JP2000514664A - ハイブリッドコムギの生産方法 - Google Patents

ハイブリッドコムギの生産方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、普通コムギおよびデューラムコムギの遺伝子的雄性不稔性雌親株を安定に維持する能力に基づく、ハイブリッドコムギの生産方法に関する。本発明はまた、劣性雄性不稔性対立遺伝子と優性花粉キラー対立遺伝子に対してホモ接合性である雄性不稔性雌株と、容易かつ安定に繁殖できる維持株とを提供する。維持株は、雌性株と同遺伝子型であるが、維持株に稔性を回復する優性雄性稔性対立遺伝子と、未変性の花粉キラーの枯死作用に感受性であり従って雌性株へのこの遺伝子の遺伝を防止する劣性花粉キラー対立遺伝子と、維持株自身の維持を促進する1つまたはそれ以上の選択マーカーとを有する、異種改変染色体を有する。本発明はまた、任意の所望の栽培品種を、雄性不稔性雌株および維持株に変換する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ハイブリッドコムギの生産方法 発明の分野 本発明は、高度にヘテロ接合性であり、かつ表現型が同一であるハイブリッド 植物を生成する、普通コムギおよびデューラムコムギのハイブリッド種子の生産 に関する。さらに詳しくは、本発明は、ハイブリッドコムギ植物の生産に使用す るための雄性不稔性雌親株(この雌株は、劣性変異体雄性不稔対立遺伝子、劣性 マーカー対立遺伝子および優性花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性である )を維持するための、染色体工学に基づく新規な方法、ならびにこの雌株と同質 遺伝子型であるが、優性雄性稔性対立遺伝子、優性未変性花粉キラー対立遺伝子 の花粉枯死に感受性の劣性花粉キラー対立遺伝子および優性選択マーカー対立遺 伝子を有する追加の異種改変染色体を有する雌親株を維持するための、新規な維 持株に関する。異種染色体腕上の全ての対立遺伝子は、異種染色体とコムギ染色 体の間の対形成および組換えの欠損のために、永続的に結合している。異種改変 染色体上の劣性花粉キラー対立遺伝子の存在は、全ての生存可能な維持雄性配偶 子が、この染色体を欠いており、従って優性雄性稔性対立遺伝子および選択マー カー対立遺伝子を欠いていることを証明する。一方では、約20〜50%の雌性 配偶子は、異種改変染色体(alicn cnginccrcd chromosomc)を有する。選択マ ーカーが植物の高さを左右する対立遺伝子であるとき(改変染色体を有する植物 は、これを持たない植物よりも8〜10cm背丈が高い)、背丈の高い植物を背丈 の短い植物から分離して収穫することができる。背丈の高い植物で発育する種子 では、約20〜50%が異種改変染色体を持ち、そのため、これらは雄性稔性植 物に発育し、そして50〜80%がこの染色体を欠いており、そして雄性不稔性 植物に発育する。背丈の高い植物の種子を毎年分離して収穫する能力は、維持株 中の雄性稔性植物の割合を一定に保つ。選択マーカーが除草剤耐性遺伝子(例え ば、クロロトルロン(chlorotoluron)に対する耐性)であるとき、自家受粉維 持株の子孫に除草剤を適用し、このためこの改変染色体を欠いている全ての植物 (雄性不稔性植物)を枯死させて、維持(雄性稔性)植物のみを生存させること が可能である。これにより、各世代において自家受粉維持株の子孫から雄性稔性 植物 のみを増殖することが可能になる。選択マーカーが青色のアリューロンであると き(内乳着色形質)、維持株で発育した種子を、そこから雄性稔性植物(維持株 )が発育する青色の種子と、そこから雄性不稔性植物(雌株)が発育する本来の 色(赤色/白色)の種子に分類することができる。自家受粉維持株の子孫から雄 性不稔性雌株の種子を直接分類することが可能であると、このシステムは単純化 され、かつハイブリッド種子の生産コストは大きく低下する。本発明はさらに、 維持株の新規な生産方法、所望の栽培品種を雄性不稔性雌株および雌株のための 維持株に変換するための新規な方法、および生じるハイブリッド植物が劣性変異 体雄性不稔性対立遺伝子に関して全てヘテロ接合性でありそのため雄性稔性であ るハイブリッドコムギ生産のための新規な方法を提供する。 発明の背景 多くのハイブリッド植物株が、純粋な真の育種植物株よりも収量が高く、かつ 改善された品質、および環境的および生物的ストレスに対する高い耐性を示すこ とは充分に確立している。雄花と雌花が物理的に分離されているトウモロコシと は異なり、普通(パン)(トリチクム・アエスチブム アエスチブム種(Tritic um aostivum var.acstivum))およびデューラム(マカロニ)(ティー・ツル ギヅム デューラム種(T.turgidum var.durum))は自家受粉が支配的な種で あり、かつ全部の花が雌性および雄性器官の両方を含有する。ハイブリッド種子 を生産するためには、このため雌親株を雄性不稔化することが必要である。手で 雄蘂を取り去ることはコムギでは非現実的であるため、雄性不稔は化学的ハイブ リグイズ剤(CHA)の適用または遺伝子的手段により達成することができる。 コムギ植物を雄性不稔化するのにCHAを使用することは、費用が高くつき、効 率が悪くかつ汚染が生じる。実際、CHAの使用は現在主として科学実験に制限 されている。 遺伝子的手段によるハイブリッド種子の生産には下記条件が必要である:1) 雌親株の完全かつ安定な雄性不稔;2)雄性親株による完全かつ安定な稔性回復 ;3)維持株による雌性(雄性不稔性)親株の容易な繁殖。これらの条件はコム ギ遺伝学者には知られているが、しかし最初の雄性不稔性コムギが報告(キハラ (Kihara)、1951年)されてから46年間ハイブリッドコムギ生産において は進展がなかった。 ハイブリッド種子生産に利用することができる遺伝子的雄性不稔には2つの主 要な型がある:普通コムギ核との異種細胞質の不和合性相互作用により引き起こ される、核置換または異形質株における細胞質性雄性不稔(CMS)、および通 常は普通コムギ細胞質の雄性稔性を与える核内遺伝子の劣性突然変異または欠失 により引き起こされる、ユープラズミック(cuplasmic)株の遺伝子性雄性不稔 (GMS)。異種細胞質が関与するCMSは、通常ハイブリッドの収穫能力を低 下させ、一方未変性細胞質が関与するGMSは、ゲノムの正常な発現を可能にし 、従ってハイブリッドの完全な収穫能力を可能にするはずである。 多くの市販の穀物(例えば、トウモロコシ)では遺伝子的雄性不稔が多いが、 普通コムギまたはデューラムコムギにおいてこの型は未だ充分に利用されていな い。普通コムギにおける多くの試みは、細胞質雄性不稔に基づくハイブリッド種 子の生産を指向してきた。これに関連して、別の種のコムギ、トリチクム・チモ フェヴィ(Triticum timophoovii)の細胞質(G細胞質)が広く使用された。こ の細胞質を含有する異形質株は、雄性不稔性である。研究された別の型の細胞質 は、アエギロップス・ヴァリアビリス(Acgilops variabilis)の細胞質(Sv細 胞質)である。この細胞質は、染色体腕IBS上のSv回復遺伝子(rcstorcr) の欠損した株に雄性不稔を引き起こす。しかし上記のように、普通コムギにおけ る不稔化因子としての異種細胞質の使用は、普通コムギ核と異種細胞質の間の相 互作用により種々の重要な形質が負の影響を受けるため、大きな欠点を有する。 さらに、このような異形質雄性不稔性株について、広い範囲の遺伝子型において 非常に有効な安定な稔性回復遺伝子を見いだすのは困難である。さらに、このシ ステムは、雄性親株の育種(例えば、異種細胞質に雄性稔性を回復させることが できる遺伝子の導入)も必要とするため、ハイブリッド種子生産がさらに高価に なり、組合せ能力(顕著なハイブリッド生長力に対する寄与)について試験する ことができる雄性親株の数を限定することになる。 他方、遺伝子的雄性不稔は、正常な普通コムギまたはデューラムコムギ細胞質 において発現する。従って、植物の性質に及ぼす細胞質誘導性の有害な作用はな いことが予想される。さらに、劣性雄性不稔対立遺伝子についてホモ接合性であ る雌親株を使用して、優性対立遺伝子が与える雄性稔性について本来ホモ接合性 である任意のコムギ栽培品種を、F1ハイブリッドに完全な稔性を回復させる雄 性親株として使用することができる。雄株について育種する必要がなく、また雄 性不稔性雌株と交配して、その組合せ能力について評価することができる雄株の 数に関する制限も存在しない。 普通コムギにおいて雄性稔性を左右する遺伝子を有する幾つかの染色体腕[例 えば、それぞれ正常雄性稔性Ms−A1、Ms−B1およびMs−D1遺伝子を 有する、群4の染色体腕:染色体4Aの長腕(4AL)、染色体4Bの短腕(4 BS)および染色体4Dの短腕(4DS)、並びにそれぞれMs−A2、Ms− B2およびMs−D2遺伝子を有する、群5染色体の長腕:5A、5Bおよび5 D(それぞれ、5AL、5BLおよび5DL)]が報告されている。しかし今ま でのところ、染色体腕4BS(以前は4AS)の遠位領域上のMs−B1遺伝子 座にのみ、雄性不稔を引き起こす3つの劣性対立遺伝子が見い出されたか、また は誘導された。これらの対立遺伝子、すなわち、ms−B1−a、ms−B1− bおよびms−B1−c(しばしば、それぞれms1a、ms1bおよびms1 cとも呼ばれる)は、雄性不稔の範囲を超えて、植物の性質に何の作用も引き起 こさないことが報告された(ウィルソン(Wilson)とドリスコル(Driscoll)に よる総説、1983年)。 雄性不稔性雌株の維持は、GMSに基づくハイブリッド生産システムを成功さ せるには大きな障害である。2つの方向で雄性不稔性雌株を維持するための努力 が払われた。1つは「稔性化細胞質」の使用であり、もう1つは維持株に、劣性 変異体雄性不稔対立遺伝子に対して同祖対立的(homocoallclic)な異種稔性対 立遺伝子(雌株には伝達されない)を持たせることであった。 雄性不稔性雌株を維持する第1のアプローチ、すなわち、「稔性化細胞質」の 使用が、以前ヘルムセン(Hermsen)(1965年)により提案されたが、これ はこれまで実験結果による支持は得られなかった。彼は「稔性化細胞質」、すな わち、雄性不稔対立遺伝子についてホモ接合性である植物における雄性不稔が発 現されず、そのためその株が表現型では雄性稔性である、未変性または異種細胞 質の可能性を報告した。残念ながら、これまでにこのような細胞質は見い出され な かった。ヘルムセン(Hermsen)によって提案されたシステムは、主として、雄 性不稔性遺伝子型に稔性を回復させることができる普通コムギには細胞質の充分 な種内変動がないため、およびコムギの密接に関連する種の細胞質はまた雄性不 稔性遺伝子型への雄性稔性の回復を促進することができないため、実際には実現 することができなかった。他方、より遠い種の細胞質は、異形質株が適切な回復 遺伝子を有する場合を除いて、通常雄性不稔を引き起こす。しかし、そのような ものとして雄性不稔対立遺伝子に及ぼすこれらの作用は研究されなかった。 アエギロップス・スクアロサ(Aegilops squarrosa)(D)細胞質の異形質普 通コムギ(ゲノムAABBDD)が雄性稔性であり、かつD細胞質の異形質デュ ーラムコムギが雄性不稔性であるため、フランコウィアク(Franckowiak)ら( 1976年)は、雄性稔性回復遺伝子の原因は普通コムギのDゲノムであるとし た。彼らは、D細胞質を有する普通コムギの異形質株に突然変異を誘導し、そし てこのような異形質雄性不稔性親株がユープラズミック型の同一栽培品種により 維持される、すなわち、雌の雄性不稔性親株が雄性稔性突然変異対立遺伝子およ びD細胞質を有し、維持株が同じ突然変異対立遺伝子および未変性(B)細胞質 を有し、そして雄性親株が正常な雄性稔性対立遺伝子およびB細胞質を有する、 ハイブリッド生産システムを提案した。ハイブリッドの稔性は、このような雄親 株と雌親株を交配することにより回復される。しかし、このようなハイブリッド は全て、雌親株由来のD細胞質を有するが、このことは、このような細胞質がハ イブリッドの性質(収穫量、生長力など)に有害な作用を及ぼすという事実から 見て望ましくない。さらに、フランコウィアク(Franckowiak)らの上記システ ムでは、雄性不稔性雌親株の次の世代における獲得のための維持株は、雄性不稔 突然変異および維持株の稔性を確保するためのB細胞質を有する株である。この システムは、得られた全ての雄性不稔性変異体もまたB細胞質において不稔性で あるという事実から見て実際的でないことが判った(ササクマ(Sasakuma)ら、 1978年)。よって、こうして提案された「維持」株もまた雄性不稔性であり 、実際的な価値はない。従って、適切な維持株が存在しないため、フランコウィ アク(Franckowiak)らのシステムは断念された。 上記と同様に、フェルドマン(Feldman)とミレー(Millot)(未発表データ ) は、雄性不稔対立遺伝子をBゲノム染色体(例えば、4Bおよび5B)上に有す る遺伝子型もまた、DおよびSv細胞質を含有する異形質株では雄性不稔性であ ることを見いだした。従って、「稔性化細胞質」の概念(ヘルムセン(Hermsen) 、1965年)は、コムギでは実現できないと考えられる。 雄性不稔性雌株を維持する第2のアプローチの一例は、ドリスコル(Driscoll )(1972年)のXYZシステムである。20年前彼は、雄性不稔性雌Z株( 劣性変異体対立遺伝子ms−B1−cについてホモ接合性)に、余分の単一(Y 株において)または一対(X株において)の優性Ms同祖対立遺伝子(homocoal lclc)を有する異種染色体を加えて、次にこれらの異種染色体が、XおよびY株 に稔性を付与することを示唆した。異種染色体は、そのコムギ同祖染色体と対形 成せず、かつY株(維持株)では花粉を通して非常に低い頻度で伝達されて、そ して受粉した雄性不稔性雌株は種子を産生し、その多くは雄性不稔性植物へと発 育し始める。維持株(Y)は、真の育種株ではないため、二染色体的異種添加株 (X)により雄性不稔性雌株(Z)を受粉させることによって生産される。この システムは、2つの大きな欠点を特徴とした:雄性不稔性雌株の新しい世代に雄 性稔性を導入する維持株の花粉を通して生じる異種染色体のある種の遺伝;およ びその純度を損なっているX株で生じる追加の減衰。これらがあるいは、このシ ステムが実用(商業的)に用いられることがない理由である。 さらに最近、ドリスコル(Driscoll)(1985年)は、ハイブリッドコムギ を生産する上記XYZシステムの改変法を提案した。このシステムでは、雄性不 稔性Z株を維持および繁殖させるために、自家受粉Y株でY株を置換する。この 修飾法は、大量のY株植物を作成するのに元々必要であったX株の必要性を排除 する。さらに、新しく提唱されたY株は、異種同腕染色体を有するため、代償性 雄性稔性同祖対立遺伝子が2つのドーズになる。修飾XYZシステムは、元のX YZシステムよりも、雄性不稔性雌植物を維持および繁殖させるために、種々の 親植物の間の交配が少なくてすむが、しかし上述の元のXYZシステムを特徴づ ける欠点は修飾XYZシステムにも存在し、ハイブリッド種子の商業的生産にお けるその使用を制限している。 上記の観点から、ハイブリッド生産の従来法は充分に効率的ではなく、新しい アプローチが必要であると考えられる。上記ドリスコル(Driscoll)(1972 年)のXYZシステムの改良に基づくこのような新しいアプローチの1つは、国 際PCT特許出願番号PCT/AU91/00319(WO92/01366) およびPCT/AU93/00017(WO93/13649)に記載されてお り、これらは、普通コムギのようなハイブリッド穀物の生産に関するものである 。これらの刊行物では、雄性不稔性変異体対立遺伝子に対して同祖対立的な優性 雄性稔性遺伝子と、子孫種子の色を与える着色ーカー遺伝子を持つ異種染色体ま たは染色体セグメントを有するハイブリッドの生産に使用される植物株が記載さ れている。雄性不稔性(雌)親株の維持は、色の選別により子孫種子を物理的に 分離することにより達成される。このような遺伝子改変した普通コムギ植物は、 付加物またはコムギ4B染色体の1つの置換物として、二倍体コムギトリチクム ・モノコックム(Triticum monococcum)からの優性正常雄性稔性対立遺伝子を有 する修飾染色体を含有する。修飾染色体は、Ms−Am1対立遺伝子を有するテ ィー・モノコックム(T.monococcum)の染色体4Amの短腕(4AmS)と、テ ィー・モノコックム(T.monococcum)の染色体4Am(4AmL)またはアグロ ピロン・エロンガツム(Agropyron clongatum)の染色体4E(4EL)のいず れかの長腕からの近位セグメント、着色対立遺伝子(C)およびコムギ染色体腕 4BLの遠位セグメントを有する第2の腕を有する。この修飾染色体の一部は相 同性であり、かつその一部は劣性雄性不稔対立遺伝子を有するコムギ染色体4B と同祖(homooologous)である。相同部分、すなわち、4BLの遠位領域は、正 常コムギ4BLと対形成して、減数分裂での規則的な分離を確保することができ る。正常優性雄性稔性対立遺伝子、Ms−Am1を有するこの染色体をマークす る別の可能性は、子孫植物の高さを増大させる遺伝子の使用である。 しかし、上記ハイブリッド産生系は、親株の効率的な維持に関して多くの欠点 を有する。まず第1に、維持株による雌植物の受粉は、雄性稔性植物に成長する 組換え異種/4BL染色体を有する多くの種子を与えるであろう。第2に、雄性 不稔性雌親株の維持は、マーカー遺伝子に基づく子孫選択の複雑な操作が関与す る。第3に、雌性(雄性不稔性)親株の維持株はまた、20対の正常な普通コム ギ染色体を有するという点で遺伝的に不安定な株でもある(1つの4B染色体は 、雄性不稔性(ms−B1−b)突然変異対立遺伝子(「プロブス(Probus)」 として知られている)を有し、1つの組換え異種群4/4BLシー時間は正常な 雄性稔性Ms−Am1対立遺伝子と種子着色対立遺伝子を有する)。すなわち、 維持株は雄性稔性であり、自家受粉により修飾染色体についてホモ接合性または ヘテロ接合性である稔性植物を産生であろう。従って、着色遺伝子に基づいて2 つの遺伝子型を区別することは不可能であり、背丈遺伝子に基づいて区別するこ とも困難であろう。従って、維持株を繁殖させ、雄性不稔性雌性株の提供するの に使用することは面倒であり、大規模な商業的応用には現実的ではない。 雄性稔性Ms対立遺伝子を有する異種染色体に対して機械的または他の間接的 な選択手段の困難さを克服するために、ティー・アール・エンドー(T.R.Endo )(京都大学、京都、日本)は、花粉発育破壊遺伝子Gc1を使用し、かつこれ を雄性不稔対立遺伝子msに連関させることを示唆した(ツジモト(Tsujimoto )とツネワキ(Tsunewaki)、1983年により引用されている)。アエ・スペ ルトイデス(Ae.speltoides)に由来する花粉発育破壊対立遺伝子は、これを持 たない(がむしろ未変性の劣性gc1対立遺伝子を有する)配偶子の発育停止を もたらす。エンドー(Endo)は、雄性不稔性雌株はmsとGc1の両方について ホモ接合性であり、これらは堅固に連関しており、同時に雌株と同遺伝子型であ るがMsおよびgc1対立遺伝子を有する雄性稔性株(維持株)を使用して、雌 株に受粉させて二重ヘテロ接合体msMsGc1gc1が得られると述べている 。gc1を有する配偶子の発育停止のため、このような自家受粉した株の全ての 子孫はホモ接合体msmsGc1Gc1であり、雌株と同一である。しかし彼ら の意見では、ハイブリッド生産システムの雄性株(R株)をGc1対立遺伝子を 含有するように育種する必要があり、さもなければF1ハイブリッドの稔性が低 下する。さらに、Gc1は、雌配偶子だけでなく雄配偶子の発育停止も引き起こ し、このため雌性種子ストックを更新するために交配(雌株と維持株の間)およ び自家受粉(二重ヘテロ接合体の)を毎年必要とする。これは時間と費用がかか り欠点である。エンドー(Endo)の提案の別の欠点は、雄性不稔性雌親株が、ア エ・スペルトイデス(Ae.speltoides)に由来するGc1対立遺伝子を有する異 種染色体セグメントを含有するという事実から生じる。このセグメントはまた、 ハ イブリッド種子生産の費用を増大させるか、またはハイブリッドの収量に影響を 与えるという、雌株の性質に負の作用を及ぼす対立遺伝子も有するかもしれない 。 普通コムギハイブリッド生産に関して、実験的ハイブリッドの性質に関する別 の報告では、最適なコムギハイブリッドの収量は、主要な最適栽培品種の30% 増までの増加を示していることに注意されたい(ウィルソン(Wilson)とドリス コル(Driscoll)、1983年)。さらに、多くのハイブリッドが、従来の栽培 品種に比べて、改善された品質、および環境的および生物的ストレスに対する高 い耐性を示すことは周知である。一般に、真に育種した栽培品種を上回るハイブ リッドコムギの比較的小さい利点は、高性能のホモ接合性生殖質の連続的選択に 由来すると想定される。従ってヘテロ接合性生殖質の改善された能力についての 選択は、短期間に顕著な収量増大をもたらすと予想される。 ハイブリッドは、現行の栽培品種に基づき、これはまた従来の育種法により絶 え間なく改善されるため、新しく開発されたかまたは新しく発表された栽培品種 全部を可能性ある雌株に変換できることは有利である。このことは、新しく発表 された植物材料の組合せ能力を調べるためだけでなく、さらに重要なことには、 これらの市場は、ハイブリッドと新しく発表される純粋な株の間に大きなギャッ プが保持されるときにのみ確保されるため、新しいハイブリッドを商業的に生産 するために必須である。 定義 明細書の説明および請求の範囲を通して、以下の用語と略語が使用される: 普通コムギ=3つのゲノムABDを有するアロ六倍体(allohcxaploid)種( 2n=42)である、パンコムギ、トリチクム・アエスチブム アエスチブム種 (Triticum aestivum var.aestivum)。 デューラムコムギ=2つのゲノムABを有するアロ四倍体(allotctraploid) 種(2n=28)である、マカロニコムギ、トリチクム・ツルギヅム デューラ ム種(Triticum turgidumvar.durum)。 トリチクム・モノコックム(Triticum monococcum)=その染色体4Amが、デ ューラムおよび普通コムギの染色体4Aおよび他の群−4染色体と同祖( 部分的に相同)であるゲノムAmを有する、デューラムおよび普通コムギのAゲ ノムの二倍体ドナーに密接に関連している、野生型(ボエオチクム(beeoticum )種)および栽培型(モノコックム(monococcum)種)分類群を含む二倍体種( 2n=14)。 アエギロップス・ロンギッシマ(Aegilops longissima)およびアエギロップ ス・セアルシー(Aegilops searsii)=その染色体はコムギの染色体と同祖(部 分的に相同)である、それぞれゲノムS1およびSsを有する、デューラムおよび 普通コムギのBゲノムのドナーに密接に関連している、二倍体種(2n=14) 。 アグロピロン・エロンガツム(Agropyron clongatum)=デューラムおよび普 通コムギに関連し、その染色体はデューラムおよび普通コムギの染色体と同祖で あるEゲノムを有する(倍数体は同質倍数体である)、二倍体(2n=14)、 四倍体(2n=28)および十倍体(2n=70)分類群を含む複合種。 4BS = 普通コムギおよびデューラムコムギの染色体4B(以前は4A) の短腕。 6BL = 普通コムギおよびデューラムコムギの染色体6Bの長腕。 4AmSおよび4AmL= トリチクム・モノコックム(Triticum monococculn )の染色体4Amのぞれぞれ短腕と長腕。 4EL = アグロピロン・エロンガツム(Agropyron elongatum)の染色体 4Eの長腕。 4SsS = アエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)の染色体4Ss の短腕。 4S1S = アエギロップス・ロンギッシマ(Aegilops longissima)の染色 体4S1の短腕。 6SsL = アエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)の染色体6 Ssの長腕。 6S1L = アエギロップス・ロンギッシマ(Aegilops longissima)の染色 体6S1の長腕。 Ms = コムギの雄性稔性の原因である優性対立遺伝子。 Ms−B1 = 4BSに位置するデューラムおよび普通コムギの雄性稔性の 優性対立遺伝子。 ms = 雄性不稔を与えるMsの劣性変異体対立遺伝子。 ms−B1 = ホモ接合状態にあるとき、デューラムおよび普通コムギの雄 性不稔を与える、Ms−B1の劣性変異体対立遺伝子。 ms−B1−a = 「パグスリー(Pugsley)」変異体ms−B1対立遺伝 子であるms1a。 ms−B1−b = 「プロブス(Probus)」変異体ms−B1対立遺伝子で あるms1b。 ms−B1−c = 「コーナーストーン(Cornerstone)」変異体ms−B 1対立遺伝子であるms1c。 Ms−Ss1 = Ms−B1と同祖である、4SsS上の、雄性稔性の優性対 立遺伝子。 Ms−S11 = Ms−B1と同祖である、4S1S上の、雄性稔性の優性対 立遺伝子。 MS−Am1 = MS−B1と同祖である、4AmS上の、雄性稔性の優性対 立遺伝子。 Ki−B1 = ki−B1−aまたはki−S11−aを有する花粉の枯死 を誘導する、普通コムギの6BL上の優性花粉キラー対立遺伝子。 ki−B1−a = 普通コムギの6BL上の劣性花粉キラー対立遺伝子;こ れを有する花粉は、Ki−B1を有する植物で枯死する。 ki−B1−n = 普通コムギの6BL上の中性花粉キラー対立遺伝子;こ れを有する花粉は、Ki−B1を有する植物で枯死することも、ki−B1−a またはki−S11−aを有する花粉の枯死を誘導することもない。 ki−S11−a = アエギロップス・ロンギッシマ(Aegilops longissima )の6S1L上の花粉キラー対立遺伝子;これを有する花粉は、Ki−B1を有 する植物で枯死する。 Rht1およびRht2 = それぞれ染色体腕4BSおよび4DS上に位置 し、植物の高さの低下を誘導する、劣性または部分劣性対立遺伝子。 rht = 正常な植物の高さ(背の高い植物)を決定する優性または半優性 対立遺伝子。 rht−Ss1= 正常な植物の高さ(背の高い植物)を決定する4SsS上の 優性または半優性対立遺伝子。 rht−S11= 正常な植物の高さ(背の高い植物)を決定する4S1S上の 優性または半優性対立遺伝子。 rht−Am1= 正常な植物の高さ(背の高い植物)を決定する4AmS上の 優性または半優性対立遺伝子。 Su−B1 = 除草剤のクロロトルロン(chlorotoluron)[3−(3−ク ロロ−p−トリル)−1,1−ジメチル尿素]および他のフェニル尿素除草剤{ 例えば、メトクスロン(motoxuron)[3−(3−クロロ−4−メトキシフェニ ルイル)−1,1−ジメチル尿素]}に対する耐性を与える、六倍体および四倍 体コムギの6BL上の優性対立遺伝子。 su−B1 = 六倍体および四倍体コムギの6BL上に見い出されるSu− B1の劣性対立遺伝子;これを有する植物は、クロロトルロン(chlorotoluron )に感受性である。 su−S11 = Su−B1と同祖であり、アエギロップス・ロンギッシマ (Aegilops longissima)の6S1L上に見い出される、劣性対立遺伝子;これを 有する植物は、クロロトルロン(chlorotoluron)に感受性である。 Su−Ss1 = Su−B1と同祖であり、アエギロップス・セアルシー(A egilops searsii)の6S1L上に見い出される、優性対立遺伝子;クロロトルロ ン(chlorotoluron)に対する耐性を与える。 Ba = 3n内乳のアリューロン層の青い着色を決定する優性対立遺伝子。 Ba−Am1 = 4AmL上の青いアリューロン色の優性対立遺伝子。 Ba−E1 = 4EL上の青いアリューロン色の優性対立遺伝子。 Ph1 = 同祖染色体の対形成を抑制する、普通コムギおよびデューラムコ ムギの染色体5Bの長腕上の優性対立遺伝子。 ph1b = 同祖対形成を可能にする、劣性変異体対立遺伝子。 cv. = 栽培品種。 EC = Ms対立遺伝子、ki対立追伝子および選択マーカー(これによっ てこの染色体を有する植物を選択することができる)を有する、2つまたはそれ 以上の異なる異種染色体に由来するセグメントからなる改変染色体。 EC−H = 選択マーカーとしてrht対立遺伝子(植物の高さ)を有する 改変染色体。 EC−H1 = Ms−Ss1、rht−Ss1およびki−S11−aを有す る4SsS/6S1Lからなる改変染色体(図2a)。 EC−HR = 選択マーカーとしてrht対立遺伝子(植物の高さ)および Su対立遺伝子(除草剤クロロトルロン(chlorotoluron)に対する耐性)を有 する改変染色体。 EC−HR1 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1およびki− S11−aを有する4SsS/6S1Lからなる改変染色体(図2b)。 REC = Ms対立遺伝子、ki−S11−a対立遺伝子および選択マーカ ー(これによってこの染色体を有する植物を選択することができる)を有する、 2つまたはそれ以上の異なる異種染色体、および未変性染色体−腕6BLの遠位 セグメントから誘導されるセグメントからなる組換え改変染色体。 REC−H = 選択マーカーとしてrht対立遺伝子を有する組換え改変染 色体。 REC−H1 = Ms−Ss1、rht−Ss1およびki−S11−aを有 する4SsS/6S1L/6BLからなる組換え改変染色体(図2c)。 REC−HR = 選択マーカーとしてrhtおよびSu対立遺伝子を有する 組換え改変染色体。 REC−HR1 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1およびki −S11−aを有する4SsS/6S1L/6BLからなる組換え改変染色体(図 2d)。 IEC = Ms、kiおよび選択マーカー対立遺伝子に加えて種子マーカー (これによってこの染色体を有する種子をこれを持たない種子から分離すること ができる)を有する、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体から誘導されるセ グメントからなる。 IEC−HC = 選択マーカーとしてrht(植物の高さ)およびBa(種 子色)を有する。 IEC−HC1 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およびki− S11−aを有する4SsS/4EL/6S1Lからなる(図3a)。 IEC−HC2 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki −S11−aを有する4SsS/4AmL/6S1Lからなる(図4a)。 IEC−HC3 = MS−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki −S11−aを有する4AmS−4AmL/6S1Lからなる(図5a)。 IREC = Ms、kiおよび選択マーカー対立遺伝子に加えて種子マーカ ー(これによってこの染色体を有する種子をこれを持たない種子から分離するこ とができる)を有する、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体および未変性染 色体−腕6BLの遠位セグメントから得られるセグメントからなる改良組換え改 変染色体。 IREC−HC = 選択マーカーとしてrhtおよびBaを有する改良組換 え改変染色体。 IREC−HC1 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およびki −S11−aを有する4SsS/4EL/6S1L/6BLからなる改良組換え改 変染色体(図3b)。 IREC−HC2 = Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびk i−S11−aを有する4SsS/4AmL/6S1L/6BLからなる改良組換え 改変染色体(図4b)。 IREC−HC3 = MS−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびk i−S11−aを有する4AmS−4AmL/6S1L/6BLからなる改良組換え 改変染色体(図5b)。 維持株 = 雄性不稔性雌株と同遺伝子型であるが、追加のEC型の改変染色 体を含有する、雄性稔性株。 組換え維持株 = 雄性不稔性雌株と同遺伝子型であるが、染色体6Bが一染 色体であり、一染色体置換物としてREC型の改変染色体を含有する、雄性稔性 株。 改良された維持株 = 雄性不稔性雌株と同遺伝子型であるが、追加のIEC 型の改変染色体を含有する、雄性稔性株。 改良された組換え維持株 = 雄性不稔性雌株と同遺伝子型であるが、染色体 6Bが一染色体であり、一染色体置換物としてIREC型の改変染色体を含有す る、雄性稔性株。 発明の要約 先行技術の上述の欠点を克服するために、本発明の目的は、普通コムギまたは デューラムコムギ栽培品種の遺伝子的雄性不稔性雌親株を維持する方法を提供す ることであり、この方法により、雄性不稔性雌親株を安定に維持するための単純 な手段が提供される。 本発明の別の目的は、上記方法に使用するための維持株を提供することであり 、この維持株は、容易に、迅速かつ安定に繁殖する。 本発明のさらなる目的は、該維持株を生産するための方法を提供することであ る。 本発明のさらに別の目的は、任意の所望の普通コムギまたはデューラムコムギ 栽培品種を、雄性不稔性雌株および維持株に変換するための新しい方法を提供す ることである。 本発明により、普通コムギおよびデューラムコムギのハイブリッドの商業的生 産が可能になる。1つの側面で、本発明は、劣性雄性不稔変異体(ms)対立遺 伝子および優性花粉キラー(Ki)対立遺伝子についてホモ接合性である、雄性 不稔性雌親株(A株)の維持のための新規な方法を提供する。維持株(B株)( 図1)は、雌株と同遺伝子型であり、さらに劣性花粉キラー対立遺伝子(ki) に連関した優性雄性稔性対立遺伝子(Ms)および少なくとも1つの選択マーカ ー対立遺伝子を有する異種改変染色体を有する。改変染色体(Msおよびki対 立遺伝子)を含有する維持株の花粉粒は枯死する。いくつかの型の改変染色体は 、選択マーカーとしてrht(植物の高さに影響する)対立遺伝子を含み、別の 型はrhtとSu1(クロロトルロン(chlorotoluron)耐性)対立遣伝子を2 つの選択マーカー(それぞれ全部の腕に)として含み、さらに他の型は、rht とBa(青い種子色を誘導する)を2つの選択マーカー(それぞれ全部の腕に) と して含む。 従って本発明により、雄性不稔性雌親株(A株)を雄性稔性維持株(B株)で 受粉させることにより(そして全ての生じる子孫は、雄性不稔性雌植物である) (図1a)、または好ましくは、区別的な着色により維持株の自家受粉子孫から 、雄性不稔性雌株に発育する種子を雄性稔性維持株に発育する種子から分類する ことにより(図1b)、雄性不稔性雌親株(A株)が維持される、単純なシステ ムが開発された。同様に、維持株は、それ自体自家受粉により容易に維持されて 、約20%が改変染色体を含みそのため雄性稔性である種子と、約80%がこの 染色体を欠いておりそのため雄性不稔性である種子との混合物が生じる。選択マ ーカーとしてrht対立遺伝子のみを有するこれらの維持株では、最初に改変染 色体を含有する背の高い植物を収穫することができる。この選択的収穫は、雄性 不稔性植物も同様に含む、自家受粉維持株の子孫における約20%の雄性稔性維 持植物の一定割合の各年の保存を促進する。rhtおよびSu1対立遺伝子を選 択マーカーとして有するこれらの維持株では、改変染色体を欠いている植物を除 草剤のクロロトルロン(chlorotoluron)により枯死させることができる。これ により、毎年雄性稔性維持植物のみが、自家受粉維持株の子孫を播種した区画で 生長することが保証される。他方、Ba対立遺伝子を選択マーカーとして有する 改良された維持株では、種子選別機により、生長すると雄性稔性植物に発育する 青い種子を、生長すると雄性不稔性植物に発育する赤色/白色の種子から分離す ることができる。このため、100%雄性稔性植物の維持株の各年の種まきが容 易になる。 本発明の1つの側面により、改変染色体EC−HおよびEC−HRは、2つの 異種染色体から得られた転座染色体である。これらの腕の一方は、Msおよびr ht対立遺伝子を有しており、もう一方は、EC−Hではki対立遺伝子、そし てEC−HRではSu−1とki対立遺伝子の両方を有している。異種腕は普通 はそのコムギの同祖染色体と対形成しないため、EC−H上の3つの対立遺伝子 およびEC−HR上の4つの対立遺伝子は、相互に連関しており、分離していな い。EC−H(図2a)またはEC−HR(図2b)は、1ドーズで維持株に加 えられる、すなわち、維持株は、一染色体性添加株である。維持株の機能性花粉 粒は、改変染色体を含有しない。よって、雄性不稔性雌株と維持株の間の交配か ら生じる全ての子孫は雄性不稔性であるが、一方維持株の自家受粉から得られる 子孫は、約20%が雄性稔性であり約80%が雄性不稔性である、遺伝子型の混 合物を含有する。 普通コムギにおけるECの作成は、普通コムギの染色体6BL上の優性花粉キ ラ−Ki−B1対立遺伝子を有する植物に単一ドーズで存在するときには、一染 色体異種添加株でのように、花粉粒により(すなわち、雄性配偶子により)遺伝 しない、アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の染色体6の長腕(6S1L)上 の劣性花粉キラーki−S11−a対立遺伝子の、発明者らによる新規な発見に 基づく。従つてアエ・セアルシー(Ac.searsii)の雄性稔性Ms−Ss1とrh t−Ss1対立遺伝子およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の花粉キラ ーki−S11−a対立遺伝子の両方を有するEC−H1を作成することが可能 になり、これは、染色体4Ssと6S1の同時動原体誤分割、続いて普通コムギへ の二重一染色体性添加4Ssと6S1において発生する4SsSと6S1Lの中央接 着により産生された(図7a)。このEC−H1は、ms−B1−cについてホ モ接合性である六倍体遺伝子型に雄性稔性を与えることが判ったMs−Ss1対 立遺伝子と、背の高い植物にしているrht−Ss1対立遺伝子とを有するアエ ・セアルシー(Ae.searsii)(4SsS)の染色体4の短腕と、これを有する花 粉粒をKi−B1対立遺伝子の存在下での枯死に感受性にしている劣性ki−S1 1−a対立遺伝子を有する、アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)(6S1L )の染色体6の長腕を有する。異種改変染色体とそのコムギ同祖腕の間には普通 は対形成や組換えが起こらないため、Ms−Ss1、rht−Ss1およびki− S11−a対立遺伝子は連関しており、その結果、花粉粒によるMs−Ss1対立 遺伝子の遺伝も阻止されている。このため、6BL上のKi−B1対立遺伝子に ついてホモ接合性であり、染色体4Bの短腕上に位置する既知の劣性雄性不稔変 異体対立遺伝子の1つ(例えば、ms−B1−c)についてホモ接合性である維 持株の生産が可能になるが、この雄性不稔は発現されず、すなわち、維持株は、 Ms−Ss1対立遺伝子を有する改変染色体の存在のために雄性稔性である。維 持株による雄性不稔雌株の受粉では、雄性不稔植物のみが得られ るが、一方維持株の自家受粉では、約20%が雄性稔性で80%が雄性不稔の植 物が得られる。 本発明の別の側面は、自家受粉維持株の子孫における維持雄性稔性遺伝子型の 割合を上げること(20%から50%まで)である。維持株による経済的に効率 的な受精を保証するためには雌親株の所定の面積について、大きな面積の維持株 が必要であるため、20%という割合は維持株自体の種子の増大には充分である が、雌種子の生産では費用が高くなる。従ってその自家受粉子孫における維持株 の割合を増大させることは非常に有利である。これは、EC−Hの修飾、すなわ ち、組換え改変染色体(本明細書ではREC−Hと称される)の作成により約5 0%まで促進することができる。REC−H1と称される、アエ・セアルシー( Ae.searsii)からのMs対立遺伝子を含有するREC−H(図2b)は、以下 の方法で普通コムギで産生される(図7b):コムギ染色体腕6BLの遠位セグ メントを、転座区切り点がki−S11−a対立遺伝子に対して遠位にある6S1 L腕に転座させて、6BL染色体と対形成させる。転座は、EC−H1(4Ss S/6S1L)と6Bが対形成および組換えをすることができて、REC−H1 (すなわち、4SsS/6S1L/6BL)が生じるときに、Ph1の非存在下で 二重一染色体条件(すなわち、遺伝子型ph1bph1b)での同祖的対形成か ら生じる。Ph1についてホモ接合性であり正常6Bについて一染色体性であり 、1ドーズのREC−H1を有する株では、2つの染色体は、ほとんどすべての 分裂細胞(mciocytc)において、相同領域(6BLの遠位領域)で対形成し、そ して反対の極に分離して配偶子の一方の半分にREC−H1を含むようになる。 さらに、本発明の別の側面は、EC−H1またはREC−H1を含有する自家 受粉維持株の子孫において、それぞれ1雄性稔性:4雄性不稔性または1雄性稔 性:1雄性不稔性の比を一定に保つことである。雄性不稔性植物が雄性稔性植物 の子孫でのみ得られるのではなく、雄性稔性近縁株により受粉される雄性不稔性 植物の全ての子孫が雄性不稔性であるため、自家受粉による維持株の繁殖の間、 自家受粉子孫における雄性不稔性植物の割合は、世代とともに増大する。その結 果、混合物中の雄性稔性植物(維持株)の割合は、花粉量が、全ての雌性生産区 画において、全ての雄性不稔性雌花を受粉させるのに不充分な程度まで低下する 。従って各世代で、雄性不稔性植物と雄性稔性植物の元の比を一定に保つことが 非常に重要である。これは、各世代で、雄性不稔性植物を維持株の自家受粉子孫 から間引くことにより達成することができる。この工程は、面倒であり、かつ雌 親株種子の生産費用を増大させる。従って、EC−H1またはREC−H1の4 Ssの短腕上のrht対立遺伝子の存在を利用することが好ましい。Ms−Ss1 対立遺伝子に永久的に連関しているこの対立遺伝子は、これを有する植物(すな わち、維持株)がこれを欠いている植物(雄性不稔性雌植物)よりも背が高い( 6〜8cm)という点で植物の高さに影響する。この高さの差は、混合物からの維 持株の選択的収穫を容易にする。 自家受粉維持株の子孫における雄性稔性植物と雄性不稔性植物の元の比を一定 に保つ別の好ましい方法は、ECまたはRECのさらなる改善により達成される が、この改善は、除草剤耐性、病気耐性または青い種子色のような追加の選択マ ーカーの、維持株のこれら2つの改変染色体の任意のものへの組み込みに基づく 。クロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss1のEC(EC− HRにする)(図2b)またはREC(REC−HRにする)(図2d)への組 み込みは、各世代で、除草剤による雄性不稔性植物のみの選択的枯死を促進する 。EC−HRは、以下の工程により産生される(図8a):ms−B1、su− B1およびKi−B1についてホモ接合性であり、EC−Hを有する栽培品種チ ャイニーズスプリング(Chinese Spring)(CS)の維持植物を、Su−Ss1 を有するアエ・セアルシー(Ae.searsii)の株により受粉させて、F1を雌株と してCSに戻し交配する。除草剤耐性植物を戻し交配の結果得られる子孫におい て選択して、次に自家受粉させてBC12子孫を得る。染色体数(2n=43を 選択)およびクロロトルロン(chlorotoluron)耐性により、維持植物をBC12 から選択する。同様に、病気耐性対立遺伝子をECまたはREC中に組み込む ことにより、病原体で圃場を感染させることが可能である。雄性不稔性植物のみ が感受性であり、産生される種子は少なく、しなびて、コンバインにより吹き飛 ばされる。アグロピロン・エロンガツム(Agropyron clongatum)またはトリチ クム・モノコックム(Triticum monococcum)または任意の他のイネ科(Graminc ac)の種からの青いアリューロン(Ba)対立遺伝子の、選択マーカーとしての ECまたはRECへの組み込みは、(IEC)または改良組換え改変染色体(I REC)を生産するための本発明の好ましい実施態様を構成しており、これらは 、ティー・モノコックム(T.monococcum)の染色体4AmからのMs−Am1対 立遺伝子、アグロピロン・エロンガツム(Agropyron elongatum)の染色体4E からのBa−E1対立遺伝子およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の染 色体6S1からのki−B1−a対立遺伝子を含有してもよく、このため100 %雄性稔性植物の維持株の生長を促進している。Ba対立遺伝子は、3n内乳の アリューロン層の色(アントシアニン産生による)を決定する。Ba対立遺伝子 の発現は、用量依存的である:雌配偶子により3n内乳に寄与される2ドーズの Ba対立遺伝子は、コムギ種子の典型的な赤色/白色の色とは異なる青い種子色 を決定する。種子色マーカーは、Ms対立遺伝子に永久的に連関しており、その 結果、生長すると雄性稔性植物(維持株)に発育する青い種子と、生長すると雄 性不稔性植物に発育する赤色/白色の種子の間を識別する。2つの型の種子は、 選別機により機械的に分離することができる。 ECおよびRECの上記修飾は、IEC−HC(図3a、4aおよび5a)お よびIREC−HC(図3b、4bおよび5b)と称され、以下の方法で作成さ れる:アエ・セアルシー(Ae.searsii)からのMs−Ss1およびrht−Ss 1対立遺伝子、エー・エロンガツム(A.elongatum)からのBa−E1対立遺伝 子およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)からのki−S11−a対立遺 伝子を有するIEC−HC1は、2工程で産生される(図9a〜d):最初に、 染色体4Ssと4ELの同時動原体誤分割およびこれに続く、普通コムギへの二 重一染色体性添加4Ssと4Eで起きる4SsSと4ELの中央合着の結果とし ての、転座染色体4SsS/4ELの生産;第2工程は、二重一染色体性添加4 SsS/4ELおよび4SsS/6S1Lの種子の熱中性子照射および目的の転座 4SsS/4EL/6S1Lの子孫における選択を伴う。 アエ・セアルシー(Ae.searsii)からのMs−Ss1およびrht−Ss1対 立遺伝子、ティー・モノコックム(T.monococcum)からのBa−Am1対立遺伝 子およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)からのKi−S11−a対立遺 伝子を有するIEC−HC2は、以下の工程により産生される(図10):最初 に、染色体4Ssと4Amの同時動原体誤分割、および次に普通コムギへの二重一 染色体性添加4Ssと4Amにおいて(または一染色体性添加4Ssおよび一染色 体転座置換4BS/4AmLにおいて)起きる4SsSと4AmLの中央合着によ る、転座染色体4SsS/4AmLの産生;第2工程は、二重一染色体性添加4Ss S/4AmLおよび4SsS/6S1Lの照射および子孫における目的転座4Ss S/4AmL/6S1Lの選択を伴う。 ティー・モノコックム(T.monococcum)からのMS−Am1、rht−Am1 およびBa−Am1対立遺伝子およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)か らのki−S11−aを有するIEC−HC3は、普通コムギへの二重一染色体 性添加4Amと6S1の照射および子孫における目的転座の選択により産生される (図11)。IEC−HC3は、ms−B1についてホモ接合性である六倍体遺 伝子型に雄性稔性を与えることが判ったMs−Am1対立遺伝子、背の高い植物 のもとになるrht−Am1対立遺伝子およびアリューロンの青い着色を決定す るBa−Am1対立遺伝子を含むティー・モノコックム(T.monococcum)の染色 体4の短腕と長腕の近位領域(4Am)、並びに劣性ki−S11−a対立遺伝子 を含むアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の染色体の長腕(6S1L)を有 する。 種々のRECおよびIREC(図2b、2d、3b、4bおよび5b)は、自 家受粉維持株の自家受粉子孫における維持雄性稔性遺伝子型の割合を増大(20 %から50%まで)させるため、および動原体誤分割による改変染色体の時々起 きる中央破損(ccntric brcakagc)を防止するために産生される。これらの組換 え改変染色体の産生は、誘導された同祖的対形成を介して、EC−H1、EC− HR1、IEC−HC1、IEC−HC2またはIEC−HC3の任意の1つと 6Bとの間の組換えの誘導により達成されるが、ここで、6BLの遠位セグメン トは、6S1L腕に転座される(区切り点はki−S11−a対立遺伝子に対して 遠位である)(図7bおよび12)。この転座により、RECとIRECは、ほ とんどすべての分裂細胞(mciocytc)において、Ph1についてホモ接合性であ り、6BおよびRECまたはIRECの1つについて一染色体であり、反対の 極に分離する普通コムギの株の6BLと対形成することができて、配偶子の半分 にRECまたはIRECが含められる。 動原体誤分割による改変染色体の好ましくない中央破損は、EC−H1中でk i−S11−aからMs−Ss1とrht−Ss1を、そしてEC−HR1中でS u−Ss1とki−S11−aからMs−Ss1とrht−Ss1を分離して、雄性 配偶子によるMs−Ss1対立遺伝子の遺伝を伝搬している。このため、維持株 による雄性不稔性雌株の受粉によって雄性稔性の子孫が少し得られる。rht対 立遺伝子を有するこれらの植物は、雄性不稔性植物よりも背が高く間引くことが できる。さらに、動原体誤分割は主に不対染色体(一価)において発生するため 、ほとんどすべての分裂細胞(mciocytc)において未変性6Bと対形成する、R ECまたはIRECの使用は、このような好ましくない中央破損を防止する。 本発明はさらに、ハイブリッドコムギの生産に使用するための雄性不稔性雌親 株の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株、およ びその生産方法を提供する。 本発明のさらに別の側面は、IEC−HC(図15a)またはIREC−HC (図15b)のいずれかを有する自家受粉維持株の子孫からの、雄性不稔性雌親 株の種子の直接的選択に関する。IEC−HCを有する維持株により産生される 種子の約80%は青色でなく、IEC−HCを欠いており、そのため生長すると 雄性不稔性植物に発育し、そして20%は青色であり、IEC−HCを有してお り、生長すると雄性稔性植物に発育する。色選別装置による維持株の自家受粉種 子の選別により、維持株の種子(青色)から雌親株の種子(赤色/白色)が分離 される。この好ましい方法により、雄性不稔性雌株の種子は、維持株の自家受粉 から直接得られる;維持株と雌株の交互の植え付けが必要でなく、雌株の生産コ ストがかなり低下する。 別の側面において、本発明は普通コムギまたはデューラムコムギの任意の目的 の栽培品種を、雄性不稔性雌親株および該雌株のための雄性稔性維持株に変換す る方法を提供する。 さらに別の側面において、本発明は、普通コムギまたはデューラムコムギのハ イブリッド植物株を生産するための方法に関し、ここで、雄性不稔性雌親株は、 同種の任意の栽培品種(R株)(これは本来Ms−B1対立遺伝子についてホモ 接合性の雄性稔性である)と交配させて、全て稔性かつヘテロ接合性であるF1 ハイブリッド子孫(Ms−B1ms−B1)が得られる。 図面の簡単な説明 図1a〜1cは、(1a)雄性不稔性雌親株(A株)を維持株(B株)により 受粉させ;(1b)自家受粉維持株の分離子孫から雄性不稔性雌親株(A株)を 選択するか;または(1c)1aと1bに記載される方法を組合せ;そして雄性 株(R株)によりA株を受粉させることにより、ハイブリッド種子(F1)生産 するにより、雄性不稔性雌親株(A株)を維持するための一般的スキーム[]を 図示する。 図2a〜2dは、改変染色体EC−H1(2a)、EC−HR1(2b)およ び組換え改変染色体REC−H1(2c)とREC−HR1(2d)の概略図を 図示する。 図3a〜3bは、IEC−HC1(3a)および改良組換え改変染色体IRE C−HC1(3b)の概略図を図示する。 図4a〜4bは、IEC−HC2(4a)および改良組換え改変染色体IRE C−HC2(4b)の概略図を図示する。 図5a〜5bは、IEC−HC3(5a)および改良組換え改変染色体IRE C−HC3(5b)の概略図を図示する。 図6は、コーナーストーン(Cornerstone)変異体からの劣性雄性不稔対立遺 伝子ms−B1−cを、普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chincsc Spring)(CS)の4Ss一染色体性添加株中へ転移するための概略工程を図示 する。 図7a〜7bは、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の4SsSのMs−Ss1 とrht−Ss1およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki −S11−aを有する、改変染色体EC−H1(7a)および組換え改変染色体 REC−H1(7b)を有する維持株、ならびに普通コムギ栽培品種チャイニー ズスプリング(Chinese Spring)中の雄性不稔性雌株を産生するための概略 工程を図示する。EC−H1は、二染色体6B植物における一染色体性添加とし て産生され、このためKi−B1についてもホモ接合性であり;REC−H1は 、一染色体性6B植物における一染色体置換として産生され、このためKi−B 1についてヘミ接合性である。 図8a〜8bは、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の4SsSのMs−Ss1 とrht−Ss1、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の6SsLのSu−Ss1、 およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki−S11−aを有 する、改変染色体EC−HR1(8a)および組換え改変染色体REC−HR1 (8b)を有する維持株を産生するための概略工程を図示する。EC−HR1は 、二染色体6B植物における一染色体性添加として産生され、このためKi−B 1についてもホモ接合性であり;REC−HR1は、一染色体性6B植物におけ る一染色体置換として産生され、このためKi−B1についてヘミ接合性である 。 図9a〜9dは、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の4SsSのMs−Ss1 とrht−Ss1、エー・エロンガツム(A.elongatum)の4ELのBa−E1 およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki−S11−aを含 むIEC−HC1を有する維持株、ならびに普通コムギ栽培品種チャイニーズス プリング(Chinese Spring)中の雄性不稔性雌株を産生するための3つの概略工 程を図示する。二重破損および再結合は、EC−H1と4E染色体について二重 一染色体性添加において誘導される(9a);単一破損および再結合は、EC− H1と既に照射転座した染色体4SsS/4ELとの問で誘導される(9b); 単一破損および再結合は、EC−H1と、誤分割と中央接着により得られる転座 染色体4SsS/4ELとの間で誘導され(9c)、そして図9dは、9a、9 bおよび9cの間の相互関係を示す。 図10は、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の4SsSのMs−Ss1とrh t−Ss1、ティー・モノコックム(T.monococcum)の4AmLのBa−Am1、 およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki−S11−aを含 むIEC−HC2を有する維持株、さらには普通コムギ栽培品種チャイニーズス プリング(Chinese Spring)中の雄性不稔性雌株を産生するための概略工 程を図示する。 図11は、ティー・モノコックム(T.monococcum)の4AmSのMS−Am1 とrht−Am1、ティー・モノコックム(T.monococcum)の4AmLのBa− Am1、およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki−S11 −aを含むIEC−HC3を有する維持株、ならびに普通コムギ栽培品種チャイ ニーズスプリング(Chinese Spring)中の雄性不稔性雌株を産生するための概略 工程を図示する。 図12は、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の4SsSのMs−Ss1とrh t−Ss1、およびアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1Lのki−S1 1−aを含む、改良組換え改変染色体IREC−HC1を有する維持株、なら びに普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chincsc Spring)中の雄性不 稔性雌株を産生するための概略工程を図示する。 図13a〜13bは、遺伝子的雄性不稔に基づく、普通コムギまたはデューラ ムコムギについて、図1aによるスキームを図示する(ここで、A株は、ここで はcv.「ワン(One)」と称され、これは、劣性雄性不稔対立追伝子ms−B 1−cおよび優性花粉キラー対立遺伝子Ki−B1についてホモ接合性である) ;(13a):同じcv.「ワン」のB株は、A株と同遺伝子型であるが、4Ss 上の優性雄性稔性対立追伝子Ms−Ss1と優性rht対立遺伝子および6S1 L上の劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11を含む改変染色体EC−H1(4 SsS/6S1L)も有しており、そしてR株はここでは、野生型雄性稔性対立遺 伝子Ms−B1および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−B1−aまたはki−B 1−nについてホモ接合性であるcv.「ツー(Two)」と称される;および( 13b):(13a)と同じであるが、B株は、EC−H1の代わりに組換え改 変染色体REC−H1および染色体6Bを含むKi−B1−の1ドーズのみを有 する。 図14a〜14bは、遺伝子的雄性不稔に基づく、普通コムギまたはデューラ ムコムギについて、図1aによるスキームを図示する(ここで、A株は、ここで はcv. 「ワン(One)」と称され、これは、劣性雄性不稔対立遺伝子ms− B1−c、劣性除草剤感受性対立遺伝子su−B1および優性花粉キラー対立遺 伝子 Ki−B1についてホモ接合性である);(14a):同じcv.「ワン」のB 株は、A株と同遺伝子型であるが、4SsS上の優性雄性稔性対立遺伝子Ms− Ss1と優性rht対立遺伝子、6S1L上の優性Su−Ss1対立遺伝子および 劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11を含む、改変染色体EC−HR1(4Ss S/6S1L)も有しており、そしてR株はここでは、野生型雄性稔性対立遺伝 子Ms−B1および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−B1−aまたはki−B1 −nについてホモ接合性であるcv.「ツー(Two)」と称される;および(1 4b):(14a)と同じであるが、B株は、EC−HR1の代わりに組換え改 変染色体REC−HR1および染色体6Bを含むKi−B1−の1ドーズのみを 有する。 図15a〜15bは、遺伝子的雄性不稔に基づく、普通コムギまたはデューラ ムコムギについて、図1bおよび1cによる代替スキームを図示する(ここで、 A株は、ここではcv.「ワン(Onc)」と称され、これは、劣性雄性不稔対立 遺伝子ms−B1−cおよび優性花粉キラー対立遺伝子Ki−B1についてホモ 接合性である);(15a):同じcv.「ワン」のB株は、A株と同遺伝子型 であるが、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、ki−S11−a対立遺 伝子を含む、4SsS/4EL/6S1Lを有するIEC−HC1を有しており、 そしてR株はここでは、野生型雄性稔性対立遺伝子Ms−B1および劣性花粉キ ラー対立遺伝子ki−B1−aまたはki−B1−nについてホモ接合性である cv.「ツー(Two)」と称される;および(15b):(15a)と同じであ るが、B株は、IEC−HC1の代わりに改良組換え改変染色体IREC−HC 1および染色体6Bに含まれるKi−B1の1ドーズのみを有する。 図16a〜16bは、所望の栽培品種(cv.「ニュー(Ncw)」)の、雄性 不稔性株およびEC−Hを含む維持株への変換(16a);および所望の栽培品 種(cv.「ニュー」)の、雄性不稔性株およびREC−Hを含む組換え維持株 への変換(16b)のための概略工程を図示する。 図17a〜17bは、所望の栽培品種(cv.「ニュー(Ncw)」)の、雄性 不稔性株およびEC−HRを含む維持株への変換(17a);および所望の栽培 品種(cv.「ニュー」)の、雄性不稔性株およびREC−HRを含む組換え維 持 株への変換(17b)のための概略工程を図示する。 図18a〜18bは、所望の栽培品種(cv.「ニュー(New)」)の、雄性 不稔性株およびIEC−HCを含む維持株への変換(18a);および所望の栽 培品種(cv.「ニュー」)の、雄性不稔性株およびIREC−HCを含む組換 え維持株への変換(18b)のための概略工程を図示する。 発明の詳細な説明 本発明により図1a、13aおよび14aに図示されるように普通コムギまた はデューラムコムギのために単純なシステムが開発されたが、これにより雄性不 稔性雌親株(A株)は、これを維持株(B株)で受粉させることにより維持され 、そして全ての生じる子孫は雄性不稔性雌植物である。同様に、維持株は、それ 自体自家受粉により容易に維持され、生長すると維持株と同一の雄性稔性植物に 発育する改変染色体を有する約20%と、生長するとMs−Ss1対立遺伝子が 存在しないために雄性不稔性植物に発育する約80%の種子との混合物が生じる 。維持株を特徴づけるための選択マーカーを使用して、80%の雄性不稔性植物 と20%の雄性稔性植物の割合は、自家受粉維持株の子孫の各世代において保持 される。 選択マーカーが、青色のアリューロンまたは別の種子の特徴のような色選択マ ーカーであるとき、本発明は、雄性不稔性雌親株(A株)と雄性稔性維持株(B 株)の両方の維持のための代替となる改善された好ましいシステムを提供する( 図1b、cおよび14a)。2つの株の種子は、維持株の自家受粉により得られ る:80%の種子は赤色/白色であり、かつ生長すると雄性不稔性植物(A株) に発育し、そして20%は青色であり、かつ生長すると雄性稔性植物(B株)に 発育する。色選別装置による自家受粉維持株の種子の選別により、2つの型の種 子が分離する。この好ましい方法により、雄性不稔性雌株の種子は、維持株の自 家受粉から直接得られる;維持株と雌株の交互の植え付けが必要ではなく、雌親 株の種子の生産費用がかなり低下する。また、維持株区画の全ての植物は雄性稔 性であるため、維持株区画の生存花粉の量は低下がない。 ハイブリッドコムギ生産のために、雄性不稔性雌親株は、任意の普通コムギま たはデューラムコムギ栽培品種(R株)(これは本来Ms−B1対立遺伝子につ いてホモ接合性の雄性稔性である)と交配させて、全てがヘテロ接合性Ms−B 1ms−B1でありこのため雄性稔性であるF1ハイブリッド子孫が得られる。 従って、1つの側面において、本発明はハイブリッドコムギの生産において使 用するための普通コムギまたはデューラムコムギの雄性不稔性雌親株(図13a 、14aおよび15a)の維持のための方法を提供し、該方法は、 (a)雌親株を雄性親株と交配すること[該雌親株は、染色体4Bの短腕(4 BS)上の劣性ms−B1雄性不稔対立遺伝子の任意の1つと、染色体6Bの長 腕(6BL)上の優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホモ接 合性である雄性不稔性植物であり、該雄性親株は維持株であり、かつ雌親株と同 遺伝子型であり、雌親株の同じms−B1とKi−B1対立遺伝子についてホモ 接合性であり、そして(i)優性雄性稔性対立遺伝子Ms、6BL上の未変性花 粉キラー対立遺伝子の枯死作用に感受性の劣性対立遺伝子ki、および1つまた は2つの選択マーカー(これにより、この染色体を有する植物を選択することが できる)を含む、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体から得られるセグメン トからなる、改変染色体(本明細書ではECと呼ぶ);および(ii)Ms、ki 、および選択マーカー対立遺伝子に加えて、種子マーカー(これにより、この染 色体を有する種子を、これを持たない種子から分離することができる)を含む、 2つまたはそれ以上の異なる異種染色体から誘導されるセグメントからなる、( 本明細書ではIECと呼ぶ)から選択される添加異種改変染色体を有する];お よび (b)(a)の交配から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては、該雄性 不稔および花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性であり、改変染色体ECま たはIECを欠いており、該種子は、生長すると該雄性不稔性雌株に発育する] 、を特徴とする。 本発明はさらに、ハイブリッドコムギの生産に使用するための普通コムギまた はデューラムコムギの雄性不稔性雌親株(図13b、14bおよび15b)の維 持のための代替方法を提供し、該方法は、 (a)雌親株を雄性親株と交配すること[該雌親株は、染色体4Bの短腕(4 BS)上の劣性ms−B1雄性不稔対立遺伝子の任意の1つと、および染色体6 Bの長腕(6BL)上の優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方について ホモ接合性である雄性不稔性植物であり、該雄性親株は維持株であり、かつ雌親 株と同遺伝子型であり、雌親株の同じms−B1対立遺伝子についてホモ接合性 であるが、Ki−B1対立遺伝子を含む染色体6Bと、(i)Ms対立遺伝子、 ki対立遺伝子、および1つまたは2つの選択マーカー(これにより、この染色 体を有する植物を選択することができる)を含む、2つまたはそれ以上の異なる 異種染色体からおよび未変性の染色体腕6BLの遠位セグメントから得られるセ グメントからなる、組換え改変染色体(本明細書ではRECと呼ぶ);および( ii)Ms、ki、および選択マーカー対立遺伝子に加えて、種子マーカー(これ により、この染色体を有する種子を、これを持たない種子から分離することがで きる)を含む、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体および未変性染色体腕6 BLの遠位セグメントから得られるセグメン下からなる、(本明細書ではIRE Cと呼ぶ)から選択される組換え改変染色体との両方について一染色体性である ];および (b)(a)の交配から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては、該雄性 不稔性および花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性であり、組換え改変染色 体RECまたはIRECを欠いており、該種子は、生長すると該雄性不稔性雌株 に発育する]、を特徴とする。 本発明はまた、コムギのF1ハイブリッドの生産に使用するための普通コムギ またはデューラムコムギの雄性不稔性雌親株(図15a)を維持するための別の 代替改良法を提供し、該方法は、 (a)雌親株と同遺伝子型である、すなわち、劣性ms−B1雄性不稔性対立 遺伝子の任意の1つと優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホ モ接合性であり、そしてMs、rhtおよびki−S11−a対立遺伝子に加え て青い種子色を決定する選択種子マーカーBa対立遺伝子を含む、追加の改良改 変染色体(本明細書ではIEC−HCと呼ぶ、図3a〜5a)を有する[従って 、該は、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およびki−S11−aを有 するIEC−HC1(4SsS/4EL/6S1L)、Ms−Ss1、rht−Ss 1、Ba−Am1およびki−S11−aを有するIEC−HC2(4Ss S/4AmL/6S1L)、またはMs−Am1、rht−Am1、Ba−Am1お よびki−S11−aを有するIEC−HC3(4AmS−4AmL/6S1L)を含 む]、改良された維持株を自家受粉すること;および (b)(a)の自家受粉植物から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては 、該雄性不稔性および花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性であり、この内 80%はIEC−HCを欠いており従って赤色/白色であり、選別装置によりを 含有する青い種子から分離することができ、該赤色/白色種子は、生長すると該 雄性不稔性雌株に発育する]、を特徴とする。 本発明はまた、コムギのF1ハイブリッドの生産に使用するための普通コムギ またはデューラムコムギの雄性不稔性雌親株(図15b)を維持するための別の 代替改良法を提供するものであり、該方法は、 (a)雌親株と同遺伝子型である、すなわち、劣性ms−B1雄性不稔性対立 遺伝子の任意の1つについてホモ接合性であるが、Ki−B1対立遺伝子を含む 染色体6Bと、IREC−HC型の改良組換え改変染色体(図3b、4b、5b )(これらはさらに、ki−S11−a対立遺伝子に対して遠位に、未変性6B Lの相同領域と規則的に対形成する染色体6Bの長腕(6BL)の遠位領域を含 む)との両方について一染色体性である、改良された組換え維持株を自家受粉す ること[該IREC−HCは、Ms、rhtおよびki−S11−a対立遺伝子 に加えて、青い種子色を決定する選択種子マーカーBa対立遺伝子も含み、従っ て該改良組換え改変染色体は、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、およ びki−S11−aを有するIREC−HC1(4SsS/4EL/6S1L/6 BL)、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1、およびki−S11−aを 有するIREC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L/6BL)、またはMs −Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを有するIREC −HC3(4Ams−4AmL/6S1L/6BL)を含む];および (b)(a)の自家受粉植物から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては 、該雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、この内50%は染色体6 Bについて二染色体性であり、かつIREC−HCを欠いており従って赤色/白 色であり、かつ生長すると雄性不稔性植物に発育し、残りの50%は染色体6B について一染色体性でありかつIREC−HCについて一染色体性であり、従っ て青色である]、および(a)の子孫種子をさらに1世代生長させること[ここ で、雄性稔性植物は自家受粉され、かつまた雄性不稔性植物を受粉する];およ び (c)(b)の植物から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては、該雄性 不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、この内約75%は染色体6Bにつ いて二染色体性であり、かつIREC−HCを欠いており従って赤色/白色であ り、かつ選別装置によりIREC−HCを含有する青い種子から分離することが でき、該赤色/白色種子は、生長すると該雄性不稔性雌株に発育する]、を特徴 とする。 本発明に従って任意の雄性不稔性ms−B1対立遺伝子(例えば、ms−B1 −a、ms−B1−b、およびms−B1−c対立遺伝子、または雄性不稔性を 誘導するこの遺伝子座または普通コムギまたはデューラムコムギの別の遺伝子座 )が使用される。本発明に従ってイネ科(Gramineae)の種の1つの任意のBa 対立遺伝子(例えば、ティー・モノコックム(T.monococcum)のBa−Am1、 エー・エロンガツム(A.elongatum)のBa−E1、ライムギのBa−R1、お よびオオムギのBa−H1)が使用される。本発明に従って種子の特性を左右す る任意の対立遺伝子が使用される。本発明に従ってイネ科(Gramineae)の種の 1つの任意のrht対立遺伝子(例えば、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の rht−Ss1、アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)のrht−S11、およ びテイー・モノコックム(T.monococcum)のrht−Am1)が使用される。本 発明に従ってイネ科(Gramineae)の種の1つの任意の除草剤耐性対立遺伝子( 例えば、アエ・セアルシー(Ae.searsii)のSu−Ss1またはアエ・ロンギッ シマ(Ae.longissima)のSu−Ss1)が使用される。本発明に従つて、Ki −B1の枯死作用に感受性のイネ科(Gramineae)の種の1つの任意のki対立 遺伝子、または任意の他の花粉キラー遺伝子が使用される。 さらに別の面において本発明は、ハイブリッドコムギの生産に使用するための 雄性不稔性雌親株の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔 性維持株を提供し、ここで該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、かつ雌親株の ms−B1雄性不稔性対立遺伝子の任意の1つと花粉キラーKi−B1対立遺伝 子との両方に対してホモ接合性であり、そしてMs−Ss1、rht−Ss1およ びki−S11−a対立遺伝子を有する追加の異種改変染色体EC−H1(4Ss S/6S1L)を有する。維持株の雄性稔性対立遺伝子は花粉粒を介して遺伝し ないため、雄性不稔性雌株と雄性稔性維持株との間の交配のすべての子孫は、雌 親株と同遺伝子型でありかつ雄性不稔性である。 本発明はまた、ハイブリッドコムギの生産に使用するための雄性不稔性雌親株 の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株を提供し 、ここで該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、かつms−B1雄性不稔性対立 遺伝子の任意の1つと、su−B1クロロトルロン(chlorotoluron)感受性対 立遺伝子と、および雌親株の花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方に対して ホモ接合性であり、そしてMs−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1およびk i−S11−a対立遣伝子を有する追加の異種改変染色体EC−HR1(4SsS /6S1L)を有する。維持株の雄性稔性対立遺伝子は花粉粒を介して遺伝しな いため、雄性不稔性雌株と雄性稔性維持株との間の交配のすべての子孫は、雌親 株と同遺伝子型でありかつ雄性不稔性である。 本発明はさらに、ハイブリッドコムギの生産に使用するための雄性不稔性雌親 株の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの代替組換え雄性稔性維 持株を提供し、ここで該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、かつms−B1お よびsu−B1対立遺伝子の任意の1つとホモ接合性であるが、染色体6B植物 について一染色体性であり従ってKi−B1対立遺伝子についてヘミ接合性であ り、追加の組換え改変染色体REC−HR1(4SsS/6S1L/6BL)(こ れはさらに、ki−S11−a対立遺伝子の遠位に、未変性の6BLの相同領域 と規則的に対形成する6BLの遠位領域を有する)を有する。従ってREC−H R1は、50%の配偶子に含有される。組換え維持株の雄性稔性対立遺伝子は花 粉粒を介して遺伝しないため、雄性不稔性雌株と組換え雄性稔性維持株との間の 交配のすべての子孫は、雌親株と同遺伝子型でありかつ雄性不稔性である。一方 、自家受粉組換え維持株の50%の子孫はREC−HR1を有し、従って雄性 稔性である。 本発明はまた、ハイブリッドコムギの生産に使用するための雄性不稔性雌親株 の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの代替改良維持株を提供し 、ここで該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、かつ雌親株のms−B1雄性不 稔性対立遺伝子の任意の1つと花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方に対し てホモ接合性であり、そしてそれぞれMs−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1 およびki−S11−a、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki −S11−a、そしてMs−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S1 1−a対立遺伝子を有する、IEC−HC1(4SsS/4EL/6S1L)、 IEC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L)、またはIEC−HC3(4Am S−4AmL/6S1L)のいずれかである、追加の改良改変染色体IEC−HC を有する。IEC−HC中の任意の選択マーカー対立遺伝子がBa対立遺伝子を 置換することができる。選択マーカーが種子に特徴的な場合(例えば、種子の色 )は、雌親株と同遺伝子型であり雄性不稔性である植物に発育する自家受粉維持 株の子孫種子は、雄性稔性維持株に発育するものから分離することができる。従 って、そのような種子選択マーカーを有する改良維持株を自家受粉することによ り、雄性不稔性雌親株を維持することが可能であり、自家受粉改良維持株の80 %の子孫種子は赤色/白色であり、かつ生長すると雄性不稔性雌親植物に発育し 、そして20%は青色であり、かつ生長すると雄性稔性改良維持植物に発育する 。 本発明はまた、ハイブリッドコムギの生産に使用するための雄性不稔性雌親株 の維持のための、普通コムギまたはデューラムコムギの代替改良組換え維持株を 提供し、ここで該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、かつms−B1対立遺伝 子の任意の1つとホモ接合性であるが、染色体6Bについて一染色体性であり従 ってKi−B1対立遺伝子についてヘミ接合性であり、それぞれMs−Ss1、 rht−Ss1、Ba−E1およびki−S11−a、Ms−Ss1、rht−Ss 1、Ba−Am1およびki−S11−a、そしてMS−Am1、rht−Am1、 Ba−Am1およびki−S11−aを有する(かつすべてが、普通コムギの6B Lの遠位セグメントを有する)、IREC−HC1(4SsS/4E L/6S1L/6BL)、IREC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L/6B L)、またはIREC−HC3(4Ams−4AmL/6S1L/6BL)のいず れかである、追加の改良組換え改変染色体IEC−HCを有する。任意の選択マ ーカー対立遺伝子がIREC−HC中のBa対立遺伝子を置換することができる 。 本発明の別の面において、改変染色体EC−HC1(図7a)を有する、普通 コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株を生産するための方法が提供さ れ、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)から得 られる雄性稔性雌親株(該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔 性対立遺伝子と6BL上の優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子との両方につい てホモ接合性であり、かつその長腕上に劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11 −aを有する追加の異種染色体を有する)を、雄親株(これは雌親株と同遺伝子 型であるが、劣性ms−B1−c雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であ り、また6S1を欠き、その代わりその短腕の上に優性対立遺伝子Ms−Ss1と rht−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する)と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして雄性 稔性F1植物を生産すること[この一部は二重一染色体性添加であり、すなわち これらは、2つの異種染色体(Ms−Ss1とrht−Ss1を有する4Ssおよ び6S1とki−S11−aを有する6S1)を有する]; (c)(b)のF1子孫を自家受粉させ、そこから多くの子孫種子を採取し、 該種子を生長させ、こうしてF2植物を生産すること[この一部は、異種転座改 変染色体について一染色体性添加であり、その25%はms−B1−c雄性不稔 性対立遺伝子についてホモ接合性であり、そして所望の植物である]; (d)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(c)の所 望の植物を選択し、それを自家受粉させること; (e)(d)の自家受粉子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうしてF3 植物を生産すること[このすべては、ms−B1−c雄性不稔性対立遺伝子につ いてホモ接合性であり、その20%は、追加の改変染色体EC−H1を有するた め雄性稔性であり、そしてこれは所望の維持株植物である];および (f)染色体計測とDNAマーカーの使用により、(e)の所望の維持株植物 を選択すること、を特徴とする。 本発明はまた、改変染色体EC−HR1(図8a)を有する、普通コムギまた はデューラムコムギの雄性稔性維持株を生産するための方法を提供し、該方法は : (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性維持株から得られる雄性稔性雌親株[該雌親株は、劣性ms−B1雄性不稔 性対立遺伝子、劣性クロロトルロン(chlorotoluron)感受性対立遺伝子su− B1、および優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子との両方についてホモ接合性 であり、かつその短腕上に優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1と半優性rht −Ss1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性クロロトルロン(chlorotoluron) 感受性対立遺伝子su−S11と劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−aを有 する改変染色体を、一染色体性添加として有する]を、6SsL上に優性クロロ トルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss1ならびに4SsS上にM s−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子とを有する二倍体種アエギロップス・セア ルシー(Aegilops searsii)の株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は2n=29染色体を有し、すなわち、CSから 1つの染色体セット、改変染色体EC−H1、および遺伝子型ms−B1Ms− Ss1Ms−Ss1、ki−B1ki−S11−aおよびsu−B1su−S11S u−Ss1を有するアエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)からの染 色体セットを有する]; (c)(b)のF1子孫を2n=29染色体で選択し、これらを雄としてcv .CSに戻し交配し、その子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてB C1植物を生産すること[クロロトルロン(chlorotoluron)に耐性のこの一部は 、改変染色体EC−HR1について一染色体性添加であり、このすべてはヘテロ 接合性ms−B1Ms−B1であり、su−B1とKi−B1についてホモ接合 性であり、そして所望の植物である]; (d)染色体計測、およびDNAマーカーの使用により(c)の所望の植物を 選択し、そしてそれを自家受粉させること; (e)(d)の自家受粉子孫種子採取し、該種子を生長させ、こうしてBC1 2植物を生産すること[この20%はクロロトルロン(chlorotoluron)に耐性 であり、すなわち改変染色体を有し、耐性植物の25%は、ms−B1について ホモ接合性であるが、改変染色体EC−HR1のMs−Ss1を有するため雄性 稔性であり、そしてこれは所望の維持株植物である];および (f)クロロトルロン(chlorotoluron)耐性とDNAマーカーの使用により 、(e)の所望の維持株植物を選択すること、 を特徴とする。 本発明はまた、組換え改変染色体REC−HR1(図7b)を有する、普通コ ムギまたはデューラムコムギの雄性稔性組換え維持株を生産するための方法を提 供し、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)から得 られる雄性稔性雌親株[該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔 性対立遺伝子と染色体腕5BL上の優性同祖対形成サプレッサー対立遺伝子Ph 1についてホモ接合性であり、染色体6Bについて零染色体性であり、従って優 性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子について欠損し、かつ劣性花粉キラー対立遺 伝子ki−S11−aを有する一対の6S1染色体を有する]を、雌親株と同遺伝 子型であるが二染色体性6Bであり、従ってKi−B1についてホモ接合性であ り、染色体6S1が欠如し、かつ変異体同祖対形成対立遺伝子ph1bについて もホモ接合性である雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして同祖 対形成対立遺伝子(Ph1ph1b)についてヘテロ接合性の雄性稔性(Ms− B1Ms−B1)F1植物を生産すること[このすべては、6Bかつ6S1染色体 について一染色体性である]; (c)(b)のF1植物を雄親株に戻し交配すること; (d)(c)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1 植物を生産すること[このすべては雄性稔性(Ms−B1Ms−B1)であり 、50%はph1b対立遺伝子についてホモ接合性であり、約50%(6Bは6 S1と対形成するため)は、6Bと6S1染色体の両方について二重一染色体性で あり、そして所望のBC1植物である]: (e)DNAマーカーの使用および減数分裂での染色体対形成の解析により所 望のBC1植物を選択し、そしてこれをBC1植物と同遺伝子型であるがホモ接合 性Ph1Ph1である二端部染色体性(ditelosomic)6BS株(すなわち6B L腕について欠損)により受粉させること; (f)(e)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして植物を 生産すること[このすべては、染色体腕6BSについて一端部染色体性(monote losomic)であり、一部はまた、短腕、6S1の長腕の近位領域(ki−S11− aを有する)、および染色体腕6BLの遠位領域(組換え点はki−S11−a の遠位である)についても一染色体性であり、そしてこれは所望の植物である] ;および (g)C分染法、DNAマーカーの使用、および染色体対形成の解析により( f)の所望の植物を選択し、これを雄として、非組換え維持株[すなわち、劣性 雄性不稔対立遺伝子ms−B1の任意の1つと優性花粉キラー対立遺伝子Ki− B1の両方についてホモ接合性であり、Ms−Ss1、rht−Ss1、およびk i−S11−aを有する改変染色体EC−H1を有する]である雌性株と交配さ せること;および (h)(g)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は、三重一染色体であり、すなわち、6B、異種 改変染色体EC−H1、および組換え染色体(6S1/6BL)について一染色 体性であり、かつヘテロ接合性Ms−B1ms−B1、ヘミ接合性Ki−B1お よびホモ接合性ki−S11−aki−S11−aであり、そして所望の植物であ る];および (i)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(h)の所 望の植物を選択し、これを自家受粉させ、その子孫種子を採取し、該種子を生長 させ、こうしてF2植物を生産すること[その一部は二重一染色体性であり、M s−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する染色体6Bと組 換え改変染色体REC−H1(4SsS/6S1L/6BL)を有し、これらは所 望の維持株植物である]を、特徴とする。 本発明はまた、組換え改変染色体REC−HR1(図8b)を有する、普通コ ムギまたはデューラムコムギの雄性稔性組換え維持株を生産するための方法を提 供し、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性組換え維持株から得られる、一染色体性6B−染色体性添加REC−H1で ある雄性稔性雌親株[該雌親株は、染色体腕4BS上の劣性ms−B1雄性不稔 性対立遺伝子についてホモ接合性であり、かつ劣性クロロトルロン(chlorotolur on)感受性対立遺伝子su−B1と優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子につい てヘミ接合性であり、かつその短腕上に優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1と 半優性rht−Ss1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性クロロトルロン(chl orotoluron)感受性対立遺伝子su−S11と劣性花粉キラー対立遺伝子ki− S11−aを有する改変染色体REC−H1(4SsS/6S1L/6BL)を有 する]を、優性クロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss1な らびにMs−Ss1およびrht−Ss1対立遺伝子を有する二倍体種のアエギロ ップス・セアルシー(Aegilops searsii)と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この50%は、4Ssと対形成する組換え改変染色体を含 有し、6SsSはこうして減数分裂で、遺伝子型ms−B1Ms−Ss1Ms−Ss 1、ki−S11−a su−S11およびSu−Ss1を有する二価体を形成す る]; (c)(b)のF1子孫を選択し、雄としてcv.チャイニーズスプリング(C hinese Spring)に戻し交配すること; (d)(c)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1 植物を生産すること[このすべてはms−B1Ms−B1についてヘテロ接合 性であり、従って雄性稔性であり、その一部は一染色体性6Bであり、従ってS u−B1とKi−B1についてヘミ接合性であり、短腕上にMs−Ss1とrh t−Ss1を有し、長腕上にSu−Ss1とki−S11−aを有する一染色体 性置換として組換え改変染色体REC−HR1を有し、そしてこれらが所望の維 持株植物である]; (e)クロロトルロン(chlorotoluron)への耐性により、かつ減数分裂での 染色体対形成の解析により、(c)の所望の植物を選択し、そしてこれを自家受 粉させること; (f)(d)の自家受粉子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうしてBC12植物を生産すること[この50%は、一染色体性6Bであり、4Ss短腕( Ms−Ss1とrht−Ss1を有する)と染色体腕6BLの近位領域(Su−Ss 1とki−S11−aを有する)からなる組換え染色体REC−HR1について 一染色体性一端部染色体性(monotelosomic)であり、これらの植物の25%は 、ms−B1についてホモ接合性であり、su−B1とKi−B1についてヘミ 接合性であり、そしてこれらは所望刀維持株植物である];および (g)クロロトルロン(chlorotoluron)耐性、DNAマーカーの使用、およ び染色体対形成の解析により(e)の所望の組換え維持株植物を選択すること] を、特徴とする。 本発明はまた、改良改変染色体IEC−HC1(図9a〜b)を有する、普通 コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性改良維持株を生産するための方法を提 供し、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は維持株であり、すなわち、染色体腕4BS上の劣性ms −B1雄性不稔性対立遺伝子および6BL上の優性Ki−B1花粉キラー対立遺 伝子についてホモ接合性であり、かつその短腕上に優性対立遺伝子Ms−Ss1 とrht−Ss1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性対立遺伝子ki−S11− aを有する追加の改変染色体EC−H1を有する]を、雌親株と同遺伝子型であ るが優性雄性稔性対立遺伝子Ms−B1についてホモ接合性であり、その長腕上 に優性の青いアリューロン対立遺伝子Ba−E1を有する追加の一対の異種染色 体4Eを有する雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子(すべてが青い)を採取し、これに熱中性子を 照射し、そしてこの種子を生長させ、こうして雄性稔性F1植物を生産すること [このすべては、Ms−B1ms−B1についてヘテロ接合性であり、Ki−B 1についてホモ接合性であり、その20%は、改変染色体EC−H1および染色 体4Eについて二重一染色体性添加であり、そして所望の植物である]; (c)染色体計測とDNAマーカーを使用して(b)のF1植物を選択し、こ れらを自家受粉させること; (d)(c)の子孫種子を採取し、青い種子を選択し該種子を生長させて、こ うしてF2植物を生産すること[この一部は43染色体を有し、これらの一部は 、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、およびki−S11−aを有する 4SsS/4EL/6S1Lを含有する改良改変染色体IEC−HC1を有し、そ してこれらが所望の植物であり、別の一部は転座染色体4SsS/4ELを含有 する]; (e)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(d)の所望の植物を選 択し、そしてこれを自家受粉させること; (f)(e)の子孫種子を採取し、青い種子を選択すること[この種子は、生 長すると、改良改変染色体IEC−HC1を有する雄性稔性植物に発育し、これ らは所望の改良維持株植物である]; (g)工程(d)で所望の植物が得られない場合は、染色体訃測とDNAマー カーの使用により転座染色体4SsS/4EL(青い種子に由来し、かつ雄性稔 性である)を有する(d)の植物を選択し、これらを雄親株として、EC−H1 を有する維持株に戻し交配してF1種子を生産すること; (h)(g)のF1種子から青い種子を選択し、これらに熱中性子を照射し、 発芽させて44染色体(すなわち、2つの異種添加染色体4SsS/4ELと4 SsS/6S1L)を有する苗条を選択すること;および (i)(d)〜(f)の工程を繰り返し、こうしてMs−Ss1、rht−Ss 1、Ba−E1、およびki−S11−aを有する、4SsS/4EL/6S1L を含有する改良改変染色体IEC−HC1を有する所望の改良維持株を得ること を、特徴とする。 本発明はまた、改良改変染色体IEC−HC1(図9c)を有する、普通コム ギまたはデューラムコムギの雄性稔性改良維持株を生産するための別の方法を提 供し、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は、優性雄性稔性対立遺伝子Ms−B1と優性花粉キラー Ki−B1対立遺伝子との両方についてホモ接合性であり、かつその長腕上に優 性の青いアリューロン対立遺伝子Ba−E1を有する追加の一対の異種染色体4 Eを有する]を、雌親株と同遺伝子型であるが劣性雄性不稔対立遺伝子ms−B 1についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝子Ms−Ss1とrh t−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、そしてこの種子を生長させ、こうし てF1植物を生産すること[このすべては、ヘテロ接合性Ms−B1ms−B1 かつヘテロ接合性Ki−B1Ki−B1であり、その25%は、染色体4Eと4 Ssを有する二重一染色体性添加であり、そして所望の植物である]; (c)染色体計測とDNAマーカーを使用して(b)の所望のF1植物を選択 し、これらを自家受粉させること; (d)(c)の自家受粉種子から青い種子を選択し該種子を生長させて、こう してF2植物を生産すること[この一部は転座染色体4SsS/4ELを有し、そ して所望の植物である]; (e)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(d)の所望のF2植物 を選択し、そしてこれを雄として、EC−H1を有する維持株(4SsS/6Ss L)と交配させて、F1種子を得ること[その一部は青い]; (f)(e)の青い種子を選択し熱中性子を照射し、F1植物に生長させるこ と[このすべては、ms−B1−cとKi−B1についてホモ接合性であり、こ れらのほとんどは二重一染色体性添加である4SsS/4ELと4SsS/6S1 Lを持たず、そして所望の植物である]; (g)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(f)の所望の植物を選 択し、そしてこれらを自家受粉させ; (h)(g)の子孫種子を採取し、青い種子を選択し、これらを生長させて、 こうしてF2植物を生産すること[このすべては、ms−B1−cとKi−B1 対立遺伝子についてホモ接合性であり、その一部は43染色体を有し、これらの 一部は、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、およびki−S11−aを 有する4SsS/4EL/6S1Lを含有する改良改変染色体IEC−HC1を有 し、そしてこれらが所望の植物である]; (i)染色体計測、C分染法、および雄性稔性より(h)の所望の植物を選択 し、それを自家受粉させること;および (j)(i)の子孫種子を採取し、青い種子を選択すること[この種子は、生 長すると、改良改変染色体IEC−HC1を有する雄性稔性植物に発育し、これ らは所望の改良維持株植物である]を、特徴とする。 本発明はまた、改良改変染色体IEC−HC2(図10)を有する、普通コム ギまたはデューラムコムギの雄性稔性改良維持株を生産するための方法を提供し 、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 親二染色体性置換株[ここで、普通コムギの染色体4Bの代わりにティー・モノ コックム(T.monococcum)の染色体4Amが置換され、従って該雄親株は雄性稔 性対立遺伝子Ms−B1が欠損しており、花粉キラー対立遺伝子Ki−B1、お よび4AmS上のMs−Am1とrht−Am1、および4AmL上のBa−Am1 についてホモ接合性である]を、雄親株と同遺伝子型であるが劣性ms−B1雄 性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝子M s−Ss1とrht−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雌親株と交 配すること; (b)(a)の交配の子孫種子(このすべては青い)を採取し、そしてこの種 子を生長させ、こうしてF1植物を生産すること[このすべては、ms−B1− cについてヘテロ接合性であり、Ki−B1についてホモ接合性であり、その一 部は、三重一染色体性4B、4SsSと4Amであり、そして所望の植物である] ; (c)染色体計測により(b)の三重一染色体性植物を選択し、こうして雄性 稔性F1植物を生産し、これらを自家受粉させること; (d)(c)のF2種子を採取し、青い種子を選択し、選択した該種子を生長 させて、こうしてF2植物を生産し、そしてこれらのF2植物から44染色体 を有するF2植物(減数分裂で21”+2’を示す)をさらに選択すること(所 望の二重一染色体性添加4SsSと4Amである)]; (e)(d)の所望の植物を自家受粉し、こうしてF3種子を得て、そして青 い種子を選択すること; (f)(e)の青い種子を生長させ、43染色体を有する植物を選択すること (21”+2’)[これらは雄性稔性であり、青い種子を生産し、これらの植物 は転座染色体4SsS/4AmLを有し、所望の植物である]; (g)雄として(f)の所望の植物を、ホモ接合性ms−B1ms−B1Ki −B1KiB1であり、Ms−Ss1rht−Ss1ki−S11−aを雌として 有するEC−H1(4SsS/6S1L)を有する維持株と交配させ、F1種子を 得ること; (h)(g)のF1子孫種子から青い種子を選択し、これらに熱中性子を照射 し、これらを生長させて、44染色体(21”+2’)を有する植物[これらは 短腕について二染色体性であり、追加の異種染色体の長腕について二重一染色体 である]、そしてこれらを自家受粉させること; (i)(h)の青い種子を生長させ、43染色体を有する雄性稔性植物を選択 し、青色および赤色/白色種子を生産させること[これらの植物はIEC−HC 2を有し、所望の植物である];および (j)(i)の所望の植物を自家受粉させ、その種子を採取し、青い種子を分 離すること[この種子は、生長すると、IEC−HC2を有する雄性稔性植物に 発育し、これらは所望の改良維持株植物である]を、特徴とする。 本発明はまた、改良改変染色体IEC−HC3(図11)を有する、普通コム ギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株を生産するための方法を提供し、該 方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 親二染色体性置換株[ここで、普通コムギの染色体4Bの代わりにティー・モノ コックム(T.monococcum)の染色体4Amが置換され、従って該雄親株は雄性稔 性対立遺伝子Ms−B1が欠損しており、花粉キラー対立遺伝子Ki−B1、お よび4AmS上のMS−Am1とrht−Am1、および4AmL上のBa−Am 1についてホモ接合性である]を、雄親株と同遺伝子型であるが劣性ms−B 1雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝 子Ms−Ss1とrht−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雌親株 と交配すること; (b)(a)のF1種子(このすべては青い)を採取し、そしてこの種子を生 長させ[このすべては、ms−B1−cについてヘテロ接合性であり、Ki−B 1についてホモ接合性であり、その75%は、Ms−Am1を有する一染色体性 4Bおよび一染色体性置換4Am1であり、従って雄性稔性である]、そして該 一染色体−一染色体置換を使用して、ヘテロ接合性Ms−B1ms−B1かつK i−B1対立遺伝子についてホモ接合性であり、一染色体性添加として染色体6 S1を有する雌親株を受粉すること[ここで、雌親株は、雄としてms−B1− cms−B1−cチャイニーズスプリング(Chinese Spring)に4Ss一染色体 性添加を交配することにより得られ、雌親株はMs−B1およびKi−B1対立 遺伝子についてホモ接合性であり、一染色体性添加として染色体6S1を有し、 子孫の20%は所望の構成を有する]; (c)(b)の交配から青いF1種子を採取し、熱中性子を照射し、これらを 生長させ、F1植物から43(21”+2’)および42(20”+2’)染色 体を有するF1植物を選択し、これらの植物を自家受粉すること; (d)(c)の自家受粉種子から青い種子を選択し、これらを生長させて、雄 性稔性であり、約20%の生存活性のない花粉を有する植物を選択し、そして青 色および赤色/白色種子を生産し;および (e)(d)の植物を生長させ、青い種子を分離すること[この種子は、生長 すると、IEC−HC3(43染色体を有する)を有する雄性稔性植物に発育し 、これらは所望の改良維持株植物である]を、特徴とする。 本発明はまた、改良組換え改変染色体IREC−HC(図12)を有する、普 通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株を生産するための方法を提供 し、該方法は: (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔性対立遺伝 子と染色体腕5BL上の優性同祖対形成サプレッサー対立遺伝子Ph1について ホモ接合性であり、染色体6Bについて零染色体性であり、従って優性Ki−B 1花粉キラー対立遺伝子について欠損し、かつ劣性花粉キラー対立遺伝子ki− S11−aを有する一対の6S1染色体を有する]を、雌親株と同遺伝子型である が二染色体性6Bであり、従ってKi−B1についてホモ接合性であり、6S1 が欠如し、かつ変異体同祖対形成対立遺伝子ph1bについてもホモ接合性であ る雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして同祖 対形成対立遺伝子(Ph1ph1b)についてヘテロ接合性の雄性稔性(Ms− B1Ms−B1)F1植物を生産すること[このすべては、6Bかつ6S1染色体 について一染色体性である]; (c)(b)のF1植物を雄親株に戻じ交配すること; (d)(c)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1 植物を生産すること[このすべては雄性稔性(Ms−B1Ms−B1)であり 、1/2はph1b対立遺伝子についてホモ接合性であり、約1/2(6Bは6 S1と対形成するため)は、6Bと6S1染色体の両方について一染色体性であり 、そして所望のBC1植物である]; (e)減数分裂での染色体対形成およびDNAマーカーにより(d)の所望の BC1植物を選択し、そしてこれをBC1植物と同遺伝子型であるがホモ接合性P h1Ph1である二端部染色体性(ditelosomic)6BS株(すなわち6BL腕 について欠損)により受粉させること; (f)(e)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして6BS について1端部染色体性(monotelosomic)な植物を生産すること[この一部は また、短腕、6S1の長腕の近位領域(ki−S11−aを有する)、および染色 体腕6BLの遠位領域(組換え点はki−S11−aの遠位である)からなる組 換え染色体についても一染色体性であり、そしてこれは所望の植物である];お よび (g)C分染法、染色体対形成、およびDNAマーカーの使用の解析により( f)の所望の植物を選択し、これを雄として、改良維持株[すなわち、劣性雄性 不稔対立遺伝子ms−B1の任意の1つと優性花粉キラー対立遺伝子Ki−B1 の両方についてホモ接合性であり、それぞれMs−Ss1、rht−Ss1、Ba −E1およびki−S11−a、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およ びki−S11−a、またはMS−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびk i−S11−a、を有する、改良改変染色体IEC−HC1(4SsS/4EL/ 6S1L)、IEC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L)、またはIEC−H C3(4Ams/4AmL/6S1L)の1つを有する]である雌性株と交配させ ること;および (h)(g)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は、三重一染色体であり、すなわち、6B、異種 改変染色体EC−H1、IEC−HC2、またはIEC−HC3のいずれか、お よび組換え染色体(6S1/6BL)について一染色体であり、かつヘテロ接合 性ms−B1Ms−B1、ヘミ接合性Ki−B1、そして所望の植物である]; および (i)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(h)の所 望の植物を選択し、これを自家受粉させ、ぞの子孫種子を採取し、該種子を生長 させること[その一部は二重一染色体であり、染色体6Bと、IREC−HC1 (4SsS/4EL/6S1L/6BL)、IREC−HC2(4SsS/4AmL /6S1L/6BL)、またはIREC−HC3(4AmS−4AmL/6S1L/ 6BL)のいずれかである改良組換え改変染色体IREC−HCを有し、これら はIREC−HCを有する所望の維持株植物である]を、特徴とする。 他の面において本発明は、普通コムギおよびデューラムコムギの維持株または 組換え維持株の各世代において、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維 持するための方法を提供し、該方法は: (a)自家受粉した維持株の雄性稔性子孫からの種子(この種子は生長すると 、該維持株に生育する)の別々の収穫を促進する選択マーカーとして、rht− Ss1対立遺伝子をMs−Ss1およびki−S11−a対立遺伝子以外に有する、 改変染色体EC−H1および組換え改変染色体REC−H1よりなる群から選択 される改変染色体を含有する雄性稔性維持株を自家受粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして植物を生産す ること[この20%(改変染色体EC−H1を有する維持株の子孫)と50%( 組換え改変染色体REC−H1を有する維持株の子孫)は、該改変染色体を含有 し、かつ該維持株と同じであり、従ってrht−Ss1対立遺伝子を有し、該改 変染色体が欠如したものより背丈が高い(6〜8cm)];および (c)(b)の背丈の高い植物(そのすべては雄性稔性である)を収穫し、該 改変染色体を有する20%(EC−H1)または50%(REC−H1)からな る子孫種子を得て、こうして維持株または組換え維持株の各世代における、雄性 稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持すること、を特徴とする。 本発明はさらに、普通コムギおよびデューラムコムギの維持株または組換え維 持株の各世代において、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持するた めの方法を提供し、該方法は: (a)自家受粉した維持株の雄性稔性子孫からの同じ維持株遺伝子型を有する 植物の選択を促進する選択マーカーとして、Su−Ss1対立遺伝子をMs−Ss 1およびki−S11−a対立遺伝子以外に有する、改変染色体EC−HR1お よび組換え改変染色体REC−HR1よりなる群から選択される改変染色体を含 有する雄性稔性維持株を自家受粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、該種子を発芽させて苗条子孫[この20% (改変染色体EC−HR1を有する維持株の子孫)と50%(組換え改変染色体 REC−HR1を有する維持株の子孫)は、該改変染色体を含有する]にし、苗 条に除草剤クロロトルロン(chlorotoluron)を噴霧して、こうして感受性のあ る苗条(すなわち、EC−HR1またはREC−HR1が欠如したもの)を枯死 させること;および (c)(b)のクロロトルロン(chlorotoluron)耐性植物(そのすべてはE C−HR1またはREC−HR1を有し、従って雄性稔性である)を収穫し、該 改変染色体を有する20%(EC−HR1)または50%(REC−HR1)か らなる子孫種子を得て、こうして維持株または組換え維持株の各世代における、 雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持すること、を特徴とする。 本発明はまた、普通コムギおよびデューラムコムギの改良維持株または改良組 換え維持株の各世代において、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持 するための方法を提供し、該方法は: (a)自家受粉した維持株の雄性稔性子孫からの種子(この種子は生長すると 、該維持株に生育する)の選択を促進する選択マーカーとして、Ba対立遺伝子 をMs−Ss1およびki−S11−a対立遺伝子以外に有する、改変染色体IE C−HC1および組換え改変染色体IREC−HC1よりなる群から選択される 改変染色体を含有する雄性稔性維持株を自家受粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、IEC−HC1またはIREC−HC1を 有する青色の種子を、これらの染色体が欠如した赤色/白色の種子の種子から、 選別装置により分離すること;および (c)(b)の青色の種子(そのすべては生育して、雄性稔性改良維持株また は改良組換え維持植物になる)を植え付けること、を特徴とする。 本発明の別の面は、短腕のMsおよびrht対立遺伝子のいずれか、および長 腕のki−S11−a対立遺伝子、およびEC−HRの場合はSu対立遺伝子、 一方IECの場合はBa対立遺伝子も、を有する、2つの末端動原体型への、減 数分裂での動原体誤分割を介する、改変染色体の破損を防ぐ方法を提供する。あ る量の雄性稔性雌親株の生産において、維持株または改良維持株による雌性株の 受粉時、または改良維持株の自家受粉時に、Msとki−S11−aの分離によ りMsが伝達される。後者の2つの場合に、Msを有する種子(これは生長させ ると、雄性稔性植物に生育する)は、赤色/白色になり、Msが欠如したもの( これは生長させると、雄性不稔性植物に生育する)と区別することができない。 EC−HRの場合は、Ms−Ss1とrht−Ss1を有する、改変染色体の短腕 のみを有する植物は、クロロトルロン(chlorotoluron)に感受性であり、この 除草剤を適用することにより選択することができる。維持株または改良法維持株 の代わりに組換え維持株または改良組換え維持株を使用すると、Ms対立遺伝子 の雄伝達の危険性がなくなる。これらの維持株において、組換えまたは改良組換 え改変染色体は、未変性の6B染色体と規則的に対形成し、従って動原体誤分割 (これは通常対形成染色体では起きない)が防止できる。これは、Msとki− S11−aの間の連関を保持する。 本発明の別の面は、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、 雌性株について改変染色体EC−Hを有する雄性不稔性雌親株および雄性稔性維 持株(F16a)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する、ホモ 接合性ms−B1ms−B1Ki−B1Ki−B1であり、かつ異種改変染色体 EC−H1(4SsS/6S1L)を、ホモ接合性Ms−B1Ms−B1ki−B 1ki−B1である所望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物(このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki− b1−aであり、この1/4はまた、改変染色体EC−H1を有し、そして所望 の植物である)を生産すること; (c)染色体計測およびDNAマーカーの使用により、(b)の所望のF1植 物を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉してBC1子孫を生産すること[こ の1/16はヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki−B1−aであ り、改変染色体EC−H1を有し、そして所望の植物である]; (d)(c)のBC1植物を生長させ、該所望の遺伝子型を染色体計測および DNAマ一カーの使用により選択して、これらを雌として所望の栽培品種で以後 の4世代を通して戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て、 一方各世代で、改変染色体EC−H1を有するヘテロ接合性ms−B1Ms−B 1Ki−B1ki−B1−a子孫を、染色体計測とDNAマーカーの使用により 選択すること;および (e)(d)の所望のBC5植物を自家受粉し、その子孫種子を採取し、該種 子を生長させて、こうしてBC52植物[この1/16は、雄性不稔性ms−B 1と花粉キラーKi−B1対立遺伝子の両方について雄性不稔性ホモ接合性であ り、そして所望の雄性不稔性雌株である]、および同様の遺伝子型を有するがま たMs−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する改変染色体E C−H1を有する他のBC52植物[これらは、所望の雄性稔性維持株植物であ る]を生長させること、を特徴とする。 本発明はまた、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌性 株について改変染色体EC−HRを有する雄性不稔性雌親株および雄性稔性維持 株(図17a)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1およびki−S11−aを有 する、ホモ接合性ms−B1ms−B1su−B1su−B1Ki−B1Ki− B1であり、かつ異種改変染色体EC−HR1を、ホモ接合性Ms−B1Ms− B1Su−B1Su−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品種と交配す ること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物(このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Su−B1su− B1Ki−B1ki−b1−aであり、この1/4はまた、改変染色体を有し、 そして所望の植物である)を生産すること; (c)染色体計測およびDNAマーカーの使用により、(b)の所望のF1植 物を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉してBC1子孫を生産すること[こ の1/32はヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1Su−B1su−B 1Ki−B1ki−B1−aであり、改変染色体を有し、そして所望の植物であ る]; (d)(c)のBC1植物を生長させ、該所望の遺伝子型を染色体計測および DNAマーカーの使用により選択して、これらを雌として所望の栽培品種で以後 の4世代を通して戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て、 一方各世代で、改変染色体EC−HR1を有するヘテロ接合性ms−B1Ms− B1Su−B1su−B1Ki−B1ki−B1−a子孫を、染色体計測とDN Aマーカーの使用により選択すること;および (e)(d)の所望のBC5植物を自家受粉し、その子孫種子を採取し、該種 子を生長させて、こうしてBC52植物[この1/64は、雄性不稔性ms−B 1、クロロトルロン(chlorotoluron)感受性su−B1、および花粉キラーK i−B1対立遺伝子の両方について雄性不稔性ホモ接合性であり、そして所望の 雄性不稔性雌株である]、および同様の遺伝子型を有するがまたMs−Ss1、 rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有する改変染色体EC −HR1を有する他のBC52植物[これらは、所望の雄性稔性維持株 植物である]を生長させること、を特徴とする。 本発明はさらに、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌 性株について組換え改変染色体REC−Hを有する雄性不稔性雌親株および雄性 稔性組換え維持株(図16b)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する、ホモ 接合性ms−B1ms−B1であり、6B(Ki−B1についてヘミ接合性)お よび組換え改変染色体REC−H1(4SsS/6S1L/6BL)の両方につい て一染色体性であるREC−H1を有する維持株を雌として、ホモ接合性Ms− B1Ms−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、その1/ 2は染色体6Bについて二染色体性であり、従ってヘテロ接合性Ki−B1ki −b1−aであり、かつその1/2は染色体6Bと組換え改変染色体REC−H 1について二重一染色体性であり、Ki−B1−aについてヘミ接合性であるが 、組換え改変染色体のMs−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを 有する]を生産すること; (c)染色体対形成の解析およびDNAマーカーの使用により、(b)の2つ の型のF1子孫を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉して2つの型のBC1子 孫[二染色体性F1から得られるもの(この1/4はヘテロ接合性ms−B1M s−B1Ki−B1ki−B1−aである)、および二重一染色体性F1から得 られるもの(この1/4は二重一染色体性であり、へテロ接合性ms−B1Ms −B1、およびki−B1−aについてヘミ接合性であり、また組換え改変染色 体REC−H1のMs−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有す る)]を得ること; (d)(c)の2群の該所望の植物を、染色体対形成とDNAマーカーの使用 により選択し、これらを雌として、所望の栽培品種で以後の4世代を通して戻し 交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て、一方各世代で、二染色 体型ではヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki−B1−aおよび二 重一染色体型ではms−B1Ms−B1について、組換え改変染色体REC−H 1を有するものを、染色体対形成解析とDNAマーカーの使用により選択するこ と;および (e)(d)の所望の二重一染色体性BC5植物を(d)の所望の二染色体性 BC5で自家受粉して、2群のBC52[二染色体性植物の群(その1/8はホ モ接合性ms−B1ms−B1とヘテロ接合性Ki−B1Ki−B1−aであり 、所望の二染色体性植物である)と二重一染色体性植物の群(その1/8はホモ 接合性ms−B1ms−B1であり、Ki−B1についてヘミ接合性であり、ま た組換え改変染色体REC−H1のMs−Ss1、rht−Ss1、およびki− S11−aを有し、従って雄性稔性であり、所望の組換え維持株である)]を生 産すること;および (f)(e)の二重一染色体性BC52種子と(e)の二染色体性BC52種 子を生長させ、染色体対形成とDNAマーカーの使用により、それぞれ所望の雄 性稔性組換え維持株と雄性不稔性雌株を選択すること、を特徴とする。 本発明はまた、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌性 株について組換え改変染色体REC−HRを有する雄性不稔性雌親株および雄性 稔性組換え維持株(図17b)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを 有する、ホモ接合性ms−B1ms−B1であり、6B(su−B1とKi−B 1についてヘミ接合性)および組換え改変染色体REC−HR1の両方について 一染色体性である、REC−H1を有する維持株を雌として、ホモ接合性Ms− B1Ms−B1Su−B1Su−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品 種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、その1/ 2は染色体6Bについて二染色体性であり、従ってヘテロ接合性Su−B1su −B1Ki−B1ki−B1であり、かつその1/2は染色体6Bと組換え改変 染色体REC−HR1について一染色体性であり、Su−B1とKi−B1−a についてヘミ接合性であるが、組換え改変染色体REC−HR1のMs−Ss1 、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aも有する]を生産する こと; (c)染色体対形成の解析およびDNAマーカーの使用により、(b)の2つ の型のF1子孫を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉して2つの型のBC1子 孫[二染色体F1から得られるもの(この1/4はヘテロ接合性ms−B1Ms −B1である)、および二重一染色体性F1から得られるもの(この1/4は二 重一染色体性であり、ヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、およびSu− B1とki−B1についてヘミ接合性であり、また組換え改変染色体REC−H R1のMs−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有 する)]を生産すること; (d)(c)の該BC1子孫を生長させ、(c)の2群の該所望の植物を、染 色体対形成とDNAマーカーの使用により選択し、これらを雌として、所望の栽 培品種で以後の4世代を通して戻し交配を行って、2つの型の第5世代戻し交配 子孫(BC5)を得て、一方各世代で、二染色体型ではヘテロ接合性ms−B1 Ms−B1su−B1Su−B1Ki−B1ki−B1および二重一染色体型で はms−B1Ms−B1について、組換え改変染色体REC−HR1を有するも のを、染色体対形成解析とDNAマーカーの使用により選択すること;および (e)(d)の所望の二重一染色体性BC5植物を(d)の所望の二染色体性B C5で自家受粉して、2群のBC52[二染色体性植物の群(その1/16はホ モ接合性ms−B1ms−B1とヘテロ接合性su−B1Su−B1Ki−B1 ki−B1であり、所望の二染色体性植物である)と二重一染色体性植物の群( その1/16はホモ接合性ms−B1ms−B1であり、su−B1とKi−B 1についてヘミ接合性であり、また組換え改変染色体REC−HR1のMs−Ss 1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有し、従って雄性 稔性であり、所望の組換え維持株である)]を生産すること; (f)(e)の該二重一染色体性BC52種子と(e)の二染色体性BC52 種子を生長させ、染色体対形成の解析とクロロトルロン(chlorotoluron)に対 する応答により、所望の雄性稔性組換え維持株と雄性不稔性雌株を選択すること ; (g)二染色体性植物の子孫[そのすべては、ホモ接合性ms−B1ms−B 1であり、従って雄性不稔性であり、その1/4はホモ接合性su−B1su− B1およびKi−B1Ki−B1であり、従って雄性不稔性雌株である]を生長 させること;および (h)(g)の該二染色体BC53を生長させ、DNAマーカーの使用により 所望の雄性不稔性雌株を選択すること、を特徴とする。 本発明はまた、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、IE C−HC型の雌性株について雄性不稔性雌親株および雄性稔性組換え維持株(F 18a)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)ホモ接合性ms−B1ms−B1Ki−B1Ki−B1であり、改良改 変染色体を有する改良維持株[IEC−HC1(4SsS/4EL/6S1L、M s−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およびki−S11−aを有する)、I EC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L、Ms−Ss1、rht−Ss1、B a−Am1およびki−S11−aを有する)、またはIEC−HC3(4AmS −4AmL/6S1L、Ms−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki− S11−aを有する)の1つ]をホモ接合性Ms−B1Ms−B1ki−B1k i−B1である所望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki− B1−aであり、その1/4はまたIEC−HC型の改良改変染色体を有し、所 望の植物である]を生産すること; (c)種子の色により(b)の該所望のF1植物を選択し、所望の栽培品種で これらを受粉してBC1子孫[この1/16はヘテロ接合性ms−B1Ms−B 1Ki−B1ki−B1−aであり、IEC−HC型の改良改変染色体を有し、 所望の遺伝子型である]を生産すること; (d)(c)の該BC1植物を生長させ、種子の色、染色体計測およびDNA マーカーの使用により該所望の遺伝子型を選択し、これらを雌として、所望の栽 培品種で以後の4世代を通して戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5 )を得て、一方各世代で、種子の色、染色体計測およびDNAマーカーの使用 により、IEC−HC型の改良改変染色体を有するヘテロ接合性ms−B1Ms −B1Ki−B1ki−B1−a子孫について選択すること;および (e)(d)の所望のBC5植物を自家受粉して、その子孫種子(その一部は 青色であり、その一部は赤色/白色である)をを採取し、該種子を生長させてこ うしてBC52植物(その1/16は、雄性不稔性ms−B1と花粉キラーKi −B1対立遺伝子の両方についてホモ接合性であり、赤色/白色種子に由来し、 所望の雄性不稔性雌株である)と他のBC52植物(同様の遺伝子型を有するが 青い種子由来であり、従ってMs、rht、Baおよびki−S11−aを有す るIEC−HC型の改良改変染色体も有する)(これらは、所望の雄性稔性改良 維持株植物である)を生長させること、を特徴とする。 本発明はさらに、普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌 性株についてIREC−HC型の雄性不稔性雌親株および雄性稔性改良組換え維 持株(F18b)に変換する方法を提供し、該方法は: (a)ホモ接合性ms−B1ms−B1であり、6B(Ki−B1についてヘ ミ接合性)と改良組換え改変染色体[IREC−HC1(4SsS/4EL/6 S1L/6BL、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およびki−S11− aを有する)、IREC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L/6BL、Ms −Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki−S11−aを有する)、また はIREC−HC3(4AmS/4AmL/6S1L/6BL、Ms−Am1、rh t−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを有する)]の1つについて一 染色体である、IREC−HCを有する維持株を雌として、ホモ接合性Ms−B 1Ms−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、その1/ 2は染色体6Bについて二染色体性であり、従ってヘテロ接合性Ki−B1ki −B1−aであり、1/2は染色体6BとIREC−HC型の組換え改変染色体 について二重一染色体であり、ki−B1−aについてヘミ接合性であるが、組 換え改変染色体のMs、rht、Ba、およびki−S11−a対立遺伝子も有 する]を生産すること; (c)種子の色、染色体対形成の解析、およびDNAマーカーの使用により2 つの型の該F1子孫を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉して2つの型のB C1子孫[二染色体性F1から得られるもの(この1/4はヘテロ接合性ms−B 1Ms−B1Ki−B1ki−B1−aである)、および二重一染色体F1から 得られるもの(この1/4は二重一染色体性であり、ヘテロ接合性ms−B1M s−B1であり、ki−B1−aについてヘミ接合性であり、IREC−HC型 の組換え改変染色体のMs、rht、Ba、およびki−S11−a対立遺伝子 も有する)]を生産すること; (d)(c)の2群の該所望の植物を、種子の色、染色体対形成の解析、およ びDNAマーカーの使用により選択し、これらを雌として、所望の栽培品種で以 後の4世代を通して戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て 、一方各世代で、種子の色、染色体対形成の解析およびDNAマーカーの使用に より、IREC−HC型の改良組換え改変染色体を有する、二染色体型のヘテロ 接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki−B1−aについて、および二重一 染色体型のms−B1Ms−B1について選択すること;および (e)(d)の所望の二重一染色体性BC5植物を(d)の所望の二染色体性 BC5植物により自家受粉して、2群のBC52[二染色体性植物の群(その1 /8はホモ接合性ms−B1ms−B1とヘテロ接合性Ki−B1ki−B1− aであり、赤色/白色の種子に由来し、所望の二染色体性植物である)と二重一 染色体性植物の群(その1/8はホモ接合性ms−B1ms−B1であり、Ki −B1についてヘミ接合性であり、またIREC−HC型の改良組換え改変染色 体のMs、rht、Ba、およびki−S11−a対立遺伝子を有し、従って雄 性稔性であり、所望の改良組換え維持株である)]を生産すること;および (f)(e)の該二重一染色体性BC5種子と(e)のBC5種子を生長させ、 染色体対形成の解析とDNAマーカーの使用により、それぞれ所望の雄性稔性改 良組換え維持株および雄性不稔性雌株を選択すること、を特徴とする。 維持株を生産するためのまたは所望の栽培品種を雄性不稔性雌親株および雄性 稔性維持株に変換するための本発明の方法において、子孫世代の任意の1つで所 望のms−B1対立遺伝子を有する植物の選択は、染色体腕4BSの遠位端上に 位置するDNAプローブの使用により、かつこれは任意の変異体雄性不稔性ms −B1対立遺伝子をマークするのに役立ち、該変異体対立遺伝子を有する植物の 選択が可能になる。例えばPSR921のような4BSのサブ末端領域をマーク する任意のDNAプローブを使用することができる(エム・ディー・ゲール(M. D.Gale)、ケンブリッジラボラトリー(Cambridge Laboratory)、III、ノーウ ィッチ(Norwich)、英国)。 DNAマーカーの使用は、既知の変異体対立遺伝子の一部は4BSの末端欠失 が関与するという事実により、変異体対立遺伝子ms−B1をもたらす欠失はま た、これらのマーカーの遺伝子座を含有するため、これらのDNAマーカーの欠 損(ナル(null)表現型)によりホモ接合性植物(ms−B1−cms−B1− c)を同定することは容易である。従って、雌として優性の正常な対立遺伝子に ついてホモ接合性植物(Ms−B1Ms−B1)を、雄として変異体対立遺伝子 についてヘテロ接合性な植物(Ms−B1Ms−B1)と交配すると、F1の5 0%はホモ接合性(Ms−B1Ms−B1)であり、50%はヘエテロ接合性( Ms−B1ms−B1−c)である。これらのF1植物を戻し交配、すなわち雄 親株(Ms−B1ms−B1−c)により受粉すると、得られる戻し交配子孫( BC1)の1/8は、ms−B1−cms−B1−cについてホモ接合性である と予想される。これらのホモ接合性植物は同定され、DNAマーカーの使用によ り選択される。各追加の戻し交配は、50%のホモ接合性劣性子孫を与え、これ は上記マーカーを使用することにより選択することができる。 本発明の方法において、子孫世代の任意の1つで所望のki−S11−a対立 遺伝子を有する植物の選択は、6S1L上の該対立遺伝子にきつく連関した遺伝 子座に位置するDNAプローブの使用により、かつこれは該対立遺伝子をマーク するのに役立る。DNAプローブの零はPSR915である(エム・ディー・ゲ ール(M.D.Gale)、ケンブリッジラボラトリー(Cambridge Laboratory)、III 、ノーウィッチ(Norwich)、英国)。所望のki−S11−a対立遺伝子を有す る植物の選択は、発育停止受粉粒の比率によっても行われる。 本発明のさらに別の面は、普通コムギまたはデューラムコムギのハイブリッド 植物の生産方法であって、該方法は: (a)雄親株を同じ種の雄性不稔性雌親株と交配すること[ここで、該雄親株 は、任意の所望の普通コムギまたはデューラムコムギ栽培品種から選択され、こ れはその本質は、優性野生型雄性稔性(Ms−B1)対立遺伝子についてホモ接 合性であり、該雄性不稔性雌親株は、劣性変異体雄性不稔性(ms−B1)対立 遺伝子の任意の1つおよび優性花粉キラー(Ki−B1)対立遺伝子についてホ モ接合性であるコムギ種の株であり、該雄性不稔性雌親株は、前述のように本発 明の維持株により維持される];および (b)(a)の交配のその種子を採取すること[この種子は生長させると、子 孫ハイブリッド植物に生育し、このすべては雄性稔性であり、該変異体雄性不稔 性対立遺伝子についてヘテロ接合性、すなわちms−B1Ms−B1である]、 を特徴とする。 例 以下の例において、使用したアエギロップス(Aegilops)株は、Ms−Ss1 (雄性稔性)、rht−Ss1(背の高い植物)およびSuSs1(クロロトルロ ン(chlorotoluron)耐性)対立遺伝子を含有し、本明細書ではAES−5と呼 び、イスラエル、サザンジュデア(Southern Judea)、ヤッター(Yattir)で採 取された、アエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)フェルドマンとキ スレブ・エクス・ハンマー(Feldman & Kislev ex Hammer)の株、およびki− S11−a(Ki−B1の花粉枯死作用に感受性)対立遺伝子を含有し、本明細 書ではAEL−1と呼び、イスラエル、セントラルネゲブ(Central Negev)、 レビビム(Revivim)近くで集められた、アエギロップス・ロンギッシマ(Aegil ops longissima)シュウェインフとムシュル(Schweinf. & Muschl.)の株であ った。 AES−5とAEL−1の種子は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関 するブダペスト条約の下で、英国、スコットランド、アバディーン、エヌシーア イエムビー社(NCIMB Ltd.)に寄託して、1998年5月13日にそれぞれ番号 40952および40953が割り当てられた。 ここで本発明は、以下の限定しない例およびそれらに付随する図面によりさら に詳細に記載される。例1: ハイブリッドシステム 雄性不稔性雌親株と雄性親株からのハイブリッド種子産生のための3つのスキ ームが、図1に一般的に例示される。遺伝子的手段によるハイブリッド種子の産 生が成功するのに必要な条件は、以下の通りである:1)「A株」または「雌株 」と呼ばれる、雌性親株の完全かつ安定な雄性不稔;2)「R株」または「雄株 」と呼ばれる、雄性親株による完全かつ安定な雄性稔性回復;および3)「B株 」または「維持株」と呼ばれる、雄性稔性維持株による雌性A株の容易な繁殖。 産生するF1ハイブリッドは、全て雄性稔性である。雌A株は、維持B株による 受粉、維持B株の自家受粉、または両方の方法のいずれかにより繁殖し、そして 維持B株自体は自家受粉により維持され、そして自家受粉維持株の子孫中の雄性 稔性植物の必要な割合を、維持株を特徴づける選択マーカーの使用により各世代 で保持する。 ハイブリッドの普通コムギまたはデューラムコムギの産生のためのこのような スキームの例は、図13、14および15にさらに具体的に示される。雄性不稔 の遺伝子を備えた、すなわち、染色体4Bの短腕上の雄性不稔劣性変異体対立遺 伝子(ms−B1ms−B1)の1つについてホモ接合性であり、かつ6Bの長 腕上の優性花粉キラー対立遺伝子(K1−B1)についてホモ接合性である、こ こではcv.「ワン(One)」と呼ばれる栽培品種を、雄性不稔性雌A株として 使用する。3つのこのような雄性不稔対立遺伝子が報告されている(ウィルソン (Wilson)とドリスコル(Driscoll)、1983年に総説)。これらの対立遺伝 子は、「パグスリー(Pugsley)」(パグスリー(Pugsley)とオラム(Oram)、 1959年−自発的出現;ms−B1−a)、「プロブス(Probus)」(フォッ サティ(Fossati)とインゴールド(Ingold)、1970年−X線により誘導さ れる;ms−B1−b)および「コーナーストーン(Cornerstone)」(ドリス コル(Driscoll)、1977年−ガンマ線照射により誘導される;ms−B1− c)である。対立遺伝子ms−B1−bとms−B1−cは、末端が欠失してい る。いくつかのさらなる変異体対立遺伝子は、前もって我々がガンマ線照射また はメタン スルホン酸エチル(EMS)での処理により誘導した。EMS処理変異体は、こ れらの変異体における4BS上の末端Cバンドの存在により、種々の欠失のms −B1遺伝子座から識別することができる。4BSの遠位領域上に位置するXp sr921のようなDNAマーカーは、ms−B1−cおよびいくつかの我々の ガンマ線照射した変異体(および恐らくms−B1−bでも)には存在せず、す なわち、これは欠失したセグメントに位置するものであり、これが存在しないこ とを、欠失についてのホモ接合性の印とすることができる。栽培品種チャイニー ズスプリング(Chinese Spring)に存在するKi−B1対立遺伝子は、染色体6 Bの長腕上動原体から約50cMに位置する(ロエゲリング(Loegering)とシア ーズ(Sears)、1963年)。Xpsr915のようなDNAマーカーは、k i−B1対立遺伝子に堅固に連関している。雄性不稔性雌株が、EC−HR型の 改変染色体を含む維持株により維持されるとき、雌株もまた劣性クロロトルロン (chlorotoluron)感受性対立遺伝子su−B1についてホモ接合性であるはずで ある。普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)およびい くつかの他の遺伝子型の四倍体コムギに存在するこの対立遺伝子は、染色体6B の長腕上、動原体から約0.5cMに位置する(スネープ(Snape)ら、1991 年)。 A株と同じ栽培品種の維持B株、すなわち、cv.「ワン(One)」は、A株 に存在する同じms−B1およびKi−B1対立遺伝子についてホモ接合性であ るが、さらに優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1および背の高い植物を与える 優性または半優性rht−Ss1対立遺伝子を含むアエギロップス・セアルシー (Aegilops searsii)の4SsS、並びに劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11 −a(これを含む花粉粒を普通コムギまたはデューラムコムギのKi−B1対立 遺伝子による枯死に感受性にする)を含むアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima )の6S1LからなるEC−H型の異種改変染色体(図2a)を有する。ki− S11−aの存在のため、異種改変染色体は、花粉粒により遺伝されない。従っ て、維持株(B株)による雄性不稔性雌株(A株)の受粉により、全ての雌株と 同一であり、かつ雄性不稔性である子孫が得られる(図13a)。一方、維持株 の自家受粉により、80%雄性不稔性および20%雄性稔性子孫が得られる(図 13a)。改変染色体におけるrht−Ss1対立遺伝子の存在により、維持株 の 雄性稔性子孫は、雄性不稔性子孫よりも6〜8cm背が高い。この高さの差により 、コンバインによる雄性稔性子孫の選択的収穫が容易になり、そのため、自家受 粉した維持株の子孫中の雄性稔性植物の割合が各世代において一定に保たれる。 代替の維持B株は、A株と同じ栽培品種、すなわちcv.「ワン(One)」の ものであり、A株に存在する同じms−B1、su−B1およびKi−B1対立 遺伝子についてホモ接合性であるが、さらに優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss 1および優性または半優性rht−Ss1対立遺伝子を含む、アエギロップス・ セアルシー(Aegilops searsii)の4SsS、および除草剤クロロトルロン(chl orotoluron)に対する優れた耐性を与えることが見い出され、かつアエ・セアル シー(Ae.searsii)の6sSLからアエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6 S1Lに転移した優性クロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss 1、および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−a(これを含む花粉粒を、 普通コムギまたはデューラムコムギのKi−B1対立遺伝子による枯死に対して 感受性にする)を含む、アエギロップス・ロンギッシマ(Aegilops longissima )の6S1SからなるEC−HR型の異種改変染色体(図2b)を有する。従っ て、維持株(B株)による雄性不稔性雌株(A株)の受粉により、全てが雌株と 同一であり、かつ雄性不稔性である子孫が得られる(図14a)。一方、維持株 の自家受粉により、80%の雄性不稔性および20%の雄性稔性子孫が得られる (図14a)。改変染色体におけるSu−Ss1対立遺伝子の存在のために、維 持株の雄性稔性子孫は、除草剤クロロトルロン(chlorotoluron)および他のフ ェニル尿素誘導体に対して耐性であるが、一方雄性不稔性子孫はこれらに感受性 である。この耐性が、自家受粉した維持株の子孫における改変染色体を欠いてい る、各世代で全ての感受性苗条の枯死を容易にする。 あるいは、維持株は、A株と同じであってもよいが、染色体6Bについては一 染色体性であり、すなわち、ms−B1についてホモ接合性であり、かつKi− B1についてヘミ接合性であり、優性対立遺伝子Ms−Ss1とrht−Ss1を 含むアエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)の4SsS、劣性花粉キ ラー対立遺伝子ki−S11−a(これを含む花粉粒を普通コムギおよびデュー ラムコムギのKi−B1対立遺伝子による枯死に対して感受性にする)を含む アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の6S1L、および未変性単一6B染色 体の相同領域と規則的に対形成する染色体腕6BLの遠位領域からなる、1ドー ズのREC−H型の組換え改変染色体(図2c)を有する。組換え改変染色体R EC−Hの6Bとの規則的な対形成は、対等の分離を保証し、その結果配偶子の 50%に含まれることになる。ki−S11−aの存在のため、組換え改変染色 体は、花粉粒により遺伝されない。従って、組換え維持株による雄性不稔性雌株 (A株)の受粉により、その全てが雌株と同一であり、かつ雄性不稔性である子 孫が得られる。一方、組換え維持株の自家受粉では、1/2雄性不稔性および1 /2雄性稔性子孫が得られる(図13b)。 rht−Ss1対立遺伝子を有する雄性稔性子孫は、雄性不稔性子孫よりも6 〜8cm背が高く、このため、別々に収穫することができる。このことにより、各 世代で、自家受粉維持株の子孫における雄性稔性植物の割合が一定に保たれる。 別の維持株は、A株と同じであってもよいが、染色体6Bについては一染色体 性であり、すなわち、ms−B1についてホモ接合性であり、かつsu−B1と Ki−B1についてヘミ接合性であり、優性対立遺伝子Ms−Ss1とrht− Ss1を含むアエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)の4SsS、アエ ・セアルシー(Ae.searsii)の6SsLからアエ・ロンギッシマ(Ae.longissi ma)の6S1Lに転移された優性クロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝 子Su−Ss1対立遺伝子および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−a( これを含む花粉粒を普通コムギおよびデューラムコムギのKi−B1対立遺伝子 による枯死に対して感受性にする)を含むアエギロップス・ロンギッシマ(Aegi lops longissima)の6S1L、および未変性単−6B染色体の相同領域と規則的 に対形成する染色体腕6BLの遠位領域からなる、1ドーズのREC−HR型の 組換え改変染色体(図2d)を有する。組換え改変染色体REC−HRの6Bと の規則的な対形成は、対等の分離を保証し、その結果配偶子の50%に含まれる ことになる。ki−S11−aの存在のため、組換え改変染色体は、花粉粒によ り遺伝されない。従って、組換え維持株による雄性不稔性雌株(A株)の受粉に より、その全てが雌株と同一であり、かつ雄性不稔性である子孫が得られる。一 方、組換え維持株の自家受粉では、1/2雄性不稔性および1/2雄性稔性 子孫が得られる(図14b)。 Su−Ss1対立遺伝子を有する雄性稔性子孫は、クロロトルロン(chlorotol uron)に対して耐性である。維持株区画にこの除草剤を適用すると、改変染色体 を欠く全ての雄性不稔性子孫が枯死し、雄性稔性維持植物だけが残る。 他の維持株は、Ms、rhtおよびki−S11−a対立遺伝子に加えて、追 加の選択マーカーとして、種子の青い着色を与える青いアリューロン(Ba)対 立遺伝子を含むIEC−HC型の改良改変染色体(図3a、4aおよび5a)を 含有する。3つの型のこのような改良改変染色体が産生される:(1)4SsS (Ms−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子を含む)、4EL(Ba−E1対立遺 伝子を含む)、および6S1L(ki−S11−aを含む)からなる、IEC−H C1;(2)4SsS(Ms−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子を含む)、4Am L(Ba−Am1対立遺伝子を含む)、および6S1L(ki−S11−aを含む )からなる、IEC−HC2;(3)4AmS(Ms−Am1とrht−Am1対 立遺伝子を含む)、4AmL(Ba−Am1対立遺伝子を含む)、および6S1L (ki−S11−aを含む)からなる、IEC−HC3。ki−S11−aの存在 のために、改良改変染色体は花粉粒により遺伝されない。従って、改良維持株( B株)による雄性不稔性雌株(A株)の受粉により、その全てが雌株と同一であ り、かつ雄性不稔性である子孫が得られる(図15a)。一方、維持株の自家受 粉により、80%の雄性不稔性および20%の雄性稔性子孫が得られる(図15 a)。Ba対立遺伝子の存在のために、選別機により、生長すると雄性不稔性植 物に発育する赤色/白色の種子を、生長すると雄性稔性植物に発育する青色の種 子から分離することができる。したがって、各世代で青い種子だけを植え付けす ると、全ての維持植物は雄性稔性であることを保証される。 生長すると雄性不稔性植物(A株)に発育する発育する維持株の赤色/白色の 種子を、生長すると雄性稔性株(B株)(図1bおよび15a)に発育する青色 の種子から分離可能であることにより、自家受粉維持株の子孫から直接雄性不稔 性雌株の種子を得るための代替となる好ましい方法が得られる。こうして雌種子 の産生費用はかなり低下する。 他の維持株は、改良組換え改変染色体の長腕上に、この維持株に一染色体性添 加として存在する未変性染色体6Bと規則的に対形成する染色体腕6BLの末端 セグメントを含む、IREC−HC型の改良組換え改変染色体(図3b、4bお よび5b)を含有する。この対形成は、減数分裂の間改良組換え改変染色体の規 則的な分離を確保し、その結果配偶子50%にこれらが含まれる。ki−S11 −aの存在のために、IRECは花粉粒により遺伝されない。従って、改良組換 え維持株(B株)による雄性不稔性雌株(A株)の受粉により、その全てが雌株 と同一であり、かつ雄性不稔性である子孫が得られる(図15b)。一方、組換 え維持株の自家受粉により、50%の雄性不稔性および50%の雄性稔性子孫が 得られる(図15b)。Ba対立遺伝子の存在のために、選別機により、赤色/ 白色の種子を青色の種子から分離することができる。したがって、各世代で青い 種子だけを植え付けすると、全ての維持植物は雄性稔性であることが保証される 。 多くの他のイネ科植物と同様、コムギにおいても、一価(不対)染色体の動原 体は、時折減数分裂で正常な縦分割でなく横分割(誤分割)を受けることがあり 、その結果一価から2つの端部動原体または同腕染色体への破損が起こる。一染 色体または一染色体性添加植物、すなわち、減数分裂で一価の染色体を有する植 物におけるこの事象の発生頻度は、通常低い(数パーセント)。EC−H、EC −HRおよびIEC−HC型のECは、一染色体性添加として維持株に存在し、 かつ減数分裂ではそのまま不対のままであるため、維持株の自家受粉子孫は、E Cの1つの腕だけを有する植物を含有してよい。長腕、ECL(Baとki−S1 1−a対立遺伝子を含む)を有する植物は、雄性不稔性であろう。一方、短腕 、ECS(Msとrht対立遺伝子を含む)を有する植物は、雄性稔性であろう 。ECSを有する植物は、ki−S11−a対立遺伝子を含まないため、ECS を有する雄性配偶子は、雌植物に受粉することにより、または自家受粉すること により、機能性でありえるため、雌株を汚染しうる。EC−HRの場合は、EC の短腕を持ち、長腕を欠いている植物は、クロロトルロン(chlorotoluron)に 感受性であり、自家受粉維持株の子孫へのこの除草剤の適用により選択すること ができる。IEC−HCの場合は、ECの短腕を持ち、長腕を欠いている植物は 、選別装置により、自家受粉維持株の子孫において青色の種子から分離すること が できる赤色/白色の種子を産生する。 他方では、REC−HとIREC−HC型両方の組換え改変染色体は、減数分 裂で規則的に未変性6B染色体と対形成し、その結果、その動原体が第2の減数 分裂後期で縦分割のみを受け;端部動原体は形成されず、雌株は雄性稔性植物で 汚染されない。 自家受粉改良組換え維持株の子孫における種子の割合を増大させるために(該 種子は、生長すると雄性不稔性植物に発育する)、改良組換え維持株を自家受粉 して子孫種子を別の季節に生長させることが必要である。こうして(図15bに 図示される)所望の種子の量は、約70%を超える。IREC−HC型を有する 改良組換え維持株では、2工程選択を行うことが可能である:最初に背の高い植 物(rht対立遺伝子を有するIREC−HCを含む)を収穫するために。短い 植物は、2回目の収穫で収穫し、これらの種子は、これらの色に基づき種子選別 機により分離される。赤色/白色の種子は、IREC−HCを欠いており、生長 すると雄性不稔性雌株に発育する。 雄性親株(R株、cv.「ツー(Two)」)は、本来雄性稔性Ms−B1対立 遺伝子についてホモ接合性であり、そして優性Ki−B1対立遺伝子または劣性 ki−B1対立遺伝子(ki−B1−aまたはki−B1−n)の1つのいずれ かについてホモ接合性である、任意の正常の普通コムギまたはデューラムコムギ 栽培品種である。 したがって、図13a〜b、14a〜bおよび15a〜bに示されるスキーム により、普通コムギまたはデューラムコムギのハイブリッド種子は、F1子孫と して迅速かつ効率的に産生されるが、これらの全ては、雄性不稔性対立遺伝子に ついてヘテロ接合性(Ms−B1ms−B1)であり、このため雄性稔性である 。これまでは、雄性親株として使用された全ての栽培品種は、F1ハイブリッド の雄性稔性を充分に回復することができた。例2 普通コムギのms−B1ms−B1遺伝子型における、1ドーズのアエギロップ ス・セアルシー(Aegilops searsii)の雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1により 引き起こされる、雄性稔性の発現の試験 上記ハイブリッド産生システムおよび雄性不稔性雌親株(A株)の維持の実行 可能性を試験するために、アエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)の 染色体4Ssを、雄性不稔対立遺伝子ms−B1−cについてホモ接合性である 、普通コムギの完全な補完体に加えた、異種一染色体性添加株を産生することが 第1に必要であった。これは、Ms−B1、rht1およびrht2についてホ モ接合性であり、かつ2ドーズのMs−Ss1とrht−Ss1を含む、二染色体 4Ss添加株(背の高い普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese S pring)とのアエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)acc.TE− 10の交配から誘導されたもの、ジー・ハート教授(Prof.G.Hart)、土壌お よび穀物科学(Soil and Crop Science)、テキサス・エー&エム大学(Texas A & M University)、カレッジステーション(College Station)、テキサスに供 与して頂いた)を、半矮性普通コムギcv.ガメニア(Gamenia)のms−B1 −cms−B1−c Rht1Rht1rht2rht2雄性不稔性遺伝子型( エム・マッケイ博士(Dr.M.MacKay)、オーストラリア冬穀類コレクション(A ustralian Winter Cereal Collection)の評議員、アールアールエム(RRM)9 44、カララ・レーン(Calala Lane)、タムワース(Tamworth)、ニューサウ スウェールズ州、オーストラリアにより供与して頂いた)と交配することにより 行った。生じるF1植物は、全てヘテロ接合性のMs−B1ms−B1−cであ り、Ms−Ss1対立遺伝子を有する4Ssの1つの添加染色体を含んでいた。こ れらの植物は、自家受粉して、ms−B1−cについてホモ接合性であるF2植 物(DNAマーカーの表現型により示される)を選択した。全ての正倍数体のm s−B1−cms−B1−c植物は、予想通り、雄性不稔性であったが、Ms− Ss1を含む追加の4Ss染色体を有するホモ接合体は、全て雄性稔性であったが 、このことは、2ドーズのms−B1−cに勝るMs−Ss1の完全な優性を示 している。例3: 高さの低下する対立遺伝子Rht1またはRht2についてホモ接合性の普通コ ムギ植物と、rht−Ss1対立遺伝子を含むアエ・セアルシー(Ae.searsii) の染色体4Ssを有する他は同遺伝子型植物との間の高さの差の試験 アエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)は、短い背丈の植物である 。それにもかかわらずこれは、植物の高さを増進させるrht−Ss1対立遺伝 子を含有する。この対立遺伝子は、群4の染色体の短腕上の、動原体から約15 cMに位置する、普通コムギのrht対立遺伝子に同祖である(マッキントッシュ (McIntosh)、1993年)。rht−Ss1は、4SsSの末端領域上に位置す る、雄性稔性Ms−Ss1対立遺伝子に連関している。染色体4Ssは、正常な普 通コムギバックグラウンド中のコムギ同祖体と対形成しないため、rht−Ss 1とMs−Ss1対立遺伝子は異種改変染色体の異なる型で永続的に連関してい る。改変染色体上のrht−Ss1対立遺伝子の存在が、背の高い植物を促進し 、よって維持株の雄性稔性子孫、すなわち、改変染色体を含む株の差別的収穫を 容易にする選択マーカー対立遺伝子として役立つ。このことは、各世代で、自家 受粉維持株の子孫における雄性稔性植物の割合を一定に保つ。 Rht対立遺伝子の1つについてホモ接合性である、普通コムギの植物の高さ に及ぼすrht−Ss1の作用を試験するために、我々は、二染色体4Ss添加株 を半矮性普通コムギcv.ガメニア(Gamenia)と交配した(両方とも例2に記 載されている)。生じたF1植物は、Rht対立遺伝子の1つについて全てヘテ ロ接合性であり、rht−Ss1対立遺伝子を有する4SSの1つの追加の染色 体を含んでいた。これらの植物は自家受粉して、Rhtについてホモ接合性また はヘテロ接合性のいずれかであるF2植物(これらの高さにより示された)を選 択した。全ての正倍数体は、rht−Ss1対立遺伝子を含む追加の4Ss染色体 を有する植物よりも短かった(平均6〜8cm)が、このことは、半矮正普通コム ギ遺伝子型におけるrht−Ss1の存在が、選択マーカーとして使用すること ができる背の高い植物の高さを促進することを示している。例4: クロロトルロン(chlorotoluron)感受性対立遺伝子su−B1についてホモ接 合性である普通コムギ植物およびさらに優性耐性対立遺伝子Su−Ss1を含む 改変染色体も有する同遺伝子型植物に及ぼすクロロトルロン(chlorotoluron) の作用の試験 普通コムギの異なる栽培品種は、除草剤クロロトルロン(chlorotoluron)お よ び他の尿素のフェニル誘導体に対して異なる反応を示す;優性対立遺伝子Su− B1を含むいくつかの栽培品種(例えば、カペッレ・デスプレズ(Cappelle Des prez))は耐性であり、一方劣性対立遺伝子su−B1を含む他の栽培品種(例 えば、チャイニーズスプリング(Chinese Spring))は感受性である(スネープ (Snape)ら、1991年)。この遺伝子は染色体6Bの長腕(6BL)上に動 原体から約0.5cMに位置する。ゲノムがコムギのBゲノムに近縁である二倍体 アエギロップス(Aegilops)種の異なる株もまた、クロロトルロン(chlorotolu ron)に対して異なる反応を示す:多くの株はその除草剤に感受性であるが、ア エ・セアルシー(Ae.searsii)の1つの株はその化学物質に耐性である。アエ ・セアルシー(Ae.searsii)の染色体6SsLはアエ・ロンギッシマ(Ae.long issima)の6S1Lとほぼ規則的に対形成するため、改変染色体EC−Hの6S1 Lに耐性対立遺伝子を転移させることが可能であり(図8a、b)、そしてEC −HR型の改変染色体を産生する。染色体腕4SsSと6SsLは、正常普通コム ギバックグラウンド中でこれらのコムギ同祖体と対形成しないため、Su−Ss 1対立遺伝子は改変染色体の他の対立遺伝子、すなわち、Ms−Ss1、rht −Ss1およびKi−S11−aと永続的に連関している。改変染色体上のクロロ トルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子の存在により、各世代で、自家受粉 維持株の子孫において雄性稔性維持植物(改変染色体を有する)には影響するこ となく、改変染色体を欠いている雄性不稔性植物の選択的枯死が容易になる。こ れにより、各世代で、自家受粉維持株の雄性稔性子孫だけが生長することが保証 される。 種々の遺伝子型上のクロロトルロン(chlorotoluron)の作用を試験するため に、我々はこの除草剤を、大量産生圃場で推奨される速度の2倍の速度で、除草 剤感受性対立遺伝子su−B1についてホモ接合性の普通コムギの植物、および クロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss1を含むアエ・セア ルシー(Ae.searsii)の株に、噴霧した。劣性su−B1対立遺伝子を含む全 ての植物は、噴霧から10〜14日以内に枯死したが、優性Su−Ss1対立遺 伝子を含む植物は生存した。例5: 種子色に及ぼす青色のアリューロンの作用および青色と赤色/白色の種子の分離 普通コムギまたはデューラムコムギの種子色は赤色または白色である;赤色は 、種皮の色素の存在に起因する。普通コムギおよびデューラムコムギに関連する いくつかの種、例えば、ティー・モノコックム(T.monococcum)、エー・エロ ンガツム(A.elongatum)、エー・グラウクム(A.glaucum)、エー・トリコフ ォルム(A.tricophorum)、エー・ジュンセウム(A.junceum)、セカーレ.モ ンタヌム(Secale montanum)、セカーレ・セレアレ(Secale cereale)および ホルデウム・スポンタネウム(Hordeum spontaneum)は青色の種子を有する株を 含有する。青い色素は、内乳の三倍体アリューロン層におけるアントシアニンの 産生に起因する(総説についてはゼヴェン(Zeven)、1991年を参照のこと )。この青色の色素は、アリューロンの遺伝子型、キセニアとして知られている 現象を示し、すなわち、青色のアリューロン植物により受粉した赤色/白色種子 の植物は青色の種子を産生する。この青色は、ティー・モノコックム(T.monoc occum)の染色体4Amまたはイー・ポンティカ(E.pontica)の4Eの長腕上に 位置する(ゼヴェン(Zeven)、1991年)、青色のアリューロン(Ba)対 立遺伝子(ケッペネ(Keppenne)とバエンジガー(Baenziger)、1990年の 後に呼称、アール・エー・マッキントッシュ博士(Dr.R.A.McIntosh)、コム ギの遺伝子記号のコーディネーターによる)により決定される。オオムギのBa 遺伝子座(B1と呼ばれる)は、染色体4Hの長腕上に、動原体から20cMに位 置する(穀物遺伝子(Grain Genes)データベース、ref:BCN−25−9 3)。従って、トリチセアエ(Triticeae)種に存在する遺伝子シンセニー(syn theny)に基づき、ティー・モノコックム(T.monococcum)やイー・ポンティカ (E.pontica)でもこの遺伝子が動原体からほぼ同じ距離に位置することが想定 される。普通コムギへの4Amまたは4Eの一染色体性添加株の種子は青色であ り、このことはBa対立遺伝子の完全な優性を示している。この対立遺伝子は、 色の強度により明らかになる用量依存作用性がある:3ドーズのBaは暗青色の 種子を与え、2ドーズ(雌配偶子による対立遺伝子の遺伝に起因する)では中位 の青色の種子が得られるが、1ドーズ(雄性配偶子による対立遺伝子の遺伝に起 因する)では明青色の種子が得られる。植物が生長する環境、例えば、結実期の 乾燥および温 暖条件、さらには植物の遺伝子的バックグラウンドは、Ba対立遺伝子の発現を 低下させ、1ドーズのBaを有する種子のある種の誤分類を引き起こす。2また は3ドーズのBaを有する種子は、常に正しく分類される。Ba対立遺伝子は、 Ba−E1であれBa−Am1であれ、異種組換え改変染色体に転座するが、こ れは通常そのコムギ同祖体と対形成しない。よってMs−Ss1とrht−Ss1 対立遺伝子またはMS−Am1とrht−Am1対立遺伝子さらにはki−S11 −a対立遺伝子に永続的に連関しているBa対立遺伝子は、優れた選択マーカー として使用することができる。青色の種子は、選別装置(ソーテックス(Sortex )5000など)の使用により赤色/白色の種子から分離することができる。こ れは、大量の種子の分離に使用することができ、よって大量産生の応用に使用す ることができる。例6: 普通コムギの優性花粉キラー対立遺伝子Ki−B1によるki−S11−a含有 花粉の枯死の試験 ロエゲリング(Loegering)とシアーズ(Sears)(1963年)は、普通コム ギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の染色体腕6BLが、c v.ティムステイン(Timstein)の劣性ki対立遺伝子(=ki−B1−a)を 有する花粉粒を枯死させる優性花粉キラー対立遺伝子を含むことを発見した。2 つのテスター株、チャイニーズスプリング(Chinese Spring)とティムステイン (Timstein)とのいくつかの普通コムギ栽培品種の交配において、彼らは、花粉 キラー遺伝子座の少なくとも3つの対立遺伝子:優性Ki(=Ki−B1)、劣 性ki(=ki−B1−a)および中性(=ki−B1−n)対立遺伝子を発見 した。 優性対立遺伝子は花粉のみを枯死させ、卵は枯死させないため、異種優性雄性 不稔対立遺伝子Ms−Ss1を含む花粉の遺伝を阻止するために使用することが できる。これには、Ms−Ss1とki−B1−a対立遺伝子の間に永続的な連 関の確立が必要である。このような連関は、これら2つの対立遺伝子を含み、通 常コムギの同祖染色体と対形成しない、異種染色体を作成することにより達成す ることができる。このような改変染色体の作成のための前もって必要な条件は、 コムギの1つの野生型近縁株で劣性花粉キラー対立遺伝子が利用可能であること である。 チャイニーズスプリング(Chinese Spring)のバックグラウンドで一連のアエ ・ロンギッシマ(Ae.longissima)添加株を産生しながら、本発明の発明者らは 、アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の染色体6(6S1)が、染色体6B を欠損している植物のみで花粉により遺伝されることを認めた。アレキサンダー (Alexander)試薬(Stain Technology,44:117)で染色 した花粉における花粉発育停止の分析により、6S1一染色体性添加株では、約 20%が発育停止した花粉粒が見られ(これらは恐らく6S1染色体を含む)、 一方6S1S一端部染色体性(monotelosomic)添加株では、わずか2〜3%の発 育停止した花粉が認められた。自家受粉した一染色体性添加植物の子孫には二染 色体性添加植物は見い出されなかった。このことは、卵による6S1の遺伝は影 響されず、6Bの存在下で(すなわち、Ki−B1の存在下で)花粉による6S1 の遺伝は完全に阻止されることを示している。いくつかの入手したアエ・ロン ギッシマ(Ae.longissima)の染色体6S1は、劣性花粉キラー対立遺伝子(本 明細書ではki−S11−aと呼ばれる)(これを含む花粉粒は、普通コムギの Ki−B1対立遺伝子による枯死に対して感受性である)を含むことが想定され る。例7: Ms−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子を含む4SsSおよびki−S11−a対 立遺伝子を含む6S1Lを含む改変染色体EC−H1の作成 普通コムギに単一ドーズで存在する染色体は未変性であれ異種であれ、一染色 体または一染色体−添加株と同様に、減数分裂で動原体誤分割、すなわち、動原 体の縦分割よりもむしろ横分割を低い頻度で受けることがあり、その結果1つま たは2つの安定な端部動原体の染色体が産生される。それぞれ単一ドーズで存在 する2つの非相同染色体が誤分割を同時に受けるならば、生じる異なる染色体の 端部動原体は、融合して転座染色体が得られることがある(シアーズ(Sears) 、1972年)。この動原体融合の頻度は、1%未満(シアーズ(Sears)、1 972年)から23%以上(ルカスゼウスキ(Lukaszewski)、1993年)ま で変化 する。 我々は、改変染色体4SsS/6S1Lの作成にこの現象を利用した。ki−S1 1−aを含む一染色体6S1添加株の、Ms−Ss1とrht−Ss1を含む4Ss 二染色体性添加株による受粉により、染色体4Ssを有し、かつその1/4は染 色体6S1も有するF1子孫すなわち、二重一染色体性添加株が生じた。これらの 植物の4Ssと6S1の存在は、それぞれDNAプローブPSR921とPSR9 15の使用により確認した。 約2000のF2植物を得て、最初に染色体計数によりスクリーニングした。 一染色体性添加、すなわち2n=43であるこれらの苗条は、4SsLまたは6 S1Sのいずれかを有する苗条を排除するためDNAマーカーによるさらなるス クリーニングに付した。いくつかの植物は、4SsSと6S1Lを有することが見 い出された。C分染法分析により、所望の中心融合の存在を確認した。 予想されるように、この染色体は花粉粒により遺伝されず、一染色体性添加株 として改変染色体を含む植物による正倍数体植物の全ての受粉では、正倍数体子 孫のみが得られたが、一方一染色体性添加株の自家受粉では43染色体を有する 約20%の苗条が得られた。例8: Ms−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子を含む4SsSおよびSu−Ss1ki− 11−a対立遺伝子を含む6S1Lを含む改変染色体EC−HR1の作成 改変染色体EC−HR1を作成するために、優性クロロトルロン(chlorotolu ron)耐性対立遺伝子Su−Ss1を、アエ・セアルシー(Ae.searsii)の選択 した株の染色体腕6SsLから改変染色体EC−H1の6S1L腕中に転移させる 。これは、普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)で雄 性稔性維持株から誘導された雄性稔性雌親株を交配することにより達成される。 この雌親株は、ms−B1、su−B1およびKi−B1対立遺伝子についてホ モ接合性であり、一染色体性添加としてその短腕上にMs−Ss1とrht−Ss 1対立遺伝子、およびその長腕上にsu−S11ki−S11−a対立遺伝子を含 む改変染色体EC−H1(4SsS/6S1L)を、染色体6Ssの長腕(すなわ ち6SsL)上のクロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子、さ らには4SsS上のMs−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子を含む二倍体種アエ ・セアルシー(Ae.searsii)の株とともに有する。約20%のF1子孫は、改変 染色体EC−H1を有しており、このため2n=29染色体を含有し、そして2 n=28である他のF1植物から識別することができる。改変染色体を有するF1 植物は、改変染色体(4SsS/6S1L)の、アエ・セアルシー(Ae.searsii )の染色体腕4SsSと6SsLとの対形成により、最初の減数分裂中期に26個 の一価(26’)および1個の三価(1''')を示す。ECの4Ssの、アエ・セ アルシー(Ae.searsii)の4SsSとの対形成は、ECの短腕の対立遺伝子構成 を変化させないが、6S1Lと6SsLの間の対形成からは、動原体とSu遺伝子 座の間の交配およびSuとki遺伝子座の間の2回目の交配の後、所望のEC− HR1染色体が得られる。2n=29F1植物をsu−B1についてホモ接合性 であるチャイニーズスプリング(Chinese Spring)により受粉させると、一染色 体性添加として所望の改変染色体EC−HR1を含有する2n=43(21''+ 1’)である植物が得られる。自家受粉一染色体性添加植物の子孫にクロロトル ロン(chlorotoluron)を適用すると、2n=42(EC−HR1を欠いており 、およびそのためクロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子を欠いてい る)である全ての植物が枯死し、2n=43である植物(すなわち、EC−HR 1を含む植物)のみが影響を受けずに残る。例9: 異種染色体4SsS/4ELと4SsS/6AmLとの中央合着による作成 我々はまた、4SsS/4ELおよび4SsS/4AmLの構成を有する異種染 色体を産生するために中央合着の現象も利用した。ヘテロ接合性Ms−B1ms −B1Ki−B1Ki−B1を有し、Ba−E1対立遺伝子を含む普通コムギへ の4E一染色体性添加株の、ホモ接合性ms−B1ms−B1Ki−B1Ki− B1でMs−Ss1とrht−Ss1を含む4Ss二染色体性添加株での受粉に従 って、染色体4Ssを有し、その1/4が染色体4Eも有する、F1子孫、すな わち、二重一染色体性添加が得られた。これらの植物における4Eと4Ssの存 在は、それぞれ青色の種子およびDNAマーカーにより確認した。青色のF2種 子(F1植物上)を選択し、発芽させて、所望の植物を染色体の計数により 選択した。一染色体性添加(2n=43)は、染色体腕4SsLまたは4ESの いずれかを有する植物を排除するためにDNAマーカーによるさらなるスクリー ニングに付した。いくつかの植物は、4SsSと4ELを有することが見い出さ れた。C分染法分析により、所望の中央合着の存在を確認した。4SsS/4Am Lの産生において、我々は4Ss一染色体性添加を二染色体(4B)4Am置換株 により受粉させ、F1において三重一染色体の組合せ(一染色体4B、および二 重一染色体性添加4Ssと4Am)を選択した。これらの選択F1植物を自家受粉 させて、二重一染色体性添加4Ssと4Amを産生した。これらの植物における4 Ssと4Amの存在は、青色の種子色およびDNAマーカーにより確認した。 青色のF2種子(F1植物上)を発芽させ、染色体の計数により苗条をスクリー ニングした。一染色体(2n=43)添加を選択して、4SsLまたは4AmSの いずれかを有する植物を排除するためにDNAマーカーによりさらにスクリーニ ングした。いくつかの植物は、4SsSと4AmLを有することが見い出された。 C分染法分析により、所望の中央合着した染色体の存在を確認した。例10: 4SsS(Ms−Ss1とrht−Ss1を含む)、6S1L(ki−S11−aを 含む)および6BLの遠位領域を含む、組換え改変染色体REC−H1の産生 同祖染色体腕6BLと6S1Lは、普通コムギのPh1遺伝子の存在下で対形 成しない。染色体5Bの長腕に位置するこの優性対立遺伝子は、相同体の規則的 な対形成は可能にするが、同祖染色体の対形成を防止する。栽培品種チャイニー ズスプリング(Chinese Spring)のX線照射により、劣性突然変異(ph1b) をこの遺伝子座で誘導したが、これは、ホモ接合性条件では、同祖対形成を抑制 しない(シアーズ(Sears)、1977年)。この突然変異を使用して、6BL と6S1Lの間の同祖対形成および組換えを誘導した。 アエ・ロンギッシマ(Ae.longissima)の一対の染色体6S1が、普通コムギ cv.チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の一対の染色体6Bを置換し た、6S1(6B)二染色体置換株を変異体株ph1bph1bにより受粉させ た。一染色体6B−一染色体置換6S1およびヘテロ接合性Ph1ph1bであ るF1ハイブリッドを、雌株として変異体株と戻し交配して、ph1bについて ホモ接合性である二重一染色体をDNAプローブWPG90(このプローブは、 我々が作成したものであり、要望があれば入手可能である)の使用により選択し た。これらの選択したBC1子孫植物は、二端部染色体(ditelosomic)6BS株 により受粉させて、子孫を得て、そのいくつかは一端部染色体(monotelosomic )6BSであり、組換え染色体6S1/6BLについて一染色体性である、すな わち、組換え染色体は、6S1の短腕、6S1の長腕の近位領域および6BLの遠 位領域を含む(転座区切り点は、6S1L上のki−S11−aの遺伝子座に対し て遠位にある)。この転座染色体の選択は、6BSとの対形成の欠失により、お よび6S1L上にki−S11−aとは遠位に位置するDNAマーカーおよび6B Lの遠位領域上のDNAマーカーにより行われる。一端部染色体(monotelosomi c)6BS−一染色体6S1/6BLであり、優性雄性稔性対立遺伝子Ms−B1 についてホモ接合性であり、Ki−B1が欠損しており、そしてki−S11− aについてヘミ接合性である選択した遺伝子型は、雄株として、一染色体性添加 として改変染色体EC−H1を含む株(例6を参照のこと)と交配した。いくつ かの子孫は、三重一染色体、すなわち、6B、4SsS/6S1Lおよび6S1/ 6BLについて一染色体であり、これらの植物から、選択は、DNAマーカーを 使用して、ヘテロ接合性のms−B1−c Ms−B1 Ms−Ss1およびK i−B1ki−S11−aについて行った。これら選択した子孫植物において、 対形成は、2つの転座染色体の6S1の近位領域に起こり、このため、組換え改 変染色体REC−H1(4SsS/6S1L/6BL)の産生が起こる。選択した 子孫の自家受粉により、特に、ホモ接合性のms−B1−c ms−B1−cで あり、Ki−B1とki−S11−aについてヘミ接合性である、6BとREC −H1を有する、二重一染色体植物が得られた。 同様に、選択した一端部染色体6BS−一染色体6S1/6BLは、雄株とし て、一染色体性添加として改良改変染色体IEC−HC1、IEC−HC2およ びIEC−HC3を含む株と交配した。各交配のいくつかの子孫は、三重一染色 体、すなわち、6B、6S1/6BLおよび改良改変染色体について一染色体で あり、そしてこれらの植物から選択は、DNAマーカーを使用して、ms−B1 Ms−B1およびKi−B1Ki−B1についてヘテロ接合性について行った。 これらの選択した植物において、対形成は2つの転座染色体の6S1の近位領域 で起こり、このため、改良REC改変染色体IREC−HC1(4SsS/4E L/6S1L/6BL)、IREC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L/6B L)およびIREC−HC3(4AmS−4AmL/6S1L/6BL)の産生が 起こる。選択した植物の自家受粉により、特に、ホモ接合性のms−B1−c ms−B1−cであり、Ki−B1とki−S11−aについてヘミ接合性であ る、6Bと改良REC改変染色体を有する、二重一染色体植物が得られた。例11: 4SsS(Ms−Ss1とrht−Ss1を含む)、6S1L(Su−Ss1とki −S11−aを含む)および6BLの遠位領域を含む、組換え改変染色体REC −HR1の産生 REC−HR1の産生は、組換え改変染色体REC−H1を含む一染色体性添 加株のクロロトルロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Su−Ss1を含むアエ ・セアルシー(Ae.searsii)の株との交配、25’+1'''を有するF1植物の 選択およびチャイニーズスプリング(Chinese Spring)でのこれらの受粉により 行われる(例8と同様)。例12: 改良改変染色体IEC−HC1(4SsS/4EL/6S1L)、IEC−HC2 (4SsS/4AmL/6S1L)およびIEC−HC3(4AmS−4AmL/6 1L)の産生 これらの改良改変染色体の産生は、6S1Lの遠位領域(ki−S11−a対立 遺伝子を含有する)を中央合着した染色体の4ELまたは4AmLの同祖領域と 交換する、末端転座の産生を伴う。転座区切り点は、4ELまたは4AmLのB a対立遺伝子(動原体から約30cMに位置する)と6S1Lのki−S11−a対 立遺伝子(動原体から約50cMに位置する)の間にある。 末端転座は、種子または花粉粒のX線または熱中性子照射の使用により何度も 誘導される(ケッペネ(Keppenne)とバエジガー(Baeziger)、1990年;シ ャーマ(Sharma)とノット(Knott)、1966年)。熱中性子は、転座を誘導 するのにかなり有効性が高く、発芽の減少を引き起こさない。 中央合着した染色体4SsS/6S1L(例6を参照のこと)の一染色体性添加 であり、Ms−Ss1、rht−Ss1およびki−S11−aをも含む、ms− B1とKi−B1対立遺伝子についてホモ接合性である植物を、(i)ms−B 1とKi−B1対立遺伝子についてホモ接合性であり、それぞれMs−Ss1、 rht−Ss1およびBa−E1またはBa−Am1をも含む、融合染色体4Ss S/4ELまたは4SsS/4AmLの一染色体性添加、または(ii)Ms−Am 1、rht−Am1およびBa−Am1をも含む、一染色体性添加4Amのいずれ かにより受粉させる。親株の組合せに依存して、F1子孫は、二染色体S添加お よび二重一染色体L添加4SsS/6S1L+4SsS/4EL、4SsS/6S1 L+4SsS/4AmLまたは4SsS/6S1L+4Amをも含有する。多数の青 色の種子を選択して、1013thcm-2の熱中性子を照射する。処理種子を発芽さ せて、染色体の計数により、および一染色体性添加についてDNAプローブの使 用により選択を行う。これらの植物は自家受粉させることができ、青色の種子に ついてその子孫で選択を行うが、これらの種子は生長すると雄性稔性植物に発育 し、これらの全ては所望の転座を含む。例13: 所望の普通コムギまたはデューラムコムギ栽培品種の、雄性不稔性雌株とEC− H、EC−HRまたはIEC−HCのいずれかを有する維持株への変換 所望の普通コムギ栽培品種の、雄性不稔性雌親株と維持株(存在する雌株と維 持株の相補対立遺伝子が、所望の栽培品種の相補対立遺伝子により置換して、雄 性不稔性雌株と、所望の栽培品種の相補対立遺伝子を有する維持株または改良維 持株を与える)への変換の方法は、図16a、17aおよび18aに概略図によ り示す。 この方法において、EC−H1、EC−HR1またはIEC−HCの型の1つ のいずれかを有し、劣性雄性不稔対立遺伝子ms−B1−cおよび優性花粉キラ ー対立遺伝子Ki−B1についてホモ接合性であり、かつ優性対立遺伝子Ms− Ss1とrht−Ss1および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−aを含み 、EC−HR1の場合にはSu−Ss1対立遺伝子も含む、異種改変染色体4Ss S/6S1L、あるいはそれぞれ優性対立遺伝子Ms−Ss1とrht−Ss1、 優性青色アリューロンBa−E1および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11 −aを、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki−S11−aを、 またはMS−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S11−a対立遺 伝子を含む、改良改変染色体4SsS/4EL/6S1L、4SsS/4AmL/6 S1Lまたは4AmS−4AmL/6S1Lを有する維持株を、ホモ接合性のMs− B1Ms−B1およびki−B1−aki−B1−aである所望の栽培品種によ り受粉させる。F1ハイブリッドは、雄性不稔対立遺伝子、Ms−B1ms−B 1−cおよび花粉枯死対立遺伝子Ki−B1ki−B1−aについて全てヘテロ 接合性であり、そのいくつかは、改変染色体をも含む。これらの植物を選択して 、再度所望の栽培品種により受粉させて、BC1子孫が得られるが、その1/4 はヘテロ接合性のMs−B1ms−B1−cKi−B1ki−B1−aであり、 そのいくつかは改変染色体をも有する。一染色体性添加苗条は、染色体の計数に より選択する(すなわち、2n=43の苗条の選択)。両方の遺伝子座のヘテロ 接合性は、DNAマーカーの使用および子孫試験により求める。選択した子孫植 物は、さらに雌株として、所望の栽培品種と、次の4世代にわたって戻し交配さ せて、第5世代戻し交配子孫(BC5)が得られる。各世代で、子孫をBC1子孫 について記載されるように分析して、一染色体性添加として改変染色体を有する ヘテロ接合性のMs−B1ms−B1−cKi−B1ki−B1−aの植物を選 択する。BC5の自家受粉により、子孫が得られるが、その3/64は、ホモ接 合性のms−B1−cms−B1−cKi−B1Ki−B1であり、かつ所望の 雄性不稔性雌株である。同様な遺伝子型を持ち、かつ改変染色体をも有する、こ の子孫の別の群(1/80)は、所望の維持株である。例14: 所望の普通コムギまたはデューラムコムギ栽培品種の、雄性不稔性雌株とREC −H、REC−HRまたはIREC−HCのいずれかを有する組換え維持株への 変換 所望の普通コムギ栽培品種の、雄性不稔性雌親株と組換え維持株(存在する雌 株と維持株の相補対立遺伝子が、所望の栽培品種の相補対立遺伝子により置換し て、雄性不稔性雌株と、所望の栽培品種の相補対立遺伝子を有する組換え維持株 を与える)への変換の方法は、図16b、17bおよび18bに概略図により示 す。 この方法において、一染色体6B−一染色体置換4SsS/6S1L/6BLで あり、劣性雄性不稔対立遺伝子ms−B1−cについてホモ接合性であり、優性 雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1を有し、そして優性花粉キラー対立遺伝子Ki −B1および劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−aについてヘミ接合性で あり、REC−HR1の場合には、Su−Ss1対立遺伝子についてもヘミ接合 性である、組換え維持株、あるいはそれぞれMs−Ss1、rht−Ss1、Ba −E1およびki−S11−a対立遺伝子、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba −Am1およびki−S11−a対立遺伝子、またはMs−Am1、rht−Am1 、Ba−Am1およびki−S11−a対立遺伝子を含む、改良改変染色体4Ss S/4EL/6S1L/6BL、4SsS/4AmL/6S1L/6BLまたは4Am S−4AmL/6S1L/6BLの一染色体置換である、1つの改良組換え維持 株を、ホモ接合性のMs−B1Ms−B1およびki−B1−aki−B1−a である所望の栽培品種により受粉させる。F1ハイブリッドは、雄性不稔対立遺 伝子について全てヘテロ接合性(Ms−B1ms−B1−c)であり、その1/ 2は、6B(この染色体をその雄親株から受けるため、ki−B1−aについて ヘミ接合性)およびRECあるいはIRECについて二重一染色体であり、そし て1/2は、二染色体6Bおよびヘテロ接合性のKi−B1ki−B1−aであ る。これらの二染色体および二重一染色体植物を選択して、所望の栽培品種によ り受粉させて、BC1子孫が得られるが、その1/2はヘテロ接合性のMs−B 1ms−B1−cである。このBC1子孫は、2つの型を含む:1つの型は、二 重一染色体F1植物(この1/2は、6Bについて二重一染色体であり、そのた め、ki−B1−a、およびRECあるいはIRECについてヘミ接合性である )の受粉に由来する;およびもう1つの型は、二染色体F1植物(この半分は、 ヘテロ接合性のKi−B1ki−B1−aである)の受粉に 由来する。一染色体6B−4SsS/6S1L/6BL、4SsS/4EL/6S1 L/6BL、4SsS/4AmL/6S1L/6BLまたは4AmS−4AmL/6 S1L/6BLのいずれかの一染色体置換およびヘテロ接合性のKi−Blki −B1−aである二染色体6Bである、細胞学的分析およびDNAマーカーの使 用により選択される、ヘテロ接合性のMs−B1ms−B1−cのBC1植物は 、さらに雌株として、所望の栽培品種と、次の4世代にわたつて戻し交配させて 、第5世代戻し交配子孫(BC5)が得られる。各世代で、子孫をBC1子孫につ いて記載されるように分析して、ヘテロ接合性のMs−B1ms−B1−cであ り、一染色体性添加としてRECまたはIRECを有するヘミ接合性のki−B 1−a、またはヘテロ接合性のKi−B1ki−B1−aである二染色体6Bの いずれかである植物を選択する。選択した二重一染色体6B−RECまたはIR EC BC5植物を次に、二染色体6B BC5により受粉させて、BC52子孫 が得られるが、その1/8は、ms−B1−cms−B1−cMs−Ss1 K i−B1およびki−S11−aを含む二重一染色体6B−RECまたはIREC であり、およびそれぞれ所望の組換え維持株または改良組換え維持株のいずれか であり、そして1/8は、ms−B1−cms−B1−cおよびKi−B1Ki −B1を有する二染色体であり、かつ所望の雄性不稔性雌株である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ハイブリッドコムギの生産において使用するための普通コムギまたはデュー ラムコムギの雄性不稔性雌親株の維持のための方法であって、 (a)雌親株を雄性親株と交配すること[該雌親株は、染色体4Bの短腕(4 BS)上の劣性ms−B1雄性不稔対立遺伝子の任意の1つと、染色体6Bの長 腕(6BL)上の優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホモ接 合性である雄性不稔性植物であり、該雄性親株は維持株であり、かつ雌親株と同 遺伝子型であり、雌親株の同じms−B1とKi−B1対立遺伝子についてホモ 接合性であり、そして(i)優性雄性稔性対立遺伝子Ms、6BL上の未変性花 粉キラー対立遺伝子の枯死作用に感受性の劣性対立遺伝子ki、および1つまた は2つの選択マーカー(これにより、この染色体を有する植物を選択することが できる)を含む、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体から得られるセグメン トからなる、改変染色体(ここではECと呼ぶ);および(ii)Ms、ki、お よび選択マーカー対立遺伝子に加えて、種子マーカー(これにより、この染色体 を有する種子を、これを持たない種子から分離することができる)を含む、2つ またはそれ以上の異なる異種染色体から誘導されるセグメントからなる、改良さ れた改変染色体(ここではIECと呼ぶ)から選択される添加異種改変染色体を 有する]:および (b)(a)の交配から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては、該雄性 不稔および花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性であり、改変染色体ECま たはIECを欠いており、該種子は、生長すると該雄性不稔性雌株に発育する] 、 を特徴とする上記方法。 2.改変染色体(ここではEC−IIと呼ぶ)は、選択マーカーとして正常の植物 の高さを決定するrht対立遺伝子を有する、請求の範囲第1項記載の方法。 3.改良された改変染色体(ここではIEC−11と呼ぶ)は、選択性マーカーと してrht対立遺伝子、そして種子マーカーとして種子の青色を決定するBa対 立遺伝子を有する、請求の範囲第1項記載の方法。 4.改変染色体EC−IIは、短腕にMs−Ss1とrht−Ss1を有し長腕に ki−S1 1−aを有する4SsS/6S1Lからなる改変染色体EC−II1で ある、請求の範囲第2項記載の方法。 5.改良された改変染色体IEC−IICは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba −E1およびki−S11−aを有する4SsS/4EL/6S1LからなるIE C−IIC1;Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki−S11−a を有する4SsS/4AmL/6S1LからなるIEC−IIC2;および、Ms− Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを有する4AmS− 4AmL/6S1LからなるIEC−IIC3よりなる群から選択される、請求の範 囲第3項記載の方法。 6.ハイブリッドコムギの生産に使用するための普通コムギまたはデューラムコ ムギの雄性不稔性雌親株の維持のための方法であって、 (a)雌親株を雄性親株と交配すること[該雌親株は、染色体4Bの短腕(4 BS)上の劣性ms−B1雄性不稔対立遺伝子の任意の1つと、および染色体6 Bの長腕(6BL)上の優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方について ホモ接合性である雄性不稔性植物であり、該雄性親株は維持株であり、かつ雌親 株と同遺伝子型であり、雌親株の同じms−B1対立遺伝子についてホモ接合性 であるが、Ki−B1対立遺伝子を含む染色体6Bと、(i)Ms対立遺伝子、 ki対立遺伝子、および1つまたは2つの選択マーカー(これにより、この染色 体を有する植物を選択することができる)を含む、2つまたはそれ以上の異なる 異種染色体からおよび未変性の染色体腕6BLの遠位セグメントから得られるセ グメントからなる、組換え改変染色体(ここではRECと呼ぶ);および(ii) Ms、ki、および選択マーカー対立遺伝子に加えて、種子マーカー(これによ り、この染色体を有する種子を、これを持たない種子から分離することができる )を含む、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体および未変性染色体腕6BL の遠位セグメントから得られるセグメントからなる、改良された改変染色体(こ こではIRECと呼ぶ)から選択される組換え改変染色体との両方について一染 色体性である];および (b) (a)の交配から子孫種子を収穫すること[この種子の全ては、該雄性不 稔性および花粉キラー対立追伝子についてホモ接合性であり、組換え改変染色 体RECまたはIRECを欠いており、該種子は、生長すると該雄性不稔性雌株 に発育する]、 を特徴とする上記方法。 7.組換え改変染色体(ここではREC−IIと呼ぶ)は、選択マーカーとして正 常の植物の背丈を決定するrht対立遺伝子を有する、請求の範囲第6項記載の 方法。 8.改良組換え改変染色体(ここではIREC−IICと呼ぶ)は、選択マーカー rht対立遺伝子、および種子マーカーとして種子の青い色を決定するBa対立 遺伝子を有する、請求の範囲第6項記載の方法。 9.組換え改変染色体REC−IIは、短腕上にMs−Ss1およびrht−Ss 1かつ長腕上にki−S11−aを有する4SsS/6S1L/6BLからなる組 換え改変染色体REC−II1である、請求の範囲第7項記載の方法。 10.改良組換え改変染色体IRECは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba− E1およびki−Ss1−aを有する4SsS/4EL/6S1L/6BLからな るIREC−IIC1;Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki− S11−aを有する4SsS/4AmL/6S1L/6BLからなるIREC−IIC 2;およびMs−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを 有する4AmS−4AmL/6S1L/6BLからなるIREC−IIC3よりなる 群から選択される、請求の範囲第8項記載の方法。 11.改変染色体EC−IIは、さらなる選択マーカーとしてクロロトルロン(ch lorotoluron)耐性対立遺伝子Suを有する(該改変染色体はここではEC−IIR と呼ぶ)、請求の範囲第2項記載の方法。 12.改変染色体EC−IIRは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1お よびki−S11−aを有する(該改変染色体はここではEC−IIR2と呼ぶ) 、請求の範囲第11項記載の方法。 13.組換え改変染色体REC−IIは、さらなる選択マーカーとしてクロロトル ロン(chlorotoluron)耐性対立遺伝子Suを有する(該組換え改変染色体はこ こではREC−IIRと呼ぶ)、請求の範囲第7項記載の方法。 14.組換え改変染色体REC−IIRは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Su −Ss1およびki−S11−aを有する(該組換え改変染色体はここではREC −IIR1と呼ぶ)、請求の範囲第13項記載の方法。 15.ハイブリッドコムギの生産に使用するための普通コムギおよびデューラム コムギの雄性不稔性雌親株を維持するための方法であって: (a)雌親株と同遺伝子型である維持株[すなわち、劣性雄性不稔性対立遺伝 子の任意の1つと優性花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホモ接 合性であり、Ms、ki以外に選択マーカー対立遺伝子(選択マーカーにより、 染色体IECを有する種子は、これを有さない種子から分離することができる) を有する追加の改良改変染色体を有する]を自家受粉すること; (b)(a)子孫種子の自家受粉植物を収穫すること(このすべては、該雄性 不稔性と花粉キラー対立遺伝子についてホモ接合性である);および (c)IECを含有する、従って選択マーカーを含有する種子(20%)を、 IECを含有しない、従って選択マーカーが欠如した種子(80%)から分離す ること(選択マーカーが欠如した種子は生長させると、該雄性不稔性雌株に生育 する)、 を特徴とする上記方法。 16.選択マーカー対立遺伝子は、沿い種子の色を決定するBa対立遺伝子であ り、青い種子は選別装置により、Ba対立遺伝子が欠如した赤色/白色の種子か ら分離される。請求の範囲第15項記載の方法。 17.改良改変染色体IECは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1およ びki−S11−aを有する4SsS/4EL/6S1LからなるIEC−IIC1 ;Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki−S11−aを有する4 SsS/4AmL/6S1LからなるIEC−IIC2;および、Ms−Am1、rh t−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを有する4AmS−4AmL/6 S1LからなるIEC−IIC3よりなる群から選択される、請求の範囲第15ま たは16項記載の方法。 18.ハイブリッドコムギの生産に使用するための普通コムギおよびデューラム コムギの雄性不稔性雌親株を維持するための方法であって: (a)雌親株と同遺伝子型である改良組換え維持株[すなわち、4BS上の劣 性ms−B1雄性不稔性対立遺伝子の任意の1つとホモ接合性であるが、Ki− B1対立遺伝子を有する染色体6Bと、Ms、ki以外に選択マーカー対立遺伝 子(選択マーカーにより、染色体IRECを有する種子は、これを有さない種子 から分離することができる)を有する改良組換え改変染色体(ここではIREC と呼ぶ)の両方について一染色体性である]を自家受粉すること; (b)(a)子孫種子の自家受粉植物を収穫すること(このすべては、該雄性 不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、50%は染色体6Bについて二染 色体性であり、かつIRECと種子マーカーが欠如し、50%はIRECを含有 し、種子マーカーを示す); (c)混合物中の(b)の子孫種子を植え付けて、雄性稔性植物により雄性不 稔性植物を受粉させ、ならびに雄性稔性植物の自家受粉をさせること(このため 子孫種子の混合物が得られる);および (d)染色体6Bについて二染色体性であり、IRECと種子マーカーが欠如 し、そして生長させると雄性不稔性雌株に生育する種子の約75%を、IREC と種子マーカーを含有する種子の残りの25%から分離すること、 を特徴とする上記方法。 19.雄の種子マーカー対立遺伝子は、青い種子の色を決定するBa対立遺伝子 であり、青い種子は選別装置によりBa対立遺伝子が欠如した赤色/白色の種子 から分離される。請求の範囲第18項記載の方法。 20.改良組換え改変染色体IRECは、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba− E1およびki−S11−aを有する4SSS/4EL/6S1L/6BLからな るIREC−IIC1;Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−Am1およびki− S11−aを有する4SsS/4AmL/6S1L/6BLからなるIREC−HC 2;およびMs−Am1、rht−Am1、Ba−Am1およびki−S11−aを 有する4AmS−4AmL/6S1L/6BLからなるIREC−IIC3よりなる 群から選択される、請求の範囲第18または18項記載の方法。 21.ハイブリッドコムギの生産において使用するための雄性不稔性雌親株の維 持のための普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株および改良雄性 稔性維持株から選択される維持株であって、該維持株または改良維持株は雌親株 と同遺伝子型であり、ms−B1雄性不稔性対立遺伝子の任意の1つと雌親株の 花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホモ接合性であり、 (i)優性雄性稔性対立遺伝子Ms、劣性対立遺伝子ki(これは6BL上の未 変性の花粉キラー対立遺伝子の枯死作用に対して感受性である)、および選択マ ーカー(これにより、該染色体ECを有する植物を選択することができる)を有 する、2つまたはそれ以上の異なる異種染色体から得られるセグメントからなる EC;および (ii)Ms、ki以外に、選択マーカー対立遺伝子、選択マーカー(これにより 、該染色体IECを有する種子を選択することができる)を有する、2つまたは それ以上の異なる異種染色体から得られるセグメントからなるIEC、 から選択される追加の異種改変染色体を有する、上記維持株。 22.ハイブリッドコムギの生産において使用するための雄性不稔性雌親株の維 持のための普通コムギまたはデューラムコムギの組換え雄性稔性維持株および改 良組換え雄性稔性維持株から選択される維持株であって、該維持株または改良維 持株は雌親株と同遺伝子型であり、すなわち、ms−B1雄性不稔性対立遺伝子 の任意の1つについてホモ接合性であるが、Ki−B1対立遺伝子を有する染色 体6Bと (i)Ms対立遺伝子、ki対立遺伝子、および選択マーカー(これにより、該 染色体RECを有する植物を選択することができる)を有する、2つまたはそれ 以上の異なる異種染色体と未変性の染色体腕6BLの遠位セグメントとから得ら れるセグメントからなるREC;および (ii)Ms、ki以外に、選択マーカー対立遺伝子、選択マーカー(これにより 、該染色体IRECを有する種子を選択することができる)を有する、2つまた はそれ以上の異なる異種染色体と未変性の染色体腕6BLの遠位セグメントとか ら得られるセグメントからなるIREC、 から選択される追加の異種改変染色体を有する、上記維持株。 から選択される組換えまたは改良組換え異種改変染色体との両方について一染色 体性である、上記維持株。 23.染色体EC−II、IEC−IIC、REC−II、またはIREC−IICは、 選択マーカーとして正常の植物の背丈を決定するrht対立遺伝子を有する、請 求の範囲第21または22項記載の維持株。 24.染色体IEC−IICまたはIREC−IICは、選択マーカーとして青いア リューロン層色についてのBa対立遺伝子を有する、請求の範囲第21〜23項 記載の維持株。 25.改変染色体は、(i)Ms−Ss1、rht−SS1およびki−S11− a対立遺伝子を有するREC−II1、および(ii)Ms−Ss1、rht−Ss1 、Ba−E1およびki−S11−a)またはMs−Ss1、rht−Ss1、B a−Am1およびki−S11−a、またはMs−Am1、rht−Am1、Ba− Am1およびki−S11−aを有するIREC−IICの1つ、から選択される、 請求の範囲第23または24項記載の維持株。 26.ハイブリッドコムギの生産において使用するための雄性不稔性雌親株の維 持のための普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性維持株から選択される 維持株であって、該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、ms−B1雄性不稔性 対立遺伝子の任意の1つ、クロロトルロン(chlorotoluron)除草剤感受性対立 遺伝子、および雌親株の花粉キラーKi−B1対立遺伝子との両方についてホモ 接合性であり、EC−IIR型から選択される追加の異種改変染色体を有し、2つ またはそれ以上の異なる異種染色体から得られるセグメントからなり、優性雄性 稔性対立遺伝子Ms、劣性対立遺伝子ki(これは、6BL上の未変性の花粉キ ラー対立遺伝子の枯死作用に対して感受性である)、rht(正常な植物の背丈 を決定する)、およびSu(クロロトルロン(chlorotoluron)に対する耐性を 決定する)対立遺伝子(これにより、クロロトルロン(chlorotoluron)に対す る耐性を決定することができる)、上記維持株。 27.改変染色体は、選択マーカーとしてrht−Ss1とSu−SS1対立遺伝 子を有するEC−IIR1型である、請求の範囲第26項記載の維持株。 28.ハイブリッドコムギの生産において使用するための雄性不稔性雌親株の維 持のための普通コムギまたはデューラムコムギの雄性稔性組換え維持株選択され る維持株であって、該維持株は雌親株と同遺伝子型であり、すなわち、ms−B 1雄性不稔性対立遺伝子の任意の1つにホモ接合性であるが、su−B1とKi −B1対立遺伝子を有する染色体6BおよびREC−IIR型から選択される組換 え改変染色体の両方についてホモ接合性であり、2つまたはそれ以上の異なる異 種染色体および染色体腕6BLの遠位セグメントから選択されるセグメントから なり、Ms対立遺伝子、ki対立遺伝子、および選択マーカー(これにより、該 染色体REC−IIνを有する植物を選択することができる)を有する、上記維持 株。 29.改変染色体は、選択マーカーとして正常の植物の背丈を決定するrht− Ss1対立遺伝子とクロロトルロン(clllorotoluron)に対する耐性を付与する Su−Ss1対立遺伝子を有する、REC−IIR1型である、請求の範囲第28 項記載の維持株。 30.普通コムギおよびデューラムコムギの維持株または組換え維持株の各世代 において、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持するための方法であ って、 (a)Msとki対立遺伝子以外に、雄性稔性自家受粉子孫の種子(この種子 は生長させると、該維持株に生育する)の選択を促進する少なくとも1つの選択 マーカー対立遺伝子を有する、改変染色体EC−IIおよび組換え改変染色体RE C−IIよりなる群から選択される改変染色体を含有する雄性稔性維持株を自家受 粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして植物を生産す ること[この20%(改変染色体EC−IIを有する維持株の子孫)と50%(組 換え改変染色体REC−IIを有する維持株の子孫)は、該改変染色体を含有し、 かつ該維持株と同じであり、従って選択マーカー(これにより、該改変染色体が 欠如したものから選択することができる)を有する];および (c)(b)の選択マーカーを示す植物(そのすべては雄性稔性である)を収 穫し、該改変染色体を有する20%(改変染色体EC−IIを有する維持株の子孫 )または50%(組換え改変染色体REC−IIを有する維持株の子孫)からなる 子孫種子を得て、こうして維持株または組換え維持株の各世代における、雄性稔 性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持すること、 を特徴とする上記方法。 31.選択マーカーは、植物の背丈を促進する[従って、雄性稔性維持株の種子 の選択的収穫を促進する(該種子は生長させると、維持株に生育する)rht対 立遺伝子である、請求の範囲第30項記載の方法。 32.普通コムギおよびデューラムコムギの維持株または組換え維持株の各世代 において、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持するための方法であ って、 (a)自家受粉した維持株の雄性稔性子孫からの同じ維持株遺伝子型を有する 植物の選択を促進する選択マーカーとして、除草剤耐性対立遺伝子をMs−Ss 1およびki−S11−a対立遺伝子以外に有する、改変染色体EC−IIRおよ び組換え改変染色体REC−IIRよりなる群から選択される改変染色体を含有す る雄性稔性維持株を自家受粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、該種子を発芽させて苗条子孫[この20% (EC−IIR)と50%(REC−IIR)は、該改変染色体を含有する]にし、 苗条に除草剤を噴霧して、こうして感受性のある苗条(すなわち、改変染色体が 欠如したもの)を枯死させること;および (c)(b)の除草剤耐性植物(そのすべては改変染色体を有し、従って雄性 稔性である)を収穫し、該改変染色体を有する20%(EC−IIR)または50 %(REC−IIR)からなる子孫種子を得て、こうして維持株または組換え維持 株の各世代における、雄性稔性植物と雄性不稔性植物の比を一定に維持すること 、を特徴とする上記方法。 33.選択性除草剤耐性対立遺伝子は、クロロトルロン(chlorotoluron)に対 する耐性を付与するSu−Ss1対立遺伝子である、請求の範囲第32項記載の 方法。 34.普通コムギおよびデューラムコムギの改良維持株または改良組換え維持株 の各世代において、雄性稔性維持株植物のみを植え付ける方法であって、 (a)種子マーカー(これにより、自家受粉した雄性稔性維持株の子孫におい て改変染色体を有する種子は、これを有さない種子から選択することができる) (この種子は生長すると、該維持株に生育する)をMs−Ss1およびki−S1 1−a対立遺伝子以外に有する、改良改変染色体IEC−IICおよび改良組換 え改変染色体IREC−IICよりなる群から選択される改変染色体を含有する雄 性稔性維持株を自家受粉すること; (b)(a)の子孫種子を採取し、種子マーカーを示す種子を種子マーカーを 示さない種子から、選別装置により分離すること;および (c)(b)の種子マーカーを示す種子(そのすべては生育して、雄性稔性改 良維持株または改良組換え維持植物になる)を植え付けること、 を特徴とする上記方法。 35.種子マーカーは、青い種子の色を決定するBa対立遣伝子である、請求の 範囲第34項記載の方法。 36.改変染色体EC−IIC1を有する、普通コムギまたはデューラムコムギの 雄性稔性維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)から得 られる雄性稔性雌親株(該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔 性対立遺伝子と6BL上の優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子との両方につい てホモ接合性であり、かつその長腕上に劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11 −aを有する追加の異種染色体を有する)を、雄親株(これは雌親株と同遺伝子 型であるが、劣性ms−B1−c雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であ り、また6S1の代わりその短腕の上に優性対立遺伝子Ms−Ss1とrht−Ss 1を有する追加の異種染色体4SSを有する)と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして雄性 稔性F1植物を生産すること[この一部は二重一染色体性添加であり、すなわち これらは、2つの異種染色体(Ms−Ss1とrht−Ss1を有する4Ssおよ び6S1とki−S11−aを有する6S1)を有する]; (c)(b)のF1子孫を自家受粉させ、そこから多くの子孫種子を採取し、 該種子を生長させ、こうしてF2植物を生産すること[この一部は、異種転座改 変染色体EC−II1について一染色体性添加であり、その25%はms−B1− c雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、そして所望の植物である] ; (d)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(c)の所 望の植物を選択し、それを自家受粉させること; (e)(d)の自家受粉子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうしてF3 植物を生産すること[このすべては、mMs−B1−c雄性不稔性対立遺伝子に ついてホモ接合性であり、その25%は、追加の改変染色体EC−II1を有する ため雄性稔性であり、そしてこれは所望の維持株植物である];および (f)染色体計測とDNAマーカーの使用により、(e)の所望の維持株植物 を選択すること、 を特徴とする上記方法。 37.組換え改変染色体REC−IIR1を有する、普通コムギまたはデューラム コムギの雄性稔性組換え維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)から得 られる雄性稔性雌親株[該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔 性対立遺伝子と染色体腕5BL上の優性同祖対形成サプレッサー対立遺伝子Ph 1についてホモ接合性であり、染色体6Bについて零染色体性であり、従って優 性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子について欠損し、かつ劣性花粉キラー対立遺 伝子ki−S11−aを有する一対の6S1染色体を有する]を、雌親株と同遺伝 子型であるが二染色体性6Bであり、従ってKi−B1についてホモ接合性であ り、染色体6S1が欠如し、かつ変異体同祖対形成対立遺伝子ph1bについて もホモ接合性である雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして同祖 対形成対立遺伝子(Ph1ph1b)についてヘテロ接合性の雄性稔性(Ms− B1Ms−B1)F1植物を生産すること[このすべては、6Bかつ6S1染色体 について一染色体性である]; (c)(b)のF1植物を雄親株に戻し交配すること; (d)(c)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1 植物を生産すること[このすべては雄性稔性(Ms−B1Ms−B1)であり 、50%はph1b対立遺伝子についてホモ接合性であり、約50%(6Bは6 S1と対形成するため)は、6Bと6S1染色体の両方について二重一染色体性 であり、そして所望のBC1植物である]; (e)DNAマーカーの使用および減数分裂での染色体対形成の解析により所 望のBC1植物を選択し、そしてこれをBC1植物と同遺伝子型であるがホモ接合 性Ph1Ph1である二端部染色体性(ditolosomic)6BS株により受粉させ ること; (f)(e)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして植物を 生産すること[このすべては、染色体腕6BSについて一端部染色体性(monotc losomic)であり、一部はまた、短腕、6S1の長腕の近位領域(ki−S11−a を有する)、および染色体腕6BLの遠位領域(組換え点はki−S11−aの 遠位である)についても一染色体性であり、そしてこれは所望の植物である]; および (g)C分染法、DNAマーカーの使用、および染色体対形成の解析により( f)の所望の植物を選択し、これを雄として、非組換え維持株[すなわち、劣性 雄性不稔対立遺伝子ms−B1の任意の1つと優性花粉キラー対立遺伝子Ki− B1の両方についてホモ接合性であり、改変染色体EC−H1を有する]である 雌性株と交配させること;および (h)(g)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は、三重一染色体であり、すなわち、6B、異種 改変染色体EC−H1、および組換え染色体(6S1/6BL)について一染色 体性であり、かつヘテロ接合性Ms−B1ms−B1、ヘミ接合性Ki−B1お よびホモ接合性ki−S11−aki−S11−aであり、そして所望の植物であ る];および (i)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(h)の所 望の植物を選択し、これを自家受粉させ、その子孫種子を採取し、該種子を生長 させ、こうしてF2植物を生産すること[その一部は二重一染色体性であり、M s−SsI、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する染色体6Bと組換 え改変染色体REC−H1(4SsS/6S1L/6BL)を有し、これらは所望 の維持株植物である]を、 特徴とする上記方法。 38.改変染色体EC−HR1を有する、普通コムギまたはデューラムコムギの 雄性稔性維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性維持株から得られる雄性稔性雌親株[該雌親株は、劣性ms−B1雄性不稔 性対立遺伝子、劣性su−B1クロロトルロン(chlorotoluron)感受性対立遺 伝子、および優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子との両方についてホモ接合性 であり、かつその短腕上に優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1と半優性rht −Ss1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性クロロトルロン(chlorotoluron) 感受性対立遺伝子su−S11と劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−aを有 する改変染色体を、一染色体性添加として有する]を、6SsL上に優性クロロ トルロン(chlorotoluron)耐性対立迫伝子Su−Ss1ならびに4SSS上にM s−Ss1とrht−Ss1対立遺伝子とを有する二倍体種アエギロップス・セア ルシー(Aegilops searsii)の株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は2n=29染色体を有し、すなわち、チャイニ ーズスプリング(Chinese Spring)から1つの染色体セット、改変染色体EC− H1、および遺伝子型ms−B1Ms−Ss1Ms−Ss1、ki−B1ki−S1 1−aおよびsu−B1su−S11Su−Ss1を有するアエギロップス・セ アルシー(Aegilops soarsii)からの染色体セットを有する]; (c)(b)のF1子孫を2n=29染色体で選択し、これらを雄としてcv .チャイニーズスプリング(Chinese Spring)に戻し交配し、その子孫種子を採 取し、該種子を生長させて、こうしてBC1植物を生産すること[クロロトルロ ン(chlorotoluron)に耐性のこの一部は、改変染色体EC−HR1について一 染色体性添加であり、このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、 su−B1とKi−B1についてホモ接合性であり、そして所望の植物である] ; (d)染色体計測、およびDNAマーカーの使用により(c)の所望の植物を 選択し、そしてそれを自家受粉させること; (e)(d)の自家受粉子孫種子採取し、該種子を生長させ、こうしてBC1 2植物を生産すること[この20%はクロロトルロン(chlorotoluron)に耐 性であり、すなわち改変染色体を有し、耐性植物の25%は、ms−B1につい てホモ接合性であるが、改変染色体EC−HR1のMs−Ss1を有するため雄 性稔性であり、そしてこれは所望の維持株植物である];および (f)クロロトルロン(chlorotoluron)耐性とDNAマーカーの使用により 、(e)の所望の維持株植物を選択すること、 を特徴とする上記方法。 39.組換え改変染色体REC−HR1を有する、普通コムギまたはデューラム コムギの雄性稔性組換え維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性組換え維持株から得られる、一染色体性6B−染色体性添加REC−H1で ある雄性稔性雌親株[該雌親株は、劣性ms−B1雄性不稔性対立遺伝子につい てホモ接合性であり、かつ劣性クロロトルエン(chlorotoluron)感受性対立遺 伝子su−B1と優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝子についてヘミ接合性であ り、かつその短腕上に優性雄性稔性対立遺伝子Ms−Ss1と半優性rht−Ss 1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性クロロトルロン(chlorotoluron)感受 性対立遺伝子su−S11と劣性花粉キラー対立遺伝子ki−S11−aを有する 改変染色体REC−H1を有する]を、優性クロロトルロン(chlorotoluron) 耐性対立遺伝子Su−Ss1ならびにMs−Ss1およびrht−Ss1対立遺伝 子を有する二倍体種のアエギロップス・セアルシー(Aegilops searsii)と交配 すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この50%は、4Ssと対形成する組換え改変染色体を含 有し、6SsSはこうして減数分裂で、遺伝子型ms−B1Ms−Ss1Ms−Ss 1、ki−S11−a su−S11およびSu−Ss1を有する三価体を形成す る]; (c)(b)のF1子孫を選択し、雄としてcv.チャイニーズスプリング(C hinese Spring)に戻し交配すること; (d)その子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1植物を生 産すること[このすべてはms−B1Ms−B1についてヘテロ接合性であり、 従って雄性稔性であり、その一部は一染色体性6Bであり、従ってsu−B1と Ki−B1についてヘミ接合性であり、短腕上にMs−Ss1とrht−Ss1を 有し、長腕上にSu−Ss1とki−S11−aを有する一染色体性置換として組 換え改変染色体REC−HR1を有し、そしてこれらが所望の維持株植物である ]; (e)クロロトルロン(chlorotoluron)への耐性により、かつ減数分裂での 染色体対形成の解析により、(c)の所望の植物を選択し、そしてこれを自家受 粉させること; (f)(d)の自家受粉子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうしてBC12植物を生産すること[この50%は、一染色体性6Bであり、4Ss短腕( Ms−Ss1とrht−Ss1を有する)と染色体腕6BLの近位領域(Su−Ss 1とki−S11−aを有する)からなる組換え染色体REC−HR1について 一染色体性一端部染色体性(monotolosomic)であり、これらの植物の25%は 、ms−B1についてホモ接合性であり、su−B1とKi−B1についてヘミ 接合性であり、そしてこれらは所望の維持株植物である];および (g)クロロトルロン(chlorotoluron)耐性およびDNAマーカーの使用に より(e)の所望の組換え維持株植物を選択すること]を、 特徴とする上記方法。 40.改良改変染色体IEC−HC1を有する、普通コムギまたはデューラムコ ムギの雄性稔性改良維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は維持株であり、すなわち、染色体腕4BS上の劣性ms B1雄性不稔性対立遺伝子および6BL上の優性Ki−B1花粉キラー対立遺伝 子についてホモ接合性であり、かつその短腕上に優性対立遺伝子Ms−Ss1と rht−Ss1対立遺伝子を有し、その長腕上に劣性対立遺伝子ki−S11−a を有する追加の改変染色体EC−H1を有する]を、雌親株と同遺伝子型である が優性雄性稔性対立遺伝子Ms−B1についてホモ接合性であり、その長腕上に 優性の青いアリューロン対立遺伝子Ba−E1を有する追加の一対の異種染色体 4Eを有する雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子(すべてが青い)を採取し、これに熱中性子を 照射し、そしてこの種子を生長させ、こうして雄性稔性F1植物を生産すること [このすべては、Ms−B1ms−B1についてヘテロ接合性であり、Ki−B 1についてホモ接合性であり、その20%は、改変染色体EC−H1および染色 体4Eについて二重一染色体性添加であり、そして所望の植物である]; (c)染色体計測とDNAマーカーを使用して(b)のF1植物を選択し、こ れらを自家受粉させること; (d)(c)の子孫種子を採取し、青い種子を選択し該種子を生長させて、こ うしてF2植物を生産すること[この一部は43染色体を有し、これらの一部は 、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、およびki−S11−aを有する 4SsS/4EL/6S1Lを含有する改良改変染色体IEC−HC1を有し、そ してこれらが所望の植物であり、別の一部は転座染色体4SsS/4ELを含有 する]; (e)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(d)の所望の植物を選 択し、そしてこれを自家受粉させること; (f)(e)の子孫種子を採取し、青い種子を選択すること[この種子は、生 長すると、改良改変染色体IEC−HC1を有する雄性稔性植物に発育し、これ らは所望の改良維持株植物である]; (g)工程(d)で所望の植物が得られない場合は、染色体計測とDNAマー カーの使用により転座染色体4SsS/4EL(青い種子に由来し、かつ雄性稔 性である)を有する(d)の植物を選択し、これらを雄親株として、EC−H1 を有する維持株に戻し交配してF1種子を生産すること; (h)(g)のF1種子から青い種子を選択し、これらに熱中性子を照射し、 発芽させて44染色体(すなわち、2つの異種添加染色体4SsS/4ELと4 SsS/6S1L)を有する苗条を選択すること;および (i)(d)〜(f)の工程を繰り返し、こうしてMs−Ss1、rht−Ss 1、Ba−E1、およびki−S11−aを有する、4SsS/4EL/6S1L を含有する改良改変染色体IEC−HC1を有する所望の改良維持株を得ること を、 特徴とする上記方法。 41.改良改変染色体IEC−HC1を有する、普通コムギまたはデューラムコ ムギの雄性稔性改良維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は、優性雄性稔性対立遺伝子Ms−B1と優性花粉キラー Ki−B1対立遺伝子との両方についてホモ接合性であり、かつその長腕上に優 性の青いアリューロン対立遺伝子Ba−E1を有する追加の一対の異種染色体4 Eを有する]を、雌親株と同遺伝子型であるが劣性雄性不稔対立遺伝子ms−B 1についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝子Ms−Ss1とrh t−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、そしてこの種子を生長させ、こうし てF1植物を生産すること[このすべては、ヘテロ接合性Ms−B1ms−B1 かつヘテロ接合性Ki−B1Ki−B1であり、その25%は、染色体4Eと4 Ssを有する二重一染色体性添加であり、そして所望の植物である]; (c)染色体計測とDNAマーカーを使用して(b)の所望のF1植物を選択 し、これらを自家受粉させること; (d)(c)の自家受粉種子から青い種子を選択し該種子を生長させて、こう してF2植物を生産すること[この一部は転座染色体4SsS/4ELを有し、そ して所望の植物である]; (e)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(d)の所望のF2植物 を選択し、そしてこれを雄として、EC−H1を有する維持株(4SsS/6Ss L)と交配させて、F1種子を得ること[その一部は青い]; (f)(e)の青い種子を選択し熱中性子を照射し、F1植物に生長させるこ と[このすべては、ms−B1−cとKi−B1についてホモ接合性であり、こ れらのほとんどは二重一染色体性添加である4SsS/4ELとEC−H1(4 SsS/6S1L)を持たず、そして所望の植物である]; (g)染色体計測およびDNAマーカーの使用により(f)の所望の植物を選 択し、そしてこれらを自家受粉させ; (h)(g)の子孫種子を採取し、青い種子を選択し、これらを生長させて、 こうしてF2植物を生産すること[このすべては、ms−B1−cとKi−B1 対立遺伝子についてホモ接合性であり、その一部は43染色体を有し、これらの 一部は、Ms−Ss1、rht−Ss1、Ba−E1、およびki−S11−aを 有する4SsS/4EL/6S1Lを含有する改良改変染色体IEC−HC1を有 し、そしてこれらが所望の植物である]; (i)染色体計測、C分染法、および雄性稔性より(h)の所望の植物を選択 し、それを自家受粉させること;および (j)(i)の子孫種子を採取し、青い種子を選択すること[この種子は、生 長すると、改良改変染色体IEC−HC1を有する雄性稔性植物に発育し、これ らは所望の改良維持株植物である]を、 特徴とする上記方法。 42.改良改変染色体IEC−HC2を有する、普通コムギまたはデューラムコ ムギの雄性稔性改良維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 親二染色体性置換株[ここで、普通コムギの染色体4Bの代わりにティー・モノ コックム(T.monococcum)の染色体4Amが置換され、従って該雄親株は雄性稔 性対立追伝子Ms−B1が欠損しており、花粉キラー対立遺伝子Ki−B1、お よび4AmS上のMS−Am1とrht−Am1、および4AmL上のBa−Am1 についてホモ接合性である]を、雄親株と同遺伝子型であるが劣性ms−B1雄 性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝子M s−SsIとrht−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雌親株と交 配すること; (b)(a)の交配の子孫種子(このすべては青い)を採取し、そしてこの種 子を生長させ、こうしてF1植物を生産すること[このすべては、Ins−B1 −cについてヘテロ接合性であり、Ki−B1についてホモ接合性であり、その 一部は、三重一染色体性4B、4SsSと4Amであり、そして所望の植物である ]; (c)染色体計測により(b)の三重一染色体性植物を選択し、こうして雄性 稔性F1植物を生産し、これらを自家受粉させること; (d)(c)のF2種子を採取し、青い種子を選択し、選択した該種子を生長 させて、こうしてF2植物を生産し、そしてこれらのF2植物から44染色体を有 するF2植物(減数分裂で21”+2’を示す)をさらに選択すること(所望の 二重一染色体性添加4SsSと4Amである)]; (e)(d)の所望の植物を自家受粉し、こうしてF3種子を得て、そして青 い種子を選択すること; (f)(e)の青い種子を生長させ、43染色体を有する植物を選択すること (21”+2’)[これらは雄性稔性であり、青い種子を生産し、これらの植物 は転座染色体4SsS/4AmLを有し、所望の植物である]; (g)雄として(f)の所望の植物を、ホモ接合性ms−B1ms−B1Ki −B1KiB1であり、Ms−Ss1rht−Ss1ki−S11−aを雌として 有するEC−H1(4SsS/6S1L)を有する維持株と交配させ、F1種子を 得ること; (h)(g)のF1子孫種子から青い種子を選択し、これらに熱中性子を照射 し、これらを生長させて、44染色体(21”+2’)を有する植物[これらは 短腕について二染色体性であり、追加の異種染色体の長腕について二重一染色体 である]、そしてこれらを自家受粉させること; (i)(h)の青い種子を生長させ、43染色体を有する雄性稔性植物を選択 し、青色および赤色/白色種子を生産させること[これらの植物はIEC−HC 2を有し、所望の植物である];および (j)(i)の所望の植物を自家受粉させ、その種子を採取し、青い種子を分 離すること[この種子は、生長すると、IEC−HC2を有する雄性稔性植物に 発育し、これらは所望の改良維持株植物である]を、 特徴とする上記方法。 43.改良改変染色体IEC−HC3を有する、普通コムギまたはデューラムコ ムギの雄性稔性維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 親二染色体性置換株[ここで、普通コムギの染色体4Bの代わりにティー・モノ コックム(T.monococcum)の染色体4Amが置換され、従って該雄親株は雄性 稔性対立遺伝子Ms−B1が欠損しており、花粉キラー対立遺伝子Ki−B1、 および4AmS上のMs−Am1とrht−Am1、および4AmL上のBa−Am 1についてホモ接合性である]を、雄親株と同遺伝子型であるが劣性ms−B1 雄性不稔性対立遺伝子についてホモ接合性であり、その短腕上に優性対立遺伝子 Ms−Ss1とrht−Ss1を有する追加の異種染色体4Ssを有する雌親株と 交配すること; (b)(a)のF1種子(このすべては青い)を採取し、そしてこの種子を生 長させ[このすべては、ms−B1−cについてヘテロ接合性であり、Ki−B 1についてホモ接合性であり、その75%は、Ms−Am1を有する一染色体性 4Bおよび一染色体性置換4Am1であり、従って雄性稔性である]、そして該 一染色体−一染色体置換を使用して、ヘテロ接合性Ms−B1ms−B1かつK i−B1対立遺伝子についてホモ接合性であり、一染色体性添加として染色体6 S1を有する雌親株を受粉すること[ここで、雌親株は、雄としてms−B1− cms−B1−cチャイニーズスプリング(Chinese Spring)に4Ss一染色体 性添加を交配することにより得られ、雌親株はMs−B1およびKi−B1対立 遺伝子についてホモ接合性であり、一染色体性添加として染色体6S1を有し、 子孫の20%は所望の構成を有する]; (c)(b)の交配から青いF1種子を採取し、熱中性子を照射し、これらを 生長させ、F1植物から43(21”+2’)および42(20”+2’)染色 体を有するF1植物を選択し、これらの植物を自家受粉すること; (d)(c)の自家受粉種子から青い種子を選択し、これらを生長させて、雄 性稔性であり、約20%の生存活性のない花粉を有する植物を選択し、そして青 色および赤色/白色種子を生産し;および (e)(d)の植物を生長させ、青い種子を分離すること[この種子は、生長 すると、IEC−HC3(43染色体を有する)を有する雄性稔性植物に発育し 、これらは所望の改良維持株植物である]を、 特徴とする上記方法。 44.改良組換え改変染色体IREC−HCを有する、普通コムギまたはデュー ラムコムギの雄性稔性維持株を生産するための方法であって、 (a)普通コムギ栽培品種チャイニーズスプリング(Chinese Spring)の雄性 稔性雌親株[該雌親株は、染色体腕4BS上の優性Ms−B1雄性稔性対立遺伝 子と染色体腕5BL上の優性同祖対形成サプレッサー対立遺伝子Ph1について ホモ接合性であり、染色体6Bについて零染色体性であり、従って優性Ki−B 1花粉キラー対立遺伝子について欠損し、かつ劣性花粉キラー対立遺伝子ki− S11−aを有する一対の6S1染色体を有する]を、雌親株と同遺伝子型である が二染色体性6Bであり、従ってKi−B1についてホモ接合性であり、6S1 が欠如し、かつ変異体同祖対形成対立遺伝子ph1bについてもホモ接合性であ る雄親株と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうして同祖 対形成対立遺伝子(Ph1ph1b)についてヘテロ接合性の雄性稔性(Ms− B1Ms−B1)F1植物を生産すること[このすべては、6Bかつ6S1染色体 について一染色体性である]; (c)(b)のF1植物を雄親株に戻し交配すること; (d)(c)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させて、こうしてBC1 植物を生産すること[このすべては雄性稔性(Ms−B1Ms−B1)であり 、1/2はph1b対立遺伝子についてホモ接合性であり、約1/2(6Bは6 S1と対形成するため)は、6Bと6S1染色体の両方について一染色体性であり 、そして所望のBC1植物である]; (e)減数分裂での染色体対形成およびDNAマーカーにより(d)の所望の BC1植物を選択し、そしてこれをBC1植物と同遣伝子型であるがホモ接合性P h1Ph1である二端部染色体性(ditolosomic)6BS株(すなわち6BL腕 について欠損)により受粉させること; (f)(e)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして6BS について一端部染色体性(monotolosomic)な植物を生産すること[この一部は また、短腕、6S1の長腕の近位領域(ki−S11−aを有する)、および染色 体腕6BLの遠位領域(組換え点はki−S11−aの遠位である)からなる組 換え染色体についても一染色体性であり、そしてこれは所望の植物である];お よび (g)C分染法、染色体対形成、およびDNAマーカーの使用の解析により( f)の所望の植物を選択し、これを雄として、改良維持株[すなわち、劣性雄性 不稔対立遺伝子ms−B1の任意の1つと優性花粉キラー対立遺伝子Ki−B1 の両方についてホモ接合性であり、改良改変染色体IEC−HC1(4SsS/ 4EL/6S1L)、IEC−HC2(4SsS/4AmL/6S1L)、またはI EC−HC3(4AmS/4AmL/6S1L)の1つを有する]である雌性株と 交配させること;および (h)(g)の交配の子孫種子を採取し、この種子を生長させ、こうしてF1 植物を生産すること[この一部は、三重一染色体であり、すなわち、6B、異種 改変染色体EC−H1、IEC−HC2、またはIEC−HC3のいずれか、お よび組換え染色体(6S1/6BL)について一染色体であり、かつヘテロ接合 性ms−B1Ms−B1、ヘミ接合性Ki−B1、そして所望の植物である]; および (i)染色体計測、C分染法、およびDNAマーカーの使用により(h)の所 望の植物を選択し、これを自家受粉させ、その子孫種子を採取し、該種子を生長 させること[その一部は二重−染色体であり、染色体6Bと、IREC−HC1 (4SsS/4EL/6S1L/6BL)、IREC−HC2(4SsS/4AmL /6S1L/6BL)、またはIREC−HC3(4AmS−4AmL/6S1L/ 6BL)のいずれかである改良組換え改変染色体IREC−HCを有し、これら はIREC−HCを有する所望の維持株植物である]を、 特徴とする上記方法。 45.普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌性株について 雄性不稔性雌親株および雄性稔性維持株に変換する方法であって、 (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、およびki−S11−aを有する、ホモ 接合性ms−B1ms−B1Ki−B1Ki−B1であり、かつ異種改変染色体 EC−H1を、ホモ接合性Ms−B1Ms−B1ki−B1ki−B1である所 望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物(このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki− b1−aであり、この20%はまた、改変染色体EC−H1を有し、そして所望 の植物である)を生産すること; (c)染色体計測およびDNAマーカーの使用により、(b)の所望のF1植 物を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉してBC1子孫を生産すること[こ の1/16はヘテロ接合性Ms−B1ms−B1Ki−B1ki−B1−aであ り、改変染色体EC−H1を有し、そして所望の植物である]; (d)(c)のBC1植物を生長させ、該所望の遺伝子型を染色体計測および DNAマーカーの使用により選択して、これらを雌として所望の栽培品種で以後 の4世代を通して戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て、 一方各世代で、改変染色体EC−H1を有するヘテロ接合性Ms−B1ms−B 1Ki−B1ki−B1−a子孫を、染色体計測とDNAマーカーの使用により 選択すること;および (e)(d)の所望のBC5植物を自家受粉し、その子孫種子を採取し、該種 子を生長させて、こうしてBC52植物[この1/20は、雄性不稔性ms−B 1と花粉キラーKi−B1対立遺伝子の両方について雄性不稔性ホモ接合性であ り、そして所望の雄性不稔性雌株である]、および同様の遺伝子型を有するがま たBC52植物[これらは、所望の雄性稔性維持株植物である]を生長させるこ と、 を特徴とする上記方法。 46.維持株は、請求の範囲第21項で定義したように雌性株について、染色体 IEC−HCを有する改良維持株であり、かつIEC−HCの存在について、工 程(d)の各世代(F1、BC1−BC5、BC52)での選択は、青い種子マー カーにより助けられる、請求の範囲第45項記載の方法。 47.普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、請求の範囲第2 2項で定義したように、雌性株について雄性不稔性雌親株および雄性稔性組換え 維持株に変換する方法であって、 (a)Ms−Ss1およびki−S11−aを有する、ホモ接合性ms−B1m s−B1であり、6Bおよび組換え改変染色体REC−H1(4SsS/6S1L )の両方について一染色体性である異種組換え改変染色体REC−H1を有 する維持株を雌として、ホモ接合性Ms−B1Ms−B1ki−B1ki−B1 である所望の栽培品種と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、その1/ 2は染色体6Bについて二染色体性であり、従ってヘテロ接合性Ki−B1ki −b1−aであり、かつその1/2は染色体6Bと組換え改変染色体REC−H 1について二重一染色体性であり、Ki−B1−aについてヘミ接合性であるが 、組換え改変染色体のMs−Ss1およびki−S11−aを有する]を生産する こと; (c)染色体対形成の解析およびDNAマーカーの使用により、(b)の2つ の型のF1子孫を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉して2つの型のBC1子 孫[二染色体性F1から得られるもの(この1/4はヘテロ接合性ms−B1M s−B1Ki−B1ki−B1−aである)、および二重一染色体性F1から得 られるもの(この1/4は二重一染色体性であり、ヘテロ接合性ms−B1Ms −B1、およびki−B1−aについてヘミ接合性であり、また組換え改変染色 体REC−H1のMs−Ss1およびki−S11−aを有する)]を得ること; (d)(c)の2群の該所望の植物を、染色体対形成とDNAマーカーの使用 により選択し、これらを雌として、所望の栽培品種で以後の4世代を通して戻し 交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を得て、一方各世代で、二染色 体型ではヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Ki−B1ki−B1−aおよび二 重一染色体型ではms−B1Ms−B1について、組換え改変染色体REC−H 1を有するものを、染色体対形成解析とDNAマーカーの使用により選択するこ と;および (e)(d)の所望の二重一染色体性BC5植物を(d)の所望の二染色体性 BC5で自家受粉して、2群のBC52[二染色体性植物の群(その1/8はホ モ接合性ms−B1ms−B1とヘテロ接合性Ki−B1Ki−B1−aであり 、所望の二染色体性植物である)と二重一染色体性植物の群(その1/8はホモ 接合性ms−B1ms−B1であり、Ki−B1についてヘミ接合性であり 、また組換え改変染色体REC−H1のMs−Ss1およびki−S11−aを有 し、従って雄性稔性であり、所望の組換え維持株である)]を生産すること;お よび (f)(e)の二重一染色体性BC52種子と(e)の二染色体性BC52種 子を生長させ、染色体対形成とDNAマーカーの使用により、それぞれ所望の雄 性稔性組換え維持株と雄性不稔性雌株を選択すること、 を特徴とする上記方法。 48.維持株は、請求の範囲第24項で定義したように雌性株について、染色体 IREC−HCを有する改良維持株であり、かつIREC−HCの存在について 、工程(d)の各世代(F1、BC1−BC5、BC52)での選択は、青い種子 マーカーにより助けられる、請求の範囲第47項記載の方法。 49.普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、請求の範囲第2 6項で定義したように雌性株について改変染色体EC−HRを有する雄性不稔性 雌親株および雄性稔性組換え維持株に変換する方法であって、 (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを 有する、ホモ接合性ms−B1ms−B1su−B1su−B1Ki−B1Ki −B1であり、改変染色体EC−HR1を有する維持株を、ホモ接合性Ms−B 1Ms−B1Su−B1Su−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品種 と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1Su−B1su− B1Ki−B1ki−B1であり、その20%は改変染色体も有し、所望の植物 である]を生産すること; (c)染色体計測およびDNAマーカーの使用により、(b)の所望のF1植 物を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉してBC1子孫[その1/32はヘ テロ接合性ms−B1Ms−B1Su−B1su−B1Ki−B1ki−B1で あり、また改変染色体EC−HR1を有し、所望の遺伝子型である]を得ること ; (d)(c)の該BC1子孫を生長させ、該所望の遺伝子型を、染色体計測と DNAマーカーの使用により選択し、これらを雌として、所望の栽培品種で以後 の4世代を通してさらに戻し交配を行って、第5世代戻し交配子孫(BC5)を 得て、一方各世代で、改変染色体EC−HR1を有するヘテロ接合性ms−B1 Ms−B1Su−B1su−B1Ki−B1ki−B1子孫を選択すること;お よび (e)(d)の所望のBC5植物を自家受粉して、子孫種子を採取し、該種子 を生長させて、こうしてBC52[その1/64は雄性不稔性ms−B1とクロ ロトルロン(chlorotoluron)感受性su−B1と花粉キラーKi−B1対立遺 伝子について雄性不稔性ホモ接合性であり、所望の雄性不稔性雌株であり、他の BC52植物を、同様の遺伝子型しかしMs−Ss1、rht−Ss1、su−Ss 1、およびki−S11−aを有する改変染色体EC−HR1を有し、所望の組 換え雌性株維持株植物である)]を生産すること、 を特徴とする上記方法。 50.普通コムギおよびデューラムコムギの所望の栽培品種を、雌性株について 組換え改変染色体REC−HRを有する雄性不稔性雌親株および雄性稔性組換え 維持株に変換する方法であって、 (a)Ms−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有 する、ホモ接合性ms−B1ms−B1であり、6B(su−B1とKi−B1 についてヘミ接合性)および組換え改変染色体REC−HR1の両方について一 染色体性である、REC−H1を有する維持株を雌として、ホモ接合性Ms−B 1Ms−B1Su−B1Su−B1ki−B1ki−B1である所望の栽培品種 と交配すること; (b)(a)の交配の子孫種子を採取し、該種子を生長させ、こうして雄性稔 性F1植物[このすべてはヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、その1/ 2は染色体6Bについて二染色体性であり、従ってヘテロ接合性Su−B1su −B1Ki−B1ki−B1であり、かつその1/2は染色体6Bと組換え改変 染色体REC−HR1について一染色体性であり、Su−B1とKi−B1−a についてヘミ接合性であるが、組換え改変染色体REC−HR1のMs−Ss1 、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aも有する]を生産す ること; (c)染色体対形成の解析およびDNAマーカーの使用により、(b)の2つ の型のF1子孫を選択し、所望の栽培品種でこれらを受粉して2つの型のBC1子 孫[二染色体F1から得られるもの(この1/4はヘテロ接合性ms−B1Ms −B1である)、および二重一染色体性F1から得られるもの(この1/4は二 重一染色体性であり、ヘテロ接合性ms−B1Ms−B1であり、およびSu− B1とki−B1についてヘミ接合性であり、また組換え改変染色体REC−H R1のMs−Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有 する)]を生産すること; (d)(c)の該BC1子孫を生長させ、(c)の2群の該所望の植物を、染 色体対形成とDNAマーカーの使用により選択し、これらを雌として、所望の栽 培品種で以後の4世代を通して戻し交配を行って、2つの型の第5世代戻し交配 子孫(BC5)を得て、一方各世代で、二染色体型ではヘテロ接合性ms−B1 Ms−B1su−B1Su−B1Ki−B1ki−B1および二重一染色体型で はms−B1Ms−B1について、組換え改変染色体REC−HR1を有するも のを、染色体対形成解析とDNAマーカーの使用により選択すること;および (e)(d)の所望の二重一染色体性BC5植物を(d)の所望の二染色体性 BC5で自家受粉して、2群のBC52[二染色体性植物の群(その1/16は ホモ接合性ms−B1ms−B1とヘテロ接合性su−B1Su−B1Ki−B 1ki−B1であり、所望の二染色体性植物である)と二重一染色体性植物の群 (その1/16はホモ接合性ms−B1ms−B1であり、su−B1とKi− B1についてヘミ接合性であり、また組換え改変染色体REC−HR1のMs− Ss1、rht−Ss1、Su−Ss1、およびki−S11−aを有し、従って雄 性稔性であり、所望の組換え維持株である)]を生産すること; (f)(e)の該二重一染色体性BC52種子と(e)の二染色体性BC52 種子を生長させ、染色体対形成の解析とクロロトルロン(chlorotoluron)に対 する応答により、所望の雄性稔性組換え維持株と雄性不稔性雌株を選択すること ; (g)二染色体性植物の子孫[そのすべては、ホモ接合性ms−B1ms−B 1であり、従って雄性不稔性であり、その1/4はホモ接合性su−B1su− B1およびKi−B1Ki−B1であり、従って雄性不稔性雌株である]を生長 させること;および (h)(g)の該二染色体BC53を生長させ、DNAマーカーの使用により 所望の雄性不稔性雌株を選択すること、 を特徴とする上記方法。 51.ms−B1雄性不稔性対立遺伝子は、ms−B1−a、ms−B1b、お よびms−B1−cまたはMs−B1の他の任意の対立遺伝子よりなる群から選 択される、請求の範囲第1〜20項および30〜50項記載の方法。 52.ms−B1雄性不稔性対立遺伝子は、ms−B1−a、ms−B1b、お よびms−B1−cまたはMs−B1の他の任意の対立遺伝子よりなる群から選 択される、請求の範囲第21〜29項のいずれか1項に記載の維持株。 53.Ki−B1または他の任意の花粉キラー遺伝子の作用に感受性のki対立 遺伝子は、イネ科(Gramincac)の任意の種の対立遺伝子から選択される、請求 の範囲第1〜20項および30〜50項記載の方法。 54.Ki−B1または他の任意の花粉キラー遺伝子の作用に感受性のki対立 遺伝子は、イネ科(Gramincac)の任意の種の対立遺伝子から選択される、請求 の範囲第21〜29項のいずれか1項に記載の維持株。 55.rht対立遺伝子または他の任意の背丈促進遺伝子は、イネ科(Graminca c)の任意の種の対立遺伝子から選択される、請求の範囲第1〜20項、30〜 51項および第53項のいずれか1項に記載の方法。 56.rht対立遺伝子または他の任意の背丈促進遺伝子は、イネ科(Graminca c)の任意の種の対立遺伝子から選択される、請求の範囲第21〜29項、第5 2項および第53項のいずれか1項に記載の維持株。 57.Su対立遺伝子はイネ科(Gralncoac)の任意の種の対立遺伝子から選択 される、請求の範囲第1〜20項、30〜51項および第53項のいずれか1項 に記載の方法。 58.Suまたは他の任意の除草剤耐性対立遺伝子はイネ科(Gralnincac)の任 意の種の対立遺伝子から選択される、請求の範囲第21〜29項、第52項およ び 第54項のいずれか1項に記載の維持株。 59.Ba対立遺伝子はイネ科(Gramincac)の任意の種の対立遺伝子から選択 される、請求の範囲第1〜20項、第52項および第53項のいずれか1項に記 載の方法。 60.Ba対立遺伝子対立遺伝子はイネ科(Gramincac)の任意の種の対立遺伝 子から選択される、請求の範囲第21〜29項、第52項および第54項のいず れか1項に記載の維持株。 61.普通コムギまたはデューラムコムギのハイブリッド植物株の生産方法であ って、 (a)雄親株と同じ種の雄性不稔性雌親株を交配すること[ここで、該親株は 、本来優性野生型雄性稔性(Ms−B1)対立遺伝子についてホモ接合性である 任意の所望の普通コムギまたはデューラムコムギ栽培品種から選択され、かつ該 雄性不稔性雌親株は、劣性変異体雄性不稔性(ms−B1)対立遺伝子の任意の 1つと優性花粉キラー(Ki−B1)の両方についてホモ接合性である該コムギ 種の株であり、雄性不稔性雌親株は請求の範囲21〜29項のいずれか1項の維 持株により維持される];および (b)(a)の交配の子孫種子[この種子は生長させると、そのすべてが雄性 稔性でありヘテロ接合性ms−B1Ms−B1である子孫ハイブリッド植物に生 育する]を採取すること、 を特徴とする上記方法。 62.請求の範囲第61項記載の方法により得られる普通コムギまたはデューラ ムコムギのハイブリッド植物株。
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