JP2001003693A - 地下構造物の中柱用免震装置 - Google Patents

地下構造物の中柱用免震装置

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JP2001003693A
JP2001003693A JP11173972A JP17397299A JP2001003693A JP 2001003693 A JP2001003693 A JP 2001003693A JP 11173972 A JP11173972 A JP 11173972A JP 17397299 A JP17397299 A JP 17397299A JP 2001003693 A JP2001003693 A JP 2001003693A
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English (en)
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Noboru Tashiro
▲のぼる▼ 田代
Takeyasu Suzuki
猛康 鈴木
Homare Kaneko
誉 金子
Fujita Katsukawa
藤太 勝川
Yukimasa Tei
志誠 鄭
Teruo Sasaki
輝男 佐々木
Tatsuji Matsumoto
達治 松本
Shigeo Maruki
繁雄 丸喜
Hiroshi Yamada
博 山田
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Kumagai Gumi Co Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Kumagai Gumi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下構造物の床面及び天井面と中柱の上下端
部にピン構造を簡易かつ安価に形成して接触面を保護
し、接触面の長期にわたる摺動性を確保し、信頼性の高
い地下構造物の中柱用免震装置を提供する。 【解決手段】 免震装置20は、筒型の地下構造物の床
部と天井部との間に立設されて床部と天井部間を支持す
る中柱10の上下端部の少なくとも一方に取り付けられ
て、中柱側部材21と地下構造物側部材31とが重ね合
わされて構成される。中柱側部材と地下構造物側部材
が、それぞれ基盤部22,32と、各基盤部から互いに
対向して突出して互いの接触面が嵌合可能な湾曲形状に
形成された接触部23,33とを有すると共に、接触部
の摺動可能方向の両側にて基盤部間に介在されたゴム弾
性体36を有する。ゴム弾性体は、加硫接着により形成
され、接触部の周囲を囲む環状であってもよい。接触面
には、摩擦低減部材を設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル等の地下
構造物の床部と天井部との間に立設されて、床部と天井
部間を支持する中柱の上下端部に取り付けられる地下構
造物の中柱用免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】地下鉄
等の地下構造物において、床部と天井部間を支持する中
柱には、常時1000tf程度の荷重(軸力)が作用し
ている。そして、地震時には、床部と天井部の横ずれに
より中柱が横断方向に大きく変形して、大きな剪断力と
曲げモーメントが地震時増加分断面力として作用する。
そのため、大地震の場合には、中柱が破壊して荷重を支
持できなくなり、トンネルが崩壊に至るというようなお
それがあるため、これに対する対策が必要となってい
る。
【0003】従来、中柱に加わる地震時増分断面力を低
減させるために、上端部(柱頭部)や下端部(柱脚部)
を例えばロッキングピアピボット支承やコンクリートヒ
ンジ等のピン構造を採用したものが知られている。これ
によれば、地下構造物の床面等と中柱とを剛結させた場
合と比べて、中柱剪断力や中柱曲げモーメントでほぼ0
程度にでき、また床部あるいは天井部の剪断力や曲げモ
ーメントはほぼ半減できる。また、中柱の上下端部での
剪断力及び曲げモーメントを低減させるために、ローラ
を用いた支承や、低摩擦材料を用いた滑り面による方法
の採用によっても同様の効果が得られる。しかし、これ
らピン構造支承等の場合、中柱に大きな常時荷重を伝達
させるためには、面接触の確保が重要であり、そのため
には、双方の接触面に高精度の機械加工が必要となるな
ど高価になるという問題がある。さらに、上記いずれの
従来例においても、地下構造物の床部や天井部と、中柱
との接触面が保護されていないため、両者間にほこり等
の異物が混入し易く、接触面での摺動性が損なわれ、ま
た、湿気により錆が発生し易く接触面の耐久性が損なわ
れ易いという問題もある。
【0004】また、中柱に積層ゴム支承を用いることに
より、剛結の場合と比べて中柱剪断力や中柱曲げモーメ
ントで半減することができ、また床部あるいは天井部の
剪断力や曲げモーメントは6割ないし7割程度に低減で
きる。しかし、積層ゴム支承の場合、高軸力下における
圧縮クリープ変形を抑えるためには、剪断剛性や回転剛
性をいたずらに低く設定することは不可能であるため、
中柱の回転変形を十分に吸収できず、これ以上の地震時
増分断面力の低減は期待できないという問題がある。
【0005】本発明は、上記した問題を解決しようとす
るもので、地下構造物の床面及び天井面と中柱の上下端
部にピン構造を簡易かつ安価に形成して接触面を保護
し、接触面の長期にわたる摺動性を確保できる信頼性の
高い地下構造物の中柱用免震装置を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、地下構
造物の床部と天井部との間に立設されて床部と天井部間
を支持する中柱の上端部及び/または下端部に取り付け
られて、中柱側部材と地下構造物側部材とが重ね合わさ
れて構成された地下構造物の中柱用免震装置であって、
中柱側部材と地下構造物側部材が、それぞれ基盤部と、
各基盤部から互いに対向して突出して互いの接触面が密
着可能な湾曲形状に形成された接触部とを有すると共
に、少なくとも接触部同士の摺動可能方向の両側にて各
基盤部間に介在された弾性部材を有することにある。
【0007】上記のように請求項1に係る発明を構成し
たことにより、中柱側部材と地下構造物側部材の接触部
において、互いの接触面が密着可能な湾曲形状に形成さ
れているため、中柱の両端あるいは一端において、地下
構造物の床部あるいは天井部に対して摺動できる。その
ため、地震による地下構造物の床部と天井部との間の水
平変位を吸収できる。また、接触部の摺動可能方向の両
側にて各基盤部間に弾性部材が介在されていることによ
り、復元力が得られる構造になっている。
【0008】また、上記請求項2に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1に記載の地下構造物の中柱用免震
装置において、弾性部材が、各接触部の周囲を囲む環状
に形成されたものであることにある。上記のように請求
項2に係る発明を構成したことにより、弾性部材によっ
て接触部が外部からシールされる。
【0009】また、上記請求項3に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1または請求項2に記載の地下構造
物の中柱用免震装置において、弾性部材が、各基盤部に
加硫接着により形成されたものであることにある。上記
のように請求項3に係る発明を構成したことにより、免
震装置の一体化が行われ、その取扱いが容易になる。
【0010】また、上記請求項4に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記
載の地下構造物の中柱用免震装置において、各接触部の
接触面の間に摩擦低減部材を介在させたことにある。摩
擦低減部材としては、ウレタン、テフロン、ステンレス
等が好ましい。上記のように請求項4に係る発明を構成
したことにより、接触部の摺動がさらにスムーズに行わ
れるようになる。また、接触面の加工を精密に行わなく
ても接触面の表面状態が適正に保たれる。
【0011】また、上記請求項5に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項4に記載の地下構造物の中柱用免震
装置において、摩擦低減部材が硬質ウレタンであり、接
触面の加工精度をさらに下げることができることにあ
る。このように請求項5に係る発明を構成したことによ
り、摩擦低減部材に弾性力が備わり接触面の加工精度を
さらに低くできる。
【0012】また、上記請求項6に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記
載の地下構造物の中柱用免震装置において、弾性部材の
外側にて、中柱側部材及び地下構造物側部材のいずれか
一方に中柱の回転変位を制限するストッパ部材を設けた
ことにある。上記のように請求項6に係る発明を構成し
たことにより、地震等の過大な外力による中柱の回転変
位に対して、ストッパ部材により回転変位を制限でき、
中柱の転倒による地下構造物の破損を防止できる。
【0013】また、上記請求項7に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記
載の地下構造物の中柱用免震装置において、中柱側部材
及び地下構造物側部材のいずれか一方の接触部の接触面
を平坦面に形成することとし、かつ、中柱側部材及び地
下構造物側部材の他方の接触部の接触面の一部に摺動方
向に沿ってかまぼこ形に湾曲した凹部を設けると共に凹
部の摺動方向の外側に凹部に連続してわずかに凹んだ係
止凹部を設け、さらに凹部と平坦面との間に摺動部材を
介装させたことにある。
【0014】上記のように請求項7に係る発明を構成し
たことにより、外力が小さいときは、一方の接触部の係
止凹部の外側が他方の接触部の平坦面と接触してスムー
ズに横方向に摺動するが、外力が大きくなって接触部の
変位が大きくなると、変位方向側において一方の接触部
の係止凹部外側の平面部が他方の接触部の平坦面から外
れる。これにより、接触部の凹部が摺動部材表面に沿っ
て滑ることができるようになり、凹部側の接触部の回転
変位が可能になる。すなわち、外力が小さいときに制限
されていた回転移動が解除され、大きな水平変位も吸収
できるようになった。
【0015】また、上記請求項8に係る発明の構上の特
徴は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載
の地下構造物の中柱用免震装置において、中柱側部材及
び地下構造物側部材のいずれか一方の周縁部に、中柱側
部材及び地下構造物側部材の水平方向への移動を拘束す
る拘束部材を設けると共に、所定以上の大きさの水平方
向への外力が加わったときに拘束部材による拘束状態を
自動的に解除する拘束解除手段を設けたことにある。
【0016】上記のように請求項8に係る発明を構成し
たことにより、外力が小さいときは、中柱側部材及び地
下構造物側部材は拘束部材によって拘束され水平方向に
変位しない。一方、所定以上の大きさの外力が加わり、
中柱に非常に大きな荷重が加わるようになると、拘束部
材による中柱側部材及び地下構造物側部材の拘束状態が
拘束解除手段により解除されて両部材が水平方向に移動
できるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
により説明する。図1〜図3は、第1の実施形態に係る
地下構造物であるダグタイル鋳鉄製の複円形シールドト
ンネルの中柱及びこれに用いられる中柱用免震装置(以
下、免震装置と記す)を断面図、拡大断面図及び平面図
により示したものである。
【0018】中柱10は、円柱形のコンクリート柱11
とその外部を被覆する円筒形の鋼管12と、上下端に設
けた端板13とで一体的に形成されており、端板13に
はコンクリート柱11内に埋め込まれるリブ板14が端
板13に垂直にかつ直交する4箇所に配設されている。
中柱10は、図4に示すように、複円形シールドトンネ
ル1の上下各2箇所の覆工RCセグメントといわれる床
部2と天井部3に各々同一の免震装置20を介して固定
される。ただし、中柱の構造はこれに限るものではな
い。
【0019】免震装置20は、図1〜図3に示すよう
に、中柱側部材21と地下構造物側部材31とが同軸的
に重ね合わされて一体に構成されている。中柱側部材2
1は、端板13よりわずかに外径の小さい円盤形の基盤
部22と、基盤部22上に同心状に配設された正方形板
である接触部23を設けている。接触部23は、一辺の
長さが基盤部22の外径の略1/3程度であり、その一
対の対向辺間で表面側が厚さ方向に断面円弧状に湾曲し
て凹んだ接触面23aを設けている。接触部23は、基
盤部22にボルト24により固定されている。中柱側部
材21は、この湾曲方向が免震部材20の受ける振動方
向に合わせて配置されるようになっており、基盤部22
の周囲に設けた貫通孔を介してボルト25により端板1
3に固定されている。
【0020】地下構造物側部材31は、上記基盤部22
と同一径の基盤部32と、上記接触部23と略同一の大
きさで基盤部32の一表面側中央から同心状に突出した
正方形状の接触部33を一体で設けている。接触部33
の上記接触部23との対向面は、一対の対向辺間で断面
円弧状に突出しており、接触部23の接触面23aと密
着する接触面33aになっている。また、中央に接触部
33の外形と同一形状の正方形の貫通孔34aを有し、
基盤部32と同一外径で厚さが接触部33の外縁の厚さ
と略同一である円環板34が、接触部33に嵌合して基
盤部32に重ね合わされている。接触部23,33の接
触面23a,33aには、ウレタン、テフロン、ステン
レス等の摩擦低減部材35が設けられている。摩擦低減
部材については、必要に応じて省略することができる
が、接触面の加工精度、耐荷重、耐磨耗性、コスト面等
から硬質ウレタンが好適に用いられる。
【0021】そして、円環板34と中柱側部材21の基
盤部22との間には、接触部23の側面に接触して囲ん
でいる弾性部材である円環板状のゴム弾性体36が加硫
接着されている。ゴム弾性体36は、中柱側部材21と
円環板34を成形型にセットし、ゴム加硫接着を行うこ
とにより一体で形成される。円環板34は、周囲に設け
た貫通孔を介してボルト37により基盤部32に固定さ
れる。また、基盤部32の他表面側には、基盤部32よ
り一辺の長さが長い正方形の厚板である固定板38がボ
ルト39により固定されている。免震装置20が両端に
固定された中柱10は、複円形シールドトンネル1の床
部2と天井部3に免震装置20の固定板38を貫通孔3
8aを介してボルトで固定することにより、床部2と天
井部3間に立設される。なお、弾性部材は、必要に応じ
てウレタンやバネ等に変えてもよい。
【0022】以上に構成した免震装置20においては、
中柱側部材21と地下構造物側部材31の接触部23,
33が、互いに密着する接触面23a,33aが断面円
弧状に湾曲して形成されているため、中柱10の両端に
おいて、シールドトンネル1の床部2あるいは天井部3
に対してスムーズに摺動できる。そのため、地震による
シールドトンネル1の床部2と天井部3との間の水平変
位を吸収でき、床部2及び天井部3や、中柱10の上下
端に加わる剪断力や曲げモーメントを低減させることが
できる。
【0023】また、接触部23,33の摺動可能方向の
両側にも各基盤部22,32間にゴム弾性体36が介在
されていることにより、免震装置20の回転剛性の調整
が可能であり、回転変形を十分に吸収できると共に中柱
10の変位を確実に復帰させることができる。さらに、
ゴム弾性体36が、接触部23,33の周囲を囲む環状
に形成されているため、ゴム弾性体36によって接触部
23、33が外部から確実にシールされる。その結果、
接触面23a,33aへのほこり等の異物の混入を防止
できるので接触面を確実に保護でき、また、地中の湿気
の侵入を防止できることにより接触部23,33に対す
る防錆効果が得られる。
【0024】また、ゴム弾性体36が、各基盤部22,
32に加硫接着により一体的に形成されたものであるこ
とにより、免震装置20の取扱いが容易になると共に、
上記シール効果がより確実に得られる。さらに、各接触
部23,33の接触面23a,33aに摩擦低減部材3
5を設けることにより、接触部23,33の摺動がさら
にスムーズに行われるようになる。また、接触面23
a,33aの加工を精密に行わなくても接触面の表面状
態が適正に保たれるので、接触部23,33の加工コス
トを安価にできる。
【0025】なお、上記実施形態においては、中柱10
の上下両端に免震装置20を設けているが、これに限ら
ず上下端のいずれか一方に設けるようにしてもよい。ま
た、上記実施形態においては、ゴム弾性体36は、接触
部23,33の周囲を囲んだ環状になっているが、必要
に応じて、ゴム弾性体を接触部の摺動方向の両側にのみ
介在させるようにしてもよい。なお、ゴム弾性体36に
ついては、別個に形成したものを基盤部22,32に接
着剤により貼り付けるようにしてもよい。
【0026】つぎに、第2の実施形態である免震装置に
ついて説明する。免震装置40は、図5に示すように、
上記第1の実施形態に示したとほぼ同様に中柱側部材4
1と地下構造物側部材51とが同軸的に重ね合わされて
一体に構成されている。中柱側部材側の接触部43と地
下構造物側部材側の接触部53の外方には、基盤部42
と基盤部52との間を連結すると共に両接触部43,5
3を囲む環状のゴム弾性体45が加硫接着されている。
ゴム弾性体45の外方近傍位置(図示左右位置)におい
て、中柱側部材41の基盤部42には、一対のストッパ
部材46が設けられている。
【0027】さらに、ストッパ部材46のそれぞれ外方
において、基盤部42の外端位置には、拘束部材61が
基盤部42及び52の周縁部に押し当てられており、拘
束部材61は、止め具62によって基盤部42の周縁部
に固定されている。止め具62は、ボルト構造になって
いるが、例えば一部に切りこみを設けることにより、所
定以上の力が加えられると自動的に破損し、拘束部材6
1を固定できなくなる拘束解除機能を有している。
【0028】以上のように構成した第2の実施形態にお
いては、外力が小さいときは、中柱側部材41及び地下
構造物側部材51は拘束部材61によって拘束されるた
め、水平方向に無用な移動をすることがない。一方、所
定以上の大きさの外力が加わり、中柱に非常に大きな荷
重が加わるようになると、止め具62が破損することに
より拘束部材61が外れ、中柱側部材41及び地下構造
物側部材51は水平方向に移動できるようになる。
【0029】その結果、第2の実施形態によれば、中柱
に過大な荷重が加わることがなく、中柱の破損を防止で
きる。また、拘束部材61が外れることにより拘束機能
を失った後は、ストッパ部材46が中柱側部材41及び
地下構造物側部材51の回転変位を制限し、中柱の転倒
による地下構造物の破損を阻止できる。
【0030】なお、上記第2の実施形態において、ゴム
弾性体45については、環状ではなく、接触部43,5
3の摺動方向の両側にのみ介在させるようにしてもよ
く、また、別個に形成したものを基盤部42,52に接
着剤により貼り付けるようにしてもよい。また、上記第
2の実施形態においては、ストッパ部材46及び拘束部
材61のいずれか一方について、必要に応じて省略する
こともできる。
【0031】なお、上記第1及び第2の実施形態におい
ては、接触部の形状を外力の加わる方向に合わせて断面
円弧形のかまぼこ形形状としているが、これに代えて球
面形状にすることもでき、これにより外力の入力方向に
応じて360°の変位が可能になる。
【0032】つぎに、第3の実施形態である免震装置に
ついて説明する。免震装置70は、図6に示すように、
中柱側部材71と地下構造物側部材81とが同軸的に重
ね合わされて一体に構成されている。中柱側部材71
は、円盤形の基盤部72と、基盤部72上に同心状に配
設された正方形板である接触部73を設けている。接触
部73は、一辺の長さが基盤部72の外径の略1/3程
度であり、その一対の対向辺間(図示左右間)で両端側
を除いた中間部にて、表面側が厚さ方向に凹んで円弧状
に湾曲し接触部前後端間に延びた凹部74を設けてい
る。また、凹部74の両側の平面部75,76には、凹
部74から連続して厚さ方向にわずかに凹んだ係止凹部
75a,76aが、平面部75,76の略中間位置(図
示左右の中間位置)まで延びて設けられている。この接
触部73は、基盤部72にボルト77により固定されて
いる。中柱側部材71は、この湾曲方向が免震装置70
の受ける振動方向に合わせて配置されるようになってい
る。
【0033】一方、地下構造物側部材81は、中柱側部
材71と略同一形状であり、円盤形の基盤部82と、基
盤部82上に同心状に配設された正方形板である接触部
83を設けている。接触部83の接触面83aは平坦面
になっている。接触部83は、ボルト84によって基盤
部82に固定されており、基盤部72に重ね合わされて
いる。そして、中柱側部材側接触部73の凹部74と、
地下構造物側部材側接触部83間の空間部には、上面が
円弧形のかまぼこ形の摺動部材85が両面に密着した状
態で介装されている。この摺動部材85は、例えば鉄製
の剛体により形成されている。
【0034】なお、接触部73と接触部83の外方に
は、基盤部72と基盤部82との間を連結すると共に両
接触部73,83を囲む環状のゴム弾性体87が加硫接
着されている。ゴム弾性体87の外方近傍位置(図示左
右位置)において、地下構造物側部材81の基盤部82
には、一対のストッパ部材88が設けられている。
【0035】以上に構成した第3の実施形態の動作につ
いて、図7に示す模式図により説明する。免震装置70
に横方向の外力が加わると、図7(a),(b)に示す
ように、接触部73の係止凹部外側の平面部75,76
が、接触部83の平坦面83aと接触してスムーズに横
方向に摺動し、トンネルからの荷重は、平面部75,7
6と平坦面83aで支持され、またこの面で中柱10が
回転しようとする力も抑えられる。接触部73,83の
移動は、係止凹部75aが平坦面83aの端部に係止さ
れるまで続けられる。
【0036】そして、外力が大きくなって接触部73,
83の変位が大きくなると、図7(c)に示すように、
接触部73の係止凹部75a外側の平面部75が接触部
83の平坦面83aから外れる。これにより、接触部7
3の凹部74が摺動部材85表面に沿って滑ることがで
きるようになり、凹部74側の接触部73の回転変位が
可能になる。すなわち、回転方向の拘束力がなくなって
中柱10の回転移動が可能になり、この回転移動により
大きな水平変位を吸収できるため、中柱10の破損を防
止できる。回転変位は、係止凹部75aの厚みにより任
意に調整できるが、接触部73の係止凹部75aに接触
部83の端部が係合した状態では、線接触となるため、
回転変位を規制するにはストッパ部材88を設けること
が好ましい。
【0037】なお、上記第3の実施形態において、ゴム
弾性体87を環状ではなく、接触部73,83の摺動方
向の両側にのみ介在させるようにしてもよく、また、別
個に形成したものを基盤部72,82に接着剤により貼
り付けるようにしてもよい。また、上記第2の実施形態
に示した拘束部材61を、基盤部72,82の周縁部に
配設することもできる。
【0038】なお、上記各実施形態においては、本発明
を、複円形シールドトンネルに適用した場合を説明して
いるが、図8に示すような箱型のトンネルや開削トンネ
ルに適用することもでき、またトンネルは複数段であっ
てもよい。また、本発明の適用箇所としては、トンネル
に限らず、地下駐車場、地下道,地下街、地下鉄等にお
いても使用される。
【0039】
【発明の効果】上記請求項1の発明によれば、中柱の上
下端の少なくとも一方に免震装置を設けたことにより、
地震による地下構造物の床部と天井部との間の水平変位
を吸収でき、中柱の上下端部や、地下構造物の床部や天
井部に加わる剪断力や曲げモーメントを低減することが
できる。また、接触部の摺動可能方向の両側に介在した
弾性部材により、復元力を持たせることが可能であり、
そのため、回転変形を十分に吸収できると共に中柱の変
位を確実に復帰させることができる。
【0040】また、上記請求項2の発明によれば、弾性
部材を、各接触部の周囲を囲む環状に形成することによ
り、接触部内へのほこり等の異物の混入を防止でき接触
面における摺動性を適正に確保でき、また水分の侵入を
防止できるので接触部における防錆効果が得らる。ま
た、請求項3の発明によれば、弾性部材が、各基盤部に
加硫接着により形成されたものであることにより、免震
装置の一体化が行われ、その取扱いが容易になると共
に、接触部のシール性がより高められる。
【0041】また、請求項4の発明によれば、各接触部
の接触面の間に摩擦低減部材を介在させたことにより、
接触部の摺動がさらにスムーズに行われるようになる。
また、接触面の加工を精密に行わなくても接触面の表面
状態が適正に保たれるので、接触部の加工コストを安価
にできる。また、請求項5の発明によれば、摩擦低減部
材に硬質ウレタンを使用することで弾性力を備えること
により、接触面の加工精度をさらに低くでき、加工コス
トをさらに安価にでき、耐荷重、耐磨耗性も向上する。
【0042】また、請求項6の発明によれば、弾性部材
の外側にてストッパ部材を設けたことにより、地震等の
大きい外力に対して、中柱の転倒による地下構造物の破
壊を防止できる。
【0043】また、請求項7の発明によれば、外力が小
さい場合の微小な水平変位に対しては、中柱の滑りのみ
で変位を吸収でき、地震などによる大きな水平変位に対
しては、本来の回転移動により大きな水平変位を吸収で
きるため、中柱の破壊を防止できる。
【0044】また、請求項8の発明によれば、免震装置
が無い従来構造でも問題の無かったような外力が小さい
場合の微小な水平変位に対しては、拘束手段で変位が制
限されるため、免震装置への負荷が軽減される。さら
に、周囲の弾性部材に過大な復元力を持たせる必要がな
くなる。一方、地震などの大きい外力が加わった場合
は、拘束手段が解除された後、本来の回転移動により中
柱の水平変位を吸収できるため、中柱の破損を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る地下トンネルの
免震装置が固定された中柱を示す断面図である。
【図2】免震装置が固定された中柱の一端を拡大して示
す断面で示す正面図である。
【図3】同免震装置の平面図である。
【図4】地下構造物の一例である複円形シールドトンネ
ルに免震装置を設けた中柱が取り付けられた状態を概略
的に示す断面図である。
【図5】第2の実施形態である免震装置を示す断面図で
ある。
【図6】第3の実施形態である免震装置を示す断面図で
ある。
【図7】同実施形態である免震装置の動作状態を説明す
る模式図である。
【図8】箱型トンネル構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…シールドトンネル、2…床部、3…天井部、10…
中柱、11…コンクリート柱、12…鋼管、13…端
板、20…免震装置、21…中柱側部材、22…基盤
部、23…接触部、23a…接触面、31…地下構造部
側部材、32…基盤部、33…接触部、33a…接触
面、34…円環板、34a…貫通孔、35…摩擦低減部
材、36…ゴム弾性体、38…固定板、40…免震装
置、41…中柱側部材、42…基盤部、45…ゴム弾性
体、46…ストッパ部材、51…地下構造部側部材、5
2…基盤部、61…拘束部材、62…止め具、70…免
震装置、71…中柱側部材、72…基盤部、73…接触
部、74…凹部、75,76…平面部、75a,76a
…係止凹部、81…地下構造物側部材、82…基盤部、
83…接触部、83a…接触面、85…摺動部材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田代 ▲のぼる▼ 東京都新宿区津久戸町2丁目1番地 株式 会社熊谷組内 (72)発明者 鈴木 猛康 茨城県つくば市大字鬼ヶ窪字下山1043番1 株式会社熊谷組技術研究所内 (72)発明者 金子 誉 茨城県つくば市大字鬼ヶ窪字下山1043番1 株式会社熊谷組技術研究所内 (72)発明者 勝川 藤太 茨城県つくば市大字鬼ヶ窪字下山1043番1 株式会社熊谷組技術研究所内 (72)発明者 鄭 志誠 茨城県つくば市大字鬼ヶ窪字下山1043番1 株式会社熊谷組技術研究所内 (72)発明者 佐々木 輝男 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 松本 達治 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 丸喜 繁雄 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (72)発明者 山田 博 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 2D055 BB04 EB03 LA19 3J048 AA02 AD10 BE14 BG01 EA38

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下構造物の床部と天井部との間に立設
    されて該床部と天井部間を支持する中柱の上端部及び/
    または下端部に取り付けられて、中柱側部材と地下構造
    物側部材とが重ね合わされて構成された地下構造物の中
    柱用免震装置であって、 前記中柱側部材と地下構造物側部材が、それぞれ基盤部
    と、各基盤部から互いに対向して突出して互いの接触面
    が密着可能な湾曲形状に形成された接触部とを有すると
    共に、少なくとも該接触部同士の摺動可能方向の両側に
    て該各基盤部間に介在された弾性部材を有することを特
    徴とする地下構造物の中柱用免震装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材が、前記各接触部の周囲を
    囲む環状に形成されたものであることを特徴とする前記
    請求項1に記載の地下構造物の中柱用免震装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性部材が、前記各基盤部に加硫接
    着により形成されたものであることを特徴とする前記請
    求項1または請求項2に記載の地下構造物の中柱用免震
    装置。
  4. 【請求項4】 前記各接触部の接触面に摩擦低減部材を
    設けたことを特徴とする前記請求項1から請求項3のい
    ずれか1項に記載の地下構造物の中柱用免震装置。
  5. 【請求項5】 前記摩擦低減部材が硬質ウレタンであ
    り、前記接触面の加工精度を下げることができることを
    特徴とする前記請求項4に記載の地下構造物の中柱用免
    震装置。
  6. 【請求項6】 前記弾性部材の外側にて、前記中柱側部
    材及び地下構造物側部材のいずれか一方に前記中柱の回
    転変位を制限するストッパ部材を設けたことを特徴とす
    る前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の地
    下構造物の中柱用免震装置。
  7. 【請求項7】 前記中柱側部材及び地下構造物側部材の
    いずれか一方の接触部の接触面を平坦面に形成すること
    とし、かつ、該中柱側部材及び地下構造物側部材の他方
    の接触部の接触面の一部に摺動方向に沿ってかまぼこ形
    に湾曲した凹部を設けると共に該凹部の摺動方向の外側
    に該凹部に連続してわずかに凹んだ係止凹部を設け、さ
    らに前記凹部と前記平坦面との間に摺動部材を介装させ
    たことを特徴とする前記請求項1から請求項6のいずれ
    か1項に記載の地下構造物の中柱用免震装置。
  8. 【請求項8】 前記中柱側部材及び地下構造物側部材の
    いずれか一方の周縁部に、該中柱側部材及び地下構造物
    側部材の水平方向への移動を拘束する拘束部材を設ける
    と共に、所定以上の大きさの水平方向への外力が加わっ
    たときに該拘束部材による拘束状態を自動的に解除する
    拘束解除手段を設けたことを特徴とする前記請求項1か
    ら請求項7のいずれか1項に記載の地下構造物の中柱用
    免震装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106089298B (zh) * 2016-07-20 2018-04-03 华北水利水电大学 一种上下交叉隧道减震结构

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CN106089298B (zh) * 2016-07-20 2018-04-03 华北水利水电大学 一种上下交叉隧道减震结构

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