JP2001009530A - 良加工性内面高潤滑鋼管及びその製造方法 - Google Patents

良加工性内面高潤滑鋼管及びその製造方法

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JP2001009530A
JP2001009530A JP11180277A JP18027799A JP2001009530A JP 2001009530 A JP2001009530 A JP 2001009530A JP 11180277 A JP11180277 A JP 11180277A JP 18027799 A JP18027799 A JP 18027799A JP 2001009530 A JP2001009530 A JP 2001009530A
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Itsuro Hiroshige
逸朗 弘重
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 需要家における加工時の塗油、ペイント塗装
工程等を省略してこれらの工程に起因して発生する脱油
洗浄工程、乾燥工程をも省略し、且つ、搬送工程におい
てスリップ等の問題をなくし、内面治具のかじり、焼付
き、磨耗を防止できる内面潤滑性に優れた良加工性内面
高潤滑鋼管及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼管の内表面に、膜厚1〜100μmの
潤滑用の有機系被膜又は金属元素として生成量1〜10
00mg/m2 の潤滑用の無機系被膜を有し、外表面よ
りも内表面の潤滑性を高めたことを特徴とする良加工性
内面高潤滑鋼管と、前記した良加工性内面高潤滑鋼管を
片面に潤滑用の被膜を有する鋼板素材から潤滑用の被膜
面が鋼管内面となるように造管、接合して製造する良加
工性内面高潤滑鋼管の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管の内面に治具
を用いて加工し、自動車、家電、建材、土木等の部品に
利用する、良加工性内面高潤滑鋼管及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼管の加工には、曲げ加工、径拡大加
工、径絞り加工、液圧バルジ加工等、多くの加工法が存
在するが、この内、鋼管内面に、中子、爪、ポンチ、シ
ール等の内面治具を用いて加工する場合が数多く存在す
る。これらの内面治具は、鋼管の形状を維持したり、変
形させたり、加工において重要な役割を果たしている。
しかしながら、これらの内面治具は加工において、被加
工鋼管と強く接触、摩擦されるため、かじりや焼付きに
よる表面粗さの劣化や、磨耗の問題が生じやすく、加工
精度の低下や、治具寿命が短い等の問題を潜在的に有し
ている。これらの問題を回避する方法として、内面治具
と被加工鋼管が接触、摩擦される部位に、塗油を施した
り、被加工鋼管に予めペイント塗装や、潤滑被膜を施す
方法が知られているが、塗油を施す方法は、かじりや焼
付きや磨耗の防止には有効であるが、加工後油を除去す
る為に洗浄工程を必要としたり、洗浄工程までの間の搬
送における油の垂れが、床面汚染の原因と成ったりする
為、工程省略や作業環境改善の面から、問題視されつつ
あるのが現状である。
【0003】被加工鋼管に予めペイント塗装を施す方法
は、一般には、鋼管を所定の長さに切断後、脱脂洗浄
し、吹き付け、ハケ塗りによって塗装後、十分な乾燥の
後に鋼管加工に供せられる。この方法は、塗布に多くの
工程を必要とし、手間や費用が掛かるばかりでなく、塗
膜厚さのバラ付きが発生し易く、潤滑効果が充分得られ
なかったり、剥離した塗膜が押し込み疵を発生させる場
合もある。また、何よりも本技術範囲のように鋼管内面
の潤滑を目的とする場合には、鋼管内面への均一塗布が
非常に難しく、採用できない。
【0004】被加工鋼管に予め潤滑被膜を施す方法は、
樹脂が溶剤系、水系の場合は、鋼管を溶剤液中に浸漬し
たり、スプレー塗装したりして塗布し、樹脂が固体系の
場合は、静電粉体塗装して塗布するのが一般的である
が、この方法は、上記のペイント塗装と比較して、塗布
工程の簡略化が可能であり、塗膜厚さのバラ付きも低減
出来る為、有効な対策技術であると言える。(例えば:
特開平10−137864号公報)しかしながら、本技
術範囲のように鋼管内面の潤滑を目的とする場合には、
下記のような問題点を有している。
【0005】第1の問題点は、従来技術での上記潤滑被
膜塗布鋼管は、その潤滑被膜を鋼管外面のみに持ってい
るか、あるいは鋼管内外面の両面に持っているかであ
る、ということである。潤滑被膜を鋼管外面のみに持っ
ている場合は、当然、本技術範囲のように鋼管内面の潤
滑を目的とする場合には、全く効果が無い為、論外であ
る。潤滑被膜を鋼管内外面の両面に持っている場合に
は、本技術範囲の鋼管内面の潤滑目的には充分な効果を
発揮するが、以下の問題点を有している。その問題点と
は、鋼管外面に存在する潤滑被膜が、鋼管の搬送、取り
扱い工程において、スリップ、クランプミス等の工程障
害を発生させるという事実である。この鋼管外表面の不
必要な「潤滑」、すなわち「すべり」は、鋼管の搬送、
取り扱い工程において、ラインに「すべり」防止対策の
機構を新たに必要としたり、クランプ部分にゴム等の
「すべり」防止材の取り付けを必要とする為、製造コス
ト上昇のデメリットを負うことになる。以上の理由か
ら、鋼管外表面に潤滑被膜を有している鋼管は、たとえ
内面にも潤滑被膜を有していて、本技術範囲の鋼管内面
の潤滑目的には充分な効果を有していても、スリップ、
クランプミス等の工程障害を発生させる為、有効な解決
手段とは成り得ていなかった。
【0006】第2の問題点は、鋼管形状での上記潤滑被
膜塗布において、鋼管内面への塗布は非常に困難であ
り、塗布工程簡略化の為、鋼管長尺ままでの塗布の場合
には、更に困難である、ということである。また、塗膜
厚さの均一化という面でも、鋼管形状での鋼管内面潤滑
被膜の均一塗布は、その形状から非常に難しいと言える
し、対策手段には多くの費用が必要である。従って、従
来技術である、単に鋼管の外表面のみ、あるいは副次的
に内面にも潤滑被膜を有する鋼管では、本技術範囲の様
に鋼管内面の潤滑を目的とし、且つ、鋼管の搬送、取り
扱い工程において、スリップ、クランプミス等の工程障
害を発生させない為には、その解決の手段足り得なかっ
たのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑みてなされたものであり、需要家において鋼管の
内面に治具を用いた加工を行う場合、塗油、ペイント塗
装工程等を省略することにより、これらの工程が原因で
発生している脱油洗浄工程、乾燥工程をも省略し、かつ
搬送工程においてスリップ等の問題を生じないで、内面
治具のかじりや焼付き、磨耗を防止できる、内面潤滑性
に優れた良加工性内面高潤滑鋼管及びその製造方法を提
供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋼管の内
面に治具を用いて加工する製造ラインにおいて、スリッ
プ、クランプミス等の工程障害を発生させる事なく、内
面治具のかじりや焼付き、磨耗を防止できる、潤滑性に
優れた内面潤滑性に優れた良加工性内面高潤滑鋼管を開
発すべく、検討、実験、解析を行った結果、鋼管の内表
面に、膜厚1〜100μmの潤滑用の有機系被膜を施
し、外表面よりも内表面の潤滑性を高めておくことが、
非常に有効であることを見出した。又、鋼管の内表面
に、金属元素として生成量1〜1000mg/m2 の潤
滑用の無機系被膜を施し、外表面よりも内表面の潤滑性
を高めておくことが非常に有効であることを見出した。
本発明の要旨は、以下の通りである。 1)鋼管の内表面に、膜厚1〜100μmの潤滑用の有
機系被膜を有し、外表面よりも内表面の潤滑性を高めた
こと特徴とする、良加工性内面高潤滑鋼管。 2)鋼管の内表面に、生成量1〜1000mg/m2
潤滑用の無機系被膜を有し、外表面よりも内表面の潤滑
性を高めたことを特徴とする、良加工性内面高潤滑鋼
管。 3)上記1)に記載の鋼管の製造方法であって、鋼板の
片面のみに、膜厚1〜100μmの潤滑用の有機系被膜
を施し、この鋼板を素材として、該被膜を施した面が鋼
管内面となるように造管、接合して製造することを特徴
とする、良加工性内面高潤滑鋼管の製造方法。 4)上記2)に記載の鋼管の製造方法であって、鋼板の
片面のみに、生成量1〜1000mg/m2 の潤滑用の
無機系被膜を施し、この鋼板を素材として、該被膜を施
した面が鋼管内面となるように造管、接合して製造する
ことを特徴とする、良加工性内面高潤滑鋼管の製造方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の、内面治具かじり、焼付
き、磨耗防止用、良加工性管内面表面処理鋼管における
限定条件について以下に述べる。 (1)鋼管内表面潤滑被膜 鋼管の内面に治具を用いて加工する場合において、内面
治具のかじりや焼付き、磨耗を防止し、安定して鋼管加
工を行う為に、鋼管内表面に潤滑皮膜を施す。鋼管の内
面に治具を用いて加工する加工には、曲げ加工、径拡大
加工、径絞り加工、液圧バルジ加工等、多くの加工法が
存在するが、いずれの加工法においても、内面治具と被
加工鋼管内面表面との接触、摩擦による内面治具のかじ
り、焼付き、磨耗が問題である。この内面治具のかじ
り、焼付き、磨耗防止の為には、鋼管内表面に潤滑被膜
を施すことが最適である。この潤滑被膜としては無機系
被膜でも有機系被膜(例えば有機樹脂被膜等)のいずれ
でも良い。無機系被膜としては、リン酸皮膜等の利用が
可能である。有機系被膜としては、熱硬化型、熱可塑
型、放射線硬化型等、何れの型の有機樹脂も利用可能で
ある。具体的な有機樹脂としては、アクリル、ウレタ
ン、ポリエステル、エポキシ等が挙げられる。さらに、
これらの樹脂を適宜硬化剤を用いて、架橋させたものも
利用可能である。硬化剤の種類としては、アミノ樹脂、
エポキシ樹脂等が挙げられる。具体例としては、アクリ
ル酸や、メタクリル酸を主体として重合させたアクリル
樹脂をメチルアルコールや、ブチルアルコールで変性し
たメラミンで熱硬化させた塗料等が挙げられる。鋼管内
面の潤滑被膜は、鋼管内面において、被加工鋼管内面と
内面加工治具との接触面において、潤滑性を確保するこ
とが目的であるから、これに耐える、耐圧性と密着性を
有していることが重要であることは言うまでもない。ま
た、かかる潤滑被膜を鋼管内面に施した鋼管を用いて
も、まだなお潤滑が不足し、内面治具に、かじりや焼付
きよる表面粗さの劣化や、摩耗の問題が残る場合には、
潤滑被膜中に、有機系潤滑剤(例えばポリエチレン系ワ
ックスやフッ素系樹脂粒子等)を有機被膜固形分重量%
で0.5〜20%含有させることもできる。更に、潤滑
被膜中に各種顔料を添加することも、被膜物性を向上さ
せる目的であれば何ら限定されるものではない。又、潤
滑用の無機系被膜としては、Zn,P,Mn,Ni,M
g,Fe,CO,Al等の金属元素を所定量含有する酸
化物を用いることが出来る。無機系であるので、無機材
が主体であれば、潤滑用の無機系被膜中には、有機系潤
滑剤が二次的に含有していてもかまわない。
【0010】(2)鋼管内面潤滑用被膜厚又は生成量 潤滑用被膜の厚さが小さ過ぎると内面治具を用いた鋼管
加工時に、内面治具表面に、かじりや焼付きが生じやす
くなる。有機系被膜の場合には、通常、膜厚はμ単位で
表す。従って、潤滑用の有機系被膜厚は最小でも1μm
は必要である。また、潤滑用の有機系被膜厚が100μ
mを超えると、潤滑被膜の内部応力により被膜剥離しや
すくなる。剥離した被膜が内面治具に焼付き堆積する
と、被加工鋼管に押し込み疵を発生させることになる。
また経済的にも過大な潤滑被膜厚は無駄である為、潤滑
被膜厚は最大100μmとした。従って、潤滑用の有機
系被膜厚は、1〜100μmとした。好ましくは10〜
50μmである。無機系被膜の場合には、通常、生成量
はmg/m2 単位で表す。従って、潤滑用の無機系被膜
生成量は最小でも1mg/m2 は必要である。また、潤
滑用の無機系被膜生成量が1000mg/m2 を超える
と、潤滑被膜の内部応力により被膜剥離しやすくなる。
剥離した被膜が内面治具に焼付き堆積すると、被加工鋼
管に押し込み疵を発生させることになる。また経済的に
も過大な潤滑被膜付着量は無駄である為、潤滑被膜生成
量は最大1000mg/m2 とした。従って、潤滑用の
無機系被膜生成量は、1〜1000mg/m2 とした。
好ましくは5〜300mg/m2である。前記のよう
に、無機材が主体であれば、一部、有機系潤滑剤を含有
していても本願発明の潤滑用の無機系被膜を逸脱するも
のではない。潤滑被膜は、できるだけ均一に形成する必
要があるので、溶剤系や水系であればスプレー塗装、固
体状の樹脂であれば静電粉体塗装等を利用するのが好ま
しい。溶剤系や水系の場合には、強制乾燥により溶剤や
水を乾燥させる。加熱方法としては、熱風あるいは誘導
加熱等が利用できる。また、放射線硬化型塗料を利用す
る場合には、例えば紫外線等の利用により、乾燥時間を
短時間化できる。本発明の主旨は、被加工鋼管と内面治
具との潤滑を、鋼管内表面に施した、潤滑用の被膜によ
って達成し、かつ鋼管外表面の潤滑性は、内表面の潤滑
性よりも低くして、鋼管の搬送、取り扱い工程におい
て、スリップ、クランプミス等の工程障害を発生させな
いことにある。従って鋼管外表面の潤滑被膜の如何につ
いて内表面の潤滑性よりも低くしておけば、なんら制約
を設けるものではなく、更には、外表面に全く潤滑被膜
を施さない場合でも、全く問題はない。
【0011】(3)鋼管内面塗装下地処理層 下地処理層は、必要により施すもので、潤滑被膜が有機
樹脂の場合や、鋼管内表面に強固に密着させておく必要
がある場合や、変形抵抗が大きい鋼種や、加工度が大き
い場合等に有効である。下地処理層は、燐酸系、クロメ
ート系等、通常の塗装前の処理で施す。この下地処理の
厚さは、厚過ぎると有機樹脂被膜の剥離が発生しやすく
なる為、燐酸亜鉛処理であれば5g/m2 以下、燐酸鉄
処理であれば0.3g/m2 以下、クロメート処理であ
れば金属クロム換算で500mg/m2 以下が好まし
い。燐酸系処理や反応型クロメートの場合には、処理液
の入った槽の中に所定時間浸漬した後、水洗、乾燥処理
を施す。塗布型クロメート処理の場合には、スプレー処
理や、はけ塗り等を行って、100℃程度の温度で強制
乾燥を行う。
【0012】(4)鋼管 鋼管の材質は、炭素鋼、オーステナイト系ステンレス鋼
やフェライト系ステンレス鋼が一般的な材質であり、特
にこれらに限定されるものではなく、更に素材が熱間圧
延鋼帯であっても、冷間圧延鋼帯であっても、またそれ
らを熱処理した鋼帯であっても、全く問題ない。更に
は、それらの表面にZnやAlのメッキが施してある場
合も同様に利用可能である。
【0013】(5)内面高潤滑被膜鋼管製造方法 本発明の主旨は、被加工鋼管と内面治具との潤滑を、鋼
管内表面に施した、潤滑用の被膜によって達成し、且
つ、鋼管外表面の潤滑性は、内表面の潤滑性よりも低く
して、鋼管の搬送、取り扱い工程において、スリップ、
クランプミス等の工程障害を発生させないことにある。
従って、本来その内面高潤滑被膜鋼管製造方法に制約は
無いのであるが、鋼管の内表面に潤滑用の被膜を、必要
な厚さで均一に塗布することは鋼管形状では非常に困難
である為、鋼帯の状態で、その片面に潤滑被膜(有機系
又は無機系)を施し、次いで、その潤滑被膜が存在する
面が鋼管の内表面となるように成形し、高周波溶接や、
TIG溶接、レーザー溶接等を行って、鋼管形状とする
製造方法が有効である。
【0014】
【実施例】(実施例1)板厚2.9mmの熱間圧延鋼帯
(炭素鋼;C:0.08%、Si:0.2%、Mn:
0.2%)を酸洗した後、その片面にアクリル系熱硬化
型塗料をスプレーで塗布して、10種類の膜厚に造り分
け、鋼帯の最高到達温度が150℃となるように、約5
分間で焼き付け硬化させ、膜厚を表1に示す、0.4〜
145μmの範囲に変化させた、片面潤滑被膜鋼帯を製
造した。次いで、この片面潤滑被膜鋼帯を素材として、
潤滑被膜の存在する面が鋼管の内表面となるように成形
し、電縫鋼管(外形76.3mm、肉厚2.9mm、長
さ5.4m)を製造した。潤滑被膜のガラス転移温度
は、粘弾性測定により、約105℃であった。また、鉛
筆高度は3Hであった。これらの、管内面潤滑被膜鋼管
を長さ500mmに切断して、それぞれの10種類の膜
厚の500mm短尺鋼管を80本づつ用意し、以下の4
種類の内面治具を用いる鋼管の加工を、各20本づつ施
した。加工後に、被加工鋼管の破断有無、管内面潤滑被
膜の剥離状況と、内面治具のかじり、焼付きの発生状
況、剥離被膜の内面治具への堆積状況を観察した。その
結果を表1に示す。4種類の内面治具を用いる鋼管加工
とは、 曲げ加工:曲げR=152.6mm(2D)で回転引
き曲げ加工実施 鋼管の偏防止の為、Φ=70mmの内
面治具(マンドレル)を使用 径拡大加工:外形D1=99mm(1.3D)へ爪形
状の内面治具を使用して径拡大加工実施 径絞り加工:外形D2=46mm(0.6D)へ押し
込みダイスを用いて径絞り加工実施 内面座屈防止の
為、内面治具(中子)を使用 液圧バルジ加工:外形D3=114mm(1.5D)
へ液圧を用いて径拡大加工実施 両管端のシールの為、
内面治具(ポンチ)を使用である。更に、それぞれの膜
厚の条件の鋼管を、長さ500mmに切断したもの20
本を用いて、自動搬送ロボットのハンドでクランプ試験
を実施し、クランプミスの発生回数をカウントした。そ
の結果を表1に示す。No1、No2の比較例の様に、
鋼管内表面の潤滑被膜厚が、1μmより薄い場合には、
曲げ加工では、被加工鋼管に周方向破断が発生し、
径拡大加工では、被加工鋼管に爪部近傍からの長手方向
破断が発生し、径絞り加工では、被加工鋼管に周方向
破断が発生し、液圧バルジ加工では、長手方向破断が
発生した。このような場合には、同時に、内面加工治具
に、かじり、焼付きの発生が観察された。一方、No
9、No10の比較例の様に鋼管内表面の潤滑被膜が、
100μmを超えて厚い場合には、曲げ加工径拡大
加工径絞り加工液圧バルジ加工の、何れの加工にお
いても、鋼管内表面潤滑被膜の剥離が発生した。この様
な場合には、同時に、内面加工治具に、剥離被膜の堆積
が観察された。この剥離被膜の堆積は、加工疵発生の原
因となる。鋼管内表面の潤滑被膜厚が1〜100μmの
範囲にある、No3〜No8の6種類の鋼管内表面潤滑
被膜厚鋼管の場合には、曲げ加工径拡大加工径絞
り加工液圧バルジ加工の、何れの加工においても、2
0本全数が、良品として加工でき、更に、内面治具に
は、かじり、焼付きの発生も、剥離被膜の堆積も、全く
観察されず、内面治具初期の良好な表面が維持されてい
た。この結果から明らかなように、鋼管内表面の1〜1
00μmのアクリル系潤滑被膜は、内面治具と被加工鋼
管との潤滑効果において、非常に有効であり、適正であ
ることが判る。また、自動搬送ロボットのハンドによる
クランプ試験では、No1〜No10の何れの鋼管も、
鋼管内表面のみにしか潤滑被膜を塗布していないことか
ら、クランプミスは全く発生せず、良好なハンドリング
性を示した。そこで更に、比較例として、同板厚2.9
mmの熱間圧延鋼帯を酸洗した後、その両面にアクリル
系熱硬化型塗料をスプレーで塗布して、10種類の膜厚
に造り分け、鋼帯の最高到達温度が150℃となるよう
に、約5分間で焼き付け硬化させ、膜厚を表2に示す、
0.5〜141μmの範囲に変化させた、両面潤滑被膜
鋼帯を製造した。次いで、この内外両面潤滑被膜鋼帯を
素材として、内外表面両面に潤滑被膜を有する電縫鋼管
(外形76.3mm、肉厚2.9mm、長さ5.4m)
を製造した。これらの、内外表面両面潤滑被膜鋼管を長
さ500mmに切断して、それぞれの10種類の膜厚の
500mm短尺鋼管を20本づつ用意し、自動搬送ロボ
ットのハンドでクランプ試験を実施し、クランプミスの
発生回数をカウントした。その結果を表2に示す。No
13〜No20の何れの鋼管も、鋼管外表面にも内面と
同等の潤滑性を有する膜厚1μm以上の潤滑被膜が存在
している為に、クランプミスが発生しており、ハンドリ
ング性が悪いことが判る。以上の結果から、本発明の管
内面高潤滑鋼管のみが、内面治具との良好な潤滑性と、
クランプミスの無い良好なハンドリング性の両立を、達
成できる手段であることが判る。
【0015】(実施例2)板厚2.9mmのオーステナ
イト系ステンレス鋼帯(Cr:18%、Ni:8%)を
酸洗、ブラスト処理した後、一部の鋼帯にはクロメート
処理を施し、また一部の鋼帯にはクロメート処理を施す
事なく、スプレーで鋼帯の片面にのみ樹脂塗装を行い、
片面潤滑被膜鋼帯を製造した。使用した潤滑被膜の膜
厚、クロメート処理の塗布量を表3に示す。次いで、こ
の片面潤滑被膜鋼帯を素材として、潤滑被膜の存在する
面が鋼管の内表面となるように成形し、TIG溶接鋼管
(外形76.3mm、肉厚2.9mm、長さ5.4m)
を製造した。これらの、管内面潤滑被膜鋼管を長さ50
0mmに切断して、それぞれの10種類の潤滑被膜、ク
ロメート処理の500mm短尺鋼管を80本づつ用意
し、実施例1と同様な4種類の内面治具を用いる鋼管の
加工を、各20本づつ施した。加工後に、被加工鋼管の
破断有無、管内面潤滑被膜の剥離状況と、内面治具のか
じり、焼付きの発生状況、剥離被膜の内面治具への堆積
状況を観察した。その結果を表3に示す。更に、それぞ
れの膜厚の条件の鋼管を、長さ500mmに切断したも
の20本を用いて、自動搬送ロボットのハンドでクラン
プ試験を実施し、クランプミスの発生回数をカウントし
た。その結果を表3に示す。No21、No22の比較
例の様に、鋼管内表面の潤滑被膜厚が、1μmより薄い
場合には、曲げ加工では、被加工鋼管に周方向破断が
発生し、径拡大加工では、被加工鋼管に爪部近傍から
の長手方向破断が発生し、径絞り加工では、被加工鋼
管に周方向破断が発生し、液圧バルジ加工では、長手
方向破断が発生した。このような場合には、同時に、内
面加工治具に、かじり、焼付きの発生が観察された。一
方、No29、No30の比較例の様に鋼管内表面の潤
滑被膜が、100μmを超えて厚い場合には、曲げ加
工径拡大加工径絞り加工液圧バルジ加工の、何れ
の加工においても、鋼管内表面潤滑被膜の剥離が発生し
た。この様な場合には、同時に、内面加工治具に、剥離
被膜の堆積が観察された。この剥離被膜の堆積は、加工
疵発生の原因となる。鋼管内表面の潤滑被膜厚が1〜1
00μmの範囲にある、No23〜No28の6種類の
管内表面樹脂被膜厚鋼管の場合には、曲げ加工径拡
大加工径絞り加工液圧バルジ加工の、何れの加工に
おいても、20本全数が、良品として加工でき、更に、
内面治具には、かじり、焼付きの発生も、剥離被膜の堆
積も、全く観察されず、内面治具初期の良好な表面が維
持されていた。この結果から明らかな様に、鋼管内表面
の1〜100μmのポリエステル系潤滑被膜は、内面治
具と被加工鋼管との潤滑効果において、非常に有効であ
り、適正であることが判る。また、自動搬送ロボットの
ハンドによるクランプ試験では、No21〜No30の
何れの鋼管も、鋼管内表面のみにしか潤滑被膜を塗布し
ていないことから、クランプミスは全く発生せず、良好
なハンドリング性を示した。そこで更に、比較例とし
て、同板厚2.9mmのオーステナイト系ステンレス鋼
帯を酸洗、ブラスト処理した後、その両面にポリエステ
ル系樹脂をスプレーで塗布して、10種類の潤滑被膜、
クロメート処理鋼帯に造り分け、両面潤滑被膜鋼帯を製
造した。次いで、この両面潤滑被膜鋼帯を素材として、
内外表面両面に潤滑被膜を有するTIG溶接鋼管(外形
76.3mm、肉厚2.9mm、長さ5.4m)を製造
した。これらの、内外表面両面潤滑被膜鋼管を長さ50
0mmに切断して、それぞれの10種類の潤滑被膜、ク
ロメート処理の500mm短尺鋼管を20本づつ用意
し、自動搬送ロボットのハンドでクランプ試験を実施
し、クランプミスの発生回数をカウントした。その結果
を表4に示す。No33〜No40の何れの鋼管も、鋼
管外表面にも膜厚1μm以上の潤滑被膜が存在している
為に、クランプミスが発生しており、ハンドリング性が
悪いことが判る。以上の結果から、本発明の管内表面高
潤滑鋼管のみが、内面治具との良好な潤滑性と、クラン
プミスの無い良好なハンドリング性を両立できているこ
とが判る。
【0016】(実施例3)板厚2.9mmのフェライト
系ステンレス鋼帯(Cr:11%)を酸洗した後、その
片面に水性のウレタン系樹脂をスプレーで塗布して、被
膜厚みを、10種類の膜厚に造り分け、鋼帯を熱風乾燥
により約100℃まで昇温させ被膜を乾燥させ、表5に
示す、0.3〜115μmの範囲に変化させた、片面潤
滑被膜鋼帯を製造した。次いで、この片面潤滑被膜鋼帯
を素材として、潤滑被膜の存在する面が鋼管の内表面と
なるように成形し、レーザー溶接鋼管(外形76.3m
m、肉厚2.9mm、長さ5.4m)を製造した。塗膜
のガラス転移温度は、80℃、鉛筆高度はHであった。
これらの、管内面潤滑被膜鋼管を長さ500mmに切断
して、それぞれの10種類の膜厚の500mm短尺鋼管
を80本づつ用意し、実施例1と同様な4種類の内面治
具を用いる鋼管の加工を、各20本づつ施した。加工後
に、被加工鋼管の破断有無、管内面潤滑被膜の剥離状況
と、内面治具のかじり、焼付きの発生状況、剥離被膜の
内面治具への堆積状況を観察した。その結果を表5に示
す。更に、それぞれの膜厚の条件の鋼管を、長さ500
mmに切断したもの20本を用いて、自動搬送ロボット
のハンドでクランプ試験を実施し、クランプミスの発生
回数をカウントした。その結果を表5に示す。No4
1、No42の比較例の様に、鋼管内表面の潤滑被膜厚
が、1μmより薄い場合には、曲げ加工では、被加工
鋼管に周方向破断が発生し、径拡大加工では、被加工
鋼管に爪部近傍からの長手方向破断が発生し、径絞り
加工では、被加工鋼管に周方向破断が発生し、液圧バ
ルジ加工では、長手方向破断が発生した。この様な場合
には、同時に、内面加工治具に、かじり、焼付きの発生
が観察された。一方、No49、No50の比較例の様
に鋼管内表面の潤滑被膜が、100μmを超えて厚い場
合には、曲げ加工径拡大加工径絞り加工液圧バ
ルジ加工の、何れの加工においても、鋼管内表面潤滑被
膜の剥離が発生した。この様な場合には、同時に、内面
加工治具に、剥離被膜の堆積が観察された。この剥離被
膜の堆積は、加工疵発生の原因となる。鋼管内表面の潤
滑被膜厚が1〜100μmの範囲にある、No43〜N
o48の6種類の鋼管内表面潤滑被膜厚鋼管の場合に
は、曲げ加工径拡大加工径絞り加工液圧バルジ
加工の、何れの加工においても、20本全数が、良品と
して加工でき、更に、内面治具には、かじり、焼付きの
発生も、剥離被膜の堆積も、全く観察されず、内面治具
初期の良好な表面が維持されていた。この結果から明ら
かなように、鋼管内表面の1〜100μmのウレタン系
潤滑被膜は、内面治具と被加工鋼管との潤滑効果におい
て非常に有効であり、適正であることが判る。また、自
動搬送ロボットのハンドによるクランプ試験では、No
41〜No50の何れの鋼管も、鋼管内表面のみにしか
潤滑被膜を塗布していないことから、クランプミスは全
く発生せず、良好なハンドリング性を示した。そこで更
に、比較例として、同板厚2.9mmのフェライト系ス
テンレス鋼帯を酸洗した後、その両面にウレタン系樹脂
をスプレーで塗布して、10種類の膜厚に造り分け、鋼
帯を熱風乾燥により約100℃まで昇温させ被膜を乾燥
させ、膜厚を表6に示す、0.4〜114μmの範囲に
変化させた、両面潤滑被膜鋼帯を製造した。次いで、こ
の両面潤滑被膜鋼帯を素材として、内外表面両面に潤滑
被膜を有するレーザー溶接鋼管(外形76.3mm、肉
厚2.9mm、長さ5.4m)を製造した。これらの、
内外表面両面潤滑被膜鋼管を長さ500mmに切断し
て、それぞれの10種類の膜厚の500mm短尺鋼管を
20本づつ用意し、自動搬送ロボットのハンドでクラン
プ試験を実施し、クランプミスの発生回数をカウントし
た。その結果を表6に示す。No53〜No60の何れ
の鋼管も、鋼管外表面にも膜厚1μm以上の潤滑被膜が
存在している為に、クランプミスが発生しており、ハン
ドリング性が悪いことが判る。以上の結果から、本発明
の管内表面高潤滑鋼管のみが、内面治具との良好な潤滑
性と、クランプミスの無い良好なハンドリング性の両立
を、達成できる手段であることが判る。
【0017】(実施例4)板厚2.9mmの鋼板両表面
にZnメッキを施した鋼帯(C:0.08%、Si:
0.2%、Mn:0.2%)の片面にスプレーにより、
リン酸被膜を施し、厚みを10種類の膜厚に造り分け、
表7に示す、0.2〜103μmの範囲に変化させた、
片面潤滑被膜鋼帯を製造した。次いで、この片面潤滑被
膜鋼帯の逆面にもスプレーにより0.8μmのリン酸被
膜を施して、片面の潤滑性が優れる、片面高潤滑鋼帯を
製造した。この片面高潤滑鋼帯を素材として、潤滑性の
優れる面が鋼管の内表面となるように成形し、電縫溶接
鋼管(外形76.3mm、肉厚2.9mm、長さ5.4
m)を製造した。但しこの鋼管の場合、鋼管の外表面に
も0.8μmのごく薄い被膜が、当然存在していること
になる。これらの、内面高潤滑鋼管を長さ500mmに
切断して、それぞれの10種類の膜厚の500mm短尺
鋼管を80本づつ用意し、実施例1と同様な4種類の内
面治具を用いる鋼管の加工を、各20本づつ施した。加
工後に、被加工鋼管の破断有無、管内面潤滑被膜の剥離
状況と、内面治具のかじり、焼付きの発生状況、剥離被
膜の内面治具への堆積状況を観察した。その結果を表7
に示す。更に、それぞれの膜厚の条件の鋼管を、長さ5
00mmに切断したもの20本を用いて、自動搬送ロボ
ットのハンドでクランプ試験を実施し、クランプミスの
発生回数をカウントした。その結果を表7に示す。No
61、No62の比較例のように、鋼管内表面の潤滑被
膜厚が、1μmより薄い場合には、曲げ加工では、被
加工鋼管に周方向破断が発生し、径拡大加工では、被
加工鋼管に爪部近傍からの長手方向破断が発生し、径
絞り加工では、被加工鋼管に周方向破断が発生し、液
圧バルジ加工では、長手方向破断が発生した。このよう
な場合には、同時に、内面加工治具に、かじり、焼付き
の発生が観察された。一方、No69、No70の比較
例の様に鋼管内表面の潤滑被膜が、100μmを超えて
厚い場合には、曲げ加工径拡大加工径絞り加工
液圧バルジ加工の、何れの加工においても、鋼管内表面
潤滑被膜の剥離が発生した。このような場合には、同時
に、内面加工治具に、剥離被膜の堆積が観察された。こ
の剥離被膜の堆積は、加工疵発生の原因となる。鋼管内
表面の潤滑被膜厚が1〜100μmの範囲にある、No
63〜No68の6種類の鋼管内表面潤滑被膜厚鋼管の
場合には、曲げ加工径拡大加工径絞り加工液圧
バルジ加工の、何れの加工においても、20本全数が、
良品として加工でき、更に、内面治具には、かじり、焼
付きの発生も、剥離被膜の堆積も、全く観察されず、内
面治具初期の良好な表面が維持されていた。この結果か
ら明らかなように、鋼管内表面の1〜100μmのリン
酸潤滑被膜は、内面治具と被加工鋼管との潤滑効果にお
いて、非常に有効であり、適正であることが判る。ま
た、自動搬送ロボットのハンドによるクランプ試験で
は、No61〜No70の何れの鋼管も、鋼管外表面の
潤滑被膜は薄く、不必要な潤滑性、「すべり」性は付与
されていない為、クランプミスは全く発生せず、良好な
ハンドリング性を示した。そこで更に、比較例として、
同板厚2.9mmの両表面Znメッキ鋼帯にスプレーで
両表面にリン酸被膜を施して、10種類の膜厚に造り分
け、膜厚を表8に示す、0.3〜105μmの範囲に変
化させた、両面潤滑被膜鋼帯を製造した。次いで、この
両面潤滑被膜鋼帯を素材として、内外表面両面に潤滑被
膜を有する電縫溶接鋼管(外形76.3mm、肉厚2.
9mm、長さ5.4m)を製造した。これらの内外表面
両面潤滑被膜鋼管を長さ500mmに切断して、それぞ
れの10種類の膜厚の500mm短尺鋼管を20本づつ
用意し、自動搬送ロボットのハンドでクランプ試験を実
施し、クランプミスの発生回数をカウントした。その結
果を表8に示す。No73〜No80の何れの鋼管も、
鋼管外表面に存在する膜厚1μm以上の潤滑被膜の潤
滑、「スベリ」効果の為に、クランプミスが発生してお
り、ハンドリング性が悪いことが判る。以上の結果か
ら、本発明の管内表面高潤滑鋼管のみが、内面治具との
良好な潤滑性と、クランプミスの無い良好なハンドリン
グ性の両立を、達成できる手段であることが判る。
【0018】(実施例5)板厚2.9mmの熱間圧延鋼
帯(炭素鋼;C:0.08%、Si:0.2%、Mn:
0.2%)を酸洗した後、その片面にA,B,Cの三種
類の無機系被膜形成液をスプレーで塗布して、その後乾
燥して10種類の生成量に造り分けた。AはMn酸化物
又はP酸化物、BはMn,Pに第二元素群(Ni,M
g,Fe,Co,Al)の1種又は2種又は3種からな
る酸化物、Cは、Ni,Fe,Co,Alの4種からな
る酸化物。生成量はいづれも化学分析した測定元素量で
ある。無機系被膜の金属元素としての生成量(含有金属
元素合計値)は、表9に示す、0.4〜1750mg/
2 の範囲である片面無機系潤滑被膜鋼帯を製造した。
次いで、この片面潤滑被膜鋼帯を素材として、この無機
系潤滑被膜の存在する面が鋼管の内表面となるように成
形し、電縫鋼管(外形76.3mm、肉厚2.9mm、
長さ5.4m)を製造した。これらの、管内面潤滑被膜
鋼管を長さ500mmに切断して、それぞれの10種類
の膜厚の500mm短尺鋼管を80本づつ用意し、以下
の4種類の内面治具を用いる鋼管の加工を、各20本づ
つ施した。加工後に、被加工鋼管の破断有無、管内面潤
滑被膜の剥離状況と、内面治具のかじり、焼付きの発生
状況、剥離被膜の内面治具への堆積状況を観察した。そ
の結果を表9に示す。4種類の内面治具を用いる鋼管加
工とは、実施例1と同様の 曲げ加工:曲げR=152.6mm(2D)で回転引
き曲げ加工実施 鋼管の偏防止の為、Φ=70mmの内
面治具(マンドレル)を使用 径拡大加工:外形D1=99mm(1.3D)へ爪形
状の内面治具を使用して径拡大加工実施 径絞り加工:外形D2=46mm(0.6D)へ押し
込みダイスを用いて径絞り加工実施 内面座屈防止の
為、内面治具(中子)を使用 液圧バルジ加工:外形D3=114mm(1.5D)
へ液圧を用いて径拡大加工実施 両管端のシールの為、
内面治具(ポンチ)を使用である。更に、それぞれの膜
厚の条件の鋼管を、長さ500mmに切断したもの20
本を用いて、自動搬送ロボットのハンドでクランプ試験
を実施し、クランプミスの発生回数をカウントした。そ
の結果を表9に示す。No81、No82の比較例の様
に、鋼管内表面の無機系潤滑被膜の生成量が、1mg/
2 より薄い場合には、曲げ加工では、被加工鋼管に
周方向破断が発生し、径拡大加工では、被加工鋼管に
爪部近傍からの長手方向破断が発生し、径絞り加工で
は、被加工鋼管に周方向破断が発生し、液圧バルジ加
工では、長手方向破断が発生した。このような場合に
は、同時に、内面加工治具に、かじり、焼付きの発生が
観察された。一方、No89、No90の比較例のよう
に鋼管内表面の無機系潤滑被膜の生成量が、1000m
g/m2 を超えて厚い場合には、曲げ加工径拡大加
工径絞り加工液圧バルジ加工の、何れの加工におい
ても、鋼管内表面潤滑被膜の剥離が発生した。このよう
な場合には、同時に、内面加工治具に、剥離被膜の堆積
が観察された。この剥離被膜の堆積は、加工疵発生の原
因となる。鋼管内表面の無機系潤滑被膜の生成量が1〜
1000mg/m2 の範囲にある、No83〜No88
の6種類の鋼管内表面潤滑被膜厚鋼管の場合には、曲
げ加工径拡大加工径絞り加工液圧バルジ加工の、
何れの加工においても、20本全数が、良品として加工
でき、更に、内面治具には、かじり、焼付きの発生も、
剥離被膜の堆積も、全く観察されず、内面治具初期の良
好な表面が維持されていた。この結果から明らかなよう
に、鋼管内表面の生成量が金属元素として1〜1000
mg/m2 の無機系潤滑被膜は、内面治具と被加工鋼管
との潤滑効果において、非常に有効であり、適正である
ことが判る。また、自動搬送ロボットのハンドによるク
ランプ試験では、No81〜No90の何れの鋼管も、
鋼管内表面のみにしか潤滑被膜を塗布していない事か
ら、クランプミスは全く発生せず、良好なハンドリング
性を示した。以上の結果から、本発明の管内面高潤滑鋼
管のみが、内面治具との良好な潤滑性と、クランプミス
の無い良好なハンドリング性の両立を達成できる手段で
あることが判る。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】
【表8】
【0027】
【表9】
【0028】
【発明の効果】本発明の管内面高潤滑鋼管を素材とし
て、曲げ加工、径拡大加工、径絞り加工、液圧バルジ加
工等の内面治具を用いる加工を行うことにより、内面治
具のかじり、焼付き、摩耗の問題を回避しながら、従来
の塗油、脱脂洗浄、塗装乾燥工程等を省略できる為、大
幅な工程省略効果が得られる。また、塗油を省略できる
事で、油垂れによる床面の汚染を防止できる為、作業環
境の向上にも寄与する。しかも、鋼帯状態で潤滑被膜を
塗布することから、膜厚1〜100μm又は金属元素と
して生成量1〜1000mg/m2 の潤滑被膜を非常に
均一に安定的に形成する事ができるので、内面治具のか
じり、焼付き、摩耗防止効果は絶大であり、鋼管の加工
における破断、座屈等の加工不良防止効果を安定的に得
られる。また、内面治具のかじり、焼付き、摩耗の低減
・防止効果は、この内面治具表面の手入れ、交換の頻度
・手間を大幅に低減できる事から、生産性を向上できる
効果をも有している。更に、鋼管外表面の潤滑性は内表
面より低くし、場合によっては、外表面には潤滑被膜を
施さない事で、ライン内でのハンドリング性において
も、従来の潤滑被膜を施していない鋼管と、同等あるい
は何ら変わること無くハンドリングできる為、ラインや
ロボットハンドに改造を加えること無く、従来のライン
で問題無く製造できるという、メリットも併せ持ってい
る。よって、本発明は、需要家において鋼管の内面に治
具を用いた加工を行う場合、塗油、ペイント塗装工程等
を省略することにより、これらの工程が原因で発生して
いる脱油洗浄工程、乾燥工程をも省略し、且つ、搬送工
程においてスリップ等の問題を生じないで、内面治具の
かじりや焼付き、磨耗を防止できる、内面潤滑性に優れ
た良加工性内面高潤滑鋼管及びその製造方法として業界
の発展に寄与するところ大きいものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 BB92Z CA09 DA15 DA19 DB02 DB04 DC01 DC05 DC11 DC18 EB01 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EB45 4H104 AA13A AA20A CB08A CB12A CB13A CE13A FA02 FA03 FA07 FA08 LA03 PA21 PA34 QA12 4K044 AA02 AA03 AB02 AB03 BA04 BA06 BA10 BA12 BA21 BB01 BB03 BC01 BC05 CA04 CA16 CA53

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼管の内表面に、膜厚1〜100μmの
    潤滑用の有機系被膜を有し、外表面よりも内表面の潤滑
    性を高めたことを特徴とする、良加工性内面高潤滑鋼
    管。
  2. 【請求項2】 鋼管の内表面に、金属元素として生成量
    1〜1000mg/m2 の潤滑用の無機系被膜を有し、
    外表面よりも内表面の潤滑性を高めたことを特徴とす
    る、良加工性内面高潤滑鋼管。
  3. 【請求項3】 上記請求項1に記載の鋼管の製造方法と
    して、鋼板の片面のみに、膜厚1〜100μmの潤滑用
    の有機系被膜を施し、この鋼板を素材として、該被膜を
    施した面が鋼管内面となるように造管、接合して製造す
    ることを特徴とする、良加工性内面高潤滑鋼管の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記請求項2に記載の鋼管の製造方法と
    して、鋼板の片面のみに、金属元素として生成量1〜1
    000mg/m2 の潤滑用の無機系被膜を施し、この鋼
    板を素材として、該被膜を施した面が鋼管内面となるよ
    うに造管、接合して製造することを特徴とする、良加工
    性内面高潤滑鋼管の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006272451A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Honda Motor Co Ltd 部品用の断面形状をもつ金属曲管およびその製造方法
JP2014521898A (ja) * 2011-08-04 2014-08-28 ティセンクルップ・ビルシュタイン・ゲーエムベーハー 軽量設計の車両用ショックアブソーバ

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