JP2000504746A - 粘液ターゲティング物質、および抗原を随時含むイスコムまたはイスコム―マトリックス - Google Patents

粘液ターゲティング物質、および抗原を随時含むイスコムまたはイスコム―マトリックス

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ワクチンの製造、および経口経鼻、尿生殖器、および/または直腸投与用の免疫刺激組成物の製造に使用するための、イスコム(iscom)および/またはイスコム−マトリックスと粘液ターゲティング分子を含んでなる、免疫原性複合体に関する。この免疫原性複合体は、少なくとも1つのグリコシド、少なくとも1つの脂質、および、a)局所的に粘膜に投与された時、リンパ組織をターゲティングし免疫応答を誘発する物質から選択される、少なくとも1つの粘液ターゲティング分子;およびb)おそらく、粘膜を通過して容易にリンパ組織に到達できない、薬学的免疫作用性または免疫物質から選択される1つのパッセンジャー抗原を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 粘液ターゲティング物質、および抗原を随時含むイスコムまたはイスコム−マト リックス 本発明は、ワクチンの製造、および経口、経鼻、尿生殖器、および/または直 腸投与用の免疫刺激組成物の製造に使用するための、イスコム(iscom)および /またはイスコムマトリックスと粘液ターゲティング分子の型の、免疫原性複合 体に関する。 免疫化のための方法が、長年の間使用されている。しかし、粘膜病を防止する ための予防接種はうまくいっていない。これまでの知見では、粘膜表面を介する 非複製抗原の抗原提示は、免疫応答刺激の非効率的な方法であり、この経路によ り有効で防御的な免疫応答を作成するには、新規の方策が必要であることが示さ れている(「粘膜感染の制御のための新規予防接種法」、アラン・ジェイ・ハズ バンド(Alan J.Husband)、Vaccine、第11巻、第2号、107〜1 12頁)。生きている弱毒化微生物を用いる予防接種は、粘膜病に対する唯一の 可能な防御方法である。 粘膜ターゲティング分子または抗原、を含有するイスコム、およびこれと混合 したイスコム−マトリックスは、粘膜に投与された時、高力価の抗体を産生する 。さらに、粘膜からの投与により容易に免疫することのない抗原(いわゆるパッ センジャー抗原)とともにそのような粘膜ターゲティング分子を含有するイスコ ムは、投与部位から離れたいくつかの別の粘膜でさえ、免疫応答を引き起こす。 粘膜ターゲティング分子は、粘膜投与後にリンパ系をターゲティングする能力 を有する。これは、免疫応答を誘発するのにパッセンジャー抗原を助ける抗原で もよいし、しばしば自分自身に対する免疫応答も誘発するであろう。抗原の複雑 な混合物において、あるものは、パッセンジャー分子ならびに自身の標的分子に なる能力を示す。2つまたはそれ以上の成分の混合物を使用する方策はまた、自 身またはパッセンジャー抗原に対する以後の免疫応答を調節する可能性がある。 この調節作用、ならびにCTBに対するIgA応答に及ぼす増強作用により最も よく例示される、粘膜中のIgAへの粘膜抗体応答の変換を増強するイスコムの 能力、は、IgG2aにより例示される標的分子を有するイスコム製剤において 特に顕著である。他の抗原に単に添加され別の物質として混合されたイスコム− マトリックスは、類似の性質を有するが、しばしばそれほど顕著ではない。背景 イスコム(免疫刺激複合体)およびイスコム−マトリックスのような、脂質含 有およびキラヤ(quillaja)サポニン含有構造は、薬学的および/または免疫学 的活性を有する物質または分子複合体の有効な担体であることが報告されている 。例えば、WO−A1−90/03184号を参照されたい。多くの場合に、異 なる抗原を取り込んだ構造で実験動物を非経口的に免疫すると、遊離型の対応す る抗原で免疫した後に得られる免疫応答より、問題の抗原に対してより高い免疫 応答を与えることが証明されている。 イスコムは、非経口投与を使用して小分子および大分子(抗原)の免疫原性を 増強するのに有効な担体であることが記録されている。EP0109942号の ようにタンパク質のような抗原を取り込んだイスコム、およびEP018056 4号のように小さい抗原やオリゴヌクレオチドのような小分子の担体であるイス コムは、大分子および小分子に対する免疫応答を有効に引き起こす。 イスコム中のオバルブミン(OVA)のようなタンパク質抗原は、経口免疫後 でさえ免疫応答(抗体生成、MHCクラス−2限定下でT−ヘルパー細胞、およ びHMCクラス1−限定下で細胞毒性T細胞(CTL)を含む)を誘発すること ができるが、数回の免疫化(および、非現実的な高用量)が必要であることも証 明されている(ビー・モレイン(Morein,B.)、ケー・レブグレン(Loevgren, K.)、ビー・レンバーグ(Roennberg,B)、Clin.Immunother. 3,461−75,1995)。一方、高用量(遊離型すなわちイスコムに取り 込まれていない型で投与1回あたり数百μgのオバルブミン)を投与しても、免 疫応答がないかまたは小さな免疫応答しかない。遊離のオバルブミンは、以後の 非経口投与免疫化に対して、寛容および抑制を示す。 イスコム−マトリックス(およびイスコム)は、抗体性および細胞性免疫応答 を引き起こす、充分記録された内蔵アジュバント活性を有する。クラス1および クラス2MHC限定下での細胞性免疫応答は、イスコムにより引き起こされる。 非経口免疫化に比較して、イスコムの経口投与および経鼻投与後の免疫応答は 低い(モワット(Mowat)ら、Immunology 72,317−322( 1991);モワット(Mowat)ら、Immunology 80,527−3 22(1993))。さらに、経鼻および経口免疫化の適用において、イスコム に取り込まれるある抗原(例えば、狂犬病ウイルスのg−タンパク質またはHI V−1のgp120/160)は、ELISAで測定される血清抗体応答の形で は、測定可能な免疫応答を引き起こさなかった。おそらくこれは、非経口的また は経鼻的に投与された粒子のほんの少数が粘膜層を通過することができ、小腸上 皮バリアーまたはパイエル板のM細胞により吸収されることができ、そこで免疫 系と局所的に接触するためと考えられる。 粘膜バリアーおよび標的抗原提示細胞(APC)、リンパ組織および/または 小腸の上皮層(例えば、パイエル板(PP)または粘膜固有層(LP))、また は咽頭の扁桃領域または他の粘膜被覆表面のリンパ組織を、抗原が通過できない ことにより引き起こされる、限定された吸収および不充分な抗原通過を含む問題 。粘膜の免疫応答は、一般に粘膜投与が局所的に行われた時にのみ発生する。イ スコムは、他の抗原提示構造と同様に、粘液を通過する能力が限定されており、 上皮に結合しこれに吸収される能力、またはPP中のM細胞に到達しこれに吸収 され、次に抗原提示細胞(APC)に送られ、リンパ球集団を刺激する能力が種 々の程度に限定されている。鼻粘膜内に投与された場合でも、現状の技術を使用 する場合、APCによるターゲティングと抗原摂取、および免疫応答の誘発は不 充分である。CTとLTは粘液ターゲティング分子として使用されているが、こ れらは毒性が高いため、ヒトや動物への使用は好ましくない。これらの毒素のB −サブユニットは毒性はないが、同様にほとんど効果もなく、従って、現実的に は予防的または臨床的用途に適していない。従って、経口投与または経鼻投与で 使用するのための抗原のより優れた提示系が必要である。粘膜経由の投与におい て有効な、より優れた抗原提示系に対するニ−ズがある重要な理由は、この種の 投与は、膜において局所的免疫応答を引き起こすためである。例えば腸管での免 疫化が、腸管関連リンパ組織(GALT)を介して遠くの粘膜表面で免疫応答を 引 き起こすか、または呼吸器管での免疫化が気管支関連リンパ組織(BALT)を 介して他の粘膜表面の免疫応答を引き起こすような、共通のリンパ系が存在する ことはよく知られているが、これらの応答は一般に小さく、離れた粘膜のターゲ ティングを促進する粘液ターゲティング分子もしくは抗原提示系は、特に規定さ れていない。気道、腸管または生殖器官のような場所では、粘膜を介して多くの 感染症が発生し、粘膜には最初の免疫防御バリアーが存在する。さらに、注射に よる非経口投与に比較して経口および経鼻投与は、医療的熟練者を必要としない という利点がある。発明の要約 本発明は、ワクチンの製造、および経口、経鼻、尿生殖器、および/または直 腸投与用の免疫刺激組成物の製造に使用するための、イスコム(iscom)および /またはイスコム−マトリックスと粘液ターゲティング分子の型の、免疫原性複 合体に関する。 少なくとも1つのグリコシド、その1つがコレステロールである少なくとも1 つの脂質、 a)リンパ組織をターゲティングしこうして局所粘膜において免疫応答を誘発す る物質から選択される、少なくとも1つの粘液ターゲティング分子、およびおそ らく b)粘膜を通過して容易にリンパ組織に到達できない、薬学的免疫作用性もしく は増強性または免疫原性物質から選択される少なくとも1つのパッセンジャー抗 原、 を含有するイスコムおよびイスコム−マトリックスから選択される免疫増強複合 体を使用することにより、ワクチンや、経口、経鼻、尿生殖器、および/または 直腸投与用の免疫刺激物質を製造することができることが証明されている。これ は、血清中のパッセンジャー抗原に対する抗体、投与部位の局所膜および他の部 位(特に、呼吸器官、小腸および生殖器官)の膜の分泌物中での局所IgA免疫 応答を提供するであろう。詳細な説明 本発明の1つの面は、粘液ターゲティング分子に対するワクチンまたは免疫調 節組成物を製造するための、少なくとも1つの粘液ターゲティング分子を含有す る、イスコム複合体の使用に関する。イスコムはまた、粘液ターゲティング分子 、またはターゲティング分子およびパッセンジャー抗原に対する免疫応答を生み 出すための分子とともに、少なくとも1つのパッセンジャー抗原を含有してもよ い。 本発明はまた、粘液ターゲティング分子に対するワクチンまたは免疫調節組成 物を製造するための、少なくとも1つの粘液ターゲティング分子と混合されるイ スコム−マトリックスの使用に関する。イスコム−マトリックスはまた、粘液タ ーゲティング分子、またはターゲティング分子およびパッセンジャー抗原に対す る免疫応答を生み出すための分子とともに、少なくとも1つのパッセンジャー抗 原と混合してもよい。 イスコムは、少なくとも1つのグリコシド、少なくとも1つの脂質、および少 なくとも1つのタイプの抗原性物質(特に、タンパク質およびペプチド)を含有 する。これらの複合体は、投与された抗原の免疫原性を増強し、EP01099 42B1号、EP0242380B1号、およびEP0180564B1号に記 載のように、1つまたはそれ以上の免疫調節(アジュバント活性)物質を含有し てもよい。 いくつかの抗原は、イスコム粒子中で物理的組み込みを必要としないため、別 の物質中でパッセンジャー抗原と混合したイスコム−マトリックスを使用する局 所的粘膜投与からも大きな利点が得られる。そのような抗原は単純ヘルペスウイ ルス2ウイルスのgB2により例示され、これは粘膜投与により免疫応答を誘発 するが、この免疫応答は、マトリックスとイスコムにより大きく増強される。 マトリックスは、アジュバント活性物質である少なくとも1つのグリコシドと 、少なくとも1つの脂質を含有する。マトリックスは、抗原性物質とともに投与 に対して免疫刺激作用を有する(EP0436620B1を参照)。マトリック スは、種々の免疫活性、免疫増強成分を含有してもよい(EPを参照)。 本発明によれば、複合体は、イスコム複合体に組み込まれたかまたは既製のイ スコム複合体に結合した、粘液ターゲティング分子および/またはパッセンジャ ー分子とのイスコム複合体から構成されてよい。 これらはまた、粘液ターゲティング抗原およびパッセンジャー抗原が化学的に 結合できるかまたは疎水性相互作用により結合することができるイスコム−マト リックスから構成されてよく、これらを、抗原式と混合した別の物質であるイス コムまたはイスコム−マトリックスとしている。 本発明によれば、これらの複合体は、ワクチンの製造、および経口、経鼻、尿 生殖器、および/または直腸モードの投与もしくは他のタイプの局所的粘膜投与 用の免疫刺激物質の製造のために、使用することができる。これらは、生殖器、 小腸、上呼吸器官、および肺などの、これらが投与されたものとは別の粘膜での 免疫応答、ならびに循環抗体を誘発する。 本発明によれば、これらの複合体はまた、免疫応答を調節して、種々の粘膜分 泌物中の強い特異的IgAを包含し、血清中のIgG2a応答の上昇を包含し、 インターフェロンガンマおよびTヘルパー1応答の参加を示している。 本発明によれば、イスコムはイスコム−マトリックスのように、非経口投与に より引き起こされる免疫調節とは異なる抗体性免疫応答および細胞性免疫応答を 調節することができる。局所的粘膜投与はまた、他の抗原または抗原決定基に対 する免疫応答も引き起こす。この点から、非経口投与免疫化では認識できない( 例えば、炭水化物構造)免疫応答を誘発する新しい可能性が発生する。 これらを、免疫治療ための、または例えば免疫治療による脱感作によるアレル ギーの治療のためのワクチンの製造において使用することも興味深い。これらは また、CTBまたはLTBにより誘発される抗原に対する寛容または局所的投与 により引き起こされる他の寛容条件を破壊するのにも有用である。 粘液ターゲティング分子およびパッセンジャー抗原は、細菌、ウイルスまたは 寄生体、特にEP0109942B1号に記載のようなもののような微生物から 得られる。 粘液ターゲティング分子は、リンパ組織をターゲティングして、種々の粘膜表 面での局所的粘膜投与において免疫応答、ならびに全身性免疫応答、を誘発する 分子である。特に、タンパク質、ペプチド、炭水化物のような抗原物質が企図さ れる。炭水化物は、多糖、糖脂質または糖ペプチドでもよい。 粘液ターゲティング分子は、細菌またはウイルス起源、例えば細菌性コレラ毒 素およびそのサブユニットB(CTB)、または大腸菌(E.coli)の熱不安定 性毒素およびそのサブユニットB(LTB)でもよい。他の例は、粘膜を通過し 気道に感染するウイルスのエンベロープタンパク質や、細菌のタンパク質(例え ば、インフルエンザウイルス、呼吸合胞体ウイルス(RSV)、コロナウイルス 、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス)、マイコプラズマの膜タンパク質、お よびアデノウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、およびピコルナウ イルス科のエンテロウイルスやアストロウイルスのヘキソンやペントンのような 細菌の綿毛がある。使用可能な抗原の他の例は、小腸に感染するウイルスや細菌 、例えばインフルエンザウイルス、アデノウイルス、レオウイルス、コロナウイ ルス、のエンベロープタンパク質、および大腸菌(E.coli)(K88、K99 、K981−B)、赤痢菌(Shigella)、クラミジアの綿毛、およびマイコプラ ズマの膜タンパク質がある。 このような微生物は、麻疹(measles)ウイルス、ドイツ風疹(German measle s)ウイルス、および水痘(chicken pox)ウイルス;マイコプラズマ・ニューモ ニー(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)、クラミジア・ニューモニー(Chlamydia pneumoniae)、ナイセリア ・メニンギチジス(Neisseria meningitides)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae )、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、サルモネラ・ティフィ(Salmonell a typhi)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、ヘリコ バクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ストレプトコッカス・ピオゲネス (Streptococcus pyogenes)、コリネバクテリウム・ジフテリア(Corynebacter ium diphtheriae)、マイコバクテリウム・ツベルキュローシス(Mycobacterium tuberculosis)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)、サルモネラ・ ティフィ(Salmonella typhi)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgd orferi)、プラスモジウム・ビバックス(Plasmodium vivax)、プラスモジウム ・ファルシパリウム(Plasmodium falciparium)、トキソプラズマ・ゴンジー( Toxoplasma gondii)、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)、トリパ ノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、ガルジア・ラムビイア(Gardia l ambiia)、およびエンタメーバ・ヒストリティカ(Entamoeba histolytica); および、クリプトコ ッカス・ネオホルマンス(Cryptococcus neoformans)とヒストプラスマ、カプ スラツム(Histoplasma capsulatum)、ニューモコッカス・ニューモニア(Pneu mococcus pneumonia)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenz ae)でもよい。 パッセンジャー抗原は、薬理学的抗原物質よりなる群から、または免疫化に関 係はあるがあまり有効に粘膜を通過できない抗原物質のいずれかから選択されて よい。そのような物質には、例えば、種々のヘルペスウイルス(例えば、単純ヘ ルペスウイルス1および2、ウシヘルペスウイルス1)、ピコルナウイルスのg BおよびgD、HIV−1のgp120およびgp160またはHIV−2なら びに他のレトロウイルス、ヘパドナウイルス(例えば、ポックスウイルス)、ア デノウイルス、カルジウイルス、トガウイルス、フラバウイルス、イルジオウイ ルス、ビルナウイルス、パルボウイルス、ポポバウイルス、ピコルナウイルス、 カルシウイルス、アストロウイルス、アレナウイルス、ブニャウイルス、オルト ミキソウイルス、パラミキソウイルスからの対応するエンベロープタンパク質、 狂犬病ウイルスもしくはサルモネラ、大腸菌(E.coli)、赤痢菌(Shigella) のような細菌、クラミジア、リケッチャ、バルトネラもしくはマイコプラズマ( Mycoplasma)からのG−タンパク質がある。これらはまた、クローニング後にそ の能力を喪失するかもしくは喪失しない、または粘膜に適用された時リンパ組織 に対して粘液ターゲティングであるため、粘液ターゲティング分子とともにもし くはマトリックスとともにイスコム中に取り込まれることにより、免疫応答を誘 発する能力を増加させる、種々の組換え生成物または合成抗原であってもよい。 複合体がイスコムである場合は、これらはヨーロッパ特許EP0109942 B1号に記載のように調製される。ここでは、抗原または抗原決定基を含有する ウイルス、マイコプラズマ、細菌、寄生体および動物細胞が混合され、特に、疎 水性または両新媒性領域を有するタンパク質またはペプチドまたは単離された分 子が、1つまたはそれ以上の可溶化剤と混合され、次に抗原または決定基は、可 溶化剤の存在下で可溶化剤から分離されるか、または可溶化剤から分離されて、 少なくとも決定的に重要なミセル濃度のコレステロール、リン脂質、および疎水 性または親水性ドメインを有する1つまたはそれ以上のグリコシドに移され、次 にタンパク質複合体が生成し、次に単離し精製される。 パッセンジャー抗原および/または粘液ターゲティング分子を含有する完全な 微生物から出発することができ、この場合、多少とも純粋に精製されたかまたは 合成もしくはハイブリッド−DNA法を用いて調製された、粘液ターゲティング 分子またはパッセンジャー抗原が加えられる。この添加物は、EP010994 2B1号(特に、4〜8頁)に説明されているように、任意の部分的な段階で添 加される。好適な方法は、添加物を、脂質やグリコシドの添加前に加えることで ある。 さらに、多少とも純粋に精製されたかまたは化学合成もしくはEP01099 42B1号の4〜8頁に記載のハイブリッド−DNA法を用いて調製された、粘 液ターゲティング分子またはパッセンジャー抗原からなるベースを使用してもよ い。この場合、本出願人のヨーロッパ特許EP0242380B1号に記載のよ うに、複合体が単離および洗浄される前に脂質を添加することが好ましい。 使用される脂質は、特に本出願人の特許EP0109942B1号の特に3頁 およびEP0436620B1号の7頁7〜24行に記載の種類である。コレス テロールのようなステロール、ホスファチジルエタノールアミンやホスファチジ ルコリンGM1のようなリン脂質が、特に使用された。 脂質はまた、細胞形成成分に結合する脂質含有物質(例えば、コレラ毒素の受 容体、ガングリオシドGM1、およびフコース化血液型抗原のような)を含有し てもよい。細胞結合成分は、粘液ターゲティング分子として機能することができ 、脂質含有物質を含有する複合体と単純に混合して、脂質含有物質に結合させる ことができる。 粘液ターゲティング抗原またはパッセンジャー抗原からまずイスコム粒子を調 製し、次に現状の結合法、好ましくは本出願人のヨーロッパ特許EP01805 64B1号およびEP0436620B1号に記載のような化学的結合法、を使 用して、パッセンジャー抗原および粘液ターゲティング抗原に加えることができ る。 ベースはまた、可溶化剤中で少なくとも1つのステロールを可溶化し、グリコ シドまたはサポニンおよび他の脂質を加え、次に、必要であれば、すなわち最終 生成物中で許容されないなら可溶化剤を除去して、調製されるマトリックスでも よい。マトリックスは通常、個々の部分が溶解不可能な水溶液に移される。可溶 化剤は、例えばゲルろ過、限外ろ過、透析または電気泳動により除去できる。次 に、例えば密度勾配による遠心分離またはゲル遠心分離により、マトリックスを 、過剰のステロールおよびサポニンから精製してもよい。 可溶化剤は、EP0436629B1号の5頁24〜45行に記載の任意のも のでよい。他の成分および調製法もまた、この明細書に記載されている。 パッセンジャーおよび粘液ターゲティング分子は、現状の結合法(上記参照) を使用してマトリックスに結合することができる。アジュバント分子および/ま たはパッセンジャー抗原を、イスコム分子と混合(ここでパッセンジャー抗原ま たはアジュバント分子は、組み込まれる)するか、またはイスコムおよび/また はマトリックス複合体(ここにパッセンジャー抗原または粘液ターゲティング分 子が結合している)と混合することもできる。また、粘液ターゲティング分子と パッセンジャー抗原の両方を、別々の物質中のイスコム複合体またはマトリック スと混合(この場合、イスコム複合体は異なる抗原分子を含有する)することも できる。 この調製に使用されるグリコシドは、EP0109942B1号の4頁の最後 の段落に記載のものでもよい。好適な方法は、トリテルペンサポニン類、特にキ ルA(Quil A)またはその規定された成分、特に本出願人のヨーロッパ特許EP 0436620B1号号の4頁19〜46行に記載のようなサポニンを使用する ことである。これらは、QHA、QHB、またはキルAの他の成分(例えば、7 03)でもよい。グリコシドはアジュバントである。または、ケンシル(Kensil )、ケルステン(Kersten)またはダルスガード(Dalsgaard)(シー・アール・ ケンシル(Kensil,C.R.)、ユー・パテル(Patel,U.)、エム・レニック(Len nick,M.)、ディー・マルシアニ(Marciani,D.)、J.Immunol.1 46,431−437,1991;ジー・ジー・エー・ケルステン(Kersten G. G.A.)、エー・スピエクストラ(Spiekstra,A.)、イー・シー・ベウベリ(Be uvery,E.C.)およびディー・ジェイ・エー・コメリン(Commelin,D.J.A.)、 BBA 1062,165−171,1991;また は特許WO95/09179号、ダルスガード(Dalsgaard))に記載されてい る成分。EP0436620B1号に記載のように、イスコムまたはマトリック ス中にグリコシド以外の他のアジュバントまたは免疫調節成分を取り込むことも できる。このようなアジュバントの例は、コックス(Cox)ら、CRS,199 2に提供されている。好適な方法は、MDP、MTPおよびアブリジン(avridi n)を使用する方法である。 粘液ターゲティング分子またはパッセンジャー抗原に疎水性基または両新媒性 基が欠如している場合は、抗原がイスコム粒子に結合できるようにこれらを加え ることができる。そのような基の例は、EP0242380B1号の9頁、およ びEP0436620B1号の6頁33行〜7頁6行に記載されており、結合法 が記載されている。これらは、下記の例2に記載のように脂質でもよい。 使用されるコレステロール、脂質および抗原の相対量は、前記特許EP010 9942B1号、EP0180564B1号、EP0242380B1号、およ びEP0436620B1号に記載されている。 細菌性粘液ターゲティング分子については、最も好ましいのはコレラ毒素、B (CTB)のようなそのサブユニット、および大腸菌(E.coli)中の熱不安定 性毒素でB(LTB)のようなそのサブユニットである。 コレラはすべての下痢疾患の中で最も危険であり、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholera)細菌0の1型により引き起こされる。これらの細菌はヒトの小腸でコ ロニーを形成し、そこでコレラ毒素として知られている外毒素タンパク質を分泌 する。 同様の疾患が、いわゆる「腸毒性」球菌(ET)により引き起こされるが、こ れらの症状は通常より軽度であり、コレラ毒素(CT)に似た熱不安定性毒素( LT)により引き起こされる。これらの毒素はよく似ているため、同じ受容体に 結合する。 CTとLTの構造は、構造と機能についてよく解明されている。これらは、コ レラ毒素受容体に結合する部分を含有するオリゴマータンパク質、すなわちB− サブユニットであり、これはまた、各々がモル質量約11,600のサブ物質で あり、5成分環の型を有する。Aサブユニットは、2つのジスルフィド結合断片 からなる約28,000のモル質量を有するタンパク質分解性の分割されたポリ ペプチドである。大きいA1−断片は、毒素−酵素活性を有し、小さいA2−断 片は、A1−断片をB5環に結合させる。CTは、小腸のいわゆるブラシ縁膜の 表面に存在するあるクラスの受容体に強い親和性で結合し、かつほとんどの哺乳 動物細胞中の原形質膜に結合する。この受容体は、ガングリオシドGM1からな る。さらに、LTは不特定の糖タンパク質にも結合する(ホルムグレン(Holmgr en)ら,Infect.Immun、38,424−433(1982))。こ れらのタンパク質はまた、イスコムに取り込まれるかまたはイスコムもしくはマ トリックスに結合し、LTへの結合分子として作用する。 ガングリオシドGM1、および脂質タイプまたは疎水性の粘液ターゲティング 分子の他の受容体は、イスコム粒子の脂質含有領域に含めてもよい。これらは、 マトリックス中の脂質組成の一部でもよい。 受容体がイスコム粒子またはイスコム−マトリックス粒子中に取り込まれる時 、これは、粒子内に取り込まれた受容体に結合する対応するリガンドと混合する ことができる。担体またはパッセンジャー抗原の受容体がガングリオシドの場合 は、この抗原は、単純な混合法によりそのような受容体に結合させることができ る。この方法は、下記の例1で説明される。同様に、他の受容体はそのアンタゴ ニストに結合する。 コレラ毒素は、毒性を示すAサブユニットと、糖脂質(GM1)を介してこの 毒素を細胞の原形質膜に結合させるBサブ物質とを含有する。毒性を低下させる ために、通常コレラ毒素中のBサブユニット(CTB)のみを、免疫応答を引き 起こすためのワクチン抗原として使用する。Bサブユニットは毒性がなく、局所 的経鼻および非経口投与免疫化(例えば、皮下または筋肉内免疫化)において、 CTに比較して比較的弱い免疫応答を引き起こす。すなわち、Bサブ物質は、弱 いアジュバント活性を有する。CTBはまた、組換えDNA産物として入手でき る。(rCTB)(EP368819号)。 CTBとLTBの抗原活性、または粘膜中で粘液をターゲティングするこれら の活性、および自身と閉じこめられた抗原をリンパ系臓器および細胞に局在化し て免疫応答を引き起こす活性を大幅に低下させない限りは、わずかの数のアミノ 基またはカルボキシ基しか活性化されないため、抗原をCTBやLTBに共有結 合させて、有用な物理的または経済的収率を得ることは困難である。担体分子上 の化学的結合のために充分な数の基が利用できても、そのような作製体から有用 な物理的および経済的収率を得るのが困難であることは公知である(レーブグレ ン(Loevgren)ら、Immunol.Methods 173,237−243 )。 イスコムにおいて粘液ターゲティング分子を使用することは、多くの利点を有 する。特に、種々の疾患に対する経口、経鼻または直腸ワクチンの調製について 、このことが言える。このようなワクチンは、担体作製体を、リンパ系臓器およ び腸管内の細胞、および他の粘膜に、GALT MALT、NALT(腸管、粘 膜および鼻−咽頭関連リンパ組織)(例えば、呼吸器官)を介して、または局所 投与により直接局在化するために、抗原と、CTBまたはLTBが補足されたア ジュバント成分とを有する担体作製体を含有することができる。 イスコムは粘液ターゲティング分子より大きいため、結合または他の方法(例 えば、疎水性相互作用または静電結合)により、選択されたパッセンジャー抗原 および選択されたアジュバント成分を取り込む余地がある。 マトリックスの製造において、ステロール、他の脂質、およびグリコシドの一 般的な比率は、0.2〜10:0.2〜10:1〜100、好ましくは1:1: 5である。脂質含有受容体を使用すると、他の脂質を完全に置換することができ 、その結果ステロール、他の脂質、およびグリコシドの一般的な比率が上記のよ うになる。他の可能性は、脂質含有受容体および他の脂質(好ましくは、ホスフ ァチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンと受容体)の両方を使用 することであり、その結果比率は、ステロール;他の脂質;受容体;グリコシド が0.2〜10:0.2〜10:0.1〜1:5〜10、好ましくは1:1:0 .25:5になる。受容体分子の数は、希望する分子の数に依存する。 原理的に、成分は任意の比率で加えられる。最終生成物は、上記の種々の成分 の間の重量比を有し、過剰には入らないことが証明されている。他の脂質が過剰 に使用されるなら、複合体は「脂っこく」かつもろくなり、簡単にくずれる。他 の脂質が少なすぎる場合、複合体が形成されず、その代わりに輸状(環状)のサ ブユニットが形成される。これは、電子顕微鏡で測定できる。 電子顕微鏡で生成物を調べることにより、イスコムまたはマトリックスが得ら れているかどうかを測定できる。EP0109942B1号の図3および本出願 の図3にみられるように、典型的なマトリックスまたはイスコムは、特徴的に開 いた球形構造であり、環状のサブユニットからなる。イスコムは、対応するミセ ルより小さい沈降定数を有し、しばしば対応するモノマー型のタンパク質または ペプチドより大きい沈降定数を有する。マトリックスおよびイスコムは、約12 〜22S、特に20Sの沈降定数を有する。 標的または粘液ターゲティング抗原を結合するために脂質含有受容体を使用す る利点は、グリコシド、ステロール、おそらくは他の脂質および脂質含有受容体 とともに、次に粘液ターゲティング分子を単に混合するだけで、マトリックスが 調製できることである。この方法は、上記成分と粘液ターゲティングタンパク質 抗原を含有する既製のイスコムを調製するより、または既製のマトリックスに抗 原を結合するのに化学的結合法を用いるより、より効果的で安価で簡便である。 化学的結合法を使用して抗原がイスコムに組み込まれるかまたはマトリックス に結合される時、抗原決定基を構成するアミノ基またはカルボキシル基は修飾さ れる。 抗原をイスコムに共有結合するかまたは疎水性のテイルに結合してイスコムへ の組み込みを促進するために、抗原が活性化される時、または化学的方法でマト リックスまたはイスコムに結合される(2つの抗原が使用される時)時、抗原決 定基は変性される。これは、抗原を脂質含有受容体に結合させる方法に比較する と、修飾されない抗原の量は、大幅に低下することを意味する。これは例えば、 脂質含有受容体を使用する方法に比較して、約5倍多量の抗原が必要であること を意味する。脂質含有受容体を使用するなら、方法ははるかに安価である。取り 込みの程度が低下するのに平行して、グリコシドおよびアジュバント含量が上昇 し、これは、達成される免疫応答中の抗原の量の少なさを部分的に補償する。同 時に、アジュバント含量の増加のために、毒性が上昇することもある。しかし原 理的に、抗原の受容体結合が使用されるなら、免疫応答はより高くなる。 イスコムまたはマトリックスに粘液ターゲティング分子およびパッセンジャー 抗原を結合させたい時には、他の利点もある。脂質含有受容体からイスコムまた はマトリックスを作成するなら、パッセンジャー抗原をイスコムに組み込んで、 これを化学的結合法によりマトリックスに結合させるためのより多くのスペース がある。脂質含有受容体の使用は、パッセンジャー抗原の結合には影響しない。 この方法では、最適の比率を得ることがより容易である。イスコムに組み込まれ るかまたは化学的方法を使用してイスコムまたはマトリックスに結合されるパッ センジャー抗原および粘液ターゲティング分子の量を制御することが、より簡単 である。一方、同じ方法で粘液ターゲティング分子および抗原を使用してイスコ ムを作成するなら、これらは競合して結合し、両方の成分の取り込みを全体に制 御することが困難になる。 特に、5つの結合部位サブユニットを有するコレラCTBサブユニットに関し て、GM1−受容体の重量の13倍まで結合することができる。これでもまだ、 粘膜中の受容体に結合することができるCTB中に結合物質は残り、分子として 作用する。 皮下投与において、ステロール、他の脂質、タンパク質およびグリコシドの重 量比は、0.2〜10:0.2〜10:2〜10:1〜100、好ましくは1: 1:1:5〜10である。経口または経鼻投与においては、グリコシドの量は、 上記比率より高く、すなわち1〜200、好ましくは5〜20である。 まずマトリックスが製造し化学的結合法を使用して抗原に結合する時と、次に イスコム粒子を作成する時の両方で、適切な量が存在する。 上記の特許文献のすべておよび先行文献SE9600647−3は、参考のた め本明細書に組み込まれる。 イスコム、マトリックスおよび抗原の量は、薬学的に活性があるように選択さ れ、当業者はこれを推定することができる。ヒトでは少なくとも1μg、特に1 〜200μgの抗原が使用でき、この場合経済的側面が上限を設定する。動物で は抗原の投与量は、抗原と個体の大きさとに依存して、少なくとも0.1μgで ある。 イスコムまたはイスコム−マトリックスは、可溶化剤(例えば、水または塩化 ナトリウム)を含有する組成物中で調製できる。組成物はまた、複合体の作成に おいて使用される洗浄剤(これがヒトまたは獣医学的慣行から許容されるなら) を含有してもよい。さらに、この組成物は、ヒトまたは獣医学的慣行で許容され る他の添加剤や充填剤を含有してもよい。 このような組成物は、例えばイスコム複合体および不活性の充填剤(例えば、 塩化ナトリウム)を含有してもよい。これはまた、抗原と混合したマトリックス から構成されていてもよい。 ワクチンは、不活性な充填剤を含有する組成物中のマトリックスとの物質、お よび不活性な充填剤を含有する組成物中の抗原との物質とを含有する投与法につ いて利用できる。 EXP OVA I 例1イスコムへのGM1とrCTBの取り込み コレラ毒素(CT)は、特に局所的免疫化により有効なアジュバントである( ジェイ・ホルムグレン(Holmgren,J.)、シー・チェルシンスキー(Czercinsky C.)、ジェイ−ビー・サン(Sun,J-B)、およびエー−エム・スベネルホルム (Svennerholm A-M)、「ワクチン開発の考え方(Concepts in Vaccine Develop ment)」中、エス・エイチ・イー・カウフマン(S.H.E.Kaufmann)編、1996 )。文献によれば、局所的免疫化によるその標的探索性のために、Bサブユニッ ト(CTB)でさえ、アジュバントとして記録されているが、この活性は、小腸 のリンパ細胞への抗原のガイド機能に限定されている。CTBがイスコム−マト リックスに結合しているかまたはイスコム中に取り込まれるなら、局所的および 非経口投与免疫化により免疫応答を強化し効率的である製剤が得られる。コレラ に対するワクチンに関連して、および特に局所的のみならず非経口投与免疫化に よる他の抗原のためのアジュバントの選択により、この作用は興味深い。 組換えコレラ毒素、サブユニットB(rCTB)(EP0368819号)は 、異なる調製物中で、以下のものと混合される: MEGA−10(バッケム(Bachem)P1000デカノイル−n−メチルグルカ ミド)、20重量%水; ホスファチジルコリン(PC)(シグマ(Sigma)P−5763)、20重量% MEGA−10水で10mg/mlに希釈; コレステロール(C)(シグマ(Sigma)C8667)、20%MEGA−10 水で10mg/mlに希釈; GM1(シグマ(Sigma)G7641)、20%MEGA−10水で10mg/mlに 希釈; ホスファチジルエタノールアミン(PE)(シグマ(Sigma)P2768)、2 0%MEGA−10水で10mg/mlに希釈; キルA(スピコシド(Spikoside)、イスコテック(Iscotec)、ルレア(Lulea )、100μg/ml水; rCTB、0.05Mトリス(pH7.5)、0.2M NaCl、0.001 M Na2EDTA、0.003M NaN3を有する緩衝液中5mg/ml; ホスファチジルコリンは、微量の放射活性コレステロール(3H−コレステロ ール、アマシャム(Amersham))で1:1(10mlの20%MEGA−10中各 脂質100mg)の比率で補足したコレステロール、および1.0mlのリン酸緩衝 化生理的NaCl−食塩水(PBS)(pH7.2)中1mg〜7.5μgのGM 1の変動する量(1μg、1.7μg、2.5μg、5μg、7.5μg)のG M1と混合した。 6つの異なるホスファチジルコリン/コレステロール−GM1−溶液の1mlに 、キルAを最終濃度0.2%になるように加えた。この混合物をソノレックス( Sonorex)TK52で2×15分超音波処理し、室温(RT)に1時間放置した 。次に混合物を、まずRTで24時間そして次に低温室(4℃)で24時間、P BSで透析した。電子顕微鏡(EM)により、マトリックスの存在を確認した。 6つの異なるマトリックス(GM1含量が異なる)に100μgのrCTBを加 えた。混合物をRTで2時間放置した。rCTBが結合したマトリックス(すな わち、イスコム)を、PBS中の10〜50%ショ糖勾配で、TST41.14 −ロータ(コントロン(Kontron))で39,000rpmで10℃で18時間超遠 心分離して精製した。 勾配を16〜18画分に集めた。画分を、ブラッドフォード(Bradford)のタ ンパク質測定法(ブラッドフォード(Bradford)、Analyt.Bioche m.,72,(1976)248−254)を使用してrCTBに関して分析し 、595nmで比色法で測定し、脂質については3H−コレステロールの検出によ り測定し、ならびにEMでマトリックスまたはイスコム構造の存在について観察 した。図1は、それぞれrCTB:GM1の比率13:1(図1A)と100: 1(図1B)の画分中の、脂質(■)とrCTB(□)の量を示す。 結果 GM1マトリックスに完全に取り込まれた、すなわちrCTB−イスコムを形 成するための、タンパク質の相対的最大量(重量)は、取り込まれたGM1の量 より13倍高かった(図1)。3つの異なる実験で、我々は同じ比率を観察した 。多量のrCTBを加えると、勾配のより高い部分の過剰のrCTBは、3H− コレステロールに結合せず、これはこのrCTBが取り込まれていないことを示 す。rCTBは、イスコムを形成して凝集を引き起こす、GM1への5つの可能 な結合部位を有するため、少量のrCTBを加えると、凝集が見つかった。rC TBに結合したマトリックス、すなわちイスコムは、画分7〜9に存在する(図 1B)。図3は、異なるイスコム調製物のEMを示す。ホスファチジルコリンの 代わりに、それぞれマトリックスとイスコムにホスファチジルエタノールアミン を用いて同様の結果が得られている(結果は示していない)。 結論 rCTBは、糖脂質GM1を含有するマトリックスに有効に結合することがで きる。マトリックスの調製時に適量のGM1を加えることは、rCTBイスコム の調製ための有効な方法である。 例2パッセンジャー抗原(PA)の免疫学的標的装置としてのCTBおよびイスコム 背景 コレラ毒素のB−サブユニット(CTB)は、「パッセンジャー抗原」または 、例えば経鼻的もしくは経口的に粘液に局所的にB−サブユニットと一緒に投与 される抗原の「標的探索タンパク質」としての役割を活発に果たすことができる ことは、充分記録されている(ジェイ・ホルムグレン(Holmgren,J.)、エヌ・ リ ッケ(Lycke,N.)、チェルキンクシー(Czerkinksy)、Vaccine 11 ,1179−84,1993)。B−サブユニットは、組換えDNA−生成物( rCTB)としてうまく産生され、従って、粘膜を介して投与されるワクチン抗 原の標的探索タンパク質として魅力的である。 本例の目的は、rCTBを有するかまたは有さないイスコムは、粘膜への経鼻 適用(i.n.)により、取り込まれた抗原であるPA(パッセンジャー抗原) または同時に投与された抗原(CA)の、免疫刺激作用を増強させることを証明 することである。この実験は、イスコム作製体およびイスコムマトリックスを有 する作製体が、免疫防御に好ましいタイプの免疫応答を引き起こすことにより、 免疫調節作用を有することを証明するために行なった。これらの実験において、 OVA、rCTBまたはこれらの組合せに対する具体的な免疫応答を評価した。 イソタイプIgAとIgGの粘液中、および異なるIgGサブクラスの血清中の 、免疫応答の分布を調べた。 材料 オバルブミン画分V(OVA)(シグマ(Sigma)A2512、セントルイス、 アメリカ合衆国) ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイル(PE)20重量%MEGA− 10(シグマ(Sigma)P−0890、セントルイス、アメリカ合衆国)中10m g/ml14 C標識PE(アマシャム(Amersham)、バッキンガムシャー(Buckinghamshir e)、英国) コレステロール(C)20重量%MEGA(シグマ(Sigma)C8667、P0 890、セントルイス、アメリカ合衆国)中10mg/ml ホスファチジルコリン(PC)(シグマ(Sigma)C8667)20重量%ME GA−10水中で10mg/ml MEGA10バッケム(Bachem)P1000、バーゼル、スイス、デカノイル− n−メチルグルカミド(20重量%水) スルホ−NHS N−ヒドロキシスルホスクシンイミド(HMS)(ピアス(PI ERCE)No24510、ロックフォード(Rockford)、アメリカ合衆国) EDC1 エチル−3(−ジメチルアミノプロピルカルボデミド−HCl(ピア ス(PIERCE)No22980、ロックフォード(Rockford)、アメリカ合衆国) キラヤサポニンiH2O 100mg/ml(スピコシド(Spikoside)、アドヴェッ ト(Advet)AB、ルレア(Lulea)、スエーデン) rCTB コレラ毒素からの組換えB−サブユニットは、ジャン・ホルムグレン (Jan Holmgren)(免疫部(Department of Immunology)、ゲーテボルグ(Goet eborg)、スエーデン)から供与された。 PBS pH7.2 イスコム−マトリックスは、アドヴェット(Advet)、ルレア(Lulea)、スエー デンから得た。 動物 NMRI−マウス、メス18〜20g)ナショナル・ベテリナリー・インスチチ ュート(National Veterinary Institute)、ウプサラ(Uppsala)、スエーデン 。 方法イスコムの調製 OVAは、製造業者(ピアス(Pierce)、ロックフォード、イリノイ州、アメ リカ合衆国)に記載のものを我々(カリン−レブグレン−ベングツソン(Karin- Loevgren-Bengtsson)が修飾して、脂質テイル−ホスファチジルエタノール(P E)−ジオレオイルとともに供給された。要約すると:OVA 1mg、PE 1 mg、NHS 1mg、EDC 20mgを、37℃で2時間攪拌しながら総量775 μlのH2O中でインキュベートした。 上記溶液に、C 1mg、キラヤ 5mgを加えた。CTBの結合を促進するため に、OVA 1mg当たり40μgのGM1を調製物に加えた。MEGA−10の 最終濃度は、総量1.1ml中2%に達した。この溶液をRTで2時間攪拌しなが らインキュベートし、次にPBSに対してRTで48時間透析した。イスコムの 形態は、電子顕微鏡で確認した。GMIを含むかまたは含まない調製物にrCT Bを加えた。GM1の取り込みにより、例1のように、イスコム中にrCTBを 取り込んだ(例1を参照)。他の調製物においては、rCTBの結合をさけるた めにGM1を省いた。OVAまたはrCTBまたはその両方を含有するイスコム 粒子を、PBS中10〜50%ショ糖勾配でTST41.14−ロータ(コント ロン(Kontron)で39000rpmで10℃で18時間超遠心分離して精製した。 ブラッドフォード(Bradford)のタンパク質測定法(ブラッドフォード(Bradfo rd)、Analyt.Biochem.,72,1976,248−254)を 使用してrCTBに関して分析し、595nmで比色法で測定し、脂質については3 H−コレステロールの検出により測定し、そして電子顕微鏡でマトリックス− またはイスコム構造の存在について観察した。異なるイスコム−成分の性状解析 図4Aは、タンパク質測定法で測定し、10〜50%ショ糖勾配遠心分離で解 析した遊離のrCTB(□)、すなわちイスコム沈殿物に取り込まれず、rCT Bはゆっくり沈降し、勾配の上の方(すなわち、画分12〜14)で回収される ことを示す。 図4Bは、ショ糖勾配の超遠心分離によるイスコムに従うコレステロールの脂 質放射活性(CPM)(■)、およびブラッドフォード(Bradford)に従って測 定した脂質化タンパク質OVA(本文を参照)(□)を示す。OVAを有するイ スコムは、画分6〜8で検出される。勾配は、20〜50%ショ糖勾配でTST 41.14−ロータで39000rpmで18時間遠心分離した。一部の組み込ま れなかったタンパク質画分11、12、および13。ブラッドフォード(Bradfo rd)は、595nmの吸光度として測定した。 図4Cは、GM1を有するイスコム中のrCTBの取り込みを示す。イスコム へのrCTBの取り込みは、タンパク質測定(ブラッドフォード(Bradford)) により測定した(□)。イスコムの沈降は、勾配中のイスコムに従う放射能標識 コレステロール(CPM)(■)により示す。タンパク質(すなわちrCTB) 、コレステロール、およびイスコム構造(後者は電子顕微鏡で証明される)は、 画分6〜9に見いだされる。 GM1脂質を有するOVA−イスコムを作成することにより、rCTBは図4 Dに示すようにOVA−イスコムに加えられ取り込まれる。脂質化OVAとrC TBの両方の取り込みは、ブラッドフォード(Bradford)のタンパク質測定法 (□)により証明される。イスコムの沈降は、画分4〜6に見いだされる標識コ レステロールの放射活性(CPM)(■)により証明され、イスコム構造はEM により測定された。図4Eは、もしGM1−脂質の欠如したOVA−イスコムに rCTBを加えると、タンパク質すなわちrCTBが、勾配の上の方(すなわち 、画分11〜13)に見いだされるという事実により、イスコム中に取り込まれ ることを示す。イスコムに取り込まれたOVAは画分5〜8に重層される。 免疫化実験 ナショナル・ベテリナリー・インスチチュート(National Veterinary Instit ute)(ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)からのNMRI−マウスの20gの メスを使用した。以下の群(下記)は、各調製物10μgで経鼻的に免疫化した か、または2μgずつ6週間置きに2回皮下(s.c.)に免疫化した。 群 1.i.n.キラヤ(QA)のないOVA 10μg 2.i.n.OVA−イスコム 10μg 3.i.n.OVA−イスコム 10μgと遊離のrCTB 10μg 4.i.n.同じイスコム中でOVAとrCTB 10μg 5.s.c.OVA−イスコム 2μg 6.i.n.遊離型のOVAとrCTBを各10μg 7.i.n.遊離型のOVAとマトリックス(10μg) 8.i.n.PBSすなわち抗原のない群 ビーカー中でメタファンを吸入させてマウスを麻酔した。i.n.投与のため に、各調製物20μlを投与した。s.c.免疫化する時は、投与量は、PBS 中200μl/マウスで与えた。 最初の免疫化の2週間後、血清をOVAとrCTBに対して試験した。4週間 後、マウスに追加免疫を行い、さらに2週間後に血液試料を採取した。肺を取り 出す前に、血管を20mlのPBS−0.1%ヘパリンを用いて、心臓の右心室を 経由して肺の中へ、そして血流の残りの部分を洗浄した。見かけ上マウスから地 がなくなったようであった。肺、上気道、生殖器および小腸を切開し、ペーパー タオルで乾燥させ、あらかじめ秤量したPBS−ヘパリンとともに試験管に入れ た。臓器を秤量し、PBSで洗浄し、次に乾燥して、エッペンドルフ試験管に入 れて−20℃で保存した。 抗体応答を試験する前に、フリーザーから臓器を取り出し、PBS中の2%の スピコシド(spikoside)を1:1で加え、肺を小片に切り、エッペンドルフ試 験管を冷蔵庫で一晩保存した。翌日、臓器片をエッペンドルフ遠心分離機で13 000rpmで15分間遠心分離した。上清を、OVAとrCTBに対してそれぞ れIgAとIgGについて解析した。血清をELISAでOVAとrCTBに対 して試験し、IgA、IgGサブクラスのIgG1とIgG2a、総IgGの抗 体応答を解析した。経鼻投与により、イスコム作製体は、イスコムまたはイスコム−マトリックスの ないrCTB製剤より高い免疫応答を引き起こす OVAに対する血清抗体応答を、1回と2回のi.n.およびs.c.免疫化 後に追跡した(図5を参照)。 rCTB−OVA−製剤は、1回または2回の免疫化後も、OVAに対する血 清抗体応答を引き起こさない。図5Aと表1は、マウスの1回の経鼻(i.n. )免疫化後に、ELISAで解析したOVAに対する血清抗体応答を示す。rC TBアジュバントのないOVAまたはアジュバントのあるOVAに対しても、抗 体応答は測定されなかった。OVA−イスコム製剤およびイスコム−マトリック スを補足したOVAで免疫化したすべてのマウスは、抗体の上昇により応答し、 これは明確に測定できた。 図5Bは、2回目の免疫化後に、イスコムまたはマトリックス製剤で免疫化し たすべてのマウスは、OVAに対する血清抗体の高力価で応答した。別の物質と して混合したrCTBを補足したOVAで免疫化したマウスは、OVAのみで免 疫化したマウスより、血清抗体力価は低かった。これは、rCTBはOVAに対 する寛容を誘発し、その結果マウスはOVAに対する血清抗体で応答しないこと を示す。 図5Cは、2回の免疫化後のマウス血清の希釈率増加におけるELISA値を 示す。この図および図5Bに示すように、OVAを有するイスコム製剤は、寛容 を破壊し、rCTBは、「パッセンジャー抗原」または同時投与抗原としてOV Aに対する血清抗体応答を引き起こす。 表1は、総IgG応答およびIgG1およびIgG2aサブクラスの応答に関 してELISAで解析した、マウスの2回目のi.n.免疫化の2週間後の、O VAに対する血清抗体応答(log10力価)を示す。イスコムは、OVA+イス コムマトリックスに比較して、IgG2a応答を強くアップレギュレートするこ とは特に興味深い。さらに、OVA−イスコムおよびOVA/rCTBイスコム およびOVA−イスコム+遊離のrCTBは、s.c.注入したOVAイスコム より、IgG2a−応答に比較して高いIG1−応答を誘発する。これは、Ig G1/IgG2a数として測定できる。アジュバントの添加のないOVAは、I gG1サブクラスでのみ証明できる小さな抗体応答を引き起こした。遊離のrC TBを有するOVA−イスコムまたはrCTBとOVAの両方を含有するイスコ ムのi.n.投与は、IgG1とIgG2a−サブクラスに局在化される、予想 外に高い血清抗体応答を引き起こした。この免疫調節作用は、IgG2aの産生 により証明される。これは、IFN−γ応答の誘発を示す(アール・エル・コフ マン(Coffmann,R.L.)、ビー・ダブリュー・ピー・セイモア(Seymour,B.W.P .)、ディー・エー・レブマン(Lebman,D.A.)ら、Immunol.Rev. 102,5〜28,1988)。OVA−rCTBは、血清抗体応答に関して寛 容様の状態を引き起こした。しかし、この状態の寛容が、イスコム製剤およびイ スコムマトリックスにより有効に除去されることは予想外であった。イスコム製剤は、マウスの粘膜において、rCTB製剤よりパッセンジャー抗原 に対してより高い抗体応答を引き起こす(図6) 肺分泌物中のIgA抗体応答 i.n.投与したOVAまたはOVA−イスコムマトリックスを有するすべて のイスコム製剤は、肺分泌物中で、rCTBを補足した遊離のOVA、およびs .c.投与したOVA−イスコム、またはi.n.投与した遊離の単独OVAよ り、有意に高いIgA力価を引き起こした。図6Aでは、マウスの肺の(2回の i.n.)免疫化で、IgA抗体応答を解析した。比較すると、イスコム製剤は 、使用した低投与量(10μg)のrCTB−OVA製剤よりも、i.n.投与 後に大きなIgA抗体応答を引き起こす。 図6Bは、上気道でのIgA抗体応答に関する、異なる群間の比較を示す。O VA−イスコムおよびマトリックスを補足したOVAは、OVA−rCTB製剤 より有意に高いIgA−力価を引き起こす。 生殖器抽出物において、rCTBを補足したOVA−イスコムは、rCTBで アジュバントしたOVA(101.4±0.25)または対照マウス(101.2)よ り有意に高いIgA抗−OVA(102±0.38)を引き起こした。OVA− イスコムに取り込まれたrCTBでさえ、生殖器抽出物において、対照マウス( 101.2)より有意に高いIgA力価(101.7)を引き起こした。対照マウスは 、ELISAのバックグランドを示す(図6C)。粘膜におけるOVAに対するIgG抗体応答 一般に、OVAを含有するi.n.またはs.c.投与したイスコムおよびマ トリックス製剤は、肺および上気道の粘膜の抽出物における、OVA+rCTB および非免疫化対照マウス(図7AとB)より、有意に高いIgG抗体力価を引 き起こした。 rCTBは、IgA抗体応答より顕著な、肺抽出物中のOVAに対するIgG 免疫応答に対して強力な寛容を誘発するようである。この寛容は、イスコムおよ びイスコム製剤により明らかに排除される。 また生殖器OVA−イスコムの分泌物において、OVA−rCTB−イスコム およびOVAを有するイスコム−マトリックス製剤は、rCTB OVA製剤が 誘発するより、有意ではるかに高いIgG抗体応答を誘発した。小腸分泌物にお いて、OVAを有するイスコムは、遊離のrCTBを補足したOVAまたはイス コム−マトリックスを補足したOVAより高いIgG抗体力価を誘発した。結果 を、図7Cと7Dに示す。 結論イスコムとrCTBの比較 イスコムは、「パッセンジャー抗原」およびSAに対するアジュバントおよび 「標的探索物」(ここでは、OVAで表される)として、粘膜投与後に、OVA とrCTBの製剤より、予想外かつかなり有効である。 これは、呼吸器官(例えば、肺)および投与部位から遠い粘膜(例えば、生殖 器官および小腸)の分泌物中の局所的IgA応答を包含する分泌性抗体応答の両 方について真実である。 また、肺、上気道、小腸および生殖器官などの粘膜臓器からの分泌物中のIg G抗体応答は、rCTBとともに投与したOVAによる増強に比較して、イスコ ム中のモデル抗原またはイスコムマトリックスと一緒のモデル抗原としてのOV Aの粘膜投与後に、かなり上昇する。 イスコム中のまたはイスコム−マトリックスとともに同時投与されたパッセン ジャー抗原の粘膜投与後に、血清抗体応答は、rCTBがもたらす応答よりかな り増強していた。 コレラ毒素のB−サブユニットとともにA−サブユニットが存在するなら(す なわちコレラ毒素全体)、分泌物中の抗体応答の増強に関して対応する作用が得 られる。しかし、全コレラ毒素は毒性で病原性があり、アジュバントとして許容 できない(ジェイ・ホルムグレン(Holmgren,J.)、シー・チェルシンスキー( Czercinsky C.)、ジェイ−ビー・サン(Sun,J-B)、およびエー−エム・スベ ネルホルム(Svennerholm A-M)、「ワクチン開発の考え方(Concepts in Vacci ne Development)」中、エス・エィチ・イー・カウフマン(S.H.E.Kaufmann)編 、1996)。同様に、全毒素LTおよびCTBに対するその同等物(すなわち 、LTB)は、LTおよびCTBと同じ問題を有する。 rCTBは、同時投与した抗原の粘液分泌物中のIgG−抗体応答をダウンレ ギュレーションした。パッセンジャー抗原に対するrCTBのダウンレギュレー ションまたは寛容誘発作用は、予想外かつ顕著に、インキュベートおよびイスコ ム−マトリックス製剤により有効に排除された。 イスコム、イスコム/標的探索分子またはイスコム−マトリックス製剤の免疫 調節作用は、これも粘膜投与後のIgG2aに対するアップレギュレーションさ れた血清抗体応答(これは、IFN−γ免疫応答参加、すなわちTH1応答の参 加を示す)により証明される。マトリックスとrCTBの比較 粘膜に一緒に投与したマトリックス+抗原(OVA)は、肺と生殖器官の分泌 物中のIgA抗体応答について、粘膜に一緒にi.n.投与したrCTB+抗原 より有効である。また、肺、呼吸器官および生殖器官のような粘膜臓器からの分 泌物中のIgA抗体応答は、OVA−rCTB製剤が持たらすものに比較してか なり増強している。 また、粘膜アジュバントとしてマトリックスと一緒のOVAにより誘発される 特異的血清抗体応答は、rCTBで補足したOVA製剤により誘発されるものよ りかなり大きい。マトリックスが、そのような強いアジュバント作用を粘膜で局 所的に有するということは予想外であった。正しい条件下での吸着を必要とする 水酸化アルミニウムと異なり、または工業的ワクチン製造における複雑な方法で あるエマルジョン型の専門的調製を必要とする油アジュバントと異なり、マトリ ックスは、単にワクチン抗原に加えることによりアジュバントとして使用でき、 簡単であるということは注目すべきである。 イスコムまたはイスコム−マトリックスが、粘膜投与により強力な免疫応答を 誘発するのに使用できるということは、特に興味深い。CTBまたはLTBは、 この免疫応答をダウンレギュレーションするのに使用することができる。これら の組合せは、免疫応答を誘発し、必要であればこの抗体応答をダウンレギュレー ションするのに使用することができる。精子抗原に特異的なメスの生殖器官にお ける抗体応答をアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションできる可 能性は、避妊ワクチンにおいて興味がある。誘発された抗精子抗体は、精子に対 して排除する必要がある。イスコムとイスコム−マトリックスの比較 イスコムとマトリックスは、例えばEMで研究されるように形態、トリテルペ ノイド、脂質、または取り込まれたアジュバント分子の組成が似ている。しかし 、イスコムは抗原が組み込まれているが、マトリックスは、組み込まれていない 同時投与抗原に対するアジュバント活性を示す。 この例では、OVAの投与ための粘膜アジュバント製剤としてのイスコム−マ トリックスとイスコムの比較を行なった。この作用は、肺、上気道、生殖器官お よび小腸から抽出される分泌物で局所的に評価する。一般に、いくつかの例のイ スコムは、マトリックスより有効な粘膜アジュバントである。イスコムは、例え ば血清中で高いIgG2a抗体応答を誘発し、これはいくつかのウイルス疾患に 対する防御にとって有効である。 他の場合では、マトリックス−OVA製剤は、OVA−イスコム製剤と同じレ ベルの抗体応答を誘発する。OVA−マトリックスよりもイスコム製剤でi.n .免疫した後の方が、小腸の粘液中のIgG応答は強かった。 抗原調製物にマトリックスを単に添加しさえすればよいということは、大きな 利点である。rCTBに対する血清抗体応答 2回のi.n.免疫化後の結果を表2に示す。イスコム調製物は、高いIgG 2a応答を含む高い血清抗体応答を誘発した(群3:104.9±0.51;群4 :105.1±0.54)。rCTBはかなり低い抗体力価を引き起こした(103 .3 ±0.4)。すべてのrCTB調製物は、非免疫化対照マウスより高い抗体力 価を誘発した。異なる臓器の分泌物中のCTBに対するIgA抗体応答 OVA/rCTB−イスコムまたはOVA−イスコムを補足した遊離のrCT B(この場合、rCTBに対するイスコム−マトリックスの形でアジュバント作 用をした)は、2回のi.n.免疫化後、すべての試験した粘液、すなわち肺、 上気道、小腸および生殖器官で、アジュバント製剤無添加のrCTBよりかなり 高いIgA抗体応答を誘発した(図8AとB)。 rCTBが、小腸の粘液において自身に対するIgA抗体応答を誘発しなかっ たことは興味深い。異なる臓器のrCTB粘液に対するIgG抗体応答 イスコム中のまたはイスコム−マトリックスを有するrCTB製剤で、肺、上 気道、生殖器官および小腸の分泌物中で、rCTBに対する高いgG抗体応答が 検出された。イスコムまたはイスコム−マトリックス製剤のないrCTBで免疫 化したマウスからのこれらの粘膜分泌物中のIgG抗体応答は、イスコムまたは イスコム−マトリックス製剤について低かったが、非免疫化対照からの分泌物に ついては有意に高かった(図8CとD)。 結論 結果は、イスコム製剤は予想外かつ効率的に、呼吸器官からの分泌物中、およ び遠くの臓器からの分泌物、すなわち小腸や生殖器官からの分泌物中で、局所的 にi.n.免疫化後にrCTBに対する抗体応答を増強することを示す。 rCTBに対する血清抗体応答さえ、イスコム作製体または別に加えたアジュ バントとしてのイスコム−マトリックスにより強く増強された。イスコムおよび イスコム−マトリックスの免疫調節作用は、rCTBに対する抗体応答が、Ig G2aサブクラス中で誘発された(これは、IFN−γ産生が誘発されたことを 示し、これはTH1タイプの応答を示す)という事実により証明される。 イスコムおよびイスコムマトリックスによる免疫調節の驚くべき例は、rCT Bの結果により証明され、これはそれ自身、他の分泌物中のIgA応答と反対に 、小腸中の抗体応答をIgA−応答を包含するようには変換しない。しかし、イ スコムにより提示されるかまたはイスコムマトリックスとともに同時投与された CTBは、抗体応答を、CTBに対して特異的なIgAを包含するように変換し た。 例3インフルエンザウイルス抗原を有するイスコムによるi.n.免疫化後の血清と 肺分泌物中の特異的抗体応答の進展の速度論 この例で我々は、インフルエンザウイルス抗原(すなわちイスコムに取り込ま れるPR8単離株からのエンベロープタンパク質)を有するイスコムによるi. n.免疫化後の血清と肺分泌物中の特異的抗体応答の進展の速度論を示す。インフルエンザ−イスコムの調製 インフルエンザウイルスからのエンベロープタンパク質の調製 濃度2.6mg/mlのHIN1−インフルエンザウイルス単離株PR8(A/P R/8/34)の精製調製物を使用した。洗浄剤MEGA−10を最終濃度2重 量%で加え、溶液を37℃で15分間インキュベートし、次にRTで60分間イ ンキュベートした。ウイルスの破片から可溶化したエンベロープタンパク質を分 離するために、PBS中30重量%のショ糖2.8mlの上にの2重量%のMEG A−10を含有するPBS中の10%ショ糖0.6mlの上記溶液(1ml)を、T ST55.5コントロン(Kontron)ロータで40000rpmで30分遠心分離し た。遊離のエンベロープタンパク質を、上層1.5mlに集めた。 タンパク質の量は0.855μgと測定された。可溶化したエンベロープタン パク質(570μg/ml)の血球凝集活性(HA)は、ニワトリ赤血球で≧1:4 096と測定された。イスコムの調製 570μlエンベロープタンパク質/mlの量に0.5mgのコレステロール(C )を加え、2.5mgのキルA(スピコシド(Spikoside)、アドヴェット(Advet )AB、ルレア(Lulea)、スベリゲ(Sverige))を加えた。溶液をRTで2時 間インキュベートし、次に低温室で48時間透析した。調製したイスコムの性状解析 PR8−イスコム(図2B)を、20〜50%ショ糖勾配で超遠心分離により 解析した。1.5mlを越える試料容量は分割し、2つの同じ勾配で分散させた。 試料をTST41.14コントロン(Kontron)ロータで39,000rpmで18 時問遠心分離した。すべての調製物において、画分5、6、7、および8に上層 としてタンパク質が存在し、画分6が最大値を示した。これは、イスコム粒子に ついて予測されることとよく一致する。放射活性C14コレステロールは、同じ画 分に検出された。タンパク質レベルは、ブラッドフォード(Bradford)に従って 測定した。 EMによりさらなる性状解析を行なった(図3)。またイスコムをその血球凝 集能について観察した。PR8−イスコムは、雌鳥の赤血球を凝集させた。2回のi.n.免疫化後48日間の免疫応答の進展を試験するためのマウスでの 免疫化実験 各群5匹のマウスの7群を、3週問の間隔で7μgのPR8−イスコムでi. n.免疫化し、図9に示すELISAで血清および肺分泌物中の抗体応答を追跡 した。血清中の抗体応答 図9Aは、1回の免疫化後に逆ELISA力価が約1000に上昇することを 示す。追加免疫の1週間後、40倍高い総抗体力価が得られた。50日目に、す なわち第2のi.n.免疫化後30日目に、力価は、同じ増加した抗体レベルで あった。 図9Bは、IgG−サブクラスのIgG1、IgG2a、およびIgG2bの 血清で高い抗体力価が観察されたことを示す。図9Cは、PR8に対するIgA 血清応答は、血清中で比較的低かったことを示す。肺の分泌物中の抗体応答 図9Dは、1回の免疫化後に、吸光度450nm、希釈率1/90でELISA によりIgAタイプの低い抗体力価が測定されたことを示す。2回目の免疫化後 に、PR8に対するIgA抗体力価の明らかな上昇によって、顕著な追加免疫効 果が観察された。 結論 ただ1回のi.n.免疫化後の低投与量PR8−イスコムは、血清および肺分 泌物中で抗体応答を誘発する。2回のi.n.免疫化後に、血清および肺分泌物 の両方で大きな上昇が得られる。数回の免疫化と高用量を必要とする文献に記載 の他の製剤に比較して、イスコム中の低用量の抗原でi.n.免疫化後は、抗体 応答は予想外に高い。 これは、正しい組成のイスコムによるi.n.免疫化に基づき、実際的な免疫 化プログラムを作成することが可能であることを示差している。 例4インフルエンザウイルスおよびパッセンジャー抗原(OVA)からの標的探索分 子を有するイスコム 方法 粘膜を介する局所的免疫化のための担体粒子としてのイスコムの調製 オバルブミン(OVA)は、粘膜を介して投与される時、低用量では自発的に 免疫応答を誘発しないタンパク質である。さらに、OVAは、自発的にイスコム に取り込まれないタンパク質である。従ってこの実験では、脂質テイルをOVA に結合させる。脂質化OVAおよびインフルエンザウイルスからのエンベロープ タンパク質は、イスコムと一緒に取り込まれた。ウイルスエンベロープタンパク 質(ターゲティングタンパク質)とOVA(パッセンジャー抗原)の両方を含有 するこれらのイスコムは、マウスのi.n.免疫化に使用される。工程1:例2のOVAの脂質化 工程2:インフルエンザウイルスからのエンベロープタンパク質の調製(34頁 を参照) 工程3:エンベロープタンパク質PR8とオバルブミン(OVA)を有するイス コムの調製 1mgのコレステロール(C)、工程2からの350μgのPR8エンベロープ タンパク質、および5mgのキルA(スピコシド(Spikoside)、アドヴェット(A dvet)、ルレア(Lulea)、スベリゲ(Sverige))を、脂質化OVAの溶液に加 えた。溶液の総量は2.7mlであり、これをまずRTで2時間インキュベートし 、そして次にRTで一晩PBSに対して透析し、次に低温(+4℃)で48時間 保存した。 対照実験で、PR8のみを有するイスコムおよび脂質化OVAのみを有するイ スコムを調製した。PR8−イスコムの性状解析 OVA−イスコム(図2A;3A)、PR8−イスコム(図2B;3B)およ びOVA−PR8−イスコム(図2C;3C)を、10〜50%ショ糖勾配で超 遠心分離して性状解析した。1.5mlを越える試料容量は分割し、2つの同じ勾 配で適用させた。試料をTST41.14コントロン(Kontron)ロータで39 ,000rpmで18時間遠心分離した。すべての調製物において、画分5、6、お よび7中のピークとしてタンパク質が検出され、画分6が最大値を示した。粒子 の沈降と形態は、イスコム粒子について予測されることとよく一致する。同じ画 分に放射活性コレステロールとPEが検出されピークがあった。タンパク質レベ ルは、ブラッドフォード(Bradford)に従って測定した。図2は、調製したイス コム粒子について画分の関数としてのコレステロールまたはPEのタンパク質レ ベルと放射活性を示す。マウスでの免疫化実験 5匹ずつ5群のマウス(NMRI)を、以下のスケジュールに従って免疫化し た。: 免疫化物質 投与方法 A OVA−イスコム 5μg抗原 i.n. B OVA/PR8−イスコム 5μg抗原 i.n. C OVA/PR8−イスコム 10μg抗原 i.n. D PR8−イスコム 5μg抗原 i.n. E OVA/PR8−イスコム 5μg抗原 s.c. 用量は、ほぼそれぞれ等量部のOVAとPR8−抗原からなる抗原の総量を示 す。マウスをメトファン(ピットマン・ムーア(Pitman Moore))で麻酔し、上 記スケジュールに記載の用量の抗原を、20μli.n.またはs.c.経路の 場合は200μlの容量で、4週間置いて2回投与した。第1回および第2回の 免疫化の2週間後、血清中の抗体力価をELISA(エー・ボラー(Voller,A. )、エー・バートレット(Bartlett,A.)、ディー・イー・ビッドウェル(Bidw ell,D.E.)、Scand.J.Immuno.8,123−129,1978 )で測定した。上記スケジュールに従って56日目に第3回の免疫化を行なった 。2週間後(70日目)に、マウスを麻酔し、肺の血管をPBS/ヘパリン(0 .1%)で右心室を経由して洗浄した。肺と上気道を切開し、サポニン/PBS −溶液(0.2%)で数時問抽出し、この材料を、例2で記載したようにフリー ザーに保存し、OVAとPR8に対する抗体力価をELISAで測定した。異なるイスコム製剤で免疫化後のOVAとPR8に対する血清抗体応答 図10Aは、インフルエンザウイルスからのエンベロープタンパク質のないO VA−イスコムに比較して、OVA−PR8−イスコムは、2回のi.n.免疫 化後にOVAに対する高い血清抗体応答を誘発し、3回の免疫化後にさらに高く なることを示す。予想されるように、10μgのOVA−PR8−イスコムi. n.は、5μgより高い抗体応答を誘発した。 PR8タンパク質は、「パッセンジャー抗原」OVAについて、投与される粘 膜中で標的探索分子として機能する。文献の情報(モワ(Mowat))を考慮する と、OVA−イスコムが抗体応答誘発に関して明らかな作用を示さなかったこと は、目立ったかつ予想外の特徴である。この差の理由は、上記の製剤で使用され た5μg〜10μgに比較して、従来法では非現実的に高い用量(すなわち、1 00μg〜数百μgのOVA)が使用されるためであることは、明らかである。 後の実験では、10μgのOVA−イスコムがi.n.投与され、これが高い抗 体応答を誘発した(35頁参照)。上記の「標的探索」イスコムで必要な低用量 は、これを免疫化に使用することを現実的に可能にする。 図10Bは、PR8に対する血清抗体応答を示す。PR8を含有するすべての イスコム製剤は、i.n.免疫化後に抗体応答を誘発し、この応答は、2回目の 免疫化後に著しく増強された。肺から抽出された分泌物中の抗体応答 図10Cは、前述の3回の免疫化後の肺から抽出された分泌物中のIgA抗体 応答を示す。標的探索分子としてのPR8−タンパク質のないOVA−イスコム に比較して、5μgおよび10μgのPR8−イスコムは、i.n.免疫化後に 、用量に関連する、明確なIgA抗体応答を誘発した。 s.c.注射したOVA−PR8−イスコムは、肺分泌物中でOVAに対する 抗体応答を誘発しなかった。 図10Dは、PR8−抗原を含有するすべてのイスコム製剤は、PR8に対し て肺分泌物中で高いIgA抗体応答を誘発することを示す。 結論 この実験は、低用量の抗原(例えば、OVA)は、粘膜に投与(ここでは、経 鼻投与)された場合、分泌物と血清中で最適の抗体応答を誘発するために、抗原 をリンパ系に導く処方が必要であることを示す。 標的探索分子またはガイド分子としてPR8を有するイスコムは、この要求を 満たす。 特に、入手できる文献(モワ(Mowat))と後述の実験を考慮すると、PR8 −OVA−イスコムが、標的探索タンパク質のないOVA−イスコムよりはるか に効率的であるということは予想外であった。これは、前述の免疫化で使用され た5μgOVAの低用量により説明される。実験の延長 OVAの粘液ターゲティング分子としてインフルエンザウイルスタンパク質を 使用する本実験は、1.より優れた統計的基礎を達成するため、2.臨床試験で 使用される規定されたキラア(Auillaja)成分703を含有するように、より多 くのマウスを含めた。この実験では、容量を前の実験で使用された45〜40 μlからさらに20μl(これは、マウスの大きさを考慮すると、現実的な容量 である)まで低下させた。イスコムおよびイスコム−マトリックス製剤は、前述 のように調製した。 第1回の実験で、3つのタイプの製剤(すなわち、OVA−イスコム(A)、 OVA/PR8−イスコム(B)および別の物質中のイスコム−マトリックスを 補足した遊離のOVA(C))を比較した。さらにこの計画では、より純粋では ないキラヤ(QA)または規定された703キラヤ製品のいずれかを含有する製 剤でi.n.免疫化したマウスの応答を比較する。 6週間置いて行なった2回の投与による免疫化スケジュールは、以下の通りで ある: 総抗原量 QA/703投与量 群1 OVA−イスコムQAi.n. 8μg 65μg 群2 OVA−イスコム703i.n. 8μg 65μg 群3 OVA/PR8−イスコムQAi.n. 16μg 75μg 群4 OVA/PR8−イスコム703i.n. 16μg 65μg 群7 遊離OVA−マトリックスQAi.n. 10μg 50μg 群9 遊離OVA−マトリックス703i.n. 10μg 50μg 10 遊離OVA非アジュバント化i.n. 10μg − 対照11 無関係の抗原 65μg 結果 パッセンジャー抗原OVAに対する血清抗体応答。第1および第2の免疫化後 に、抗体応答は、イスコム製剤を投与されたマウス(A、BおよびC)より、マ トリックス−製剤を投与されたマウスの方が一般的に高かった。2回目の免疫化 後の総抗体応答(図10Fに結果が要約されている)は、マトリックスと別の物 質として混合したOVAを有する製剤で最も高かった(C)。規定のキラヤ成分 (すなわち、703)を含有する製剤は、より純粋でないOVA(2対1;4対 3;9対7)より、OVAに対してわずかに高いIgG力価を示した。IgG2 aサブクラス中の抗体応答も、703製剤で高かった。 IgG2a応答は、OVA+イスコム−マトリックスでs.c.免疫化したマ ウス群の血清で最も高かった。ヒトでの使用に関して最も興味深いことは、規定 のキラヤ成分703は、より純粋でないスピコシド(Spikoside)(QA)ベー スの製剤より優れていることはなくても、同等に有効な血清抗体応答のインデュ ーサーであるということである。 第2の実験で、i.n.免疫化後のELISAで測定したOVAに対する血清 抗体応答を、皮下(s.c.)経路で免疫化したマウスと比較した。免疫化スケ ジュールは、6週間置いて2回投与して行い、以下のように行なった: 抗原量 QA/7O3投与量 群3 OVA/PR8−イスコムQAi.n. 16μg 75μg 群4 OVA/PR8−イスコム703i.n.16μg 65μg 群5 OVA/PR8−イスコム703s.c. 5μg 21μg 群6 OVA+マトリックスQAs.c. 20μg 10μg 群8 OVA+マトリックス703s.c. 20μg 10μg 結果OVAに対する血清抗体応答 2回の免疫化後にELISAで行なった血清抗体応答の分析は、驚くべきこと に、i.n.免疫化は、s.c.投与により誘発されるのと同様の強さの抗体応 答(図10g)を引き起こすことを示した。最も高い投与量(104.3)は、Q Aまたは703キラヤ−成分(103.9)と一緒のOVA/PR8−イスコムと 比較して、s.c.免疫化したイスコム−マトリックスをアジュバントとする遊 離のOVAで誘発された。OVAに対する分泌物中のIgA応答 OVAに対するIgA応答を、肺(図10H)と生殖器官(図101)からの 分泌物中で測定した。異なる群の免疫化スケジュールを23および24頁に記載 する。 肺:(図10H)OVAに対する最も高いIgA応答は、703(4)または QA(3)のいずれかとのOVA/PR8である、703−マトリックスを補 足した遊離のOVA(9)で得られた。離れた臓器の生殖器官中の抗−OVA IgA応答の誘発 : 図101は、OV Aに対する最も高いIgA応答は、703キラヤ成分(103.3+0.53)で調製し たOVA/PR8−イスコム703(4)により誘発されたことを示す。この応 答は、別の物質中で混合され補足されたOVAのi.n.投与により誘発された ものより有意に高かった(7,9)。このIgA応答は、肺分泌物中で誘発され たものと同様のレベルである。OVA−イスコム(703)により驚くほど高い IgA抗体応答が誘発されたが、これはOVA/PR8−イスコム(703)に より誘発されたものより低かった(102.9+0.40対103.3+0.53)。血清および分泌物中のインフルエンザ(PR8)ウイルス抗原に対する応答 標題に記載の応答は、本例および以前の例に記載のものと一般的に一致する。 しかし、703を含有するOVA/PR8イスコムの2回のi.n.免疫化後、 最も高い血清IgG2a応答を誘発することは注目すべきである。IgG1に比 較して、血清中のIgG2a力価は時間とともに増加した。試験した血清抗体応 答は、3回目の放血からであり、この血清抗体応答は、s.c.投与により誘発 されるものに匹敵することを示している。 結論 イスコムに取り込まれたインフルエンザウイルスのエンベロープタンパク質は 、この場合はOVAに対する特異的IgA抗体により測定される免疫応答を、こ こでは生殖器官により例示される遠くの粘膜部位に導くことは、特に興味深い。 キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria molina)起源の規定された 成分703は、我々および他の研究者による以前の実験で使用されたあまり精製 していないキルAまたはスピコシド(Spikoside)より優れていることはないと しても少なくとも同様に有効である。これは、実験で証明されるまでは、予測で きなかった。イスコム−マトリックス製剤は、抗原のi.n.投与後の血清抗体 応答の誘発については、イスコムよりイスコム−マトリックス製剤が、同等にま たはそれ以上に有効であることは予想外である。これに対して、特に粘膜ターゲ ティング分子(PR8−タンパク質)を有するイスコムは、特に離れた臓器で特 異的分泌性IgA応答を誘発するのに、試験した他の製剤より有効であった。肺 分 泌物中の高いIgA応答は予想外に高いが、離れた生殖器官の粘膜で高いIgA 応答があることは、さらに予想外である。703とともにインフルエンザウイル スイスコムをi.n.投与すると、より純粋ではないキルAイスコムより有効に 、血清中で測定されるIgG2a応答を調節することも予想外であった。 例5 単純ヘルペス2(HSV−2)は、ヒトで高率(最大10%)に生殖器官の感 染を引き起こし、重い病変と苦痛を引き起こすことがある。HSV−2は、いく つかのエンベロープタンパク質を含有するエンベロープを有するウイルスである 。このうちの2つであるグリコプロテインB(gB2)とグリコプロテインD( gD2)は、抗原であると考えられ、正しい型の免疫応答を誘発するなら、最適 条件下で疾患や感染に対する防御の誘発において最も重要である。HSV−2に よる感染は、生殖器官を介して起きるため、生殖器官の粘膜中のHSV−2に対 する免疫応答を誘発することが好ましい。以下の実験で、我々は、gB2の異な る製剤を調製し、血清中と、呼吸器官、生殖器官および小腸からの分泌物中の免 疫応答を調べた。例2のように、PR8からのエンベロープタンパク質は、標的 探索分子として使用され、エンベロープタンパク質gB2はパッセンジャー抗原 として使用されている。異なるgB2−製剤の調製 gB2は、カイロン(Chiron)(カリホルニア州、アメリカ合衆国)から組換 え生成物として得た。 イスコム−マトリックス、すなわち抗原のないイスコムは、アドヴェット(Ad vet)AB、ルレア(Lulea)、スエーデン)から得た。 gB2とgD2はそれぞれ、例2に記載の方法と同様に、脂質化され、イスコ ム中に取り込まれた。 8匹の6群のマウス(NMRI)メス、18〜20g、ナショナル・ベテリナ リー・インスチチュート(National Veterinary Institute)(SVA))を、 以下のスケジュールに従って免疫化した。 免疫原 抗原当たりの投与量 1 gB2−イスコム 10μg 2 gB2/PR8−イスコム 10μg 5 gB2+イスコム−マトリックス 10μg 7 gB2 10μg 9 対照 10μg マウスは無関係の 抗原で免疫化した マウスを2回(0週と9週)i.n.免疫化し、追加免疫の2週間後(77日 目)、1群当たり4匹のマウスの肺から分泌物を取り出した。113日目に残り のマウスから、肺、上気道、小腸および生殖器官を取り出して、臓器分泌物を得 て、分泌物を分泌性IgAについて解析した。これらの臓器の抽出物を、例2に 記載のように回収した。抗体応答を、例2に記載のようにELISAで試験した 。臓器中の抗体応答は、77日目から各試料について試験した。113日目から の試料は、それぞれ各臓器と群からの群試料として試験した。 結果肺分泌物中のgB2に対するIgA抗体応答 追加免疫の2週間後、遊離型のgB2(群7)は、ELISAで抗体応答を誘 発しなかった(図11A)。最も高いIgA(104.8)力価は、群2のマウス 、すなわちgB2/PR8−イスコム(すなわち、標的探索分子としてPR8エ ンベロープタンパク質を有する)で、i.n.追加免疫の2週間後(77日目) に得られた。標的探索分子のないgB2−イスコム(102.4)およびイスコム −マトリックスを有するgB2(103.7)もまた、肺分泌物中で比較的高い抗 体力価を誘発したが、それぞれ10倍および100倍低い力価であった。 113日目に、残りのマウスの肺分泌物中の抗体応答を測定した。抗体力価は 顕著に低下したが、77日目にも同じ抗体応答のパターンが観察された。投与部位とは別の粘膜中の分泌性IgA応答 図11Bにおいて、異なる分泌物(プールした群)(すなわち、上気道、生殖 器官および肺)中のgB2に対する、2回の免疫化後のIgA応答が証明された 。 gB2−イスコム、gB2/PR8−イスコムおよびイスコム−マトリックスと 混合したgB2で免疫化後の生殖器官中で、gB2に対する比較的高いIgA応 答が得られた。上気道では、イスコム−マトリックスを補足したgB2による免 疫化後のIgA応答は、gB2−イスコムおよびgB2/PR8−イスコムで免 疫化後のものより低かった。PR8に対する抗体応答 gB2/PR8−イスコム製剤中に含有されたPR8抗原に対して、分泌物お よび血清の両方で高レベルの抗体が観察された。対照群のマウスは、血清または 肺分泌物中で、検出できるIgGまたはIgA抗体応答はなかった(データは示 していない)。gB2に対する血清抗体応答 2回目のi.n.免疫化の2週間後(77日目)のgB2に対する総IgG血 清抗体応答(データは示していない)。77日目にELISAで測定した最も高 い総血清抗体応答は、gB2/PR8−イスコム、および別の物質中でイスコム −マトリックスで補足したgB2中で誘発された。gB2単独(7)でも、i. n.投与により明瞭な特異的血清抗体力価を誘発したが、イスコムマトリックス やイスコム製剤に比較して10倍またはそれ以上低かった。予防接種後113日 目までに、総血清力価は上昇したか、または同じレベルに維持されたが、GB− 2単独による調製物では、血清力価は顕著に低下した。 IgG1血清抗体応答は、イスコム−マトリックスgB2製剤についての105.2 およびgB2イスコムについての105.3に比較して、106.5でgB2/P R8について最も高かった。gB2単独の製剤は、ほとんど100倍低い血清力 価を誘発した。 113日目までに、イスコムまたはイスコムマトリックス製剤により誘発され るIgG1力価は、増加したかまたは106より上に維持されたが、gB2単独 については力価は10倍低下した(データは示していない)。 IgG2a血清抗体応答は、77日目までにgB2−マトリックス(105.0 )、およびgB−2/PR8−イスコム(104.8)について最も高く、gB2 −イスコムとgB2単独については約10倍低かった(図11c)。 113日目までに、IgG2血清抗体力価は、イスコムとイスコムマトリック ス製剤について10倍またはそれ以上増加し、一方GB−2単独についての血清 IgG2力価は大きく低下した。 結論血清抗体応答 gB2タンパク質は、IgG1とIgG2aサブクラスの両方で血清抗体応答 を誘発し、これは77日目に最も高かった。2回目のi.n.免疫化の5週間後 (113日目)に、IgG1とIgG2a抗体力価は、大きく低下した。これに 対して、gB2−イスコムとgB2/PR8−イスコム製剤およびイスコムマト リックス製剤で免疫化したマウスは、総抗体力価およびサブクラスIgG1とI gG2a血清抗体力価が10倍またはそれ以上増加した。これらの結果は、粘膜 投与後にイスコムおよびイスコムマトリックス製剤は、非アジュバント化gB2 に比較して免疫応答の有意な延長を誘発することを明瞭に示す。 gB2/PR8−イスコムおよびgB2/イスコム−マトリックス製剤は、I gG2a応答の誘発に関して、試験した他の製剤より有効である。 gB2単独は、免疫グロブリンに対する本来の能力を有し、IgG1およびI gG2a抗体応答を誘発する能力を有する。後者は、インターフェロン−γ−産 生を必要とすると考えられる。これらの結果は、i.n.経路ではgD2自身は 免疫原性が弱く、IgG2a応答を調節する能力を持たないことを示す例6のg D2の結果とは対照的である。我々の結果もまた、バイスタンダー(bystander )タンパク質についてさえ、gB2は免疫応答の調節に有用であるかも知れない ことを示す。 gB2は、自己凝集する性質を有し、キラヤ成分と凝集および結合し(データ は示していない)、これは、gB2とgD2の差異を部分的に説明し、後者は親 水性が強く、自発的に凝集またはキラヤまたはキラヤ成分と結合する傾向はない 。 例6 本例は、イスコムに取り込まれたインフルエンザウイルス抗原(PR8)が、 いくつかの粘膜(すなわち、肺、上気道、および生殖器官)のリンパ系に対する 標的探索物として作用することを証明する。パッセンジャー抗原は、生殖器官に 疾患を引き起こす単純ヘルペス2(HSV−2)からのgD2から構成され、従 ってHSV−2に対するワクチンは好ましい。 gD2は、例2のOVAと同じ方法で脂質化される。イスコムは例2および例 5と同じ方法で調製した。マトリックスは、アドヴェット(Advet)AB、ルレ ア(Lulea)、スエーデン、から得た。 免疫原 抗原当たりの投与量 3 gD2−イスコム 10μg 4 gD2/PR8−イスコム 10μg 6 gD2+イスコム−マトリックス 10μg 8 gD2 10μg 10 対照 マウスは、gB2について例5に記載のスケジュールと同じスケジュールに従 って免疫化した。抗体応答は、例2に記載のELISAで試験した。臓器の抗体 応答は、77日目に各試料で試験した。113からの試料を、それぞれ各臓器お よび各群についての群試料として試験した。 結果異なるgD2製剤によるi.n.免疫化後の肺分泌物中の分泌性IgA応答 図12Aは、肺分泌物中の最も高いIgA応答は、群3、4、および6のマウ ス、すなわちそれぞれgD2−イスコム、gD2/PR8−イスコム、およびイ スコム−マトリックスと混合したgD2で得られたことを示す。投与の部位から離れた粘膜中の分泌性IgA応答 図12Aは、2回のi.n.免疫化後に、イスコムまたはイスコム−マトリッ クスを有する他の製剤とは異なり、生殖器官の分泌物は、標的探索分子を有する gD2−イスコム(gD2/PR8−イスコム)で有効なIgA応答を誘発する ことを示す。PR8に対する抗体応答 PR8、一部のgD2/PR8−イスコム製剤に対する高い抗体応答が、分泌 物と血清で観察された。gD2に対する血清抗体応答 2回目のi.n.免疫化の2週間後(77日目)のgD2に対する血清抗体応 答を図12cに示す。gD2は、例5にも示すようにgB2が凝集して、アジュ バントを加えなくてもそれ自身比較的免疫原性であるという点で、gB2とは異 なる。この性質はまた、「生来の」免疫調節能力を示す。gB2はgD2とは対 照的に、イスコムおよびイスコム−マトリックスと効率的に結合して、低比率の キラヤ/gB2で、凝集物を形成する。これに対して、gD2は親水性、モノマ ー性であり、アジュバントの補足なしでは免疫原性が弱い。 ELISAで測定した最も高い総血清抗体応答は、77日目でgD2−イスコ ムによりgD2/PR8−イスコムにより誘発された。gB2単独とは対照的に gD2自身(8)(図12c)は、i.n.投与により測定できる血清抗体応答 を誘発しなかったことが、最も顕著である。IgG1血清抗体応答は、gD2- イスコム(3)およびgD2/PR8−イスコム(4)で最も高く、gD2/イ スコム−マトリックス製剤より10倍かつ有意に高かった(図12c)。77日 目までに、IgG2a血清抗体力価は、gD2−イスコムについてよりgD2/ PR8−イスコムについてかなりまたは300倍高く、gD2/イスコム−マト リックス製剤についてより500倍高かった。 最初の免疫化後113日までに、総血清抗体応答は、gD2−イスコムおよび gD2/PR8−イスコムについて77日についてとほぼ同じレベルで維持され 、gD2マトリックス製剤も、イスコムのレベルに達した(104.8)。113 日目に、IgG1レベルは、イスコムとイスコムマトリックス製剤について同様 であった。しかしgD2に対するIgG2a応答は、ターゲティングタンパク質 のないgD2−イスコムおよびイスコム−マトリックスを補足したgD2より、 gD2/PR8−イスコム製剤でi.n.免疫化したマウスの血清中で10倍高 く、すなわち104.1であった。 結論 gD2タンパク質自身は例5のgB2と異なり、特異的IgG2a応答を産生 する能力を含む免疫応答を誘発し調節する能力は小さい。後者は、インターフェ ロン−γ−産生を有するTh1タイプの応答の参加を反映すると考えられる。g D2/PR8−イスコム、すなわち粘膜ガイディングまたはターゲティング分子 を有するイスコムは、i.n.経路により血清抗体応答を誘発する強い能力、お よびヘルペスウイルス感染症に対する防御のための重要なタイプの免疫応答と考 えられるIgG2a血清抗体応答を誘発(調節)する、非常に強く明瞭な能力を 示した。 最も重要なことは、本例は、パッセンジャー抗原(gD2)とイスコムの組合 せは、それ自身では免疫学的にやや不活性であるが、免疫学的に活性なタンパク 質分子(PR8分子)が粘膜モードで投与した後に免疫系を活発にターゲティン グし免疫系を活性化する分子として作用して、パッセンジャー抗原を、強力な粘 膜抗原、この場合免疫原性の高いgD2分子に変換している。 例7 マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)亜種ミコイデス(Mm mSC)は、伝染性ウシ胸膜胃炎(CBPP)の原因菌であり、これは家畜ウシ の大きな経済的損失の原因である。これは、多くのアフリカ諸国およびアジアの いくつかの国ならびにヨーロッパ南部(すなわち、ポルトガルやスペイン)に広 がっている。長い潜伏期間中、感染したウシは無症状であり、そのため撲滅が困 難であり、この疾患に対する有効な制御手段が非常に重要である。19世紀の初 めから、種々の弱毒化ワクチン株および不活性化ワクチンなどで予防接種努力が 続けられている(ジェイ・ウォーカー(Walker,J.)、Ann.Rep.Dep t.Agric.Kenya、p.240−243、ナイロビ、1929;ジー ・クラソン(Curasson,G.)、Bull.Acad.Vet.Fr.5,179 −184,1932;ジェイ・アール・ハドソン(Hudson,J.R.)、Austr alian Vet.J.41,43−49,1965)。 それでも、呼吸器官を介して起きる自然の感染に対して長期間の防御作用を誘 発する有効なワクチンは、欠如している。本例において我々は、洗浄剤可溶化に より微生物から放出されたマイコプラズマ・ミコイデス(M.mycoides)抗原を 含有するイスコムのi.n.投与後の免疫応答を解析する。材料と方法 化学物質および溶液 例2のPBS。 サポニン(シグマ(Sigma)、No.S−1252)またはQA(アドヴェット (Advet)AB、ストックホルム、スエーデン)、例2を参照。 洗浄剤オクチルグルカシド(OG)は、ベーリンガーマンハイム(Boehringer-M annheim)(ドイツ)から購入した。これは10%のストック水溶液として使用 した。 洗浄剤メガ−10は、バッケム(Bachem)(ブベンドルト(Bubendort)、スイ ス)から得た。 キルA(スピコシド(Spikoside))は、アドヴェット(Advet)AB(ストック ホルム、スエーデン)から得た(例2)。 卵黄からの脂質のコレステロールと1−3−ホスファチジルコリン(いずれも9 9%〜100%)、サイログルブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、サブス タンスDAB、ビオチン化レクチン;ConA、WGA、SBA、UEAおよび HRP結合ストレプトアビジンは、シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ 州)から得た。 HRP標識ウサギ抗マウス免疫グロブリンは、ダコパッツ(Dakopatts)(コペ ンハーゲン、デンマーク)から得た。 TMB試薬、過酸化水素およびコーティング緩衝液錠剤は、スバノバ・バイオテ ク(SVANOVA Biotech)(ウプサラ(Uppsala)、スエーデン)から購入した。 ツイーン−20は、メルク(Merck)(ダルムスタット(Darmstadt)、ドイツ) から得た。 マイコプラズマ(Mycoplasma) MmmSCのAfade株およびT1/44は、パソトロップ・ラボラトリー (Pathotrop laboratory)(シラ−イーエムブイティー(CIRAD-EMVT)、モント ペリエ(Montpellier)、フランス)から供給された。 イスコムの生成 全MmmSc細胞イスコムは、PR8について記載したように調製した。簡単 に説明すると、5ml中の約5mgのマイコプラズマ試料に、洗浄剤MEGA−10 またはOGを最終濃度2%になるように加え、室温で2時間放置した。可溶化し た物質(5ml)を、下にPBS中30%ショ糖層を有する、0.5%MEGA− 10または0.5%OGを含有する2mlの容量中の10%ショ糖の上に重層した 。可溶化したタンパク質を、TST41.14ロータ中で20℃で1時間40, 000rpmで遠心分離して、不溶性の物質から分離した。試料容量と10%ショ 糖層からなる上層を集め、コレステロール、ホスファチジルコリンおよびキルA を加え、10:2:1:20の比率で混合し、室温で一晩および低温室中で48 時間、PBSに対して充分透析した。生成したイスコムを、TST41.14ロ ータ中で10%と20%のショ糖の2重層を介して39,000rpmで10℃で 19時間沈降させて、取り込まれなかったタンパク質からさらに精製した。沈降 したイスコムをPBSに再懸濁し、使用するまで−70℃に保存した。 マウスのi.n.免疫化 マウスでのAfade株イスコムのMmsmSCのi.n.投与は、麻酔下( メトファン)のマウスの鼻腔に抗原を入れて行なった。8週令の12匹のメスの Balb/Cマウスを、各3匹の4群に分けた。群1、2、および3のマウスに それぞれ3、10および20μgのイスコムワクチンを、7週間置いて2回与え た。群4は、非免疫対照マウスである。最初の投与後2、4および7週にマウス を放血させ、追加免疫の2週間後に、もう一度採血した。 肺抽出物の調製は、例2に記載のように行なった。 血液および肺抽出物中のIgAのELISA コーティング緩衝液(50mM炭酸緩衝液、pH9.6)中の0.4μg/mlのA fade株のMmsmSC細胞100μlでELISAプレートをコーティング し、+4℃で一晩またはそれ以上インキュベートした。すべての洗浄(×3)は 、0.2%ツイーン−20含有PBS(150mM、pH7.5)(PBS−T) で行なった。ウェルを、PBS−T中2%BSA 200μlで室温で1時間攪 拌しながらブロッキングした。ブロッキング緩衝液中の100μlの肺懸濁液上 清または血清を、2倍希釈し、室温で一晩インキュベートした。ブロッキング緩 衝液中のHPR−ストレプトアビジン結合体の1:10,000希釈液100μ lを加え、室温で1時間インキュベートした。200μlの基質緩衝液(T MB、過酸化水素)を添加して室温で15〜20分間酵素反応物を視覚化し、次 に50μlの2N硫酸を加えて反応を停止させ、タイターテク・マルチスキャン (Titertek Multiscan)分光光度計で450nmで吸光度を測定した。陰性対照動 物からの肺懸濁液と血清をバックグランドとして使用し、カットオフを計算した 。ウェスタンブロット エィチ・タウビン(Towbin,H.)、ティー・ステーレイン(Staehlein,T.) およびジェイ・ゴージン(Gordin,J.)、Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 4350−4354,1979に従って、シュレイチェー・アンド ・シュエル(Schleicher and Schuell)(ドイツ)のニトロセルロースペーパー を使用して、ウェスタンブロットを行なった。イスコムと全MmsmSC抗原は 、12%SDS−ゲルに溶解した。 結果 総血清抗体応答は、ELISAにより測定した。4週目まで、一定の抗体の増 加が得られた。マウスに追加免疫後、2週間後に血清抗体レベルの3〜5倍の上 昇を記録した。抗体応答は、投与量の増加とともに上昇し、エンドポイント力価 は約106になった。(図13A)。 血清(図13b)中と肺分泌物(図13C)抽出物中のIgA応答をELIS Aで測定した。分泌性IgAレベルは、1:8000の希釈率まで検出された。 ほぼ同様のIgA力価が血清中で観察された。IgA力価は、投与量の増加とと もに上昇した。 ウェスタンブロットにおいて、イスコムでi.n.免疫化したマウスの肺分泌 物では約10のポリペプチドバンドが検出され、同じマウスの血清に20を越え るバンドが検出された。s.c.免疫化マウスの血清では、i.n.経路で免疫 化したマウスの血清とは異なるタンパク質(図13D)が検出された。肺抽出物 (A)では、約10バンドが検出され、2つ以外はすべて、i.n.免疫化マウ スの血清に検出された(矢印を参照)。i.n.経路により検出された抗原は、 糖脂質であり、炭水化物構造に典型的な不連続な外観ではなくふわふわした外観 で示される。これは、i.n.免疫化は、他の投与方法では免疫原性でない抗原 で免疫化するための、炭水化物に対する免疫化の迫加のシナリオを開くものであ る。 結論 結果は、ウェスタンブロット(WB)により明らかになった約10の抗原はI gA応答を誘発するため、マイコプラズマ抗原は、標的探索分子としておよびパ ッセンジャー抗原として作用することを示す。特に興味深くかつ予想外であるこ とは、i.n.免疫化されたマウスの血清を使用してWBで検出された抗原群は 、s.c.免疫化されたマウスの血清を使用して得られたものとは異なることで ある。これは、i.n.経路は、非経口投与経路ではできない抗原に対する免疫 応答を誘発するのに使用できることを意味する。i.n.免疫化したマウスの血 清でWBによりバンドとして検出された抗原の多くは、s.c.経路で免疫化し たマウスの血清で検出されるものとは別であった。この現象は、炭水化物構造が i.n.経路で検出されること、そしてi.n.経路は、非経口投与(s.c. )モードの免疫化では認識されない抗原または抗原決定基(例えば、炭水化物構 造)に対する免疫応答を誘発するための代替として使用できることを、強く示唆 する。ニューモコッカス・ニューモニア(Pneumococcus pneumonia)、ヘモフィ ルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)およびストレプトコッカス・ ニューモニア(Streptococcus pneumonia)のような種々の細菌で多糖に対する 免疫応答の誘発が最も重要である。 例8イスコム−マトリックスをアジュバントとする不活性化ロタウイルスの経口投与 により子羊で誘発される防御性粘膜免疫 概論 ロタウイルスは、先進国および開発途上国の両方で5才を越える子供の重症の 下痢性疾患の主原因であり、毎年この年令群で約870,000例の死亡と数百 万例の重症の下痢を引き起こしていると認められている。これらは、多くの家畜 動物種の新生児の下痢の原因として、同様に重要である。ウサギで原発性の粘膜 性免疫応答を記載する研究を除いては、この応答の詳細な解析はほとんどない。 本例では、我々は、不活性化ウシロタウイルスとイスコム−マトリックスによ る経口免疫化後に粘膜性免疫応答ならびに全身性応答が誘発され、これが、以後 の生きた病原性ウイルスの抗原刺激に対して防御的免疫応答を引き起こすという 仮説を評価した。この実験の子羊(6日令)は非常に若く、成体ほど免疫応答性 でなく(ジェイ・ピー・リッジ(Ridge,J.P.)、イー・ジェイ・フックス(Fuc hs,E.J.)、ピー・マジンガー(Matzinger,P.)、Scinece 271, 1723−26,1966;アール・イー・ビリンガム(Billingham,R.E.) 、エル・ブレント(Brent,L.)、ピー・ビー・メダワー(Medawar,P.B.)、N ature 172,603,1953;エー・バンデイラ(Bandeira,A.)、 エー・クチンホ(coutinho,A.)、シー・カルノー(Carnaud,C.)、エフ.ジ ャッケマート(Jacquemart,F.)、エル・フォルニ(Forni,L.)、Proc. Natl.Acad.Sci.USA 86,272,1989;シュルマンス (Shurmans)ら、J.Immunol.145,2465,1990)、ある期 間母親の抗体が優勢であると予想され、このため予防接種がさらに困難である。 このため、経口粘膜投与と最近のアジュバント系の組合せが、新生児免疫化の問 題を克服できるかどうかを調べることは、非常に興味深いであろう。 材料と方法ウイルス ワクチンウイルスは、MA104細胞中で増殖させたウシロタウイルスUK株 である。不活性化の前の感染性力価は、106.8蛍光焦点単位(ffu/ml)であり 、5%(v/v)の0.1Mの二成分エチレンイミン(BEI)溶液で37℃で2 4時間処理後、感染は検出されなかった。無菌の子羊中で継代した病原性の子羊 ロタウイルスK923株を、抗原投与に使用した。各子羊に、5mlの無菌PBS に懸濁した108.5ffuを与えた。 実験計画 子羊は、無菌隔離装置中で生まれ維持された。6日令の子羊に、PBSと50 0μgのイスコムマトリックス(アドヴェット(Advet)、ウプサラ(Uppsala) 、スエーデン)(PBS/ISC;n=6)、不活性化ウシロタウイルス(UK 株)および500μgのイスコムマトリックス(RV/ISC;n=5)、また は不活性化ウシロタウイルス単独(RV;n=3)の混合物を、経 口接種した。21日後に子羊に、病原性の羊のロタウイルス(K923株)を抗 原投与し、抗原投与後1〜2週間後に屠殺した。 試料採取と解析 最初の免疫化で血清のための血液と鼻分泌物を採取し、次に定期的な間隔でE LISAにより特異的および全IgAおよびIgG抗体のレベルを、そしてウイ ルス中和試験により中和力価を測定した。ロタウイルスの排泄が検出されなくな るまで、免疫化と抗原投与後に毎日、糞試料を採取した。ドデシル硫酸ナトリウ ム−ボリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により2本鎖RNA を検出して、ロタウイルス排泄を測定した。最初の免疫化の時と次に毎週PBL を採取して、特異的IgAとIgGを分泌する細胞をELISPOTで測定し、 リンパ球亜集団の分布をFACS解析で測定した。抗原投与後1〜2週間後に子 羊を屠殺し、空腸パイエル板(JPP)、回腸パイエル板(IPP)、腸間膜リ ンパ節(MLN)および小腸上皮リンパ球と粘膜固有層リンパ球(IELとLP L)からリンパ球集団を単離した。JPP、MLNおよびLPL中の特異的Ig AおよびIgG産生細胞の数を、ELISPOTで測定した。リンパ球亜集団を FACSで解析した。MLNとJPP中のサイトカイン発現(γ−IFN、IL −2、およびIL−4)を、RT−PCRとハイブリダイゼーションにより視覚 化した。小腸分泌物中の特異的および総IgAおよびIgG抗体のレベルと中和 力価は、小腸粘液を使用して測定した。 リンパ球単離 既に記載されているように(エヌ・ケー・プリ(Puri,N.K.)、シー・アール ・マッケイ(MacKay,C.R.),エム・アール・ブランドン(Brandon,M.R.)、 Immunology 55,725−33,1985)末梢血リンパ球を集め 、適当な濃度で、1mMグルタミン、100単位/mlペニシリン、0.1mg/mlス トレプトマイシン、2μg/mlアンホテリシンB(シグマ(Sigma)、セントルイ ス、ミズーリ州)を含有する完全IMDM中に再懸濁し、既に記載されているよ うに処理した。最終的にリンパ球を、完全IMDMに適当な濃度で懸濁した。小 腸片を集め、既に記載されている方法を若干修飾して処理した。小腸を10cmの 切片に切断し、反転させ、2mMEDTAを含有するがカルシウムとマグネシウム を含 有しないHBSS中で静かに攪拌しながら37℃で3回洗浄して、上皮細胞と上 皮内リンパ球を除去した。組織をRPMI1640中で洗浄し、1mMグルタミン 、100単位/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、2μg/mlアン ホテリシンB、5μg/mlゲンタマイシン、80単位/mlコラゲナーゼXi(シグマ (Sigma))、0.1mg/mlデオキシリボヌクレアーゼV型(シグマ(Sigma)) 、および10%FCSを含有する37℃のRPMI中に入れ、粘膜固有層リンパ 球を除去した。LELとLPL懸濁液を、当量のリンホプレップ(Lympho prep(登録商標))に重層した無菌のガラスウールカラムに通し、遠心分離 した。界面のリンパ球を採取し、1mMグルタミン、100単位/mlペニシリン、 0.1mg/mlストレプトマイシン、2μg/mlアンホテリシンB、および2%FC Sを含有するHBSS中で2回洗浄後、適当な濃度で完全IMDMに懸濁した。測定法 ウイルス中和測定法。ウシロタウイルスUK株および子羊ロタウイルスK92 3株についてのウイルス中和測定法は、マイクロタイタープレート中で行い、エ ンドポイントまたはウイルス中和力価(VNT)は、蛍光焦点単位の60%低下 により測定した。 ELISA。特異的ロタウイルスELISAでは、ウサギ抗ロタウイルス補足 血清、子羊RV K923および陰性抗原結合対照として非感染MA104抽出 物でコーティングしたマイクロタイタープレート(ヌンク(Nunc)、マキシソル ブ(Maxisorb))、試験試料および対照試料、西洋ワサビペルオキシダーゼ−結 合ロバ抗ヒツジIgG(ザ・バインディング・サイト(The Binding Site))ま たはマウス抗ウシIgAを使用し、結合したペルオキシダーゼに基質過酸化水素 およびo−フェジレンジアミンジヒドロクロリドを加えて発色させた。2Mの硫 酸を加えて反応を停止させ、490nmで吸光度を測定した。対応するK923ウ ェルから陰性ウェルの値を引いて、真の吸光度を計算した。 総イソタイプELISAでは、ウサギ抗ヒツジIgG(ダコ(DAKO))または ブタ抗ヒツジIgAでコーティングしたマイクロタイタープレート、試験試料、 希釈剤、および対照試料、西洋ワサビペルオキシダーゼ−結合ウサギ抗ヒツジI gG(ピアス(Pierce))またはマウス抗ウシIgAを使用し、上記と同様に発 色させた。希釈剤ウェル中のOD値は、対応する試験ウェルから引いた。各EL ISAについて、標準物質を使用した:総IgG ELISAについては高度免 疫子羊血清、IgG濃度9,600mg/L;総IgA ELISAについてはヒツ ジレトロウイルス(ジャーグジークテ(Jaagsiekte))(JSRV)で感染させ たヒツジの清澄化した肺液から精製したIgAのバッチ。各標準物質は、8つの 2倍希釈で測定し、任意の抗体単位またはmg/mlの関数としての真の吸光度をそ れぞれ、lin−logシグモイド曲線に適合させた。各場合で、得られた標準 曲線は、r>0.95の適合性であった。得られるパラメータを次に、各試料を 試験した希釈率を考慮して、各試験試料について抗体単位または濃度(mg/ml) に内挿した。特異的および総ELISAの結果を合わせ、IgGまたはIgAの 単位/mlで表した。 ELISPOT。イソタイプ抗ロタウイルスELISPOTでは、マウス抗ロ タウイルス補足血清でコーティングしたマイクロタイタープレート(ヌンク(Nu nc)、マキシソルブ(Maxisorb))、5μg/mlの濃度の抗原としてのショ糖精製 したロタウイルスUK株、PBL懸濁物(5×105細胞/ml)、西洋ワサビペ ルオキシダーゼ−結合ウサギ抗ヒツジIgG(ピアス(Pierce))またはマウス 抗ウシIgAを使用し、結合したペルオキシダーゼに基質である過酸化水素と3 −アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)を加えて、スポットを視覚化した 。スポットが見えた時、基質を振り落として反応を停止させた。スポットを計測 (6重測定の平均)し、106リンパ球当たりのスポット形成単位として表した 。 FACS解析。リンパ球亜集団は、ヒツジCD4(17D)(シー・アール・ マッケイ(MacKay,C.R.),ダブリュー・アール・ヘイン(Hein,W.R.)、エム ・エィチ・ブラウン(Brown,M.H.)、ピー・マジンガー(Matzinger,P.)、E ur.J.Immunol.18,1681−8,1988;ジェイ・エフ・マ ドックス(Maddox J.F.)、シー・アール・マッケイ(MacKay,C.R.),エム・ アール・ブランドン(Brandon,M.R.)、Immunology 55,739 −48,1985)、CD8(7C2)(ジェイ・エフ・マドックス(Maddox J.F.)、シー・アール・マッケイ(MacKay,C.R.),エム・アール・ブランドン (Brandon,M.R.)、Immunology 55,739−48,1985) 、γδTCR(86D)。軽鎖(VPM8)(エヌ・ケー・プリ(Puri,N.K.) 、シー・アール・マッケイ(MacKay,C.R.),エム・アール・ブランドン(Bran don,M.R.)、Immunology 55,725−33,1985)、およ びCD45R(73B)(マッケイ(MacKay,C.R.),ダブリュー・エル・マー ストン(Marston,W.L.)、エル・ダドラー(Dudler,L.)、J.Exp.Me d.171,801.17,1990)に特異的なマウスモノクローナルのパネ ルを用いて測定した。第2抗体であるフルオレセイン標識ウサギ抗マウスIgG (ダコ(DAKO))を添加し、細胞を走査し、FACScan(登録商標)(ベク トンディッキンソン社(Becton Dickinson Ltd)で計測した。 結果予防接種後 免疫化後の血液中の特異的IgG抗体のレベルは、RVイスコムマトリックス により予防接種した動物についてよりも高かった(図14A)。両方のRV予防 接種群中の免疫化後21日目のCD4+細胞の有意に高い比率(図14B)。C D45R+細胞(図14C)は、RV/ISC−マトリックスで予防接種した群 でのみ血液中に記録されたことは、これらの細胞は記憶細胞であり、ロタウイル スによる以後の感染についての迅速な応答の基礎となることを考慮すると、非常 に重要である。興味深いことに、PBS/ISC−マトリックス(すなわち、抗 原のない群)は、CD4+細胞の増加を示さなかったが、有意に高い比率のγδ TCR細胞を示した(データは示していない)。感染後の抗原投与 抗原投与感染後に、動物は免疫学的に応答すると予想される。しかし、生きて いない(複製していない)ロタウイルス製剤による経口のみの免疫化は、これま で感染または疾患に対する防御を誘発しなかった。疾患に対する防御は、I.既 存の免疫防御、ii.感染物質(この場合RV)に対して迅速に応答する免疫系の 迅速さに依存する。この迅速さは、記憶細胞(すなわち、予防接種後の21日目 および抗原投与感染の前に検出されたRVイスコム−マトリックスにより誘発さ れたCD45R+細胞)(図14C)に依存する。感染に対する迅速さの読み値 は、感染物質(この場合RV)の排泄である。この実験は、非常に複雑な消化系 を有する反すう動物におけるこの種の最初の実験であることに注意されたい。従 って、アジュバント(イスコム−マトリックス)および抗原などの投与量に関し て最適条件に達するために、一連の実験が必要である。しかし、イスコムおよび イスコム−マトリックス技術に基づくワクチンの成功について非常に有望である ことが強く示されている。 抗原投与後、すべての子羊はロタウイルスを排泄した。両方のRV−予防接種 した子羊は、対照より短期間でウイルスを排泄した(すなわち、それぞれ5〜6 日、6〜7日、および8〜9日)が、これは、RV/ISC−マトリックスで予 防接種した群でわずかに有意(p=0.027)であり、有効なワクチンを開発 できる可能性を強く示している(図14c)。 予想されたように、抗原投与後にすべての子羊は、血清、鼻分泌物、および腸 管をひっかいたものの中で特異的IgAおよびIgG抗体を有し、抗原投与後に 血液および腸管関連リンパ組織(MLNとJPP)中で抗体分泌細胞を有した。 RV/ISC−マトリックスで予防接種した群は、血液中に有意に増加した数 の特異的IgA(図14E)およびIgG産生細胞を有し、予防接種のプライミ ング効果を示している。プライミング効果は、記憶細胞の出現に依存する。特異 的IgG産生細胞の数はまた、非アジュバント化RV予防接種群に比較して有意 に高かった。抗原投与後、3つの群の間でGALT中の特異的IgAまたはIg G産生細胞に、差はみられなかった。特異的IgG応答は、特異的IgA応答と 同様であった。 UKおよびk923に対する中和抗体は、すべての群で血清中に検出された。 抗原投与後、すべての子羊は、CD4+細胞とPBS/イスコム−マトリックス が増加しており、RV予防接種群では、CD45R+細胞は、抗原投与前のRV /ISC−予防接種群で観察されたレベルと同様なレベルに上昇した。 考察 イスコム−マトリックスをアジュバントとした不活性化非複製ロタウイルスの 単回経口投与により、以後の生きた複製ウイルスによる抗原投与時のウイルス排 泄の期間が有意に短縮されたことは驚くべきことである。ウイルス排泄の有意な 期間短縮は、RV/ISC−予防接種群でのみ観察され、RV−予防接種群では 観察されなかったが、この群の子羊が少数なため、統計解析は限定される。ウイ ルス抗原投与に対してプライムされた子羊の免疫応答の特徴には、鼻および小腸 分泌物中の特異的IgAおよびIgG抗体のレベルの上昇、およびRV/ISC −予防接種群の、循環する特異的IgAおよびIgG産生細胞の数の増加がある 。 1回のみの投与でマトリックスをアジュバントとしたRVが、免疫応答をプラ イムし、感染期間を有意に短縮することは、OVAの経口投与後にIgA応答を 誘発するために数回の免疫化が必要であることをマウスで示した、モワ(Mowat )(モワ(Mowat)ら、Immunology 72,317−322,199 1)の結果を考慮すると、驚くべきことである。 結論 動物の若い年令(すなわち、1週令で、まだ新生児期であり、成体のように免 疫応答性ではない)および経口投与による1回の免疫化で免疫応答を誘発するこ との難しさを考慮すると、イスコム−マトリックスまたは任意の非複製ワクチン をアジュバントとするロタウイルスの1回の投与量の経口投与により、明瞭なプ ライミングが達成されることは予想外である。反すう動物の複雑な消化管系を考 慮すると、これは特に困難である。この点でロタウイルスまたはロタウイルスの 一部が、他の抗原ならびにイスコムおよびイスコム−マトリックス製剤で免疫化 を促進するのに適した、粘膜標的探索装置としての使用に適している可能性があ る。これらの結果は、母親の抗体が存在する新生児期に、粘膜免疫化により動物 をうまく免疫化できる可能性を示唆する。RV/イスコム−マトリックスにより 誘発されるCD45R+細胞数の増加は、感染により迅速に集められる記憶細胞 の数の増加を示し、経口抗原投与後のウイルス排泄期間の短縮を示しており、従 って疾患の発症の危険性を排除または低下させる。 例9 概論 呼吸合胞体ウイルス(RSV)は、世界中の幼児や小児のウイルス性下気道感 染の最も必要な起因菌である。これは、アメリカ合衆国だけでも毎年91,00 0件の入院と4,500件の死亡を引き起こすと推定されている。密接に関連し たウイルスは、ウシ呼吸合胞体ウイルスであり、これは幼い子牛の重要な呼吸器 のウイルスである。国内のおよび国際的保険機関も、このウイルスを制御するた めのワクチンの開発を、罹患と死亡を防止するための優先事項としている(ビー ・アール・マーフィー(Murphy,B.R.)、ジー・エー・プリンス(Prince,G.A. )、イー・イー・ワルシュ(Walsh,E.E.)、エィチ・ダブリュー・キム(Kim, H.W.)、ブイ・ジー・ヘミング(Hemming,V.G.)、ダブリュー・ロドリゲツ(R odriguez,W.)、およびアール・エム・チャノック(Chanock,R.M.)、J.C lin.Microbiol.24,197−202,1986)。これまでR SV噺斡ワクチンを開発する試みは成功しておらず、1960年代に幼児と小児 で評価されたホルマリン不活性化ヒト呼吸合胞体ウイルス(HRSV)ワクチン は失敗しているため、充分な注意が必要である。これは、感染および疾患に対す る耐性を誘発することができなかっただけでなく、悪質な型の呼吸下気道感染を 引き起こした。 RSVは、呼吸器の粘膜表面を介して感染を開始させる。このため、呼吸器の 粘液中で免疫応答を誘発するワクチンは、最も重要であり、これはi.n.免疫 化により引き起こされる可能性が高い。粘膜型の免疫化は、局所的および全身性 の免疫応答を誘発する可能性、安全性を上昇させる可能性、および副作用を最小 にする可能性により、非経口投与に対して利点を有し、予防接種などに必要な人 手や装置の必要性を低下させる。 本例の目的は、経鼻投与および皮下投与後の肺および他の粘膜表面でのIgM 、IgGイソタイプ、IgGサブクラスおよび分泌性IgA応答に関して、抗体 応答を比較し、経鼻投与に基づくRSVイスコムワクチンを開発する可能性を調 べることである。 材料と方法 化学物質および溶液非イオン性洗浄剤n−オクチルグルコシド(1−o−オクチルーグルコシド、O G) は、ベーリンガーマンハイム(Boehringer-Mannheim)(GmbH,ドイツ )から購入した。キルA「スピコシド(Spikoside」 は、イスコテック(Iscotec AB)(ルレア (Luleae)、スエーデン)から得た。ヤギ抗マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3 は、 ノルディック(Nordic)(チルバーグ(Tilburg)、オランダ)から得た。ビオチン化ヤギ抗マウスIgA は、サザン・バイオテクノロジー・アソシエーテ イッド社(Southern Biotechnology Associated,Inc.)(バーミンガム、アメ リカ合衆国)から得た。ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヤギ免疫グロブリンおよびHRPストレプトアビ ジン は、ダコパッツ(Dakopatts)(グロストルプ(Glostrup)、デンマーク) から得た。 RSVイスコムと不活性化RSVの調製 RSVイスコムは、ウイルスの2つの異なる調製物から調製した。ウイルスは 、ベロ(vero)細胞中で繁殖させた。ウイルスを採取後、遠心分離して細胞破片 を除去した。ウイルスを超遠心分離により沈降させてペレットにし、10〜50 %のショ糖勾配で遠心分離してさらに精製した。イスコムの調製法と生化学的性 状解析は、前述のように行なった。簡単に説明すると、ウイルスタンパク質濃度 :(1.80mg/ml)を、最終濃度2%(w/v)のOGで37℃で1時間絶えず攪 拌しながら可溶化させた。可溶化したウイルスを、50%ショ糖のクッションの 上の、0.5%OGを含有する20%ショ糖層2mlの不連続なショ糖勾配に添加 した。コントロン(Kontron)TST−14ロータ中で40,000pmで4℃で 1時間遠心分離後、試料容量+(ウイルスタンパク質を含有する20%ショ糖層 )を集め、余分に脂質(すなわち、コレステロールとホスファチジルコリンおよ びキラヤ(スピコシド(Spicoside)、ルレア(Luleae)、スエーデン))を1 :0.5:0.5:3.5(w/w)の比率で加えた。0.15M酢酸アンモニウ ムに対して4℃で72時間充分に透析してから、10%ショ糖でコントロン(Ko ntron)TST−14ロータ中で40,000rpmで10℃で18時間遠心分離し て、イスコムを精製した。RSVイスコムを含有するペレットを、200μlの PBSに再懸濁した。イスコムの存在は、電子顕微鏡で例2に記載のように確認 した。 イスコムのタンパク質パターンは、電気泳動とウェスタンブロッティング法に より測定した。キラヤ濃度はHPLCで測定した。これらの最終イスコム調製物 中のキラヤとタンパク質の間の比率は、5mgキラヤ/1mgイスコムである。 不活性化RSVは、ウイルス溶液に0.5%(w/v)のB−プロピオラクトンを 加え、4℃で7日間反応を維持してウイルスを不活性化することにより調製した 。 マウス メスのBalb/Cマウス(8〜12週令)は、ナショナル・ベテリナリー・ インスチチュート(National Veterinary Institute)、ウプサラ(Uppsala)、 スエーデン)から得た。マウスを、ウイルス、細菌およびマイコプラズマ感染に ついてスクリーニングし、国のガイドラインに従って維持した。 免疫化 各7匹のBalb/Cマウスからなる7群のマウス(AからG)を、6週間置 いて2回免疫化した。異なる群のマウスは、以下のように免疫化した: 群A、イスコムI 5μg/マウスで経鼻的に(i.n.)。 群B、イスコムI 1μg/マウスで皮下的に(s.c.)。 群C、イスコムII 5μg/マウスでi.n.。 群D、イスコムII 1μg/マウスでs.c.。 群E、イスコム 4μg(i.n.)+1μg(s.c.)/マウス。 群F、不活性化RSV 500μl/マウスs.c.。この調製物は、イムノド ット測定法により測定したイスコム調製物と同量の融合タンパク質を含有する。 群G、非免疫化対照群。 経鼻免疫化のために、5μgのイスコムを、20μl容量に懸濁し、皮下投与 量は、200μlの容量で懸濁した。i.n.免疫化は、麻酔下で行なった(例 2に記載のように)。 血清学的評価ための血液試料は、最初の予防接種後2週目と5週目に、および 追加免疫後の1種目と3週目に採取した。抗体抽出ための肺は、追加免疫後2週 目に採取した。各群から2匹のマウスを屠殺し、肺を取り出した。IgAは、例 2に記載のように取り出した。 酵素免疫定量法 RSVに対する血清IgMとIgG抗体ための酵素結合免疫吸着測定法(EL ISA)は、100μlの50mM炭酸緩衝液(pH9.6)中の200μgの精 製HRSV/ウェルでコーティングしたマイクロタイタープレート(ヌンク(Nu nc)、ロスキルデ(Roskilde)、デンマーク)中で、4℃で一晩維持して行なっ た。すべての洗浄は、0.2%ツイーン−20を含有するリン酸緩衝化生理食塩 水(PBS−ツイーン)で行なった。インキュベーションはすべて、室温で60 分間絶えず攪拌しながら行なった。マウス血清は、2倍希釈で力価を決定した。 酵素反応は、0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)中のテトラメチルベンジジン( 0.19mg/ml)および過酸化水素(0.006%)を使用して、光学密度は、 タイターテック・マルチスキャン(Titertek Multiscan)分光光度計(フローラ ボラトリーズ(Flow Laboratories)、アーバイン(Irvine)、スコットランド )を使用して450nmで測定した。マウスIgG1、IgG2a、IgG2b、 およびIgG3サブクラス測定ためのELISAは、ヤギ抗マウスIgGサブク ラスとウサギ抗ヤギHRP結合体を使用して、同様の方法で行なった。マウスの 肺抽出物中のHRSVに対する分泌性IgA(sIgA)レベルは、ELISA を若干修飾して測定した。マイクロタイタープレートを、100μlのコーティ ング緩衝液中400ng/ウェルの精製HRSVでコーティングした。2倍連続希 釈肺抽出物を、ウェルに加えた。室温で一晩インキュベートし、次にPBS−ツ イーン−20で洗浄後、各ウェルに100μlのビオチン化ヤギ抗マウスIgA を加えた。RTで1時間インキュベート後、HRP結合ストレプトアビジンを加 え、RTで1時間インキュベートし、次にプレートを洗浄し、基質を加えた。1 5分後に50μlの2M硫酸を加えて、酵素反応を停止させた。光学密度は45 0nmで測定した。 力価と計算 IgM、IgGおよびIgAを、各試料について試験した。各マウスから採取 できた血清の量が限られているため、IgGサブクラスは血清プールについて行 なった。力価は、エンドポイント希釈率の逆数として表した。 統計解析 IgMとIgGのELISA力価は、数値の幾何平均として表し、マン-ホイ ットニイ(Mann-Whitneys)U検定により頻度と血清抗体のレベルについて比較 した。ELISA力価の95%信頼限界は、ミニタブ(Minitab)10コンピュ ーターソフトウェア(ミニタブ社(Minitab Inc.)、ペンシルバニアリ州、アメ リカ合衆国)を使用して計算した。 結果 血清IgM応答 不活性化HRS(群F)により誘発される応答と比較して、イスコムで免疫化 したマウスのすべての群(群A、B、C、DおよびE)で有意に(P<0.01 )高い血清IgM応答が誘発された。イスコム免疫化した動物、特に経鼻的免疫 化群(群A、Cおよび群Ei.n.+s.c.)では、IgM応答は長く続いた 。イスコム予防接種群内でIgM応答を比較すると、経鼻的に免疫化した群(群 A、Cおよび群Ei.n.+s.c.)では、皮下に免疫化した群(群BとD) より有意に(P<0.01)高い応答が記録された(図15A)。 血清IgG応答 血清IgGは、最初の予防接種の後と2回目の予防接種の後の2回測定した。 血清IgG応答は、古典的な方式でIgM応答に続いて起きた。イスコムで予防 接種したマウス(群A、B、C、DおよびE)は、不活性化HRSVで予防接種 したマウス(群F)より、有意に(P<0.01)高いIgG応答を示した。イ スコムによる予防接種(群AとC)およびi.n.予防接種とs.c.予防接種 の組合せ(群E)は、皮下的にイスコムを予防接種した群(群BとD)より10 0倍高いIgG応答を誘発した(図15B)。 IgGサブクラス応答 IgGサブクラス応答は、プール血清についてELISAで解析した。ELI SAで測定するとイスコムによるi.n.とs.c.免疫化(群A、B、C、D 、E)により、IgGサブクラス応答と同様のプロフィールが誘発された。Ig G2bとIgG3よりも、i.n.、s.c.、およびi.n.とs.c.の組 合せ予防接種後のイスコム免疫化マウスで、高いIgG1およびIgG2a応答 が検出された。i.n.およびs.c.免疫化マウスの間でIgGサブクラス応 答 の差はなかった(図15C)。IgG2a/IgG1比は、不活性化全ウイルス で免疫したマウスより、イスコムで免疫化したマウスで高く、これはより顕著な TH 1型の応答を示している。 肺sIgA応答 2回目の予防接種後、各群から2匹のマウスを屠殺し、材料と方法に記載した ように肺抽出物を調製した。肺分泌性IgA ELISA力価は、イスコム投与 (群AとC)およびi.n.とs.c.投与を組合せた群Eにより、強いsIg Aが誘発されたことを示した。これに対して、イスコムのs.c.投与(群Bと D)および不活性化HRSV(群F)は、非予防接種対照群(群G)に比較して 肺分泌物中で測定可能な局所的IgA応答を誘発しなかった。最も高いsIgA 応答は、i.n.とs.c.投与の組合せにより免疫化した群Eのマウスで検出 された1:13000であり、次にイスコムIのi.n.投与(1:11000 )とイスコムIIのi.n.投与(1:6000)であった(図15D)。最後の 免疫化後22週間目の肺分泌物中の最も高いIgA応答は、i.n.モードとs .c.モードの免疫化の組合せにより誘発されたことが、最も顕著である。種々の粘膜臓器中の抗体応答 上気道、肺、生殖器官および消化管中のIgA応答を測定した。種々の分泌物 の抽出は、例2に記載のように行なった。RSVに対する最も高いIgA抗体応 答は、生殖器官の分泌物から得られ、これは上気道および肺の分泌物より約7倍 高かった。腸管分泌物中では、RSVに対する最も低いIgA抗体力価が観察さ れ、すなわち逆数力価が約100であった。詳細な結果は、図15Eに示す。 結論 i.n.投与後、RSV−イスコムは、RSVにより引き起こされる疾患に対 しての防御に魅力があると考えられる(ビー・アール・マーフィー(Murphy,B. R.)、エス・エル・ホール(Hall,S.L.)ら、Virus Res.32,13 −36,1994)サブクラスであるIgG2aを含む、予想外に高い血清抗体 力価を誘発する。1つの免疫化はすでに、明らかな血清抗体応答を誘発し、商業 的利用の可能性を示している。 肺と上気道からの分泌物中の高いIgA抗体は、有効なワクチンとして有望で あり、感染の「入り口」(すなわち、気道)で第1線の防御を誘発する。 これらの研究はまた、RSVエンベロープタンパク質(FとG)は、離れた臓 器の粘膜についても粘膜ターゲティング分子として試験するために、特に最も高 いIgA抗体応答が記録された生殖器官中の抗体応答の誘発について試験するた めに、非常に興味があることを示す。 図の凡例 図1Aは、超遠心分離後の10〜50%ショ糖勾配中にrCTBが取り込まれ たイスコム沈殿物を示す。CPM値は、イスコムに伴う3H−コレステロール( ■)の放射活性を示す。タンパク質の値は(CTB)(□)は、ブラッドフォー ド(Bradford)に従って測定される。イスコムとrCTBは画分6〜9で回収さ れる。従ってCTBの大部分は、イスコム画分中に回収される。 図1Bは、図1Aと同じタイプの図を示す。この実験で、rCTB濃度は、G M1濃度より100倍高かった。取り込まれていないrCTBは、勾配の上の方 、すなわち画分10〜12に観察される。 図2は、超遠心分離によりイスコムを性状解析する。 a)オバルブミン(OVA) b)PR8−イスコム c)PR8/OVA−イスコム 図3は、 a.OVA−イスコム b.PR8−イスコム c.PR8/OVA−イスコム の電子顕微鏡写真である。 図4Aは、10〜50%ショ糖勾配遠心分離のタンパク質測定により測定され た遊離のrCTB(□)、すなわち、イスコム沈殿物中にゆっくり取り込まれず 、勾配の上の方(すなわち、画分12〜14)で回収されるrCTBの沈降を示 す。 図4Bは、ショ糖勾配の超遠心分離のイスコムに伴う14Cホスファチジルエタ ノールアミン(14C PEA)放射活性(CPM)(■)を示す。脂質化タンパ ク質−OVAは、ブラッドフォード(Bradford)(本文参照)(□)で測定して 、 イスコムとともに回収され、画分6〜8に回収される。組み込まれない一部のタ ンパク質は、画分11、12、および13に回収される。 図4Cは、GM1を含有するイスコム中のrCTBの取り込みを示す。イスコ ム中のrCTBの取り込みは、タンパク質測定により測定した(□)。イスコム の沈降は、勾配中のイスコムに伴う放射活性3H標識コレステロール(CPM) (■)により示す。タンパク質rCTBと3Hコレステロールの両方は、イスコ ム構造に伴い、後者はEMにより証明され、画分6〜9に回収される。 図4Dは、ブラッドフォード(Bradford)のタンパク質測定(□)により測定 した脂質化OVAとrCTBの取り込みを示す。イスコムの沈降は、画分4〜6 中に回収された放射活性14C PEA(■)により示し、ここでも放射活性以外 にイスコム構造がEMにより証明された。 図4Eは、GMI−脂質を含有しないOVA−イスコムに加えられたrCTB は、タンパク質の回収(すなわち、勾配の上の画分11〜13中のCTB)によ り証明されるように、イスコム中に取り込まれないことを示す。脂質化OVAは 、画分5〜8中に観察される。 図5。種々のOVA/rCTB製剤に伴うOVAに対する血清抗体応答。免疫 化実験は、以下の群を含む: 1.i.n.キラヤ(QA)のないOVA 10μg 2.i.n.OVA−イスコム 10μg 3.i.n.別の物質として混合したOVA−イスコム 10μgとrCTB1 0μg 4.i.n.同じイスコム中でOVAとrCTB 10μg(OVA/rCTB ) 5.s.c.OVA−イスコム 2μg(10μg QA) 6.i.n.別の物質として混合したOVAと遊離のrCTB。投与量各10μ g 7.i.n.マトリックスを補足した遊離のOVA 10μg 8.i.n.抗原のない対照 図5Aは、マウスの最初の経鼻(i.n.)免疫化後の、ELISAで解析し たOVAに対する血清抗体応答を示す。アジュバントなしのOVAまたはrCT Bにアジュバントとして加えられるOVAに対しては、抗体応答は測定できなか った(6)。 図5Bは、2回目の免疫化の2週間後に、イスコムまたはマトリックス製剤で 免疫化したすべてのマウスは、OVAに対する高血清抗体力価で応答したことを 示す。別の物質としてrCTBを補足したOVAで免疫化したマウスは、OVA 単独で免疫化したマウスより低い血清抗体力価を示した。 図5Cは、2回免疫化後のマウスの血清についての希釈率の上昇におけるEL ISAの読み値を示す。この図および図5Bに示すように、OVAを有するイス コム製剤は、「パッセンジャー抗原」(PA)としてまたはマトリックスととも に投与されたOVAに対する血清抗体応答に関して、rCTBが引き起こした寛 容を排除する。 図6。免疫化実験は、図5に記載のものと同じ群を含む。 図6Aは、マウスの2回の免疫化(i.n.)後の肺分泌物中のOVAに対す るIgA抗体応答の解析を示す。 図6Bは、上気道分泌物中のOVAに対するIgA抗体応答に関して、異なる 群の間の比較を示す。OVA−イスコムおよびマトリックスを補足したOVAは 、i.n.免疫化後に、アジュバントのないOVA−rCTB製剤より有意に高 いIgA力価を引き起こした。 図6Cは、異なる免疫化群のマウスの生殖器官の分泌物中で誘発されたOVA に対するIgA抗体応答の比較を示す。 図7。粘膜中のOVAに対するIgG抗体応答。この免疫化実験には図5と同 じ群を含めた。 図7Aは、異なる免疫化群のマウスの肺分泌物中で誘発されたIgG抗体応答 の間の比較を示す。 図7B、7Cおよび7Dは、それぞれ上気道、生殖器官および消化管からの分 泌物中の対応するIgG抗体応答を比較する。 図8.免疫化実験において、図5に示すものと同じ群が参加した。 図8AとB。一般に、OVA−イスコムを補足したイスコムまたは遊離のrC TB中のOVA−rCTB(この場合、これはrCTBのイスコム−マトリック スの形である)は、すべての試験した分泌物(すなわち、肺、上気道、消化管お よび生殖器官)中で、アジュバントを加えないrCTBより、CTBに対するか なり高いIgA抗体応答を誘発した。 図8CとD。イスコムまたはイスコム−マトリックス中のrCTB製剤で、肺 、上気道、生殖器官および消化管からの分泌物中で、rCTBに対する高いIg G抗体応答が得られた。イスコムまたはイスコム−マトリックス製剤のないrC TBで免疫化したマウスでは、これらの分泌物中のIgG抗体応答は、CTB− イスコムおよびイスコム−マトリックス製剤についてのものより低いが、非免疫 化対照についてのものより有意に高かった。 図9。インフルエンザウイルスイスコム(7μg)をi.n.で2回免疫化し た後の48日の実験期間の間にELISA測定した、血清抗体応答(A、Bおよ びC)と肺分泌物中の応答の進展。 A.は、血清中のインフルエンザウイルスに対する総抗体応答の進展を示す。 B.は、IgGサブクラスIgG1、IgG1、IgG2b中のインフルエンザ ウイルス抗原に対する抗体応答の進展を示す。 C.は、インフルエンザウイルス抗原に対するIgA−血清抗体応答の進展を示 す。 D.は、肺分泌物中のIgA−抗体応答の進展を示す。 図10。以下のスケジュールに従って5群の5匹ずつのマウス(NMRI)を 免疫化した。 疫化基質 投与方法 A OVA−イスコム 5μg抗原 経鼻i.n. B OVA/PR8−イスコム 5μg抗原 i.n. C OVA/PR8−イスコム 10μg抗原 i.n. D PR8−イスコム 5μg抗原 i.n. E OVA/PR8−イスコム 5μg抗原 s.c. 図10Aは、OVA/PR8−イスコムは、インフルエンザウイルスのエンベ ロープタンパク質のないOVA−イスコムに比較して、2回のi.n.免疫化後 に、OVAに対する高い血清抗体応答を誘発し、3回の免疫化後により高くなる ことを示す。予測されるように、10μgのOVA/PR8−イスコムi.n. は、5μgより高い抗体応答を誘発した。 図10Bは、PR8に対する血清抗体応答を示す。PR8を含有するすべての イスコム製剤は、i.n.免疫化後にPR8に対する抗体応答を誘発した。この 応答は、2回目の免疫化後にかなり上昇した。 図10Cは、前述の3回の免疫化後の肺の分泌物中のIgA抗体応答を示す。 5μgおよび10μgのOVA/PR8−イスコムは、皮下投与したOVA−イ スコムに比較して、i.n.免疫化後に用量依存性の明瞭なIgA抗体応答を誘 発した。 図10Dは、PR8抗原を含有するすべてのイスコム製剤は、肺分泌物中でP R8に対して高いIgA抗体応答を誘発することを示す。 図10Fは、20頁と21頁(例4)に記載の2回の免疫化後の、標的探索分 子を含むおよび含まないOVAを含有するイスコム製剤、または別の物質として のOVAとイスコム−マトリックスとの製剤により誘発された、OVAに対する 血清抗体応答を示す。ELISAで測定された最も高い血清抗体力価は、OVA −イスコムマトリックス製剤(C)で記録された。 図10は、OVA/PR8−イスコムまたはOVA−マトリックス製剤を使用 するi.n.モードの投与とs.c.モードの投与とを比較する。i.n.モー ドの投与は、s.c.免疫化により誘発されるものと同程度の強さまたはわずか に弱い血清抗体を誘発した。 図10Hは、39頁と40頁(例4)に記載の2回の免疫化後の、標的探索分 子(PR8)を含むおよび含まないイスコム製剤、または別の物質としてイスコ ム−マトリックスと混合したOVAにより誘発された、肺分泌物中のOVAに対 するIgA抗体応答を示す。 図10Iは、39頁と40頁(例4)に記載の2回の免疫化後の、標的探索分 子を含むおよび含まないイスコム製剤、または別の物質としてイスコム−マトリ ックスと混合したOVAにより誘発された、生殖器官の分泌物中のOVAに対す るIgA抗体応答を示す。 図11Aは、例5に記載の単純ヘルペス2(gB2)からのgBを含有するイ スコムで、9週間の間隔を置いて2回i.n.免疫化した2週間後のマウスの肺 分泌物(77日目)のIgA応答を示す。 図11Bは、図11Aおよび例5に記載のイスコムでi.n.免疫化したマウ スの異なる粘膜(肺、上気道、および生殖器官)からの分泌物(113日目)中 のgB2に対するIgA応答を示す。 図11Cは、図11Aに記載のi.n.免疫化後の血清(77日目)中のgB 2に対するIgGサブクラス(IgG1とIgG2a)応答を示す。 図12Aは、例6に記載の単純ヘルペス2(gD2)からのgDを含有するイ スコムで、9週間の間隔を置いて2回i.n.免疫化した14日後のマウスの肺 分泌物(77日目)のIgA応答を示す。 図12Bは、図12Aおよび例6に記載のイスコムでi.n.免疫化したマウ スの異なる臓器(肺、上気道、および生殖器官)からの分泌物(113日目)中 のgD2に対するIgA応答を示す。 図12Cは、図12Aに記載のi.n.免疫化後の血清(77日目)中のgD 2に対するIgGサブクラス(IgG1とIgG2a)を示す。 図13A。3、10または20μgのイスコムで7週間置いて2回i.n.免 疫化したマウスのマイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)(Mm )に対する、ELISAで測定した総血清抗体応答。血清は、最初の免疫化後の 2、4および7週間後、および追加免疫2週間後に試験した。 図13B。Mm抗原を含有するイスコムの3つの異なる投与量で、7週間置い て2回経鼻免疫化したマウスから、2週間後に採取したマイコプラズマ・ミコイ デス(Mycoplasma mycoides)(Mm)に対する、ELISAで測定した血清中 のIgA応答。 図13C。Mm抗原を含有するイスコムの3つの異なる投与量で、2回経鼻免 疫化したマウスから、2週間後に採取したマイコプラズマ・ミコイデス(Mycopl asma mycoides)(Mm)に対する、ELISAで測定した肺分泌物中 のIgA応答。 図13D。マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)(Mm)抗 原に対するウェスタンブロッティング解析:レーンA、Mm抗原を含有するイス コムで7週間置いて2回目の経鼻(i.n.)免疫化を行なった後の2週間目の マウスから得た肺分泌物による検出。レーンB、レーンAに記載のi.n.免疫 化したマウスの血清。レーンC、レーンAに記載のスケジュールのように皮下( s.c.)免疫化したマウスの血清。 図14A。経口予防接種後のロタウイルス(RV)に対する特異的IgG血清 抗体。群の平均は、1元配置分散分析で解析した。RV−予防接種群対PBS− 予防接種群; ■ RV/ISC−マトリックス−予防接種群 RV−予防接種群 ◆ PBS/ISC−マトリックス予防接種群 図14B。イスコム−マトリックスアジュバントを有するおよび有さないロタ ウイルス(VR)ワクチンによる経口予防接種後、および以後の21日目の抗原 投与感染後の、時間の経過に伴う末梢血中のCD4+細胞のリンパ球亜集団(パ ーセント)。群の平均は、1元配置分散分析で解析した。 図14C。イスコム−マトリックスアジュバントを有するおよび有さないロタ ウイルス(VR)ワクチンによる経口予防接種後、および以後の21日目の抗原 投与感染後の、時間の経過に伴う末梢血中のCD45R+細胞のリンパ球亜集団 (パーセント)。群の平均は、1元配置分散分析で解析した。 図14D。抗原投与感染後のウイルス排泄。 図14E。予防接種および以後の21日目の抗原投与感染後の血液中の特異的 IgA産生細胞。 ■ RV/ISC−マトリックス(RV抗原なし) ◆ RV/イスコム−マトリックス RV(不活性化ウイルス) 図15A。HRSVイスコムまたは不活性化ウイルスによる、6週間置いた2 回の経鼻または2回の皮下免疫後の、ELISAで測定した呼吸合胞体ウイルス (RSV)に対するマウスのIgM血清抗体力価(幾何平均力価および95%信 頼限界)。1回目の放血(1):最初の免疫化の2週間後。2回目の放血(2) :最初の免疫化の5週間後。3回目の放血 (3):追加免疫の1週間後。群の 免疫化は、本文64頁に記載されている。 図15B。 本文64頁に記載のHRSVイスコムまたは不活性化HRSVに よる、6週間置いた2回の経鼻または2回の皮下免疫化後の、ELISAで測定 した呼吸合胞体ウイルス(RSV)に対するマウスのIgG血清抗体力価(幾何 平均および95%信頼限界)。1回目の放血(1):最初の免疫化の2週間後。 2回目の放血(2):最初の免疫化の5週間後。3回目の放血(3):追加免疫 の1週間後。4回目の放血(4):追加免疫の3週間後。 図15C。本文64頁に記載のHRSVイスコムまたは不活性化HRSVによ る、経鼻または皮下免疫化後の、ELISAで測定したRSVに対する血清Ig Gサブクラス応答。血清を得るための放血は、図15Bに記載のように行なった 。 図15D。本文(64頁)に記載の免疫スケジュールに従ってELISAで測 定した追加免疫後の2、15および22週間目の呼吸合胞体ウイルス(RSV) に対するマウスの肺分泌物のIgA抗体力価。肺は、例2に記載のように採取し 、分泌物を抽出した。 図15E。種々の臓器(すなわち、上気道、肺、生殖器官および小腸)からの 分泌物中のRSVに対するIgA抗体応答。分泌物は、例2に記載のように2回 目の免疫化後2週間目に、種々の臓器から抽出した。免疫化スケジュールは、本 文64頁に記載される。 表I。総抗体応答およびサブクラスIgG1およびIgG2a経鼻免疫化に関 して、ELISAで解析した、マウスの2回目の経鼻免疫化後の2週間後の、O VAに対する血清抗体応答(log10力価)。 表II。IgGイソタイプおよびIgG1とIgG2aサブクラスに関する、マ ウスの2回目の経鼻免疫化後の、rCTBに対する血清抗体応答の比較(log10 力価)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/145 A61K 39/235 39/215 39/245 39/235 39/39 39/245 37/64 39/39 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN,YU (72)発明者 ロブグレン,ベングトソン,カリン スウェーデン国 エス―752 40 ウプサ ラ,リンドスベルグスガタン 8シー (72)発明者 エクストロム,ジル スウェーデン国エス―740 50 アルンダ, クレブ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ワクチンの製造、および経口、経鼻、尿生殖器、および/または直腸投与 用の免疫刺激組成物の製造に使用するための、イスコム(iscom)および/また はイスコムマトリックスと粘液ターゲティング分子とを含んでなる免疫原性複合 体。 2.請求の範囲第1項記載の免疫原性複合体であって、少なくとも1つのグリ コシド、少なくとも1つの脂質、および a)局所的に粘膜に投与された時、リンパ組織をターゲティングし免疫応答を 誘発する物質から選択される、少なくとも1つの粘液ターゲティング分子、およ び b)おそらく、粘膜を通過して容易にリンパ組織に到達できない、薬学的免疫 作用性または免疫物質から選択される1つのパッセンジャー抗原、 を含んでなる、ワクチンの製造、および経口、経鼻、尿生殖器、および/または 直腸投与用の上記複合体。 3.請求の範囲第2項記載の免疫原性複合体であって、これらはイスコム複合 体であり、粘液ターゲティング分子および/またはパッセンジャー抗原はイスコ ム複合体体に取り込まれたかまたは最終イスコム複合体に結合または混合してい ることを特徴とする、上記複合体。 4.請求の範囲第3項記載の免疫原性複合体であって、複合体はイスコムマト リックスであり、パッセンジャー抗原は、最終イスコム複合体に結合または混合 していることを特徴とする、上記複合体。 5.請求の範囲第2〜4項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であっ て、脂質は、ステロール、リン脂質、および細胞結合性成分(例えば、ガングリ オシドGMIおよびフコース化血液型抗原のような糖脂質)の受容体を含有する 脂質、とから選択されることを特徴とする、上記複合体。 6.請求の範囲第2〜5項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であっ て、複合体は少なくとも1つのアジュバントを含むことを特徴とする、上記複合 体。 7.請求の範囲第2〜6項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であっ て、粘膜ターゲティング分子および/またはパッセンジャー抗原および/または アジュバントは、イスコムおよび/またはマトリックス複合体と混合されること を特徴とする、上記複合体。 8.請求の範囲第2〜7項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であっ て、粘膜ターゲティング分子および/またはパッセンジャー抗原は、細菌、ウイ ルスまたは寄生体などの微生物から得られることを特徴とする、上記複合体。 9.請求の範囲第2〜7項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であっ て、粘膜ターゲティング分子およびパッセンジャー抗原は、遺伝子生成物または 合成抗原であることを特徴とする、上記複合体。 10.請求の範囲第2〜7項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体であ って、粘膜ターゲティング分子およびパッセンジャー抗原は、ペプチド、タンパ ク質、炭水化物および炭水化物構造(すなわち、糖脂質または糖ペプチドもしく は糖タンパク質)であることを特徴とする、上記複合体。 11.請求の範囲第2〜10項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体で あって、粘膜ターゲティング分子は、粘膜、特に肺、上気道、小腸および尿生殖 器の粘膜に感染する微生物に由来することを特徴とする、上記複合体。 12.請求の範囲第2〜11項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体で あって、粘膜ターゲティング分子またはパッセンジャー抗原は、インフルエンザ ウイルス、呼吸合胞体ウイルス(RSV)、コロナウイルス、ヘルペスウイルス 、ポックスウイルスからの、またはアデノウイルス、ノーウォークウイルス、ロ タウイルスのような非エンベロープウイルスからの、エンテロウイルスやアスト ロウイルスのようなピコルナウイルス科からの、エンベロープまたは外タンパク 質、例えば、アデノウイルスからのヘキソンやペントン、マイコプラズマの膜タ ンパク質および細菌のヘモフィルス(haemophilus)からの綿毛;細菌の外タン パク質、コレラ毒素、およびそのサブユニットB(CT、CTB)、または大腸 菌(E.coli)の熱不安定性毒素およびそのサブユニットB(LT、LTB)、 およびヒトまたは動物(例えばブタ)からの大腸菌(Escherichia coli)、赤痢 菌(Schigella)、およびクラミジアの綿毛(K88、K99、K981−B) 、 およびマイコプラズマ(Mycoplasma)の膜タンパク質、から選択されることを特 徴とする、上記複合体。 13.請求の範囲第2〜12項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体で あって、パッセンジャー抗原は、種々のヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイル ス1および2、ウシヘルペスウイルス1を含む)、ピコルナウイルスのgBおよ びgD、HIV−1のgp120およびgp160またはHIV−2ならびに他 のレトロウイルス、ヘパドナウイルスの対応するタンパク質、例えばHIV−1 のGP120/160またはHIV−2の対応する抗原、ラブドウイルス、ポッ クスウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、カルジウイルス、トガウイル ス、フラバウイルス、イルジオウイルス、ビルナウイルス、ブニヤウイルス、ア レナウイルス、オルトミキソウイルス、パラミキソウイルス、パルボウイルス、 ポポバウイルス、ピコルナウイルス、カルシウイルス、アストロウイルスの対応 するg−タンパク質、狂犬病ウイルス、またはサルモネラ、大腸菌(E.coli) 、赤痢菌(Shigella)のような細菌、クラミジアまたはマイコプラズマ、または エキノコッカス(Ecchinococcus)、線虫、吸虫、住血吸虫、原生動物(例えば 、トキソプラズマ、トリポノソーマ・レイクマニア(Tryponosoma Leichmania) )のG−タンパク質(粘膜ターゲティング分子は、細菌またはウイルス起源、例 えば細菌起源でもよい)から選択されることを特徴とする、上記複合体。 14.請求の範囲第2〜13項までのいずれか1項に記載の免疫原性複合体で あって、パッセンジャー抗原は、粘膜に投与された時に自発的には免疫応答を引 起こさない組換えワクチン抗原であることを特徴とする、上記複合体。
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