕砂) 顔料 配合割合 126 20 −表4− 原料 普通ポルトランドセメント 水 粗骨材(6号砕石) 配合割合 400 125 492 −表4(続き)− 原料 粗骨材(7号砕石) 細骨材(砕砂) 配合割合 487 1000 ※配合割合とは各原料の単位容積当たりの質量で、単位
はkg/m3 である。また、上表には列挙していない
が、各種混和材・混和剤を少量使用している。更に表3
に挙げた顔料の配合割合は、通常、セメントの配合割合
の5%程度に設定される。
【0042】上記流し込み法により得られた、本実施例
に係る舗装用コンクリート部材の各寸法は次のとおりで
ある。 縦寸法A:300mm 横寸法D:300mm 表層部厚さH1 :15mm 基部厚さH2 :45mm さて、上記実施例1および実施例2の舗装用コンクリー
ト部材について、あるいは、それらを用いて構築された
舗装構造について次の〜の試験を行った。結果は以
下に示すとおりである。なお、比較例についても同様の
試験を行ったので、その結果も併せて示す。 曲げ強度試験(実施例1のインターロッキングブロッ
クに関して) 試験方法:JIPEA(社団法人インターロッキングブ
ロック舗装技術協会)で規定の曲げ強度試験方法(中央
載荷方法/スパン:16cm) ※比較例1は、実施例1とサイズが同じで、全体が普通
コンクリートからなるもの、比較例2は、実施例1とサ
イズが同じで、全体がポーラスコンクリートからなるも
の(特殊な混和材・混和剤を使用していないもの)であ
る。曲げ強度の規格値(全体が普通コンクリートからな
るインターロッキングブロックについて)は、4.90
(N/mm2 )以上である。
【0043】評価:実施例1のインターロッキングブロ
ックは、全体がポーラスコンクリートからなる比較例2
と比べてはもちろんのこと、全体が普通コンクリートか
らなる比較例1と比べも十分な曲げ強度を有している。 曲げ試験(実施例2の舗装用コンクリート平板に関し
て) 試験方法:JIS A5304「舗装用コンクリート平
板」で規定の曲げ試験方法(中央載荷方法/スパン:2
4cm) ※比較例3は、実施例2とサイズが同じで、全体が普通
コンクリートからなるもの、比較例4は、実施例2とサ
イズが同じで、全体がポーラスコンクリートからなるも
の(特殊な混和材・混和剤を使用していないもの)であ
る。曲げ強さ荷重の規格値は12.0(kN)以上であ
る。
【0044】評価:実施例2の舗装用コンクリート平板
は、全体がポーラスコンクリートからなる比較例4と比
べてはもちろんのこと、全体が普通コンクリートからな
る比較例3と比べも十分な曲げ強度を有している。 透水試験(舗装構造に関して) 試験方法:「排水性舗装技術指針(案)付録−7」にて規定の試験方法(15 sec当たりの透水量を測定) 結果:実施例1 1050.8(ml/15sec) 実施例2 987.6(ml/15sec) 比較例5 1132.1(ml/15sec) ※比較例5は排水性アスファルト舗装(13mmトッ
プ)に関するものである。また、上記試験は供用開始直
後の状況を想定して実施した。ちなみに、排水性舗装の
出来形における透水量の合格判定値は、900.0(m
l/15sec)以上である。
【0045】評価:本実施例のものは、透水量の合格判
定値をクリアしているのはもちろんのこと、排水性アス
ファルト舗装と同等の透水性能を有している。 騒音測定試験(舗装構造に関して) 試験方法:「日本自動車タイヤ協会規格(JASO C 606)」にて規定 の試験方法 結果:実施例1 62.8dB(乾燥) 65.1dB(湿潤) 実施例2 63.2dB(乾燥) 65.3dB(湿潤) 比較例6 64.8dB(乾燥) 64.4dB(湿潤) ※比較例6は排水性アスファルト舗装(13mmトッ
プ)に関するものである。また、試験は供用開始直後の
状況(乾燥および湿潤)を想定して実施した。車両速度
は時速50kmである。
【0046】評価:本実施例のものは、排水性アスファ
ルト舗装と同等か、それ以上の騒音低減効果を有してい
る。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、十分な排水性能、騒音
低減効果、強度を有し、かつ、製造コストが低廉な舗装
用コンクリート部材を提供できる。また、舗装構造(排
水性の舗装構造)を簡素化でき、総合的な建設コストを
低く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る舗装用コンクリー
ト部材の外観図
【図2】本発明の第1実施形態に係る舗装用コンクリー
ト部材を用いて構築された舗装構造の一部断面図
【図3】本発明の第2実施形態に係る舗装用コンクリー
ト部材の平面図
【図4】図3におけるX−X線での断面図
【図5】本発明の第3実施形態に係る舗装用コンクリー
ト部材の平面図
【符号の説明】
K 舗装用コンクリート部材 1 舗装用コンクリート部材の表層部 2 舗装用コンクリート部材の基部 10 路床 11 路盤 12 不透水層(防水層) 13 クッション層 14 表層 15 目地砂 特許出願人 太平洋セメント株式会社代 理 人
宇 高 克 己代 理 人 逢 坂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江角 典広 東京都文京区本郷1−28−23 株式会社ク レオ内 Fターム(参考) 2D051 AA03 AF01 AF03 AH03 DA02 DA13 DA18 DB02 DC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層部と基部とを具備してなる舗装用コ
    ンクリート部材であって、 前記表層部はポーラスコンクリートから構成されてな
    り、かつ、前記基部は普通コンクリートから構成されて
    なることを特徴とする舗装用コンクリート部材。
  2. 【請求項2】 表層部を構成するポーラスコンクリート
    は、連続空隙率が10〜35%のものであり、かつ、基
    部を構成する普通コンクリートは、連続空隙率が10%
    以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の舗
    装用コンクリート部材。
  3. 【請求項3】 舗装面となる表面側には溝が形成されて
    なると共に、この溝は対向する側端面間にまたがるもの
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    舗装用コンクリート部材。
  4. 【請求項4】 表層部の厚さは5〜120mmであり、
    かつ、基部の厚さは5〜120mmであることを特徴と
    する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の舗装用コン
    クリート部材。
  5. 【請求項5】 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の舗装用コンクリート部材を用いた舗装の構造であっ
    て、 路盤の上に設けられた不透水層と、 この不透水層の上に設けられたクッション層と、 このクッション層の上に設けられた、前記舗装用コンク
    リート部材からなる表層とを具備してなることを特徴と
    する舗装構造。
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