JP2000511773A - 核酸を送達するベクターとして有用なウイルス様粒子 - Google Patents

核酸を送達するベクターとして有用なウイルス様粒子

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、(i)内部空間を規定し、少なくともパピローマウイルスのL1タンパク質の全部または一部および所望によりE2タンパク質の全部または一部により構成されるキャプシド、ならびに(ii)該内部空間に含まれる核酸分子を含んでなる非感染性ウイルス様粒子(VLP)を記載する;該核酸分子は、目的のタンパク質、特に抗原またはサイトカインをコードする領域を含む。かかるVLPはインビボで投与することができ、あらゆる種類の癌疾患または感染症に対する治療におけるまたは予防のためのワクチン目的に特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 核酸を送達するベクターとして有用なウイルス様粒子 本発明の課題は、例えば遺伝子療法、免疫療法において、および治療用または 予防用ワクチンとして使用するための遺伝物質を送達するための新規ベクターで ある。 脊椎動物では、その最終的有用性に係わらず、遺伝物質の導入は様々な手法で 行われ得る。この手法には、最も広範に知られているものについては、(i)ウ イルスベクターによる導入、(ii)リボソームなどへのパッケージングを介する 導入、(iii)カチオン性脂質、金ビーズまたはリン酸カルシウムなどの促進剤 によって媒介される導入、および(iv)裸のDNA(すなわち、導入を促進する ためにDNAと相互作用または共同作用する他の成分を欠いているDNA)の単 なる注入による導入がある。 それぞれの方法は一般的な用途を有する方法であるが、導入しようとする物質 のタイプ、この物質の発現が望まれる部位、発現の永久的または一過性的性質な どの様々な要因しだいで、一の方法が別の方法よりも適切であることもあるよう である。 例えば、それが個体の遺伝的欠損の補正を含む場合、レトロウイルス由来のウ イルスベクターを使用する導入の組込み様式が好適であり得る。 他の場合、例えば、癌の治療において、腫瘍部位を標的とする一過性発現が好 ましい。この目的のために、ワクチンベクターなどのウイルスベクターが特に適 切である。 ワクチン治療の場合、ワクチンベクター、リポソームまたは裸のDNAですら 適切であり得る。後者は、特に予防用ワクチン接種のためには、レトロウイルス ベクターよりも好適であろう。 今、異種RNAまたはDNAの存在下、パピローマウイルスのキャプシドをイ ンビトロで再構築してもよく、その中にこの遺伝物質が効率的にパッケージング されることが見出された。従って、一般にウイルス様粒子についてVLPと呼ば れるキャプシドは、様々な用途を有する遺伝物質導入用ビヒクルとして役立つこ とができる。 パピローマウイルスは、エンベロープを持たない小さなDNAウイルスで、二 十面体構造を有する。それらのゲノムは、初期タンパク質8つまでおよび後期タ ンパク質2つをコードする。それらのオープンリーデングフレームは、E1〜E 7ならびにL1およびL2に分類される。初期(Eは初期に対応する)遺伝子は 、ウイルス複製および細胞形質転換機能に関連する。パピローマウイルスのキャ プシドは、2つのタンパク質L1およびL2(Lは後期タンパク質に対応する)か らなり、L1は、主要な構成成分である。詳細な情報については、B.N.Fields によるVirology,第2版,Raven Press(1990)を参照してもよい。 あらゆる面で天然ビリオンのキャプシドに類似しているVLPは、これをワク チン系(Hagenseeら,J.Virol.(1993)67:315)またはバキュロウイルス系(K irnbauerら,PNAS(1992)89:12180;Kirnbauerら,J.Virol.(1993)67:6929 ;Roseら,J.Virol.(1993)67:1936;Le Cannら,FEMS Microbiol.Lett.( 1994)117:269)におけるL1単独またはL1+L2のいずれかの組換え発現によっ て入手してもよい。 これらのVLPは、天然のコンホメーションを採り、天然ビリオンに存在する コンホメーションエピトープを認識することが知られている中和抗体と反応する ので、すでに、これらのVLPをパピローマウイルス感染症に対するワクチンと して使用することが示唆されてきた(WO 94/5792)。 ヒトを含む多くの動物種は、パピローマウイルス感染症に罹患しやすい。これ らの感染因子は、それらが感染する群に対して特異的である。したがって、特に 、ウシパピローマウイルスとヒトパピローマウイルス(HPV)とを区別するこ とが可能である。ヒトでは、HPVの種々の型が様々な疾患の原因となっている 。1型、2型、3型、4型、7型、10型、および26型〜29型は、良性のゆ うぜいの原因である。5型、8型、9型、12型、14型、15型、17型、1 9型〜25型、36型、および46型〜50型は、免疫学的欠損個体において病 変 を誘発し得る。6型、11型、34型、39型、41型〜44型および51型〜 55型は、生殖器および呼吸器粘膜の形成異常または非悪性コンジロームの原因 であり;稀ではあるが、これらの型のいくつかは、侵食癌に関与し得る。最後に 、16型および18型、ならびに、より低い程度で、31型、33型、35型お よび45型は、生殖器粘膜の上皮形成異常を引き起こし、大部分の侵食癌に関与 する。 本発明は、その一部については、内部空間を規定するキャプシドおよびこの内 部空間に含有される核酸分子を含む非感染性パピローマウイルスのウイルス様粒 子(VLP)であって、該核酸分子が、少なくとも、野生型後期タンパク質をコ ードするパピローマウイルスのゲノムの領域の全部または一部を欠くという点で 該ゲノムと異なるウイルス様粒子を提供するものである。 本発明の目的のために、該キャプシドは、主に、タンパク質L1の全部もしく は一部から、またはタンパク質L1の全部もしくは一部およびタンパク質L2の 全部もしくは一部から作製される。簡単のため、本明細書ではL1またはL2タ ンパク質のみを用いるが、これは、全タンパク質およびそのフラグメントを表す 。異なるタイプから得られるいくつかのL1またはL2タンパク質があることも 予想することができる。 L1およびL2タンパク質が誘導され得るHPVタイプの中でも、特に1型、 6型、10型、11型、16型、18型、31型、33型、35型または45型 について記載され得る。 タンパク質がHPV−16、−18、−33もしくは−35から、または侵食 癌を誘発し得るいずれかの他のHPVから得られる場合、本発明の目的のための 使用におけるL1タンパク質の配列は、パピローマウイルスに存在するL1タン パク質の配列と同一である(後者が良性の病変(例えば、尖圭コンジロームまた は子宮頚部形成異常)から最初に単離される場合)。実際には、良性病変の病期 で、パピローマウイルスは完全なビリオン状態で自由に複製することができるが 、悪性の病期では、特にL1をコードするORFに生じる突然変異のために、ウ イルスのこの機能は損なわれる。この突然変異は、特にキャプシドの形成を妨げ る。 コンジロームから単離されるHPVから得られる16型L1タンパク質の配列は 、出願WO 94/5792の配列番号2に開示されている。この配列は、202位のアミ ノ酸がヒスチジン以外のアミノ酸、すなわち、アスパラギン酸またはグルタミン 酸残基である点で、悪性癌から単離されるHPV−16のL1タンパク質の配列 と区別可能である。 L2タンパク質については、後者は、本発明のVLPを使用するのに必要な成 分を精製する間に如何なる極微量のDNAの消失をも促進するために、DNA結 合部位を欠失させることができる。実際には、このことは、N末端の最初の12 個のアミノ酸の1つまたはいくつかを抑制あるいは修飾することを含む。かかる L2タンパク質については、特に、WO 95/20659およびZhouら,J.Virol.(199 4)68:619に記載されている。 あるいは、キャプシドは、キメラL1−E6、L1−E7、L2−E6、L2 −E7、またはL1またはL2タンパク質の少なくとも一部がL1またはL2に 非相同のペプチドまたはポリペプチド、例えば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス )のgagペプチドと結合して存在し得る他のキメラ形態に対応する1つ以上のハ イブリッドタンパク質(融合タンパク質)からなる。かかるハイブリッドを形成 するために、いくつかのタイプの会合が理論的に可能である。 例えば、ペプチド結合によって、全L1およびL2タンパク質のN末端または C末端をE6またはE7タンパク質の対向端に結合させることを考慮することが できる。同じ作用が短縮型タンパク質でも予想することができる。E6またはE 7の全部または一部をペプチド結合によってL1またはL2タンパク質の配列の 中央に挿入することも予想できる;好ましくは、独特なエピトープに対応するE 6またはE7のフラグメントが挿入される。L1またはL2配列全体を保存した まま、あるいは代わりにその一部を欠失することによって、L1またはL2タン パク質の配列に挿入することができる。明らかに、これらのハイブリッドタンパ ク質をコードする適切な発現カセットの(遺伝子融合による)構築により、これ らのタンパク質が産生される。 上記のように、キャプシドを構成する成分は、組換え系、細菌、酵母、哺乳動 物または昆虫細胞において産生され得る。例えば、WO 95/31476は、イー・コリ (E.coli)におけるおよびイー・コリからのL1タンパク質の発現および精製を 扱っている。WO 95/31532には、酵母におけるおよび酵母からのHPV−6a、 −11、−16および−18のL1タンパク質の発現および精製、ならびに、こ れら同タンパク質の対応するL2タンパク質との同時発現および同時精製が開示 されている。WO 93/2184およびZhouら,Virology(1991)185:251には、ワクチ ンベクターの補助による哺乳動物細胞での16型のL1タンパク質またはL1お よびL2タンパク質の発現が開示されている。WO 94/152およびGhimら,Virolog y(1992)190:548には、プラスミドpSVLの補助による哺乳動物細胞COSに おける1型L1タンパク質の発現が開示されている。また、Hagenseeら,J.Vir ol.(1993)67:315には、ワクチン系による1型L1タンパク質の発現が開示さ れている。W094/5792およびKirnbauerら,J.Virol.(1993)67:6929には、バ キュロウイルスの補助による昆虫細胞での16型L1タンパク質の発現および対 応するL2タンパク質との同時発現が開示されている。同じ課題について、Xiら ,J.Gen.Virol.(1991),72:2981にも開示される。WO 94/20137およびRoseら ,J.Virol.(1993)67:1936には、同一系における11型、16型および18 型L1タンパク質の発現が開示されている。したがって、L1タンパク質または L1およびL2タンパク質の発現を目的とする組換え系の開発は、明らかに当業 者の能力の範囲内である。 これらのタンパク質が原核系で産生される場合、それらは、一般に、精製後も 解離状態を保持する。これらのタンパク質は、特定の再生処理に供されない限り VLPの形成は認められず、特にこの場合、回収率は極めて低いままである。 これらのタンパク質が真核系で発現される場合、一般に、発現レベルが極めて 低い場合を除いて、産生されたタンパク質がVLPの形態で自発的に再構成する ことが予想される。したがって、精製後に得られた生成物は、VLPであり、解 離したタンパク質ではない。 したがって、本発明の対象を実施するために、真核系において産生されるVL Pは、それらの構成成分に解離するように処理されるべきである。解離にはジス ルフィド結合を還元すること、および、カルシウムイオンを除去することが必要 とされる(Volpersら,J.Virol.(1995)69:3258およびColomarら,J.Virol. (1993)67:2779)。例えば、VLPをアルカリpH下に置くかまたはジチオトレ イトール(DTT)などの還元剤を使用する。EGTA(エチレングリコール− ビス(ベータ−アミノエチルエーテル)−N,N,N',N'−四酢酸)などのカルシウ ム錯形成性キレート化剤も使用される。 本発明の目的のために、包膜化された核酸は、RNAであってもまたはDNA であってもよく;主として後者が好ましい。分子のサイズは重要ではない;しか し、少なくともDNAについては、8kbpを超えないことが好ましいことはいう までもない。 本発明の目的に有用な核酸分子は、パピローマウイルスゲノムとは異なるべき であるが、核酸分子は、そのいくつかの成分を含有することができる。特に、こ の分子は、パピローマウイルスゲノムの構造を有さず、パピローマウイルスに特 異的な複製開始点を含有しない。 DNAは、線状の形態でも、または環状の形態であってもよいが、後者の形態 が好ましい。好都合には、それはプラスミドである。後者は、所望の目的に依存 して、組込み状であるか、または組込み状ではない。同様に、それは、哺乳動物 細胞内で複製してもまたはしなくてもよい。産生目的のために、それは、例えば 原核複製開始点を含む。 DNA分子、例えばプラスミドは、所望により、パピローマウイルスのE2タ ンパク質への結合を可能にする部位を含んでいてもよい。かかる部位は、配列と して式ACCN6MT(式中、Nは、独立して、A、G、CまたはTであり、M は、GまたはTである)を有してもよい。DNA分子はまた、パピローマウイル スのゲノムの長い調節領域(LCR)の全部または一部を含んでもよい。 このDNA(またはRNA)分子の本質的な機能は、哺乳動物細胞において1 つ以上の目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の発現を可能にするこ とである。したがって、それは、適切なプロモターの制御下に配置されたコード 化領域を含む。例として、特に米国特許USP 5,168,062に開示されているヒトサ イトメガロウイルス初期プロモーターまたはヒトデスミンをコードする遺伝子の 117:947)などの組織特異的プロモーターを挙げることができる。 コード化領域の選択は、本発明のVLPの所定の使用により決定されるであろ うい。したがって、これらのVLPを、寄生生物感染、細菌感染またはウイルス 感染に対するワクチン剤と使用することができる。この場合、ペプチドまたはポ リペプチドまたはタンパク質は、寄生生物抗原、細菌抗原またはウイルス抗原か ら選択される。 特定の実施態様によれば、パピローマウイルス感染症に対する治療用または予 防用ワクチン接種剤として本発明のVLPの使用が選択される。この場合、コー ドされるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、パピローマウイルス(好 ましくは、16型、18型、31型、33型、35型または45型HPV)のE1 およびE2タンパク質の全部または一部、ならびにE6およびE7タンパク質の 非発癌性形態から有利に選択される。このパピローマウイルスは、所望により、 キャプシドタンパク質が誘導される型とは異なる型のものであってもよい。 非発癌性形態としては、非発癌性パピローマウイルスのE6およびE7タンパ ク質ならびに発癌性パピローマウイルスのE6またはE7タンパク質の欠失形態 が挙げられる;有利なことに、E6タンパク質のそのような欠失形態は、アミノ 酸残基106から115の間のE6領域の全部または一部を含まない(例えば、 それはHPV−16 E6Δ(106−110)またはΔ(111−115)または Δ(106−115)タンパク質であってもよい)。同様に、E7タンパク質の欠 失形態は、アミノ酸残基20〜26の間のE7領域の全部または一部を含まない (例えば、それはHPV−16 E7Δ(21−24)またはΔ(21−26)タン パク質であってもよい)。 Crookら,Cell(1991)67:547およびMungerら,EMBO J.(1998)8:4099には 、これらの初期タンパク質、それらの対応DNAフラグメントおよびそれらの非 発癌性形態が開示されている。 例として、タンパク質の起源について、起こり得る様々な組み合わせを以下に 示す(ここに挙げたものが全てではない): キャプシド 核酸 L1 L2 E6 E7 HPV−16 HPV−16 HPV−16 HPV−16 HPV−16 HPV−16 HPV−18 HPV−18 HPV−16および HPV−16 HPV−16および HPV−18および HPV−18 HPV−18 HPV−18 HPV−16および −−− HPV−33 −−− HPV−18 HPV−16 −−− HPV−16 −−− HPV−16 −−− −−− HPV−16 もう1つの局面では、自己抗原によって誘発される腫瘍に対して、本発明のV LPをワクチン接種剤として予防的または治療的に使用することを考慮すること もできる。腫瘍に関連する抗原の中でも、特にチロシナーゼ、糖タンパク質gp 100、MAGEタンパク質ファミリー、CEA、rasタンパク質(突然変異型ま たは天然)、p53タンパク質(突然変異型または天然)、MuclおよびpSAが挙げ られる。 本発明のVLPはまた、これらの分子が処方される全ての用途において、イン ビボで、サイトカイン、または免疫調節機能(例えば、ヘルパーT細胞による細 胞認識)を有する二次分子を送達するのにかなり有用であり得る。サイトカイン の中でも、特にインターロイキン−2(IL−2)、IL−4、−5、−7、−1 0、−12、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)、ガンマイ ンターフェロン(ガンマ−INF)およびTGF−ベータ(腫瘍増殖因子−ベー タ)が挙げられる。二次分子の中でも、特にB7.1、B7.2、CD40、CD 28およびCIITAが挙げられる。 例えば、本発明の目的に有用な核酸分子は、感染因子の抗原または腫瘍に関連 する自己抗原をコードする領域を含むだけではなく、サイトカイン、例えば、I L−2またはIL−12をコードする領域を含んでもよい。パピローマウイルス 感染症を治療または予防するために、かかる領域は、先に考慮したように核酸分 子に付加されてもよい。一般に、このことは、いずれの他のワクチン用途のため に行われてもよい。 同様に、核酸分子が実質的に少なくとも1つのサイトカインまたは少なくとも 1つの二次分子をコードする本発明のVLPは、腫瘍または自己免疫疾患などの 様々な病理を治療するため、あるいは移植後の拒絶反応を防止するための成分と して治療に有用であり得る。 最後に、本発明のVLPはまた、遺伝病の治療にも有用であり得る。この特定 の場合、包膜化のために、血友病を治療するためには第VIII因子、デュシェーヌ ジストロフィー(ミオパシー)を治療するためにはジストロフィンまたは嚢胞性 線維症を治療するためにはタンパク質CFTR(嚢胞性線維症トランスメンブラ ンレギュレーター)などの遺伝子欠損を補正する目的のタンパク質をコードする 少なくとも1つの領域を含む核酸分子が調製される。 したがって、本発明の対象は、以下のものでもある: (i)医薬品としての本発明のVLP; (ii)医薬上許容される希釈剤または担体と組み合わせて、有効成分として本 発明の少なくとも1つのVLPを含有してなる医薬組成物; (iii)少なくとも2つのVLPを含有してなる医薬組成物であって、第1の VLPが16型などの第1の型のL1タンパク質の少なくとも全部または一部か らなるキャプシドを含み、第2のVLPが18型などの第1の型とは異なる第2 のタイプのL1タンパク質の少なくとも全部または一部からなるキャプシドを含 む医薬組成物; (iv)細菌もしくはウイルス感染症、例えば自己抗原によって誘発されるよう な腫瘍または自己免疫疾患の予防薬または治療薬、あるいは移植片拒絶反応の防 止薬の調製における本発明のVLPの使用; (v)細菌もしくはウイルス感染症、例えば自己抗原によって誘発されるよう な腫瘍または自己免疫疾患の治療方法または予防方法、あるいは移植片拒絶反応 の防止方法であって、かかる治療を必要とする個体に治療的または予防的に有効 な量の本発明のVLPの少なくとも1つを投与することからなる方法; (vi)哺乳動物に生理学的に活性な形態でペプチド、ポリペプチドまたはタン パク質を提供することが可能であるインビボでの発現方法であって、核酸分子が 該ペプチドもしくはポリペプチドまたは該タンパク質をコードする領域を含み、 DNA分子が関与する場合は適切なプロモーターの制御下に配置される本発明の VLPの少なくとも1つを哺乳動物に投与することからなる方法。 本発明の組成物は、慣用的な方法で製造され得る。特に、少なくとも1つのV LPが医薬上許容される希釈剤または担体と組み合わされる。希釈剤または担体 および処方方法の例については、Remington's Pharmaceutical Scienceに示され ている。処方は、投与経路;エアロゾル、注射用処方物、坐剤、錠剤等に依存し 得る。 本発明の組成物は、この組成物がワクチン効果を目的とする場合、ワクチンの 分野で用いられているいずれの慣用的な経路によっても投与され得る。それらは 、特に、全身経路、例えば、皮下、皮内、筋肉内または静脈内経路、および粘膜 経路、例えば、口腔、鼻腔、肺または肛門経路である。充実性腫瘍の治療が関与 する場合、上記の経路が継続して使用され、腫瘍内経路もそれに加えられる;例 えば、好都合には、嚢胞性線維症の場合の肺経路(VLPはエアロゾル形態で処 方される)または血友病の場合の静脈内経路が挙げられる。 投与は、単回投与あるいは特定の時間間隔後に1回または数回繰り返される投 与で実施され得る。適切な用量は、様々なパラメータ、例えば、治療される個体 または投与様式に従つて変化する。一般に、1回の用量は、本発明のVLPを1 〜250μg含んでなる。 本発明はまた、本発明のVLPの調製方法であって、カルシウム塩のようなキ ャプシド形態でL1タンパク質(またはL1およびL2タンパク質)の再会合を 可能にする薬剤の存在下、上記で定義した核酸分子を解離形態のパピローマウイ ルスのL1タンパク質の全部または一部および所望によりパピローマウイルスの L 2タンパク質の全部または一部と混合し、該混合物から該VLPを回収すること からなる方法に関する。 包膜化されることを目的とするDNAがE2タンパク質に結合可能にする部位 を含む場合、このタンパク質を再構築混合物に添加することが有利になる。この タンパク質は、例えば、原核系(細菌)または真核系(例えば、酵母、昆虫細胞 )における組換え経路によって既に産生されている。 混合工程の前に、L1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク 質の全部または一部を真核宿主細胞における組換え経路によって発現させること が好都合である。この場合、空のウイルス様粒子が回収され、L1タンパク質の 全部または一部、所望によりL2タンパク質の全部または一部を解離形態で得る ために、それらは還元剤および/またはカルシウムイオンキレート化剤で処理さ れる。 好都合には、L1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク質の 全部または一部をコードするDNAフラグメントがゲノム中に挿入され、適切な プロモーターの制御下に配置されているバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞 における組換え経路によって、L1タンパク質の全部または一部、所望によりL 2タンパク質の全部または一部が発現される。。 本発明のVLPを、例えば、癌の治療などの長期間の治療に使用する場合、同 一型のVLP(すなわち、同じキャプシドを有するVLP)の反復投与が免疫学 的見地から問題となる場合がある。この不利益の可能性を克服するために、異な るキャプシドを有するVLPの連続使用を考慮することができる。例えば、同一 の核酸分子を有する(例えばIL−2またはIL−12をコードする領域を有す る)が、L1タンパク質および所望によりE2タンパク質が誘導されるパピロー マウイルスの型が異なるVLPの全範囲を調製することができる。したがって、 16型キャプシドVLP(1回または数回)、次いで18型キャプシドVLP(1 回または数回)などが連続して使用されるであろう。 したがって、本発明の対象はまた以下のものでもある: (i)遺伝病、癌性病状またはパピローマウイルス感染症の治療方法であって 、 かかる治療を必要とする哺乳動物に本発明のVLPをtn、tn+1で反復投与する ことからなる方法(nは、1以上の数であり;tn+1で投与されるVLPは、tnで 投与されるVLPのキャプシドのL1タンパク質またはL1およびL2タンパク 質が誘導される型以外の型のパピローマウイルスからtn+1で投与されるVLP のキャプシドのL1タンパク質またはL1およびL2タンパク質が誘導される点で 、tnで投与されるVLPとは異なる);および (ii)連続投与のためのいくつかの生成物を含有してなる医薬組成物(該生成 物は、それぞれ、本発明のVLPからなり、VLPのキャプシドのL1タンパク 質またはL1およびL2タンパク質がそれぞれの生成物について別の型のパピロー マウイルスから誘導される点で相互に異なる)。 実施例 空のVLPの調製 HPV−16型VLPのストックを組換えパピローマウイルスを感染させたS f−9細胞の培養物から調製する。このバキュロウイルスは、そのゲノムに挿入 する形で、初めに尖圭コンジローマから単離されたL1およびL2をコードするH PV−16のDNAフラグメントを有する。L1をコードする配列は、WO 94/579 2に開示されている。特に、202位のアミノ酸に対応するコドンがアスパラギ ン酸コドンであることに注目すべきである。 該バキュロウイルスの構築、Sf−9細胞の培養およびVLPの精製について は、Kirnbauerら,J.Virol.(1993)67:6929またはSuzichら,PNAS(1995)92 :11553に開示されている。 VLPの解離 300mM NaCl、2mM EGTA(エチレングリコール四酢酸)および 40mM DTT(ジチオトレイトール)を含有する1mMリン酸緩衝液(pH 8)250μlを、1mMリン酸緩衝液(pH8)に対する透析後に得られたV LPの調製物250μlに添加する。インキュベーションを37℃で1時間継続 させる。解離に供するVLPの最終濃度は、200μg/mlのオーダーである 。解離プロトコルの改変については、Volpersら,J.Virol.(1995)69:3258に も開示され ている。次いで、この調製物を1mMリン酸緩衝液(pH8)に対して広範に透 析する。 包膜化されることを目的とするDNAの調製 Ulmerら,Science(1992)259:1745の記載に従って、ラウス肉腫ウイルス(R SV)プロモーターの制御下でインフルエンザウイルスA/PR/8/34の核 タンパク質をコードするcDNAを含むプラスミドpnRSV−NP(A/PR/ 8/34)を調製する。 DNAの包膜化 上記で得られた解離VLPの調製物500μlに500μlの容積中50ngの 精製DNAを添加する。次いで、20mM塩化カルシウム溶液25μlを添加す る。該混合物を37℃で30分間インキュベートする。次いで、これを40%シ ョ糖中、SW28ローター内28,000rpmで20時間遠心分離に供する。包膜 化されたDNAを含有するバンドを1.33g/mlの密度で回収し、1mMリン酸 緩衝液(pH8)に対して透析する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61K 48/00 C07K 14/025 C07K 14/025 //(C12N 15/09 C12R 1:92)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(i)内部空間を規定し、パピローマウイルスのL1タンパク質の少なく とも全部または一部からなるキャプシド、および (ii)該内部空間に含まれる核酸分子であって、少なくとも野生型後期タンパ ク質をコードするパピローマウイルスのゲノム領域の全部または一部を欠く点で 該ゲノムとは異なる核酸分子 を含んでなる非感染性ウイルス様粒子(VLP)。 2.前記キャプシドがL1−E7キメラタンパク質状態でL1タンパク質の少な くとも全部または一部からなる請求項1記載のウイルス様粒子。 3.前記キャプシドがヒトパピローマウイルス(HPV)のL1タンパク質の 少なくとも全部または一部からなる請求項1または2記載のウイルス様粒子。 4.前記キャプシドが1型、6型、10型、11型、16型、18型、31型 、33型、35型または45型ヒトパピローマウイルスのL1タンパク質の少な くとも全部または一部からなる請求項3記載のウイルス様粒子。 5.前記キャプシドが良性の病変(尖圭コンジロームまたは子宮頚部形成異常 )から最初に単離されるHPV−16、−18、−31、−33、−35または −45のL1タンパク質の少なくとも全部または一部からなる請求項4記載のウ イルス様粒子。 6.前記キャプシドが202位でヒスチジン以外のアミノ酸を含むアミノ酸配 列を有するHPV−16のL1タンパク質の少なくとも全部または一部からなる 請求項5記載のウイルス様粒子。 7.前記キャプシドが202位でアスパラギン酸またはグルタミン酸残基を含 むアミノ酸配列を有するHPV−16のL1タンパク質の少なくとも全部または 一部からなる請求項6記載のウイルス様粒子。 8.前記キャプシドがさらにパピローマウイルスのL2タンパク質の全部また は一部からなる請求項1〜7のいずれか1項記載のウイルス様粒子。 9.前記キャプシドがさらにL2−E7キメラ状態でL2タンパク質の全部また は一部からなる請求項8記載のウイルス様粒子。 10.前記核酸分子が目的タンパク質をコードする領域を含む請求項1〜9の いずれか1項記載のウイルス様粒子。 11.前記核酸分子がDNAであり、呻乳動物細胞において転写促進可能なプ ロモーターの制御下に配置された目的タンパク質をコードする領域を含む請求項 10記載のウイルス様粒子。 12.前記DNA分子がさらに式ACCN6MT(式中、Nは、A、G、Cま たはTであり、Mは、GまたはTである)で示されるパピローマウイルスE2タ ンパク質結合部位を含む請求項11記載のウイルス様粒子。 13.前記DNA分子がさらにパピローマウイルスのゲノムの長い調節領域( LCR)の全部または一部も含む請求項11記載のウイルス様粒子。 14.前記核酸分子が大きくても8kbpである請求項10〜13のいずれか1 項記載のウイルス様粒子。 15.前記核酸分子がサイトカインおよびヘルパーT細胞による細胞認識を容 易にする二次分子から選択される目的タンパク質をコードする少なくとも1つの 領域を含む請求項10〜14のいずれか1項記載のウイルス様粒子。 16.前記核酸分子が腫瘍関連抗原から選択される目的タンパク質をコードす る少なくとも1つの領域を含む請求項10〜14のいずれか1項記載のウイルス 様粒子。 17.前記核酸分子が寄生生物、細菌またはウイルス抗原から選択される目的 タンパク質をコードする少なくとも1つの領域を含む請求項10〜14のいずれ か1項記載のウイルス様粒子。 18.前記核酸分子がパピローマウイルスのE1およびE2タンパク質ならびに E6およびE7タンパク質の非発癌性形態から選択される目的タンパク質をコード する少なくとも1つの領域を含む請求項17記載のウイル様粒子。 19.前記核酸分子がHPV−16、−18、−31、−33、−35または −45型のパピローマウイルスのE1およびE2タンパク質ならびにE6およびE7 タンパク質の非発癌性形態から選択される目的タンパク質をコードする少なくと も1つの領域を含む請求項18記載のウイルス様粒子。 20.前記核酸分子が、前記キャプシドタンパク質が誘導される型とは異なる 型のパピローマウイルスのE1およびE2タンパク質ならびにE6およびE7タンパ ク質の非発癌性形態から選択される目的タンパク質をコードする少なくとも1つ の領域を含む請求項18または19記載のウイルス様粒子。 21.請求項15および16、18、19または20記載のウイルス様粒子。 22.前記核酸分子が遺伝病の治療における目的タンパク質をコードする少な くとも1つの領域を含む請求項10〜14のいずれか1項記載のウイルス様粒子 。 23.医薬品としての請求項1〜22のいずれか1項記載のウイルス様粒子。 24.請求項1〜22のいずれか1項記載のウイルス様粒子の調製方法であっ て、少なくとも野生型後期タンパク質をコードするパピローマウイルスのゲノム 領域の全部または一部を欠く点で該ゲノムと異なる核酸分子を解離形態のパピロ ーマウイルスのL1タンパク質の全部または一部とカルシウム塩の存在下で混合し 、該混合物からウイルス様粒子を回収することを特徴とする調製方法。 25.パピローマウイルスのE2タンパク質の全部または一部を前記核酸分子 および前記L1タンパク質と混合する請求項24記載の調製方法。 26.N末端部分を欠失したパピローマウイルスE2タンパク質を混合時に添 加する請求項25記載の調製方法。 27.混合工程の前に、 (i)L1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク質の全部また は一部を組換え経路によって発現させ、 (ii)空のウイルス粒子を回収し、 (iii)L1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク質の全部ま たは一部を解離形態で得るために前記空のウイルス粒子を還元剤および/または カルシウムイオンキレート化剤で処理する 請求項24〜26のいずれか1項記載のウイルス様粒子の調製方法。 28.ゲノム内にL1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク質 の全部または一部をコードするDNAフラグメントが挿入され、適切なプロモー ターの制御下に配置されているバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞において 組換え経路によってL1タンパク質の全部または一部、所望によりL2タンパク質 の全部または一部を発現させる請求項27記載の調製方法。 29.連続投与のためのいくつかの生成物を含む医薬組成物であって、該生成 物がそれぞれ請求項1〜22のいずれか1項記載のウイルス様粒子からなり、該 ウイルス様粒子のキャプシドのL1タンパク質またはL1およびL2タンパク質が それぞれの生成物について異なる型のパピローマウイルスから誘導される点で互 いに異なることを特徴とする医薬組成物。
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