【発明の詳細な説明】
リチウム二次電池及びリチウムイオン二次電池用の
複数の金属イオンでドープされた酸化物のカソード材料
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、1997年2月28日出願の米国特許同時係属仮出願出願番号第60/039,66
6号に関連するものであり、アメリカ特許法119条(e)の下、先の出願日の利益を
主張する。
発明の分野
本発明はリチウム二次電池およびリチウムイオン二次電池用の複合金属酸化物
の正極材料に関する。
発明の背景
リチウム-マンガンスピネルは現在、4Vのリチウム二次電池およびリチウムイ
オン二次電池の正極として有用と考えられている。しかしながら、化学量論的ス
ピネルLiMn2O4は、4V電池に使用する他の正極材料に比較して、劣ったサイクル
特性を示す。そのため、本分野において、LiMn2O4のサイクル特性を増大させる
ために多数の方法が提案されている。
例えば、R.J.Gummowら、Solid State Ionics、69(1994)、p.59及びTarasconへ
の米国特許第5,425,932号において提案されているように、LiMn2O4スピネルのマ
ンガンの一部を過剰のリチウムで置換することができる。しかし、過剰のリチウ
ムでスピネルをドープして、Li1+xMn2-xO4を生成させることによりLiMn2O4構造
を安定化するのは、比容量のかなりの低下を伴う。この低下は、化学量論的な量
よりも過剰のリチウムが3個のMn3+のうちの1個を置換し、他の2個の原子価状
態を+3から+4へ変化させることにより、充電過程で+3から+4へ原子価を変化さ
せることができるマンガンイオンの数を顕著に低減させるという事実に起因する
。
他の提案された解決法は、一部のマンガンを別のカチオンで置換するもので、
例えば、Bittihnらへの米国特許第5,169,736号、Miyasakaらへの米国特許第5,47
8,647号、Amineらへの欧州特許第0744381号、独国特許第4,435,117号、英国特許
第2,270,195号、米国特許第5,677,087号、及びGummowらの文献に記載されている
。リチウム以外のカチオンで置換したスピネルは、カソード材料としてよりよい
容量保持を示すが、なお比容量のかなりの低下がある。これは、ドープイオン(
例えば、Ni2+、Co3+、Cr3+及びAl3+)は3価のマンガンイオン(Mn3+)を置換す
るが、充電過程でそれ自身が4価の陽イオンに移行することができないという事
実、あるいはドープイオン(例えば、Fe3+、Ga3+、Ti4+及びV5+)が四面体格子内
のリチウムイオンを置換し、4Vの範囲で可逆的にインターカレートされうるリチ
ウムイオンの数を低減させるという事実によるものである。
その他の解決法も提案されている。例えば、Amatucciらへの米国特許第5,674,
645号では、一部の酸素を他のアニオンで置き換えることが提案されている。あ
るいは、Pynenbergらへの米国特許第5,429,890号及びNagauraらへの米国特許第5
,478,675号では、LiMn2O4と他の金属酸化物の物理的な複合混合物が提案されて
いる。しかしながら、これらの方法では、当業界で望まれているサイクル特性、
比容量及び構造安定性が得られない。
発明の要約
スピネル構造に同時に導入したある組み合わせの共ドープイオンにより、比容
量の著しい低下無しで、リチウム二次電池およびリチウムイオン二次電池用の正
極材料の容量保持、すなわちサイクル特性が相当な改良に導かれることが見出さ
れた。本発明により、当業界で望まれているサイクル特性、可逆的な比容量を併
せ持つ、構造的に安定な共ドープされたリチウム金属酸化物を調製することがで
きる。
本発明は、スピネル構造を有し、一般式
Li1+xMn2-yMm1 1Mm2 2・・・・Mmk kO4+z
で表される複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン金属酸化物を含む
リチウム二次電池およびリチウムイオン二次電池用の正極材料を提供する。ここ
で、M1、M2、・・・・Mkは、アルカリ土類金属、遷移金属、B、Al、Si、Ga及びGeか
らなる群から選ばれる、リチウムあるいはマグネシウム以外の少なくとも2つの
カチオンであり、
X、Y、m1、m2、・・・・mkは、0から0.2までのモル比率であり、
m1、m2及びYは0より大きく
Zは−0.1から0.2までの数であり、
ここで、金属 M1、M2、・・・・Mk及び対応するモル比率の m1、m2、・・・・mkは、次
の等式及び不等式を満足する。
ここで、V1、V2、・・・・Vkは、カチオンM1、M2、・・・・Mkの対応する原子価状態を示
す。
さらに好ましくは、カチオンM1、M2、・・・・Mk及び対応するモル比率のm1、m2、・・・・
mkは、次の2つの式を満足する。
さらに、本発明の複数の金属イオンでドープしたリチウムマンガン金属酸化物
スピネル化合物中の共ドーパントは、スピネル構造の顕著な収縮及び膨張を引き
起こさないことが好ましい。特に、本発明の複数の金属イオンでドープされたリ
チウムマンガン金属酸化物の単位セルパラメーター(a)は、対応する非置換のLi1 +x
Mn2-xO4+zスピネルの単位セルパラメーター(a)の好ましくは約±0.0015Å
/mol%以内、さらに好ましくは約±0.0005Å/mol%以内である。
本発明の特に好ましい実施の形態では、スピネル化合物に当量のCo3+及びTi4+
を共ドープし、式
Li1+xMn2-x-2mCom 3+Tim 4+O4+z
で記述される組成を有するスピネル材料を生成する。ここで、X及びmは0からと0
.2までのモル比率であり、Zは−0.1から0.2までの数である。
本発明の好ましい実施の形態及びそれに代わる実施の形態を記述する、以下の
詳細な説明及び添付の図面を考慮に入れれば、当業者にとって、これら及びその
他の本発明の特徴及び利点はより容易に明白になるであろう。
図面の簡単な説明
図1は、過剰なリチウムがすべての例に対して同一である、本発明により調製
した正極材料のリチウム二次電池及び別の正極材料のリチウム二次電池について
の放電比容量対サイクル数を示すグラフである。
図2は、過剰なリチウム及び共ドーパントのモル比率の合計がすべての例に対
して同一である、本発明により調製した正極材料のリチウム二次電池及び別の正
極材料のリチウム二次電池についての放電比容量対サイクル数を示すグラフであ
る。
好ましい実施形態の詳細な説明
図面及び次の説明において、本発明の実施を可能にするために好ましい実施の
形態が詳細に記載されている。本発明は、特定の好ましい実施の形態を引用して
説明するが、本発明はこれらの好ましい実施の形態に限定されないことは理解さ
れよう。逆に、以下の詳細な説明及び添付の図面を考慮すれば明白になるように
、本発明には、多数の代替物、改良物及び均等物が含まれる。
本発明は、正極材料として複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン
スピネルを使用することから得られる、リチウム二次電池およびリチウムイオン
二次電池の電気化学的特性の改善を目的としている。特に、化学量論的リチウム
マンガン酸化物スピネルLi1+xMn2-xO4+zの電気的特性は、一部のマンガンをリチ
ウムあるいはマンガン以外の2以上のカチオンの組合せによって置換することに
より、改善できることが見出された。加えて、スピネル中で一部のマンガンを過
剰のリチウムによって置換して、Li1+xMn2-xO4+zスピネルの電気的特性を改善で
きる。
本発明によれば、複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン金属酸化
物はスピネル構造を有し、一般式
Li1+xMn2-yMm1 1Mm2 2・・・・Mmk kO4+z
で記述される。
ここで、M1、M2、・・・・Mkは、アルカリ土類金属、遷移金属、B、Al、Si、Ga及
びGeからなる群から選ばれる、リチウムあるいはマグネシウム以外の少なくとも
2つのカチオンであり、
X、Y、m1、m2、・・・・mkは、0から0.2までのモル比率であり、
Zは−0.1から0.2までの数であり、
金属M1、M2、・・・・Mk及び対応するモル比率m1、m2、・・・・mkは、次の式及び不等
式を満足する。
ここで、V1、V2、・・・・Vkは、カチオンM1、M2、・・・・Mkの対応する原子価状態を
示す。
本発明によれば、本発明のスピネル構造の所望の構造安定性を維持するために
は、置換されたマンガンのモル比率は、共ドーパントと過剰のリチウムのモル比
の総和に等しく、Y=X+m1+m2+・・・・+mkであることがわかっている。当業者ならば
容易に理解するであろうが、本発明は一部のマンガンをリチウムあるいはマンガ
ン以外の2以上のカチオンの組合わせで置換するので、m1及びm2は0より大き
く、したがって、本発明に基づくYも0より大きい。
加えて、上述のように、本発明の複数の金属イオンでドープされたリチウムマ
ンガン酸化物スピネルにおいては、共ドーパントの平均原子価は、次の関係を満
足する。
ここで、V1、V2、・・・・Vkは、カチオンM1、M2、・・・・Mkの対応する原子価状態を示
す。
より好ましくは、
である。
したがって、置換されたイオンの平均原子価状態は、対応する非置換スピネル
化合物中のマンガンイオンの平均原子価状態に等しいか、あるいはほぼ等しい。
本発明の特に好ましい実施の形態では、Li1+xMn2-xO4+zスピネル化合物をCo3+
及びTi4+で共ドープして、スピネル材料を生成させる。好ましくは、3.5の全原
子価に達するためのドーパントに関して、Co3+及びTi4+のモル量は当量である。
加えて、一部のマンガンも過剰のリチウムによって置換することができる。この
好ましい実施の形態において、組成物は式
Li1+xMn2-x-2mCom 3+Tim 4+O4+z
で記述される。ここで、X及びmは0から0.2までの間のモル比率であり、Zは−0.1
から0.2までの数である。
共ドーパントとしてコバルトとチタンの組み合わせを本発明における使用のた
めの好ましい実施の形態として記述しているが、本発明によれば種々の他の組み
合わせを使用できる。本発明によって、上記の式に合致する複数の金属イオンで
ドープされたリチウムマンガン酸化物スピネルを調製するために、例えば、アル
ミニウム/チタン、ガリウム/チタン、ニッケル/チタン、鉄/チタン、クロム/チ
タン、コバルト/バナジウム、アルミニウム/バナジウム、マグネシウム/バナジ
ウム、ガリウム/バナジウム、ニッケル/バナジウム、鉄/バナジウム、クロム/バ
ナジウム、コバルト/モリブデン、アルミニウム/モリブデン、ガリウム/モリブ
デン、ニッケル/モリブデン、鉄/モリブデン、クロム/モリブデン、コバルト/ゲ
ルマニウム、アルミニウム/ゲルマニウム、マグネシウム/ゲルマニウム、ガリウ
ム/ゲルマニウム、ニッケル/ゲルマニウム、鉄/ゲルマニウム、クロム/ゲルマニ
ウム、コバルト/ニッケル/バナジウム、マグネシウム/ゲルマニウム/バナジウム
、アルミニウム/コバルト/チタン、アルミニウム/チタン/モリブデン、アルミニ
ウム/コバルト/モリブデン、ニッケル/チタン/モリブデン、コバルト/ニッケル/
チタン/バナジウム、コバルト/ニッケル/チタン/モリブデン、及びコバルト/ニ
ッケル/アルミニウム/チタン/バナジウム等のアルミニム、コバルト、クロム、
銅、鉄、ガリウム、マグネシウム、ニッケル、ゲルマニウム、モリブデン、ニオ
ブ、チタン、バナジウム及びタングステンの組み合わせを使用することができる
。
さらに、本発明による複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン酸化
物スピネルにおける共ドーパントは好ましくは、スピネル構造の顕著な収縮及び
膨張を引き起こさないように選択する。したがって、共ドーパントは通常、置換
されるマンガンイオンの平均イオン半径サイズに相当する平均イオン半径サイズ
(Ri)を有する。好ましくは、複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン
酸化物スピネル化合物の単位セルパラメーター(a)は、対応する非置換のLi1+xMn2-x
O4+zスピネル(すなわち、m1、m2、・・・・mk=0)の単位セルパラメーター(a)の好
ましくは、約±0.0015Å/mol%以内であり、さらに好ましくは約±0.0005Å/mol%
以内である。別な言い方をすれば、共ドーパントをリチウムマンガン酸化物スピ
ネル中に導入すると、好ましくは、約±0.0015Å/mol%に等しく、あるいは以下
で、さらに好ましくは約±0.0005Å/mol%に等しい、あるいは以下のスピネルの
単位セルパラメーターの増加あるいは減少が引き起こされる。スピネル構
造の単位セルパラメーター(a)は、当業者ならば理解できるように、CuKα1線あ
るいはその他の線を使用したX線回折分析により容易に決定できる。
例えば、上述の好ましい実施の形態において、Co3+は0.55Åのイオン半径を有
し、約0.62Åのより大きいイオン半径を有するMn3+と置換する。したがって、ス
ピネル構造中でMn3+をCo3+で置換すると、単位セルパラメーターのイオン半径の
差に相当する減少が引き起こされる。対照的に、Ti4+は0.68Åのイオン半径を有
し、約0.54Åのより小さいイオン半径を有するMn4+と置換すると、単位セルパラ
メーターの増大を引き起こす。しかしながら、等量を使用する場合のCo3+とTi4+
の平均半径サイズは、スピネル中のMn3+とMn4+の平均半径サイズに近いので、ス
ピネル構造中への等量のCo3+とTi4+の導入は、スピネルの単位セルパラメーター
に顕著な変化を引き起こさない。結果として、スピネル構造を等量のCo3+とTi4+
でドープすると、スピネル中のこれらのイオンの幾何学的サイズの差によりもた
らされる格子歪みは、かなり低減される。このことは、コバルトを単一ドープさ
れたドープ化合物と好ましい実施の形態の複数の金属イオンをドープされたスピ
ネル化合物の単位セルパラメーターをX線回折の解析を使用して比較することに
より立証される。スピネル構造中のMn3+イオンを少量(例えば、モル量で約0.01)
のCo3+イオンで置換すると、約±0.005Å/mol%の単位セルパラメーターの減少が
ある。しかしながら、Co3+とTi4+を当量導入すると、単位セルパラメーターの減
少は、本発明で望むように、約±0.001Å/mol%に過ぎない。
上記に加えて、好ましくは、ドープされるイオンがスピネル中の同一格子内(
例えば、8面体格子内や4面体格子内)を占めることがないように、本発明に使用
するドープされるイオンを選択する。例えば、上述の好ましい実施の形態におい
て、スピネル構造に取り込まれると、Co3+イオンは一般的に8面体格子の一角を
占め、Ti4+の大部分は4面体格子の一角を占める。Ni2+とV5+のような他の組み合
わせも、本発明において好まれるように、スピネル構造中で異なる位置を占める
。
本発明はまた、上述の複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン酸化
物スピネル化合物を調製する方法を含む。特に、リチウム、マンガン、酸素、及
びドーパント(M1、M2、・・・・Mk)を含むソース化合物(すなわち、原料)を混合し、
式
Li1+xMn2-yMm1 1Mm2 2・・・・Mmk kO4+z
となるようにする。
ここで、X、Y、m1、m2、・・・・mkは、0から0.2までの間のモル比率であり、m1、m2
及びYは0より大きく、Zは−0.1から0.2まで間の数であり、金属M1、M2、・・・・Mk
及び対応するモル比率m1、m2、・・・・mkは、次の式及び不等式を満足する。
ここで、V1、V2、・・・・Vkは、カチオンM1、M2、・・・・Mkの対応する原子価状態を
示す。
加えて、上でより詳細に述べたように、置換されるマンガンのイオン半径サイ
ズに対応するように、カチオンを選択することができる。
本発明の複数の金属イオンでドープしたリチウムマンガン酸化物の調製に関す
るソース化合物は、純粋な元素であることも可であるが、通常、これらの酸化物
、塩あるいは錯体等のこれらの元素を含む化合物である。複数の金属イオンでド
ープしたスピネル化合物のカチオンは、各々別のソース化合物から供給されるこ
ともあるし、同一ソース化合物から2種以上のカチオンが供給されることもある
。いずれの場合においても、ソース化合物はスピネル化合物の欠陥の量を制限す
るように、高純度であることが重要である。
本発明の複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン酸化物スピネルの
好ましい構成要素を提供するためには、ソース化合物はいかなる好ましい順序で
も混合することができる。好ましくは、ゾル・ゲル反応、共沈、及び他の方法等
の湿式化学を使用して、ソース化合物の混合を行なう。一つの好ましい実施例で
は、非リチウムソース化合物を水溶液中で混合し、ソース化合物を均等に分散さ
せ、生成する混合物を溶液から沈殿させて、その後リチウムソース化合物と混合
物にする。例えば、上述の好ましい実施の形態を調製するために、MnCO3、(CH3C
O2)2Co・4H2O及び[CH3CH(O)CO2NH4]2Ti(OH)2を共沈させ、次にLiOHと混合して、
所望の元素の混合物を作ることができる。あるいは、乾式法を使用して、本発明
で使用するソース化合物を混合することができる。当業者ならば理解できるよう
に、混合法の選定は、使用するソース化合物及び所望の最終製品によって変わる
。いずれにしても、ソース化合物は好ましくは、混合物中の金属の均一な分布を
与えるように、十分混合する。
本発明によれば、金属が均一に分布すると、均一で、構造的に安定なスピネル
化合物が生成することが見出された。
出来上がった混合物を固相反応で反応させることにより、本発明の複数の金属
イオンでドープされたリチウムマンガン酸化物スピネル化合物を生成させること
ができる。好ましくは、混合物は、例えば、少なくとも約20kPaの酸素分圧を有
する雰囲気中など、酸素の存在下で約400℃から900℃までの間の温度で焼成する
。スピネルを生成させるために、混合物は一ステップで焼成することができるが
、好ましくは、一以上のステップで焼成する。好ましくは、約400℃から約500℃
までの間の温度で1時間から24時間、約500℃から約600℃までの間の温度で1時
間から24時間、さらに、約700℃から約900℃までの間の温度で1時間から24時間
混合物を焼成する。例えば、全体を引用することにより本明細書の一部をなす米
国特許第5,718,877号に記載されているように、生成するスピネルの品質を改良
するために、本発明では追加の焼成ステップも使用することができる。混合物を
焼成して、複数の金属イオンでドープしたリチウムマンガン酸化物スピネル化合
物が生成したならば、リチウム二次電池およびリチウムイオン二次電池正極
材料としての用途に適したスピネル化合物を生成するため、この化合物を例えば
、5℃/min以下の冷却速度に制御した形で室温まで冷却するのが好ましい。
複数の金属イオンでドープしたリチウムマンガン酸化物スピネル化合物は、リ
チウム二次セルおよびリチウムイオン二次セル用の正極材料に使用しうる。複数
の金属イオンでドープしたリチウムマンガン酸化物スピネルは、通常、グラファ
イトあるいはカーボンブラックのような導電剤及びポリフッ化ビニリデン(PVDF
)のような結着剤と結合させ、n-メチルピロリドン(NMP)(例えば、1-メチル-2-
メチルピロリドン)のような溶媒中に分散し、スラリーを形成する。スラリーは
通常、アルミニウムの上に展開し、加熱して溶媒を蒸発させ、乾燥した電極材料
を形成する。次に、乾燥した電極を圧延、プレス、あるいはその他の既知の方法
により圧縮し、例えば円盤状に切り出し、正極を成形する。次に、電極は、リチ
ウム対極及びEC:DMC/LiPF6のような電解液と共にリチウム二次電池およびリチウ
ムイオン二次電池中に配設する。
さらに、本発明を以下の制限的ではない実施例によって例示する。
実施例1
モル比 1.05:1.93:0.01:0.01のLiOH、MnCO3、(CH3CO2)2Co・4H2O及び[CH3CH(O
)CO2NH4]2Ti(OH)2の混合物を450℃で6時間、550℃で6時間、750℃で6時間、825
℃で24時間、さらに725℃で6時間焼成することにより、x=0.05及びm=0.01のスピ
ネルLi1+xMn2-x-2mCom 3+Tim 4+O4+z化合物を固相反応で調製した。次に、加熱し
た混合物を100℃/時の速度で室温まで冷却した。調製した複合酸化物化合物の化
学量論値は、Li1.05Mn1.93Co0.01Ti0.01O4であった。
生成した多元酸化物スピネル化合物Li1.05Mn1.93Co0.01Ti0.01O4をNMP溶媒中
に分散した10%グラファイト及び5%PVDF結着剤と混合し、スラリーを形成した
。スラリーは、アルミニウムホイル上に展開し、加熱して溶媒を蒸発した。次に
、乾燥した電極を500kg/cm2でプレスし、直径が約1cmで厚さが約0.015cmの円盤
状の試験サンプル電極に切断した。製造した試験電極を、リチウム対極及びEC:D
MC/LiPF6電解液と共に電気化学電池の中に配列した。充放電テストを1時間の充
放電速度及び3〜4.5V電圧限界で行なった。
実施例2
モル比 1.03:1.95:0.01:0.01のLiOH、MnCO3、(CH3CO2)2Co・4H2O及び[CH3CH(O
)CO2NH4]2Ti(OH)2の混合物を450℃で6時間、550℃で6時間、750℃で6時間、825
℃で24時間、さらに725℃で6時間焼成することにより、x=0.03及びm=0.01のスピ
ネルLi1+xMn2-x-2mCom 3+Tim 4+O4+z化合物を固相反応で調製した。次に、加熱し
た混合物を100℃/時の速度で室温まで冷却した。生成した複合酸化物化合物の化
学量論値は、Li1.03Mn1.95Co0.01Ti0.01O4であった。
実施例1と同様の方法で、スピネルLi1.03Mn1.95Co0.01Ti0.01O4の試験正極を
製造し、電気化学電池を組み立てた。次に、充放電特性を実施例1と同一条件下
で測定した。
比較例1
モル比1.05:1.93:0.02のLiOH、MnCO3、及び(CH3CO2)2Co・4H2Oの混合物を450℃
で6時間、550℃で6時間、750℃で6時間、825℃で24時間、さらに725℃で6時間焼
成することにより、x=0.05及びm=0.02のスピネルLi1+xMn2-x-2mCom 3+O4+z化合物
を固相反応で調製した。次に、加熱した混合物を100℃/時の速度で室温まで冷却
した。生成した複合酸化物化合物の化学量論値は、Li1.05Mn1.93Co0.02O4であっ
た。
実施例1と同様の方法でスピネルLi1.05Mn1.93Co0.02O4の試験正極を製造し、
電気化学電池を組み立てた。次に、充放電特性を実施例1と同一条件下で測定し
た。
比較例2
モル比 1.05:1.93:0.02のLiOH、MnCO3、及び[CH3CH(O)CO2NH4]2Ti(OH)2から、
これらの化合物の混合物を450℃で6時間、550℃で6時間、750℃で6時間、825℃
で24時間、さらに725℃で6時間焼成することにより、x=0.05及びm=0.02のスピネ
ルLi1+xMn2-x-2mTim 4+O4+z化合物を固相反応で調製した。次に、加熱した混合物
を100℃/時の速度で室温まで冷却した。生成した複合酸化物化合物の化学量論値
は、Li1.05Mn1.93Ti0.02O4であった。
実施例1と同様の方法でスピネルLi1.05Mn1.93Ti0.02O4の試験正極を製造し、
電気化学電池を組み立てた。次に、充放電特性を実施例1と同一条件下で測定し
た。
比較例3
モル比1.05:1.95のLiOH及びMnCO3の混合物を450℃で6時間、550℃で6時間、75
0℃で6時間、825℃で24時間、さらに725℃で6時間焼成することにより、x=0.05
のスピネルLi1+xMn2-xO4化合物を固相反応で調製した。次に、加熱した混合物を
100℃/時の速度で室温まで冷却した。このようにして得た複合酸化物化合物の化
学量論値は、Li1.05Mn1.95O4であった。
実施例1と同様の手順でスピネルLi1.05Mn1.95O4の試験正極を製造し、電気化
学電池を組み立てた。次に、充放電特性を実施例1と同一条件下で測定した。
図1は、実施例1により製造した電池及び比較例1、2及び3により製造した電池
のサイクル数対比容量を示す。図1に実証されるように、ドープされていないス
ピネルは、良好な初期比容量を有しているが、容量の損失あるいは低下がかなり
ある。チタンでドープされたスピネルは、ドープされていないスピネルと比較し
て、比容量のわずかな減少を犠牲にして、容量の損失の点で若干の改良を示す。
コバルトでドープされたスピネル化合物は、ドープされていないスピネルと比較
して、容量の低下の顕著な改良を示すが、初期比容量の顕著な減少が見られる。
図1に示されるように、本発明により調製されたスピネルは、初期比容量の顕著
な損失なく、容量低下に関して優れている。図1に示すような単一の金属イオン
でドープされた化合物の初期比容量及びサイクル特性からはこの結果は予測され
ないであろう。特に、Ti4+とCo3+の添加に基づくサイクル特性の組み合わせ
による改良は、これらの両方のイオンの添加に基づく初期比容量の組み合わせに
よる減少と関連付けられると予期される。しかし、実際はそうではない。したが
って、本発明によって、複数の金属イオンドーパントを使用すると、単一の金属
イオンでドープされたスピネルの電気的特性を基に容易に予測されない利点をLi1+x
Mn2-xO4+zスピネルにもたらすことができる。
図2はさらに、本発明の複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン酸
化物スピネル化合物の利点を示す。特に、図2は、実施例2により製造した電池及
び比較例3により製造した電池のサイクル数対比容量を図示する。図2に示すよう
に、スピネル化合物の過剰のリチウムを当量のCo3+とTi4+によって置換すると、
スピネルの容量低下あるいはサイクル特性に悪影響を及ぼすことなく、初期比容
量のかなりの増大を引き起こすことができる。したがって、スピネル化合物の過
剰のリチウムと組み合わせて、あるいはそれに代替して、共ドーパントの添加を
使用し、スピネルの電気的特性に利点を与えることができる。
本発明の複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガン酸化物スピネルは
、非置換のLi1+xMn2-xO4+zスピネルを上回るサイクル特性及び可逆的容量の増加
を示す。本発明により調製する複数の金属イオンでドープされたリチウムマンガ
ン酸化物スピネルに関して、対応する比容量の顕著な減少を起こさずにサイクル
特性の増大を達成するためには、上述のドーパントの原子価状態、スピネル構造
中のドープイオンの位置、及びドーパントのイオン半径サイズの組み合わせを有
することが特に重要であることが見出された。
本発明の上記の説明を読み、添付の図面を見れば、当業者はその変更とバリエ
ーションを実施しうることは理解される。これらの変更とバリエーションは、次
に添付する請求の範囲の精神と範囲に包含される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(71)出願人 ガオ,ユアン
アメリカ合衆国、07712 ニュー・ジャー
ジー、オーシャン、オルドリン・ロード
2139、アパートメント 3ビー
(72)発明者 マネフ,ヴェセリン
アメリカ合衆国、28054 ノース・キャロ
ライナ、ガストニア、ロビンウッド・ロー
ド 1852−エイチ
(72)発明者 フォークナー,タイタス
アメリカ合衆国、28054 ノース・キャロ
ライナ、ガストニア、シェルブール・ウェ
イ 2524エイ
(72)発明者 バーネット,ウェイン
アメリカ合衆国、28016 ノース・キャロ
ライナ、ベセマー・シティ、ピー・オー・
ボックス 313
(72)発明者 ガオ,ユアン
アメリカ合衆国、07712 ニュー・ジャー
ジー、オーシャン、オルドリン・ロード
2139、アパートメント 3ビー
【要約の続き】
金属酸化物からなる。