JP2000501744A - モルホゲン類似体およびその製法 - Google Patents

モルホゲン類似体およびその製法

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JP2000501744A JP9526303A JP52630397A JP2000501744A JP 2000501744 A JP2000501744 A JP 2000501744A JP 9526303 A JP9526303 A JP 9526303A JP 52630397 A JP52630397 A JP 52630397A JP 2000501744 A JP2000501744 A JP 2000501744A
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Abstract

(57)【要約】 本明細書に開示された本発明は、モルホゲン類似体のコンピュータ援用設計のための方法および組成物を提供する。モルホゲン類似体を設計する出発点として、ヒト骨形成タンパク質−1(hOP−1)の三次元構造を規定する原子座標の少なくとも一部を使用することにより、本発明を実行できる。さらに、本発明は当該モルホゲン類似体を作製する方法および得られた類似体がヒトOP−1用の生物活性を模倣または開始するかを調べる方法を提供する。本発明はこのような方法で作製されるモルホゲン類似体群も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 モルホゲン類似体およびその製法関連出願 本出願は、1996年1月22日出願の同時係属出願U.S.S.N.08/ 589,552の一部継続出願であり、その開示は参照により本明細書に組み込 む。発明の分野 本発明は一般に組織形態形成タンパク質類似体として有用な化合物を設計し、 同定し、作製するための方法および組成物に関する。より詳細には、本発明は、 組織形態形成タンパク質である骨形成タンパク質−1(OP−1)の機能的疑似 物質として作用する分子を設計し、同定し、作製するための構造ベースの方法お よび組成物に関する。発明の背景 細胞分化は胚形成の間に始まり、生物体の一生を通し、成体の組織の修復また は再生機構で種々の程度に持続する組織形態形成の中心的特徴である。成体組織 での形態形成の程度は組織によって異なり、特に、所与の組織における細胞の回 転の程度に関係する。 細胞分化への剌激を司る細胞および分子レベルでの事象は集中的に研究されて いる分野である。医学および獣医学の分野では、細胞分化および組織形態形成を 調節する因子の発見が、病的状態にあるまたは損傷を受けた哺乳類の組織および 器官を修復し、再生する能力を非常に進歩させると予想されている。ヒ トおよび動物の治療に特に有用な領域には、再建手術、例えば関節炎、気腫、骨 粗鬆症、心筋症、硬変、変質性神経疾患、炎症性疾患および癌を含む組織変性疾 患の治療、組織、器官および四肢の再生が含まれる。本出願および関連出願では 、「形態形成の(morphogenetic)」と「形態形成の(morph ogenic)」は互換的に使用されている。 近年、細胞分化に関与すると思われる多数の因子が単離されている。最近、当 業界で「タンパク質のトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)スーパ ーファミリー」と呼ばれる構造的に関連するタンパク質の「スーパーファミリー 」の明確なサブファミリーが真の組織モルホゲンとして同定された。 真の組織形態形成タンパク質のこの明確な「サブファミリー」の構成要素は、 形態形成活性のあるC末端ドメイン内に6個または7個の保存されたシステイン 骨格を含む実質的なアミノ酸配列相同(C末端の102個のアミノ酸配列の少な くとも50%が同一)を有しており、種々の器官や組織で組織特異的形態形成を 誘導するin vivo活性を共有している。このタンパク質は前駆細胞(proge nitor cell)と接触し、例えば、好適な細胞表面分子と結合し、形態形成で許容 される環境で細胞を増殖、分化し易くする、または増殖、分化するように剌激す ることにより、前駆細胞と相互作用する。これらの形態形成タンパク質は、天然 の組織で必要とされているような血管形成、結合組織形成および神経支配を含む 、新しい器官特異的組織形成で最高に達する細胞および分子レベルの事象の発達 カスケードを誘導できる。このタンパク質は軟骨および骨の両者並びに歯周組織 、象牙質、肝臓および網膜組織を含む神経組織の形態形 成を誘導することが認められている。 今日までに同定された組織形態形成タンパク質には、骨誘導タンパク質として 初めて同定されたタンパク質が含まれる。これらのタンパク質にはOP−1(骨 形成タンパク質−1、関連出願では「OP1」とも表されている)、C末端の「 システイン7個」のドメインが69%一致するそのドロソフィラ相同体60A、 C末端のシステイン7個のドメインについてOP−1と約65%〜75%一致し ている関連タンパク質OP−2(関連出願では「OP2」とも表されている)お よびOP−3、C末端のシステイン7個のドメインについてOP−1と約85% より高い一致を有するOP−3、BMP5、BMP6およびその齧歯類相同体V gr−1、C末端のシステイン7個のドメインについてOP−1と約57%一致 しているBMP6のツメガエル相同体Vglが含まれる。他の骨誘導タンパク質 には、CBMP2タンパク質(当業界ではBMP2およびBMP4とも呼ばれる )およびそれらのドロソフィラ相同体DPPが含まれる。別の組織形態形成タン パク質はGDF−1(マウス由来)である。例えば、PCT出願書類のUS92 /01968およびUS92/07358を参照のこと。これらのPCT出願書 類の開示は参照により本明細書に組み込む。BMP/OPサブファミリーの構成 要素およびTGF−βスーパーファミリーの選択された構成要素との間のアミノ 酸配列の同一性(パーセントで表す)を第6図に示す。 上記のように、これらの真の組織形態形成タンパク質は、C末端ドメインの配 列が非常に一致していること、真の組織形態形成タンパク質が単にそれ自身で線 維症(瘢痕)組織の形成を 誘導するのではなく、機能性組織を形成する事象の完全なカスケードを誘導でき ることから、当業界で、TGF−βスーパーファミリーのその他の構成要素と異 なるタンパク質の明確なサブファミリーとして認識されている。具体的には、形 態形成タンパク質のファミリーの構成要素は、形態形成に許容される環境で、細 胞増殖および細胞分化を剌激し、分化した細胞の増殖および維持を支持すること ができる。形態形成タンパク質は明らかに、内分泌、パラクリン、自己分泌因子 としても作用できる。 形態形成タンパク質は大量の種の「クロストーク」が可能である。すなわち、 これらのタンパク質の異種(外来種)相同体は機能的活性について互いに代用で きる。例えば、2つのドロソフィラタンパク質であるdppと60Aはそれぞれ 、その哺乳類の相同体であるBMP2/4およびOP−1の代用となりえ、標準 のラット骨形成アッセイで非骨部位での軟骨形成を誘導する。同様に、BMP2 はドロソフィラにおけるdpp-突然変異を保護することが発見されている。し かし、これらのタンパク質は無傷の状態では組織特異的であり、各タンパク質は 一般に1つまたは非常に少数の組織で発現されまたはこれらの組織に提供される か、発達の間の特定の時期にのみ発現される。例えば、GDF−1は主として神 経組織で発現されるように思われるが、OP−2は早期(例えば8日齢の)マウ スの胚で比較的高レベルで発現されるように思われる。内因的なモルホゲンは、 モルホゲンが作用する細胞、その隣接細胞または遠隔組織の細胞で合成されるが 、分泌されたタンパク質は作用すべき細胞まで輸送される。 特に強力な組織形態形成タンパク質はOP−1である。このタンパク質および その異種における相同体は多数の組織、主として尿生殖器官の組織並びに骨、乳 腺組織および唾液腺組織、生殖組織および消化管組織で発現される。OP−1は 胚形成の間に種々な組織でも発現され、OP−1が存在するのとその組織で形態 形成の開始が一致する。 細胞膜を横切る形態形成タンパク質のシグナル形質導入は1つ以上の細胞表面 受容体との特異的結合による相互作用の結果生じるものと思われる。TGF−β タンパク質スーパーファミリーの種々の構成要素の細胞表面受容体への結合に関 する最近の研究は、リガンドが、I型受容体およびII型受容体と呼ばれる2つ の異なる受容体と相互作用してヘテロ複合体を形成することにより、その活性の 媒介となる。細胞表面に結合したβ−グルカンも結合相互作用を増強しうる。I 型受容体およびII型受容体の両者とも、セリン/スレオニンキナーゼであり、 同様の構造、すなわち、本質的にキナーゼからなる細胞内ドメイン、膜を1回ス パンするのに十分に短く、伸びた、疎水性配列および保持されたシステイン濃度 の高いことを特徴とする細胞外ドメインを有する。 形態形成タンパク質はジスルフィド結合した二量体であり、疎水性のシグナル 配列と、アミノ酸数百個の長い、比較的保存されていないN末端前領域、切断部 位、およびファミリーの構成要素により異なるN末端領域とにより保存されてい るC末端領域を含む成熟ドメインを含む大きな前駆体ポリペプチド鎖として発現 される。C末端領域はすべての既知のモルホゲン・ファミリーの構成要素の処理 済成熟タンパク質中に存在するが、 約100個のアミノ酸を含有し、保存された6個または7個のシステイン骨格を 有する特徴的モチーフを有する。今日までに単離された個々の形態形成タンパク 質は、単量体サブユニットが非共有的な相互作用または1つ以上のジスルフィド 結合で結びつけられている二量体構造を有している。形態形成タンパク質は二量 体タンパク質として活性であるが、個々の単量体サブユニットでは不活性である 。 形態形成タンパク質はその生物活性から、例えば、骨折などの骨の欠損の再生 的治癒を誘導する治療用組成物および病的状態の骨組織例えば骨減少した骨組織 で健康な代謝特性を保存または回復するための治療用組成物を含む、損傷を受け たまたは病的状態の哺乳類の組織を治療するためのモルホゲンをベースとする治 療物質の開発に向けて非常に努力がなされてきた。哺乳類、特にヒトにおける非 軟骨形成組織に使用するためのモルホゲンをベースとする治療物質の開発および 特性化に関する業績の完全な記述は、例えば、EP0575,555、WO93 /04692、WO93/05751、WO94/06399、WO94/03 200、WO94/06449、WO94/10203およびWO94/064 20に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込む。 天然の単離された形態形成タンパク質または組換えにより作製された形態形成 タンパク質を哺乳類に投与する際にある種の問題が起こる可能性がある。これら の問題には、例えば、生物学的に活性なモルホゲン二量体が不活性な単量体サブ ユニットに分離されることによる形態形成活性の消失および/または生理的条件 下で溶解度が低いことに起因する操作上の問題が含ま れる。 従って、形態形成タンパク質、例えばOP−1の生理作用を模倣または増強す るモルホゲン類似体を同定する必要性が残っている。この類似体は修飾された形 態形成的に活性なhOP−1タンパク質二量体またはその断片またはその切断類 似体、ペプチドまたは有機小分子であってよい。この類似体は、天然のhOP− 1に比べ、生理的条件下でより安定および/またはより可溶性にすることにより 、または、例えば組織標的特異性を増強し、生体内分布を高め、または体内のク リアランス速度を低下させることにより、治療における有用性を高めることが好 ましい。 本発明の目的は、成熟hOP−1の三次元構造の原子座標を規定するデータベ ースを提供することであり、このデータベースはその全体または一部をhOP− 1の機能性類似体を設計および/または同定するコンピュータ・システムの一部 として使用できる。本発明の別の目的は、hOP−1と比較して生理的条件下で の溶解性および/または安定性が高く、哺乳類でhOP−1の生物活性を模倣ま たは増強できる分子を設計および/または同定する手段を提供することである。 本発明の別の目的は、本発明方法で設計および/または同定および製造される類 似体を含み、例えば骨減少症を特徴とする疾患などの代謝性骨疾患に罹患した哺 乳類など、その類似体を必要とする哺乳類に投与するのに好適な治療組成物を提 供することである。本発明の別の目的は、例えば、受容体結合についてhOP− 1と競合できるが、受容体が媒介する下流の生物作用を誘導することはできない hOP−1拮抗物質を設計および/または同定および 製造するのに有用な方法および組成物を提供することである。 本発明のこれらその他の目的および特徴は以下の説明、図面および請求の範囲 から明らかになろう。発明の概要 本発明は部分的に、成熟した二量体のヒト骨形成タンパク質−1(hOP−1 )の三次元構造のX線結晶学的決定に基づく。hOP−1の三次元構造は2.3 Åまで分解されている。本明細書では、hOP−1について2組の原子X線結晶 学的座標を示しており、1組は2.8Åの分解度まで分解したhOP−1構造を 規定し、もう1組は2.3Åの分解度まで分解したものである。この開示により 、当業者に、OP−1のタンパク質またはペプチド類似体を同定または設計し、 またはOP−1の機能を模倣する有機小分子を同定または設計するために、従来 のコンピュータ援用設計(CAD)法に使用する原子座標が提供される。 1つの態様では、本発明はメモリおよびメモリと電気的に接続されているプロ セッサを含むコンピュータ・システムを提供する。メモリは、それが合わさって hOP−1の三次元構造の少なくとも一部を規定する原子X線結晶学的座標を有 する。好ましい実施形態では、原子座標は第15図または第16図に示す原子座 標の一部または全部で規定される。 メモリと電気的に接続されているプロセッサは、ヒトOP−1の少なくとも一 部を表わす三次元形状を有する分子モデルを作成する工程を含む。好ましい実施 形態では、プロセッサは三次元形状の他に、ヒトOP−1の少なくとも一部が溶 媒の接触 できる表面を表す分子モデルを作成できる。 本明細書で使用する「コンピュータ・システム」という用語は、メモリと、端 末などの入力/出力装置の少なくとも1つの両者と電気的に接続されているプロ セッサを含む任意の汎用または特別な目的のシステムを意味するものと理解され る。このようなシステムには、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション またはメインフレームを含むことができるが、これらに限定されるものではない 。プロセッサは汎用のプロセッサもしくはマイクロプロセッサまたはRAMメモ リにあるプログラムを実行する特別なプロセッサであってよい。プログラムはデ ィスクまたは予めプログラムしたROMメモリなどの記憶装置からRAMに入れ ることができる。1つの実施形態のRAMメモリはデータの記憶とプログラムの 実行の両者に使用することができる。コンピュータ・システムという用語は、プ ロセッサとメモリが別の物理的実体中にあるシステムを含むが、ネットワークに より電気的に接続されているシステムも包含する。 本発明では、プロセッサはモデリング・プログラムを実行するが、このプログ ラムは、hOP−1のX線結晶学的座標を示すデータにアクセスし、それによっ て、分子の三次元モデルを構築する。さらに、このプロセッサは別のプログラム 、溶媒接触可能表面プログラムも実行でき、このプログラムはhOP−1の三次 元モデルを使用して、hOP−1分子の少なくとも一部の溶媒接触可能表面を構 築し、また、適宜、原子の溶媒接触可能面積を計算する。1つの実施形態では、 溶媒接触可能表面プログラムおよびモデリング・プログラムは同じプログラムで ある。別の実施形態では、モデリング・プログラムと溶媒接触 可能表面プログラムは別のプログラムである。このような実施形態では、モデリ ング・プログラムはモデリング・プログラムと溶媒接触可能表面プログラムの両 者にアクセスできるメモリの領域内にhOP−1の三次元モデルを格納すること ができ、また、三次元モデルをディスク、CD ROMまたは磁気テープなどの 外部記憶に書き込み、後から溶媒接触可能表面プログラムでアクセスすることも できる。 メモリはその中に成熟した生物的活性のあるヒトOP−1を規定するX線結晶 学的座標全体を格納していてもよく、または、例えば、フィンガー1(finger 1) 領域、フィンガー2領域、ヒール(heel)領域の1つ以上を含むこのような座標の サブセットを含んでいてもよい。フィンガーおよびヒール領域に対応するタンパ ク質構造を以下に詳述する。 別の好ましい実施形態では、プロセッサは、モルホゲン類似体またはモルホゲ ン拮抗物質、例えば三次元形状および、好ましくはさらにヒトOP−1の少なく とも一部に対応する溶媒接触可能表面を有し、OP−1の特異活性を模倣できる タンパク質、ペプチドまたは有機小分子を同定することもできる。 本明細書で使用される、OP−1(または関連モルホゲン)またはOP−1の 領域について、「三次元構造の少なくとも一部」または「少なくとも一部」とい う句は、モルホゲンの三次元表面構造の一部、または電荷分布および親水性/疎 水性を含み、OP−1単量体または二量体の連続したアミノ酸残基少なくとも3 個、より好ましくは少なくとも3個から10個、最も好ましくは少なくとも10 個から形成されたモルホゲンの領域を意味するものと理解される。このような部 分を形成する連続 した残基はOP−1分子の一次構造の連続した部分を形成する残基、OP−1単 量体の三次元表面の連続した部分を形成する残基、OP−1二量体の三次元表面 の連続した部分を形成する残基、またはこれらを組み合わせたものであってよい 。従って、OP−1の三次元構造の一部を形成する残基はモルホゲンの一次配列 中で連続している必要はないが、むしろ、モルホゲン単量体または二量体の表面 の連続部分を形成する必要がある。特に、このような残基は1つのモルホゲン単 量体の一次構造中で非連続的であってもよく、または二量体の形のモルホゲンの 別の単量体由来の残基を含んでいてもよい。本明細書で使用されるモルホゲンの 「三次元構造の一部」またはモルホゲンの「一部」を形成する残基は、表面のこ の部分を形成する各原子または官能基が、表面のこの部分を形成する最も近接す る各原子または官能基と、わずか40Å、好ましくはわずか20Å、より好まし くはわずか5〜10Å、最も好ましくはわずか1〜5Åしか離れていない連続し た三次元表面を形成する。 本明細書で使用される「X線結晶学的座標」という用語は、結晶型のhOP− 1分子の原子によりX線の単色ビームの回折により生じる反射の空間的分布に関 係する一連の数学的座標(「X」、「Y」および「Z」の値で示される)を意味 する。回折データを使用して結晶の反復単位の電子密度マップを作製し、得られ た電子密度マップを使用して、結晶の単位セル内の各原子の位置を規定する。 当業者には明らかなように、本明細書に示すhOP−1構造はその配向に依存 しておらず、第15図および第16図に示した原子座標は単にhOP−1構造の 1つの可能な配向を示して いる。従って、第15図および第16図に示した原子座標は、hOP−1構造の 原子の相対的な位置および特徴を変化させることなく、数学的に回転させ、翻訳 し、評価し、またはこれらを組み合わせてもよいことは明らかである。このよう な数学的操作は本発明に含まれるものとする。さらに、本明細書に規定のX線原 子座標には位置にいくらかの不確実性があること(例えば、Åで表される、各原 子の位置についての温度による不確実性を示す第16図のカラム「δ」参照のこ と)は当業者には明らかである。従って、本発明では、hOP−1の少なくとも 一部と同じアミノ酸配列を有する予め選択したタンパク質またはペプチドは、そ の予め選択したタンパク質またはペプチドの中心Cα原子を規定する1組の原子 座標を、好ましくは約1.5Å未満、最も好ましくは約0.75Å未満の二乗平 均平方根偏差まで、(図16に示す)hOP−1についての対応のCα原子の上 に重ねることができる場合、対応のhOP−1の部分と同じ構造を有するものと 考えられる。 本明細書で使用する「モルホゲン類似体」という用語は、OP−1の受容体結 合活性をを模倣し、及び/または形態形成タンパク質の受容体を介する下流の生 物学的作用特性を誘導できるすべての分子を意味するものと理解される。アルカ リ性ホスファターゼ活性の誘導が特徴的な生物学的作用である。この類似体は、 タンパク質、ペプチドまたは非ペプチジル・ベースの有機分子であってよい。従 って、モルホゲン類似体という用語は化学的または生化学的性質に関係なく、こ のようなOP−1様活性を有するすべての物質を包含する。本発明のモルホゲン 類似体は生体系により、または化学的または生化学的合成手法 を介して製造される簡単な物質または複雑な物質であってよい。本発明のモルホ ゲン類似体は大きな分子、例えば、組換えDNA法で生成した修飾hOP−1二 量体または小さな分子、例えば合理的な薬剤設計の原理に基づいてde nov oで作製された有機分子であってよい。本発明のモルホゲン類似体は、hOP− 1のムテイン(突然変異タンパク質)である物質、hOP−1の溶媒露出表面エ ピトープに構造が類似しており、OP−1特異的受容体に結合する物質、OP− 1反応性細胞の表面にあるOP−1特異的受容体を剌激する物質であってよい。 本明細書で使用する「OP−1またはOP−1様生物活性」という用語は、O P−1が誘導または増強することが知られているすべての生物活性を意味するも のと理解される。OP−1およびOP−1様生物活性には、前駆細胞の増殖の剌 激、前駆細胞の分化の剌激、分化した細胞の増殖の剌激、および分化した細胞の 増殖および維持の支持が含まれるが、これらに限定されるのではない。「前駆細 胞」という用語には、ゲノムの範囲および形態形成が誘導される許容される環境 の組織特異性に依存して、1つ以上の特異的な型の分化細胞に分化できる、好ま しくは哺乳起源の、中立(uncommitted)細胞を含む。具体的には、 骨、軟骨、神経および肝臓組織については、OP−1で剌激された形態形成カス ケードは、選択された局所の環境に適した新しいまた再生の分化した組織の形成 の際に最高に達する。従って、OP−1を介した形態形成は、瘢痕組織(例えば 線維性の結合組織)が形成され、分化した機能性組織の病変またはその他の損傷 を充填する単純な修復治癒過程とは有意に異なる。 本明細書で使用する「モルホゲン拮抗物質」は、OP−1の受容体結合活性を 模倣できる分子であるが、これは受容体を介する下流の作用を誘導することはで きない。 本発明の別の好ましい実施形態では、プロセッサは、座標で規定され、化学的 修飾またはアミノ酸置換のいずれかによる特定部位の修飾によりヒトOP−1の 溶解性および/または安定性を高めるアミノ酸を同定することができる。 関連した態様では、本発明はOP−1またはOP−1様生物活性を模倣または 増強するモルホゲン類似体を作製する方法を提供する。この方法は、(a)ヒト OP−1の少なくとも一部を表す三次元形状を規定する分子モデルを提供するス テップと、(b)ヒトOP−1の少なくとも一部を表す三次元形状に対応する三 次元形状を有する化合物を同定するステップと、(c)ステップ(b)で同定さ れた化合物を製造するステップとを含む。この方法には、得られた化合物がOP −1の生物活性を模倣または作動するかを決定するための生物系でこの化合物を テストする別のステップを含むことができる。上記の方法では、ステップ(a) および/またはステップ(b)は市販のソフトウェア・パッケージを使用する電 子プロセッサを使用して実行できるものと企図される。 候補化合物がOP−1活性を調節するかを決定する際には、当業界でよく知ら れており、十分証明された従来のCADおよび/または合理的な薬剤設計法を使 用することにより候補化合物を繰り返し改良することができるものと企図される 。さらに、これまでに同定された、得られた化合物は哺乳類に投与する目的で市 販できる量で製造することができるものと企図される。 別の実施形態では、第15図および第16図に示した原子座標を使用してモル ホゲン類似体を生成することができる。第15図および第16図に示す原子座標 を詳しく見ると、当業者には、hOP−1の三次元構造内にもともとに位置する 特定のアミノ酸配列の三次元構造を見ることができる。本明細書下記に示すよう に、好ましいアミノ酸配列はH1、H−n2、H−c2、F1−2、F2−2お よびF2−3からなる群から選択される1つ以上のペプチドで規定される。この ペプチドはより有効なモルホゲン類似体の製造に使用できる鋳型を提供する。好 ましい実施形態では、モルホゲン類似体のアミノ酸残基のCα原子は、第15図 および第16図の各原子座標で規定される対応するCα原子の6Å以内、好まし くは3Å以内、最も好ましくは2Å以内に位置する。別の好ましい実施形態では 、モルホゲン類似体のアミノ酸残基のCα原子は、ペプチド配列H1、H−n2 、H−c2,F1−2、F2−2およびF2−3の少なくとも3個のアミノ酸の 対応するCα原子の6Å以内、好ましくは3Å以内、最も好ましくは2Å以内に 位置するが、ここでペプチド内の個々のCα原子は第15図および第16図に示 す各原子座標により規定される。 別の実施形態では、本発明は元の二量体hOP−1に比べ、水性バッファ中で の溶解度および/または安定性が高いモルホゲン類似体を提供する。さらに別の 実施形態では、本発明は、通常は抗体で、またはOP−1を体外に除去する細胞 性のシカベンジャタンパク質に認識されるOP−1のエピトープまたは領域を修 飾により除去した修飾型の二量体hOP−1であるモルホゲン類似体を提供する 。 別の実施形態では、本発明は、受容体結合特性を変化させた類似体を生成する 手段を提供する。例えば、推定される受容体結合部位に属する構造、電荷分布お よび溶媒接触可能表面に関する情報が提供されると、受容体結合特異性および結 合活性を変化または修飾することができる。1つの実施態様では、例えばWO9 4/06449またはWO93/05751に開示されたその他の公知のモルホ ゲンの対応のアミノ酸を参考に、この領域のアミノ酸を置換する。 ヒトOP−1の三次元構造を決定した後、当業者は、OP−1の構造を規定す る原子座標が得られる、従来のCADおよび/または合理的な薬剤設計法を使用 して、タンパク質もしくはペプチド類似体またはその他の有機小分子を同定また は設計することができ、これらは従来の化学および方法で作製した後、in v itroまたはin vivoでテストして、ヒトOP−1の生物活性を模倣ま たは増強するかについて評価することができる。 本発明の前記その他の目的、特徴および利点は以下の本発明の好ましい実施形 態の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。図面の簡単な説明 本特許の出願書類には少なくとも1枚のカラーの図面が含まれる。本特許の写 しはカラー図面を含め、請求および必要な料金の支払いにより、特許・商標局か ら提供されよう。 本発明の目的および特徴は下記の図面の説明を参照することによりさらに理解 できるが、図中、同様に参照される特徴は対 応の図面に共通の特徴を表す。 第1A図は、hOP−1の単量体サブユニットの構造を説明するのに有用な単 純化した線図である。説明については、上記の発明の概要を参照されたい。第1 B図、第1C図および第1D図は、hOP−1領域、フィンガ1領域、ヒール領 域、フィンガ2領域のそれぞれのペプチド骨格の単眼視野リボン・トレースであ る。第1E図および第1F図はそれぞれ、左手のモチーフで表した、単量体およ び二量体の形のhOP−1の概略図である。 第2図は、hOP−1の単量体サブユニットの概略図である。3個のジスルフ ィド結合を含むhOP−1のシステイン結合部分がhOP−1単量体サブユニッ トの核を構成している。残基Cys67−Cys136、Cys71−Cys1 38を結合するジスルフィド結合は8残基環を形成し、残基Cys38−Cys 104を結合する三番目のジスルフィド結合はその環を通る。結合部分からの逆 平行βシートの4本の鎖が2本のフィンガ状突起を形成する。結合部分の反対の 端部に位置するα螺旋は2本のフィンガの軸に垂直で、ヒールを形成する。単量 体サブユニットのN末端はまだ解明されていない。βシートは矢印で表わし、β 1からβ8と表示する。α螺旋は管として表し、α1と表示している。システイ ン結合部分を構成するサブユニット内のジスルフィド結合は実線で示す。この図 の最初の残基は、Gln36(「N36」から出発し、フィンガ1領域の二次構造 を作るアミノ酸残基はLys39−His41(β1)、Tyr44−Ser4 6(β2)、Glu60−Ala63(β3)、Tyr65−Glu70(β4 )を含み、フィンガ 2領域の二次構造を作るアミノ酸残基は、Cys103−Asn110(β5) 、Ile112−Asp118(β6)、Asn122−Tyr128(β7) 、Val132−His139(β8)を含んでおり、ヒール領域の二次構造を 作るアミノ酸残基はThr82−Ile94(α1)を含んでいる。 第3図は、hOP−1およびTGF−β2のフィンガ1、ヒールおよびフィン ガ2領域の構造をベースとする配列である。hOP−1およびTGF−β2の二 量体の鎖間の接触を構成するヒール領域のアミノ酸残基は黒地に白で示した。他 の鎖と接触するフィンガ1およびフィンガ2の領域のアミノ酸残基は灰色地に黒 で示した。hOP−1およびTGF−β2では、同じ残基の位置にあるアミノ酸 が鎖間の接触を構成する。 第4A図および第4B図は、hOP−1の三次元形状を表す立体的なペプチド 骨格のリボン・トレースであり、(A)は「上部」から(サブユニットの間の対 称の2倍軸に沿って下降し)、螺旋状のヒール領域の軸は一般に紙に垂直で、各 フィンガ1およびフィンガ2領域の軸は一般に垂直であり、(B)は「側部」か らの図であり、サブユニット間の2倍軸は紙に平行であり、ヒールの軸は一般に 水平で、フィンガの軸は一般に垂直である。hOP−1単量体は約4394Å2 の接触できる非極性表面積を有し、一方、二量体の接触できる非極性表面積は約 6831Å2、その結果、単量体1個について、二量体化により約979Å2面積 が隠れることになる。読者には、例えば、標準的な立体ビューア装置を使用して ウォールアイ・ステレオの立体α炭素トレースの図を見て、モルホゲン類似体の 設計におけるアミノ酸配列の空間での関係をより容易に可視化するこ とが薦められる。 第5A図は、2.8Åまで分解された2つのhOP−1単量体サブユニットを 含むhOP−1二量体を示す骨格のリボン・トレースである。1つの単量体サブ ユニットは緑で示し、他方のサブユニットは金色で示す。溶媒が接触できる側鎖 を有する目的の受容体結合ドメイン内にあるアミノ酸残基を原子球として示す。 1つのOP−1単量体サブユニットのフィンガ1およびフィンガ2領域の先端お よび他方のOP−1単量体サブユニットのヒールのC末端のループが受容体結合 ドメインを構成すると考えられている。可変アミノ酸配列の位置にあるアミノ酸 を白で示し、より保存された位置にあるアミノ酸を赤で示す。第5B図および第 5C図は、静電電位に基づいて着色したOP−1およびTGF−β2二量体の各 溶媒接触可能表面を示す図である。静電電位が−3kT以下の表面領域は赤で示 し、+3kT以上の表面領域は青で示す。中性領域は第5A図に示す骨格リボン に対応して緑と金色で示す。 第6図は、TGF−βスーパーファミリについて同一性のマトリックスを示す 表である。マトリックスには、OP−1に対する36%を超える同一のアミノ酸 配列を有するTGF−βスーパーファミリの構成要素を含んでいる。マトリック スでは、TGF−βスーパーファミリの構成要素をOP−1に対するアミノ酸の 同一性が低くなる順番に並べている。TGF−β2はOP−1に対して36%同 一のアミノ酸配列を有しており、マトリックスの最下段に示している。箱内には 、ファミリの他の構成要素の大部分と50%以上の同一性を有する配列のファミ リを示す。75%以上同一の配列は灰色で示す。骨を形成する ために示した組換えにより発現させたOP/BMPファミリの構成要素は左の余 白に「+」で示す。左の余白では、三次元構造が決定されているTGF−βスー パーファミリの構成要素を黒地に白で示す。下記のものを除き、配列はKing sley(Kingsley(1994年)Genes and Development 8: 133-146)に参照され ている:UNIVIN(Stenzel 等(1994年)Develop.Biol.166:149-158)、 SCREW(Arora 等(1994年)Genes and Dev.8: 2588-2601)、BMP−9( Wozney等(1993年)PCT/W0 93/00432、配列番号9)、BMP−10(Celeste 等(1994年)PCT/W0 94/26893、配列番号1)、GDF−5(Storm 等(1994年 )Nature 368: 639-643)(CDMP−1とも呼ばれる(Chang 等(1994年)J. Biol.Chem.269: 28227-28234 )、GDF−6(Storm 等(1994年)Nature 36 8: 639-643)、GDF−7(Storm 等(1994年)Nature 368: 639-643 )、CD MP−2(Chang 等(1994年)J.Biol.Chem.269: 28227-28234)、OP−3 (1zkaynak等(1994年)PCT/WO 94/10203、配列番号1)、インヒビンβc(H6t ten等(1995年)Bioch.Biophs.Res.Comm.206: 608-613)およびGDF−1 0(Cunningham等(1995年)Growth Factors 12:99-109)。上記引用文献の開示 は参照して本明細書に含む。マトリックス中のいくつかの配列には別の名称、O P−1(BMP−7)、BMP−2(BMP−2a)、BMP−4(BMP−2 b)、BMP−6(Vgr1)、OP−2(BMP−8)、60A(Vgr−D )、BMP−3(オステオゲニン)、GDF−5(CDMP−1、MP−52) 、GDF−6(CDMP−2、BMP −13)およびGDF−7(CDMP−3、BMP−12)がある。 第7図は、2.8Åの分解構造により、共に二量体hOP−1の溶媒接触可能 表面を規定するアミノ酸の概要である。第7A図、第7B図および第7C図はそ れぞれ、ヒトOP−1のフィンガ1領域、ヒール領域、フィンガ2領域を規定す るアミノ酸配列を示す。側鎖の40%以上が溶媒に露出されているアミノ酸残基 を箱内に示すが、TGF−βスーパーファミリのBMP/OPファミリ内で非常 に変化する溶媒接触可能なアミノ酸残基は陰影付きの箱内に示す。 第8図は、2.8Åの構造に基づく表であり、hOP−1単量体サブユニット およびhOP−1二量体中のアミノ酸側鎖の表面接触可能な部分の割合をまとめ たものである。推定されるエピトープを構成すると考えられるアミノ酸残基には 「エピトープ」と示し、表面修飾可能なアミノ酸の候補となりうるアミノ酸残基 にはアスタリスクを付けた。さらに、溶解性を高くするための好ましい候補であ る表面修飾可能なアミノ酸にもアスタリスクを付けた。 第9図は、2.8Åの構造に基づく表であり、隆起部を規定すると考えられる アミノ酸残基をまとめたものである。隆起部の受容体結合ドメインを構成すると 考えられるアミノ酸残基にはアスタリスクを付けた。 第10図は、本発明の実行に使用できるコンピュータ・システムを概略的に示 している。 第11A図および第11B図は、2.8Åの構造を参照して作成した表であり 、hOP−1二量体に追加の鎖間(11A) または鎖内(11B)ジスルフィド結合を導入する部位として有用であると考え られているアミノ酸対をまとめたものである。 第12図は成熟ヒトOP−1のアミノ酸配列並びにヒトOP−1のフィンガ1 領域、フィンガ2領域、ヒール領域を規定するペプチドのアミノ酸配列を示すア ミノ酸配列表である。 第13A図から第13D図は、可溶性OP−1の存在下または非存在下で培養 したROS細胞のアルカリ性ホスファターゼ活性に対するフィンガ2およびヒー ルペプチドの作用を示す棒グラフである。第13A図、第13B図、第13C図 および第13D図はそれぞれ、可溶性OP−1の存在下(陰影付きの棒部分)ま たは非存在下(陰影なしの棒部分)で培養したROS細胞のアルカリ性ホスファ ターゼ活性に対するペプチドF2−2、F2−3、Hn−2およびHn−3の作 用を示している。 第14A図および第14B図は、フィンガ1、フィンガ2およびヒールペプチ ドによるROS細胞膜からの放射性標識した可溶性OP−1の置換を示すグラフ である。第14A図は、非標識可溶性OP−1(白丸および白三角)、フィンガ 2ペプチドF2−2(黒丸)およびフィンガ2ペプチドF2−3(黒三角)によ るROS細胞膜からの放射性標識OP−1の置換を示している。第14B図は、 非標識可溶性OP−1(白三角)、フィンガ1ペプチドF1−2(黒箱)、ヒー ルペプチドH−n2(白ダイヤ型)およびヒールペプチドH−c2(白丸)によ るROS細胞膜からの放射性標識OP−1の置換を示している。 第15図は、2.8Åに分解したhOP−1の原子座標をまとめた表である。 第16図は、2.3Åに分解したhOP−1の原子座標をま とめた表である。 図面に関する詳細は、hOP−1の三次元構造、モルホゲン類似体の同定法、 このようなモルホゲン類似体の作製、試験および使用法の詳細を開示する以下の 説明中に開示されている。好ましい実施形態の詳細な説明 I.緒言 下記に示すように、現在、成熟hOP−1の三次元結晶構造を2.3Åまで分 解されている。hOP−1の2組の原子座標を開示しており、1組の座標(第1 5図参照)は2.8Åまで分解したhOP−1の構造を示し、もう一方の座標( 第16図参照)は2.3Åまで分解したhOP−1の構造を示す。従って、この 開示から、生物活性を付与するに十分なヒトOP−1の少なくともC末端の10 4個のアミノ酸の三次元空間における相対的な位置を規定する原子座標が提供さ れる。この開示はまた、hOP−1の構造の特徴の分析も提供する。当業者は形 態形成タンパク質類似体、特にOP−1類似体を作製するデータベースにこれら の座標の一部または全部を使用することができる。具体的には、当業者はデータ ベースの一部または全部を選択して、hOP−1の三次元構造の一部または全部 の鋳型を作製することができ、この鋳型を使用して、アミノ酸をベースとするま たはアミノ酸をベースとしない有機成分で全体または一部が構成されている所望 の類似体またはその変形例を作製することができる。 下記に、hOP−1の三次元結晶構造を詳細に示すと共に、当該モルホゲン類 似体また構造的な変形例を設計するためのデ ータベース中の座標の使用法を詳細に示す。例示のための鋳型としてのアミノ酸 配列を、OP−1原子座標データベースの1つを使用してOP−1類似体を設計 、同定および作製するための例として示す。有用な類似体として本明細書で具体 的に考えられるものには、タンパク質の受容体結合領域に類似した小さなアミノ 酸分子、安定性または溶解性を高めた類似体、体内からの除去率を低減した類似 体または標的組織特異性を高めた類似体が含まれる。読者はこれらの例が単に例 示のためのものであることを理解されたい。座標、三次元構造、データベースに おける座標の使用に関する開示が与えられ、また当業界の現在のレベルから、本 明細書には具体的に記載していないその他の類似体もこの開示から企図され、可 能である。特に、本明細書の開示およびその他の非常に関係するモルホゲンにつ いての公知のアミノ酸配列が与えられると、本発明の方法を使用して、例えば、 BMP2、BMP4、OP2、BMP5およびBMP6のその他のモルホゲン類 似体を生成することができる。II .hOP−1の構造決定 A.2.8Å構造の決定 成熟hOP−1の結晶は、同量の10mg/mlの精製したタンパク質(1zka ynak等(1990年)EMBO J.9: 2085-20893および Sampath等(1992年)J.Biol. Chem.267:20352-20362)と50mM酢酸ナトリウムバッファ(pH5.0)中 の8%飽和硫酸アンモニウム溶液を混合して成長させた。この結晶は空間グルー プP3221の対称であり、単位セルの大きさはa=b=99.46Å、c=4 2.09Åである。1つの結晶を使用して、4℃で2.8Åまで分解した完全な 生データを収集し た。2組の重原子派生データを4℃で収集したが、1つは0.3mMの硝酸ウラ ニルに7日間浸漬した結晶から得たもので、もう一方は0.5mM四塩化金(I II)ナトリウムに8時間浸漬した結晶から得たものである(Griffith等(1994 年)、上記)。 生データおよび派生データをR−AXIS−IICソフトウェア・セット(Hi gashi(1990年)A Program for Indexing and Processing R-AXIS IIC Imaging Plate Data 、 Rigaku Corp.)で積分および換算し、CCP4プログラムAN SC(Collaborative Computation Project(1994年)Acta Cryst.D50:760-763 )を使用して概算した。差異パターソン・マップのハーカー部分を調べたとこ ろ、単一のウラニル部位が明らかとなる。単一の金部位の位置は位相部位として ウラニル部位を使用するクロス・フーリエ手法により決定した。重原子x、y、 zパラメータおよび占有をプログラムTENEYCK(Ten-Eyck等(1976年)J .Mol.Biol.100: 3-11)で改良した。これらの2つの誘導体およびその異常信 号を使用して、初期位相のセットをメリット0.72の平均値を使用して4.0 Åの分解度まで計算した。この位相を溶媒フラッタリング(Wang(1985年)Meth .Enzymol.115: 90-112)を数サイクル実施し、CCP4(Collaborative Comp utation Project(1994年)、上記)結晶学パッケージを使用する位相の組合せ (Reed(1986)ActaCryst.A42: 140-149)で3.5Åの解像度とした。完全に 解釈できる3.5Åの分解度の電子密度マップにより、グラフィック・プログラ ム「O」(Jones 等(1991年)Acta Crystallogr.A47: 110-119)を使用して、 ポリペプチド鎖を明確にトレ ースし、Gln36からHis139までのアミノ酸を同定できた。このモデル はプログラムXPLOR(Brunger 等(1987年)Science 235: 458-460)により 、Fobs>2.0σ(Fobs)である10Åから2.8Åの分解度のすべての反射 を使用して改良した。この改良には水分子は含まれなかった。理想値からの二重 平均平方根(rms)誤差は結合長について0.02Å、結合角度については3 .2゜である。骨格のねじれ角については良好な立体化学が認められた。現在の R因子は22.8%である。 2.8Åの分解構造を規定する原子座標を第15図に示す。第15図では、「 原子」とした欄には、座標を測定してある原子を示す。欄の最初の文字は元素を 示す。「残基」とした欄には、座標が既に測定された原子を含むhOP−1単量 体中のアミノ酸残基を示す。「鎖」とした欄には、当該の原子がhOP−1二量 体の第一(A)サブユニットまたは第二(B)サブユニットのどちらにあるかを 示している。欄「X、Y、Z」は測定された原子の原子位置を規定するデカルト 座標である。B.2.3Å構造の決定 成熟hOP−1の結晶を前節に記載のように生成した。液体窒素で凍結させた 1個の結晶を使用し、2.3Åまで分解したデータを収集したが、これは91% 完全であった。このデータは、振動域0.5゜(重複0.1゜)、露出時間60 〜90秒でビーム・ラインX12C(National Synchrotron Light Source )で 画像プレート上で収集した。デジタル化したデータはDENZOおよびSCAL EPACK(Molecular StructureCorporation、テキサスから入手できる)で処 理し、合併し、 調整した。2.8Åモデルを使用したX−PLOR剛性体調整後に計算した最初 の2Fo−FCマップは容易に解釈できた。モデルの一部を手動で、相互グラフ ィック・プログラム「O」および「Chain」を使用して、電子密度マップに 再度当てはめた。その後の調整(XPLOR/PROFFT)および手動的再構 築(QUANTA)のサイクルにより、迅速に現在のモデルに収束した。 このモデルにより、10Åから2.3Å(カットオフ1.5σ)およびRfree 27%からのデータについて、従来の結晶学的R因子23.5%が得られた。調 整した構造をPROCHECK(Protein Data Bank)ブルックハーベン、ニュ ーヨークから入手できる)アルゴリズムを使用して解析し、必要に応じて補正し た。理想値からの二乗平均平方根(rms)偏差は結合距離については0.01 5Å、角度距離については0.034Å、平面1−4距離については0.142 Åである。理想値からのrms偏差は結合角度について1.7゜である。自由R 因子を使用するルザッチ・プロット(EXPLOR)からの原子位置の誤差の上 限推定値は0.25Å〜0.33Åである。単量体サブユニットを含む最終モデ ルは828個のタンパク質原子(すなわち、すべて非水素原子)と33個の水分 子からなる。平均温度(B)因子はタンパク質原子については33Å2であり、 溶媒原子については37Å2である。 2.3Åの分解構造を規定する原子座標を第16図に示す。第16図では、「 原子」とした欄には、座標をすでに測定した原子を示す。この欄の最初の文字は 元素を表す。「残基」とした欄には、座標を既に測定した原子を含むhOP−1 単量体中 のアミノ酸残基を示す。「鎖」とした欄には、hOP−1二量体の第一(A)ま たは第二(B)単量体サブユニットのどちらに当該原子が位置するかを示す。欄 「X、Y、Z」は測定する原子の原子位置を規定するデカルト座標である。「δ 」とした欄は各対応原子の温度因子(B)から得た座標の位置の不確実性を表す 。各座標の不確実性は式δ=√B/8π2(「Protein Crystallography」(1976 年) T.L.BlundellおよびL.N.Johnson、Academic Press、p121参照)から得 たものであり、単位Åで表す。III .hOP−1単量体サブユニットの構造の特徴 ヒトOP−1はTGF−β2と同様に、第1A図に示すような、C末端の7個 のシステイン残基の内6個を含む独特な折り畳みパターンを有する二量体のタン パク質である。OP−1の個々のサブユニットは、TGFβ2(Daopin等(1992 年)Science 257: 369-373および Schulnegger等(1992年)Nature 358: 430-43 4 参照)と同様に、第1A図に概略的に示すC末端の7個のシステイン残基の内 6個を含む特徴的な折り畳みパターンを有している。 第1A図を参照すると、各サブユニットのシステイン残基の内4個が2つのジ スルフィド結合を形成し、この2つのジスルフィド結合が合わさって8残基環を 形成しており、別の2個のシステイン残基は環を通るジスルフィド結合を形成し 、ノット様構造(システイン・ノット)を形成する。7個の保存されているシス テイン残基の内の最もN末端側のシステインを1番として番号を付けると、2番 目と6番目のシステイン残基が8残基環の一側の近くでジスルフィド結合し、3 番目と7番目のシ ステイン残基が環の他側の近くでジスルフィド結合している。1番目と5番目の 保存されたシステイン残基は環の中心部を通ってジスルフィド結合して、ノット の核を形成する。アミノ酸配列アラインメントのパターンは、この構造モチーフ がTGF−βスーパーファミリの構成要素間で保存されていることを示唆してい る。4番目のシステインは半保存されており、存在する場合には、一般に、別の サブユニット中の対応のシステイン残基と鎖間ジスルフィド結合(ICDB)を 形成する。 各hOP−1単量体サブユニットは3つの主要な三次構造要素とN末端領域を 含んでいる。構造要素は、(1)ループ、(2)螺旋および(3)βシートの型 の二次構造を50%以上保持する連続したポリペプチド鎖の領域から構成されて いる。さらに、これらの領域では、N末端およびC末端の鎖は7Å以上は離れて いない。 1番目の保存システインと2番目の保存システインの間のアミノ酸配列(第1 A図)は、本明細書ではフィンガ1領域(F1)と呼ぶ逆平行βシート・フィン ガを特徴とする構造領域を形成する。ヒトOP−1のフィンガ1ペプチド骨格の リボン・トレースを第1B図に示す。同様に、第1A図の5番目と6番目の保存 システインの間の残基も、本明細書でフィンガ2領域(F2)と呼ぶ逆平行βシ ート・フィンガを形成する。ヒトOP−1フィンガ2ペプチド骨格のリボン・ト レースを第1D図に示す。βシート・フィンガは、βターンまたは幾分大きなル ープによりそれ自身折り畳まれているβ鎖を含み、そのため、入ってくる鎖と出 てゆく鎖とが1つ以上の逆平行βシート構造を形成する1つのアミノ酸鎖である 。3番目の主要な構造領域 は、第1A図の3番目と4番目の保存システインの間の残基を含め、本明細書で ヒール領域(H)とする3回転α螺旋を特徴とする。ヒトOP−1ヒールペプチ ド骨格のリボン・トレースを第1C図に示す。 単量体構造の構成は左手(第1E図参照)のものと同様であり、ノット領域は 掌(16)と等しい位置にあり、フィンガ1領域は人差し指と中指(各々12お よび13)と等しく、α螺旋であるヒール領域はバンド(17)のヒールと等し く、フィンガ2領域は薬指と小指(各々14および15)に等しい。N末端領域 (本明細書に開示の2.8Å分解マップでは規定していない)は親指(11)と ほぼ等しい位置にあると予測されている。 単量体の3つの主要な独立した構造要素のそれぞれのα炭素骨格を示す単眼視 野(monovision)リボン・トレースを第1B図から第1D図に示す。具体的には、 最初の逆平行βシート部分を含むフィンガ1領域を第1B図に示し、3回転α螺 旋部分を含むヒール領域を第1C図に示し、第二および第三の逆平行βシート部 分を含むフィンガ2領域を第1D図に示す。 比較のために、第3図に、hOP−1およびTGF−β2のフィンガ1、フィ ンガ2およびヒール領域を規定するアミノ酸配列のアラインメントを示す。第3 図では、OP−1とTGF−β2のアミノ酸配列はOP−1およびTGF−β2 の構造における局所構造が同一の対応する領域に従って配列されている。アライ ンメント・ギャップはループ領域にあり、α炭素のトレースの局所コンホメーシ ョン相同性が最も低い傾向にあるループ領域にあった。 OP−1およびTGF−β2の構造をベースとするアラインメントを他のTG F−βスーパーファミリの構成要素のシステイン7個のドメインの配列のための 鋳型として使用した(TGF−βスーパーファミリの他の構成要素については第 6図に示す)。OP−1およびTGF−β2の構造の両者ともに、アラインメン ト・ギャップはループのある領域に位置する。配列の対の間の同一性の割合は、 ギャップを除去し、配列の長さの幾何学的平均について正規化し、100倍する ことにより、同一に並んだ配列の位置の数として計算した。第6図は、そのよう に並べたスーパーファミリ配列の間の、得られた対に関して存在する同一性のマ トリックスである。このような原理を使用して、hOP−1およびTGF−β2 の構造を単独又は組合せて、三次元構造がまだ決定されていないTGF−βスー パーファミリに属する他のタンパク質(例えば、第6図に示したTGF−βスー パーファミリの他の構成要素)の相同性モデリングに使用できるものと企図され る。このようなモデルは、当該モルホゲンの特別な候補のモルホゲン類似体の設 計.に使用できるものと企図されるが、単純化するために、本明細書の以下の開 示では具体的に、hOP−1のモルホゲン類似体の設計、同定および製造につい て言及する。 第3図も、2.8Åの分解構造の分析に基づいて、OP−1およびTGF−β 2の鎖間接触残基の比較を示している。残基は、各側鎖からの少なくとも1つの 非水素原子の中心間の距離がこのファンデルワールス半径と1.1Åの合計より 小さいときに、接触残基と表した。OP−1とTGF−β2との間の配列同一性 が低いにも関わらず、1つの鎖のヒール領域の残基と 他の鎖のフィンガ1およびフィンガ2領域の残基の間の鎖間接触はよく保存され ている。 hOP−1の2.8Åの分解構造を詳細に調べると、hOP−1のフィンガ1 領域は13残基オメガ・ループ(Phe47−Glu60)を含む逆平行βシー トである(第2図)。第3図に示すOP−1およびTGF−β2配列の構造アラ インメントでは、オメガ・ループに2つのギャップがある。最初のギャップはT GF−β2のα2螺旋のArg26と並ぶhOP−1中の欠失を表す。この欠失 が、TGF−β2と比較すると、OP−1におけるより狭い非α螺旋ターンとな る。2番目のギャップはOP−1におけるGln53の挿入に対応するギャップ であり、その結果、Gln53とAsp54側鎖の両者が溶媒内に向くことにな る。比較すると、TGF−β2の対応の領域では、Lys31のみが溶媒と接触 する。オメガ・ループのコンホメーションにおけるこれらの差によっても、保存 されたプロリン(Pro59)がTGF−β2ではcisにあるのに対してhO P−1ではtransとなる。オメガ・ループのコンホメーションは6個の非極 性残基を配向しているため、これらの残基がフィンガ2との溶媒接触不能界面に 関与できる。これらの6個の内4個は芳香族(Phe47、Trp55、Tyr 62およびTyr65)であり、2個は脂肪族(Ile56およびIle57) である。すべてにおいて、オメガ・ループ骨格のコンホメーションでは、5個の 極性残基(Arg48、Asp49、Gln53、Asp54およびGlu60 )が溶媒と接触する。この領域の実効表面電荷は−2であるが、TGF−β2で は+2である(第5図)。 2.8Åの構造によると、単量体のα螺旋のみが3番目と5番目のシステイン (Cys71およびCys104)の間にある。この螺旋は残基Thr82から Ile94まで3回転半延びており、両親媒性であり、多くの疎水性残基を含み 、これが二量体中では他の単量体のフィンガ1およびフィンガ2からの残基と接 触する(第3図)。数個の親水性残基(Thr82、His84およびGln8 8)が二量体の2倍軸付近の内部溶媒ポケットの1つの壁を形成し、その他の親 水性残基(Asn83、His92およびAsn95)が外部の溶媒と接触する 。螺旋のC末端からシステイン・ノットまでのループのコンホメーションはOP −1とTGF−β2で同様である。対照的に、螺旋のN末端にあるループはOP −1で3残基長く、その結果TGF−β2と折り畳みの型が異なる。OP−1の このループでは、N結合糖部分がAsn80に結合していると考えられているが 、TGF−β2には対応のグリコシル化部分は存在しない。さらに、このループ はOP−1では非荷電であるが、TGF−β2ではマイナスの電荷を持つ。 2.8Åの構造によると、フィンガ2はOP−1の第二の逆平行βシートであ る(第2図)。ポリペプチド鎖は、残基Asp118から残基Asn122まで の3:5回転の間のセグメントβ6とβ7の間で方向転換する(Sibanda 等(19 91年)Methods in Enzymol.202: 59-82)。対照的に、TGF−β2はこのルー プの残基が1つ少なく、2:2回転である(Sibanda等(1991年)上記)。セグ メントβ7とβ8の間のArg129からVal132までの残基は、鎖β5の C末端と交差し、フィンガ2の逆平行β構造で180゜のねじれを形成するペプ チド・ブリッジを形成する。他のシステイン・ノット増殖因子でも同様の構造が 認められるが、ペプチド・ブリッジの長さは異なる(McDonald等(1991年)Natu re 354: 411-414 )。単量体内で、フィンガ2は、芳香族残基Tyr116、P he117およびTyr128および脂肪族残基Val114、Leu115、 Val123、Met131およびVal133が溶媒接触不能界面に寄与する ことにより、フィンガ1との鎖内鎖を形成する。OP−1とTGF−β2では、 フィンガ2ターンの領域内の3つの電荷が異なる。すなわち、OP−1は2個の マイナスの電荷を有するのに対し、TGF−β2は1つのプラスの電荷を有する 。ターンとペプチド・ブリッジの間の領域では、OP−1の実効電荷は+3であ るのに対し、TGF−β2では中性である(第5図)。 各単量体サブユニットのN末端は非常に移動度が高いと考えられており、hO P−1の2.8Å分解構造ではまだ明らかになっていない。N末端領域は生物活 性に影響を与えることなく除去することができるので、in vivoの特定部 位へのターゲティングを増強するまたはin vivoの画像実験に使用するた めに、成熟hOP−1のこの部分を除去し、抗体などの他のタンパク質またはペ プチド配列および/または放射性標識した部位で置換することができるものと企 図される。また、N末端領域を、親和性精製スキームに使用するためにイオン・ キレーティング・モチーフ(例えばHis6)で置換することや、水性溶媒への 溶解度を高めるためにタンパク質またはペプチドで置換することもできる。IV .hOP−1二量体の構造の特徴 第4図は2.8Åの構造に基づく、hOP−1二量体複合体のペプチド骨格を 表す立体リボン・トレース図である。二量体複合体中の2つの単量体サブユニッ トは、一つのサブユニットのヒール領域が他のサブユニットのフィンガ領域と接 触し、分子の核を形成する結合サブユニットのノット領域を形成するように対称 の配向を示す。4番目のシステインは第二の鎖の4番目のシステインと鎖間ジス ルフィド結合を形成し、それにより、掌の中心でこれらの鎖が同等に結合する。 このように形成された二量体は、サブユニットの間の対称の2倍軸を頂部から見 おろしたときに、楕円体(葉巻形)である(第4A図)。側部から見ると、2つ のサブユニット分子は互いにわずかな角度で配向しているため、曲がった「葉巻 」に似ている(第4B図)。 第4図に示すように、二量体の元の単量体サブユニットを共に規定する構造要 素をそれぞれ43、43’、44、44’、45、45’、46および46’と 表示するが、要素43、44、45および46は1つのサブユニットで規定され 、43’、44’、45’および46’は別のサブユニットに属する。具体的に は、43と43’はフィンガ1領域を示し、44と44’はヒール領域を示し、 45と45’はフィンガ2領域を示し、46と46’は各サブユニットの1番目 と5番目の保存システインを結合し、ノット様構造を形成するジスルフィド結合 を表す。第4図から、1つのサブユニットからのヒール領域、例えば44と、他 のサブユニットからのフィンガ1およびフィンガ2領域、例えば43’および4 5’が相互に作用することが判る。これらの3つの要素が互いに共同して、同種 受容体のリガンド結合相互作用表面を規定する。 螺旋軸とは、螺旋領域のα炭素から等距離にある線と定義されている。二量体 中の螺旋の軸間の二面角を規定するには4点の配列が必要である。2つの内側の 点はOP−1の残基His84またはTGF−β2のα炭素に隣接した螺旋軸上 にそれぞれくるよう選んだ。2つの外側の点は各螺旋軸上にくるよう選択したが 、その位置は任意とする。螺旋間の角度を測定するために、二面角を規定するた めに使用した最初の2点が内側の点の上に重なるように移した。得られた3点で 角を規定する。 OP−1二量体とTGF−β2二量体の主な違いはヒール領域の螺旋の相対配 向である。OP−1のヒール領域の螺旋の軸の間の角度は43゜で、これはTG F−β2について測定されたものより10゜大きい。螺旋の間の二面角の測定値 はOP−1では−20゜であり、これはTGF−β2より14゜小さい。これら の螺旋配向の違いにも関わらず、第3図に斜線で示したように、同じ螺旋および フィンガ残基位置が鎖間の結合に関与している。A.hOP−1二量体と個々の単量体サブユニットにおける相 違 単量体サブユニットが二量体化する間、各単量体サブユニット表面上の幾つか のアミノ酸はhOP−1二量体中に埋もれてしまう。第8図は、2.8Aのアミ ノ酸構造体に基づいて測定した、hOP−1二量体中の特定アミノ酸残基とhO P−1単量体サブユニット中の特定アミノ酸残基の表面接近可能性における相違 を明示したものである。 二量体化する間の非極性表面積の損失量を、1.4Aプローブを使ったACC ESS(2.1版)を用いて計算した(Lee 等、(1971年)J.Mol.Biol,55:379-400)。非極性表面積は、炭素および硫黄 両原子が接近可能な総表面積として定義される。ACCESSにおける表面積測 定アルゴリズムによって、アミノ酸構造体はZ軸に垂直な0.25Aのスラブに スライスされる。そのため、結果は、Z軸に対する構造体の配向に影響される( Lee 等、(1971年)前記文献)。この影響を最小限に抑えるため、各構造体の3 つの垂直の配向と1つの中間の配向について評価した。各非極性原子について、 4つの配向のうち接近可能面積の測定値が最大のものを妥当な値として、これら の計算結果を組合せた。ここで報告されているTGF−β2の値は、Brookhaven National LaboratoryのProtein Data Bank(Bernstein等、(1977年)J.Mol. Biol,112:535-542)から1994年に譲渡された登録2TGI(Daopin等、(1 992年)前記文献)と登録1TFG(Schlunegger 等、(1992年)前記文献)の 座標を使用して計算した。 第8図において、「残基」の列は問題の対象としているアミノ酸を示している 。「単量体面積%」の列は、hOP−1単量体の表面に露出しているアミノ酸の 百分率を、「二量体面積%」の列は、hOP−1二量体の表面に露出しているア ミノ酸の百分率を示しており、また、「隠れた面積%」の列は、hOP−1二量 体形成のために各単量体サブユニットが二量体化する際に損失した、各アミノ酸 の表面積量を示している。この解析によって、二量体化する間に埋もれてしまい 、そのため、恐らくは2個の単量体サブユニットの境界面に位置していると思わ れるアミノ酸が明らかになる。例えば、His84の表面積の70.75%は二 量体化する間に隠れてしまう。二量体hO P−1の構造を吟味すれば、His84が2個の単量体の境界面に位置している ことは明らかである。B.OP−1およびTGF−β2の表面における溶液の静電ポテンシャル OP−1およびTGF−β2(1TFG)(Schlunegger 等、(1992年)前記 文献)の両二量体を取り囲む溶液の静電ポテンシャルをDELPHI(Gilson等 、(1987年)Nature,330:84-86 およびNicholls等、(1991年)J.Comput.Che m.12:435-445)(Biosym Technologies,Inc.,San Diego,CA)を使用して計 算した。計算は、溶媒の誘電定数80、溶媒半径1.4A、イオン強度0.14 5Mおよびイオン半径2.0Aとして実施した。タンパク質内部は誘電定数2. 0としてモデル化した。使用した形式電荷およびその分布は下記の通りである。 AspのOD1およびOD2両原子の電荷はそれぞれ−0.5、GluのOE1 およびOE2両原子の電荷はそれぞれ−0.5、HisのND1およびNE2両 原子の電荷はそれぞれ0.25、LysのNZ原子の電荷は+1.0、Argの NH1およびNH2両原子の電荷はそれぞれ+0.5、およびC末端カルボキシ 基のOXT原子の電荷は−1.0とした。 OP−1およびTGF−β2の表面における電荷分布の相違は、第5B図およ び第5C図の色分布をそれぞれ比較することによって観察できる。静電ポテンシ ャルが−3kT以下の表面領域は赤で、+3kT以上の表面領域は青で表されて いる。中性の領域は緑または金色で表され、第5A図に示される骨格ひもに相当 する。下記の項で触れるが、OP−1およびTGF−β2の表面における静電ポ テンシャルの相違は、TGF−βス ーパーファミリ・メンバのその同族受容体との特異的相互作用において重要な役 割を果していると言えよう。C.受容体結合ドメイン 理論に縛られさえしなければ、TGF−βスーパーファミリの他のメンバと並 べて(第3図参照)hOP−1のアミノ酸配列から測定されるように、hOP− 1の受容体結合領域には、溶媒に接近可能であってかつ不均一系化合物の種々の 位置に位置するアミノ酸が含まれていると予想される。TGF−β2と同様、h OP−1の分岐構造特性は主としてフィンガ1およびフィンガ2の外部ループに 発現し、これらループはヒール領域の螺旋に接しており、N末端ドメインの残基 はシステイン・ノットの第1番目のシステインの前にある。これらの領域は溶媒 に接近可能である。OP−1およびTGF−β2の両二量体構造においては、一 つの鎖からのフィンガ2の先端とフィンガ1のオメガ・ループおよび他の鎖のヒ ール領域のα一螺旋のC末端基が、約長さ40A×幅15Aの連続的なリッジ(r idge)(第5図)を形成している。このリッジは同族の受容体と相互作用する一 次構造特性を含んでいると予想され、また、異なるTGF−βスーパーファミリ ・メンバ間の結合特異性はこのリッジの表面におけるコンホメーションおよび静 電の変化に由来すると予想される。 リッジの中央部を構成するフィンガ1のオメガ・ループのコンホメーションに おける相違およびリッジの一端を形成するフィンガ2の末端のターンにおける相 違が注目される。しかし、hOP−1とTGF−β2とではリッジの表面電荷に 著しい相違がある(第5B図および第5C図参照)。hOP−1ではフ ィンガ領域の末端はマイナスに荷電しており、一方、TGF−β2ではフィンガ 領域の末端はプラスに荷電している。すなわち、hOP−1の受容体結合リッジ では純荷電は−4となり、それに対して、TGF−β2の受容体結合リッジでは +3となる。逆に、フィンガ2のターンのC末端に位置するβ鎖(第2図のβ7 )については、hOP−1ではプラスに荷電しており、一方TGF−β2ではマ イナスに荷電している(第5B図および第5C図)。TGF−βスーパーファミ リ・メンバのその同族受容体との特異的相互作用において静電荷分布が重要な役 割を果していることが、これらの特性によって示唆される。 第9図は、2.8Aの構造体からリッジを構成していると考えられるアミノ酸 残基について要約した図であり、また、各アミノ酸残基がヒール、フィンガ1ま たはフィンガ2のいずれのドメインに配置されているかを示す図である。第9図 はまた、hOP−1の受容体結合ドメインのすべてではないにしろ、少なくとも 一部を構成していると考えられるアミノ酸残基を表にまとめたものである。V.モルホゲン類似体の設計 モルホゲン類似体の設計が従来の球/棒を用いた模型作製法によって容易にな り得ることは予想されることであるが、モルホゲン類似体の設計能力が、最新の コンピュータを駆使した模型作製法および設計法を使用して著しく増強されるこ ともまた予想される。 本明細書で後に詳細に検討するが、モルホゲン類似体の設計は、例えば、Bios ym,Technologies Inc.社が販売するINSIGHTII、DISCOVERおよびDELPHI、またM olecular Simulations,I nc.社が販売するQUANTAおよびCHARMNなどの従来のコンピュータ模 型作製プログラムを同様に実行する、Silicon Graphics Inc.社またはEvans an d Suthcrland Computer Corp.社製の従来の分子模型作製コンピュータまたはワ ークステーションを使用することで容易になると予想される。 また、第10図で説明するような総合的特性を備えたコンピュータ・システム も、本発明の実施に有用であり得ることを理解されたい。さらに具体的に言えば 、第10図は、例えば内部のバスまたは外部のネットワークを介した電気的相互 通信システム(100)に、プロセッサ(101)、RAM(102)、ROM (103)、端末(104)および随意で、例えばディスケット、CD ROM または磁気テープ(105)などの外部記憶装置を備えた典型的なコンピュータ ・ワークステーションの略図である。 座標は、例えば生理的緩衝液中における活性hOP−1二量体の溶解性および /または安定性などを増強する目的で、例えば部位特異的突然変異誘発法などを 用いてhOP−1二量体を再操作するための基礎を提供するためだけでなく、h OP−1の生物活性によく似たペプチドまたは他の小分子をde novo(新 規)設計する、また、de novo(新規)生産するための出発点を提供する ためにも使用することができる。以下に、モルホゲン類似体の設計におけるhO P−1原子座標の有用性を例示によって説明するが、以下の例は例示を目的した ものであり、いかなる点においても本発明を限定するものでないことを理解され たい。A.hOP−1二量体の操作 一つの実施形態においては、hOP−1に関する原子座標の有用性のおかげで 、当業者は理論的にアミノ酸置換を実施することが可能となり、また、実験室環 境で実際に候補分子を作製したりテストする前に、特定のアミノ酸置換がOP− 1二量体のパッキングを破壊するかどうか、およびモルホゲン類似体が鋳型OP −1分子に比べてより安定でありおよび/またはより溶解性が大であり得るかど うかを計算によって決定することが可能となる。このような方法によって、当業 者は実用的出ない置換を省くことができ、より有望な類似体候補に鋭意誠心する ことができるようになる。(i)hOP−1二量体の安定性の増強 hOP−1を確定する原子座標を手にした当業者は、hOP−1二量体に鎖間 または鎖内共有および/または非共有的相互作用を追加的に導入し、各単量体サ ブユニットが解離またはおりたたみが開くのを防ぐことによってその二量体を安 定化することができる。巧みに操作された好ましい共有的相互作用には、例えば 操作ジスルフィド結合が含まれ、また、巧みに操作された好ましい非共有相互作 用には、例えば水素結合、塩架橋および疎水相互作用が含まれる。 例えばジスルフィド結合を追加して導入するために、当業者は、例えばINS IGHT、DISCOVER、CHARMNおよびQUANTAなどの標準的な 分子模型作製プログラムを使って、一対のシステインアミノ酸残基を導入するの に好適な部位を同定することができる。安定化ジスルフィド結合導入のための潜 在的な部位としてアミノ酸対を同定するのに有用な別のプログラムが、米国特許 第4,908,773号に記載され ているが、その開示を参照によって本明細書に組み込むものとする。 例えば、INSIGHTプログラムを使用する当業者はアミノ酸対の検索をす ることができる。その場合、各アミノ酸のCβ原子間の距離は約3.0Åないし 5.0Åであって、約3.5Åないし約4.5Å離れていればより好ましい。こ の目的では、Cβ−Cβ結合を含まないグリシンは、最初にコンピュータ上でア ラニンに転化される。ジスルフィド結合のCβ−Cβの考えられる距離は3.1 Åないし4.6Åの範囲であるが、この範囲外での分離は隣接する原子の僅かな シフトによって適応することができる。Cαの距離ではなくCβ検索によって、 Cα−Cβ結合の妥当な距離と適当な配向が確実になる。タンパク質の構造にこ のような追加的な結合を付加する効果は、Cysに結合にしている2個の候補残 基を突然変異させ、Cα−Cβ結合付近の新たな各Cysを回転させて2個のγ 硫黄を2Åの距離範囲にできるだけ接近させ、γ硫黄間にジスルフィドを形成し て、5Åのジスルフィド結合内の構造領域を最小にするエネルギーによって測定 される。追加的なジスルフィド結合の導入によって引き起こされる構造の変形は 、最小化され突然変異したモデル構造を本来の構造に重ね合せて検査すれば明ら かになる。 追加的な結合を導入すると、非極性界面または埋もれた残基の過度的露出が防 止され、溶解性は改善されるであろうと予想される。第11A図は、先に提示し た選択基準に基づいて作成した、追加的な鎖間ジスルフィド結合を導入するため にシステイン残基に突然変異を起こすことができるような、2.8Åの 構造のアミノ酸残基の一覧である。参考として、表11Aには、天然hOP−1 に自然に生じる鎖間ジスルフィド結合、すなわち1個の単量体サブユニットのC ys−103と他の単量体サブユニットの対Cys−103とを結合させるジス ルフィド結合の長さも含めてある。 修飾に好適な好ましい残基の対には、1本の鎖の83の位置にある残基ともう 一方の鎖の130の位置にある残基の対が含まれる。追加的な鎖間結合は、第一 番目のサブユニットのヒール螺旋のN末端を第二番目のサブユニットのフィンガ 2の領域の中央に結合させることによって、二量体構造を安定化させるものと予 想される。1本の鎖の82の位置ともう一方の鎖の130の位置の間のジスルフ ィド結合も幾何学的には実行可能であるが、Thr82がOP−1のNATグリ コシル化部位の一部であるため、その修飾によって適当なグリコシル化が阻害さ れることがある。 第11B図は、先に提示した選択基準に基づいて作成した、追加的な鎖内ジス ルフィド結合を導入するためにシステイン残基に突然変異を起こすことができる ようなアミノ酸残基の概要である。先に注目したように、推定の受容体結合領域 は、物理的に隣接しているが配列上は隔てられている領域を少なくとも2つ、す なわちフィンガ1とフィンガ2の先端を含む。推定の受容体結合リッジの構造上 無欠の状態は、フィンガ1とフィンガ2の残基間に鎖内ジスルフィド結合を巧み に形成することによって安定化が可能であると予想される。好ましい実施形態に おいては、フィンガ1の58の位置の残基をフィンガ2の114の位置の残基と ジスルフィド結合させることが可能である。 58と115の位置にある残基間の結合も実行可能であろう、しかしこの場合、 ジスルフィド結合がフィンガ2の推定受容体結合領域に近付くように移動するこ とが予想される。65と133の位置間の結合も可能であるが、この結合は各鎖 のノット領域付近に位置すると予想され、したがってフィンガ1とフィンガ2の 先端の推定受容体結合領域の安定化にはほとんど効果がないと言えよう。さらに 、このような結合がノット領域のジスルフィド結合に接近することによって、適 当な構造が形成が妨げられることもあり得る。 非共有相互作用に関しては、鎖間水素結合が増えることによってhOP−1二 量体の構造安定性が増強されることが予想される。 荷電している残基の領域における(タンパク質の他の電荷による)静電ポテン シャルは、その残基のpKに影響を及ぼす。ヒスチジンおよびN末端第一級アミ ノ基のいずれのpKもほぼ中性であるため、分子表面に電荷を置くことによって そのpKを修飾することは可能であろう。hOP−1のHis84位置に埋もれ ているHisは、もう一方の鎖のAla64およびTyr65残基の骨格カルボ キシル基との水素結合にあずかることによって、二量体の構造の安定化を促進し ていると予想される。したがって、この効果は表面電荷の導入によって増強され 、それによって分子構造が一層安定化することが予想される。例えば、Tyr6 5またはVal132をAspに突然変異させことによって、64および65位 置のアミノ酸残基のカルボニル結合はさらに極性を増し、また、His84のp K値も増す。His84のpKは、Tyr44、Ala63またはAsn1 10の残基をAspで置換することによってさらに影響を受けることになろう。 本目的での好ましい修飾はTyr65→Asp65であると予想される。 同様な基本原理を使用することで、当業者は、その置換によって鎖間塩架橋、 内部水素結合または疎水性相互作用の導入が容易になるようなアミノ酸対を同定 することができる。このような決定は、分子モデル化の分野において通常のレヴ ェルの技術を有する当業者ならば当然行える範囲のものである。 標的アミノ酸対が同定されると、例えばカッセト式突然変異誘発法またはオリ ゴヌクレオチド特異的突然変異誘発法などの従来の部位特異的突然変異誘発法に よって、標的アミノ酸の所望の置換基との部位特異的置換が容易になる。このよ うな手法については、当業界でことごとく引照されているので本明細書では検討 しない。部位特異的置換が、結果として得られる修飾hOP−1二量体または突 然変異タンパク質の安定性にもたらす効果は、それらを産生および精製した後に 、円二色性、分析用遠心機、示差走査熱量計、蛍光またはその他の分光学的手法 などの当業界では公知の標準的な方法を用いて測定することができる。(ii)hOP−1二量体の水溶性の増強 OP−1の水溶液中での溶解性は限られている。しかし、hOP−1原子座標 を使用することによって、当業者がこの二量体の溶媒接触可能な表面においてア ミノ酸を置換することが可能となり、それによって二量体hOP−1の誘電特性 を増大することが可能となると予想される。例えば、グリシン、アラニン、バリ ン、ロイシンおよびイソロイシンなどの溶媒接触可能 な疎水性アミノ酸を、リシン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アス パラギン、グルタミン酸およびグルタミンなどのより極性の強い残基によって置 換することもできよう。 溶媒接触可能なアミノ酸は、1.4Åのプローブを使用したACCESS(2 .1版)などのコンピュータ・プログラムを用いて同定することが可能である( Lee 等(1972年)前記文献)。第7図では、側鎖領域の少なくとも20%が溶媒 に露出しているアミノ酸残基を、四角で囲ってある。表面残基を修飾する際、特 にhOP−1類似体を注射可能な分子として使用することになている場合には、 非宿主と認定できるような新たなエピトープを産生しないことが重要である。1 0Åの球状プローブで見られるようなアミノ酸側鎖は、表面エピトープの可能性 があると考えられる。当業者ならば、10Åの球状プローブを使用したACCE SSを用いて潜在的なエピトープを同定することができるが、この処理はINS IGHT IIなどのグラフィック・パッケージを使って、手法で実行される。 第8図に、潜在的なエピトープと同定された残基の側鎖を明示する。二量体の溶 解性を改善するための修飾候補となる残基の位置も明示してある。置換候補とし て好ましいアミノ酸には、例えばAla63、Ala72、Ala81、Ala 111、Ala135、Ile86、Ile112、Tyr52、Tyr65お よびTyr128が含まれる。 溶媒接触可能な疎水性または非極性アミノ酸が同定されれば(第9図参照)、 これらのアミノ酸は理論上、コンピュータを使ってより極性の強いアミノ酸と置 換することができる。修飾hOP−1二量体を取り囲む溶液の静電ポテンシャル およびそ の二量体の自由エネルギーに及ぼされるアミノ酸置換効果は、プログラムDEL PHI(Gilson等(1987年)前記文献、Nicholl 等(1991年)前記文献)を使っ て計算することができる。好ましいアミノ酸置換基は、潜在的な抗原部位を導入 することなしに、hOP−1二量体の自由エネルギーを低下させる。前述したよ うに、このような抗原部位は、10Åのプローブを使用したACCESS(2. 1版)のようなコンピュータ・プログラムを実行することによって検出できる。 また、置換に好適な好ましい表面残基は、受容体結合ドメインの一部を構成しな いものと予想される。 このようにして得られたモルホゲン類似体候補物質は、従来の部位特異的突然 変異誘発法を用いて産生することができ、また、部位特異的修飾がhOP−1二 量体の安定性に及ぼす効果は、例えば 修飾hOP−1二量体と本来のhOP− 1二量体の分配係数または「塩析特性」を比較することによって測定できる。例 えば、Scopes(1987年)のProtein Purificationに収録のPrinciples and Pract ice 第2版(Springer-Verlag )、およびEnglard 等(1990年)Methods in Enz ymology 182:285-300 を参照されたい。(iii)グリコシル化部位の操作 溶媒接触可能な各アミノ酸残基をより極性の強いまたは疎水性のアミノ酸残基 と置換するだけでなく、一つまたはそれ以上の溶媒接触可能なアミノ酸残基を置 換して新たな真核グリコシル化部位を形成するか、また別には、既存のグリコシ ル化部位を除去するもしくは変更することもできよう。グリコシル化部位につい ては、当業界では公知でありそのことごとくが記述さ れている。新たなグリコシル化部位が加わることによって、または既存の部位を 変更することによって、例えば、モルホゲン類似体の溶解性を増強するN−アセ チル−シアル酸などのグリコシル基が一つまたはそれ以上加わることになろう。 本明細書で記述したように、このような部位は、当業界では公知の部位特異的突 然変異誘発法によって導入することが可能である。このような部位は新たな抗原 決定基を形成しないことが好ましい(抗原決定基も短期間の治療に使用する場合 には許容できる)。表8を参照すると、抗原エピトープではないと思われ、した がって追加的なグリコシル化部位導入の候補として使うことができそうな、2. 8Åの構造を基にした、表面接触可能なアミノ酸残基が同定される。B.hOP−1構造に基づく小分子の操作 hOP−1の原子座標の有用性のおかげで、当業者は、hOP−1の生物活性 によく似た一定の化学的特徴を有するペプチドまたは非ペプチジル・ベースの有 機分子小分子を設計することができる。問題の対象である化学的特徴には、例え ば、特定のタンパク質ドメインの三次元構造、特定のタンパク質ドメインの溶媒 接触可能表面、荷電および/または疎水性化学的部分の空間的分布、静電荷分布 、またはそれらの組合せが含まれる。このような化学的特徴は、hOP−1の三 次元表示から容易に決定することができよう。(i)ペプチド どのアミノ酸残基が受容体結合ドメインに寄与しているかを決定すれば(前記 文献)、当業者は、予め選択した受容体結合モチーフを規定するアミノ酸配列を 有する合成ペプチドを設計 することができる。潜在的に生物活性である擬似ペプチドを設計するのに有用な コンピュータ・プログラムについては、米国特許第5,331,573号に記載 されているが、その開示を本明細書は参照によって組み込むものとする。 所望のアミノ酸配列の選択に加えて、後述する標準的な分子モデル作成ソフト ウェア・パッケージを使用する当業者は、例えば、問題の対象であるペプチドの 環化を容易にするように、予め選択された位置に追加的なシステインアミノ酸が 配置されている特定のペプチドを設計することができる。追加的なシステイン残 基を酸化することによってペプチドが環化し、それによってペプチドは、天然の hOP−1の相当するアミノ酸配列のコンホメーションによく似たコンホメーシ ョンを強いられる。例えば、合成ペプチドを環化するのに使用されるジスルフィ ド結合などの標準的な共有結合であればいかなるものであれ、本発明の実施に有 用であろう。環化の化学作用を起こす別の方法は、国際特許出願PCT/WO9 5/01800で議論されているが、その開示を本明細書は参照によって組み込 むものとする。 また、別のhOP−1サブユニット・ドメインから得たアミノ酸配列を含有す る単一のペプチド、例えば、フィンガ1領域の先端を規定しているアミノ酸配列 を含有する単一のペプチドは、ポリペプチドリンカーによってフィンガ2領域の 先端を規定しているアミノ酸配列に結合していると予想される。各フィンガ領域 を規定しているアミノ酸配列はまた、例えば各フィンガ領域モチーフを環化する ためのジスルフィド結合などの手段を含んでいる。したがって、結果として得ら れるペプチドは、 フィンガ1領域の先端によく似た三次元ドメインを規定する第一のアミノ酸配列 と、フィンガ2領域の先端によく似た三次元ドメインを確定する第二のアミノ酸 配列を有する単一のポリペプチド鎖を含んでいることになる。 このようなペプチドは、後述する標準的なプロトコルのいずれを用いても合成 することができ、また、OP−1様活性をスクリーニングすることができよう。(ii)有機分子 先に議論したように、hOP−1の受容体結合ドメインを決定ししだい、当業 者は、非ペプチジル・ベースの小分子、例えばその構造および化学的特徴がhO P−1の受容体結合ドメイン表面の少なくとも一部分に見られる構造および化学 的特徴によく似た有機小分子を設計することができると予想される。 受容体結合表面にとって重要なのは、互いに受容体結合表面を規定している複 数のアミノ酸の側鎖内に存在する化学的相互作用部分の空間的配列であり、それ ゆえ本発明の好ましい実施形態は、ある一定の空間的関係にある化学的相互作用 部分を保持する枠組みを有している合成有機分子であって、その空間的関係がh OP−1の受容体結合部位を構成するアミノ酸の側鎖に配置された化学的部分の 空間的関係によく似ているような合成有機分子を設計かつ形成することに関わる 。好ましい化学的部分には、hOP−1の受容体結合ドメインを構成していると されるアミノ酸の側鎖によって規定される化学的部分(第9図参照)が含まれる が、それに限定されるものではない。したがって、モルホゲン類似体の受容体結 合表面に、アミノ酸残基は含まれなくともよいが、その残基に配置されている化 学的部分 は含まれなければならないことを理解されたい。 例えば、問題とされる化学基が同定されしだい、従来のコンピュータ・プログ ラムを使用している当業者は、受容体相互作用化学的部分を好適な保持体である 枠組みに配置させた小分子を設計することができる。有用なコンピュータ・プロ グラムについては、例えば、Dixon(1992年)Tibtech 10:357-363、Tschinke等 (1993年)J.Med.Chem.36:3863-3870およびEisen等(1994年)Proteins: Str ucture,Function,and Genetics19:199-221に記載されているが、その開示を本 明細書は参照によって組み込むものとする。 「CAVEAT」という名のある特別なコンピュータ・プログラムは、例えば Cambridge Structural Databaseなどのデータベ ースで、所望の空間的配向をする化学的部分を有する構造(Bartlett等(1989年 )「Molecular Recognition: Chemical and Biological Problems 」(Roberts ,S.M.,編)pp.182-196)を検索する。CAVEATプログラムは、テンダミス タット(Bartlett等(1989年)前記文献)の三次元構造にある、選択されたアミ ノ酸側鎖の配向に基づいて、テンダミスタットの類似体、すなわちα−アミラー ゼの74残基酵素阻害剤を設計するのに使用されている。 別法として、in vivoまたはin vitroアッセイで測定するなど 、OP−1の生物活性によく似た一連の類似体を同定ししだい、当業者は定量的 構造活性相関(QSAR)を展開する助けとなるような、また、追加的モルホゲ ン類似体のde novo(新規)設計の助けとなるような種々のコンピュータ ・プログラムを使用することができよう。その他の有 用なコンピュータ・プログラムについては、例えば、Connolly-Martin(1991 年 )Methods in Enzymology 203:587-613、Dixon(1992 年)前記文献、Waszkowyo z等(1994年)J.Med.Chem.37:3994-4002に記載されている。 このように、例えば、OP−1(または関連モルホゲン)の三次元構造の一部 分、しかも生物学的重要性が既知である領域または気付かれている領域に該当す る一部分から着手することができる。このような領域の一つは、β6シートとβ 7シート(すなわち、残基のおよそ118から122)の間の溶媒接触可能ルー プまたはフィンガ2の「先端」領域である。この領域(および幾つかのフランキ ング残基)を含む合成環状ペプチド(すなわち、F2−2およびF2−3)を産 生し、それらがOP−1様生物活性を有することを証明した(後述の実施例参照 )。本明細書で開示されるこの領域の三次元構造に基づけば、より効果的なOP −1様(または一般に、モルホゲン様)類似体を産生することができる。例えば 、第7図ないし第9図および第15図に非常に詳しく示すように、Asp118 とAsp119の荷電しているγ−カルボキシル基およびSer120とSer 121の相対的に親水性のヒドロキシル基は、溶媒接触可能であってOP−1受 容体結合に関わっているとされる。OP−1の三次元におけるこれらの基の相対 的位置を第15図および第16図に示す。これらの官能基によって、OP−1の 表面の三次元構造の連続的な部分が規定される。しかし、これら残基のペプチド 骨格は、溶媒接触可能ではなく、そのため、OP−1分子の三次元表面の一部分 を形成するとは考えられていない。当業者は、OP−1類似体またはモルホゲン 類似体を選択 または設計する際、同じまたは実質的に同等の(例えば、チオ対ヒドロキシル) 官能基を、実質的に同じ(例えば、±1−3Å)三次元コンホメーションに有す るような分子を選択または設計することができる。同じことは、OP−1単量体 または二量体において問題の対象である他の領域(例えば、受容体結合ドメイン 、フィンガ1、フィンガ2もしくはヒール領域、またはそれらの溶媒接触可能部 分)についても言える。溶媒接触可能残基および推定受容体接触残基を含め、本 明細書で開示される三次元構造を用いることによって、当業者はOP−1(また は関連モルホゲン)分子の三次元構造の一部分を選択し、さらにその「部分」を 鋳型として使用することによって、機能上その鋳型の構造によく似た類似体を選 択または設計することができる。 当業者は、モルホゲン類似体の分子の枠組みまたは骨格を、それが、(1)電 荷分布および疎水/親水特性も含めてモルホゲンの連続的三次元表面のタンパク 質によく似た官能基を結合し、(2)水素結合および静電相互作用を含めて適切 な三次元表面相互作用および空間的相関関係を維持、または少なくとも官能基に 維持させるように、自由に選択することができる。前述のように、ペプチドは必 要な官能基をすべて提供することができ、また、適切な三次元構造を呈すること ができるため、このようなモルホゲン類似体の産生には明らかに好ましい。フィ ンガ領域のペプチド類似体の幾つかの例について、本明細書で以下に記述する。 ペプチドを環化すると水素結合が維持され、鋳型の構造によく似た構造が形成さ れる。これらのペプチドは、フィンガ2の直線状に一次配列したアミノ酸から合 成される。 また別のペプチドとして、例えば、折りたたまれたOP−1単量体に生じるフィ ンガ1とフィンガ2の、両先端の構造によく似るように構築されたフィンガ1と フィンガ2の両部分が化合しているペプチドも形成することができる。F2、F 3またはその他の生物学的に活性なペプチドもそのままで使用でき、またより好 ましくは、in vivoでより安定または活性な化合物を産生するための反復 的修飾により重要な化合物になるように使用することができる。例えば、ペプチ ド骨格をin vivoで還元する、または還元加水分解するために置換するこ とができる。別法として、構造的修飾を骨格に導入することもでき、または、受 容体に結合する際のタンパク質の構造により正確に似たアミノ酸置換によって導 入することもできる。これら第二世代の構造について、その結合増強状態を検査 することができる。さらに、結合に最小限必要とされる残基の接触を測定するた めに、アラニンによるアミノ酸の反復的置換(「アラニン・スキャン」)を使用 することもできる。 これら最小限の官能基が分かれば、最小限必要とされる官能基の荷電分布また は静電分布によく似た完全に合成の分子を産生することができ、また、所望の結 合親和性を有する第二世代の分子に機能上よく似た適切な塊および構造を提供す る、完全に合成の分子を産生することができる。VI .モルホゲン類似体の産生 前述したように、本発明のモルホゲン類似体は、修飾hOP−1二量体タンパ ク質またはペプチドもしくは有機小分子などの小分子を含んでいることが可能で ある。適切な方法である限りいかなる方法であっても、予め選択されたモルホゲ ン類似体 の産生に使用できると予想される。このような方法には、例えば、好適な宿主細 胞からの生物学的産生法または有機合成化学作用を利用した合成産生法などの方 法が含まれるといえよう。 例えば、修飾hOP−1二量体タンパク質またはhOPベースのペプチドは、 当業界では公知でありかつそのことごとくが文書で立証されている従来の組換え DNA技術を用いて産生することができよう。このような状況下では、タンパク 質やペプチドは、各タンパク質やペプチドの配列をコード化する核酸の配列を作 成することによって産生することができよう。また、その後、得られた核酸は適 切な宿主細胞で発現させることができる。例えば、タンパク質およびペプチドを 、合成ヌクレオチドの配列および/または合成DNA分子を産生するためのDN A制限断片の集合体によって製造することができよう。次いで、DNA分子を発 現ビヒクル(vehicle)、例えば発現プラスミドなどに連結反応させて、例えば大 腸菌などの適切な宿主細胞に形質導入する。次いで、DNA分子によってコード したタンパク質を発現させ、精製し、必要であれば折りたたみ、in vitr oでOP−1受容体との結合活性を検査し、引き続いて、モルホゲン類似体がh OP−1様生物活性を誘発または剌激しているかどうかを評価するための検査を 行う。 問題の対象であるアミノ酸配列をコードするDNAの操作、増幅および組換え 方法は、当業界では一般に公知であるので本明細書ではその詳細を記述しない。 hOP−1およびその同族受容体をコード化する遺伝子の同定法および分離法に ついても十分理解されており、特許およびその他の文献に記載されている。 簡単に述べれば、本明細書に開示の生合成構造物をコードするDNAの構築は 、DNAにおいて配列特異的切断をして平滑末端または付着末端を生じる種々の 制限酵素、すなわちDNAリガーゼの使用を含んだ公知の技術、付着末端の平滑 末端DNAへの酵素付加、すなわち短鎖オリゴヌクレオチドまたは中鎖オリゴヌ クレオチドのアセンブリによる合成DNAの構築を可能にする技術、cDNA合 成技術、ライブラリからの核酸配列を増幅するための複製連鎖反応(PCR)技 術、ならびにOP−1遺伝子、またはTGF−βスーパーファミリの他のメンバ とその同族受容体をコード化する遺伝子を分離するための合成プローブを用いて 実施される。細菌、哺乳動物、もしくは幾つか名をあげるべき昆虫類からの種々 のプロモータ配列、発現の達成に用いられるその他の調節DNA配列および種々 の宿主細胞なども知られており、利用可能である。従来のトランスフェクション 技術、ならびに同様に従来の技術であるDNAクローニングおよびサブクローニ ング技術は本発明の実施に有用であり、また、当業者には既知の技術である。プ ラスミド、ならびに動物ウイルスおよびバクテリオファージを含めたウイルス類 などの種々のベクトルを使用することができよう。このべクトルは、クローン・ ファミリのいずれがベクトルの組換えDNAを首尾よく組み込んだかを同定する ために使用される検出可能な表現型特性を、首尾よくトランスフェクションされ た細胞に対して付与する種々の標識遺伝子を利用することができよう。 本明細書に開示した生合成構造物をコードするDNAを得るための一つの方法 は、従来の自動オリゴヌクレオチド合成装置で産生した後、適切なリガーゼと連 結させた合成オリゴヌクレ オチドのアセンブリによる方法である。例えば、重複した相補的DNA断片を、 連結の間に重合するのを防ぐため末端部分は加リン酸分解しない状態で、ホスホ ラミドンの化学的作用を用いて合成することができよう。合成DNAの一端を特 定の制限エンドヌクレアーゼの作用部位に該当する「付着末端」に置き、もう一 方の端は別の制限エンドヌクレアーゼの作用部位に該当する末端に置く。相補的 DNA断片同士を連結させて、合成DNA構造物を形成する。 適切なDNA分子が合成されたら、それを発現ベクトルに統合し、タンパク質 発現のための適切な宿主細胞中にトランスフェクションすることができよう。有 用な原核宿主細胞には大腸菌および枯草菌が含まれるが、それに限定されるもの ではない。有用な真核宿主細胞には酵母細胞、昆虫細胞、骨髄腫細胞、繊維芽3 T3細胞、サル腎臓細胞またはCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(C HO)細胞、ミンク肺上皮細胞、ヒト包皮繊維芽細胞、ヒト・グリオブラストー マ細胞、および奇形がん腫細胞が含まれるが、それに限定されるものではない。 別法として、遺伝子を、ウサギ網状赤血球溶解物系などの無細胞系で発現させる こともできよう。 このベクトルは、転写プロモータ/転写終止配列、エンハンサ配列、好ましい リボゾーム結合部位配列、好ましいmRNAリーダ配列、好ましいタンパク質プ ロセッシング配列、タンパク質分泌のための好ましいシグナル配列その他を含め 、組換えタンパク質の適正な発現を促進する種々の配列を補足的に含むことがで きよう。問題の対象である遺伝子をコード化するDNA配列を操作して、潜在的 な阻害配列を排除することまたは不 必要な二次構造の形成を最小限に抑えることが可能であろう。モルホゲン・タン パク質類似体のタンパク質を、融合タンパク質として発現させることも可能であ ろう。このタンパク質は、翻訳された後、細胞それ自身から精製されるかまたは 培養基から回収され、所望であれば特異的プロテアーゼ部位で切断される。 例えば、この遺伝子が大腸菌内で発現するということであれば、それをクロー ニングして適切な発現ベクトルにする。これは、TrpまたはTacなどのプロ モータ配列の下流にある遺伝子工学的操作をした遺伝子を、および/またはタン パク質Aの断片B(FB)などのリーダ・ペプチドをコードする遺伝子を位置決 めすることによって達成できる。発現の間、結果として得られる融合タンパク質 は細胞の細胞質にある屈折可能体にたまり、したがってその細胞をフレンチ・プ レスまたは音波処理で破壊した後、それらを回収することができよう。次いで、 分離した屈折可能体を可溶性にし、多くの他の組換えタンパク質に関してすでに 確立されている方法で、発現したタンパク質を折りたたみ、必要に応じてリーダ 配列を切断する。 遺伝子工学的操作を行った遺伝子が真核細胞において発現するには、容易にト ランスフェクトし、その配列が再配列を受けていない外来DNAを安定に保持す ることが可能で、しかも能率良く転写、翻訳、翻訳後修飾およびタンパク質の分 泌を行うために必要とされる細胞成分を有している細胞および細胞系が必要であ る。さらに、問題の対象である遺伝子を運搬する好適なベクトルが必要であり、 哺乳動物の細胞へトランスフェクションするためのDNAベクトルの設計には、 適切な転写開始配 列、転写終結配列およびエンハンサ配列、ならびにコザック共通配列などの翻訳 能率を高める配列を含め、本明細書で記述したような問題の対象である遺伝子の 発現を促進する適切な配列が含まれていなければならない。好ましいDNAベク トルには、標識遺伝子および問題の対象である遺伝子の複写数を増幅するための 手段も含まれる。有用な細胞、タンパク質発現促進配列、標識遺伝子および遺伝 子増幅方法を含め、哺乳動物の細胞内で外来タンパク質を産生する技術状況につ いての詳細な検討は、Bendig(1988年)Genetic Engineering 7:91-127に開示さ れている。 特定の哺乳動物の細胞内で外来遺伝子を発現させるために有用であってその特 徴が最も明確にされている転写プロモータは、SV40初期プロモータ、アデノ ウイルス・プロモータ(AdMLP)、マウス・メタロチオネイン−Iプロモー タ(mMT−I)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)末端反復配列(LTR)、マ ウス乳がんウイルス末端反復配列(MMTV−LTR)、およびヒト・サイトメ ガロウイルス主要中間−初期プロモータ(hCMV)である。これらプロモータ の全てのDNA配列については、当業界で知られておりまた市販されている。 dhfr−細胞系の選択可能なDHFR遺伝子を使用する方法は、哺乳動物の 細胞系で遺伝子を増幅するのに有用であって、その特徴が十分明確にされている 方法である。簡単に述べれば、DHFR遺伝子を、問題の対象である遺伝子を運 搬するベクトルに供給し、次いでDHFRで代謝される細胞障害医薬品メトトレ キセートを高濃度で添加すると、DHFR遺伝子の複写数および問題の対象であ る関連遺伝子の複写数が増幅されること になる。トランスフェクションしたチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞株(CH O細胞)の選択可能かつ増幅可能標識遺伝子であるDHFRは、当業界では特に その特徴が明確にされている。その他の増幅可能標識遺伝子には、アデノシンデ アミナーゼ(ADA)およびグルタミンシンテターゼ(GS)が含まれる。 細胞/細胞株の選択も重要であり、実験のニーズによって決まる。COS細胞 によって過渡遺伝子発現が可能となり、本発明の生合成構造物を迅速にスクリー ンする有用な手段が得られる。一般的に、COS細胞は、問題の対象である遺伝 子を運搬するシミアン・ウイルス40(SV40)ベクトルでトランスフェクシ ョンされる。トランスフェクションされたCOS細胞はやがて死滅するため、所 望のタンパク質産物が長期に渡って産生されることが防かれ、予備的類似体の結 合活性を検査するための有用な技術となり得る。 本発明による一本鎖構造体を哺乳動物細胞において発現させるのに使用可能な 種々の細胞、細胞株およびDNA配列については、当業界では明確に特徴づけら れており容易に入手可能である。その他のプロモータ、選択可能な標識、遺伝子 増幅方法および細胞も、本発明のタンパク質発現に使用することができよう。組 換えタンパク質のトランスフェクション、発現および精製の詳細については、当 業界においては文書で十分立証されており、当業者には明らかであろう。哺乳動 物細胞の発現系で外来遺伝子を組換え産生する際に使用される各ステップの、種 々の技術的側面の詳細については、例えば、Ausubel 等編、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons, New York(1989年)などの、当業界の多数のテキストおよび実験マニュアルに 見いだすことができる。 別法として、例えばMerrifield(1963年)J.Am.Chem.Soc.,85:2149に記載 の方法に類似の方法などの標準的な固相ペプチド合成法を用いて、長さが通常ア ミノ酸50個までの小ペプチドであるモルホゲン類似体を合成することもできよ う。例えば、合成の間、保護側鎖を有するN−α−保護アミノ酸を、例えばポリ スチレン・ビーズなどの不溶性ポリマー支持体にC末端によって結合している生 長ポリペプチド鎖に順次添加する。ペプチドは、ジシクロヘキシルカルボジイミ ドなどの試薬と反応することによって活性化しているN−α−脱保護アミノ酸の α−カルボキシル基に、N−α−脱保護アミノ酸のアミノ基が結合することによ って合成される。遊離アミノ基が活性カルボキシル基に付着するとペプチド結合 が形成されることになる。最も一般的に使用されているN−α−保護基には、酸 性不安定基であるBoc基および塩基性不安定基であるFmoc基が含まれる。 簡単に述べると、C末端N−α−保護アミノ酸を先ずポリスチレン・ビーズに 付着させる。次いで、N−α−保護基を除去する。脱保護α−アミノ基を、隣接 するN−α−保護アミノ酸の活性α−カルボキシラート基に共役させる。所望の ペプチドが合成されるまでこのプロセスを繰り返す。得られたペプチドを不溶性 ポリマー支持体から切断し、アミノ酸側鎖を脱保護する。例えば、その長さがア ミノ酸約50個以上の比較的長いペプチドは一般に、保護ペプチド断片の縮合に よって得られる。適切な化学作用、樹脂、保護基、保護アミノ酸および試薬の詳 細については、当業界では公知であるので、本明細書ではその詳細について検討 しない。例えば、Atherton等(1963年)Solid Phase Peptide Synthesis: A Pra ctical Approach (IRL出版)、Bodanszky(1993年)Peptide Chemistry,A Practical Textbook,2版、SpringerVerlag、およびFields等(1990年)Int.J .Peptide Protein Res.35:161-214 などを参照されたい。本明細書は、それら の開示を参照によって組み込むものとする。 得られたペプチドの精製は、分離用HPLC、例えばゲル浸透クロマトグラフ ィ、分配クロマトグラフィおよび/またはイオン交換クロマトグラフィなどの従 来の方法を用いて達成される。適切なマトリックスおよび緩衝液の選択について は当業界では公知であり、したがって本明細書では詳細に記述しないものとする 。 OP−1様生物活性を誘発する非ペプチド有機小分子の産生に関しては、それ らの分子は良く知られており、かつ特許およびその他の文献で立証済みの標準的 な有機化学的作用を用いて合成することができる。VII .結合および生物活性のスクリーニング モルホゲン類似体がOP−1様生物活性を誘導するかどうかを判定する第一段 階として、当業者は、標準的なリガンド−受容体検定を使用して、モルホゲン類 似体がOP−1受容体に優先的に結合するか否かを判定することができる。標準 的な受容体−リガンド検定については、例えば、Legerski等(1992年)BioChem .Biophys.Res.Comm.183:672-679; Frakar等(1978年)Biochem.Biophys.R es.Comm.80:849-857; Chio 等(19 90年)Nature 343:266-269; Dahlman 等(1988年)Biochem 27:1813-1817; Stra der等(1989年)J.Biol.Chem.264:13572-13578; D'Dowd等(1988年)J.Biol .Chem.263:15985-15992などを参照されたい。 本発明の実施に有用な一般的なリガンド/受容体結合検定では、予め選択した OP−1受容体に対する定量可能な既知の親和性を有する精製OP−1(例えば 、参照により本明細書に組み込むTen Dijke 等(1994年)Science 264:101-103 を参照のこと)が、例えば、放射標識、色素産生標識、蛍光標識など、検出可能 な部分で標識される。さまざまな濃度の無標識モルホゲン類似体の存在下で、精 製受容体のアリコート、受容体の結合ドメイン・フラグメント、または問題の受 容体をその表面に発現する細胞が、標識OP−1とともに培養される。モルホゲ ン類似体の相対的な結合親和性は、標識OP−1の受容体との結合を抑制する候 補(無標識モルホゲン類似体)の能力を定量することによって測定することがで きる。検定の実施においては、一定濃度の受容体およびOP−1が、無標識モル ホゲン類似体の存在する条件および存在しない条件下で培養される。標識OP− 1を加える前に、受容体を、候補モルホゲン類似体と予備培養することによって 、感度を向上させることができる。標識競合者を加えたのち、競合者が結合する のに十分な時間放置し、次いで、遊離の標識OP−1および結合した標識OP− 1を他から分離して、そのどちらかを測定する。 スクリーニング法の実施に有用な標識には、放射性標識(例えば125I、131I 、111In、または77Br)、色素産生標識、分光標識(Haughland 著「Handboo k of Fluorescent and Research Chemicals5ed.」Molecular Probes,Inc、米オレゴン州ユージン(19 94年)に記載のものなど)、および例えばワサビペルオキシダーゼ、アルカリホ スファターゼ、またはβ−ガラクトシダーゼなど、化学発光または蛍光原基質と 組合せて使用される高い代謝回転速度を有する複合酵素などがある。 続いて、OP−1の生物活性の測定用に開発された従来のin vivoおよ びin vitro検定を使用して、生物活性、すなわち生じたモルホゲン類似 体の作動剤または拮抗剤としての特性を、特徴づけることができる。本発明の実 施に有用であると信じられているさまざまな特定の検定は、後の実施例1で詳細 に説明する。 さらに、標準OP−1検定の多くは自動化することができ、これによって、多 数のモルホゲン類似体の同時スクリーニングが容易となることを理解されたい。 このような自動化手順は、薬物スクリーニング分野の熟練者には周知のことであ り、したがって本明細書で論じることはしない。 有用なモルホゲン類似体の同定に続いて、問題のモルホゲン類似体を発現する 細胞株を生産するか、または適当なアミノ酸配列を規定する合成ペプチドを生産 することによって、モルホゲン類似体を、商業的に有用な量(例えば、制限なく 、グラム、キログラム単位で)生産することができる。しかし、適当な細胞株を 生産する通常の手法、および合成ペプチドを生産する通常の手法は周知であり、 当技術分野において詳細に文書化されているので、本明細書で詳細に論じること はしない。VIII .製剤および生物活性 OP−1類似体を含むモルホゲン類似体を、これらを必要と する哺乳類、好ましくはヒトへの投与用に薬品組成物の一部として製剤すること ができる。これらの組成物は、適当な手段によって、例えば、非経口的、経口的 、または局所的に投与することができる。モルホゲン類似体が所望の組織部位に 注射などによって局所的に投与される場合、または静脈内、皮下、筋肉内、眼窩 内、眼、心室内、頭蓋内、包内、脊椎内、槽内、腹腔内、頬、直腸、膣、鼻腔内 、またはエーロゾル投与などによって全身に投与される場合には、これらの組成 物は水溶液からなることが好ましい。この溶液は、これの哺乳類への投与が、哺 乳類の正常な電解液および体液の量のバランスに不利な影響を及ぼさないような 生理的に許容できるものであることが好ましい。したがってこの水溶液は、例え ば、pH7〜7.4の通常の生理食塩水(0.9%NaCl、0.15M)を含 むことができる。 経口または非経口全身投与に有用な溶液は、例えば、「Remington's Pharmace utical Sciences」(Gennaro,A.編、MackPub.,1990 年。この開示は、参照に より本明細書に組み込む)に記載されているものなどの製薬分野において周知の 方法よって調製することができる。製剤には、ポリエチレングリコールなどのポ リアルキレングリコール、植物油、および水素添加ナフタリンなどを含めること ができる。直接投与用の製剤には特に、グリセリンおよびその他の高粘度の組成 物を含めることができる。例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、リン酸三カルシ ウム、ポリブチラート、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびラクチド/グリ コリドコポリマーなどを含む生物適合性、好ましくは生物再吸収性のポリマーは 、in vivoでのモル ホゲン類似体の遊離を制御する有用な賦形剤になりえる。 この類似体の潜在的に有用な他の非経口吐出システムに、エチレン−酢酸ビニ ルコポリマー粒子、浸透ポンプ、移植可能な注入システム、およびリポソームを 含めることができる。吸入投与用の製剤には、賦形剤として例えばラクトースを 含める、例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココロール酸 塩、またはデオキシコロール酸塩を含む水溶液とする、あるいは点鼻薬の形態で 投与する油性溶液とする、あるいは鼻腔内に塗布するゲル剤とするなどがある。 また、OP−1類似体を含む、本明細書の記載のとおりに同定したモルホゲン 類似体を経口投与してもよい。例えば、モルホゲン類似体の液体製剤を、「Remi ngton's Pharmaceutical Sciences」(前掲)に記載されているものなどの標準 作業方法に従って調製することができる。こうすることにより該液体製剤を、飲 料または他の補助食品に加えて投与することができる。経口投与は、これらの液 体製剤のエーロゾルを使用することによっても実施することもできる。また、当 技術分野で認知された乳化剤を使用して調製した固体製剤を、経口投与に適した タブレット、カプセル、またはトローチに成形することもできる。 任意選択で、類似体を、所望の組織による類似体の取込みを増強する手段を含 んだ組成物に製剤することができる。例えば、テトラサイクリンおよびジホスホ ン酸塩(ビスホスホン酸塩)は、哺乳類に全身的に供給されると、骨の無機質、 特に骨の再造形域に結合することが知られている。したがって、このような成分 を使用すると、骨組織への類似体の供給を増強することができる。代わりに、細 胞の表面抗原などの所望の標的組織に 特異的に関係したアクセス可能な物質に特異的に結合する抗体、またはこれの一 部を使用することもできる。所望であれば、このような特定のターゲティング分 子を、例えば、標準的な遺伝子操作手法の使用、または化学的架橋によって、例 えば、Asp−Pro結合などの酸不安定結合を形成させ、この類似体に共有結 合させることができる。有用なターゲティング分子は、例えば、米国特許第50 91513号の教示に従って設計することができる。 また、担体マトリックス、すなわち不溶性ポリマーマトリックスと結合すると 、いくつかのモルホゲン類似体が最高水準のin vivo活性を示すようにな ることも考えられる。例えば、米国特許第5266683号を参照されたい。こ の開示は、参照により本明細書に組み込む。現在好ましい担体マトリックスは、 外因性、同種異系、またはオートジェネシスによるものである。しかし、ポリ乳 酸、ポリグリコール酸、ポリ酪酸、ならびにこれらの誘導体およびコポリマーを 含む合成材料も、適当な担体マトリックスの生成に使用できると考えられる。好 ましい合成および天然マトリックス材料、これらの調整方法、本発明のモルホゲ ン類似体とこれらを製剤する方法、および投与方法は、当技術分野では周知であ り、したがって本明細書で詳細に論じることはしない。例えば米国特許第526 6683号を参照されたい。 さらに、これらの類似体を、単独で、または組織形態形成に有益な効果を有す ることが知られている他の物質と組合せて、これらを必要としている哺乳類に投 与することができる。このような物質(以下、補助因子)の例には、組織修復お よび再生 を促進し、および/または炎症を抑制する物質が含まれる。骨粗しょう症の個体 の骨組織の成長を剌激するのに有用な補助因子の例には、ビタミンD3、カルシ トニン、プロスタグランジン、副甲状腺ホルモン、デキサメタゾン、エストロゲ ン、およびIGF−IまたはIGF−IIが含まれる。ただしこれらに限定され るわけではない。神経組織の修復および再生に有用な補助因子には、神経成長因 子を含めることができる。その他の有用な補助因子には、防腐剤、抗生物質、抗 ウイルス剤、抗かび剤、鎮痛剤、および麻酔剤を含む症状緩和補助因子がある。 類似体は、製薬上許容できる非毒性の賦形剤および担体との混合によって、製 薬組成物に製剤されることが好ましい。前述のとおり、このような組成物は全身 への投与に合わせて調製することができる。例えば、非経口投与では、溶液や懸 濁液の形態に、経口投与では、タブレットやカプセル剤の形態に、鼻腔内投与で は、粉剤、点鼻薬またはエーロゾル剤の形態に調製することができる。組織表面 に付着させたい場合には、この組成物に、フィブリノーゲン−トロンビン分散剤 、または、例えばPCT出願書類のUS91/09275に開示されているもの のようなその他の生物接着剤を含めることができる。このPCT出願書類の開示 は参照により本明細書に組み込む。こうすることにより組成物を、塗布、噴霧、 またはその他の方法で所望の組織表面に適用することができる。 この組成物をヒトまたは他の哺乳類に非経口または経口投与する目的で、治療 に有効な量、例えば、適当な濃度のモルホゲン類似体を、所望の効果を誘導する のに十分な時間、標的組織に供給できる量の製剤にすることがきる。この組成物 は、組織 特異的な機能の保守、老化組織(例えば骨減少骨組織)の組織特異的な表現型の 回復などのモホルゲンに関係した生物的応答に対する哺乳類の要求を緩和するこ とが好ましい。 当業者なら理解することだが、治療用組成物に記載された化合物の濃度は、投 与する薬物の量、使用する化合物の化学的特徴(例えば疎水性)、および投与経 路を含むいくつかの因子によって変化する。好ましい薬物投与量も、病気、組織 損失または欠陥の種類および程度、特定の患者の全般的な健康状態、選択された 化合物の相対的な生物的有効性、化合物の製剤、製剤中の賦形剤の有無およびそ の種類、ならびに投与経路などの変量によって決まることが多い。一般的に言っ て、本発明の治療用分子を個体に提供する場合、一般的な投与量は、1日につき 体重1kg当たり約10ng〜約1g、好ましい投与量は、1日につき体重1k g当たり約0.1mg〜100mgである。IX .実施例 本発明の実施は、以下の実施例からより完全に理解されるであろう。これらは 、例示の目的で本明細書に示したに過ぎず、いかなる意味においても本発明を限 定するものとして解釈してはならない。実施例1.鎖間ジスルフィド結合の導入によるhOP−1二量体の安定化 セクションV.A.(i)で論じたように、1つまたは複数の鎖間ジスルフィ ドを追加導入するとhOP−1二量体がさらに安定すると考えられる。追加の鎖 間ジスルフィド結合の導入について次に説明する。 前掲の1zkaynak等(1990年)に記載されているように、ヒトOP−1cDNA のSma I−Bam HIフラグメントが、事前にEco RVおよびBam HIで切断したBluescript KS+(米カリフォルニア州ラホーヤ のStratagene Cloning Systems社から市販されている)にクローニングされる。 E.coliに形質転換させたのち、生じたコロニーを、OP−1cDNA挿入 断片を含む所望のコロニーが青色となる青色−白色選抜プロセスによってスクリ ーニングする。正しいクローンが制限スクリーニングによって識別され、予想さ れる以下の制限フラグメントが得られる。制限酵素 フラグメント大きさ(bp) EcoR I 84,789,3425 Xho I 161,1223,2914 Sac II 97,650,3551 2つの追加鎖間ジスルフィド架橋を導入するために、Asn 83およびAs n 130がCysで置換された二重システイン突然変異体を作成する。システ イン突然変異体は、合成オリゴヌクレオチドを使用した部位特異的突然変異誘発 、およびPCRまたは部位特異的突然変異誘発法によって調製することができる 。例えば、Kunkel等(1985年)Proc.Natl,Acad Sci. USA 822:488、Kunkel等(1985年)Mech.Enzymol.154:367、および米国特許第 4873192号を参照されたい。どちらの突然変異によってもフレームシフト は起こらず、したがって、突然変異誘発生成物で形質転換されたE.coliが 白色のコロニーを与える場合は、配列の誤りを示す。適当な突然変異の存在は、 通常のジデオキシシークエンシングによって証明される。 次いで、適当なオリゴヌクレオチドを使用したオリゴヌクレオチド特異的突然 変異誘発によって突然変異遺伝子のN末端およびC末端にリンカーが導入される 。好ましいN末端リンカーは非反復配列のNot I部位を導入し、好ましいC 末端リンカーは、非反復配列のBgl II部位(AGATCT)が続く突然変 異タンパク質遺伝子の終端に、非抑制終止コドンTAAを導入する。生じたそれ ぞれの突然変異遺伝子は、制限酵素Nde IおよびBgl IIによってクロ ーニングベクトルから切り出され、分離されて、予めNde IおよびBamH Iで切断されたpETベクトル(米マサチューセッツ州ビバリーのNew England Biolab 社製)に独立に連結される。次いで連結生成物がE.coliに形質転 換されて、個別の突然変異タンパク質を含み、これを発現する形質転換細胞が識 別される。 T7 RNAポリメラーゼの発現(λCE6ファージの感染により始まる)後 、突然変異類似体を含む二重システインの発現が誘導される。発現の間に、突然 変異類似体が、細胞ペーストから回収された混在粒として生成される。次いで、 突然変異タンパク質を、6Mグアニジン−HCl、pH8.2の0.2 Mトリス−HCl)0.1Mの2−メルカプトエタノール溶液に溶解し、この混 合物を、6M尿素、pH7.5の2.5mMトリス−HCl、および1mMのE DTAで徹底的に透析する。最終的な濃度が0.1Mになるように2−メルカプ トエタノールを加え、溶液を室温で培養する。この混合物を、pH7.5の2. 5mMトリス−HCl、および1mMのEDTAを含む緩衝液で徹底的に透析す る。折りたたまれた突然変異タンパク質を、表面固定化OP−1受容体を充填し たカラム上で、アフィニティ・クロマトグラフィによって精製する。結合しなか った物質を前述のとおりに水洗によって除去し、特異的OP−1受容体に結合し た物質を溶離させる。 精製後、結合の追加による安定化効果を蛍光偏光法によって判定する。例えば 、蛍光異方性用に修正した蛍光分光光度計(Photon Technology International 社製)を使用して、モルホゲン類似体(突然変異タンパク質)および天然のhO P−1の回転率を温度の関数として判定する。突然変異タンパク質二量体が、天 然のhOP−1二量体よりもより高い温度まで低い回転率を示すことが予想され る。これは、突然変異タンパク質二量体が、二量体として残留していること、お よび野生型タンパク質よりも、より高い温度まで安定であることを示す。 生じた突然変異タンパク質の生物活性を、天然のhOP−1の生物活性を判定 するために今日までに開発された生物検定を使用して検査することができる。こ のような生物検定のさまざまな例を以下に説明する。検査を容易にするために以 下の生物検定を説明する。損傷を受けた骨、肝臓、腎臓、または神経組織、セメ ント質および/または歯周靭帯を含む歯周組織、胃腸 組織、腎臓組織、ならびに免疫細胞の媒介により損傷を受けた組織の修復または 再生への適用に対する形態形成タンパク質または類似体の有効性を検査するため の特定のin vivo検定は、一般に公開された文献に開示されており、これ らには例えば、EP0575555、WO93/04692、WO93/057 51、WO/06399、WO94/03200、WO94/06449、およ びWO94/06420などが含まれる。当業者ならば、これらの検定のいずれ ででも過度の実験を要さずに類似体を検査することができよう。A.ラットおよびヒト骨芽細胞に対する分裂誘発効果 以下の実施例は、OP−1モルホゲン類似体が、in vitroでの骨芽細 胞の増殖を誘導するか否かを判定するのに有用な一般的な検定である。この実施 例、および骨芽細胞培養を使用する他の全ての実施例では、ラット濃縮骨芽細胞 一次培養を使用することが好ましい。これらの培養は、個別の細胞が異なる分化 段階にあるという点で異質性であるが、樹立細胞系から得られた骨芽細胞培養よ りも、in vivoでの骨芽細胞の代謝および機能を正確に反映すると信じら れている。特に断らない限り、言及する全ての化学薬品は、セントルイスのSigm a Chemical社、サンディエゴのCalbiochem社、およびミルウォーキーのAldrich Chemical社を含むいくつかの販売元から容易に入手できる標準的な市販試薬であ る。 簡潔に説明する。ラット濃縮骨芽細胞一次培養は、例えば、Wong等(1975年) Proc.Natl.Acad Sci.USA 72:3167-3171に記載されているような標準的な手順 に従って、新生ラットの頭蓋冠(例えば、米マサチューセッツ州ウィルミントン のCharle s River Laboratories社のロング−エバンス系統の1〜2日齢の動物)の逐次的 なコラゲナーゼ消化によって調製される。次いで、ラット骨芽細胞の単個細胞浮 遊液を、多数のウェルを有するプレート(例えば、24ウェルのプレートで、骨 芽細胞の濃度を1ウェルあたり50000個とする)上の、10%FBS(ウシ 胎児血清)、L−グルタミン、およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むa lpha MEM培地(修正イーグル培地。米ニューヨーク州Gibco社製) 中で平板培養する。細胞は、37℃で24時間培養する。その後この増殖培地を 、1%FBSを含むalpha MEM培地と置き換え、さらに24時間培養す る。実験のこの時点で、細胞は、血清が除かれた増殖培地中にある。 培養細胞を、4つのグループに分割する。すなわち、(1)例えば、0.1、 1.0、10.0,40.0および80.0ngのOP−1モルホゲン類似体( 突然変異タンパク質)を入れたウェル、(2)0.1、1.0、10.0および 40.0ngの野生型OP−1を入れたウェル、(3)0.1、1.0、10. 0および40.0ngのTGF−βを入れたウェル、および(4)増殖因子を入 れないコントロール・グループである。次いで細胞をさらに18時間培養し、そ の後、ウェルを、2mCi/ウェルの3H−チミジンでパルス標識し、さらに6 時間培養する。次いで、過剰な標識を、0.15MのNaCl冷溶液で洗い流し 、次いで、250mlの10%トリクロロ酢酸を各ウェルに加え、ウェルを室温 で30分間培養する。次いで細胞を、冷蒸留水で3回洗い、250m1の1%ド デシル硫酸ナトリウム(SDS)を加え37℃で30分間、溶解させる。得 られた細胞溶解産物を標準的な手段を使用して回収し、細胞のDNAへの3H− チミジンの取込みを液体シンチレーションによって測定し、細胞の分裂誘発活性 の指標とする。この実験では、OP−1モルホゲン類似体構造(突然変異タンパ ク質)も天然OP−1と同様に、3H−チミジンのDNAへの取込みを剌激し、 したがって、骨芽細胞の細胞増殖を促進すると考えられる。対照的に、TGF− βの効果は、一過性で二相性であると予想される。さらに、高い濃度でTGF− βは、骨芽細胞の細胞増殖にあまり大きな効果を持たないと考えられる。 骨芽細胞増殖に対するOP−1モルホゲン類似体のin vitroでの効果 を、(正常な成人患者の骨組織から採取し、前述のとおりに調製した)ヒトの一 次骨芽細胞、およびヒトの骨肉腫由来の細胞株を使用して評価することもできる 。B.前駆細胞の剌激 以下の実施例は、OP−1モルホゲン類似体が間葉の前駆細胞の増殖を剌激す る能力を示すために設計されたものである。有用でナイーブな幹細胞には、従来 の手法を使用して骨髄または臍帯血から分離することができる多能性幹細胞(例 えばFaradji 等(1988年)Vox Sang.55(3):133-138、またはBroxmeyer 等(198 9年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86:3828-3832を参照のこと)、および血液 から得たナイーブな幹細胞が含まれる。代替として、(例えば培養された中胚葉 細胞株起源の)胚細胞を使用することもできる。 前駆細胞を取得し、OP−1モルホゲン類似体が細胞増殖を剌激する能力を判 定するための他の方法は、in vivoの供給元から前駆細胞を獲得するもの である。例えば、移動性の 前駆細胞の流入を可能とする生物適合性の基質材料を、移動性の前駆細胞の流入 が起こるのに十分な時間、in vivo部位に移植する。例えば、Sampath 等 (1983年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80;6591-6595、または米国特許第49 75526号の開示に従って製剤した骨起源のグアニジン抽出された基質を、S ampath他の方法に本質的に従ってラットの皮下部位に移植する。3日後、 移植片を除去し、基質に付随する前駆細胞を分散させ、培養する。 ただし、獲得した前駆細胞は、候補OP−1モルホゲン類似体ともに後に述べ るような標準的な細胞培養条件下でin vitroで培養する。外部からの剌 激がない場合、前駆細胞はそれ自体では培地内で増殖しないか、わずかに増殖す るだけである。 しかし、生物的に活性なOP−1モルホゲン類似体の存在下で培養された前駆 細胞は、OP−1の場合と同様に増殖する。細胞増殖は、当技術分野で周知の標 準法を使用して、視覚的にまたは分光測光法によって判定することができる。C.モルホゲン誘導性細胞分化 OP−1ベースのモルホゲン類似体による細胞分化の誘導を判定するのには、 種々の検定を使用することができる。(1)胚間葉の分化 天然のOP−1と同様に、OP−1モルホゲン類似体(突然変異タンパク質) も細胞分化を誘導すると考えられる。OP−1モルホゲン類似体の細胞分化を誘 導する能力は、当技術分野で十分な記載のある標準的な細胞培養法および細胞染 色法を使用して、OP−1モルホゲン類似体の存在下で初期間葉細胞を 培養し、次いで、トルイジン・ブルーで染色して培養細胞を組織学的に研究する ことによって示すことができる。例えば、下顎骨になる予定のラットの間葉細胞 は、段階11でその上の上皮細胞から分離し、例えば、DMEM(Dulbeccoの修 正イーグル培地)67%、F−12培地22%、pH7の10mM Hepes 、2mMのグルタミン、トランスフェリン50mg/ml、インシュリン25m g/ml、微量元素、オレイン酸に結合させたウシ血清アルブミン2mg/ml 、およびHAT(0.1mMヒポキサンチン、10mMアミノプテリン、12m Mのチミジン)を含む無血清既知組成培地中において、標準的な組織培養条件下 でin vitroで培養すると、分化が継続しないことが知られている。しか し、これらの同じ細胞を、その上の内胚葉と接触したままもう1日おいて、段階 12の細胞とした場合には、これらの細胞は、in vitroで独自に分化を 継続し、軟骨細胞を形成する。骨芽細胞への分化、および最終的な下顎骨への分 化には、適当な局所的環境、例えば血管新生環境を必要とする。 天然OP−1の場合と同様に、例えば、10〜100ng/mlのOP−1モ ルホゲン類似体(突然変異タンパク質)の存在下でin vitroで培養され た段階11の間葉細胞は、その上の内胚葉細胞から回収した細胞生成物とともに 培養した場合に、in vitroで分化を継続するのと同じくinvitro で分化を継続し軟骨細胞を形成することが予想される。この実験を、別の間葉細 胞で実施して、異なる組織におけるOP−1モホルゲン類似体の細胞分化能力を 示すこともできる。 モホルゲン誘導性細胞分化の他の例として、骨芽細胞一次培養株または骨芽細 胞様細胞株を使用し、例えば、アルカリホスファターゼ活性、副甲状腺ホルモン によって媒介されるサイクリックAMP(cAMP)の生成、オステオカルシン 合成、および鉱化速度の増強などの分化した骨芽細胞の表現型の特異的な標識で あるさまざまな骨細胞標識を検定することによって、OP−1モルホゲン類似体 の骨芽細胞の分化を誘導する能力を、in vitroで示すことができる。(2)骨芽細胞内でのアルカリホスファターゼ活性の誘導 無血清培地中で培養した骨芽細胞を、例えば、0.1、1.0、10.0、4 0.0、または80.0ng/ml培地の濃度のOP−1モルホゲン類似体、ま たは同様の濃度を有する天然のOP−1またはTGF−βとともに培養する。7 2時間培養したのち、細胞層を、0.5mlの1%Triton X−100で 抽出する。得られた細胞抽出物を遠心分離し、100mlの抽出物を、90ml のパラ−ニトロソ−フェニルフォスフェート(PNPP)/グリセリン混合物に 加え、37℃水浴中で30分間培養し、100mlのNaOHで反応を止める。 次いでこの試料を、プレート・リーダ(例えば、Dynatech MR700 プレート・リーダ。p−ニトロフェノールを標準として使用して400nmの吸 光度を測定する)に通して、アルカリフォスフェート活性の存在および量を測定 する。タンパク質濃度はBioRad法で測定する。アルカリホスファターゼ活 性は、単位/mgタンパク質に換算する。ただし、1単位は、30分37℃で遊 離したp−ニトロフェノール1nmolに相当する。 OP−1モルホゲン類似体は天然OP−1と同様に、骨芽細胞内でのアルカリ ホスファターゼの生成を剌激し、これによって骨芽細胞の分化表現型の増殖およ び発現を促進すると考えられる。ラットの骨芽細胞によるアルカリホスファター ゼの生成に対するOP−1モルホゲン類似体の長期的な効果も以下のようにして 示すことができる。 ラットの骨芽細胞を調製し、前述のとおりにマルチウェル・プレートで培養す る。この例では、ウェルあたり50,000個のラット骨芽細胞を有する6セッ トの24ウェル・プレートを平板培養する。前述のとおりに調製した各プレート のウェルを3つのグループに分割する。すなわち、(1)OP−1モルホゲン類 似体を、例えば培地1mlあたり1ng入れたグループ、(2)OP−1モルホ ゲン類似体を培地1mlあたり40ng入れたグループ、および(3)OP−1 モルホゲン類似体を培地1mlあたり80ng入れたグループである。次いで各 プレートを、時間を変えて培養する。培養時間は、0時間(対照)、24時間、 48時間、96時間、120時間および144時間とする。それぞれの培養期間 が経過したのち、細胞層を、0.5 mlの1%Triton X−100で抽 出する。得られた細胞抽出物を遠心分離し、パラ−ニトロソ−フェニルフォスフ ェート(PNPP)を使用してアルカリフォスファターゼ活性を前述のとおりに 測定する。OP−1モルホゲン類似体は天然OP−1と同様に、骨芽細胞内での アルカリホスファターゼの生成を投与量に依存した方法で剌激し、OP−1モル ホゲン類似体の投与量を増やすとアルカリホスファターゼ生成のレベルがさらに 上がると考えられる。さらに、OP−1モルホ ゲン類似体の剌激による、処理した骨芽細胞中のアルカリホスファターゼ生成レ ベルの上昇は、長時間持続すると考えられる。(3)PTHによって媒介されたcAMPの誘導 この実験は、ラット骨芽細胞内での、副甲状腺ホルモンによって媒介されたi n vitroのcAMP生成に対するOP−1モルホゲン類似体の効果を検査 するために設計された。以下に簡潔に説明する。ラットの骨芽細胞を調製し、前 述のとおりにマルチウェルプレートで培養する。次いで培養細胞を4つのグルー プに分割する。これらはすなわち、(1)OP−1モルホゲン類似体を、例えば 培地1mlあたり1.0、10.0、および40.0ng入れたウェル、(2) 例えば、同じ濃度範囲の天然OP−1を入れたウェル、(3)例えば、同じ濃度 範囲のTGF−βを入れたウェル、および(4)増殖因子を入れないコントロー ル・グループである。ついでこのプレートをさらに72時間培養する。72時間 経過後、細胞を、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)および1mMの3−イ ソブチル−1−メチルキサンチンを含む培地で20分間処理し、次いで、ヒトの 組換え型副甲状腺ホルモン(hPTH。セントルイスのSigma社製)を20 0ng/mlの濃度で半数のウェルに加え、10分間処理する。次いで細胞層を 、0.5mlの1%Triton X−100でそれぞれのウェルから抽出する 。次いで、cAMPの濃度を放射免疫測定キット(例えば、米国イリノイ州アー リントンハイツのAmershamn社製キット)を使用して測定する。OP− 1モルホゲン類似体はOP−1と同様に、単独で、PTHによって媒介されたc AMP応答の増大を剌激し、これによって骨芽細胞の分化表現型の増殖お よび発現を促進すると考えられる。(4)オステオカルシン生成の誘導 オステオカルシンは、骨芽細胞によって合成された骨特異的タンパク質であり 、in vivoでの骨鉱化速度に対して不可欠な役割を果たす。血清中のオス テオカルシン濃度の変動は、in vivoでの骨芽細胞活性および骨形成の標 識として使用される。濃縮骨芽細胞培養でのオステオカルシン合成の誘導は、i n vitroでのOP−1モルホゲン類似体の有効性を示すのに使用される。 ラットの骨芽細胞を調製し、前述のマルチウェル・プレートで培養する。この 実験では、培地に10%FBSを補い、2日目に、10mMの新鮮なβ−グリセ ロリン酸(Sigma社製)を補った新鮮な培地を細胞に与える。5日目から以 後週に2回、細胞に、先に述べた全ての成分および新鮮なL(+)−アスコルビ ン酸塩を含む完全鉱化培地を最終的な濃度が50mg/ml培地になるように与 える。次いで、OP−1モルホゲン類似体を、例えば、0.1%トリフルオロ酢 酸(TFA)を含む50%アセトニトリル(または50%エタノール)に溶解し て、モルホゲン類似体として5ml/ml培地以下の濃度でウェルに直接に加え る、対照のウェルには溶媒賦形剤のみを与える。次いで細胞に再び栄養補給し、 この調整培地を、標準プロテアーゼ・インヒビタを含む標準放射免疫測定バッフ ァで1:1に希釈し、オステオカルシンの検定まで−20℃で保存する。オステ オカルシン合成は、市販のオステオカルシン特異的抗体を使用した標準放射免疫 測定法によって測定する。 鉱化作用は、固定細胞層に対する修正von Kossa染 色法を使用して長期間培養株(13日)に対して判定する。0.9%冷NaCl で洗浄後、細胞を、新鮮な4%パラホルムアルデヒド中で23℃10分間固定す る。次いで、固定した細胞の内因性アルカリホスファターゼを、市販のキット( Sigma社製)を使用してpH9.5で10分間染色する。次いで、紫に染色 された細胞を、メタノールで脱水し、風乾する。3%AgNO3中で30分間暗 所培養した後、水洗した試料を、254nmの紫外線光で30秒間露光し、黒銀 に染色されたリン酸塩粒を発現させる。個別の鉱化焦点(少なくとも20mmの 大きさ)を解剖顕微鏡下で計数し、粒数/培養株に換算する。 OP−1モルホゲン類似体は、天然OP−1と同様に、骨芽細胞培養株中での オステオカルシン合成を剌激すると考えられる。さらに、OP−1モルホゲン類 似体に反応して増大するオステオカルシン合成は、投与量依存であり、そのため 、13日間培養後の基底レベルをはるかに超えて増大すると考えられる。オステ オカルシン合成の増強は、ラット・オステオカルシン特異的プローブを使用した 高いオステオカルシンmRNAメッセージ(20倍の増大)の検出によっても確 認することができる。さらに、オステオカルシン合成の増大は、鉱質粒の出現に よって判定される骨芽細胞長期培養株中の鉱化作用の増大と相関する。OP−1 モルホゲン類似体は、天然OP−1と同様に、無処理の培養株に比べ、初期鉱化 速度をかなり増大させる。(5)モルホゲン誘導性CAM発現 BMP/OPファミリ(第6図参照)の構成要素は、それらの形態形成誘導の 一部として、CAM、特にN−CAMの発現を誘導する(同時係属中の米国特許 出願第922813号を参 照のこと)。CAMは、組織発達の必須の段階として全ての組織で同定される形 態調節分子である。N−CAMは、少なくとも3つのアイソフォーム(N−CA M−180、N−CAM−140およびN−CAM−120であり、「180」 、「l40」、および「120」は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に よって測定したアイソフォームの見かけの分子量を表す)を含み、発達中の組織 では少なくとも一時的に、神経組織では永続的に発現される。N−CAM−18 0およびN−CAM−140アイソフォームは、発達中および成体の両方の組織 で発現される。N−CAM−120アイソフォームは、成体の組織にのみ見られ る。他の神経CAMにはL1がある。 OP−1ベースのモルホゲン類似体のCAM発現を剌激する能力は、NG10 8−15細胞を使用した以下の実験計画を使用して示すことができる。NG10 8−15は、形質転換させたハイブリッド細胞株(神経芽細胞腫×神経膠腫。米 国メリーランド州ロックビルのAmerica Type Culture Collection(ATCC) )であり、形質転換された胚のニューロンの形態特性を示す。後述する実施例D で述べるように、無処理のNG108−15細胞は、線維芽細胞の形態、または わずかに分化した形態を呈し、通常は発達中の細胞に関係したN−CAMの18 0および140アイソフォームのみを発現する。vg/dppサブグループの構 成要素で処理すると、これらの細胞は、成体のニューロンの形態特性を示し、3 つの全てのN−CAMアイソフォームの発現レベルが増強される。 この例では、NG108−15細胞を、濃度を段階的に増大させたOP−1モ ルホゲン類似体または天然OP−1の存在下 で標準的な培養手順を使用して4日間培養し、標準的なウエスタン・ブロット分 析を細胞抽出物全体について実施する。N−CAMアイソフォームは、3つの全 てのアイソフォームと交差反応する抗体mAbH28.123(セントルイスの Sigma Chemical社製)を用いて検出される。異なるアイソフォー ムは、電気泳動ゲル上での移動性の違いによって識別可能である。対照NG10 8−15細胞(無処理)は、140kDaアイソフォームおよび180kDaア イソフォームの両方を発現するが、120kDaアイソフォームは発現しない。 これらは、最高100mgのタンパク質を使用したウエスタン・ブロット分析に よって判定される。NG108−15細胞をOP−1モルホゲン類似体で処理す ると、天然OP−1で処理した場合と同様に、180kDaおよび140kDa アイソフォームの発現、および120kDaアイソフォームの誘導が、投与量に 依存して増大すると考えられる。さらに、OP−1モルホゲン類似体によって誘 導されたCAMの発現は、天然OP−1によって誘導されるものと同様に、組織 学的に判定される細胞凝集と相関する。(D)OP−1モルホゲン類似体誘導性の形質転換表現型の再分化 OP−1モルホゲン類似体は、天然OP−1と同様に、非形質転換細胞の形態 特性への形質転換細胞の再分化も誘導する。以下に提供する実施例で、モルホゲ ンによって誘導されたニューロン起源のヒト形質転換細胞株(NG108−15 )、マウス神経芽細胞腫細胞(NIE−115)、およびヒト胚癌細胞の非形質 転換細胞の形態特性への再分化を詳しく述べる。 前述のとおり、NG108−15は、神経芽細胞腫×神経膠腫細胞の融合によ って形質転換させたハイブリッド細胞株(米国メリーランド州ロックビルのAT CCより入手)であり、例えば、線維芽細胞の形態を有するなど形質転換された 胚ニューロンの形態特性を示す。特に、この細胞は、多角形の細胞体、短いスパ イク状の突起を有し、隣接した細胞との接触はわずかでしかない。無血清既知組 成培地中で培養したNG108−15細胞を、0.1〜300ng/mlのモル ホゲン類似体または天然OP−1とともに4時間培養すると、細胞形態変化が投 与量に依存して規則正しく誘導される。 例えば、NG108−15細胞を、ポリ−L−リジンでコーティングされた6 枚のウェル・プレート上で継代培養する。各ウェルは、2.5mlの既知組成培 地中に40〜50,000個の細胞を含む。3日目に、0.025%のトリフル オロ酢酸を含む60%エタノールに溶解したOP−1モルホゲン類似体または天 然OP−1を2.5ml、各ウェルに加える。培地は毎日、新しいモルホゲンの アリコートと交換する。OP−1モルホゲン類似体は、OP−1と同様に、細胞 体の球状化、相輝度の増大、短い神経突起の伸張、および細胞の超微細構造の大 幅な変更を含む投与量に依存した形質転換細胞の再分化を誘導すると考えられる 。数日後、処理細胞は、上皮様のシートを形成し始め、次いで、顕微鏡検査によ って視覚的に判定できる高密度の多層細胞凝集となると考えられる。 さらに、再分化は、これに関連したDNA合成、細胞分裂、または細胞の生存 率の変化を生じることなく起こり、この形態変化が、細胞分化のための二次的な もの、またはモルホゲンの 毒的効果によって起きるものではないと考えられる。さらに、モルホゲン類似体 によって誘導される再分化は、類似の実験において形質転換細胞の分化を剌激す ることが示されたブチラート、DMSO、レチノイン酸、Forskolinな どの他の分子とは違い、3H−チミジンの取込みによって判定される細胞分裂を 抑制しないと考えられる。したがって、OP−1モルホゲン類似体は、天然OP −1と同様に、再分化誘導後も細胞安定性および生存率を維持すると考えられる 。 したがって本明細書に記載したモルホゲンは、神経系の新形成および腫瘍性の 病変の治療、特に網膜芽細胞腫および神経膠腫を含む神経芽細胞腫の治療に有用 な治療薬を提供するであろう。(E)表現型の維持 OP−1モルホゲン類似体はさらに、天然OP−1と同様、細胞の分化表現型 の維持に使用することができる。この適用は、特に、老化または休止した細胞に おける表現型の持続した発現を誘導するのに有用である。(1)in vitro表現型維持モデル モルホゲンの表現型維持能力の判定は容易である。当技術分野で十分な記載の ある標準的な組織培養条件下でin vitroの継代を繰り返すと、いくつか の分化細胞は、老化または休止した細胞となる(例えば、Culture of Animal Ce lls: A Manual of Basic Techniques,C.R.Freshney,ed.,Wiley,1987 を参 照されたい)。しかしこれらの細胞を、OP−1などのモルホゲンともにin vitroで培養すると、細胞は剌激されて、何回もの継代を通してそれらの表 現型の発現を維持 する。例えば、培養骨肉腫細胞および頭蓋冠細胞などの培養骨芽細胞のアルカリ ホスファターゼ活性は、in vitroでの継代を繰り返すと大幅に低下する 。しかし、細胞がOP−1の存在下で培養された場合には、アルカリホスファタ ーゼ活性が長期間にわたって維持される。同様に、筋細胞の表現型発現もモルホ ゲンの存在下で維持される。この実験では、実施例Aに記載したとおりに骨芽細 胞を培養する。細胞を、グループに分割し、濃度を変えた(例えば0〜300n g/ml)OP−1モルホゲン類似体または天然OP−1で培養し、標準的な手 法を使用して複数回(例えば3〜5回)継代させる。次いで、継代させた細胞の アルカリホスファターゼ活性を、分化細胞の代謝機能の指標として例Cで説明し た方法で検査する。OP−1モルホゲン類似体が存在しない条件で培養された骨 芽細胞は、OP−1モルホゲン類似体または天然OP−1で処理した細胞と比べ ると、低いアルカリホスファターゼ活性を示すと考えられる。(2)in vivo表現型維持モデル 標準的なラットの骨粗鬆症モデルを使用して、表現型の維持能力をin vi voでも示すことができる。雌のロング・エバンス・ラット(米国マサチューセ ッツ州ウィルミントンのCharles River Laboratories社)に、標準的な外科手法 を使用して、偽手術(対照動物)、または卵巣摘出手術を実施し、エストロゲン 生成の低下に起因する骨粗鬆症条件を作り出す。卵巣摘出手術から例えば200 日経過後、ラットに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)またはモルホゲン(例え ば、1〜100mgのOP−1モルホゲン類似体または天然OP−1)を(例え ば毎日の尾静脈注射によって)21日間、全身投与する。次いでラットを死亡さ せ、標準手法を使用して文献および前述のとおりに、血清アルカリホスファター ゼ濃度、血清カルシウム濃度、および血清オステオカルシン濃度を測定する。O P−1モルホゲン類似体で処理したラットは、OP−1で処理したラットと同様 に、高いオステオカルシンおよびアルカリホスファターゼ活性レベルを示すと考 えられる。骨幹脛骨の組織形態計測分析によれば、OP−1モルホゲン類似体で 処理した動物の骨の質量は、無処理卵巣摘出ラットに比べて改善されると考えら れる。F.前駆細胞集団の増殖 前駆細胞を剌激して、in vivoまたはex vivoで増殖させること ができる。OP−1モルホゲン類似体を含む無菌製剤を注射またはその他の方法 で個体に提供することによって、in vivoで細胞を剌激することができる と考えられる。例えば、適当な濃度のOP−1モルホゲン類似体を注射またはそ の他の方法で個体の骨髄に提供することによって、個体の造血多分化能性幹細胞 集団を剌激して増殖させることができる。 増強すべき集団の前駆細胞に、形態形成的に活性なOP−1モルホゲン類似体 を、細胞の増殖を剌激するのに十分な濃度で十分な時間、無菌条件下で接触させ ることによって前駆細胞をex vivoで剌激することができる。適当な濃度 および剌激時間は、前記の実施例Aで説明した手順に本質的に従って経験的に決 定することができる。OP−1モルホゲン類似体の濃度を約0.1〜100ng /ml剌激時間を約10分〜約7 2時間、より一般的には約24時間とすれば、約104〜106個の細胞の細胞集 団を剌激するのには一般に十分であると考えられる。次いで剌激した細胞を、例 えば細胞の適当なin vivo位置に注射することによって個体に提供する。 適当な生物適合性の前駆細胞は、当技術分野で周知の方法、または前述の方法に よって得ることができる。G.損傷を受けた、または病気状態にある組織の再生 OP−1モルホゲン類似体を使用して、病気状態にある、または損傷を受けた 哺乳動物の組織を修復することができると考えられる。修復すべき組織をまず評 価し、必要に応じて、過剰な壊死または妨害瘢痕組織を、例えば、切除、あるい は医療分野で周知の外科的、化学的、またはその他の方法によって除去すること が好ましい。 次いで外科移植または注射によってOP−1モルホゲン類似体を、生物適合性 の無菌組成物の一部として組織位置に直接提供する。モルホゲン類似体は、経口 または非経口投与によって全身に提供してもよい。代わりに、形態形成的に活性 なOP−1モルホゲン類似体によって剌激された前駆細胞を含む生物適合性の無 菌組成物を組織位置に提供してもよい。その位置に存在する病気状態にあるか、 または損傷を受けた組織は、前駆細胞の増殖および組織特異的分化を可能とする 適当な基質を提供する。さらに、損傷を受けたか、または病気状態にある組織位 置、特に、外科手段によってさらに損傷を受けた組織位置は、形態形成的に許容 の環境を提供する。ある適用(例えば、骨粗鬆症の治療およびその他の骨再造形 サイクルの異常)に対しては、OP−1モルホゲン類似体の全身提供で十分であ ることが ある。 いくつかの状況、特に組織の損傷が広範囲にわたる状況では、組織が、細胞の 流入および増殖に十分な基質を提供することができない。これらの状況では、O P−1モルホゲン類似体によって剌激された前駆細胞を、後述のいずれかの手段 によって調製され、製剤された生物適合性の適当な基質とともに組織位置に提供 することが必要になる。この基質は、in vivoにおいて生分解性であるこ とが好ましい。この基質は、組織特異的であること、および/または70〜85 0μm、最も好ましくは150〜420μmの大きさの多孔質粒子を含むことが できる。 OP−1モルホゲン類似体を使用して、免疫/炎症反応によって媒介された組 織損傷、および損傷後の瘢痕組織形成を防止、または実質的に抑制することもで きる。OP−1モルホゲン類似体を、新しく損傷を受けた組織位置に提供して、 その位置で組織形態形成を誘導し、移動性の線維芽細胞の非分化結合組織への凝 集を防ぐことができる。OP−1モルホゲン類似体は、損傷から5時間以内に組 織位置に無菌製剤として注射されることが好ましい。免疫性/炎症性の反応が、 例えば外科またはその他の攻撃的な臨床治療の一部として不可避的に、または故 意に誘導される場合には、治療前または治療時に、OP−1モルホゲン類似体を 予防的に患者に提供することが好ましい。 OP−1モルホゲン類似体が骨の組織形態形成を誘導するか否か示すための実 験計画を以下に説明する。(1)OP−1モルホゲン類似体誘導性の骨形態形成 モルホゲン類似体の形態形成活性を示し、これを評価するの に特に有用な哺乳類組織のモデル系は、当技術分野では周知で、例えば、参照に より本明細書に組み込む米国特許第4968590号に記載されている軟骨内骨 組織の形態形成モデルである。軟骨内骨形成を誘導する能力には、前駆細胞の増 殖、および軟骨芽細胞および骨芽細胞への分化を誘導する能力、軟骨基質形成、 軟骨石灰化および骨再造形を誘導する能力、および適当な血管の形成および造血 骨髄の分化をを誘導する能力が含まれる。 形態形成物質が置かれる局所環境は組織形態形成にとって重要である。本明細 書で使用する「局所環境」という用語は、組織の構造基質および組織を取り巻く 環境を含むものと理解されたい。例えば、モルホゲンによって剌激された細胞は 、それらの増殖のために適当な固定下層を必要とすることに加えて、それらの分 化の組織特異性を導くシグナルを必要とする。これらのシグナルは組織ごとに異 なり、これに細胞表面マーカを含めることができる。さらに、新しい組織の血管 新生には血管新生を支援する局所環境が必要となる。 以下に、OP−1モルホゲン類似体、およびOP−1モルホゲン類似体を含む 組成物のin vivo形態形成の有用性を評価するさまざまな手順を説明する 。組成物は、当技術分野で周知の手順に従って、哺乳類に注射するかまたは外科 的に移植することができる。例えば、外科的な移植生物検定を、Sampath 等(19 83年)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:6591-6595、および米国特許第4968 590号の手順に本質的に従って実施することができる。 in vivoでの形態形成の程度、特に組織修復手順におけるそれを判定す るのには組織学的な切片化および染色が好ま しい。切除された移植片をボーインズ溶液で固定し、パラフィンに埋め込み、6 〜8μmの切片に切断する。トルイジン・ブルーまたはヘモトキシリン/コシン による染色は、新しい組織の最終的な発達を明確に示す。移植が、新しく誘導さ れた組織を含むか否かを判定するには、通常12日間の移植で十分である。 良好な移植は、誘導された組織の発達段階を通じて制御された経過を示すので 、発生した組織特異的な事象を同定し、これをたどることができる。例えば、軟 骨内骨形成には以下の段階が含まれる。(1)1日目、白血球、(2)2日目お よび3日目、間葉細胞の移動および増殖、(3)5日目および6日目、軟骨細胞 出現、(4)7日目、軟骨基質の形成、(5)8日目、軟骨石灰化、(6)9日 目および10日目、血管の侵入、骨芽細胞の出現、および新しい骨の形成、(7 )12〜18日目、破骨細胞の出現、ならびに骨再造形および移植基質溶解の開 始、(8)21日目、生じた小骨内における造血骨髄の分化。 組織学的評価に加えて、生物学的標識を組織形態形成の標識として使用するこ とができる。有用な標識には、移植が均質化した後に(例えば分光測光法などで )その活性を検定することができる組織特異的酵素が含まれる。これらの検定は 、計量、および移植片を動物から除去したあと組織形成の評価をすばやく得るの に有用である。例えば、アルカリホスファターゼ活性を骨形成の標識として使用 することができる。 標識タンパク質(例えば放射標識されたタンパク質)を使用して、新しい組織 内での局在を判定するか、および/または標準的な標識実験計画およびパルス標 識追跡手順を使用して循環 系からのそれらの消失を監視することによって、全身に提供されたOP−1モル ホゲン類似体の取込みを追跡することができる。OP−1モルホゲン類似体を、 その取込みを監視し、OP−1モルホゲン類似体の濃度と相関させることができ る組織特異的分子タグと共に提供してもよい。一例をあげると、雌のラットの卵 巣を除去すると、骨のアルカリホスファターゼ活性が低下し、このラットは、( 実施例Eに記載したように)骨粗鬆症にかかりやすくなる。次に、OP−1モル ホゲン類似体をこの雌のラットに与えた場合には、全身のカルシウム濃度の低下 が見られることがある。これは、与えたOP−1モルホゲン類似体の存在と相関 したものであり、アルカリホスファターゼ活性の増大と符合したものであると予 想される。実施例2.hOP−1二量体の可溶性の増強 セクションV.A(ii)で述べたように、溶媒が接触できるhOP−1二量 体の表面に位置する疎水性のアミノ酸残基を、より極性の強い、すなわち親水性 のアミノ酸残基で置き換えることによって、hOP−1二量体の可溶性を増強す ることができると考えられる。この実施例ではこのような方法について説明する 。 前掲の1zkaynak等(1990年)に記載されているヒトOP−1cDNAのSma I−Bam HIフラグメントをベクトルにクローニングして、国際出願PC T/US94/12063においてpW24と呼ばれるプラスミドと同様のプラ スミドを生成させる。この出願の開示は、参照により本明細書に組み込む。pW 24プラスミドは、CMV(サイトメガロウィルス)のIE(immediate early )プロモータの転写調節下でOP− 1cDNAを含む。pW24上の選択マーカは、細胞増殖抑制剤G418に対す る耐性を与えるネオマイシン遺伝子である。pW24プラスミドはさらにSV4 0の複製起点(ori領域)を使用する。初期SV40プロモータを使用して、 ネオマイシン標識遺伝子の転写を駆動する。 次いで位置63のアラニンを、例えば、合成オリゴヌクレオチド、およびPC R法または部位特異的突然変異誘発法を使用した部位特異的突然変異誘発によっ てセリンに変異させる。例えば、Kunkel等(1985年)Proc.Natl.Acad.Sci.US A 822:488、Kunkel等(1985年)Meth.Enzymol.154:367、および米国特許第4 873192号を参照のこと。得られた変異は二重脱酸素シーケンスによって確 立される。 OP−1の発現を増強するための三重トランスフェクション手順にpW24と ともに使用する2つの追加のベクトルが開発されている。1つのベクトルは、D HFR遺伝子の翻訳剌激としてVA1遺伝子の下でアデノウイルスE1A遺伝子 を使用する。もう一方のベクトルは、チミジンキナーゼプロモータの制御の下で アデノウイルスE1A遺伝子をトランス作用転写アクチベータとして使用する。 pH1130およびpH1176として知られる両方の追加ベクトル、ならびに 好ましいトランスフェクションおよびスクリーニング法は、国際出願PCT/U S94/12063に記載されている。 これを簡潔に説明する。三重トランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈 手順を使用して実施される。CHO細胞を、5%または10%のウシ胎児血清( FBS)、可欠アミノ酸、グルタミン、および抗生物質(ペニシリンおよびスト レプトマ イシン)を含むαMEM培地中で培養する。安定細胞株のトランスフェクション は、1〜2×106個の細胞を9cmペトリ皿に接種することによって実施する 。最長で24時間の培養期間の後、リン酸カルシウム共沈後に、標準的な手法を 使用したグリセロール・ショックを与えることによって、各ペトリ皿を、10〜 30μgの等モルのトータルベクトルDNAでトランスフェクトさせる。細胞を 、増殖培地中で37℃で24時間培養し、次いで選択培地に移す。全ての培養に は、週に1度または2度、新鮮な選択培地を補給する。10〜21日後、耐性コ ロニーをピックアップし、タンパク質生産の検定を実施する。 約30の個別のクローンを選択して、24ウェルのペトリ皿に移し、血清を含 む培地中で増殖させ、集密させる。生き残った全てのクローンの調整培地につい て、標準的なELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)またはウエス タン・ブロット分析を使用してタンパク質生産のスクリーニングを実施する。こ れらの検定の実験計画法、およびこれらの検定に使用する抗体の生成法は、当技 術分野で十分な記載がある(例えば前掲Ausubelを参照されたい)。 このような条件下で、VAlおよびE1A遺伝子は一般に、共力作用で、トラ ンスフェクトされた非増幅のCHO細胞におけるOP−1の発現を増強するよう に働く。次いで、スクリーニング実験計画によって同定された候補細胞株を、1 00mmペトリ皿10個に、プレートあたり50または100細胞の密度で接種 し、薬物濃度をより高くする(例えば1.0μm)。 10〜21日間の増殖の後、このクローンを、クローニング・シリンダおよび 標準的な手順を使用して分離し、24ウェル のプレートで培養する。次いで、クローンのOP−1発現を、標準手順を使用し たウェスタン・イムノブロット法によってスクリーニングし、OP−1発現レベ ルを親株と比較する。親細胞株よりも高いタンパク質生産を示す候補細胞をさら に平板培養し、さらに高い薬物濃度で(例えば5〜20μm)増殖させる。一般 に、これらの「増幅」クローニング段階を2〜3回繰り返すだけで、高いタンパ ク質生産力を有する細胞株を得ることができる。生産力の高い有用細胞株はさら にサブクローニングし、細胞株の均質性および生成物の安定性を向上させる。 タンパク質を大規模に、例えば少なくとも2リットルの規模で生産するのに現 時点で好ましい方法は、宿主CHO細胞の浮遊培養によるものである。CHO細 胞は付着を好むが、浮遊モードの培養で増殖するように適合させることもできる 。細胞は、トリプシン処理して培養皿から取り出し、10%FBSを含む増殖培 地に導入して完全に浮遊させ、単個細胞浮遊液を得る。この単個細胞浮遊液をス ピナー・フラスコに導入し、95%空気/5%CO2、37℃の加湿培養器中に 放置する。この細胞を、血清濃度を段階的に低くした培地中である期間、継代培 養する。 適応させた細胞を特に、約2×105細胞/mlの初期生存可能細胞密度で3 Lスピナー・フラスコに導入する。好ましい培地は、2%FBSを補ったDME M/F−12(1:1)(米ニューヨークのGIBCO社製)であり、好ましい 撹拌は、パドル・インペラで約50〜60rpmである。7日後、培地を回収し 、1500rpmで遠心分離し、澄んだ調整培地を4℃で保存する。 組換え形態形成タンパク質を精製する代表的な精製方法は、3段階のクロマト グラフィ(S−セファロース、フェニル−セファロースおよびC−18HPLC )を含む。この方法は、国際出願PCT/US94/12063に記載されてい る。培地を含むモルホゲン類似体を、6M尿素、0.05M NaClpH7. 0の13mM HEPESに希釈し、これを、強い陽イオン交換体の働きをする S−セファロース・カラムに充填する。続いてこのカラムを、2段階の塩溶離で 展開させる。第1の溶離には、0.1MのNaClを含む溶液を使用し、第2の 溶離には、6M尿素、0.3M NaCl、pH7.0の20mM HEPES を含むバッファを使用する。 硫酸アンモニウムを、0.3M NaCl画分に加え、6M尿素、1M (N H42S04、0.3M NaCl、pH7.0の20mM HEPESを含む 溶液を得る。次いでこの試料を、1M(NH42SO4の存在下でフェニル−セ ファロースカラムに充填する。次いでこのカラムを、硫酸アンモニウムの濃度を 順に低下させた2段階の溶離で展開させる。第1の溶離には0.6M(NH42 SO4を使用し、第2の溶離には、6M尿素、0.3M NaCl、pH 7. 0の20mM HEPESバッファを使用する。第2の溶離から回収した物質を 水、続いて30%アセトニトリル(0.1%TFA)で透析し、次いでこれを、 C−18逆相HPLCカラムに適用する。精製されたモルホゲン類似体をHPL Cカラムから回収する。 Ala63→Ser63突然変異タンパク質の分配係数を野生型hOP−1二 量体のそれと比較することによって、得られ たモルホゲン類似体の増強された可溶性を測定する。Ala63→Ser63突 然変異タンパク質は天然hOP−1よりも高い溶解度を有すると考えられる。疎 水性から親水性への複数の置換を有するこれ以外の追加の突然変異タンパク質を 生成し、これを、この実施例で説明した実験計画を使用して特性づけすることが できると考えられる。得られたモルホゲン類似体の生物活性は、実施例1で述べ た1つまたは複数のOP−1活性検定を使用して測定することができる。実施例3.フィンガ1、フィンガ2およびヒールペプチドの生物活性 この実施例で述べるhOP−1ベースのペプチドは、hOP−1の三次元構造 の決定に先だって生成され、特性づけられたものである。これらのペプチドは、 hOP−1の生物活性の作動物質または拮抗物質の働きをする。hOP−1結晶 構造に基づいたさらなる改良、例えば、hOP−1の対応する領域の形状をより 厳密に模倣したコンホメーションにペプチドを拘束するペプチドの環化に、より 適した部位を選択することによって、このようなhOP−1ベースのペプチドの 作動または拮抗特性を増強することができる。 以下の実験では使用する全てのペプチド、およびこれらと成熟hOP−1のア ミノ酸配列との関係を第12図に示す。フィンガ1ベースのペプチドをF1−2 で示し、ヒールベースのペプチドをH−1、H−n2およびH−c2、フィンガ 2ベースのペプチドをF2−2およびF2−3で示す。ペプチド内の潜在的なジ スルフィド結合がそれぞれのペプチドについて示されている。全てのペプチドは 、標準的なペプチド合成機で、メー カの指示に従って合成した。ペプチドは使用前に、デプロテクトし、酸化反応に よって環化させ、樹脂から切断した。 第1の実験では、濃度を段階的に高めたペプチドF2−2(第13A図)、F 2−3(第13B図)、Hn−2(第13C図)およびHc−2(第13D図) を、単独で(白棒部分)、または40ng/mlの可溶性OP−1とともに(黒 棒部分)ROS細胞に加え、アルカリホスファターゼ活性に対するこれらの効果 を測定した。可溶性OP−1は、プロドメインがOP−1の成熟部分に取り付い ている形態のOP−1である(W094/03600参照のこと)。直線で示し た基底のアルカリホスファターゼ活性は、可溶性OP−1およびペプチドがとも に存在しない条件で培養した細胞のアルカリホスファターゼ活性を表す。 第13A図において、約60μMの濃度のペプチドF2−2は、基底アルカリ ホスファターゼレベルを2倍にすることを示しており、可溶性OP−1の存在下 では、可溶性OP−1単独の場合に比べて、アルカリホスファターゼ活性を約2 0%高める。第13B図では、約0.01μMの濃度のペプチドF2−3が、基 底アルカリホスファターゼレベルを高めることを示しており、可溶性OP−1の 存在下では、可溶性OP−1単独の場合に比べて、アルカリホスファターゼ活性 を約20%高める。したがって、このアルカリホスファターゼ検定においてペプ チドF2−2およびF2−3はともに、弱いOP−1作動物質として働くことを 示した。 第13C図において、ぺプチドH−n2は、単独でも、可溶性OP−1との組 合せにおいても、アルカリホスファターゼ活 性に対する効果を全く示さないかまたは少ししか示していない。第13D図では 、約5μMを超える濃度のペプチドH−c2が、可溶性OP−1の活性に拮抗的 に働くことを示している。 第2の実験では、無標識の可溶性OP−1および無標識のペプチドF1−2、 F2−2、F2−3、H−n2およびH−c2が、125Iで標識したROS細胞 膜由来の可溶性OP−1を置換する能力を測定した。可溶性OP−1に対する相 対的なペプチドF2−2、F2−3の活性を第14A図に、可溶性OP−1に対 する相対的なペプチドF1−2、H−n2およびH−c2の活性を第14B図に 示す。OP−1受容体を富化したROS細胞の原形質膜を、125Iで標識した可 溶性OP−1および無標識のペプチドとともに、4℃で20時間培養した。39 500×gの遠心分離によって、受容体を結合した物質を結合していない物質か ら分離した。生じた沈殿を回収し、これを、5mM MgCl2および1mM CaCl2を含むpH7.4の50mM HEPESバッファで洗浄した。沈殿 中の残留放射能をガンマ・カウンタによって測定した。 第14A図において、可溶性ペプチドF2−2(黒丸)は有効投与量50(ED50 )約1μMでは、可溶性OP−1と競合するが、完全に可溶性OP−1を置換 することはできない。ED50は、標識可溶性OP−1の最大置換の半分の置換を 生じるペプチドの濃度である。ペプチドF2−3(黒三角)は、可溶性OP−1 と競合し、これを完全に置換することできる。ED50は約5μMである。第14 B図において、ペプチドF1−2(黒箱)、ペプチドH−n2(白ダイヤモンド )、およびペプチドH−c2(白丸)は全て、ROS細胞膜由来のヨウ素化可 溶性OP−1を置換する能力を全く示さないか、わずかにしか示さない。 このペプチド実験がその有効性を示しているとおり、hOP−1構造を解明す ることによって、当業者が、ヒトOP−1の受容体結合ドメインをより厳密に模 倣し、hOP−1によって媒介される生物学的効果のより有効な作動物質または 拮抗物質として働く拘束されたペプチドを設計することができるようになると考 えられる。実施例4.OP−1表面の結合部位の除去 血清中のタンパク質に結合し、これらを腎臓に送って体内から除去させること が知られているタンパク質分解酵素除去タンパク質であるα−2マクログロブリ ンはOP−1と結合する。本明細書にも記載したように、OP−1タンパク質上 のα−2の相互作用部位はマップされている。したがって、本明細書に提供した データベースおよび構造情報を使用して、1つまたは複数のα−2マクログロブ リン相互作用部位を除去したOP−1類似体を設計し、体内での生物学的利用能 力を増強した類似体を提供することができる。この同じ戦略を、他の結合タンパ ク質のOP−1表面の相互作用部位の同定および/または排除に適用することも できる。A.α−2マクログロブリン結合部位の同定 市販の固定α−2マクログロブリン、ならびに標識および無標識のOP−1タ ンパク質を使用した標準的な競合結合検定において、OP−1が、α−2マクロ グロブリンと特異的に相互作用することを確認した。最初の22個のアミノ酸を 標準的なトリプシン消化で成熟OP−1から切断した成熟OP−1では、 α−2との結合親和性は10分の1未満であり、成熟タンパク質のN末端が結合 にあずかることが示された。結晶構造の一部ではないこのタンパク質のN末端部 分は、正に帯電し、溶液中ではおそらく非常にフレキシブルである。この配列を 除去してもOP−1活性は妨げられない。ヒール領域の一部または全体の2つの 環化ペプチドであるH−n2およびH1(Cys71−Pro102。ただし、2つ のシステイン間のジスルフィド結合を可能とするためにPro102はシステイン に変更されている)も結合をめぐって競合する。フィンガ領域のペプチド(F2 −2、F2−3)は競合しない。 α−2マクログロブリンが、アルカリホスファターゼ活性を剌激するOP−1 の能力を妨害しないことがROS細胞検定で確認された。したがって、α−2マ クログロブリンの結合が、OP−1受容体結合を立体構造的に抑制するとは思わ れない。B.修正OP−1類似体の設計 次に、OP−1上の正確なα−2マクログロブリンの相互作用部位をマップし 、本明細書に提供した構造情報を使用して類似体を設計する。例えば、「アラニ ン・スキャン」突然変異誘発プログラムに関連したH−N2および/またはH1 のようなモデル・ペプチドを生み出すことによって、正確な接触残基を同定する ことができる。このプログラムは、各残基を個別にアラニンに変更し、次いで、 この構造体の結合競合能力を検査するものである。接触残基のマップが終わると 、ヒール領域の全体構造を変更するこがなく接触残基を除去した類似体を設計す ることができる。特に、その領域のテンプレートを、データベースからコンピュ ータ上に呼び出し、候補置換残基を検査する ことができる。第8表の情報から、溶媒に接触可能で、ヒール領域に特に有用な 候補残基が同定される。これらはおそらく、エピトープとしては有効ではなく、 修正のためのよい候補となる。 等価 本発明の趣旨または不可欠の特徴から逸脱することなく、本発明を、他の特定 の形態で実施することができる。したがって、以上の実施形態は、本明細書に記 載された発明に限定するためのものではなく、あらゆる意味において例示的なも のと考えるべきである。したがって本発明の範囲は、以上の説明によって指示さ れるのではなく、添付の請求の範囲によって指示されるものであり、請求の範囲 と等価の意味および範囲に含まれる全ての変更は本発明に含まれるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/50 G06F 15/40 370F // C07B 61/00 15/60 638 (72)発明者 ケック,ピーター アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01527 ミルバリー,ドゥラン ロード 50 (72)発明者 グリフィス,ダイアナ エル. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02193 ウェストン,ウッドリッジ サー クル 15 (72)発明者 カールソン,ウィリアム デイ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02193 ウェストン,ブラック オーク ロード 40 (72)発明者 ルーガー,デビッド シー. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 01748 ホプキントン,ドゥーニィー ス トリート 19 (72)発明者 サンパス,クーバー テイ. アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02053 メドウェイ,スプリング ストリ ート 6

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)ヒトOP−1の少なくとも一部分を規定した原子X線結晶学的座標を 内部に配置したメモリと、 (b)メモリと電気的に連絡し、ヒトOP−1の少なくとも一部分を表す三次 元形状を有する分子モデルを生成するプロセスを含むプロセッサと を含む、コンピュータ・システム。 2.プロセッサがさらに、ヒトOP−1の少なくとも一部分を表し、溶媒接触可 能表面を有する分子モデルを生成するプロセスを含む請求の範囲第1項に記載の システム。 3.前記座標が、コンピュータ可読ディスケットに格納される、請求の範囲第1 項に記載のシステム。 4.分子モデルが、ヒトOP−1のフィンガ1領域の少なくとも一部分を表す、 請求の範囲第1項に記載のシステム。 5.分子モデルが、ヒトOP−1のヒール領域の少なくとも一部分を表す、請求 の範囲第1項または第4項に記載のシステム。 6.分子モデルが、ヒトOP−1のフィンガ2領域の少なくとも一部分を表す、 請求の範囲第1項または第4項に記載のシステム。 7.分子モデルが、ヒトOP−1のヒール領域の少なくとも一部分を表す、請求 の範囲第6項に記載のシステム。 8.プロセッサがさらに、ヒトOP−1の三次元形状および溶媒接触可能表面の 少なくとも一部分に対応した、三次元形状および溶媒接触可能表面を有する形態 形成類似体を同定する、請求の範囲第1項に記載のシステム。 9.プロセッサがさらに、修飾後に、ヒトOP−1の水に対する溶解度または安 定性を増強する、座標によって規定された少なくとも1つの候補アミノ酸を同定 する、請求の範囲第1項に記載のシステム。 10.骨形成タンパク質−1(OP−1)様生物活性を有する形態形成類似体の 製法において、 (a)ヒトOP−1の少なくとも一部分を表す三次元形状を規定する分子モデ ルを提供する段階と、 (b)ヒトOP−1の少なくとも一部分を表す三次元形状に対応した三次元形 状を有する候補類似体を同定する段階と、 (c)段階(b)で同定した候補類似体を生成する段階と を含む方法。 11.段階(c)で生成した化合物が、OP−1様生物活性を有するか否かを判 定する段階をさらに含む、請求の範囲第10項に記載の方法。 12.段階(a)で提供される分子モデルが、ヒトOP−1のフィンガ1領域の 少なくとも一部分を表す、請求の範囲第10項に記載の方法。 13.段階(a)で提供される分子モデルが、ヒトOP−1のヒール領域の少な くとも一部分を表すこ、請求の範囲第10項または第12項に記載の方法。 14.段階(a)で提供される分子モデルが、ヒトOP−1のフィンガ2領域の 少なくとも一部分を表す、請求の範囲第10項または第12項に記載の方法。 15.段階(a)で提供される分子モデルが、ヒトOP−1のヒール領域の少な くとも一部分を表す、請求の範囲第14項に 記載の方法。 16.類似体が、類似体の溶媒接触可能表面の周りに間隔をあけて、ヒトOP− 1の溶媒接触可能表面の一部分の周りに間隔をあけて配置された帯電部分に対応 した間隔関係に配置された複数の帯電部分を含む、請求の範囲第10項に記載の 方法。 17.段階(a)および(b)が電子式プロセッサによって実行される、請求の 範囲第10項に記載の方法。 18.段階(a)が、ヒトOP−1の原子座標の少なくとも一部分の表現をコン ピュータ・メモリに格納する段階を含む、請求の範囲第17項に記載の方法。 19.骨形成タンパク質−1(OP−1)によって媒介される生物的効果をモジ ュレートするモルホゲン類似体の製法において、 (a)ヒトOP−1の少なくとも一部分を規定した原子X線結晶学的座標をコ ンピュータ・メモリに提供する段階と、 (b)ヒトOP−1の少なくとも一部分を表す三次元形状および溶媒接触可能 表面を有する分子モデルを、プロセッサを用いて生成する段階と、 (c)さらに、ヒトOP−1の少なくとも一部分の三次元形状および溶媒接触 可能表面に対応した、三次元形状および溶媒接触可能表面を有する候補モルホゲ ン類似体を同定する段階と、 (d)段階(c)で同定された候補モルホゲン類似体を生成する段階と、 (e)段階(d)で生成された候補モルホゲン類似体が、OP−1によって媒 介される生物的効果をモジュレートするか否かを判定する段階と を含む方法。 20.商業的に有用な量の化合物を生成する段階をさらに含む、請求の範囲第1 1項または第19項に記載の方法。 21.前記化合物がペプチドである、請求の範囲第11項または第19項に記載 の方法。 22.OP−1によって媒介される生物的効果をモジュレートする化合物であっ て、請求の範囲第11項または第19項に記載の方法によって生成された化合物 。 23.前記化合物が、ヒトOP−1の生物活性の作動剤として機能する、請求の 範囲第22項に記載の化合物。
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