JP2001000010A - 植物の種子処理剤及び種子処理方法 - Google Patents

植物の種子処理剤及び種子処理方法

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JP2001000010A
JP2001000010A JP11174237A JP17423799A JP2001000010A JP 2001000010 A JP2001000010 A JP 2001000010A JP 11174237 A JP11174237 A JP 11174237A JP 17423799 A JP17423799 A JP 17423799A JP 2001000010 A JP2001000010 A JP 2001000010A
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seed
seeds
aminolevulinic acid
acid
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Hisashi Honda
久志 本田
Yoshihisa Tomota
善久 友田
Toru Tanaka
徹 田中
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Cosmo Research Institute
Kumiai Chemical Industry Co Ltd
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Cosmo Research Institute
Kumiai Chemical Industry Co Ltd
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 5-アミノレブリン酸、5-アミノレブリン
酸エステル、N-アシル-5-アミノレブリン酸、N-アシル-
5-アミノレブリン酸エステル及びそれらの塩から選ばれ
る1種又は2種以上の化合物を有効成分とする植物の種
子処理剤、並びに当該処理剤を植物種子に接触させる植
物の種子処理方法。 【効果】 この種子処理剤で植物の種子を処理すること
により、通常の種子はもとより経年種子、難発芽性種子
の発芽率を向上させ、また耐塩性あるいは耐冷性を向上
させることができる。これらの結果、種子や苗の歩留ま
りが改善され、作物生産のコストを低減することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物の種子処理剤及
び種子処理方法に関し、より詳しくは5-アミノレブリン
酸類を有効成分とする種子処理剤、並びに当該種子処理
剤を用いた発芽率、耐塩性、耐冷性を向上させる植物の
種子処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】5-アミ
ノレブリン酸類は植物の光合成を促進し、生長や耐塩性
を向上させる物質として知られており(特許第2613136
号公報,特許第2896963号公報)、通常植物に茎葉処理
したり根部から吸収させたりして用いられている。しか
し、5-アミノレブリン酸類の発芽前の種子に対する作用
は、必ずしも明らかでなかった。
【0003】一方、農業場面において種子処理に対する
ニーズは大きく、例えば種子の発芽率や発芽勢は、種子
及び苗の歩留まり、作物の生育、収穫量等に大きく反映
されるため、従来、いろいろな角度からの改善手段が検
討されてきた。薬剤や物理的な処理で種皮に傷を付け、
発芽率を高めるいわゆるプライミング処理は通常採用さ
れている手法であるが、効果が十分でなく、幾つかの改
善法が提案されている。公知の例を挙げるならば、水分
に関しては、水性ゲル被覆種子を高浸透圧水溶液に浸漬
して脱水させることにより、発芽率と長期保存安定性を
向上させる方法(特開平09-023710号公報)など、酸素
濃度に関しては、オゾン水や酸素供給剤を使用する方法
(特開平09-233911号公報,特開平05-211808号公報)な
ど、そのほかジベレリン等の植物ホルモンを用いる方法
(特開平10-229708号公報,特開平08-009711号公報)な
どが提案されている。しかしながら、これらの方法によ
る処理の効果も未だ十分でなく、また、その実施に当た
って特別な設備が必要であったり、大量に使用する場合
に薬剤の操作が難しかった。
【0004】また、砂漠化、潅漑農業、化学肥料の大量
施肥などによる塩害が世界的な問題になっている。塩害
の克服には、排水の改善、土壌の水洗、客土等の土木工
事が主な解決法とされているが、コストや資源的な要因
により適用範囲は限られている。
【0005】更には、稲作等においては省力化のため直
播きを推進する動きがあるが、従来の苗代にて育苗し田
植えをする栽培法に比べ、春先の低温期の播種となるた
め、植物の耐冷性の向上が課題になっている。
【0006】以上のように、これらの農業上の課題を克
服するための種子処理剤及び種子処理方法の開発が切に
求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を重ねた結果、5-アミノレブリン酸
類により未発芽の植物種子を処理すれば、驚くべきこと
に、種子発芽率、耐塩性、耐冷性等を向上させることが
できることを見出した。すなわち、前述のように5-アミ
ノレブリン酸類が生理的に活動している植物体に対し様
々な生理活性を示すことは知られていたが、生理的に休
眠状態にある種子を処理することによって種子の発芽率
のみならず発芽後の植物体に対しても生理活性を示すこ
とは、必ずしも明らかでなかった。本発明は、以上のよ
うな知見に基づき完成されたものである。
【0008】すなわち本発明は、5-アミノレブリン酸、
5-アミノレブリン酸エステル、N-アシル-5-アミノレブ
リン酸、N-アシル-5-アミノレブリン酸エステル及びそ
れらの塩から選ばれる1種又は2種以上の化合物を有効
成分とする植物の種子処理剤、並びに植物種子を当該処
理剤と接触させることを特徴とする植物の種子処理方法
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の植物の種子処理剤の有効
成分である5-アミノレブリン酸、5-アミノレブリン酸エ
ステル、N-アシル-5-アミノレブリン酸、N-アシル-5-ア
ミノレブリン酸エステル及びそれらの塩は、公知の化合
物である。
【0010】5-アミノレブリン酸エステルとしては、例
えば置換基を有していてもよい直鎖若しくは分岐鎖の又
は環状構造を有する炭素数1〜24のアルキルエステルが
挙げられる。このアルキル基が有してもよい置換基とし
ては、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、フェニル基
等が挙げられる。このような置換基を有していてもよい
アルキル基の好ましい例としては、例えばメチル基、エ
チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ペンチル
基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、
n-オクチル基、n-ノニル基、n-ドデシル基、n-ヘキサデ
シル基、ベンジル基、フォネチル基、3-フェニルプロピ
ル基、ヒドロキシエチル基、エトキシエチル基等を挙げ
ることができる。
【0011】N-アシル-5-アミノレブリン酸としては、5
-アミノレブリン酸のアミノ基が、例えば炭素数1〜24
のアルカノイル基、芳香族アシル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基等のアシル基でアシル化された化合物が挙げ
られる。好ましいアシル基の具体例としては、例えばア
セチル基、n-プロパノイル基、n-ブタノイル基、n-ペン
タノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ノナノイル基、ベン
ジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0012】N-アシル-5-アミノレブリン酸エステルと
しては、上記のエステル基とアシル基と同じ基を有する
ものが例示される。好ましくはメチルエステル基とホル
ミル基、メチルエステル基とアセチル基、メチルエステ
ル基とn-プロパノイル基、メチルエステル基とn-ブタノ
イル基、エチルエステル基とホルミル基、エチルエステ
ル基とアセチル基、エチルエステル基とn-プロパノイル
基、エチルエステル基とn-ブタノイル基の組合わせが挙
げられる。
【0013】5-アミノレブリン酸又はその誘導体の塩と
しては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸
塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸
塩、トルエンスルホン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、
乳酸塩、酒石酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸
塩、酪酸塩、吉草酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレ
イン酸塩、リンゴ酸塩等の酸付加塩、及びナトリウム
塩、カリウム塩、カルシウム塩等の金属塩、アンモニウ
ム塩、アルキルアンモニウム塩等が挙げられる。なお、
これらの塩は使用時において水溶液又は粉体として用い
られ、その作用は5-アミノレブリン酸の場合と同一であ
る。
【0014】以上の5-アミノレブリン酸、その誘導体又
はそれらの塩は、水和物又は溶媒和物を形成していても
よく、またいずれかを単独で、又は2種以上を適宜組合
わせて用いることができる。
【0015】5-アミノレブリン酸又はその塩は、化学合
成、微生物による生産、酵素による生産のいずれの方法
によっても製造することができる。また前記5-アミノレ
ブリン酸の誘導体又はその塩は、例えば特開平4-9360号
公報等に記載された公知の化学合成法によって製造する
ことができる。微生物又は酵素による生産物や化学合成
法による粗精製物は、植物に対して有害な物質を含まな
い限り、分離精製することなくそのまま用いることがで
きる。
【0016】本発明の種子処理剤には、5-アミノレブリ
ン酸、その誘導体又はそれらの塩以外に、必要に応じ、
他の植物生長調節剤、糖類、アミノ酸、有機酸、ビタミ
ン、ミネラル等を配合することができる。
【0017】ここで用いられる他の植物生長調節剤とし
ては、例えば、エピブラシノライド等のブラシノライド
類、塩化コリン、硝酸コリン等のコリン剤、インドール
酪酸剤、インドール酢酸剤、エチクロゼート剤、1-ナフ
チルアセトアミド剤、イソプロチオラン剤、ニコチン酸
アミド剤、ヒドロキシイソキサゾール剤、過酸化カルシ
ウム剤、ベンジルアミノプリン剤、メタスルホカルブ
剤、オキシエチレンドコサノール剤、エテホン剤、クロ
キンホナック剤、ジベレリン剤、ストレプトマイシン
剤、ダミノジット剤、ベンジルアミノプリン剤、4-CPA
剤、アンシミドール剤、イナベンフィド剤、ウニコナゾ
ール剤、クロルメコート剤、ジケブラック剤、ダミノジ
ット剤、メフルイジド剤、炭酸カルシウム剤、ピペロニ
ルブトキシド剤等を挙げることができる。なお、ここで
いう「〜剤」とは、「〜を含む薬剤」を意味する。
【0018】糖類としては、例えばグルコース、スクロ
ース、キシリトール、ソルビトール、ガラクトース、キ
シロース、マンノース、アラビノース、マジュロース、
リボース、ラムノース、フラクトース、マルトース、ラ
クトース、マルトトリオース等が挙げられる。
【0019】アミノ酸としては、例えばアスパラギン、
グルタミン、ヒスチジン、チロシン、グリシン、アルギ
ニン、アラニン、トリプトファン、メチオニン、バリ
ン、プロリン、ロイシン、リジン、イソロイシン等を挙
げることができる。
【0020】有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、フタル酸、安息
香酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、リンゴ酸、
コハク酸、グリコール酸、グルタミン酸、アスパラギン
酸、マレイン酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン
酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ピルビン酸、α−ケ
トグルタル酸、レブリン酸等を挙げることができる。
【0021】ビタミン類としては、例えばニコチン酸ア
ミド、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタ
ミンC、ビタミンB13、ビタミンB1、ビタミンB3、ビ
タミンB2、ビタミンK3、ビタミンA、ビタミンD2
ビタミンD3、ビタミンK1、α−トコフェロール、β−
トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロ
ール、p−ヒドロキシ安息香酸、ビオチン、葉酸、ニコ
チン酸、パントテン酸、α−リポニック酸等を挙げるこ
とができる。
【0022】ミネラルとしては、例えばリン、カリウ
ム、ホウ素、マンガン、亜鉛、銅、鉄、モリブデン、マ
グネシウム等を挙げることができる。
【0023】本発明の種子処理剤の剤型としては、粉末
剤、粒剤、液剤等が挙げられ、これらは溶剤、分散媒、
増量剤等を適宜用い、常法に従って製造することができ
る。そのほか、コーティング基材に混合し種子コーティ
ング剤として用いることもできる。
【0024】また、必要に応じて、既知のプライミング
等の物理処理法や、酸化剤、酸、アルカリ等による化学
薬剤処理との組み合わせで効果をより高めることもでき
る。
【0025】本発明の種子処理剤を、水溶液として種子
に吸水させて使用する場合は、たとえば、種子全体を溶
液に浸漬する方法や、ろ紙、スポンジなどの吸収体に浸
透させその上で吸収させるなどの方法がある。また、苗
床に播種したあとに土壌処理用(土壌処理剤)として灌
水施用してもよい。この場合の5-アミノレブリン酸、そ
の誘導体又はそれらの塩の濃度は、5-アミノレブリン酸
換算で、0.01〜1000ppm(wt/wt)、特に0.1〜100ppm(wt/w
t)が好ましい。
【0026】種子に直接塗布やコーティング等で処理す
る場合の5-アミノレブリン酸又はその塩及びその誘導体
の処理量は、5-アミノレブリン酸換算で、種子1kg当た
り0.01〜1000mg、特に0.1〜100mgが好ましい。
【0027】本剤の適用対象となる植物としては、特に
限定されないが、例えばイネ、大麦、小麦、ヒエ、トウ
モロコシ、アワ等の穀物類;カボチャ、カブ、キャベ
ツ、ダイコン、ハクサイ、ホウレンソウ、ピーマン、ト
マト、春菊等の野菜類;ミカン、リンゴ、カキ、ウメ、
ナシ、ブドウ、モモ等の果樹類;キク、ガーベラ、パン
ジー、ラン、シャクヤク、チューリップ、オダマキ、シ
クラメン等の花卉類;サツキ、クヌギ、スギ、ヒノキ、
ナラ、ブナ等の樹木類;アズキ、インゲン、大豆、ラッ
カセイ、ソラマメ、エンドウ等の豆類;コウライシバ、
ベントグラス、ノシバ等の芝類;ジャガイモ、サツマイ
モ、サトイモ、ヤマイモ、タロイモ等のイモ類;ネギ、
タマネギ、ラッキョウ等のネギ類;アルファルファ、ク
ローバー、レンゲ等の牧草類等、ワタ、麻、ケナフ等の
繊維用植物、タバコ、ケシ等が挙げられる。
【0028】本発明の種子処理剤は、種子の発芽率向上
剤、耐塩性向上剤、耐冷性向上剤等として使用すること
ができる。
【0029】本発明の種子処理剤を種子の発芽率向上剤
として使用する場合、通常の種子はもとより経年種子、
難発芽性種子の発芽率向上により、種子、苗の歩留まり
を改善することができる。
【0030】本発明の種子処理剤を種子の耐塩性向上剤
として使用する場合、本発明の種子処理剤はそれぞれの
植物種が持つ耐塩性を向上させるものであるので、耐塩
性の高い種、品種に適用した場合に、より高い耐塩性向
上効果を得ることができる。
【0031】本発明の種子処理剤を耐冷性向上剤として
使用する場合、本発明の種子処理剤はそれぞれの植物種
が持つ耐冷性を向上させるものであるので、耐冷性の高
い種、品種に適用した場合に、より高い耐冷性向上効果
を得ることができる。
【0032】なお、塩性土壌条件下の発芽率向上、低温
下での発芽率向上、塩性土壌条件下での耐冷性向上、発
芽時及び発芽後の耐塩性・耐冷性向上等、複数の効果が
同時に得られることも期待できる。
【0033】5-アミノレブリン酸は、葉緑素やヘムの重
要な前駆体であるが、通常種子の中に5-アミノレブリン
酸として蓄積、貯蔵されておらず、グルタミン酸、デン
プン等の種子内成分から生合成により誘導されるといわ
れている。経年種子、塩性土壌条件、低温条件等ではこ
の生合成活性が低下し5-アミノレブリン酸の供給が不十
分となり、5-アミノレブリン酸を前駆体とするヘム等に
代表される重要な生理活性物質の供給が不足するのでは
ないかと推定されている。
【0034】本発明の作用機序は明らかでないが、種子
表面の水との親和性を高め種子の吸水を促進する効果
や、吸水により取り込まれた5-アミノレブリン酸、その
誘導体又はそれらの塩が、葉緑素やヘムの成分として有
効に利用されることによるものと推定される。
【0035】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、これらは単に例示の目的で掲げられるものであっ
て、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】実施例1 ほうれん草種子(「西洋ほうれんそう」,購入後13年間
20℃保存:サカタのタネ社製)の発芽率に及ぼす5-アミ
ノレブリン酸の影響をみるため、農水省農産園芸局種苗
課「野菜種子発芽試験法」に準じ発芽試験を実施した。
すなわち、φ90mm滅菌浅型シャーレにφ70mmのろ紙(N
o.2)を敷き、3mlの被検液を加え、ほうれん草種子100
粒を撒き昼夜22℃遮光条件下栽培した。被検液は0、0.
1、1、10、50、及び100ppm(wt/wt)の5-アミノレブリン
酸塩酸塩水溶液を用いた。8日後の発芽率を表1に示し
た。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸塩酸塩処理によりホウレンソウ種子の発芽率が向上
した。
【0039】実施例2 玉葱種子(「玉葱泉州黄大」,購入後10年間20℃保存:
JA経済連)の発芽率に及ぼす5-アミノレブリン酸の影響
をみるため、実施例1と同様の方法で発芽試験を実施し
た。8日後の発芽率を表2に示した。
【0040】
【表2】
【0041】表2から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸塩酸塩処理により玉葱種子の発芽率が向上した。
【0042】実施例3 葱種子(「吉蔵葱」,購入後3年間20℃保存:モリタネ
社製)の発芽率に及ぼす5-アミノレブリン酸の影響をみ
るため、実施例1と同様の方法で発芽試験を実施した。
8日後の発芽率を表3に示した。
【0043】
【表3】
【0044】表3から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸塩酸塩処理により葱種子の発芽率が向上した。
【0045】実施例4 春菊種子(「中葉春菊」,購入後11年間20℃保存:サカ
タのタネ社製)の発芽率に及ぼす5-アミノレブリン酸の
影響をみるため、実施例1と同様の方法で発芽試験を実
施した。8日後の発芽率を表4に示した。
【0046】
【表4】
【0047】表4から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸塩酸塩処理により春菊種子の発芽率が向上した。
【0048】実施例5 オダマキ種子(オダマキ,アグレイギア:サカタのタネ
社製)の発芽率に及ぼす5-アミノレブリン酸の影響をみ
るため発芽試験を実施した。すなわち、φ55mm滅菌浅型
シャーレにろ紙(NRK ROTO 40TYPE No.704×40m/m)を
敷き、純水又は10ppm(wt/wt)の5-アミノレブリン酸水溶
液1mlを加え、オダマキ種子25粒を撒き昼夜15℃遮光条
件下17時間浸漬した。その後培土を満たしたバットに播
種、温室内で通常に管理した。播種後の日数と発芽率を
表5に示した。
【0049】
【表5】
【0050】表5から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理によりオダマキ種子の発芽率が向上し、また同
じ発芽率に達するまでの日数が短縮した。また、発芽も
揃っていることがわかる。このことから、経年種子でな
くても難発芽性で発芽までに日数のかかる種子について
も5-アミノレブリン酸処理が効果的であることがわか
る。
【0051】実施例6 オダマキ種子に代えてシクラメン種子(シクラメン,F-
1ミニドレッシーミックス:サカタのタネ社製)を用
い、被検液の容量を2mlとした以外は実施例5と同様に
実施した。播種後の日数と発芽率を表6に示した。
【0052】
【表6】
【0053】表6から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理によりシクラメン種子の発芽率が向上し、また
同じ発芽率に達するまでの日数が短縮した。また、発芽
も揃っていることがわかる。このことから、経年種子で
なくても難発芽性で発芽までに日数のかかる種子につい
ても5-アミノレブリン酸処理が効果的であることがわか
る。
【0054】実施例7 市販のトウモロコシ種子(味来,ハイブリットジャパン
社製)100粒を各被検液に5時間浸漬しその後培養土を
満たしたバットに播種し15℃の恒温器で暗条件下1週間
栽培した。被検液は純水並びに1及び10ppm(wt/wt)の5-
アミノレブリン酸水溶液を用いた。1週間後の発芽率を
表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】表7より明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理はトウモロコシ種子の発芽率向上に有効であっ
た。
【0057】実施例8 被検液30mlをキムタオル1組(十条キンバリー社製)に
吸収させ、実施例7と同様の種子を50粒おき、そのまま
巻いて輪ゴム止めし、15℃の恒温槽に暗条件下1週間置
き、1週間後に発芽した種の数を調べた(ロール法)。
被検液は純水並びに1及び10ppm(wt/wt)の5-アミノレブ
リン酸水溶液を用いた。1週間後の発芽率を表8に示
す。
【0058】
【表8】
【0059】表8より、発芽に適した条件下であっても
5-アミノレブリン酸処理は発芽率向上に効果があること
がわかる。
【0060】実施例9 実施例7と同様の種子100粒に被検液を2mlスプレー
し、直ちに培養土を満たしたバットに播種した。バット
を人工気象室(日中22℃,夜間18℃)で1週間管理し
た。被検液は純水並びに1及び10ppm(wt/wt)の5-アミノ
レブリン酸水溶液を用いた。1週間後の発芽率を調べ
た。
【0061】
【表9】
【0062】表9より、他の方法同様、スプレー処理に
よっても発芽率が向上することがわかる。
【0063】実施例10 実施例7と同様の種子50粒を1kgの培土を満たしたバッ
トに播種し、500gの培土を覆土し、純水又は10ppm(wt/w
t)の5-アミノレブリン酸水溶液100mlを潅水処理した。
その後、人工気象室(日中22℃,夜間18℃)で11日間管
理し、その後8日間温室で通常の管理を行った。播種後
19日目に発芽率と発芽勢を調べた。なお、実験は各区2
反復とした。結果を表10に示す。
【0064】
【表10】
【0065】表10より、潅水処理でも発芽率を向上させ
る効果があることがわかる。また、発芽率だけでなく発
芽後の発芽勢向上にも効果があることがわかる。発芽し
た1本当たりの発芽勢も向上していることから、発芽勢
の向上は発芽率向上のみでなく発芽した芽に対する効果
との相乗効果であることがわかる。
【0066】実施例11 イネ種子(アキニシキ)を0、1、10、及び100ppm(wt/
wt)の5-アミノレブリン酸水溶液に一昼夜浸漬した後、
ペーパータオルにて水切りし、風乾した。1週間後、こ
の種子を常法に従いスポルタック1000倍液で一昼夜種子
消毒し、催芽処理を行い、常法に従って調製した1/5000
a水田ポットに100粒/m2の割合で1cmの深度で播種し
た。このポットをインキュベーター内に置き、落水条件
下、気温10℃、12時間暗条件、12時間明条件(5,000lu
x)で1週間栽培し、低温下における出芽率を測定し
た。この結果を表11に示す。
【0067】
【表11】
【0068】表11から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理によりイネ種子の発芽耐冷性が向上した。
【0069】実施例12 ポットを3cm湛水条件で管理した以外は実施例11と同様
に耐冷性試験を実施し、出芽率を測定した。この結果を
表12に示す。
【0070】
【表12】
【0071】表12から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理によりイネ種子の発芽耐冷性が向上した。これ
らの結果から5-アミノレブリン酸の種子処理は冷害が問
題になる早春の水田湛水直播きに有効であると推察でき
る。
【0072】実施例13 イネ品種をコシヒカリとし、栽培温度を15℃とした以外
は実施例11と同様に耐冷性試験を実施し、栽培20日後の
出芽率、出芽した苗の草丈、葉数、地上部乾物重を測定
した。この結果を表13に示す。
【0073】
【表13】
【0074】表13から明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸処理は低温条件下においてイネ種子の発芽率のみな
らず、発芽後の生育にもプラスの効果を示しており、総
合的な耐冷性の向上に有効である。
【0075】実施例14 デントコーン乾燥種子(パイオニア3352)に0、30、10
0、300、1000及び3000ppm(wt/wt)の5-アミノレブリン酸
水溶液を、霧吹きにて種子重量1kg当たりそれぞれ20ml
噴霧し、風乾した。この5-アミノレブリン酸を処理した
種子を、塩化ナトリウムを土壌重量比当たり0、0.05、
0.1、0.2及び0.4%添加して十分に混和した土壌を充填
した小型コンテナ(2700cm3)に各条件6粒播種し、温
室中で通常の栽培を行った。播種後10日、20日及び30日
の時点での生育の状況を観察し、塩濃度0%(無処理)
を0、完全枯死を5とした相対評価を行った。同時に、
各時点での生育している本数とその生体についての葉
齢、草丈の平均、播種30日目の地上部生重量、地下部生
重量及び根長を測定した。この測定結果を表14に示す。
【0076】
【表14】
【0077】表14より明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸の種子処理により、塩害の程度を示す指数は改善
し、塩条件下の発芽率の向上や初期生育の促進が見ら
れ、耐塩性向上効果が示された。
【0078】実施例15 デントコーン種子に代えてワタ乾燥種子(Acala)を用
いる以外は実施例14と同様に耐塩性試験を実施し、実施
例14と同様の測定を行った。この測定結果を表15に示
す。
【0079】
【表15】
【0080】表15より明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸の種子処理により、塩害の程度を示す指数は改善
し、塩条件下の発芽率の向上や初期生育の促進が見ら
れ、耐塩性向上効果が示された。
【0081】実施例16 デントコーン種子に代えてソラマメ乾燥種子(改良長
莢)を用いる以外は実施例14と同様に耐塩性試験を実施
し、実施例14と同様の測定を行った。この測定結果を表
16に示す。
【0082】
【表16】
【0083】表16より明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸の種子処理により、塩害の程度を示す指数は改善
し、塩条件下の発芽率の向上や初期生育の促進が見ら
れ、耐塩性向上効果が示された。なお、ソラマメは耐塩
性が弱く5-アミノレブリン酸を処理した種子であっても
0.4%土壌塩分試験区では全く生育していない。
【0084】実施例17 デントコーン種子に代えてイネ乾燥種子(Lemont)を用
いる以外は実施例14と同様に耐塩性試験を実施し、30日
目の地下部生重量、根長の測定以外は実施例14と同様の
測定を行った。測定結果を表17に示す。
【0085】
【表17】
【0086】表17より明らかなように、5-アミノレブリ
ン酸の種子処理により、塩害の程度を示す指数は改善
し、塩条件下の発芽率の向上や初期生育の促進が見ら
れ、耐塩性向上効果が示された。
【0087】
【発明の効果】5-アミノレブリン酸、その誘導体又はそ
れらの塩で植物の種子を処理することにより、通常の種
子はもとより経年種子、難発芽性種子の発芽率を向上さ
せ、また耐塩性あるいは耐冷性を向上させることができ
る。これらの結果、種子や苗の歩留まりが改善され、作
物生産のコストを低減することが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 友田 善久 埼玉県坂戸市千代田5−3−1 明治製菓 株式会社生物科学研究所内 (72)発明者 田中 徹 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 Fターム(参考) 2B051 AA01 AB01 BA02 BB01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5-アミノレブリン酸、5-アミノレブリン
    酸エステル、N-アシル-5-アミノレブリン酸、N-アシル-
    5-アミノレブリン酸エステル及びそれらの塩から選ばれ
    る1種又は2種以上の化合物を有効成分とする植物の種
    子処理剤。
  2. 【請求項2】 植物種子の発芽率向上剤である請求項1
    記載の種子処理剤。
  3. 【請求項3】 植物の耐塩性向上剤である請求項1記載
    の種子処理剤。
  4. 【請求項4】 植物の耐冷性向上剤である請求項1記載
    の種子処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の種子処理剤を植物種子に
    接触させることを特徴とする植物の種子処理方法。
  6. 【請求項6】 植物種子の発芽率向上処理方法である請
    求項5記載の種子処理方法。
  7. 【請求項7】 植物の耐塩性向上処理方法である請求項
    5記載の種子処理方法。
  8. 【請求項8】 植物の耐冷性向上処理方法である請求項
    5記載の種子処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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