【発明の詳細な説明】
引出し等のための底面装着引出案内装置
本発明は,キャビネットケース内に引出し可能に支持された引出し等のための
引出案内装置であって,ケース壁に固定された形状レールとして形成された案内
レールと,引出しに固定された形状レールとして形成された走行レールとを備え
,両方の形状レールに設けられている転がり軌道上を転がる支持要素により走行
レールを案内レールに対して相対的に縦方向に移動させることを可能にし,この
場合,形状セグメントが走行レールのケース内側端部に,走行レールに対し縦方
向に同一直線上に向けられた第1の位置からこれに対し引出しの後壁にほぼ平行
に伸長する第2の位置へ揺動可能にピボット結合され,案内レールのケース内側
端部および走行レールにピボット結合された形状セグメントに協働案内手段が設
けられ,協働案内手段は,形状セグメントを,走行レールが案内レール上で引出
しが完全に引き出された位置に付属の終端位置から引出しの挿入方向へ移動する
間に,走行レールのケース内側端部がケース後壁に接近したときに次第に引出し
の後壁にほぼ平行な第2の位置へ揺動させる,キャビネットケース内に引出し可
能に支持された引出し等のための引出案内装置に関するものである。
キャビネットケースに固定された案内レールが引出しに設けられた走行レール
と協働するだけの引出案内装置においては,引出案内装置の特殊な形態とは無関
係に,そのストロークが付属の引出しの引出し深さより短いストロークに制限さ
れ,したがって,完全に引き出された引出しの後壁は所定の寸法だけなお付属の
キャビネットケースの中に残ることになる。したがって,このような引出案内装
置は「部分引出装置」または「簡易引出装置」と呼ばれている。とくに,奥行が
きわめて深くかつ浅い引出しの場合,完全に引き出された状態においてもなおキ
ャビネットケース内に残っている引出しの後方領域はこのとき見にくくかつ取り
出しにくくなる。したがって,引出しの後壁がキャビネットケースの前面とほぼ
同一面となる位置まで付属の引出しをキャビネットケースから引き出し可能なよ
うに,引出案内装置をいわゆる「完全引出装置」として製作することが望ましい
。このような「完全引出装置」が従来提案されているかぎりにおいては,これら
の完全引出装置は実際的に2つの部分引出装置または簡易引出装置の組合せとし
て,いわゆる「二重引出装置」として製作されている。案内レールのみでなく走
行レールもまたキャビネットケース壁の内面と付属の引出しの外側を向く側面と
の間の中間空間内に配置され,すなわち引出しの側壁の全高さが利用可能なので
構造高さにそれほど影響を与えないローラ引出案内装置においては,このような
「二重引出案内装置」が広く利用されている。これに対し,走行レールが縦方向
に伸長するケージ内に保持された転がり本体により案内レールの転がり軌道上に
支持される底面装着配置で使用される底面装着引出案内装置の場合,この引出装
置における垂直構造高さが実際に高くなるので「二重引出装置」は特殊な場合に
おいてのみ使用可能であり,したがって走行レール装置が引出しの下側で見える
ようにすることが好ましい場合,引出しの側壁の突出高さを上げたりまたは引出
し底面を側壁内の高さに対し持ち上げたりすることが必要となる。しかしながら
,この結果,引出しの収容能力は低減される。他方で,このような転がり本体に
より支持された引出案内装置は,引出し方向のみでなくそれに直角な方向におい
てもボールおよび/またはローラの形で空間的にオフセットされて配置された複
数の転がり本体により,その容易な走行およびその高い荷重支持力のほかに,こ
れらが完全に引き出された状態においても高い横方向安定性を有するという追加
の利点を有し,したがって,それらによりキャビネットケース内に支持された引
出しもまた完全に引き出された状態において水平な横方向に顕著な遊びを有する
ことはない。したがって,高価な家具内の引出しを支持するために,このような
引出案内装置がますます使用されている。この場合,走行レールのために使用さ
れる中空形状を低い構造高さで製作可能であることは有利であり,したがって,
いわゆる「底面装着装置」における走行レールが引出しの底面の下側でほぼ底面
の全長にわたり下方に突出する側壁のすぐそばにまたは引出しの側壁が下側に開
いた中空形状の引出しの側壁が金属またはプラスチックから形成されるとき,側
壁の内部に配置することが可能である。これにより,引出しの側壁の外側とケー
ス支持壁のそれに向かい合う内側との間に中間空間を必要とするローラ引出案内
装置と比較して引出しの幅を拡大することが可能である。
引出しの収容能力がそれほど重要でない場合,簡易引出装置を用いて,引出し
の引出案内装置内で引出しが引出案内装置のほぼケージの寸法だけ短くされ,一
方で走行レールができるだけ長く使用されるように完全引出装置の外観を形成す
ることが試みられるであろう。したがって,引出しを支持する案内レールのケー
ス後壁方向端部領域はさらに引出し後壁を超えてケース内部に突出する。走行レ
ールの突出領域は引出し後壁により覆われるので,引出し後壁は引出しがキャビ
ネットケース内に装着されたとき走行レールは目につくことはないが,引出しは
その奥行が小さくなることに対応して少ない収容能力を有することは明らかであ
る。
ローラ引出案内装置として形成された実施態様(ドイツ特許公開第29461
13号)において,他の中間レールを使用する代わりに走行レールの後方端部に
垂直軸または水平軸の周りに傾斜可能な追加の走行レール部分が装着され,引出
しが挿入されて完全収納位置に接近したときこの追加走行レール部分が水平軸の
周りに上方にないし垂直軸の周りに内方に引出しの後壁の前で揺動され,これに
より引出しがさらに奥に挿入可能であることにより完全引出装置を形成すること
が既に提案されている。引き出されたとき,このときさらに本来の走行レールと
同一直線上の走行レール部分が追加の引出しストロークに対して利用可能であり
,この追加の引出しストロークが引出しの完全引出装置を可能にする。実際に,
このような完全引出装置は使用されなかった。
したがって,本発明は,底面装着配置で使用される,転がり本体により支持さ
れた有利な引出案内装置を,引出案内装置の拡大垂直方向構造高さを必要とする
ことなく簡易引出装置において通常避けられない引出空間損失を解消するように
改善することが本発明の課題である。
冒頭記載のタイプの引出案内装置から出発して,この課題は本発明により,案
内レールがそれ自身既知のように溝状に形成されかつケース側壁の内側に固定可
能な縦方向に伸長する平面形状脚,この平面形状脚から折り曲げられてほぼ水平
方向に伸長しかつ縦方向に伸長する形状脚および形状脚のケース壁とは反対側の
端縁からケース壁に当接固定された形状脚にほぼ平行に伸長する位置に上方に折
り曲げられた形状脚を有し,形状脚の上方自由端部に,縦方向に伸長するケージ
内に保持されかつ引出しの引出し方向および引出しの引出し方向に直角な方向に
伸長する平面内で相互にオフセット配置された転がり本体のための転がり軌道が
形成されていることと,走行レールがそれ自身既知のようにその下側に転がり軌
道を支持する案内レールの形状脚のための開放貫通スリットを有しかつ引出し底
面の範囲内で底面装着配置されまたは引出し側壁の下側に配置された中空形状レ
ールとして形成され,走行レールの内部にケージ内に保持された転がり本体のた
めの軌道が形成されていることと,および走行レールのケース内側端部に揺動可
能にピボット結合された形状セグメントが同様に走行レールの断面に対応する中
空形状断面を有する中空形状セグメントとして形成されていることとにより解決
される。中空形状セグメントを同じ断面の中空形状により形成された走行レール
の後方端部に十分な精度で揺動可能にピボット結合することが可能であり,これ
により,転がり本体ケージないしケージ内に保持されている転がり本休が中空形
状セグメントと走行レールとの間の結合位置を超えて移動するときにおいても停
止または制動を発生することはない。他方で,このように実際に中空形状セグメ
ントの長さだけ追加の引出しストロークが利用可能であり,この追加引出しスト
ロークは,引出しの後壁が完全収納位置においてケース後壁付近まで接近させら
れる比較的奥行の深い引出しを,引出し空間損失が転がり本体ケージにより補償
されるまで長く引き出すことを可能にする。一方で,構造高さにおいては,この
引出案内装置は同じタイプの簡易引出案内装置または部分引出案内装置に対応し
ている。
中空形状セグメントを走行レールに結合する揺動軸は,水平または垂直にそれ
ぞれ走行レールが案内レール上を移動する方向に対し直角に伸長してよく,この
場合,中空形状セグメントは,第1のケースにおいては走行レールと同一直線上
の位置からそれに対し上方に揺動された位置に揺動可能にピボット結合されてい
ることが好ましく,一方第2のケースにおいては,揺動は隣接するケース側壁か
ら離れて付属の引出しの後壁の手前へ行われる。
中空形状セグメントの揺動過程を制御するために,本発明の好ましい実施態様
において,案内レールを形成する形状レールのケース後壁側端部に案内レールの
縦伸長方向から中空形状セグメントの揺動方向を向く制御セグメントが装着され
,この場合,前記案内手段が,中空形状セグメントに設けられかつ引出しの収納
位置に接近したときに制御セグメントと係合する制御要素を有している。
この場合,制御セグメントが,案内レールに設けられかつ制御要素と係合する
縦方向案内部に接続されているように形成されることが有利である。
中空形状セグメントが水平軸の周りに揺動可能に走行レールのケース内側端部
にピボット結合されているとき,縦方向案内部が,案内レールを形成しかつ制御
セグメントを含む形状レールのケース壁に当接可能な形状脚からほぼ直角にケー
ス内側に突出する少なくとも1つの材料ストリップから形成され,および制御要
素が,中空形状セグメントから案内レールの方向に突出しかつ材料ストリップの
1つの少なくとも片側に当接して保持される突起から形成されることが目的に適
っている。
これに対し中空形状セグメントが垂直軸の周りに揺動可能にピボット結合され
ているとき,縦方向案内部が,所定の大きさの固定位置内で付属のケース壁に平
行に伸長する,案内レールを形成する形状レールの少なくとも1つの形状脚のス
トリップ状材料領域から形成され,1つまたは複数の形状脚はそれらのケース内
側端部領域においてある高さに低減されかつそのケース内壁に平行な伸長方向か
ら制御セグメントの伸長方向に変形され,および制御要素が,中空形状セグメン
トから案内レールの方向に突出しかつ少なくとも1つまたは複数のストリップ状
材料領域の側面に当接して保持される少なくとも1つの突起から形成されるよう
な形態とすることが目的に適っている。
この場合,制御要素が,材料ストリップないしストリップ状材料領域の相互に
向かい合う側面に当接する2つの突起から形成されてもよく,これによりこのと
き中空形状セグメントの揺動過程の強制制御が与えられる。
いずれの場合においても,引出しの引出過程または挿入過程において引出しの
動きにくい動作を回避するために,1つないし複数の突起に,1つまたは複数の
突起が少なくとも材料ストリップないしストリップ状材料領域と当接する領域内
にたとえば適切なプラスチックライニングの摩擦の少ない表面を設けることが推
奨される。
このために,1つまたは複数の突起が,それぞれ中空形状セグメントに回転可
能に支持されかつその周囲面が材料ストリップないしストリップ状材料領域の片
側で転がる制御ローラから形成されるような形態としてもよい。
とくに,制御要素が材料ストリップの片側にのみ当接して保持される突起から
形成されるとき,中空形状セグメントにばね張力により,ないし第1の位置から
第2の位置へ揺動する方向にプレ張力を与えることが推奨される。このとき,こ
のプレ張力は制御要素を材料ストリップに当接させるだけでなく,使用されるば
ねのプレ張力が十分に大きい場合,同時に,引出しが挿入されるとき,収納位置
に接近したときに走行レールに対し揺動されている中空形状セグメントによりば
ね力で引出しを完全な収納位置に引き込ませる。すなわち,追加の構造的装置を
必要とすることなく引出しの自動引込み機能を形成可能である。
本発明による引出案内装置を用いてキャビネットケース内に支持された引出し
は通常の場合よりもさらにキャビネットケースから引出し可能であることにより
,通常の引出し動作において,走行レールと案内レールとのレールの重なりが実
質的に転がり本体ケージの長さに対応する完全引出状態においても引出案内装置
のレールの曲げ強度は上昇する。したがって,案内レールのケース外側端部に,
引出しを完全に引き出した位置において走行レールを下側から支持する少なくと
も1つの突起を設けることが推奨され,したがって突起は引出しの完全引出位置
においてケージの後壁とは反対側端部に設けられた転がりローラに追加して走行
レールから案内レールにかかる荷重を支持する。この場合もまた同様に,1つま
たは複数の突起に,少なくとも走行レールを支持する領域において摩擦の少ない
表面が設けられていることが目的に適い,この場合,突起は,走行レールを案内
する案内レールの形状脚の内部に回転可能に支持された,走行レールを形成する
中空形状のウェブセグメントの内側において転がるローラから形成してもよい。
引出しが走行レールと共にケースから所定の寸法以上引き出されることを防止
するために,縦方向案内部を形成する材料ストリップがそのケース後壁とは反対
側端部に制御要素に対するストッパを設けることが推奨され,所定の寸法の引出
し位置において制御要素がこのストッパに当接する。
制御要素が制御ローラから形成される場合,ストッパが,制御ローラの半径に
対応してアーチ状に曲げられた材料ストリップの終端セグメントから形成されて
もよい。
中空形状セグメントの収納位置への揺動が制御セグメントの対応する形状によ
り強制的に行われるときは,第2の位置への揺動方向に中空形状セグメントにば
ね力を与えているばねはなくてもよい。本発明の有利な実施態様により,これは
,中空形状セグメントの方向に突出し,制御要素を隙間なくそれら自身の間に受
け入れかつ案内する2つの境界壁の間に制御カムが形成されていることにより達
成してもよい。
この場合においてもまた,制御要素が中空形状セグメントに回転可能に支持さ
れた制御ローラとして形成され,制御ローラの直径が制御カム境界壁の相互に向
かい合う面の間の間隔と等しい大きさに形成されていることが目的に適っている
。
この場合,制御カム境界壁の相互に向かい合う面の高さが制御カム境界壁の間
に受け入れられる制御ローラの周囲面の幅と同じかまたは僅かに大きい寸法とし
,および境界壁の中空形状セグメントの方向を向く端縁からそれぞれ,制御ロー
ラを周囲領域内で中空形状セグメント側からほぼ包囲するような材料ストリップ
を突出させることが推奨され,これにより,制御ローラの制御カムからの意に反
した飛び出しが確実に防止される。
この場合,制御セグメントが案内レールのケース内側端部に設けられ,特殊に
製作されかつ案内レールに固定された平らなプラスチック構成部品として形成さ
れることが目的に適っている。
この場合,制御セグメントが熱可塑性プラスチックから製作され,制御セグメ
ントの,案内レールをケース支持壁に固定するために設けられた案内レール形状
脚の方向を向く側面から一体に装着された短い固定ピンが突出し,固定ピンが形
状脚内の内孔を貫通して係合しかつ固定ピンの自由端部を熱間変形することによ
りリベットヘッドが形成されることが好ましい。
以下に本発明の一実施態様を図面により詳細に説明する。ここで,
図1は引出しがキャビネットケース内に完全に引き込まれた状態に対応する案
内レール上の走行レールの位置における本発明による実施態様の略側面図であり
図2は走行レールの部分引出し位置における図1に対応する側面図であり,
図3は走行レールの完全引出し位置における引出案内装置の図1および2に対
応する側面図であり,
図4は揺動可能にピボット結合された中空形状セグメントの2つの可能な揺動
終端位置が示されている走行レールの後方端部の側面図であり,
図5は図2における矢印5−5の方向から見た断面図であり,
図6は本発明による引出案内装置の第2の実施態様の斜視図であり,
図7は図6における矢印7の方向から見た第2の実施態様の部分断面図であり
、
図8は図7における矢印8の方向から見た側面図であり,および
図9は引出しの収納位置に接近したときに中空形状セグメントを強制的に揺動
させるように働く,特殊形状に製作されかつ案内レールに固定されたプラスチッ
ク製制御セグメントを備えた引出案内装置のキャビネット内側端部領域の側面図
である。
図1ないし3に,全体を符号10で示した,本発明により形成された底面装着
引出案内装着の実施態様が,3つの異なる位置,すなわち引出しの収納位置,一
部引き出された引出しおよび完全に引き出された引出しに対応する,案内レール
上の走行レールの位置で示され,この場合,付属の引出しの輪郭が図1および2
に破線で示されている。
実施態様10は溝状形状に折り曲げられた金属薄板製案内レール12を有し,
案内レール12の一方の垂直形状脚14はキャビネットケースの側壁の図示され
ていない内面にねじにより固定可能であることが好ましい。形状脚14の下端縁
からほぼ直角に縦方向に伸びるウェブセグメント16が折り曲げられ,ウェブセ
グメント16の形状脚14とは反対側の端縁から他の形状脚18が直角上方に折
り曲げられている。この形状脚18の直角方向に測定した高さは明らかに形状脚
14の高さよりも低い。形状脚18の上部自由端縁に金属薄板材料からの変形に
より,転がり本体すなわち水平軸が設けられたローラ20およびローラ20の反
対側で下向きにオフセットされたボール22に対する走行レールが形成され,こ
れらの転がり本体はケージ24内で所定の間隔でかつ所定の位置で相互に相対回
転が可能なように保持されている。転がり本体上に中空形状レールとしてほぼ逆
U形状断面に形成された走行レール26が縦方向に移動可能に支持され,走行レ
ール26はこの場合引出し28の底面の下側に装着するために引出し底面から下
方に突出するように付属された引出し側壁のすぐ隣に取り付けられている。引出
しの側壁が正面下側が開いている中空メタルフレームから形成されているかぎり
,走行レール26はこのメタルフレームの開いた下側に挿入してもよい。上記の
範囲においては,この引出案内装置は既知の同じ種類の引出案内装置と一致して
いる。
本発明による変更態様においては,走行レールのケース内側端部に中空形状セ
グメントが引出しおよび押込み方向に対し直角にかつ水平方向に伸長する軸の周
りに揺動可能にピボット結合されている。この中空形状セグメント30は走行レ
ールを形成する中空形状部材と一致する断面を有している。走行レールのケース
内側端部における中空形状セグメント30のこのピボット運動は,この中空形状
セグメントが図4に示す2つの終端位置の間で,すなわち走行レール26の端部
と同一直線上で当接する第1の位置(図2および3も参照)と,それに対し約9
0゜上方方向に揺動された第2の終端位置(図1も参照)との間で揺動可能なよ
うに行われる。中空形状セグメント30は引出しとその全長にわたり下から係合
する走行レール26の端部に装着されているので,中空形状セグメント30はそ
の全長が引出し28の後壁から突出している。中空形状セグメント30の揺動位
置は,以下に詳細に説明するように,中空形状セグメント30が付属の引出しの
押込みストロークないし引出しストロークの大部分にわたり第1の位置に保持さ
れるように制御され,この第1の位置において転がり本体20,22を保持する
ケージ24もまた少なくとも一部分走行レール26から中空プロフィルセグメン
ト30内におよび逆方向に移動することができる。引出しが図示されていない付
属のキャビネットケースの後壁に,中空プロフィルセグメント30の自由端部が
後壁に衝突しそうになるまで接近したときにはじめて,中空形状セグメント30
は上方に第2の終端位置に揺動される。転がり本体20,22を保持するケージ
24はこのとき完全に走行レール内にあり,したがってこの揺動過程を妨害しな
い。
中空形状セグメント30の自由端部付近に,中空形状セグメント30の揺動軸
に平行に伸長する軸の周りに回転可能に中空形状セグメントに支持された制御ロ
ーラ32の形の制御要素が設けられ,制御ローラ32の周囲面は,案内レール1
2の上部端縁領域内に設けられた,案内レール12の脚14と一体に切断されか
つケースの内側方向に直角に折り曲げられた材料ストリップ34の形の縦方向案
内部に圧着され,かつ転がることができる。案内レール12を形成する形状レー
ルのケース後壁側端部に,案内レール12の縦伸長方向から中空形状セグメント
の揺動方向に斜めに接続された制御セグメント36が一体に装着されている。材
料ストリップ34はこの斜めの制御セグメント36内に連続し,この場合,制御
セグメント36には,脚14におけるその水平区間と制御セグメント36におけ
る斜め区間との間の移行領域において丸みがつけられている。制御セグメント3
6の範囲においては,材料ストリップ34は,それが制御ローラ32の全周面を
完全に被覆するような幅を有している。材料ストリッブ34の自由な境界端縁す
なわち形状脚14とは反対側の境界端縁にこのとき直角に折り曲げられた幅の狭
いストリップ状の材料セグメント35が形成され,材料セグメント35は制御ロ
ーラ32を横から包囲し,制御ローラが材料ストリップから横に滑り出しかつ固
着することがないように構成されている。
図4に,プレ張力を与えられたコイルばね38が,片側において中空形状セグ
メント30に,反対側において中空形状セグメントの揺動軸付近で走行レール2
6の後方端部に配置され,コイルばね38には中空形状セグメント30が常時第
2の終端位置にすなわち上方に揺動された終端位置にプレ張力が加えられ,この
場合,制御ローラ32は材料ストリップ34の下側を押し付けている。引出しが
完全に引き込まれた位置において,制御ローラ32の周辺は制御セグメント36
から突出する材料ストリップ34の外側上端部に当接している。次に,引出しが
引き出されたとき,制御ローラ32は材料ストリップ上を転がりかつ中空形状セ
グメント30は次第に第1の終端位置の方向に揺動され,制御ローラが材料スト
リップ34の水平セグメントに移行したときにこの第1の終端位置が達成される
。引出しが完全に引き出された位置において制御ローラ32が存在する領域内に
おいて,材料ストリップ34は34aにおいて制御ローラ32の半径にほぼ対応
するアーチで下方に曲げられ,これによりこの終端セグメント34aはストッパ
を提供し,このストッパにより走行レール26が装着されている中空形状セグメ
ント30と共に意に反して引き出されることはない。この終端位置において,制
御ローラ32は引出しの重量および引出しの中身の重量を案内レール12に付属
の材料ストリップ34を介して支持する。この場合,追加として案内レール12
に設けられた突起が完全に引き出された位置において走行レールを下から支持す
ることにより,走行レールと案内レールとの間でそれらの前方端部領域における
追加の支持装置を提供することを推奨する。これにより,完全に引き出された位
置において転がり本体20,22は荷重から解放される。
上記のばね38により引出し28が収納位置に接近したときに中空形状セグメ
ント30の揺動過程が制御されるのみでなく,ばね38は,制御ローラ32を介
して材料ストリップ34に支持されたばね力が引出しの引込み方向に作用するト
ルクを発生するように,すなわち同時に引出しの自動引込み機能を与えるように
働く。
図3から,完全に引き出された終端位置において,転がり本体20,22を保
持するケージ24が走行レール26の後方端部からさらに中空形状セグメント3
0内に入り込んでいることがわかる。とくに走行レール26を介して引出しの重
量を案内レール12に伝達する上部転がり本体が上記のようにローラ20として
形成されているとき,相互に同一直線上に配置された走行レール26および中空
形状セグメント30において,相互に当接する走行レールの後方正面端縁と中空
形状セグメントの前方正面端縁との間に形成される分離面を,走行レール引出し
方向に対し直角に伸長させないで,平面図において僅かに斜めにオフセットさせ
,これによりケージ24内に引出し方向に対し直角に案内されるローラ20が転
がって分離面を斜めに通過し,したがってローラ20は走行レール26から中空
形成セグメント30におよびその逆方向に平滑かつ迅速に移行し,この移行にお
いて停止またはがたつき騒音の形の現象がみられないことは目的に適っている。
図6ないし8に,全体を符号110で示した,本発明による引出案内装置の第
2の実施態様が示され,この実施態様はほとんど上記の実施態様10と対応して
いるので,以下においては該当する変更を説明するだけで十分であり,一方,一
致する形態特徴に対しては,両方の実施態様の機能的に同じ構成要素には,第2
の実施態様の場合に“1”を前に付けた同じ符号が割り当てられているので,上
記の説明を参照すれば十分である。
実施態様110の実施態様10に対する基本的な相違は,中空形状セグメント
130が垂直軸の周りに揺動可能に走行レール126のケース内側端部に配置さ
れていることである。引出通路ないし挿入通路の大部分にわたり中空形状セグメ
ント130を本来の走行レール126に対し同一直線上の方向に向けている制御
ローラ132は,制御ローラ132の周囲が案内レール112の形状脚114の
方向を向く案内レールの形状脚118の内面において転がるように中空形状セグ
メントの後壁側端部に回転可能に,しかも走行レール126の下側に,すなわち
案内レールのウェブセグメント116に直接接続する形状脚118の走行レール
126の下側に存在する領域内に回転可能に支持されている。ばね138にプレ
張力を与えることにより,中空形状セグメント130には,制御ローラ132が
形状脚118に当接して保持されるように,揺動して形状脚114から離れる方
向に張力が与えられている。
案内レール112のケース内側端部に装着された制御セグメント136は,中
空形状セグメント130の揺動軸の垂直配置に対応して,制御セグメント136
が引出しの後壁の手前で水平平面内で中空形状セグメントに希望する揺動を与え
るように案内レールに装着されている。このために,案内レールのウェブセグメ
ント116は揺動方向に約90゜にわたりアーチ状にさらに案内するセグメント
116aに移行し,このセグメント116aからケース内側の境界端縁が高さの
低いストリップ状材料領域118aを上方に突出させ,中空形状セグメント13
0の揺動過程の間に材料領域118a上を制御ローラ132が転がる。
形状脚118に対し,ケース内側のストリップ状材料領域118aの高さは,
中空形状セグメント130がストリップ状材料領域118aの上部境界端縁を介
して離れる方向に揺動しかつ本来の走行レール126のケース内側端部が材料領
域118aを介してケース後壁付近まで移動可能なような寸法に低くおさえられ
,この場合,この材料領域118aの自由な上部境界端縁から同様に幅の狭いス
トリップ状の材料セグメント118bが折り曲げられ,ストリップ状材料セグメ
ント118bは制御ローラ132を上側からさらに包囲し,したがって引出案内
装置10のストリップ状材料セグメント35の機能を引き継ぎ,すなわち制御ロ
ーラ132がストリップ状材料セグメントから滑り出すこと,およびこれにより
エラー機能の発生を防止する。
図7にさらに,第1の実施態様に関して有利であると説明された,相互に一直
線上に向く走行レール126の後方端部および中空形状セグメント130の前方
端部の間の分離面の斜めの方向が,図からわかるこれらの2つの部分間の分割線
Tの図示の斜めの方向により示されている。
図9に,水平軸の周りに揺動可能な中空形状セグメントを備えた第1の実施態
様の変更態様が示されている。該当する変更態様は制御セグメントの領域内の案
内レール12の形態に関するものであり,この場合,制御セグメントはプラスチ
ックから特殊に製作された平らな構成部分36であり,構成部分36は引出しを
向く側に対面する案内レール12の形状脚14の平面側のケース内側端部領域に
装着固定されている。図示の場合,この固定は,制御セグメント36を製作する
ときに制御セグメントの形状脚14を向く平面側に複数の突出するプラスチック
ピン86が一体成形され,プラスチックピン86は案内レールに装着するときに
ケース壁側に設けられた形状脚14内の内孔内に差し込まれ,次に制御セグメン
ト36のプラスチック材料の軟化点以上に加熱された圧着ラムによりそれぞれの
リベットヘッド88を形成しながらすえ込みにより成形される。代替態様として
,他の固定方法,たとえば制御セグメント36および形状脚14内にとくに設け
られた一直線上に配置された内孔に挿入された金属リベットによるリベット結合
もまた考えられる。
ここで,制御ローラ32を受け入れかつ案内する本来の制御カムは,形状脚1
4の方向を向く底面側が開放し,ないしはそこで形状脚14によってのみ閉じら
れていることがわかる。制御ローラ32はその周囲面側が境界壁34′,34″
により案内され,これらの境界壁34′,34″の相互に向かい合う平面間に制
御ローラ32が強制的に案内され,この場合,制御ローラ32は引出しの方向に
飛び出さないように制御ローラ32を横から包囲する短いストリップ状材料セグ
メント35により保持されている。
制御セグメント36をプラスチックから製作することは,制御ローラ32を走
行レール26に対する中空形状セグメント30の揺動軸付近に配置することを可
能にし,このとき制御カムは図からわかるようにS形状の経路をとっている。こ
のようにして平滑でかつ中断がなくしかも騒音のない転がり本体の中空形状セグ
メント30内への移行ないし中空形状セグメント30からの移行を確実に行わせ
ることが可能であることがわかる。
第1の実施態様において中空形状セグメント30を第2の上方揺動位置にプレ
張力を与えているばねは,この実施態様においては不要であり,したがって中空
形状セグメント30は引出しの収納位置に近い位置においてのみ制御カム内で強
制案内される。走行レールの案内レールに対するその他のすべての引出位置にお
いて,中空形状セグメント30は主としてその自重により走行レールと同一直線
上の位置に保持される。機能障害を導くことがある中空形状セグメント30の意
に反した上方揺動は,走行レールが案内レール上で完全に引き出された位置また
は部分的に引き出された位置にあるにもかかわらず全く不可能であり,その理由
は,中空形状セグメントは走行レールが案内レール上で完全に引き出された位置
または部分的に引き出された位置において上方に揺動したときに案内レール側の
転がり軌道を支持する折り曲げられた形状脚18の端縁に当接し,すなわちそれ
以上安定な上方揺動位置に揺動可能ではないからである。
この実施態様においては,中空形状セグメント30に対し第2の上方位置の方
向にプレ張力を与えるばねが使用されないために,収納位置への引出し自動挿入
の追加機能は得られないことになる。このような自動挿入が望ましい場合,既知
のように案内レール12および走行レール26の間に有効な自動挿入装置を設け
てもよい。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(31)優先権主張番号 19601183.3
(32)優先日 平成8年1月15日(1996.1.15)
(33)優先権主張国 ドイツ(DE)
(31)優先権主張番号 19633241.9
(32)優先日 平成8年8月17日(1996.8.17)
(33)優先権主張国 ドイツ(DE)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),JP,US