JP2001011049A - 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法 - Google Patents
2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−3−オンを高純度、高収率で安全、経済的に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rはアルキル基または置換されていてもよいフ
ェニル基を表す。)で示される置換スルホニルシアニド
とシクロペンタジエンを連続的に混合させ、得られた反
応液を、水または水と炭化水素溶媒とからなる混合溶媒
中に、反応系のpHが4〜7の条件下で連続的に添加し
て反応させることを特徴とする2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法。
−エン−3−オンを高純度、高収率で安全、経済的に製
造する方法を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rはアルキル基または置換されていてもよいフ
ェニル基を表す。)で示される置換スルホニルシアニド
とシクロペンタジエンを連続的に混合させ、得られた反
応液を、水または水と炭化水素溶媒とからなる混合溶媒
中に、反応系のpHが4〜7の条件下で連続的に添加し
て反応させることを特徴とする2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗ウイルス剤などの医
薬品として有用なカルボサイクリックヌクレオシド類を
合成するための中間体である2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オン(以下、ABHと
略称することがある)の製造方法に関する。
薬品として有用なカルボサイクリックヌクレオシド類を
合成するための中間体である2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オン(以下、ABHと
略称することがある)の製造方法に関する。
【0002】カルボサイクリックヌクレオシドは、ヌク
レオシドのフラノース環を構成する酸素原子をメチレン
基で置換した構造を持ち、その構造がフラノース環を有
する天然のヌクレオシドとよく類似しているため、生体
内の各種の酵素の基質や阻害剤として働き得る。また、
カルボサイクリックヌクレオシドはグリコシド結合を持
たないため、ヌクレオシドホスホリラーゼやヒドラーゼ
等による開裂を受けず、代謝経路がフラノース環を有す
る天然のヌクレオシドとは異なるため、多彩な生理活性
を示す。例えばアリステロミシン(Aristerom
ycin)として知られるカルボサイクリックアデノシ
ンは、カルボサイクリックヌクレオシドの1種であって
Streptomyces citricolorの代
謝物であり、これは、フラノース環を有するヌクレオシ
ドとは異なり、強い細胞毒性を示すことで注目されてい
る。また、カルボサイクリックヌクレオシドの1種であ
る、カルボサイクリック−2,3−ジデオキシ−2,3
−ジデヒドログアノシンが抗HIV剤として開発されつ
つある(R.Vince et al.、Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,第15
6巻,1046頁(1988年)参照)。
レオシドのフラノース環を構成する酸素原子をメチレン
基で置換した構造を持ち、その構造がフラノース環を有
する天然のヌクレオシドとよく類似しているため、生体
内の各種の酵素の基質や阻害剤として働き得る。また、
カルボサイクリックヌクレオシドはグリコシド結合を持
たないため、ヌクレオシドホスホリラーゼやヒドラーゼ
等による開裂を受けず、代謝経路がフラノース環を有す
る天然のヌクレオシドとは異なるため、多彩な生理活性
を示す。例えばアリステロミシン(Aristerom
ycin)として知られるカルボサイクリックアデノシ
ンは、カルボサイクリックヌクレオシドの1種であって
Streptomyces citricolorの代
謝物であり、これは、フラノース環を有するヌクレオシ
ドとは異なり、強い細胞毒性を示すことで注目されてい
る。また、カルボサイクリックヌクレオシドの1種であ
る、カルボサイクリック−2,3−ジデオキシ−2,3
−ジデヒドログアノシンが抗HIV剤として開発されつ
つある(R.Vince et al.、Bioche
m.Biophys.Res.Commun.,第15
6巻,1046頁(1988年)参照)。
【0003】ABHは、これらのカルボサイクリックヌ
クレオシドのカルボサイクリック部である、2α,3α
−ジヒドロキシ−4β−アミノシクロペンタノン−1β
−メタノール、あるいはシス−4−アミノシクロペント
−2−エン−1β−メタノールなどを純化学的に合成す
るための中間体として、最も頻繁に利用されている化合
物である(R.Vince et al.,J.Or
g.Chem.,第43巻,2311頁(1978
年);B.L.Kamm et al.,J.Org.
Chem.,第46巻,3268頁(1981年);
W.C.Faith et al.,J.Org.Ch
em.,第50巻,1983頁(1985年)など参
照)。
クレオシドのカルボサイクリック部である、2α,3α
−ジヒドロキシ−4β−アミノシクロペンタノン−1β
−メタノール、あるいはシス−4−アミノシクロペント
−2−エン−1β−メタノールなどを純化学的に合成す
るための中間体として、最も頻繁に利用されている化合
物である(R.Vince et al.,J.Or
g.Chem.,第43巻,2311頁(1978
年);B.L.Kamm et al.,J.Org.
Chem.,第46巻,3268頁(1981年);
W.C.Faith et al.,J.Org.Ch
em.,第50巻,1983頁(1985年)など参
照)。
【0004】
【従来の技術】ABHの製造方法としては、シクロペン
タジエンとp−トルエンスルホニルシアニドを環化付加
反応させて3−p−トルエンスルホニル−2−アザビシ
クロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを中間体と
して得、次いで酢酸を用いて該中間体の3位のトルエン
スルホニル基を除去する方法(J.C.Jagt et
al.,J.Org.Chem.,第39巻,564頁
(1974年);R.Vince et al.,J.
Org.Chem.,第43巻,2311頁(1978
年)など参照)が知られている。しかしながら、上述の
方法には、p−トルエンスルホニルシアニドに対し化
学量論的には等モルでよいシクロペンタジエンを15〜
35倍モルと大過剰に使用しなければならない;シク
ロペンタジエンとp−トルエンスルホニルシアニドの反
応により得られた3−p−トルエンスルホニル−2−ア
ザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを濃
縮して塊状で取り出し、粉末に粉砕してから酢酸と反応
させる必要がある;3−p−トルエンスルホニル−2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン
を酢酸で処理して3位のトルエンスルホニル基を除去す
る際に5〜23倍モルと大過剰の酢酸を一気に加えなけ
ればならず、急激な発熱反応をコントロールしなければ
ならない;前記したの発熱反応がコントロールでき
ず反応温度が上昇しすぎた場合には、目的物であるAB
Hが全く得られないか、あるいは、非常に低収率でしか
得られない;前記したの反応時に固体状副生成物が
生成して撹拌が円滑に行われず、反応をスムーズに進行
させることができない;処理すべき廃水が多量に発生
し、その処理負担が大きい;などの数多くの問題点が挙
げられ、経済性および安全性の面から工業的に満足し得
る製造方法とは言い難い。
タジエンとp−トルエンスルホニルシアニドを環化付加
反応させて3−p−トルエンスルホニル−2−アザビシ
クロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを中間体と
して得、次いで酢酸を用いて該中間体の3位のトルエン
スルホニル基を除去する方法(J.C.Jagt et
al.,J.Org.Chem.,第39巻,564頁
(1974年);R.Vince et al.,J.
Org.Chem.,第43巻,2311頁(1978
年)など参照)が知られている。しかしながら、上述の
方法には、p−トルエンスルホニルシアニドに対し化
学量論的には等モルでよいシクロペンタジエンを15〜
35倍モルと大過剰に使用しなければならない;シク
ロペンタジエンとp−トルエンスルホニルシアニドの反
応により得られた3−p−トルエンスルホニル−2−ア
ザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを濃
縮して塊状で取り出し、粉末に粉砕してから酢酸と反応
させる必要がある;3−p−トルエンスルホニル−2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン
を酢酸で処理して3位のトルエンスルホニル基を除去す
る際に5〜23倍モルと大過剰の酢酸を一気に加えなけ
ればならず、急激な発熱反応をコントロールしなければ
ならない;前記したの発熱反応がコントロールでき
ず反応温度が上昇しすぎた場合には、目的物であるAB
Hが全く得られないか、あるいは、非常に低収率でしか
得られない;前記したの反応時に固体状副生成物が
生成して撹拌が円滑に行われず、反応をスムーズに進行
させることができない;処理すべき廃水が多量に発生
し、その処理負担が大きい;などの数多くの問題点が挙
げられ、経済性および安全性の面から工業的に満足し得
る製造方法とは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下に、
本発明者らは、p−トルエンスルホニルシアニドなどの
スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを反応させ
て、ABHを高純度、高収率で、低減された試薬および
溶媒の使用量下に、安全に、生産性良く製造し得る方法
を開発すべく検討を続けてきた。そして、 (i)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを炭化
水素系溶媒中で縮合させる第一工程、その後に水で処理
する第二工程を経由するABHの製造方法(特開平5−
331139号公報); (ii)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを、水
または水−炭化水素系混合溶媒中で反応させてABHを
製造する方法(特開平5−331140号公報); (iii)ベンゼンスルホニルシアニドとシクロペンタジ
エンを、水と水溶性溶媒との混合溶媒中で、pH3〜4
の条件下に反応させてABHを製造する方法(特開平8
−27110号公報);並びに (iv)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを炭化
水素溶媒中で反応させる第一工程を行って3−スルホニ
ル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジ
エンを中間体として合成し、該中間体の溶液を水と水溶
性溶媒との混合溶媒中にpH3〜7の条件下に添加して
該中間体を加水分解してABHを製造する方法(特開平
9−165372号公報);を新たに見出して先に出願
した。
本発明者らは、p−トルエンスルホニルシアニドなどの
スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを反応させ
て、ABHを高純度、高収率で、低減された試薬および
溶媒の使用量下に、安全に、生産性良く製造し得る方法
を開発すべく検討を続けてきた。そして、 (i)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを炭化
水素系溶媒中で縮合させる第一工程、その後に水で処理
する第二工程を経由するABHの製造方法(特開平5−
331139号公報); (ii)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを、水
または水−炭化水素系混合溶媒中で反応させてABHを
製造する方法(特開平5−331140号公報); (iii)ベンゼンスルホニルシアニドとシクロペンタジ
エンを、水と水溶性溶媒との混合溶媒中で、pH3〜4
の条件下に反応させてABHを製造する方法(特開平8
−27110号公報);並びに (iv)スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを炭化
水素溶媒中で反応させる第一工程を行って3−スルホニ
ル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジ
エンを中間体として合成し、該中間体の溶液を水と水溶
性溶媒との混合溶媒中にpH3〜7の条件下に添加して
該中間体を加水分解してABHを製造する方法(特開平
9−165372号公報);を新たに見出して先に出願
した。
【0006】上記(i)〜(iv)の製造方法は、J.
C.Jagtらによる従来法[すなわちシクロペンタジ
エンとp−トルエンスルホニルシアニドとの反応により
製造した3−p−トルエンスルホニル−2−アザビシク
ロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンに酢酸を作用さ
せてABHを製造する方法]と比べた場合に、 (a)スルホニルシアニドに対してシクロペンタジエン
を大過剰量で使用する必要がない; (b)中間体として生成した3−p−トルエンスルホニ
ル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジ
エンを濃縮して取り出し、粉末に粉砕してから次工程を
行うという繁雑な手間を要しない; (c)急激な発熱反応が生じないため反応のコントロー
ルが容易であり、安全性に優れる; (d)目的とするABHの収率が高い; (e)反応時に撹拌などの妨げとなる固体副生物の生成
が比較的少ない; (f)処理すべき廃水量が少なく、廃水処理負担が軽減
される;などの種々の長所を備えている。
C.Jagtらによる従来法[すなわちシクロペンタジ
エンとp−トルエンスルホニルシアニドとの反応により
製造した3−p−トルエンスルホニル−2−アザビシク
ロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンに酢酸を作用さ
せてABHを製造する方法]と比べた場合に、 (a)スルホニルシアニドに対してシクロペンタジエン
を大過剰量で使用する必要がない; (b)中間体として生成した3−p−トルエンスルホニ
ル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジ
エンを濃縮して取り出し、粉末に粉砕してから次工程を
行うという繁雑な手間を要しない; (c)急激な発熱反応が生じないため反応のコントロー
ルが容易であり、安全性に優れる; (d)目的とするABHの収率が高い; (e)反応時に撹拌などの妨げとなる固体副生物の生成
が比較的少ない; (f)処理すべき廃水量が少なく、廃水処理負担が軽減
される;などの種々の長所を備えている。
【0007】上記(i)および上記(iv)の方法は、い
ずれも、第一工程でスルホニルシアニドとシクロペンタ
ジエンを炭化水素系溶媒中で反応させて3−スルホニル
−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエ
ンを中間体として合成した後に、第二工程で該中間体の
溶液を、(i)の方法では水、(iv)の方法では水と水
溶性溶媒との混合溶媒中で処理してABHを製造すると
いう二段の工程を経るものである。しかし、これらの方
法では、比較的不安定な化合物である3−スルホニル−
2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン
を取り扱う必要があり、かかる点で改良の余地がある。
ずれも、第一工程でスルホニルシアニドとシクロペンタ
ジエンを炭化水素系溶媒中で反応させて3−スルホニル
−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエ
ンを中間体として合成した後に、第二工程で該中間体の
溶液を、(i)の方法では水、(iv)の方法では水と水
溶性溶媒との混合溶媒中で処理してABHを製造すると
いう二段の工程を経るものである。しかし、これらの方
法では、比較的不安定な化合物である3−スルホニル−
2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン
を取り扱う必要があり、かかる点で改良の余地がある。
【0008】一方、上記(ii)および(iii)の方法
は、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンとを、水
または水と炭化水素系溶媒との混合溶媒中、或いは水と
水溶性溶媒との混合溶媒中で、一段で反応させてABH
を直接製造する方法であり、かかる点で、二段の工程を
経る上記(i)および(iv)の方法に比べて工程が簡略
であり、工業的に有利な方法であるということができ
る。しかし、上記(ii)の方法では、スルホニルシアニ
ドとシクロペンタジエンとの反応時にpH調整を行って
おらず、そのため系中に存在するスルホニルシアニドや
反応によって生ずるスルフィン酸(ベンゼンスルフィン
酸など)によって反応系のpHは3以下(一般にはpH
2〜3)となっていることが判明した。そしてこの場合
は、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンの反応に
より生ずるスルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)
の2量化物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)などの
固体状物が反応系に析出してくるのを完全に防止するの
は困難であり、そのために析出した固体状物の濾過工程
が必要である。そして、この固体状物の析出を完全に防
止しようとすると、水や炭化水素系溶媒を多量に用いな
ければならず、廃水処理負担が増すことになり、かかる
点で改良の余地があることが判明した。また、上記(ii
i)の方法ではpH3〜4の条件下にスルホニルシアニ
ドとシクロペンタジエンの反応を行っているが、溶媒と
して水と水溶性溶媒との混合溶媒を用いるためか、やは
りスルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)の2量化
物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)などの析出を完
全に防止するのが困難である。また、上記(iii)の方
法は、上記(ii)の方法に比べて、ABHの収率が低い
ものとなっている。
は、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンとを、水
または水と炭化水素系溶媒との混合溶媒中、或いは水と
水溶性溶媒との混合溶媒中で、一段で反応させてABH
を直接製造する方法であり、かかる点で、二段の工程を
経る上記(i)および(iv)の方法に比べて工程が簡略
であり、工業的に有利な方法であるということができ
る。しかし、上記(ii)の方法では、スルホニルシアニ
ドとシクロペンタジエンとの反応時にpH調整を行って
おらず、そのため系中に存在するスルホニルシアニドや
反応によって生ずるスルフィン酸(ベンゼンスルフィン
酸など)によって反応系のpHは3以下(一般にはpH
2〜3)となっていることが判明した。そしてこの場合
は、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンの反応に
より生ずるスルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)
の2量化物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)などの
固体状物が反応系に析出してくるのを完全に防止するの
は困難であり、そのために析出した固体状物の濾過工程
が必要である。そして、この固体状物の析出を完全に防
止しようとすると、水や炭化水素系溶媒を多量に用いな
ければならず、廃水処理負担が増すことになり、かかる
点で改良の余地があることが判明した。また、上記(ii
i)の方法ではpH3〜4の条件下にスルホニルシアニ
ドとシクロペンタジエンの反応を行っているが、溶媒と
して水と水溶性溶媒との混合溶媒を用いるためか、やは
りスルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)の2量化
物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)などの析出を完
全に防止するのが困難である。また、上記(iii)の方
法は、上記(ii)の方法に比べて、ABHの収率が低い
ものとなっている。
【0009】しかして、本発明の目的は、置換スルホニ
ルシアニドとシクロペンタジエンとの反応によりABH
を合成する際に見られる上記課題を解決し、ABHを高
純度、高収率で安全、経済的に合成する手段を提供する
ことにある。
ルシアニドとシクロペンタジエンとの反応によりABH
を合成する際に見られる上記課題を解決し、ABHを高
純度、高収率で安全、経済的に合成する手段を提供する
ことにある。
【0010】本発明者らは、高純度のABHを工業的な
規模で円滑に製造し得る改良法を開発すべく、更に検討
を重ねた。その結果、上記(i)および(iv)の方法を
改良し、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを連
続的に混合して3−スルホニル−2−アザビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを中間体として調
製しながら、この反応液を水または水と炭化水素溶媒と
の混合溶媒中に連続的に滴下し、かつ反応系にアルカリ
を添加してpHを常に4〜7の範囲に保って反応を行う
と、不安定な3−スルホニル−2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプタ−2,5−ジエンの存在時間を短くし
て、目的とするABHを、高純度および高収率で、工業
的に安全に、生産性良く製造できることを見出した。ま
た、本発明者らは、反応系のpHを4〜7の範囲に調節
して上記反応を行う場合は、水や炭化水素系溶媒の使用
量を低減しても、スルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸
など)の2量化物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)
の固体状物の析出なく反応を行うことができ、反応時に
撹拌不能などのトラブルが全く生じず、反応終了液の濾
過工程を省略できることを見出し、それらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
規模で円滑に製造し得る改良法を開発すべく、更に検討
を重ねた。その結果、上記(i)および(iv)の方法を
改良し、スルホニルシアニドとシクロペンタジエンを連
続的に混合して3−スルホニル−2−アザビシクロ
[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを中間体として調
製しながら、この反応液を水または水と炭化水素溶媒と
の混合溶媒中に連続的に滴下し、かつ反応系にアルカリ
を添加してpHを常に4〜7の範囲に保って反応を行う
と、不安定な3−スルホニル−2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプタ−2,5−ジエンの存在時間を短くし
て、目的とするABHを、高純度および高収率で、工業
的に安全に、生産性良く製造できることを見出した。ま
た、本発明者らは、反応系のpHを4〜7の範囲に調節
して上記反応を行う場合は、水や炭化水素系溶媒の使用
量を低減しても、スルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸
など)の2量化物(ベンゼンスルフィニルスルホン等)
の固体状物の析出なく反応を行うことができ、反応時に
撹拌不能などのトラブルが全く生じず、反応終了液の濾
過工程を省略できることを見出し、それらの知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、一
般式(I)
般式(I)
【0012】
【化2】
【0013】(式中、Rはアルキル基または置換されて
いてもよいフェニル基を表す。)で示される置換スルホ
ニルシアニドとシクロペンタジエンを連続的に混合さ
せ、得られた反応液を、水または水と炭化水素溶媒とか
らなる混合溶媒中に、反応系のpHが4〜7の条件下で
連続的に添加して反応させることを特徴とする2−アザ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの
製造方法である。
いてもよいフェニル基を表す。)で示される置換スルホ
ニルシアニドとシクロペンタジエンを連続的に混合さ
せ、得られた反応液を、水または水と炭化水素溶媒とか
らなる混合溶媒中に、反応系のpHが4〜7の条件下で
連続的に添加して反応させることを特徴とする2−アザ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの
製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用する一般式(I)で
示される置換スルホニルシアニド[以下「スルホニルシ
アニド(I)」という]において、式中のRはアルキル
基、あるいは置換基を有していないかまたは置換基を有
するフェニル基を表す。上記のアルキル基としては、炭
素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基またはt−ブチル基が好ましい。また、上
記のフェニル基としては、下記の式(II)
示される置換スルホニルシアニド[以下「スルホニルシ
アニド(I)」という]において、式中のRはアルキル
基、あるいは置換基を有していないかまたは置換基を有
するフェニル基を表す。上記のアルキル基としては、炭
素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基またはt−ブチル基が好ましい。また、上
記のフェニル基としては、下記の式(II)
【0015】
【化3】
【0016】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立し
て、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表
す。)で示される非置換フェニル基または置換フェニル
基が好ましい。
て、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表
す。)で示される非置換フェニル基または置換フェニル
基が好ましい。
【0017】式(II)において、R1およびR2が表す
アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ま
しく、メチル基またはエチル基がより好ましい。また、
式(II)において、R1およびR2が表すハロゲン原子
としては、塩素原子、臭素原子またはフッ素原子が好ま
しい。
アルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ま
しく、メチル基またはエチル基がより好ましい。また、
式(II)において、R1およびR2が表すハロゲン原子
としては、塩素原子、臭素原子またはフッ素原子が好ま
しい。
【0018】上記の基Rとしては、特にメチル基、エチ
ル基、フェニル基またはp−トリル基が好ましい。した
がって、本発明では、スルホニルシアニド(I)とし
て、メタンスルホニルシアニド、エタンスルホニルシア
ニド、ベンゼンスルホニルシアニド、p−トルエンスル
ホニルシアニドまたはそれらの2種以上の混合物がより
好ましく用いられ、ベンゼンスルホニルシアニド、p−
トルエンスルホニルシアニドまたはそれらの混合物が一
層好ましく用いられる。
ル基、フェニル基またはp−トリル基が好ましい。した
がって、本発明では、スルホニルシアニド(I)とし
て、メタンスルホニルシアニド、エタンスルホニルシア
ニド、ベンゼンスルホニルシアニド、p−トルエンスル
ホニルシアニドまたはそれらの2種以上の混合物がより
好ましく用いられ、ベンゼンスルホニルシアニド、p−
トルエンスルホニルシアニドまたはそれらの混合物が一
層好ましく用いられる。
【0019】本発明で用いるスルホニルシアニド(I)
の製法は何ら制限されず、いずれの方法で製造されたも
のであってもよい。また、スルホニルシアニド(I)の
純度も特に制限されないが、目的とするABHを円滑に
得ることができる点から、一般に純度が70%以上のも
のを用いることが好ましい。
の製法は何ら制限されず、いずれの方法で製造されたも
のであってもよい。また、スルホニルシアニド(I)の
純度も特に制限されないが、目的とするABHを円滑に
得ることができる点から、一般に純度が70%以上のも
のを用いることが好ましい。
【0020】また、本発明で用いるシクロペンタジエン
の製法も特に制限されず、いずれの方法で製造されたも
のであってもよい。さらに、シクロペンタジエンの純度
も特に制限されない。そのうちでも、ジシクロペンタジ
エンを熱分解して発生させたシクロペンタジエンを直ち
に用いることが、不純物の含有量などが少なく、ABH
を製造した後の後処理が容易である点から好ましい。
の製法も特に制限されず、いずれの方法で製造されたも
のであってもよい。さらに、シクロペンタジエンの純度
も特に制限されない。そのうちでも、ジシクロペンタジ
エンを熱分解して発生させたシクロペンタジエンを直ち
に用いることが、不純物の含有量などが少なく、ABH
を製造した後の後処理が容易である点から好ましい。
【0021】本発明の方法においては、スルホニルシア
ニド(I)1モルに対して、シクロペンタジエンを1モ
ル以上の割合で用いることが好ましく、特に経済性およ
び後処理の容易性の点から、スルホニルシアニド(I)
1モルに対してシクロペンタジエンを1〜5モルの割合
で用いることがより好ましい。
ニド(I)1モルに対して、シクロペンタジエンを1モ
ル以上の割合で用いることが好ましく、特に経済性およ
び後処理の容易性の点から、スルホニルシアニド(I)
1モルに対してシクロペンタジエンを1〜5モルの割合
で用いることがより好ましい。
【0022】スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンを混合させる際、溶媒の共存は必須ではないが、
溶媒を共存させてもよい。かかる溶媒としては、スルホ
ニルシアニド(I)とシクロペンタジエンとの環化付加
反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの脂肪族または芳香族炭化水素;塩化メチレン、
クロロホルム、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水
素;アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどのエ
ーテルなどが挙げられる。溶媒を共存させる場合、これ
らの溶媒は単独で使用しても2種類以上を混合して使用
してもよい。また、溶媒の使用量は、通常スルホニルシ
アニド(I)に対し0.1〜20重量倍の範囲であるの
が好ましく、経済性の観点からは0.1〜5重量倍の範
囲で使用することが好ましい。
ジエンを混合させる際、溶媒の共存は必須ではないが、
溶媒を共存させてもよい。かかる溶媒としては、スルホ
ニルシアニド(I)とシクロペンタジエンとの環化付加
反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの脂肪族または芳香族炭化水素;塩化メチレン、
クロロホルム、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水
素;アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどのエ
ーテルなどが挙げられる。溶媒を共存させる場合、これ
らの溶媒は単独で使用しても2種類以上を混合して使用
してもよい。また、溶媒の使用量は、通常スルホニルシ
アニド(I)に対し0.1〜20重量倍の範囲であるの
が好ましく、経済性の観点からは0.1〜5重量倍の範
囲で使用することが好ましい。
【0023】スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンを混合させる際の温度は、0〜50℃の範囲であ
るのが好ましく、反応中間体である3−スルホニル−2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンの
安定性の観点からは0〜30℃の範囲であるのがより好
ましい。
ジエンを混合させる際の温度は、0〜50℃の範囲であ
るのが好ましく、反応中間体である3−スルホニル−2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンの
安定性の観点からは0〜30℃の範囲であるのがより好
ましい。
【0024】スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンを混合させる方法としては、スルホニルシアニド
(I)とシクロペンタジエンを、混合のための装置に同
時に供給して行う。その際に、溶媒を共存させる場合に
は、かかる溶媒はスルホニルシアニド(I)およびシク
ロペンタジエンの一方のみに混合させておいても、また
は両方に混合させておいてもよい。混合のための装置と
しては、撹拌型反応槽やチューブ型反応器などそれ自体
公知の反応装置を用いることができる。混合のためのこ
れらの装置は、該混合により得られる反応液を引き続き
水または水と炭化水素系溶媒との混合液に連続的に添加
するという観点から、水または水と炭化水素系溶媒との
混合液が装入された反応器へ、調製した該反応液を連続
的に送液できるように接続された状態にある。
ジエンを混合させる方法としては、スルホニルシアニド
(I)とシクロペンタジエンを、混合のための装置に同
時に供給して行う。その際に、溶媒を共存させる場合に
は、かかる溶媒はスルホニルシアニド(I)およびシク
ロペンタジエンの一方のみに混合させておいても、また
は両方に混合させておいてもよい。混合のための装置と
しては、撹拌型反応槽やチューブ型反応器などそれ自体
公知の反応装置を用いることができる。混合のためのこ
れらの装置は、該混合により得られる反応液を引き続き
水または水と炭化水素系溶媒との混合液に連続的に添加
するという観点から、水または水と炭化水素系溶媒との
混合液が装入された反応器へ、調製した該反応液を連続
的に送液できるように接続された状態にある。
【0025】スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンを混合させる際の滞留時間は、混合させる際の温
度や、溶媒を共存させる場合にはその種類により変動す
るが、通常は5〜600分の範囲であり、反応収率の点
からは5〜120分の範囲であるのが好ましく、10〜
90分の範囲が特に好ましい。滞留時間が5分以下であ
る場合にはスルホニルシアニド(I)とシクロペンタジ
エンの環化付加反応が十分に進行しない傾向にあるた
め、収率が低下する。また、滞留時間が600分を越え
る場合には、環化付加反応で生成した中間体である3−
スルホニル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−
2,5−ジエンの分解が起こる傾向にあるため、収率が
低下する。
ジエンを混合させる際の滞留時間は、混合させる際の温
度や、溶媒を共存させる場合にはその種類により変動す
るが、通常は5〜600分の範囲であり、反応収率の点
からは5〜120分の範囲であるのが好ましく、10〜
90分の範囲が特に好ましい。滞留時間が5分以下であ
る場合にはスルホニルシアニド(I)とシクロペンタジ
エンの環化付加反応が十分に進行しない傾向にあるた
め、収率が低下する。また、滞留時間が600分を越え
る場合には、環化付加反応で生成した中間体である3−
スルホニル−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−
2,5−ジエンの分解が起こる傾向にあるため、収率が
低下する。
【0026】このようにして調製したスルホニルシアニ
ド(I)とシクロペンタジエンの反応液を、引き続き水
または水と炭化水素溶媒とからなる混合溶媒に連続的に
添加して、加水分解反応に供する。
ド(I)とシクロペンタジエンの反応液を、引き続き水
または水と炭化水素溶媒とからなる混合溶媒に連続的に
添加して、加水分解反応に供する。
【0027】水は、通常置換スルホニルシアニドに対し
て1モル倍〜200モル倍の範囲で用いるが、反応の後
処理の容易さから1モル倍〜50モル倍の範囲であるこ
とが好ましい。
て1モル倍〜200モル倍の範囲で用いるが、反応の後
処理の容易さから1モル倍〜50モル倍の範囲であるこ
とが好ましい。
【0028】炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの脂肪族または芳香族炭化水素が挙げられる。これら
は単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよ
い。炭化水素溶媒を用いる場合、その使用量は、水に対
し0.005〜200重量倍の範囲であるのが好まし
く、経済性の観点からは0.01〜50重量倍の範囲で
あるのが好ましい。
ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの脂肪族または芳香族炭化水素が挙げられる。これら
は単独で使用しても2種類以上を混合して使用してもよ
い。炭化水素溶媒を用いる場合、その使用量は、水に対
し0.005〜200重量倍の範囲であるのが好まし
く、経済性の観点からは0.01〜50重量倍の範囲で
あるのが好ましい。
【0029】本発明では、スルホニルシアニド(I)と
シクロペンタジエンの反応液を、引き続き水または水と
炭化水素溶媒とからなる混合溶媒に連続的に添加する際
に、pHを常時観察し、反応系のpHを4〜7に維持す
ることが重要である。反応系のpHが4未満であると、
スルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)の2量化物
(ベンゼンスルフィニルスルホンなど)などの固体状物
が反応系に析出して、反応時の撹拌が困難になったり、
前記固体状物を分離するための濾過工程などが必要にな
って、反応工程が複雑になり、しかもABHの収率や純
度が低下する。一方、反応系のpHが7を超えると、生
成したABH自身の加水分解反応が進行して、収率が低
下する。本発明では、反応系のpHを4〜6.5の範囲
に保って行うことが、前記固体状物の析出防止、生成し
たABH自身の加水分解反応の防止などの点から好まし
く、pH4.2〜5.5に保って行うことがより好まし
い。
シクロペンタジエンの反応液を、引き続き水または水と
炭化水素溶媒とからなる混合溶媒に連続的に添加する際
に、pHを常時観察し、反応系のpHを4〜7に維持す
ることが重要である。反応系のpHが4未満であると、
スルフィン酸(ベンゼンスルフィン酸など)の2量化物
(ベンゼンスルフィニルスルホンなど)などの固体状物
が反応系に析出して、反応時の撹拌が困難になったり、
前記固体状物を分離するための濾過工程などが必要にな
って、反応工程が複雑になり、しかもABHの収率や純
度が低下する。一方、反応系のpHが7を超えると、生
成したABH自身の加水分解反応が進行して、収率が低
下する。本発明では、反応系のpHを4〜6.5の範囲
に保って行うことが、前記固体状物の析出防止、生成し
たABH自身の加水分解反応の防止などの点から好まし
く、pH4.2〜5.5に保って行うことがより好まし
い。
【0030】反応系のpHを4〜7の範囲に保つ方法と
しては、反応系のpHを常時観察しながら、反応を阻害
しない有機アルカリ性化合物および無機アルカリ性化合
物の1種または2種以上を適時に反応系に添加していく
方法が好ましく採用される。特に、アルカリ金属水酸化
物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカ
リ土類金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化バリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩
(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ土類
金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
バリウムなど)、アルカリ金属重炭酸塩(炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウムなど)などの無機アルカリ性
化合物の1種または2種以上の水溶液を反応系に添加し
てpHを4〜7の範囲に保つことが、pH調整が容易で
ある点から好ましい。
しては、反応系のpHを常時観察しながら、反応を阻害
しない有機アルカリ性化合物および無機アルカリ性化合
物の1種または2種以上を適時に反応系に添加していく
方法が好ましく採用される。特に、アルカリ金属水酸化
物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカ
リ土類金属水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウム、水酸化バリウムなど)、アルカリ金属炭酸塩
(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ土類
金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
バリウムなど)、アルカリ金属重炭酸塩(炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウムなど)などの無機アルカリ性
化合物の1種または2種以上の水溶液を反応系に添加し
てpHを4〜7の範囲に保つことが、pH調整が容易で
ある点から好ましい。
【0031】加水分解反応は、0〜50℃の範囲で行う
のが好ましく、生成するABHの反応系中での安定性を
考慮すると、5〜30℃の範囲で行うのがより好まし
い。
のが好ましく、生成するABHの反応系中での安定性を
考慮すると、5〜30℃の範囲で行うのがより好まし
い。
【0032】加水分解反応は、撹拌下に行うことが反応
を円滑に進行させ得る点から好ましい。反応時間は、ス
ルホニルシアニド(I)の種類、反応液を調製する際の
スルホニルシアニド(I)とシクロペンタジエンの使用
量や使用割合、炭化水素溶媒および水の使用量、反応温
度、反応装置の規模などに応じて調整することができ、
一般的には、スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンの反応液の添加時間(滴下時間)などをも含め
て、30分〜48時間の範囲の時間で反応を行うことが
望ましい。また、反応はバッチ式でも連続式でも実施す
ることができる。
を円滑に進行させ得る点から好ましい。反応時間は、ス
ルホニルシアニド(I)の種類、反応液を調製する際の
スルホニルシアニド(I)とシクロペンタジエンの使用
量や使用割合、炭化水素溶媒および水の使用量、反応温
度、反応装置の規模などに応じて調整することができ、
一般的には、スルホニルシアニド(I)とシクロペンタ
ジエンの反応液の添加時間(滴下時間)などをも含め
て、30分〜48時間の範囲の時間で反応を行うことが
望ましい。また、反応はバッチ式でも連続式でも実施す
ることができる。
【0033】上記により反応系のpHを4〜7の範囲に
保って加水分解反応を行って目的とするABHを生成さ
せた後、反応系のpHを7〜8に調整することによっ
て、反応を停止させることができる。
保って加水分解反応を行って目的とするABHを生成さ
せた後、反応系のpHを7〜8に調整することによっ
て、反応を停止させることができる。
【0034】上記で得られるABHを含む反応混合液
は、該反応混合液からABHを単離せずに、そのままの
形態でカルボサイクリックヌクレオシドなどを製造する
際の合成原料などとして用いることができるが、該反応
混合液からABHを単離して用いることが好ましい。
は、該反応混合液からABHを単離せずに、そのままの
形態でカルボサイクリックヌクレオシドなどを製造する
際の合成原料などとして用いることができるが、該反応
混合液からABHを単離して用いることが好ましい。
【0035】反応混合液からのABHの単離法は特に制
限されず、ABHが円滑に単離できる方法であればいず
れも使用可能である。反応混合液からのABHの単離法
としては、水のみを用いた場合にはその反応混合液を適
当な抽出溶媒で抽出し、また水と炭化水素溶媒とからな
る混合溶媒を用いた場合には反応混合液を水層と炭化水
素溶媒層に層分離させて水層を回収し、水層中に含まれ
るABHを適当な抽出溶媒で抽出し、次いで抽出溶媒を
留去して、目的とするABHを得る方法が好ましく、こ
の方法によればABHを高収率および高純度で得ること
ができる。その際の抽出溶媒としては、水層中からAB
Hを抽出し得る溶媒であればいずれも使用可能である
が、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなど
の塩素化炭化水素が好ましく用いられる。
限されず、ABHが円滑に単離できる方法であればいず
れも使用可能である。反応混合液からのABHの単離法
としては、水のみを用いた場合にはその反応混合液を適
当な抽出溶媒で抽出し、また水と炭化水素溶媒とからな
る混合溶媒を用いた場合には反応混合液を水層と炭化水
素溶媒層に層分離させて水層を回収し、水層中に含まれ
るABHを適当な抽出溶媒で抽出し、次いで抽出溶媒を
留去して、目的とするABHを得る方法が好ましく、こ
の方法によればABHを高収率および高純度で得ること
ができる。その際の抽出溶媒としては、水層中からAB
Hを抽出し得る溶媒であればいずれも使用可能である
が、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなど
の塩素化炭化水素が好ましく用いられる。
【0036】また、上記した単離方法において、水層を
抽出溶媒で抽出処理する前に、ABHを含む水層を活性
炭充填塔を通したり、また水層中に活性炭を投入して、
水層中に含まれるシクロペンタジエン由来の油状物など
の不純物を除去してから、抽出溶媒による抽出処理を行
うと、一層純度の高いABHを得ることができる。その
うちでも、ABHを含む水層を活性炭充填塔を通す方法
が、不純物の除去に極めて有効である。不純物の除去に
用いる活性炭の種類は特に制限されず、いずれも使用で
き、そのうちでも、クラレコールGC−F(クラレケミ
カル株式会社製)が好ましく用いられる。また、活性炭
充填塔の形状や構造、大きさなどは特に制限されず、各
々の状況により決めればよい。
抽出溶媒で抽出処理する前に、ABHを含む水層を活性
炭充填塔を通したり、また水層中に活性炭を投入して、
水層中に含まれるシクロペンタジエン由来の油状物など
の不純物を除去してから、抽出溶媒による抽出処理を行
うと、一層純度の高いABHを得ることができる。その
うちでも、ABHを含む水層を活性炭充填塔を通す方法
が、不純物の除去に極めて有効である。不純物の除去に
用いる活性炭の種類は特に制限されず、いずれも使用で
き、そのうちでも、クラレコールGC−F(クラレケミ
カル株式会社製)が好ましく用いられる。また、活性炭
充填塔の形状や構造、大きさなどは特に制限されず、各
々の状況により決めればよい。
【0037】上記により得られるABHは、そのままで
も十分に高い純度を有しており、カルボサイクリックヌ
クレオシドなどを製造する際の合成原料などとして有効
に用いることができるが、必要に応じて、蒸留、活性炭
処理、昇華、再結晶などをさらに行うことによって、一
層純度の高いものにしたり、取り扱い性に優れるものと
することができる。
も十分に高い純度を有しており、カルボサイクリックヌ
クレオシドなどを製造する際の合成原料などとして有効
に用いることができるが、必要に応じて、蒸留、活性炭
処理、昇華、再結晶などをさらに行うことによって、一
層純度の高いものにしたり、取り扱い性に優れるものと
することができる。
【0038】また、上記した単離方法において、水層を
塩素化炭化水素溶媒などを用いて抽出処理してABHを
回収した後の水層中には、スルフィン酸塩[R−SO2
M(Mは塩形成性陽イオンを示す)]が残留している。
そして、スルフィン酸塩を含む抽出処理後の水層に塩化
シアンを添加すると、スルフィン酸塩がスルホニルシア
ニド(I)に容易に変換されるので、それにより生成し
たスルホニルシアニド(I)を、ABHを製造するため
の原料として再利用することもできる。
塩素化炭化水素溶媒などを用いて抽出処理してABHを
回収した後の水層中には、スルフィン酸塩[R−SO2
M(Mは塩形成性陽イオンを示す)]が残留している。
そして、スルフィン酸塩を含む抽出処理後の水層に塩化
シアンを添加すると、スルフィン酸塩がスルホニルシア
ニド(I)に容易に変換されるので、それにより生成し
たスルホニルシアニド(I)を、ABHを製造するため
の原料として再利用することもできる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
るが、本発明はこれらの実施例により限定されるもので
はない。
【0040】参考例1 <ベンゼンスルホニルシアニド
の合成> 200ml四つ口フラスコに水70g、塩化メチレン2
gおよびベンゼンスルフィン酸ナトリウム二水和物3
2.0g(0.16mol)を仕込み、3℃まで冷却し
た。ここにガス状塩化シアン10.7g(0.17mo
l)を内温3〜6℃を保ちながら約15分間で導入し
た。塩化シアン導入後30分間5℃で撹拌した後、内容
物を分液ロートに移した。有機層を抜き取り、水層に塩
化メチレン5gを加えて抽出した。有機層および抽出液
を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチレ
ンを減圧下に留去し、ベンゼンスルホニルシアニド2
4.8g(0.14mol)を得た(収率93.8
%)。
の合成> 200ml四つ口フラスコに水70g、塩化メチレン2
gおよびベンゼンスルフィン酸ナトリウム二水和物3
2.0g(0.16mol)を仕込み、3℃まで冷却し
た。ここにガス状塩化シアン10.7g(0.17mo
l)を内温3〜6℃を保ちながら約15分間で導入し
た。塩化シアン導入後30分間5℃で撹拌した後、内容
物を分液ロートに移した。有機層を抜き取り、水層に塩
化メチレン5gを加えて抽出した。有機層および抽出液
を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥した後、塩化メチレ
ンを減圧下に留去し、ベンゼンスルホニルシアニド2
4.8g(0.14mol)を得た(収率93.8
%)。
【0041】参考例2 <p−トルエンスルホニルシア
ニドの合成> 参考例1において、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム二
水和物32.0g(0.16mol)の代わりにp−ト
ルエンスルフィン酸ナトリウム水和物34.3g(0.
16mol)を用いる以外は参考例1と同様の操作を行
い、p−トルエンスルホニルシアニド27.5g(0.
15mol)を得た(収率93.8%)。
ニドの合成> 参考例1において、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム二
水和物32.0g(0.16mol)の代わりにp−ト
ルエンスルフィン酸ナトリウム水和物34.3g(0.
16mol)を用いる以外は参考例1と同様の操作を行
い、p−トルエンスルホニルシアニド27.5g(0.
15mol)を得た(収率93.8%)。
【0042】参考例3 <シクロペンタジエンの合成> 単蒸留装置を備えた500ml四つ口フラスコにジシク
ロペンタジエン300g(2.27mol)を仕込ん
だ。内温155〜160℃,留出温度50〜55℃に保
ちながらジシクロペンタジエンを熱分解させ、蒸留を行
って、シクロペンタジエン185g(2.80mol)
を得た(収率61.7%)。
ロペンタジエン300g(2.27mol)を仕込ん
だ。内温155〜160℃,留出温度50〜55℃に保
ちながらジシクロペンタジエンを熱分解させ、蒸留を行
って、シクロペンタジエン185g(2.80mol)
を得た(収率61.7%)。
【0043】実施例1 Y字型ジョイントを介して2台の送液ポンプが並列に連
結されたテフロン(登録商標)チューブ(内径4mm、
長さ2450mm;内容積30.8ml)の大部分をウ
ォーターバスに浸して、チューブ内の液温を制御できる
ようにし、さらにチューブの先端を、滴下ロート、pH
メーターおよび温度計を備えた500ml四つ口フラス
コに接続した。この四つ口フラスコに水130gおよび
トルエン10gを仕込み、10℃以下に冷却した。次
に、2台の送液ポンプを同時に用いて、テフロンチュー
ブ内に参考例1の方法で得られたベンゼンスルホニルシ
アニド103.2g(0.58mol)を塩化メチレン
100gに溶解させた溶液164mlを0.91ml/
minの速度で、および参考例3の方法で得られたシク
ロペンタジエン54.0g(0.80mol、純度9
9.5%)66.7mlを0.37ml/minの速度
で同時にフィードし、テフロンチューブ内で混合された
ベンゼンスルホニルシアニドとシクロペンタジエンの反
応液を、四つ口フラスコ内の混合液を撹拌しながら連続
的に滴下した。この時、ベンゼンスルホニルシアニドと
シクロペンタジエンの反応液のテフロンチューブ中での
滞留時間は23分間であり、またテフロンチューブを浸
したウォーターバスの温度は10℃以下に維持した。テ
フロンチューブ内で混合されたベンゼンスルホニルシア
ニドとシクロペンタジエンの反応液を四つ口フラスコ内
に連続的に滴下する間、反応系のpHを観察しながら、
同時に25%水酸化ナトリウム水溶液を四つ口フラスコ
内に滴下することによって、反応系のpHを4.4〜
4.6に維持した。フィード終了後、反応混合液の内温
を10℃に保ちさらに30分間撹拌し、25%水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下して反応混合液のpHを7.5に
調節した。この反応混合液の一部を取り、高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)[使用カラム:Inert
sil ODS−2(カラム径4.6mm、カラム長1
50mm)、溶離液:2/8=MeOH/1mM−KH
2PO4(1M−H3PO4を用いてpH=3.2に調
整)、流速:1ml/分、検出波長:UV 225n
m]で内部標準法分析を行なったところ、反応混合液中
に2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−
3−オン60.0g(0.55mol)を含んでいた
(収率95.0%)。
結されたテフロン(登録商標)チューブ(内径4mm、
長さ2450mm;内容積30.8ml)の大部分をウ
ォーターバスに浸して、チューブ内の液温を制御できる
ようにし、さらにチューブの先端を、滴下ロート、pH
メーターおよび温度計を備えた500ml四つ口フラス
コに接続した。この四つ口フラスコに水130gおよび
トルエン10gを仕込み、10℃以下に冷却した。次
に、2台の送液ポンプを同時に用いて、テフロンチュー
ブ内に参考例1の方法で得られたベンゼンスルホニルシ
アニド103.2g(0.58mol)を塩化メチレン
100gに溶解させた溶液164mlを0.91ml/
minの速度で、および参考例3の方法で得られたシク
ロペンタジエン54.0g(0.80mol、純度9
9.5%)66.7mlを0.37ml/minの速度
で同時にフィードし、テフロンチューブ内で混合された
ベンゼンスルホニルシアニドとシクロペンタジエンの反
応液を、四つ口フラスコ内の混合液を撹拌しながら連続
的に滴下した。この時、ベンゼンスルホニルシアニドと
シクロペンタジエンの反応液のテフロンチューブ中での
滞留時間は23分間であり、またテフロンチューブを浸
したウォーターバスの温度は10℃以下に維持した。テ
フロンチューブ内で混合されたベンゼンスルホニルシア
ニドとシクロペンタジエンの反応液を四つ口フラスコ内
に連続的に滴下する間、反応系のpHを観察しながら、
同時に25%水酸化ナトリウム水溶液を四つ口フラスコ
内に滴下することによって、反応系のpHを4.4〜
4.6に維持した。フィード終了後、反応混合液の内温
を10℃に保ちさらに30分間撹拌し、25%水酸化ナ
トリウム水溶液を滴下して反応混合液のpHを7.5に
調節した。この反応混合液の一部を取り、高速液体クロ
マトグラフィー(HPLC)[使用カラム:Inert
sil ODS−2(カラム径4.6mm、カラム長1
50mm)、溶離液:2/8=MeOH/1mM−KH
2PO4(1M−H3PO4を用いてpH=3.2に調
整)、流速:1ml/分、検出波長:UV 225n
m]で内部標準法分析を行なったところ、反応混合液中
に2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−
3−オン60.0g(0.55mol)を含んでいた
(収率95.0%)。
【0044】実施例2 実施例1において、ベンゼンスルホニルシアニド10
3.2g(0.58mol)を塩化メチレン100gに
溶解させた溶液の代わりに、ベンゼンスルホニルシアニ
ド103.2g(0.58mol)をo−ジクロロベン
ゼン100gに溶解させた溶液を用いた以外は実施例1
と同様の操作を行った。得られた反応混合液を、実施例
1と同様にしてHPLCにより内部標準分析したとこ
ろ、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−3−オン 59.7g(0.55mol)が生成して
いた(収率94.3%)。
3.2g(0.58mol)を塩化メチレン100gに
溶解させた溶液の代わりに、ベンゼンスルホニルシアニ
ド103.2g(0.58mol)をo−ジクロロベン
ゼン100gに溶解させた溶液を用いた以外は実施例1
と同様の操作を行った。得られた反応混合液を、実施例
1と同様にしてHPLCにより内部標準分析したとこ
ろ、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−3−オン 59.7g(0.55mol)が生成して
いた(収率94.3%)。
【0045】実施例3 実施例1において、ベンゼンスルホニルシアニド10
3.2g(0.58mol)を塩化メチレン100gに
溶解させた溶液の代わりに、p−トルエンスルホニルシ
アニド105.1g(0.58mol)を塩化メチレン
100gに溶解させた溶液を用いた以外は実施例1と同
様の操作を行った。得られた反応混合液を、実施例1と
同様にしてHPLCにより内部標準分析したところ、2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−
オン 59.5g(0.55mol)が生成していた
(収率94.0%)。
3.2g(0.58mol)を塩化メチレン100gに
溶解させた溶液の代わりに、p−トルエンスルホニルシ
アニド105.1g(0.58mol)を塩化メチレン
100gに溶解させた溶液を用いた以外は実施例1と同
様の操作を行った。得られた反応混合液を、実施例1と
同様にしてHPLCにより内部標準分析したところ、2
−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−
オン 59.5g(0.55mol)が生成していた
(収率94.0%)。
【0046】比較例1 窒素流通管、温度計を付けた500ml四つ口フラスコ
に98.5%シクロペンタジエン54.0g(0.80
mol),トルエン10g,水130gを仕込み内温を
10℃に調整した。滴下ロートから94.3%ベンゼン
スルホニルシアニド103.2g(0.58mol)を
内温8〜15℃を保ちながら約3時間かけて滴下した。
この時、反応系のpHを観察しながら、同時に25%N
aOH水溶液を滴下し、反応系のpHを4.4〜4.7
に保ち続けた。滴下終了後、同温度でさらに30分間撹
拌し、25%NaOH水溶液を滴下して反応液のpHを
7.5に調整した。得られた反応混合液を分液ロートに
移し、水層を分離した。この水層の一部を取り、実施例
1と同様にしてHPLCにより内部標準分析したとこ
ろ、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−3−オン52.4g(0.48mol)を含んでいた
(収率82.8%)。
に98.5%シクロペンタジエン54.0g(0.80
mol),トルエン10g,水130gを仕込み内温を
10℃に調整した。滴下ロートから94.3%ベンゼン
スルホニルシアニド103.2g(0.58mol)を
内温8〜15℃を保ちながら約3時間かけて滴下した。
この時、反応系のpHを観察しながら、同時に25%N
aOH水溶液を滴下し、反応系のpHを4.4〜4.7
に保ち続けた。滴下終了後、同温度でさらに30分間撹
拌し、25%NaOH水溶液を滴下して反応液のpHを
7.5に調整した。得られた反応混合液を分液ロートに
移し、水層を分離した。この水層の一部を取り、実施例
1と同様にしてHPLCにより内部標準分析したとこ
ろ、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン
−3−オン52.4g(0.48mol)を含んでいた
(収率82.8%)。
【0047】
【発明の効果】本発明の方法によれば、2−アザビシク
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを高純
度、高収率で安全、経済的に製造することができる。ま
た、本発明の方法では水や炭化水素系溶媒の使用量を低
減できることにより、廃水処理が容易となる。
ロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを高純
度、高収率で安全、経済的に製造することができる。ま
た、本発明の方法では水や炭化水素系溶媒の使用量を低
減できることにより、廃水処理が容易となる。
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rはアルキル基または置換されていてもよいフ
ェニル基を表す。)で示される置換スルホニルシアニド
とシクロペンタジエンを連続的に混合させ、得られた反
応液を、水または水と炭化水素溶媒とからなる混合溶媒
中に、反応系のpHが4〜7の条件下で連続的に添加し
て反応させることを特徴とする2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000129639A JP2001011049A (ja) | 1999-04-30 | 2000-04-28 | 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12401599 | 1999-04-30 | ||
JP11-124015 | 1999-04-30 | ||
JP2000129639A JP2001011049A (ja) | 1999-04-30 | 2000-04-28 | 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001011049A true JP2001011049A (ja) | 2001-01-16 |
Family
ID=26460787
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000129639A Pending JP2001011049A (ja) | 1999-04-30 | 2000-04-28 | 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001011049A (ja) |
-
2000
- 2000-04-28 JP JP2000129639A patent/JP2001011049A/ja active Pending
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