JP2000510377A - 登録グラフィックを有する微孔性ポリマーフィルムを含む使い捨て吸収製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 トップシート、バックシート、およびトップシートとバックシートとの間の吸収層を具備し、前記バックシートは登録グラフィックが印刷され、重量で約３０％ないし約６０％のポリオレフィンと、約４０％ないし約８０％の炭酸カルシウムとを含有する微孔質ポリマーフィルムを含み、前記フィルムは約０ないし約０．５の間の“ｂ”値を有し、約５０℃相対湿度約５０％のもと約１週間で約２％未満の熱収縮を示す使い捨て吸収製品である。

Description

【発明の詳細な説明】 登録グラフィックを有する微孔性ポリマーフィルムを含む使い捨て吸収製品 発明の分野 本発明は、微孔性ポリマーフィルムを含む使い捨て吸収製品に関する。より具 体的には、本発明は、登録グラフィックスをその上に印刷するのに特に適切な微 孔性ポリマーフィルムを含む使い捨て吸収製品に関する。 発明の背景 フィルムまたはシート状で供給されるポリマー材料は、オムツ、女性用ケア製 品、成人向け失禁用品等を含む種々の市販製品に使用されてきた。オムツのよう な使い捨て吸収製品の製造において、微孔性ポリマーフィルムは、使用中に装着 者の体から離れて位置する層の一部（しばしば“バックシート”称される）とし てオムツの構造に一般に組み込まれてきた。バックシートは、製品の吸収コアに 吸収され収容された浸出物が漏出するのを防止するため、特に尿がオムツの外側 を汚すのを防止するように、液体不浸透性のバリアを与える。 不織布材料は、しばしば積層され、あるいは微孔性ポリマーフィルムに接着さ れて使い捨て製品のバックシートを形成する。装着者および介護者が衣類的な快 適さを感じるように、不織布材料は、布の外観および布的な感触を衣類の外側に 与える。不織布材料と微孔性フィルムとの組み合わせは、プルオンタイプおよび テープタイプのオムツ、女性用ケア製品、および成人向け失禁用品を含むオムツ のような使い捨て吸収製品に適切である。典型的なプルオンタイプの使い捨てオ ムツ、これは装着者の脚を脚開口部に挿入し、衣類を胴体の下方の周りの位置に すべらせることによって身に付けられるものであり、Ｂｕｅｌｌの米国特許５， ５６９，２３４“Ｄｉｓｐｏｓａｂｌｅ Ｐｕｌｌ−ｏｎ Ｐａｎｔ”に開示さ れている。 使い捨て吸収製品、特に使い捨てオムツにとっては、外観および消費者の支持 を高めるために製品にグラフィックデザインを付与することもまた、しばしば望 まれる。既に知られている製品において、不織布層は、そのようなグラフィック デザインが典型的に印刷されてきた。これは、不織布材料への印刷プロセスは制 御するのが典型的に容易であるため、およびそうした材料の表面は、それらをよ り印刷になじみやすくするより強く機械的特性を付与する傾向があるためである 。例えば、欧州特許Ｎｏ．０６０４７２９；Ｙｅｏの米国特許Ｎｏ．５，５０３ ，０７６；Ｓｃｈｌｅｉｎｚの米国特許Ｎｏ．５，４５８，５９０を参照された い。しかしながら、消費者に好まれるくっきりとした多色登録グラフィックスは 、通常そのような材料に印刷することができなかった。したがって、不織布材料 に印刷できるグラフィックスの質は、微孔性フィルムへの印刷によって達成され たものよりも典型的に非常に低い。 微孔性ポリマーフィルムは、くっきりとしたグラフィックスの印刷にそれを最 適とする優れた表面特性を与える。しかしながら、現在の微孔性ポリマーフィル ム、例えば特開平９−２５３７２号公報を参照のこと、は消費者に好まれるくっ きりした多色の登録グラフィックスの印刷を支持するのに充分なほど機械的に安 定ではない。これは、その熱的不安定性に大部分起因する。現在の微孔性材料に 結びついた熱的収縮は、くっきりとしたグラフィックスの適用を支持するその能 力を利用するのを困難にする。 また、高い白色度、すなわち消費者に見られた際の製品の白色の可視外観は、 消費者によって非常に重要である。消費者は、黄色みを帯びた、またはオフホワ イトに変化したフィルムを含んだ製品を受け入れない傾向がある。さらに、呼吸 性、すなわち水蒸気が放散するのを可能にする製品の能力は、装着者の快適さ、 および消費者のスキンケアの容認のために重要である。呼吸性の不足は、熱くて 風通しが悪く、消費者にとって皮膚に適しない製品をもたらす。 上述に基づいて、呼吸性および高い白色度を与えつつ、くっきりとした多色の 登録グラフィックスの印刷を支持するのに充分に機械的に安定な微孔性ポリマー フィルムを含む使い捨て吸収製品に対する要求が存在する。現在の吸収製品には 、本発明の利点および利益を全て有するものは１つもない。 発明の概要 本発明は、トップシート、バックシート、およびトップシートとバックシート との間の吸収コアを具備し、バックシートは、登録グラフィックが印刷され、重 量で約３０％ないし約６０％のポリオレフィンと約４０％ないし約８０％の炭酸 カルシウムとを含有する微孔性ポリマーフィルムを含み；フィルムは約０から約 ０．５の間の“ｂ”値を有し、約５０℃相対湿度約５０％のもと１週間で約２％ 未満の熱収縮を示す使い捨て吸収製品に向けられる。 これらおよび本発明の他の特徴、態様、および利点は、本明細書の開示から当 業者に明らかになるであろう。 図面の簡単な説明 明細書は、本発明を特に示して発明を直接請求する請求の範囲で結ばれるが、 本発明は、添付した図面に関連した好ましい態様の説明からより理解されるであ ろう。 図１は、比色測定のための座標の説明である。 図２は、登録グラフィックスが印刷された本発明のフィルムの好ましい態様の 部分頂面図である。 図３は、登録グラフィックスを有する使い捨て吸収製品の好ましい態様の前面 図である。 図４は、登録グラフィックスを有する使い捨て吸収製品のもう１つの好ましい 態様の簡素化された平面図である。 詳細な説明 本明細書中において引用される全ての参考文献は、その全体として本明細書を 構成する。いずれの文献の引用も、請求された発明に対する従来技術としてのそ の有用性に関する承認ではない。 本明細書中における全てのパーセンテージは、特に言及しない限り組成物の重 量による。全ての比は、特に言及しない限り重量比である。本明細書中で使用さ れる場合、“含む”という用語は、最終製品に影響を及ぼさない他の工程および 他の成分が含有され得ることを意味する。この用語は、“からなる”および“実 質的にからなる”という用語を含む。 本発明の使い捨て吸収製品への使用に好ましい微孔性ポリマーフィルムは、通 常樹脂として供給されるポリオレフィンと、炭酸カルシウム（ＣａＣＯ₃）粒子 との混合物から形成される。本明細書中での使用に好ましい典型的なポリオレ フィンは、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む。ポリエチレンは、ポリプ ロピレンよりも低いモジュラスおよび低い融点を有するので、ポリプロピレンよ り一般に加工が容易である。この理由のため、ポリエチレンがより好ましい。あ るいは、他の熱可塑性ポリマーを本発明のフィルムに使用することができる。好 ましくは、約３０％ないし約６０％のポリオレフィンは、本発明のフィルムに使 用され、より好ましくは約４５％ないし約５５％のポリエチレンである。 ＣａＣＯ₃は、以下に詳述するように、微孔を与えるために用いられる。しか しながら、それは僅かに黄色い色合いをフィルムに与える傾向を有するであろう 。そのような黄色い色合いは、より光沢があり強い白い外観を好む傾向がある消 費者に高く支持されないと信じられている。光沢がある白い外観は、色の極めて 白いＣａＣＯ₃のグレードを選択することによって達成することができる。また 、用いられるＣａＣｏ₃のグレードが最終フィルムに所望の白色度を与えるのに 充分に白くない場合には、フィルム形成プロセスの混合段階中にポリオレフィン およびＣａＣＯ₃に微量の二酸化チタン（ＴｉＯ₂）を添加することによって光沢 のある白色外観を達成することができる。そのような場合、ＴｉＯ₂の添加は、 ＣａＣＯ₃の黄変効果を相殺する。 ＴｉＯ₂は、一般にＣａＣＯ₃より白色であるが、それはまた一般に高価であり 、押出し中に混合するのがより困難である。ＴｉＯ₂が添加される場合、約５ｗ ｔ％を越える量は加工が困難になるおそれがあるので、好ましくは約５ｗｔ％未 満で添加するべきである。 本明細書中で用いられる“白色度”は、一般に黄色味のないことをさす。本明 細書中において微孔性フィルムの白色度は、ＨｕｎｔｅｒＬａｂ（１１４９１， Ｓｕｎｓｅｔ Ｈｉｌｌｓ Ｒｏａｄ，Ｒｅｓｔｏｎ，ＶＡ ２２０９０ ＵＳ Ａ）製のＣｏｌｏｒＱＵＥＳＴ ４５／０装置のＣｏｌｏｒ Ｍｏｄｅｌを用い て測定することができる。Ｈｕｎｔｅｒ Ａｓｓｏｃｉａｔｅｓ Ｌａｂｏｒａ ｔｏｒｉｅｓ（９５２９ Ｌｅｅ Ｈｌｇｈｗａｙ，Ｆａｉｒｆａｘ，ＶＡ ２ ２０３０ ＵＳＡ）のＴｈｅ Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ ｏｆ Ａｐｐｅａｒａ ｎｃｅ （Ｈｕｎｔｅｒ，Ｒｉｃｈａｒｄ Ｓ．）もまた、参照されたい。Ｃｏｌ ｏｒ Ｍｏｄｅｌは、３つのパラメーターＬ、ａおよびｂに基づいて任意の材料 の色を表現する。Ｃｏｌｏｒ Ｍｏｄｅｌは、図１に示される座標システムによ り模式的に示される。図１を参照すると、示される座標システムにおいて“Ｌ” はサンプルの明度の測定であり、Ｌ＝０（黒色）からＬ＝１００（白色）の範囲 を有する。“ａ”および“ｂ”の量は、反対のタイプ座標と呼ばれる。それらは 、赤色（正の“ａ”値）、緑色（負の“ａ”値）の程度；および黄色（正の“ｂ ”値）、青色（負の“ｂ”値）の程度を示す。中立的な色（例えば、白色、灰色 、黒色）は、“ａ”および“ｂ”は、ほぼゼロであろう。与えられたサンプルに ついての“ａ”および“ｂ”の値が高くなると、そのサンプルの色は、より飽和 または着色される。 黄色みを帯びたフィルムの消費者支持が少ないことに起因して、本発明のフィ ルムに最も重要なパラメーターは“ｂ”値である。１００／Ｄ６５の国際標準お よび１０°の反射角度の条件のもとでＣｏｌｏｒＱＵＥＳＴ装置を用いると、本 発明のフィルムについての“ｂ”値は、好ましくは約０ないし約０．５であり、 より好ましくはできる限りゼロに近い。 また、ポリエチレンおよびＣａＣＯ₃に加えて、酸化防止剤または潤滑剤のよ うなその他の成分を微量、フィルム形成プロセスの初期混合段階の間に加えるこ とができる。こうした他の成分は、約０．０１ｗｔ％ないし約０．０５ｗｔ％の 範囲で添加されるべきである。 微孔質な孔は、オムツの内側、すなわち装着者の皮膚と、オムツの外側との間 で水蒸気を伝達するのを可能にするので、“微孔性”は、オムツのような製品が 、改善された皮膚の健康状態を与えるの許すフィルムの機能的特性をさす。優れ た水蒸気輸送、または“呼吸性”もまた、うっとうしさを低減することによって 装着者の快適さを増加させる。本発明のフィルム中の微孔質な孔は、以下により 完全に説明されるように、フィルム形成の延伸段階の間に、ＣａＣＯ₃の粒子の まわりに一般に同心円的に形成される。微孔質な孔は、フィルムの厚さ全体にわ たるのみならずフィルムの表面にも形成され、ＣａＣＯ₃粒子のサイズに関連し た微孔質な孔のサイズを有する。一般に、粒子を取り囲む孔のサイズは、粒子の サイズに直接関連する。したがって小さい粒子は、より小さい孔の形成をもたら し、一方大きな粒子は大きな孔を形成するであろう。しかしながら、より大き な孔がより優れた呼吸性を引き起こしても、それらは漏出の危険性もまた増大さ せるので、微孔質な孔のサイズを限定することもまた重要である。 また孔のサイズは、フィルム形成の延伸段階の間の延伸比に影響されるであろ う。好ましくは、最適な呼吸性を達成するためには、小さいサイズのＣａＣＯ₃ が用いられ、延伸比は約２〜３倍である。 水蒸気移動速度（Ｍｏｉｓｔｕｒｅ ｖａｐｏｒ ｔｒａｎｓｐｏｒｔ ｒａ ｔｅ（“ＭＶＴＲ”））は、オムツの内側の呼吸性および“微気候”の特性の尺 度である。ＭＶＴＲは、単位面積当たり（例えば、１平方メートル当たり）およ び単位時間当たり（例えば、１日当たり）のフィルムの一方の側からフィルムの 他方の側へ透過可能な水分の体積をさす。高いＭＶＴＲは、オムツの内側と外側 との間で空気がよく吹き抜けるので、優れたスキンケアのために望ましい。しか しながら、ＭＶＴＲが過剰に高い場合には、悪臭、顕著な水分の漏出、またはそ の両方のおそれが存在する。ＭＶＴＲの制御は、それゆえ微孔質フィルム技術を 含む応用に重要である。 呼吸性フィルムのＭＶＴＲは、カップ試験（Ｃｕｐ Ｔｅｓｔ）法により測定 することができる。この方法は次のように説明される。既知量の塩化カルシウム （ＣａＣｌ₂）をステンレススチール製の容器内に収容する。本明細書中におい て有用な水レベルを有するＣａＣｌ₂は、Ｗａｋｏ Ｐｕｒｅ Ｃｈｅｍｉｃａ ｌ Ｃｏ．，Ｌｔｄ．から購入することができる。フィルムサンプルは、容器の 頂部に配置され、容器はキャップおよびスクリューで密閉される。キャップは、 それを通過する穴を有し、こうして容器の外側の水分はフィルムを通過して容器 内に拡散することができる。フィルム試験サンプルを伴う容器は、次いで、一定 の温度および湿度の環境に一定の時間放置される。容器内のＣａＣｌ₂に吸収さ れた水分の量は、フィルムの水分透過性の尺度である。 ステンレススチール容器が直径３０ｍｍ、深さ５０ｍｍの円筒状容器であり、 相対湿度７５％温度４０℃の一定の環境条件でカップ試験法を用いると、本発明 のフィルムは、好ましくは１日当たり少なくとも約３２００グラム／ｍ²、オム ツにとってより好ましくは１日当たり約３７００グラム／ｍ²のＭＶＴＲを有す る。ＭＶＴＲは、漏出なしでできる限り高いことが好ましい。 本発明の微孔性フィルムは、好ましくは以下のプロセスにしたがって形成され る。ポリオレフィンポリマー、好ましくは約３０％ないし約６０％、より好まし くは約３５％ないし約５５％のポリエチレンと、好ましくは約４０％ないし約８ ０％、より好ましくは約４５％ないし約６５％のＣａＣＯ₃とを高温で、好まし くはポリマーの融点温度より高い温度で混合する。例えば、ポリエチレンが用い られる場合、混合温度は約１２０℃から約１３０℃の範囲とするべきである。Ｔ ｉＯ₂、および他の添加物がフィルム中に含まれる場合には、それらもまた、プ ロセスの最初に初期原材料混合物に加えられるべきである。ＴｉＯ₂が加えられ る場合には、約５％より少ないレベルで加えることが好ましい。 混合後、混合物は引取装置を通して供給され、次いで、押出し機に送り込まれ る。押し出し後、混合物は薄膜としてキャストされる。一般に、キャスト温度も また、原材料ポリオレフィンポリマーの融点温度より高い。 キャスト後、室温より高い温度に保ちつつフィルムは延伸される。延伸工程は 、ＣａＣｏ₃粒子の周囲に微孔質な孔が形成されるときである。延伸ロールは、 延伸工程のために好ましく用いられる。各延伸ロールの速度は、先立つ延伸ロー ルの速度より基本的に大きくすべきである。こうして、第２の延伸ロールの速度 は第１の延伸ロールの速度より大きく、第１の延伸ロールは全ての延伸ロールの なかで最低の速度を有する。 延伸工程は、残留歪みを固定する。フィルムが延伸された後には、フィルムの 分子間に存在するエネルギーに起因して、それは熱的に安定ではない。したがっ て、くっきりとしたグラフィックスの印刷をフィルム上に支持するのに必要な熱 的安定性を達成するために、さらに処理することが必要である。 延伸された状態のフィルムは、次いでアニールされる。アニール工程は、フィ ルムを構成するミクロ分子間の応力を除去し、熱的安定性を有するフィルムを提 供するのに重要であると信じられている。アニール工程は応力緩和を与え、さも なければ応力緩和は、用いられるポリエチレン（または他のポリマー）のガラス 転移温度Ｔ_g近傍を越えて高められた温度における貯蔵および輸送状態の際に発 生するであろう。換言すれば、上述したようなアニールが行われない場合には、 この応力緩和は、フィルムを含む最終製品、例えばオムツが貯蔵および輸送に関 連した高められた温度を受ける際に生じろであろう。この場合、応力が緩和され ると、それは製品自体の外観、特に登録グラフィックスの外観の両方を一般にゆ がめて、それはフィルム結合性の全体の品質に影響を及ぼすであろう。 しかしながら、アニール条件が過剰に過酷な場合、例えば、アニール温度が高 すぎる、アニール時間が長すぎる場合のいずれが、またはその両方の場合には、 高い引張りにおいて微孔質な孔の多くが収縮し、それによってフィルムの呼吸性 が低下するであろう。 アニール後、フィルムは好ましくは、室温より高い温度の密閉された環境中に 配置されてコロナ処理に供される。Ｏ₃イオンは、環境中くまなく放射される。 コロナ処理はフィルムの印刷側、すなわちグラフィックスがその上に印刷される 側のダインレベルを増加させることが信じられている。高いダインレベルは、印 刷インクの各領域が接着のためにフィルム上により少ない表面積を必要とするこ とを示し、こうしてより高いダインレベル、より高く優れたグラフィック解像性 が得られる。本発明のフィルムは、好ましくは約３５を越える、より好ましくは 約４０を越えるダインレベルを有する。 コロナ処理の後、最終フィルムは、例えば図２に示されるようにフィルム上に 登録グラフィックスを印刷するための準備において巻き取られ、またはまとめら れる。多色の登録グラフィックスを与えるために本明細書において有用な印刷方 法は、フレキソ印刷プロセスおよびグラビア印刷プロセスを含み、フレキソ印刷 が好ましい。 本発明のフィルムの典型的な部分は、図２に示される。示されるフィルム１０ は、ピッチ長さＰで分離されたグラフィックス２０が印刷されている。グラフィ ックス２０は、任意の形状、デザイン、色またはサイズとすることができ、単一 または複数のデザインを用いてもよいことは、当業者にはよく理解されるであろ う。あるいは、予備結合、予備塗布、予備切断、予備接着された対象もまた、用 いることができる。幅Ｗ１、長さＬのタイミングマーク３０もまた示されている 。タイミングマーク３０は、結合切断機械の光学センサーがマークを検出し、そ れによって適切に位置合わせしてフィルムまたはフィルム／不織布バックシート 結合体をトリムすることができるように用いられる。好ましくはタイミングマー ク は、最終製品の一部ではなく消費者に目視されないように、フィルムがトリムさ れた際に取り除けるようなサイズで配置される。あるいはタイミングマークは、 機械的に検出可能に保ちつつ、消費者に目視されないが最終製品の一部としても よい。 タイミングマークとフィルムの端部との距離は、シャドウマークとして表され る。シャドウマーク４０は、図２中に幅Ｗ２をもって示されている。使い捨てオ ムツの製造ラインのために、約４７５ｍｍないし約４８５ｍｍのピッチ長さＰ、 約７ｍｍないし約１０ｍｍのタイミングマークの幅Ｗ１、約２０ｍｍないし約２ ５ｍｍのタイミングマークの長さＬ、約０ないし約１０ｍｍのシャドウマーク幅 Ｗ２、およびコントラストのためのタイミングマークの赤色は、タイミングマー クについての典型的なパラメーターである。 上述したように本発明のフィルムは、原材料の選択および加工条件、特に延伸 およびアニール工程の結果として高い熱的安定性を示す。フィルムが形成された 後、引き続いて保存される時間の間、しばしば、製造後の高められた温度に曝さ れる倉庫内においてフィルム材料は収縮の傾向を示す。この収縮は、貯蔵および 輸送の時間、温度および湿度条件の関数であり、容易に制御できないパラメータ ーである。例えば、５０℃で１週間の間に５〜１０％までの収縮レベルが、ある 種の通常のフィルムで観察された。収縮の異なるレベルは、ロールを巻き付ける のに用いられた引張りのレベルに応じて、フィルムの同一のロール内で均一に変 化させることができる。この熱的不安定性は、同調された結びつきにおいて消費 者用製品にそのようなフィルムを含有するのを典型的に困難にする。 微孔性フィルムの熱収縮速度は、以下の条件のもとで測定することができる。 フィルムサンプルは、縦方向で５００ｍｍ長さ、横方向で１５０ｍｍ幅に切断さ れる。本明細書中で用いられる際、“縦方向”は製造ラインに沿った移動の方向 を意味し、“横方向”は、縦方向に実質的に直角な方向を意味する。縦方向は、 図２においてＭＤと記された矢印で表される。縦方向において２５０ｍｍ、横方 向において１００ｍｍの２つの直線が描かれる。フィルムサンプルは、５０℃、 相対湿度５０％に制御されたオーブン内に１週間配置される。直線の収縮した長 さは、本来の長さに基づいて熱収縮率として算出される。 上述した試験条件のもと、本発明のフィルムは、縦方向で約０％ないし約５％ 、より好ましくは約２％未満の収縮を示す。横方向においては、フィルムは典型 的に無視し得る収縮を典型的に示す。したがって本発明のフィルムは、僅かな無 視し得る程度の熱収縮を受ける一方で、くっきりと印刷されたグラフィックスを 容易に支持する微孔性ポリマーフィルムの優れた表面特性を与える。 本発明のフィルムは、吸収製品の製造に関連したフィルムの加工に有益な他の 望ましい特性もまた、好ましく有する。本発明のフィルムが多くの用途を有する ことは当業者に理解されるであろうが、説明の目的のために、以下の記載は使い 捨てオムツのバックシートとしてのフィルムの使用に向けられるであろう。 ウェブモジュラスは、登録グラフィックス同調システムの安定した操作に重要 である。本明細書中で使用される際、“ウェブモジュラス”は、材料の応力／歪 みカーブの傾きとして定義される機械的特性を意味する。ウェブモジュラスの絶 対値は、フィルムのロール内におけるその標準偏差のように重要ではないものの 、モジュラスは、加工中におけるフィルムの同調位置内に調節を強いるのに要求 される引張りの量を決定する。約４０００ｇ／ｉｎないし約１３，０００ｇ／ｉ ｎの範囲内のウェブモジュラスを有するフィルムは、オムツのバックシートとし て有用なフィルム上へくっきりしたグラフィックスを印刷するのに好ましいこと が見出された。 フィルムキャリパーの制御は、バックシートフィルムのロールの巻き付け、お よびその加工性に重要である。“フィルムキャリパー”という用語は、フィルム の厚さをさす。フィルム形成プロセスの間、フィルム収縮の種々の存在するレベ ルは、微孔性フィルムの場合にしばしば生じる。フィルムキャリパーにおける広 範囲の変動は、しわまたは不均一な表面またはその両方をフィルムのロール内に 引き起こすであろう。加工の間、キャリパー変動は、フィルムの変形、より薄い 領域におけるフィルムの破損、および引張り制御の問題により引き起こされる問 題に起因したラインの停止をもたらすであろう。本明細書中でのフィルムキャリ パーについての典型的な範囲は約０．０２２ｍｍないし約０．０３８ｍｍであり 、±６．３％のキャリパー変動をともなう。 熱エンタルピー（ΔＨ）は、ポリマーフィルムへの耐熱性の付与、特に、オム ツ製造ラインの一部であるホットメルト接着積層のようなプロセスの間における もう１つの重要な特性である。フィルム材料が高い耐熱性を有しているので、高 いエンタルピー特性は、接着温度調整のための広い範囲を与えることができる。 しかしながらエンタルピーが増大すると、微孔性フィルム材料の硬さもまた増大 して、快適さ、およびフィルムの熱応答性に依存した他の製造プロセスに起こり 得る問題を導く。理論に縛られることなく、加えられた快適さと増大するエンタ ルピーとの間の結びつきは、マクロ分子の間の増大する力に起因することが信じ られる。 基準重量は、平坦なウェブ材料の１平方メートル当たりの重量をさす。本明細 書中における典型的な基準重量は、オムツのバックシートとして有用なフィルム について１平方メートル当たり約２０グラム（ｇｓｍ）ないし４０ｇｓｍの間で ある。 印刷プロセス、オムツ製造プロセス、またはその両方を満たす他のフィルム特 性は、フィルム幅、フィルムロールの長さ、フィルムロールコアの直径、接合、 タイミングマーク、および印刷向きを含む。 印刷向きは、製造ラインを通過するグラフィックが印刷されたフィルムの進む 方向をさす。使い捨てオムツ製造ラインにとって、それは、ロールの内側に巻き 付けられる微孔性ポリマーフィルムの印刷された側に有用であることが見出され 、ロールのファーストオフに導く製品の前にくる領域を有し、左側のタイミング マーク向きおよび右側のタイミングシャドウマークを有する。 図３を参照すると、使い捨てプルオンオムツ５０の好ましい態様が示されてお り、これは、脚の開口部６２に脚を挿入し腰の上まで製品を引き上げることによ って、一般に装着者の体に付けられる。一般に、“プルオンオムツ”は、体から の放出物を吸収して収容するために、乳幼児および他の失禁の個人に装着される プルオン衣類をさす。小児用ズボン、失禁用ブリーフ、女性用ブリーフ、女性用 衛生衣類またはパンツのような他のプルオン衣類もまた、含まれることが理解さ れるべきである。さらに、テープタイプのオムツもまた本明細書中に含まれるこ とが理解されるべきである。 図３および図４を参照すると、オムツ５０は一般にバックシート５２、トップ シート５４、およびバックシート５２とトップシート５４との間に位置する吸収 層６６（図４中に破線で示されている）を含む。トップシート５４は、オムツが 装着される際には体に向いて、あるいは体に最も近く配置されろように位置し、 体からの放出物がトップシート５４を通過して吸収層６６に流れることができる ように液体透過性の領域を一般に有する。バックシート５２は、装着の間、体か ら離れて位置するものであり、外側の衣類や他の製品が体からの放出物でぬれな いように典型的に液体不浸透性である。好ましくは、バックシート５２は、ここ で説明したような登録グラフィックスが印刷された微孔性ポリマーにより少なく とも構成される。バックシート５２は、微孔性フィルム層に積層された不織布材 料の層をさらに含んでもよく、この場合、フィルムバックシートのみで典型的に 得られるよりも、いっそう布的および衣類的な感触が与えられる。 弾性的に伸張性のサイドパネル５６は、よりいっそうの快適さを確実にし、プ ルオンオムツ５０が装着者に初期的に快適にフィットすることによって輪郭に沿 ってフィットして、放出物が溜められた後には装着されている時間にわたってこ のフィットを維持する。また、脚伸縮部５８および腰部伸縮領域６０は、脚およ び腰部の周りのフィット感をそれぞれ高める。 図３は、オムツ５０の前側で、バックシートの上部の領域付近に位置する典型 的なグラフィック２０を有するオムツ５０の前面図を示す。図４には、形成され る前の未収縮の状態における平坦な状態の使い捨て吸収製品の態様の簡素化され た平面図を示す。この態様においては、グラフィック２０はオムツの後部に示さ れ、前の領域に付加的に示されたグラフィックス２２を伴う。 当業者によく理解されるように、使い捨て吸収製品についての多くの他の特徴 は本発明の範囲内である。例えば、ＬａｗｓｏｎおよびＤｒａｇｏｏの米国特許 ４，６９５，２７８および４，７９５，４５４に記載されているようなバリアカ フは、使い捨て吸収製品についての好ましい特徴である。さらに、皮膚への刺激 や擦れるのを低減する目的のために、その上にローションを有するスキンケアタ イプのトップシートは、本明細書において好ましい特徴である。 ここで述べた本発明の観点および態様は、光沢のある白色外観、くっきりした 多色の登録グラフィックスを支持する能力、および熱安定性を含む多くの利点を 有する。 例 以下の例は、本発明の範囲内の使い捨て吸収製品用の微孔性ポリマーフィルム の好ましい態様をさらに示して説明する。例は、説明の目的のみに与えられ、本 発明の趣旨および範囲を逸脱せずにその多くの変更が可能であるので、本発明の 限定として解釈されない。 ポリエチレンとＣａＣＯ₃とを出発材料として用いる。フィルムはキャストさ れ縦方向に延伸される。フィルムは以下の特性を有する。 基準重量 ３４．３±０．４２ｇｓｍ キャリパーによる厚さ ０．０４２±６．３％ｍｍ 熱収縮 ＭＤ １．４％ ＣＤ ０．０％ 機械的特性 ＭＤ：１％での溜め １１４ｇ／ｉｎ ３％での溜め ２６９ｇ／ｉｎ ５％での溜め ３８９ｇ／ｉｎ ピークでの溜め １２６０ｇ／ｉｎ ピークでの歪み １８８％ ＣＤ：ピークでの溜め ４６０ｇ／ｉｎ ピークでの歪み ３８６％ ＭＶＴＲ（カップ試験） ３６００ｇ／ｍ²／２４ｈｒ 白色度 Ｌ：白色／黒色 ９３．４６％ ａ：赤色／緑色 −０．２４ ｂ：青色／黄色 ０．３５ レジスターマークについてのピッチサイズ ４８０±４ｍｍ マーク幅 １０±０．２ｍｍ マーク長さ ２０±０．５ｍｍ シャドウマーク幅 ０．０±１．０ｍｍ フィルムの機械的特性は、パーセント歪みまたはピークにおける引張り強度を さし、約１％ないし５％の範囲内の歪みは材料の弾性範囲内での歪みを表す。フ ィルムが形成された後、それは登録グラフィックスを印刷して、例えば使い捨て オムツのバックシートの部分として使い捨て吸収製品に組み込むことができる。 ここに記載された例および態様は説明の目的のみであり、それらを考慮した多 くの改良または変更は、本発明の範囲から逸脱せずに当業者に示唆されることが 理解されるべきである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０８Ｊ 5/18 ＣＥＳ Ｃ０８Ｋ 3/22 9/00 ＣＥＳ 3/26 Ｃ０８Ｋ 3/22 Ｃ０８Ｌ 23/04 3/26 23/10 Ｃ０８Ｌ 23/04 Ａ６１Ｆ 13/18 ３２０ 23/10 (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，Ｍ Ｗ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ， ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，Ｅ Ｓ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＧＷ，ＨＵ，ＩＤ ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ， ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，Ｍ Ｇ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ， ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，Ｖ Ｎ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．トップシート、バックシート、およびトップシートとバックシートとの間 の吸収層を具備する使い捨て吸収製品において、前記バックシートは登録グラフ ィックが印刷され、重量で ａ．約３０％ないし約６０％のポリオレフィン、および ｂ．約４０％ないし約８０％の炭酸カルシウム を含有する微孔質ポリマーフィルムを含み、前記フィルムは約０ないし約０．５ の間の“ｂ”値を有し、約５０℃相対湿度約５０％のもと約１週間で約２％未満 の熱収縮を示す使い捨て吸収製品。 ２．前記ポリオレフィンは、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群か ら選択される請求項１に記載の製品。 ３．重量で約３５％ないし約５５％のポリエチレン；および約４５％ないし約 ６５％の炭酸カルシウムを含有する請求項２に記載の製品。 ４．重量で約５％までの二酸化チタンをさらに含有する請求項３に記載の製品 。 ５．前記フィルムは、少なくとも２４時間当たり約３２００グラム／ｍ²の水 蒸気移動速度を有する請求項１に記載の製品。 ６．前記フィルムは、約４，０００ｇ／ｉｎないし約１３，０００ｇ／ｉｎの ウェブモジュラスを有する請求項１に記載の製品。 ７．前記フィルムは、約３５を越えるダインレベルを有する印刷側を含む請求 項１に記載の製品。 ８．前記バックシートは、フィルムに積層された不織布材料の層をさらに含む 請求項１に記載の製品。 ９．前記登録グラフィックはフレキソ印刷プロセスにより印刷される請求項１ に記載の製品。 １０．前記登録グラフィックはグラビア印刷プロセスにより印刷される請求項１ に記載の製品。