JP2001001734A - 車輌の減衰係数制御装置 - Google Patents

車輌の減衰係数制御装置

Info

Publication number
JP2001001734A
JP2001001734A JP11177010A JP17701099A JP2001001734A JP 2001001734 A JP2001001734 A JP 2001001734A JP 11177010 A JP11177010 A JP 11177010A JP 17701099 A JP17701099 A JP 17701099A JP 2001001734 A JP2001001734 A JP 2001001734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
virtual
vehicle
damping coefficient
shock absorber
calculated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11177010A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Murata
正博 村田
Satoru Osaku
覚 大作
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP11177010A priority Critical patent/JP2001001734A/ja
Publication of JP2001001734A publication Critical patent/JP2001001734A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車輌の過渡旋回時の運動性能を向上させると
共に車体のヒーブ運動に関する車輌の性能を向上させ
る。 【解決手段】車輌の旋回内側に配置されたヒーブ制御用
の仮想のショックアブソーバ122F、122R、ロール
制御用の仮想のショックアブソーバ124F、1241
R、車輌の中央に配置されたヒーブ制御用の仮想のショ
ックアブソーバ126F、126Rの減衰係数及び各車輪
と車体との相対速度に基づき実際のショックアブソーバ
の目標減衰係数が演算される(S620〜780)減衰
係数制御装置。車輌の振動状態(S20〜190)、ば
ね上質量(S200〜220)、車速(S230、23
5)、ばね上とばね下との相対運動(S240〜25
0)に応じて各仮想のショックアブソーバの減衰係数が
可変制御される(S260)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の
減衰係数制御装置に係り、更に詳細には過渡旋回時の車
輌の運動性能を向上させるよう改良された減衰係数制御
装置に係る。
【0002】
【従来の技術】各車輪に対応して減衰係数可変のショッ
クアブソーバが設けられた自動車等の車輌の減衰係数制
御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる
出願公開前の特願平10−92675号の明細書及び図
面には、車輌の旋回情報を検出する手段と、車体ロール
量の変化を求める手段と、車体ロール量の増大過程に於
いては旋回内側のショックアブソーバの減衰係数を旋回
外側のショックアブソーバの減衰係数よりも相対的に高
く制御する手段とを有することを特徴とする車輌の減衰
係数制御装置が記載されている。
【0003】この先の提案にかかる減衰係数制御装置に
よれば、車体ロール量の増大過程に於いては、旋回内側
のショックアブソーバの減衰係数が旋回外側のショック
アブソーバの減衰係数よりも相対的に高く制御され、こ
れにより下向きに作用する旋回内側のショックアブソー
バの減衰力が上向きに作用する旋回外側のショックアブ
ソーバの減衰力よりも相対的に高く制御されるので、全
体として車体に作用する下向きの力が増大し、これによ
り車高を低減して車輌の過渡旋回時に於ける運動性能を
向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記先の提案にかかる
減衰係数制御装置に於いては、車輌の旋回状態に基づき
車体の重心に対しリフトすると推定される側へ車体より
所定の距離車輌横方向に隔置された仮想位置に車体の仮
想の揺動中心を有すると共に仮想の揺動中心の周りに作
用する第一の仮想のショックアブソーバ及び仮想位置に
て上下方向に作用する第二の仮想のショックアブソーバ
を有する車輌モデルに基づき、各車輪に対応して設けら
れた減衰係数可変の実際のショックアブソーバの減衰係
数が制御されるようになっている。
【0005】しかし上記先の提案にかかる減衰係数制御
装置に於ける第一及び第二の仮想のショックアブソーバ
の仮想減衰係数の如き車輌モデルのパラメータは車輌の
旋回時の性能要件により決定されるので、車体のヒーブ
運動に関する車輌の性能を十分に向上させることが困難
である。
【0006】本発明は、仮想の揺動中心の周りに作用す
る第一の仮想のショックアブソーバ及び仮想位置にて上
下方向に作用する第二の仮想のショックアブソーバを有
する車輌モデルに基づき実際のショックアブソーバの減
衰係数を制御するよう構成された先の提案にかかる減衰
係数制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされた
ものであり、本発明の主要な課題は、車体の重心のヒー
ブ運動を制御する第三の仮想のショックアブソーバを設
定することにより、車輌の過渡旋回時の運動性能を向上
させると共に車体のヒーブ運動に関する車輌の性能を向
上させることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本
発明によれば、請求項1の構成、即ち各車輪に対応して
減衰係数可変の実際のショックアブソーバが設けられた
車輌の減衰係数制御装置にして、車輌の旋回状態を検出
する手段と、前記車輌の旋回状態に基づきばね上の重心
に対しリフトすると推定される側へ前記ばね上より所定
の距離車輌横方向に隔置された仮想位置に前記ばね上の
仮想の揺動中心を有すると共に前記仮想の揺動中心の周
りに作用する第一の仮想のショックアブソーバと前記仮
想位置にて上下方向に作用する第二の仮想のショックア
ブソーバと前記ばね上の重心の位置にて上下方向に作用
する第三の仮想のショックアブソーバとを有する車輌モ
デルと、少なくとも前記第一乃至第三の仮想のショック
アブソーバの仮想減衰係数に基づき前記実際のショック
アブソーバの目標減衰係数を演算する手段と、前記目標
減衰係数に基づき前記実際のショックアブソーバの減衰
係数を制御する手段とを有することを特徴とする車輌の
減衰係数制御装置によって達成される。
【0008】上記請求項1の構成によれば、車輌の過渡
旋回時に第二の仮想のショックアブソーバによってばね
上の旋回外輪側のリフトが抑制され、これによりばね上
の重心が低下されることによって車輌の過渡旋回時の運
動性能が向上せしめられるだけでなく、第一及び第三の
仮想のショックアブソーバによってばね上の上下振動が
効果的に減衰されるので、第三の仮想のショックアブソ
ーバが設定されていない場合に比して、車輌の過渡旋回
時に於ける車体のヒーブ運動に関する車輌の性能を十分
に向上させることが可能になる。
【0009】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前
記車輌の状態量を検出する手段と、前記車輌の状態量に
応じて少なくとも前記第三の仮想のショックアブソーバ
の仮想減衰係数を可変設定する仮想減衰係数設定手段と
を有するよう構成される(請求項2の構成)。
【0010】上記請求項2の構成によれば、少なくとも
第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数が車輌
の状態量に応じて可変設定されるので、第一乃至第三の
仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数が車輌の状態
量の如何に拘わらず一定である場合に比して、実際のシ
ョックアブソーバの減衰係数が車輌の状態量に応じて適
切に制御され、これによりばね上の上下振動が車輌の走
行状態に応じて適切に制御される。
【0011】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前
記車輌の状態量を検出する手段は少なくとも前記ばね上
の振動状態量を検出し、前記仮想減衰係数設定手段は前
記ばね上の振動状態量に応じて前記第三の仮想のショッ
クアブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構成さ
れる(請求項3の構成)。
【0012】上記請求項3の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数はばね上の振動状
態量に応じて可変設定されるので、第三の仮想のショッ
クアブソーバの仮想減衰係数がばね上の振動状態量の如
何に拘わらず一定である場合に比して、実際のショック
アブソーバの減衰係数がばね上の振動状態に応じて適切
に制御される。
【0013】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前
記車輌の状態量を検出する手段は少なくとも前記ばね上
の質量を検出し、前記仮想減衰係数設定手段は前記ばね
上の質量に応じて前記第三の仮想のショックアブソーバ
の仮想減衰係数を可変設定するよう構成される(請求項
4の構成)。
【0014】上記請求項4の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数はばね上の質量に
応じて可変設定されるので、第三の仮想のショックアブ
ソーバの仮想減衰係数がばね上の質量の如何に拘わらず
一定である場合に比して、実際のショックアブソーバの
減衰係数がばね上の質量に応じて適切に制御される。
【0015】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前
記車輌の状態量を検出する手段は少なくとも車速を検出
し、前記仮想減衰係数設定手段は車速に応じて前記第三
の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定
するよう構成される(請求項5の構成)。
【0016】上記請求項5の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数は車速に応じて可
変設定されるので、第三の仮想のショックアブソーバの
仮想減衰係数が車速の如何に拘わらず一定である場合に
比して、実際のショックアブソーバの減衰係数が車速に
応じて適切に制御される。
【0017】また本発明によれば、上述の主要な課題を
効果的に達成すべく、上記請求項2の構成に於いて、前
記仮想減衰係数設定手段は前記車輌の状態量に応じて前
記所定の距離を可変設定すると共に前記所定の距離に応
じて前記第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係
数を可変設定するよう構成される(請求項6の構成)。
【0018】上記請求項6の構成によれば、車輌の状態
量に応じて所定の距離が可変設定されると共に所定の距
離に応じて第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰
係数が可変設定されるので、所定の距離に応じて第三の
仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数を適正に設定
することが可能になる。
【0019】
【課題解決手段の好ましい態様】図22に示されている
如く、実際の車輌の二輪モデルは車体110が左右の車
輪112L及び112Rにより支持され、車体110と
車輪112L及び112Rとの間にはサスペンションス
プリング114L及び114Rとショックアブソーバ1
16L及び116Rとが配設されたものとして表わされ
る。
【0020】図22に示された実際の車輌モデルに於い
て、例えば車輌が左旋回し、車体110に右方への慣性
力が作用することにより車体に旋回外方へのロールモー
メントMrollが作用したとすると、そのロールモーメン
トは左右のサスペンションスプリング114L及び11
4Rのばね力Fsl及びFsrと左右のショックアブソーバ
116L及び116Rの減衰力Fal及びFarとにより担
持され、車体のロール量の増大過程に於いてはこれらの
力によるロール抑制方向のモーメントとロールモーメン
トMrollとが等しくなるまで車体110が旋回外方へロ
ールする。
【0021】この場合サスペンションスプリング114
Lのばね力Fslの増大量とサスペンションスプリング1
14Rのばね力Fsrの減少量は実質的に互いに等しく、
また従来の車輌に於いては旋回時の左右のショックアブ
ソーバの減衰係数は互いに等しい値に制御されるので、
左右のショックアブソーバの減衰力Fal及びFarも実質
的に互いに等しく、従って車輌の重心118の高さは実
質的に変化しない。
【0022】これに対し図23に示されている如く、車
体110と左右の車輪112L及び112Rとの間にサ
スペンションスプリング114L及び114Rのみが配
設され、車輌に対し旋回内側に配置され車体110と仮
想の車輪120との間にて上下方向の減衰力を発生する
一つのショックアブソーバ122と、車輌に対し旋回内
側に配置され車体のロール変位を抑制する一つのショッ
クアブソーバ124と、車輌の重心118の上方に配置
され絶対空間に対し車体のヒーブ変位を抑制する一つの
ショックアブソーバ126とが配設された仮想モデルを
考えると、ロールモーメントMrollはショックアブソー
バ122の減衰力Fasとショックアブソーバ126の減
衰力Fbsと左右のサスペンションスプリング114L及
び114Rのばね力Fsl及びFsrとにより担持され、従
来の場合に比して旋回内輪側の車高の増大量が低減され
ることにより、重心118の高さが低下する。
【0023】従って図22に示された実際の車輌の二輪
モデルに於いて図23に示されている如き仮想モデルの
制御を達成できれば、車体ロール量の増大過程に於いて
車輌の重心118の高さを低下させ、これにより車輌の
旋回初期に於ける運動性能を向上させることができる。
【0024】いま図23に示されている如く、左右のサ
スペンションスプリング114L及び114Rのばね定
数をKとし、旋回外輪側のショックアブソーバの減衰係
数をCout とし、旋回外輪のストロークをXout とし、
旋回内輪側のショックアブソーバ114Lの減衰係数を
Cinとし、旋回内輪のストロークをXinとし、ショック
アブソーバ126の車輌の減衰係数をChとし、重心1
18のストロークをXbとし、トレッドをWとし、車輌
の重心118とショックアブソーバ122との間の距離
をLとし、ショックアブソーバ122及び124の減衰
係数をそれぞれCg 及びCとする。
【0025】また車体110の質量をMとし、車体の上
下加速度及びロール角速度をそれぞれXbdd 及びθddと
し、車体の上下速度をXbdとし、旋回外輪及び旋回内輪
のストローク速度をそれぞれXoutd及びXind とする
と、図23に示された仮想モデルに於ける上下方向の力
の釣り合い及び重心118の周りの力の釣り合いよりそ
れぞれ下記の式1及び式2が成立する。
【0026】
【数1】
【0027】車体のロール運動を減衰させるパラメータ
としてCn =WC/2とすると、上記式2は下記の式3
の如く表わされる。
【0028】
【数2】
【0029】また図22に示された実際の車輌の二輪モ
デルに於ける上下方向の力の釣り合い及び重心118の
周りの力の釣り合いよりそれぞれ下記の式4及び式5が
成立する。
【0030】
【数3】
【0031】上記式1及び式4より下記の式6が成立す
る。
【0032】
【数4】
【0033】またここでCm =Cn /Lとすると、上記
式3及び式5より下記の式7が成立する。
【0034】
【数5】
【0035】ここで図23に示された仮想モデルに於い
てショックアブソーバ122により発生される上下力を
下記の式8に従ってTと置くと、上記式6〜8より下記
の式9〜11が成立する。
【0036】
【数6】
【0037】
【数7】
【0038】式9+式11より旋回内輪のショックアブ
ソーバの減衰係数Cinを以下の如く求めることができ
る。
【0039】
【数8】
【0040】また上記式12を式9に代入して旋回外輪
のショックアブソーバの減衰係数Cout を以下の如く求
めることができる。
【0041】
【数9】
【0042】更に上記式12及び式13を整理して旋回
内輪及び旋回外輪のショックアブソーバの減衰係数Cin
及びCout はそれぞれ下記の式14及び式15の如く表
わされる。
【0043】
【数10】
【0044】尚旋回内輪側及び旋回外輪側のショックア
ブソーバにより発生される減衰力はそれぞれ下記の式1
6及び式17の如く求められる。
【0045】
【数11】
【0046】また同様の考え方に基づき、車体ロール量
の減少過程に於いては、車輌の旋回外側に仮想のショッ
クアブソーバ122及び124が配設された仮想モデル
に基づき、旋回内輪側及び旋回外輪側のショックアブソ
ーバの減衰係数Cin及びCout をそれぞれ下記の式18
及び式19の如く制御することにより、車輌の重心11
8の高さを低下させ、車輌の旋回終期に於ける運動性能
を向上させることができる。
【0047】
【数12】
【0048】従って本発明の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、車体ロール量の増大
過程に於いては旋回内側のショックアブソーバの減衰係
数Cin及び旋回外側のショックアブソーバの減衰係数C
out はそれぞれ上記式14及び式15に従って演算され
るよう構成される(好ましい態様1)。
【0049】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記請求項1の構成に於いて、車体ロール量の減
少過程に於いては旋回外側のショックアブソーバの減衰
係数が旋回内側のショックアブソーバの減衰係数よりも
高く制御されるよう構成される(好ましい態様2)。
【0050】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記好ましい態様2の構成に於いて、車体ロール
量の減少過程に於いては旋回内側のショックアブソーバ
の減衰係数Cin及び旋回外側のショックアブソーバの減
衰係数Cout はそれぞれ上記の式18及び式19に従っ
て演算されるよう構成される(好ましい態様3)。
【0051】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記好ましい態様1の構成に於いて、車輌モデル
は前輪側の車輌モデルと後輪側の車輌モデルとよりなる
よう構成される(好ましい態様4)。
【0052】また図24に示されている如く、前輪側及
び後輪側の車輌モデルについてのL、W、T、Cg 、
C、Ch をそれぞれLf 及びLr 、Wf 及びWr 、Tf
及びTr 、Cgf及びCgr、Cf 及びCr 、Chf及びChr
とし、旋回内側前輪及び旋回外側前輪のストローク速度
をそれぞれXfind及びXfoutd とし、旋回内側後輪及び
旋回外側後輪のストローク速度をそれぞれXrind及びX
routd とし、Tf 及びTr をそれぞれ下記の式20及び
式21により表される値として、車体ロール量の増大過
程に於いては旋回内側前輪のショックアブソーバの減衰
係数Cfin 及び旋回外側前輪のショックアブソーバの減
衰係数Cfoutはそれぞれ下記の式22及び式23に従っ
て演算され、旋回内側後輪のショックアブソーバの減衰
係数Crin及び旋回外側後輪のショックアブソーバの減
衰係数Croutはそれぞれ下記の式24及び式25に従っ
て演算されることが好ましい。
【0053】
【数13】
【0054】
【数14】
【0055】従って本発明の他の一つの好ましい態様に
よれば、上記好ましい態様4の構成に於いて、車体ロー
ル量の増大過程に於いては旋回内側前輪のショックアブ
ソーバの減衰係数Cfin 及び旋回外側前輪のショックア
ブソーバの減衰係数Cfoutはそれぞれ上記式22及び式
23に従って演算され、旋回内側後輪のショックアブソ
ーバの減衰係数Crin 及び旋回外側後輪のショックアブ
ソーバの減衰係数Croutはそれぞれ上記式24及び式2
5に従って演算されるよう構成される(好ましい態様
5)。
【0056】同様に本発明の他の一つの好ましい態様に
よれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、車輌モデ
ルは前輪側の車輌モデルと後輪側の車輌モデルとよりな
るよう構成される(好ましい態様6)。
【0057】また本発明の他の一つの好ましい態様によ
れば、上記好ましい態様6の構成に於いて、車体ロール
量の減少過程に於いては旋回内側前輪のショックアブソ
ーバの減衰係数Cfin 及び旋回外側前輪のショックアブ
ソーバの減衰係数Cfoutはそれぞれ下記の式26及び式
27に従って演算され、旋回内側後輪のショックアブソ
ーバの減衰係数Crin 及び旋回外側後輪のショックアブ
ソーバの減衰係数Croutはそれぞれ下記の式28及び式
29に従って演算されるよう構成される(好ましい態様
7)。
【0058】
【数15】
【0059】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項1の構成に於いて、第三の仮想のショッ
クアブソーバは絶対空間に対しばね上のヒーブ変位を抑
制するよう構成される(好ましい態様8)。
【0060】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、仮想減衰係数設定手
段はばね上の振動状態量に応じて第三の仮想のショック
アブソーバの仮想減衰係数を可変設定すると共に、第一
若しくは第二の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係
数若しくは所定の距離を可変設定するよう構成される
(好ましい態様9)。
【0061】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、車輌の状態量を検出
する手段はばね上の上下加速度を検出すると共にばね上
の共振周波数帯域を通過帯域としてばね上の上下加速度
をバンドパスフィルタ処理することにより各車輪毎にば
ね上のあおり度Daiを演算し、仮想減衰係数設定手段は
ばね上のあおり度Daiに応じて第三の仮想のショックア
ブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構成される
(好ましい態様10)。
【0062】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、車輌の状態量を検出
する手段はばね上の上下加速度を検出すると共にごつご
つ振動周波数帯域を通過帯域としてばね上の上下加速度
をバンドパスフィルタ処理することにより各車輪毎にば
ね上のごつごつ度Dgiを演算し、仮想減衰係数設定手段
はばね上のごつごつ度Dgiに応じて第三の仮想のショッ
クアブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構成さ
れる(好ましい態様11)。
【0063】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項3の構成に於いて、車輌の状態量を検出
する手段はばね下の振動状態量を検出し、仮想減衰係数
設定手段はばね下の振動状態量に応じて第三の仮想のシ
ョックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構
成される(好ましい態様12)。
【0064】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記好ましい態様12の構成に於いて、車輌の状態
量を検出する手段は各車輪のストロークの時間微分値と
してストローク速度を演算すると共に、ばね下のばたつ
き振動周波数帯域を通過帯域として各車輪のストローク
速度をバンドパスフィルタ処理することにより各車輪毎
にばね下のばたつき度Dbiを演算し、仮想減衰係数設定
手段はばね下のばたつき度Dbiに応じて第三の仮想のシ
ョックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構
成される(好ましい態様13)。
【0065】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項2の構成に於いて、車輌の状態量を検出
する手段はばね上とばね下との相対速度を検出し、仮想
減衰係数設定手段は相対速度に応じて第三の仮想のショ
ックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定するよう構成
される(好ましい態様14)。
【0066】本発明の他の一つの好ましい態様によれ
ば、上記請求項6の構成に於いて、車輌の状態量を検出
する手段は車輌のステア特性の変化を検出し、仮想減衰
係数設定手段は車輌のステア特性の変化に応じて所定の
距離を可変設定するよう構成される(好ましい態様1
5)。
【0067】
【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本
発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明す
る。
【0068】第一の実施形態 図1は本発明による減衰係数制御装置の第一の好ましい
実施形態を示す概略構成図である。
【0069】図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ
車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれ
ぞれ左右の後輪を示している。操舵輪である左右の前輪
10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール
14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニ
オン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド
18L及び18Rを介して操舵される。
【0070】ばね下としての各車輪10FL〜10RRとば
ね上としての車体20との間にはそれぞれ減衰係数可変
式のショックアブソーバ22FL〜22RRが配設されてお
り、各ショックアブソーバの減衰係数Ci(i=fl、f
r、rl、rr)は後述の如く車輌の旋回時に電気式制御装
置24により制御される。
【0071】電気式制御装置24には車高センサ26F
L、26FR、26RL、26RRより車輪10FL〜10RRの
ストロークXi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、上
下加速度センサ28FL、28FR、28RL、28RRより車
輪10FL〜10RRに対応する部位に於ける車体20の上
下加速度Gbi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号、横加
速度センサ30より車体の横加速度Gyを示す信号、車
速センサ32より車速Vを示す信号が入力される。
【0072】尚図には詳細に示されていないが、電気式
制御装置24は例えばCPUとROMとRAMと入出力
ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスに
より互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュ
ータを含んでいる。また車高センサ26FL〜26RRは車
輪のバウンド方向を正として車輪のストロークXiを検
出し、上下加速度センサ28FL〜28RRは上方への加速
度を正として車体の上下加速度Gbiを検出し、横加速度
センサ30は車輌の左旋回方向を正として横加速度を検
出する。
【0073】電気式制御装置24は、それぞれ図24
(A)及び(B)に示された前輪側及び後輪側の車輌モ
デルに基づきショックアブソーバ22FL〜22RRの減衰
係数を制御する。特にこの実施形態の電気式制御装置2
4は、後述の如く図2乃至図5に示されたフローチャー
トに従って横加速度Gyに基づき車輌が過渡旋回状態に
あるか否かを判別し、車輌が定常旋回状態にあるときに
は各車輪のショックアブソーバの減衰係数Ciを予め設
定されたハードの減衰係数Chighに制御し、車輌が過渡
旋回状態にあっても、車体のロール量が増大する過程に
於いては旋回内側のショックアブソーバの減衰係数が旋
回外側の減衰係数よりも高くなるよう制御し、逆に車体
のロール量が減少する過程に於いては旋回外側のショッ
クアブソーバの減衰係数が旋回内側の減衰係数よりも高
くなるよう各ショックアブソーバの減衰係数を制御し、
これにより過渡旋回時に於ける車高を低下させ車体の重
心を低下させる。
【0074】また電気式制御装置24は、前輪側及び後
輪側について車体のあおり度Daf及びDar、車体のごつ
ごつ度Dgf及びDgr、車輪のばたつき度Dbf及びDbrを
演算し、あおり度が大きいほど大きくなるよう各仮想の
ショックアブソーバの減衰係数を補正し、ごつごつ度が
大きいほど小さくなるよう各仮想のショックアブソーバ
の減衰係数を補正し、ばたつき度が大きいほど大きくな
るよう各仮想のショックアブソーバの減衰係数を補正す
る。
【0075】また電気式制御装置24は、前輪側のばね
上質量Mf及び後輪側のばね上質量Mrを演算し、ばね上
質量が大きいほど大きくなるよう各仮想のショックアブ
ソーバの減衰係数を補正する。
【0076】更に電気式制御装置24は、前輪側及び後
輪側についてストローク速度のヒーブ成分Xdhf、Xdhr
及びロール成分Xdrf、Xdrrを演算し、ヒーブ成分が大
きいほど大きくなるよう前輪側の仮想のショックアブソ
ーバ122F、126F及び後輪側の仮想のショックアブ
ソーバ122R、126Rの減衰係数を補正し、ロール成
分が大きいほど大きくなるよう前輪側の仮想のショック
アブソーバ124F及び後輪側の仮想のショックアブソ
ーバ124Rの減衰係数を補正する。
【0077】次に図2乃至図5に示されたフローチャー
トを参照して図示の第一の実施形態に於ける減衰係数の
制御について説明する。尚図2乃至図5に示されたフロ
ーチャートによる制御は図には示されていないイグニッ
ションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に
繰返し実行される。
【0078】まずステップ10に於いては各車輪のスト
ロークXiを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ
20に於いてはばね上の上下加速度Gbiが例えばばね上
の共振周波数帯域を通過帯域としてバンドパスフィルタ
処理されることにより、各車輪毎にばね上のあおり度D
ai(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0079】ステップ30に於いてはばね上の上下加速
度Gbiが例えばばね上のごつごつ振動周波数帯域を通過
帯域としてバンドパスフィルタ処理されることにより、
各車輪毎にばね上のごつごつ度Dgi(i=fl、fr、rl、
rr)が演算される。
【0080】ステップ40に於いては各車輪のストロー
クXiの時間微分値としてストローク速度Xidが演算さ
れると共に、ストローク速度Xidが例えばばね下のばた
つき振動周波数帯域を通過帯域としてバンドパスフィル
タ処理されることにより、各車輪毎にばね下のばたつき
度Dbi(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0081】ステップ50に於いては前輪側のあおり度
Dafがあおり度DaflとDafrとの和として演算され、後
輪側のあおり度Darがあおり度DarlとDarrとの和とし
て演算されると共に、それぞれあおり度Daf及びDarに
基づき図6に於いて実線及び破線にて示されたグラフに
対応するマップより前輪側の仮想のショックアブソーバ
122F及び後輪側の仮想のショックアブソーバ122R
の減衰係数の補正量Cgafa及びCgaraが演算される。
【0082】ステップ60に於いては前輪側のごつごつ
度Dgfがごつごつ度DgflとDgfrとの和として演算さ
れ、後輪側のごつごつ度Dgrがごつごつ度DgrlとDgrr
との和として演算されると共に、それぞれごつごつ度D
gf及びDgrに基づき図7に於いて実線及び破線にて示さ
れたグラフに対応するマップより前輪側の仮想のショッ
クアブソーバ122F及び後輪側の仮想のショックアブ
ソーバ122Rの減衰係数の補正量Cggfa及びCggraが
演算される。
【0083】ステップ70に於いては前輪側のばたつき
度Dbfがばたつき度DbflとDbfrとの和として演算さ
れ、後輪側のばたつき度Dbrがばたつき度DbrlとDbrr
との和として演算されると共に、それぞればたつき度D
bf及びDbrに基づき図8に於いて実線及び破線にて示さ
れたグラフに対応するマップより前輪側の仮想のショッ
クアブソーバ122F及び後輪側の仮想のショックアブ
ソーバ122Rの減衰係数の補正量Cgbfa及びCgbraが
演算される。
【0084】ステップ80に於いてはそれぞれ前輪側の
あおり度Daf及び後輪側のあおり度Darに基づき図9に
於いて実線及び破線にて示されたグラフに対応するマッ
プより前輪側の仮想のショックアブソーバ124F及び
後輪側の仮想のショックアブソーバ124Rの減衰係数
の補正量Cafa及びCaraが演算される。
【0085】ステップ90に於いてはそれぞれ前輪側の
ごつごつ度Dgf及び後輪側のごつごつ度Dgrに基づき図
10に於いて実線及び破線にて示されたグラフに対応す
るマップより前輪側の仮想のショックアブソーバ124
F及び後輪側の仮想のショックアブソーバ124Rの減衰
係数の補正量Cgfa及びCgraが演算される。
【0086】ステップ100に於いてはそれぞれ前輪側
のばたつき度Dbf及び後輪側のばたつき度Dbrに基づき
図11に於いて実線及び破線にて示されたグラフに対応
するマップより前輪側の仮想のショックアブソーバ12
4F及び後輪側の仮想のショックアブソーバ124Rの減
衰係数の補正量Cbfa及びCbraが演算される。
【0087】ステップ110に於いてはそれぞれあおり
度Daf及びDarに基づき図12に於いて実線及び破線に
て示されたグラフに対応するマップより前輪側の仮想の
ショックアブソーバ126F及び後輪側の仮想のショッ
クアブソーバ126Rの減衰係数の補正量Chafa及びCh
araが演算される。
【0088】ステップ120に於いてはそれぞれごつご
つ度Dgf及びDgrに基づき図13に於いて実線及び破線
にて示されたグラフに対応するマップより前輪側の仮想
のショックアブソーバ126F及び後輪側の仮想のショ
ックアブソーバ126Rの減衰係数の補正量Chgfa及び
Chgraが演算される。
【0089】ステップ130に於いてはそれぞればたつ
き度Dbf及びDbrに基づき図14に於いて実線及び破線
にて示されたグラフに対応するマップより前輪側の仮想
のショックアブソーバ126F及び後輪側の仮想のショ
ックアブソーバ126Rの減衰係数の補正量Chbfa及び
Chbraが演算される。
【0090】ステップ140に於いてはMAXを( )内
の数値の大きい方の値として下記の式30に従って前輪
側の仮想のショックアブソーバ122Fの減衰係数の補
正量Cabgfが演算されると共に、下記の式31に従って
後輪側の仮想のショックアブソーバ122Rの減衰係数
の補正量Cabgrが演算される。 Cabgf=MAX(Cgafa,Cgbfa) ……(30) Cabgr=MAX(Cgara,Cgbra) ……(31)
【0091】ステップ150に於いてはMINを( )内
の数値の小さい方の値として下記の式32に従って前輪
側の仮想のショックアブソーバ122Fの減衰係数の補
正量Cagfが演算されると共に、下記の式33に従って
後輪側の仮想のショックアブソーバ122Rの減衰係数
の補正量Cagrが演算される。 Cagf=MIN(Cabgf,Cggfa) ……(32) Cagr=MIN(Cabgr,Cggra) ……(33)
【0092】同様にステップ160に於いては下記の式
34に従って前輪側の仮想のショックアブソーバ124
Fの減衰係数の補正量Cabfが演算されると共に、下記の
式35に従って後輪側の仮想のショックアブソーバ12
4Rの減衰係数の補正量Cabrが演算される。 Cabf=MAX(Cafa,Cbfa) ……(34) Cabr=MAX(Cara,Cbra) ……(35)
【0093】ステップ170に於いては下記の式36に
従って前輪側の仮想のショックアブソーバ124Fの減
衰係数の補正量Cafが演算されると共に、下記の式37
に従って後輪側の仮想のショックアブソーバ124Rの
減衰係数の補正量Carが演算される。 Caf=MIN(Cabf,Cgfa) ……(36) Car=MIN(Cabr,Cgra) ……(37)
【0094】更にステップ180に於いては下記の式3
8に従って前輪側の仮想のショックアブソーバ126F
の減衰係数の補正量Cabhfが演算されると共に、下記の
式39に従って後輪側の仮想のショックアブソーバ12
6Rの減衰係数の補正量Cabhrが演算される。 Cabhf=MAX(Chafa,Chbfa) ……(38) Cabhr=MAX(Chara,Chbra) ……(39)
【0095】ステップ190に於いては下記の式40に
従って前輪側の仮想のショックアブソーバ126Fの減
衰係数の補正量Cahfが演算されると共に、下記の式4
1に従って後輪側の仮想のショックアブソーバ126R
の減衰係数の補正量Cahrが演算される。 Cahf=MIN(Cabhf,Chgfa) ……(40) Cahr=MIN(Cabhr,Chgra) ……(41)
【0096】ステップ200に於いては例えばばね上の
上下加速度と、ばね下に対するばね上の上下方向の相対
速度と、ショックアブソーバの減衰力とに基づき車輌の
運動方程式をばね上の質量について解く方法(本願出願
人の出願にかかる出願公開前の特願平10−19054
8号の明細書及び図面参照)や、車輪ストロークXiの
積分値に基づくばね上の質量の演算の如く、当技術分野
に於いて公知の要領にて各車輪毎にばね上質量Mi(i
=fl、fr、rl、rr)が演算される。
【0097】ステップ210に於いては前輪側のばね上
質量MfがMflとMfrとの和として演算されると共に、
それぞれ前輪側のばね上質量Mfに基づき図15に於い
て実線、破線、一点鎖線にて示されたグラフに対応する
マップより前輪側の仮想のショックアブソーバ122
F、124F及び126Fの減衰係数の補正量Cmgf、Cmf
及びCmhfが演算される。
【0098】同様にステップ220に於いては後輪側の
ばね上質量MrがMrlとMrrとの和として演算されると
共に、それぞれ後輪側のばね上質量Mrに基づき図16
に於いて実線、破線、一点鎖線にて示されたグラフに対
応するマップより後輪側の仮想のショックアブソーバ1
22R、124R及び126Rの減衰係数の補正量Cmgr、
Cmr及びCmhrが演算される。
【0099】ステップ230に於いては車速Vに基づき
図17に於いて実線、破線、一点鎖線にて示されたグラ
フに対応するマップより前輪側の仮想のショックアブソ
ーバ122F、124F及び126Fの減衰係数の補正量
Cvgf、Cvf及びCvhfが演算される。
【0100】同様にステップ235に於いては車速Vに
基づき図18に於いて実線、破線、一点鎖線にて示され
たグラフに対応するマップより後輪側の仮想のショック
アブソーバ122R、124R及び126Rの減衰係数の
補正量Cvgr、Cvr及びCvhrが演算される。
【0101】ステップ240に於いてはステップ40に
於いて演算された各車輪のストローク速度Xidに基づき
それぞれ下記の式42及び43に従って前輪側及び後輪
側のストローク速度のヒーブ成分Xdhf及びXdhrが演算
されると共に、それぞれヒーブ成分Xdhf及びXdhrに基
づき図19に於いて実線及び破線にて示されたグラフに
対応するマップより前輪側の仮想のショックアブソーバ
122F及び後輪側の仮想のショックアブソーバ122R
の減衰係数についてのゲインKhf及びKhrが演算され
る。 Xdhf=(Xfld+Xfrd)/2 ……(42) Xdhr=(Xrld+Xrrd)/2 ……(43)
【0102】ステップ245に於いては各車輪のストロ
ーク速度Xidに基づきそれぞれ下記の式44及び46に
従って前輪側及び後輪側のストローク速度のロール成分
Xdrf及びXdrrが演算されると共に、それぞれロール成
分Xdrf及びXdrrに基づき図20に於いて実線及び破線
にて示されたグラフに対応するマップより前輪側の仮想
のショックアブソーバ124F及び後輪側の仮想のショ
ックアブソーバ124Rの減衰係数についてのゲインKr
f及びKrrが演算される。 Xdrf=(Xfld−Xfrd) ……(44) Xdrr=(Xrld−Xrrd) ……(46)
【0103】ステップ250に於いてはそれぞれ前輪側
及び後輪側のヒーブ成分Xdhf及びXdhrに基づき図21
に於いて実線及び破線にて示されたグラフに対応するマ
ップより前輪側の仮想のショックアブソーバ126F及
び後輪側の仮想のショックアブソーバ126Rの減衰係
数についてのゲインKhhf及びKhhrが演算される。
【0104】ステップ260に於いてはそれぞれ下記の
式47〜52に従って前輪側の仮想のショックアブソー
バ122F、後輪側の仮想のショックアブソーバ122
R、前輪側の仮想のショックアブソーバ124F、後輪側
の仮想のショックアブソーバ124R、前輪側の仮想の
ショックアブソーバ126F及び後輪側の仮想のショッ
クアブソーバ126Rの減衰係数Cgf、Cgr、Cf、C
r、Chf及びChrが演算される。尚下記の式47〜52
に於いて、Cgfs、Cgrs、Cfs、Crs、Chfs、Chrsは
それぞれ減衰係数Cgf、Cgr、Cf、Cr、Chf、Chrの
基本値(正の定数)である。
【0105】 Cgf=Khf(Cgfs+Cagf+Cmgf+Cvgf) ……(47) Cgr=Khr(Cgrs+Cagr+Cmgr+Cvgr) ……(48) Cf=Krf(Cfs+Caf+Cmf+Cvf) ……(49) Cr=Krr(Crs+Car+Cmr+Cvr) ……(50) Chf=Khhf(Chfs+Cahf+Cmhf+Cvhf) ……(51) Chr=Khhr(Chrs+Cahr+Cmhr+Cvhr) ……(52)
【0106】ステップ270に於いては例えば減衰係数
Cgf及びCgrの前回値と今回値との偏差ΔCgf及びΔC
grが演算されると共に、偏差ΔCgf及びΔCgrの絶対値
が基準値Cgo(正の定数)を越えているときには偏差の
絶対値がCgoになるよう今回値が補正されることによ
り、減衰係数Cgf及びCgrの変化率が制限される処理が
行われる。
【0107】同様にステップ280に於いては例えば減
衰係数Cf及びCrの前回値と今回値との偏差ΔCf及び
ΔCrが演算されると共に、偏差ΔCf及びΔCrの絶対
値が基準値Co(正の定数)を越えているときには偏差
の絶対値がCoになるよう今回値が補正されることによ
り、減衰係数Cf及びCrの変化率が制限される処理が行
われる。
【0108】更にステップ290に於いては例えば減衰
係数Chf及びChrの前回値と今回値との偏差ΔChf及び
ΔChrが演算されると共に、偏差ΔChf及びΔChrの絶
対値が基準値Cho(正の定数)を越えているときには偏
差の絶対値がChoになるよう今回値が補正されることに
より、減衰係数Chf及びChrの変化率が制限される処理
が行われ、しかる後ステップ620へ進む。
【0109】ステップ620に於いては横加速度Gy の
絶対値が制御のしきい値としての基準値Gyo(正の定
数)を越えているか否かの判別、即ち車輪の旋回時に於
けるショックアブソーバの減衰係数の制御が必要である
か否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはス
テップ640へ進み、否定判別が行われたときにはステ
ップ630へ進む。
【0110】ステップ630に於いては各車輪のショッ
クアブソーバの減衰係数が車輌の非旋回時に於ける通常
の制御ルーチンに従って設定され、しかる後ステップ7
80へ進む。尚この場合の減衰係数の制御は当技術分野
に於いて公知の任意の要領にて行われてよい。
【0111】ステップ640に於いては横加速度Gy の
時間微分値ΔGy が演算されると共に、時間微分値ΔG
y の絶対値がその基準値ΔGyo(正の定数)を越えてい
るか否かの判別、即ち車輌が過渡旋回状態にあるか否か
の判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ
660へ進み、否定判別が行われたときはステップ65
0に於いて各車輪のショックアブソーバの減衰係数Ci
が予め設定されたハードの減衰係数Chighに設定された
後ステップ780へ進む。
【0112】ステップ660に於いては各車輪のストロ
ークXi の時間微分値(ストローク速度)Xid(i=f
l、fr、rl、rr)が演算され、ステップ670に於いて
は横加速度Gy が正であるか否かの判別、即ち車輌が左
旋回状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行わ
れたときにはステップ680へ進み、否定判別が行われ
たときにはステップ690へ進む。
【0113】ステップ680に於いては旋回内側前輪の
ストローク速度Xfindが左前輪のストローク速度Xfld
に設定され、旋回外側前輪のストローク速度Xfoutd が
右前輪のストローク速度Xfrd に設定され、旋回内側後
輪のストローク速度Xrindが左後輪のストローク速度X
rld に設定され、旋回外側後輪のストローク速度Xrout
d が右後輪のストローク速度Xrrd に設定される。
【0114】同様にステップ690に於いては旋回内側
前輪のストローク速度Xfindが右前輪のストローク速度
Xfrd に設定され、旋回外側前輪のストローク速度Xfo
utdが左前輪のストローク速度Xfld に設定され、旋回
内側後輪のストローク速度Xrindが右後輪のストローク
速度Xrrd に設定され、旋回外側後輪のストローク速度
Xroutd が左後輪のストローク速度Xrld に設定され
る。
【0115】ステップ700に於いてはsignGy を横加
速度Gy の符号として横加速度の時間微分値ΔGy とsi
gnGy との積が正であるか否かの判別、即ち車輌の旋回
に起因する横加速度の大きさが増大過程にあり車体のロ
ール量が増大する状況にあるか否かの判別が行われ、肯
定判別が行われたときはステップ710に於いて旋回内
側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪、旋回外側後輪の
ショックアブソーバの減衰係数Cj (j=fin 、fout、
rin 、rout)が前記式22〜25に従って演算され、否
定判別が行われたときにはステップ720に於いて各シ
ョックアブソーバの減衰係数Cj が前記式26〜29に
従って演算される。
【0116】ステップ730に於いては左前輪のショッ
クアブソーバの減衰係数Cflが旋回内側前輪の減衰係数
Cfin に設定され、右前輪のショックアブソーバの減衰
係数Cfrが旋回外側前輪の減衰係数Cfoutに設定され、
左後輪のショックアブソーバの減衰係数Crlが旋回内側
後輪の減衰係数Crin に設定され、右後輪のショックア
ブソーバの減衰係数Crrが旋回外側後輪の減衰係数Cro
utに設定される。
【0117】同様にステップ740に於いては横加速度
の時間微分値ΔGy とsignGy との積が正であるか否か
の判別が行われ、肯定判別が行われたときはステップ7
50に於いて旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後
輪、旋回外側後輪のショックアブソーバの減衰係数Cj
が前記式22〜25に従って演算され、否定判別が行わ
れたときにはステップ760に於いて各ショックアブソ
ーバの減衰係数Cj が前記式26〜29に従って演算さ
れる。
【0118】ステップ770に於いては左前輪のショッ
クアブソーバの減衰係数Cflが旋回外側前輪の減衰係数
Cfoutに設定され、右前輪のショックアブソーバの減衰
係数Cfrが旋回内側前輪の減衰係数Cfin に設定され、
左後輪のショックアブソーバの減衰係数Crlが旋回外側
後輪の減衰係数Croutに設定され、右後輪のショックア
ブソーバの減衰係数Crrが旋回内側後輪の減衰係数Cri
n に設定される。
【0119】ステップ780に於いては各ショックアブ
ソーバの減衰係数がステップ630、650、730又
は770に於いて設定された減衰係数になるよう制御さ
れ、しかる後ステップ10へ戻る。
【0120】かくして図示の第一の実施形態によれば、
ステップ620に於いて車輪の旋回時に於けるショック
アブソーバの減衰係数の制御が必要であるか否かの判別
が行われ、ステップ640に於いて車輌が過渡旋回状態
にあるか否かの判別が行われ、ステップ670に於いて
車輌の旋回方向が判定され、ステップ660、680及
び690に於いて各車輪のストローク速度が求められ、
ステップ700及び740に於いて車体のロール量が増
大する過程にあるか否かの判別が行われ、車体のロール
量が増大する過程にあるときにはステップ710及び7
50に於いて各ショックアブソーバの減衰係数Cj が式
22〜25に従って演算され、車体のロール量が減少す
る過程にあるときにはステップ720及び760に於い
て各ショックアブソーバの減衰係数Cj が式26〜29
に従って演算される。
【0121】従って図示の第一の実施形態によれば、車
輌が車体のロール量が増大する過渡旋回状態にあるとき
には、旋回内側のショックアブソーバの減衰係数が旋回
外側の減衰係数よりも高くなるよう各ショックアブソー
バの減衰係数が制御され、逆に車輌が車体のロール量が
減少する過渡旋回状態にあるときには、旋回外側のショ
ックアブソーバの減衰係数が旋回内側の減衰係数よりも
高くなるよう各ショックアブソーバの減衰係数が制御さ
れるので、車高を低下させ車体の重心を低下させて過渡
旋回時に於ける車輌の運動性能を向上させることができ
る。
【0122】また図示の第一の実施形態によれば、左右
前輪のショックアブソーバの減衰係数及び左右後輪のシ
ョックアブソーバの減衰係数は相互に独立して制御され
るので、例えば前記式20〜29に於けるLf 及びLr
、Wf 及びWrを適宜に設定し、Cgf及びCgr、Cf 及
びCr 、Chf及びChrを演算するためのマップを適宜に
設定することにより、車輌の過渡旋回時に於ける車体の
前後方向の姿勢を制御し、例えば旋回初期に於ける車体
のノーズダイブを低減したり、旋回終期に於ける車体の
ノーズリフトを低減したりすることができる。
【0123】また図示の第一の実施形態によれば、車体
ロール量が増大過程又は減少過程にあるか否かの判定は
車体の横加速度Gy に基づき行われるので、例えば車高
センサ26FL〜26RRにより検出される各輪のストロー
クXi に基づき車体の実際のロール量が演算され、その
実際のロール量に基づき車体ロール量が増大過程又は減
少過程にあるか否かが判定される場合に比して応答性よ
く各ショックアブソーバの減衰係数を制御することがで
きる。
【0124】尚図5に示されたステップ620〜780
は第一及び第二の実施形態に於いて共通であるので、以
上の各作用効果は後述の第二の実施形態に於いても同様
に得られる。
【0125】特に図示の第一の実施形態によれば、ステ
ップ20及び50に於いて前輪側のあおり度Daf及び後
輪側のあおり度Darが演算されると共に、あおり度Daf
及びDarが大きいほど大きくなるよう前輪側の仮想のシ
ョックアブソーバ122F及び後輪側の仮想のショック
アブソーバ122Rの減衰係数の補正量Cgafa及びCgar
aが演算され、ステップ30及び60に於いて前輪側の
ごつごつ度Dgf及び後輪側のごつごつ度Dgrが演算され
ると共に、ごつごつ度Dgf及びDgrが大きいほど小さく
なるよう減衰係数の補正量Cggfa及びCggraが演算さ
れ、ステップ40及び70に於いて前輪側のばたつき度
Dbf及び後輪側のばたつき度Dbrが演算されると共に、
ばたつき度Dbf及びDbrが大きいほど大きくなるよう減
衰係数の補正量Cgbfa及びCgbraが演算される。
【0126】そしてステップ140に於いて減衰係数の
補正量Cgafa、Cgbfaの大きい方の値として補正量Cab
gfが演算されると共に、減衰係数の補正量Cgara、Cgb
raの大きい方の値として補正量Cabgrが演算され、ステ
ップ150に於いて補正量Cabgf、Cggfaの小さい方の
値として補正量Cagfが演算されると共に、補正量Cabg
r、Cggraの小さい方の値として補正量Cagrが演算さ
れ、ステップ260に於いて前輪側の仮想のショックア
ブソーバ122Fの基本の減衰係数Cgfsが補正量Cagf
にて補正されると共に、後輪側の仮想のショックアブソ
ーバ122Rの基本の減衰係数Cgrsが補正量Cagrにて
補正される。
【0127】同様に、ステップ80に於いてあおり度D
af及びDarが大きいほど大きくなるよう前輪側の仮想の
ショックアブソーバ124F及び後輪側の仮想のショッ
クアブソーバ124Rの減衰係数の補正量Cafa及びCar
aが演算され、ステップ90に於いてごつごつ度Dgf及
びDgrが大きいほど小さくなるよう減衰係数の補正量C
gfa及びCgraが演算され、ステップ100に於いてばた
つき度Dbf及びDbrが大きいほど大きくなるよう減衰係
数の補正量Cbfa及びCbraが演算される。
【0128】そしてステップ160に於いて減衰係数の
補正量Cafa、Cbfaの大きい方の値として補正量Cabf
が演算されると共に、減衰係数の補正量Cara、Cbraの
大きい方の値として補正量Cabrが演算され、ステップ
170に於いて補正量Cabf、Cgfaの小さい方の値とし
て補正量Cafが演算されると共に、補正量Cabr、Cgra
の小さい方の値として補正量Carが演算され、ステップ
260に於いて前輪側の仮想のショックアブソーバ12
4Fの基本の減衰係数Cfsが補正量Cafにて補正される
と共に、後輪側の仮想のショックアブソーバ124Rの
基本の減衰係数Crsが補正量Carにて補正される。
【0129】更にステップ110に於いて前輪側のあお
り度Daf及び後輪側のあおり度Darが大きいほど大きく
なるよう前輪側の仮想のショックアブソーバ126F及
び後輪側の仮想のショックアブソーバ126Rの減衰係
数の補正量Chafa及びCharaが演算され、ステップ12
0に於いて前輪側のごつごつ度Dgf及び後輪側のごつご
つ度Dgrが大きいほど小さくなるよう減衰係数の補正量
Chgfa及びChgraが演算され、ステップ130に於いて
前輪側のばたつき度Dbf及び後輪側のばたつき度Dbrが
大きいほど大きくなるよう減衰係数の補正量Chbfa及び
Chbraが演算される。
【0130】そしてステップ180に於いて減衰係数の
補正量Chafa、Chbfaの大きい方の値として補正量Cab
hfが演算されると共に、減衰係数の補正量Chara、Chb
raの大きい方の値として補正量Cabhrが演算され、ステ
ップ190に於いて補正量Cabhf、Chgfaの小さい方の
値として補正量Cahfが演算されると共に、補正量Cabh
r、Chgraの小さい方の値として補正量Cahrが演算さ
れ、ステップ260に於いて前輪側の仮想のショックア
ブソーバ126Fの基本の減衰係数Chfsが補正量Cahf
にて補正されると共に、後輪側の仮想のショックアブソ
ーバ126Rの基本の減衰係数Chrsが補正量Cahrにて
補正される。
【0131】従って第一の実施形態によれば、ばね上及
びばね下の振動状況に応じて第一乃至第三の仮想のショ
ックアブソーバの減衰係数が最適化されることによって
実際のショックアブソーバの減衰係数が最適に制御され
るので、ばね上及びばね下の振動状況に拘わらず各仮想
のショックアブソーバの減衰係数が一定である場合や車
体の重心のヒーブ運動を制御する第三の仮想のショック
アブソーバが車輌モデルに設定されない場合に比して、
車体のあおりやごつごつ振動及び車輪のばたばた振動を
効果的に低減し、これにより車輌の乗り心地性を向上さ
せることができる。
【0132】また図示の第一の実施形態によれば、ステ
ップ200に於いて各車輪毎にばね上質量Miが演算さ
れ、ステップ210に於いて前輪側のばね上質量Mfが
演算されると共に、前輪側のばね上質量Mfが大きいほ
ど大きくなるよう前輪側の各仮想のショックアブソーバ
の減衰係数の補正量Cmgf、Cmf、Cmhfが演算され、ス
テップ220に於いて後輪側のばね上質量Mrが演算さ
れると共に、後輪側のばね上質量Mrが大きいほど大き
くなるよう後輪側の各仮想のショックアブソーバの減衰
係数の補正量Cmgr、Cmr、Cmhrが演算される。
【0133】従って第一の実施形態によれば、ばね上質
量に応じて第一乃至第三の仮想のショックアブソーバの
減衰係数が最適に制御されることによって実際のショッ
クアブソーバの減衰係数がばね上質量に応じて最適に制
御されるので、ばね上質量の如何に拘わらず各仮想のシ
ョックアブソーバの減衰係数が一定である場合に比して
車輌の振動を適切に制御することができる。
【0134】更に図示の第一の実施形態によれば、ステ
ップ240に於いて前輪側及び後輪側ストローク速度の
ヒーブ成分Xdhf及びXdhrが演算されると共に、ヒーブ
成分Xdhf及びXdhrが大きいほど大きくなるよう前輪側
の仮想のショックアブソーバ122F及び後輪側の仮想
のショックアブソーバ122Rの減衰係数についてのゲ
インKhf及びKhrが演算され、ステップ245に於いて
前輪側及び後輪側ストローク速度のロール成分Xdrf及
びXdrrが演算されると共に、ロール成分Xdrf及びXdr
rが大きいほど大きくなるよう前輪側の仮想のショック
アブソーバ124F及び後輪側の仮想のショックアブソ
ーバ124Rの減衰係数についてのゲインKrf及びKrr
が演算され、ステップ250に於いて前輪側及び後輪側
ストローク速度のヒーブ成分Xdhf及びXdhrが大きいほ
ど大きくなるよう前輪側の仮想のショックアブソーバ1
26F及び後輪側の仮想のショックアブソーバ126Rの
減衰係数についてのゲインKhhf及びKhhrが演算され
る。
【0135】従って第一の実施形態によれば、前輪側及
び後輪側ストローク速度のヒーブ成分Xdhf及びXdhrの
如何に拘わらず仮想のショックアブソーバ122F、1
22R及び仮想のショックアブソーバ126F、126R
の減衰係数が一定であり、前輪側及び後輪側ストローク
速度のロール成分Xdrf及びXdrrの如何に拘わらず仮想
のショックアブソーバ124F及び124Rの減衰係数が
一定である場合に比してばね上とばね下との相対速度の
状況に応じて実際のショックアブソーバの減衰係数を適
切に制御し、これにより車輌の振動を適切に制御するこ
とができる。
【0136】更に図示の第一の実施形態によれば、ステ
ップ270に於いて減衰係数Cgf及びCgrの変化率が制
限され、ステップ280に於いて減衰係数Cf及びCrの
変化率が制限され、ステップ290に於いて減衰係数C
hf及びChrの変化率が制限されるので、かかる減衰係数
の変化率の制限処理が行われない場合に比してショック
アブソーバの減衰力の急激な変化及びこれに起因する車
輌の乗り心地性の悪化を確実に防止することができる。
【0137】尚図示の第一の実施形態に於いては、
(1)ばね上及びばね下の振動状況に基づく減衰係数の
補正量Cagf、Cagr、Caf、Car、Cahf、Cahr、
(2)ばね上質量に基づく減衰係数の補正量Cmgf、Cm
gr、Cmf、Cmr、Cmhf、Cmhr、(3)車速Vに基づく
減衰係数の補正量Cvgf、Cvgr、Cvf、Cvr、Cvhf、
Cvhr、(4)車輪ストローク速度のヒーブ成分及びロ
ール成分に基づくゲインKhf、Khr、Krf、Krr、Khh
f、Khhrにより仮想のショックアブソーバの減衰係数が
最適化されるようになっているが、上記(1)〜(4)
の少なくとも何れか一つの項目が省略されてもよい。
【0138】第二の実施形態 図25及び26はそれぞれ本発明による減衰係数制御装
置の第二の好ましい実施形態に於ける減衰係数制御ルー
チンの前段部分及び中断部分を示すフローチャートであ
る。
【0139】尚図1に於いて仮想線にて示されている如
く、この第二の実施形態の電気式制御装置24には操舵
角センサ34より操舵角δを示す信号、ヨーレートセン
サ36より車輌のヨーレートγを示す信号も入力され、
操舵角センサ34及びヨーレートセンサ36も車輌の左
旋回方向を正としてそれぞれ操舵角δ及びヨーレートγ
を検出するようになっている。
【0140】またこの実施形態の電気式制御装置24
は、車速V及び操舵角δに基づき車輌の基準ヨーレート
γtを演算し、車輌の実際のヨーレートγと基準ヨーレ
ートγtとの偏差Δγを演算し、偏差Δγに基づき車輌
がオーバステア状態又はアンダステア状態にあるか否か
を判定し、車輌がオーバステア状態又はアンダステア状
態にあるときには偏差Δγが小さくなるよう前輪側及び
後輪側の各仮想のショックアブソーバの減衰係数の補正
量ΔCgf、ΔCgr、ΔCf、ΔCr及び所定の距離の補正
量ΔLf、ΔLrを演算し、その演算結果に基づき実際の
各ショックアブソーバの減衰係数を制御する。
【0141】またこの実施形態の電気式制御装置24
は、補正後の所定の距離Lf、Lrが基準値未満であるか
否かを判定し、補正後の所定の距離Lf、Lrが基準値未
満であるときには、前輪側及び後輪側の車輪のストロー
ク速度に基づき前輪側及び後輪側の各仮想のショックア
ブソーバ126F、126Rの減衰係数Chf、Chrがショ
ックアブソーバの伸び側については小さくなり縮み側に
ついては大きくなるよう減衰係数Chf、Chrを制御す
る。
【0142】まずステップ310に於いては各車輪のス
トロークXiを示す信号等の読み込みが行われ、ステッ
プ320に於いては検出されたヨーレートγよりノイズ
成分を除去するためのフィルタ処理が行われることによ
りフィルタ処理後のヨーレートγfが演算される。
【0143】ステップ330に於いては操舵角δに基づ
き前輪の実舵角δfが演算され、Hをホイールベースと
しKhをスタビリティファクタとして下記の式53に従
って目標ヨーレートγeが演算されると共に、Tを時定
数としsをラプラス演算子として下記の式54に従って
車速V及び操舵角δに基づく車輌の基準ヨーレートγt
が演算される。尚目標ヨーレートγeは動的なヨーレー
トを考慮すべく車輌の横加速度Gyを加味して演算され
てもよい。 γe=Vδ/(1+KhV2)H ……(53) γt=γe/(1+Ts) ……(54)
【0144】ステップ340に於いては下記の式55に
従ってヨーレート偏差Δγ、即ちフィルタ処理後のヨー
レートγfと基準ヨーレートγtとの偏差が演算される。 Δγ=γf−γt ……(55)
【0145】ステップ350に於いてはフィルタ処理後
のヨーレートγfが正の値であるか否かの判別、即ち車
輌が左旋回状態にあるか否かの判別が行われ、否定判別
が行われたときにはステップ370へ進み、肯定判別が
行われたときにはステップ360へ進む。
【0146】ステップ360に於いてはヨーレート偏差
Δγが正の値であるか否かの判別、即ち車輌がオーバス
テア状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別が行わ
れたときにはステップ380へ進み、否定判別が行われ
たときにはステップ390へ進む。
【0147】同様にステップ370に於いてはヨーレー
ト偏差Δγが負の値であるか否かの判別、即ち車輌がオ
ーバステア状態にあるか否かの判別が行われ、肯定判別
が行われたときにはステップ380へ進み、否定判別が
行われたときにはステップ390へ進む。
【0148】ステップ380に於いてはヨーレート偏差
Δγに基づき図27の第一及び第四象限に示されたグラ
フに対応するマップより前輪側の仮想のショックアブソ
ーバ122Fの減衰係数の補正量ΔCgf、前輪側の仮想
のショックアブソーバ124Fの減衰係数の補正量ΔC
f、後輪側の仮想のショックアブソーバ122Rの減衰係
数の補正量ΔCgr、後輪側の仮想のショックアブソーバ
124Rの減衰係数の補正量ΔCr、前輪側の車輌モデル
の所定の距離の補正量ΔLf、後輪側の車輌モデルの所
定の距離の補正量ΔLrが演算される。
【0149】同様にステップ390に於いてはヨーレー
ト偏差Δγに基づき図27の第二及び第三象限に示され
たグラフに対応するマップより減衰係数の補正量ΔCg
f、ΔCf、ΔCgr、ΔCr及び所定の距離の補正量ΔL
f、ΔLrが演算される。
【0150】ステップ400に於いてはCgfo、Cgro、
Cfo、Croをそれぞれ前輪側の仮想のショックアブソー
バ122F、後輪側の仮想のショックアブソーバ122
R、前輪側の仮想のショックアブソーバ124F及び後輪
側の仮想のショックアブソーバ124Rについて予め設
定された基本の減衰係数とし、Lfo及びLroをそれぞれ
前輪側及び後輪側の車輌モデルの基本の所定の距離とし
て、下記の式56〜61に従って各仮想のショックアブ
ソーバの減衰係数Cgf、Cgr、Cf、Cr及び所定の距離
Lf、Lrが演算される。
【0151】 Cgf=Cgfo+ΔCgf ……(56) Cgr=Cgro+ΔCgr ……(57) Cf=Cfo+ΔCf ……(58) Cr=Cro+ΔCr ……(59) Lf=Lfo+ΔLf ……(60) Lr=Lro+ΔLr ……(61)
【0152】ステップ410に於いては例えば減衰係数
Cgf及びCgrの前回値と今回値との偏差ΔCgfa及びΔ
Cgraが演算されると共に、偏差ΔCgfa及びΔCgraの
絶対値が基準値Cgo(正の定数)を越えているときには
偏差の絶対値がCgoになるよう今回値が補正されること
により、減衰係数Cgf及びCgrの変化率が制限される処
理が行われる。
【0153】同様にステップ420に於いては例えば減
衰係数Cf及びCrの前回値と今回値との偏差ΔCfa及び
ΔCraが演算されると共に、偏差ΔCfa及びΔCraの絶
対値が基準値Co(正の定数)を越えているときには偏
差の絶対値がCoになるよう今回値が補正されることに
より、減衰係数Cf及びCrの変化率が制限される処理が
行われる。
【0154】ステップ430に於いては例えば所定の距
離Lf及びLrの前回値と今回値との偏差ΔLfa及びΔL
raが演算されると共に、偏差ΔLfa及びΔLraの絶対値
が基準値Lo(正の定数)を越えているときには偏差の
絶対値がLoになるよう今回値が補正されることによ
り、減衰係数Lf及びLrの変化率が制限される処理が行
われる。
【0155】ステップ440に於いては変化率制限処理
後の前輪側の所定の距離Lfが基準値Lfe(正の定数)未
満であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたと
きにはステップ450に於いて左右前輪のストローク速
度Xfld及びXfrdの平均値として前輪側の車輪のストロ
ーク速度Xfdが演算されると共に、ストローク速度Xfd
に基づき図28に於いて実線にて示されたグラフに対応
するマップより補正係数Kchfが演算され、否定判別が
行われたときにはステップ460に於いて補正係数Kch
fが1に設定される。
【0156】ステップ470に於いては前輪側の仮想の
ショックアブソーバ126Fの基本の減衰係数をChfsと
して下記の式62に従って前輪側の仮想のショックアブ
ソーバ126Fの減衰係数Chfが演算される。 Chf=KchfChfs ……(62)
【0157】同様に、ステップ480に於いては変化率
制限処理後の後輪側の所定の距離Lrが基準値Lre(正の
定数)未満であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行
われたときにはステップ490に於いて左右後輪のスト
ローク速度Xrld及びXrrdの平均値として後輪側の車輪
のストローク速度Xrdが演算されると共に、ストローク
速度Xrdに基づき図28に於いて破線にて示されたグラ
フに対応するマップより補正係数Kchrが演算され、否
定判別が行われたときにはステップ500に於いて補正
係数Kchrが1に設定される。
【0158】ステップ510に於いては後輪側の仮想の
ショックアブソーバ126Rの基本の減衰係数をChrsと
して下記の式63に従って後輪側の仮想のショックアブ
ソーバ126Rの減衰係数Chrが演算される。 Chr=KchrChrs ……(63)
【0159】かくして図示の第二の実施形態によれば、
ステップ330に於いて車輌の基準ヨーレートγtが演
算され、ステップ340に於いて実ヨーレートγfと基
準ヨーレートγtとの偏差Δγが演算され、ステップ3
50〜370に於いて車輌がオーバステア状態又はアン
ダステア状態にあるか否かの判別が行われ、車輌がオー
バステア状態にあるときにはステップ380及び400
に於いて前輪側の仮想のショックアブソーバの減衰係数
Cgf、Cf及び前輪側の車輌モデルの所定の距離Lfが偏
差Δγに応じて増大補正されると共に、後輪側の仮想の
ショックアブソーバの減衰係数Cgr、Cr及び後輪側の
車輌モデルの所定の距離Lrが偏差Δγに応じて低減補
正される。
【0160】逆に車輌がアンダステア状態にあるときに
はステップ390及び400に於いて前輪側の仮想のシ
ョックアブソーバの減衰係数Cgf、Cf及び前輪側の車
輌モデルの所定の距離Lfが偏差Δγに応じて低減補正
されると共に、後輪側の仮想のショックアブソーバの減
衰係数Cgr、Cr及び後輪側の車輌モデルの所定の距離
Lrが偏差Δγに応じて増大補正される。
【0161】従って第二の実施形態によれば、車輌がオ
ーバステア状態にあるときにはオーバステア状態の程度
に応じて前輪側のロール剛性が増大されると共に後輪側
のロール剛性が低減され、車輌がアンダステア状態にあ
るときにはアンダステア状態の程度に応じて前輪側のロ
ール剛性が低減されると共に後輪側のロール剛性が増大
されるので、車輌の過渡旋回時に於ける車輌のステア変
化を低減して車輌の操縦安定性を向上させることができ
る。
【0162】また図示の第二の実施形態によれば、第一
及び第二の仮想のショックアブソーバの減衰係数Cgf、
Cf、Cgr、Crに加えて車輌モデルの所定の距離Lf及
びLrも偏差Δγに応じて増減補正されると共に、所定
の距離Lf及びLrが短いときには車輪のストローク速度
Xfd、Xrdに応じて第三の仮想のショックアブソーバ1
26F、126Rの減衰係数Chf、Chrがショックアブソ
ーバの伸び側については小さくなり縮み側については大
きくなるよう増減補正されるので、第一若しくは第二の
仮想のショックアブソーバの減衰係数のみが偏差Δγに
応じて増減補正される場合や、車輪のストローク速度に
応じて第三の仮想のショックアブソーバ126F、12
6Rの減衰係数Chf、Chrが増減補正されない場合に比
して実際のショックアブソーバの減衰係数を的確に制御
することができる。
【0163】また図示の第二の実施形態によれば、ステ
ップ410に於いて減衰係数Cgf及びCgrの変化率が制
限され、ステップ420に於いて減衰係数Cf及びCrの
変化率が制限され、ステップ430に於いて所定の距離
Lf及びLrの変化率が制限されるので、かかる減衰係数
及び所定の距離の変化率の制限処理が行われない場合に
比してショックアブソーバの減衰力の急激な変化及びこ
れに起因する車輌の乗り心地性の悪化を確実に防止する
ことができる。
【0164】更に図示の第二の実施形態によれば、第三
の仮想のショックアブソーバ126F、126Rの減衰係
数Chf、Chrの変化率は制限されないので、所定の距離
の変化に即応して減衰係数Chf、Chrを変化させ、これ
により車輌の上下振動を効果的に減衰させることができ
る。
【0165】尚図示の第二の実施形態に於いては、車輌
のヨーレートγはヨーレートセンサ36により検出され
るようになっているが、操舵輪である左右前輪の車輪速
度Vwfl及びVwfrが検出され、Trを車輌のトレッドと
して車輪速度に基づき下記の式64に従って演算されて
もよい。 γ=(Vwfr−Vwfl)/Tr ……(64)
【0166】また図示の第二の実施形態に於いては、同
一の偏差Δγについて見て減衰係数Cgf及びCgrの増減
補正量は、減衰係数Cf及びCrの増減補正量よりも大き
く設定されているが、減衰係数Cf及びCrの増減補正量
が減衰係数Cgf及びCgrの増減補正量よりも大きく設定
されてもよく、更には減衰係数Cgf、Cgr及び減衰係数
Cf、Crの一方の増減補正が省略されてもよい。
【0167】更に図示の第二の実施形態に於いては、車
輌の目標ヨーレートγeは上記式53に従って演算され
るようになっているが、車速V及び操舵角δに基づき図
29に示されたグラフに対応するマップより演算されて
もよい。
【0168】以上に於ては本発明を特定の実施形態につ
いて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実
施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろ
う。
【0169】例えば上述の各実施形態に於いては、車体
ロール量の増大過程に於いては旋回内側のショックアブ
ソーバの減衰係数が旋回外側のショックアブソーバの減
衰係数よりも相対的に高く制御され、逆に車体ロール量
の減少過程に於いては旋回外側のショックアブソーバの
減衰係数が旋回内側のショックアブソーバの減衰係数よ
りも高く制御されるようになっているが、一般に車体ロ
ール量の減少過程(旋回終期)に於いて車輌の挙動が不
安定になる虞れは車体ロール量の増大過程(旋回初期)
に比して低いので、車体ロール量の減少過程に於いて旋
回外側のショックアブソーバの減衰係数を旋回内側のシ
ョックアブソーバの減衰係数よりも高くする制御が省略
されてもよい。
【0170】具体的にはステップ720及び760に於
ける減衰係数Cj の演算が省略され、その代わりに各シ
ョックアブソーバの減衰係数Ci が例えばステップ65
0の場合と同様ハードの減衰係数Chighに設定され、し
かる後ステップ780へ進むよう修正されてもよい。
【0171】また上述の各実施形態に於いては、車体の
横加速度Gy の時間微分値ΔGy の符号に基づき車体ロ
ール量が増大過程又は減少過程にあるか否かの判定が行
われるようになっているが、この判定は例えばKh をス
タビリティファクタとし、Rg をステアリングギヤ比と
し、Hをホイールベースとして、図1に示された車速セ
ンサ32により検出される車速V及び操舵角センサ34
により検出される操舵角δに基づき、下記の式65に基
づき車輌の横加速度Gysが推定され、その推定された横
加速度に基づき行われてもよい。 Gys=V2δ/[(1+Kh V2)Rg H] ……(65)
【0172】同様に車体ロール量が増大過程又は減少過
程にあるか否かの判定は、車高センサ26FL〜26RRに
より検出されるストロークXi に基づき演算される車体
のロールレートの符号に基づき行われてもよい。またこ
の場合ロールレートは図1には示されていないロールレ
ートセンサにより検出されてもよい。
【0173】また上述の各実施形態に於いては、各車輪
のストローク速度Xidは車高センサ26FL〜26RRの検
出結果に基づき演算されるようになっているが、各車輪
のストローク速度は車体に設けられた上下加速度センサ
28FL〜28RRにより検出される車体の上下加速度Gbi
に基づきオブザーバにより推定され、車高センサが省略
されてもよい。
【0174】また上述の第一の実施形態に於いては、仮
想のショックアブソーバの減衰係数Cgf、Cgr、Cf、
Cr、Chf、Chrの変化率が制限され、第二の実施形態
に於いては、仮想のショックアブソーバの減衰係数Cg
f、Cgr、Cf、Cr及び車輌モデルの所定の距離Lf、L
rの変化率が制限されるようになっているが、仮想のシ
ョックアブソーバの減衰係数や所定の距離の変化率制限
処理は省略されてもよい。
【0175】また上述の各実施形態に於いては、仮想の
ショックアブソーバの基本の減衰係数Cgfs、Cgrs、C
fs、Crs、Chfs、Chrsはそれぞれ定数であるが、車輌
の他の状態量に応じて可変設定されてもよい。
【0176】また上述の第一の実施形態に於いては、車
輪ストローク速度のヒーブ成分及びロール成分に基づき
減衰係数についてのゲインKhf、Khr、Krf、Krr、K
hhf、Khhrが演算され、各仮想のショックアブソーバの
減衰係数が上記式47〜52に従って演算されるように
なっているが、車輪ストローク速度のヒーブ成分及びロ
ール成分に基づく減衰係数の補正量が演算され、これら
の補正量と他の補正量と基本の減衰係数の和として各仮
想のショックアブソーバの減衰係数が演算されてもよ
い。
【0177】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、車輌の過渡旋回時に第二
の仮想のショックアブソーバによってばね上の旋回外輪
側のリフトを抑制し、これによりばね上の重心を低下さ
せて車輌の過渡旋回時の運動性能を向上させることがで
きるだけでなく、第一及び第三の仮想のショックアブソ
ーバによってばね上の上下振動を効果的に減衰させるこ
とができるので、第三の仮想のショックアブソーバが設
定されていない場合に比して、車輌の過渡旋回時に於け
る車体のヒーブ運動に関する車輌の性能を十分に向上さ
せることができる。
【0178】また請求項2の構成によれば、少なくとも
第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数が車輌
の状態量に応じて可変設定されるので、第一乃至第三の
仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数が車輌の状態
量の如何に拘わらず一定である場合に比して、実際のシ
ョックアブソーバの減衰係数を車輌の状態量に応じて適
切に制御し、これによりばね上の上下振動を車輌の走行
状態に応じて適切に制御することができる。
【0179】また請求項3の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数はばね上の振動状
態量に応じて可変設定されるので、第三の仮想のショッ
クアブソーバの仮想減衰係数がばね上の振動状態量の如
何に拘わらず一定である場合に比して、実際のショック
アブソーバの減衰係数をばね上の振動状態に応じて適切
に制御することができる。
【0180】また請求項4の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数はばね上の質量に
応じて可変設定されるので、第三の仮想のショックアブ
ソーバの仮想減衰係数がばね上の質量の如何に拘わらず
一定である場合に比して、実際のショックアブソーバの
減衰係数をばね上の質量に応じて適切に制御することが
できる。
【0181】また請求項5の構成によれば、第三の仮想
のショックアブソーバの仮想減衰係数は車速に応じて可
変設定されるので、第三の仮想のショックアブソーバの
仮想減衰係数が車速の如何に拘わらず一定である場合に
比して、実際のショックアブソーバの減衰係数を車速に
応じて適切に制御することができる。
【0182】また請求項6の構成によれば、車輌の状態
量に応じて所定の距離が可変設定されると共に所定の距
離に応じて第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰
係数が可変設定されるので、所定の距離に応じて第三の
仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数を適正に設定
することができ、これにより第三の仮想のショックアブ
ソーバの仮想減衰係数が所定の距離の如何に拘わらず一
定で場合に比して、実際のショックアブソーバの減衰係
数を車輌の状態に応じて適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による減衰係数制御装置の第一の好まし
い実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第一の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチン
の第一の部分を示すフローチャートである。
【図3】第一の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチン
の第二の部分を示すフローチャートである。
【図4】第一の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチン
の第三の部分を示すフローチャートである。
【図5】第一の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチン
の第四の部分を示すフローチャートである。
【図6】ばね上の前輪側のあおり度Daf及び後輪側のあ
おり度Darと減衰係数補正量Cgafa及びCgaraとの関係
を示すグラフである。
【図7】ばね上の前輪側のごつごつ度Dgf及び後輪側の
ごつごつ度Dgrと減衰係数補正量Cggfa及びCggraとの
関係を示すグラフである。
【図8】ばね下の前輪側のばたつき度Dbf及び後輪側の
ばたつき度Dbrと減衰係数補正量Cgbfa及びCgbraとの
関係を示すグラフである。
【図9】ばね上の前輪側のあおり度Daf及び後輪側のあ
おり度Darと減衰係数補正量Cafa及びCaraとの関係を
示すグラフである。
【図10】ばね上の前輪側のごつごつ度Dgf及び後輪側
のごつごつ度Dgrと減衰係数補正量Cgfa及びCgraとの
関係を示すグラフである。
【図11】ばね下の前輪側のばたつき度Dbf及び後輪側
のばたつき度Dbrと減衰係数補正量Cbfa及びCbraとの
関係を示すグラフである。
【図12】ばね上の前輪側のあおり度Daf及び後輪側の
あおり度Darと減衰係数補正量Chafa及びCharaとの関
係を示すグラフである。
【図13】ばね上の前輪側のごつごつ度Dgf及び後輪側
のごつごつ度Dgrと減衰係数補正量Chgfa及びChgraと
の関係を示すグラフである。
【図14】ばね下の前輪側のばたつき度Dbf及び後輪側
のばたつき度Dbrと減衰係数補正量Chbfa及びChbraと
の関係を示すグラフである。
【図15】前輪側のばね上質量Mfと減衰係数補正量Cm
gf、Cmf、Cmhfとの関係を示すグラフである。
【図16】後輪側のばね上質量Mrと減衰係数補正量Cm
gr、Cmr、Cmhrとの関係を示すグラフである。
【図17】車速Vと減衰係数補正量Cvgf、Cvf、Cvhf
との関係を示すグラフである。
【図18】車速Vと減衰係数補正量Cvgr、Cvr、Cvhr
との関係を示すグラフである。
【図19】前輪側のストローク速度のヒーブ成分Xdhf
及び後輪側のストローク速度のヒーブ成分Xdhrとゲイ
ンKhf及びKhrとの関係を示すグラフである。
【図20】前輪側のストローク速度のロール成分Xdrf
及び後輪側のストローク速度のロール成分Xdrrとゲイ
ンKrf及びKrrとの関係を示すグラフである。
【図21】前輪側のストローク速度のヒーブ成分Xdhf
及び後輪側のストローク速度のヒーブ成分Xdhrとゲイ
ンKhhf及びKhhrとの関係を示すグラフである。
【図22】実際の車輌の二輪モデルを示す説明図であ
る。
【図23】車輌の旋回内側に第一及び第二の仮想のショ
ックアブソーバが配設され車輌の中央に第三の仮想のシ
ョックアブソーバが配設された仮想モデルを示す説明図
である。
【図24】車輌の旋回内側に第一及び第二の仮想のショ
ックアブソーバが配設され車輌の中央に第三の仮想のシ
ョックアブソーバが配設された前輪側及び後輪側の仮想
モデルを示す説明図である。
【図25】第二の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチ
ンの前段部分を示すフローチャートである。
【図26】第二の実施形態に於ける減衰係数制御ルーチ
ンの中段部分を示すフローチャートである。
【図27】ヨーレート偏差Δγと減衰係数の補正量ΔC
gf、ΔCgr、ΔCf、ΔCr及び所定の距離の補正量ΔL
f、ΔLrとの関係を示すグラフである。
【図28】所定の距離Lf、Lrと減衰係数Chf、Chrの
補正係数Kchf、Kchrとの関係を示すグラフである。
【図29】操舵角δ及び車速Vと車輌の目標ヨーレート
γeとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
14…ステアリングホイール 16…パワーステアリング装置 20…車体 24…電気式制御装置 26FL〜26RR…車高センサ 28FL〜28RR…上下加速度センサ 30…横加速度センサ 32…車速センサ 34…操舵角センサ 36…ヨーレートセンサ 110…車体 112L、112R…車輪 114L、114R…サスペンションスプリング 116L、116R…ショックアブソーバ 122、124、126…ショックアブソーバ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各車輪に対応して減衰係数可変の実際のシ
    ョックアブソーバが設けられた車輌の減衰係数制御装置
    にして、車輌の旋回状態を検出する手段と、前記車輌の
    旋回状態に基づきばね上の重心に対しリフトすると推定
    される側へ前記ばね上より所定の距離車輌横方向に隔置
    された仮想位置に前記ばね上の仮想の揺動中心を有する
    と共に前記仮想の揺動中心の周りに作用する第一の仮想
    のショックアブソーバと前記仮想位置にて上下方向に作
    用する第二の仮想のショックアブソーバと前記ばね上の
    重心の位置にて上下方向に作用する第三の仮想のショッ
    クアブソーバとを有する車輌モデルと、少なくとも前記
    第一乃至第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係
    数に基づき前記実際のショックアブソーバの目標減衰係
    数を演算する手段と、前記目標減衰係数に基づき前記実
    際のショックアブソーバの減衰係数を制御する手段とを
    有することを特徴とする車輌の減衰係数制御装置。
  2. 【請求項2】前記車輌の状態量を検出する手段と、前記
    車輌の状態量に応じて少なくとも前記第三の仮想のショ
    ックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定する仮想減衰
    係数設定手段とを有することを特徴とする請求項1に記
    載の車輌の減衰係数制御装置。
  3. 【請求項3】前記車輌の状態量を検出する手段は少なく
    とも前記ばね上の振動状態量を検出し、前記仮想減衰係
    数設定手段は前記ばね上の振動状態量に応じて前記第三
    の仮想のショックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定
    することを特徴とする請求項2に記載の車輌の減衰係数
    制御装置。
  4. 【請求項4】前記車輌の状態量を検出する手段は少なく
    とも前記ばね上の質量を検出し、前記仮想減衰係数設定
    手段は前記ばね上の質量に応じて前記第三の仮想のショ
    ックアブソーバの仮想減衰係数を可変設定することを特
    徴とする請求項2に記載の車輌の減衰係数制御装置。
  5. 【請求項5】前記車輌の状態量を検出する手段は少なく
    とも車速を検出し、前記仮想減衰係数設定手段は車速に
    応じて前記第三の仮想のショックアブソーバの仮想減衰
    係数を可変設定することを特徴とする請求項2に記載の
    車輌の減衰係数制御装置。
  6. 【請求項6】前記仮想減衰係数設定手段は前記車輌の状
    態量に応じて前記所定の距離を可変設定すると共に前記
    所定の距離に応じて前記第三の仮想のショックアブソー
    バの仮想減衰係数を可変設定することを特徴とする請求
    項2に記載の車輌の減衰係数制御装置。
JP11177010A 1999-06-23 1999-06-23 車輌の減衰係数制御装置 Pending JP2001001734A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11177010A JP2001001734A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 車輌の減衰係数制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11177010A JP2001001734A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 車輌の減衰係数制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001001734A true JP2001001734A (ja) 2001-01-09

Family

ID=16023596

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11177010A Pending JP2001001734A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 車輌の減衰係数制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001001734A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150081170A1 (en) * 2012-05-14 2015-03-19 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle control device and vehicle control method

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150081170A1 (en) * 2012-05-14 2015-03-19 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle control device and vehicle control method
US9156328B2 (en) * 2012-05-14 2015-10-13 Nissan Motor Co., Ltd. Vehicle control device and vehicle control method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10703162B2 (en) Suspension control system
US8718872B2 (en) Vehicle attitude controller
JP3608445B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP3546830B2 (ja) 車輌のロール挙動制御装置
KR102172306B1 (ko) 차량 거동 제어 장치
US20090234537A1 (en) Vehicle damping force control apparatus
US20060064213A1 (en) Enhanced system for yaw stability control system to include roll stability control function
US20070156314A1 (en) Damping force control apparatus for vehicle
WO2013098944A1 (ja) 車両の積載状態推定方法及び装置
JP5811260B2 (ja) 車高推定装置および車高推定方法
JP3608442B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JPH06115335A (ja) 車輌の車体姿勢制御装置
JP3509544B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP2001047832A (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP2006232023A (ja) 車輌の車輪接地荷重推定装置
JPH06227228A (ja) サスペンション制御装置
JP2001001734A (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP3608440B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP3079884B2 (ja) サスペンション制御装置
JP3608437B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP3608436B2 (ja) 車輌の減衰係数制御装置
JP2874427B2 (ja) 車両用アクティブサスペンション装置
JPH0532113A (ja) 車両のキヤンバ角制御装置
JP6956664B2 (ja) サスペンション制御装置
JP4744327B2 (ja) 車両姿勢制御装置