【発明の詳細な説明】
2成分水系ポリウレタン塗膜
技術分野
本発明は、一般に、溶媒含量の低下した2成分水性ポリウレタン分散物に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、周囲温度で又はもし所望ならばより高い温度で
硬化できる低粘度ポリイソシアナートを含む2成分水性ポリウレタン分散物に関
する。それから製造された塗膜は、従来の水性ポリウレタン分散物に比べて、改
善された硬度、光沢及び溶媒抵抗性を有する。
背景技術
1成分又は2成分の溶媒に基づくポリウレタン組成物は、高品質の塗膜を生成
することが長い間知られている。しかし、塗膜の適用中、発散する揮発性有機化
合物の許容可能な量に対する厳重な規制が強化されつつあることから、水に基づ
くポリウレタンが最近非常に重要になってきている。
1成分水性ポリウレタン分散物は、周知であり、そして例えば塗膜、接着剤、
シーラントなどを含む種々の有用なポリウレタン製品の製造に使用されている。
これらの分散物は、代表的には、活性水素含有鎖延長剤とともに水性媒体中に水
分散性イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーを分散することにより製造
される。
これらの1成分分散物の製造に使用されるプレポリマーは、殆どの場合、実質
的に線状すなわち2官能性であり、そして代表的には、イオン性又は非イオン性
の親水性基又は部位を含む例えばジオールである反応性化合物の存在下、過剰の
ジイソシアナートとポリマー状ジオールを含むインシアナート反応性成分とを反
応させることにより得られる。
たとえ1成分の水に基づくポリウレタン分散物が、多くの応用について、比較
可能な溶媒に基づく被覆組成物に比べて低下した量の有機溶媒を有するとしても
、それらは、特に光沢、硬度及び溶媒抵抗性に関して、溶媒に基づく被覆組成物
と同様な似た塗膜性能を示さない。この相違は、1成分の水に基づく系を使用す
るフィルムの形成中の化学的な橋かけを欠くことに主として起因する。
溶媒に基づく2成分ポリウレタン組成物は、多官能性ポリイソシアナート例え
ばイソシアヌレート基を含むものを使用することにより、所望の化学的橋かけを
達成する。多官能性ポリイソシアナートは、性質として、高い粘度を有し、そし
て疎水性である。それらは、水性の分散物に分散できず、そのため水に基づくポ
リウレタン組成物に適していない。
親水性ポリイソシアナートを使用して2成分水性ポリウレタン分散物の橋かけ
を行う従来の試みは、例えば米国特許第5200489及び5252696号に
記載されているように、報告されている。これらの特許は、2成分ポリウレタン
組成物を製造するのに使用できる内部乳化剤を使用して水分散可能なポリイソシ
アナートの製造を開示していた。しかし、この内部乳化剤は、水に敏感なポリイ
ソシアナートから得られる塗膜をもたらす。水分散可能なポリイソシアナートを
使用して製造される、これらの従来の2成分の水に基づくポリウレタン被覆組成
物の不利のなかで、さもなければ望ましいと思われるのより短いポット寿命、よ
り多い量の必要なイソシアナート橋かけ剤、及びより低い光沢(もし共溶媒の量
が増加しないならば)がある。
従って、溶媒に基づくポリウレタン組成物に比べたとき、良好な物埋的性質、
及び高い光沢及び溶媒抵抗性を特徴とする塗膜を提供する、無溶媒そして溶媒の
少ない水に基づくポリウレタン塗膜を、ポリウレタン塗膜産業が必要としている
。
発明の開示
一つの局面では、本発明は、増加した硬度、光沢及び溶媒抵抗性を示す塗膜に
25℃(又はもし所望ならばより高い温度)で硬化可能である、2成分水性ポリ
ウレタン被覆組成物であって、該被覆組成物は、
(I)水性ポリマー樹脂分散物中に分散可能なポリイソシアナートが少なくとも
2.0の平均官能性を有しそして
(A)25−95重量%の3、3、5−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナ
ート、2−メチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナー
ト、1、4−テトラメチレンジイソシアナート、1、6−ヘキサメチレンジイソ
シアナート及びこれらの組合せのシクロダイマー又はアロファナートからなる群
から選ばれるポリイソシアナート付加物、及び
(B)5−75重量%の3、3、5−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナー
ト、2−メチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート
、1、4−テトラメチレンジイソシアナート、1、6−ヘキサメチレンジイソシ
アナート及びこれらの組合せのシクロトリマー又はビウレットからなる他のポリ
イソシアナート付加物、及び
(C)0−30重量%(好ましくは0−20%)のイソシアナートに対して不活
性である有機溶媒
を含み、さらに
(II)10−450(好ましくは28−350)のヒドロキシル数を有するイ
ソシアナート反応性ヒドロキシル末端水分散可能なポリマー樹脂
を含み、但しもし成分(B)がシクロトリマー化イソホランジイソシアナートか
ら本質的になる場合、成分(C)は該被覆組成物の重量に基づく少なくとも10
重量%の量で存在する。
他の局面では、本発明は、上記の被覆組成物を製造する方法、並びに被覆組成
物から製造された塗膜を含む被覆された基体に関する。方法は、前記の2成分水
性ポリウレタン被覆組成物の成分(I)及び(II)を接触させて混合物を提供
し、そして該混合物を混合して混合された被覆組成物を提供することからなる。
被覆された基体は、基体と混合された被覆組成物とを接触させることにより製造
される。
これら及び他の局面は、本発明の以下の詳細な記述を読めば明らかになるだろ
う。
水分散可能なポリイソシアナート付加物の選択された群の組合せが、良好な物
い理的性質を特徴とする無溶媒(又は非常に少ない溶媒)の2成分被覆組成物の
製
造を可能にすることが、本発明に従って、驚くべきことに見いだされた。これら
の物理的性質は、多量の溶媒に基づく2成分ポリウレタン被覆組成物を使用して
今まで達成できた物理的性質に比較できる。その上、本発明に従って製造された
基体上の塗膜は、広い範囲の鉛筆の芯の硬度にわたって「きず(mar)抵抗性
」を有することが分かり、そして塗膜は、塗膜のひっかき傷が室温で放置するこ
とにより消失し勝ちである限り、「自己治癒(self−healing)」の
特徴を示し勝ちである。従って、鉛筆芯のひっかき傷により生ずる塗膜の「きず
」は、短時間後もはや観察可能ではない。これらの驚くべききず抵抗性及び自己
治癒の特徴は、例えば自動車の塗膜におけるトップコート及びクリアコートの適
用に工業上の利点をもたらすだろう。
本発明の被覆組成物の製造では、好適なポリイソシアナート付加物は以下に特
定される。シクロダイマー化ポリイソシアナートは、ウレトジオン基を含み、そ
して通常「ダイマー」と呼ばれるが、一方シクロトリマー化ポリイソシアナート
はイソシアナート基を含みそして「トリマー」と通常呼ばれる。本発明で有用な
アロファナートは、アルコールと所定のポリイソシアナートとを反応させてカル
バメート中間体を形成させ、次にさらに追加のポリイソシアナートと反応させて
所望のアロファナートを形成することにより好適に製造される。アロファナート
を形成する方法は、例えば米国特許第5461135及び5124427号に開
示されている。
他のポリイソシアナート付加物は、本発明の被覆組成物にさらに好適に使用さ
れる。好適な追加のポリイソシアナート付加物は、式
R(NCO)2
(式中、Rは24−2100好ましくは56−1000の分子量を有する有機基
を表す)
により表される有機ジイソシアナートから形成されるイソシアヌレート、アロフ
ァナート、ウレチジオン又はビウレットを含む。本発明により好ましいジイソシ
アナートは、上記の式においてRが4−25個の炭素を有する2価の脂肪族炭化
水素基、4−20個の炭素を有する2価の脂環状炭化水素基、又は6−20個の
炭素を有する2価の芳香脂肪族(araliphatic)炭化水素基により表
されるものである。本発明の方法において特に好適な有機ジイソシアナートの例
は、1、4−テトラメチレンジイソシアナート、1、6−ヘキサメチレンジイソ
シアナート、2、2、4−トリメチル−1、6−ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、1、10−デカンメチレンジイソシアナート、1、12−ドデカンメチレン
ジイソシアナート、シクロヘキサン−1、3−ジイソシアナート、シクロヘキサ
ン−1、4−ジイソシアナート、1−イソシアナート−2−イソシアナートメチ
ルシクロペンタン、イソホロンジイソシアナート、ビス−(4−イソシアナート
シクロヘキシル)−メタン、1、3−及び/又は1、4−ビス−(イソシアナー
トメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナート−3−メチルシクロ
ヘキシル)−メタン、α、α、α’、α’−テトラメチル、1、3−及び/又は
1、4−キシレンジイソシアナート、1−イソシアナート−1−メチル−4(3
)−イソシアナートメチルシクロヘキサン、2、4−及び/又は2、6−ヘキサ
ヒドロトリレンジイソシアナート、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アナート、m−及びp−テトラメチルキシレンジイソシアナート、p−キシレン
ジイソシアナート、1、4−フェニレンジイソシアナート、2、4−トルエンジ
イソシアナート、2、6−トルエンジイソシアナート、4、4’−ジフェニルメ
タンジイソシアナート、2、4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメ
チレンポリフェニルポリイソシアナート、5−ナフタレンジイソシアナートであ
る。ポリイソシアナートの混合物は、また使用でき、そしてまたウレタン、アロ
ファナート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン又はイソシア
ヌレート残基の導入により変性されたポリイソシアネートも使用できる。
本発明の被覆組成物で任意に使用される有機溶媒は、好適には、イソシアナー
ト反応性基を含まない溶媒である。好適な溶媒の例は、アセトン、メチルアミル
ケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−メチルピロリドン
、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−ブチルアセテート、ジプ
ロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルアセ
テート、プロピレングリコールメチルエーテル、及び他のこれら水相溶性溶媒で
ある。溶媒の混合物も使用できる。
本発明の被覆組成物で使用されるイソシアナート反応性ヒドロキシル末端水性
分散可能な樹脂ポリマーは、好適には、10−450のヒドロキシル数を有する
。好ましくは、ヒドロキシル数は、28−350である。ヒドロキシル末端ポリ
マーの例は、式
R1(OH)n
(式中、R1は、200−8000好ましくは230−6000の分子量を有す
る、(a)ポリエステル、又は(b)ポリエーテル、又は(c)ポリウレタン、
又は(d)ポリアクリレート、又は(e)コポリ(ウレタン−アクリレート)、
又はこれらの組合せを表す)
により表さられる。nにより式中で表さられるヒドロキシル末端ポリマーの官能
度は、1.8−8、好ましくは2−6である。
本発明によるヒドロキシル末端の水分散可能なポリマー樹脂も、1−20重量
%、好ましくは2−10%の非イオン性及び/又はイオン性親水性基を有する。
好適な非イオン性基は、3−30個のエチレンオキシド繰り返し単位を有するポ
リマー状エチレンオキシドである。好適なイオン性基は、カルボキシル、スルホ
ン、スルフェート及び第四級アンモニウム基である。
ポリエステルの特定の例は、1種以上のポリカルボン酸例えば飽和脂肪族カル
ボン酸及び/又は芳香族カルボン酸、並びに1種以上の多価アルコールの反応生
成物である。脂肪族酸の例は、シュウ酸、琥珀酸、グルタール酸、アジピン酸、
ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、イソセバシン酸及びアゼライン酸である
。芳香族酸の例は、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸及びそれらの
無水物である。多価アルコールの例は、エチレングリコール、1、2−プロピレ
ングリコール、1、3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ブタンジオール、2、3
−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、1、4−ペンタンジオール、1
、6−ヘキサンジオール、1、5−ヘキサンジオール、1、4−ヘキサンジオー
ル、1、3−ヘキサンジオール、2、3−ヘキサンジオール、2、4−ヘキサン
ジオール、2、5−ヘキサンジオール、3、4−ヘキサンジオール、1、7−ヘ
プタンジオール、1、6−ヘプタンジオール、1、5−ヘプタンジオール、1、
4−ヘブタンジオール、1、3−ヘプタンジオール、2、3−ヘプタンジオール
、2、
4−ヘプタンジオール、2、5−ヘプタンジオール、ネオペンチルグリコール、
2、2−ジエチル−1、3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1、
3−プロパンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロール
プロパン及びグリセロールである。本発明によるポリエステルは、150−80
00、好ましくは450−4000の分子量範囲を有する。それらは、1.5−
8、好ましくは1.8−4の官能度を有する。
ポリエステルの特定の例は、反応性水素原子を含む原料化合物とアルキレンオ
キシド例えばプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テト
ラヒドロフラン、エピクロロヒドリン又はこれらのアルキレンオキシドの混合物
との反応により得られるポリマーである。エチレンオキシドの或る限定された割
合も含まれる。少なくとも1個の反応性水素原子を含む好適な原料化合物は、ポ
リヒドロキシポリエステルを製造するのに好適であるとして示されるポリオール
を含み、そしてさらに、水、メタノール、エタノール、1、2、6−ヘキサント
リオール、1、2、4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリ
スリトール、マニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、砂糖、フェノール
、イソノニルフェノール、レソルシノール、ヒドロキノン及び1、1、1−又は
1、1、2−トリス(ヒドロキシルフェニル)エタンを含む。本発明によるポリ
エーテルは、150−8000、好ましくは200−6000の分子量を有する
。それらは、1.5−8、好ましくは1.8−4の官能度を有する。
ポリウレタンの特定の例は、ジイソシアナートとポリオールとの反応生成物で
ある。本発明に好適なジイソシアナートは、式
R(NCO)2
(式中、Rは24−2100、好ましくは56−1000の分子量を有する有機
基を表す)
により表さられる有機ジイソシアナートである。本発明による好ましいジイソシ
アナートは、Rが4−25個の炭素を有する2価の脂肪族炭化水素基、4−20
個の炭素を有する2価の脂環状炭化水素基、又は6−20個の炭素を有する2価
の芳香脂肪族炭化水素基を表す上記の式により表さられるものである。本発明の
方法に特に好適な有機ジイソシアナートの例は、エチレンジイソシアナート、1
、
4−テトラメチレンジイソシアナート、1、6−ヘキサメチレンジイソシアナー
ト、2、2、4−トリメチル−1、6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1、
10−デカンメチレンジイソシアナート、1、12−ドデカンメチレンジイソシ
アナート、シクロヘキサン−1、3−ジイソシアナート、シクロヘキサン−1、
4−ジイソシアナート、1、イソシアナート−2−イソシアナートメチルシクロ
ペンタン、イソホロンジイソシアナート、ビス−(4−イソシアナートシクロヘ
キシル)−メタン、1、3−及び/又は1、4−ビス−(インシアナートメチル
)−シクロヘキサン、ビスー(4−イソシアナート−3−メチル−シクロヘキシ
ル)−メタン、α、α、α’、α’−テトラメチル、1、3−及び/又は1、4
−キシレンジイソシアナート、1−イソシアナート−1−メチル−4(3)−イ
ソシアナートメチルシクロヘキサン、2、4−及び/又は2、6−ヘキサヒドロ
トルイレンジイソシアナート、4、4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナ
ート、m−及びp−テトラメチルキシレンジイソシアナート、p−キシレンジイ
ソシアナート、1、4−フェニレンジイソシアナート、2、4−トルエンジイン
シアナート、2、6−トルエンジイソシアナート、4、4’−ジフェニレンメタ
ンジイソシアナート、2、4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチ
レンポリフェニルポリイソシアナート、5−ナフタレンジイソシアナートを含む
。好適なポリオールは、ポリエステル及びポリエーテルとして上記されたもの、
並びにヒドロキシル末端ポリラクトン、並びにヒドロキシル末端ポリカーボネー
トを含む。
好適なヒドロキシル末端ポリラクトンは、400−6000、好ましくは65
0−3000の分子量を有するバレレートラクトン、又はε−カプロラクトンの
ポリマー状生成物である。
好適なヒドロキシル末端ポリカーボネートは、ポリヒドロキシルポリエステル
を製造するために前記した多価アルコールとホスゲン、ジアリールカーボネート
例えばジフェニルカーボネート又は環状カーボネート例えばエチレン又はプロピ
レンカーボネートとの反応から得られる反応生成物である。また好適なのは、上
記のポリエステル、ポリラクトン又はポリエーテルの低分子量オリゴマーとホス
ゲン、ジアリールカーボネート又は環状カーボネートとの反応により得られるポ
リエステルカーボネート又はポリエーテルカーボネートである。本発明に好適な
ヒドロキシル末端ポリカーボネートは、250−8000、好ましくは650−
3000の分子量を有する。
ヒドロキシル基含有ポリアクリレートの特定の例は、1種以上の不飽和ヒドロ
キシルアクリルモノマー(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート)、不飽和ア
クリル酸アミドモノマー(例えば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、メタクリルアミド)、不飽和カルボン酸モノマー(例えばアクリル酸、メ
タクリル酸、イタコン酸、クロトン酸)、不飽和酸無水物モノマー(例えば無水
イタコン酸、無水マレイン酸)、不飽和グリシジルモノマー(例えばグリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレート)、アクリル酸エステルモノマー(例
えばエチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート)、メタクリル酸エステルモノマー(例えばメチルメタクリレート、n−
ラウリルメタクリレート、イソブチルメタクリレート)、マレイン酸エステルモ
ノマー(例えばジブチルマレエート、ジエチルマレエート)、フマール酸エステ
ルモノマー(例えばジブチルフマレート、ジエチルフマレート)スチレン及びそ
の誘導体(例えばα−メチルスチレン、β−クロロスチレン、α−ブロモスチレ
ン、p−ブロモスチレン)、ニトリル(例えばアクリロニトリル、メチルアクリ
ロニトリル、エチルアクリロニトリル)などである。
コポリ(ウレタン−アクリレート)の特定の例は、成分(c)について記述さ
れたように製造されたコポリマーであるが、但し2−50重量%の成分(d)が
ポリオールとして使用された。
本発明による2成分被覆組成物は、イソシアナート反応性水性溶液及び/又は
ヒドロキシ末端ポリマーの分散物、成分(II)中に、ポリイソシアナート、成
分(I)の混合により製造される。2成分の混合は、好適には、高いエネルギー
なしに室温で単に撹拌するか又は振盪することにより実施される。ポリイソシア
ナート成分の量は、約1−5、好ましくは約1.2−2.0の成分(I)のイソ
シアナート基並びに成分(II)のヒドロキシル基に基づくNCO/OH当量比
をもたらすように選択される。本発明により製造された混合物は、良好なポット
寿命及び2時間より長いスプレイ粘度を有する。
ポリイソシアナート成分(I)がイソシアナート反応性成分(II)に混合さ
れる前に、塗膜技術に概して使用される補助剤及び添加物が、イソシアナート反
応性成分(II)に配合できる。補助剤及び添加物は、発泡阻害剤、レベリング
助剤、顔料、固体顔料用の分散助剤、表面活性剤などを含む。
このようにして得られた本発明による2成分被覆組成物は、現在使用されてい
る基体上の溶媒含有、無溶媒又は他の水性ペンキ及び塗膜系の本質的にすべての
適用に好適である。適用の例は、金属表面のペンキ塗り及び塗膜塗り、プラスチ
ック表面のペンキ塗り及び塗膜塗り、木材及び木材に基づく材料例えばパーティ
クルボード、ファイバーボード及び紙のペンキ塗り、塗膜塗り及びシーリング、
鉱物質材料の表面例えば石灰及び/又はセメント結合ビルディング材料及びコン
クリートのペンキ塗り、塗膜塗り又はシーリング、並びにアスファルト含有舗道
のペンキ塗り及び塗膜塗りを含む。それらは、また、二つの表面の材料が同じ又
は異なる種々の材料の結合に好適である。
本発明による水性被覆組成物は、当業者に周知の種々の技術の任意のもの、例
えば噴霧、ロール・オン、ブラッシ・オンなどを使用して基体に適用できる。そ
れらは、また、顔料、レベリング剤、触媒及び当業者に周知の他の補助剤を含む
ことができる。
本発明は、以下の実施例でさらに説明されるが、それにより制限されることを
目的とするものではない。そのなかで、すべての部及び%は、他に特定されてい
ない限り、重量による。
実施例
実施例 I−溶媒とともにHDIダイマープラスHDIトリマーを含む塗膜の製
造
工程 1
低粘度HDIダイマー/HDIトリマーイソシアナート橋かけ剤の製造
HDIダイマー/HDIトリマーイソシアナート橋かけ剤は、(a)100部
の低粘度ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)ダイマー;(b)100部
のHDIトリマー;及び(c)35.29部のジプロピレングリコールジメチル
エーテル(Dow Chemical Companyの製品であるPROGL
YDE DMMとして市販されている)をブレンドすることにより製造された。
これらの材料は、室温で30分間撹拌された。
工程 2
ポリウレタンイオノマー及びポリウレタン樹脂の水性分散物の製造
適切なサイズの反応容器、すなわち撹拌器、温度コントロール、凝縮器及び窒
素パージを備えた3口丸底フラスコに、以下の5種の成分を装入した。(1)1
10.92部の量のポリエステルポリオール(OH当量=270.75);(2
)45.48部の量のイソホロンジイソシアナート(IPDI)モノマー:(3
)13.60部の量のジメチロールプロピオン酸(DMPA);(4)30.0
0部の量のN−メチルピロリドン(NMP)及び(5)0.10部の量のT−1
2(ジブチル錫シラウレート)触媒。
この反応混合物は、80℃に加熱し、そしてNCOピークがIRによりもはや
明らかでなくなるまで、維持した。185部の該イオノマーを800mL容使い
捨てビーカーに重量をはかって入れ、そして以下のように分散物の製造のために
取っておいた。
イオノマー中のカルボキシル濃度を中和するために、8.78部のジメチルエ
タノールアミン(DMEA)を、199.76部の量で、水道水とともに250
mL容の使い捨てビーカーに添加した。この混合物を、さじにより溶液中に手で
撹拌して入れた。イオノマーを、「高粘度(hi−vis)」混合ヘッドを備え
たPremier Mill分散器を使用して中程度に撹拌した。このイオノマ
ーに、上記の水/アミン溶液を入れ、そして分散してイオノマーの所望の水性分
散物をもたらした。
工程 3
2成分(2k)ポリウレタン−HDIダイマー/HDIトリマー塗膜の製造及び
テスト
2成分組成物の橋かけは、先ず8オンス容ガラス瓶に以下の成分を加えた。1
8.17部の量のイソシアナート橋かけ剤(この実旌例の工程1から);66.
23部の量のイオノマーの分散物(この実施例の工程2から);0.80部の量
のOSi Specialities,Inc.のSILWET L−7604
(10%水分);0.80部のOSi Specialities、Inc.の
SILWET L−7605(10%水分);12.53部のジプロピレングリ
コールジメチルエーテル(Dow Chemical CompanyのPRO
GLYDE DMM)及び12.40部の水。標準のテストを得られた塗膜で行
われ、そして結果を以下の表1に示す。
被覆されたテストパネルを、外観、機械的性質、及び化学的抵抗性についてテ
ストする前に2週間、周囲の温度及び湿度の条件で硬化させた.鉛筆の硬度をA
STM D3363−92aに従って測定された。円錐状のマンドレル曲げテス
トを、ASTM D522−92に従って、BYK−Gardner、Inc.
からの8分の1インチテスターを使用して行われた。直接及び逆の衝撃植は、B
YK−Gardner、Inc.からの可変高さ衝撃テスターを使用してAST
M D2794−92に従って測定された。光沢は、BYK−Gardner、
Inc.からのマイクロ−TRZ−光沢、多角光沢計を使用して測定された。ク
ロスハッチ接着は、ASTM D3359−92aに従ってBYK−Gardn
er、Inc.からのクロスハッチカッターを使用して測定された。化学的抵抗
性は、ASTM D1308−87に従って測定された。 *2B−9H鉛筆硬度テストにおいて「きず抵抗性」をもたらす塗膜。
実施例 2−無溶媒のHDIダイマープラスHDIトリマーを含む被覆組成物の
製造
工程 1
100%固体HDIダイマー/HDIトリマーイソシアナート橋かけ剤の製造
適切な反応容器、すなわち撹拌器及び窒素パージを備えた3口丸底フラスコに
、以下の2種の成分を装入した。(1)35.00部の量の低粘度ヘキサメチレ
ンジイソシアナート(HDI)ダイマー;(2)35.00部の量のHDIトリ
マー。これらの物質を室温で30分間撹拌した。
工程 2
被覆組成物の製造
橋かけは、以下の成分及び重量を使用して、上記の実旅例1に示されたような
やり方に従った。18.40部の量のイソシアナート橋かけ剤(実旅例1の工程
1参照);66.23部の量の分散物(実施例1の工程2参照);0.80部の
量のSILWET L−7604(10%水分);0.80部のSILWET L
−7605(10%水分);12.53部のジプロピレングリコールジメチルエ
ーテル(PROGLYDE DMMとして)及び12.40部の水。表2に示さ
れる物理的及び化学的性質を有する所望の被覆組成物が形成された。*2B−9H鉛筆硬度テストにおいて「きず抵抗性」をもたらす塗膜。
実施例 3−無溶媒のアロファナートプラスHDIトリマーを含む被覆組成物の
製造
工程 1
HDIトリマー/アロファナートイソシアナート橋かけ剤の製造
以下のトリマー/アロファナートの変化したものを、無溶媒で、実施例1工程
1のやり方を使用して製造した。
HDI トリマー 35.00部
アロファナート 35.00部
工程 2
被覆組成物の製造
橋かけは、以下の成分及び重量を使用して、上記の実施例1に示されたような
やり方に従った。18.86部の量のイソシアナート橋かけ剤(実施例1の工程
1参照):66.23部の量の分散物(実施例1の工程2参照):0.80部の
量のSILWET L−7604(10%水分);0.80部のSILWET
L−7605(10%水分);12.53部のジプロピレングリコールジメチル
エーテル(PROGLYDE DMMとして)及び12.40部の水。所望の被
覆組成物が形成された。
実施例 4−アロファナートプラスIPDIトリマーを含む塗膜の製造
工程 1
IPDIトリマー/アロファナートイソシアナート橋かけ剤の製造
以下のトリマー/アロファナートの変化したものを、無溶媒で、実施例1工程
1のやり方を使用して製造した。
HDI トリマー 35.00部
アロファナート 35.00部
DMM 17.50部
工程 2
被覆組成物の製造
橋かけは、以下の成分及び重量を使用して、上記の実施例1に示されたような
やり方に従った。22.88部の量のイソシアナート橋かけ剤(実施例1の工程
1参照);66.23部の量の分散物(実施例1の工程2参照);0.80部の
量のSILWET L−7604(10%水分);0.80部のSILWET
L
−7605(10%水分);12.53部のジプロピレングリコールジメチルエ
ーテル(PR0GLYDE DMMとして)及び12.40部の水。所望の被覆
組成物が形成された。
本発明は、その特定の太陽に関連して上記で記述されたが、多くの変化、改修
及び変動が、本明細書で開示された本発明の概念から離れることなく、されうる
ことは明らかである。従って、請求の範囲の趣旨及び広い範囲内に入るこれらの
変化、改修及び変勤のすべてを包含することを目的とするものである。
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,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
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Z,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,A
U,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH
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I,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ
,VN,YU
(72)発明者 チェン,オーガスチン ティ
アメリカ合衆国コネチカット州 06410
チエシャー ファーミントン ドライブ
893
(72)発明者 オコンナー,ジェームス エム
アメリカ合衆国コネチカット州 06405
ブランフォード ベケット アベニューブ
107