JP2001000869A - 光反応用触媒 - Google Patents

光反応用触媒

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Abstract

(57)【要約】 【課題】半導体光触媒に関し、高性能の光反応用触媒の
提供。 【解決手段】異なる2種類以上の半導体光触媒を混合す
ることにより得られることを特徴とする光反応用触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光反応用触媒に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体光触媒は、二酸化チタンや酸化亜
鉛等の半導体又は該半導体に白金、ロジウム、ニッケ
ル、銅等の金属や酸化ルテニウム等の金属酸化物を担持
した触媒である。この触媒に、触媒を構成する半導体の
バンドギャップより大きいエネルギーレベルの光を照射
すると、伝導帯には電子が価電子帯には正孔が形成さ
れ、これらが触媒表面の吸着種に作用して反応が起る。
このような反応としては、例えば、水を分解して水素と
酸素を発生させたり、有害物を分解して無害化する反応
等が知られている。半導体光触媒は、太陽光を利用する
水分解法水素の製造用触媒や有害物分解無害化用触媒と
して注目されているが、現在のところ触媒性能が低いた
めに実用化が進んでおらず、そのため半導体光触媒の性
能向上が強く望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の半導
体光触媒より大幅に高性能な光反応用触媒を提供するこ
とをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明によれば、異なる2種類以
上の半導体からなる触媒を混合することにより構成した
半導体物質触媒であることを特徴とする光反応用触媒が
提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の触媒は、異なる2種類以
上の半導体からなる触媒を混合することにより構成した
半導体物質光触媒からなることを特徴とする光反応触媒
である。この半導体からなる触媒には半導体光触媒とし
ては公知品が使われる。具体的には、二酸化チタン、チ
タン酸ストロンチウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタ
ル、酸化亜鉛、酸化ニオブ等の酸化物半導体;硫化カド
ミウム等の硫化物半導体;炭化珪素等の炭化物等が使わ
れるが、活性の高い酸化物半導体の使用が好ましい。ま
た、通常は前記半導体に反応系で安定な金属や金属酸化
物等を担持させると更に好ましい。担持させる金属は白
金、ロジウム、ニッケル、銅等であり、金属酸化物は酸
化ルテニウム等である。そして、その担持量は半導体の
0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜10重
量%である。なお、金属や金属酸化物は担持触媒製造の
際の常法で担持させれば良く、例えば含浸法で水溶性金
属塩を担持させてから水素還元する方法で金属を担持さ
せたり、光電着法、沈澱法、イオン交換法等で担持させ
ることができる。
【0006】半導体光触媒を構成する半導体からなる触
媒は2種類でも3種類以上でも良いが、触媒種が多いほ
ど高活性の傾向にある。これらは反応時に混合すること
により構成される。また、通常は高活性半導体光触媒が
含まれている方が高活性なので、半導体光触媒の中で格
段に高活性な金属担持二酸化チタンと、高活性で安定性
等にも問題のない酸化物半導体光触媒から成るものが好
ましい。なお、ここで使われる酸化物半導体光触媒とし
ては、金属担持酸化タンタル、金属担持チタン酸ストロ
ンチウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。触媒を構
成する個々の半導体光触媒は、その存在比や形状を広い
範囲で変えることができる。例えば、一種類の半導体光
触媒の存在比は全触媒の0.01〜99.99重量%、
好ましくは1〜99重量%とすれば良い。しかし、通常
は存在比によって触媒活性が変動し、一般に触媒を構成
する触媒全部がほぼ同重量の場合に最高活性の触媒が得
られる。
【0007】触媒を構成する個々の半導体からなる触媒
は、粉末状、粒子状、膜状等の種々の形状とすることが
できる。そして、個々の触媒は同じ形状でも異なってい
ても良いが、全触媒をほぼ同じ大きさの粉末状とするの
が好ましく、その平均粒径は0.005〜100μm、
好ましくは0.01〜10μmとするのが良い。また、
半導体光触媒を不活性担体や異種半導体光触媒に担持し
ても良いし、複数の半導体光触媒を担持上に積層して触
媒とすることもできる。例えば、紫外光透過性基板上に
2種類以上の半導体光触媒を薄膜状に積層し、これを触
媒とすることできる。なお、膜状触媒は基板を使っても
使わなくても作製可能であるが、どの場合も薄膜とする
のが好ましい。以上に詳記した構成とする触媒は、それ
を構成する半導体光触媒より大幅に高活性となる。その
理由は不明であるが、複数の触媒が光反応に関与するこ
とによる相乗効果に基づくものと考えられる。
【0008】光触媒反応方法では、前記異なる半導体物
質を混合して構成する半導体光触媒を使用するが、それ
以外は従来公知の半導体光触媒反応方法と同様に行えば
良い。従って、光源や反応装置は従来の半導体光触媒反
応時と同じで良いし、反応条件も従来公知の条件をその
まま適用すれば良い。例えば、本発明法によって水分解
法水素を製造する際は、従来の半導体光触媒を使用する
水分解条件で反応させれば良く、本発明法によって有害
有機物を分解無害化する際は従来の半導体光触媒を使う
同一反応時と同条件で反応させれば良い。そして、光源
には触媒に使う半導体のバンドギャップより大きなエネ
ルギーレベルにある光を照射できるもの、例えば高圧水
銀灯やキセノンランプ等を使えば良いし、光源は反応器
内(内部照射型)に設けても反応器外(外部照射型)に
設けてもよい。また、照射光としては太陽光も使うこと
ができる。そして、光源から出る光が半導体光触媒に到
達するまでに吸収されないように、光路となる部分の反
応器や光学系は紫外線を透過する石英や透明樹脂で作る
のが良く、半導体光触媒は薄膜状や懸濁状で反応系内に
存在させるのが望ましい。そのため、反応系内を良く攪
拌したり反応器と光源の形状及び両者の位置関係につい
て配慮するのが望ましい。
【0009】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されな
い。なお、以下に記す%はいずれも重量%である。
【0010】実施例1〜8 400Wの高圧水銀灯を光源とし、これを反応器内に設
けた石英製の内部照射型液相反応器を使って有機化合物
又は水の光分解実験を行った。この反応器は、圧力計と
ガスサンプラーを備えた内容積650ミリリットルの気
密反応器で、反応器内容物はマグネチックスターラーで
良く攪拌することができる。この反応器に、精製水35
0ミリリットルと有機化合物又は精製水5ミリリットル
と触媒A又はB1gを仕込み、反応器内を脱気後にアル
ゴンを導入して反応器内圧力を約27トールとしてか
ら、液の攪拌と光照射を開始して室温減圧下に有機化合
物又は水の光分解実験を行った。なお、有機化合物と水
が共存している系では有機化合物の光分解反応が優先し
て進行する。
【0011】水や有機化合物の光分解反応では水素を主
成分とするガスと液状物が生成するから、光照射開始後
は反応器内圧が次第に増加する。そこで、反応開始後は
10分毎に反応器内圧を測定するとともに、反応開始後
1時間までに得られたガス状生成物をオンラインでガス
クロマトグラフ法によって分析し、反応開始から1時間
後までの水素生成速度を求めた。また、反応開始後1時
間までに生成した液状生成物をガスクロマトグラフ法と
イオンクロマトグラフ法で分析し、生成物を確認した。
実施例1〜8では、2〜4種の半導体光触媒を等重量混
合した粉末触媒1gを使用した。触媒は半導体粉末に
0.1%の白金を光電着法によって担持させた触媒であ
る。なお、白金源には塩化白金酸を使った。また、触媒
用半導体粉末の二酸化チタンTiOは日本エアロ ジ
ル社製P−25、酸化タンタルTaとチタン酸ス
トロンチウムSrTiOは和光純葉社製品、酸化ジル
コニウムZrOは添川化学社製品であり、シリカゲル
SiOはダビソン社製の#57である。実施例1〜8
で使った粉末状半導体光触媒の種類と、被分解物と、水
素生成速度を表1に、確認されたガス状及び液状生成物
の種類を表2に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】比較例1〜12 実施例1〜8と比較するために、粉末状半導体光触媒及
びシリカゲル粉末を単独使用する以外は実施例と同様に
して比較例の実験を行った。すなわち、比較例1〜9で
は0.1%の白金を担持した粉末状半導体1gを触媒と
し、比較例10及び12ではシリカゲル粉末1gを触媒
とし、比較例11では酸化ジルコニウム粉末1gを触媒
として実施例と同様な光分解反応を試みたものである。
使用した触媒の種類と被分解物と水素生成速度を表3
に、確認されたガス状及び液状生成物の種類を表4に示
す。
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】実施例1と比較例1及び2との比較、実施
例2と比較例1及び3との比較、実施例3と比較例1及
び4との比較、実施例4と比較例1〜3との比較、実施
例5と比較例1〜4との比較、実施例6と比較例5及び
6との比較、実施例7と比較例5〜7との比較、実施例
8と比較例8及び9との比較、及び実施例10と比較例
1及び12との比較から2種類以上の粉末状半導体光触
媒を併用したり粉末状半導体光触媒にシリカゲル粉末を
混合して使用すると、触媒活性が大幅に向上することが
明らかに認められる。例えば、実施例1の実験結果と比
較例1及び2の実験結果とを比較すると、2種類の触媒
を併用する実施例1の場合は触媒使用量が合計1gで水
素生成速度11.69ミリモル/hrとなるのに、触媒
を単独使用する比較例1及び2の場合は合計触媒使用量
が2gなのに両実験で生成する水素の生成速度は合計し
ても7.43ミリモル/hrにすぎず、実施例の場合の
6割強の水素生成速度しか得られていない。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、半導体光触媒を使用す
る水分解や環境汚染物質の酸化分解反応等を従来法より
大幅に効率良く行われるようになる。従って、太陽光線
で水を分解して水素ガスを製造する方法の実現可能性が
高くなると共に、現在でも下記のような用途に利用する
ことができる。 病院や老人ホーム等の建物の内壁に2種類以上の半
導体光触媒粉末の混合物(以下、この混合物を混合粉末
触媒とも云う)を塗布すると、該触媒による温和な光酸
化分解反応が進行するために殺菌及び消臭効果が得られ
る。 蛍光灯のフードに混合粉末触媒を塗布すると、の
場合と同様な光酸化分解反応が進行するから該蛍光灯が
存在する室内の消臭に有効である。 ガラス製コップ等の透明食器類の表面に混合粉末触
媒を塗布すると、前記と同様に温和な光酸化分解反応が
進行するから殺菌、消臭及び汚染物除去等に有効であ
る。 貯水池、川、池等の水中に混合粉末触媒を存在させ
ると、前記と同様にして太陽光によって農薬、ヘドロ、
環境汚染性有機物等が光酸化分解して除去される。 有機物で汚染された海水やNOx及びSOx等で汚染
された大気は、太陽光を照射しながら混合粉末触媒が充
填している層を通過させると不純物が分解除去される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 53/94 B01J 23/58 A B01J 23/42 M C01B 3/04 A 23/58 C02F 1/30 B01D 53/36 H 23/648 D C01B 3/04 ZABJ C02F 1/30 102B B01J 23/64 102A 102M (72)発明者 岡部 清美 茨城県つくば市東1丁目1番工業技術院物 質工学工業技術研究所内 (72)発明者 荒川 裕則 茨城県つくば市東1丁目1番工業技術院物 質工学工業技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる2種類以上の半導体光触媒を混合
    することにより得られることを特徴とする光反応用触
    媒。
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