JP2000509301A - 心臓切開術用フィルタ/消泡器用スプレー紡糸フィルタカートリッジ - Google Patents
心臓切開術用フィルタ/消泡器用スプレー紡糸フィルタカートリッジInfo
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Abstract
(57)【要約】
消泡剤を含浸した20μmの円筒形スプレー紡糸中空プラスチックフィルタカートリッジによって、簡単な自己支持性心臓切開術用フィルタ/消泡器を形成する。
Description
【発明の詳細な説明】
心臓切開術用フィルタ/消泡器用スプレー紡糸フィルタカートリッジ
発明の分野
本発明は、開心手術で使用される心臓切開術用フィルタ/消泡器(acardiotomy
filter/deformer)に関し、更に詳細には、製造費用を引下げ且つ患者の安全性
を改善するスプレー紡糸フィルタカートリッジ(a spray spun cartridge)に関す
る。
発明の背景
患者の心臓を停止させる開心手術中、血液の循環は、患者の血液を大静脈から
逸らし、これを酸素化し、患者の大動脈に圧送して戻す人工心肺装置によって維
持される。患者の循環系及び人工心肺装置の大部分に亘って空気が存在しない閉
鎖回路を構成する。
しかしながら、手術中、大量の血液が手術場所に漏れる。この血液を回収し、
人工心肺装置の心肺血液回路に戻し、血液が過度に失われないようにしなければ
ならない。
手術を実施する場所に液体がなく、よく見えるようにするため、外科医の指示
で手術場所を吸引し、主に血液又は他の流体を取り除く。吸引プロセスでは、一
般的には、取り出された血液中に大量の空気が混入し、これは、血液蛋白質の性
質のため、取り出された血液が排出される心臓切開術用リザーバ内に安定した大
量の泡を形成する。一般的には、血液は空気との接触により損傷するため、こう
した泡は好ましくない。泡は、多くの場合、容器の容積よりも大きく膨張し、こ
の場合、床の上に流出する。循環系に進入すると患者に危険が及ぼされる気泡を
除去するため、泡を完全に破壊しなければならない。
心臓切開術用リザーバのフィルタ/消泡器区分は、手術場所から吸引した血液
を患者の循環系に戻す前に濾過及び消泡の両方を行うのが望ましい。血液からデ
ブリスを適切に除去すること、及び気泡をなくすことに失敗すると、患者に大き
な危険がもたらされる。かくして、心臓切開術用吸引システムによって
吸引される胸腔内の血液中に存在する組織、骨、脂肪、又は他のデブリスを小さ
なものに至るまで除去し、循環系に戻すための心臓切開術用リザーバ内に付着さ
せるために濾過が必要とされる。代表的には、20μmでの効率が少なくとも9
0%のフィルタをこの作業で使用する。
従来、この目的のフィルタ/消泡器カートリッジは、化学的消泡剤でコーティ
ングした粗い連続気泡プラスチックフォーム層、濾過フェルト層、化学的消泡剤
でコーティングした細かい連続気泡プラスチックフォーム層、及びトリコットニ
ットファブリック層からなる連続した層を流れ方向で支持するプラスチック製支
持構造を備えていた。
従来のフィルタ/消泡器で使用された多数の材料には、非生物学的表面があり
、このため、人間の免疫系の異物に対する反応が高くなり易い。更に、細かい連
続気泡フォームの小孔による一つの欠点は、液体の流れに大量の空気が同伴され
ている場合にフィルタの下流で血液中に泡が発生することである。更に、従来の
使い捨てフィルタ/消泡器の構造が複雑であるため、費用が大きく上昇する。
発明の概要
本発明は、従来の多層フィルタ/消泡器構造に代えて、化学的消泡剤を含浸し
たスプレー紡糸プラスチック(代表的には、ポリプロピレン)製の単一の自己支
持性フィルタ/消泡器エレメントを使用することによって、上述の従来技術の欠
点を解決する。
図面の簡単な説明
第1図は、従来のフィルタ/消泡器の垂直断面図であり、
第2図は、本発明によるフィルタ/消泡器の垂直断面図であり、
第3図は、カートリッジの内面と外面との間のカートリッジ材料の密度の変化
を示すグラフである。
好ましい実施例の説明
第1図は、血液フィルタ/消泡器アッセンブリの従来の構造を示す。アッセン
ブリ10は、代表的には、心臓切開術用リザーバ14の蓋12に取り付けられる
。取り出された血液をフィルタ/消泡器カートリッジ16の中央に導入し、
このカートリッジ16の濾過層及び消泡層を通してリザーバ14に流入させる。
カートリッジ16のコアにはプラスチック製支持構造18が設けられている。
この支持構造は、カートリッジ16の作用層が自己支持性でないため、必要とさ
れる。
支持構造18の直ぐ外側には、粗い連続気泡プラスチックフォームでできた層
20が設けられている。このフォーム20には、従来の化学的消泡剤がコーティ
ングしてある。フォーム層20は、粗前置フィルタとして作用し、血液の泡を薄
い化学的消泡剤コーティングとぴったりと接触させる大きな表面積を提供する。
更に、血液の泡を機械的に壊すのを助ける。
フォーム層20は、濾過フェルト層22で取り囲まれている。濾過フェルト層
は、代表的には、片側又は両側にカレンダー加工を施した熱又は接着剤によって
結合された不織布メッシュである。これは、戻し血流中に存在する粒状物、凝血
塊、等を捕捉するようになっている。主に下流側に施されたカレンダー加工によ
り、不織布マットの構成ファイバが剥離し難くする。
流れ方向でフェルト層22の下流には、細かい連続気泡プラスチックフォーム
層24が設けられている。このフォーム層にも、化学的消泡剤がコーティングし
てある。孔径が細かくなればなる程、血液と表面との接触が増大し、小さな気泡
の破壊が促される。
最後に、トリコットニットファブリックソック(tricot knit fabric sock)
26がフォーム層24の外側を覆っている。トリコットニットソックは、追加の
気泡除去表面として作用し、カートリッジ16の外面を美観に優れたものにする
。
第2図は、カートリッジ16の代わりに本発明のカートリッジ30を使用した
同様の心臓切開術用リザーバ14を概略に示す。カートリッジ30は、泡31を
破壊する従来の適当な消泡剤を含浸した自己支持性スプレー紡糸フィルタカート
リッジである。従って、蓋12及びリザーバ14の夫々のフランジ32、34間
に保持されるだけでよい。
スプレー紡糸フィルタカートリッジは、代表的には高純度産業濾過の用途で使
用される商業的に入手できる製品(例えば、オスモ社のハイトレックスII
によって製造されたカートリッジ)である。フィルタは、溶融状態のプラスチッ
ク(代表的にはポリプロピレン)を高速空気流で回転マンドレル上の隙間に噴霧
し、連続した円筒形のログを形成し、これを、次いで、所定の長さに切断したも
のである。溶融プラスチック流を空気によって線維状にし、熱結合された微小フ
ァブリックでできた複合フィルタ母材を形成する。円筒体の外側にカレンダー加
工を施すことにより、外観を改善し、材料が剥離を更に阻止する。
スプレー紡糸フィルタカートリッジを心臓切開術用フィルタ/消泡器として使
用するのに適したものにする重要な特徴は、カートリッジの密度が第3図に示す
ように徐々に変化するということである。最も高い密度(保持される粒径が最小
)は、カートリッジ30の環状円筒形リング36の中央35に向かって現れ、最
も低い密度が環状円筒形リング36の外面38及び内面40の夫々に向かって現
れる。これにより、第1図の従来のフィルタ/消泡器のフォーム−フェルト−フ
ォーム構造を、本質的に二重にする。商業的に入手可能なスプレー紡糸カートリ
ッジは、心臓切開術の用途で必要とされる20μmで少なくとも90%の濾過効
率を提供できる。
スプレー紡糸カートリッジ材料の別の利点は、心臓切開術で有用なスプレー紡
糸カートリッジをポリプロピレンだけから形成でき、抽出物又は他の化学的汚染
物のレベルが非常に低いということである。ポリプロピレンは、心臓バイパス回
路の酸素付加器及び他の構成要素に一般的に使用されている。これらの用途につ
いて、必要であれば、従来の適当な表面改質技術を使用することによって、ポリ
プロピレンを更に生体親和性にできる。
本発明は、心臓切開術で特に有用な、簡単で安価で効果的な高度に生体親和性
の血液フィルタ/消泡器を提供するということは理解されよう。
本明細書中に説明し且つ添付図面に示した例示の心臓切開術用フィルタ/消泡
器は、本発明の現在の好ましい実施例を示すに過ぎないということは理解されよ
う。確かに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、このような実施例に
様々な変更及び追加を行うことができる。かくして、この他の変更及び追加が当
業者に明らかであり、様々な異なる用途で使用されるように本発明を適合させる
ことができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.心臓切開術用フィルタ/消泡器において、 a)リザーバと、 b)フィルタ/消泡器カートリッジと、 c)前記血液が前記リザーバ内に置かれる前に前記フィルタ/消泡器を通っ て流れなければならないように位置決めされた、前記リザーバ内に配置されるべ き血液を受け入れるための血液入口とを有し、 d)前記フィルタ/消泡器カートリッジは、消泡剤を含浸した中空円筒形ス プレー紡糸プラスチックフィルタを含む、 ことを特徴とする、心臓切開術用フィルタ/消泡器。 2.前記スプレー紡糸プラスチックフィルタは実質的に20μmの濾過性能を有 する、請求項1に記載のフィルタ/消泡器。 3.前記スプレー紡糸フィルタの材料はポリプロピレンである、請求項1に記載 のフィルタ/消泡器。 4.前記スプレー紡糸フィルタは、前記リザーバ内に設けられている、請求項1 に記載のフィルタ/消泡器。 5.前記リザーバは本体及び蓋を有し、前記スプレー紡糸フィルタは、前記本体 と前記蓋との間で自己支持性である、請求項1に記載のフィルタ/消泡器。 6.前記スプレー紡糸プラスチックフィルタの外面には、カレンダー加工が施し てある、請求項1に記載のフィルタ/消泡器。
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