JP2000516082A - ペプチド基質の補体転換酵素の切断を用いた生体物質による補体の活性化測定法 - Google Patents

ペプチド基質の補体転換酵素の切断を用いた生体物質による補体の活性化測定法

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Abstract

(57)【要約】 生体物質と補体系との間の接触による補体活性化の測定方法であって、該測定方法は、生体物質と補体系とをin vitroでインキュベートすることと、補体転換酵素の基質を使用して基質の切断を測定することによって、補体転換酵素の形成を測定することによる。前記補体系とのインキュベーション後の生体物質を、該補体系から分離し、該分離された生体物質、該分離された補体系、あるいはその両方を用いて補体転換酵素の形成を測定することができる。補体転換酵素は、B因子転換酵素、C3転換酵素、またはC5転換酵素とすることができ、基質は、補体転換酵素の切断部位に相当するアミノ酸配列を含む標識されたオリゴペプチドとすることができる。適切な標識物は、染料、蛍光色素、放射性原子または基、および酵素である。古典または第二経路補体活性化のいずれか、あるいはその両方が測定される。補体系は、フィブリノーゲン欠損型、抗凝固型、およびトロンビン阻害剤を含有する派生物を含む、血液の非血餅派生物、血漿または血清とすることができる。本方法においての使用に適した補体転換酵素も開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】 ペプチド基質の補体転換酵素の切断を用いた生体物質による補体の活性化測定法 技術分野 本発明は、診断学の分野に属し、医学の新しい診断技術、特に血液が異物の表 面(生体物質)に接触したときの血液における免疫学的系統、特に補体系の活性 測定に関する。 発明の背景 医療装置は、血液保存や心臓血管への適用、臓器移植、血管の手術などにおい て、頻繁に血液に接触して用いられる。これらの装置は、プラスチックや金属、 もしくは修飾された組織などから成り、異物反応により血液の自然宿主防衛機構 を活性化させるという共通点がある(図1)。このような異物の表面と血液によ りもたらされる直接的な結果の一つとして血餅形成が挙げられるが、これは抗凝 血物質により阻止される。また他には免疫系統の活性化が挙げられるが、薬理学 的に阻止することはできない。 この免疫応答は、補体、活性化因子、安定化因子、阻害因子から成る多数の血 清タンパク質である補体系によりもたらされる。補体系は白血球の化学走性およ び活性化を開始し、微生物の食作用に不可欠であり、かつ細胞溶解を導いて直接 細菌を殺すことができる。植えつけられた異物の表面も、やはり補体系により攻 撃されうる。補体系の広い範囲での生物学的な効果を考慮すると、制御すること のできない補体の活性化の結果は破壊的なものであろう(1−4;なお、数字は 参考文献の番号を示す。以下、同様とする)。一連の活性化は、食作用の副生成 物としてリソソーム酵素を放出する白血球を誘発し、それによって順に正常な組 織の壊死が引き起こされる(5−8)。 通常は、補体系を調節し、宿主の組織を防護する厳格な制御が効果的である。 そのカスケードは、形成された酵素の不安定な状態によって自然に加減される。 一度一つの成分が活性化されると、数ミリ秒以内で基質との結合が停止し、基質 の崩壊が引き起こされる。更に、幾つかの血漿阻害因子が存在しそのカスケード を制御している。しかしながら医療装置を使用している間は、これらの調節機構 は、不自然な表面であるため不十分であると思われる。それ故、可能な限り補体 の活性化が低い物質の使用を保証するために、医療装置の構成に用いられる物質 による補体活性化の試験が必要となる。 補体系(図2) 補体系の活性化は、二つの異なった経路、すなわち古典経路と第二経路とを経 て起こり得る。補体の活性化の最終的な結果は細胞溶解であるが、これはおそら く補体の主な作用ではない。補体の活性化の間、生物学的な活性化因子が放出さ れる。これらの因子は、好中球の移動や免疫粘着の促進、血管の浸透性の増加、 他の炎症を引き起こす系との相互作用などにより、免疫応答を高める。 古典経路の成分として、C1q、C1r、C1s、C4、C2、C3、C5、 C6、C7、C8、C9が挙げられる。第二経路の成分として、B因子、D因子 、プロペルジン、H、Iが挙げられる。 古典経路の開始は、抗体が抗原に結合するときに始まる。C1qは、既に抗原 に結合したIgGもしくはIgMの、部分的に変化したFc領域に結合する。こ れが結合すると、C1qはC4およびC2からペプチドを切断することで活性化 ユニットを始動するC1sを活性化する。このようにして、C1sはC4をC4 aおよびC4bに、C2をC2aおよびC2bに切断する。C2aは、C4bに 結合し、C4b2aを形成する。C3転換酵素であるC4b2aは、タンパク分 解酵素であり、C3を活性化した表面に結合すると考えられるC3bと液相中に 放出されるC3aとに、切断する(9)。C3転換酵素は、多くのC3分子を切 断する能力を有する。これによって活性化した表面上の多くのC3b分予が沈殿 する結果となることがある。しかしながら、C3bの不安定な性質のため、実際 にはかなり少数の分子しか結合しない。C5転換酵素であるC4b2a3bは、 C3が切断されるときに形成される。同様に、一つの酵素であるC5転換酵素は 、多くのC5分子をC5aおよびC5bに切断することができる。 第二経路は、微生物による感染に対して、自然で非免疫的な防御をもたらす。 更に、この経路は抗原抗体反応を増大させる。 第二経路は、C3bと、細菌のリポタンパク質、寄生体、酵母、ウィルスなど の表面、生体物質などのような他の異物表面などの活性化した基質との存在にお いて認識される(10−15)。C3bは、古典経路の活性化および/またはC 3の自然発生的な加水分解から生成される。生成したC3bは、活性化した基質 の表面に結合する。マグネシウムの存在下で、B因子は活性化した表面に既に結 合したC3bに結合する(16、17)。そのときD因子は、B因子を切断し、 Ba断片を放出するとともにC3bBbを形成する。プロペルジンは、C3bB b複合体を安定に保ち、その崩壊を防止する。C3bBbpは第二経路転換酵素 であり、同様に多くのC3分子を切断する能力を有する。C3の切断は、C5転 換酵素であるC3bBb3bの形成を生じる(18、19)。この酵素も、同様 にC3bBb3bpを形成するPにより安定化される。C5転換酵素は、多くの C5分子をC5aおよびC5bに切断することができる。 補体系は、活性化を増幅する正のフィードバック機構を有している。どちらか 一方の経路から生成されたC3bは、第二経路からのB因子、D因子、およびP と相互に作用する(20)。この相互作用は、更に膜侵襲複合体を活性化するC 3転換酵素を生成する。 膜侵襲複合体は、どちらの経路によっても生成され、古典経路あるいは第二経 路のいずれかの活性化中に生成されたC5転換酵素によって行われるC5の切断 とともに始まる。C5が切断されるとき、C5bはC3bの結合箇所とは別の結 合箇所で活性化した表面に付着するが、C5aは液相の中に放出される。C6お よびC7のそれぞれの一分子はC5bに結合し、C8が結合する安定な三分子複 合体を形成する。そのとき、活性化した表面が微生物の場合には、C9の六分子 までが侵襲複合体の効果を増大させるC8に結合し、膜損傷を誘発する。 補体の活性化の重要性は、侵襲複合体による膜損傷だけに限らない。補体の活 性化中に放出された活性ペプチドは、血管の浸透性の増強、平滑筋の収縮、免疫 粘着の促進、食作用を高める顆粒球および血小板による凝集反応、炎症箇所への 好中球(PMN)およびマクロファージの移動の誘導などによって、免疫応答に 貢献する。 C3およびC5の切断は、二つの小さな生物学的活性ペプチドであるC3aお よびC5aの放出を招く。これらのペプチドは、アナフィラトキシンとして作用 し、ヒスタミンの放出、アナフィラキシーの基質(SRS−A)の緩慢な放出、 好塩基球および肥満細胞からのヘパリンの放出を引き起こすことによって、免疫 応答を高める。これらの基質は、浮腫および炎症を起こす毛細血管の浸透性、お よび平滑筋の収縮を増加させる(25−27)。 C5aは、アナフィラトキシンとしての役割に加えて、強力な走化性因子であ る。この媒体は、炎症箇所へのPMNおよびマクロファージの移動を引き起こす ので、これらの白血球は食作用を行い、系から免疫複合体および細菌、ウィルス などを一掃するであろうと考えられる。 免疫粘着として知られる過程の中で、可溶性の免疫複合体あるいは表面上に積 層したC3bもしくはC4bは、PMN、マクロファージ、赤血球、血小板上の 補体レセプターの結合を可能にする(28、29)。これらの場合において、オ プソニンの存在は結果的に食作用の効果をより高めるので、C3bおよびC5b はオプソニンであると考えられる。 補体タンパク質の実験室測定法 補体系を評価する技術として、次の二つが知られている。 1)溶血手法。これは古典経路あるいは第二経路のいずれかの全体の機能的許溶 量を測定する。 2)免疫学的手法。これは特異的な補体成分あるいは断片生成物のタンパク濃度 を測定する。 溶血手法 溶血手法において、細胞の溶解を起こすためには、補体の全ての成分が存在し 、かつ正常な機能を保持した状態でなければならない。故に、溶血手法は補体系 の機能が正常であるか異常であるかを選別することができる(30、31)。 古典経路の機能的許容量を測定するために、溶血素に表面を覆われたヒツジの 赤血球(ヒッジの赤血球に対し、ウサギのIgG)が標的細胞(感度の高い細胞 )として用いられる。これらのAg−Ab複合体は古典経路を活性化し、適当な 濃度において補体が正常な機能を保持し、かつ全ての成分が存在するときに、標 的細胞の溶解を引き起こす。第二経路の機能的許容量を決定するためには、ウサ ギの赤血球が標的細胞に用いられる。 溶血補体測定法は、細胞溶解を誘導する補体の機能に基づき、完全に正常な範 囲の機能を有する補体タンパク質を必要とするので、補体タンパク質の欠損およ び機能障害の検出に適用できる。いわゆるCH50法は古典経路の活性化を測定 するものであるが、このCH50法および第二経路に関するAP50法は、非常 に低い濃度のテストサンプルが濃度不明の限られた補体成分を含んでいるけれど も、血清全体の代わりに特定の単離された補体タンパク質を用いることで拡張さ れた。この手法により、欠損した補体を示す補体系の更に細かい測定法を行うこ とができるようになった。 しかしながら、生物適合性を測定するために用いられなければならない健常な 個体の血清中の補体タンパク質の欠損を導くためには、非常に高い程度の補体の 活性化および消耗が必要とされる。故に、一般的に溶血手法は生体物質による補 体の活性化を測定するのに充分な感度を有しない。非常に薄められたテストサン プルとともに単離された補体に基づく溶血手法はより高感度であることが分かっ たが、これらの手法では、心肺機器の5m2の表面により誘導された補体の活性 化の測定さえも、限界に近かった(32)。 免疫学的手法 ポリクローナル抗体は、(ヒトの)C3、C4、C5補体因子の互いに異なっ たエピトープに対して産生された。これらの抗体を用いて、放射線免疫検定法を これらの補体因子の小さな断片生成物に対して行った。これらは特に固有の因子 が沈殿した後に行われる(33−36)。次いで既知の濃度における補体の標識 された断片生成物と抗体との結合を、測定することができた。その後高い特異性 を示す(モノクローナル)抗体が、断片生成物のエピトープに対して産生される 。今日では、放射線免疫検定法、酵素免疫測定法の一つであるELISA、およ び 放射状拡散検定法などが補体の断片生成物の検定に適用可能である。 溶血手法とは異なり、免疫学的手法は、断片生成物が健常な個体の血中におい て、非常に低い濃度のときに検出されるだけであるが、免疫学的手法は、断片生 成物の形成の測定が可能であるので、補体の活性化を高い感度で検定することが できる。前述のように、血漿中の可溶性断片生成物C3a、C4a、C5aの測 定は、臨床的に患者の補体の活性化をより明瞭に評価することができる(37) 。続く末端複合体(SC5b−9)の可溶性の形態は、補体活性化の高感度な標 識として見い出された(38)。これらの手法は、特に血液のサンプルを補体系 の阻害因子を含む媒体中に集めることができるので、in vivoでの補体の活性化 の検出に最も適している。したがってin vivoで形成された補体の活性化のみが 、連続した検定の中で測定される。 しかしながら、in vivoもしくは臨床研究におけるこれらの手法は、生体物質 の生物適合性の決定に用いることはできない。臨床で用いる上での大きな問題は 、生体物質に適用する間に、例えば外科手術による組織の損傷、虚血、血液と外 気との接触、内毒素、生体物質によって誘発された補体の活性化よりも優先的な 薬剤などの、物質には無関係の様々な因子により、補体系が活性化されてしまう ことである。従って純粋な生物適合性に関しては、単離された血液あるいは血液 成分(通常は血漿あるいは血清)に対する生体物質の作用に基づいた試験管内で の試験研究が必要とされている。ここで、難点が生じる。ドナーの血液の単離に 始まり、試験のために血漿あるいは血清を準備している間に、および試験管での 試験段階の間に、補体系が活性化され、高濃度の断片生成物が血漿あるいは血清 中で形成される。この高濃度の断片生成物は、試験手順時に試験のための生体物 質により結果的に形成された断片生成物よりも優位である。このように感度のよ い免疫学的手法は、試験管内での生物適合性試験には適していないことが明らか となった。更に、幾らかの生体物質に対しては、断片生成物がその表面に吸着す ることが分かってきた。免疫学的手法によっては、これらの吸着した断片生成物 が検出されない。これは、テストサンプルの誤った否定的な評価につながる。 発明の要約 本発明は、生体物質と補体系との接触による補体活性化の測定方法を提供し、 該方法は、生体物質と補体系とをin vitroでインキュベートすることと、補体転 換酵素の基質を用いて、前記基質の切断を測定することにより補体転換酵素の形 成を測定することとを含む。好適には、生体物質は、補体系とのインキュベーシ ョンの後、該補体系から分離され、補体転換酵素形成の測定は、分離された生体 物質、分離された補体系、あるいはその両方を用いて行われる。 ここで用いる「生体物質」とは、一般に、血液などの生物液と接触(または被 接触)可能で、活性化補体であっても無くてもよいような物質、あるいは該物質 からの生成物のことを言う。 好適には、補体転換酵素は、B因子転換酵素、C3転換酵素、およびC5転換 酵素から成る群から選ばれる。より好適には、補体転換酵素はC5転換酵素であ る。 原理上は、あらゆる補体転換酵素の基質、またあらゆる該基質の切断の検出方 法を用いることができるが、補体転換酵素の基質は、補体転換酵素の切断部位に 相当するアミノ酸配列を含む、標識されたオリゴペプチドであることが好ましい 。より好適には、該標識されたオリゴペプチドは、一般式Leu−Gly−Ar g−LabelまたはLeu−Ala−Arg−LabelまたはGln−Ly s−Arg−Labelを有する標識されたトリペプチドである。上記一般式に おいて、Labelは標識物を表し、N末端アミノ酸の末端アミノ基はブロック されていてもよい。前記標識されたオリゴペプチド内の標識物は、染料、蛍光色 素、放射性元素または基、および酵素から成る群から選択することができ、好適 には補体転換酵素基質の切断後、(より容易に)可視または検出可能になる標識 物である。 本発明方法は、古典経路補体活性化、第二経路補体活性化、またはその両方が 測定されるようにして実施することができる。温度あるいは特定の種類の金属イ オン(Ca++またはMg++イオン)の存在といった反応条件の適切な選択、また は、選択された経路の指向的抑制(たとえば該目的に有効な抗体の使用による) を、選ばれた補体活性化経路に限定して試験を行うために用いることができる。 本発明方法において用いる補体系は、補体系の成分を含む液体であればいかな るものでもよい。本発明方法が生体物質の生物適合性を測定するために用いられ る場合には、使用する補体系は、有効な補体系、少なくとも活性な古典経路補体 系、活性な第二経路補体系、および好適にはその両方を含まなければならない。 使用する補体系は、人工の系であってもよく、あるいは天然または半天然の補体 系、好適には、フィブリノーゲン欠損型、抗凝固型、およびトロンビン阻害剤を 含有する派生物を含む、血液の非血餅派生物、血漿または血清などであってもよ い。 関連補体転換酵素以外の他の酵素による阻害は、生体物質と補体系とのインキ ュベーションおよび/または基質切断工程を、当該酵素の阻害剤の存在下で実施 することにより低減できる。 本発明方法の目的は、生体物質の補体活性化特性を測定することであってもよ く、その場合、補体系は通常、活性な古典経路補体系、活性な第二経路補体系、 あるいはその両方を有することが知られている血液、たとえば貯蔵された正常血 液から誘導される。 上記に代えて、本発明方法の目的は、補体欠損を有する疑いのある患者の血液 などの、補体系の補体応答特性を測定することであってもよく、この場合、既知 の補体活性化特性を有する生体物質が使用される。 本発明はさらに、上記で定義した方法において使用する補体転換酵素基質に関 し、詳細には、補体転換酵素の切断部位に相当するアミノ酸配列を含む標識され たオリゴペプチドに関し、より詳細には、Leu−Gly−Arg−Label またはLeu−Ala−Arg−LabelまたはGln−Lys−Arg−L abelの一般式を有する標識されたトリペプチドに関し、上記一般式において 、Labelは標識物を表し、N末端アミノ酸の末端アミノ基はブロックされて いてもよい。 図面の簡単な説明 図1は血液と外来生体物質との間の相互作用を模式的に示している。血液が生 体物質に暴露されると、補体系(C3)と同様に接触系(VII因子および補因子 )も活性化される。接触系は、さらにキニン、フィブリン溶解および血餅形成系 の活性化を導く。補体系の活性化は、走化性および膜攻撃補体ペプチドの生成を 導く。生成物は、血小板および白血球が酵素を放出する引金となる。この過程が 正常な調節を妨げた場合、全身の炎症反応により患者は重病に陥ることにもなる 。 図2は補体系の古典および第二経路を模式的に示している。補体系は、古典ま たは第二経路を介して開始される。古典経路の成分C1、C2およびC4は、特 に、抗体抗原認識の後に作られ、第二経路は、異物表面上へのC3bの結合、な らびにPおよびD因子によるC3Bbの安定化によって開始される。この転換酵 素によるC3の切断後、新たに形成されたC3bが標的面に結合し、これによっ て反応を増幅させる。いずれの経路によっても、C3とそれに続くC5とがそれ ぞれの転換酵素によって切断され、膜攻撃複合体が標的面上ならびに血液中の可 溶性物質として形成される。C3aおよびC5a断片は走化性があり、白血球を 活性化する。 図3aは、フィブリノーゲン欠損血漿(defPPP)中でポリジメチルシロ キサン(PDMS)を異なる基質とともにインキュベートした後の、基質転換結 果を示している。PDMSをdefPPP中でインキュベートした後、洗浄した PDMSをBOC−Leu−Gly−Arg−pNA溶液中でインキュベートし 、一方でdefPPPはH−Leu−Gly−Arg−pNAまたBz−Leu −Gly−Arg−pNA中でインキュベートした。結果はバックグランド色の ために補正されている。R−Leu−Gly−Arg−pNA基質の切断によっ て示されるような酵素活性が形成された。PDMS表面上ではRのBOCによる 置換が最も効果的であり、血漿溶液中ではH−およびBz−による置換が最も効 果的であった。 図3bは、血漿中での種々の時間のインキュベーションの間にPDMS表面上 に形成された転換酵素活性を示している。PDMSはdefPPP中で時間を変 えてインキュベートし、洗浄後、BOC−Leu−Gly−Arg−pNAに供 した。 図4aは、基質切断中のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の影響を示して いる。プロトコールに従って、フィブリン除去された血漿中でPDMSをインキ ュベートし、これを除去した。次に、血漿にH−およびBz−基質を加え、発色 を促すために60時間インキュベートした。この2度目のインキュベーションの 間に、EDTAを加えなければ、新たな補体転換酵素が形成されることになる。 EDTAは、形成された複合体による基質の切断を阻害しなかった。Bz−Le u−Gly−Arg−pNAの切断はEDTAによって減少しなかったことから 、この基質の非特異性が示された。 図4bは、インキュベーション前に、フィブリン除去血漿を加熱する影響を示 している。PDMSをdefPPP中でインキュベートする前に、該defPP Pを56℃で30分間加熱した。第二補体経路からのB因子は、56℃以上の温 度で変性することが知られている。血漿をこの温度で処理することにより、補体 の第二経路が機能しなくなる。加熱した血漿中でPDMSをインキュベートする と、それ以上の補体系の活性化は見られなかった。 図5a,5bは、異なる物質の影響を示している。PDMS(ポリジメチルシ ロキサン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPE(ポリエチレ ン)のすべてが、表面上への転換酵素の結合(図5a、基質としてBOC−Le u−Gly−Arg−pNAを使用)と、インキュベーション血漿(PPP)溶 液中への転換酵素の放出(図5b、基質としてH−Leu−Gly−Arg−p NAを使用)を示した。本試験条件を用いた血漿中での測定から、物質中、最も 特異的なものが明らかになり、PDMSの活性化能が最も大きいことが判った。 図6は、インキュベーションにおける種々の阻害剤の影響を示している。PD MSをフィブリン除去された血漿アリコート中でインキュベートしたが、該アリ コートには、インキュベーション前に、異なる阻害剤、すなわちEDTA、アプ ロチニン、C1エステラーゼ阻害剤、およびトロンビン阻害剤を加えた。EDT Aは、ほぼ完全に基質転換を阻害し、アプロチニンは基質転換を阻害しなかった 。このことは、これらのin vitro条件における、補体転換酵素活性に対しての基 質の特異性を支持する。というのも、アプロチニンは、本試験の濃度において、 カリクレイン、プラスミン、および(キモ)トリプシンを阻害するからである。 発明の詳細な説明 本発明は、合成ペプチドに対する転換酵素活性を測定するための酵素的手法を 提供し、該転換酵素活性測定手法では、発色性、蛍光性、または放射性ラベルな どの標識物質が放出される。 補体系は、B因子、C3因子およびC5因子の転換酵素による酵素的切断によ って活性化されるが、これらの酵素は、これまで、本質的に不安定で、半減期が 短いために、また何よりも非特異的な性質の故に、補体活性化の有用なマーカと しては考えられていなかった(39〜42)。したがって、液相中だけでなく物 質表面上にこれらの転換酵素の残存活性が見られたことは驚きであり、その結果 、他の潜在的な基質切断酵素の阻害剤を用いることにより補体転換酵素活性を認 めることができた。 補体転換酵素に対する天然基質(B因子、C3因子、C5因子)のアミノ酸配 列は公知である。また、B因子切断酵素C3bDによるB因子の切断部位、C3 転換酵素(C4b2aおよびC3bBbP)によるC3の切断部位、およびC5 転換酵素(C3bBb3bP)によるC5の切断部位も公知である(43,44 )。したがって、これらの構造に類似する人工基質を、これらの酵素的過程に使 用することができた。これらの小さなペプチド基質は、対応する転換酵素活性に よる切断を測定するために、種々の方法で標識することができる(45,46) 。適切な標識されたペプチド基質は、C3転換酵素に対してはLeu−Ala− Arg−pNA、C5転換酵素に対してはLeu−Gly−Arg−pNA、B 因子転換酵素に対してはGln−Lys−Arg−pNAであろう。標識物質の 性質は重要ではなく、N末端アミノ酸のアミノ基は遊離(H型)であっても、( たとえば、BOCまたはBzによって)ブロックされていてもよい。 新しい酵素的手法は、試験物質の表面上に形成される転換酵素を基礎としてお り、表面に結合したおよび/または血漿中に遊離したこれらの転換酵素を検出す る。溶血および免疫学的手法とは対照的に、特に、結合性の補体タンパク質に対 してはこの手法が最も適している。新しい酵素的手法は、カスケード中の重要な 段階を測定していることから、補体の実際の活性に関係するという溶血手法の利 点を共有している。血漿中および生体物質上に存在する転換酵素活性が低いもの の、血漿中で生体物質をインキュベートすると活性は2〜5倍に増大することか ら、新しい手法はまた、免疫学的手法の識別感度も達成している。転換酵素は基 質転換の間も活性を維持しているので、試料間の識別が可能になるまで、発色は 延期することができる。記載のin vitro技術を用いた生体物質に対する補体測定 の別の重要な特徴は、基質の切断が、様々な動物に対してだけでなく、ヒトに対 しても証明されていることである(38,39)。 ペプチド基質については、プロテアーゼの測定に際して前述した。標識された 基質の合成については(43)に記載されている。活性化された血漿プロテアー ゼの大半は、トリプシンやキモトリプシンなどの消化酵素と比較すると、非常に 特異性が高い。ほとんどの場合、血漿プロテアーゼはそれらの天然基質内のただ 1つか2つのペプチド結合しか切断しない。この高い酵素特異性は、明らかに、 感受性結合の付近の特異的アミノ酸、あるいは感受性結合付近のこれらのアミノ 酸の特異的コンフォメーションの認識によるものである。 様々な血液凝固因子および補体酵素の影響に関する多数の研究結果が公表され ている。4−ニトロアニリン、および7−アミノ−4−メチルコウマリンである アミドを含む基質が特に有用であるとされている。しかしながら、これらのいず れの基質も完全に特異的ではない。その他の問題としては、酵素的加水分解の速 度が小さいこと、ならびにアルブミンなどの他の血漿タンパク質との干渉が挙げ られる。 これらの欠点のために、in vivo補体活性化を検出するためのこうした基質技 術の説明が困難になる。というのも、in vivoにおける補体活性化には、他の血 液カスケード系の活性化が伴い、基質転換にいくつかの影響を及すからである。 本明細書に記載の方法は、主に生物適合性がin vitroで測定されることにより 、高い特異性を可能にする。患者の血液試料における測定とは対照的に、生物 適合性のin vitro測定中に市販の阻害剤を用いることにより、補体以外のカスケ ードの活性化を抑制することができる。その結果、該方法を制御することができ る(38)。さらに、補体転換酵素は、標的生体物質の表面に結合するという特 異な性質を有する。ここに記載する技術は、血漿中での試験物質のインキュベー ションと、それに続く該試験物質の分離と洗浄に基づいているので、物質表面に 結合した転換酵素は、基質の転換に先だって分離される。 本発明は、生体物質から、生物適合性の1つの重要な側面である補体活性化の 程度を測定する技術を提供する。本発明は、生物液、血液、または血液産物を生 体物質とともにインキュベートすることにより、補体系を活性化させ、また補体 転換酵素を生体物質に結合させて、補体活性化のin vitro測定を可能にする。次 に、未結合の血液タンパク質および細胞を除去するために、生体物質を洗浄し、 該生体物質を特異的基質を含む媒質中でインキュベートし、補体転換酵素により この基質を切断させた。この切断は、色素、蛍光色素、放射性標識物質の放出に よって測定することができる。 一般に、本発明における基質は、標識されたトリペプチドであるが、より大き な構造はここでは限定されない。基質は、補体転換酵素に対する天然基質の切断 部位に類似のアミノ酸配列、または低いKmと高い特異性を有する他のアミノ酸 配列を含んでいる。試験手順における基質の濃度は、該試験手順の最中にいかな る基質の制限ももたらさないように、通常μMのオーダとする。 血液または血漿は、生体物質とのインキュベーションの間、凝固が防止されな ければならない。いくつかの抗凝固剤、たとえばCa++枯渇物質のクエン酸塩お よびEDTAなども、補体系に影響を与える。この状況において、第二経路の補 体活性化を行わせるために、Mg++を使用してもよい。より好適には、血清、ま たはフィブリノーゲン欠損血漿、または特異的トロンビン阻害剤を含む血液/血 漿が、生体物質とのインキュベーション中の凝固を防止するために使用される。 本発明に記載の技術は、医療装置を構築するのに適切なものを選択するための 生体物質のスクリーニングにおいて用いてもよい。また本技術は試験所で、血液 の生物適合性を試験するために用いてもよい。さらに本技術は、医療装置を臨床 用に用いる場合に、あるいは反対に未知の血液試料の生体物質との反応性を試験 するために、研究の目的で使用してもよい。 また本発明は、基質転換の間に他の酵素の阻害剤を導入することにより、本技 術が、他の酵素よりも補体転換酵素に対して基質切断の特異性を有するような条 件を提供する。 本発明は、物質表面上と液相中の両方における補体活性化の測定を含む。物質 表面に依存して、転換酵素が生物液中に放出される。 本発明は、ヒトまたは動物の生物液における補体活性化の測定を提供する。 本発明によれば、生体物質とのインキュベーションの間に生物液中にCa++ま たはMg++を使用することにより、生物液の熱処理により、またはたてえば抗体 によっていずれか一方の経路を阻害することにより、補体系の第二経路あるいは 古典経路のいずれかによる活性化を区別することができる。 本発明によれば、生体物質の臨床上の用途において、生体物質に結合した補体 転換酵素を、これらの使用され、洗浄された生体物質を基質媒体中でインキュベ ートすることにより測定することができる。 本発明によれば、色素、または蛍光色素、または補体転換酵素による基質のペ プチド切断の間に遊離されるような他の適切な指標物によって標識された基質を 用いて、転換酵素活性を測定することができる。 本発明は、3次元構造またはサイズとは無関係に、あらゆる装置によって補体 活性の特性付けを行う可能性を提供する。インキュベーション中に形成される多 数の転換酵素に対して、基質とのインキュベーション時間を調節可能にする必要 がある場合、これは試験物質の表面積および物質特性に依存するであろう。 本発明は、補体活性化に関する特性が十分に明らかにされている標準物質に対 する、補体系の応答の欠損を検出するためにも使用することができる。これらの 標準物質は第二または古典補体経路の活性化物質でもあり得る。本技術の、既存 の溶血または免疫学的手法を超える利点は、専門の実験技術を用いることなしに 、補体欠損のスクリーニングが可能であることである。本発明は、臨床での測定 に発展させることさえ可能である。 本発明は、室温または37℃など、温度を変化させて実施することができ、そ の主たる効果は反応速度である。 本発明によれば、貯蔵された正常な血清を用いる生体物質との生物適合性の測 定と、患者の血漿の標準生体物質に対する補体応答の測定との両方を高度に標準 化することができる。生物適合性の測定については、アリコート中、血清1バッ チを冷凍貯蔵することができ、補体試験については、均質物質の1バッチを使用 することができる。 本発明は以下の実施例によって説明されるが、実施例は本発明を説明するため のものであって、本発明をここに示した詳細に限定するものではない。これらの 実施例では、生体物質を血漿と接触させた場合の、補体系の活性化を測定する技 術を評価している。我々の実験において、生体物質は補体転換酵素に結合し、該 転換酵素を血漿中に放出し、結果として特異基質を転換することが判明した。ゆ えに、生体物質による補体系の活性化が、表面上だけでなく液中でも直接測定で きる。 これらの実験において、我々は、本技術を用いることにより、異なる生体物質 に対して、補体−生物適合性に関する分類が可能であることを証明した。したが って、本試験は、医療装置に使用される物質を選択および試験する際に、生体物 質の生物適合性を評価するための強力な手段となり得る。 実施例1 ヒトの血液は、募った健常者のボランティアから静脈穿刺により採取した。血 液は、血餅形成を防ぐため直ちにクエン酸ナトリウム(最終濃度0.316%) と混合した。次に血液は、血漿と血液細胞を分離するために遠心分離(1100 xg)した。我々の実験では、フィブリノーゲンを凝固させるために、レプチラ ーゼを施した後に、このクエン酸化されたヒトの血漿を用いた。このフィブリノ ーゲン欠損血漿(defPPP)は他の凝集成分を含み、補体の活性化を最適化 するCa++を含むバッファと混合されうる。このdefPPPは、アリコート中 、−80℃で保存した。我々は、このdefPPPを、使用する前に50mMの TRISバッファと33mMのCaCl2(pH7.4)とで20%に希釈し た。生体物質PDMS(ポリジメチルシロキサン、シリコンゴム)は1cm2断 片に切って用いた。生体物質は、洗浄のため、まず70%エタノール中でインキ ュベーション後、0.9%塩化ナトリウムでリンスした。実験中、生体物質の断 片を室温で0、10、30、もしくは60分間、500μlに希釈されたdef PPP中でインキュベートした。インキュベーション後、生体物質は、生理的食 塩水で3回リンスした。その後、生体物質はTRISバッファと33mMCaC l2で希釈したBOC−Leu−Gly−Arg−pNAの中で暗室内で室温で 60分間、インキュベートした。同時に、先に生体物質と共にインキュベートし たdefPPPを、100μlのTRISバッファで希釈され、33mMCaC l2が補われた100μlのH−Leu−G1y−Arg−pNAもしくはBz −Leu−Gly−Arg−pNAと混合した。60分間の後、405nmにお けるOD(光学密度)を、分光光度計(microplate reader 3550 UV; Biorad ,Richmond,California,USA)で測定した。 これらの実験では、基質BOC−Leu−Gly−Arg−pNAとインキュ ベートしたPDMS、そして基質H−Leu−Gly−Arg−pNA、および Bz−Leu−Gly−Arg−pNAと一緒にdefPPP中でインキュベー トしたPDMSから放出される発色が示された(図3a)。 次に我々は、血漿中での生体物質のインキュベーション時間の影響を調べた。 OD450nmで表された基質の転換は、生体物質をより長時間、血漿に接触 させると増加することがわかり(図3b)、このことはより多くのC5転換酵素 が形成されていることを表している。この実験では30分間のインキュベーショ ン時間後に充分な転換が行われていたので、このインキュベーション時間を以後 の実験での標準的時間として選んだ。 実施例2 補体転換酵素の活性の特異性を実証するため、PDMSを、Ca++(転換酵素 の形成を許容する)もしくはEDTA(転換酵素の形成を妨げる)を補足したd efPPP中でインキュベートした。この実験は、EDTAが完全に転換酵素の 形成を妨げることを示し、このことは補体活性化に対する基質の幾つかの特異 性を表している。 第2の実験では、インキュベートされたdefPPPを上述のようにCa++の 存在下でインキュベートし、30分後に100μlのdefPPPを回収した。 その後、この回収したdefPPPをCa++の存在下で、あるいはCa++を含ま ないEDTAの存在下で、H−Leu−Gly−Arg−pNAおよびBz−L eu−Gly−Arg−pNAと一緒にインキュベートした。形成された転換酵 素はEDTA中でも依然として活性化状態であり、一方、基質H−Leu−Gl y−Arg−pNAを活性化されたdefPPPとインキュベーションしている 間に、Ca++の存在下で更なる転換酵素の活性が形成された(図4a)。この転 換酵素の新たな形成は、人為的なものであると思われた。したがって、defP PPの基質との2回目のインキュベーションは、EDTAのような、Ca++/M g++キレート媒質中で行われなければならない。EDTAはこの基質の切断をそ れ以上阻止しなかったので、基質Bz−Leu−Gly−Arg−pNAは、補 体活性に対しては非特異的であると考えられる。 特異性の第3のテストでは、第二経路からのB因子を除くために、PDMSを 56℃で30分間加熱したdefPPPとインキュベートした。これらの条件下 で、転換酵素の形成は著しく減少し、このことはPDMSによる転換酵素形成に おける、第二経路からのB因子の作用の重要性を示している(図4b)。 実施例3 物質間の識別は本技術の主な目的の一つであるので、我々は異なったタイプの 生体物質の影響を詳細に調べた。 我々は、PDMS、PE(ポリエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエ チレン)など、全て医療装置のために頻繁に用いられる物質を用いた。我々は溶 液内および生体物質上への転換酵素の形成の効果をテストした。物質PDMS、 PE、およびPTFEは、補体系を活性化し、このことはBOC−Leu−Gl y−Arg−pNAおよびH−Leu−Gly−Arg−pNAの転換によって 示された(図5a,b)。PDMSは、PEよりも強い補体の活性化因子である のに対して、PTFEはとても弱い補体の活性化因子であることが分かった。 実施例4 一緒にインキュベートしたdefPPPと、基質H−Leu−Gly−Arg −pNAとの補体の転換酵素のテストを更に特徴づけるために、多くの酵素阻害 剤を用いた。PDMSと一緒にインキュベートする異なるアリコート中に、トロ ンビン阻害剤(12581、Kabi)、Clエステラーゼ阻害剤(Sigma)、プラスミン /カリクレイン/キモトリプシン阻害剤であるアプロチニン(Bayer)、および EDTAを用いた。EDTAは最も強い阻害剤であり、次にClエステラーゼ阻 害剤、それからトロンビン阻害剤、それからアプロチニンが続いた(図6)。こ れは基質H−Leu−Gly−Arg−pNAの切断へ向う主な活性が、補体に 依存していることを示している。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.生体物質と補体系の間の接触による補体活性化の測定方法において、生体 物質と補体系をin vitroでインキュベートすることと、補体転換酵素の基質を使 用して、該基質の切断を測定することによって、補体転換酵素の形成を測定する こととを含むことを特徴とする方法。 2.補体系とのインキュベーション後の生体物質を該補体系から分離し、該分 離された生体物質、該分離された補体系、あるいはその両方に対して、補体転換 酵素形成の測定を実施することを特徴とする請求項1記載の方法。 3.前記補体転換酵素は、B因子転換酵素、C3転換酵素およびC5転換酵素 から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の方法。 4.前記補体転換酵素は、C5転換酵素であることを特徴とする請求項1記載 の方法。 5.前記補体転換酵素基質は、補体転換酵素の切断部位に相当するアミノ酸配 列を含む標識されたオリゴペプチドであることを特徴とする請求項1記載の方法 。 6.前記標識されたオリゴペプチドは、Leu−Gly−Arg−Label 、またはLeu−Ala−Arg−Label、またはGln−Lys−Arg −Labelの一般式を有する標識されたトリペプチドであり、式中、Labe lは標識物を表し、N末端アミノ酸の末端アミノ基はブロックされていてもよい ことを特徴とする請求項5記載の方法。 7.前記標識されたオリゴペプチド内の標識物は、染料、蛍光色素、放射性の 原子または基、および酵素から成る群から選ばれることを特徴とする請求項5記 載の方法。 8.古典経路補体活性化、第二経路補体活性化のいずれか、あるいはその両方 が測定されることを特徴とする請求項1記載の方法。 9.前記補体系は、フィブリノーゲン欠損型、抗凝固型、およびトロンビン阻 害剤を含有する派生物を含む、血液の非血餅派生物、血漿または血清であること を特徴とする請求項1記載の方法。 10.補体転換酵素以外の他の酵素による阻害は、生体物質と補体系とのインキ ュベーションおよび/または基質切断の段階を、前記他の酵素の阻害剤の存在下 で実施することにより低減されることを特徴とする請求項1記載の方法。 11.生体物質の補体活性化特性を測定するための請求項1記載の方法において 、前記補体系は、活性な古典経路補体系、活性な第二経路補体系、またはその両 方を有することが知られている、貯蔵された正常な血液などの、既知の血液から 得られることを特徴とする方法。 12.補体系の、たとえば補体欠損症を有する疑いのある患者の血液などの補体 応答特性を測定するための、請求項1記載の方法において、既知の補体活性化特 性を有する生体物質を使用することを特徴とする方法。 13.請求項1〜12のいずれかに記載の方法において使用する補体転換酵素基 質。 14.請求項1〜12のいずれかに記載の方法において使用する、補体転換酵素 の切断部位に相当するアミノ酸配列を含む標識されたオリゴペプチド。 15.請求項1〜12のいずれかに記載の方法において使用する、Leu−Gl y−Arg−Label、またはLeu−Ala−Arg−Label、または Gln−Lys−Arg−Labelの一般式を有する標識されたトリペプチド であって、式中、Labelは標識物を表し、N末端アミノ酸のアミノ基はブロ ックされていてもよいことを特徴とする標識されたトリペプチド。
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