【発明の詳細な説明】
CC−1065及びデュオカマイシンのMCBI類似体発明の属する技術分野
本発明は、抗腫瘍性抗生物質に関する。より詳細には、本発明は、抗腫瘍性抗
菌活性を有するCC−1065及びデュオカマイシンの類似体に関する。従来技術
(+)−CC−1065(1)及びデュオカマイシンは、可逆的な立体電子的
に制御された配列選択的DNAアルキル化を通したその生物学的効果に由来する
非常に強力な抗腫瘍性抗菌物質のクラスの初期のメンバーを表している(Boger e
t al.J.Org.Chem.1990,55,4499;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1990,112,8961;Bog
er et al.J.Am.Chem.Soc.1991,113,6645;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1993,115,
9872;Boger et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.1992,2,759)。これらの最初の開示に
続いて、それらのDNAアルキル化選択性及びその構造的原因を確立するための
多数の努力がささげられてきた。DNAアルキル化選択性とそれに続く生物学的
特性との関連を確立するための、例えば構造、化学反応性及び生物学的特性との
間の関係の根底にある基本的な原理を定義するための努力もささげられてきた(
図1;1〜3)。
CBI(1,2,9,9a−テトラヒドロシクロプロパ[c]ベンズ[e]イ
ンドール−4−オン)は、CC−1065及びデュオカマイシンのアルキル化サ
ブユニットに対応するアルキル化サブユニットとして同定されている(Boger et
al.J.Am.Chem.Soc.1989,111,6461;Boger D.L.;Ishizaki et al.J.Org.Chem.1990
,55,5823)。CBIを基礎とする類似体を含む薬剤は、DNAアルキル化剤とし
て特に有用であることが証明されている。このことは意義深いことである。なぜ
なら、先行する研究は、天然のアルキル化サブユニットに対する独特の特姓に寄
与し、深在性構造変化はいうまでもなく、たとえ小さな構造の変化(pertubatio
n)でもその特性に有害な作用を及ぼすという認識を残したからで
ある(Hurley et al.Science1984,226,843;Reynolds et al.Biochemistry1985,24
,6228;Hurley et al.Biochemistry1988,27,3886;Hurley et al.J.Am.Chem.Soc.1
990,112,4633;Warpehoski et al.Biochemistry1992,31,2502)。不正確に証明さ
れただけではなく、(+)−CC−1065のCBIを基礎とした類似体の天然の
鏡像異性体は、CC−1065の天然CPIアルキル化サブユニットを組み込ん
だ対応の薬剤よりも、化学的に安定(4×)、生物学的により強力、かつ合成的に
かなり利用しやすいことが証明されている(Boger et al.J.Org.Chem.1990,55,58
23;Boger et al.J.Org.Chem.1992,57,2873;Boger et al.J.Org.Chem.1995,60,12
71)。更に、一連のCBI類似体のなかから選択された薬剤は、強力な細胞障害
性だけではなく、強力かつ効果的なインビボ抗腫瘍活性を示した(Boger et al.B
ioorg.Med.Chem.Lett.1991,1,115)。
CBIを基礎とする類似体の天然の鏡像異性体は、上昇した速度下において未
変化の配列選択性を有し、かつ対応のCPI類似体よりもより効果的にDNAを
アルキル化することが示された(Boger et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.1991,1,115
;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1991,113,2779;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1992,
114,5487)。このことは、単純化されたCBIアルキル化サブユニットは、CC
−1065の天然のアルキル化サブユニットに重要な利点を提供することを示し
ている。最近の研究において、CC−1065及びデュオカマイシンのDNAア
ルキル化反応のモデルが開発された(Boger et al.J.Org.Chem.1990,55,4499;Bog
er et al.J.Am.Chem.Soc.1990,112,8961;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1991,113,
6645;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1993,115,9872;Boger et al.Bioorg.Med.Chem
.Lett.1992,2,759;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,1635)。これらのモデ
ルは、鏡像異性薬剤及びそれらの構造類似薬によるATに富むアデニンN3DN
Aの逆転かつ相殺されたアルキル化選択性に適応している。非天然の鏡像異性体
に由来するジアステレオマー付加物は、天然の鏡像異性体付加物には存在しない
アルキル化アデニンに隣接する塩基を有するアルキル化アデニンCPI C7中
心(CH3)又はCBI C8中心の間の立体相互作用の有意な不安定化を受ける
ことが見出された。この結果と一致して、天然及び非天然鏡像異性体間の顕著な
特徴は、この中心の周囲の
固有の立体バルク(steric bulk)が減少又は除去されたとき、減少又は消失し
た(Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,7996)。CPI C7又はCBI C
8中心の周囲の立体相互作用の不安定化に対する非天然鏡像異性体の感受性のた
めに、CBIを基礎とした類似体の非天然鏡像異性体は、DNAアルキル化につ
いてより上昇した相対速度及び効率を示す対応のCPI類似体よりもより効果的
である。
機能安定性と細胞障害性能力との間には直接の関係がある(Boger et al.J.Am.
Chem.Soc.1994,116,6461;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,11335;Mohamadi
et al.J.Med.Chem.1994,37,232;Boger et al.J.Org.Chem.1994,59,4943;Boger
et al.J.Am.Chem.Soc.1989,111,6461;Boger et al.J.Org.Chem.1990,55,5823
)。アルキル化サブユニットに深在性修飾を含む薬剤を用いて行った、4〜9(
図2)を含む現在までの一連の研究の進行において、高い加溶媒分解安定性を有
する薬剤は、もっとも強力な細胞障害活性を示すことが見出された。更に、機能
安定性と生物学的効力との間の直接の関係は、天然物の単純及び進化した(adva
nced)類似体においても見られた。続いてのこの関係の確証は、一連の単純N2
置換CBI誘導体において見られた(Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,552
3)。加溶媒分解安定性(−logk)、細胞障害能力(log1/IC50、L12
10)及びN2置換基の電子吸引性(ハメットσp定数)との間の予想し得る直線
関係が見られた(図2;4〜9)。
必要とされるものは、CBIと比較して改変した反応性を有する代替のアルキ
ル化剤であって、CC−10665及びデュオカマイシンの類似体に組み込んで
もよいものである。発明の概要
本発明の1つの態様は、以下に示す構造:
又は、
のいずれかで示されるアルキル化剤に向けられる。
前記の構造において、Xは、塩素、臭素、ヨウ素及びOTOSからなる群より
選ばれ、R1は、水素、tert−ブトキシカルボニル及び以下に示す構造:
で示される基からなるより選ばれる。
前記の基において、R2は、水素、ヒドロキシ、O−アルキル(C1〜C6)
及び第一のN置換ピロリジン環からなる群より選ばれ、R3は、水素、ヒドロキ
シ、O−アルキル(C1〜C6)、第一のN置換ピロリジン環及び以下に示す構造
:
で示される基からなる群より選ばれる。
R4は、水素、ヒドロキシ及びO−アルキル(C1〜C6)からなる群より選
ばれ、R5は、水素、ヒドロキシ、O−アルキル(C1〜C6)からなる群より
選ばれる。V1は、R2とR3との間の第一のビニレン基を表し、但し、
1.R2が第一のN置換ピロリジン環に関与する場合、R3も第一のN置換ピロ
リジン環に関与する。
2.R3が第一のN置換ピロリジン環に関与する場合、R2も第一のN置換ピロ
リジン環に関与する。
3.R2及びR3が第一のN置換ピロリジン環に関与する場合、R4及びR5は水
素である。
4.R2が水素である場合、R4及びR5は水素であり、R3は以下に示す構造:
により示される基である。
この場合、第一のN置換ピロリジン環は、R2とR3との間の第一のビニレン基
に融合しており、以下に示す構造:
で示され、
V1は、R2とR3との間の第一のビニレン基を示し、
R6は、−NH2及び以下に示す構造:
により示される基により選ばれる。
R7は、水素、ヒドロキシ、O−アルキル(C1〜C6)及び第二のN置換ピ
ロリジン環からなる群より選ばれ、R8は、水素、ヒドロキシ、O−アルキル(
C1〜C6)及び第二のN置換ピロリジン環からなる群より選ばれ、V2は、R7
とR8との間の第二のビニレン基を表し、但し、
1.R7がN置換ピロリジン環に関与する場合、R8もN置換ピロリジン環に関
与する。
2.R8がN置換ピロリジン環に関与し、更にR7もN置換ピロリジン環に関係
する。
この場合、第二のN置換ピロリジン環は、R7とR8との間の第二のビニレン基
に融合しており、以下に示す構造:
(式中、V2は、R7とR8との間の第二のビニレン基を表す)により示される。
本発明の好ましい態様には以下に示す化合物が含まれる。 本発明の第二の態様は、前記化合物のDNAアルキル化への使用に向けられる
。
MCBI(7−メトキシ−1,2,9,9a−テトラーヒドロシクロプロパ[
c]ベンズ[e]インドール−4−オン)は、C4カルボニルに対してパラのC
7メトキシ基を有する置換CBI誘導体である。MCBIアルキル化サブユニッ
トのコア構造を、適当に官能基化(functionalize)したナフタレン前駆体(2
10及び220)生成のための改変ストッブ縮合−フリーデル・クラフツアシル
化、続いての1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール骨格合成完了の
ための5−exo−trigアリールラジカル−アルケン環化(228〜230
、246〜248)、次いで活性化シクロプロパン導入のための最終のAr−3
’アルキル化により製造した。鍵となる5−exo−trig遊離基環化の実行
への2つのアプローチについて詳述すると、前者は228の閉環を進め230を
提供
するものであり、必要とされる生成物の官能基化が環化の前に導入されているも
のである。後者は官能基化されていないアルケン基質246の環化生成物のテン
ポトラップ(Tempo trap)により248を提供するものである。後者の簡潔なア
プローチは、MCBIサブユニット及びその直接の前駆体を、12〜13工程で
、すばらしい全体の転換率(27〜30%)で提供した。直接のMCBI前駆体
の分割並びにそれらの257〜266の鏡像異性体、CC−1065及びデュオ
カマイシンの類似体両者への組み込みについて詳述する。N−BOC-MCBI(
238)の加溶媒分解反応性及び位置選択性の研究について詳述し、C7メトキ
シ基の導入が、加溶媒分解速度をわずか1.6倍加速することを見出した。この
驚くべきささやかな効果は、C4カルボニルのプロトン化は、加溶媒分解又は酸
触媒求核付加の律速段階ではないこと及びわずかに異なる電荷の蓄積(buildup
)が遷移状態で起こることを示唆しており、更にシクロプロパン環開環反応は求
核試薬の存在及び補助を要求する(SN2機構)という示唆をサポートする。こ
のことは、このクラスの薬剤のDNAアルキル化選択性に寄与していることは疑
いなく、C4カルボニルプロトン化ではなく接近しやすい求核試薬(アデニンN3
)の位置決め(positioning)が律速事象であることを意味しているだろう。加
溶媒分解速度に対するこの非常に小さい電子的影響は、加溶媒分解位置選択性に
影響を与えず、活性化シクロプロパンの最小置換炭素への立体電子的に制御され
た求核付加が独占的に見られた。図面の簡単な説明
図1は、(+)CC−1065(1)及びデュオカマイシン2〜3の構造を示し
ている。
図2は、アルキル化サブユニットにおける深在性修飾を含む薬剤4〜9の構造
を示している。下部のスキームは、MCBIとCBIとの直接の比較を示してい
る。
図3は、初期の中間体化合物204、206、208及び210の合成を示し
ている。
図4は、進化したMCBI中間体化合物238及び240の合成を示している
。
図5は、進化したMCBI中間体化合物230の合成を示している。
図6は、MCBI結合薬剤252、254、256、258、260、262
、264及び266の合成を示している。
図7は、進化したMCBI中間体化合物29の単一の生成化合物47への加溶
媒分解を示している。
図8は、試験した薬剤の表を示している。表中、kはpH3で測定した加溶媒
分解速度定数を示し、t1/2は、示したIC50値、紫外線及び赤外線吸収データ
を用いてpH3で測定した薬剤の半減期を示している。示した上付き文字は以下
に示すように定義される。(a)pH=3:50%CH3OH−緩衝液、緩衝液は
4:1:20(v:v:v)の0.1Mクエン酸:0.2M Na2HPO4:H2
O。(b)CH3OH。(c)KBr。(d)THF。(e)フィルム。(f)ヌジョール
(Nujol)。(g)pH2下においては、k=1.53×10-5s-1、t1/2=12.
5時間。(h)pH2下においては、k=1.62×10-5s-1、t1/2=11.
5時間。
図9は、50%CH3OH−水性緩衝液(pH3.0、4:1:20(v/v
/v)の0.1Mクエン酸:0.2M NaH2PO4:H2O)中におけるN−
BOC−MCBI(238、上部)及びMCBI(240、下部)の加溶媒分解
研究(UVスペクトル)を示している。このスペクトルは定期的な間隔で記録し
、明確性のために幾つかを示す。上部:1、0時間;2、4時間;3、27時間
;4、70時間;5、105時間;6、177時間。下部:1、0時間;2、4
時間;3、27時間;4、70時間;5、177時間;6、752時間。
図10は、試験したMCBI薬剤のインビトロ細胞障害活性を示しており、C
BIとの比較も示している。
図11は、試験した薬剤は、機能の安定性(−logk)と細胞障害能力(−
log(IC50))との間の直接の関係に従うことが見出されたことを示している
。
図12は、鏡像異性体の特徴(distinction)を示している。図12は、MC
BI−TMI鏡像異性体は類似の特徴を示すが、CBI−TMIについて見られ
たものよりもやや小さいことが見出されたことを明らかにした。
図13は、薬剤−DNAを37℃で72時間インキュベート、続く未結合薬剤
の除去、100℃で30分間のインキュベート、8%変性PAGE及びオートラ
ジオグラフィーによる2本鎖DNA(SV40 DNA断片、ヌクレオチドNo
.5238−138、クローンw794)の熱誘導鎖開裂を示している。レーン
1、対照のDNA;レーン2〜4、(−)−MCBI−TMI(254、1×10- 5
〜1×10-7M);レーン5〜7、(−)−デュオカマイシンSA(2、1×10- 5
〜1×10-7M);レーン8〜11、サンガ−G、C、A及びT反応;レーン1
2〜14,(−)−CC−1065(1、1×10-5〜1×10-7M);レーン15
〜17、(−)−MCBI−CDPI2(266、1×10-5〜1×10-7M);レ
ーン18〜20、(−)−MCBI−CDPI1(262、1×10-5〜1×10-7
M);レーン21〜23、(−)−MCBI−インドール2(258、1×10-5〜
10×10-7M)。
図14は、ln[(Af−Aj)/(Af−A)]間の直線関係を示している;50
%CH3OH−水性緩衝液(pH3.0、4:1:20(v/v/v)の0.1
Mクエン酸:0.2M Na2HPO4:H2O)中のN−BOC−MCBI(2
38、上部)及びMCBI(240、下部)の加溶媒分解研究(UVスペクトル
)が示される。このスペクトルは定期的な間隔で記録し、明確性のために幾つか
を示す。上部:1、0時間;2、4時間;3、27時間;4、70時間;5、1
05時間;6、177時間。下部:1、0時間;2、4時間;3、27時間;4
、70時間;5、177時間;6、752時間。
図15は、5’−32P及び標識化DNAのオートラジオグラフィーを通して確
立した時間に対する積分光学密度割合(percent integrated optical density)
(%IOD)のプロットを示しており、1、254、258、(+)−CBI−T
MI及び(+)−DSA−インドールについての、5’−AATTA高親和性部
位におけるw794アルキル化の相対速度のモニターに使用した。
図16は、5’末端標識化DNA(SV40 DNA断片、144bp、ヌク
レオチドNo.5238−138、クローンw794)の熱誘導鎖開裂を示して
いる。薬剤−DNAのインキュベートを37℃で24〜48時間行い、続いて未
結合薬剤の除去、100℃で30分間のインキュベート、8%変性PAGE及び
オートラジオグラフィーを行った。
図17は、薬剤−DNAを25℃で24時間インキュベート、続く未結合薬剤
の除去、100℃で30分間のインキュベート、8%変性PAGE及びオートラ
ジオグラフィー後の2本鎖DNA(SV40 DNA断片、ヌクレオチドNo.
5238−138、クローンw794)の熱誘導鎖開裂を示している。レーン1
、対照のDNA;レーン2〜4、(+)−デュオカマイシンSA(2、1×10-5
〜1×10-7M);レーン5〜7、(+)−MCBI−TMI(254、1×10-5
〜1×10-7M);レーン8〜11、サンガーG、C、A及びT反応;レーン1
2〜14,(+)−CC−1065(1、1×10-5〜1×10-7M);レーン15
〜17、(+)−MCBI−インドール2(258、1×10-5〜1×10-7M);
レーン18〜20、(+)−MCBI−CDPI2(266、1×10-5〜1×10-7
M)。
図18は、種々の薬剤についてのDNAアルキル化の相対速度を示している。
酸触媒加溶媒分解の相対速度には従わない(k=それぞれの速度定数)。発明の詳細な説明
本発明は、C4カルボニルに対してパラにC7メトキシ置換基を有する置換M
CBI誘導体である7−メトキシ−1,2,9,9a−テトラーヒドロシクロ−
プロパ[c]ベンズ[e]−インドール−4−オン(MCBI)の初めての合成
を具体化する。MCBIとCBIとの直接の比較により、化学反応性に対するC
7置換基の電子的影響の規模、最終的には機能反応性と生物学的特性との関係の
評価が可能になった(図2;MCBI構造)。
MCBI(240)及びN−BOC−MCBI(238)の合成
t−BuOKを用いた処理(Johnson et al.Org.React.1951,6,1;Baghos et a
l.Helv.Chim.Acta1979,62,90)(2〜4当量、t−BuOH、還流、1〜2時間、
74%)により行った、3−メトキシベンズアルデヒド(200;図3)とコハク
酸ジエチル(3〜6当量)とのストッブ縮合(Stobbe,H.Chem.Ber.
1893,26,2312;Johnson et al.Org.React.1951,6,1)により半エステル202の2
:1混合物を得、次いでフリーデル・クラフツアシル化(1.0当量NaOAc
、Ac2O、5時間還流)に付し、210、その対応のO−アセテート208及
び大量の異性体のフリーデル・クラフツ反応生成物204〜206の混合物を得
た(図3)。得られた混合物を続いてエタノリシス(K2CO3、EtOH)により
O−アセテート204及び208を加水分解し、210とその異性体206との
混合物を得た。この混合物はクロマトグラフィーにより容易に分離することがで
きた。このアプローチの使用により、不安定な転換及び最終の異性体生成物の予
備分離を受けるが、中間体202又は208の慎重な精製なしに、200から2
10を良好な全収率40〜45%で得た。最高の転換率は、フリーデル・クラフ
ツアシル化を穏やかな希釈反応条件下(0.1対0.5M)で行ったときに見ら
れた。部分的に、最初の半エステル202の2:1のE:Z混合物には、無駄な
Z異性体の異性化及び環化を行うことができる厳しい一連のフリーデル・クラフ
ツアシル化を必要とした。穏やかな反応条件を用いての異性体生成物の割合を改
善する試みでは、試験した条件下においてZ異性体が効率的に環化しないため、
210への全体の転換率は低下する(図1、上部)。
これは、より制御された方法でストッブ縮合を行うことにより著しく改善され
た。ウォズワース−ホルナー−エモンス試薬212(Owten et al.Synth.Commun.
1993,23,2119;Gallagher et al.Tetrahedron Lett.1994,35,289;Hughes et al.J
.Chem.Soc.,Perkin Trans.1 1989,449;Comber et al.J.Chem.Soc.,Perkin Tran
s.1 1991,2783)(1当量、1.05当量NaH、THF、0〜25℃、10時間
、81%)を用いた200の縮合により、所望のE異性体が≧20:1で優勢で
ある214を得た(図3)。t−ブチルエステルの選択的な酸触媒脱保護(deprote
ction)、続くAc2O−NaOAcを用いての処理により行ったフリーデル・ク
ラフツアシル化により、202〜210の混合物を得た。続いてO−アセテート
の加水分解(K2CO3、EtOH)により210(68%全体)及び206を得
た。202の純粋なE異性体を使用することにより、特に反応時間が著しく減少
した。210の収率も同様であった。更に、穏やかなフリーデル・クラフツ反応
条件(Ac2O、1.1当量NaOAc、70℃、10時
間)の使用を可能にし、この修飾は転換率及び210:206の割合(8:1)
を更に改善した。この手順に続いて、210を202から、76%の全収率で分
離した。同様に、TFAA−NaOAcを用いての202の処理(Bonnett-Delpo
n et al.J.Org.Chem.1988,53,754)(還流、30時間、57%)により、210:
206の9:1混合物として210をわずかに低い転換率で得た。202から対
応の酸塩化物への第一の転換(COCl2)、続くルイス酸触媒環化(AlCl3、
38%;FeCl3、46%;SnCl4、54%)する代替の努力は、これらの
転換率を改善しなかった。ストッブ縮合の修飾の使用は、200から210への
全体の転換率を改善しただけでなく、210への経路における純粋な中間体の分
離及び特徴付ける能力をも改善し、これにより各反応段階の正確な評価及び最適
化が可能になった(図3)。
ベンジルエーテル216としてのフェノール210の保護(98%)、続くエチ
ルエステルの加水分解(98%)及び得られたカルボン酸218のシオイリ−ヤ
マダ試薬(DPPA;Shioiri et al.J.Am.Chem.Soc.1972,94,6203;Ninomiya et al.T
etrahedron 1974,30,2151)を用いてのt−BuOH中におけるクルチウス転位
により、直接カルバメート220を優れた転換率(69%)で得た(図4)。低温
下での220の酸触媒C−4臭素化(1.2当量NBS、触媒H2SO4、THF
、−78℃、5時間、98%)により222を清潔に得た。222の構造を、2
D 1H−1H NMRスペクトルの診断用C3−H/OCH2PhNOEクロスピ
ークの観察により確認した。1−ブロモ−3−メチル−2−ブテン(3当量、2
5℃、8時間、95%)を用いての222のナトリウム塩(1.3当量NaH、
DMF、25℃、30分間)のアルキル化に続く、注意深くモニターした224
の低温下オゾン分解、次いで粗オゾニドの還元的ワークアップ(workup)(Me2S
)により226(81%)を得た。オゾン分解反応の最適化においては、過剰量
のO3の直接の低温クエンチなしの、より延長した反応時間は、更なる酸化生成
物の急速な生成を誘導することが見出された。したがって、反応条件特に詳述し
た反応時間に対する固執は、224から226への転換の成功にとって重要であ
る。ビニルエーテル228のウィッティヒ導入は、THF中におけるPh3P=
CHOTHPの低温生成(Schlude,H.Tetrahedron1975,31,
89)、続く維持された反応期間におけるTHF−HMPA中における226との
反応においてもっとも有効であり、E:Zオレフィン異性体の混合物を優れた収
率(88%)で得た。Bu3SnH(2当量、C6H6、触媒AIBN、80℃、
2時間、95〜98%)を用いての228の処理により5−exo−trigア
リールラジカル−アルケン環化の産物である230を優れた収率で得た。続く2
30のTHP脱保護により遊離のアルコール232(90%)を得、これはN−
BOC脱保護の形跡なしに達成した。232の最初の塩化物234への転換(2
当量Ph3P、6当量CCl4、CH2Cl2、25℃、Hooz et al.Can.J.Chem.19
68,46,86)、続いてベンジルエステルのトランスファー水素化分解(transfer hyd
rogenolysis)(Beig et al.Synthesis1985,76)(99〜100%)、次いでNaH
(3当量、THF、0℃、30分間、89%)を用いて236を処理することに
よるスピロ環化(spirocyclization)によりN−BOC−MCBI(238)を
得た。同様に、236の酸触媒脱保護(3N HCl−EtOAc、25℃、2
0分間)、続いて5%水性NaHCO3−THF(1:1、25℃、1.5時間、
93%)に暴露しながらの粗インドリン塩酸塩のスピロ環化により、MCBI(
240)を清潔に得た(図4)。
238及び240の合成の完了に続いて、鍵となる5−exo−trigアリ
ールラジカルアルケン環化を行う代替の方法を研究した(Boger et al.J.Org.Che
m.1995,60,1271)。本発明者らの初期のアプローチにおいて、エノールエーテル
228の環化を、閉環速度を加速しかつ5−exo−trig環化に対する固有
の嗜好性(preference)を強化する活性化受容体アルケンを部分的な使用により
、優れた転換率で進めた。更に、ビニルエーテルを、所望の環化生成物において
必要な十分な官能基化がされた環化基質に組み込む。しかしながら、このアプロ
ーチの固有の制限は、生成物の機能を、遊離基環化基質である受容体アルケンへ
組み込むという要求であり、これは、注意深く定義されるオゾン分解反応及び、
続く官能基化メチレントリフェニルホスホランを用いてのウィッティヒ反応を必
要とする。短時間かつより効率的な232の製造を、環化前のアルケン官能基化
に対する要求を除外する不活性化アルケンのアリールラジカル−アルケン5−e
xo−tirg環化の好結果のテンポトラップ(Boger et al.J.Org.Chem.
1995,60,1271)に基づき達成した。NISを用いた低温処理(1.1当量、触媒
TsOH、THF−CH3OH、−78℃、3時間、89%)により行った22
0の選択的酸触媒C4ヨウ素化、続いての臭化アリル(3当量、DMF、25℃
、3時間、93%)を用いての242のナトリウム塩のアルキル化(1.25当
量NaH、DMF、0℃、50分間)により246を得た(図5)。Bu3SnH
(5×1.0当量、70℃、1時間)を用いてのベンゼン中における246及び
テンポの混合物(6当量)の処理により、248(82%)を清潔に得た。同様
に、(Me3Si)3SiH(5×1.0当量、80℃、10時間)を用いてのベ
ンゼン中の246及びテンポの混合物(6当量)の処理により、248(84%)を
得た。この反応は、完了のためにわずかに長い反応時間を必要とした。Bu3S
nH又は(Me3Si)3SiH(Bu3SnH>(Me3Si)3SiH)からの
テンポの水素原子の引き抜きは、おそらく246からのヨウ素のトリブチルスズ
ラジカル引き抜き反応のカスケード、非常に高速で進行しかつ競合的還元又は分
子間テンポトラップを被らない5−exo−trigアリールラジカル−アルケ
ン環化及びBu3SnHからの競合的水素原子引き抜きなしの環化生成物の一次
ラジカル(primary radical)の最終のテンポトラップの開始に貢献するだろう
。246に対する、テンポを用いたトリブチルスズラジカルの競合反応は、おそ
らく、過剰量のBu3SnH(3〜5当量)及びテンポ(6当量)に対する要求
の原因となる。248の還元的開裂により230を得ることは、Znを用いた処
理(12当量、3:1:1のHOAc−THF−H2O、70℃、2時間、86
%)により行った(図5)。
分割
MCBIを基礎とする類似体の最後から2番目の中間体である、進化した合成
中間体236を、分析用又は分離用ダイセルキラルセルODカラム(Daicel Chir
alcel OD column)(α=1.17)において、直接かつ効率的に分割した(Boger et
al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,7996)。ジアステレオマー異性誘導体化、分離及び
脱誘導体化(dederivatization)を回避するこの便利な手順は、236を用いて
最高に行われるが、234(α=1.12)及びN−BOC−MCBI(238
、α=1.16)もキラルセルODカラム中で直接分離することができ
る。本発明者らの目的に対して、236は、半分離用(semipreparative)10
μm、2×25cm OD HPLCカラム(2% i−PrOH−ヘキサン、
5ml/分)中で、全サンプルの90〜100%の回収率で分離することができ
るだろう。天然(1S)−及びent−(1R)−236の、(+)−及びent
−(−)−N−BOC−CBI(238)並びに(+)−及びent−(−)−
CBI(240)への転換は、図4に詳述した実験手順にしたがった。
絶対配置の割り当ては、当初は、4〜9について見られた結果と一致するより
強い活性を示す天然(+)−及びent−(+)−N−BOC−MCBI並びに
その関連する類似体の相対的細胞障害性能力に基づいていた。最終的には、進化
した類似体257〜266の鏡像異性体のDNAアルキル化選択性の予備的な試
験により確認した。特に、N−BOC−MCBI及びMCBI並びに進化した類
似体の天然及び非天然鏡像異性体の旋光度の符号は、4〜7及び9並びにそれら
の進化した類似体について見られたものと同一であることを見出した。
MCBI−TMI(254)、MCBI−インドール2(258)、MCBI−CD
PI1(262)及びMCBI−CDPI2(266)
図6に詳述するように、MCBIアルキル化サブユニットをCC−1065及
びデュオカマイシン類似体へ組み込んだ。236の酸触媒脱保護(4M HCl
−EtOAc、25℃、30分間)、続いての不安定なアミン塩酸塩250と、
5,6,7−トリメトキシインドール−2−カルボン酸(300、3当量EDC
I、DMF、25℃、10時間、85%;Boger et al.J.Org.Chem.1990,55,4499
)、58(3当量EDCI,DMF、25℃、10時間、78%;Boger et al.J.Or
g.Chem.1984,49,2240)、CDPI1(320、3当量EDCI、DMF、25℃
、12時間、71%;Boger J.Org.Chem.1987,52,1521)及びCDPI2(340、
3当量EDCI、DMF、25℃、6時間、68%;Boger et al.J.Org.Chem.19
87,52,1521;Boger et al.J.Org.Chem.1984,49,2240)との直接の結合を、250
の240への競合的閉環を促進する追加の塩基の存在なしに行い、それぞれ25
7、256、260及び264を得た。特に、250とカルボン酸300〜34
0との結合の容易さは、その溶解性が低下(300、
58>320>340)するにつれて低下し、これは必然的に反応速度を低下さ
せた。続いて結合した薬剤と、NaH(3.0当量、THF−DMF 3:1、
0℃、30分間)との反応により、MCBI−TMI(254、90%)、MCB
I−インドール2(258、86%)、MCBI−CDPI1(262、90%)及
びMCBI−CDPI2(266、94%)をそれぞれ優れた転換率で得た。ス
ピロ環化反応のワークアップを、低温下(0℃)、水性リン酸緩衝液(0.2M、
pH7)を用いて行ったとき、最良の転換率が見られた。これらの条件下では、
MCBI(240)への二次的な加水分解は最小になった(図6)。
化学的加溶媒分解:反応性:
アルキル化サブユニットの2つの基本的特徴は、4〜9の研究において重要で
あることが現在までに証明されている。第一は、活性化シクロプロパンの立体電
子的に制御された酸触媒開環であり、これは最小置換シクロプロパン炭素への求
核試薬の優占的な付加を指示する。第二は、酸触媒加溶媒分解の相対速度であり
、これは薬剤の機能的反応性を正確に反映し、加溶媒分解安定性とインビトロ細
胞障害性能力との間の基本的かつ直接の関係に従うことが見出された(Boger et
al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,6461;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,11335)
。
CBI核のC7置換が、酸触媒開環に及ぼす立体電子作用を乱さない場合、C
7メトキシ置換基導入のわずかな構造変化は、加溶媒分解に要求されるC4カル
ボニルのプロトン化の電子的活性化を通して、薬剤の加溶媒分解性の反応性を増
加させることが予想される。更に加溶媒分解は、環の拡張及びC9aに対する求
核試薬の付加を伴うC8b−C9a結合の開裂よりもむしろ、最小置換C9シク
ロプロパン炭素に対する求核試薬の付加を伴うC8b−C9結合の限定的な開裂
と共に起こることが予想される。特に、後者の開裂は、一次中心(primary cente
r)に対して優先的な二次中心(secondary center)における正電荷の発生を引き
起こすだろう。先行の薬剤においては、この嗜好性は、固有の立体電子的制御に
より無効にされた。
予想と一致して、N−BOC−MCBI(238、t1/2=80時間、k=2
.
41×10-6s-1)は、pH3下でN−BOC−CBI(4、t1/2=133時
間)よりも化学的加溶媒分解に対してより反応性が高いことが証明されたが、そ
の差異は予期したものよりも小さく、238はN−BOC−CPI(6、t1/2
=36.7時間)よりも実質的により安定であった(図8)。したがって、N−B
OC−MCBIは、pH3下において、親薬剤であるNBOC−CBI(4)よ
りもわずか0.6倍の短い半減時間を示した。1〜2週間モニターしたとき、4
〜7が加溶媒分解の形跡を示さなかったpH7下(1:1 H2O−CH3OH)
において、N−BOC−MCBI(238)は同様に加溶媒分解の形跡を示さな
かった。加溶媒分解は、MCBI発色団の長波長吸収帯(324nm)の消失及
びseco−N−BOC−MCBIに起因する短波長吸収帯(266nm)の出
現を伴うUVに分光光度的に従った(図9)。CPI及びCBIと同様に、MCB
I(240、t1/2=334時間、k=5.76×10-7s-1)は、N−BOC
−MCBI(238)よりも、加溶媒分解に対してより安定であることが証明さ
れた。これは、おそらく加溶媒分解触媒に要求されるO−プロトン化に対して優
先的なN3プロトン化の結果であろう。4〜9により示された傾向とほぼ一致し
て、MCBI(240、t1/2=334時間、k=5.76×10-7s-1)は、
CBI(t1/2=930時間、k=2.07×10-7s-1)25よりもわずかに反
応性が高く、DSA(t1/2=2150時間、k=8.9×10-8s-1)16より
も6〜7倍反応性が高いが、CPIよりも反応性が低いことが証明された(図8
〜9)。
したがって、N−BOC−MCBI(238)の酸触媒加溶媒分解速度は、予
想された通り、C7メトキシ置換基による電子的活性化により、N−BOC−C
BI(4)よりも速かったが、この効果の規模は著しく小さく(1.6×)、意義
深いものであった。第一に、C4カルボニルのプロトン化は、加溶媒分解又は酸
触媒求核試薬付加の律速段階ではないことが示唆される。メトキシ置換基につい
てのαp+値−0.78を使用して、酸触媒加溶媒分解反応についての著しく小さ
いρ値−0.28を得た。ρについての小さい値は単一比較に基づくものであり
、誤差に付されるものであるけれども、多数の比較に由来する類似の低いρ値(
−0.30)と類似している。多数のρの機構学的解釈が認められるが、そ
のほとんどは、ρは反応において置換基により見られる電荷の程度であるが、研
究中の電子の要求(electron demand)、電子の非局在化、遷移状態の位置、及び
反応に対する置換基効果の伝達を含むその他の因子を含んでいると述べている(B
radamante,S.;Pagani,G.A.J.Org.Chem.1980,45,10)。これらの因子は独立ではな
いので、これらの作用を区別することができないことがある。しかしながら、−
0.3という異常に小さい負のρ値は、反応中心においてわずかに異なる正電荷
が蓄積することを示し、開環についての厳密なSN2機構を示唆している。定性
的には、このことは、238及び240のC7メトキシ置換基は酸触媒加溶媒分
解速度にわずか1.6倍の作用を及ぼすということを認識することにより容易に
認識される。反応によって示される、驚く程小さいρ値と密接に関連する8の活
性化シクロプロパンへの異常な環の拡張性付加に対する明確なSN2加溶媒分解
生成物の観察は、わずかに異なる電荷の蓄積が遷移状態で起こること及び反応の
観察結果は求核試薬の存在及び援助を必要としていることを示唆している。この
ことが、このクラスの薬剤のDNAアルキル化選択性に寄与していることは疑い
のないことであり、C4プロトン化ではなく、接近しやすい求核試薬の位置決め
(アデニンN3)が律速事象であることを暗示している。
化学的加溶媒分解:位置選択性:
CH3OH中におけるN−BOC−MCBI(238)の0.1当量CF3SO3
Hを用いての処理(0℃、3時間)により、清潔な加溶媒分解が起こり、単一
の生成物268(95%)を得た(図7)。N−BOC脱保護又はオレフィンは見
られず、メタノリシスは立体電子的に制御された位置選択性の変化なしに進行し
た。最小置換C9シクロプロパン炭素へのCH3OHの付加を伴うC8b−C9
結合の清潔な開裂により268を得ることが見出されたが、環の拡張及びC9a
へのCH3OHの付加を伴うC8b−C9a結合の開裂により270を得ること
はなかった(>20:1)。特に、この結果は、異常な環拡張加溶媒分解生成物の
有意量が検出されたCC−1065、デュオカマイシンA及びCBQのより反応
性の高いアルキル化サブユニットについての加溶媒分解の研究とははっきりと対
照的である。それにもかかわらず、この観察結果は、環拡張加溶媒分解生
成物が検出されなかった(>20:1)N−BOC−CBI(4)についての本
発明者らの先行する研究と一致する(Boger et al.J.Org.Chem.1990,55,5823)。
現在まで、異常な環拡張加溶媒分解生成物は、化学的により反応性の高い薬剤、
すなわち6〜8についてのみ検出され、両方のシクロプロパン結合の立体電子的
配置が同じである系、すなわち8である場合でのみ特に有力である(Boger et al
.J.Am.Chem.Soc.1994,116,6461;Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,11335)。
重要なことには、MCBIを基礎とする薬剤を含むCBIを基本とする薬剤への
、立体電子的に制御された酸触媒求核試薬付加は、>20:1の位置選択性で進
行し、より小さい4:1の選択性を示すことが見出されているCC−1065の
CPIを基本とする類似体よりも更なる薬剤の利点を与える(Warpehoski et al.
J.Am.Chem.Soc.1994,116,7573)。
インビトロ細胞障害活性:
MCBIを基本とする薬剤の天然の鏡像異性体は、対応のCBIを基本とする
薬剤よりもわずかに低いか又は区別することができない程度の細胞障害性能力を
示すことが見出された(図10)。反応性の差異の規模は小さすぎ、細胞障害性ア
ッセイにおける変動は大きすぎるため、CBIとMCBI薬剤の決定的な比較は
許容されず、定性的傾向は一般的に予期されるものであった。重要なことには、
その相対的反応性と一致して、薬剤は、現在までに行われた一連の薬剤に関する
先行する研究において見られた機能的安定性と細胞障害性能力との間の十分に確
立された直接の関係に従うことが見出された(図11)。先行する観察結果に類似
して、対応のseco前駆体、236、252、256、260及び264は、
シクロプロパン含有薬剤と区別することができない程度の細胞障害活性を示した
。
DNAアルキル化選択性、効率及び相対速度:
薬剤のDNAアルキル化特性を、関連する薬剤について比較結果を入手するこ
とができる、150塩基対のセグメントからなる4種類の2本鎖DNAを用いて
試験した。ファージM13mp10の4種のクローンを研究のために選択し、こ
れらはSV40ヌクレオソームDNA挿入物(ヌクレオチドNo.5238−1
38)及びその相補物w836(ヌクレオチドNo.5189−91)並びにc
988(ヌクレオチドNo.4359−4210)及びその相補物c820(ヌ
クレオチドNo.4201−4356)を含んでいた。アルキル化部位の同定及
び利用することができる部位間の相対的選択性の評価は、薬剤に暴露した後の単
独で5’末端を標識化した二本鎖DNAの熱誘導鎖開裂により得た。一連の薬剤
濃度を用いての末端標識化二本鎖DNAの処理に続いて、DNAのEtOH沈澱
により未結合の薬剤を除去した。水性緩衝液中におけるDNAの再溶解、熱分解
(100℃、30分間)によるDNAアルキル化部位における鎖開裂の誘導、サ
ンガージデオキシヌクレオチド配列化標準に隣接する高解像度ポリアルキルアミ
ドゲル電気泳動(PAGE)の変性、及びオートラジオグラフィーにより、DN
A開裂及びアルキル化部位を同定した。この手順の十分な詳細は、開示されてお
り更にほかにおいても検討されている(10)。本明細書に詳述した薬剤について
の25℃(24時間)のインキュベーション条件下で見られたDNAアルキル化
反応選択性は、短い若しくは長い反応時間で見られたアルキル化選択性又は反応
を異なる温度下(37又は4℃、0.5〜7日間)で行ったときのアルキル化選
択性と同一であることが証明された。以下で検討するように、DNAアルキル化
の最終の相対的効率ではなく、速度及び効率が反応温度の変化により変化した。
MCBI−TMI(254)、MCBI−インドール2(258)、MCBI−CD
PI1(262)及びMCBI−CDPI2(266)の天然鏡像異性体のDNA
アルキル化特性:
254、258、262及び266並びに天然物(+)−デュオカマイシンS
A(2)及び(+)−CC−1065(1)による、w794DNA内における
DNAアルキル化の比較が図17に示され、これは薬剤について行われた一連の
比較の代表的なものである。比較において、(+)−デュオカマイシンSA(2)
及び(+)−MCBI−TMI(254)は区別することができず、この2つの
薬剤は、DNAアルキル化について同一の選択性及び効率を示した。このことは
、図17におけるw794内で十分に説明されている。ここでは、2つの薬剤は
共に、10-6〜10-7Mで、5’−AATTAの同一の高親和性部位を検出可能
にアルキル化し、高濃度下でのみ比較することができる程度で3つの追加の重要
でない部位(minor site)をアルキル化し、更に試験した濃度範囲を通して同一
のアルキル化の程度を示した。これは、デュオカマイシンSA(2)及びCBI
−TMIについての本発明者らの先行して行われた比較における観察結果と厳密
に類似していた(Boger et al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,7996)。
同様に、(+)−MCBI−CDPI2及び(+)−CC−1065(1)は、
本発明者らの比較においては本質的に区別することができないことが証明された
。このことは、w794DNAを用いた図17において十分に説明される。ここ
では、2つの薬剤は、10-7Mにおいて、5’−AATTAの高親和性部位を検
出することができる程度にアルキル化し、高い薬剤濃度下では比較することがで
きる程度で追加の重要でない部位をアルキル化し、更に試験した濃度範囲を通し
て同一のアルキル化の程度を示した。このことは、各反応濃度下において存在す
る未反応のDNA量の比較においてもっとも明確になる。同様に、(+)−MCB
I−インドール2(258)も10-7MにおいてDNAを検出できる程度にアル
キル化する。
アルキル化選択性におけるわずかな差異が、重要でない部位のアルキル化の相
対的効率についてのみ見られたw794内においては断言されるほどのものでは
ないけれども、デュオカマイシンSA/MCBI−TMIとCC−1065/M
CBI−CDPI2との間の差異は、試験した追加のDNAセグメントにおいて
より明確になった。これらの比較において、デュオカマイシンSA、MCBI−
TMI及びMCBI−CDPI1を含む小さい薬剤は、明確な3.5塩基対のA
Tリッチアルキル化選択性を示し、一方CC−1065及びMCBI−CDPI2
を含む長い薬剤は、大きな5塩基対ATリッチアルキル化部位をより強く好ん
だ。これらの観察結果は、CBIを基本とする薬剤とCC−1065又はデュオ
カマイシンとの直接の比較においてなされた観察結果と類似しており(Boger et
al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,7996)、MCBIを基本とする薬剤及びCBIを基
本とする薬剤の天然の鏡像異性体の挙動を区別する特徴は検出されなかった。こ
れらのアルキル化選択性は、他の文献において証明及び詳述されており(Boger e
t al.J.Am.Chem.Soc.1994,116,7996)、検出された各アルキル
化部位は、3塩基対中における2つの5’A又はT塩基に続くアデニンであり、
これは以下に示す嗜好性:5’−AAA>5’−TTA>5’−TAA>5’−
ATAに従う。短い薬剤MCBI−TMI及びMCBI−CDPI1については
、4番目の5’塩基がA又はT対G又はCでなければならないという絶対的要求
ではない強い嗜好姓が存在する。この嗜好性は多数の高親和性部位と低い親和性
部位とを区別した(例えば、5’−AAAA)。長い薬剤MCBI−CDPI2に
ついては、4番目の塩基がA又はTであるという強い嗜好世だけでなく、5番目
の5’塩基がA又はT塩基を含むことに拡張している(例えば、5’−AAAAA
)。したがって、先行する薬剤と同様に、MCBIを基本とする薬剤は、3’
アデニンN3アルキル化部位において、3.5又は5塩基対をカバーする3’−
5’方向の小溝における薬剤結合を開始する、ATリッチアデニンN3アルキル
化選択性を示した。
w794の高親和性部位5’−AATTAにおける(+)−デュオカマイシン
SA(1)及び(+)−CBI−TMIについて確立されたDNAアルキル化の
相対速度に類似して、(+)デュオカマイシンSA(1)、(+)−CBI−TMI及
び(+)−MCBI−TMI(254)についてのDNAアルキル化の相対速度を
測定したところ(4℃、0〜48時間、10-6薬剤濃度)、3つの薬剤はほとんど
区別することができないことが証明された。(+)−MCBI−TMIは、デュオ
カマイシンSA又はCBI−TMIよりも動力学的に速く4℃下で5’−AAT
TA高親和性部位をアルキル化することが見出された。しかし、その差異はきわ
めて小さかった(k(254):k(CBI−TMI):k(2)=1.8:1.0
:0.9(図15))。同様の相対速度が、デュオカマイシンSA及びCBI−T
MIについての先行する比較において見られ、3つの薬剤は非常に類似している
ため、CBI−TMI及びMCBI−TMI間の正確な差異は容易に達成できな
い。25℃においては、差異を見つけることはより困難になり、3つの薬剤は、
化学的加溶媒分解研究において確立された薬剤の相対的反応性に一致して、本質
的に区別することができない。
3つのクラスの薬剤についての区別することができる相対速度を検出すること
の困難性を代表する、25℃(0〜24時間)、10-6薬剤濃度において行った
(+)−DSA−インドール2及び(+)−MCBI−インドール2(258)の
類似した速度の比較では、本質的に区別することができない速度:k(DSA−
インドール2)/k(MCBI−インドール)2=1.05(図15)であること
が明らかになった。重要なことに、これら2つの比較は、DNAアルキル化の相
対速度において実験的に区別することができるあらゆる差異は、DSA−、CB
I−又はMCBIを基本とする薬剤においてはほとんど見られないことを示唆し
ている。これとは対照的に、3つの薬剤はすべて対応するCPIを基本とする薬
剤よりも非常に速く(10〜50×)動力学的にDNAをアルキル化し、この場
合差異はより明確になり、実験的に容易に区別された。
MCBI−TMI(254)、MCBI−インドール2(258)、MCBI−CD
PI1(262)及びMCBI−CPPI2(266)の非天然鏡像異性体のDN
Aアルキル化特性:
DNAの同一のw794セグメントを用いての、MCBIを基本とする薬剤の
非天然鏡像異性体並びにデュオカマイシンSA(2)及びCC−1065(1)
の非天然鏡像異性体によるDNAアルキル化の代表的な比較を図13に示す。C
BIを基本とする薬剤を用いての本発明者らの先行する研究の結果に類似する幾
つかの重要な観察結果が、MCBIを基本とする薬剤についても見られた。第一
に、非天然鏡像異性体によるDNAアルキル化はかなり遅く、非天然鏡像異性体
について図13に示す結果は、天然鏡像異性体についての25℃におけるインキ
ュベーション(24時間、図17)に対して、37℃におけるインキュベート(
72時間)において得られた。たとえより強力な反応条件を用いても、非天然鏡
像異性体によるアルキル化の程度は低く、検出するために高い薬剤濃度を必要と
した。37℃でさえも、25℃における天然の鏡像異性体について見られるアル
キル化と同一の効率を達成するために、長い反応時間を必要とした。DNAアル
キル化速度における区別することができる差異は、小さい薬剤MCBI−TMI
(254)及びデュオカマイシンSA(2)に関してもっとも顕著になり、中間
の大きさの薬剤MCBI−CPDI1(262)及びMCBI−インドール2(2
58)については顕著ではないが容易に認知でき、最大の薬剤MCBI−CDP
I2
(266)及びCC−1065(1)については顕著ではないが認知できた。
この傾向は、鏡像異性体対の相対的細胞障害能について見られたものと類似して
いる。(+)−MCBI−TMIは、対応の非天然鏡像異性体よりも50倍強力で
あるが、大きい薬剤(258、262、266)の天然の鏡像異性体は、262
及び266の鏡像異性体よりもわずか1〜3倍強力であり、本質的に区別するこ
とができない。このことは、図13におけるw794DNAのアルキル化におい
て十分に説明され、ここではMCBI−TMI及びデュオカマイシンSAは10-5
Mで検出することができるアルキル化を示しているが、MCBI−CDPI1
、MCBI−インドール2及びMCBI−CDPI2のアルキル化は10-6〜10-7
Mにおいて検出された。25℃(24時間)の条件下で、天然の鏡像異性体は
すべて、10-6〜10-7Mでw794を検出することができる程度にアルキル化
した。
(−)−MCBI−TMI(254)及びent−(−)−デュオカマイシン
SA(2)のDNAアルキル化の選択性及び効率は、後者の薬剤がわずかに効率
的であった程度でほとんど区別することができなかった。この観察結果は、(−)
−CBI−TMI及びent−(−)デュオカマイシンSA(2)についての本
発明者らの先行する比較と、その差異が大きい(×10)ことを除いて類似して
いる。同様に、(−)−MCBI−CDPI2(266)及びent−(−)−C
C−1065は、(−)−MCBI−インドール2及び(−)−MCBI−CDP
I1と同様ほとんど区別することができなかった。このことは、図13において
10-5Mでの標識化DNAの消費の相対的な程度を比較することによりほとんど
明らかになる。MCBIを基本とする薬剤の非天然鏡像異性体及び前記の薬剤の
DNAアルキル化選択性の差異は認知されなかった。各アルキル化部位はアデニ
ンであり、その両側はほとんどA又はT塩基により隣接しており、この3つのA
Tリッチ部位に対する嗜好性は5’−AAA>5’−TAA>5’−AAT>5
’−TATであることが証明された。短い薬剤については、2番目の3’塩基が
A又はTであるという強い嗜好性(例えば、5’−AAAA)があり、大きい薬
剤については、同様に3番目の塩基へ拡張した(例えば、5’−AAAAA)。し
たがって、非天然鏡像異性体についての各アルキル化部位は、アルキル
化部位周辺の3.5又は5塩基対のATリッチ部位を横切る5’〜3’逆方向の
小溝における薬剤の結合を伴うアデニンN3アルキル化と一致することが証明さ
れた。このことは、小溝において5’〜3’逆方向に拡張することを除いて、天
然鏡像異性体のアルキル化選択性と類似しており、付加物のジアステレオマー異
性のため、天然の鏡像異性体に比例して1塩基対で相殺される。
(+)−及びent−(−)−N−BOC−MCBIのDNAアルキル化特性:
N−BOC-MCBI(238)の両鏡像異性体による、同一のw794DN
Aセグメント内におけるDNAアルキル化特性の代表的な比較を図16に説明す
る。238の非天然鏡像異性体によるDNAアルキル化の相対的な効率がアッセ
イ条件下における天然鏡像異性体による相対的効率と本質的に区別することがで
きず、更に(+)−N−BOC−MCBI/ent−(−)−N−BOC−MC
BI(1〜2×)に対してN−BOC−CBIの非天然鏡像異性体:(+)−N−
BOC−CBI/ent−(−)−N−BOC−CBI(5〜10×)34よりも著
しく優れていることを除いて、N−BOC−CBI(4)とN−BOC−MCB
I(238)との間に実質的な差異は検出されなかった。238の2つの鏡像異
性体は、これは10-2〜10-3M(37℃、24〜48時間)において検出する
ことができるアルキル化を提供する257〜266よりも非常に低い効率でDN
Aをアルキル化し(104×、図6)、更に2塩基対のATリッチアルキル化選択
性(5’−AA>5’−TA)を示す257〜266よりも選択性が低く、同一
部位をアルキル化した。同一部位をアルキル化する2つの鏡像異性体の異常な挙
動は、4〜9について行われた過去の観察結果と類似している。2つの鏡像異性
体の逆転した結合方向及び2つの付加物のジアステレオマー異性関係からの当然
の結論は、アルキル化アデニンの周囲のまったく同一の結合部位をカバーする2
つの鏡像異性体を生じる。N−BOC-MCBI(238)は、これらの過去の
観察結果及びモデルと十分に一致する。
鏡像異性体の差異:
過去の研究は、薬剤の鏡像異性体対の混乱している挙動についての興味のある
説明を示唆しており、そこで本発明者らは、薬剤の鏡像異性体対の混乱している
挙動は、単一の構造の特徴:非天然鏡像異性体が特に感受性である、アルキル化
サブユニットにおけるCPI/DSA C7又はCBI/MCBI C8中心の
周囲の立体バルク(steric bulk)の程度に起因すると提案している。鏡像異性
体の差異は、アルキル化サブユニットの単純な誘導体(すなわち、N−BOC−
MCBI)と区別できることが証明され、その差異は二量体を基本とする薬剤(
すなわち、MCBI−TMI)に関してもっとも顕著であり、大きな三量体又は
四量体を基本とする薬剤(すなわち、MCBI−CDPI2)については顕著で
はないか又は容易に区別することができない。一般的に、生物学的能力及び相対
的DNAアルキル化効率において差異が小さいことは、置換基又は立体バルクを
欠いているCI及びデュオカマイシンSAの鏡像異性体対について見られた。
更に、ピロール環を共に欠いている鏡像異性体異性のCIを基本とする薬剤の
間の差異は小さく、DSAを基本とする薬剤について見られる差異ほどはっきり
しない(DSA>CI)。対照的に、CPI−、CBI−及びDA−を基本とする
薬剤は、よりはっきりした差異を示し(CPI>DA>CBI)、これは相対的立
体差異を反映する順番に従う。これらの観察結果と一致して、MCBI−TMI
鏡像異性体は、CBI−TMIについての観察結果よりも小さい差異を示すので
はなく、類似の差異を示すことが見出された(図12)。非天然鏡像異性体の区別
することができる挙動は、非天然鏡像異性体異性5’〜3’結合モデルに存在す
るアデニンN3アルキル化部位に隣接する5’塩基を有するCPI/DSA C
7又はCBI/MCBI C8中心の明白な立体相互作用に由来する。
重要なことには、CBI−及びMCBI−を基本とする薬剤間の唯一の大きな
差異は、非天然鏡像異性体に関して見られ、ここではMCBI誘導体は、対応の
CBI誘導体よりも、細胞障害性アッセイにおいて4〜40×強力であり、アル
キル化DNAにおいてもより効率的であることが見出された。更に、MCBI−
CDPI1、MCBI−インドール2及びMCBI−CDPI2の非天然鏡像異性
体は、細胞障害性アッセイにおいて対応の天然鏡像異性体とほとんど等しい効力
を有していた。そのような挙動は、(+)−CC−1065/ent−(−)−C
C−1065及び幾つかのより進化した類似体(例えば、CPI−CDPI2
)について見られたけれども、種々のアルキル化サブユニットのインドール2及
びCDPI1の非天然鏡像異性体は、天然鏡像異性体よりも強力ではなかった。
図10に詳述したCBI誘導体の非天然鏡像異性体の細胞障害特性対MCBI−
インドール2、MCBI−CDPI1及びMCBI−CDPI2の非天然鏡像異性
体の細胞障害特性の比較は、過去及び現在の観察結果の代表的なものである。非
天然鏡像異性体が、比較することができる効力を示すCBI−CDPI2のわず
か2つの鏡像異性体の天然鏡像異性体よりも8〜400×弱いCBIを基本とす
る薬剤とは対照的に、MCBI−インドール2、MCBI−CDPI1及びMCB
I−CDPI2の両鏡像異性体は、細胞障害能力において比較することができ(1
〜3×)、その差異は、密接に結合しているCDPI1及びCDPI2誘導体につ
いては本質的に存在しなかった。
これらの観察結果は、このクラスの可逆的DNAアルキル化剤の生物学的特性
の起源を特徴付けることにおいて重要であるかもしれない。生物学的特性はDN
Aアルキル化速度又は付加物の熱力学的安定性のいずれかと関連し、DNAアル
キル化の相対効率に影響するということを示唆している2つの提案が進行してき
た。種々のMCBI天然鏡像異性体間のDNAアルキル化速度が広範囲に変化す
るだけではなく、鏡像異性体対間のDNAアルキル化速度も大きく変化すること
は明らかである。一式のMCBI天然鏡像異性体間のほぼ同一の細胞障害能力及
びほとんどの非天然鏡像異性体の比較することができる細胞障害能力は、DNA
アルキル化速度は細胞障害能力と関連するといる提案とは一致しないが、熱力学
的安定性及びその結果としてのDNAアルキル化の効率は直接関係するという提
案とは完全に一致した。非天然鏡像異性体は、固有の安定でない付加物を形成し
、対応の天然鏡像異性体よりも容易に反転する。天然の鏡像異性体については、
単一のDNAアルキル化サブユニットは、機能的に安定な付加物(すなわち、T
MI、CDPI1)を供給するのに十分であり、効率的なDNAアルキル化が可
能な十分に強力な薬剤を提供する。非天然鏡像異性体については、十分な生物学
的特性及び効率的DNAアルキル化が、通常2つの大きなDNA結合サブユニッ
ト(すなわち、CDPI2)を含む薬剤を用いることによりのみ達成された。
中間の効力は小さな薬剤用いたときに見られ、その大きさを減少させ及び非共
有結合親和性を減少させたときには効力は減少した。そのような傾向の代表例は
、CBIを基本とする薬剤の非天然鏡像異性体の挙動である(図10)。MCBI
の非天然鏡像異性体は、より強力であり、かつ単純な単一のDNA結合サブユニ
ット誘導体についての細胞障害能力のプラトー(plateau)に達するという点で、
天然鏡像異性体とより類似した挙動を示すことを除いて、同一の傾向に従う。本
発明者らにとって、このことは、MCBI非天然鏡像異性体のアルキル化サブユ
ニット上のC7メトキシ置換基は、非共有結合の追加の十分な安定化を提供し、
非天然鏡像異性体DNAアルキル化の見かけの効率又は安定性を増強することを
示唆している。この提案と一致して、N−BOC-MCBI及びMCBI−TM
I鏡像異性体は、CBI−TMIよりも小さい差異を示すことが見出されている
。単一のメトキシ基の影響が推測上のものであるが、(+)−デュオカマイシンS
AのTMIサブユニット内の単一のメトキシ置換基の類似の増強作用が観察され
ている。同様に、デュオカマイシンSAのC6メトキシカルボニル基は、DSA
非天然鏡像異性体の増強に貢献するかもしれない。
細胞障害能力とDNAアルキル化の効率及び付加物の安定性との解釈及び関係
は特に興味深いものである。なぜならば、4〜9の誘導体について見られた細胞
障害能力と機能的安定性との間の直接の関係と一致するからである。細胞障害能
力を増強するのは、DNAアルキル化速度及び機能的反応性ではなく、むしろD
NAアルキル化過程の正味の効率及び相対的安定性であるという解釈と一致して
、細胞内の生物学的標的にもっとも効率的に到達する化学的により安定な薬剤は
、機能的に安定な付加物の形成を伴ってDNAをアルキル化する場合、より強力
な細胞障害活性を示す。要約:
MCBI及びその中間前駆体の短期間かつ効率的(全体で27〜30%)な1
2〜13工程からなる合成について詳述し、この方法は開示した第一の置換CB
I誘導体を構成する。その評価は、薬剤の化学的及び機能的反応性に対する置換
基の電子的影響及びその生物学的特性に及ぼす影響の第一の評価を許容する。N
−BOC-MCBIの加溶媒分解反応性の研究は、強力な電子供与性C7メトキ
シ基の導入は加溶媒分解速度をわずか1.2〜1.06倍加速することを示して
いる。この著しく低い影響は、C4カルボニルのプロトン化は加溶媒分解又は酸
触媒求核試薬付加の律速段階ではないことを示しており、更にシクロプロパン開
環反応は求核試薬の存在及び援助(SN2機構)を必要とするという提案を支持
する。このことがDNAアルキル化選択性に寄与していることは疑いのないとこ
ろであり、C4カルボニルのプロトン化又はルイス酸錯体化ではなく接近しやす
い求核試薬(アデニンN3)の位置決めがDNAアルキル化の配列選択性を制御
する律速段階であることを示唆している。加溶媒分解速度に及ぼすこの非常に小
さい電子的作用は、加溶媒分解位置選択性に影響を及ぼさず、活性化シクロプロ
パンの最小置換炭素への立体電子的に制御された求核付加が独占的に見られた。
天然鏡像異性体については、機能的反応性に及ぼすこの非常に小さい電子的作用
は、対応のCBIを基本とする薬剤と比較したとき、DNAアルキル化選択性、
効率及び相対速度又はその生物学的特世についてはわずか又はまったく影響を及
ぼさなかった。非天然鏡像異性体に及ぼすC7メトキシ基の認知できる影響が検
出され、これは対応のCBIを基本とする非天然鏡像異性体よりも4〜40×効
率的であり、細胞障害能力についても対応のMCBI天然鏡像異性体と比較する
ことができることが証明された。非天然鏡像異性体に及ぼす影響は、機能的反応
性に対するC7メトキシ置換基効果ではなく、むしろDNAアルキル化の効率を
増加させ、かつ固有の可逆的DNAアルキル化反応を更に安定化する追加の非共
有結合性相互作用の導入を通してもっとも堅実に理論的に説明される。合成方法:
図3に示すエチル 1−ヒドロキシ−6−メトキシ−ナフタレン−3−カルボキ
シレート(210)の製造:
方法A:
t−ブタノール(81ml)中のt−ブトキシカリウム(21.0g、0.1
9mol、2当量)溶液を、アルドリッチ・カンパニー(Aldrich company)か
ら入手したm−アニスアルデヒド200及びコハク酸ジエチル(40.2ml、
0.242mol、3当量)の溶液に添加し、混合物を45分間還流しながら加
熱した。t−ブタノール(81ml)中の追加のコハク酸ジエチル(40.2m
l、0.242mol、3当量)及びt−ブトキシカリウム(21.0g、0.
19mol、2当量)溶液を添加し、混合物を更に45分間還流しながら加熱し
た。混合物を冷却し、25%水性HCIの添加により酸性化し、次いでNa2C
O3(6×40ml)を用いて抽出した。得られた水性層を25%水性HClを
用いて酸性化し、ジエチルエーテル(3×15ml)を用いて抽出した。有機層
を5%水性Na2CO3(6×40ml)を用いて抽出した。得られた水性層を、
25%水性HClを用いて酸性化し、ジエチルエーテル(3×30ml)を用い
て再抽出した。組み合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮し、
油性生成物を得た。生成物は異性体の半エステル202の2:1混合物(15.
0g、理論値23.2g、74%)であることが証明された。
202の混合物(15.0g、64mmol)を、Ac2O(320ml)及
びNaOAc(5.25g、64mmol、1.0等量)を用いて処理し、5時
間還流しながら加熱した。減圧下で溶媒を除去し、残渣を15%水性Na2CO3
(100ml)を用いて処理し、次いで酢酸エチル(3×30ml)を用いて抽
出した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。更なる精製なしに
、暗褐色の油をエタノール(100ml)に溶解し、K2CO3(10g、72.
4mmol)を用いて処理した。混合物を18時間還流しながら加熱し、冷却し
、濃縮し、H2Oを用いて希釈し、10%水性HClの添加によりpH6に酸性
化し、酢酸エチル(3×20ml)を用いて抽出した。有機層を乾燥(Na2S
O4)し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(5×20cm
SiO2、10〜30%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)により210(8.9
0g、理論値21,4g、3工程で42%)を白色固体として得た。融点は1
方法B、214から:
0℃のCF3CO2H−H2Oの9:1混合物(50ml)を214(3.10
g、9.68mmol)に添加し、反応混合物を25℃に加熱し、2時間撹拌し
た。反応混合物を減圧下で濃縮し、2つに分けたトルエン50mlを連続的に添
加し、減圧下で除去し、202(2.50g、理論値2.56g、98%)を無
色の油として得た。
Ac2O50ml中の202(2.50g、9.46mmol)及びNaOA
c(0.750g、9.50mmol)の混合物を70℃で10時間加熱した。
減圧下で揮発物質を除去し、エタノール35ml中の粗生成物溶液及びK2CO3
(1.38g、10.0mmol)を4時間還流しながら加熱した。反応混合物
を0℃に冷却し、1M HClの添加により酸性化(pH6)し、ジエチルエー
テル(4×30ml)を用いて抽出した。有機層を組み合わせ、飽和水性NaC
l(1×10ml)を用いて洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した
。遠心薄層クロマトグラフィー(SiO2、4mmクロマトトロンプレート(chro
matotron plate)、5〜20%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)により
210(1.79g、理論値2.33g、76%)及び206(0.22g、9
%)を白色の結晶質固体として得た。
以下に示す表は、214に由来する202の210への転換に関する試みの結
果の要約である。条件 反応時間(時) 210:206の割合 分離した210の%
Ac2O-NaOAc,160℃a 1 5:1 61
Ac2O-NaOAc,70℃a 10 8:1 76
TFAA-NaOAc,40℃a 30 9:1 57
(COCl)2;AlCl3,0℃ 1 11:1 38
(COCl2);FeCl3,0℃ 2 10:1 46
(COCl2);SnCl4,0℃ 2 11:1 54a
続いてのK2CO3−エタノールを用いての処理
tert−ブチル E−3−エトキシ−カルボニル−4−(3−メトキシフェニ
ル)−3−ブテノエート(214)の製造:
図3に示す化合物214:
テトラヒドロフラン25ml中のNaH懸濁液(0.64g、16mmol、
油中60%)を、テトラヒドロフラン40ml中の212の溶液(5.00g、
14.8mmol)(Owten et.al.Synth.Commun.1993,23,2119を参照のこと)へ0
℃下で添加し、反応混合物を25℃に加熱し、10時間撹拌した。溶液を0℃に
冷却し、テトラヒドロフラン25ml中のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー
より入手した200(2.00g、14.8mmol)を添加し、混合物を25
℃に加熱し、10時間撹拌した。大部分のテトラヒドロフランを減圧下で除去し
、次いで飽和水性NaHCO3(20ml)を添加した。水性層を酢酸エチル(
4×30ml)を用いて抽出し、有機層を組み合わせ、飽和水性NaClを用い
て洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(S
iO2、6×15cm、5〜10%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶
離)により、214(3.65g、理論値4.74g、77%)を無色の油とし
図4に示すエチル1−ベンジルオキシ−6−メトキシ−ナフタレン−3−カルボ
キシレート(216)の製造:
化合物216:
N2下の無水ジメチルホルムアミド(12.5ml)中の210溶液(900
mg、3.65mmol)を、無水K2CO3(700mg、5.1mmol、1
.4当量)、臭化ベンジル(0.51ml、4.3mmol、1.2当量)及び
Bu4NI(0.7mg)を用いて処理した。混合物を25℃で5時間撹拌し、
減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、2〜5%酢酸エチル−ヘキ
サン勾配溶離)により216(1.20g、理論値1.23g、98%)を無色 図4に示す1−ベンジルオキシ−6−メトキシ−ナフタレン−3−カルボン酸(
218)の製造:
化合物218:
テトラヒドロフラン−CH3OH−H2O(4:1:1、50ml)中の216
溶液(2.49g、7.40mmol)を、LiOH-H2O(930mg、22.
2mmol、3当量)を用いて処理した。懸濁液を23℃で18時間撹拌し、H2
O(20ml)を添加した。溶液を10%水性HCIを用いて酸性化し、白色
の沈殿物を集めた。エタノールからの結晶化により218(2.17g、理論値
2.28g、95%、通常は95〜98%)を白色の針昌として得た。融点図4に示すN−(tert−ブチルオキシ−カルボニル)−1−(ベンジルオキ
シ)−6−メトキシ−3−ナフチルアミン(220)の製造:
化合物220
t−ブタノール(75ml)中の218溶液(1.20g、3.91mmol
)を、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA、1.29g、4.69mmol
、1.2当量、Shioiri et al,J.Am.Chem Soc.1972,94,6203を参照のこと)、ト
リエチルアミン(0.67ml、4.69mmol、1.2当量)を用いて連
続的に処理し、混合物を還流しながら10時間撹拌した。混合物を冷却し、減圧
下で濃縮した。遠心薄層クロマトグラフィー(SiO2、4mmクロマトトロン
プレート、5〜10%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離により220(1.01g
、理論値1.48g、68%、通常は60〜69%)を白色固体として得た。融
点図4に示すN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−4−ベンジルオキシ−
1−ブロモ−7−メトキシ−2−ナフチルアミン(222)の製造:
化合物222:
N2下のテトラヒドロフラン(35ml)中の220溶液(620mg、1.
63mmol)を−78℃に冷却し、濃縮H2SO410μl含有テトラヒドロフ
ラン(2ml)を用いて処理した。5分後、テトラヒドロフラン(10ml)中
のNBS溶液(320mg、1.80mmol、1.1当量)を添加し、混合物
を−78℃で2時間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(50ml)を用いて
希釈し、飽和水性NaHCO3(2×10ml)及び飽和水性NaCl(20m
l)を用いて洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。遠心薄層クロ
マトグラフィー(SiO2、4mmクロマトロンプレート、5〜10%酢酸エチ
ル−ヘキサン)により222(720mg、理論値747mg、96%、通常は
90〜98%)を白色固体として得た。融点は125〜127℃(ヘキサン、
図4に示す2−[N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−N−(3−メチ
ル−2−ブテン−1−イル)]アミノ−4−ベンジルオキシ−1−ブロモ−7−
メトキシナフタレン(224)の製造:
化合物224:
Ar下、24℃のジメチルホルムアミド(4ml)中のNaH懸濁液(44m
g、0.92mmol、油中50%、1.3当量)を、222(315mg、0
.71mmol)を用いて処理し、反応混合物を30分間撹拌した。混合物を0
℃に冷却し、4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン(0.25ml、2.1mm
ol、3当量)をゆっくりと添加した。混合物を24℃に加熱し、8時間撹拌し
、H2O(15ml)中に注いだ。混合物を酢酸エチル(3×10ml)を用い
て抽出し、組み合わせた有機抽出物をH2O(10ml)、飽和水性NaCl(5
ml)を用いて洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。クロマトグ
ラフィー(SiO2、5〜7%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)により224(
357mg、理論値374mg、95%)を灰色の固体として得た。融点は1
図4に示す2−[N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−N−(ホルミル
メチル)]アミノ−4−ベンジルオキシ−1−ブロモ−7−メトキシナフタレン
(226)の製造:
化合物226:
20%CH3OH−CH2Cl2(45ml)中の224溶液(755mg、1
.43mmol)を−78℃に冷却し、3%O3/O2流(1001/時間)を用
いて2.9分間処理した。Me2S4.5ml(61mmol、43当量)の添
加により反応混合物を直ちにクエンチした。反応混合物を−78℃で5分間撹拌
し、24℃6時間撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。遠心薄層クロマトグラフィ
ー(SiO2、2mmクロマトトロンプレート、10〜20%酢酸エチル−ヘキ
サン勾配溶離)により226(580mg、理論値718mg、81%)を白色
固体として得た。融点は170℃(分解、酢酸エチル−ヘキサン、白色固体)で
図4に示す2−[N−(tert−ブチル−オキシカルボニル)−N−(3−テ
トラヒドロ−ピラニルオキシ−2−プロペン−1−イル)]アミノ−4−ベンジ
ルオキシ−1−ブロモ−7−メトキシナフタレン(228)の製造:
化合物228:
−78℃下のテトラヒドロフラン2ml中のトリフェニル[(2−テトラ−ヒ
ドロ−ピラニル−オキシ)メチル]−ホスホニウム クロライド懸濁液(371
mg、0.90mmol、3.0当量、Schlude,H.Tetrahedron 1975,31,89を
参照のこと)を、n−BuLi(0.727ml、ヘキサン中1.18M、0.
86mmol、2.86当量)を滴状に用いて処理した。反応混合物を−78℃
で5分間撹拌し、次いで24℃で10分間加熱した。混合物を−78℃に再冷却
し、テトラヒドロフラン(1ml)中の23(154mg、0.30mmol)、
続いてHMPA(1.2ml、24当量)を滴状に添加した。反応混合物を−7
8℃で20分間、24℃で5時間撹拌し、リン酸緩衝液(51ml、pH7.4
)を用いてクエンチした。混合物を酢酸エチル(3×20ml)を用いて抽出し
、組み合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。クロマトグ
ラフィー(SiO2、2%トリエチルアミンを含む5〜30%酢酸エチル−ヘキ
サン勾配溶離)により228(154mg、理論値175mg、88%)を油と
図4に示す5−(ベンジルオキシ)−3−(tert−ブチルオキシカルボニル
)−8−メトキシ−1−(テトラヒドロピラニルオキシメチル)−1,2−ジヒ
ドロ−3H−ベンズ[e]インドール(230)の製造:
化合物230:
Ar下24℃のC6H6(60ml)中の228(950mg、1.59mmo
l)及びAIBN(4.4mg、0.32mmol、0.2当量)の溶液を、B
u3SnH(925mg、3.18mmol、2当量)を用いて処理し、反応混
合物を還流しながら2時間過熱した。反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で除去
した。遠心薄層クロマトグラフィー(SiO2、4mmクロマトトロンプレート
、2%トリエチルアミン含有5〜10%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)により
230(785mg、理論値826mg、95%、通常95〜98%)を淡黄
図4に示す5−(ベンジルオキシ)−3−(tert−ブチルオキシカルボニル
)−1−(ヒドロキシメチル)−8−メトキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベン
ズ[e]インドール(232)の製造:
化合物232:
CH3OH(6.5ml)中の230溶液(207mg、0.40mmol)
をアンバーリスト15(Amberlyst 15)(12.5mg)を用いて処理し、反応混合
物を45℃で6時間加熱した。樹脂をろ過により除去し、溶媒を減圧下で淵縮し
た。クロマトグラフィー(SiO2、20〜40%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶
離)により232(171mg、理論値172.5mg、99%)を無色の固体
として得た。融点は158〜160℃(ヘキサン、無色の固体)であった。
図4に示す5−(ベンジルオキシ)−3−(tert−ブチルオキシカルボニル
)−1−(クロロメチル)−8−メトキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[
e]インドール(234)の製造:
化合物234:
Ar下、24℃のCH2Cl2(0.9ml)中の232(112mg、0.2
5mmol)及びPh3P(135mg、0.50mmol、2当量)の溶液を
、CCl4(0.15ml、1.5mmol、6当量)を用いて処理し、反応混
合物を24℃で20時間撹拌した。クロマトグラフィー(SiO2、10%酢酸
エチル−ヘキサン)により234(113mg、理論値113mg、100%)
図4に示す3−(tert−ブチルオキシカルボニル)−1−(クロロメチル)
−5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]イン
ドール(236)の製造:
化合物236:
アセトン(6ml)中の234(80mg、0.17mmol)、HCO2NH4
(70mg、1.11mmol、6当量)、10%Pd−C(80mg)の混合物
を還流しながら30分間加熱した。触媒をろ過により除去し、溶媒を減圧下で蒸
発させた。遠心薄層クロマトグラフィー(SiO2、40%酢酸エチル−ヘキサ
ン)により236(61mg、理論値64mg、95%、通常は95〜1
236の分割
236の鏡像異性体を、2% i−PrOH−ヘキサン溶離剤(5ml/分)
を用いてHPLC半分離用(semipreparative)ダイアセルキラルセルODカラ
ム(10μm、2×25cm)中で分割した。保持時間48.03分(非天然鏡
像異性体)及び41.05分(天然鏡像異性体、μ=1.17)を用いて鏡像
異性体を溶離した。天然(1S)-236:[μ]3-42(c0.25,CH2Cl2).ent-(1R)-236:[μ]3
+41(c0.25,CH2Cl2).
図4に示すN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−7−メトキシ−1,2
,9,9a−テトラヒドロシクロプロパ[c]ベンズ[e]インドール−4−オ
ン(238、N−BOC−MCBI)の製造:
化合物238:
N2下、0℃のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド(3:1、200
μl)中の236溶液(1.5mg、4.1μmol)を、NaH懸濁液(0.
5mg、油分散液中60%、12μmol、3当量)を用いて処理した。反応混
合物を0℃で30分間撹拌し、その後pH7リン酸緩衝液(0.2M、250μ
l)及びテトラヒドロフラン2mlを添加した。有機層を乾燥(Na2SO4)し
、減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、20〜30%酢酸エチル
−ヘキサン勾配溶離)により238(1.2mg、理論値1.3mg、89%)
を白色のフォームとして得た。融点は90〜92℃(ヘキサン−酢酸エチル、無
図4に示す7−メトキシ−1,2,9,9a−テトラヒドロシクロプロパ[c]
ベンズ[e]インドール−4−オン(240)の製造:
化合物240:
フェノール236(5mg、1.37μmol)を、無水3N HCl−酢酸
エチル(0.4ml)を用いて24℃で20分間処理した。溶媒を減圧下で除去
し、粗い、不安定なアミンハイドロクロライドを得た。残渣を5%水性NaHC
O3(0.4ml)及びテトラヒドロフラン(0.4ml)を用いてN2下、24
℃で処理し、2層混合物を1.5時間撹拌した(24℃)。反応混合物を酢酸エチ
ル(3×2ml)を用いて抽出し、組み合わせた抽出物をH2O(2ml)を用
いて洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(
SiO2、10%CH3OH−CH2Cl2)により240(2.9mg、
図5に示すN−(tert−ブチルオキシカルボニル)−4−ベンジルオキシ−
1−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチルアミン(242)の製造:
化合物242:
テトラヒドロフラン−CH3OHの1:1混合物40ml中の220溶液(9
85mg、2.60mmol)を−78℃に冷却し、テトラヒドロフラン1ml
中のp−トルエンスルホン酸-H2Oの30mgを添加した。テトラヒドロフラン
10ml中のN−ヨードスクシンイミド(652mg、2.90mmol)をカ
ニューレにより5分間かけて導入した。反応完了時(−78℃で約3時間)、飽和
水性NaCHO310ml及びジエチルエーテル50mlを添加した。反応
物を25℃に加熱し、固体NaClを添加して水性層を飽和させた。有機層を分
離し、水性層をジエチルエーテル(3×10ml)を用いて抽出した。有機層を
組み合わせ、飽和水性NaHCO3(1×10ml)及び飽和水性NaCl(2×
10ml)を用いて洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。クロマトグラフ
ィー(SiO2、2×4cm、20%酢酸エチル−ヘキサン)により242(1
.17g、理論値1.31g、89%、通常は85〜95%)を結晶性の白色固
体として得た。融点は139〜141℃(酢酸エチル−ヘキサン、針昌)で
図5に示す2−[N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−N−(2−プロ
ペニル)]アミノ−4−ベンジルオキシ−1−ヨード−7−メトキシ−2−ナフ
チルアミン(246)の製造:
化合物246:
0℃に冷却したジメチルホルムアミド25ml中の242溶液(820mg、
1.62mmol)を、幾つかの部分に分けたNaH(80mg、油中60%、
2.0mmol)を用いて10分間かけて処理した。45分間後、臭化アリル(
605mg、5mmol、を添加し、反応混合物を25℃に加熱し、3時間撹拌
した。反応混合物を、飽和水性NaHCO3(15ml)の添加によりクエンチ
し、水性層を酢酸エチル(4×15ml)を用いて抽出した。有機層を組み合わ
せ、H2O(2×10ml)及び飽和水性NaCl(2×10ml)を用いて洗
浄し、
乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、減圧下で濃縮した。遠心薄層クロマトグラフィ
ー(SiO2、4mmクロマトトロンプレート、5〜15%酢酸エチル−ヘキサ
ン勾配溶離)により246(822mg、理論値884mg、93%、通常は9
0〜95%)を結晶性白色固体(CDCl3中のアミド回転異性体混合物)と
図5に示す5−(ベンジルオキシ)−3−(tert−ブチルオキシカルボニル
)−8−メトキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−ピペリジニ
ル−N−オキシメチル)−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]インドール(
248)の製造:
化合物248:
N2下、蒸留したてのベンゼン(Na/ベンゾフェノン)45ml中の246
(720mg、1.32mmol)及びテンポ(619mg、3.96mmol
)の溶液を、Bu3SnH(384mg、1.32mmol)を用いて処理した
。溶液を70℃で加熱し、追加の3当量のテンポ(3×206mg)を添加し、
続いてBu3SnH(4×384mg)を4つの部分に分けて45分間かけて添
加した。1時間後、溶液を25℃に冷却し、揮発物質を減圧下で除去した。遠心
薄層クロマトグラフィー(SiO2、4mmクロマトトロンプレート、0〜10%
酢酸エチル−ヘキサン溶媒溶離)により248(622mg、理論値758mg
、82%、通常は75〜90%)を白色固体として得た。融点は128〜130
℃
図5に示す3−(tert−ブチルオキシカルボニル)−1−(ヒドロキシメチ
ル)−5−ヒドロキシ−8−メトキシ−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]
インドール(230)の製造:
方法B、248から:
化合物230:
HOAc−テトラヒドロフラン−H2Oの3:1:1混合物30ml中の24
8(750mg、1.30mmol)溶液を、亜鉛粉末(1.05g、16mm
ol)を用いて処理し、得られた混合物を激しく撹拌しながら70℃に加熱した
。2時間後、反応混合物を25℃に冷却し、亜鉛をろ過により除去した。揮発物
質を減圧下で除去し、得られた残渣を酢酸エチル30ml中に溶解し、ろ過した
。
溶液を濃縮し、遠心薄層クロマトグラフィー(SiO2、4mmクロマトトロン
プレート、15〜35%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)に付し、真正の物質と
あらゆる点で一致する230(487mg、理論値566mg、86%、通常は
80〜90%)を白色固体として得た。
図6に示されるseco−MCBI−TMI(252)の製造:
化合物252:
0℃下の4M HCl-酢酸エチル(300μl)中の236(3.5mg、
9.6μmol)の溶液を30分間撹拌し、N2流により揮発物質を除去し、残
渣を減圧下(0.02mm)で15分間乾燥した。得られた粗い250をジメチ
ルホルムアミド(200μl)中に溶解し、続いて300(2.7mg、10.
6μmol、製造については、Boger et.al.,J.Org.Chem.1990,55,,4499を参照
のこと)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
ハイドロクロライド(EDCI)(5.5mg、29μmol、3当量)を用いて処
理し、反応混合物を25℃で10時間撹拌した。水(0.5ml)を反応混合物
に添加し、水性層を酢酸エチル(4×1ml)を用いて抽出した。有機層を組み
合わせ、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。分離用薄層クロマトグラフ
ィー(SiO2、20cm×20cm×0.25mm、5%ジメチルホルムアミ
ド−トルエン、Rf=0.60)により252(4.1mg、理
図6に示すMCBI−TMI(254)の製造:
化合物254:
0℃下のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド(3:1、350μl)
中の252(3.5mg、7.04μmol)溶液を、NaH(0.85mg、
油中60%、21μmol、3当量)を用いて処理した。反応混合物を0℃で3
0分間撹拌し、pH7リン酸緩衝液(0.2M、400μl)及びテトラヒドロ
フラン3mlを添加した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮し、粗
生成物を分離用薄層クロマトグラフィー(SiO2、20cm×20cm×0.
25mm、5%ジメチルホルムアミド−トルエン、Rf=0.55)により精製
して254(2.9mg、理論値3.2mg、90%)を白色固体として得た。
図6に示すseco−MCBI−インドール2(256)の製造:
化合物256:
0℃下の4M HCl−酢酸エチル(350μl)中の236(4.3mg、
11.8μmol)溶液を30分間撹拌し、揮発物質をN2流により除去し、残
渣を減圧下(0.02mm)で15分間乾燥した。得られた粗250をジメチル
ホルムアミド(250μl)中に溶解し、続いて58(4.2mg、13.0μ
mol、実施例において製造)及び1−(3−ジエチルアミノプロピル)−3−
エチル−カルボジイミド ハイドロクロライド(EDCI)(6.8mg、35μ
mol、3当量)を用いて処理し、混合物を25℃で10時間撹拌した。水(0
.5ml)を反応混合物に添加し、水性層を酢酸エチル(4×1ml)を用いて
抽出した。有機層を組み合わせ、乾燥(Na2SO4)し、減圧下で濃縮した。分
離用薄層クロマトグラフィー(20cm×20cm×0.25mm、15%ジメ
チルホルムアミド−トルエン、Rf=0.45)により256(5.2mg、
図6に示すMCBI−インドール2(258)の製造:
化合物258:
0℃下のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド(3:1、250μl)
中の256(2.8mg、4.95μmol)溶液を、NaH(0.59mg、
油中60%、15μmol、3当量)を用いて処理し、混合物を0℃で30分間
撹拌した。反応混合物を、pH7リン酸緩衝液(0.2M、250μl)及びテ
トラヒドロフラン3mlの添加によりクエンチした。有機溶液を乾燥(Na2S
O4)し、減圧下で濃縮し、分離用薄層クロマトグラフィー(20cm×20c
m×0.25mm、15%ジメチルホルムアミド−トルエン、Rf=0.40)
により精製して258(2.25mg、理論値2.62mg、86%)を黄褐色
図6に示すseco−MCBI−CDPI1(260)の製造:
化合物260:
0℃の4M HCl−酢酸エチル(300μl)中の236(3.9mg、1
0.7μmol)溶液を30分間撹拌し、揮発物質をN2流により除去し、残渣
を減圧下(0.02mm)で15分間乾燥した。得られた粗250をジメチルホ
ルムアミド(200μl)中に溶解し、続いて320(2.9mg、11.8μ
mol、Boger et.al J.Org.Chem.,1987,52,1521に従い製造)及び1−(3−ジ
メチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ハイドロクロライド(E
DCI)(6.1mg、32μmol、3当量)を用いて処理し、混合物を25℃
で12時間撹拌した。水(0.5ml)を反応混合物に添加し、水性層を
酢酸エチル(4×1ml)を用いて抽出した。有機層を組み合わせ、乾燥(Na2
SO4)し、減圧下で濃縮した。分離用薄層クロマトグラフィー(20cm×2
0cm×0.25mm、30%ジメチルホルムアミド−トルエン、Rf=0.6
5)により260(3.7mg、理論値5.2mg、71%)を明るい黄色の
図6に示すMCBI−CDPI1(262)の製造:
化合物262:
0℃のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド(3:1、200μl)中
の260(1.8mg、3.67μmol)溶液を、NaH(0.44mg、油
中60%、11μmol、3当量)を用いて処理した。混合物を0℃で30分間
撹拌し、反応物をpH7リン酸緩衝液(0.2M、200μl)及びテトラヒド
ロフラン3mlの添加によりクエンチした。有機層を乾燥(Na2SO4)し、減
圧下で濃縮し、分離用薄層クロマトグラフィー(20cm×20cm×0.25
mm、30%ジメチルホルムアミド−トルエン、Rf=0.65)による精製に
より262(1.50mg、理論値1.67mg、90%)を明るい黄色の
図6に示すseco−MCBI−CDPI2(264)の製造:
化合物264:
0℃の4M HCl−酢酸エチル(300μl)中の236(3.6mg、9
.8μmol)溶液を30分間撹拌し、揮発物をN2流により除去し、残渣を減
圧下(0.02mm)で15分間乾燥した。得られた粗250をジメチルホルム
アミド(200μl)中に溶解し、続いて340(4.6mg、10.7μmo
l、Boger et.al.,J.Org.Chem.,1984,49,2240に従い製造)及び1−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド ハイドロクロライド(EDCl
)(5.6mg、29μmol、3当量)を用いて処理し、混合物を25℃で6時
間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、水(0.5ml)を混合物に添加し、不溶
性粗生成物を遠心分離により集めた。分離用薄層クロマトグラフィー(20cm
×20cm×0.25mm、33%ジメチルホルムアミドートルエン、Rf=0
.50)により264(4.5mg、理論値6.6mg、68%)を明るい
図6に示すMCBI−CDPI2(266)の製造:
化合物266:
0℃のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミド(3:1、50μl)中の
264(0.57mg、0.84μmol)溶液を、NaH(0.10mg、2
.5μmol、3当量)を用いて処理し、混合物を0℃で30分間撹拌した。反
応混合物を、pH7リン酸緩衝液(0.2M、50μl)及びテトラヒドロフラ
ン2mlの添加によりクエンチした。有機層を乾燥(Na2SO4)し、減圧下で
濃縮し、分離用薄層クロマトグラフィー(5cm×20cm×0.25mm、3
3%ジメチルホルムアミド−トルエン、Rf=0.45)により精製し、266
(0.51mg、理論値0.54mg、94%)を明るい黄色の固体として得
加溶媒分解反応性:
N−BOC−MCBI(238、0.1mg)をCH3OH(1.5ml)中
に溶解し、pH3水性緩衝液(1.5ml)と混合した。緩衝液は、0.1Mク
エン酸、0.2M Na2HPO4及びH2Oをそれぞれ4:1:20(v:v:
v)の割合で含んでいた。加溶媒分解溶液を封止し、25℃に維持し光から保護
した。UVスペクトルを、第一日においては2時間毎の定期的な間隔で測定し、
別の週においては12時間毎、追加の週においては24時間毎に測定した。32
4nmにおける長波長吸収の減少及び266nmにおける短波長吸収の増加をモ
ニターし、図1に示した。加溶媒分解速度定数(k=2.41×10-6s-1)及
び半減期(t1/2=80時間)を、短波長において記録したデータ及び時間対1
−[(A−A1)/(Af−Ai)]のプロットの傾きの最小二乗法(r=0.995
)より計算した。
同様に、MCBI(240、0.1mg)をCH3OH(1.5ml)中に溶
解し、pH水性緩衝液(1.5ml)と混合した。加溶媒分解溶液を封止し、暗
中25℃で撹拌した。UVスペクトルを2ヶ月間24時間毎に記録した。340
nmの長波長吸収における減少及び268nmにおける吸収の上昇をモニターし
た(図1)。加溶媒分解速度定数(k=5.76×10-7s-1)及び半減期(t1/ 2
=334時間)を前記と同様にして(r=0.98)決定した。
加溶媒分解位置選択性:
図7に示す3−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−ヒドロキシ−8
−メトキシ−1−メトキシメチル−1,2−ジヒドロ−3H−ベンズ[e]イン
ドール(268):
化合物268:
CH3OH2.5ml中の238(10.1mg、30.8μmol)溶液を
0℃に冷却し、CF3SO3H−CH3OH(185μl、0.02M、0.12
当量)を添加した。3時間後、反応をNaHCO3(10mg)の添加によりク
エンチし、混合物を25℃に加熱し、ろ過し、溶液を濃縮した。遠心薄層クロマ
トグラフィー(SiO2、0.3mmクロマトトロンプレート、30%酢酸エチ
ル−ヘキサン)により268(10.5mg、理論値11.1mg、95%)を
白色固体として得た。融点は157〜159℃(ヘキサン、白色プリズム)であ
DNAアルキル化の異常な相対速度:
DNAアルキル化の相対速度は、酸触媒加溶媒分解の相対速度に従わないこと
が明らかになった(図18)。このことは、効果の起源が不明確である十分に異な
る構造を有する一連の薬剤(16〜18)について開示されているけれども、後
者のシリーズ(20及び254)は非常に密接に関連しているので、わずかな構
造上の差異が、反応性の期待される次数(order)の改変に貢献していない。む
しろ、後者の薬剤について見られたDNAアルキル化速度の予期せぬ次数は、触
媒作用に密接に関連した未だに認識されていない作用に影響を受けているのかも
しれない。後者のシリーズにおいて、C7置換基(20及び254、R=OC
H3>H)の影響は、その電子的性質(R=OCH3>H)よりもその単純な存在
に関連している。本発明者らは、この影響はアルキル化サブユニットの延長した
長さ及びDNA小溝への結合を伴う結合N2アミドの固有のねじれの増加による
ものであり、それゆえメトキシ基に自明でない役割を与えると示唆している。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07D 487/04 137 C07D 487/04 137
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU
,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,
CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G
B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP
,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,
LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N
Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI
,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,
UZ,VN