JP2001007367A - 薄膜太陽電池の製造方法および装置 - Google Patents

薄膜太陽電池の製造方法および装置

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JP2001007367A JP11179455A JP17945599A JP2001007367A JP 2001007367 A JP2001007367 A JP 2001007367A JP 11179455 A JP11179455 A JP 11179455A JP 17945599 A JP17945599 A JP 17945599A JP 2001007367 A JP2001007367 A JP 2001007367A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造時間の短縮,製品の歩留り向上および電
池特性の向上を図った薄膜太陽電池の製造方法および装
置を提供する。 【解決手段】 ヒータ33を内蔵する成膜部室のシール
部の周縁の壁体22に、熱媒体通流用の孔23を形成
し、前記シール部の温度を所定温度に調節可能にしてな
るステッピングロール方式の薄膜太陽電池の製造装置に
おいて、例えば、前記熱媒体をヒータ33により加熱
し、成膜室の外部に設けた冷却用熱交換器により冷却し
て、シール部の温度が所定温度となるように装置を構成
し、光電変換層を成膜する際に、前記シール部の温度を
50℃以上に保ち、薄膜光電変換素子形成終了後に前記
製造装置を大気開放する前に、前記成膜室にガスを導入
して冷却し、その後、大気開放して薄膜光電変換素子を
装置外に取り出すこととする。また、光電変換層形成前
に基板を230℃以上に3分以上加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、薄膜太陽電池の
製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、環境保護の立場から、クリーンな
エネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽
電池はその資源(太陽光)が無限であること、無公害で
あることから注目を集めている。
【0003】薄膜太陽電池は、薄型で軽量、製造コスト
の安さ、大面積化が容易であることなどから、今後の太
陽電池の主流となると考えられる。
【0004】従来の薄膜太陽電池はガラス基板を用いて
いたが、軽量化、施工性、量産性においてプラスチック
フィルムおよび金属フィルムを用いたフレキシブルタイ
プの太陽電池の研究開発がすすめられている。このフレ
キシブル性を生かし、ロールツーロール方式またはステ
ッピングロール方式の製造方法により大量生産が可能と
なった。
【0005】上記の薄膜太陽電池は、電気絶縁性を有す
る可撓性フィルム基板上に、第1電極(以下、下電極と
もいう)、薄膜半導体層からなる光電変換層および第2
電極(以下、透明電極ともいう)が積層されてなる光電
変換素子(またはセル)が複数形成されている。ある光
電変換素子の第1電極と隣接する光電変換素子の第2電
極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初
の光電変換素子の第1電極と最後の光電変換素子の第2
電極とに必要な電圧を出力させることができる。例え
ば、インバータにより交流化し商用電力源として交流1
00Vを得るためには、薄膜太陽電池の出力電圧は10
0V以上が望ましく、実際には数10個以上の素子が直
列接続される。
【0006】このような光電変換素子とその直列接続
は、電極層と光電変換層の成膜と各層のパターニングお
よびそれらの組み合わせ手順により形成される。少数の
光電変換素子を直列接続した薄膜太陽電池により従来技
術を説明する(特願平9−37207号参照)。
【0007】図10は、上記特許出願明細書に記載され
た薄膜太陽電池の一例を示し、(a)は平面図、(b)
は(a)における線ABCDおよびBQCに沿っての断
面図であり、(c)は(a)におけるEE断面図を示
す。
【0008】電気絶縁性でフレキシブルな樹脂からなる
長尺のフィルム基板上に、順次、第1電極層、光電変換
層、第2電極層が積層され、フィルム基板の反対側(裏
面)には第3電極層、第4電極層が積層され、裏面電極
が形成されている。光電変換層は例えばアモルファスシ
リコンのpin接合である。フィルム基板用材料として
は、ポリイミドのフィルム、例えば厚さ50μmで、幅
500mm,長さ200mのフィルムが用いられてい
る。
【0009】フィルムの材質としては、他に、ポリエチ
レンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(P
ES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはア
ラミド系のフィルムなどを用いることができる。
【0010】次に、製造工程の概要につき以下に説明す
る。
【0011】先ず、フィルム基板にパンチを用いて、例
えば、直径1.5mmの接続孔h1を開け、基板の片側
(表側とする)に第1電極層として、スパッタにより銀
を、例えば100nmの厚さに成膜し、これと反対の面
(裏側とする)には、第3電極層として、同じく銀電極
を成膜する。接続孔h1の内壁で第1電極層と第3電極
層とは重なり、導通する。
【0012】電極層としては、銀(Ag)以外に、Al,C
u,Ti等の金属をスパッタまたは電子ビーム蒸着等によ
り製膜しても良く、金属酸化膜と金属の多層膜を電極層
としても良い。厚さは、50nmから1000nmが適
当である。
【0013】成膜後、表側では、第1電極層を所定の形
状にレーザ加工して、下電極l1〜l6をパターニング
する。下電極l1〜l6の隣接部は一本の分離線g2
を、二列の直列接続の光電変換素子間および周縁導電部
fとの分離のためには二本の分離線g2を形成し、下電
極l1〜l6は分離線により囲まれるようにする。再度
パンチを用いて、集電孔h2を開けた後、表側に、光電
変換層pとしてa-Si層をプラズマCVDにより成膜す
る。マスクを用いて幅W2の成膜とし、レーザ加工によ
り二列素子の間だけに第1電極層と同じ分離線を形成す
る。
【0014】さらに第2電極層として表側に透明電極層
(ITO層)を成膜する。但し、二つの素子列の間とこ
れに平行な基板の両側端部にはマスクを掛け接続孔h1
には成膜しないようにし、素子部のみに成膜する。透明
電極層としては、ITO(インシ゛ウムスス゛オキサイト゛)以外に、Sn
O2、ZnOなどの酸化物導電層を用いることができる。
【0015】次いで裏面全面に第4電極層として銀電極
を成膜する。第4電極の成膜により、集電孔h2の内壁
で第2電極と第4電極とが重なり、導通する。表側で
は、レーザ加工により下電極と同じパターンの分離線を
入れ、個別の第2電極u1〜u6を形成し、裏側では第
3電極と第4電極とを同時にレーザ加工し、接続電極e
12〜e56、および電力取り出し電極o1,o2を個
別化し、基板の周縁部では表側の分離線g3と重なるよ
うに分離線g2を形成し、隣接電極間には一本の分離線
を形成する。
【0016】全ての薄膜太陽電池素子を一括して囲う周
縁、および二列の直列接続太陽電池素子の隣接する境界
には(周縁導電部fの内側)分離線g3がある。分離線
g3の中にはどの層も無い。裏側では、全ての電極を一
括して囲う周縁、および二列の直列接続電極の隣接する
境界には(周縁導電部fの内側)分離線g2がある。分
離線g2の中にはどの層も無い。
【0017】こうして、電力取り出し電極o1−集電孔
h2−上電極u1、光電変換層、下電極l1−接続孔h
1−接続電極e12−上電極u2、光電変換層、下電極
l2−接続電極e23−・・・−上電極u6、光電変換
層、下電極l6−接続孔h1−電力取出し電極o2の順
の光電変換素子の直列接続が完成する。
【0018】なお、第3電極層と第4電極層は電気的に
は同一の電位であるので、以下の説明においては説明の
便宜上、併せて一層の接続電極層として扱うこともあ
る。
【0019】さらに続いて、前述の薄膜太陽電池の構造
と製造方法に関し、この発明の説明の便宜上、この発明
に関係の深い部分に限定かつ簡略化して、以下に述べ
る。
【0020】図11は、プラスチックフィルムを基板と
した可撓性薄膜太陽電池の斜視図を示す。基板61の表
面に形成した単位光電変換素子62および基板61の裏
面に形成した接続電極層63はそれぞれ複数の単位ユニ
ットに完全に分離され、それぞれの分離位置をずらして
形成されている。このため、素子62のアモルファス半
導体部分である光電変換層65で発生した電流は、まず
透明電極層66に集められ、次に該透明電極層領域に形
成された集電孔67(h2)を介して背面の接続電極層
63に通じ、さらに該接続電極層領域で素子の透明電極
層領域の外側に形成された直列接続用の接続孔68(h
1)を介して上記素子と隣り合う素子の透明電極層領域
の外側に延びている下電極層64に達し、両素子の直列
接続が行われている。
【0021】上記薄膜太陽電池の簡略化した製造工程を
図12(a)から(g)に示す。プラスチックフィルム7
1を基板として(工程(a))、これに接続孔78を形
成し(工程(b))、基板の両面に第1電極層(下電
極)74および第3電極層(接続電極の一部)73を形
成(工程(c))した後、接続孔78と所定の距離離れ
た位置に集電孔77を形成し、さらにレーザビームを用
いて電極層のパターニングを行う(工程(d))。次
に、第1電極層74の上に、光電変換層となる半導体層
75および第2電極層である透明電極層76を順次形成
するとともに(工程(e))および工程(f))、第3電
極層73の上に第4電極層(接続電極層)79を形成す
る(工程(g))。この後、レーザビームを用いて、基
板71の両側の薄膜を分離加工して図11に示すような
直列接続構造を形成する。
【0022】なお、図12においては、集電孔h2内に
おける透明電極層76と第4電極層79との接続をそれ
ぞれの層を重ねて2層で図示しているが、前記図10お
よび図11においては、電気的に一層として扱い、1層
で図示している。
【0023】上記薄膜太陽電池の製造方法としては、前
述のように、ロールツーロール方式またはステッピング
ロール方式がある。両方式共に、複数のロールによる基
板搬送手段を備え、前者は各成膜室内を連続的に移動す
る基板上に連続的に成膜する方式であり、後者は各成膜
室内で同時に停止させた基板上に成膜し,成膜の終わっ
た基板部分を次の成膜室へ送り出す方式を採用してい
る。
【0024】ステッピングロール方式の成膜装置は、隣
接する成膜室間のガス相互拡散を防止できることから各
薄膜の特性が安定して得られるなどの点で優れており、
その装置の構成は、例えば、特開平6−291349号
公報、特開平7−6953号公報、特開平7−2210
25号公報、特開平8−250431号公報、特開平8
−293491号公報、特開平9−63970号公報、
特願平9−304008号、特願平10−368782
号等に記載されている。これらの要点については後述す
るが、ステッピングロール方式の成膜装置の概要につい
て、以下に述べる。
【0025】図13に、共通真空室内に成膜室を複数有
するステッピングロール成膜方式の薄膜製造装置の構成
の概略を示す。図13に示す装置は、可撓性基板の巻出
し用アンワインダー室290と、前記基板に金属電極
層,光電変換層および透明電極層などの薄膜を形成する
ために設けられた複数個の独立した処理空間としてなる
成膜室280と、巻取り用ワインダー室291とを備
え、基板201はコア282から捲き出されコア283
にまきとられる間に、複数の成膜室280で成膜される
ように構成されている。共通室281は複数の成膜室2
80を内部に収めている。
【0026】成膜室ではスパッタ成膜またはプラズマ化
学気相成長法(以下プラズマCVD法と記す)により成
膜が行われる。例えば、プラズマCVD法により成膜す
るステッピングロール方式では、成膜室開放−基板1フ
レーム移動−成膜室封止−原料ガス導入−圧力制御−放
電開始−放電終了−原料ガス停止−ガス引き−成膜室開
放からなる操作が繰り返される。
【0027】図14に、前記特開平8−250431号
公報に記載された成膜室の概略構造の一例を示す。図1
4(a)、(b)はそれぞれ、成膜室の開放時および封
止時の概略断面図を示す。断続的に搬送されてくる可撓
性基板10の上下に函状の下部成膜部室壁体21と上部
成膜部室壁体22とを対向配置し、成膜室の封止時に
は、下部成膜部室と上部成膜部室からなる独立した処理
空間を構成するようになっている。この例においては、
下部成膜部室は電源40に接続された高電圧電極31を
備え、上部成膜部室は、ヒータ33を内蔵した接地電極
32を備える。
【0028】成膜時には、図14(b)に示すように、
上部成膜部室壁体22が下降し、接地電極32が基板1
0を抑えて下部成膜部室壁体21の開口側端面に取付け
られたシール部材50に接触させる。これにより、下部
成膜部室壁体21と基板10とから、排気管61に連通
する気密に密閉された成膜空間60を形成する。上記の
ような成膜室において、高電圧電極31へ高周波電圧を
印加することにより、プラズマを成膜空間60に発生さ
せ、図示しない導入管から導入された原料ガスを分解し
て基板10上に膜を形成することができる。
【0029】次に、前述のステッピングロール方式の成
膜装置に関する従来技術について、開示された内容の要
点を以下に述べる。
【0030】特開平6−291349号公報は、ステッ
ピングロール方式成膜装置およびこの装置を用いた薄膜
光電変換素子の製造方法を開示している。帯状可撓性基
板の上に複数の異なる性質の薄膜を積層して光電変換素
子を形成する薄膜光電変換素子の製造方法において、一
つの共通真空室の中に配列された複数の成膜室に可撓性
基板を通し、基板の出入口を基板にシール材を介して壁
によって気密に保たれた成膜室内の所定の真空雰囲気内
で停止した状態の基板の表面上に成膜し、ついで成膜室
壁から離した状態の基板を次の成膜位置まで搬送する操
作を繰り返すことを開示している。そして、基板面が鉛
直面内にあることが有効である旨記載している。
【0031】また、成膜室内で基板に接触する電極と基
板の成膜面に対向する電極との間に電圧を印加して成膜
し、基板搬送時に基板に接触していた電極を基板より離
すことが有効である旨記載している。用いられる基板
は、一面に導電膜を被着した樹脂フィルムであるか、金
属フィルムであるか、あるいは一面に絶縁膜を介して導
電膜を被着した金属フィルムに適用できることを記載し
ている。
【0032】さらに、帯状可撓性基板の上に複数の異な
る性質の薄膜を積層して光電変換層を形成する薄膜光電
変換素子の製造装置において、共通真空室の長手方向の
両端近くにそれぞれ配置されたロールを備え、その共通
真空室内を一方のロールから巻きほぐされた方のロール
へ巻き取ることのできる可撓性基板が通る複数の成膜室
を有し、各成膜室は基板の出入口で基板にシール材を介
して密着する壁によって区切られ、その成膜室壁のシー
ル材は基板から離れる位置まで退避可能であり、共通真
空室および各成膜室がそれぞれ別個の排気系に接続され
たものとする。そして、各成膜室に基板に接触し、基板
から離れた位置まで退避可能の電極と、その電極の対向
電極とを備えることを記載している。また、両ロールの
軸および両電極の電極面が鉛直であることが有効である
旨記載している。
【0033】特開平7−6953号公報は、互いに平行
に対向する二つの平板電極の一方に高周波電極を印加
し、他方を設置して両電極間の成膜室空間内にプラズマ
を発生させ、反応ガスを分解して基板上に薄膜を堆積さ
せるプラズマCVD法において、反応空間を平行平板電
極と側壁とによって囲み、高周波電極の共通室空間側を
1×10-3Torr以下の真空に接触させる、あるいは、高周
波電極の共通室空間側を大気に接触させるものであり、
このプラズマCVD法により高周波電極背面での放電を
防ぎ、放電の均一性が得られて膜質を向上させることが
できることを開示している。また、一つの真空室内に放
電を封じ込めた成膜室を複数置き、真空室内で送り出
し、巻き取りの行われる可撓性基板上に順次成膜すれ
ば、ロールツーロール方式装置のようにバッファー真空
室を設ける必要がなく、装置全体のコンパクト化、軽量
化を図ることができると共に、大幅な製造コストの低減
が可能となることを開示している。
【0034】特開平7−221025号公報は、搬送さ
れてくる可撓性基板を成膜室のそれぞれ函状の壁体を有
する二つの部分の開口側の間に停止させ、基板を成膜室
の両部分の壁体の開口側端面間にはさみ、成膜室の一方
の部分および基板により囲まれた成膜空間をその空間に
連通する排気口から真空にし、その空間内の電極と成膜
室の他方の部分および基板により囲まれた空間内の電極
との間に電圧を印加して成膜する薄膜光電変換素子の製
造装置において、成膜室の各部分および基板により囲ま
れた両空間に連通する通気路を備えたもので、その通気
路が可撓性配管であること、成膜室の両部分の壁体の開
口側の可撓性基板の通らない箇所に設けられた部分に対
して開けられ成膜時に成膜室外と気密に隔離されて連通
する開口部よりなるものを開示している。この製造装置
により、排気口を設けない側の空間のガス溜まりを防ぐ
ことができ、常に新鮮な原料ガスが供給されるクリーン
な成膜を実現できる。また、同一成膜室で複数の種類の
半導体層を形成しても残ガスの影響の少ない成膜を実現
できることを開示している。
【0035】特開平8−250431号公報は、可撓性
基板を函状の成膜室壁体の開口周囲の端面に密着させ、
壁体と基板とにより囲まれた成膜空間を真空にし、この
空間内に収容された電極に電圧を印加して基板上に薄膜
を形成する薄膜光電変換素子の製造方法において、基板
の成膜面外周を成膜室壁体の開口周囲の端面状で放射状
に摺動させ、かつ、基板を電極と反対側に位置する押圧
体により電極側に向けて押圧することによって基板のし
わを伸ばした上で成膜するもので、特に押圧体として成
膜空間内に収容された電極の対向電極を用いることが有
効である旨記載している。
【0036】また、成膜空間を囲み、電圧が印加される
電極が収容された成膜室の函状壁体の開口に対向する開
口を有し、成膜室壁体に方向に駆動可能の第2の函状壁
体の端面に、成膜室の壁体に密着する可撓性基板の面に
対して外方に向けて傾斜した弾性のある唇状体を備え、
第2の壁体内に収容された対向電極が、その表面で基板
を押圧しながら成膜室の壁体の開口面より内側まで駆動
可能であることにより、可撓性基板のしわを伸ばして成
膜すれば、成膜パターンのずれが起きず、膜厚の均一な
成膜が可能であることを開示している。
【0037】特開平8−293491号公報は、並行し
て搬送される2列の可撓性基板の間に第1電極、この第
1電極に対向して各基板の外側にそれぞれ第2電極を配
置し、第1電極と各基板の間に形成される成膜空間に第
1、第2電極間への電圧印加によって放電を発生させる
ことにより、各基板の一面上に薄膜を形成する薄膜光電
変換素子の製造装置において、それぞれの基板に対して
各1個の第1電極を備え、第1電極が基板面に平行な背
面部が絶縁体によって連結されている。各第1電極の背
面部に開口を有し、両第1電極の背面部を連結する絶縁
体に前記開口に連通する貫通孔が開けられ、この貫通孔
の内面に真空排気口が開口している。第1電極の端面に
は基板と密着可能のシール材が被着している。
【0038】また、搬送される可撓性基板の両側に電圧
印加電極および接地電極を配置し、電圧印加電極と基板
間に形成される成膜空間に電圧印加電極への電圧印加に
よって放電を発生させることにより基板の一面上に薄膜
を形成する薄膜光電変換素子の製造装置において、電圧
印加電極は平板状で基板に気密に接触可能の端面をもつ
導電性枠体に絶縁して気密に結合され、電圧印加電極の
背面および側面を囲む導電性シールド体が導電性枠体と
導電的に結合され、かつ接地されている。また、並行し
て搬送される2列の可撓性基板をそれぞれはさんで基板
の内側の電圧印加電極と外側の接地電極とが対向して配
置され、両電圧印加電極がシールド体を貫通する絶縁体
によって連結されている。各電圧印加電極に開口を有
し、両電圧印加電極を連結する絶縁体に前記開口に連通
する貫通孔が開けられ、この貫通孔の内面に真空排気口
が開口している。このような薄膜光電変換素子の製造装
置により、並行して搬送される2列の可撓性基板に対す
る成膜をそれぞれに対して備えた第1、第2電極間への
電圧印加により行うことにより、双方の成膜条件を別個
に制御することが可能になり、基板間の成膜の差異を減
少させることができ、そして、2つの第1電極を絶縁体
を介して連結して両基板の間に配置すると共に、基板の
端面が気密に接触して成膜空間を形成できるようにして
薄膜光電変換素子の製造装置の大型化を防ぐ方法を開示
している。
【0039】また、高電圧を印加する電極の背後および
側面を囲むシールド体と、その基板側に絶縁して結合さ
れ、基板との間に成膜空間を作る導電性枠体によってシ
ールドすることにより、1列の可撓性基板に順次成膜す
る複数の成膜室の基板搬送方向の配列、複数列の可撓性
基板への並行して成膜する複数の成膜室の基板搬送方向
に対して横方向の配列を、成膜室間隔を狭くして行うこ
とができ、従って、複数の薄膜の積層する必要がある薄
膜光電変換素子の製造装置の小型化が図れることを開示
している。
【0040】特開平9−63970号公報は、可撓性基
板の函状の成膜室壁体の開口周囲の端面と弾性をもつシ
ール部材を介して密着させ、壁体と基板とにより囲まれ
た成膜室内を真空にし、この空間内に収容された電極に
電圧を印加して基板上に薄膜を形成するための薄膜素子
の製造装置において、シール部材がフッ素樹脂よりなる
ものを開示し、このフッ素樹脂は、高分子材料あるいは
金属よりなる可撓性基板の表面と粘着性がフッ素ゴム等
より少ないため、基板搬送を妨げる粘着が生じない旨記
載している。
【0041】また、同じく可撓性基板を函状の成膜室壁
体の開口周囲の端面と弾性をもつシール部材を介して密
着させ、壁体と基板とに囲まれた成膜室内を真空にし、
この空間内に収容された電極に電圧を印加して基板上に
薄膜を形成するための薄膜素子の製造装置において、シ
ール部材の可撓性基板と接触面が、弾性のある母材より
も基板に対する粘着力が少ない材料よりなる表面膜によ
って覆われたものについても開示している。
【0042】さらに、可撓性基板を函状の成膜室壁体の
開口周囲の端面と弾性をもつシール部材を介して密着さ
せ、壁体と基板とにより囲まれた成膜室内を真空にし、
この空間内に収容された電極に電圧を印加して基板上に
薄膜を形成する薄膜素子の製造方法において、薄膜を形
成し、成膜室壁体端面を基板に密着させる圧力を解除し
た後、基板を一面側から他面側に向けて押圧し、これに
より、シール部材に粘着した基板を外すことを開示して
いる。
【0043】特願平9−304008号は、一つの共通
真空槽の中に、可撓性基板を搬送する搬送系と、この可
撓性基板上に薄膜を成膜する手段を備えた1ないし複数
の成膜室を有し、各成膜室は可撓性基板を境界とする開
口部を有する2つの成膜部室からなり、各開口部にはシ
ール部が設けられており、各シール部が基板を挟んで合
致して成膜室と共通真空槽との間が気密となる薄膜製造
装置において、前記シール部は金属またはセラミック等
の無機材料からなるものを開示している。
【0044】また、一方の成膜部室の開口部のシール部
は金属からなる箔または板であり、成膜部室の外方に向
けて傾斜した弾性のある唇状体であることも開示してい
る。
【0045】さらに、一つの共通真空槽の中に、可撓性
基板を搬送する搬送系と、この可撓性基板上に薄膜を成
膜する手段を備えた1ないし複数の成膜室を有し、各成
膜室は可撓性基板を境界とする開口部を有する2つの成
膜部室からなり、各開口部にはシール部が設けられてお
り、各シール部が基板を挟んで合致して成膜室と共通真
空槽との間が気密となる薄膜製造装置であって、一方の
成膜室部が高電圧電極とその周縁のシール部からなる薄
膜製造装置において、前記成膜室の前記高電圧電極と実
効的に接地電位となる部分との間の絶縁物として可撓性
絶縁性シートを用いるものについても開示している。
【0046】特願平10−368782号では、可撓性
基板を函状の成膜室壁体の開口周囲の端面に密着させて
気密に保ち、壁体と基板とにより囲まれた成膜空間に原
料となるガスを導入し、この空間に収容された電極に電
圧を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜半導体製造装
置において、成膜時に膜空間に面して基板と接する成膜
室壁体の開口周囲の温度を50℃以上にすることによ
り、パウダーの発生が抑制される旨を開示している。
【0047】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のよう
に、ステッピングロール方式成膜装置に関しては、その
構造等が多数開示されているものの、ステッピングロー
ル方式成膜装置を用いた薄膜太陽電池の製造方法の詳細
に関しては、開示されていない。
【0048】薄膜太陽電池の製造方法においては、量産
性を考慮して、製造プロセス全体にわたり、各プロセス
の所要時間を低減すること、不良の発生を防止し製品の
歩留りを向上させること、製品の特性向上を図ることが
重要であるが、これらに関連する事項については、前述
の従来技術に関わる公報または出願明細書には、あまり
記載されていないかあるいは十分な記載がない。
【0049】この発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、本発明の課題は、製造時間の短縮,製品の歩留り
向上および電池特性の向上を図った薄膜太陽電池の製造
方法および装置を提供することにある。
【0050】
【課題を解決するための手段】前述の課題を達成するた
め、この発明はまず、一つの真空槽からなる共通室の内
部に、電気絶縁性を有する可撓性基板の巻出し用アンワ
インダー室と、前記基板に金属電極層,光電変換層およ
び透明電極層などの薄膜を形成するために設けられた複
数個の独立した処理空間としてなる成膜室と、巻取り用
ワインダー室とを備え、前記各成膜室は前記可撓性基板
を境界とする開口部を有する二つの成膜部室からなり、
少なくとも前記一方の成膜部室には加熱用のヒータを内
蔵してなり、また、前記開口部にはシール部が設けら
れ、このシール部で前記可撓性基板を挟むことにより成
膜室と前記共通室との間が気密となるようにしてなる薄
膜太陽電池の製造装置により、可撓性基板上に、金属電
極層,光電変換層および透明電極層を重ねて形成してな
る薄膜太陽電池の製造方法において、可撓性基板上に薄
膜光電変換素子を形成する前に,前記成膜室にガスを導
入して予め成膜室を加熱する工程と、正規に薄膜光電変
換素子を成膜する前に,製造開始時にアンワインダー室
から巻き出された先頭部分の基板上に薄膜光電変換素子
の予備的成膜を施す予備成膜工程とを含むこととする
(請求項7)。
【0051】上記方法において、成膜室に予め導入する
ガスは、H2を主体とするガスであることとし(請求項
8)、また、前記予備成膜工程におけるヒータの加熱温
度は、正規に薄膜光電変換素子を成膜する際の加熱温度
よりも10℃から50℃高いこととする(請求項9)。
【0052】予め成膜室を加熱する工程と薄膜光電変換
素子の予備成膜工程とを含む上記方法を採用することに
より、製造開始当初から、変換効率の高い太陽電池の製
造が可能となり、製品の歩留りが向上する。
【0053】また、請求項1ないし4のいずれかの発明
の製造装置を用いて、請求項5または6の製造方法を採
用することにより、パウダーの発生を抑止して基板への
パウダーの付着を防止し、かつ製造時間の短縮を図るこ
とができる。
【0054】請求項1によれば、一つの真空槽からなる
共通室の内部に、可撓性基板の巻出し用アンワインダー
室と、前記基板に金属電極層,光電変換層および透明電
極層などの薄膜を形成するために設けられた複数個の独
立した処理空間としてなる成膜室と、巻取り用ワインダ
ー室とを備え、前記各成膜室は前記可撓性基板を境界と
する開口部を有する二つの成膜部室からなり、少なくと
も前記一方の成膜部室には加熱用のヒータを内蔵してな
り、また、前記開口部にはシール部が設けられ、このシ
ール部で前記可撓性基板を挟むことにより成膜室と前記
共通室との間が気密となるようにしてなり、さらに、少
なくとも一つの成膜室の前記ヒータを内蔵する成膜部室
のシール部の周縁の壁体には、熱媒体通流用の孔が形成
され、この孔の内部に熱媒体を通流することにより、前
記シール部の温度を所定温度に調節可能にしてなるステ
ッピングロール方式の薄膜太陽電池の製造装置におい
て、前記熱媒体は、前記ヒータにより加熱され、前記成
膜室の外部に設けた冷却用熱交換器により冷却されて前
記シール部の温度が所定温度となるように構成したもの
とする。
【0055】上記のものにおいて、前記シール部の温度
調節を可能にしてなる成膜室は、プラズマCVDにより
成膜を行う成膜室であるものとする(請求項2)。ま
た、前記シール部の温度調節を可能にしてなる成膜室の
ヒータを内蔵する成膜部室のシール部の周縁の壁体は、
アルミニウムを主要構成材料とし、壁体に設けられた孔
に通流される熱媒体は、純水であるものとする(請求項
3)。さらに、前記シール部の温度調節範囲は、15〜
100℃であるものとする(請求項4)。
【0056】前記請求項5の方法は、上記請求項1ない
し4のいずれかに記載の薄膜太陽電池の製造装置によ
り、可撓性基板上に、金属電極層,光電変換層および透
明電極層を重ねて形成してなる薄膜太陽電池の製造方法
において、前記光電変換層を成膜する際に、前記シール
部の温度を50℃以上に保ち、薄膜光電変換素子形成終
了後に前記製造装置を大気開放する前に、前記成膜室に
ガスを導入して冷却し、その後、大気開放して薄膜光電
変換素子を装置外に取り出すこととする。
【0057】上記方法において、前記成膜室にガスを導
入して冷却する際に、前記シール部を、成膜時のシール
部の温度よりも低い温度に冷却することとする(請求項
6)。
【0058】さらに、請求項10ないし15のいずれか
の発明によれば、変換効率の高い優れた電池特性を有す
る薄膜太陽電池の製作が可能となる。
【0059】請求項10によれば、可撓性基板上に、金
属電極層,光電変換層および透明電極層を順次重ねて形
成してなる薄膜太陽電池の製造方法において、前記光電
変換層形成前に基板を230℃以上に加熱することとす
る。
【0060】上記方法において、基板を230℃以上に
加熱する時間は、3分以上であることとする(請求項1
1)。
【0061】また、請求項12の発明によれば、可撓性
基板上に、金属電極層,光電変換層および透明電極層を
順次重ねて形成してなる薄膜太陽電池の製造方法におい
て、前記光電変換層形成前に基板を加熱する工程を含
み、この基板を加熱する工程の温度が、光電変換層の実
質的に真性となる層(i層)の形成温度よりも20℃以
上高いこととする。
【0062】上記方法において、基板を加熱する時間
は、3分以上であることとする(請求項13)。また、
前記方法において、基板を加熱する工程は、熱伝導性の
良好なH2を主体とするガス雰囲気中で行うこととする
(請求項14)。さらに、前記方法において、可撓性基
板は、耐熱性の良好なポリイミドとする(請求項1
5)。
【0063】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
に述べる。以下に述べる実施例および比較例における薄
膜太陽電池の構成および製造方法の基本は、図10ない
し14を用いて説明したとおりである。なお、基板はポ
リイミドを用い、基板の幅は約500mm、厚さ約50μm、長
さ約200mである。
【0064】この基板に直径1.5mmの貫通孔(接続孔
および集電孔を開けた。貫通孔の開け方は、本実施例で
は、パンチにより機械的に開けた。透明電極層(IT
O)以外の金属電極層はAgの単体とし、DCスパッタ
リング法により形成した。
【0065】(実施例1)基本的な製造方法は、前記図
12に記載した方法であるが、前記工程e,f,gの光
電変換層、透明電極層、および接続電極層の形成方法の
詳細は以下に述べるとおりである。形成した薄膜光電変
換素子は、a−Siを主構成材料とするnipnipの
積層構造を有するタンデム型セルである。
【0066】工程dまでで作製された金属電極層付き基
板は、図13に示される薄膜製造装置に取り付けられ
た。送りコア282と巻き取りコア283間の基板の張
力は、図示されていない張力制御装置により制御した。
次に真空引きをしながら、それぞれのCVD室、スパッ
タ室のヒーター温度を薄膜光電変換素子の各成膜層の温
度と同じ、あるいは、10℃から50℃程度高い温度に
設定して、ヒーターが設定温度に到達した状態で共通室
圧力が6×10-3Pa以下の圧力になるまで真空引きを行っ
た(工程1)。
【0067】図1は、CVD室の基板と合致して成膜室
を形成する可撓性基板を境界とする開口部を有する二つ
の成膜部室、即ち基板10より上側のヒーター室と下側
の電極室のシール部を拡大して示す図である。図1
(a)は、シール前の状態、図1(b)は、シール後の
状態を示す。ヒーター室のシール部の周縁の壁体22に
は、リップ7がその取付け部材を介して取り付けられ、
また、シール部材8,9も取り付けられている。壁体2
2には、くり貫かれた孔23が形成されており、この内
部に温度調節された熱媒体である水、オイル等の液体を
通ずることによりシール部の温度を所定の温度に調節す
ることができるように構成されている。本実施例では、
熱媒体として純水を用いた。ヒーター室の壁体22には
熱伝導の良いAlを主構成材料として用いているため、
シール部の温度を液体の温度で再現性良く容易に制御で
きる。
【0068】シール部に通ずる液体の温度は、15℃〜
100℃まで制御可能である。冷却する場合の液体温度
制御は、図示しない冷却水を用いた熱交換器との熱交換
により行った。加熱する高温側の液体温度制御は、成膜
室のヒーターにより加熱されたヒーター室壁体との熱交
換により行った。温度調節された液体は、共通のタンク
から各成膜室のシール部に流されるため、各成膜室のシ
ール部に流す液体の入口側の温度はほぼ同じである。ま
た、タンクとシール部入口側までの配管は断熱材によっ
て保温されているため、両者の場所での液体の温度はほ
ぼ同じである。また、純水の純度は、純水をイオン交換
樹脂に通ずることにより維持した。
【0069】前記工程1においては、図1に示される成
膜室のシール部に流す純水の入り口側の温度設定は75
℃とした。しかしながら、真空中では輻射でしかヒータ
ー室壁体が加熱されないため、シール部に通ずる液体の
温度は42℃までしか上昇しなかった。
【0070】次に、各成膜室のヒーター室と電極室を合
致させて各々個別の成膜空間を作り、各成膜室の真空排
気ポンプで1×10-3Paまで真空引きを行った(工程
2)。
【0071】次に、各CVD室では、この状態でH2
スを導入し、圧力を133Paにして4時間保った。H2ガス
の流量はCVD室の大きさにより調整可能で、所定の圧
力が維持できれば良い。本実施例では10sccmから500scc
m程度とした。また、圧力は各層を形成する圧力と同程
度、あるいは高い方が良い。H2ガスを成膜室に導入す
ることにより、H2ガスの熱伝導により、真空である場
合よりも効率的に成膜室の各部の温度がヒーターからの
熱で上昇する。これにより成膜室壁面や基板に表面吸着
した水分、二酸化炭素、窒素等の吸着成分が脱離し易く
なる。また、H 2ガスを導入している間に電極間に高電
圧を印加するのも良い。この場合、放電空間にさらされ
ている成膜室壁面や基板に吸着しているガスは分解さ
れ、いっそう脱離し易くなる。H2を導入している時間
は装置の大きさによって異なるが、成膜室の各部の温度
がおおよそ安定する時間が良い。本実施例の場合では、
約3時間で成膜室の各部の温度が安定した。本工程の際
には、図1 に示される成膜室のシール部に流す純水の
入り口側温度は75℃にした。この時の出口側での純水
の温度は92℃であった。本実施例では、成膜室に導入
するガスとしてH2ガスを用いたが、H2を主成分とする
混合ガスを用いても良い。混合ガスを用いる際には、H
2の分圧が15Pa以上であることが有効である。また、H2
以外のガスでは、Ar、He、Ne、Xe等の不活性ガ
スでも良い(工程3)。
【0072】次に、H2ガスの導入をやめて、各成膜室
の真空排気用ポンプで1×10-3Paまで真空引きを行った
(工程4)。
【0073】その後、SiH4とH2の流量を1:1とし
た混合ガスを成膜室に導入し、圧力27Paで30分間の予
備的成膜を行った。予備的成膜終了後、原料ガスの導入
をやめ、成膜室を高真空排気用ポンプで8×10-4Paまで
真空排気した。成膜室壁体にa−Si膜を成膜すること
によりいっそう成膜室壁体からの不純物の脱離を抑制で
きる。このあらかじめ成膜する予備的成膜条件では、圧
力と放電パワーの組み合わせで正規の各層の成膜条件よ
りも放電が広がる条件が良い。このように薄膜光電変換
素子の各層を形成する前に、あらかじめ成膜室壁体をa
−Si膜でコーティングすることにより、実際に正規に
薄膜光電変換素子の各層を成膜する際に炭素、酸素、窒
素等の不純物の混入量を少なくすることができる(工程
5)。
【0074】一方、透明電極層を形成するスパッタ室で
は、真空のまま2×10-4Paまで真空引きを行った。その
後、Arガスを導入し、圧力を0.2Paにして10%Snドープさ
れたITOターゲットに高周波電力を印加し、成膜を行
った。この時の放電パワーは、光電変換素子を実際に形
成するときの放電パワーより高い、あるいは、圧力と放
電パワーの組み合わせで放電が広がる条件が良い。これ
により、実際の光電変換素子形成時に成膜室壁からの炭
素、窒素、酸素等の不純物の脱ガスを減らし、形成した
透明電極層への混入を抑えることができる。そして、成
膜終了後、Arガスの導入をやめ、成膜室を真空排気用ポ
ンプで2×10-4Paまで真空排気した(工程6−1)。
【0075】接続電極層を形成するスパッタ室では、真
空のまま2×10-4Paまで真空引きを行った。その後、Ar
ガスを導入し、圧力を2PaにしてAgターゲットに直流電
圧を印加し、成膜を行った。この時の放電パワーは、光
電変換素子を正規に形成するときの放電パワーより高
い、あるいは、圧力と放電パワーの組み合わせで放電が
広がる条件が良い。これにより、正規の光電変換素子形
成時に成膜室壁からの炭素、窒素、酸素等の不純物の脱
ガスを減らし、形成した背面電極層への混入を抑えるこ
とができる。そして、成膜終了後、Arガスの導入をや
め、成膜室を高真空排気用ポンプで2×10-4Paまで真空
排気した(工程6−2)。
【0076】次に、各成膜室のヒーター温度を薄膜光電
変換素子を形成する各層の成膜温度に設定した。各CV
D室では、この状態でH2ガスを導入し、圧力を133Paに
して30分間保った。H2ガスの流量はCVD室の大きさ
により調整可能で、所定の圧力が維持できれば良い。本
実施例では10sccmから500sccm程度とした。また、圧力
は各層を形成する圧力と同程度、あるいは高い方が良
い。一方、各スパッタ室では、真空の状態で保持した。
この工程により、各CVD室、スパッタ室のヒーター温
度をセル試作時の温度に設定することができる。本工程
の際には、図1に示される成膜室のシール部に流す純水
の入り口側温度は75℃にした。この時の出口側での純
水の温度は88℃であった(工程7)。
【0077】次に、各CVD室ではH2ガスの導入をや
めて、真空排気用ポンプで8×10-4Paまで真空引きを行
った。そして、ヒーター室と電極室を合致して形成して
いた成膜室を開放して、基板を1フレーム移動した(工
程8)。
【0078】次に、各成膜室のヒーター室と電極室を合
致させて各々個別の成膜空間を作った。この状態で、S
iを主構成材料とするp型、i型、n型のa−Si膜、
または、a−SiO膜をを形成する各CVD室では、高
真空排気用ポンプで8×10-4Paまで真空引きを行った
(工程9)。
【0079】最初に基板上にn層を形成するCVD室で
は、n層を形成する前に金属電極層が形成された基板の
加熱処理を行うため、H2ガスを導入した。H2ガス流量
100sccm、圧力133Pa、基板温度210℃、加熱処理時間
5分とした。図12における工程dにおいて両面に金属
電極が形成された基板に集電ホールを形成、また工程d
において光電変換層を形成する面の金属電極層をレーザ
ーパターニングにより分割するため、集電ホールの断面
やレーザーパターニング部分はポリイミド基板がむき出
しの状態になっている。工程dは大気中で行われるた
め、これらの部分から水分、一酸化炭素、二酸化炭素、
窒素等のガスが基板中に吸収されやすい。また、金属電
極層を形成した基板表面にもこれらのガスは吸着し、形
成したSiを主構成材料としたa−Si:H膜の酸素、
窒素、炭素等の不純物の発生源となる。
【0080】このため、光電変換層を形成する前に、基
板を予め加熱し、水分、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素
等のガスを放出させておくことは、不純物の少ない高品
質な膜を形成するのに重要である。次に、H2ガスの供
給を止め、真空排気ポンプにより、8×10-4Paまで真空
引きした。そして、図15に示すn型a−SiO層を形
成するための原料ガスを成膜室に導入した。図15は、
本発明に係る薄膜光電変換素子の各薄膜の成膜条件を示
す。
【0081】ガス流量が安定した後、圧力コントロール
バルブで80Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF
電極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、n型a−S
iO層を形成した。成膜終了に際しては高周波電力の印
加停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプによ
り8×10-4Paまで真空引きした。
【0082】i層を形成するCVD室では、図15に示
すi型a−Si層を形成するための原料ガスを成膜室に
導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバ
ルブで40Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF電
極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、i型a−Si
層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の印加
停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプにより
8×10-4Paまで真空引きした。
【0083】p層を形成するCVD室では、図15に示
すp型a−SiO層を形成するための原料ガスを成膜室
に導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロール
バルブで70Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF
電極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、p型a−S
iO層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の
印加停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプに
より8×10-4Paまで真空引きした。
【0084】タンデムセルのトップセルのn層を形成す
るCVD室では、図15に示すn型a−SiO層を形成
するための原料ガスを成膜室に導入した。ガス流量が安
定した後、圧力コントロールバルブで80Paに圧力を調整
した。その後、接地電極とRF電極の間に13.56MHzの高周
波電力を印加し、n型a−SiO層を形成した。成膜終
了に際しては、高周波電力の印加停止後に原料ガスの供
給を止め、真空排気ポンプにより8×10-4Paまで真空引
きした。
【0085】i層を形成するCVD室では、図15に示
すi型a−Si層を形成するための原料ガスを成膜室に
導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバ
ルブで40Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF電
極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、i型a−Si
層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の印加
停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプにより
8×10-4Paまで真空引きした。
【0086】p層を形成するCVD室では、図15に示
すp型a−SiO層を形成するための原料ガスを成膜室
に導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロール
バルブで70Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF
電極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、p型a−S
iO層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の
印加停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプに
より8×10-4Paまで真空引きした。
【0087】透明電極層のITO層を形成するスパッタ
室では、2×10-4Paまで真空引きを行った後、図15に
示すITO層を形成するためのスパッタガスを成膜室に
導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバ
ルブで0.2Paに圧力を調整した。その後、接地電極とタ
ーゲット間に直流電力を印加し、ITO層を形成した。
成膜終了に際しては、直流電力の印加停止後にスパッタ
ガスの供給を止め、真空排気ポンプにより2×10-4Paま
で真空引きした。
【0088】接続電極層のAg層を形成するスパッタ室
では、2×10-4Paまで真空引きを行った後、図15に示
すAg層を形成するためのスパッタガスを成膜室に導入
した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバルブ
で2Paに圧力を調整した。その後、接地電極とターゲッ
ト間に直流電力を印加し、Ag層を形成した。成膜終了
に際しては、直流電力の印加停止後にスパッタガスの供
給を止め、真空排気ポンプにより2×10-4Paまで真空引
きした。
【0089】本工程の際には、図1に示される成膜室の
シール部に流す純水の入り口側温度は75℃にした。この
時の出口側での純水の温度は88℃であった(工程1
0)。
【0090】次に、各層の成膜終了後、ヒーター室と電
極室を合致して形成していた成膜室を開放して、基板を
1フレーム移動した。この時の、共通室の圧力は、2×10
-3Paであった(工程11)。
【0091】次に、前記工程9から工程11を繰り返し
て、120個の薄膜光電変換素子の成膜を行った(工程
12)。
【0092】次に、各製膜室のヒーターをオフにして、
再度、各成膜室のヒーター室と電極室を合致させて各々
個別の成膜空間を作った。各CVD室では、この状態で
2ガスを導入し、圧力を133Paにして2時間保った。H2
ガスの流量はCVD室の大きさにより調整可能で、所定
の圧力が維持できれば良い。本実施例では10sccmから50
0sccm程度とした。また、圧力は各層を形成する圧力と
同程度、あるいは高い方が良い。本工程の際には、図1
に示される成膜室のシール部に流す純水の入り口側温度
は40℃にした。シール部に通ずる純水と冷却水との熱
交換は速く行われるため、75℃から40℃になるまで
の時間は約5分であった。
【0093】この時の出口側での純水の温度は時間によ
り変化し、初期では55℃であった。ヒーターの温度が
40℃になった時には40℃であった。また、シール部
に通ずる純水の出口側の温度が55℃の時、シール部の
温度は60℃であった。ヒーターをオフにした後のn層
形成室のヒーター温度は、約2時間30分後に大気開放可
能な70℃となった。H2ガスを成膜室に導入すること
により、H2ガスの熱伝導により、真空である場合より
も効率的に成膜室の各部がヒーター室のシール部周縁の
壁体を流れる純水によって冷却された。これにより成膜
室の各部の温度を急速に冷却可能であった(工程1
3)。
【0094】次に、各CVD室ではH2ガスの導入をや
めて、真空排気用ポンプで8×10-4Paまで真空引きを行
った。そして、ヒーター室と電極室を合致して形成して
いた成膜室を開放した(工程14)。
【0095】次に、真空排気ポンプと成膜室、共通室の
間のバルブを閉じ、乾燥空気を共通室に導入して薄膜製
造装置を大気開放した。そして、送りコアと巻き取りコ
ア間の基板の張力を解放して基板を切断した(工程1
5)。
【0096】巻き取りコアに巻き取られた基板は、次の
工程に引き渡され、基板上に120個の多段直列接続さ
れた太陽電池が形成された。
【0097】図2は、作製された薄膜光電変換素子の作
製順に、平均値で規格化した変換効率の推移を示したも
のである。1番目から120番目の太陽電池まで変換効
率は安定しており、ばらつきの範囲は±4%であった。
作製した3、10、15、20、40、80、120番目の太陽電池の
ボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIM
Sにより調べた。その結果、これら元素の作製順での濃
度差は、測定誤差の範囲内であった。
【0098】(比較例1−1)実施例1の工程3、4を
省略して、工程2の次に工程5を引き続き行った。この
場合、工程5の初めでは、図1に示される成膜室のシー
ル部に流す純水の入り口側の温度設定は75℃にした。
しかしながら、真空中では輻射でしかヒーター室壁体が
加熱されないため、シール部に通ずる液体の温度は42
℃であった。また、工程5終了時には、成膜室のシール
部に流す純水の入り口側温度は75℃で、出口側での純
水の温度は92℃であった。
【0099】作製された多段直列接続された太陽電池の
表面には、a−Siのパウダーが付着していた。a−S
iのパウダーの付着箇所は、最初の方に作製した太陽電
池では成膜室のシール部に対応する位置に多くのパウダ
ーが付着していた。また、全体を通しては、シール部に
対応する位置と基板の幅方向に線状に付着しているもの
が多かった。これらの太陽電池は、外観不良のため、製
品としては使用できないものであった。
【0100】成膜終了後に薄膜製造装置を大気開放し
て、パウダーの発生箇所を調べたところ、成膜室のシー
ル部周辺にパウダーが付着していた。また、パウダーが
発生した成膜室よりも巻き取り室側にある基板搬送ロー
ルにもパウダーが付着していた。搬送ロールへの付着
は、予め成膜する成膜の初期(シール部に流す温度が低
いとき)に発生したパウダーが基板のシール部に対応す
る位置に付着し、基板が搬送された際に搬送ロールに接
触することにより生じたことが明らかとなった。一旦搬
送ロールにパウダーが付着すると、後から作製された太
陽電池が搬送ロールに接触した際に、パウダーが再付着
してしまう。
【0101】実施例1の場合についても、パウダーの発
生の有無を調べたが、パウダーは発生していなかった。
作製した太陽電池にもパウダーの付着がなく外観不良は
なかった。図3は、比較例1−1で作製した太陽電池の
変換効率を実施例1の変換効率の平均値で規格化したも
のである。実施例1の場合に比較して、20〜25番目まで
に成膜した太陽電池では曲線因子が低いため変換効率が
低下した。また、全体を通しても実施例1に比較してシ
ャント抵抗が低く、そのため、変換効率が低かった。シ
ャント抵抗が低い原因は、パウダーによるピンホールが
原因と思われる。25番目以降に作製した太陽電池の平均
効率は、実施例1の場合の0.97であった。また、変換効
率のばらつきは、±2%であった。
【0102】最初の方に作製した太陽電池の特性が低い
理由を調べるために、3、10、20番目に作製した太陽電
池のボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をS
IMSにより調べた。表1は、実施例1の3、10、20番
目に作製した太陽電池のボトムセルのi層中の窒素、酸
素、炭素の濃度を1とした場合の比較例1−1における
濃度を示したものである。
【0103】
【表1】
【0104】作製の初期ほど酸素、窒素、炭素濃度が高
く、i層中のこれらの不純物が変換効率を低下させてい
ることが明らかとなった。太陽電池作製初期において酸
素、窒素、炭素の不純物濃度が高いのは、工程3を省略
したためである。ヒーター温度を上げても、真空中では
輻射熱でしか成膜室の各部の温度が十分上昇しない。こ
のため、工程5、工程7でSiH4やH2ガスを導入する
ことで、成膜室の温度が上昇する。しかしながら、工程
5、工程7は約1時間で終了するため、成膜室が十分加
熱されず、不純物の脱ガスが十分行われなかったと考え
られる。このため、太陽電池作製初期においても不純物
の脱ガスが実施例1に比べて多く、変換効率が低下し
た。
【0105】(比較例1−2)比較例1−1において、
工程5の初めから、図1に示される成膜室のシール部に
流す純水の入り口側の温度が75℃になるようにした。
これは、純水の温度制御を行う共通のタンクに新たに熱
源を接続して実現した。この場合では、比較例1-1とは
違って、パウダーは発生しなかった。作製した太陽電池
の変換効率は、最初から20〜25番目までは曲線因子の低
下による変換効率の低下が見られたが、25番目以降の平
均値は、実施例1と同じであった。また、変換効率のば
らつきは、±2%であった。
【0106】最初の方に作製した太陽電池の特性が低い
理由を調べるために、3、10、20番目に作製した太陽電
池のボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をS
IMSにより調べた。その結果、比較例1−1の場合と
同様で、作製の初期ほど酸素、窒素、炭素濃度が高く、
i層中のこれらの不純物が変換効率を低下させているこ
とが明らかとなった。
【0107】(比較例1−3)実施例1において、工程
5を省略した。図4は、比較例1−3で作製した太陽電
池の変換効率を実施例1の変換効率の平均値で規格化し
たものである。実施例1の場合に比較して、10〜15番目
までに成膜した太陽電池では曲線因子が低いため変換効
率が低下した。15番目以降に作製した太陽電池の平均効
率は、実施例1の場合と同じであった。また、変換効率
のばらつきは、±2%であった。
【0108】最初の方に作製した太陽電池の特性が低い
理由を調べるために、3、10、15番目に作製した太陽電
池のボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をS
IMSにより調べた。表2は、実施例1の3、10、15番
目に作製した太陽電池のボトムセルのi層中の窒素、酸
素、炭素の濃度を1とした場合の比較例1−3における
濃度を示したものである。
【0109】
【表2】
【0110】作製の初期ほど酸素、窒素、炭素濃度が高
く、i層中のこれらの不純物が変換効率を低下させてい
ることが明らかとなった。太陽電池作製初期において酸
素、窒素、炭素の不純物濃度が高いのは、工程5を省略
したためである。工程3で、H2ガスを導入して成膜室
を加熱しても、これだけでは十分脱ガスできず、工程5
のあらかじめ予備的に成膜する工程により、成膜室壁面
からの脱ガスの影響を抑えられることが明らかとなっ
た。
【0111】(実施例1−2)実施例1の工程2、3、
4を以下のように変更した。工程1の後、各成膜室のヒ
ーター室と電極室を合致させない状態で、共通室にH2
ガスを導入し、圧力を133Paにして4時間保った。H2
スの流量は500sccmとした。また、H2ガスを導入してい
る間に電極間に高電圧を印加するのも良い。この場合、
放電空間にさらされている装置壁面や基板に吸着してい
るガスは分解され、いっそう脱離し易くなる。本工程の
際には、図1に示される成膜室のシール部に流す純水の
入り口側温度は75℃にした。この時の出口側での純水
の温度は92℃であった。
【0112】次に、H2ガスの導入をやめて、共通室、
ならびに、成膜室の真空排気ポンプにより共通室を3分
間真空引きした。到達真空度は、1×10-2Paであり、実
施例1に比較して共通室の到達真空度が悪かった。
【0113】次に、各成膜室のヒーター室と電極室を合
致させて各々個別の成膜空間を作り、各成膜室の真空排
気ポンプで1×10-3Paまで真空引きを行った。本工程の
後、引き続き実施例1の工程5以降を行った。
【0114】図8は、実施例1−2で作製した太陽電池
の変換効率を実施例1の変換効率の平均値で規格化した
ものである。実施例1の場合に比較して、5〜10番目ま
でに成膜した太陽電池では曲線因子が低いため変換効率
が低下した。10番目以降に作製した太陽電池の平均効率
は、実施例1の場合と同じであった。また、変換効率の
ばらつきは、±2%であった。
【0115】最初の方に作製した太陽電池の特性が低い
理由を調べるために、3、10番目に作製した太陽電池の
ボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIM
Sにより調べた。表3は、実施例1の3、10番目に作製
した太陽電池のボトムセルのi層中の窒素、酸素、炭素
の濃度を1とした場合の実施例1−2における濃度を示
したものである。
【0116】
【表3】
【0117】作製の初期ほど酸素、窒素、炭素濃度が高
く、i層中のこれらの不純物が変換効率を低下させてい
ることが明らかとなった。
【0118】実施例1−2では、H2ガスを導入してい
る時間は4時間であったが、4時間後の成膜室の各部の温
度は、実施例1の場合に比較して低かった。一方、共通
室の壁体の温度は実施例1の場合に比較して高かった。
また、実施例1の成膜室にのみH2ガスを導入した場合
では、成膜室の各部の温度が安定するのに約3時間かか
ったが、実施例1−2の場合では約10時間かかった。さ
らに、工程12で成膜室を開放した状態での共通室の圧
力は、実施例1では太陽電池の作製の初期から最後に至
るまで2×10-3Paであるのに対し、実施例1−2の場合
では太陽電池の作製の最初で1×10-2Pa、3番目で9×10
-3Pa、5番目で6×10-3Paと大幅に悪く、10番目以降でほ
ぼ2×10-3Paとなり、それ以降は最後に至るまで2×10-3
Paであった。
【0119】実施例1−2で、5〜10番目までに作製し
た太陽電池の変換効率が低下したのは、作製の初期にお
いて、実施例1に比較して加熱された共通室の壁面から
の脱ガスが多いため共通室の圧力が高く、成膜室を開放
した際に成膜室壁面(ヒーター、電極など)が不純物の
多い共通室雰囲気にさらされて不純物が吸着し、成膜の
ためにヒーター室と電極室が合致して成膜室を形成して
も、成膜室の到達真空度が悪く、成膜した膜に不純物が
多く含まれるためである。また、成膜の途中の基板表面
に不純物が吸着し、nipnip接合の界面に不純物が
多く取り込まれることによって変換効率が低下したこと
も原因の一つに挙げられる。
【0120】実施例1のように、成膜室のみにH2ガス
を導入することで、成膜に直接関係のない共通室壁の加
熱を抑えることができ、共通室壁からの脱ガスの影響を
抑えられることが明らかとなった。
【0121】(比較例1−4)実施例1の工程1から1
2において、シール部に通ずる純水の入口側温度が40
℃の場合について行った。その結果、比較例1−1の結
果と同様に作製された多段直列接続された太陽電池の表
面には、a−Siパウダーが付着していた。これらの太
陽電池は、外観不良のため、製品としては使用できない
ものであった。作製された太陽電池の変換効率も実施例
1に比較してシャント抵抗が低いため、平均効率は実施
例1の場合の0.97であった。
【0122】(実施例1−3)実施例1の工程1から1
2において、シール部に通ずる純水の入口側温度が50
℃の場合について行った。その結果、成膜室の4隅の位
置に対応する場所に大きさが5mm角程度のa−Siパウ
ダーが付着していた。このため、作製した太陽電池の表
面にもa−Siパウダーが付着した。付着した場所は、
有効発電領域ではないため、変換効率の低下はなかっ
た。しかしながら、基板の表面に付着したパウダーは、
これ以降の工程の装置の搬送ロールを汚すため、望まし
いものではなかった。
【0123】(実施例1−4)実施例1の工程1から1
2において、シール部に通ずる純水の入口側温度が60
℃の場合について行った。その結果、実施例1と同様
に、パウダーによる外観不良、変換効率の低下はなかっ
た。従って、請求項5においては、シール部の温度は5
0℃以上としたが、60℃以上がより好ましい。
【0124】(実施例2)実施例1の工程10を以下の
ように変更して、a−Siを主構成材料とするnip接
合のシングルセルを作製した。
【0125】最初に基板上にn層を形成するCVD室で
は、n層を形成する前に金属電極層が形成された基板の
加熱処理を行うため、H2ガスを導入した。H2ガス流量
100sccm、圧力133Pa、基板温度210℃、加熱処理時間5
分とした。工程dにおいて、両面に金属電極が形成され
た基板に集電孔を形成し、また光電変換層を形成する面
の金属電極層をレーザーパターニングにより分割するた
め、集電孔の断面やレーザーパターニング部分はポリイ
ミド基板がむき出しの状態になっている。工程dは大気
中で行われるため、これらの部分から水分、一酸化炭
素、二酸化炭素、窒素等のガスが基板中に吸収されやす
い。また、金属電極層を形成した基板表面にもこれらの
ガスは吸着し、形成したSiを主構成材料としたa−S
i:H膜の酸素、窒素、炭素等の不純物の発生源とな
る。
【0126】このため、光電変換層を形成する前に、基
板を予め加熱し、水分、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素
等のガスを放出させておくことは、不純物の少ない高品
質な膜を形成するのに重要である。次に、H2ガスの供
給を止め、真空排気ポンプにより、8×10-4Paまで真空
引きした。そして、図15に示すn型a−SiO層を形
成するための原料ガスを成膜室に導入した。ガス流量が
安定した後、圧力コントロールバルブで80Paに圧力を調
整した。その後、接地電極とRF電極の間に13.56MHzの高
周波電力を印加し、n型a−SiO層を形成した。成膜
終了に際しては高周波電力の印加停止後に原料ガスの供
給を止め、真空排気ポンプにより8×10- 4Paまで真空引
きした。
【0127】i層を形成するCVD室では、図15に示
すi型a−Si層を形成するための原料ガスを成膜室に
導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバ
ルブで40Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF電
極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、i型a−Si
層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の印加
停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプにより
8×10-4Paまで真空引きした。
【0128】p層を形成するCVD室では、図15に示
すp型a−SiO層を形成するための原料ガスを成膜室
に導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロール
バルブで70Paに圧力を調整した。その後、接地電極とRF
電極の間に13.56MHzの高周波電力を印加し、p型a−S
iO層を形成した。成膜終了に際しては、高周波電力の
印加停止後に原料ガスの供給を止め、真空排気ポンプに
より8×10-4Paまで真空引きした。タンデムセルのトッ
プセルn層、i層、p層を形成するCVD室では、真空
引きのままで保持した。
【0129】透明電極層のITO層を形成するスパッタ
室では、2×10-4Paまで真空引きを行った後、図15に
示すITO層を形成するためのスパッタガスを成膜室に
導入した。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバ
ルブで0.2Paに圧力を調整した。その後、接地電極とタ
ーゲット間に直流電力を印加し、ITO層を形成した。
成膜終了に際しては、直流電力の印加停止後にスパッタ
ガスの供給を止め、真空排気ポンプにより2×10-4Paま
で真空引きした。
【0130】接続電極層のAg層を形成するスパッタ室
では、2×10-4Paまで真空引きを行った後、表1に示す
Ag層を形成するためのスパッタガスを成膜室に導入し
た。ガス流量が安定した後、圧力コントロールバルブで
2Paに圧力を調整した。その後、接地電極とターゲット
間に直流電力を印加し、Ag層を形成した。成膜終了に
際しては、直流電力の印加停止後にスパッタガスの供給
を止め、真空排気ポンプにより2×10-4Paまで真空引き
した。
【0131】本工程の際には、図1に示される成膜室の
シール部に流す純水の入り口側温度は75℃にした。こ
の時の出口側での純水の温度は85℃であった。本実施
例では、成膜室に導入するガスとしてH2ガスを用いた
が、H2を主成分とする混合ガスを用いても良い。混合
ガスを用いる際には、H2の分圧が15Pa以上であること
が有効である。また、H2以外のガスでは、Ar、H
e、Ne、Xe等の不活性ガスでも良い。
【0132】図6は、作製された薄膜光電変換素子の作
製順に、平均値で規格化した変換効率の推移を示したも
のである。1番目から120番目の太陽電池まで変換効率は
安定しており、ばらつきの範囲は±2%であった。
【0133】作製した3、10、15、20、40、80、120番目
の太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIM
Sにより調べた。その結果、これら元素の作製順での濃
度差は、測定誤差の範囲内であった。
【0134】(実施例2−1)実施例2の工程10にお
いて、n層を形成するCVD室の基板温度を210℃から2
30℃に変更した。つまり、基板の加熱処理、n型a−S
iO:H膜の形成をi型a−Si:H膜の形成温度より
20℃高い温度で行った。
【0135】実施例2−1で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.05であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表4には、実施例2−1で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例1の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。実施例2−1の変換効率の向上は、曲
線因子の向上によるものであった。
【0136】実施例2−1で作製した太陽電池の特性が
実施例2に比較して高い理由を調べるために、作製した
太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIMS
により調べた。表5は、実施例2で作製した太陽電池の
i層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の実施
例2−1における濃度を示したものである。実施例2−
1では、実施例2に比べi層中の窒素、炭素量は同じで
あったが、酸素量は0.8と低く、酸素量が実施例2より
も低いため、曲線因子が向上し、変換効率が向上したこ
とが明らかとなった。
【0137】(実施例2−2)実施例2の工程10にお
いて、n層を形成するCVD室の基板温度を210℃か
ら250℃に変更した。つまり、基板の加熱処理、n型
a−SiO:H膜の形成をi型a−Si:H膜の形成温
度より40℃高い温度で行った。
【0138】実施例2−2で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.08であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表4には、実施例2−2で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。
【0139】
【表4】
【0140】実施例2−2の変換効率の向上は、曲線因
子の向上によるものであった。実施例2−2で作製した
太陽電池の特性が実施例2に比較して高い理由を調べる
ために、作製した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素
の濃度をSIMSにより調べた。表5は、実施例2で作
製した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1
とした場合の実施例2−2における濃度を示したもので
ある。
【0141】
【表5】
【0142】実施例2−2では、実施例2に比べi層中
の窒素量は0.8、酸素量は0.6、炭素量は0.9と低く、こ
れらにより曲線因子が向上し、変換効率が向上したこと
が明らかとなった。
【0143】(比較例2−1)実施例2の工程10にお
いて、n層を形成するCVD室の基板温度を210℃か
ら190℃に変更した。つまり、基板の加熱処理、n型
a−SiO:H膜の形成をi型a−Si:H膜の形成温
度より20℃低い温度で行った。
【0144】比較例2−1で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の0.92であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表4には、比較例2−1で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。比較例2−1の変換効率の低下は、曲
線因子の低下によるものであった。
【0145】比較例2−1で作製した太陽電池の特性が
実施例2に比較して低い理由を調べるために、作製した
太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIMS
により調べた。表5は、実施例2で作製した太陽電池の
i層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の比較
例2−1における濃度を示したものである。比較例2−
1では、実施例2に比べi層中の窒素量は1.2、酸素量
は1.4、炭素量は1.1と高く、これらにより曲線因子が低
下し、変換効率が低下したことが明らかとなった。
【0146】(実施例3)実施例2の工程10におい
て、最初にn層を形成する前の基板の加熱処理温度を変
更して、基板温度210℃を230℃に変更して、a−
Siを主構成材料とするnip接合のシングルセルを作
製した。
【0147】図7は、実施例3で作製した120個の太陽
電池の変換効率を、実施例2で作製した太陽電池の平均
の変換効率で規格化した値である。また、表6には、実
施例3で作製した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲
線因子、変換効率を、実施例2の各々の平均値を1とし
て規格化した値を示してある。
【0148】
【表6】
【0149】実施例3で作製した太陽電池の平均の変換
効率は実施例2の場合の1.05であった。また、1番目か
ら120番目の太陽電池まで変換効率は安定しており、変
換効率のばらつきは±2%であった。実施例3の変換効
率の向上は、表5に示すように曲線因子の向上によるも
のであった。
【0150】作製した3、10、15、20、40、80、120番目
の太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIM
Sにより調べた。その結果、これら元素の作製順での濃
度差は、測定誤差の範囲内であった。
【0151】実施例3で作製した太陽電池の特性が実施
例2に比較して高い理由を調べるために、作製した太陽
電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIMSによ
り調べた。表7は、実施例2で作製した太陽電池のi層
中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の実施例3
における濃度を示したものである。
【0152】
【表7】
【0153】実施例3では、実施例2に比べi層中の窒
素、炭素量は同じであったが、酸素量は0.8と低く、酸
素量が実施例2よりも低いため、曲線因子が向上し、変
換効率が向上したことが明らかとなった。
【0154】(実施例3−1)実施例3の工程10にお
いて、i層を形成するCVD室の基板温度を210℃か
ら230℃に変更した。つまり、i型a−Si:H膜の
形成温度を、基板の加熱処理、n型a−SiO:H膜の
形成温度と同じにした。
【0155】実施例3−1で作製した120個の太陽電
池の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池
の平均の変換効率の1.05であった。1番目から120番目ま
での太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のば
らつきは±2%であった。表6には、実施例3−1で作
製した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変
換効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化し
た値を示してある。実施例3−1の変換効率の向上は、
主に短絡光電流と曲線因子の向上によるものであった。
短絡光電流の増加は、i層成膜温度を高くしたことで、
i型a−Si:H膜の光学的バンドギャップが減少し、
光の吸収が増えたためである。
【0156】実施例3−1で作製した太陽電池の曲線因
子が実施例2に比較して高い理由を調べるために、作製
した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSI
MSにより調べた。表7は、実施例2で作製した太陽電
池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の
実施例3−1における濃度を示したものである。実施例
3−1では、実施例2に比べi層中の窒素量は1.1と高
く、酸素量は0.9と低く、炭素量は1.1と高かった。酸素
量が実施例2よりも低いため、曲線因子が向上したが明
らかとなった。
【0157】(実施例3−2)実施例3の工程10にお
いて、i層を形成するCVD室の基板温度を210℃か
ら250℃に変更した。つまり、i型a−Si:H膜の
形成温度を、基板の加熱処理、n型a−SiO:H膜の
形成温度より20℃高くした。
【0158】実施例3−2で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.04であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表6には、実施例3−2で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。実施例3−2の変換効率の向上は、主
に短絡光電流の向上によるものであった。短絡光電流の
増加は、i層成膜温度を高くしたことで、i型a−S
i:H膜の光学的バンドギャップが減少し、光の吸収が
増えたためである。
【0159】実施例3−2で作製した太陽電池の曲線因
子が実施例2と同じであったが、作製した太陽電池のi層
中の窒素、酸素、炭素の濃度をSIMSにより調べた。
表7は、実施例2で作製した太陽電池のi層中の窒素、
酸素、炭素の濃度を1とした場合の実施例3−2におけ
る濃度を示したものである。実施例3−2では、実施例
2に比べi層中の窒素量は1.1と高く、酸素量は1.0と同
じで、炭素量は1.2と高かった。酸素量が実施例2と同
じであるため、曲線因子が同じであることが明らかとな
った。
【0160】(実施例3−3)実施例3の工程10にお
いて、i層を形成するCVD室の基板温度を210℃か
ら190℃に変更した。つまり、i型a−Si:H膜の
形成温度を、基板の加熱処理、n型a−SiO:H膜の
形成温度より20℃低くした。
【0161】実施例3−3で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.06であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表6には、実施例3−3で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。実施例3−3の変換効率の向上は、主
に曲線因子の向上によるものであった。短絡光電流の減
少は、i層成膜温度を低くしたことで、i型a−Si:
H膜の光学的バンドギャップが増加し、光の吸収が減少
したためである。
【0162】実施例3−3で作製した太陽電池の曲線因
子が実施例2に比較して高い理由を調べるために、作製
した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSI
MSにより調べた。表7は、実施例2で作製した太陽電
池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の
実施例3−3における濃度を示したものである。実施例
3−3では、実施例2に比べi層中の窒素量は0.9、酸素
量は0.7、炭素量は0.8と低く、これらにより曲線因子が
向上し、変換効率が向上したことが明らかとなった。
【0163】(実施例3−4)実施例3の工程10にお
いて、n層形成室でのn層を形成する前の基板の加熱処
理時間5分から3分に変更した。
【0164】実施例3−4で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.02であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表8には、実施例3−4で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。
【0165】
【表8】
【0166】実施例3−4の変換効率は、実施例2に対
しては高く、実施例3に対しては低かった。実施例3に
対する変換効率の低下は、曲線因子の低下によるもので
あった。
【0167】実施例3−4で作製した太陽電池の曲線因
子が実施例2に比較して高い理由を調べるために、作製
した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSI
MSにより調べた。表9は、実施例2で作製した太陽電
池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の
実施例3−4における濃度を示したものである。
【0168】
【表9】
【0169】実施例3−4では、実施例2に比べi層中
の窒素量、炭素量は1.0と同じで、酸素量は0.9と低くか
った。また、実施例3に対しては、酸素量が増加してい
た。
【0170】(実施例3−5)実施例3の工程10にお
いて、n層形成室でのn層を形成する前の基板の加熱処
理時間5分から10分に変更した。
【0171】実施例3−5で作製した120個の太陽電池
の変換効率の平均値は、実施例2で作製した太陽電池の
平均の変換効率の1.05であった。1番目から120番目まで
の太陽電池の変換効率は安定しており、変換効率のばら
つきは±2%であった。表8には、実施例3−5で作製
した太陽電池の開放電圧、短絡光電流、曲線因子、変換
効率を、実施例2の各々の平均値を1として規格化した
値を示してある。変換効率は、実施例2に対しては高
く、実施例3に対しては同じであった。
【0172】実施例3−5で作製した太陽電池の曲線因
子が実施例2に比較して高い理由を調べるために、作製
した太陽電池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度をSI
MSにより調べた。表9は、実施例2で作製した太陽電
池のi層中の窒素、酸素、炭素の濃度を1とした場合の
実施例3−5における濃度を示したものである。実施例
3−5では、実施例2に比べi層中の窒素量、炭素量は
1.0と同じで、酸素量は0.8と低く、これらにより曲線因
子が向上し、変換効率が向上したことが明らかとなっ
た。
【0173】(基板加熱処理と放出水量)前記実施例な
らびに比較例でのi層中の酸素量の変化と、n層形成
室、i層形成室との温度、n層形成室でn層形成前の加熱
処理時間の関係を調べるために、太陽電池を形成する基
板(工程dまでで作製した基板)からの水の放出量、加
熱温度、加熱時間の関係を調べた。加熱処理は、以下の
手順で行った。真空中で150℃まで加熱を行う。
150℃で30秒間保持し、この時の放出量を1とす
る。各温度に設定すると同時に圧力をH2ガスで133Pa
に設定する。(20分間)図8は、水の積算放出量と加
熱時間、加熱温度の関係を示したものである。加熱時間
が約5分以上でほぼ水の放出量が安定することが明らか
となった。また、放出量は、230℃以上の温度では飽
和状態にあることが分かった。
【0174】図9は、上記の加熱処理を行った基板に対
して再加熱処理を行った場合の、水の積算放出量と加熱
時間、加熱温度の関係を示したものである。再加熱処理
は、上記の加熱処理終了後に以下の手順で行った。真
空中で150℃まで一旦冷却する。250℃に設定す
ると同時に圧力をH2ガスで133Paに設定する。
【0175】最初の加熱処理の加熱温度210℃以下の
場合では、250℃で再加熱処理を行うことで、多量の
水が放出された。一方、最初の加熱処理の加熱温度が2
30℃以上の場合では、250℃で再加熱処理を行って
もほとんど水は放出されなかった。
【0176】また、最初の加熱処理の時間を3分、5分
に変更したものについて、再加熱処理を20分行った結
果、上記結果と同様な結果となった。
【0177】以上により、230℃以上の温度で3分以
上の加熱処理を行えば、それ以降、基板からの水の放出
をほぼなくすことができることが明らかとなった。
【0178】(実施例3−6)実施例2、2−1〜2−
2、実施例3、3−1〜3−5において、加熱処理を行
う成膜室と、n層を形成する成膜室とを別々の成膜室に
分けた。得られた結果は、上記の場合と同じであった。
なお、比較例2−1においても同じであった。
【0179】(比較例4)実施例1の工程13におい
て、図1に示される成膜室のシール部に流す純水の入口
側温度設定を成膜中と同じ75℃のままにした。この時
の出口側での純水の温度は時間により変化し、初期では
88℃であった。ヒーターをオフにした後のn層形成室
のヒーター温度は、約6時間後に大気開放可能な70℃
になった。また、成膜室の周囲の温度を熱電対を取り付
けて測定した結果、実施例1の場合よりも、冷却が遅く
なっていることが明らかとなった。
【0180】上記により、実施例1のように、成膜する
ときよりも装置を冷却する際にシール部の温度を下げる
ことにより、効率的にヒーター温度や成膜室の周囲の温
度を下げることが可能であり、成膜のプロセス時間を短
縮することができることがわかった。
【0181】(実施例4−1)実施例1の工程13にお
いて、装置を冷却する際のシール部に通ずる純水の入口
側温度を15℃にした。その結果、ヒーター温度は約2
時間後に大気開放可能となる70℃となった。
【0182】(実施例4−2)実施例1の工程13にお
いて、成膜室に導入するガスをH2からH2を10%含むA
rとH2の混合ガスに変更した。その結果、ヒーター温
度は、約2時間30分後に大気開放可能となる70℃とな
った。
【0183】(実施例4−3)実施例1の工程13にお
いて、成膜室に導入するガスをH2からArに変更し
た。その結果、ヒーター温度は、約3時間後に大気開放
可能となる70℃となった。また、N2、He、Ne、
Xe等の不活性ガスを用いた場合でもほぼ同様の結果で
あった。
【0184】
【発明の効果】この発明は、請求項1ないし4のいずれ
かの発明の製造装置を用いて、請求項5または6の製造
方法を採用することにより、パウダーの発生を抑止して
基板へのパウダーの付着を防止し、かつ製造時間の短縮
を図ることができる。
【0185】要するに、ヒータを内蔵する成膜部室のシ
ール部の周縁の壁体に、熱媒体通流用の孔が形成され、
この孔の内部に熱媒体を通流することにより、前記シー
ル部の温度を所定温度に調節可能にしてなるステッピン
グロール方式の薄膜太陽電池の製造装置において、前記
熱媒体は、前記ヒータにより加熱され、前記成膜室の外
部に設けた冷却用熱交換器により冷却されて前記シール
部の温度が所定温度となるように構成したものとし、光
電変換層を成膜する際に、前記シール部の温度を50℃
以上に保ち、薄膜光電変換素子形成終了後に前記製造装
置を大気開放する前に、前記成膜室にガスを導入して冷
却し、その後、大気開放して薄膜光電変換素子を装置外
に取り出すことにより、前記効果がえられる。
【0186】また、請求項7ないし9のいずれかに記載
の発明によれば、予め成膜室を加熱する工程と薄膜光電
変換素子の予備成膜工程とを含む上記方法を採用するこ
とにより、製造開始当初から、変換効率の高い太陽電池
の製造が可能となり、製品の歩留りが向上する。
【0187】さらに、請求項10ないし15のいずれか
の発明によれば、光電変換層形成前に基板を230℃以
上に3分以上加熱する、もしくは光電変換層形成前に基
板をi層の形成温度よりも20℃以上高い温度に3分以
上加熱することにより、変換効率の高い優れた電池特性
を有する薄膜太陽電池の製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜太陽電池の製造装置の成膜室のシ
ール部分の拡大断面図
【図2】本発明の実施例1に係る太陽電池の作製順によ
る変換効率の推移を示す図
【図3】本発明の比較例1−1に係る太陽電池の作製順
による変換効率の推移を示す図
【図4】本発明の比較例1−3に係る太陽電池の作製順
による変換効率の推移を示す図
【図5】本発明の実施例1−2に係る太陽電池の作製順
による変換効率の推移を示す図
【図6】本発明の実施例2に係る太陽電池の作製順によ
る変換効率の推移を示す図
【図7】本発明の実施例3に係る太陽電池の作製順によ
る変換効率の推移を示す図
【図8】基板からの水の積算放出量と加熱時間,加熱温
度の関係を示す図
【図9】基板からの水の積算放出量と加熱時間,加熱温
度の関係(再加熱時)を示す図
【図10】薄膜太陽電池の素子構成の一例を示す詳細図
【図11】薄膜太陽電池の素子構成を概念的に示す斜視
【図12】薄膜太陽電池の製造方法の実施例を示す図
【図13】薄膜太陽電池の製造装置の実施例を示す概略
構成図
【図14】成膜室の概略構成の一例を示す図
【図15】本発明に係る太陽電池の各薄膜の成膜条件を
示す図
【符号の説明】
7:シール材、10,61,71,291:基板、2
2:シール部の周縁の壁体、23:孔、33:ヒータ、
64,74:下電極層、65,75:光電変換層、6
6,76:透明電極層、280:成膜室、281:共通
室、290:アンワインダー室、291:ワインダー
室。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一つの真空槽からなる共通室の内部に、
    可撓性基板の巻出し用アンワインダー室と、前記基板に
    金属電極層,光電変換層および透明電極層などの薄膜を
    形成するために設けられた複数個の独立した処理空間と
    してなる成膜室と、巻取り用ワインダー室とを備え、前
    記各成膜室は前記可撓性基板を境界とする開口部を有す
    る二つの成膜部室からなり、少なくとも前記一方の成膜
    部室には加熱用のヒータを内蔵してなり、また、前記開
    口部にはシール部が設けられ、このシール部で前記可撓
    性基板を挟むことにより成膜室と前記共通室との間が気
    密となるようにしてなり、さらに、少なくとも一つの成
    膜室の前記ヒータを内蔵する成膜部室のシール部の周縁
    の壁体には、熱媒体通流用の孔が形成され、この孔の内
    部に熱媒体を通流することにより、前記シール部の温度
    を所定温度に調節可能にしてなるステッピングロール方
    式の薄膜太陽電池の製造装置において、前記熱媒体は、
    前記ヒータにより加熱され、前記成膜室の外部に設けた
    冷却用熱交換器により冷却されて前記シール部の温度が
    所定温度となるように構成したことを特徴とする薄膜太
    陽電池の製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のものにおいて、前記シ
    ール部の温度調節を可能にしてなる成膜室は、プラズマ
    CVDにより成膜を行う成膜室であることを特徴とする
    薄膜太陽電池の製造装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のものにおい
    て、前記シール部の温度調節を可能にしてなる成膜室の
    ヒータを内蔵する成膜部室のシール部の周縁の壁体は、
    アルミニウムを主要構成材料とし、壁体に設けられた孔
    に通流される熱媒体は、純水であることを特徴とする薄
    膜太陽電池の製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のも
    のにおいて、前記シール部の温度調節範囲は、15〜1
    00℃であることを特徴とする薄膜太陽電池の製造装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の薄
    膜太陽電池の製造装置により、可撓性基板上に、金属電
    極層,光電変換層および透明電極層を重ねて形成してな
    る薄膜太陽電池の製造方法において、前記光電変換層を
    成膜する際に、前記シール部の温度を50℃以上に保
    ち、薄膜光電変換素子形成終了後に前記製造装置を大気
    開放する前に、前記成膜室にガスを導入して冷却し、そ
    の後、大気開放して薄膜光電変換素子を装置外に取り出
    すことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法において、前記成
    膜室にガスを導入して冷却する際に、前記シール部を、
    成膜時のシール部の温度よりも低い温度に冷却すること
    を特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 一つの真空槽からなる共通室の内部に、
    可撓性基板の巻出し用アンワインダー室と、前記基板に
    金属電極層,光電変換層および透明電極層などの薄膜を
    形成するために設けられた複数個の独立した処理空間と
    してなる成膜室と、巻取り用ワインダー室とを備え、前
    記各成膜室は前記可撓性基板を境界とする開口部を有す
    る二つの成膜部室からなり、少なくとも前記一方の成膜
    部室には加熱用のヒータを内蔵してなり、また、前記開
    口部にはシール部が設けられ、このシール部で前記可撓
    性基板を挟むことにより成膜室と前記共通室との間が気
    密となるようにしてなる薄膜太陽電池の製造装置によ
    り、前記可撓性基板上に、金属電極層,光電変換層およ
    び透明電極層を重ねて形成してなる薄膜太陽電池の製造
    方法において、可撓性基板上に薄膜光電変換素子を形成
    する前に,前記成膜室にガスを導入して予め成膜室を加
    熱する工程と、正規に薄膜光電変換素子を成膜する前
    に,製造開始時にアンワインダー室から巻き出された先
    頭部分の基板上に薄膜光電変換素子の予備的成膜を施す
    予備成膜工程とを含むことを特徴とする薄膜太陽電池の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法において、成膜室
    に予め導入するガスは、H2を主体とするガスであるこ
    とを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8に記載の方法におい
    て、予備成膜工程におけるヒータの加熱温度は、正規に
    薄膜光電変換素子を成膜する際の加熱温度よりも10℃
    から50℃高いことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 可撓性基板上に、金属電極層,光電変
    換層および透明電極層を順次重ねて形成してなる薄膜太
    陽電池の製造方法において、前記光電変換層形成前に基
    板を230℃以上に加熱することを特徴とする薄膜太陽
    電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の方法において、基
    板を230℃以上に加熱する時間は、3分以上であるこ
    とを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  12. 【請求項12】 可撓性基板上に、金属電極層,光電変
    換層および透明電極層を順次重ねて形成してなる薄膜太
    陽電池の製造方法において、前記光電変換層形成前に基
    板を加熱する工程を含み、この基板を加熱する工程の温
    度が、光電変換層の実質的に真性となる層(i層)の形
    成温度よりも20℃以上高いことを特徴とする薄膜太陽
    電池の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の方法において、基
    板を加熱する時間は、3分以上であることを特徴とする
    薄膜太陽電池の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10ないし13のいずれかに記
    載の方法において、基板を加熱する工程は、H2を主体
    とするガス雰囲気中で行うことを特徴とする薄膜太陽電
    池の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10ないし14のいずれかに記
    載の方法において、可撓性基板は、ポリイミドであるこ
    とを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
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